JP2001017968A - 高温水処理装置及び高温水処理方法 - Google Patents
高温水処理装置及び高温水処理方法Info
- Publication number
- JP2001017968A JP2001017968A JP11196009A JP19600999A JP2001017968A JP 2001017968 A JP2001017968 A JP 2001017968A JP 11196009 A JP11196009 A JP 11196009A JP 19600999 A JP19600999 A JP 19600999A JP 2001017968 A JP2001017968 A JP 2001017968A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- filter
- heat
- temperature water
- water treatment
- resistant
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Filtration Of Liquid (AREA)
- Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 発電所の蒸気生成装置であるボイラ、原子
炉、蒸気発生器などに供給される高温の水を処理して、
この水中に含まれる酸化鉄等の不純物を十分に除去する
ことが可能な高温水処理装置を提供する。 【解決手段】 微細孔を有する耐熱性フィルタの濾過面
に、多数の微細空隙を有する耐熱性の微粉末をプリコー
トしてなる濾過材56を用いる。耐熱性フィルタとして
は、耐熱性有機高分子材料からなる中空糸膜フィルタ
や、ステンレス鋼焼結金属あるいは金網型ステンレス鋼
からなる管状フィルタを用いることができる。微粉末と
しては、PEEK系、シリカ系、スルホン酸ポリマー
系、シリカ−スルホン酸ポリマー複合系等の微粉末を用
いることができる。
炉、蒸気発生器などに供給される高温の水を処理して、
この水中に含まれる酸化鉄等の不純物を十分に除去する
ことが可能な高温水処理装置を提供する。 【解決手段】 微細孔を有する耐熱性フィルタの濾過面
に、多数の微細空隙を有する耐熱性の微粉末をプリコー
トしてなる濾過材56を用いる。耐熱性フィルタとして
は、耐熱性有機高分子材料からなる中空糸膜フィルタ
や、ステンレス鋼焼結金属あるいは金網型ステンレス鋼
からなる管状フィルタを用いることができる。微粉末と
しては、PEEK系、シリカ系、スルホン酸ポリマー
系、シリカ−スルホン酸ポリマー複合系等の微粉末を用
いることができる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高温の被処理水を
処理してその中に含まれる不純物を除去する高温水処理
装置に関し、さらに詳述すると、発電所の蒸気生成装置
である火力発電所のボイラ、沸騰水型原子力発電所(B
WR)の原子炉、加圧水型原子力発電所(PWR)の蒸
気発生器に供給する水の浄化装置として好適に使用され
る高温水処理装置に関する。
処理してその中に含まれる不純物を除去する高温水処理
装置に関し、さらに詳述すると、発電所の蒸気生成装置
である火力発電所のボイラ、沸騰水型原子力発電所(B
WR)の原子炉、加圧水型原子力発電所(PWR)の蒸
気発生器に供給する水の浄化装置として好適に使用され
る高温水処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】火力及び原子力発電所では、発生させた
高温・高圧の蒸気をタービンに供給し、この蒸気により
タービンを駆動して発電を行っている。タービンを駆動
した後の蒸気は、復水器により冷却されて水の状態に戻
された後、再び加熱されてボイラ、原子炉、蒸気発生器
に供給され、再使用される。
高温・高圧の蒸気をタービンに供給し、この蒸気により
タービンを駆動して発電を行っている。タービンを駆動
した後の蒸気は、復水器により冷却されて水の状態に戻
された後、再び加熱されてボイラ、原子炉、蒸気発生器
に供給され、再使用される。
【0003】一例として、一般的なPWRの蒸気−復水
系統(2次系)の概要を図5に示す。水は蒸気発生器で
加熱されて高温・高圧の蒸気となり、この蒸気がタービ
ンで膨張仕事をした後、復水器で冷却されて凝縮し、復
水となる。この復水は、復水配管、蒸気配管等の系統か
ら発生する酸化鉄等の不純物が混入しているため、復水
濾過装置及び復水脱塩装置からなる復水処理装置で処理
された後、低圧給水加熱器及び高圧給水加熱器で順次加
熱され、再び蒸気発生器へ送られる。
系統(2次系)の概要を図5に示す。水は蒸気発生器で
加熱されて高温・高圧の蒸気となり、この蒸気がタービ
ンで膨張仕事をした後、復水器で冷却されて凝縮し、復
水となる。この復水は、復水配管、蒸気配管等の系統か
ら発生する酸化鉄等の不純物が混入しているため、復水
濾過装置及び復水脱塩装置からなる復水処理装置で処理
された後、低圧給水加熱器及び高圧給水加熱器で順次加
熱され、再び蒸気発生器へ送られる。
【0004】この場合、火力及び原子力発電所において
は、復水処理装置から蒸気生成装置であるボイラ、原子
炉又は蒸気発生器に至る系統は一般に給水系統と呼ば
れ、この給水系統の給水加熱器によって復水を200℃
以上にまで加熱している。発電所の形態により、給水系
統の機器構成は異なる。例えば、BWRでは、給水系統
に設置される機器は低圧給水加熱器と高圧給水加熱器だ
けであるが、火力発電所、PWRでは、低圧給水加熱器
と高圧給水加熱器との間に脱気器を設けるのが一般的で
ある。
は、復水処理装置から蒸気生成装置であるボイラ、原子
炉又は蒸気発生器に至る系統は一般に給水系統と呼ば
れ、この給水系統の給水加熱器によって復水を200℃
以上にまで加熱している。発電所の形態により、給水系
統の機器構成は異なる。例えば、BWRでは、給水系統
に設置される機器は低圧給水加熱器と高圧給水加熱器だ
けであるが、火力発電所、PWRでは、低圧給水加熱器
と高圧給水加熱器との間に脱気器を設けるのが一般的で
ある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】図5から分かるよう
に、従来の発電所では、復水濾過装置及び復水脱塩装置
からなる復水処理装置以降は、蒸気生成装置であるボイ
ラ、原子炉、蒸気発生器までの系統(給水系統)に水浄
化処理設備は存在しない。
に、従来の発電所では、復水濾過装置及び復水脱塩装置
からなる復水処理装置以降は、蒸気生成装置であるボイ
ラ、原子炉、蒸気発生器までの系統(給水系統)に水浄
化処理設備は存在しない。
【0006】しかし、給水系統は、給水加熱器の伝熱管
を除き、機器・配管の材質は炭素鋼である。そのため、
給水系統の機器・配管から炭素鋼の腐食に伴い酸化鉄等
の不純物が発生して給水に混入し、その不純物が未処理
のままボイラ、原子炉、蒸気発生器に供給されるおそれ
があり、その改善が求められていた。
を除き、機器・配管の材質は炭素鋼である。そのため、
給水系統の機器・配管から炭素鋼の腐食に伴い酸化鉄等
の不純物が発生して給水に混入し、その不純物が未処理
のままボイラ、原子炉、蒸気発生器に供給されるおそれ
があり、その改善が求められていた。
【0007】また、低圧及び高圧給水加熱器の熱源は、
これらに導入された蒸気であり、その蒸気は凝縮して高
温・高圧の凝縮水となる。これらの凝縮水は、熱回収及
び水回収の目的から、ドレン水として回収され、ボイ
ラ、原子炉、蒸気発生器への給水として再利用される。
BWRでは、各ドレン水は最終的にタービン下部の復水
器凝縮水溜に回収される場合が多いが、火力発電所、P
WRでは、図5に示すように、各ドレン水は主に脱気器
に回収される。そのため、例えばPWRでは、蒸気系統
から発生する酸化鉄を主体とする腐食生成物が、未処理
のままドレン水と共に不純物として蒸気発生器に供給さ
れ、伝熱管スケール発生の原因となる。
これらに導入された蒸気であり、その蒸気は凝縮して高
温・高圧の凝縮水となる。これらの凝縮水は、熱回収及
び水回収の目的から、ドレン水として回収され、ボイ
ラ、原子炉、蒸気発生器への給水として再利用される。
BWRでは、各ドレン水は最終的にタービン下部の復水
器凝縮水溜に回収される場合が多いが、火力発電所、P
WRでは、図5に示すように、各ドレン水は主に脱気器
に回収される。そのため、例えばPWRでは、蒸気系統
から発生する酸化鉄を主体とする腐食生成物が、未処理
のままドレン水と共に不純物として蒸気発生器に供給さ
れ、伝熱管スケール発生の原因となる。
【0008】この場合、PWRにおいて蒸気発生器伝熱
管にスケールが付着し、このスケールが運転継続に伴っ
て増加すると、伝熱性能の低下と伝熱管の腐食損傷の要
因となるため、最近では蒸気発生器伝熱管のスケール付
着防止対策として、給水中の酸化鉄を主成分とする腐食
生成物を低減する対策が採用されている。
管にスケールが付着し、このスケールが運転継続に伴っ
て増加すると、伝熱性能の低下と伝熱管の腐食損傷の要
因となるため、最近では蒸気発生器伝熱管のスケール付
着防止対策として、給水中の酸化鉄を主成分とする腐食
生成物を低減する対策が採用されている。
【0009】上述した腐食生成物低減対策として、現在
PWRにおいては、アンモニアに代えてエタノールアミ
ン(ETA)によって給水のPH調整を行う方法、及
び、復水濾過装置に中空糸膜濾過器を用いる方法が採ら
れている。PH調整剤としてETAを用いることによ
り、従来のアンモニア使用時に比べて給水中の腐食生成
物の濃度を1/2〜1/3に低減することができる。ま
た、復水濾過装置として中空糸膜濾過器を用いることに
より、給水中の鉄濃度を1〜4ppbに低減することが
できる。なお、上記腐食生成物低減対策として、系統構
成材料を腐食の少ないステンレス鋼に変更することが考
えられるが、この方法はコストが高くつくため、採用す
ることは困難である。
PWRにおいては、アンモニアに代えてエタノールアミ
ン(ETA)によって給水のPH調整を行う方法、及
び、復水濾過装置に中空糸膜濾過器を用いる方法が採ら
れている。PH調整剤としてETAを用いることによ
り、従来のアンモニア使用時に比べて給水中の腐食生成
物の濃度を1/2〜1/3に低減することができる。ま
た、復水濾過装置として中空糸膜濾過器を用いることに
より、給水中の鉄濃度を1〜4ppbに低減することが
できる。なお、上記腐食生成物低減対策として、系統構
成材料を腐食の少ないステンレス鋼に変更することが考
えられるが、この方法はコストが高くつくため、採用す
ることは困難である。
【0010】しかしながら、給水のPH調整剤としてE
TAを採用した場合、復水中のETAはアンモニアと同
様に復水脱塩装置のカチオン樹脂に吸着されるため、復
水脱塩装置の薬品再生廃液中にはETAが混入する。し
たがって、復水脱塩装置の再生廃液を処理、処分する際
のCODの排水基準を満たすためには、排水中のETA
除去及び分解処理が必要になる。また、ETAは有機物
質であるため、熱分解により酢酸に変化するなどして不
純物を生成させるとともに、有機溶媒としての作用か
ら、系統中に付着していた油分等を溶解させたり、イオ
ン交換樹脂中の有機物を溶出させたりする等の副作用が
問題視されている。さらに、PWRにおいて、ETAに
よって給水のPH調整を行う方法、復水濾過装置に中空
糸膜濾過器を用いる方法を採用しても、蒸気発生器に流
入する腐食生成物をゼロにすることはできない。
TAを採用した場合、復水中のETAはアンモニアと同
様に復水脱塩装置のカチオン樹脂に吸着されるため、復
水脱塩装置の薬品再生廃液中にはETAが混入する。し
たがって、復水脱塩装置の再生廃液を処理、処分する際
のCODの排水基準を満たすためには、排水中のETA
除去及び分解処理が必要になる。また、ETAは有機物
質であるため、熱分解により酢酸に変化するなどして不
純物を生成させるとともに、有機溶媒としての作用か
ら、系統中に付着していた油分等を溶解させたり、イオ
ン交換樹脂中の有機物を溶出させたりする等の副作用が
問題視されている。さらに、PWRにおいて、ETAに
よって給水のPH調整を行う方法、復水濾過装置に中空
糸膜濾過器を用いる方法を採用しても、蒸気発生器に流
入する腐食生成物をゼロにすることはできない。
【0011】これに対し、PWRにおいて、蒸気発生器
の直前で給水中の腐食生成物を除去すれば、蒸気発生器
に流入する腐食生成物を実質的にゼロにすることが可能
である。しかしながら、蒸気発生器に流入する直前の給
水は200℃以上の高温・高圧水であり、かかる高温の
給水の処理には、従来復水濾過装置として一般的に使用
されているプリコート濾過器、中空糸濾過器は使用する
ことができない。すなわち、従来の復水濾過装置は、通
常は50℃以下、高温でも70℃程度の復水を処理する
もので、このような復水濾過装置では、耐熱性等の点で
復水よりはるかに温度の高い給水を処理することはでき
ない。また、高温で使用できる濾過装置として、電磁濾
過器、セラミック等の無機材料からなるフィルタ、ステ
ンレス鋼製フィルタ等があるが、これらの高温用フィル
タを用いても、給水中に含まれる腐食生成物を十分に除
去することは難しい。
の直前で給水中の腐食生成物を除去すれば、蒸気発生器
に流入する腐食生成物を実質的にゼロにすることが可能
である。しかしながら、蒸気発生器に流入する直前の給
水は200℃以上の高温・高圧水であり、かかる高温の
給水の処理には、従来復水濾過装置として一般的に使用
されているプリコート濾過器、中空糸濾過器は使用する
ことができない。すなわち、従来の復水濾過装置は、通
常は50℃以下、高温でも70℃程度の復水を処理する
もので、このような復水濾過装置では、耐熱性等の点で
復水よりはるかに温度の高い給水を処理することはでき
ない。また、高温で使用できる濾過装置として、電磁濾
過器、セラミック等の無機材料からなるフィルタ、ステ
ンレス鋼製フィルタ等があるが、これらの高温用フィル
タを用いても、給水中に含まれる腐食生成物を十分に除
去することは難しい。
【0012】本発明は、上述した事情に鑑みてなされた
もので、発電所のボイラ、原子炉、蒸気発生器などの蒸
気生成装置に供給される高温の水を処理して、この水中
に含まれる酸化鉄等の不純物を十分に除去することが可
能な高温水処理装置を提供することを目的とする。
もので、発電所のボイラ、原子炉、蒸気発生器などの蒸
気生成装置に供給される高温の水を処理して、この水中
に含まれる酸化鉄等の不純物を十分に除去することが可
能な高温水処理装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記目的を
達成するため、次のような検討を行った。まず、PWR
の給水系統から発生する100℃以上の高温ドレン水中
の腐食生成物の除去試験を繰り返した結果、該腐食生成
物の除去には、孔径0.01〜10μmの微細孔を有す
る耐熱性フィルタによる濾過が有効であることを見いだ
した。しかしながら、水温が高温になるに従い、腐食生
成物の除去率が低下することが判明した。これは、水温
が高温になるに従い、腐食生成物の粒子が微細化して孔
径0.01μmのフィルタでも通過するようになった
り、イオン状の不純物の割合が増えたりするためである
と推定された。
達成するため、次のような検討を行った。まず、PWR
の給水系統から発生する100℃以上の高温ドレン水中
の腐食生成物の除去試験を繰り返した結果、該腐食生成
物の除去には、孔径0.01〜10μmの微細孔を有す
る耐熱性フィルタによる濾過が有効であることを見いだ
した。しかしながら、水温が高温になるに従い、腐食生
成物の除去率が低下することが判明した。これは、水温
が高温になるに従い、腐食生成物の粒子が微細化して孔
径0.01μmのフィルタでも通過するようになった
り、イオン状の不純物の割合が増えたりするためである
と推定された。
【0014】そのため、微細孔を有する耐熱性フィルタ
だけでは腐食生成物の除去能力に限界があるものと判断
し、吸着あるいは接触酸化機能を有する耐熱性の微粉末
を上記耐熱性フィルタにプリコートすることを試みた。
その結果、多数の微細空隙を有する耐熱性の微粉末、特
に空隙率50%以上で粒径1μm〜2mmのPEEK系
微粉末、シリカ系微粉末、スルホン酸ポリマー系微粉末
又はシリカ−スルホン酸ポリマー複合系微粉末を上記耐
熱性フィルタにプリコートした場合、高温域でも腐食生
成物の除去率が高く、補足量も多い濾過材が得られるこ
とを知見した。
だけでは腐食生成物の除去能力に限界があるものと判断
し、吸着あるいは接触酸化機能を有する耐熱性の微粉末
を上記耐熱性フィルタにプリコートすることを試みた。
その結果、多数の微細空隙を有する耐熱性の微粉末、特
に空隙率50%以上で粒径1μm〜2mmのPEEK系
微粉末、シリカ系微粉末、スルホン酸ポリマー系微粉末
又はシリカ−スルホン酸ポリマー複合系微粉末を上記耐
熱性フィルタにプリコートした場合、高温域でも腐食生
成物の除去率が高く、補足量も多い濾過材が得られるこ
とを知見した。
【0015】本発明は、上述した知見に基づいてなされ
たもので、高温の被処理水を処理して該被処理水中に含
まれる不純物を除去する高温水処理装置であって、微細
孔を有する耐熱性フィルタの濾過面に、多数の微細空隙
を有する耐熱性の微粉末をプリコートしてなる濾過材を
具備することを特徴とする高温水処理装置を提供する。
この場合、耐熱性とは、融点、軟化点が適用温度域以上
であり、かつ適用温度域において機械的強度劣化がない
とともに、耐酸化劣化性、耐薬品性を備えていることを
いう。
たもので、高温の被処理水を処理して該被処理水中に含
まれる不純物を除去する高温水処理装置であって、微細
孔を有する耐熱性フィルタの濾過面に、多数の微細空隙
を有する耐熱性の微粉末をプリコートしてなる濾過材を
具備することを特徴とする高温水処理装置を提供する。
この場合、耐熱性とは、融点、軟化点が適用温度域以上
であり、かつ適用温度域において機械的強度劣化がない
とともに、耐酸化劣化性、耐薬品性を備えていることを
いう。
【0016】以下、本発明につきさらに詳しく説明す
る。本発明の高温水処理装置において、微細孔を有する
耐熱性フィルタとしては、例えば下記(1)〜(3)に
示すものを好適に使用することができる。
る。本発明の高温水処理装置において、微細孔を有する
耐熱性フィルタとしては、例えば下記(1)〜(3)に
示すものを好適に使用することができる。
【0017】(1)耐熱性有機高分子材料からなる中空
糸膜フィルタ。 上記中空糸膜フィルタとしては、例えば、PEEK系高
分子材料又はポリスルホン系高分子材料からなるものが
挙げられる。PEEKとはポリエーテルエーテルケトン
のことであり、下記構造式で表される。
糸膜フィルタ。 上記中空糸膜フィルタとしては、例えば、PEEK系高
分子材料又はポリスルホン系高分子材料からなるものが
挙げられる。PEEKとはポリエーテルエーテルケトン
のことであり、下記構造式で表される。
【化1】 また、上記微細孔の孔径は0.01〜10μm、特に
0.01〜0.5μm、中空糸膜フィルタの内径は0.
1〜10mm、特に0.1〜2mm、外径は0.1〜2
0mm、特に0.1〜5mmであることが好ましい。
0.01〜0.5μm、中空糸膜フィルタの内径は0.
1〜10mm、特に0.1〜2mm、外径は0.1〜2
0mm、特に0.1〜5mmであることが好ましい。
【0018】(2)ステンレス鋼焼結金属からなる管状
フィルタ。 上記ステンレス鋼焼結金属は、ステンレス鋼粉末を焼結
することにより該粉末間に微細孔を形成したものであ
る。上記管状フィルタは、ステンレス鋼焼結金属を管状
に成形したもので、管の内側から外側又は外側から内側
に被処理水を通水するものである。また、上記微細孔の
孔径は0.01〜100μm、特に0.1〜10μm、
管状フィルタの内径は1〜240mm、特に2〜20m
m、外径は2〜250mm、特に5〜25mmであるこ
とが好ましい。
フィルタ。 上記ステンレス鋼焼結金属は、ステンレス鋼粉末を焼結
することにより該粉末間に微細孔を形成したものであ
る。上記管状フィルタは、ステンレス鋼焼結金属を管状
に成形したもので、管の内側から外側又は外側から内側
に被処理水を通水するものである。また、上記微細孔の
孔径は0.01〜100μm、特に0.1〜10μm、
管状フィルタの内径は1〜240mm、特に2〜20m
m、外径は2〜250mm、特に5〜25mmであるこ
とが好ましい。
【0019】(3)金網型ステンレス鋼からなる管状フ
ィルタ。 上記金網型ステンレス鋼は、ステンレス鋼繊維を編むこ
とにより該繊維間に微細孔を形成したものである。上記
管状フィルタは、金網型ステンレス鋼を管状に成形した
もので、管の内側から外側又は外側から内側に被処理水
を通水するものである。また、上記微細孔の孔径は0.
01〜100μm、特に0.1〜10μm、管状フィル
タの内径は1〜240mm、特に2〜20mm、外径は
2〜250mm、特に5〜25mmであることが好まし
い。
ィルタ。 上記金網型ステンレス鋼は、ステンレス鋼繊維を編むこ
とにより該繊維間に微細孔を形成したものである。上記
管状フィルタは、金網型ステンレス鋼を管状に成形した
もので、管の内側から外側又は外側から内側に被処理水
を通水するものである。また、上記微細孔の孔径は0.
01〜100μm、特に0.1〜10μm、管状フィル
タの内径は1〜240mm、特に2〜20mm、外径は
2〜250mm、特に5〜25mmであることが好まし
い。
【0020】本発明の高温水処理装置において、多数の
微細空隙を有する耐熱性の微粉末としては、素材から素
材及び素材中の不純物が被処理水中に溶出しないものが
好ましい。微粉末として、具体的には、PEEK系微粉
末、シリカ系微粉末、スルホン酸ポリマー系微粉末及び
シリカ−スルホン酸ポリマー複合系微粉末から選ばれる
1種又は2種以上の混合物を好適に用いることができ
る。シリカ−スルホン酸ポリマー複合系微粉末は、耐熱
性200℃以上の球形多孔体でガラス多孔体と同程度の
高い耐圧縮強度を持つものである。また、微粉末の空隙
率は50%以上、特に75〜99%、粒径は1μm〜2
mm、特に5〜200μmであることが好ましい。
微細空隙を有する耐熱性の微粉末としては、素材から素
材及び素材中の不純物が被処理水中に溶出しないものが
好ましい。微粉末として、具体的には、PEEK系微粉
末、シリカ系微粉末、スルホン酸ポリマー系微粉末及び
シリカ−スルホン酸ポリマー複合系微粉末から選ばれる
1種又は2種以上の混合物を好適に用いることができ
る。シリカ−スルホン酸ポリマー複合系微粉末は、耐熱
性200℃以上の球形多孔体でガラス多孔体と同程度の
高い耐圧縮強度を持つものである。また、微粉末の空隙
率は50%以上、特に75〜99%、粒径は1μm〜2
mm、特に5〜200μmであることが好ましい。
【0021】本発明の高温水処理装置は、前記耐熱性フ
ィルタの濾過面に前記微粉末をプリコートしてなる濾過
材を具備するものである。この場合、通常、上記濾過材
の多数を束ねて通水エレメントを構成する。また、プリ
コートの手段としては、高温水処理装置で被処理水を処
理する前に、前記微粉末を懸濁してなる微粉末含有液を
高温水処理装置に通液する手段を好適に採用することが
できるが、これに限定されるものではない。
ィルタの濾過面に前記微粉末をプリコートしてなる濾過
材を具備するものである。この場合、通常、上記濾過材
の多数を束ねて通水エレメントを構成する。また、プリ
コートの手段としては、高温水処理装置で被処理水を処
理する前に、前記微粉末を懸濁してなる微粉末含有液を
高温水処理装置に通液する手段を好適に採用することが
できるが、これに限定されるものではない。
【0022】本発明の高温水処理方法は、前述した本発
明の高温水処理装置により75℃以上の被処理水、特に
100〜250℃の被処理水を処理することを特徴とし
ている。この場合、上記被処理水としては、例えば、発
電所のボイラ(火力発電所)、原子炉(BWR)又は蒸
気発生器(PWR)に導入される水、すなわち給水や給
水加熱器及び湿分分離器のドレン水などが挙げられ、本
発明によれば上記給水やドレン水中に含まれる酸化鉄等
の不純物を十分に除去して、酸化鉄等の不純物がボイ
ラ、原子炉又は蒸気発生器に流入することを防止するこ
とができる。
明の高温水処理装置により75℃以上の被処理水、特に
100〜250℃の被処理水を処理することを特徴とし
ている。この場合、上記被処理水としては、例えば、発
電所のボイラ(火力発電所)、原子炉(BWR)又は蒸
気発生器(PWR)に導入される水、すなわち給水や給
水加熱器及び湿分分離器のドレン水などが挙げられ、本
発明によれば上記給水やドレン水中に含まれる酸化鉄等
の不純物を十分に除去して、酸化鉄等の不純物がボイ
ラ、原子炉又は蒸気発生器に流入することを防止するこ
とができる。
【0023】また、前記プリコートを行った後、ある一
定の期間は高温水処理装置の不純物除去性能が良好に維
持されるが、処理を続行している内に次第に高温水処理
装置の処理性能は低下する。そのため、高温水処理装置
の不純物除去性能が低下したときには、いったん高温水
処理装置の運転を停止し、濾過材の耐熱性フィルタから
微粉末を除去した後、耐熱性フィルタの濾過面に新たな
微粉末をプリコートして不純物除去性能を回復させてか
ら通水を再開することが好ましい。
定の期間は高温水処理装置の不純物除去性能が良好に維
持されるが、処理を続行している内に次第に高温水処理
装置の処理性能は低下する。そのため、高温水処理装置
の不純物除去性能が低下したときには、いったん高温水
処理装置の運転を停止し、濾過材の耐熱性フィルタから
微粉末を除去した後、耐熱性フィルタの濾過面に新たな
微粉末をプリコートして不純物除去性能を回復させてか
ら通水を再開することが好ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】図1は本発明に係る高温水処理装
置の一例を示すフロー図である。この高温水処理装置5
は、密閉容器51と、この密閉容器51を上室52と下
室53に分割する下方へ湾曲した隔壁(以下「チューブ
シート」と称す。)54と、このチューブシート54に
所定間隔をあけて空けて多数本(例えば数10〜数10
0本)立設され、かつ上室52と下室53を連通する連
通管(以下「チューブ」と称す。)55と、これらチュ
ーブ55の上端に接続されて上室52内に立設された例
えばステンレス鋼焼結金属からなるフィルタエレメント
56とを備えている。また、チューブシート54の中央
には被処理水が流入する流入管51Aが取り付けられ、
この流入管51Aは密閉容器51の底部を貫通し、配管
9Bに接続されている。そして、流入管51Aの出口上
方にはバッフルプレート57及びその中央に立設された
ドラフトチューブ57Aが配置され、このバッフルプレ
ート57及びドラフトチューブ57Aを介して流入水が
上室52全体へ均等に分散するようにしてある。また、
密閉容器51の下室53の底部には処理水が流出する流
出管51Bが取り付けられ、この流出管51Bは配管9
Bに接続されている。
置の一例を示すフロー図である。この高温水処理装置5
は、密閉容器51と、この密閉容器51を上室52と下
室53に分割する下方へ湾曲した隔壁(以下「チューブ
シート」と称す。)54と、このチューブシート54に
所定間隔をあけて空けて多数本(例えば数10〜数10
0本)立設され、かつ上室52と下室53を連通する連
通管(以下「チューブ」と称す。)55と、これらチュ
ーブ55の上端に接続されて上室52内に立設された例
えばステンレス鋼焼結金属からなるフィルタエレメント
56とを備えている。また、チューブシート54の中央
には被処理水が流入する流入管51Aが取り付けられ、
この流入管51Aは密閉容器51の底部を貫通し、配管
9Bに接続されている。そして、流入管51Aの出口上
方にはバッフルプレート57及びその中央に立設された
ドラフトチューブ57Aが配置され、このバッフルプレ
ート57及びドラフトチューブ57Aを介して流入水が
上室52全体へ均等に分散するようにしてある。また、
密閉容器51の下室53の底部には処理水が流出する流
出管51Bが取り付けられ、この流出管51Bは配管9
Bに接続されている。
【0025】また、高温水処理装置5には調整槽11が
付設され、この調整槽11内で例えばPEEK系の耐熱
性微粉末等をスラリーとして調整し、このスラリーを密
閉容器51の上室52内へ供給し、フィルタエレメント
56表面を耐熱性微粉末によってプリコートするように
してある。すなわち、調整槽11のスラリー流出管12
は流入管51Aに接続され、耐熱性微粉末のスラリーを
バッフルプレート57及びドラフトチューブ57Aを介
して上室52内の上下両方から供給し、フィルタエレメ
ント56表面全体に均一な厚さのプリコート層を形成す
るようにしてある。また、流出管51Bにはスラリーの
同伴水を回収する回収管13が接続され、この回収管1
3は途中で分岐し、一方の分岐管13Aは調整槽11に
回収され、他方の分岐管13Bはポンプ14と調整槽1
1間においてスラリー流出管12に接続されている。ま
た、51Cは溢流管で、密閉容器51内を満水にする時
にそのバルブ51Dを開放しておく。
付設され、この調整槽11内で例えばPEEK系の耐熱
性微粉末等をスラリーとして調整し、このスラリーを密
閉容器51の上室52内へ供給し、フィルタエレメント
56表面を耐熱性微粉末によってプリコートするように
してある。すなわち、調整槽11のスラリー流出管12
は流入管51Aに接続され、耐熱性微粉末のスラリーを
バッフルプレート57及びドラフトチューブ57Aを介
して上室52内の上下両方から供給し、フィルタエレメ
ント56表面全体に均一な厚さのプリコート層を形成す
るようにしてある。また、流出管51Bにはスラリーの
同伴水を回収する回収管13が接続され、この回収管1
3は途中で分岐し、一方の分岐管13Aは調整槽11に
回収され、他方の分岐管13Bはポンプ14と調整槽1
1間においてスラリー流出管12に接続されている。ま
た、51Cは溢流管で、密閉容器51内を満水にする時
にそのバルブ51Dを開放しておく。
【0026】高温水処理装置5による濾過処理は、次の
ように行われる。まず、流入管51Aから上室52内へ
被処理水が流入し、この被処理水がフィルタエレメント
56表面の耐熱性微粉末からなるプリコート層から軸心
側へ通過する間に、フィルタエレメント56により懸濁
物質が濾過される。濾過水は軸心側からチューブ55を
介して下室53内へ導入され、下室53を経由して流出
管51Bから流出する。そして、高温水処理装置5を使
用している間に主として酸化鉄微粒子等の懸濁物質がプ
リコート層に堆積し、フィルタエレメント56での差圧
が上昇したり、耐熱性微粉末の除鉄機能が低下した場
合、逆洗操作を行ってフィルタエレメントから微粉末を
除去した後、上述した調整槽11を用いて新たに微粉末
をフィルタエレメント表面にプリコートし、濾過処理を
再開する。
ように行われる。まず、流入管51Aから上室52内へ
被処理水が流入し、この被処理水がフィルタエレメント
56表面の耐熱性微粉末からなるプリコート層から軸心
側へ通過する間に、フィルタエレメント56により懸濁
物質が濾過される。濾過水は軸心側からチューブ55を
介して下室53内へ導入され、下室53を経由して流出
管51Bから流出する。そして、高温水処理装置5を使
用している間に主として酸化鉄微粒子等の懸濁物質がプ
リコート層に堆積し、フィルタエレメント56での差圧
が上昇したり、耐熱性微粉末の除鉄機能が低下した場
合、逆洗操作を行ってフィルタエレメントから微粉末を
除去した後、上述した調整槽11を用いて新たに微粉末
をフィルタエレメント表面にプリコートし、濾過処理を
再開する。
【0027】次に、PWRの蒸気−復水系統における本
発明の高温水処理装置の設置個所を示す。本発明の高温
水処理装置は、例えば、図2に示した位置A〜Eの内の
1箇所以上に設置することができる。
発明の高温水処理装置の設置個所を示す。本発明の高温
水処理装置は、例えば、図2に示した位置A〜Eの内の
1箇所以上に設置することができる。
【0028】位置Aは、低圧給水加熱器のドレン配管で
ある。ここに本発明の高温水処理装置を設置した場合、
被処理水(低圧給水加熱器ドレン水)の水温は75〜1
05℃、圧力は16〜32kg/cm2である。
ある。ここに本発明の高温水処理装置を設置した場合、
被処理水(低圧給水加熱器ドレン水)の水温は75〜1
05℃、圧力は16〜32kg/cm2である。
【0029】位置Bは、高圧給水加熱器のドレン配管で
ある。ここに本発明の高温水処理装置を設置した場合、
被処理水(高圧給水加熱器ドレン水)の水温は190〜
240℃、圧力は26〜31kg/cm2である。
ある。ここに本発明の高温水処理装置を設置した場合、
被処理水(高圧給水加熱器ドレン水)の水温は190〜
240℃、圧力は26〜31kg/cm2である。
【0030】位置Cは、湿分分離器のドレン配管であ
る。ここに本発明の高温水処理装置を設置した場合、被
処理水(湿分分離器ドレン水)の水温は185〜205
℃、圧力は13〜30kg/cm2である。
る。ここに本発明の高温水処理装置を設置した場合、被
処理水(湿分分離器ドレン水)の水温は185〜205
℃、圧力は13〜30kg/cm2である。
【0031】位置Dは、脱気器の出口配管(脱気器と高
圧給水加熱器との間の配管)である。ここに本発明の高
温水処理装置を設置した場合、被処理水(脱気器出口
水)の水温は145〜155℃、圧力は15〜32kg
/cm2である。
圧給水加熱器との間の配管)である。ここに本発明の高
温水処理装置を設置した場合、被処理水(脱気器出口
水)の水温は145〜155℃、圧力は15〜32kg
/cm2である。
【0032】位置Eは、蒸気発生器の入口配管(高圧給
水加熱器と蒸気発生器との間の配管)である。ここに本
発明の高温水処理装置を設置した場合、被処理水(蒸気
発生器直前の給水)の水温は222〜230℃、圧力は
76〜112kg/cm2である。
水加熱器と蒸気発生器との間の配管)である。ここに本
発明の高温水処理装置を設置した場合、被処理水(蒸気
発生器直前の給水)の水温は222〜230℃、圧力は
76〜112kg/cm2である。
【0033】また、火力発電所では、図2に示したPW
Rの蒸気発生器の位置に、蒸気発生器に代えて節炭器及
びボイラが順次設置されるが、火力発電所の蒸気−復水
系統に本発明の高温水処理装置の設置する場合、PWR
と同様に、低圧給水加熱器のドレン配管、高圧給水加熱
器のドレン配管、湿分分離器のドレン配管、脱気器の出
口配管の他に、節炭器入口配管(高圧給水加熱器と節炭
器との間の配管)、ボイラ入口配管(節炭器とボイラと
の間の配管)に設置することができる。
Rの蒸気発生器の位置に、蒸気発生器に代えて節炭器及
びボイラが順次設置されるが、火力発電所の蒸気−復水
系統に本発明の高温水処理装置の設置する場合、PWR
と同様に、低圧給水加熱器のドレン配管、高圧給水加熱
器のドレン配管、湿分分離器のドレン配管、脱気器の出
口配管の他に、節炭器入口配管(高圧給水加熱器と節炭
器との間の配管)、ボイラ入口配管(節炭器とボイラと
の間の配管)に設置することができる。
【0034】火力発電所において、低圧給水加熱器のド
レン配管に本発明の高温水処理装置を設置した場合、被
処理水の水温は80〜90℃、圧力は20〜30kg/
cm 2である。高圧給水加熱器のドレン配管の場合、被
処理水の水温は150〜180℃、圧力は15〜25k
g/cm2である。脱気器の出口配管の場合、被処理水
の水温は140〜190℃、圧力は10〜30kg/c
m2である。節炭器入口配管の場合、被処理水の水温は
280〜290℃、圧力は250〜260kg/cm2
である。ボイラ入口配管の場合、被処理水の水温は28
0〜290℃、圧力は250〜260kg/cm2であ
る。
レン配管に本発明の高温水処理装置を設置した場合、被
処理水の水温は80〜90℃、圧力は20〜30kg/
cm 2である。高圧給水加熱器のドレン配管の場合、被
処理水の水温は150〜180℃、圧力は15〜25k
g/cm2である。脱気器の出口配管の場合、被処理水
の水温は140〜190℃、圧力は10〜30kg/c
m2である。節炭器入口配管の場合、被処理水の水温は
280〜290℃、圧力は250〜260kg/cm2
である。ボイラ入口配管の場合、被処理水の水温は28
0〜290℃、圧力は250〜260kg/cm2であ
る。
【0035】なお、火力発電所の上記数値は、給水の水
質処理方法として、揮発性物質処理法(AVT)を適用
した場合の数値である。AVTは、給水にアンモニアを
添加してそのpHをアルカリ性(pH=8.5〜9.
6)にするとともに、若干のヒドラジンを添加すること
により、脱気器及びヒドラジンによる脱気条件下(酸素
除去)で配管等の鋼材の表面に酸化鉄(Fe3O4:マグ
ネタイト)の保護被膜を生成させ、防食を行うものであ
る。
質処理方法として、揮発性物質処理法(AVT)を適用
した場合の数値である。AVTは、給水にアンモニアを
添加してそのpHをアルカリ性(pH=8.5〜9.
6)にするとともに、若干のヒドラジンを添加すること
により、脱気器及びヒドラジンによる脱気条件下(酸素
除去)で配管等の鋼材の表面に酸化鉄(Fe3O4:マグ
ネタイト)の保護被膜を生成させ、防食を行うものであ
る。
【0036】
【実施例】本発明の高温水処理装置を用いてPWRの脱
気器の出口水の処理を行った。すなわち、図2の位置D
に本発明の高温水処理装置を設置した。被処理水の温度
は145℃、圧力は25kg/cm2、流速は10m/
hであった。また、高温水処理装置としては、孔径1μ
mの微細孔を有するステンレス鋼焼結金属からなる内径
6mm、外径10mmの管状フィルタの濾過面に、下記
(a)〜(d)に示す微粉末をプリコートしてなる濾過
材を具備するものを用いた。この濾過材の多数を束ねて
通水エレメントを構成し、さらにこの通水エレメントの
複数個を用いて高温水処理装置を構成した。また、比較
例として、微粉末をプリコートしない以外は上記と同様
の高温水処理装置を用いて同様の処理を行った。
気器の出口水の処理を行った。すなわち、図2の位置D
に本発明の高温水処理装置を設置した。被処理水の温度
は145℃、圧力は25kg/cm2、流速は10m/
hであった。また、高温水処理装置としては、孔径1μ
mの微細孔を有するステンレス鋼焼結金属からなる内径
6mm、外径10mmの管状フィルタの濾過面に、下記
(a)〜(d)に示す微粉末をプリコートしてなる濾過
材を具備するものを用いた。この濾過材の多数を束ねて
通水エレメントを構成し、さらにこの通水エレメントの
複数個を用いて高温水処理装置を構成した。また、比較
例として、微粉末をプリコートしない以外は上記と同様
の高温水処理装置を用いて同様の処理を行った。
【0037】(a)PEEK系微粉末 (b)シリカ系微粉末 (c)スルホン酸ポリマー系微粉末 (d)シリカ−スルホン酸ポリマー複合系微粉末
【0038】除鉄率の測定結果を図3に示す。図3よ
り、本発明によれば、PWRの蒸気−復水系における高
温の給水やドレン水中に含まれる酸化鉄等の不純物を十
分に除去して、酸化鉄等の不純物がボイラ、原子炉又は
蒸気発生器に流入することを防止できることが確認され
た。
り、本発明によれば、PWRの蒸気−復水系における高
温の給水やドレン水中に含まれる酸化鉄等の不純物を十
分に除去して、酸化鉄等の不純物がボイラ、原子炉又は
蒸気発生器に流入することを防止できることが確認され
た。
【0039】また、PWRにおいて、復水濾過装置及
び本発明高温水処理装置をいずれも設置しない場合、
復水濾過装置を設置し、本発明高温水処理装置を設置し
ない場合、及び、復水濾過装置を設置せず、本発明高
温水処理装置を蒸気−復水系に設置した場合における、
蒸気発生器への鉄持ち込み割合を調べた。において
は、本発明の高温水処理装置を脱気器の出口配管(図2
の位置D)に設置した。
び本発明高温水処理装置をいずれも設置しない場合、
復水濾過装置を設置し、本発明高温水処理装置を設置し
ない場合、及び、復水濾過装置を設置せず、本発明高
温水処理装置を蒸気−復水系に設置した場合における、
蒸気発生器への鉄持ち込み割合を調べた。において
は、本発明の高温水処理装置を脱気器の出口配管(図2
の位置D)に設置した。
【0040】結果を図4に示す。図4より、本発明によ
れば、PWRの蒸気−復水系における高温の給水やドレ
ン水中に含まれる酸化鉄等の不純物を十分に除去して、
酸化鉄等の不純物がボイラ、原子炉又は蒸気発生器に流
入することを防止できることが確認された。
れば、PWRの蒸気−復水系における高温の給水やドレ
ン水中に含まれる酸化鉄等の不純物を十分に除去して、
酸化鉄等の不純物がボイラ、原子炉又は蒸気発生器に流
入することを防止できることが確認された。
【0041】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、発電所
のボイラ、原子炉、蒸気発生器などに供給される高温の
水を処理して、この水中に含まれる酸化鉄等の不純物を
十分に除去することができる。したがって、上記酸化鉄
等の不純物がボイラ管壁、原子炉内構造物、原子燃料棒
等に付着することによって、伝熱抵抗の増加、機器・配
管の腐食、放射能の増加といった様々な問題を引き起こ
すことを防止することができる。
のボイラ、原子炉、蒸気発生器などに供給される高温の
水を処理して、この水中に含まれる酸化鉄等の不純物を
十分に除去することができる。したがって、上記酸化鉄
等の不純物がボイラ管壁、原子炉内構造物、原子燃料棒
等に付着することによって、伝熱抵抗の増加、機器・配
管の腐食、放射能の増加といった様々な問題を引き起こ
すことを防止することができる。
【0042】また、本発明によれば、発電所のボイラ、
原子炉、蒸気発生器などに供給される高温の水中に含ま
れる酸化鉄等の不純物を十分に除去することができるの
で、本発明を使用した場合、従来の腐食生成物低減対策
である、ETAによって給水のPH調整を行う方法、復
水濾過装置に中空糸膜濾過器を用いる方法を採る必要が
なくなる。前者の腐食生成物低減対策はETAの廃液処
理に費用が嵩むこと、後者の腐食生成物低減対策は目詰
まりによる中空糸膜の交換費用が嵩むことから、上記腐
食生成物低減対策を採らずに済めば、プラント運転コス
トを大きく低減することができる。
原子炉、蒸気発生器などに供給される高温の水中に含ま
れる酸化鉄等の不純物を十分に除去することができるの
で、本発明を使用した場合、従来の腐食生成物低減対策
である、ETAによって給水のPH調整を行う方法、復
水濾過装置に中空糸膜濾過器を用いる方法を採る必要が
なくなる。前者の腐食生成物低減対策はETAの廃液処
理に費用が嵩むこと、後者の腐食生成物低減対策は目詰
まりによる中空糸膜の交換費用が嵩むことから、上記腐
食生成物低減対策を採らずに済めば、プラント運転コス
トを大きく低減することができる。
【図1】本発明に係る高温水処理装置の一例を示すフロ
ー図である。
ー図である。
【図2】PWRの蒸気−復水系統における本発明の高温
水処理装置の設置個所を示す、一般的なPWRの蒸気−
復水系統の概要図である。
水処理装置の設置個所を示す、一般的なPWRの蒸気−
復水系統の概要図である。
【図3】実施例における除鉄率の測定結果を示すグラフ
である。
である。
【図4】実施例における蒸気発生装置への鉄持ち込み割
合の測定結果を示すグラフである。
合の測定結果を示すグラフである。
【図5】一般的なPWRの蒸気−復水系統の概要図であ
る。
る。
5 高温水処理装置 51 密閉容器 51A 流入管 51B 流出管 52 上室 53 下室 54 チューブシート 55 チューブ 56 フィルタエレメント 57 バッフルプレート 11 調整槽 12 スラリー流出管 13 回収管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B01D 37/02 C02F 1/00 L 63/00 B01D 29/10 510D C02F 1/00 530A 35/02 Z (72)発明者 津田 悟 東京都江東区新砂1丁目2番8号 オルガ ノ株式会社内 Fターム(参考) 4D006 GA02 HA01 HA28 JA29A KA32 KA63 KC03 KE02P KE06P KE07P KE16R KE24P MA01 MA02 MA22 MA33 MB15 MC02X MC47 MC62 PA01 PB07 PB22 PC31 PC32 4D064 AA40 DC05 4D066 BA01 BB06 BB20 CA01 CA12 CA14 EA03 EA06 FA02
Claims (9)
- 【請求項1】 高温の被処理水を処理して該被処理水中
に含まれる不純物を除去する高温水処理装置であって、
微細孔を有する耐熱性フィルタの濾過面に、多数の微細
空隙を有する耐熱性の微粉末をプリコートしてなる濾過
材を具備することを特徴とする高温水処理装置。 - 【請求項2】 微細孔を有する耐熱性フィルタが、孔径
0.01〜10μmの微細孔を有する耐熱性有機高分子
材料からなる中空糸膜フィルタであることを特徴とする
請求項1に記載の高温水処理装置。 - 【請求項3】 中空糸膜フィルタが、PEEK系高分子
材料又はポリスルホン系高分子材料からなることを特徴
とする請求項2に記載の高温水処理装置。 - 【請求項4】 微細孔を有する耐熱性フィルタが、孔径
0.01〜100μmの微細孔を有するステンレス鋼焼
結金属からなる管状フィルタであることを特徴とする請
求項1に 記載の高温水処理装置。 - 【請求項5】 微細孔を有する耐熱性フィルタが、孔径
0.01〜100μmの微細孔を有する金網型ステンレ
ス鋼からなる管状フィルタであることを特徴とする請求
項1に記載の高温水処理装置。 - 【請求項6】 多数の微細空隙を有する耐熱性の微粉末
が、空隙率50%以上で粒径1μm〜2mmのPEEK
系微粉末、シリカ系微粉末、スルホン酸ポリマー系微粉
末及びシリカ−スルホン酸ポリマー複合系微粉末から選
ばれる1種又は2種以上の混合物であることを特徴とす
る請求項1〜5のいずれか1項に記載の高温水処理装
置。 - 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の高
温水処理装置により75℃以上の被処理水を処理するこ
とを特徴とする高温水処理方法。 - 【請求項8】 被処理水が、発電所のボイラ、原子炉又
は蒸気発生器に導入される水であり、該被処理水を復水
処理装置の下流側で請求項1〜6のいずれか1項に記載
の高温水処理装置により処理することを特徴とする請求
項7に記載の高温水処理方法。 - 【請求項9】 高温水処理装置の不純物除去性能が低下
したときに、濾過材の耐熱性フィルタから微粉末を除去
した後、耐熱性フィルタの濾過面に新たな微粉末をプリ
コートすることを特徴とする請求項7又は8に記載の高
温水処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11196009A JP2001017968A (ja) | 1999-07-09 | 1999-07-09 | 高温水処理装置及び高温水処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11196009A JP2001017968A (ja) | 1999-07-09 | 1999-07-09 | 高温水処理装置及び高温水処理方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001017968A true JP2001017968A (ja) | 2001-01-23 |
Family
ID=16350721
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11196009A Pending JP2001017968A (ja) | 1999-07-09 | 1999-07-09 | 高温水処理装置及び高温水処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001017968A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006150171A (ja) * | 2004-11-25 | 2006-06-15 | Mitsubishi Heavy Ind Ltd | 給水及びドレン水処理設備およびそのスケール付着抑制方法 |
JP2006231181A (ja) * | 2005-02-24 | 2006-09-07 | Ngk Insulators Ltd | 清澄水の膜ろ過方法 |
JP2006326487A (ja) * | 2005-05-26 | 2006-12-07 | Toshiba Corp | 高温水中クラッドまたはイオンの除去方法および除去装置 |
CN106698545A (zh) * | 2016-12-26 | 2017-05-24 | 临涣水务股份有限公司 | 一种蒸汽冷凝水回收装置 |
-
1999
- 1999-07-09 JP JP11196009A patent/JP2001017968A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006150171A (ja) * | 2004-11-25 | 2006-06-15 | Mitsubishi Heavy Ind Ltd | 給水及びドレン水処理設備およびそのスケール付着抑制方法 |
JP4508846B2 (ja) * | 2004-11-25 | 2010-07-21 | 三菱重工業株式会社 | 給水及びドレン水処理設備およびそのスケール付着抑制方法 |
JP2006231181A (ja) * | 2005-02-24 | 2006-09-07 | Ngk Insulators Ltd | 清澄水の膜ろ過方法 |
JP2006326487A (ja) * | 2005-05-26 | 2006-12-07 | Toshiba Corp | 高温水中クラッドまたはイオンの除去方法および除去装置 |
CN106698545A (zh) * | 2016-12-26 | 2017-05-24 | 临涣水务股份有限公司 | 一种蒸汽冷凝水回收装置 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US3250703A (en) | Process and apparatus for removing impurities from liquids | |
EP0876198B1 (en) | Method and device for removing iron from aqueous liquids | |
CN101935118A (zh) | 热水膜法净化和回用工艺 | |
CN207108703U (zh) | 一种纯化水膜系统 | |
JP2001017968A (ja) | 高温水処理装置及び高温水処理方法 | |
Sudak | Reverse osmosis | |
CN106517597A (zh) | 一种电镀含镍废水的处理系统 | |
JPS63273093A (ja) | 復水浄化装置 | |
JP4402969B2 (ja) | ろ過器 | |
JP5350337B2 (ja) | 放射性廃棄物処理方法及びその装置 | |
CN206408003U (zh) | 一种电镀含镍废水的处理系统 | |
CN203820486U (zh) | 一种高温凝结水精处理装置 | |
JP2012228676A (ja) | ろ過装置および発電プラント | |
JP2001017983A (ja) | 発電所の給水中の鉄成分低減方法 | |
JP2708043B2 (ja) | プラントの運転方法 | |
JP5340237B2 (ja) | 放射性廃液処理装置 | |
JP4202277B2 (ja) | ろ過器およびそれを用いた発電プラント | |
JP2530609B2 (ja) | 放射性高電導度廃液処理設備 | |
JPH0353999B2 (ja) | ||
JPS63274405A (ja) | 中空糸膜濾過装置の逆洗水処理方法 | |
US5407582A (en) | Method of treating power generating plant condensate | |
JPH10192605A (ja) | ろ床ろ過器およびこのろ過器を設置した発電プラント | |
JPS63315190A (ja) | プラントの運転方法 | |
JPH08105995A (ja) | 復水濾過装置 | |
JPH11165006A (ja) | 発電所ヒータードレン水の処理方法 |