JPH1157416A - 発電所ヒータードレン水の処理方法 - Google Patents

発電所ヒータードレン水の処理方法

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JPH1157416A
JPH1157416A JP23910997A JP23910997A JPH1157416A JP H1157416 A JPH1157416 A JP H1157416A JP 23910997 A JP23910997 A JP 23910997A JP 23910997 A JP23910997 A JP 23910997A JP H1157416 A JPH1157416 A JP H1157416A
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JP
Japan
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water
iron oxide
filter
heater drain
power plant
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Application number
JP23910997A
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English (en)
Inventor
Shogo Umemoto
昭吾 梅本
Toshio Morita
利夫 森田
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Organo Corp
Original Assignee
Organo Corp
Japan Organo Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 発電所ヒータードレン水中に酸素を混入させ
てからフィルターに通水することにより、安定的に鉄酸
化物微粒子を除去することができる発電所ヒータードレ
ン水の処理方法を提供する。 【解決手段】 鉄酸化物微粒子を主成分とする不純物を
含む発電所ヒータードレン水からフィルターを用いて主
として鉄酸化物微粒子を濾過除去するに当たって、発電
所ヒータードレン水がフィルターに到達する前段にヒー
タードレン水中に酸素を混入させ、フィルターにより濾
過して、安定的に鉄酸化物微粒子を除去する。酸素の混
入は、酸素含有水を調製し、ヒータードレン水に混入さ
せるのが好ましく、酸素混入後のヒータードレン水の溶
存酸素濃度は20〜100ppbとするのが好ましい。
この方法を発電所におけるヒータードレン水に適用する
ことにより、発電所の蒸気発生器又はボイラーへの鉄酸
化物微粒子の持ち込みを効果的に防止することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発電所におけるヒ
ータードレン水の処理方法に関し、特に、鉄酸化物微粒
子を含む発電所ヒータードレン水中の鉄酸化物微粒子を
フィルターにより除去する場合に用いる発電所ヒーター
ドレン水の処理方法に関する。本発明の方法は、例え
ば、加圧水型原子力発電所(略して「PWR」)、沸騰
水型原子力発電所(略して「BWR」)及び火力発電所
におけるヒータードレン水中に含まれる鉄酸化物微粒子
を除去する場合に特に有利に用いることができる。
【0002】
【従来の技術】例えば、PWRでは、タービン駆動用の
蒸気を造る蒸気発生器(SG、steamgenerator )の二
次側の器内に鉄酸化物微粒子を主成分とする金属酸化物
等の不純物が給水に随伴して持ち込まれる。そして、発
電を行っている間に、これらの不純物が蒸気発生器の伝
熱管外表面に徐々に付着し、この付着物により蒸気発生
器の一次側からの二次側給水への伝熱効率が低下する。
しかも、これらの不純物は給水が循環している間に徐々
に濃縮、増加するため、蒸気発生器への二次側給水中の
不純物濃度を低減させる対策が従来から種々検討されて
いる。
【0003】また、PWRの場合と同様に、火力発電所
ではボイラーへの給水中に含まれる上記のような不純物
がボイラーの伝熱管内面に徐々に付着し、この付着物に
よってボイラーの差圧が上昇するために、この差圧上昇
を低減させる対策が従来から種々検討されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このために、蒸気発生
器やボイラーへ持ち込まれる鉄酸化物微粒子を主成分と
する不純物を効果的に除去するために、除鉄方法を中心
とした不純物除去方法について従来から種々検討されて
いるものの、依然として確たる技術が確立されていない
のが現状である。そこで、このような不純物の持ち込み
源について考察してみると、復水系からの持ち込み分と
各種ヒータードレン水系からの持ち込み分とに大別され
ることが分かる。ところが、復水系には一般に復水前置
濾過器及び復水脱塩装置、または、復水脱塩装置単独で
構成される復水浄化装置系が設置されており、給水中に
占める復水系からの不純物持ち込み量は比較的少ない。
従って、蒸気発生器又はボイラーへの給水中の不純物濃
度を低減させるには、復水浄化装置系以降の各種ヒータ
ードレン系から持ち込まれる不純物量を低減することが
効果的であると考えられる。
【0005】発電所ヒータードレン水系の主たる不純物
である鉄不純物の形態について説明する。ヒータードレ
ン水系は、機器及び配管等の腐食防止のために脱酸素処
理が行われ、溶存酸素濃度が数ppbと極めて低い極限
の酸素を含まない状態になっているが、かかる極限の低
溶存酸素濃度条件下においても、機器及び配管等に酸化
鉄(マグネタイト)の薄い被膜を生じる。しかも、例え
ば、PWRにおいて、蒸気発生器以降では、発生する蒸
気によって絶えず機器及び配管等に形成された酸化鉄の
薄い被膜が削られる。この現象は、エロージョン(eros
ion )現象と称されるものである。このように絶えず蒸
気によって酸化鉄の薄い被膜が削られるため、復水中に
含まれる酸化鉄粒子よりも微細な酸化鉄微粒子が形成さ
れ、ヒータードレン水中に含有されてくるのである。
【0006】復水中とヒータードレン水中の酸化鉄粒子
径の細かさを示す一例として、精密濾過膜である孔径
0.22μmのミリポアフィルター〔ミリポア社(米
国)製〕により、火力発電所における復水中とヒーター
ドレン水中とから酸化鉄粒子をそれぞれ除去した際の除
鉄率で比較すると、復水の場合は94%の除鉄率を示
し、ヒータードレン水の場合は53%の除鉄率を示し
た。このことから、ヒータードレン水中の酸化鉄粒子
は、粒子径0.22μm以下の微粒子を復水の場合より
も遙に多量に含むことが分かる。
【0007】また、発電所における処理水は、pH調整
を行い、配管等からの鉄イオンの溶出を抑えているた
め、ヒータードレン水中の鉄がイオンとして存在する割
合は低く、除去の対象となる鉄の形態は、酸化鉄微粒子
の形態であり、従ってこの酸化鉄微粒子を除去する必要
があった。
【0008】しかし、ヒータードレン水中では、上記の
エロージョン現象により酸化鉄が非常に微細な粒子の形
で存在するため、一般に使用されている孔径の濾過膜で
は除鉄率が安定しないという問題があった。
【0009】ヒータードレン水からこのような酸化鉄微
粒子を主成分とする不純物を効果的に除去する方法とし
て、例えば、電磁フィルターや金属フィルター等のフィ
ルターを用いることが従来より検討されているが、特に
不純物の主成分である鉄酸化物粒子は上述のように極め
て微細な粒子であるため、これらのフィルターによる不
純物除去性能が不安定であり、実用には至っていない。
【0010】また、各種フィルターの中には微細な粒子
を除去できるフィルターとして高分子中空糸膜フィルタ
ーのような膜フィルターがあるが、膜フィルターもその
まま使用すると、上記の電磁フィルターや金属フィルタ
ーのようなフィルターと同様に、ヒータードレン水から
の酸化鉄微粒子を主成分とする不純物の除去性能が不安
定である。
【0011】本発明は、従来技術の上記欠点を解消せん
とするもので、発電所におけるヒータードレン水に含ま
れている鉄酸化物微粒子を安定的に除去し、よって発電
所の蒸気発生器又はボイラーへの鉄酸化物微粒子の持ち
込みを効果的に防止することができる発電所におけるヒ
ータードレン水の処理方法を提供せんとするものであ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者等は発電所にお
けるヒータードレン水中の鉄成分の除去方法について種
々検討した結果、例えば、ヒータードレン水中に含まれ
る高分子中空糸膜フィルターさえ通過してしまい捕捉で
きない程に微細な酸化鉄微粒子も僅かに水中に溶解させ
た微量の酸素と接触することで、何らかのメカニズムに
より粒子が大きくなり、高分子中空糸膜フィルター等の
膜フィルターで安定して酸化鉄微粒子の除去が可能とな
ることを知見した。
【0013】本発明は、上記知見に基づいて完成された
ものであり、フィルターを用いる固液分離操作により鉄
酸化物微粒子を含む発電所ヒータードレン水から鉄酸化
物微粒子を除去するに当たって、フィルターに発電所ヒ
ータードレン水が到達する前段において発電所ヒーター
ドレン水中に酸素を混入させ、鉄酸化物微粒子をフィル
ターに捕捉除去できる形態に変えることを特徴とする発
電所ヒータードレン水の処理方法を提供するものであ
る。
【0014】本発明の方法の重要な特徴は、限外濾過膜
によっても除鉄率が安定しなかった微細な酸化鉄微粒子
が存在するヒータードレン水系統においても、本発明に
従い酸素を混入することにより、高分子中空糸膜フィル
ターのような精密濾過膜でも捕捉可能な大きさに酸化鉄
微粒子が変化し、除鉄率が安定するということである。
【0015】発電所におけるヒータードレン水中の鉄酸
化物成分は、上述したことからも明らかなように、その
殆どがサブミクロンオーダーの微細なマグネタイト(F
34 )粒子より構成されていることが知られてい
る。このように微細な酸化鉄微粒子に酸素を接触させる
ことで、これをヘマタイト(Fe2 3 )、ゲータイト
(Fe2 3 ・H2 O)等の化学形態に変化させると同
時に、微細な酸化鉄粒子径も大きくなって造粒し、フィ
ルターでの濾過、除去が可能となるものと考えられる。
但し、上述の濾過メカニズムは経験的に知見されたもの
であり、詳細は明らかでは無い。しかし、黒色の微細マ
グネタイト粒子が茶褐色の粒子(ヘマタイト、ゲータイ
ト等の粒子と考えられる)に変化することは確認済であ
り、何らかのメカニズムが作用していることは確かであ
る。
【0016】本発明の方法において、酸素を混入させた
後の発電所におけるヒータードレン水の溶存酸素濃度
は、20ppb〜100ppbの範囲内であることが好
ましい。一般に、発電所ヒータードレン水の溶存酸素濃
度は、極めて低く、数ppbであるのが通常である。こ
のようなヒータードレン水に対して、20ppb以上の
溶存酸素濃度とすると、明瞭な効果を与えるので好まし
い。また、溶存酸素濃度が100ppbを越えると、本
発明の方法により酸化鉄微粒子を主とする不純物を除去
された処理水中の溶存酸素が配管や装置等の金属材料に
対して腐食を起こす虞が生じるので、その上限としては
100ppbが好ましい。満足な効果を与えるために更
に好ましい溶存酸素濃度は、40ppb〜100ppb
である。
【0017】本発明の方法において、被処理水である発
電所ヒータードレン水に酸素を混入させる方法は、特に
限定されるものでは無く、望ましくは清浄な酸素ガスや
空気を直接ヒータードレン水中に吹き込んで注入する方
法や酸素含有水(好ましくは純水)を酸素注入液として
ヒータードレン水に混入させる方法などがあるが、溶存
酸素濃度の設定の容易性などの観点から後者が好まし
い。酸素注入液としての酸素含有水の調製は、望ましく
は清浄な酸素ガスや空気を純水等の水に吹き込んで注入
してもよいが、簡単には、望ましくは清浄な酸素ガスや
空気の雰囲気下に水槽中の純水等の水を望ましい酸素濃
度となるまで攪拌することによっても容易に酸素含有水
を調製することができる。
【0018】本発明の方法において濾過に用いるフィル
ターとしては、例えば、フィルターエレメント形状の面
からは、中空糸型フィルター、プリーツ型フィルター、
ディスク型フィルター等を挙げることができ、フィルタ
ーエレメント材質の面からは、高分子膜フィルター、セ
ラミックフィルター、金属フィルター、焼結金属フィル
ター、カーボンフィルター等の有機系や無機系の各種フ
ィルターを挙げることができる。
【0019】本発明の方法を実施するに先立って、中空
糸膜フィルターのようなフィルターの表面にプリコート
を行ってもよい。即ち、被処理水である発電所ヒーター
ドレン水をフィルターに通水するに先立って、例えば、
粒径1〜10μmのFe3 4 (マグネタイト)等の酸
化鉄微粒子のプリコート剤が添加された水をフィルター
に通水し、フィルターの表面に該微粒子のプリコート被
覆膜を予め形成するのである(特願平8−38858
号)。これらの酸化鉄微粒子は非粘着性であり、フィル
ター表面上に薄いプリコート被覆膜を形成しても、後述
するようなスクラビング工程で容易に剥離することがで
き、取扱が容易である。また、このようなプリコート用
酸化鉄微粒子は市販品もあり、容易に入手できる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形
態を図面を参照しつつ説明するが、本発明はこれに限定
されるものでは無い。フィルターとしては、上述のよう
に、中空糸膜フィルター、プリーツ型フィルター、ディ
スクフィルター、セラミックフィルター、金属フィルタ
ー、焼結金属フィルター等の使用が可能であるが、この
実施形態においては、一例として高分子中空糸膜(以
下、単に「中空糸膜」と言う)フィルターを用いる場合
を説明する。
【0021】図1は、この実施の形態で用いる濾過装置
の構造を示す構成図である。図2は、この実施形態で用
いる濾過装置に設置する中空糸膜モジュールを示す断面
図である。図3は、図1に示す濾過装置が用いられた発
電所における低圧給水ヒーターの周辺系統を示すフロー
図である。
【0022】この実施形態で用いる中空糸膜モジュール
1は、図2に示すように、孔径0.01〜0.3μmの
微細孔を有する外径0.3〜5mm、内径0.2〜4m
mの中空糸膜2(フィルターエレメント)の約100〜
約50000本を保護筒3内に収納したものであり、該
中空糸膜の2の上端をそれらの中空部を閉塞すること無
く上部接合部4で接着し、各中空糸膜2の下端を閉塞し
て下部接合部5で接着し、また、保護筒3の上方部と下
方部にそれぞれ流通口6A及び6Bを設けると共に、下
部接合部5に開口部7を設け、更に保護筒3を下方にや
や延長させてスカート部8を形成したものである。この
中空糸膜モジュール1では、全中空糸膜2の下端は閉塞
されているので、上端から集水する片端集水タイプであ
るが、勿論、中空糸膜の両端から集水する各種の両端集
水タイプの中空糸膜モジュールを用いることもできる。
【0023】このような中空糸膜モジュール1を濾過塔
9に配置するに当たっては、図1に示すように、濾過塔
9の上方部に仕切板10を設け、濾過塔9内を上室Fと
下室Rに区画し、該仕切板10に多数本の中空糸膜モジ
ュール1を仕切板10の鉛直方向に懸架する。
【0024】また、濾過塔9内に気泡分配機構11を配
置する。この気泡分配機構11は、気泡受け12と該気
泡受け12を貫通する気泡分配管13から構成されるも
ので、中空糸膜モジュール1のスカート部8の直下に該
気泡分配管13を対応させるものとする。
【0025】また、濾過塔9の上部に濾過水流出管14
の一端を連通し、一方、濾過塔9の下部に原水流入管1
6の一端、圧縮空気流入管15の一端、および、ドレン
管18の一端をそれぞれ連通し、更に上記仕切板10の
直下の濾過塔9側胴部に空気抜き管17の一端を連通す
る。
【0026】また、19は酸素含有純水タンクを示し、
20は酸素含有純水注入ポンプ(P)を示す。酸素含有
純水注入管21の一端を原水流入管16に連通する。な
お、21A及び22〜27はそれぞれ弁を示し、28は
バッフルプレート(baffle plate)を示す。
【0027】上述した濾過装置を用いて、本発明の処理
方法の処理対象(被処理水)の一例として、発電所にお
ける低圧給水ヒータードレン水(濾過塔における原水)
を本発明方法に従って処理する場合について説明する。
【0028】先ず、図3を参照しつつ、このような濾過
装置が用いられた発電所における低圧給水ヒーター(低
圧給水加熱器)の周辺系統を簡単に説明する。図3の系
統は、図示しない蒸気発生器から蒸気を受けて駆動する
低圧タービン31、この低圧タービン31の蒸気を水に
戻す復水器32、この復水器32からポンプ33により
送水された復水を脱塩処理する復水脱塩装置34、この
復水脱塩装置34からポンプ35を介して脱塩処理され
た復水を低圧タービン31から供給された蒸気により加
熱する低圧給水ヒーター36を備えている。そして、こ
の低圧給水ヒーター36において加熱された復水処理水
は高圧給水ヒーター(図示せず)等を介して蒸気発生器
へ送られる。図3に示すように、低圧給水ヒーター36
には上述の酸素注入設備付濾過装置37が付設されてい
る。この濾過装置37によりヒータードレン水を濾過
し、ヒータードレン水中から酸化鉄微粒子を主成分とす
る不純物が除去され、得られる濾過水が低圧給水ヒータ
ー36において加熱された復水処理水と合流するように
してある。
【0029】被処理水であるヒータードレン水(以下、
「原水」と言う)の通水に先立って、濾過塔9の上室F
と下室R内を純水にて満水とする。次に、濾過工程にお
いては、弁22及び26を開弁した後、酸素含有純水注
入ポンプ20を起動し、酸素含有純水注入弁21Aを開
弁し、酸素含有純水を原水に混入させる。ここで、濾過
塔9の下室R内における原水の溶存酸素濃度を好ましく
は20〜100ppbとする。酸素含有純水が混入した
原水は、原水流入管16から濾過塔9の下室Rに流入
し、中空糸膜モジュール1により原水中の酸化鉄微粒子
を濾過し、濾過水は上室Fで集合して、濾過水流出管1
4から流出する。
【0030】濾過を継続することにより濾過塔9の差圧
は上昇し、規定の差圧に到達した時点でスクラビング工
程が実施される。ここで、スクラビング工程における中
空糸膜2表面の肌荒れを極力回避するため、スクラビン
グ工程に先立ち、濾過塔9の下室R内の原水水温を低下
させる措置を採ることもできるし(特開平4−1356
32号公報)、スクラビング工程の初期に剥離する微粒
子の排除を行った後、スクラビング工程を続行するか、
スクラビング工程の初期に剥離する微粒子を含む洗浄廃
水を下室Rから排出する予備ブロー工程を付加すること
もできる(特開平4−110023号公報)。
【0031】中空糸膜2表面に付着した酸化鉄微粒子を
除去するためのスクラビング工程は、次のように実施さ
れる。弁22及び26を閉じ、下室Rに原水を、上室F
に濾過水を満たしたまま、弁24及び25を開弁し、圧
縮空気流入管15から圧縮空気を流入させる。圧縮空気
は気泡受け12の下面で一旦受容され、次いで空気分散
管13の空気流通孔13Aから気泡となって中空糸膜モ
ジュール1のスカート部8内に流入し、次いで開口部7
を介して各中空糸膜モジュール1内に流入する。これら
の気泡の上昇に伴い各中空糸膜2は振動すると共に、中
空糸膜モジュール1内の水が攪拌され、各中空糸膜2の
表面に捕捉された原水中に含まれていた酸化鉄微粒子が
剥離し、濾過塔9の下室R中に分散する。なお、気泡は
中空糸膜モジュール1の流通口6Bから該中空糸膜モジ
ュール1の外に流出し、次いで空気抜き管17から濾過
塔9の外に排出される。
【0032】上述のスクラビングにより剥離し、濾過塔
9の下室R内の水中に分散した酸化鉄微粒子はスクラビ
ング終了後、濾過塔9外にブローする。即ち、弁25を
開弁したまま弁24を閉弁し、弁23を開弁して酸化鉄
微粒子が分散している洗浄廃水をドレン管18を通して
流出させる。なお、洗浄廃水を流出させる当該ブロー工
程は水頭差を利用するものであるが、空気抜き管17又
は圧縮空気流入管15から圧縮空気を流入させ、当該空
気圧を利用した急速流出を行うこともできる。上述の圧
縮空気により水を攪拌して行うスクラビング工程、洗浄
廃水のブロー工程が終了した後、前述のような酸素含有
純水の原水への混入と濾過を行う通水工程を再び行う。
【0033】なお、上述の実施形態において、前述した
ように、中空糸膜2の表面にプリコートを行ってもよ
い。
【0034】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はこの実施例により限定されるものでは
無い。
【0035】実施例 本実施例では、図1に示す濾過装置と同様の構造の小型
実験濾過装置を用いて、次の実験を行った。先ず、水槽
に入れた純水を清浄な酸素雰囲気下に攪拌して、下記の
ような酸素注入液を調製した。次いで、発電所における
低圧給水ヒーターのドレン水(水温:60〜70℃、溶
存酸素:10ppb以下))が流れるドレン水ラインへ
上記酸素注入液を混入させ、濾過塔の下室R内のドレン
水の溶存酸素濃度が70ppb程度となるように調節
し、濾過塔へ通水した。この時の除鉄率の経時変化を追
跡した。その結果を図4に示す。なお、除鉄率を求める
に当たって用いた鉄の定量法は、「JIS−B−822
4」のTPTZ法(2,4,6−トリ−2−ピリジル−
1,3,5−トリアジン吸光光度法)である。
【0036】<小型実験濾過装置による実験の仕様> 中空糸膜モジュール 中空糸膜モジュールの使用本数:1本 酸素注入液:常温下において溶存酸素濃度2ppm
の純水 濾過流速:0.5m/hr
【0037】図4に示す結果によれば、ヒータードレン
水のような高温水中から酸化鉄微粒子よりなる鉄成分を
除去する場合に、ヒータードレン水に酸素を注入する
と、濾過の初期段階から600時間後という長時間に渡
ってほぼ90%以上の安定した除鉄率を維持することが
できることが分かった。
【0038】比較例 本比較例では、ヒータードレン水に酸素注入液の混入を
行わない以外は実施例と同じ条件で、実験濾過装置の濾
過塔に低圧給水ヒータードレン水を通水して実験を行
い、除鉄率の経時変化を追跡した。その結果も図4に示
した。
【0039】図4に示す結果によれば、濾過の初期段階
(濾過開始から約75時間後まで)では約70%の除鉄
率を示したが、その後除鉄率が急激に低下し、約110
時間経過した時点では40%程度まで低下し、150時
間以降は30%以下の除鉄率に低下することが分かっ
た。
【0040】
【発明の効果】本発明の発電所ヒータードレン水の処理
方法によれば、発電所におけるヒータードレン水中の鉄
酸化物微粒子を安定的且つ確実に除去することができ、
発電プラントの蒸気発生器又はボイラーへの鉄酸化物微
粒子の持ち込みを効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に用いる濾過装置
の構造を示す構成図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態で用いる濾過装置
に設置する中空糸膜モジュールを示す断面図である。
【図3】図3は、図1に示す濾過装置が用いられた発電
所における低圧給水ヒーターの周辺系統を示すフロー図
である。
【図4】図4は、ヒータードレン水への酸素注入を行っ
た場合(実施例)と行わなかった場合(比較例)の中空
糸膜濾過塔を用いたヒータードレン水に対する除鉄率の
経時変化を追跡した実験結果を示すグラフ図である。
【符号の説明】 1 中空糸膜モジュール 2 中空糸膜 3 保護筒 4 上部接合部 5 下部接合部 6A 流通口 6B 流通口 7 開口部 8 スカート部 9 濾過塔 10 仕切板 11 気泡分配機構 12 気泡受け 13 空気分配管 13A 空気流通孔 14 濾過水流出管 15 圧縮空気流入管 16 原水流入管 17 空気抜き管 18 ドレン管 19 酸素含有純水タンク 20 酸素含有純水注入ポンプ 21 酸素含有純水注入管 21A、22〜27 弁 28 バッフルプレート F 上室 R 下室 31 低圧タービン 32 復水器 33 ポンプ 34 復水脱塩装置 35 ポンプ 36 低圧給水ヒーター 37 濾過装置
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年7月14日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正内容】
【0005】発電所ヒータードレン水系の主たる不純物
である鉄不純物の形態について説明する。ヒータードレ
ン水系は、機器及び配管等の腐食防止のために脱酸素処
理が行われ、溶存酸素濃度が数ppbと極めて低い極限
の酸素を含まない状態になっているが、かかる極限の低
溶存酸素濃度条件下においても、機器及び配管等に酸化
鉄(マグネタイト)の薄い被膜を生じる。しかも、例え
ば、PWRにおいて、蒸気発生器以降では、発生する蒸
気によって絶えず機器及び配管等に形成された酸化鉄の
薄い被膜が削られる。この現象は、エロージョン(eros
ion )現象と称されるものである。このように絶えず蒸
気によって酸化鉄の薄い被膜が削られるため、復水中に
含まれる酸化鉄粒子よりも微細な酸化鉄微粒子が形成さ
れ、ヒータードレン水中に含有されてくるものと推定さ
れる
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正内容】
【0014】本発明の方法の重要な特徴は、限外濾過膜
によっても除鉄率が安定しなかった微細な酸化鉄微粒子
が存在するヒータードレン水系統においても、本発明に
従い酸素を混入することにより、精密濾過膜でも捕捉可
能な大きさに酸化鉄微粒子が変化し、除鉄率が安定する
ということである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正内容】
【0019】本発明の方法を実施するに先立って、中空
糸膜フィルターのようなフィルターの表面にプリコート
を行ってもよい。即ち、被処理水である発電所ヒーター
ドレン水をフィルターに通水するに先立って、例えば、
粒径1〜10μmのFe(マグネタイト)等の酸
化鉄微粒子のプリコート剤が添加された水をフィルター
に通水し、フィルターの表面に該微粒子のプリコート被
覆膜を予め形成するのである(特願平8−38858
号)。このようなプリコート用酸化鉄微粒子は市販品も
あり、容易に入手できる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正内容】
【0022】この実施形態で用いる中空糸膜モジュール
1は、図2に示すように、孔径0.01〜0.3μmの
微細孔を有する外径0.3〜5mm、内径0.2〜4m
mの中空糸膜2(フィルターエレメント)の約100〜
約50000本を保護筒3内に収納したものであり、該
中空糸膜2の上端をそれらの中空部を閉塞すること無く
上部接合部4で接着し、各中空糸膜2の下端を閉塞して
下部接合部5で接着し、また、保護筒3の方部と
部にそれぞれ流通口6A及び6Bを設けると共に、下部
接合部5に開口部7を設け、更に保護筒3を下方にやや
延長させてスカート部8を形成したものである。この中
空糸膜モジュール1では、全中空糸膜2の下端は閉塞さ
れているので、上端から集水する片端集水タイプである
が、勿論、中空糸膜の両端から集水する各種の両端集水
タイプの中空糸膜モジュールを用いることもできる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正内容】
【0026】また、19は酸素含有純水タンクを示し、
20は酸素含有純水注入ポンプ(P)を示す。酸素含有
純水注入管21の一端を原水流入管16に連通する。な
お、21A及び22〜2はそれぞれ弁を示し、28は
バッフルプレート(baffle plate)を示す。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正内容】
【0035】実施例 本実施例では、図1に示す濾過装置と同様の構造の小型
実験濾過装置を用いて、次の実験を行った。先ず、水槽
に入れた純水を清浄な酸素雰囲気下に攪拌して、下記の
ような酸素注入液を調製した。次いで、発電所における
低圧給水ヒーターのドレン水(水温:60〜70℃、溶
存酸素:10ppb以下)が流れるドレン水ラインへ上
記酸素注入液を混入させ、濾過塔の下室R内のドレン水
の溶存酸素濃度が70ppb程度となるように調節し、
濾過塔へ通水した。この時の除鉄率の経時変化を追跡し
た。その結果を図4に示す。なお、除鉄率を求めるに当
たって用いた鉄の定量法は、「JIS−B−8224」
のTPTZ法(2,4,6−トリ−2−ピリジル−1,
3,5−トリアジン吸光光度法)である。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】符号の説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【符号の説明】 1 中空糸膜モジュール 2 中空糸膜 3 保護筒 4 上部接合部 5 下部接合部 6A 流通口 6B 流通口 7 開口部 8 スカート部 9 濾過塔 10 仕切板 11 気泡分配機構 12 気泡受け 13 空気分配管 13A 空気流通孔 14 濾過水流出管 15 圧縮空気流入管 16 原水流入管 17 空気抜き管 18 ドレン管 19 酸素含有純水タンク 20 酸素含有純水注入ポンプ 21 酸素含有純水注入管 21A、22〜2 弁 28 バッフルプレート F 上室 R 下室 31 低圧タービン 32 復水器 33 ポンプ 34 復水脱塩装置 35 ポンプ 36 低圧給水ヒーター 37 濾過装置

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フィルターを用いる固液分離操作により
    鉄酸化物微粒子を含む発電所ヒータードレン水から鉄酸
    化物微粒子を除去するに当たって、フィルターに発電所
    ヒータードレン水が到達する前段において発電所ヒータ
    ードレン水中に酸素を混入させ、鉄酸化物微粒子をフィ
    ルターに捕捉除去できる形態に変えることを特徴とする
    発電所ヒータードレン水の処理方法。
  2. 【請求項2】 酸素を混入させた後の発電所ヒータード
    レン水の溶存酸素濃度が、20ppb〜100ppbの
    範囲、好ましくは40ppb〜100ppbの範囲内で
    あることを特徴とする請求項1に記載の発電所ヒーター
    ドレン水の処理方法。
  3. 【請求項3】 酸素含有水を発電所ヒータードレン水に
    混入させることにより、発電所ヒータードレン水中に酸
    素を混入させることを特徴とする請求項1又は2に記載
    の発電所ヒータードレン水の処理方法。
JP23910997A 1997-08-21 1997-08-21 発電所ヒータードレン水の処理方法 Pending JPH1157416A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6810100B2 (en) * 2001-11-22 2004-10-26 Organo Corporation Method for treating power plant heater drain water

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