JPH1160515A - エチルベンゼン製造方法 - Google Patents

エチルベンゼン製造方法

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JPH1160515A
JPH1160515A JP9224839A JP22483997A JPH1160515A JP H1160515 A JPH1160515 A JP H1160515A JP 9224839 A JP9224839 A JP 9224839A JP 22483997 A JP22483997 A JP 22483997A JP H1160515 A JPH1160515 A JP H1160515A
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JP
Japan
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catalyst
ethylene
benzene
reaction
reactor
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Application number
JP9224839A
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English (en)
Inventor
Yoshikazu Takamatsu
義和 高松
Sadataka Kanejima
節隆 金島
Yoshikimi Itani
圭仁 井谷
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

Abstract

(57)【要約】 【課題】 エチルベンゼンを工業的に有利な低いベンゼ
ン/エチレン供給モル比でも高収率、高選択的で製造す
る。 【解決手段】 ゼオライトβを含む触媒を沸騰床上昇流
方式の反応器で用いることによって、ベンゼンとエチレ
ンからエチルベンゼンを製造する方法。 【効果】 ゼオライトβと沸騰床上昇流方式の採用によ
って、高い触媒活性と高い反応選択性を発揮でき、チャ
ンネリング現象や触媒摩耗を起こすことなく安定的な運
転ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種ポリマー用モ
ノマーとなるスチレンの原料等として有用なエチルベン
ゼンの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】芳香族炭化水素のアルキル化反応の触媒
としてゼオライト触媒は、従来のフリーデル・クラフツ
触媒を代替する非腐食性触媒としての利点があり、これ
まで多くの提案がなされている。WO96/20148
号公報等では、液相反応でMCM−22,49,56と
いったゼオライトを用いるエチルベンゼンの製造方法が
記載されている。
【0003】特公平6−43346号公報には、固定床
酸性触媒を蒸留用充填物内に固定して得られる構造体を
含む蒸留反応器内で、有機芳香族化合物とC2〜C20
オレフィンとを接触させ、アルキル化生成物を形成し、
生じたアルキル化生成物および未反応有機芳香族化合物
およびオレフィンを分別し、アルキル化生成物を蒸留反
応器から固定床の下の箇所で取り出す方法が記載されて
いる。
【0004】米国特許第5,118,896号公報には
ベンゼン、トルエン、キシレンから選ばれる液体芳香族
化合物とオレフィンをアルキル化剤とする連続液相アル
キル化反応に、触媒として結晶性アルミノシリケートゼ
オライトを含み、シリカとアルミナからなる、0.25
〜0.35cc/gの細孔容積を持ち、450Åより大
きい細孔半径を持ち、1/64インチより大きくない粒
子径の触媒を用い、蒸留反応器の固定床で行う方法が記
載されている。
【0005】WO96−04225号公報では、βゼオ
ライトを固定床触媒としてトリクルベッド反応領域で行
われる気液下降並流方式アルキル化方法が記載されてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来の反
応方式は、殆どの例がゼオライト触媒を固定床に用いて
比較的高いベンゼン/エチレンモル比で実施している。
これらの反応方式は、必然的に未反応ベンゼンの循環量
が増加するため、ベンゼン回収の負荷が大きくなり、工
業的に実施する上で甚だ不利である。にも関わらず従来
の反応方式が、ゼオライト触媒を固定床に用いて高いベ
ンゼン/エチレンモル比で行わざるを得ない理由として
下記の3点が挙げられる。
【0007】第一に、触媒性能である核エチル化選択率
の問題が挙げられる。従来の反応方式でアルキル化触媒
として最も広く用いられているのはY型ゼオライトであ
る。Y型ゼオライトは、比較的高いベンゼン/エチレン
モル比では、良好な活性及び良好な選択率を与えること
が知られている。しかしながら、比較的低いベンゼン/
エチレンモル比では、ベンゼンの反応率の上昇に伴って
ブチルベンゼン、ジフェニルエタン等の副生物の生成が
著しくなり、それにより核エチル化の選択率が著しく低
下するため、低ベンゼン/エチレンモル比での使用は困
難となる。
【0008】第二に、比較的低い圧力で原料の一段供給
で実施される低いベンゼン/エチレンモル比での反応に
おいては、触媒層入口でエチレンが実質的に気泡として
存在することになり、これが触媒活性の著しい低下を招
くことの問題が挙げられる。例えば、特開平4−187
647号公報に、アルキル転移触媒としてY型ゼオライ
トを用いる例が開示されているが、触媒を気相が存在す
る下向流トリクル床反応器を用いてジエチルベンゼンの
アルキル転移反応を行ったところ、ジエチルベンゼン転
化率は数時間から24時間の間に著しく低下したとの記
載がある。
【0009】さらに、本発明者らの検討結果では、Y型
ゼオライトによる固定床上昇流方式でのベンゼンのエチ
ル化反応を比較的低い圧力下、低いベンゼン/エチレン
モル比で実施したところ、核エチル化の選択率は極めて
低く、且つ、活性低下も著しかった。この原因の一つ
は、Y型ゼオライトの細孔構造によるものと考えられ
る。即ち、同じ酸素12員環構造を有するY型ゼオライ
トとゼオライトβを比較した場合、Y型ゼオライトは細
孔交差部分にスーパーケージと呼ばれる大きな空洞を有
している。この空洞内では、ジフェニルエタン等の二核
体生成物が副生し選択率の低下を引き起こすと同時に、
オレフィンの重合等に由来する高分子量物質による細孔
の閉塞により活性低下を引き起こすものと考えられる。
一方、本発明で用いるゼオライトβには、このようなス
ーパーゲージが存在しない。
【0010】特表平6−508817号公報には、モル
デナイト型ゼオライトを触媒とする方法が開示されてい
る。この明細書中には、アルキル化反応は、反応器中に
ガス帯が実質的に存在しない状態で、最も好ましくは完
全な液体状態で実施されること、及び、実質的なガス帯
の存在は、触媒中でのアルキル化剤の蓄積を招き、アル
キル化剤は重合し、選択率の低下や触媒の不活化を増大
させることの記載がある。即ち、この触媒を用いてエチ
レン気泡が存在する気液混相で反応を実施することは困
難である。
【0011】WO96/20148号公報等で開示さ
れ、高選択性触媒として特徴付けられるMCM−22,
49,56ゼオライト触媒に於いても、ベンゼン/エチ
レンモル比はほとんどの場合約5〜10の範囲であり、
しかも、このモル比は完全溶解分のエチレンを多段供給
する事により達成せしめた値である。即ち、触媒の活性
劣化を抑制する為に、エチレンがベンゼンに完全に溶解
する条件でしか反応できないのである。
【0012】加えて、反応器入口でエチレンガスが実質
的に気泡として存在するような条件の下、触媒を固定床
で使用する場合、ガスの通り道の短絡化によるいわゆる
チャンネリング現象や、触媒の局部移動に伴う摩耗現象
が起こり、それに伴って長時間運転における経時的な選
択率低下や触媒劣化が深刻な問題となってくる。従っ
て、低いベンゼン/エチレンモル比での反応実施におい
ても、エチレンをベンゼンに完全に溶解させる必要があ
り、反応装置に負荷を与えるエチレンの多段供給や溶解
度を高める為の高圧力が必要となる。もしも原料として
純度の低い粗エチレンを利用する場合には、さらに高い
圧力とさらに高次の多段供給が必要となり、益々実用的
でなくなる。
【0013】第三に、反応熱の問題が挙げられる。本反
応は発熱反応であり、低いベンゼン/エチレン条件下で
反応を行うと激しい発熱が生じる。触媒を固定床に用い
る反応方式では、触媒床で局部的に著しい温度上昇、い
わゆるホットスポット現象が起こり、選択率の局部的な
低下や、著しい触媒劣化が進行する。従って、従来の反
応方式では、大過剰のベンゼンを用いる高いベンゼン/
エチレンモル比で反応を行わざるを得ない。また、反応
装置としてもエチレン供給段及び冷却段の数を増やす必
要があり複雑にならざるを得ない。装置的問題を避ける
ため、反応蒸留を行うことにより反応熱を蒸発潜熱で除
去する方法が提案されている。例えば、特公平6ー43
346号公報では、触媒としてY型ゼオライトが用いら
れており、反応器内にクロスに包まれて充填されてい
る。生成物は反応器底部から回収される。しかしなが
ら、触媒劣化を抑えるため、実際の反応帯域では、エチ
レンを完全溶解させる必要があり、また、気泡エチレン
との接触を避けることが重要であるため触媒をクロスに
くるみ気泡を遮断するなど、反応装置や触媒充填方法は
複雑である。しかも、エチレンを完全に転化せしめるこ
とが原理上難しいため、残存エチレンを完全転化させる
ためのフィニッシング反応器が必要となる。また、対向
流であるために、エチルベンゼン濃度の高い箇所にエチ
レンが供給されることになり、ポリアルキルベンゼンが
生成し易い不利も有している。
【0014】以上述べたことは、ゼオライト触媒を用い
て低いベンゼン/エチレンの供給モル比でベンゼンとエ
チレンからエチルベンゼンを製造する上での大きな問題
点となっている。
【0015】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、ベンゼンとエ
チレンからエチルベンゼンを製造する方法において、ゼ
オライトβを含む触媒を沸騰床上昇流方式の反応器で使
用することによって、低いベンゼン/エチレンの供給モ
ル比であっても、発生する反応熱を容易に除去して等温
触媒床に近い状態をつくることが可能となり、高収率で
しかも高選択率でエチルベンゼンの製造ができること、
反応器内で反応が均一に起こるためにエチレンの完全転
化が容易に達成できること、更に、長時間に渡って触媒
性能が維持できて経時的触媒劣化が充分に抑制できるこ
とを見出し、かかる発明に基づき本発明を完成した。
【0016】即ち、本発明は、ベンゼンとエチレンから
エチルベンゼンを製造する方法において、ゼオライトβ
を含む触媒を沸騰床上昇流方式の反応器で用いることを
特徴とする製造方法である。更には、反応器下部よりエ
チレンを供給する際に、沸騰床入口に於いてエチレンの
気泡が存在する条件下で反応を行い、且つ、反応器上部
より反応生成物を液として回収すると同時に、未反応ベ
ンゼンを主とする留分を蒸気として抜き出す製造方法、
及び、反応器より蒸気として回収される未反応ベンゼン
を主とする留分を反応器へ循環供給する製造方法であ
る。
【0017】以下、本発明をさらに詳細に説明する。本
発明に使用される触媒はゼオライトβを含む触媒であ
る。ゼオライトβは米国特許3,308,069号公報
に最初に記載された既知の合成結晶性アルミノ珪酸塩で
あり、同特許明細書中に記載されたその特性X線回折像
により同定される。ゼオライトβに含まれるX線回折の
反射d値を表1に示す。
【0018】本発明に用いられるゼオライトβのSiO
2 /Al23比は5〜100の範囲である。好ましくは
10〜80の範囲である。本発明に於いて触媒として用
いられるゼオライトβはいわゆる酸型のゼオライトβで
ある。イオン交換法によりナトリウムイオンを水素イオ
ン、及び又は多価カチオンによって置き換えたものであ
る。もし、ゼオライトβが充分な有機陽イオン/ナトリ
ウムイオン比を有する際には、か焼されるだけでも良
い。より高い活性を得る為には、イオン交換法により水
素イオン型とする事が好ましい。水素イオン型へのイオ
ン交換方法は例えば以下の方法により行われる。合成さ
れたゼオライトβをか焼し、有機物を除く。しかる後、
希硝酸水溶液中でゼオライトβを撹拌し、水素イオン型
へイオン交換を行う。乾燥させ、含水分量を少なくとも
10重量部とするまで除き、反応に供される。
【0019】反応器に充填される際には、触媒は成型体
である。成型体とするには純粋なゼオライトのみでも良
いし、アルミナ、シリカ、シリカ/アルミナ、又は天然
産粘土の様な無機酸化物をバインダーとして添加しても
構わない。成型方法については、当分野でよく知られた
スプレードライ成型、打錠成型、押し出し成型法等によ
り成型する事が可能であり、成型触媒の形状は、球状、
円筒状、板状、中空円筒状成型体等公知の形状のものを
用いることが可能である。成型触媒の粒径は、数十μか
ら数mmのオーダーの範囲内のものが適用できる。
【0020】本発明における反応器は、沸騰床上昇流方
式の反応器である。沸騰床は、供給する原料の液体と気
体によって反応器内触媒床が膨張状態となったものとし
て定義される。工業的な沸騰床反応器として、炭化水素
の軽質化と改質化を行うための水素化分解反応プロセス
として知られているLC−FiningやH−oilの
プロセスで使われている反応器がある。これら反応器で
は、液体と気体から成る混合物が反応器ボトムに入り、
触媒床を通過して上昇する。反応器トップに到達した液
の一部は、反応器内に設けられた循環用のパンとダウン
カマーを通って反応器のボトムに戻り、循環用ポンプに
より、再び触媒床を通って循環する。この液循環システ
ムにより、触媒床での液の高流速が可能になり懸濁状態
の触媒粒子をランダムに浮遊維持できる。本発明におい
ては、このような内部循環式の反応器ばかりでなく、触
媒床を沸騰床に維持できる液とガスの流速が確保できれ
ば、触媒床だけから成るシンプルな反応器も使用でき
る。懸濁状態の触媒粒子をランダムに浮遊維持すること
により、等温床に近い状態がつくりだせる。触媒床での
反応温度よりも低い温度に予熱されたベンゼンとエチレ
ンの混合供給物の温度を制御することによって、触媒床
の温度を維持する。反応温度は反応器内で起こるアルキ
ル化の反応熱からもたらされる。このように、触媒床を
沸騰床として使用することによって、局部的な加熱を生
じることのない効果的な等温操作、及び、チャンネリン
グを生じることのないすぐれた気(エチレンガス)/液
(エチレン溶解ベンゼン)/固(触媒)の混合状態がで
きる。このことより、選択率の維持や触媒劣化の抑制が
有効になる。また、もし必要であれば、運転中の連続的
な触媒添加と触媒抜き出しも可能である。
【0021】本発明における反応原料は、ベンゼン及び
アルキル化剤としてのエチレンである。反応熱除去の為
に蒸気として回収される未反応ベンゼンを主とする留分
を循環させて、反応原料として再び反応器に供給して利
用することが可能である。本発明に原料として用いられ
るベンゼンは、低温度領域での触媒への水の吸着による
活性低下を抑制させる為、含水量を200ppm程度以
下に除去しておくのが好ましい。
【0022】本発明に原料として用いられるエチレン
は、精製された純エチレンガスだけでなく、ナフサ分解
炉や接触分解炉等から得られる、水素、メタン、エタ
ン、プロピレン等の他のガス成分を含むいわゆる粗エチ
レンガスも用いることができる。本発明においては気液
混相で反応ができるため、粗エチレンガスを原料とする
場合も比較的低圧で実施できる。一方、エチレンをベン
ゼンに完全溶解させることが必要な従来方法において
は、粗エチレン原料を用いる場合、エチレンを溶解させ
るために高圧が必要となるため現実的な方法でなくな
る。
【0023】本発明においては、上記した通り、ゼオラ
イトβを沸騰床上昇流方式で用いれば、供給する原料の
ベンゼン/エチレンモル比が従来通り高くても、また、
低い場合であっても、充分な反応結果が得られるが、好
ましくは1〜6、好ましくは2〜4の範囲である。本発
明においては未反応ベンゼンの一部を蒸気として回収す
る為、得られる製品液は供給モル比より低いベンゼン環
/エチル基モル比を有する。又、上述の様に、蒸発留分
を循環させ反応器へ供給して再利用する場合は、供給モ
ル比と同じベンゼン環/エチル基モル比の製品を得るこ
とができる。
【0024】本発明における反応圧力は、所望の製品液
組成、ベンゼン/エチレン供給モル比、触媒層温度など
から、気液平衡により決定されるベンゼンを主とする蒸
発ガスの分圧により定める。通常、核エチル化選択率を
維持する為に、触媒層温度、即ち、気液平衡温度を25
0℃以下にする事が好ましい。この温度以下で液の沸騰
が生じ、製品液が濃縮される様に圧力が定められる。好
ましい反応圧力は、充分な反応速度を得ること、回収す
る製品液の組成及び流量と循環させる蒸気の組成及び流
量を現実的な範囲とすることのため、発生するベンゼン
を主とする蒸気留分の分圧は5〜20kg/cm2 G、
好ましくは、10〜15kg/cm2Gである。又、粗
エチレンを原料とする場合には、気相にはアルキル化反
応で消費されるオレフィン成分以外のガス成分がベンゼ
ンを主とする蒸気留分とともに排出される。従って、純
エチレンを用いる場合と同様な蒸発・気液平衡とするに
は、分圧補正した操作圧力で反応を実施する。このよう
に操作圧力の決定はエチレンの純度も考慮しなければな
らない。
【0025】本発明における反応温度は、沸騰床状態に
ある触媒層の温度として定義され、反応圧力、液組成に
より決定されるが、充分な反応速度、選択率を維持する
点から、170〜250℃であることが好ましい。この
温度範囲となる様に、上述のように適宜、反応圧力が選
ばれる。発熱反応であるため、反応温度は反応熱によっ
て上昇するが、設定温度以上となる反応熱は、液留分を
蒸発させる為に使われるので、触媒層温度を過度に上昇
させることは無い。
【0026】本発明において、反応器入口での予熱温度
は、目的とする製品液組成に基づく蒸発量との兼ね合い
であるが、反応が開始される温度としての少なくとも3
0℃以上から、沸騰床温度よりも少なくとも50℃低い
温度までの範囲で選ばれ、好ましくは、30〜200
℃、より好ましくは、80〜160℃である。本発明に
おいては、沸騰床で所定の反応温度に到達すれば、一部
蒸発が生じる為に、蒸発潜熱による反応熱の除去が行わ
れ、その温度以上の上昇は無いことになる。沸騰床は所
定の温度を保つので、反応器入口の温度を低く保つこと
は、反応器入口でのエチレン溶解度を向上せしめ、反応
速度の上昇とエチレンの完全転化に寄与する。
【0027】低いベンゼン/エチレン供給モル比、か
つ、低圧の条件下にあっては、必然的に反応器入口で
は、供給されたエチレンはベンゼン中に全て溶解するこ
とができず、気泡として存在している。かかる状況下に
あっては、従来の方法では、触媒の劣化と選択率の低下
が顕著となり、激しい反応熱により温度が上昇すること
や、チャンネリング現象や触媒摩耗等の問題が生じた。
これらの問題を回避するためにエチレンがベンゼンに完
全に溶解する高いベンゼン/エチレンモル比という条件
のもとで反応が実施され、低いベンゼン/エチル基モル
比の製品を得るためには、複雑な反応方式を採用せざる
を得なかったのである。
【0028】しかしながら、本発明者らは、ゼオライト
βを含む触媒が気相エチレンとの接触に対して耐劣化性
を有し、かつ、低いベンゼン/エチレンモル比でも高い
触媒活性と高い反応選択性を発揮できること、更に、ゼ
オライトβを含む触媒を沸騰床上昇流反応方式で用いる
ことによって、低いベンゼン/エチレンモル比の気/液
混合状態であっても、チャンネンリング現象や触媒摩耗
を起こすことなく、激しい発熱を抑えて等温床に近い安
定的な運転を実現できることを見出した。加えて、未反
応ベンゼンを主たる留分として蒸発させることにより反
応熱を一部除去できるため、触媒床温度がより制御しや
すくなり、低いベンゼン/エチレンモル比でもエチレン
の完全転化が可能になることも見出した。よって、本発
明により、シンプルな反応装置で且つ低い圧力で、低い
ベンゼン/エチレン供給モル比でのアルキル化反応を実
施することが初めて可能となる。当然ではあるが、エチ
レン純度が低い祖エチレン原料でも使用可能である。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、実施例を挙げて本発明を説
明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定される
ものではなく、その要旨を越えない限り、様々な変更、
修飾などが可能である。
【0030】
【実施例1】βゼオライトの合成 10%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液1.60
kg、水1.40kg、水酸化ナトリウム42g、アル
ミン酸ナトリウムNaAlO2 95gを混合、溶解し、
融合シリカ、ニップシール(日本シリカ工業製NV−
3)705g、種結晶としてβゼオライト70gを添加
し、混合物をホモジナイザーにより5000回転で30
分間撹拌した。次に、50リットルのオートクレーブに
入れ、撹拌せずに155℃で8日間入れて置くと、大量
の結晶性物質が生成した。この物質を濾過、水洗し、1
20℃で一昼夜乾燥させ、706gの結晶性粉末を得
た。次に、350〜550℃迄徐々に昇温し、最終的に
は550℃で6時間か焼した。か焼した後の粉末はX線
回折によりβゼオライトである事が同定された。
【0031】βゼオライトの水素イオン交換 か焼したβゼオライト500gを0.15Nの硝酸水溶
液4.5kg中に添加し、室温下で3時間撹拌し、イオ
ン交換を行った。交換後、濾過、水洗し、しかる後12
0℃で乾燥させた。得られた水素イオン型βゼオライト
の組成分析をX線マイクロアナライザー(EPMA)で
行った。シリカ/アルミナ比は25であった。同様な操
作にてゼオライトの合成、交換を数回行い水素イオン型
βゼオライトの10kgを得た。
【0032】βゼオライトの成型 上記で得られた水素イオン型βゼオライトに、スノーテ
ックス0、アルミナゾル200、カオリンを下記の組成
になる様に加え、混練し、180℃、12000RPM
の条件でスプレードライ成型を行った。得られた球状触
媒成型体は、ゼオライト/SiO2/Al2O3/カオ
リン=50/12.5/12.5/25の重量比であっ
た。得られた触媒成型体の形状は、粒径90〜96μm
の均一な球状であった。
【0033】アルキル化反応実験 内径20mm長さ1800mmで下部に予熱層として反
応器下部600mmの位置まで熱媒ジャケットを、反応
器出口に圧力制御弁を備え、圧力制御弁より下の位置に
は製品液抜液オーバーフローノズルを、予熱層最上部の
位置に触媒保持用の目皿を設けたステンレス製反応管に
上記ゼオライトβ触媒の球状成型体220gを充填し
た。触媒は、3mmφのステンレス製ディクソンパッキ
ングを充填した予熱層の直上に目皿を装填し、保持し
た。
【0034】製品液抜液ノズルは反応器圧力と均圧とな
る様に窒素加圧された液回収ドラムに接続されている。
反応器出口では蒸発ガス留分は圧力制御弁から冷却器を
介して回収され、液は製品液抜液ノズルから液回収ドラ
ムに製品液として回収される。原料ベンゼンを1090
g/Hrの供給速度にて供給し、反応器出口圧力制御弁
により反応器内を15.33kg/cm2Gとし、系内
を完全に液封状態とした。この際の液速度、触媒粒径は
触媒が浮遊化し始める条件であり、すなわち、反応が沸
騰床方式で行われることは別途コールドモデルテストに
より確認されており明らかである。その際の沸騰床触媒
層高さは840mmであった。又、実反応時に供給され
るエチレン、或いは蒸発する未反応ベンゼンを主とする
留分の蒸発ガス量を想定したガス供給実験の結果から、
沸騰床状態にあるときには、ガスのチャンネリングは全
く観察されなかった。
【0035】予熱層熱媒ジャケットに165℃の熱媒を
循環し、触媒層入口温度を153℃とした。しかるの
ち、エチレンを3.877mol/Hrの供給速度にて
ベンゼンと同様に反応器最下部より供給し反応を開始し
た。反応開始に伴い、触媒層温度は次第に上昇し始め、
触媒層中間域で232℃に達した。この温度、圧力下で
は、反応器内で一部反応液の蒸発が起こる事は明らかで
ある。
【0036】蒸発ガス留分は予めベンゼンを入れてある
回収ドラムへと導かれ、そのドラムレベルが一定となる
様に制御され、流入液はポンプにて原料ライン(供給原
料混合タンク)へリサイクルされる。一方、ベンゼンは
反応器への全供給液量が一定となる様に、即ち、供給原
料混合タンク内の液面を一定に保つ様に当該タンクへ供
給される。
【0037】数時間後に系は安定し、リサイクル流量は
483g/Hr、ベンゼン供給流量は603g/Hr、
製品液回収流量は712g/Hrでほぼ一定流量となっ
た。その際の沸騰床温度は232℃、反応圧力は15.
33kg/cm2G、供給されるベンゼン/エチレンモ
ル比は2である。反応は100時間継続して行い、適
宜、製品液及びリサイクル液の定量とガスクロマトグラ
フィーによる成分分析を行った。結果を表2に示す。
【0038】本実施例では、定常時の供給ベンゼン/エ
チレンモル比は2、リサイクル液を併せてもベンゼン環
/(エチレン+エチル基)モル比は2.74であって触
媒層入口に於いては明らかにエチレン気泡が存在してい
る。本実施例から、100時間に亘って、ベンゼン環/
エチル基モル比2の製品液を得た。即ち、この間、エチ
レンは完全に転化されおり、触媒重量基準のエチルベン
ゼン換算生成速度は3.73g−エチルベンゼン/g−
ゼオライトβ触媒/時に相当する。しかも、その間製品
液の核エチル化選択率は99.6%と極めて高い値を維
持することが判る。
【0039】
【実施例2】実施例1と同様のβゼオライト成型触媒
を、実施例1と同様の反応器に280gを充填した。原
料ベンゼンを1383g/Hrの供給速度にて供給し、
反応器出口圧力制御弁により反応器内を18.64kg
/cm2Gとし、系内を完全に液封状態とした。この際
の液速度、触媒粒径は触媒が浮遊化し始める条件であ
り、すなわち、反応が沸騰床方式で行われることは別途
コールドモデルテストにより確認されており明らかであ
る。その際の沸騰床触媒層高さは1100mmであっ
た。
【0040】予熱層熱媒ジャケットに168℃の熱媒を
循環し、触媒層入口温度を151℃とした。しかるの
ち、エチレンを3.87mol/Hrの供給速度にてベ
ンゼンと同様に反応器最下部より供給し反応を開始し
た。反応開始に伴い、触媒層温度は次第に上昇し始め、
触媒層中間域で232℃に達した。この温度、圧力下で
は、反応器内で一部反応液の蒸発が起こる事は明らかで
ある。
【0041】実施例1と同様に、蒸発ガス留分は予めベ
ンゼンを入れてある回収ドラムへと導かれ、そのドラム
レベルが一定となる様に制御され、流入液はポンプにて
原料ライン(供給原料混合タンク)へリサイクルされ
る。一方、ベンゼンは反応器への全供給液量が一定とな
る様に、即ち、供給原料混合タンク内の液面を一定に保
つ様に当該タンクへ供給される。
【0042】数時間後に系は安定し、リサイクル流量は
176g/Hr、ベンゼン供給流量は1208g/H
r、製品液回収流量は1315g/Hrでほぼ一定流量
となった。その際の沸騰床温度は231℃、反応圧力は
18.64kg/cm2G、供給されるベンゼン/エチ
レンモル比は4である。反応は150時間継続して行
い、適宜、製品液及びリサイクル液の定量とガスクロマ
トグラフィーによる成分分析を行った。結果を表3に示
す。
【0043】本実施例では、定常時の供給ベンゼン/エ
チレンモル比は4、リサイクル液を併せてもベンゼン環
/(エチレン+エチル基)モル比は4.37であって触
媒層入口に於いては明らかにエチレン気泡が存在してい
る。本実施例から、150時間に亘って、ベンゼン環/
エチル基モル比4の製品液を得た。即ち、この間、エチ
レンは完全に転化されおり、触媒重量基準のエチルベン
ゼン換算生成速度は2.93g−エチルベンゼン/g−
ゼオライトβ触媒/時に相当する。しかも、その間製品
液の核エチル化選択率は99.8%と極めて高い値を維
持することが判る。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、ベンゼンとエチレンか
らエチルベンゼンを製造する方法において、ゼオライト
βを含む触媒を沸騰床上昇流方式の反応器で使用するこ
とによって、低いベンゼン/エチレンの供給モル比であ
っても、発生する反応熱を容易に除去して等温触媒床に
近い状態をつくることが可能となり、高収率でしかも高
選択率でエチルベンゼンの製造ができ、反応器内で反応
が均一に起こるためにエチレンの完全転化が容易に達成
できる、更に、長時間に渡って触媒性能が維持できて経
時的触媒劣化が充分に抑制できる。このことにより、シ
ンプルな反応装置で且つ低い圧力で、低いベンゼン/エ
チレン供給モル比でのアルキル化反応を実用的に実施す
ることが初めて可能となる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 べンゼンとエチレンからエチルベンゼン
    を製造する方法において、ゼオライトβを含む触媒を沸
    騰床上昇流方式の反応器で用いることを特徴とするエチ
    ルベンゼン製造方法。
  2. 【請求項2】 反応器下部よりエチレンを供給する際
    に、沸騰床入口に於いてエチレンの気泡が存在する条件
    下で反応を行い、且つ、反応器上部より反応生成物を液
    として回収すると同時に、未反応ベンゼンを主とする留
    分を蒸気として抜き出す請求項1に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 反応器より蒸気として回収される該未反
    応ベンゼンを主とする留分を反応器へ循環供給する請求
    項2に記載の製造方法。
JP9224839A 1997-08-21 1997-08-21 エチルベンゼン製造方法 Pending JPH1160515A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009538299A (ja) * 2006-05-24 2009-11-05 エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク モノアルキル化された芳香族化合物の製造
JP2010518103A (ja) * 2007-02-09 2010-05-27 エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク 改良されたアルキル芳香族の生産プロセス

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