JPH1160502A - 脳梗塞症治療薬もしくは予防薬 - Google Patents
脳梗塞症治療薬もしくは予防薬Info
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- JPH1160502A JPH1160502A JP9217365A JP21736597A JPH1160502A JP H1160502 A JPH1160502 A JP H1160502A JP 9217365 A JP9217365 A JP 9217365A JP 21736597 A JP21736597 A JP 21736597A JP H1160502 A JPH1160502 A JP H1160502A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 脳梗塞の予防や治療に有効な薬剤を提供す
る。 【解決手段】 MCP−1の作用を阻害する薬剤、例え
ば抗MCP−1中和抗体、MCP−1レセプター拮抗
剤、MCP−1蛋白改変体、あるいは細胞遊走阻害活性
をもつプロスタグランジン類を有効成分とする脳梗塞症
治療薬もしくは予防薬。
る。 【解決手段】 MCP−1の作用を阻害する薬剤、例え
ば抗MCP−1中和抗体、MCP−1レセプター拮抗
剤、MCP−1蛋白改変体、あるいは細胞遊走阻害活性
をもつプロスタグランジン類を有効成分とする脳梗塞症
治療薬もしくは予防薬。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、MCP−1の作用
を阻害する作用をもつ有効成分を用いた脳梗塞症治療薬
もしくは予防薬に関する。
を阻害する作用をもつ有効成分を用いた脳梗塞症治療薬
もしくは予防薬に関する。
【0002】
【従来の技術】MCP−1(Monocyte Chemotactic Pro
tein−1の略称;別称MCAF(Macrophage Chemotact
ic and Activating Factorの略称))は、アミノ酸76
個からなる蛋白として同定及び遺伝子クローニングされ
た代表的ケモカインのひとつである(例えば、Rollins,
B. J., et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA(198
8)85:3738−3742、Manthusima, K. et a
l. Journal of Experimental Medicine(1989)1
69:1485−1490、Yoshimura, T., et al. FE
BS Letters(1989)244:487−493など参
照)。MCP−1は、マクロファージ、平滑筋細胞、線
維芽細胞、血管内皮細胞などより種々の刺激に応じて産
生され、単球、メモリーT細胞、ナチュラルキラー細胞
等に対し、細胞遊走活性及び細胞接着増強作用を有し、
さらには抗塩基球からのヒスタミン放出因子としての作
用を有しており、炎症反応を担う重要な因子として知ら
れる(例えば、Rollins, B. J., et al. Blood(199
1)78:1112−1116、Carr, M. W., er al.
Proc. Natl. Acad. Sci. USA(1994)91:365
2−3656、Jiang, Y., er al. American Journal o
f Physiology(1994)267:C1112−C11
18、Allavena, P., et al. European Journalof Immu
nology(1994)24:3233−3236、Alam,
R., et al. Journal of Clinical Investigation(19
92)89:723−728など参照)。
tein−1の略称;別称MCAF(Macrophage Chemotact
ic and Activating Factorの略称))は、アミノ酸76
個からなる蛋白として同定及び遺伝子クローニングされ
た代表的ケモカインのひとつである(例えば、Rollins,
B. J., et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA(198
8)85:3738−3742、Manthusima, K. et a
l. Journal of Experimental Medicine(1989)1
69:1485−1490、Yoshimura, T., et al. FE
BS Letters(1989)244:487−493など参
照)。MCP−1は、マクロファージ、平滑筋細胞、線
維芽細胞、血管内皮細胞などより種々の刺激に応じて産
生され、単球、メモリーT細胞、ナチュラルキラー細胞
等に対し、細胞遊走活性及び細胞接着増強作用を有し、
さらには抗塩基球からのヒスタミン放出因子としての作
用を有しており、炎症反応を担う重要な因子として知ら
れる(例えば、Rollins, B. J., et al. Blood(199
1)78:1112−1116、Carr, M. W., er al.
Proc. Natl. Acad. Sci. USA(1994)91:365
2−3656、Jiang, Y., er al. American Journal o
f Physiology(1994)267:C1112−C11
18、Allavena, P., et al. European Journalof Immu
nology(1994)24:3233−3236、Alam,
R., et al. Journal of Clinical Investigation(19
92)89:723−728など参照)。
【0003】ケモカインは、炎症部位等で産生され、分
子量が6〜15Kdで、4個のシステインを有し、塩基
性かつヘパリン結合性の生理活性蛋白の総称である。ケ
モカインは4個のシステインの配置の共通性及び対応す
る遺伝子が存在する染色体の違いにより2種のサブファ
ミリー、すなわちCXCケモカイン、CCケモカインに
大別される。MCP−1はCCケモカインに属し、他に
このファミリーに属する蛋白として、RANTES、M
IP−1α、MIP−1βなどが知られている。これら
MCP−1等のケモカインは、炎症組織等の病変部位へ
の白血球等の炎症細胞の集積及び活性化を担う重要な因
子である(例えば、Oppenheim, J. J. et al. Annual R
eview of Immunology(1991)9:617−64
8、Schall,T. J. Cytokine(1991)3:165−
183、Springer, T. A. Cell(1994)76:30
1−314、Furie, M. B. American Journal of Patho
logy(1995)146:1287−1301など参
照)。
子量が6〜15Kdで、4個のシステインを有し、塩基
性かつヘパリン結合性の生理活性蛋白の総称である。ケ
モカインは4個のシステインの配置の共通性及び対応す
る遺伝子が存在する染色体の違いにより2種のサブファ
ミリー、すなわちCXCケモカイン、CCケモカインに
大別される。MCP−1はCCケモカインに属し、他に
このファミリーに属する蛋白として、RANTES、M
IP−1α、MIP−1βなどが知られている。これら
MCP−1等のケモカインは、炎症組織等の病変部位へ
の白血球等の炎症細胞の集積及び活性化を担う重要な因
子である(例えば、Oppenheim, J. J. et al. Annual R
eview of Immunology(1991)9:617−64
8、Schall,T. J. Cytokine(1991)3:165−
183、Springer, T. A. Cell(1994)76:30
1−314、Furie, M. B. American Journal of Patho
logy(1995)146:1287−1301など参
照)。
【0004】脳梗塞症において白血球(初期には主に好
中球、続いてモノサイト/マクロファージなど)は梗塞
巣に浸潤し、病態に関与する可能性が示唆されている。
(例えば、Hartl R.ら(1996年)JOURNAL OF CEREB
RAL BLOOD FLOW AND METABOLISM 第16巻1108〜1
119頁など参照)。また、脳梗塞症動物モデルにおい
てMCP−1mRNAは梗塞部位において発現を認め、
モノサイト/マクロファージの浸潤に深く関わっている
ことが強く示唆されている(Wang X.ら(1995年)S
TROKE 第26巻661〜666頁など参照)。しかしな
がらMCP−1の病態形成における役割は明らかにされ
ておらず、MCP−1の作用を阻害することが脳梗塞症
の治療および/または予防上有用であるかは知られてい
ない。
中球、続いてモノサイト/マクロファージなど)は梗塞
巣に浸潤し、病態に関与する可能性が示唆されている。
(例えば、Hartl R.ら(1996年)JOURNAL OF CEREB
RAL BLOOD FLOW AND METABOLISM 第16巻1108〜1
119頁など参照)。また、脳梗塞症動物モデルにおい
てMCP−1mRNAは梗塞部位において発現を認め、
モノサイト/マクロファージの浸潤に深く関わっている
ことが強く示唆されている(Wang X.ら(1995年)S
TROKE 第26巻661〜666頁など参照)。しかしな
がらMCP−1の病態形成における役割は明らかにされ
ておらず、MCP−1の作用を阻害することが脳梗塞症
の治療および/または予防上有用であるかは知られてい
ない。
【0005】脳梗塞症に対する薬物療法として、抗血小
板薬、抗凝固薬、血栓溶解薬、脳代謝改善薬などが用い
られているが、どのような症状にも優れた薬効を示す決
定的な薬剤はなく、新たな作用機序を有する薬剤が求め
られている。
板薬、抗凝固薬、血栓溶解薬、脳代謝改善薬などが用い
られているが、どのような症状にも優れた薬効を示す決
定的な薬剤はなく、新たな作用機序を有する薬剤が求め
られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、脳梗
塞症に対する治療および/または予防薬を提供すること
である。ことに、これまで既存薬では有効なものがない
脳梗塞症、すなわち白血球、特に単球/マクロファージ
の浸潤、活性化を特徴とする脳梗塞症に対する治療およ
び/または予防薬を提供することである。
塞症に対する治療および/または予防薬を提供すること
である。ことに、これまで既存薬では有効なものがない
脳梗塞症、すなわち白血球、特に単球/マクロファージ
の浸潤、活性化を特徴とする脳梗塞症に対する治療およ
び/または予防薬を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】このような従来技術に鑑
みて、本発明者らは鋭意研究をかさねた結果、MCP−
1の作用を阻害する物質が、脳梗塞症において治療およ
び/または予防効果を有することを知見し、本発明を完
成するに至った。すなわち、本発明はMCP−1の作用
を阻害する薬剤を有効成分とする脳梗塞症治療薬もしく
は予防薬である。
みて、本発明者らは鋭意研究をかさねた結果、MCP−
1の作用を阻害する物質が、脳梗塞症において治療およ
び/または予防効果を有することを知見し、本発明を完
成するに至った。すなわち、本発明はMCP−1の作用
を阻害する薬剤を有効成分とする脳梗塞症治療薬もしく
は予防薬である。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明において用いられるMCP
−1の作用を阻害する薬剤としては、(1)MCP−1
に結合してMCP−1の作用を阻害するもの、例えば抗
MCP−1中和抗体、(2)MCP−1レセプターある
いはMCP−1レセプター保有細胞に作用してMCP−
1の作用を阻害するもの、例えばMCP−1レセプター
拮抗剤などが挙げられる。さらには、MCP−1蛋白改
変体などもMCP−1の作用を阻害する薬剤として挙げ
られる。
−1の作用を阻害する薬剤としては、(1)MCP−1
に結合してMCP−1の作用を阻害するもの、例えば抗
MCP−1中和抗体、(2)MCP−1レセプターある
いはMCP−1レセプター保有細胞に作用してMCP−
1の作用を阻害するもの、例えばMCP−1レセプター
拮抗剤などが挙げられる。さらには、MCP−1蛋白改
変体などもMCP−1の作用を阻害する薬剤として挙げ
られる。
【0009】抗MCP−1中和抗体としては、ポリクロ
ーナル抗体またはモノクローナル抗体いずれでもよく、
好ましくはヒトモノクローナル抗体が用いられる。例え
ば、特開平6−205690号公報にある抗ヒトMCP
−1中和抗体が挙げられる。後述の実施例においては、
抗ラットMCP−1中和抗体を作製し用いた。
ーナル抗体またはモノクローナル抗体いずれでもよく、
好ましくはヒトモノクローナル抗体が用いられる。例え
ば、特開平6−205690号公報にある抗ヒトMCP
−1中和抗体が挙げられる。後述の実施例においては、
抗ラットMCP−1中和抗体を作製し用いた。
【0010】MCP−1レセプター保有細胞に作用して
MCP−1の作用を阻害する薬剤としては、例えば、特
開平7−188025号公報、特開平8−209600
号公報に記載のMCP−1によって惹起される細胞遊走
の阻害活性を有するプロスタグランジン類化合物が含ま
れる。さらには、MCP−1レセプター拮抗剤あるいは
MCP−1レセプターに対する抗体等もMCP−1レセ
プター保有細胞に作用してMCP−1の作用を阻害する
薬剤として有用である。
MCP−1の作用を阻害する薬剤としては、例えば、特
開平7−188025号公報、特開平8−209600
号公報に記載のMCP−1によって惹起される細胞遊走
の阻害活性を有するプロスタグランジン類化合物が含ま
れる。さらには、MCP−1レセプター拮抗剤あるいは
MCP−1レセプターに対する抗体等もMCP−1レセ
プター保有細胞に作用してMCP−1の作用を阻害する
薬剤として有用である。
【0011】MCP−1蛋白改変体としては、例えばW
O95/13295号、WO96/38559号パンフ
レットに記載のN端アミノ酸欠損MCP−1改変体7N
D、第28チロシン変換MCP−1改変体Y28Dなど
が含まれる。
O95/13295号、WO96/38559号パンフ
レットに記載のN端アミノ酸欠損MCP−1改変体7N
D、第28チロシン変換MCP−1改変体Y28Dなど
が含まれる。
【0012】本発明で用いられるMCP−1の作用を阻
害する薬剤は、好ましくは製薬学的に許容される担体を
配合することによって、本発明の脳梗塞症治療薬もしく
は予防薬として用いることができる。この場合の製薬学
的に許容される担体としては、後記賦形剤と同様のもの
を挙げることができる。この場合のMCP−1の作用を
阻害する薬剤と担体との配合量については、後記のよう
に活性成分の投与量に従うが、特に限定されず、広範囲
に選択され、通常MCP−1の作用を阻害する薬剤は全
組成物中1〜70重量%、好ましくは5〜50重量%で
ある。得られた組成物は、更に公知の方法で適当な賦形
剤等を用いて軟カプセル剤、硬カプセル剤、錠剤、顆粒
剤、散財、懸濁剤、液剤、シロップ剤等の経口剤、注射
剤、座剤、または外用剤として提供される。
害する薬剤は、好ましくは製薬学的に許容される担体を
配合することによって、本発明の脳梗塞症治療薬もしく
は予防薬として用いることができる。この場合の製薬学
的に許容される担体としては、後記賦形剤と同様のもの
を挙げることができる。この場合のMCP−1の作用を
阻害する薬剤と担体との配合量については、後記のよう
に活性成分の投与量に従うが、特に限定されず、広範囲
に選択され、通常MCP−1の作用を阻害する薬剤は全
組成物中1〜70重量%、好ましくは5〜50重量%で
ある。得られた組成物は、更に公知の方法で適当な賦形
剤等を用いて軟カプセル剤、硬カプセル剤、錠剤、顆粒
剤、散財、懸濁剤、液剤、シロップ剤等の経口剤、注射
剤、座剤、または外用剤として提供される。
【0013】かかる賦形剤としては、植物油(例えばト
ウモロコシ油、綿実油、ココナッツ油、アーモンド油、
落花生油、オリーブ油等)、中鎖脂肪酸グリセライド油
等の油状エステル、鉱物油、トリカプリリン、トリアセ
チン等のグリセリンエステル類、エタノール等のアルコ
ール類、生理食塩水、プロピレングリコール、ポリエチ
レングリコール、ワセリン、動物油脂、セルロース誘導
体(結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、
ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロー
ス)、ポリビニルピロリドン、シクロデキストリン、デ
キストリン、乳糖、マンニトール、ソルビトール、デン
プン等が挙げられる。
ウモロコシ油、綿実油、ココナッツ油、アーモンド油、
落花生油、オリーブ油等)、中鎖脂肪酸グリセライド油
等の油状エステル、鉱物油、トリカプリリン、トリアセ
チン等のグリセリンエステル類、エタノール等のアルコ
ール類、生理食塩水、プロピレングリコール、ポリエチ
レングリコール、ワセリン、動物油脂、セルロース誘導
体(結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、
ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロー
ス)、ポリビニルピロリドン、シクロデキストリン、デ
キストリン、乳糖、マンニトール、ソルビトール、デン
プン等が挙げられる。
【0014】活性成分の投与量は、疾患の程度、患者の
年齢等にもよるが、一日につき一人あたり0.01mg
から1000mg程度で、好ましくは一日につき一人あ
たり1mgから200mgであり、このような条件を満
足するように製剤するのが好ましい。
年齢等にもよるが、一日につき一人あたり0.01mg
から1000mg程度で、好ましくは一日につき一人あ
たり1mgから200mgであり、このような条件を満
足するように製剤するのが好ましい。
【0015】
[実施例1]ラットMCP−1に対するポリクローナル抗体の作製 組換え型ラットMCP−1(ペプロテック社より購入)
をウサギ背部皮下にフロイント完全アジュバントと共に
免疫した。4週間後同様に2回目の免疫を行った。2回
目の免疫から4週間後より、1週間毎に計4回、ウサギ
末梢血より血清を採取した。
をウサギ背部皮下にフロイント完全アジュバントと共に
免疫した。4週間後同様に2回目の免疫を行った。2回
目の免疫から4週間後より、1週間毎に計4回、ウサギ
末梢血より血清を採取した。
【0016】採取した血清は、プロテインGアフィニテ
ィーカラムで精製を行い、抗ラットMCP−1ポリクロ
ーナル抗体とした。ポリクローナル抗体のラットMCP
−1への反応特異性はELISA法により確認した。そ
の結果を図1に示した。マウスMCP−1、ヒトMCP
−1と交差反応性を示したが、他のケモカインに対して
は全く反応せず、作製した抗体のMCP−1特異性が確
認された。
ィーカラムで精製を行い、抗ラットMCP−1ポリクロ
ーナル抗体とした。ポリクローナル抗体のラットMCP
−1への反応特異性はELISA法により確認した。そ
の結果を図1に示した。マウスMCP−1、ヒトMCP
−1と交差反応性を示したが、他のケモカインに対して
は全く反応せず、作製した抗体のMCP−1特異性が確
認された。
【0017】抗体の中和活性は、ヒト単球由来細胞株T
HP−1細胞(ATCCより購入)に対する[125I]
標識ヒトMCP−1の結合阻害実験、およびラットMC
P−1により惹起されるTHP−1細胞の遊走阻害実験
により確認した。その結果を図2および図3にそれぞれ
示す。これらの結果より、抗ラットMCP−1ポリクロ
ーナル抗体は、THP−1細胞に対する[125I]標識
ヒトMCP−1の結合、およびラットMCP−1により
惹起されるTHP−1細胞の遊走を抑制する中和抗体で
あることが判明した。
HP−1細胞(ATCCより購入)に対する[125I]
標識ヒトMCP−1の結合阻害実験、およびラットMC
P−1により惹起されるTHP−1細胞の遊走阻害実験
により確認した。その結果を図2および図3にそれぞれ
示す。これらの結果より、抗ラットMCP−1ポリクロ
ーナル抗体は、THP−1細胞に対する[125I]標識
ヒトMCP−1の結合、およびラットMCP−1により
惹起されるTHP−1細胞の遊走を抑制する中和抗体で
あることが判明した。
【0018】[実施例2]脳梗塞モデルにおける抗ラットMCP−1抗体の効果 1.ラット中大脳動脈閉塞虚血再灌流モデルの作製 ラット中大脳動脈虚血再灌流モデルは小泉らの方法(脳
卒中 第8巻1−8頁1986年)に準じて実施した。
塞栓子は、ナイロン縫合糸4.0号(日本商事)の一端
をキサントプレイン(バイエル日本歯科)で口径0.2
7−0.29mmになるように被覆したものを使用し
た。実験動物にはWistar/STラット(日本エス
エルシー)の9週齢(体重300g前後)を使用した。
虚血再灌流手術はハロセン麻酔(5%導入、1.5%維
持)下で、右総頸動脈から内頸動脈方向に塞栓子を15
−16mm程度挿入して中大脳動脈起始部を塞いで虚血
した。1時間後抜去して再灌流させた。
卒中 第8巻1−8頁1986年)に準じて実施した。
塞栓子は、ナイロン縫合糸4.0号(日本商事)の一端
をキサントプレイン(バイエル日本歯科)で口径0.2
7−0.29mmになるように被覆したものを使用し
た。実験動物にはWistar/STラット(日本エス
エルシー)の9週齢(体重300g前後)を使用した。
虚血再灌流手術はハロセン麻酔(5%導入、1.5%維
持)下で、右総頸動脈から内頸動脈方向に塞栓子を15
−16mm程度挿入して中大脳動脈起始部を塞いで虚血
した。1時間後抜去して再灌流させた。
【0019】2.抗ラットMCP−1抗体の有効性の評
価 動物を2群に分けて、一方には抗ラットMCP−1抗体
を10mg/kg、他方には正常ウサギIgGを10m
g/kgの量で、虚血手術直前に頸静脈から投与した。
再灌流後毎日体重を測定し、また5日後に大脳を摘出
し、前頭極から2mm間隔の切片を作製し2%TTC
(2,3,5-triphenyltetrazolium chloride 和光純薬)含
有生理食塩水中で37℃15分間振とうすることにより
染色後、10%リン酸緩衝ホルマリン(国産化学)中で
固定した。染色した各切片を画像解析処理(コンピュー
タ:マッキントッシュ(アップルコンピュータ)、スキ
ャナ:GT−6000(エプソン)、ソフトウェア:A
dobe Photoshop2.5(Adobe S
ystems))を用いて梗塞巣面積、および各切片の
積分値で、梗塞巣体積の評価を実施した。
価 動物を2群に分けて、一方には抗ラットMCP−1抗体
を10mg/kg、他方には正常ウサギIgGを10m
g/kgの量で、虚血手術直前に頸静脈から投与した。
再灌流後毎日体重を測定し、また5日後に大脳を摘出
し、前頭極から2mm間隔の切片を作製し2%TTC
(2,3,5-triphenyltetrazolium chloride 和光純薬)含
有生理食塩水中で37℃15分間振とうすることにより
染色後、10%リン酸緩衝ホルマリン(国産化学)中で
固定した。染色した各切片を画像解析処理(コンピュー
タ:マッキントッシュ(アップルコンピュータ)、スキ
ャナ:GT−6000(エプソン)、ソフトウェア:A
dobe Photoshop2.5(Adobe S
ystems))を用いて梗塞巣面積、および各切片の
積分値で、梗塞巣体積の評価を実施した。
【0020】
【発明の効果】以上により、抗ラットMCP−1抗体は
梗塞巣の抑制効果(図4および図5参照)および体重減
少抑制効果(図6参照)を示し、有効性を有することが
判明した。したがって、本発明の、MCP−1の作用を
阻害する薬剤を有効成分とする薬剤は、脳梗塞症の治療
薬もしくは予防薬として用いることができる。
梗塞巣の抑制効果(図4および図5参照)および体重減
少抑制効果(図6参照)を示し、有効性を有することが
判明した。したがって、本発明の、MCP−1の作用を
阻害する薬剤を有効成分とする薬剤は、脳梗塞症の治療
薬もしくは予防薬として用いることができる。
【図1】ELISA法による抗ラットMCP−1抗体の
ケモカインに対する反応性の確認
ケモカインに対する反応性の確認
【図2】抗ラットMCP−1抗体のMCP−1結合阻害
活性
活性
【図3】抗ラットMCP−1抗体のTHP−1細胞遊走
抑制試験
抑制試験
【図4】大脳全体の体積に対する梗塞巣の割合
【図5】切片の断面における梗塞巣の割合
【図6】体重の推移
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田村 みずほ 東京都日野市旭が丘4丁目3番2号 帝人 株式会社東京研究センター内 (72)発明者 森田 卓也 東京都日野市旭が丘4丁目3番2号 帝人 株式会社東京研究センター内
Claims (5)
- 【請求項1】 MCP−1の作用を阻害する薬剤を有効
成分とする脳梗塞症治療薬もしくは予防薬。 - 【請求項2】 MCP−1の作用を阻害する薬剤が抗M
CP−1中和抗体である請求項1記載の脳梗塞症治療薬
もしくは予防薬。 - 【請求項3】 MCP−1の作用を阻害する薬剤がMC
P−1レセプター拮抗剤である請求項1記載の脳梗塞症
治療薬もしくは予防薬。 - 【請求項4】 MCP−1の作用を阻害する薬剤がMC
P−1蛋白改変体である請求項1記載の脳梗塞症治療薬
もしくは予防薬。 - 【請求項5】 MCP−1の作用を阻害する薬剤がMC
P−1によって惹起される細胞遊走の阻害活性を有する
プロスタグランジン類である請求項1記載の脳梗塞症治
療薬もしくは予防薬。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9217365A JPH1160502A (ja) | 1997-08-12 | 1997-08-12 | 脳梗塞症治療薬もしくは予防薬 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9217365A JPH1160502A (ja) | 1997-08-12 | 1997-08-12 | 脳梗塞症治療薬もしくは予防薬 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1160502A true JPH1160502A (ja) | 1999-03-02 |
Family
ID=16703043
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9217365A Pending JPH1160502A (ja) | 1997-08-12 | 1997-08-12 | 脳梗塞症治療薬もしくは予防薬 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1160502A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2002030464A1 (fr) * | 2000-10-11 | 2002-04-18 | Daiichi Pharmaceutical Co., Ltd. | Nouveaux medicaments pour maladies du foie |
EP1542724A2 (en) * | 2002-08-19 | 2005-06-22 | Abgenix, Inc. | Antibodies directed to monocyte chemo-attractant protein-1 (mcp-1) and uses thereof |
EP1684703A2 (en) * | 2003-11-05 | 2006-08-02 | Centocor, Inc. | Methods and compositions for treating mcp-1 related pathologies |
-
1997
- 1997-08-12 JP JP9217365A patent/JPH1160502A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US7335647B2 (en) | 2000-10-11 | 2008-02-26 | Kensuke Egashira | Drugs for liver diseases |
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EP1542724A4 (en) * | 2002-08-19 | 2005-10-19 | Abgenix Inc | ANTIBODIES AGAINST THE MONOCYTE 1 CHIMIOATTRACTIVE PROTEIN (MCP-1) AND USES THEREOF |
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EP1684703A2 (en) * | 2003-11-05 | 2006-08-02 | Centocor, Inc. | Methods and compositions for treating mcp-1 related pathologies |
EP1684703A4 (en) * | 2003-11-05 | 2008-10-01 | Centocor Inc | METHODS AND COMPOSITIONS FOR TREATING PATHOLOGIES ASSOCIATED WITH MCP-1 |
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