JPH1156675A - 仮設トイレ及び仮設トイレ用屎尿容器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 この発明は、容易に繰り返して使用すること
ができると共に屎尿の処理が容易な仮設トイレを提供す
ることを課題とする。 【解決手段】 支持床部材６の落下口５の下部に袋状の
フレキシブルな屎尿容器３を取り付け、この屎尿容器３
を地中に埋設された収納槽１内に収納しつつ支持床部材
６で収納槽１の頂部を覆い、支持床部材６の上にトイレ
ブース２を載せて固定する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、災害時等に使用
される仮設トイレ及びこのような仮設トイレに使用され
る屎尿容器に関する。

【０００２】

【従来の技術】地震や火事等の大災害により多数の家屋
やビルが倒壊したり焼失した場合には、使用可能なトイ
レが不足して、復旧するまでの間、多くの人々に不都合
を強いることとなる。一般に工事現場等で用いられてい
る仮設トイレを被災地に持ち込んで対応することも考え
られるが、災害時には仮設トイレを搬送するための道路
や鉄道等の搬送手段が遮断されることが多く、また、こ
のような仮設トイレではそれぞれの収容量が小さいため
に、避難所等で大人数が長期間にわたって使用するには
適したものではない。

【０００３】そこで、実用新案登録第３０２３７０２号
には、地中に埋設された大型便槽の中に予めトイレブー
ス、すなわちトイレの床上部分全体を収納しておき、緊
急事態が発生すると、大型便槽からトイレブースを引き
出し、便槽の上に蓋板状の支持床を介してトイレブース
を設置する組立式のトイレが開示されている。このトイ
レでは、災害時に他の場所からトイレを搬送する必要が
なく、またトイレブースが入るような大型の便槽を用い
るために、その収容量が大きいという利点がある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、便槽が
地中に埋設されて固定されているために、汲み取りある
いは簡易水洗方式等で屎尿の処分をしなければならず、
そのためにバキュームカーが必要になるという問題があ
る。また、緊急事態の終結等によりトイレブースを再び
地中の便槽内に収納しようとする際には、収納場所であ
る便槽の清掃が困難を極めるという問題があった。

【０００５】この発明はこのような従来の問題点を解消
するためになされたもので、容易に繰り返して使用する
ことができると共に屎尿の処理が容易な仮設トイレを提
供することを目的とする。また、この発明は、このよう
な仮設トイレに使用される屎尿容器を提供することも目
的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この発明に係る仮設トイ
レは、地中に埋設された収納槽と、収納槽内に収納可能
なトイレブースと、収納槽の頂部を覆うと共に落下口を
有する蓋板状の支持床部材と、支持床部材の落下口の下
部に脱着自在に取り付けられると共に屎尿を貯留するた
めの袋状のフレキシブルな屎尿容器とを備えている。平
常時には収納槽内にトイレブースを収納して収納槽の頂
部を支持床部材で覆い、災害時等に使用する際には、収
納槽内からトイレブースを引き出し、支持床部材の下部
に屎尿容器を取り付けてこの屎尿容器が収納槽内に収納
されるように支持床部材で収納槽の頂部を覆い、支持床
部材の上にトイレブースを固定する。なお、屎尿容器
は、平常時に折り畳まれてトイレブースと共に収納槽内
に収納することができる。さらに、平常時に支持床部材
の上部を覆うための蓋体を備えてもよい。

【０００７】また、この発明に係る仮設トイレ用屎尿容
器は、頂部に落下口が形成されたフレキシブルな袋状の
本体と、この本体の落下口を仮設トイレの便器の下部に
脱着自在に取り付けるための取付部材とを備えたもので
ある。本体の外側部に吊り上げ用のベルトが取り付けて
もよく、また本体の外周部に補強用の環状の骨部材を設
けてもよい。さらに、本体の底部に排出用パイプを設
け、この排出用パイプを閉塞部材で閉じるようにするこ
ともできる。本体の上部に臭気誘導用のパイプを設けて
もよい。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を添
付図面に基づいて説明する。図１にこの発明の実施の形
態に係る仮設トイレの平常時の状態を示す。収納槽１が
その頂部のみを地上に露出させて地中に埋設されてい
る。収納槽１内には、予め形成あるいは組み立てられた
トイレブース２が収納されると共に、折り畳まれた屎尿
容器３がトイレブース２の上に載置されている。また、
収納槽１の上部内壁面には、使用時に屎尿容器３を支持
するための複数のフック４が配設されている。収納槽１
の頂部はその中央部に落下口５を有する蓋板状の支持床
部材６で覆われ、さらに支持床部材６の上部が蓋体７で
覆われている。

【０００９】なお、収納槽１の材質としては、ＦＲＰ等
の合成樹脂を用いることもできるが、地震の際に液状化
現象が生じても浮き上がることがないように、プレキャ
ストコンクリート、現場施工コンクリート等が適してい
る。また、支持床部材６は、後述するように、使用時に
トイレブース２を支持する手段となるため、十分な強度
を要し、コンクリートパネル、鉄板等から形成すること
が好ましい。蓋体７は、支持床部材６ほどの強度は要求
されないものの、蓋体７の上に人や物が乗った場合に、
特に支持床部材６の落下口５に対応する部分が破損しな
い程度の強度を有することが望ましい。

【００１０】災害等が発生してこの仮設トイレを使用す
る際には、まず蓋体７及び支持床部材６を取り外し、収
納槽１内から屎尿容器３とトイレブース２を引き上げ
る。このとき、実用新案登録第３０２３７０２号に記載
されているようなウインチを予め収納槽１内に収納して
おき、このウインチを利用してトイレブース２を吊り上
げるようにすることもできる。次に、図２に示されるよ
うに、支持床部材６の落下口５の下部に取付部材８を介
して屎尿容器３を取り付け、この屎尿容器３を収納槽１
内に収納しつつ支持床部材６で再び収納槽１の頂部を覆
う。さらに、支持床部材６の上にトイレブース２を載せ
て、これを固定する。トイレブース２の床材９の上には
便器１０が設置されており、便器１０が落下口５の直上
に位置するようにトイレブース２は固定される。なお、
屎尿容器３には姿勢支持用の複数のベルト１１が取り付
けられており、図３に示されるように、それぞれ収納槽
１のフック４に掛けられている。

【００１１】屎尿容器３を図４に示す。屎尿容器３は、
頂部に落下口１２が形成された袋状の本体１３と、落下
口１２を囲むように本体１３に取り付けられた環状の取
付部材８とを有している。本体１３は、フレキシブルで
且つ十分な遮水性及び強度を有するゴム、塩化ビニル、
ポリプロピレン、ポリエチレン等の材質から形成されて
いる。本体１３の外周部には、強度を増すための複数の
環状の骨部材１４が取り付けられると共に、本体１３の
外側部には、この屎尿容器３を吊り上げるためのベルト
１５が取り付けられている。このベルト１５は、本体１
３の内部に貯留された屎尿と共に屎尿容器３を収納槽１
の上に吊り上げて取り出すことができるように、十分な
強度を有するものである。

【００１２】また、本体１３の底部には開口部１６が形
成され、この開口部１６に排出用パイプ１７が連結され
ている。排出用パイプ１７は、屎尿処理時に本体１３内
から屎尿を排出するためのもので、収納槽１に収納され
ているときには排出用パイプ１７から屎尿が出ないよう
に閉塞部材１８によって閉塞されている。さらに、本体
１３の上部には、臭気誘導用のパイプ１９が取り付けら
れている。

【００１３】取付部材８には、複数の取付ボルト２０が
立設されており、図５に示されるように、これらの取付
ボルト２０は支持床部材６の落下口５の周辺に形成され
た貫通孔及びトイレブース２の床材９に形成された貫通
孔に通され、床材９の上で蝶ナット２１等により締結さ
れる。

【００１４】このようにして組み立てられた仮設トイレ
を使用すると、屎尿はトイレブース２内の便器１０から
支持床部材６の落下口５及び屎尿容器３の落下口１２を
介して本体１３内に落下し貯留される。このため、屎尿
が収納槽１の内壁部に直接接することがない。屎尿容器
３の本体１３内が屎尿で満たされたときには、トイレブ
ース２及び支持床部材６を取り外し、フォークリフト等
によりベルト１５を用いて屎尿容器３を収納槽１の外に
取り出して屎尿処理を行う。このとき、必要に応じ、閉
塞部材１８を外して排出用パイプ１７から屎尿を排出さ
せる。その後、新たな屎尿容器３を取り付ける、あるい
は屎尿を排出した屎尿容器３を再び取り付けることによ
り、仮設トイレの再度の使用が可能である。また、緊急
事態の終結等により仮設トイレが不要になったときに
は、同様にして屎尿容器３を収納槽１の外に取り出した
後、トイレブース２を収納槽１内に収納し、新たな屎尿
容器３を折り畳んでトイレブース２の上に載置し、収納
槽１の頂部を支持床部材６で覆い、さらに支持床部材６
の上部を蓋体７で覆って図１に示す状態に戻す。この
際、収納槽１の内部は屎尿によって汚れていないので、
特に清掃をすることなく容易にトイレブース２を収納す
ることができる。

【００１５】図１に示した実施の形態においては、収納
槽１がその頂部のみを地上に露出させて地中に埋設され
ていたが、美観や安全性への配慮から収納槽１の頂部を
隠蔽することが望まれる場合には、例えば図６に示され
るように、蓋体７を含めてこの仮設トイレを完全に地中
に埋設することもできる。ただし、蓋体７の上に配置さ
れる土等による覆いは、災害時等にトイレとして使用す
るために即座に除去できる程度の厚さであることが好ま
しい。

【００１６】なお、収納槽１及びトイレブース２の形状
は、図示した平面矩形状のものに限られるものではな
く、トイレブース２が収納槽１内に収納され、また収納
槽１から引き出すことができれば、どのような形状でも
構わない。また、この発明の仮設トイレは、災害時のみ
ならず、多くの人が集まる各種イベントの際にも使用す
ることができる。

【００１７】

【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、地中に埋設された収納槽内に袋状のフレキシブルな
屎尿容器を収納して使用するので、収納槽の内部に直接
屎尿が接することが防止され、屎尿容器を取り替えるこ
とによって容易に仮設トイレを繰り返し使用することが
可能となる。また、屎尿容器が屎尿で満たされたときに
は、屎尿容器ごと収納槽から取り出して処理することが
でき、屎尿の処理が大幅に改善される。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施の形態に係る仮設トイレの平常
状態を示す一部破断側面図である。

【図２】実施の形態に係る仮設トイレの使用状態を示す
一部破断側面図である。

【図３】使用状態における仮設トイレの収納槽内を示す
平面図である。

【図４】仮設トイレに使用される屎尿容器を示す斜視図
である。

【図５】支持床部材への屎尿容器の取付部を示す斜視図
である。

【図６】他の実施の形態に係る仮設トイレの平常状態を
示す一部破断側面図である。

【符号の説明】

１ 収納槽 ２ トイレブース ３ 屎尿容器 ４ フック ５，１２ 落下口 ６ 支持床部材 ７ 蓋体 ８ 取付部材 ９ 床材 １０ 便器 １１，１５ ベルト １３ 本体 １４ 骨部材 １６ 開口部 １７ 排出用パイプ １８ 閉塞部材 １９ 臭気誘導用パイプ ２０ 取付ボルト ２１ 蝶ナット

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 地中に埋設された収納槽と、 前記収納槽内に収納可能なトイレブースと、 前記収納槽の頂部を覆うと共に落下口を有する蓋板状の
   支持床部材と、 前記支持床部材の落下口の下部に脱着自在に取り付けら
   れると共に屎尿を貯留するための袋状のフレキシブルな
   屎尿容器とを備え、平常時には前記収納槽内に前記トイ
   レブースを収納して前記収納槽の頂部を前記支持床部材
   で覆い、使用時には前記収納槽内から前記トイレブース
   を引き出し、前記支持床部材の下部に前記屎尿容器を取
   り付けてこの屎尿容器が前記収納槽内に収納されるよう
   に前記支持床部材で前記収納槽の頂部を覆い、前記支持
   床部材の上に前記トイレブースを固定することを特徴と
   する仮設トイレ。
2. 【請求項２】 前記屎尿容器は、平常時に折り畳まれて
   前記収納槽内に収納される請求項１に記載の仮設トイ
   レ。
3. 【請求項３】 平常時に前記支持床部材の上部を覆うた
   めの蓋体を備えた請求項１または２に記載の仮設トイ
   レ。
4. 【請求項４】 頂部に落下口が形成されたフレキシブル
   な袋状の本体と、前記本体の落下口を仮設トイレの便器
   の下部に脱着自在に取り付けるための取付部材とを備え
   たことを特徴とする仮設トイレ用屎尿容器。
5. 【請求項５】 前記本体の外側部に吊り上げ用のベルト
   が取り付けられている請求項４に記載の屎尿容器。
6. 【請求項６】 前記本体の外周部に補強用の環状の骨部
   材が設けられている請求項４または５に記載の屎尿容
   器。
7. 【請求項７】 前記本体の底部に設けられた排出用パイ
   プと、この排出用パイプを閉じるための閉塞部材とを備
   えた請求項４〜６のいずれか一項に記載の屎尿容器。
8. 【請求項８】 前記本体の上部に臭気誘導用のパイプを
   設けた請求項４〜７のいずれか一項に記載の屎尿容器。