JPH1160311A - 遠心力成形用セメント組成物およびこれを用いた遠心力成形体 - Google Patents

遠心力成形用セメント組成物およびこれを用いた遠心力成形体

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JPH1160311A
JPH1160311A JP21750997A JP21750997A JPH1160311A JP H1160311 A JPH1160311 A JP H1160311A JP 21750997 A JP21750997 A JP 21750997A JP 21750997 A JP21750997 A JP 21750997A JP H1160311 A JPH1160311 A JP H1160311A
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cement
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克彦 ▲高▼木
Katsuhiko Takagi
Takuji Haraoka
卓司 原岡
正人 ▲高▼木
Masato Takagi
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 セメント組成物のスランプと、得られるコン
クリートまたはモルタルの強度がいずれも低下すること
なく、排出されるノロ量を大幅に低減可能な遠心力成形
用セメント組成物、および該セメント組成物を用いた成
形体の提供。 【解決手段】 下記A成分、B成分、C成分(またはD
成分)からなる混和剤、セメント、水および細骨材、ま
たはさらに加えて粗骨材を含有するセメント組成物であ
って、〔C成分(またはD成分)の量〕/〔A成分の
量〕〔重量比〕=0.001 〜0.5 (または0.002 〜1.0
)、セメント組成物の降伏値=(0.85〜1.15)×(基
準セメント組成物の降伏値)、セメント組成物の塑性粘
度=(1.5 〜5.0)×(基準セメント組成物の塑性粘
度)である遠心力成形用セメント組成物。 A成分:減水剤および/または高性能減水剤、B成分:
増粘剤、C成分:凝結硬化促進剤、D成分:スランプ保
持剤

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンクリートパイ
ル、ポール、鋼管複合杭やヒューム管、鋼管ライニング
など遠心力を利用して成形するコンクリート製品、モル
タル製品の製造に好適に用いられる遠心力成形用セメン
ト組成物、および該遠心力成形用セメント組成物を遠心
力成形して得られる成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来よりコンクリートパイルやポール、
ヒューム管などのコンクリート製品は、遠心力によって
成形・締固めして製造されている(以下これらの製品を
総称して遠心成形品と記す)。遠心成形工程ではコンク
リート中の水が絞り出され緻密な組織が生成するが、こ
の水にはセメントや骨材中の微粉分などが混じってお
り、いわゆるノロとして排出される。すなわちノロと
は、主成分としてセメントを含有する水スラリーであ
る。
【0003】特に、高強度を要求されるパイルなどでは
高性能減水剤を多量に添加するため、ノロの量が多く、
かつ、管内面のモルタル層の締まりが悪くなる。このノ
ロは、強アルカリ性のため、沈降分離・中和処理の後、
固形分は産業廃棄物として処理しなければならない。そ
のため、多額の費用が必要であるばかりでなく、最近で
はノロの廃棄場所の確保も困難になっており、遠心成形
業界にとって大きな問題になっている。
【0004】このため、ノロをコンクリート製品の原料
として再利用する方法が開示されている(特開昭63−28
46号公報参照)。しかし、この方法ではノロの貯槽やノ
ロをリサイクルするための配管などの新規設備投資が必
要なことは自明であり、ごく一部の企業を除いて実用化
されていない。
【0005】そのため、既に開示されているノロ対策は
ノロ発生量の低減策がほとんどである。提案されている
ノロ発生の防止策の原理は、下記(1) 〜(4) の4種に大
別される。 (1) 増粘剤、あるいは保水性のある物質を添加すること
によってペーストの粘性を高め、ノロの排出量を低減す
る。
【0006】(2) 成形中に凝集剤を添加することによっ
て、ノロとして分離する粒子を凝集させ水だけが排出さ
れるようにする。 (3) 凝結硬化促進剤(材)を添加し、ノロの排出を低減
する。 (4) その他 前記した(1) のペーストの増粘効果を利用したものとし
ては、例えば、セルロース系化合物および/またはポリ
アクリルアミド系化合物を添加する方法(特開昭61−20
1649号公報参照)、空気連行剤と微粉シリカおよび粘土
からなる無機微粉末を添加する方法(特開昭63−103850
号公報参照)、スチレン−マレイン酸共重合体の水溶性
塩と高性能減水剤とからなる添加剤を添加する方法(特
開平4−254458号公報参照)、あるいはモンモリロナイ
ト系粘土鉱物に有機酸類やアミン類などを配合した添加
物を添加する方法(特開平6−183799号公報参照)が開
示されている。
【0007】前記した(2) の凝集効果を利用したものと
しては、ポリアクリルアミド系凝集剤とアニオン性界面
活性剤またはノニオン性界面活性剤とを用い特定の泡密
度の気泡を作り、この気泡を成形中に注入する方法(特
開昭63−60141 号公報参照)、分子量が30〜100 万で加
水分解率が5〜35%のポリアクリルアミド部分加水分解
物を成形中に添加する方法(特開平5−306154号公報参
照)などが開示されている。
【0008】前記した(3) の凝結硬化促進剤(材)を利
用したものとしては、高性能減水剤とチオ硫酸塩とから
なる添加物を添加する方法(特開平6−9256号公報参
照)、カリ明バンまたは硫酸アルミニウムなどの金属硫
酸塩を配合する方法(特公平5−17195 号公報参照)な
どが開示されている。前記した(4) のその他の原理を利
用したものとしては、II型無水石膏と減水剤とポリエチ
レングリコールを添加することによって、コンクリート
混練時の水/結合材比を小さくし、ノロの排出量を低減
する方法(特公平7−115910号公報参照)を例示するこ
とができる。
【0009】モルタルまたはコンクリートを製造するに
あたり、排出されるノロ量を低減することに加え、その
流動性(以下、スランプと記す)と強度が所定の値を満
足することが必要条件である。しかしながら、上記の方
法においてはこれら3つの条件を同時に満足するものは
ない。
【0010】また、使用する混和剤(混和材)の必要添
加量が多く、コンクリートが高価になることも問題であ
る。これらのことから、前記した従来技術のノロ低減剤
はほとんど使用されておらず、ノロの大部分は産業廃棄
物として処理されているのが現状である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、セメ
ント組成物のスランプと得られるコンクリートまたはモ
ルタルの強度がいずれも低下することなく、排出される
ノロ量を大幅に低減するという、3つの条件を同時に満
足し、かつ、安価で、工業的に使用可能なコンクリート
またはモルタルの遠心力成形用セメント組成物を提供す
ること、および該遠心力成形用セメント組成物を遠心力
成形した成形体を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】すなわち、第1の発明
は、下記A成分とB成分とC成分とからなる混和剤、セ
メント、水および細骨材、またはさらに加えて粗骨材を
含有するセメント組成物であって、(前記セメント組成
物のC成分の量)/(前記セメント組成物のA成分の
量)〔重量比〕=0.001 〜0.5 、前記セメント組成物の
降伏値=(0.85〜1.15)×(基準セメント組成物の降伏
値)、かつ前記セメント組成物の塑性粘度=(1.5 〜5.
0 )×(基準セメント組成物の塑性粘度)であることを
特徴とする遠心力成形用セメント組成物である。
【0013】記 A成分:減水剤および/または高性能減水剤 B成分:増粘剤 C成分:凝結硬化促進剤 基準セメント組成物:混和剤としてA成分のみを含むセ
メント組成物であって、該セメント組成物におけるセメ
ント、水、細骨材および粗骨材それぞれの配合比並びに
減水率が、前記遠心力成形用セメント組成物のセメン
ト、水、細骨材および粗骨材それぞれの配合比並びに減
水率と等しいセメント組成物。
【0014】前記第1の発明においては、前記C成分
が、ギ酸塩、酢酸塩、ジエタノールアミン、トリエタノ
ールアミン、チオシアン酸塩、塩化カルシウム、塩化ナ
トリウム、塩化カリウム、硝酸カルシウム、硝酸ナトリ
ウム、硝酸カリウム、亜硝酸カルシウム、亜硝酸ナトリ
ウム、亜硝酸カリウム、硫酸カルシウム、硫酸ナトリウ
ム、および硫酸カリウムからなる群より選ばれる1種以
上であることが好ましい。
【0015】第2の発明は、下記A成分とB成分とD成
分とからなる混和剤、セメント、水および細骨材、また
はさらに加えて粗骨材を含有するセメント組成物であっ
て、(前記セメント組成物のD成分の量)/(前記セメ
ント組成物のA成分の量)〔重量比〕=0.002 〜1.0 、
前記セメント組成物の降伏値=(0.85〜1.15)×(基準
セメント組成物の降伏値)、かつ前記セメント組成物の
塑性粘度=(1.5 〜5.0 )×(基準セメント組成物の塑
性粘度)であることを特徴とする遠心力成形用セメント
組成物である。
【0016】 A成分:減水剤および/または高性能減水剤 B成分:増粘剤 D成分:スランプ保持剤 基準セメント組成物:混和剤としてA成分のみを含むセ
メント組成物であって、該セメント組成物におけるセメ
ント、水、細骨材および粗骨材それぞれの配合比並びに
減水率が、前記遠心力成形用セメント組成物のセメン
ト、水、細骨材および粗骨材それぞれの配合比並びに減
水率と等しいセメント組成物。
【0017】前記第2の発明においては、前記D成分
が、高分子有機酸塩、分子量500 〜5000のポリアクリル
酸塩、オキシカルボン酸塩、アミノカルボン酸塩、糖
類、分子量 500〜5000のポリエチレングリコール、ホウ
酸塩、およびケイフッ化物からなる群より選ばれる1種
以上であることが好ましい。また、この場合、前記高分
子有機酸塩がリグニンスルホン酸塩、フミン酸塩および
タンニン酸塩から選ばれる1種以上、前記オキシカルボ
ン酸塩がグルコン酸塩、グルコヘプトン酸塩およびクエ
ン酸塩から選ばれる1種以上、前記アミノカルボン酸塩
がグルタミン酸塩であることが、より好ましい。
【0018】前記第1の発明または第2の発明において
は、前記遠心力成形用セメント組成物が、下記配合比か
ら成る遠心力成形用セメント組成物であることが好まし
い。 A成分/セメント(重量比)=0.001 〜0.012 B成分/セメント(重量比)=25×10-8〜0.05 水/セメント(重量比) =0.25〜0.45 水:120 〜180kg/m3−(コンクリートまたはモルタル) また、前記第1の発明または第2の発明においては、前
記遠心力成形用セメント組成物が、下記配合比から成る
遠心力成形用セメント組成物であることがより好まし
い。
【0019】 A成分/セメント(重量比)=0.001 〜0.012 B成分/セメント(重量比)=25×10-8〜0.05 水/セメント(重量比) =0.25〜0.45 水:120 〜180kg/m3−(コンクリートまたはモルタル) 細骨材率=〔細骨材/(細骨材+粗骨材)〕×100 =30
〜100 体積% 第3の発明は、前記第1の発明または第2の発明の遠心
力成形用セメント組成物を遠心力成形して得られる成形
体である。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の遠心力成形用セメ
ント組成物および該遠心力成形用セメント組成物を用い
た遠心力成形体について詳細に説明する。本発明者ら
は、本発明の目的であるセメント組成物のスランプと得
られるコンクリートまたはモルタルの強度がいずれも低
下することなく、排出されるノロ量を大幅に低減すると
いう、3つの条件を同時に満足するために必要な条件を
種々検討した。
【0021】その結果、下記(1) 〜(3) を見出し、本発
明を完成した。 (1) コンクリートまたはモルタル(以下、コンクリート
類と記す)の強度や耐久性並びにスランプを低下さるこ
となくノロ量を大幅に低減するためには、セメント組成
物の降伏値および塑性粘度を、下記基準セメント組成物
の降伏値および塑性粘度に対し、それぞれ0.85〜1.15
倍、および1.5 〜5.0 倍とすることが必要であること。
【0022】基準セメント組成物:混和剤として減水剤
および/または高性能減水剤のみを含むセメント組成物
であって、セメント、水、細骨材および粗骨材それぞれ
の配合比並びに減水率が前記遠心力成形用セメント組成
物のセメント、水、細骨材および粗骨材それぞれの配合
比並びに減水率と等しいセメント組成物。 (2) セメント組成物の降伏値および塑性粘度を、基準セ
メント組成物のそれらに対し、それぞれ0.85〜1.15倍、
および1.5 〜5.0 倍とするためには、A.減水剤および
/または高性能減水剤(以下、高性能減水剤類と記
す)、B.増粘剤、およびC.凝結硬化促進剤の3者を
含み、かつ、凝結硬化促進剤と高性能減水剤類との重量
比を0.001 〜0.5 とすること。
【0023】あるいは、 (3) セメント組成物の降伏値および塑性粘度を基準セメ
ント組成物のそれらに対し、それぞれ0.85〜1.15倍、お
よび1.5 〜5.0 倍とするためには、A.高性能減水剤
類、B.増粘剤、およびD.スランプ保持剤の3者を含
み、かつ、スランプ保持剤と高性能減水剤類との重量比
を0.002 〜1.0 とすること。
【0024】本発明は、セメント組成物の降伏値および
塑性粘度の測定方法に何ら限定されるものではないが、
本発明者らは、簡便のため、下記式(1) 、(2) で定義さ
れる降伏値および塑性粘度を採用した(参考文献:〔黒
川ら,コンクリート工学年次論文報告集,16(1) ,437
(1994) 〕、〔黒岩ら,コンクリート工学年次論文報告
集,18(1) ,437(1996) 〕、〔谷川ら,日本建築学会東
海支部研究報告 1993 年2月, p.9 〕)。
【0025】
【数1】
【0026】ここで、 ρ :セメント組成物の密度 [kg/m3] G :重力加速度 [m/s2] V :スランプコーンの容積 [m3] Sf :スランプフロー [cm] a :スランプコーンをロートとして利用した場合 a=9.59×10-3 [m2/s2] β :栓流パラメータ、 β=1−〔( 4τy ) /(3τR )〕+〔(τy
τR 4 /3〕 τR :ロート内でセメント組成物が閉塞する限界条件
[Pa] スランプコーンをロートとして利用した場合、 τR /ρ=0.376 [m2/s2] t :セメント組成物がロートを流下する時間 [s] 流下時間tの測定には上下逆にしたスランプコーンを利
用した。
【0027】セメント組成物は非ニュートン流体である
ため、測定方法や測定条件によって降伏値および塑性粘
度の絶対値は変動する。したがって、それらの相対値を
本発明の必須構成要素とすることが妥当である。ここ
で、基準セメント組成物の降伏値および塑性粘度に対す
る本発明の遠心力成形用セメント組成物の降伏値および
塑性粘度の相対値(以下、比降伏値、および比塑性粘度
と記す)は、下記式(3) 、(4) で定義される。
【0028】 比降伏値R(τy )=(τy 1 /(τy 0 ・・・(3) ここで、(τy 1 :本発明の遠心力成形用セメント組
成物の降伏値 (τy 0 :基準セメント組成物の降伏値 比塑性粘度R(η)=(η)1 /(η)0 ・・・・・(4) ここで、(η)1 :本発明の遠心力成形用セメント組成
物の塑性粘度 (η)0 :基準セメント組成物の塑性粘度 したがって、本発明の必須構成要素である「前記セメン
ト組成物の降伏値=(0.85〜1.15)×(基準セメント組
成物の降伏値)、かつ前記セメント組成物の塑性粘度=
(1.5 〜5.0 )×(基準セメント組成物の塑性粘度)」
とは、比降伏値R(τy )を0.85〜1.15とし、かつ、比
塑性粘度R(η)を1.5 〜5.0 とすることを意味する。
【0029】すなわち、本発明のセメント組成物の降伏
値および塑性粘度は、基準セメント組成物のそれらに対
して、それぞれ0.85〜1.15倍、および1.5 〜5.0 倍とす
ることが必要であり、それぞれ0.90〜1.10倍、および1.
6 〜4.0 倍であると、特に好ましい。比降伏値が0.85未
満ではセメント組成物のスランプが過大であり、ノロ量
が増加するため、好ましくない。
【0030】比降伏値が1.15を超えるとノロ量は低下す
るが、セメント組成物のスランプが過小になるため、作
業性が低下すると共に、製品の強度が低下することもあ
り、好ましくない。また、比塑性粘度が1.5 未満ではノ
ロ量の低下割合が不十分であり、好ましくない。
【0031】比塑性粘度が5.0 を超えると非常に高粘性
のセメント組成物になるため、作業性が著しく低下する
と共に、成形不良を起こし易く、好ましくない。次に、
本発明の遠心力成形用セメント組成物を構成する各成分
について説明する。 (A成分:)A成分としては、減水剤、高性能減水剤と
して一般に用いられているものを使用することができ
る。
【0032】すなわち、例えば、ナフタレンスルホン酸
ホルマリン縮合物の水溶性塩、アルキルアリルスルホン
酸塩ホルマリン縮合物、オレフィン−不飽和ジルカルボ
ン酸共重合体の水溶性塩、リグニンスルホン酸塩、リグ
ニンスルホン酸とナフタレンスルホン酸のホルマリン共
縮合物の水溶性塩、クレオソート油のスルホン化物のホ
ルマリン共縮合物水溶性塩、メラミンスルホン酸ホルマ
リン縮合物の水溶性塩などを例示することができる。
【0033】また、これらの化合物にポリオキシエチレ
ン鎖などの側鎖を付加したものや、これらの化合物どう
しを架橋したものなども用いることができる。塩として
は、水溶性のアルカリ金属塩であればよいが、Na塩が最
も一般的に用いられる。より具体的には、ナフタレンス
ルホン酸ホルマリン縮合物系の「KFLOW S-110」(:商
品名、川崎製鉄(株)社製)、リグニンスルホン酸系の
「サンフローK」(:商品名、サンフロー(株)社
製)、ポリカルボン酸基含有主鎖にポリオキシエチレン
側鎖を付加した「マイティ3000」(:商品名、花王
(株)社製)、メラミンスルホン酸ホルマリン縮合物系
の「シーカメントFF」(:商品名、日本シーカ(株)
社製)などを例示することができる。
【0034】A成分は、セメント100 重量部に対して0.
1 〜1.2 重量部添加されていることが好ましく、0.2 〜
1.0 重量部であると特に好ましい。0.1 重量部未満では
セメント粒子の分散が不十分であるため、ノロ発生量は
少なくなるが、製品の強度が低下するため好ましくな
い。1.2 重量部を超えると減水率は高いが、コンクリー
トが餅状になり、著しく作業性が低下するので好ましく
ない。また、ノロ発生量も増大する。
【0035】(B成分:)B成分としては、増粘剤、す
なわち、コンクリートの塑性粘性を増大させることので
きる物質を用いればよい。その増粘機構としては、水溶
性の高分子鎖が絡み合うことによる、コンクリートまた
はモルタルに含有される自由水の増粘のほかに、微粒子
などによる自由水の束縛(すなわち保水作用による粘性
の増大)並びに有機高分子などによるセメントなどの微
粒子の部分架橋による粘性の増大(すなわち構造粘性の
増大)およびこれら各機構の複合効果による粘性の増大
を含む。
【0036】したがって、当該技術分野で用いられる解
説書など(例えば「コンクリート混和剤の開発と最新技
術」シーエムシー、など)で増粘剤と分類されている物
質のほかに、分離低減剤として分類されている物質も本
発明のB成分として用いることができる。具体的には、
有機高分子としてはポリアクリルアミドなどのアクリル
酸系水溶性高分子、オレフィンと不飽和カルボン酸の共
重合体の金属塩、セルロースエーテルおよびその誘導
体、アクリル酸基含有エマルジョンなどのアルカリ増粘
性ポリマーエマルジョン、ポリエチレンオキサイドなど
のポリエーテルおよびその誘導体、ポリビニルアルコー
ルおよびその誘導体、β-1,3- グルカンや水溶性ポリサ
ッカライドなどの多糖類、ポリアクリル酸などの水溶性
高分子を架橋などの方法によって不溶化した高吸水ゲル
などを挙げることができる。
【0037】また、無機化合物としては、微粉シリカや
軽質炭酸カルシウムなどの微粒子、モンモリロナイトな
どの粘土鉱物などを挙げることができる。これらの増粘
剤の中でも、ポリエーテル系に属するグリコール系合成
高分子、例えば「CAD3200」(:商品名、花王(株)
社製)などのようにセメントへの吸着力の弱い増粘剤
や、セメント粒子間の摩擦を減少させる作用を有するセ
ルロースエーテル系分離低減剤は、セメント組成物の比
降伏値の増加率は小さいにもかかわらず、比塑性粘度の
増加率が大きいため、特に好適である。
【0038】また、微粉シリカや軽質炭酸カルシウムな
どの微粒子の形状は球形に近いもの程、比降伏値の増加
率が小さいので、特に好適である。B成分として有機高
分子を用いる場合の好適な平均分子量は、用いる高分子
の種類によって著しく異なるので、一律に規定すること
はできない。例えば、オレフィンと不飽和カルボン酸の
共重合体の金属塩をB成分として用いる場合は、重量平
均分子量が10000 〜5000000 であることが好ましく、20
000〜2000000 であることが特に好ましい。
【0039】また、ポリエチレングリコールをB成分と
して用いる場合は、重量平均分子量が1000〜100000であ
ることが好ましく、2000〜50000 であることが特に好ま
しい。さらに、β-1,3- グルカンをB成分として用いる
場合は、重量平均分子量が5000〜500000であることが好
ましく、10000 〜200000であることが特に好ましい。
【0040】B成分の平均分子量の好適範囲は用いる高
分子の種類によって異なるが、いずれの場合も、平均分
子量が好適範囲の下限未満では比塑性粘度の増加率が小
さいため、ノロ低減に対するB成分の効果が不十分であ
り、平均分子量が好適範囲の上限を超えると比塑性粘度
の増加率が過大になるため、コンクリートの流動性が低
下するばかりでなく、成形不良を起こすこともあり、好
ましくない。
【0041】B成分として微粉シリカや軽質炭酸カルシ
ウムなどの微粒子を用いる場合は、その平均粒径が0.01
〜50μmであることが好ましく、0.1 〜30μmであるこ
とが特に好ましい。平均粒径が0.01μm未満では、A成
分である高性能減水剤類のB成分への吸着量が多くなる
ため、コンクリートの流動性が不足し、50μmを超える
とノロ低減に対するB成分の効果が不十分になるため、
好ましくない。
【0042】B成分の添加量は、用いるB成分の種類に
よって異なるので、一律に規定することはできないが、
B成分/セメント(重量比)=25×10-8〜0.05であるこ
とが好ましい。例えば、オレフィンと不飽和カルボン酸
の共重合体の金属塩をB成分として用いる場合は、セメ
ント100 重量部に対して25×10-6〜0.06重量部添加され
ていることが好ましく、50×10-6〜0.05重量部であると
特に好ましい。
【0043】また、ポリエチレングリコールをB成分と
して用いる場合は、セメント100 重量部に対して1×10
-4〜0.1 重量部添加されていることが好ましく、5×10
-4〜0.08重量部であると特に好ましい。また、β-1,3-
グルカンをB成分として用いる場合は、セメント100 重
量部に対して1×10-3〜1.5 重量部添加されていること
が好ましく、5×10-3〜1重量部であると特に好まし
い。
【0044】さらに、無機微粒子として軽質炭酸カルシ
ウムをB成分に用いる場合は、セメント100 重量部に対
して0.01〜5重量部添加されていることが好ましく、0.
03〜3重量部であると特に好ましい。B成分添加量の好
適範囲は、用いるB成分の種類によって異なるが、いず
れの場合も、添加量が好適範囲の下限未満では比塑性粘
度の増加率が小さいため、ノロ低減効果が不十分であ
り、添加量が好適範囲の上限を超えると比塑性粘度の増
加率が過大になるため、コンクリートの流動性が低下す
るので好ましくない。また、製品の強度も低下すること
があるため、好ましくない。
【0045】(C成分:)第1の発明においては、C成
分として凝結硬化促進剤を用いる。C成分としての凝結
硬化促進剤の役割は、コンクリートを型枠に打設した後
のスランプを低下させることによって、打設後のコンク
リートの比塑性粘度を増加させることにある。
【0046】型枠に打設するまでの時間は、作業工程な
どによっても変化するので一律に規定できないが、概ね
コンクリートの練り上げ後から10〜30分程度後である。
C成分として用いられる凝結硬化促進剤としては、コン
クリートを型枠に打設した後のスランプを低下できる混
和剤であればよいが、ギ酸塩、酢酸塩、ジエタノールア
ミン、トリエタノールアミン、チオシアン酸塩、塩化カ
ルシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硝酸カルシ
ウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、亜硝酸カルシウ
ム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、硫酸カルシウ
ム、硫酸ナトリウム、および硫酸カリウムからなる群よ
り選ばれる1種以上であることが好ましい。
【0047】このなかでも、ギ酸塩、ジエタノールアミ
ン、トリエタノールアミン、チオシアン酸塩、硝酸カル
シウム、硝酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸ナトリ
ウムが、鉄筋の防錆に有効で、かつ安価であるため、特
に好ましい。なお、前記ギ酸塩、酢酸塩、チオシアン酸
塩における塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類
金属塩、アンモニウム塩を用いることが好ましい。
【0048】C成分は、C成分とA成分との重量比が0.
001 〜0.5 となるように添加することが必要であり、重
量比が0.002 〜0.4 であると特に好ましい。C成分とA
成分との重量比が0.001 未満では、比塑性粘度の増加率
が不十分なため、ノロ低減効果が低くなり、好ましくな
い。また、C成分とA成分との重量比が0.5 を超える
と、比塑性粘度の増加率が過大になるため、成形不良を
起こすことがあり、好ましくない。
【0049】(D成分:)第2の発明においては、D成
分としてスランプ保持剤を用いる。D成分としてのスラ
ンプ保持剤の役割は、コンクリートを型枠に打設するま
でのスランプの低下を防止することによって、打設後の
コンクリートの比塑性粘度を増加させることにある。
【0050】D成分として用いられるスランプ保持剤と
しては、コンクリートを型枠に打設するまでのスランプ
の低下を防止できる混和剤であればよい。したがって、
本技術分野で遅延剤として用いられている混和剤も、遅
延剤として使用する場合よりも少量の添加量とすること
で本発明のD成分とすることができる。
【0051】具体的には、リグニンスルホン酸塩、フミ
ン酸塩、タンニン酸塩などの高分子有機酸塩、分子量50
0 〜5000のポリアクリル酸塩、グルコン酸塩、グルコヘ
プトン酸塩、クエン酸塩などのオキシカルボン酸塩、グ
ルタミン酸塩などのアミノカルボン酸塩、糖類、分子量
500 〜5000のポリエチレングリコール、ホウ酸塩、ケイ
フッ化物が好適であり、このなかでもリグニンスルホン
酸塩やフミン酸塩などの高分子有機酸塩、分子量500 〜
5000のポリアクリル酸塩、グルコン酸塩などのオキシカ
ルボン酸塩、分子量500 〜5000のポリエチレングリコー
ルは少量の添加量でよく、かつ、水溶性であるため特に
好ましい。
【0052】上記D成分における塩としては、アルカリ
金属塩、アルカリ土類金属塩が好ましく用いられる。な
お、ポリアクリル酸塩やポリエチレングリコールの分子
量が500 より小さいとスランプ保持効果が低く、型枠へ
の打設が困難になり、分子量が5000を超えるとノロが増
加するため、好ましくない。
【0053】D成分は、D成分とA成分との重量比を0.
002 〜1.0 となるように添加することが必要であり、重
量比が0.003 〜0.9 であると特に好ましい。D成分とA
成分との重量比が0.002 未満では、比降伏値が高くな
り、成形不良を起こすことがあり、好ましくない。ま
た、D成分とA成分との重量比が1.0 を超えると、比塑
性粘度の増加率が不十分となるため、ノロ低減効果が低
くなり、好ましくない。
【0054】(セメントおよび他の配合物:)セメント
としては、普通ポルトランドセメントのほかに、高炉セ
メント、フライアッシュセメント、早強セメント、粒度
調整セメントなどのセメント類が用いられる。また、セ
メントの他に各種の混和材、例えば高強度混和材、フラ
イアッシュ、シリカフューム、高炉スラグ、膨張材など
を含む結合材も本発明で用いることができる。
【0055】なお、何ら限定的ではないが、微粉末の混
和材や結合材を添加することによって、より少ないB成
分添加量で比塑性粘度を1.5 〜5.0 とすることができ、
経済的である。このような微粉末の混和材や結合材とし
ては、シリカフューム、高炉スラグ微粉末、石灰石粉、
フライアッシュを分級などの方法で微粒分だけを捕集し
たフライアッシュ系微粉末、もみ殻灰、地盤改良などの
注入用に用いられる微粒子セメント(平均粒径10μm 程
度)や超微粒子セメント(平均粒径4μm 程度)などを
例示することができる。
【0056】これら微粉末の混和材や結合材の好適配合
量は、用いる微粉末の平均粒径、粒度分布、粒子形状な
どによって著しく異なるので、一律に規定することはで
きない。例えば、超微粉であるシリカフュームを用いる
場合は、セメント重量の0.01〜10重量%、より好ましく
は 0.1〜5重量%をシリカフュームで置換するのが良
く、ブレーン比表面積8000cm2/g の高炉スラグ微粉末を
用いる場合は、セメント重量の0.1 〜30重量%、より好
ましくは1〜20重量%を高炉スラグ微粉末で置換するの
が良く、平均粒径4μm の超微粒子セメントを用いる場
合は、セメント重量の1〜40重量%、より好ましくは5
〜35重量%を超微粒子セメントで置換するのが良い。
【0057】これら微粉末の好適配合量は用いる微粉末
の種類によって異なるが、何れの場合も、微粉末配合量
が好適範囲の下限未満ではB成分添加量の低減割合が低
く、経済的ではないため、好ましくない。また、微粉末
配合量が好適範囲の上限を超えると、比塑性粘度の増加
率は高いが、コンクリートが高価になるため、好ましく
ない。
【0058】本発明は、セメント類と上記A、B、C各
成分またはA、B、D各成分を特定範囲の添加量となる
よう混練したものであるが、好ましくは、この他に骨材
も混合される。骨材としては、本技術分野で通常用いら
れる細骨材(:例えば砂)、粗骨材(:例えば砂利)を
使用すればよい。
【0059】なお、何ら限定的ではないが、付着ペース
ト量が多い骨材を用いることによって、より少ないB成
分添加量で比塑性粘度を1.5 〜5.0 とすることができ、
経済的である。このような骨材としては、自然破砕面や
切断面のように表面に凹凸や空隙が多い粗骨材、石灰岩
のようにペースト付着強度の高い粗骨材、表面を親水処
理することなどにより骨材とペースト間の界面張力を小
さくした粗骨材、あるいは比表面積の大きい骨材と形状
が球形に近い骨材とを混合してコンクリート用粗骨材の
基準に適合させた混合粗骨材などを例示することができ
る。
【0060】上記粗骨材の付着ペースト量は、一般の粗
骨材を用いた場合の1〜500 重量%増、より好ましくは
5〜400 重量%増であることが良い。1重量%増未満で
はB成分添加量の低減割合が低く、経済的でないため、
好ましくない。また、500 重量%増を超えると比塑性粘
度の増加率が過大になるため、コンクリートの流動性が
低下するばかりでなく、成形不良を起こすこともあり、
好ましくない。
【0061】本発明において、コンクリートあるいはモ
ルタルの配合は目的により異なり、通常用いられる配合
でよく、何ら限定されない。例えば、パイルの場合、セ
メント:水:細骨材:粗骨材= 450〜 500: 145〜15
5:650 〜750 :1100[kg/m3−コンクリート] であり、
ポールの場合、セメント:水:細骨材:粗骨材=350 〜
450: 145〜 155:700 〜800 :1100[kg/m3−コンクリ
ート] である。
【0062】本発明のセメント組成物は、他の混和剤、
例えばAE剤、AE減水剤、起泡剤、遅延剤、硬化促進
剤、膨張剤、消泡剤、分散剤、界面活性剤などとの併用
も可能である。 (遠心力成形:)次に、本発明の遠心力成形用セメント
組成物を用いるコンクリートの遠心力成形体の製造方法
について説明する。
【0063】遠心力成形体で使用されるセメント組成物
の物性や遠心力成形条件は、遠心力成形業者によって種
々異なるので、本発明のセメント組成物中の上記A、
B、C各成分またはA、B、D各成分の添加量やB成分
の分子量などは、使用されるコンクリートの物性や遠心
力成形条件によって本発明のセメント組成物の好適範囲
の中から最適な添加量や分子量などを選択することがで
きる。
【0064】上記A、B、C各成分またはA、B、D各
成分の添加方法や混練方法は、本技術分野で通常行われ
ている方法で行えばよいが、各成分を混練水に予め溶解
させた後、コンクリートを製造する方法が最も一般的で
ある。また、上記A、B、C各成分またはA、B、D各
成分に予め水を加えて溶解あるいは分散させた混和剤を
調製し、これを混練水に添加することも可能である。
【0065】混練されたコンクリートは型枠に投入さ
れ、遠心力によって締固められる。遠心力成形条件は、
通常行われている条件でよく、例えばポールやパイルで
あれば低速2〜5Gで2〜5分間、次いで中速5〜15G
で2〜6分間、最後に高速15〜35Gで4〜10分間回転さ
せることにより行う。なお、高速の成形条件を通常より
も2〜10G低く設定しても本発明の成形体は強度が低下
しない。
【0066】したがって、成形時の遠心力を低くするこ
とは、発生するノロ量をさらに低減できると共に成形中
の騒音を低くできるので、好適である。遠心力成形後の
コンクリートは、水中養生、蒸気養生、オートクレーブ
養生などの通常の方法で養生されて製品となる。
【0067】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明
するが、本発明はこれら実施例に記載された特定の詳細
事項に限定されるものではない。 (実施例1〜10)、(比較例1〜3)下記各配合量の5
成分および表2に示すA,B,C,D成分を、表1に示
す組成で配合、混練し、セメント組成物を得た。
【0068】普通セメント(三菱マテリアル(株)社
製):337kg/m3−コンクリート 珪石粉(日本セメント(株)社製) : 92kg/m3
−コンクリート 水道水 :159kg/m3−コンクリート 山砂(市原産):714kg/m3−コンクリート 石灰石砕石(津久見産):1061kg/m3 −コンクリート 混練後、直ちにJIS A 1101、並びにJIS A 1128に準じ
て、スランプおよびスランプフロー、並びに空気量を測
定した。
【0069】なお、本実施例1〜10、比較例1〜3にお
けるセメント組成物の下記式(5) で示される減水率は全
て17.5%であった。 減水率={〔(A成分を配合しないセメント組成物中の水分量)−(A成分を 配合したセメント組成物中の水分量)〕/〔A成分を配合しないセメント組成物 中の水分量〕}×100(%) … (5) 次に、スランプコーンを上下逆にしてロートとし、これ
にセメント組成物を充填し、セメント組成物がロートか
ら流下する時間を測定した。
【0070】表1中でA成分の添加量は0.45〜0.51重量
部と狭い範囲であるが、これは骨材やコンクリート配合
を変えずに、混和剤添加量だけでスランプを一定とした
ためである。工業的には骨材、コンクリート配合、スラ
ンプは条件によって種々変わるため、それに応じてA成
分添加量の最適値も本発明の特定範囲の中で種々の値と
なる。
【0071】なお、混和剤は練り混ぜ水に溶解、あるい
は分散させて用いた。空気量の目標値は1.5 %とした
が、比較例1〜2ではB成分に空気連行性が認められた
ので、消泡剤によって空気量を調節した。最後に、JIS
A 1136に準じて外径20cm×高さ30cmの型枠を用い、コン
クリートの厚さ4cmの遠心成形供試体を作製した。
【0072】遠心力成形は、低速1Gで6分間、次いで
中速6Gで4分間、中速15Gで3分間、最後に高速35G
で3分間回転させることにより行った。また、得られた
成形体の圧縮強度を、標準養生材齢28日で測定した。A
成分のみで製造した比較例3が、本実施例における基準
セメント組成物に相当する。
【0073】比較例3で測定された降伏値および塑性粘
度を基準とし、前記した式(3) 、式(4) にしたがって実
施例1〜10、並びに比較例1〜2の比降伏値および比塑
性粘度を求めた。また、比較例3で測定されたノロ発生
量並びに成形体の圧縮強度を基準とし、下記式(6) 、
(7) で定義される比ノロ発生率、並びに比強度によっ
て、実施例1〜10並びに比較例1〜2で測定されたノロ
発生率並びに遠心成形供試体の圧縮強度を比較した。
【0074】 比ノロ発生率=〔(ノロ発生量)/(比較例3のノロ発生量)〕×100 … (6) 比強度=〔(圧縮強度)/(比較例3の圧縮強度)〕×100 … (7) 実施例1〜10並びに比較例1〜2で測定された比降伏値
とスランプの関係を図1に示し、同じく比塑性粘度と比
ノロ発生率並びに比強度との関係を図2に示す。
【0075】図1および図2に示されるように、比降伏
値と比塑性粘度を本発明の範囲内とすることで、スラン
プ並びに比強度は基準セメント組成物、基準コンクリー
トの値(19.5cm並びに100)と誤差範囲内で一致するのに
対し、比ノロ発生率は50以下となり、大幅なノロ低減が
可能となった。比較例1〜2では、スランプと強度が低
下することなく、排出されるノロ量を大幅に低減すると
いう本発明の目的を達成できないことが明らかである。
【0076】
【表1】
【0077】
【表2】
【0078】
【表3】
【0079】
【表4】
【0080】
【発明の効果】本発明のセメント組成物はセメント組成
物、コンクリート、モルタルのスランプ、強度を低下さ
せることなく、高いノロ低減効果を示し、かつ、安価で
ある。ノロ処理費用は年々増加する傾向にあるため、本
発明のセメント組成物を用いると、ノロ処理費用を大幅
に軽減することが可能である。
【0081】さらに、産業廃棄物であるノロの発生量が
大幅に減少することから、地球環境の保護に役立つの
で、本発明の工業的価値は非常に大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例並びに比較例で測定された比降伏値とス
ランプの関係を示すグラフである。
【図2】実施例並びに比較例で測定された比塑性粘度と
比ノロ発生率並びに比強度との関係を示すグラフであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C04B 24:12) 103:14 103:32 103:44

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記A成分とB成分とC成分とからなる
    混和剤、セメント、水および細骨材、またはさらに加え
    て粗骨材を含有するセメント組成物であって、(前記セ
    メント組成物のC成分の量)/(前記セメント組成物の
    A成分の量)〔重量比〕=0.001 〜0.5 、前記セメント
    組成物の降伏値=(0.85〜1.15)×(基準セメント組成
    物の降伏値)、かつ前記セメント組成物の塑性粘度=
    (1.5 〜5.0 )×(基準セメント組成物の塑性粘度)で
    あることを特徴とする遠心力成形用セメント組成物。 記 A成分:減水剤および/または高性能減水剤 B成分:増粘剤 C成分:凝結硬化促進剤 基準セメント組成物:混和剤としてA成分のみを含むセ
    メント組成物であって、該セメント組成物におけるセメ
    ント、水、細骨材および粗骨材それぞれの配合比並びに
    減水率が、前記遠心力成形用セメント組成物のセメン
    ト、水、細骨材および粗骨材それぞれの配合比並びに減
    水率と等しいセメント組成物。
  2. 【請求項2】 前記C成分が、ギ酸塩、酢酸塩、ジエタ
    ノールアミン、トリエタノールアミン、チオシアン酸
    塩、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、
    硝酸カルシウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、亜硝
    酸カルシウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、硫
    酸カルシウム、硫酸ナトリウム、および硫酸カリウムか
    らなる群より選ばれる1種以上である請求項1記載の遠
    心力成形用セメント組成物。
  3. 【請求項3】 下記A成分とB成分とD成分とからなる
    混和剤、セメント、水および細骨材、またはさらに加え
    て粗骨材を含有するセメント組成物であって、(前記セ
    メント組成物のD成分の量)/(前記セメント組成物の
    A成分の量)〔重量比〕=0.002 〜1.0 、前記セメント
    組成物の降伏値=(0.85〜1.15)×(基準セメント組成
    物の降伏値)、かつ前記セメント組成物の塑性粘度=
    (1.5 〜5.0 )×(基準セメント組成物の塑性粘度)で
    あることを特徴とする遠心力成形用セメント組成物。 A成分:減水剤および/または高性能減水剤 B成分:増粘剤 D成分:スランプ保持剤 基準セメント組成物:混和剤としてA成分のみを含むセ
    メント組成物であって、該セメント組成物におけるセメ
    ント、水、細骨材および粗骨材それぞれの配合比並びに
    減水率が、前記遠心力成形用セメント組成物のセメン
    ト、水、細骨材および粗骨材それぞれの配合比並びに減
    水率と等しいセメント組成物。
  4. 【請求項4】 前記D成分が、高分子有機酸塩、分子量
    500 〜5000のポリアクリル酸塩、オキシカルボン酸塩、
    アミノカルボン酸塩、糖類、分子量 500〜5000のポリエ
    チレングリコール、ホウ酸塩、およびケイフッ化物から
    なる群より選ばれる1種以上である請求項3記載の遠心
    力成形用セメント組成物。
  5. 【請求項5】 前記高分子有機酸塩がリグニンスルホン
    酸塩、フミン酸塩およびタンニン酸塩から選ばれる1種
    以上、前記オキシカルボン酸塩がグルコン酸塩、グルコ
    ヘプトン酸塩およびクエン酸塩から選ばれる1種以上、
    前記アミノカルボン酸塩がグルタミン酸塩である請求項
    4記載の遠心力成形用セメント組成物。
  6. 【請求項6】 前記遠心力成形用セメント組成物が、下
    記配合比から成ることを特徴とする請求項1〜5いずれ
    かに記載の遠心力成形用セメント組成物。 記 A成分/セメント(重量比)=0.001 〜0.012 水/セメント(重量比) =0.25〜0.45 水:120 〜180kg/m3−(コンクリートまたはモルタル)
  7. 【請求項7】 請求項1〜6いずれかに記載の遠心力成
    形用セメント組成物を遠心力成形して得られる成形体。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008239452A (ja) * 2007-03-29 2008-10-09 Taiheiyo Cement Corp コンクリート添加材
JP2014076933A (ja) * 2012-10-12 2014-05-01 Sumitomo Osaka Cement Co Ltd 高強度コンクリート用の混和材および高強度コンクリート用のセメント組成物
JP2014076934A (ja) * 2012-10-12 2014-05-01 Sumitomo Osaka Cement Co Ltd 高強度コンクリート用の混和材スラリーおよび高強度コンクリートの製造方法
JP2019112251A (ja) * 2017-12-22 2019-07-11 Basfジャパン株式会社 遠心成形コンクリート用混和剤及びこれを含むセメント組成物

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