JPH1152342A - 液晶表示素子、及びその製造方法 - Google Patents

液晶表示素子、及びその製造方法

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JPH1152342A
JPH1152342A JP10149033A JP14903398A JPH1152342A JP H1152342 A JPH1152342 A JP H1152342A JP 10149033 A JP10149033 A JP 10149033A JP 14903398 A JP14903398 A JP 14903398A JP H1152342 A JPH1152342 A JP H1152342A
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浩史 久保田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】表示ムラが生じることなく、コントラストや散
乱性等の表示特性に優れた液晶表示素子、及びその製造
方法を提供する。 【解決手段】液晶表示素子は、高分子化合物を含み構成
されたマトリクス連続相中に液晶滴が分散保持され、又
は高分子化合物を含み構成された三次元網目状マトリク
スの網目内に液晶が分散保持された高分子液晶複合体層
104を有している。このような高分子液晶複合体層1
04に於いて、シール材106近傍の亀裂110が発生
する非表示領域202以外を表示領域201とすること
により、亀裂110が発生しても該亀裂110に起因す
る筋状の表示ムラが表示画面上で視認されるのを防止で
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示素子に関
し、より詳しくは高分子化合物中に液晶を分散させた液
晶表示素子、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の高分子分散型液晶表示素子の構造
は、次の3種類に大別できる。即ち、1番目は高分子マ
トリクス中に液晶滴が互いに独立して分散したものであ
る(例えば、Society for information display intern
ational symposium digest'90P.227-230)。
【0003】2番目は、液晶滴が互いに独立ではなく、
一部が相互に接触し連なった状態で存在しているもので
ある(例えば、第22回液晶討論会講演予稿集p.403-40
4、1996)。
【0004】3番目は、高分子マトリクスが3次元網目
状をなし、液晶が網目間に連続層を形成したポリマーネ
ットワーク型高分子分散液晶である(例えば、米国特許
第5304323 号、第15回液晶討論会講演予稿集、 p.190
、1989)。
【0005】従来の高分子分散型液晶表示素子は、一つ
の素子においてこれら3種類のうち何れか1種類の構造
を採用するのが通例であった。
【0006】ここで、従来の高分子分散型液晶表示素子
は、以下の手法にて作製されていた。(図18(a)参
照) 先ず、対向する上基板1001及び下基板1002を、
シール材1006を介してギャップが均一となるように
貼り合わせる。次に、上基板1001と下基板1002
との間に、液晶材料及び重合性モノマーを含む混合物を
注入し、重合温度や照射強度が所定の条件となるように
設定して、該混合物に紫外線を照射する。これにより、
モノマーを重合させることで、液晶材料とモノマーとを
相分離させている。
【0007】この結果、上記の条件に応じて、2枚の基
板間に、液晶材料が高分子マトリクス中に分散している
状態、又は高分子マトリクス中に液晶材料が連続的に繋
がって分散している状態が形成される(例えば、フラッ
トパネルディスプレイ’91、日経BP社、221貢参
照)。尚、紫外線の照射強度はパネル面内で均一となる
ように、紫外線が照射されていた。
【0008】以上のようにして作製される高分子分散型
液晶表示素子のうち、実際にTFT型液晶パネルで実用
化されたのは、高分子マトリクス中に液晶滴が互いに独
立して分散した構造のものであった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、液晶滴
が互いに完全に独立した構造の高分子分散型液晶表示素
子では、散乱性が低いことからコントラストが悪く、又
駆動電圧が高いという問題点を有する。
【0010】上記のような散乱性の低下は、下記の理由
による。即ち、互いに独立した液晶滴の場合、その粒径
は0.8μm程度であり、これより大きくなると液晶滴
の一部が繋がった形態となる。ここで、例えば入射して
くる光の波長が0.4μm程度の場合、十分な散乱性を
得る為には液晶滴の粒径は1.2μm程度必要となる。
しかしながら、上記のように相互に独立した液晶滴では
粒径が小さすぎる為、散乱性が低い。この為コントラス
トの劣化が生じる。又、駆動電圧が高くなるのは、下記
の理由による。即ち、一部が相互に接触し連なった液晶
滴の場合と同様の散乱性を得る為には、相互に独立した
液晶滴の場合、上記したように散乱性が低いためパネル
ギャップを大きくする必要がある。この結果、駆動電圧
が高くなる。
【0011】又、液晶滴の一部が相互に繋がった構成の
高分子分散型液晶表示素子、若しくはポリマーネットワ
ーク型の高分子分散型液晶表示素子に於いては、周囲の
温度変化によりシール材近傍から表示領域に係る高分子
樹脂に亀裂を生じ、筋状の表示ムラが発生するという問
題点を有する。
【0012】上記のような表示ムラは、例えば上記高分
子分散型液晶表示素子の温度特性の信頼性を評価する為
に、高温の環境下で一定時間放置した後、室温まで冷却
する検査工程を行う場合等に発生することを本発明者等
は見出した。このような表示ムラの発生するメカニズム
を以下に説明する。即ち、高分子分散型液晶表示素子
を、例えば80℃の高温下で24時間放置すると、図1
8(b)に示すように、高分子樹脂1005及び液晶1
004は膨張する。ここで、基板を支えるシール材10
05も温度と共に膨張するが、膨張の度合いはシール材
1005の方がかなり小さい。この為、液晶パネルの断
面は上下基板で凸状に変形する。高温では液晶の粘度が
急激に減少するため液晶が流動しやすい。又、上基板1
001及び下基板1002の周縁部はシール材1005
により固定されている。よって、複合体層1003は、
同図に示す矢印方向に上基板1001及び下基板100
2から圧力を受ける。この為、シール材1006近傍の
液晶は該圧力を受けてパネル内部に流動する。次に、液
晶パネルを室温まで冷却すると、室温では液晶の粘度が
高くなる。これにより、液晶パネル中央部に流動した液
晶は、シール材1006近傍まで戻らず、結果的にシー
ル材1006近傍での液晶密度が低下する。この為、シ
ール材1006近傍の高分子樹脂マトリクスに上基板1
001及び下基板1002から圧力が加わると、高分子
樹脂に亀裂1007が発生する(図18(c)参照)。
よって、表示画面の周縁部に筋状の表示ムラが生じる。
【0013】以上のように、液晶滴が互いに完全に独立
した構造の高分子分散型液晶表示素子では、表示画面上
に筋状の表示ムラは視認されないがコントラストが本来
的に低い一方、液晶滴の一部が相互に繋がった構成の高
分子分散型液晶表示素子、若しくはポリマーネットワー
ク型の高分子分散型液晶表示素子では、コントラストは
良好なものの表示画面上には筋状の表示ムラが視認され
ていた。即ち、良好なコントラストを実現し、かつ表示
ムラの発生を防止した高分子分散型液晶表示素子は、こ
れまでに見出されていなかった。
【0014】本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされ
たものであり、その目的は表示ムラが生じることなく、
コントラストや散乱性等の表示特性に優れた液晶表示素
子、及びその製造方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決する為
に、請求項1に記載の液晶表示素子は、高分子化合物中
に液晶滴が分散された高分子液晶複合体層が、内側面に
それぞれ電極を備えた一対の基板の間に配置され、かつ
シール材により上記一対の基板が貼り合わされた液晶表
示素子であって、上記高分子液晶複合体層は、高分子化
合物を含み構成されたマトリクス連続相中に液晶滴が分
散保持され、又は高分子化合物を含み構成された三次元
網目状マトリクスの網目内に液晶が分散保持されたもの
であり、上記高分子液晶複合体層の外周面とシール材の
内周面とが密着するように形成され、かつ、上記高分子
液晶複合体層に於ける本体部が表示領域となり、該高分
子液晶複合体層に於ける上記シール材近傍の周縁部が非
表示領域となるように分割され、更に、上記表示領域に
於ける高分子液晶複合体層は、高分子化合物を含み構成
されたマトリクス連続相中に、液晶滴が一部相互に繋が
った状態で分散保持され、又は高分子化合物を含み構成
された三次元網目状マトリクスの網目内に液晶が分散保
持されたものであり、上記表示領域に於ける液晶滴の粒
径又は網の目の間隔と、上記非表示領域に於ける液晶滴
の粒径又は網の目の間隔とが異なるように形成されてい
ることを特徴とする。
【0016】上記の構成によれば、非表示領域に於ける
液晶滴の粒径又は網の目の間隔と、表示領域に於ける液
晶滴の粒径又は網の目の間隔とが異なるように形成され
ることにより、例えば周囲の温度が高温から低温へ変化
する環境下に放置する信頼性試験等を行った場合に、シ
ール材近傍に於ける高分子液晶複合体層に亀裂が発生す
るのを防止できる。
【0017】具体的には、非表示領域の液晶滴の粒径又
は網の目の間隔が、表示領域の液晶滴の粒径又は網の目
の間隔よりも小さく、かつシール材近傍の領域では液晶
滴が相互に独立して分散した構造となっている場合、液
晶は周囲の温度が上昇しても中央部に向かって移動しに
くくなる。この結果、シール材近傍の非表示領域での液
晶密度が低下するのを防ぐので、亀裂の発生を防止でき
る。一方、非表示領域の液晶滴の粒径又は網の目の間隔
が、表示領域の液晶滴の粒径又は網の目の間隔よりも大
きい場合、液晶の流動を容易にすることができる。即
ち、液晶滴の粒径又は網の目の間隔が大きいと、温度に
よる液晶の膨張や冷却時に周囲の高分子樹脂から受ける
圧力の急激な変化にも液晶が追随し液晶滴間を容易に移
動することが可能となる。これにより、シール材近傍の
非表示領域での液晶密度の低下が抑制されるので、亀裂
の発生を防止できる。
【0018】しかも、表示領域では、高分子化合物を含
み構成されたマトリクス中に液晶滴が相互に独立して分
散した状態で保持された構造以外の高分子液晶複合体層
が形成されている為、コントラストが良好な状態で、表
示ムラの発生を防止できる。
【0019】尚、上記したような信頼性試験に於ける試
験時間は種々異なるので、該試験時間が小さい場合に
は、非表示領域の液晶滴の粒径又は網の目の間隔と、表
示領域の液晶滴の粒径又は網の目の間隔との差を僅かに
異ならせることにより亀裂の発生を防止できる。
【0020】上記の課題を解決する為に、請求項2に記
載の液晶表示素子は、高分子化合物中に液晶滴が分散さ
れた高分子液晶複合体層が、内側面にそれぞれ電極を備
えた一対の基板の間に配置され、かつシール材により上
記一対の基板が貼り合わされた液晶表示素子であって、
上記高分子液晶複合体層は、高分子化合物を含み構成さ
れたマトリクス連続相中に液晶滴が分散保持され、又は
高分子化合物を含み構成された三次元網目状マトリクス
の網目内に液晶が分散保持されたものであり、上記高分
子液晶複合体層の外周面とシール材の内周面とが密着す
るように形成され、かつ、上記高分子液晶複合体層に於
ける本体部が表示領域となり、該高分子液晶複合体層に
於ける上記シール材近傍の周縁部が非表示領域となるよ
うに分割され、更に、上記表示領域に於ける高分子液晶
複合体層は、高分子化合物を含み構成されたマトリクス
連続相中に、液晶滴が一部相互に繋がった状態で分散保
持され、又は高分子化合物を含み構成された三次元網目
状マトリクスの網目内に液晶が分散保持されたものであ
り、上記表示領域に於ける液晶分率と、上記非表示領域
に於ける液晶分率とが異なるように形成されていること
を特徴とする。
【0021】上記の構成によれば、非表示領域に於ける
液晶分率と、表示領域に於ける液晶分率とが異なるよう
に形成されることにより、例えば周囲の温度が高温から
低温へ変化する環境下に置く信頼性試験等を行った場合
に、シール材近傍における高分子液晶複合体層に亀裂が
発生するのを防止できる。
【0022】具体的には、非表示領域の液晶分率が、表
示領域の液晶分率よりも小さく、かつシール材近傍の領
域では液晶滴が相互に独立して分散した構造となってい
る場合、液晶は周囲の温度が上昇しても中央部に向かっ
て移動しにくくなる。この結果、シール材近傍の非表示
領域での液晶密度が低下するのを防ぐので、亀裂の発生
を防止できる。一方、非表示領域の液晶分率が、表示領
域の液晶分率よりも大きい場合、非表示領域の液晶滴の
粒径又は網の目の間隔が、表示領域の液晶滴の粒径又は
網の目の間隔よりも大きくなる。この結果、液晶の流動
を容易にすることができる。即ち、温度による液晶の膨
張や冷却時に周囲の高分子樹脂マトリクスから受ける圧
力の急激な変化に対しても、液晶が追随し液晶滴間を容
易に移動することが可能となる。これにより、シール材
近傍の非表示領域での液晶密度の低下が抑制されるの
で、亀裂の発生を防止できる。
【0023】しかも、表示領域では、高分子化合物を含
み構成されたマトリクス中に液晶滴が相互に独立して分
散した状態で保持された構造以外の高分子液晶複合体層
が形成されている為、コントラストが良好な状態で、表
示ムラの発生を防止できる。尚、上記したような信頼性
試験に於ける試験時間は種々異なるので、該試験時間が
小さい場合には、非表示領域の液晶分率と、表示領域の
液晶分率との差を僅かに異ならせることにより亀裂の発
生を防止できる。
【0024】請求項3に記載の発明は、請求項2に記載
の液晶表示素子に於いて、上記表示領域に於ける液晶分
率と、上記非表示領域に於ける液晶分率との差が少なく
とも5%以上であることを特徴とする。
【0025】上記の課題を解決する為に、請求項4に記
載の発明は、高分子化合物中に液晶滴が分散された高分
子液晶複合体層が、内側面にそれぞれ電極を備えた一対
の基板の間に配置され、かつシール材により上記一対の
基板が貼り合わされた液晶表示素子であって、上記高分
子液晶複合体層は、高分子化合物を含み構成されたマト
リクス連続相中に液晶滴が分散保持され、又は高分子化
合物を含み構成された三次元網目状マトリクスの網目内
に液晶が分散保持されたものであり、かつ、上記高分子
液晶複合体層の外周面とシール材の内周面とが密着する
ように形成され、更に、上記高分子液晶複合体層に於け
る全領域のうち、上記シール材近傍の亀裂が発生する領
域以外を表示領域としていることを特徴とする。
【0026】上記のように、例えば、周囲の温度が高温
から低温へ変化する信頼性試験を行った場合等に亀裂が
発生するシール材近傍の領域を、表示領域に含めない構
成とすることにより、該亀裂に起因する筋状の表示ムラ
が表示画面上で視認されるのを防止することができる。
【0027】上記の課題を解決する為に、請求項5に記
載の発明は、高分子化合物中に液晶滴が分散された高分
子液晶複合体層が、内側面にそれぞれ電極を備えた一対
の基板の間に配置され、かつシール材により上記一対の
基板が貼り合わされた液晶表示素子であって、上記高分
子液晶複合体層は、高分子化合物を含み構成されたマト
リクス連続相中に液晶滴が分散保持され、又は高分子化
合物を含み構成された三次元網目状マトリクスの網目内
に液晶が分散保持されたものであり、かつ、上記高分子
液晶複合体層の外周面とシール材の内周面とが密着する
ように形成され、更に、上記高分子液晶複合体層に於け
る、上記シール材近傍で発生する亀裂の内部に、主に液
晶から成る物質が充填されていることを特徴とする。
【0028】上記構成のように、亀裂の内部を主に液晶
から成る物質で塞ぐことで、亀裂と周囲の高分子液晶複
合体層との屈折率差を小さくし、この結果亀裂自体を目
立たなくさせることができる。
【0029】上記の課題を解決する為に、請求項6に記
載の液晶表示素子は、高分子化合物中に液晶滴が分散さ
れた高分子液晶複合体層が、内側面にそれぞれ電極を備
えた一対の基板の間に配置され、かつシール材により上
記一対の基板が貼り合わされた液晶表示素子であって、
上記高分子液晶複合体層は、高分子化合物を含み構成さ
れたマトリクス連続相中に液晶滴が分散保持され、又は
高分子化合物を含み構成された三次元網目状マトリクス
の網目内に液晶が分散保持されたものであり、更に、上
記シール材の内周縁に少なくとも幅1.5mm以上の枠
状の領域が設けられ、かつ上記枠状の領域の内側に表示
領域が設けられていることを特徴とする。
【0030】上記の構成によれば、液晶パネルの面積の
大小とは無関係に、シール材の内周縁から幅1.5mm
の枠状の領域では亀裂が発生する。よって、少なくとも
上記枠状の領域の更に内側に表示領域を設けることで、
確実に表示領域内に亀裂が発生するのを防止できる。こ
の結果、該亀裂に起因する筋状の表示ムラが表示画面に
現れることがない。
【0031】上記の課題を解決する為に、請求項7に記
載の液晶表示素子は、高分子化合物中に液晶滴が分散さ
れた高分子液晶複合体層が、内側面にそれぞれ電極を備
えた一対の基板の間に配置され、かつシール材により上
記一対の基板が貼り合わされた液晶表示素子であって、
上記高分子液晶複合体層は、表示領域と、該表示領域の
外周縁に位置する枠状の非表示領域とに分割され、上記
表示領域に於ける高分子液晶複合体層は、高分子化合物
を含み構成されたマトリクス連続相中に、液晶滴が一部
相互に繋がった状態で分散保持され、又は高分子化合物
を含み構成された三次元網目状マトリクスの網目内に液
晶が分散保持されたものであり、上記非表示領域に於け
る高分子液晶複合体層は、高分子化合物を含み構成され
たマトリクス中に、ほぼ球形又は回転楕円体形状の液晶
滴が相互に独立して分散した状態で保持されたものであ
ることを特徴とする。
【0032】上記の構成とすることにより、シール材近
傍の領域では液晶滴が相互に独立して分散した構造とな
っている為、液晶滴は周囲の温度が上昇しても中央部に
向かって移動しにくくなる。この結果、シール材近傍の
非表示領域での液晶密度が低下するのを防ぐので、亀裂
が発生するのを抑制することができる。しかも、表示領
域では、高分子化合物を含み構成されたマトリクス連続
相中に液晶滴が分散保持され、又は高分子化合物を含み
構成された三次元網目状マトリクスの網目内に液晶が分
散保持された構造の高分子液晶複合体層が形成されてい
る為、コントラストが良好な状態で、表示ムラの発生を
防止できる。
【0033】請求項8に記載の発明は、請求項7に記載
の液晶表示素子に於いて、上記表示領域に於ける液晶の
液晶分率が、上記非表示領域に於ける液晶の液晶分率よ
りも小さいことを特徴とする。
【0034】請求項9に記載の発明は、請求項7又は請
求項8に記載の液晶表示素子に於いて、上記表示領域に
於ける液晶分率は70%以上、80%以下の範囲内にあ
り、かつ上記非表示領域に於ける液晶分率は70%未満
であることを特徴とする。
【0035】請求項10に記載の発明は、請求項7に記
載の液晶表示素子に於いて、上記表示領域に於ける液晶
滴の粒径、又は網の目の間隔が0.8μm以上、1.4
μm以下の範囲内にあり、かつ非表示領域に於ける液晶
滴の粒径が0.8μm未満であることを特徴とする。
【0036】上記の課題を解決する為に、請求項11に
記載の液晶表示素子は、高分子化合物中に液晶滴が分散
された高分子液晶複合体層が、内側面にそれぞれ電極を
備えた一対の基板の間に配置され、かつシール材により
上記一対の基板が貼り合わされた液晶表示素子であっ
て、上記高分子液晶複合体層は、表示領域と該表示領域
の外周縁に枠状の非表示領域とに分割され、上記表示領
域に於ける高分子液晶複合体層は、高分子化合物を含み
構成されたマトリクス連続相中に、液晶滴が一部相互に
繋がった状態で分散保持され、又は高分子化合物を含み
構成された三次元網目状マトリクスの網目内に液晶が分
散保持されたものであり、記非表示領域に於ける高分子
液晶複合体層は、液晶と高分子化合物とが互いに相溶し
た状態で形成されていることを特徴とする。
【0037】上記の構成のように、シール材近傍の非表
示領域では、液晶と高分子化合物とが互いに相溶した状
態で保持され、液体状若しくは半固形状で形成されてい
る。従って、亀裂が発生することがない。しかも、表示
領域では、高分子化合物を含み構成されたマトリクス連
続相中に液晶滴が分散保持され、又は高分子化合物を含
み構成された三次元網目状マトリクスの網目内に液晶が
分散保持された構造の高分子液晶複合体層が形成されて
いる為、コントラストを良好にした状態で、表示ムラの
発生を抑制できる。
【0038】上記の課題を解決する為に、請求項12に
記載の液晶表示素子は、高分子化合物中に液晶滴が分散
された高分子液晶複合体層が、内側面にそれぞれ電極を
備えた一対の基板の間に配置され、かつシール材により
上記一対の基板が貼り合わされた液晶表示素子であっ
て、上記高分子液晶複合体層は少なくとも表示領域に相
当する部分に設けられ、かつ上記シール材と高分子液晶
複合体層との間には、側部間隙層が設けられていること
を特徴とする。
【0039】上記の構成では、周囲の温度変化によって
高分子液晶複合体層の体積が膨張又は収縮しても、亀裂
が生じるシール材近傍には側部間隙層が設けられてお
り、高分子化合物や液晶が存在しない。従って、該亀裂
の発生は完全に防止できる。よって、該亀裂による筋状
の表示ムラの発生を防止できる。
【0040】請求項13に記載の発明は、請求項12に
記載の液晶表示素子に於いて、上記側部間隙層は、真空
状態にあることを特徴とする。
【0041】上記構成のように、側部間隙層を真空状態
とすることにより、高温時に高分子液晶複合体層の体積
が膨張しても該側部間隙層にて緩和させることができ
る。
【0042】請求項14に記載の発明は、請求項12に
記載の液晶表示素子に於いて、上記側部間隙層には、気
体が充填されていることを特徴とする。
【0043】請求項15に記載の発明は、請求項12に
記載の液晶表示素子に於いて、上記側部間隙層には、高
分子化合物が充填されていることを特徴とする。
【0044】上記構成のように、側部間隙層を高分子化
合物により形成しているので、該側部間隙層に液晶滴が
存在する場合と比較して、破壊強度を増大させることが
でき、この結果亀裂の発生を抑制することができる。
【0045】上記の課題を解決する為に、請求項16に
記載の液晶表示素子は、高分子化合物中に液晶滴が分散
された高分子液晶複合体層が、内側面にそれぞれ電極を
備えた一対の基板の間に配置され、かつシール材により
上記一対の基板が貼り合わされた液晶表示素子であっ
て、上記高分子液晶複合体層は、高分子化合物を含み構
成されたマトリクス連続相中に液晶滴が分散保持され、
又は高分子化合物を含み構成された三次元網目状マトリ
クスの網目内に液晶が分散保持されたものであり、上記
高分子液晶複合体層は、上記シール材の内周縁に位置す
る枠状の非表示領域と、該非表示領域の内側に位置する
表示領域とに分割され、上記表示領域に於ける液晶滴の
粒径又は網の目の間隔よりも、シール材近傍の非表示領
域に於ける液晶滴の粒径又は網の目の間隔が大きいこと
を特徴とする。
【0046】上記の構成によれば、上記高分子液晶複合
体層に於ける、表示領域に於ける液晶滴の粒径又は網の
目の間隔よりも、シール材近傍の液晶滴の粒径又は網の
目の間隔を大きくすることにより、液晶の流動を容易に
することができる。即ち、液晶滴の粒径又は網の目の間
隔が大きいと、温度による液晶の膨張や冷却時に周囲の
高分子樹脂から受ける圧力の急激な変化にも液晶が追随
し液晶滴間を容易に移動することが可能となる。これに
より、良好なコントラストを維持したままで、非表示領
域における亀裂の発生が防止され、筋状の表示ムラの発
生を抑制することができる。
【0047】請求項17に記載の発明は、請求項16に
記載の液晶表示素子に於いて、上記表示領域に於ける液
晶の液晶分率が、上記非表示領域に於ける液晶の液晶分
率よりも小さいことを特徴とする。
【0048】請求項18に記載の発明は、請求項17に
記載の液晶表示素子に於いて、上記表示領域に於ける液
晶分率は70%以上、80%以下の範囲内にあり、かつ
上記非表示領域に於ける液晶分率は80%より大きいこ
とを特徴とする。
【0049】請求項19に記載の発明は、請求項17に
記載の液晶表示素子に於いて、上記表示領域に於ける液
晶分率と、上記非表示領域に於ける液晶分率との差が少
なくとも5%以上であることを特徴とする。
【0050】請求項20に記載の発明は、請求項16に
記載の液晶表示素子に於いて、上記シール材近傍の液晶
滴の粒径又は網の目の間隔が1. 8μm以上であり、上
記表示領域の液晶滴又は網の目の間隔が0. 8μm以
上、1. 4μm以下の範囲内であることを特徴とする。
【0051】請求項21に記載の発明は、請求項7ない
し請求項20の何れか1つに記載の液晶表示素子に於い
て、上記非表示領域は、幅が少なくとも1.0mm以上
の枠状の領域であることを特徴とする。
【0052】上記の構成によれば、非表示領域がシール
材の内周縁から幅が少なくとも1.0mm以上の枠状の
領域とすることにより、表示ムラの発生を防止すると共
に、一層表示領域を拡大することができる。
【0053】上記の課題を解決する為に、請求項22に
記載の液晶表示素子の製造方法は、内側面にそれぞれ電
極を備えた一対の基板の間に、液晶と高分子前駆体とを
含む液晶高分子前駆体相溶液を配置した後、前記基板面
に紫外線を照射して、前記液晶高分子前駆体相溶液中の
液晶と高分子前駆体とを、該高分子前駆体を重合硬化さ
せて相分離させることにより、液晶滴が高分子化合物を
含み構成されたマトリクス連続相中に分散保持され、又
は液晶が高分子化合物を含み構成された三次元網目状マ
トリクスの網目内に分散保持された高分子液晶複合体層
を作製する相分離工程を備える液晶表示素子の製造方法
であって、上記相分離工程は、上記高分子液晶複合体層
の表示領域に相当する領域に照射する第1の紫外線の照
射強度を、上記高分子液晶複合体層の非表示領域に相当
する領域に照射する第2の紫外線の照射強度よりも小さ
くすることにより、上記表示領域では、高分子化合物を
含み構成されたマトリクス連続相中に、液晶滴が一部相
互に繋がった状態で分散保持され、又は高分子化合物を
含み構成された三次元網目状マトリクスの網目内に液晶
が分散保持された構造とし、上記非表示領域では、高分
子化合物を含む構成されたマトリクス中に、ほぼ球形又
は回転楕円体形状の液晶滴が相互に独立して分散した状
態で保持された構造とすることを特徴とする。
【0054】上記の方法によれば、非表示領域に於いて
は、高分子化合物を含む構成されたマトリクス中に液晶
滴が相互に独立して分散した状態で保持された構造とす
るので、液晶滴は周囲の温度が上昇しても中央部に向か
って移動しにくくなる。この結果、シール材近傍の非表
示領域での液晶密度が低下するのを防ぐので、亀裂が発
生するのを抑制することができる。よって、表示ムラの
発生を防止し、コントラスト等の表示特性に優れた液晶
表示素子を製造することができる。
【0055】上記の課題を解決する為に、請求項23に
記載の液晶表示素子の製造方法は、内側面にそれぞれ電
極を備えた一対の基板の間に、液晶と高分子前駆体とを
含む液晶高分子前駆体相溶液を配置した後、前記基板の
全面に紫外線を照射して、前記液晶高分子前駆体相溶液
中の液晶と高分子前駆体とを、該高分子前駆体を重合硬
化させて相分離させることにより、液晶滴が高分子化合
物を含み構成されたマトリクス連続相中に分散保持さ
れ、又は液晶が高分子化合物を含み構成された三次元網
目状マトリクスの網目内に分散保持された高分子液晶複
合体層を作製する相分離工程を備える液晶表示素子の製
造方法であって、上記相分離工程は、上記高分子液晶複
合体層に於ける少なくとも非表示領域に、紫外線を遮蔽
する遮蔽手段を設けて該紫外線を照射することを特徴と
する。
【0056】上記の方法によれば、非表示領域に紫外線
を遮蔽する遮蔽手段を設けて該紫外線を照射し、高分子
液晶複合体層を形成する。よって、上記非表示領域では
液晶と高分子化合物とが相溶した状態で保持され、液体
状若しくは半固形状となっているので、亀裂が発生する
ことがない。これにより、表示ムラの発生を防止し、コ
ントラスト等の表示特性に優れた液晶表示素子を製造す
ることができる。
【0057】請求項24に記載の発明は、請求項23に
記載の液晶表示素子の製造方法に於いて、上記遮蔽手段
は、紫外線を反射する材料からなる反射板であることを
特徴とする。
【0058】上記のように、遮蔽手段に紫外線を反射す
る材料からなる反射板を採用することにより、液晶パネ
ルの温度上昇を抑制することができる。この結果、紫外
線を照射して高分子液晶複合体層を形成する際の重合温
度の制御を容易にできる。
【0059】上記の課題を解決する為に、請求項25に
記載の液晶表示素子の製造方法は、内側面にそれぞれ電
極を備えた一対の基板の間に、液晶と高分子前駆体を含
む液晶高分子前駆体相溶液を配置した後、前記基板面に
紫外線を照射して、前記液晶高分子前駆体相溶液中の液
晶と高分子前駆体とを、該高分子前駆体を重合硬化させ
て相分離させることにより、液晶滴が高分子化合物を含
み構成されたマトリクス連続相中に分散保持され、又は
液晶が高分子化合物を含み構成された三次元網目状マト
リクスの網目内に分散保持された高分子液晶複合体層を
作製する相分離工程を備える液晶表示素子の製造方法で
あって、上記相分離工程は、上記高分子液晶複合体層の
表示領域に相当する領域に照射する第1の紫外線の照射
強度を、上記高分子液晶複合体層の非表示領域に相当す
る領域に照射する第2の紫外線の照射強度よりも大きく
することにより、上記高分子液晶複合体層は、高分子化
合物を含み構成されたマトリクス連続相中に液晶滴が分
散保持され、又は高分子化合物を含み構成された三次元
網目状マトリクスの網目内に液晶が分散保持された構造
となり、かつ、上記高分子液晶複合体層に於ける表示領
域の液晶滴の粒径又は網の目の間隔は、非表示領域の液
晶滴の粒径又は網の目の間隔よりも小さい構造となるこ
とを特徴とする。
【0060】上記の方法によれば、第1の紫外線を表示
領域に照射することにより、表示領域では、高分子化合
物を含み構成されたマトリクス連続相中に液晶滴が分散
保持され、又は高分子化合物を含み構成された三次元網
目状マトリクスの網目内に液晶が分散保持された構造と
なるように形成する。それと共に、非表示領域では、第
2の紫外線を照射することにより、非表示領域の液晶滴
の粒径又は網の目の間隔が、表示領域の液晶滴の粒径又
は網の目の間隔よりも大きい構造となるように形成す
る。これにより、温度上昇による液晶の膨張や冷却時で
の周囲の高分子樹脂から受ける圧力の急激な変化に対し
ても、液晶は液晶滴間を容易に流動できる。よって、良
好なコントラストを維持したままで、シール材近傍にお
ける非表示領域で亀裂の発生が防止され、筋状の表示ム
ラの発生を防止した液晶表示素子を製造することができ
る。
【0061】請求項26に記載の発明は、請求項25に
記載の液晶表示素子の製造方法に於いて、上記第1の紫
外線の強度が50mW/cm2以上であり、上記第2の
紫外線の強度が20mW/cm2以下であることを特徴
とする。
【0062】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面に基づいて説明する。
【0063】(実施の形態1)本発明の実施の形態1に
ついて、図1ないし図5に基づいて説明すれば以下の通
りである。但し、説明に不要な部分は省略し、又説明を
容易にする為に拡大或いは縮小等して図示した部分があ
る。以上のことは以下の図面に対しても同様である。
【0064】図1は、本発明の実施の形態1に係る液晶
表示素子101の平面図である。図2は、上記液晶表示
素子の概略を示す断面図である。
【0065】図1及び図2に示すように、液晶表示素子
101は、TFT(Thin Film Transistor)基板102
と、該TFT基板102に対向する対向基板103と、
上記TFT基板102と対向基板103との間に配置さ
れる高分子液晶複合体層とを有する。又、上記液晶表示
素子101に於ける表示画面は、6インチ以下程度とな
るように設定されている。
【0066】上記TFT基板102は、下基板111上
に、スイッチング素子としてのTFT(図示しない)
や、該TFTに電気的に接続された画素電極105及び
ソースライン108等が形成されて構成されている。よ
り詳しくは、上記TFTや画素電極105、ソースライ
ン108等は、下基板111上の表示領域201に相当
する領域に形成されている。更に、下基板111上に
は、上記TFTや画素電極105を覆うようにして絶縁
膜109が設けられている。一方、上記対向基板103
は、上基板112上に対向電極107等が形成されて構
成されている。更に、上記対向電極107上には絶縁膜
109が設けられている。又、TFT基板102と対向
基板103とを貼り合わせる為のシール材106が、液
晶パネルの周縁部に枠状に形成されている。
【0067】ここで、上記TFTや画素電極105等が
形成されている表示領域201とシール材106との間
には、少なくとも幅1.5mm以上の枠状の非表示領域
202が設けられている。
【0068】より詳しくは、例えば液晶パネルを80℃
で長時間放置すると、液晶パネル内部の高分子樹脂マト
リクスと液晶滴とが膨張して液晶パネル自身も膨張す
る。シール材106近傍の液晶は、下基板111及び上
基板112が歪むことにより圧力を受けてパネル内部に
流動する。その後、室温まで冷却すると液晶パネル内部
に液晶が流動したことにより、シール材106近傍の液
晶密度が低下し、該シール材106近傍の高分子樹脂マ
トリクスが脆くなる。更に、上記高分子樹脂マトリクス
に上基板112及び下基板111から加わる圧力により
高分子樹脂に亀裂110が生じる。この亀裂が発生する
領域が上述の非表示領域202に相当する。ここで、非
表示領域202を少なくとも幅1.5mm以上の枠状の
領域としたのは、図3の結果に基づく。図3は、80℃
での放置時間に対する、シール材106と亀裂110と
の距離の変化を示している。この図3から明らかなよう
に、80℃での放置時間が60時間であっても、シール
材106と亀裂110との距離d(mm)は最大で1.
45mm程度である。この結果、非表示領域202は少
なくとも幅1.5mm以上の枠状の領域であればよいこ
とがわかる。よって、本実施の形態に係る液晶表示素子
では、周囲の温度を高温から低温へ変化させる信頼性試
験等を行っても、亀裂110の発生領域が表示領域20
1に含まれないように、1.5mmの枠状の領域(非表
示領域202)を設けているので、表示画面上には筋状
の表示ムラが視認されない。尚、上記シール材106と
亀裂110との距離d(mm)は、図4に示すように、
シール材106近傍に発生した亀裂110のうち最も内
側にある亀裂110と、該シール材106の内周面との
距離を表している。
【0069】又、TFT基板102と対向基板103と
の間のパネルギャップは10μmであるが、本実施の形
態に於いては、これに限定されるものではなく、3μm
以上、15μm以下の範囲内であればよい。上記の数値
範囲内であると、亀裂110の発生領域は、シール材1
06の内周面から幅が1.5mm以内の枠状の領域とな
る。ここで、亀裂110の発生領域は、例えば3インチ
以上の液晶パネルではその大きさに対して依存性を示す
ものではない。具体的には、液晶パネルを高温下で長時
間放置した後室温まで冷却すると、高分子樹脂マトリク
スに上基板112及び下基板111から加わる圧力によ
りシール材106近傍の高分子樹脂マトリクスに亀裂1
10が生じる。この圧力が加わる程度は、液晶パネルの
面積による影響が小さく、専らパネルギャップによると
ころが大である。従って、前記した数値範囲3μm〜1
5μmでは液晶パネルの大きさとは無関係に、シール材
106の内周面から幅が1.5mm以内の領域で、亀裂
110が発生する。
【0070】尚、パネルギャップは15μmを越える
と、高分子液晶複合体層104を駆動する為の駆動電圧
が大幅に増加する一方、3μmよりも小さいと、液晶パ
ネルの透過性が増大して散乱能が低下するので好ましく
ない。よって、上記パネルギャップを上記数値範囲内と
することにより、高分子液晶複合体層104を駆動する
為の駆動電圧の大幅な増加を抑制すると共に、コントラ
ストの低下を抑制できる。
【0071】上記TFT基板102及び対向基板103
は、少なくとも何れか一方が光透過性を有するものであ
れば特に限定されるものではない。よって、基板の一方
がシリコン基板等の不透明基板としてもよく、この場合
には反射板を備えた構成とすることにより反射型の液晶
表示素子とすることができる。上記光透過性を有する基
板としては、例えばガラス・石英等からなる透明基板
や、プラスチック基板でも良い。この場合、TFT基板
102及び対向基板103の材質は互いに異なっていて
も良い。
【0072】又、上記画素電極105及び対向電極10
7は、例えばインジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin
Oxide)からなる透明導電膜である。
【0073】上記高分子液晶複合体層104は、液晶滴
の一部が相互に接触し連なった状態で形成された構造で
ある。しかしながら、上記液晶滴の存在形態はこれに限
定されるものではなく、例えば、高分子化合物が3次元
網目状に形成され、この網目の中に液晶が保持された状
態で分散した構造であってもよい。ここで、液晶滴の粒
径や、網の目の間隔は散乱性、即ちゲインGと相関関係
を有している。上記ゲインGは下記の式で表される。 G=(パネル輝度(nt)/パネル照度(lx))×π 上記液晶滴の粒径とゲインGとの関係を勘案すると、該
液晶滴の粒径は約1.2μm付近に最適値が存在する。
より詳しくは、1.2μmより大きいと青色光の散乱性
が低下し、逆に1.2μmより小さいと赤色光の散乱性
が低下する。即ち、両者ともゲインが大きくなりコント
ラストの低下を招来する。よって、表示領域201にお
ける液晶滴の粒径は最適な粒径である1.2μm付近に
設定するのが好ましい。尚、上記網の目の間隔は、顕微
鏡等により観察し、例えば図5に示す距離a〜cの平均
値を求めて算出した値である。
【0074】上記液晶としては、常温付近で液晶状態を
示すネマティック液晶、コレステリック液晶、スメクテ
ィック液晶等の各種の液晶を採用できる。これらの液晶
は1種でもよく、又2種以上を混合して使用することも
できる。更に、高分子化合物としては、光透過性を有し
かつ高分子液晶複合体層104の形成後に高分子樹脂マ
トリクス中に液晶を保持するものであれば、特に限定さ
れるものではない。具体的には、例えば紫外線硬化型樹
脂、熱硬化型(熱相分離型)樹脂等を使用すればよい。
上記紫外線硬化型樹脂としては、例えばエポキシ系樹
脂、アクリル系樹脂等が挙げられる。一方、上記熱硬化
型樹脂としては、例えばエポキシ系樹脂、ウレタン系樹
脂、ポリアミド系樹脂、尿素系樹脂、ポリエステル系樹
脂等が挙げられる。
【0075】上記シール材106としては、特に限定さ
れるものではなく、熱硬化型シール材、紫外線硬化型シ
ール材、及び熱硬化型と紫外線硬化型との複合型シール
材等が挙げられる。
【0076】上記絶縁膜109・109としては、特に
限定されるものではなく、ポリイミドタイプ、ポリアミ
ック酸タイプの何れでも使用可能である。又、無機化合
物からなる絶縁膜を用いても良い。本実施の形態のよう
に絶縁膜109・109を用いると、高分子液晶複合体
層104の電圧保持率をより向上させる効果がある。
【0077】以上のように、本実施の形態に係る液晶表
示素子の特徴点は、亀裂110の発生領域を非表示領域
202として、表示領域201と分割していることにあ
る。又、上記非表示領域202は、シール材106の内
周面から幅が少なくとも1.5mmの枠状の領域からな
る。これにより、表示画面に於いては、筋状の表示ムラ
が発生せず、良好な表示特性を有する液晶表示素子を得
ることができる。
【0078】尚、下基板111と上基板112との材質
が異なる場合には、高温時の膨張度合いが両者で異なる
為、亀裂が一層発生しやすくなる。しかし、本実施の形
態に於いては亀裂の発生領域が表示領域201に含まれ
ないように該表示領域201を設定している為、上記の
ように材質が異なる場合でも一層有効である。
【0079】又、本実施の形態に於いては、TFTを採
用したアクティブマトリクス駆動について述べたが、本
発明はこれに限定されるものではなく、単純マトリクス
駆動でも良い。
【0080】更に、前記亀裂110の内部を、主に液晶
から成る物質で塞ぐようにしてもよい。このようにする
ことで、亀裂110以外の領域との屈折率差が小さくな
り、該亀裂110が目立たなくできるからである。この
結果、亀裂110の発生する領域も表示領域に含ませる
ことも可能となり、表示画面の拡大が図れる。
【0081】上記亀裂110の内部を塞ぐ方法として
は、特に限定されるものではなく、例えば液晶表示素子
101を、80℃・2時間の条件にてアニールする熱処
理の方法等が挙げられる。更に、亀裂110を液晶で塞
ぐ手法としては、上記熱処理の方法の他に、60℃以上
の温度でアニールを行っても同様の効果がある。又、ア
ニール回数を複数回行っても良い。アニールを複数回行
うと、液晶の流動性が増大した状態で一定時間持続され
る為、表示領域201の中央部から非表示領域202に
向かう液晶の流れが発生して、亀裂110が塞がりやす
くなる。
【0082】(実施の形態2)本発明の実施の形態2に
ついて、図6及び図7に基づいて説明すれば以下の通り
である。尚、前記実施の形態1の液晶表示素子と同様の
機能を有する構成要素については、同一の符号を付して
詳細な説明を省略する。
【0083】本実施の形態に係る液晶表示素子は、前記
実施の形態1に係る液晶表示素子の構成と比して、非表
示領域における高分子液晶複合体層を、液晶滴が高分子
化合物からなる高分子樹脂マトリクス相に個々に独立し
て分散された構成にしている点が異なる。
【0084】図6(a)は、本実施の形態に係る液晶表
示素子の概略を示す断面図である。図6(a)に示すよ
うに、シール材106の内側に、約1.0mm程度の幅
となるような枠状の非表示領域202が設けられてい
る。更に、その非表示領域202の内側には表示領域2
01が設けられている。上記非表示領域202では、ほ
ぼ球形又は回転楕円体形状の液晶滴206が互いに独立
した状態で分散保持されている(図6(c)参照)。こ
れに対して、表示領域201では、液晶滴205の一部
が相互に接触し連なった状態で存在した構造で形成され
ている(図6(b)参照)。尚、表示領域201は、高
分子樹脂マトリクスが3次元網目状に形成され、この網
目の中に液晶が保持された状態で分散した構造のもので
あってもよい。
【0085】上記構成のように、シール材106近傍の
液晶滴206が相互に独立した構造となっている為、該
液晶滴206は温度を上昇させた際に内部に向かって移
動しにくくなる。この結果、非表示領域202における
亀裂の発生を抑制することができる。一方、前記実施の
形態1でも述べたように、液晶滴の粒径や、網の目の間
隔は散乱性、即ちゲインGと相関関係を有しており、液
晶滴の粒径は約1.2μmとするのが好ましい。
【0086】本実施の形態に係る液晶表示素子の主要構
成要素である高分子液晶複合体層200は、以下に述べ
る方法にて形成することができる。図7は、上記液晶表
示素子の製造方法を説明する為の断面図である。
【0087】先ず、予め画素電極105及び対向電極1
07がそれぞれ設けられたTFT基板102又は対向基
板103を、シール材106にて貼り合わせる。更に、
上記TFT102及び対向基板103の間に、紫外線硬
化型樹脂等の未硬化樹脂モノマー(高分子前駆体)と液
晶材料とを主要材料とする液晶高分子混合物を注入す
る。続いて、該液晶高分子混合物に紫外線を照射する
と、未硬化樹脂モノマーが重合して液晶と高分子樹脂マ
トリクスとに相分離する。
【0088】ここで、上記紫外線は、表示領域201と
非表示領域202とで、紫外線の照射強度が異なるよう
に設定されている。より詳しくは、非表示領域202に
照射される第2の紫外線203の照射強度は、表示領域
201に照射される第1の紫外線204の照射強度より
も大きい。上記のように、第2の紫外線203の照射強
度を大きくすることにより、上記液晶と高分子化合物と
の相分離が一層進行するので、非表示領域202では、
液晶滴206が個々に独立して分散した構造とすること
ができる。一方、第1の紫外線204の照射強度を第2
の紫外線203の照射強度よりも小さくすることによ
り、液晶と高分子化合物との相分離の進行度を抑制させ
ることができる。よって、表示領域201では、液晶滴
205の一部が相互に接触し連なった状態で存在する
か、或いは高分子樹脂マトリクスが3次元網目状に形成
され、この網目の中に液晶が保持された状態で存在する
構造となる。これにより、高分子液晶複合体層200が
形成される。尚、非表示領域202の幅が1.0mmと
なっているのは、例えば第1の紫外線204を照射する
際等の裏面からの回り込み光の影響によるものであり、
1.0mmよりも小さくするのが困難な為である。
【0089】上記紫外線の照射強度は、上述したように
表示領域201に於ける液晶滴205と非表示領域20
2に於ける液晶滴206の構造が得られれば、特に限定
されるものではなく、任意に設定できる。しかし、紫外
線の照射強度が大きいほど重合度は進行し、液晶滴の粒
径が小さくなる為、非表示領域202に照射する照射強
度は、表示領域201よりも大きくする必要がある。
【0090】尚、紫外線の照射強度を液晶パネル面内で
変える為には、紫外線のカットフィルターを液晶パネル
で部分的に配置する方法等が挙げられる。例えば、表示
領域201に370nmの波長をカットするカットフィ
ルターを配置し、かつ非表示領域202に350nmの
波長をカットするカットフィルターを配置する。ここ
で、同一の光源から照射された紫外線は、上記カットフ
ィルターの作用により、非表示領域202に照射される
紫外線の照射強度を、表示領域201より大きくするこ
とができる。上記の方法によれば、照射回数を一回にで
き、製造工程の簡略化が図れる。
【0091】以上のように、本実施の形態に係る液晶表
示素子の特徴点は、シール材106近傍の領域(非表示
領域202)では、液晶滴206が相互に独立して分散
した構造となっていることにある。これにより、液晶滴
206は周囲の温度が上昇しても内部に向かって移動し
にくくなり、非表示領域202での液晶密度が低下する
のを防ぐので、亀裂の発生を防止でき、従って該亀裂に
起因する表示ムラの発生も防止できる。しかも、表示領
域201では、高分子化合物を含み構成されたマトリク
ス連続相中に液晶滴205が分散保持されている為、コ
ントラストが良好な状態で、表示ムラの発生を防止でき
る。又、非表示領域202を、幅が少なくとも1.0m
m以上の枠状の領域としているので表示領域を一層拡大
させることができる。
【0092】(実施の形態3)本発明の実施の形態3に
ついて、図8及び図9に基づいて説明すれば以下の通り
である。尚、前記実施の形態1又は実施の形態2に係る
液晶表示素子と同様の機能を有する構成要素について
は、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0093】本実施の形態に係る液晶表示素子は、前記
実施の形態1又は実施の形態2に係る液晶表示素子の構
成と比して、非表示領域では液晶と高分子化合物とが相
溶状態にある点が異なる。
【0094】より詳しくは、図8に示すように、高分子
液晶複合体層300におけるシール材106近傍の非表
示領域202では、液晶と高分子化合物とが相分離せず
に溶解した状態である。これに対して、表示領域201
では、液晶滴の一部が相互に接触し連なった状態で存在
した構造で形成されている。このような構成とすること
により、亀裂の発生しやすいシール材106近傍を液体
状又は半固形状とすることができ、結果として亀裂の発
生を防止できる。尚、上記非表示領域202は、幅が約
1mm程度の枠状となるように形成されている。又、表
示領域201は、高分子樹脂マトリクスが3次元網目状
に形成され、この網目の中に液晶が保持された状態で分
散した構造のものであってもよい。
【0095】本実施の形態に係る液晶表示素子の主要構
成要素である高分子液晶複合体層300は、以下に述べ
る方法にて形成することができる。
【0096】図9は、上記液晶表示素子の製造方法を説
明する為の断面図である。先ず、予め画素電極105及
び対向電極107がそれぞれ設けられたTFT基板10
2又は対向基板103を、シール材106にて貼り合わ
せる。更に、上記TFT102及び対向基板103の間
に、紫外線硬化型樹脂等の未硬化樹脂モノマー(高分子
前駆体)と液晶材料とを主要材料とする液晶高分子混合
物を注入する。続いて、該液晶高分子混合物の表示領域
201に相当する領域にのみ紫外線を照射し、非表示領
域202に相当する領域には紫外線を遮蔽する遮蔽手段
を設ける。これにより、上記表示領域に201では、液
晶滴の一部が相互に接触し連なった状態で存在している
か、或いは高分子樹脂マトリクスが3次元網目状に形成
され、この網目の中に液晶が保持された状態で分散した
構造とすることができる。一方、非表示領域202で
は、紫外線が照射されない為、液晶と高分子化合物とは
相分離せず、紫外線硬化型樹脂と液晶材料とが溶解した
状態にある。この結果、非表示領域202に於いては、
上記紫外線硬化型樹脂は固化されていないので、該非表
示領域202における亀裂の発生を防止することができ
る。
【0097】又、上記表示領域201は、高分子樹脂マ
トリクスが3次元網目状に形成され、この網目の中に液
晶が保持された状態で分散した構造であってもよい。
又、コントラストは低減するが、液晶滴が互いに独立し
て分散した構造であってもよい。
【0098】(実施の形態4)本発明の実施の形態4に
ついて、図10に基づいて説明すれば以下の通りであ
る。尚、前記各実施の形態の液晶表示素子と同様の機能
を有する構成要素については、同一の符号を付して詳細
な説明を省略する。
【0099】本実施の形態に係る液晶表示素子は、前記
各実施の形態に係る液晶表示素子の構成と比して、非表
示領域には高分子液晶複合体層が存在せずに側部間隙層
が形成されている点が異なる。
【0100】より詳しくは、図10に示すように、主に
表示領域201にのみ高分子液晶複合体層400が設け
られ、上記側部間隙層412は真空状態となっている。
よって、亀裂が発生する領域に高分子樹脂マトリクスや
液晶がそもそも存在しない為、亀裂の発生を完全に防止
することが可能となる。尚、上記非表示領域202は、
真空状態である場合に限定されるものではなく、窒素や
アルゴン等の他の気体や、高分子化合物等が充填されて
いるものでもよい。
【0101】尚、本実施の形態に於いては、側部間隙層
412を真空にした態様を示したが、その他に、空気や
窒素、アルゴン等の任意の気体を用いても良い。又、上
記空気を用いる場合には、該空気は湿度の低い乾燥した
空気を用いた方が、液晶等への汚染が少ないので好まし
い。
【0102】更に、上記表示領域201は、高分子樹脂
マトリクスが3次元網目状に形成され、この網目の中に
液晶が保持された状態で分散した構造であってもよい。
又、コントラストは低減するが、液晶滴が互いに独立し
て分散した構造でもあってもよい。
【0103】尚、実施の形態2ないし実施の形態4に於
いては、高分子中に液晶が分散された層において、シー
ル材106付近の構造をそれ以外の部分の構造と異なら
しめているわけであるが、この構造の場合、シール材1
06近辺は画像表示を行う領域として用いるのは好まし
くなく、画像表示はシール材106近辺以外の領域を用
いることが望ましい。
【0104】(実施の形態5)本発明の実施の形態5に
ついて、図11ないし図15に基づいて説明すれば以下
の通りである。尚、前記各実施の形態の液晶表示素子と
同様の機能を有する構成要素については、同一の符号を
付して詳細な説明を省略する。
【0105】本実施の形態に係る液晶表示素子は、前記
各実施の形態に係る液晶表示素子の構成と比して、高分
子液晶複合体層における表示領域の液晶滴の粒径より
も、非表示領域の液晶滴の粒径が大きい点が異なる。
(図11参照)
【0106】より詳しくは、図12及び図13に示すよ
うに、表示領域201に於ける液晶滴501はその一部
が互いに繋がった状態で存在している一方、非表示領域
202に於ける液晶滴502はその大部分が互いに繋が
った状態で存在している。よって、明らかに液晶滴50
1の粒径は、液晶滴502の粒径と比較して小さい。
又、図14に示すように、液晶滴501と液晶滴502
とを結ぶ連結部503は、液晶滴501同士を結ぶ連結
部504と比較して広くなっている。よって、高分子液
晶複合体層500が膨張又は収縮しても、上記連結部5
03では液晶が流動し易くなっている為、シール材10
6近傍で亀裂が発生するのを防止できる。尚、上記非表
示領域202は枠状の領域となるように形成されている
が、その幅はシール材106の内周面から少なくとも
1.0mm以上となっている。
【0107】即ち、液晶表示素子を加熱することにより
液晶が膨張しても、液晶滴502の粒径が大きくかつ連
結部503も広い構成となっているので、該液晶の流動
を妨げることがない。一方、液晶パネルを冷却すること
により高分子樹脂マトリクスの体積が収縮して、該高分
子樹脂マトリクスから液晶に加わる圧力が急激に増大し
ても、上記と同様の理由から液晶の流動を妨げることが
ない。従って、高温下に長時間放置することにより液晶
が内部に集まっても、その後室温まで冷却した際には、
該液晶は容易に液晶滴間を移動して非表示領域202に
戻ることができる。よって、亀裂の発生を防止すること
が可能となる。
【0108】又、前記実施の形態1又は実施の形態2と
同様に、表示領域2021の液晶滴501の粒径は、約
1.2μmとするのが好ましい。一方、非表示領域20
2では、十分なゲインが得られる1. 2μm程度とする
と、液晶の流動が抑制され亀裂が発生しやすくなる。し
かも、シール材106近傍の領域は表示領域201に含
まれない為、液晶滴502の粒径は必ずしも最適粒径で
ある必要はない。よって、以上のことから勘案してみて
も、シール材106近傍の液晶滴502の粒径、若しく
は網の目の間隔を、表示領域201よりも大きくするこ
とは、コントラストを確保したまま、シール材106近
傍の亀裂の発生を防止することができるという点で一層
有効である。
【0109】本実施の形態に係る液晶表示素子の主要構
成要素である高分子液晶複合体層500は、以下に述べ
る方法にて形成することができる。
【0110】図15は、上記液晶表示素子の製造方法を
説明する為の断面図である。先ず、予め画素電極105
及び対向電極107がそれぞれ設けられたTFT基板1
02又は対向基板103を、シール材106にて貼り合
わせる。更に、上記TFT102及び対向基板103の
間に、紫外線硬化型樹脂等の未硬化樹脂モノマーと液晶
材料とを主要材料とする液晶高分子混合物を注入する。
続いて、表示領域201と非表示領域202とにおける
相分離の進行度に差が生じるように、上記液晶高分子混
合物に紫外線を照射する。具体的には、表示領域201
には第1の紫外線を照射し、非表示領域202には上記
第1の紫外線よりも照射強度の小さい第2の紫外線を照
射する。これにより、上記表示領域201では相分離の
進行度が大きく、従って液晶滴502の粒径は小さくな
る。一方、非表示領域202では相分離の進行度は、表
示領域201と比較して小さく、従って液晶滴501の
粒径は大きくなる。以上により、高分子液晶複合体層5
00が形成される。尚、非表示領域202の幅が1.0
mmとなっているのは、例えば紫外線を照射する際等の
裏面からの回り込み光の影響によるものであり、これよ
りも非表示領域202の面積を小さくするのが困難な為
である。
【0111】ここで、前記実施の形態2に於いては、第
2の紫外線の照射は紫外線反射板210を除いた後に全
面に照射したが、これは第1の紫外線を照射した領域
(表示領域201に相当)を紫外線反射板210で遮蔽
して照射しても良い。これにより、表示領域201にお
ける液晶が第2の紫外線を照射する際に、紫外線による
液晶等の分解を抑制する効果がある。
【0112】又、紫外線を遮蔽する手段としては、紫外
線を反射する紫外線反射板を採用したが、上記の他に紫
外線を遮蔽する効果を有するものであれば、特に限定さ
れるものではない。即ち、紫外線を遮蔽する手段として
は、吸収型、反射型を問わない。但し、吸収型である場
合は紫外線照射時に温度が上昇する為、反射型の場合よ
りも重合温度を十分制御する必要がある。
【0113】更に、紫外線照射時の遮蔽手段は、液晶パ
ネルの上下に相対的な位置が一致するように配置しても
良い。更に、液晶パネルの側部も遮光テープ等で遮光し
ても良い。これにより、裏面からの回り込み光を遮蔽す
ることができ、液晶と高分子化合物との相分離過程が均
等に進行して、液晶滴の粒径等が均一な液晶パネルが作
製できる。
【0114】
【実施例】以下に、図面を参照して、この発明の好適な
実施例を例示的に詳しく説明する。但し、この実施例に
記載されている構成要素の寸法、材質、形状、その相対
配置等は、特に限定的な記載がない限りは、この発明の
範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではなく、単な
る説明例に過ぎない。
【0115】(実施例1)本実施例1に係る液晶表示素
子は、前記実施の形態1に対応する。
【0116】上記液晶表示素子は、以下に示す方法にて
作製した。即ち、ガラスから成る下基板111に、真空
蒸着とエッチングとの手法を用いて、画素電極105、
ソースライン108及び絶縁膜109等を形成し、TF
T基板102とした。一方、上基板112に、上記と同
様の方法にて対向電極107、絶縁膜109等を形成し
て、対向基板103とした。
【0117】次に、上記TFT基板102上に、シール
材106として熱硬化型シール材(ストラクトボンドX
N21−S、三井東圧化学(株)製)を、塗布形状が液
晶注入口の部分を欠いた枠状パターンとなる様に塗布し
た。更に、上記TFT基板102と対向基板103と
を、上記シール材106を介してパネルギャップが10
μmとなるように貼り合わせた。
【0118】続いて、TFT基板102と対向基板10
3との間に、液晶と紫外線硬化型高分子分散材料PNM
201(大日本インキ化学(株)製)との混合物を、真
空注入法にて導入する。このとき、シール材106に形
成されている真空注入口111は、封口していない。そ
の後、365nmを主波長とし、かつ紫外線の照射強度
が80mW/cm2(紫外線照度計UV−M02(オー
ク製作所製)により測定)の紫外線を照射し、紫外線硬
化型高分子分散材料を重合させる。これにより、高分子
樹脂マトリクス中に液晶滴が連続的につながって分散し
ているポリマーネットワーク型液晶素子が作製される。
尚、紫外線を照射する際の重合温度は20℃となるよう
にした。ここで、重合条件や紫外線の照射強度につて
は、上記に限定されるものではなく、適宜必要に応じて
設定すればよい。
【0119】更に、封口シール材(商品名;TB302
6、(株)スリーボンド製)を用いて封口処理を行っ
た。これにより、本実施例1に係る液晶表示素子を作製
した。尚、表示領域201は、シール材106の内周面
より幅3mmの枠状となる非表示領域202の内周側に
設けられている。
【0120】次に、本実施例に係る液晶表示素子に対し
て、周囲の温度を変化させて信頼性試験を実施した。そ
の前に、上記液晶表示素子を顕微鏡にて観察すると、シ
ール材106近傍には亀裂が生じていないことが確認さ
れた。信頼性試験は、液晶表示素子を、オーブンにより
80℃で10時間アニールし、その後該オーブンから液
晶表示素子を取り出して室温で冷却した。この液晶表示
素子を顕微鏡にて観察したところ、シール材106近傍
の高分子樹脂に亀裂110が発生しているのが確認され
た。より詳しくは、該亀裂110はシール材106近傍
における非表示領域202内の全周囲にて発生してい
た。更に、亀裂110は、シール材106から中央部に
向かって、最大で1. 5mmの領域にまで発生してい
た。このように、液晶表示素子を周囲の温度が高温から
低温へ変化する環境下に置くことで、亀裂が発生するこ
とが明らかとなった。尚、本実施例に係る液晶表示素子
は、シール材106と表示領域201との間に、幅が3
mmの枠状となるように非表示領域202を設けている
為、表示領域201に於ける高分子樹脂には、亀裂が発
生せず良好な表示が得られていた。
【0121】以上のことから、周囲の温度変化により、
シール材106近傍の高分子樹脂マトリクスに亀裂が発
生する液晶表示素子では、亀裂が発生する領域以外の領
域を表示領域201とすることで、表示画面上に表示ム
ラが発生せず、高い信頼性と良好な表示特性とを有する
液晶表示素子を得ることができる。
【0122】更に、シール材106と表示領域201と
の間隔を変えて、同様の実験を行った。その結果を下記
表1に示す。尚、表示ムラの程度を決定する為の評価基
準は、表示領域201に亀裂が発生していない場合を
◎、表示領域201の周囲数画素の一部に亀裂が発生し
ている場合を○、表示領域201の周囲数画素内のほぼ
全てに亀裂が発生している場合を△、表示領域201と
非表示領域202との境界から内側数画素以上にかけて
亀裂が密集して発生している場合を×としている。
【表1】 表1から明らかなように、間隔が1. 5mmより小さい
と、高分子樹脂マトリクスの亀裂110が表示領域内に
発生することにより、表示画面上に筋状の表示ムラが発
生していることが確認された。即ち、亀裂110の発生
領域は、シール材106の内周面から幅1.5mmの枠
状の領域内であると言える。よって、シール材106か
ら間隔が少なくとも1.5mmとなるように表示領域2
01を形成すると、表示ムラは解消され良好な表示が得
られた。更に、最も優秀な効果を達成する実施要件とし
ては3.0mm以上の間隔を確保することがより好まし
い。ここで、熱硬化型のシール材106と表示領域20
1との間隔が3.0mmの場合、該表示領域201には
亀裂が存在しない為表示は良好であり、亀裂110は非
表示領域202において視認できた。この亀裂110を
調べたところ、亀裂110内部は真空であることがわか
った。
【0123】以上の結果から、本実施例に係る液晶表示
素子は、亀裂110が発生しても、表示画面に於いては
筋状の表示ムラが発生せず、良好な表示特性を示すこと
が確認された。
【0124】(実施例2)本実施例2に係る液晶表示素
子は、前記実施の形態1に対応する。
【0125】前記実施例1に係る液晶表示素子と本実施
例2に係る液晶表示素子との異なる点は、高分子液晶複
合体層104の全領域を表示領域とし、かつ亀裂110
に液晶を主成分とする物質を充填している点が異なる。
【0126】先ず、前記実施例1と同様にして、液晶表
示素子を作製した。次に、上記液晶表示素子に対して、
前記実施例1と同様に信頼性試験を実施した。この信頼
性試験後、上記液晶表示素子を顕微鏡にて観察したとこ
ろ、シール材106近傍の高分子樹脂に亀裂110が発
生しているのが確認された。
【0127】更に、液晶表示素子101を、再び80℃
・2時間の条件でオーブンにてアニールしたところ、亀
裂110周囲に存在する主に液晶から成る物質が該亀裂
110に流入して塞がった。このとき、亀裂110以外
の領域との屈折率差が小さくなり、該亀裂110が目立
たなくなった。よって、亀裂110が発生した場合に
は、熱処理等を行うことにより亀裂110を塞ぎ、該亀
裂110を目立たなくする為に有効であることが確認さ
れた。
【0128】以上の結果から、本実施例に係る液晶表示
素子は、亀裂110が発生しても、表示画面に於いては
筋状の表示ムラが目立たず、良好な表示特性を示すこと
が確認された。
【0129】(実施例3)本実施例3に係る液晶表示素
子は、前記実施の形態2に対応する。上記液晶表示素子
は、以下に示す方法にて作製した。
【0130】即ち、前記実施例1と同様にして、ガラス
から成る下基板111に、真空蒸着及びエッチングによ
り、画素電極105、ソースライン108、絶縁膜10
9等を形成し、TFT基板102とした。更に、印刷法
によりオプトマーAL5417(日本合成ゴム社製)を
下基板111上に印刷した後、オーブンにて加熱して硬
化させ絶縁膜109を形成した。一方、上基板112
に、上記と同様に真空蒸着及びエッチングにて対向電極
107を形成した。更に、オプトマーAL5417を上
基板112上に塗布した後、上記と同様にオーブンにて
硬化させ、絶縁膜109を形成し、対向基板103とし
た。
【0131】続いて、上記TFT基板102上に、シー
ル材106として熱硬化型シール材(ストラクトボンド
XN21−S、三井東圧化学(株)製)を、塗布形状が
液晶注入口の部分を欠いた枠状パターンとなる様に塗布
した。更に、ガラススペーサを散布し、上記TFT基板
102と対向基板103とを、上記シール材106を介
してパネルギャップが13μmとなるように貼り合わせ
た。
【0132】次に、TFT基板102と対向基板103
との間に、液晶と紫外線硬化型高分子分散材料PNM2
01とを含む液晶高分子混合溶液を、真空注入法にて導
入し、液晶パネルを作製した。
【0133】更に、図16に示すように、シール材10
6近傍における非表示領域202及びシール材106を
遮蔽するように、紫外線反射板210・210を配置し
た後、超高圧水銀ランプを光源とする紫外線発生機(商
品名;UVA702−IMNSC−BB01、ウシオ電
機製)211を用いて、対向基板103側から第1の紫
外線を60秒間照射した。これにより、紫外線反射板2
10・210により遮蔽された領域以外の領域における
高分子を重合させると共に、液晶と高分子マトリクスと
に相分離させた。ここで、液晶パネル温度(重合温度)
は、循環恒温漕によりパネルの表面温度が19℃となる
ように設定した。更に、紫外線の強度を紫外線照度計U
V- M02(オーク製作所製)を用いて測定し、100
mW/cm2となるように設定した。
【0134】次に、紫外線反射板210・210を取り
去り、パネル全面に第2の紫外線を60秒間照射した。
上記第2の紫外線の照射強度は500mW/cm2 とな
るように設定した。これにより、非表示領域202にお
ける高分子分散材料を重合させると共に、液晶と高分子
マトリクスとに相分離させる。上記のように、液晶高分
子混合溶液に紫外線を照射する際に、非表示領域202
に照射する紫外線の照射強度を表示領域201よりも大
きくすることにより、液晶滴の存在形態を制御すること
ができる。即ち、紫外線の照射強度を大きくすると、液
晶と高分子化合物との相分離は一層進行する為、非表示
領域202では液晶滴206が個々に独立して分散した
状態で存在する。一方、表示領域201においては、液
晶滴205は、その一部が相互に接触し連なった状態で
存在する。
【0135】尚、上記のようにして紫外線を照射した場
合、非表示領域202に照射された紫外線の照射強度の
トータルは600mW/cm2 となり、表示領域201
に照射された紫外線の照射強度のトータルは500mW
/cm2 となる。よって、見かけ上、表示領域201に
照射された紫外線の照射量よりも、非表示領域202に
照射された紫外線の照射量の方が大きい。しかしなが
ら、表示領域201に於いては、一回目の紫外線照射が
終了した段階で液晶と高分子化合物との相分離は終了し
ている。よって、その後500mW/cm2 の紫外線が
照射されても反応は進行しない。この結果、相分離を行
う際の紫外線の照射量は、実質的には非表示領域202
に於ける照射量が大きいことになる。
【0136】上記液晶滴205・206の構造は下記の
方法により確認した。即ち、ガラスからなる一対の基板
をシール材により貼り合わせ、上記と同様の組成物から
なる液晶高分子混合溶液を注入して、同様の重合条件に
て重合させ液晶パネルを作製する。ここで、該液晶パネ
ルにはTFT等が形成されていない。作製した上記液晶
パネルの何れか一方の基板を剥離し、液晶滴の粒径を測
定した。より詳しくは、液晶滴を顕微鏡で観察し、画像
処理装置を用いて粒径の平均値を求めて行った。観察の
結果、表示領域201における液晶滴の平均粒径は1.
2μmであり、かつその一部が互いに繋がった形状とな
っていた。一方、非表示領域202における液晶滴の平
均粒径は0. 6μmと小さく、かつ液晶滴は互いにほぼ
独立した形状であった。
【0137】以上のことから、本実施例に係る液晶表示
素子に於いても、上記構造の場合と同様に、表示領域2
01に於ける液晶滴205は互いに一部が繋がった構造
であり、非表示領域202に於ける液晶滴206は互い
に独立した分散構造であると推察した。
【0138】続いて、作製した液晶パネルをオーブンに
入れアニール処理を施した。処理条件は80℃、10時
間とした。その後、室温まで冷却し、高分子樹脂マトリ
クスの亀裂の発生状態を顕微鏡にて観察した。この結
果、シール材106近傍の高分子樹脂マトリクスに亀裂
は発生せず、表示領域201にも表示ムラは発生しない
ことが確認された。
【0139】尚、2回目に紫外線を照射する際は、紫外
線反射板210を除いて全面に照射したが、これは、1
回目に照射した表示領域201に相当する領域を紫外線
反射板210で遮蔽して照射しても良い。これにより、
1回目に照射した上記領域を遮蔽することで、紫外線に
よる表示領域201に於ける液晶等の分解を抑制する効
果がある。
【0140】又、紫外線の照射強度は、光源のランプ強
度を変えることにより制御することも可能である。具体
的には、例えば超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ等を
用いた場合、紫外線の波長ピークが365nmにあり可
視光領域における紫外線の照射強度が小さいので、液晶
の分解を抑制することができ、信頼性の低下を防ぐこと
ができる。一方、メタルハライドランプ等を用いた場
合、可視光領域に於いてもランプ強度が存在する為、液
晶を分解する等して信頼性に課題を有する。
【0141】(実施例4)本実施例4に係る液晶表示素
子は、前記実施の形態3に対応する。上記液晶表示素子
は、前記実施例3と同様にして液晶パネルを作製した。
【0142】更に、前記実施例3と同様にして、シール
材106近傍における非表示領域202及びシール材1
06を紫外線反射板210・210にて遮蔽し、液晶パ
ネルの表面温度を19℃で保持して対向基板103側か
ら第1の紫外線を照射した。ここで、照射条件として
は、照射強度を100mW/cm2 とし、照射時間を6
0秒間とした。
【0143】これにより、紫外線反射板210・210
により遮蔽された領域以外の領域における高分子前駆体
を重合させると共に、液晶と高分子樹脂マトリクスとに
相分離させた。この結果、表示領域201では、液晶滴
の一部が互いに繋がった形状となっていた。更に、非表
示領域202では未硬化で、液晶と高分子化合物とが混
合した液体状となっていた。ここで、液晶パネル温度
(重合温度)は、循環恒温漕により液晶パネルの表面温
度が19℃となるように設定した。
【0144】続いて、作製した液晶パネルをオーブンに
入れアニール処理を施した。処理条件は80℃、10時
間とした。その後、室温まで冷却し、高分子樹脂マトリ
クスの亀裂の発生状態を顕微鏡にて観察した。この結
果、シール材106近傍の高分子樹脂マトリクスに亀裂
は発生せず、表示領域201にも表示ムラは発生せずに
良好な表示画面が得られた。
【0145】(実施例5)本実施例5に係る液晶表示素
子は、前記実施の形態4に対応する。上記液晶表示素子
は、以下のようにして作製した。
【0146】先ず、前記実施例1と同様にして、ガラス
から成る下基板111に、真空蒸着及びエッチングによ
り、画素電極105、ソースライン108、絶縁膜10
9等を形成し、TFT基板102とした。更に、オプト
マーAL5417を印刷法により下基板111上に印刷
した後、オーブンにて加熱して硬化させ絶縁膜109を
形成した。一方、上基板112に、上記と同様の方法に
て対向電極107、絶縁膜109等を形成し、対向基板
103とした。続いて、上記TFT基板102上に、シ
ール材106として熱硬化型シール材を、塗布形状が液
晶注入口の部分を欠いた枠状パターンとなる様に印刷し
た。
【0147】次に、表示領域201を含む領域に、液晶
と紫外線硬化型高分子分散材料PNM201とを含む液
晶高分子混合溶液を、ノズルを用いて必要量を滴下し
た。ここで、表示領域201に高分子材料を配置する方
法としては、上記の他に、非表示領域202をマスクし
て、スピンナーにて塗布してもよい。又、ローラー等、
一般の印刷手法を用いても良い。
【0148】更に、ガラススペーサを散布し、上記TF
T基板102と対向基板103とを、上記シール材10
6を介してパネルギャップが10μmとなるように貼り
合わせて液晶パネルを作製した。ここで、シール材10
6の内周面と表示領域201との間隔は3mm程度とな
るようにした。尚、TFT基板102と対向基板103
との貼り合わせ工程は空気中で行ったため、シール材1
06近傍の非表示領域202には空気が充填されてい
る。
【0149】更に、超高圧水銀ランプを光源とする紫外
線発生機211を用いて、対向基板103側から紫外線
を60秒間照射した。これにより、表示領域201にお
ける高分子前駆体を重合させると共に、液晶と高分子樹
脂マトリクスとに相分離させた。ここで、液晶パネル温
度(重合温度)は、循環恒温漕により20℃となるよう
に設定した。更に、紫外線の照射強度は80mW/cm
2 となるように設定した。
【0150】ここで、液晶パネルを観察したところ、側
部間隙層412に於いては空気が充填されており、且つ
表示領域201には高分子液晶複合体層400が形成さ
れていた。
【0151】最後に、注入口を封口シール材(TB30
26、(株)スリーボンド製)を用いて封口した。
【0152】更に、作製した液晶パネルを顕微鏡にて観
察したところ、シール材106近傍の非表示領域202
では、亀裂は確認されなかった。次に、該液晶パネルを
オーブンにより80℃・10時間アニールし、室温で冷
却した。この結果、シール材106近傍に於いては、高
分子液晶複合体層は存在しない為、亀裂が発生せず良好
な表示特性を有する液晶表示素子が得られた。
【0153】(実施例6)本実施例6に係る液晶表示素
子は、前記実施の形態4に対応する。
【0154】本実施例6に係る液晶表示素子は、前記実
施例5に係る液晶表示素子と比較して、非表示領域20
2が真空である代わりに高分子樹脂層が設けられている
点が異なる(図17参照)。
【0155】上記液晶表示素子は、以下のようにして作
製した。
【0156】先ず、前記実施例5と同様にして、下基板
111に、画素電極105、ソースライン108及び絶
縁膜109等を形成し、TFT基板102とした。一
方、上基板112に、上記と同様の方法にて対向電極1
07、絶縁膜109等を形成し、対向基板103とし
た。続いて、上記TFT基板102上に、シール材10
6として熱硬化型シール材を、塗布形状が液晶注入口の
部分を欠いた枠状パターンとなる様に印刷した。
【0157】次に、重合性モノマー(2−エチルヘキシ
ルアクリレート)90%と、オリゴマー(商品名;ビス
コート828、大阪有機化学工業製)9%と、重合開始
剤(商品名;ベンジルメチルケタール、日本化薬製)1
%とを混合し、高分子組成物Aを作製した。更に、この
高分子組成物A20%に液晶材料TL205(メルク社
製)80%を混合させ、高分子組成物Bを作製した。
【0158】続いて、表示領域201を含む領域に、高
分子組成物Bをノズルにより必要量だけ滴下した。更
に、高分子組成物Aを非表示領域202にノズルにより
滴下した後、TFT基板102と対向基板103とを貼
り合わせた。
【0159】最後に、液晶パネルに実施例4と同様の手
法で紫外線を照射し、本実施例に係る液晶表示素子を作
製した。
【0160】上記液晶表示素子を観察したところ、表示
領域201は液晶滴が高分子樹脂マトリクス中に分散保
持された高分子分散液晶であり、非表示領域202は重
合した高分子樹脂のみが存在する構成であった。即ち、
高分子樹脂層521が形成されていた。
【0161】続いて、作製した液晶パネルをオーブンに
入れアニール処理を施した。処理条件は80℃、10時
間とした。その後、室温まで冷却し、高分子樹脂マトリ
クスの亀裂の発生状態を顕微鏡にて観察した。この結
果、シール材106近傍の高分子樹脂マトリクスに亀裂
は発生せず、表示領域201にも表示ムラは発生せずに
良好な表示画面が得られた。
【0162】上記の理由としては、シール材106近傍
に高分子樹脂のみが存在する為、液晶滴が存在する場合
と比較して、下基板111又は上基板112の歪み等に
対して破壊強度が増している為である。
【0163】尚、シール材106近傍の高分子樹脂層5
21は、高分子液晶複合体層400における高分子樹脂
マトリクスと同様の材質である為、該高分子液晶複合体
層400と高分子樹脂層521との境目が目立たなくな
る。
【0164】上記高分子樹脂層521としては、紫外線
硬化型樹脂であってもよく、熱硬化型樹脂であってもよ
い。紫外線硬化型樹脂は、重合開始剤等を含有させるこ
とにより紫外線で硬化する高分子樹脂であれば、特に限
定されるものではなく、従来公知の種々のものを採用で
きる。即ち、該高分子樹脂層521に亀裂が発生せず良
好な表示が得られる。又、紫外線を照射した際に、非表
示領域202が、表示領域201より遅れて重合を開始
すれば、高分子樹脂層521と高分子液晶複合体層40
0との境界を一層目立たなくさせる効果がある。
【0165】(実施例7)本実施例7に係る液晶表示素
子は、前記実施の形態5に対応する。上記液晶表示素子
は、以下に示す方法にて作製した。
【0166】先ず、前記実施例3と同様にして、下基板
111に、画素電極105、ソースライン108及び絶
縁膜109等を形成し、TFT基板102とした。一
方、上基板112に、上記と同様の方法にて対向電極1
07、絶縁膜109等を形成し、対向基板103とし
た。続いて、上記TFT基板102上に、シール材10
6枠状パターンとなる様に印刷した後、上記TFT10
2と対向基板103とを貼り合わせた。
【0167】更に、前記実施例3と同様にして、シール
材106近傍における非表示領域202及びシール材1
06を紫外線反射板210・210にて遮蔽し、液晶パ
ネルの表面温度を19℃で保持して対向基板103側か
ら照射強度が100mW/cm2 の第1の紫外線を60
秒間照射した。これにより、紫外線反射板210・21
0により遮蔽された領域以外の領域における高分子前駆
体を重合させると共に、液晶と高分子樹脂マトリクスと
に相分離させた。この結果、表示領域201では、液晶
滴の一部が互いに繋がった形状となっていた。ここで、
液晶パネル温度(重合温度)は、循環恒温漕により該液
晶パネルの表面温度が19℃となるように設定した。
【0168】次に、紫外線反射板210・210を取り
去り、パネル全面に第2の紫外線を240秒間照射し
た。上記第2の紫外線の照射強度は10mW/cm2
なるように設定した。このように、紫外線の照射強度を
小さくすることにより、液晶と高分子化合物との相分離
を抑制するので、従って高分子の重合度も小さい。よっ
て、非表示領域202に於ける液晶滴502の粒径は、
表示領域201に於ける液晶滴501の粒径よりも大き
く、液晶滴502の形状はその大部分が繋がった状態で
存在している。一方、表示領域201においては、液晶
滴502よりも小さな粒径の液晶滴501が、その一部
を相互に接触し連なった状態で存在している。
【0169】上記液晶滴501・502の構造は下記の
方法により確認した。即ち、ガラスからなる一対の基板
をシール材により貼り合わせ、上記と同様の組成物から
なる液晶高分子混合溶液を注入して、同様の重合条件に
て重合させ液晶パネルを作製した。ここで、該液晶パネ
ルにはTFT等が形成されていない。作製した上記液晶
パネルの何れか一方の基板を剥離し、液晶滴の粒径を測
定した。より詳しくは、液晶滴を顕微鏡で観察し、画像
処理装置を用いて粒径の平均値を求めて行った。観察の
結果、液晶滴の粒径は1. 2μmであり、互いに一部が
繋がった形状となっていた。一方、非表示領域202に
於ける液晶滴の粒径は2μmと大きく、大部分が互いに
繋がった形状となっていた。このときの非表示領域20
2の液晶分率は80%であった。
【0170】以上のことから、本実施例に係る液晶表示
素子に於いても、上記構造の場合と同様に、表示領域2
01に於ける液晶滴501は互いに一部が繋がった構造
であり、非表示領域202に於ける液晶滴502は大部
分が互いに繋がった構造であると推察した。
【0171】続いて、作製した液晶パネルをオーブンに
入れアニール処理を施した。処理条件は80℃、10時
間とした。その後、室温まで冷却し、高分子樹脂マトリ
クスの亀裂の発生状態を顕微鏡にて観察した。この結
果、シール材106近傍の高分子樹脂マトリクスに亀裂
は発生せず、表示領域201にも表示ムラは発生しない
ことが確認された。
【0172】本発明者等は、紫外線の照射強度が小さい
ほど、重合速度が下がり液晶滴の粒径は大きくなること
を見出した。従って、非表示領域202に照射される第
2の紫外線の照射強度が、表示領域201に照射される
第1の紫外線の照射強度よりも小さければ、シール材1
06近傍の液晶滴の粒径が表示領域201よりも大きく
なり、この結果上記の構成が得られる。
【0173】ここで、第1及び第2の紫外線の照射強度
を変えて、亀裂による表示ムラの程度や表示領域201
におけるゲイン、液晶滴の粒径等を調べた。結果を下記
表2及び表3に示す。尚、表2に表記されている評価基
準は、コントラスト比が250の場合を◎、コントラス
ト比が100の場合を○、コントラスト比が80の場合
を△、コントラスト比が30の場合を×としている。
又、表3に示されている結果は、第2の紫外線の照射強
度の値に対して、第1の紫外線の照射強度を10、2
0、50、70、100、200、300、400と変
化させた場合を示している。
【表2】
【表3】 液晶パネルのコントラスト比を100以上にするには、
ゲインGは2. 5以下にする必要がある。この為、表示
領域201に照射する第1の紫外線の照射強度は、ゲイ
ンの観点から50mW/cm2 〜400mW/cm2
範囲内であることが望ましい。即ち、液晶滴の粒径に置
き換えれば、0.8μm〜1. 4μmの範囲内に相当す
る。一方、シール材106近傍の非表示領域202で
は、表示領域201に於ける表示ムラを解消する為に、
信頼性試験に於ける冷却の際も液晶が流動しやすい状態
にあることが必要である。この為、シール材106近傍
の液晶滴の粒径は、表3の結果から1. 8μm以上が望
ましい。これは、第2の紫外線の照射強度では、20m
W/cm2 以下に相当する。
【0174】
【発明の効果】本発明は、以上に説明した形態で実施さ
れ、以下のような効果を奏する。
【0175】即ち、周囲の温度変化によりシール材近傍
の領域に亀裂を生じても、該亀裂の発生する領域を表示
領域に含めない構成としているので、亀裂に起因する筋
状の表示ムラが表示画面上で視認されるのを防止するこ
とができるという効果を奏する。
【0176】又、シール材近傍の非表示領域に於いて、
液晶滴を独立して分散した構造か、或いは表示領域にお
ける液晶滴の粒径よりも大きくすることにより、亀裂の
発生を防止し、良好なコントラストを維持したままで、
筋状の表示ムラの発生を抑制することができるという効
果を奏する。
【0177】更に、シール材近傍の非表示領域には、高
分子液晶複合体層を形成しないことにより、亀裂の発生
を防止し、良好なコントラストを維持したままで、筋状
の表示ムラの発生を抑制することができるという効果を
奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る液晶表示素子の概
略を示す平面図である。
【図2】上記実施の形態1に係る液晶表示素子の概略を
示す断面模式図である。
【図3】上記実施の形態1に係る液晶表示素子を80℃
で放置した際の、放置時間に対するシール材と亀裂との
距離の変化を示すグラフである。
【図4】上記液晶表示素子の要部を示す平面図である。
【図5】上記液晶表示素子に於いて、液晶の連続相の中
に高分子樹脂が3次元網目状に広がる構造を有する高分
子液晶複合体層の状態を示す説明図である。
【図6】図6(a)は、本発明の実施の形態2に係る液
晶表示素子の概略を示す断面模式図であり、図6(b)
は表示領域に於ける液晶滴の形状を模式的に示す断面図
であり、図6(c)は非表示領域に於ける液晶滴の形状
を模式的に示す断面図である。
【図7】上記実施の形態2に係る液晶表示素子の製造方
法を説明する為の断面模式図である。
【図8】本発明の実施の形態3に係る液晶表示素子の概
略を示す断面模式図である。
【図9】上記実施の形態3に係る液晶表示素子の製造方
法を説明する為の断面模式図である。
【図10】本発明の実施の形態4に係る液晶表示素子の
概略を示す断面模式図である。
【図11】本発明の実施の形態5に係る液晶表示素子の
概略を示す断面模式図である。
【図12】上記液晶表示素子の表示領域に於ける液晶滴
の形状を模式的に示す説明図である。
【図13】上記液晶表示素子の非表示領域に於ける液晶
滴の形状を模式的に示す説明図である。
【図14】上記実施の形態5に係る液晶表示素子の液晶
滴の概略を示す断面模式図である。
【図15】上記実施の形態5に係る液晶表示素子の製造
方法を説明する為の断面模式図である。
【図16】本発明の実施例3に係る液晶表示素子の製造
方法を説明する為の断面模式図である。
【図17】本発明の実施例6に係る液晶表示素子の概略
を示す断面模式図である。
【図18】従来の液晶表示素子に於ける亀裂の発生メカ
ニズムを説明する為の断面模式図である。
【符号の説明】
102 TFT基板 103 対向基板 104、204、300、400、500 高分子液晶
複合体層 105 画素電極 107 対向電極 109 絶縁膜 110 亀裂 201 表示領域 202 非表示領域 205、206、501、502 液晶滴 412 側部間隙層

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子化合物中に液晶滴が分散された高
    分子液晶複合体層が、内側面にそれぞれ電極を備えた一
    対の基板の間に配置され、かつシール材により上記一対
    の基板が貼り合わされた液晶表示素子であって、 上記高分子液晶複合体層は、高分子化合物を含み構成さ
    れたマトリクス連続相中に液晶滴が分散保持され、又は
    高分子化合物を含み構成された三次元網目状マトリクス
    の網目内に液晶が分散保持されたものであり、 上記高分子液晶複合体層の外周面とシール材の内周面と
    が密着するように形成され、 かつ、上記高分子液晶複合体層に於ける本体部が表示領
    域となり、該高分子液晶複合体層に於ける上記シール材
    近傍の周縁部が非表示領域となるように分割され、 更に、上記表示領域に於ける高分子液晶複合体層は、高
    分子化合物を含み構成されたマトリクス連続相中に、液
    晶滴が一部相互に繋がった状態で分散保持され、又は高
    分子化合物を含み構成された三次元網目状マトリクスの
    網目内に液晶が分散保持されたものであり、 上記表示領域に於ける液晶滴の粒径又は網の目の間隔
    と、上記非表示領域に於ける液晶滴の粒径又は網の目の
    間隔とが異なるように形成されていることを特徴とする
    液晶表示素子。
  2. 【請求項2】 高分子化合物中に液晶滴が分散された高
    分子液晶複合体層が、内側面にそれぞれ電極を備えた一
    対の基板の間に配置され、かつシール材により上記一対
    の基板が貼り合わされた液晶表示素子であって、 上記高分子液晶複合体層は、高分子化合物を含み構成さ
    れたマトリクス連続相中に液晶滴が分散保持され、又は
    高分子化合物を含み構成された三次元網目状マトリクス
    の網目内に液晶が分散保持されたものであり、 上記高分子液晶複合体層の外周面とシール材の内周面と
    が密着するように形成され、 かつ、上記高分子液晶複合体層に於ける本体部が表示領
    域となり、該高分子液晶複合体層に於ける上記シール材
    近傍の周縁部が非表示領域となるように分割され、 更に、上記表示領域に於ける高分子液晶複合体層は、高
    分子化合物を含み構成されたマトリクス連続相中に、液
    晶滴が一部相互に繋がった状態で分散保持され、又は高
    分子化合物を含み構成された三次元網目状マトリクスの
    網目内に液晶が分散保持されたものであり、 上記表示領域に於ける液晶分率と、上記非表示領域に於
    ける液晶分率とが異なるように形成されていることを特
    徴とする液晶表示素子。
  3. 【請求項3】 上記表示領域に於ける液晶分率と、上記
    非表示領域に於ける液晶分率との差が少なくとも5%以
    上であることを特徴とする請求項2に記載の液晶表示素
    子。
  4. 【請求項4】 高分子化合物中に液晶滴が分散された高
    分子液晶複合体層が、内側面にそれぞれ電極を備えた一
    対の基板の間に配置され、かつシール材により上記一対
    の基板が貼り合わされた液晶表示素子であって、 上記高分子液晶複合体層は、高分子化合物を含み構成さ
    れたマトリクス連続相中に液晶滴が分散保持され、又は
    高分子化合物を含み構成された三次元網目状マトリクス
    の網目内に液晶が分散保持されたものであり、 かつ、上記高分子液晶複合体層の外周面とシール材の内
    周面とが密着するように形成され、 更に、上記高分子液晶複合体層に於ける全領域のうち、
    上記シール材近傍の亀裂が発生する領域以外を表示領域
    としていることを特徴とする液晶表示素子。
  5. 【請求項5】 高分子化合物中に液晶滴が分散された高
    分子液晶複合体層が、内側面にそれぞれ電極を備えた一
    対の基板の間に配置され、かつシール材により上記一対
    の基板が貼り合わされた液晶表示素子であって、 上記高分子液晶複合体層は、高分子化合物を含み構成さ
    れたマトリクス連続相中に液晶滴が分散保持され、又は
    高分子化合物を含み構成された三次元網目状マトリクス
    の網目内に液晶が分散保持されたものであり、 かつ、上記高分子液晶複合体層の外周面とシール材の内
    周面とが密着するように形成され、 更に、上記高分子液晶複合体層に於ける、上記シール材
    近傍で発生する亀裂の内部に、主に液晶から成る物質が
    充填されていることを特徴とする液晶表示素子。
  6. 【請求項6】 高分子化合物中に液晶滴が分散された高
    分子液晶複合体層が、内側面にそれぞれ電極を備えた一
    対の基板の間に配置され、かつシール材により上記一対
    の基板が貼り合わされた液晶表示素子であって、 上記高分子液晶複合体層は、高分子化合物を含み構成さ
    れたマトリクス連続相中に液晶滴が分散保持され、又は
    高分子化合物を含み構成された三次元網目状マトリクス
    の網目内に液晶が分散保持されたものであり、 更に、上記シール材の内周縁に少なくとも幅1.5mm
    以上の枠状の領域が設けられ、かつ上記枠状の領域の内
    側に表示領域が設けられていることを特徴とする液晶表
    示素子。
  7. 【請求項7】 高分子化合物中に液晶滴が分散された高
    分子液晶複合体層が、内側面にそれぞれ電極を備えた一
    対の基板の間に配置され、かつシール材により上記一対
    の基板が貼り合わされた液晶表示素子であって、 上記高分子液晶複合体層は、表示領域と、該表示領域の
    外周縁に位置する枠状の非表示領域とに分割され、 上記表示領域に於ける高分子液晶複合体層は、高分子化
    合物を含み構成されたマトリクス連続相中に、液晶滴が
    一部相互に繋がった状態で分散保持され、又は高分子化
    合物を含み構成された三次元網目状マトリクスの網目内
    に液晶が分散保持されたものであり、 上記非表示領域に於ける高分子液晶複合体層は、高分子
    化合物を含み構成されたマトリクス中に、ほぼ球形又は
    回転楕円体形状の液晶滴が相互に独立して分散した状態
    で保持されたものであることを特徴とする液晶表示素
    子。
  8. 【請求項8】 上記表示領域に於ける液晶の液晶分率
    が、上記非表示領域に於ける液晶の液晶分率よりも大き
    いことを特徴とする請求項7に記載の液晶表示素子。
  9. 【請求項9】 上記表示領域に於ける液晶分率は70%
    以上、80%以下の範囲内にあり、かつ上記非表示領域
    に於ける液晶分率は70%未満であることを特徴とする
    請求項7又は請求項8に記載の液晶表示素子。
  10. 【請求項10】 上記表示領域に於ける液晶滴の粒径、
    又は網の目の間隔が0.8μm以上、1.4μm以下の
    範囲内にあり、かつ非表示領域に於ける液晶滴の粒径が
    0.8μm未満であることを特徴とする請求項7に記載
    の液晶表示素子。
  11. 【請求項11】 高分子化合物中に液晶滴が分散された
    高分子液晶複合体層が、内側面にそれぞれ電極を備えた
    一対の基板の間に配置され、かつシール材により上記一
    対の基板が貼り合わされた液晶表示素子であって、 上記高分子液晶複合体層は、表示領域と該表示領域の外
    周縁に枠状の非表示領域とに分割され、 上記表示領域に於ける高分子液晶複合体層は、高分子化
    合物を含み構成されたマトリクス連続相中に、液晶滴が
    一部相互に繋がった状態で分散保持され、又は高分子化
    合物を含み構成された三次元網目状マトリクスの網目内
    に液晶が分散保持されたものであり、 上記非表示領域に於ける高分子液晶複合体層は、液晶と
    高分子化合物とが互いに相溶した状態で形成されている
    ことを特徴とする液晶表示素子。
  12. 【請求項12】 高分子化合物中に液晶滴が分散された
    高分子液晶複合体層が、内側面にそれぞれ電極を備えた
    一対の基板の間に配置され、かつシール材により上記一
    対の基板が貼り合わされた液晶表示素子であって、 上記高分子液晶複合体層は少なくとも表示領域に相当す
    る部分に設けられ、かつ上記シール材と高分子液晶複合
    体層との間の非表示領域に相当する部分には、側部間隙
    層が設けられていることを特徴とする液晶表示素子。
  13. 【請求項13】 上記側部間隙層は、真空状態にあるこ
    とを特徴とする請求項12に記載の液晶表示素子。
  14. 【請求項14】 上記側部間隙層には、気体が充填され
    ていることを特徴とする請求項12に記載の液晶表示素
    子。
  15. 【請求項15】 上記側部間隙層には、高分子化合物が
    充填されていることを特徴とする請求項12に記載の液
    晶表示素子。
  16. 【請求項16】 高分子化合物中に液晶滴が分散された
    高分子液晶複合体層が、内側面にそれぞれ電極を備えた
    一対の基板の間に配置され、かつシール材により上記一
    対の基板が貼り合わされた液晶表示素子であって、 上記高分子液晶複合体層は、高分子化合物を含み構成さ
    れたマトリクス連続相中に液晶滴が分散保持され、又は
    高分子化合物を含み構成された三次元網目状マトリクス
    の網目内に液晶が分散保持されたものであり、 上記高分子液晶複合体層は、上記シール材の内周縁に位
    置する枠状の非表示領域と、該非表示領域の内側に位置
    する表示領域とに分割され、 上記表示領域に於ける液晶滴の粒径又は網の目の間隔よ
    りも、シール材近傍の非表示領域に於ける液晶滴の粒径
    又は網の目の間隔が大きいことを特徴とする液晶表示素
    子。
  17. 【請求項17】 上記表示領域に於ける液晶の液晶分率
    が、上記非表示領域に於ける液晶の液晶分率よりも小さ
    いことを特徴とする請求項16に記載の液晶表示素子。
  18. 【請求項18】 上記表示領域に於ける液晶分率は70
    %以上、80%以下の範囲内にあり、かつ上記非表示領
    域に於ける液晶分率は80%より大きいことを特徴とす
    る請求項17に記載の液晶表示素子。
  19. 【請求項19】 上記表示領域に於ける液晶分率と、上
    記非表示領域に於ける液晶分率との差が少なくとも5%
    以上であることを特徴とする請求項17に記載の液晶表
    示素子。
  20. 【請求項20】 上記非表示領域の液晶滴の粒径又は網
    の目の間隔が1. 8μm以上であり、上記表示領域の液
    晶滴又は網の目の間隔が0. 8μm以上、1. 4μm以
    下の範囲内であることを特徴とする特許請求項16に記
    載の液晶表示素子。
  21. 【請求項21】 上記非表示領域は、幅が少なくとも
    1.0mm以上の枠状の領域であることを特徴とする請
    求項7ないし請求項20の何れか1つに記載の液晶表示
    素子。
  22. 【請求項22】 内側面にそれぞれ電極を備えた一対の
    基板の間に、液晶と高分子前駆体とを含む液晶高分子前
    駆体相溶液を配置した後、前記基板面に紫外線を照射し
    て、前記液晶高分子前駆体相溶液中の液晶と高分子前駆
    体とを、該高分子前駆体を重合硬化させて相分離させる
    ことにより、液晶滴が高分子化合物を含み構成されたマ
    トリクス連続相中に分散保持され、又は液晶が高分子化
    合物を含み構成された三次元網目状マトリクスの網目内
    に分散保持された高分子液晶複合体層を作製する相分離
    工程を備える液晶表示素子の製造方法であって、 上記相分離工程は、 上記高分子液晶複合体層の表示領域に相当する領域に照
    射する第1の紫外線の照射強度を、上記高分子液晶複合
    体層の非表示領域に相当する領域に照射する第2の紫外
    線の照射強度よりも小さくすることにより、 上記表示領域では、高分子化合物を含み構成されたマト
    リクス連続相中に、液晶滴が一部相互に繋がった状態で
    分散保持され、又は高分子化合物を含み構成された三次
    元網目状マトリクスの網目内に液晶が分散保持された構
    造とし、 上記非表示領域では、高分子化合物を含む構成されたマ
    トリクス中に、ほぼ球形又は回転楕円体形状の液晶滴が
    相互に独立して分散した状態で保持された構造とするこ
    とを特徴とする液晶表示素子の製造方法。
  23. 【請求項23】 内側面にそれぞれ電極を備えた一対の
    基板の間に、液晶と高分子前駆体とを含む液晶高分子前
    駆体相溶液を配置した後、前記基板の全面に紫外線を照
    射して、前記液晶高分子前駆体相溶液中の液晶と高分子
    前駆体とを、該高分子前駆体を重合硬化させて相分離さ
    せることにより、液晶滴が高分子化合物を含み構成され
    たマトリクス連続相中に分散保持され、又は液晶が高分
    子化合物を含み構成された三次元網目状マトリクスの網
    目内に分散保持された高分子液晶複合体層を作製する相
    分離工程を備える液晶表示素子の製造方法であって、 上記相分離工程は、上記高分子液晶複合体層に於ける少
    なくとも非表示領域に、紫外線を遮蔽する遮蔽手段を設
    けて該紫外線を照射することを特徴とする液晶表示素子
    の製造方法。
  24. 【請求項24】 上記遮蔽手段は、紫外線を反射する材
    料からなる反射板であることを特徴とする特許請求項2
    3に記載の液晶表示素子の製造方法。
  25. 【請求項25】 内側面にそれぞれ電極を備えた一対の
    基板の間に、液晶と高分子前駆体を含む液晶高分子前駆
    体相溶液を配置した後、前記基板面に紫外線を照射し
    て、前記液晶高分子前駆体相溶液中の液晶と高分子前駆
    体とを、該高分子前駆体を重合硬化させて相分離させる
    ことにより、液晶滴が高分子化合物を含み構成されたマ
    トリクス連続相中に分散保持され、又は液晶が高分子化
    合物を含み構成された三次元網目状マトリクスの網目内
    に分散保持された高分子液晶複合体層を作製する相分離
    工程を備える液晶表示素子の製造方法であって、 上記
    相分離工程は、 上記高分子液晶複合体層の表示領域に相当する領域に照
    射する第1の紫外線の照射強度を、上記高分子液晶複合
    体層の非表示領域に相当する領域に照射する第2の紫外
    線の照射強度よりも大きくすることにより、 上記高分子液晶複合体層は、高分子化合物を含み構成さ
    れたマトリクス連続相中に液晶滴が分散保持され、又は
    高分子化合物を含み構成された三次元網目状マトリクス
    の網目内に液晶が分散保持された構造となり、 かつ、上記高分子液晶複合体層に於ける表示領域の液晶
    滴の粒径又は網の目の間隔は、非表示領域の液晶滴の粒
    径又は網の目の間隔よりも小さい構造となることを特徴
    とする液晶表示素子の製造方法。
  26. 【請求項26】上記第1の紫外線の照射強度が50mW
    /cm2以上であり、上記第2の紫外線の照射強度が2
    0mW/cm2以下であることを特徴とする請求項25
    に記載の液晶表示素子の製造方法。
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