JPH1160338A - 高熱伝導・高強度窒化ケイ素焼結体およびその製造方法 - Google Patents

高熱伝導・高強度窒化ケイ素焼結体およびその製造方法

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JPH1160338A
JPH1160338A JP9238854A JP23885497A JPH1160338A JP H1160338 A JPH1160338 A JP H1160338A JP 9238854 A JP9238854 A JP 9238854A JP 23885497 A JP23885497 A JP 23885497A JP H1160338 A JPH1160338 A JP H1160338A
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Japan
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silicon nitride
sintered body
seed crystal
thermal conductivity
compact
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JP9238854A
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Hiroshi Yokota
博 横田
Motohiro Toriyama
素弘 鳥山
Kiyoshi Hirao
喜代司 平尾
Koji Watari
渡利  広司
E Britt Manuel
イー ブリト マヌエル
Shuzo Kanzaki
修三 神崎
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FINE CERAMICS GIJUTSU KENKYU K
FINE CERAMICS GIJUTSU KENKYU KUMIAI
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
FINE CERAMICS GIJUTSU KENKYU K
FINE CERAMICS GIJUTSU KENKYU KUMIAI
Agency of Industrial Science and Technology
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高熱伝導・高強度窒化ケイ素焼結体およびそ
のセラミックスを提供する。 【解決手段】 窒化ケイ素原料粉末と焼結助剤よりなる
混合物に単結晶β−窒化ケイ素柱状粒子を種結晶として
0.1〜20vol%添加し、特定方向に種結晶が配向
していない成形体を作製し、この成形体を窒素中で緻密
化と同時にβ窒化ケイ素構造を持つ柱状粒子を種結晶か
らエピタキシャルに成長させたことを特徴とする高熱伝
導・高強度窒化ケイ素焼結体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高熱伝導性で機械
的強度が高い窒化ケイ素焼結体およびその製造方法に関
するものである。本発明の窒化ケイ素焼結体は、高い熱
伝導性と機械的強度が要求される高温熱機関、高温熱交
換器、高温ヒートパイプ等の高温構造材料や高熱伝導性
基板材料として有用である。
【0002】
【従来の技術】一般に、窒化ケイ素焼結体は、αあるい
はβ型窒化ケイ素粉末に、MgO、CaO、Al
2 3 、Y2 3 、Yb2 3 、HfO2 、Sc
2 3 、CeO2 、ZrO2 、SiO2 、Cr2 3
AlN等から選択された焼結助剤を添加し、得られた混
合粉末を成形後、1〜100気圧の窒素雰囲気中で16
00〜2100℃で焼結して製造される。あるいは、こ
れら混合粉末を、ガラスカプセルに封入後、1000気
圧程度のガス圧下でHIP(Hot Isostatic Pressing)
焼結、あるいは1気圧の窒素雰囲気中で20〜40MP
a程度の圧力下1600〜1800℃でホットプレス
(HP)焼結して製造される。しかし、これらの従来手
法で得られた窒化ケイ素焼結体の熱伝導率は10〜70
W/mKと低い。
【0003】以下に、従来手法により得られた窒化ケイ
素焼結体の熱伝導率を例示する。 例1)Am. Ceram. Soc. Bull., vol. 57, No. 12, pp11
19-1122 (1978). α−窒化ケイ素粉末に15.4mol%のMgOを添加
し、20MPaの圧力下、1750℃で30分ホットプ
レス焼結して得られた焼結体の熱伝導率は55W/mK
である。α−窒化ケイ素粉末に31mol%のAl2
3 を添加し、20MPaの圧力下、1750℃で30分
ホットプレス焼結して得られた焼結体の熱伝導率は10
W/mKである。 例2)日本セラミックス協会学術論文誌,97〔2〕,
pp174-81 (1989). α−窒化ケイ素粉末に6mol%のY2 3 を添加し、
60MPaの圧力下、1850℃で1時間HIP焼結し
て得られた焼結体の熱伝導率は70W/mKである。 例3)J. Mater. Sci., [3], pp 915-16 (1984). α−窒化ケイ素粉末に5wt%のMgOを添加し、1
4.7MPaの圧力下、1700℃で1時間ホットプレ
ス焼結して得られた焼結体の熱伝導率は56W/mKで
ある。 例4)本発明者らの実験例 α−窒化ケイ素粉末に5wt%のY2 3 と2wt%の
Al2 3 を添加した混合粉末を、金型成形し、更に5
ton/cm2 の圧力でCIP成形後、9気圧の窒素中
1850℃で6時間焼結して得られた焼結体の熱伝導率
は25W/mKである。
【0004】上記のように、従来の手法で得られる窒化
ケイ素焼結体はいずれも熱伝導率が低く、改良すべき余
地があることから、当業界においては高熱伝導特性を有
する新しい焼結体の開発が強く要請されている状況にあ
った。
【0005】また、汎用的な金属材料(鋼、ステンレス
等)を用いた場合、500℃を越える条件下では強度、
耐酸化性、耐食性が著しく低下するため冷却等を行うこ
となしに金属材料の適用は不可能であり、一方100℃
以下で使用されるIC等の放熱基板材料においては絶縁
を必要とするため適用が極めて困難である。更に、窒化
アルミニウム、炭化ケイ素等の高熱伝導性セラミックス
は機械的強度に欠けるため実用化が困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような状況の中
で、本発明者らの一部は、先の出願(特願平7−348
099)において、窒化ケイ素セラミックスを製造する
際に、微少な窒化ケイ素単結晶を添加して焼結すると、
添加した結晶を核として長柱状に窒化ケイ素単結晶が成
長する知見をもとに、核となる窒化ケイ素単結晶を面内
に配向させることで一方向に窒化ケイ素結晶が配向した
組織を持つ窒化ケイ素焼結体を製造することが出来た。
先の出願によって製造された窒化ケイ素焼結体は、窒化
ケイ素結晶が一方向に配向することにより熱伝導におい
て抵抗となる結晶粒界が配向方向に対して減少すること
により高熱伝導性が発現する。同時にこのような組織
は、窒化ケイ素セラミックスの強度ならびに靱性を強化
する上でも好ましいものであり、機械的強度と高熱伝導
を同時に獲得することが出来た。
【0007】しかしながら、半導体基板材料等の応用を
考えた場合、先の出願のように窒化ケイ素結晶を基板面
内に配向させた場合、基板厚み方向の熱伝導性は基板面
内のそれに比べて低くなる。したがって、基板上面の回
路素子から発生した熱流を回路素子裏面のヒートシンク
へ逃がすことが困難になるため、本発明者らは、更に検
討を重ねた結果、窒化ケイ素原料粉末と焼結助剤よりな
る混合物に単結晶β−窒化ケイ素柱状粒子を種結晶とし
て0.1〜20vol%添加し、特定方向に種結晶が配
向していない成形体を作製し、この成形体を窒素中で緻
密化と同時にβ窒化ケイ素構造を持つ柱状粒子を種結晶
からエピタキシャルに成長させた窒化ケイ素焼結体を作
製すれば良いとの知見を得た。
【0008】また、窒化ケイ素焼結体の短径が大きいほ
ど、その熱伝導率は大きくなることは公知の事実である
が、その場合、機械的強度が劣化する。本発明者らは、
種結晶を添加した焼結体と種結晶を添加しない焼結体の
熱伝導率を比較した場合、両者の焼結体の短径が同一で
も、種結晶の短径を0.3〜1μm、アスペクト比が3
以下であることを特徴とするより小さい形状の種結晶を
原料粉末に添加し、その種結晶からエピタキシャル成長
させた方が種結晶を添加しない焼結体よりも高熱伝導率
が発現することを見出した。本発明者らは、これらの知
見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明は、特定方向に種結晶が
配向していない成形体、および特定の形状の種結晶を用
いて高熱伝導で機械的強度が高い窒化ケイ素焼結体を簡
便かつ低コストで製造することが可能な高熱伝導性・高
強度窒化ケイ素焼結体の製造方法を提供することを目的
とするものである。また、本発明は、高い熱伝導性と機
械的強度が要求される高温熱機関、高温熱交換器、高温
ヒートパイプ等の高温構造材料や高熱伝導性基板材料と
して好適に使用される窒化ケイ素焼結体およびその製造
方法を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明は、窒化ケイ素原料粉末と焼結助剤よりなる混
合物に単結晶β−窒化ケイ素柱状粒子を種結晶として
0.1〜20vol%添加し、特定方向に種結晶が配向
していない成形体を作製し、この成形体を窒素中で緻密
化と同時にβ窒化ケイ素構造を持つ柱状粒子を種結晶か
らエピタキシャルに成長させたことを特徴とする高熱伝
導・高強度窒化ケイ素焼結体の製造方法、種結晶の短径
が0.3〜1μm、アスペクト比が3以下であることを
特徴とする前記の高熱伝導・高強度窒化ケイ素焼結体の
製造方法、に係るものである。また、本発明は、前記の
方法により得られる窒化ケイ素焼結体であって、熱伝導
率が90W/mK以上であり、JIS−R1601で制
定される4点曲げ法で測定した曲げ強度が800MPa
以上であることを特徴とする高熱伝導・高強度窒化ケイ
素焼結体、前記の方法により得られる窒化ケイ素焼結体
であって、焼結体の切断面の観察において、β−窒化ケ
イ素粒のうち短径2μm以下を持つものの割合が60面
積%以上であることを特徴とする高熱伝導・高強度窒化
ケイ素焼結体、に係るものである。
【0011】
【発明の実施の形態】次に、本発明について更に詳細に
説明する。本発明により窒化ケイ素焼結体を作製するに
は、まず、窒化ケイ素原料粉末に所定量の焼結助剤を添
加する。窒化ケイ素原料は、α型、β型いずれの結晶系
のものを用いても良いが、平均粒径1μm以下の微粉末
を用いることが望ましい。焼結助剤としては、MgO、
CaO、Y2 3 、Yb2 3 、HfO2 、Sc
23 、CeO2 、ZrO2 、SiO2 等、一般に用い
られるものが使用される。ただし、最も一般的に用いら
れるAl2 3 あるいはAlNは、焼結時に窒化ケイ素
中に固溶し、熱伝導率を著しく低下させるので使用を避
ける方が良い。これら焼結助剤の組み合わせ、添加量
は、緻密化の方法(ガス圧焼結、ホットプレス、熱間加
圧焼結(HIP))により異なるが、これら焼結助剤は
低熱伝導の第二相として試料中に残存することから、緻
密化が可能な最少量に留めることが望ましい。また、焼
結中に窒化ケイ素を柱状に異方粒成長させるために、焼
結助剤としてはY2 3 、Yb2 3 等の希土類酸化物
を含むことが望ましい。
【0012】また、これらの原料の混合に当たっては、
粉体の混合あるいは混練に用いられる通常の機械を使用
することができる。この混合は、湿式、乾式のどちらで
も良いが、望ましくは湿式において混合される。湿式混
合においては、水、メタノール、エタノール、トルエン
などの溶剤が用いられるが、窒化ケイ素の酸化を抑える
ために有機溶媒を用いることが望ましい。有機溶剤を用
いた場合はカチオン性セルロースなどの分散剤を用いる
ことにより効果的に混合を行うことができる。
【0013】次に、この様にして得られた混合粉末に種
結晶として単結晶β−窒化ケイ素柱状粒子を0.1〜2
0Vol%添加する。添加量が0.1Vol%以下で
は、焼結体中に十分な柱状粒子群を導入することができ
ない。一方、20Vol%以上においては、添加した種
結晶が焼結を阻害し、緻密な焼結体が得られないので、
種結晶の添加量は0.1〜20Vol%とした。また、
種結晶の形状は短径が0.3〜1μm、アスペクト比が
3以下であることが望ましい。種結晶の短径が0.3μ
mより小さいと、焼結中に溶解する可能性があり成長核
となりにくく、また1μmより大きいと、添加した種結
晶が焼結を阻害し、緻密な焼結体が得られない。一方、
アスペクト比が3以上の場合は、押出し成形法やドクタ
ーブレード成形法において、種結晶が成形方向に配向
し、基板厚み方向に種結晶を配向させることができな
い。
【0014】種結晶として用いる単結晶β−窒化ケイ素
柱状粒子は、市販のβ−窒化ケイ素ウィスカーを用いる
こともできるが、大きさが均一でなく、また格子欠陥、
不純物を多く含むために、例えば、日本セラミックス協
会学術論文誌,101
〔9〕,1077−80(199
3)に報告した手法等により作製された高純度でかつ、
大きさの揃った単結晶β−窒化ケイ素柱状粒子を用いる
ことが望ましい。種結晶の原料粉末への添加において
は、窒化ケイ素原料と焼結助剤を前記湿式混合により十
分混合して得られたスラリー中へ、超音波分散、あるい
は樹脂ポットと樹脂コートボールを用いたポット混合等
の手法により、種結晶を破壊しない様に行うことが重要
である。次に、上述のようにして得られた混合スラリー
は、真空エバポレーター等を用いて溶媒を除去し、更に
真空乾燥等を施した後、所定メッシュのふるいを通過さ
せ、焼結用混合粉末とし、押出し成形法やドクターブレ
ード法などの成形法を用いて特定方向に種結晶が配合し
ていない成形体を作製する。
【0015】次に、前記成形体は、ホットプレス手法な
どにより緻密化した後、1700〜2000℃の温度、
1〜200気圧の窒素中で加熱処理を行い、種結晶を核
として粗大柱状粒子を成長させる。この際、ホットプレ
ス処理時の圧力、温度、時間条件は試料が相対密度97
%以上に緻密化するように選定される。ホットプレス処
理は、窒素雰囲気中1800〜1900℃の温度、20
〜40MPaの圧力下で行うことが望ましい。また、助
剤系を選択することにより窒素中での加熱だけで緻密化
が可能な場合はホットプレス処理は省略することが可能
である。更に、熱処理においては、種結晶からβ−窒化
ケイ素柱状粒子を十分に発達させることが重要である。
このようにして得られた本発明の窒化ケイ素焼結体は、
種結晶を核としてエピタキシャルに成長した粗大なβ−
窒化ケイ素柱状粒子が微小粒子中にランダムに配向した
微構造を有する。
【0016】上記のように、本発明者らは、窒化ケイ素
セラミックスを製造する際に、小さい形状の種結晶を原
料粉末に添加し、特定方向に種結晶が配向していない成
形体を作製し、その成形体を種結晶からエピタキシャル
に成長させると、高熱伝導性で機械的強度が高い窒化ケ
イ素焼結体を製造することができた。本法によって製造
された窒化ケイ素焼結体は、窒化ケイ素結晶が種結晶か
ら粒成長した粗大柱状粒子を含有することにより、高熱
伝導性が発現する。同時にこのような組織は、窒化ケイ
素セラミックスの強度ならびに靱性を強化する上でも好
ましいものであり、機械的強度と高熱伝導性を同時に獲
得することができた。
【0017】上記のように、窒化ケイ素原料粉末に液相
焼結を促進する焼結助剤および小さい形状の種結晶を加
えた混合粉末から、特定方向に種結晶が配向していない
成形体を作製し、この成形体を窒素中で緻密化と同時に
β窒化ケイ素構造を持つ柱状粒子を種結晶からエピタキ
シャルに成長させることにより、高熱伝導性で機械的強
度が高い窒化ケイ素セラミックスが得られる発見をもと
に、本発明はなされた。本発明方法により得られる窒化
ケイ素セラミックスは、基板厚み方向及び長さ方向に対
して90W/mK以上の高い熱伝導性と800MPa以
上の曲げ強度を示し、高い熱伝導性と機械的な強度が要
求される高温熱機関、高温熱交換器、高温ヒートパイプ
等の高温構造材料や高熱伝導性基板として好適である。
【0018】
【実施例】次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説
明するが、本発明は当該実施例によって何ら限定される
ものではない。 実施例1〜2 (1)単結晶β−窒化ケイ素柱状粒子の作製 10m2 の比表面積を持つα−窒化ケイ素原料粉末30
gに0.447gの酸化イッテルビウムおよび2.57
9gの酸化ケイ素を添加し、メタノールを分散媒とし窒
化ケイ素製ボールとポットを用い、遊星ミルを用いて混
合を行った。(組成A)真空エバポレータを用いてメタ
ノールを除去し、更に、120℃で真空乾燥後、60メ
ッシュのふるいを通過させ、種結晶作製用配合物を得
た。窒化ケイ素ルツボに配合物を入れ、5気圧窒素中1
850℃で2時間加熱を行い、得られた凝集塊を再び6
0メッシュの大きさまで解砕した。
【0019】このようにして得られた粉末をフッ酸・硝
酸混合水溶液(フッ酸:硝酸:水=45:5:50体積
%)、硫酸、希フッ酸、アンモニア水で順次処理を行
い、ガラス相成分である酸化イッテルビウム、酸化イッ
トリウムおよび酸化ケイ素を除去し、単結晶β−窒化ケ
イ素柱状粒子を得た。組成Aからは短径0.4μm、ア
スペクト比2(種結晶SA)の単結晶β−窒化ケイ素柱
状粒子が得られた。この種結晶も酸素含有量0.26%
以下、イッテルビウム含有量1.3ppm以下の極めて
高純度なものであった。
【0020】(2)窒化ケイ素焼結体の作製 α−窒化ケイ素原料粉末(比表面積10m2 /g、平均
粒径0.1μm)に焼結助剤として酸化イットリウムを
5体積%添加し、溶媒としてメタノールを用いて、窒化
ケイ素製ボールとポットを用いて遊星ミルで3時間混合
を行った。得られたスラリーに種結晶を5あるいは10
体積%添加し、窒化ケイ素製ボールとポットを用いてボ
ールミル混合を24時間行った。このようにして得られ
たスラリーを真空エバポレータを用いてメタノールを除
去し、更に120℃で真空乾燥後、60メッシュのふる
いを通過させ、焼結用混合粉末を得た。この混合粉末を
45×50mmのカーボンダイスに入れて、40MPa
の圧力をカーボンダイスの鉛直方向に印加しつつ、9気
圧の窒素雰囲気中1900℃で2時間保持し、5×50
×10mmの直方体のホットプレス焼結体(実施例1、
実施例2)を得た。
【0021】(3)焼結体についての評価試験 続いて、直方体の焼結体を3×4×40mmの試験片に
切断、研削を行った。得られた試験片について、密度測
定、JISR−1601による室温4点曲げ強度測定を
行った。また、試験片を鏡面研磨後、4弗化炭素ガス雰
囲気中において、FR100Wの出力で1分間プラズマ
エッチング処理を施した後、SEMにより研磨面上の
0.25mm2 の面積の窒化ケイ素粒子の形態を写真に
撮影した。そして、このSEM写真を画像処理装置を用
いて、全ての窒化ケイ素粒子の短径と面積を画像処理よ
り図1に示す要領で測定した。これらの測定されたデー
タを基に短径が2μm以下の持つものの粒子の面積の合
計が観測視野に占める割合を面積率(%)とした。
【0022】次に、直方体の焼結体を直径10mm、厚
さ3mmの円板状の試験片に加工し、レーザーフラッシ
ュ法(JIS−R1611に準拠)により熱拡散率と比
熱を測定した。このうち、熱拡散率の測定では、試料の
表面に黒鉛皮膜を形成した後、室温でレーザーパルスを
照射して、反対面の温度変化を赤外線温度検出器で測定
し、対数法により熱拡散率αを求めた。窒化ケイ素の比
熱cを0.67として、アルキメデス法で求めた密度ρ
より、熱伝導率κを下式に従って算出した。 κ=α×c×ρ これらの結果を表1にまとめて示してある。なお、比較
のため、種結晶を添加しない焼結体を同様に9気圧の窒
素雰囲気中1900℃で2時間保持し、5×50×10
mmの直方体のホットプレス焼結体(比較例1)を得
た。得られた焼結体について評価を行った結果も表1に
合わせて示してある。
【0023】また、比較のため、種結晶を作製する際
に、5m2 の比表面積を持つα−窒化ケイ素原料粉末3
0gに2.418gの酸化イットリウムおよび0.32
2gの酸化ケイ素を添加し、同様に混合を行った(組成
B)以外は、組成Aと同等に作製をし、組成Bからは短
径1.4μm、アスペクト比4(種結晶SB)の、単結
晶β−窒化ケイ素柱状粒子が得られた。この種結晶も酸
素含有量0.26%以下、イットリウム含有量1.3p
pm以下の極めて高純度なものであった。この種結晶S
Bを用いて、種結晶SAと同様の混合方法、焼結方法で
焼結体(比較例2、比較例3)作製を行い、同様に評価
を行った結果も表1に合わせて示してある。
【0024】
【表1】
【0025】表1から明らかなように、本発明により、
強度1000MPa以上、熱伝導率110W/mK以上
の窒化ケイ素焼結体を得ることが出来た。また、本発明
の焼結体は、焼結体の切断面の観察において、β−窒化
ケイ素粒のうち短径2μm以下を持つものの割合が60
面積%以上であった。
【0026】
【発明の効果】本発明によれば、高熱伝導性で機械的強
度が高い窒化ケイ素焼結体を簡便かつ低コストで製造す
ることができる。本発明方法により得られる窒化ケイ素
セラミックスは、1000MPa以上の強度と110W
/mK以上の高い熱伝導率を有しており、高い熱伝導性
と機械的な強度が要求される高温熱機関、高温熱交換
器、高温ヒートパイプ等の高温構造材料や高熱伝導性基
板材料として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の9気圧窒素中1900℃、
2時間保持した試料の組織(研磨・エッチング面)の電
子顕微鏡写真(×3500)を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平尾 喜代司 愛知県名古屋市北区名城2丁目2番地 6 −36号 (72)発明者 渡利 広司 愛知県小牧市城山1丁目5番地の1 サン ハイツF棟306 (72)発明者 マヌエル イー ブリト 愛知県名古屋市千種区北千種3丁目2番地 の4 千種東住宅 17−302号 (72)発明者 神崎 修三 愛知県春日井市藤山台8丁目12番地の4

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒化ケイ素原料粉末と焼結助剤よりなる
    混合物に単結晶β−窒化ケイ素柱状粒子を種結晶として
    0.1〜20vol%添加し、特定方向に種結晶が配向
    していない成形体を作製し、この成形体を窒素中で緻密
    化と同時にβ窒化ケイ素構造を持つ柱状粒子を種結晶か
    らエピタキシャルに成長させたことを特徴とする高熱伝
    導・高強度窒化ケイ素焼結体の製造方法。
  2. 【請求項2】 種結晶の短径が0.3〜1μm、アスペ
    クト比が3以下であることを特徴とする請求項1に記載
    の高熱伝導・高強度窒化ケイ素焼結体の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の方法により得られる窒
    化ケイ素焼結体であって、熱伝導率が90W/mK以上
    であり、JIS−R1601で制定される4点曲げ法で
    測定した曲げ強度が800MPa以上であることを特徴
    とする請求項1に記載の高熱伝導・高強度窒化ケイ素焼
    結体。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の方法により得られる窒
    化ケイ素焼結体であって、焼結体の切断面の観察におい
    て、β−窒化ケイ素粒のうち短径2μm以下を持つもの
    の割合が60面積%以上であることを特徴とする高熱伝
    導・高強度窒化ケイ素焼結体。
JP9238854A 1997-08-20 1997-08-20 高熱伝導・高強度窒化ケイ素焼結体およびその製造方法 Pending JPH1160338A (ja)

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