JPH116098A - 金属元素含有酸化チタン皮膜の製造方法 - Google Patents

金属元素含有酸化チタン皮膜の製造方法

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JPH116098A
JPH116098A JP9161339A JP16133997A JPH116098A JP H116098 A JPH116098 A JP H116098A JP 9161339 A JP9161339 A JP 9161339A JP 16133997 A JP16133997 A JP 16133997A JP H116098 A JPH116098 A JP H116098A
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titanium oxide
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光触媒や湿式太陽電池に有用な、金属元素を
含有する酸化チタン皮膜を形成する方法を提供する。 【解決手段】 グリセロリン酸塩とアルカリ金属または
アルカリ土類金属の酢酸塩からなる電解質水溶液を用い
てチタンを陽極酸化する際に、水溶液中に金属元素の酢
酸塩を添加しておき、酸化チタン皮膜中にその金属元素
を取り込ませる。上記の電解質水溶液を用いてチタン合
金を陽極酸化する場合には、チタン合金の合金成分元素
を酸化チタン皮膜中に取り込ませる。形成された金属元
素含有酸化チタン皮膜を水熱処理して多孔質化してもよ
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、金属元素を含有す
る酸化チタン皮膜を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】酸化チタンには様々な用途があり、誘電
体材料、白色顔料などとして広く用いられている。一
方、酸化チタンに光を当てると、表面において正孔が励
起され、これが非常に高い酸化電位をもつことから、光
触媒作用が注目されている。その作用を利用して、カビ
や細菌の増殖を抑制する抗菌材料や、水を光分解して水
素または酸素を発生させる光触媒、窒素酸化物などの有
毒ガスを分解する光触媒などに応用されている。
【0003】これらの用途では、酸化チタンを粉末の状
態で使用するよりも、膜の状態で使用する方が、ハンド
リングが容易なことから好都合である。酸化チタンの皮
膜を形成する方法として陽極酸化法が知られている。こ
の方法は、他の膜製造方法に比べて成膜速度が速く、ま
た大面積であっても均一な厚さに成膜できる利点があ
る。しかも複雑な形状の基板上にも均一に成膜できるた
め、セラミック膜の成膜方法としては工業的に有用な方
法である。
【0004】従来から、リン酸、硫酸あるいはこれらの
混酸からなる電解質水溶液中でチタンを陽極酸化する
と、数 100Vの高電圧まで安定して陽極酸化することが
でき、その結果、数μmと比較的厚い陽極酸化皮膜が形
成されることが知られている。また、電解質にグリセロ
リン酸塩とアルカリ金属またはアルカリ土類金属の酢酸
塩を用いて陽極酸化を行うと、結晶性の高いアナターゼ
相からなる酸化チタン皮膜が形成されることが知られて
いる。
【0005】最近、酸化チタンにクロムやバナジウムな
どの遷移金属元素を微量添加することによって、光触媒
活性を更に高くできることが報告されている(ホフマン
ら;Chem.Rev.,95,69-96 (1995))。この報告によれば、
真空中で電場をかけて上記金属イオンを加速して酸化チ
タン表面に打ち込むイオン注入法が用いられている。
【0006】又、チタンアルコキシドのゾル溶液に上記
金属粉末を混合し、これを基板に塗布してから加熱処理
をする、いわゆるゾルゲル法によっても金属元素含有酸
化チタン皮膜を製造することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述したゾルゲル法や
イオン注入法では、大面積或いは複雑形状の基板の全面
に均一に酸化チタン皮膜を形成することは非常に困難で
あり、含有させたい金属元素を酸化チタン皮膜全体に均
一に分布させることも極めて困難である。さらに、イオ
ン注入法では、イオンが打ち込まれる深さには限界があ
り、酸化チタン皮膜の表面層だけに限られてしまうとい
う技術上の問題点と、真空処理の必要から生産性が悪い
という実用上の問題点とがあった。
【0008】本発明では、金属元素が皮膜中に均一に分
布している酸化チタン皮膜を、効率良く製造するための
方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】発明者は、鋭意研究の結
果、グリセロリン酸塩とアルカリ金属またはアルカリ土
類金属の酢酸塩からなる電解質水溶液を用いてチタンを
陽極酸化する際に、水溶液中に金属元素の酢酸塩を添加
しておけば酸化チタン皮膜中にその金属元素が取り込ま
れることを見い出した。
【0010】請求項1は、上記の電解質水溶液(第1の
電解質水溶液)に以下に示す金属元素の酢酸塩を添加し
て、その混合電解質水溶液中でチタンを陽極酸化する方
法の発明である。請求項2は、第1の電解質水溶液中で
チタンを陽極酸化し、次にこの第1の電解質水溶液中に
以下に示す金属元素の酢酸塩を添加して作製した第2の
電解質水溶液中でチタンを陽極酸化する方法である。請
求項3は、第1の電解質水溶液中でチタンを陽極酸化
し、次に上記の混合電解質水溶液中でチタンを陽極酸化
するする方法の発明である。
【0011】又、請求項4は、第1の電解質水溶液中で
チタン合金を陽極酸化する方法の発明である。チタン合
金は、以下に示す金属元素を含んでいる。本発明で用い
られる金属元素は、Y、Zr、Hf、V、Nb、Ta、
Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、O
s、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、A
g、Au、Zn、Cd、Hg、B、Al、Ga、In、
Tl、Si、Ge、Sn、Pb、P、As、Sb、B
i、S、Se、Te、Po、La、Ceからなる群の中
から選ばれる少なくとも1種類の金属元素である。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明で行う陽極酸化は、電解質
溶液中で陽極金属であるチタン又はチタン合金を陽極と
し、陰極との間に電界をかけることにより、陽極金属の
表面上に厚さ数μm の酸化チタン皮膜を作製する技術で
ある。本発明においては、金属元素を陽極酸化皮膜に含
有させるために次の2つの手法を見出した。すなわち、
グリセロリン酸塩とアルカリ金属またはアルカリ土類金
属の酢酸塩からなる第1の電解質水溶液に所望の金属元
素の酢酸塩を添加し、陽極酸化皮膜が形成される際に電
解質から金属元素を取り込む方法と、第1の電解質水溶
液でチタン合金を陽極酸化することによって、チタン合
金自身に含まれる金属元素を取り込む方法である。以下
本発明について詳細に述べる。
【0013】本発明においては、グリセロリン酸塩とア
ルカリ金属またはアルカリ土類金属の酢酸塩を主要な電
解質として用いる。グリセロリン酸塩としては、グリセ
ロリン酸ナトリウム、グリセロリン酸カルシウムなどが
あるが、水に非常に溶けやすいことからグリセロリン酸
ナトリウムが最も好ましい。金属酢酸塩に含まれるアル
カリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、
ルビジウム、セシウムが望ましく、アルカリ土類金属と
しては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、
バリウムが望ましい。
【0014】これらの電解質を用いて陽極酸化を始める
前に、あらかじめ最高到達電圧を設定しておく。陽極酸
化を開始すると電圧は徐々に上昇し、その最高電圧に到
達すると電流が流れなくなって陽極酸化が終了する。そ
の結果、結晶性の高いアナターゼ相またはルチル相から
成る10μm 以上の厚さの酸化チタン皮膜を形成させるこ
とができる。また、場合によっては水熱処理することで
皮膜を多孔質にすることもできる。
【0015】この第1の電解質水溶液に所望の金属元素
を含む酢酸塩を添加した混合電解質水溶液中でチタンを
陽極酸化する。このように、最初から混合電解質水溶液
を作っておく方法とは別に、陽極酸化の途中で所望の金
属元素を含む酢酸塩を第1の電解質水溶液に添加する方
法もある。すなわち、陽極酸化を開始すると、あらかじ
め設定された最高電圧に向けて電圧が徐々に上昇し、そ
れとともに陽極酸化皮膜が成長して厚くなっていく。そ
の途中で前記の酢酸塩を第1の電解質水溶液に直接に添
加するか、または前記の酢酸塩を第1の電解質水溶液あ
るいは蒸留水に溶解してから添加する。これを第2の電
解質水溶液と呼ぶ。
【0016】酢酸塩を添加するときには、電流を切って
一時的に陽極酸化を中止し、その間に第2の電解質水溶
液を十分に攪拌して前記の酢酸塩を均一に混合させてか
ら再び陽極酸化を続けることが好ましい。そうすること
によって、酸化チタン皮膜中に所望の金属元素を均一に
分散させることができる。この方法は、1つの電解槽で
陽極酸化の全工程を実施できる。
【0017】更に別の方法として、先ず第1の電解質水
溶液中でチタンを陽極酸化し、次に所望の金属元素を含
む酢酸塩を添加した混合電解質水溶液中に該チタンを移
して再度陽極酸化する方法がある。この方法の利点は、
混合電解質水溶液の成分である第1の電解質水溶液の電
解質の種類を自由に選ぶことができることである。いず
れの場合でも、陽極酸化を一時的に中止するときの電圧
は最高電圧より低ければ何ボルトでもよいが、10V以下
であるのは好ましくない。
【0018】所望の金属元素を含む酢酸塩を添加すると
きの電圧が低いほど、又、第2の電解質水溶液中あるい
は混合電解質水溶液中で陽極酸化を再開するときの電圧
が低いほど、酸化チタン皮膜中の金属元素を含む層は厚
くなる。逆に、これらの電圧を最高到達電圧より少し低
い値、つまり比較的高い電圧に設定すれば、表面層だけ
に金属元素が存在する酸化チタン皮膜を形成することが
できる。
【0019】又、第2の電解質水溶液又は混合電解質水
溶液の金属元素の濃度が低いほど酸化チタン皮膜中の金
属元素濃度は低くなる。従って、第1の電解質水溶液
と、第2の電解質水溶液又は混合電解質水溶液とを適宜
使用することによって、酸化チタン皮膜の中心部だけに
金属元素を分布させたり、金属元素の含有量を皮膜の厚
さ方向に段階的に変えたり、種類の異なる金属元素を層
状に分布させることが可能である。
【0020】本発明の酸化チタン皮膜には金属元素だけ
でなく、グリセロリン酸塩からリンイオンあるいはリン
酸イオンが取り込まれ、アルカリ金属またはアルカリ土
類金属の酢酸塩からアルカリ金属またはアルカリ土類金
属イオンが取り込まれる。これらのイオンは、水熱処理
を行うことによって皮膜から溶出させることができる。
その結果、イオンが溶出した後には細孔が形成され、多
孔質な酸化チタン皮膜となる。特に、アルカリ土類金属
の酢酸塩を用いた場合は、酸化チタン皮膜にアルカリ土
類金属イオンが多く取り込まれるので、水熱処理によっ
て溶出させると皮膜に多くの細孔を残し、表面積がきわ
めて大きい多孔質の皮膜を形成させることができる。ま
た、アルカリ土類金属の酢酸塩中の濃度と、皮膜中に取
り込まれるアルカリ土類金属イオンの量は比例するの
で、濃度を高くするほど皮膜をより一層多孔質化するこ
とができる。
【0021】陽極酸化にかかる時間は、電流密度を高く
して速く昇圧させるほど短時間となり、およそ5〜10分
程度である。酸化チタン皮膜の厚さは電圧に比例するの
で、多孔質酸化チタン皮膜の単位面積当たりの表面積を
増大させるには、高電圧で陽極酸化して膜厚を大きくす
るとよい。つまり、膜厚が大きいほど細孔の数は多いか
らである。特に、湿式太陽電池に応用する場合には、膜
厚が大きいことが重要である。しかし、厚すぎると安定
して陽極酸化できなくなるので、 500V程度が限界であ
る。
【0022】電圧が 100Vを越えたあたりから、陽極の
チタン表面で火花放電が発生し、酸化皮膜が局所的に非
常に高い温度に加熱される。このような皮膜に対する加
熱が無数に繰り返された結果、皮膜全体が結晶化され、
結晶性の高い酸化チタン皮膜が形成される。また、電解
質から皮膜への可溶性物質の取り込みも、火花放電によ
る加熱によって行われる。陽極酸化法では、チタン基板
が大面積や複雑な形状をしていても、厚さが均一な酸化
チタン皮膜を形成させることができる。1回の反応時間
は数分程度と比較的短時間で終了する。また、特殊な装
置を必要とせず、室温の水溶液中で作製できるので、エ
ネルギ−消費量が非常に低くて済む。
【0023】陽極酸化膜に含まれる可溶性物質を溶出さ
せるには、オートクレーブなどの密閉容器に入れられた
液体中またはその蒸気中で、陽極酸化されたチタンを 1
00〜500℃の温度範囲で加熱処理する。加熱温度が 100
℃より低いと、可溶性物質はほとんど溶出しない。ま
た、オ−トクレ−ブを 500℃より高い温度に加熱するこ
とは、装置が非常に大がかりになり一般的でない。液体
としては通常、純水が用いられるが、それだけに限定さ
れるものではなく、皮膜からの溶出を促進させるため
に、酸性またはアルカリ性にすることもある。また、液
体を攪拌しながら加熱処理すると、溶出が促進される。
加熱処理すると、酸化チタン皮膜の結晶化が進み結晶性
が更に高くなる。
【0024】図1は、陽極酸化処理と水熱処理を終了し
た酸化チタン皮膜の断面を示す模式図である。多孔質の
酸化チタン皮膜1は、チタン基板5の上に形成され、酸
化チタン微粒子2とその境界に形成された気孔3とから
構成されている。また、多孔質酸化チタン皮膜1の最表
面には微細な凹凸4が形成されている。この様にして形
成される多孔質皮膜の結晶相は、アナターゼ相とルチル
相から構成されているが、その割合は電解質の濃度に影
響される。電解質濃度を調節することによってアナタ−
ゼ相の割合を 100%にまで高くすることができる。
【0025】〔第1の実施形態〕チタンを、濃度 0.02m
ol/lのβ−グリセロリン酸ナトリウムと 0.08mol/lの酢
酸ストロンチウムからなる電解質水溶液(第1の電解質
水溶液)中で 400Vに最高到達電圧を設定して、陽極酸
化を行った。電圧が 200Vに達したときに電流を零にし
て陽極酸化を一旦中止し、0.1mol/lの酢酸クロムの水溶
液を、第1の電解質水溶液 100に対し1の体積比で第1
の電解質水溶液に加えた。この第2の電解質水溶液中
で、電流密度を元の50mA/cm2に戻し、更に 400Vまで
陽極酸化を続けた。電解質水溶液の温度は40℃一定とし
た。形成された陽極酸化皮膜は、Crが皮膜中に取り込
まれたため、黄土色に着色していた。
【0026】次いで、蒸留水を入れたオートクレーブ
に、上記の陽極酸化処理されたチタンを入れて 300℃で
2時間加熱処理し、陽極酸化皮膜に含まれていたSrと
Pを溶出させた。この皮膜は、粒径が約40nmの非常に微
細な酸化チタン粒子(アナターゼ型)からなり、粒子間
には気孔が形成されていた。その結果、見かけの面積よ
りはるかに大きな表面積をもつ多孔質酸化チタン皮膜と
なった。皮膜の厚さは約8μm であった。
【0027】〔第2の実施形態〕チタンを、濃度 0.02m
ol/lのβ−グリセロリン酸ナトリウムと 0.08mol/lの酢
酸ストロンチウムからなる電解質水溶液(第1の電解質
水溶液)中で 400Vに最高到達電圧を設定して、陽極酸
化を行った。電圧が 200Vに達したときに電流を零にし
て陽極酸化を一旦中止し、混合電解質水溶液中に陽極酸
化途中のチタンを移し変えて電流密度を元の50mA/cm2
に戻し、更に 400Vまで陽極酸化を続けた。電解質水溶
液の温度は40℃一定とした。この混合電解質水溶液は、
第1の電解質水溶液に酢酸クロムを添加したもので、酢
酸クロムの濃度は0.001mol/lである。形成された陽極酸
化皮膜は、Crが皮膜中に取り込まれたため、黄土色に
着色していた。
【0028】次いで、蒸留水を入れたオートクレーブ
に、上記の陽極酸化処理されたチタンを入れて 300℃で
2時間加熱処理し、陽極酸化皮膜に含まれていたSrと
Pを溶出させた。この皮膜は、粒径が約40nmの非常に微
細な酸化チタン粒子(アナターゼ型)からなり、粒子間
には気孔が形成されていた。その結果、見かけの面積よ
りはるかに大きな表面積をもつ多孔質酸化チタン皮膜と
なった。皮膜の厚さは約8μm であった。
【0029】〔第3の実施形態〕チタンを、濃度 0.01m
ol/lのβ−グリセロリン酸ナトリウムと 0.13mol/lの酢
酸ナトリウムからなる電解質水溶液(第1の電解質水溶
液)中で 350Vに最高到達電圧を設定して、陽極酸化を
行った。電圧が 200Vに達したときに電流を零にして陽
極酸化を一旦中止し、0.1mol/lの酢酸クロムの水溶液
を、第1の電解質水溶液 100に対し1の体積比で第1の
電解質水溶液に加えた。この第2の電解質水溶液中で、
電流密度を元の50mA/cm2に戻し、更に 350Vまで陽極
酸化を続けた。電解質水溶液の温度は40℃一定とした。
形成された陽極酸化皮膜は、Crが皮膜中に取り込まれ
たため、黄土色に着色していた。
【0030】次いで、蒸留水を入れたオートクレーブ
に、上記の陽極酸化処理されたチタンを入れて 300℃で
2時間加熱処理し、陽極酸化皮膜に含まれていたPを溶
出させた。この陽極酸化皮膜は、粒径が約40nmの非常に
微細な酸化チタン粒子(アナターゼ型)からなり、粒子
間には気孔が形成されていた。その結果、見かけの面積
よりはるかに大きな表面積をもつ多孔質酸化チタン皮膜
となった。皮膜の厚さは約 1.5μm であった。
【0031】〔第4の実施形態〕チタンを、濃度 0.01m
ol/lのβ−グリセロリン酸ナトリウムと 0.13mol/lの酢
酸ナトリウムからなる電解質水溶液(第1の電解質水溶
液)中で 350Vに最高到達電圧を設定して、陽極酸化を
行った。電圧が 200Vに達したときに電流を零にして陽
極酸化を一旦中止し、混合電解質水溶液中に陽極酸化途
中のチタンを移し変えて電流密度を元の50mA/cm2に戻
し、更に 350Vまで陽極酸化を続けた。電解質水溶液の
温度は40℃一定とした。この混合電解質水溶液は、第1
の電解質水溶液に酢酸クロムを添加したもので、酢酸ク
ロムの濃度は0.001mol/lである。形成された陽極酸化皮
膜は、Crが皮膜中に取り込まれたため、黄土色に着色
していた。
【0032】次いで、蒸留水を入れたオートクレーブ
に、上記の陽極酸化処理されたチタンを入れて 300℃で
2時間加熱処理し、陽極酸化皮膜に含まれていたPを溶
出させた。この陽極酸化皮膜は、粒径が約40nmの非常に
微細な酸化チタン粒子(アナターゼ型)からなり、粒子
間には気孔が形成されていた。その結果、見かけの面積
よりはるかに大きな表面積をもつ多孔質酸化チタン皮膜
となった。皮膜の厚さは約 1.5μm であった。
【0033】
【発明の効果】以上の通り、金属酢酸塩を含む電解質水
溶液中でチタンを陽極酸化することにより、所望の金属
元素を含有する酸化チタン皮膜を形成することができ
る。この方法によると、ほぼ室温で、比較的簡便に酸化
チタン皮膜を得ることができる。また、大面積あるいは
複雑な形状のチタンでも、表面に均一な厚さの皮膜を形
成することができる。しかも成膜速度が速いので、ゾル
ゲル法などの従来の技術と比べ、短時間で比較的厚い酸
化チタン皮膜を形成することができる。
【0034】更に、陽極酸化の際に皮膜に取り込まれた
可溶性物質を水熱処理によって溶出させることにより、
この酸化チタン皮膜を多孔質にすることもできる。従っ
て、光触媒や光化学電池などに応用する場合に有効であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の、金属元素を含む多孔質酸化チタン皮
膜の断面を示す部分模式図である。
【符号の説明】
1・・・金属元素を含む多孔質酸化チタン皮膜 2・・・金属元素を含む酸化チタン微粒子 3・・・気孔 4・・・微細な凹凸 5・・・チタン基板

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 グリセロリン酸塩と、アルカリ金属また
    はアルカリ土類金属の酢酸塩とを含む第1の電解質水溶
    液中に、 Y、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、M
    n、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、I
    r、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、C
    d、Hgからなる遷移金属元素の群及びB、Al、G
    a、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、P、As、
    Sb、Bi、S、Se、Te、Po、La、Ceからな
    る非遷移金属元素の群の中から選ばれる少なくとも1種
    類の金属元素の酢酸塩又は該酢酸塩を含む溶液を添加す
    ることにより構成される混合電解質水溶液中で、チタン
    を陽極酸化することを特徴とする金属元素含有酸化チタ
    ン皮膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記第1の電解質水溶液中で、最高到達
    電圧未満の所定の電圧に到るまでチタンを陽極酸化する
    第1工程と、 前記第1工程で用いられた前記第1の電解質水溶液中
    に、前記金属元素の酢酸塩又は該酢酸塩を含む溶液を添
    加する混合工程と、 前記混合工程によって作製された第2の電解質水溶液中
    で、前記チタンを再度陽極酸化する第2工程と、から成
    ることを特徴とする金属元素含有酸化チタン皮膜の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 前記第1の電解質水溶液中で、最高到達
    電圧未満の所定の電圧に到るまでチタンを陽極酸化する
    第1工程と、 前記混合電解質水溶液中で前記チタンを再度陽極酸化す
    る第2工程と、から成ることを特徴とする金属元素含有
    酸化チタン皮膜の製造方法。
  4. 【請求項4】 グリセロリン酸塩と、アルカリ金属また
    はアルカリ土類金属の酢酸塩とを含む第1の電解質水溶
    液中で、 Y、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、M
    n、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、I
    r、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、C
    d、Hgからなる遷移金属元素の群及びB、Al、G
    a、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、P、As、
    Sb、Bi、S、Se、Te、Po、La、Ceからな
    る非遷移金属元素の群の中から選ばれる少なくとも1種
    類の金属元素を含むチタン合金を陽極酸化することを特
    徴とする、金属元素含有酸化チタン皮膜の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方
    法によって製造された金属元素含有酸化チタン皮膜を水
    熱処理することにより、前記金属元素含有酸化チタン皮
    膜を多孔質とすることを特徴とする金属元素含有酸化チ
    タン皮膜の製造方法。
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