JPH115174A - 抵抗溶接の品質検査方法 - Google Patents

抵抗溶接の品質検査方法

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JPH115174A
JPH115174A JP9155247A JP15524797A JPH115174A JP H115174 A JPH115174 A JP H115174A JP 9155247 A JP9155247 A JP 9155247A JP 15524797 A JP15524797 A JP 15524797A JP H115174 A JPH115174 A JP H115174A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電極チップ間抵抗により被溶接材としての撚
り線の固着力を予測することができ、溶接品質の良否を
精度良く判別することができる抵抗溶接の品質検査方法
を提供する。 【解決手段】 一対の電極15A,15B間に撚り線の
溶接部分を加圧した状態で溶接部分に溶接電流を通電
し、この溶接電流の通電による抵抗発熱を利用して溶接
部分を熱圧着させ、一対の電極間の加圧下で溶接部分の
抵抗溶接を行い、この溶接状態を検査する抵抗溶接の品
質検査方法において、溶接部分の溶接幅を測定し、この
測定された溶接幅より予め定められた溶接部分の基準溶
接断面積に基づいて溶接部分の基準溶接高さを演算し、
この演算された基準溶接高さに溶接部分の高さが達する
まで溶接電流の通電を行い、この溶接電流の通電初期の
一対の電極のチップ間抵抗のボトム値により撚り線の溶
接状態を検査する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば一方の電線
の撚られた複数の銅線材からなる芯線と他方の電線の撚
られた複数の銅線材からなる芯線同士を重ね合わせて一
対の電極間で加圧し、大電流の短時間通電による抵抗発
熱を利用して抵抗溶接し、この溶接状態を検査する抵抗
溶接の品質検査方法に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば一対の電線の撚られた複数の銅線
材からなる芯線同士を溶接する抵抗溶接装置として、図
8(a)に示す交流サイリスタ方式(電源開閉器として
サイリスタを用い、溶接電流をサイリスタなどの点弧位
相を変えて連続的に電流調整を行う方式)のものがあ
る。この抵抗溶接装置1は、被溶接材としての一対の絶
縁被覆電線30,30′(以下電線と称する)の撚られ
た複数の銅線材からなる各芯線31,31′同士を重ね
合わせて抵抗溶接するものであり、側面略コ字形で箱形
の装置本体2を有している。この装置本体2の中央には
電線セット治具3が配置されていると共に、該装置本体
2の上部前側にはエアシリンダ4が取り付けられてい
る。これら電線セット治具3とエアシリンダ4の下方に
は、上記各芯線31,31′の溶接部分に溶接電流を流
すと共に、所定の加圧力をかける上下一対の電極5A,
5Bが設けられている。
【0003】上側の電極5Aは電極ホルダ6を介して上
記エアシリンダ4のピストンロッド4aに連結されて上
下方向に移動するようになっていると共に、溶接電流を
供給する溶接トランス(電源)7にオンス銅板8を介し
て接続されている。さらに、下側の電極5Bは装置本体
2の中央部に固定されていて上記溶接トランス7に接続
されている。この溶接トランス7は溶接電流の電流値及
び通電時間を設定する溶接タイマ9に接続されていて、
該溶接タイマ9からの通電開始及び通電終了信号により
上記エアシリンダ4の電磁弁4Aが開閉されるようにな
っている。尚、各電極(電極チップ)5A,5Bは、円
柱状のクロム銅体5aと直方体状のタングステンチップ
5bとでそれぞれ構成されている。
【0004】この交流サイリスタ方式の抵抗溶接装置1
を用いて、図9に示すように、一対の電線30,30′
の各芯線31,31′同士を重ね合わせて抵抗溶接する
工程を図10に示すフローチャートに従って説明する。
まず、一対の電極5A,5B間に電線セット治具3を介
して一対の電線30,30′の露出した各芯線31,3
1′を挿入した後で起動入力スイッチ9Aをオンする
と、溶接タイマ9が始動し(ステップS1)、図示しな
い圧縮エア源に接続された電磁弁4Aが開いてエアシリ
ンダ4により上側の電極5Aが下降する。そして、一対
の電極5A,5B間の各芯線31,31′同士の初期加
圧が完了する(ステップS2)と、溶接トランス7より
溶接電流が一対の電極5A,5B間に上下交互に流され
(ステップS3)、予め設定(固定)された通電時間ま
で溶接電流が流されて該溶接電流の通電による抵抗発熱
を利用し、各芯線31,31′同士を熱圧着させて抵抗
溶接した後通電を停止する(ステップS4)。次に、一
対の電極5A,5B間の加圧状態を一定時間保持して冷
却する(ステップS5)。これらステップS2からステ
ップS5までの動作は、溶接タイマ9のシーケンス制御
により自動的に行われる。その後、上記加圧状態を解除
することにより抵抗溶接が終了する(ステップS6)。
尚、この類似技術は、特開平1−278973号公報及
び特開平5−329661号公報等に開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記抵抗溶接装置1に
より撚られた複数の銅線材からなる各芯線31,31′
同士の溶接強度(線間同士の固着力)等の溶接状態の良
否を検査する非破壊検査法として、固着力との相関が得
られる一対の電極5A,5Bのチップ間抵抗(通電中の
チップ間電圧と電流値により算出)が用いられるが、溶
接対象が撚られた複数の銅線材からなる上記各芯線3
1,31′の場合、図11に示すように、通電初期(交
流式の場合2サイクル位まで)のチップ間抵抗値は銅板
等と比較して、各芯線31,31′間に空間が生じるた
めに抵抗値が高く、また、各芯線31,31′の整列状
態が一律でないため接触抵抗のバラツキが生じるため、
チップ間抵抗を通電全体で測定し、平均化して溶接状態
の良否判定を行うと、通電初期の各芯線31,31′の
接触抵抗に大きく影響を受け、タングステン製等の一対
の電極5A,5Bの発熱(固有抵抗の上昇)状態を精度
良くとらえて上記溶接強度(固着力)を予測することが
できなかった。
【0006】そこで、本発明は、前記した課題を解決す
べくなされたものであり、電極チップ間抵抗により被溶
接材としての撚り線の固着力を予測することができ、溶
接品質の良否を精度良く判別することができる抵抗溶接
の品質検査方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、一対
の電極間に撚り線の溶接部分を加圧した状態で該溶接部
分に溶接電流を通電し、この溶接電流の通電による抵抗
発熱を利用して前記溶接部分を熱圧着させ、前記一対の
電極間の加圧下で前記溶接部分の抵抗溶接を行い、この
溶接状態を検査する抵抗溶接の品質検査方法において、
前記溶接部分の溶接幅を測定し、この測定された溶接幅
より予め定められた溶接部分の基準溶接断面積に基づい
て前記溶接部分の基準溶接高さを演算し、この演算され
た基準溶接高さに前記溶接部分の高さが達するまで前記
溶接電流の通電を行い、この溶接電流の通電初期の前記
一対の電極のチップ間抵抗のボトム値により撚り線の溶
接状態を検査することを特徴とするものである。
【0008】この抵抗溶接の品質検査方法では、溶接電
流の通電初期のチップ間抵抗のボトム値は撚り線の状態
や電流値により決定されるため、ボトム値以降の電極や
撚り線の温度上昇をみなくても溶接された撚り線の固着
力が予測され、溶接された撚り線の溶接品質の良否が精
度良く判別される。
【0009】請求項2の発明は、一対の電極間に撚り線
の溶接部分を加圧した状態で該溶接部分に溶接電流を通
電し、この溶接電流の通電による抵抗発熱を利用して前
記溶接部分を熱圧着させ、前記一対の電極間の加圧下で
前記溶接部分の抵抗溶接を行い、この溶接状態を検査す
る抵抗溶接の品質検査方法において、前記溶接部分の溶
接幅を測定し、この測定された溶接幅より予め定められ
た溶接部分の基準溶接断面積に基づいて前記溶接部分の
基準溶接高さを演算し、この演算された基準溶接高さに
前記溶接部分の高さが達するまで前記溶接電流の通電を
行い、この溶接電流の通電初期の前記一対の電極のチッ
プ間抵抗のボトム値と通電停止時のチップ間抵抗値との
差抵抗値により撚り線の溶接状態を検査することを特徴
とするものである。
【0010】この抵抗溶接の品質検査方法では、溶接電
流の通電初期のボトム値以降のチップ間抵抗の差抵抗値
を撚り線の溶接状態の良否判定の対象とすることで、撚
り線のもつ接触抵抗がキャンセルされ、固着力に相関の
強い電極と撚り線の温度上昇によるチップ間抵抗が予測
される。これにより、溶接された撚り線の溶接品質の良
否が精度良く判別される。
【0011】請求項3の発明は、一対の電極間に撚り線
の溶接部分を加圧した状態で該溶接部分に溶接電流を通
電し、この溶接電流の通電による抵抗発熱を利用して前
記溶接部分を熱圧着させ、前記一対の電極間の加圧下で
前記溶接部分の抵抗溶接を行い、この溶接状態を検査す
る抵抗溶接の品質検査方法において、前記溶接部分の溶
接幅を測定し、この測定された溶接幅より予め定められ
た溶接部分の基準溶接断面積に基づいて前記溶接部分の
基準溶接高さを演算し、この演算された基準溶接高さに
前記溶接部分の高さが達するまで前記溶接電流の通電を
行い、この溶接電流の通電初期の前記一対の電極のチッ
プ間抵抗のボトム値から通電停止時のチップ間抵抗値ま
での平均抵抗値により撚り線の溶接状態を検査すること
を特徴とするものである。
【0012】この抵抗溶接の品質検査方法では、溶接電
流の通電初期のボトム値以降のチップ間抵抗の平均抵抗
値を撚り線の溶接状態の良否判定の対象とすることで、
撚り線のもつ接触抵抗がキャンセルされ、固着力に相関
の強い電極と撚り線の温度上昇によるチップ間抵抗が予
測される。これにより、溶接された撚り線の溶接品質の
良否が精度良く判別される。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面
に基づいて説明する。
【0014】図1(a)は本発明の一実施形態の抵抗溶
接の品質検査方法に用いられる抵抗溶接装置を示す側面
図、図1(b)は抵抗溶接装置の要部の構成図、図1
(c)は抵抗溶接装置の他の要部の構成図、図2(a)
は抵抗溶接装置により抵抗溶接される一対の電線の各芯
線を示す斜視図、図2(b)は同抵抗溶時の一対の電極
と一対の電線の各芯線との積層関係を示す説明図であ
る。
【0015】図1(a)に示す抵抗溶接装置10は、交
流サイリスタ方式(電源開閉器としてサイリスタを用
い、溶接電流をサイリスタなどの点弧位相を変えて連続
的に電流調整を行う方式)のものであり、一対の電線3
0,30′の撚られた複数の銅線材からなる各芯線(撚
り線)31,31′同士を重ね合わせて抵抗溶接するも
のである。この抵抗溶接装置10は、側面略コ字形で箱
形の装置本体11を有している。この装置本体11の中
央には電線セット治具12が配置されていると共に、該
装置本体11の上部前側にはエアシリンダ(駆動手段)
13が取り付けられている。これら電線セット治具12
とエアシリンダ13の下方には各芯線31,31′の溶
接部分に溶接電流を流すと共に所定の加圧力をかける上
下一対の電極15A,15Bが設けられている。この電
極(電極チップ)15A,15Bは円柱状のクロム銅体
15aと直方体状のタングステンチップ15bとでそれ
ぞれ構成されている。
【0016】上側の電極15Aは電極ホルダ16を介し
てエアシリンダ13のピストンロッド13aに連結され
て上下方向に移動するようになっていると共に、溶接電
流を供給する溶接トランス(電源)17にオンス銅板1
8を介して接続されている。また、下側の電極15Bは
装置本体11の中央部に固定されていて上記溶接トラン
ス17に接続されている。さらに、溶接トランス17に
は溶接電流の通電時間を制御する溶接タイマ19が接続
されていて、該溶接タイマ19には図示しないシーケン
ス制御回路等を備えたシーケンサ(インターフェース)
20が接続されている。このシーケンサ20からの通電
開始及び通電終了信号により上記エアシリンダ13の電
磁弁14が開閉されると共に、上記溶接タイマ19が制
御(通電開始及び通電停止)されるようになっている。
尚、エアシリンダ13のピストンロッド13aによる一
対の電極15A,15B間の加圧力は例えば100〜2
00kgf前後に設定されている。また、溶接トランス
17は低電圧(例えば2V程度)、大電流(例えば40
00〜6000A)を得るために図示しない一次,二次
巻線等を有している。
【0017】図1(a)に示すように、電線セット治具
12には各芯線31,31′の溶接部分の溶接幅Wを測
定する幅変位センサ(幅測定手段)21が設けられてい
る。図3(a),(b)に示すように、この幅変位セン
サ21で測定された各芯線31,31′の溶接部分の溶
接幅Wより予め定められた溶接部分の基準溶接断面積S
に基づいて該溶接部分の基準溶接高さHを逆算(S÷W
=H)して求める図示しない演算回路等を備えた演算部
(演算手段)22が上記シーケンサ20に接続されてい
る。また、演算部22には溶接電流の通電開始から通電
停止までの通電時間等を表示する表示器(表示手段)2
3が設けられている。さらに、電極ホルダ16には、上
記溶接部分の高さH′が上記基準溶接高さHに達したか
否かを検出する高さ変位センサ(高さ検出手段)24が
設けられていて、この高さ変位センサ24による上記溶
接部分の基準溶接高さHの検出時にシーケンサ20によ
り溶接タイマ19を制御して溶接電流の通電を停止させ
るようになっている。
【0018】幅変位センサ21は前後方向に移動する接
触測定子21aを備えていて、該接触測定子21aの移
動距離により各芯線31,31′の溶接部分の溶接幅W
を測定するものである。また、表示器23は図示しない
液晶パネル等を備えていて、該液晶パネルに溶接電流の
通電開始から通電停止までの通電時間等の情報が表示さ
れるようになっている。さらに、高さ変位センサ24は
上下方向に移動すると共に電線セット治具12の基準板
部12aに当接する接触測定子24aを備えていて、該
接触測定子24aの移動距離により各芯線31,31′
の溶接部分の高さH′が基準溶接高さHに達したか否か
が検出されるようになっている。
【0019】図1(a)に示すように、一対の電極15
A,15Bとオンス銅板18との間には、各芯線31,
31′の溶接電流の通電開始から通電停止までの一対の
電極15A,15Bのチップ間抵抗を演算するチップ間
抵抗演算部(チップ間抵抗演算手段)25を設けてあ
る。このチップ間抵抗演算部25はオンス銅板18の電
流検出部26と一対の電極15A,15Bの各チップ間
電圧検出部27a,27bとにそれぞれ接続されてい
て、時間サンプリングされた通電中の一対の電極15
A,15Bのチップ間電圧と電流値によりチップ間抵抗
が算出されるようになっている。
【0020】次に、交流サイリスタ方式の抵抗溶接装置
10を用いて、一対の電線30,30′の撚られた複数
の銅線材からなる各芯線31,31′同士を重ね合わせ
て抵抗溶接する工程を図4に示すフローチャートによっ
て説明する。例えば、上記一対の電線30,30′の各
芯線31,31′の溶接部分の溶接幅WがW=2.5m
m、基準溶接断面積SがS=7.5mm2 、基準溶接高
さHがH=3.0mm、溶接部分の溶接前の高さH′が
H′=5.0mm、一対の電極15A,15Bの加圧力
が150kgf、溶接電流が4000Aで、上記各芯線
31,31′の溶接部分の高さH′が基準溶接高さHに
なるまで溶接電流の通電を行った場合を例にして説明す
る。
【0021】図2(b)に示すように、電線セット治具
12に一対の電線30,30′の露出した各芯線31,
31′を上下重ね合わせてセットした後で該各芯線3
1,31′の溶接部分の溶接幅Wを幅変位センサ21で
測定し(ステップS11)、この測定された溶接幅Wよ
り予め定められた各芯線31,31′の溶接部分の基準
溶接断面積Sに基づいて該溶接部分の基準溶接高さHを
演算部22で演算すると(ステップS12)、シーケン
サ20が溶接スタート入力の指示を出す(ステップS1
3)。これにより、溶接タイマ19が始動する(ステッ
プS14)と共に、図示しない圧縮エア源に接続された
電磁弁14が開いて上側の電極15Aが下降する。この
一対の電極15A,15B間の各芯線31,31′同士
の初期加圧が完了する(ステップS15)と、溶接トラ
ンス17より溶接電流が一対の電極15A,15B間に
上下交互に流され(ステップS16)、上記溶接電流の
通電による抵抗発熱を利用し、各芯線31,31′同士
を熱圧着(又は拡散接合)溶融させて抵抗溶接する。
【0022】そして、高さ変位センサ24が各芯線3
1,31′の溶接部分の高さH′が基準溶接高さHに達
したこと(H′=H)を検出する(ステップS17)
と、シーケンサ20が溶接タイマ19を介して上記溶接
電流の通電を停止させる(ステップS18)。即ち、高
さ変位センサ24が各芯線31,31′の溶接部分の高
さH′が基準溶接高さHに達するのを検出するまで溶接
電流を流し続けて各芯線31,31′同士を抵抗溶接さ
せる。次に、一対の電極15A,15B間の加圧状態を
一定時間保持して冷却し(ステップS19)、その後、
上記加圧状態を解除することにより抵抗溶接が終了する
(ステップS20)。
【0023】シーケンサ20が溶接タイマ19を介して
各芯線31,31′の溶接電流の通電を停止させるステ
ップS18の段階において、チップ間抵抗演算部25よ
り求められた各芯線31,31′の溶接電流の通電開始
から通電停止までのチップ間抵抗波形は、図5(a)に
示すように、表示器23に表示される。詳述すると、表
示器23には、各芯線31,31′の溶接部分の高さ
H′が基準溶接断面積Sに基づいて演算された基準溶接
高さHに達する(各芯線31,31′の線間同士の隙間
がなくなる時点)までの溶接電流の通電開始から通電停
止までの一対の電極15A,15Bのチップ間抵抗波形
及び通電初期のチップ間抵抗のボトム値がそれぞれ表示
される。この通電初期のチップ間抵抗のボトム値は,各
芯線31,31′の状態や一対の電極15A,15B間
を流れる電流値により決定されるため、ボトム値以降の
一対の電極5A,5Bや各芯線31,31′の温度上昇
をみなくても溶接された各芯線31,31′同士の固着
力を予測することができ、各芯線31,31′の溶接品
質の良否を精度良く判別することができる。即ち、溶接
電流の通電初期のチップ間抵抗のボトム値が図5(b)
に示すAの範囲にあれば各芯線31,31′同士の固着
力が規格値以上の良品であり、上記Aの範囲になければ
熱圧着不足(溶接不足)や過度熱圧着(過度溶接)の不
良品であることがわかる。
【0024】各芯線31,31′の抵抗溶接された溶接
部分が良品の場合には、図3(b)に示すように、線間
同士の隙間がなくなって線間同士の周囲が密に接続溶接
された状態(各芯線31,31′間の隙間率がゼロの状
態)となり、各芯線31,31′の整列状態に関係せず
に線間同士の固着力が安定している。
【0025】図5(a)の場合は、通電初期のチップ間
抵抗のボトム値により各芯線31,31′の溶接品質の
良否を検査したが、図6(a)に示す溶接電流の通電初
期のチップ間抵抗のボトム値と通電停止時のチップ間抵
抗値との差抵抗値ΔRにより各芯線31,31′の溶接
品質の良否を検査したり、図7(a)に示す溶接電流の
通電初期のチップ間抵抗のボトム値から通電停止時のチ
ップ間抵抗値までの平均抵抗値により各芯線31,3
1′の溶接品質の良否を検査することもできる。即ち、
図6(a)に示すように、溶接電流の通電初期のボトム
値以降のチップ間抵抗の差抵抗値ΔRを各芯線31,3
1′同士の溶接状態の良否判定の対象とすることで、各
芯線31,31′のもつ接触抵抗をキャンセルすること
ができ、固着力に相関の強い一対の電極15A,15B
と各芯線31,31′の温度上昇によるチップ間抵抗を
予測することができる。これにより、差抵抗値ΔRが図
6(b)に示すBの範囲にあれば各芯線31,31′同
士の固着力が規格値以上の良品であり、上記Bの範囲に
なければ溶接不足や過度溶接の不良品であることが判
り、各芯線31,31′の溶接品質の良否を精度良く判
別することができる。
【0026】また、図7(a)に示すように、溶接電流
の通電初期のチップ間抵抗のボトム値から通電停止時の
チップ間抵抗値までの平均抵抗値を各芯線31,31′
同士の溶接状態の良否判定の対象とすることで、各芯線
31,31′のもつ接触抵抗をキャンセルすることがで
き、固着力に相関の強い一対の電極15A,15Bと各
芯線31,31′の温度上昇によるチップ間抵抗を予測
することができる。これにより、上記平均抵抗値が図7
(b)に示すCの範囲にあれば各芯線31,31′同士
の固着力が規格値以上の良品であり、上記Cの範囲にな
ければ溶接不足や過度溶接の不良品であることが判り、
各芯線31,31′の溶接品質の良否を精度良く判別す
ることができる。
【0027】図5(a),図6(a),図7(a)に示
す溶接電流の通電開始から通電停止までの一対の電極1
5A,15Bのチップ間抵抗波形の変化において、最初
その値がやや高いのは、各電極15A,15Bのタング
ステンチップ5bの先端径が小さく、十分な溶接電流密
度が得られるためであり、次にこの値が低下し、その後
各芯線31,31′の溶融とともに抵抗値が徐々に上昇
して抵抗値に差が生ずる。従って、通電初期のチップ間
抵抗のボトム値、差抵抗値ΔR、ボトム値以降の平均抵
抗値をそれぞれ測定することにより各芯線31,31′
の溶接品質の良否が精度良く検査される。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
よれば、溶接電流の通電初期のチップ間抵抗のボトム値
は撚り線の状態や電流値により決定されるため、ボトム
値以降の電極や撚り線の温度上昇をみなくても溶接され
た撚り線の固着力を予測することができ、撚り線の溶接
品質の良否を精度良く判別することができる。
【0029】請求項2の発明によれば、溶接電流の通電
初期のボトム値以降のチップ間抵抗の差抵抗値を撚り線
の溶接状態の良否判定の対象とすることで、撚り線のも
つ接触抵抗をキャンセルすることができ、固着力に相関
の強い電極と撚り線の温度上昇によるチップ間抵抗を予
測することができる。これにより、溶接された撚り線の
溶接品質の良否を精度良く判別することができる。
【0030】請求項3の発明によれば、溶接電流の通電
初期のボトム値以降のチップ間抵抗の平均抵抗値を撚り
線の溶接状態の良否判定の対象とすることで、撚り線の
もつ接触抵抗をキャンセルすることができ、固着力に相
関の強い電極と撚り線の温度上昇によるチップ間抵抗を
予測することができる。これにより、溶接された撚り線
の溶接品質の良否を精度良く判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の実施形態の抵抗溶接装置を示
す側面図、(b)は同抵抗溶接装置の要部の構成図、
(c)は同抵抗溶接装置の他の要部の構成図である。
【図2】(a)は上記抵抗溶接装置により抵抗溶接され
る一対の電線の各芯線を示す斜視図、(b)は同抵抗溶
時の一対の電極と一対の電線の各芯線との積層関係を示
す説明図である。
【図3】(a)は上記一対の電線の各芯線の溶接前の状
態を示す説明図、(b)は同各芯線の溶接後の状態とな
る基準溶接断面積を示す説明図である。
【図4】上記抵抗溶接装置による一対の電線の各芯線の
抵抗溶接を順を追って説明するためのフローチャートで
ある。
【図5】(a)は上記抵抗溶接装置による通電開始から
通電停止までのチップ間抵抗波形、特に通電初期の抵抗
ボトム値の位置を示す説明図、(b)は同抵抗ボトム値
(mΩ)と各芯線の線間同士の固着力(kgf)の関係
を示す特性図である。
【図6】(a)は上記抵抗溶接装置による通電開始から
通電停止までのチップ間抵抗波形、特に抵抗ボトム値と
通電停止時の抵抗値の差抵抗値を示す説明図、(b)は
同差抵抗値(mΩ)と各芯線の線間同士の固着力(kg
f)の関係を示す特性図である。
【図7】(a)は上記抵抗溶接装置による通電開始から
通電停止までのチップ間抵抗波形、特に通電初期の抵抗
ボトム値から通電停止時の抵抗値までの平均抵抗値を示
す説明図、(b)は同平均抵抗値(mΩ)と各芯線の線
間同士の固着力(kgf)の関係を示す特性図である。
【図8】(a)は従来例の抵抗溶接装置の側面図、
(b)は同抵抗溶接装置の要部の構成図である。
【図9】上記従来例の抵抗溶接装置の一対の電極間にお
いて一対の電線の各芯線を溶接する際の説明図である。
【図10】上記従来例の抵抗溶接装置による一対の電線
の各芯線の抵抗溶接を順を追って説明するためのフロー
チャートである。
【図11】溶接対象が撚られた複数の銅線材からなる芯
線である場合のチップ間抵抗値と溶接対象が銅板である
場合のチップ間抵抗値とを比較した説明図である。
【符号の説明】
15A,15B 一対の電極 31,31′ 芯線(撚り線) W 溶接幅 S 基準溶接断面積 H 基準溶接高さ H′ 溶接部分の高さ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対の電極間に撚り線の溶接部分を加圧
    した状態で該溶接部分に溶接電流を通電し、この溶接電
    流の通電による抵抗発熱を利用して前記溶接部分を熱圧
    着させ、前記一対の電極間の加圧下で前記溶接部分の抵
    抗溶接を行い、この溶接状態を検査する抵抗溶接の品質
    検査方法において、 前記溶接部分の溶接幅を測定し、この測定された溶接幅
    より予め定められた溶接部分の基準溶接断面積に基づい
    て前記溶接部分の基準溶接高さを演算し、この演算され
    た基準溶接高さに前記溶接部分の高さが達するまで前記
    溶接電流の通電を行い、この溶接電流の通電初期の前記
    一対の電極のチップ間抵抗のボトム値により撚り線の溶
    接状態を検査することを特徴とする抵抗溶接の品質検査
    方法。
  2. 【請求項2】 一対の電極間に撚り線の溶接部分を加圧
    した状態で該溶接部分に溶接電流を通電し、この溶接電
    流の通電による抵抗発熱を利用して前記溶接部分を熱圧
    着させ、前記一対の電極間の加圧下で前記溶接部分の抵
    抗溶接を行い、この溶接状態を検査する抵抗溶接の品質
    検査方法において、 前記溶接部分の溶接幅を測定し、この測定された溶接幅
    より予め定められた溶接部分の基準溶接断面積に基づい
    て前記溶接部分の基準溶接高さを演算し、この演算され
    た基準溶接高さに前記溶接部分の高さが達するまで前記
    溶接電流の通電を行い、この溶接電流の通電初期の前記
    一対の電極のチップ間抵抗のボトム値と通電停止時のチ
    ップ間抵抗値との差抵抗値により撚り線の溶接状態を検
    査することを特徴とする抵抗溶接の品質検査方法。
  3. 【請求項3】 一対の電極間に撚り線の溶接部分を加圧
    した状態で該溶接部分に溶接電流を通電し、この溶接電
    流の通電による抵抗発熱を利用して前記溶接部分を熱圧
    着させ、前記一対の電極間の加圧下で前記溶接部分の抵
    抗溶接を行い、この溶接状態を検査する抵抗溶接の品質
    検査方法において、 前記溶接部分の溶接幅を測定し、この測定された溶接幅
    より予め定められた溶接部分の基準溶接断面積に基づい
    て前記溶接部分の基準溶接高さを演算し、この演算され
    た基準溶接高さに前記溶接部分の高さが達するまで前記
    溶接電流の通電を行い、この溶接電流の通電初期の前記
    一対の電極のチップ間抵抗のボトム値から通電停止時の
    チップ間抵抗値までの平均抵抗値により撚り線の溶接状
    態を検査することを特徴とする抵抗溶接の品質検査方
    法。
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