【発明の詳細な説明】
糖尿病と肥満の治療のための組合せ療法 発明の属する技術分野
本発明は糖尿病および肥満の治療に有効な組合せを化合物、医薬上許容される
塩または医薬製剤原料として提供する。糖尿病と肥満の治療法も開示される。さ
らに、本発明の組合せはβ3作動薬と摂食習性(feeding behavior)を変える化合
物(例えばObタンパク質、レプチン(leptin)として知られるもの)を含む。発明の背景
理想的体重よりも20%以上の体重と定義される肥満は西洋社会では健康に関
する主要な関心事である。なぜならば、心臓疾患、卒中、若年死の原因となる高
血圧、インシュリン非依存性真性糖尿病、動脈硬化を併発するからである。肥満
はエネルギー消費に対するカロリー摂取比が増えた結果起こる正方向へのエネル
ギー収支の結果である。食物摂取と体重の収支を調整する分子因子は完全には理
解されていない(B.Staelsら,J.Biol.Chem.270(27),15958(1995); F.Lonnquist
ら,Nature
Medicine 1(9),950(1995))。肥満へと導く遺伝的および/または環境因子はあ
まり理解されていないが、いくらかの遺伝因子が最近同定された。
βアドレノセプター(β-Adrenoceptor)が1967年以来β1とβ2にクラス
分けされてきた。心拍数の増大はβ1レセプターの刺激の結果である。一方、気
管支拡張と平滑筋緩和は典型的にはβ2刺激の結果生じる。含脂肪細胞脂肪分解
(adipocyte lipolysis)は最初、単にβ1媒介過程であると考えられていた。
しかし、最近の結果では、レセプター媒介脂肪分解は自然界では典型的ではない
ことがわかった。後にβ3アドレノセプターと呼ばれるこれらの異常なレセプタ
ーは白色及び茶色脂肪細胞の表面に見られ、そこでこれらの細胞刺激は脂肪分解
とエネルギー消費の両方を促進する。
この分野での初期の開発で、心房拍の刺激(β3)および気管支弛緩(β2)
より脂肪細胞の刺激(β3活性)作動活性の大きい化合物が合成された。Ainswo
rthら、U.S.Patents4,478,849および4,396,627に開示されたこれらの初期の開発
はフェニルエタノールアミン誘導体であった。
β3アドレノセプターへのこのような選択性は、もしかした
らこのタイプの化合物を抗肥満薬として役立たせ得る。加えて、これらの化合物
はインシュリン非依存性真性糖尿病の動物モデルに対して抗高血糖効果を示した
と報告されている。
β3作動薬を用いての慢性疾患の治療における主要な問題は他のβレセプター
を刺激する可能性があり、その結果副作用が起こる可能性があることである。筋
肉の震え(β2)と心拍数の増大(β1)が起こりやすい副作用のひとつである
。これらのフェニルエタノールアミン誘導体はβ3選択性を有するが、このタイ
プの副作用はヒトのボランティアで観察された。これらの副作用は部分的なβ1
または/かつβ2作動から生じると考えるのが合理的である。
より最近のこの分野での開発が以下に開示されている。
Ainsworthら,U.S.Patent5,153,210; Caulkettら,U.S.Patent4,999,377; Aligら
,U.S.Patent 5,017,619,Lecountら,European Patent 427480そしてBloomら,
European Patent455006。
たとえこれらのより最近の開発がβ1及びβ2活性よりも大きなβ3選択性を
有する化合物を説明しようとしているとしても、この選択性は試験動物としてげ
っし動物、特にラットを用
いて決定された。これらのアッセイで決定された最も選択性の高い化合物であっ
ても、ヒトで試験されたときはいまだ残りのβ1およびβ2作動活性に起因する
副作用がみられるので、げっし動物はヒトのβ3選択性を予測する良いモデルで
はないことは明らかである。
最近、ヒトで予測され得る効果をより正確に予測するアッセイが開発された。
これらのアッセイはチャイニーズハムスター卵巣細胞で発現されたクローン化さ
れたヒトβ3レセプターを利用する。Emmorineら,Science,1989,245:1118-1121
およびLiggett,Mol.Pharmacol.,1992,42:634-637を参照のこと。培養細胞に対
するいろいろな化合物の作動薬と拮抗薬の効果はヒトにおけるこの化合物の抗肥
満および抗糖尿病効果を示唆する。
最近、これらの開発が肥満と糖尿病を治療するために有用な効力がある選択性
β3作動薬の発見を導いた。例えば、参考として本明細書に導入する1995年9月
19日に発行されたU.S.Patent No.5,451,677は肥満と糖尿病治療に有効な選択性
β3作動薬である置換されたフェニルスルホンアミドについて記載してある。こ
れらのフェニルスルホンアミド化合物は本発明の組成物と方法においても有用で
あることがわかった。
さらに最近、効力がある選択性β3作動薬、(R)-N-[4-[2-[[2-ヒドロキシ-2-(
ピリジン-3-イル)エチル]アミノ]エチル]-フェニル]-4-[4-(3-シクロペンチルプ
ロピル)-5-テトラゾロン-イル]ベンゼンスルフォンアミドが同定された(以下、
化合物Aとする)。
化合物A
化合物Aの合成と肥満および糖尿病への利用は下に詳細に説明され、また1995年1
1月2日に出版されたPCT国際出願番号WO95/29159および1996年10月1日発行のU.
S.Patent No.5,561,142に詳細に記載される。
代謝率を増加させることにより肥満と糖尿病に効くβ3作動薬に加えて、研究
者は最近マウスのOB遺伝子とそのヒト相同体をクローン化した(Y.Zhangら,Nat
ure372,425(1994))。例えば167アミノ酸ポリペプチドであるOBタンパク質
(レプチ
ンとしても知られている)等のOB遺伝子産物を腹腔内(IP)注射によりマウスに
投与したときに投与量および時間に依存した体重減少という結果が認められた(M
.A.Pelleymounterら,Science269,540(1995))。この体重減少効果は食物摂取の減
少とエネルギー消費の増加の両方に寄与する。特に、マウスとヒトのOBタンパ
ク質の両方ともに、マウスに投与したときに同じ効果を有するので、ヒトでも類
似の効果が起こる可能性がある(J.L.Halaasら,Science 269,543(1995))。
β3選択性作動薬化合物と摂食習性を変える化合物の組合せが肥満と糖尿病治
療の有効な治療を提供することがわかってきた。ここで、摂食習性を変える化合
物は、例えば、総摂食量を減じる、カロリー摂取を減じるまたは炭水化物や脂質
などの食事中の特定の成分の摂取を選択的に減じるものである。さらに好ましく
は、化合物AとOBタンパク質若しくはその誘導体が肥満と糖尿病の治療に特に
向いている。発明の概要
本発明は選択性β3作動薬と摂食習性を変える(例えば、食物摂取を減じる)
化合物よりなる組成物およびその医薬上許容できる塩およびエステルを提供する
。
本発明の一つの具体例は選択性β3作動薬とObタンパク質若しくはObタン
パク質の誘導体からなる組成物およびその医薬上許容できる塩およびエステルで
ある。好ましくは、ヒトObタンパク質またはその誘導体は選択性β3作動薬と
の組合せで使用される。
本発明の1つの段階は選択性のあるβ3作動薬が例えば、(R)-N-[4-[2-[[2-ヒ
ドロキシ-2-(ピリジン-3-イル)エチル]アミノ]エチル]-フェニル]-4-[4-(3-シク
ロペンチルプロピル)-5-テトラゾロン-1-イル]ベンゼンスルフォンアミドの化合
物Aおよびその医薬上許容できる塩とそのエステルの組成物である。好ましくは
、選択性のあるβ3作動薬は化合物Aのジハイドロクロリド塩、例えば、(R)-N-[
4-[2-[[2-ヒドロキシ-2-(ピリジン-3-イル)エチル]アミノ]エチル]-フェニル]-4
-[4-(3-シクロペンチルプロピル)-5-テトラゾロン-1-イル]ベンゼンスルフォン
アミドジヒドロクロリドである。
本発明の実例は治療上効果的な量の上述のいずれかの組成物を治療を必要とす
る患者に投与することからなる患者の肥満を治療する方法である。
本発明の実例は治療上効果的な量の上述のいずれかの組成物
を治療を必要とする患者に投与することからなる患者の糖尿病を治療する方法で
ある。
治療上効果的な量の上述のいずれかの組成物と医薬上許容できるキャリアーか
らなる医薬組成物も本発明の実例である。さらに、選択性β3作動薬を摂食習性
を変える化合物及び医薬上許容できるキャリアーと組合せることにより作られる
医薬組成物も本発明の実例である。さらに、選択性β3作動薬を摂食習性を変え
る化合物及び医薬上許容できるキャリアーと組合せることからなる医薬組成物を
作る方法も本発明の実例である。
本発明の1実施例は肥満治療用医薬の調製において選択性β3作動薬とObタ
ンパク質若しくはその誘導体を使用することである。
本発明の別の1実施例は糖尿病治療用医薬の調製において選択性β3作動薬と
Obタンパク質若しくはその誘導体を使用することである。
さらに、肥満治療に有用な薬、すなわち選択性β3作動薬およびObタンパク
質若しくはObタンパク質の誘導体である当該薬の効果的な成分も本発明の1例
である。
さらに、糖尿病治療に有用な薬、すなわち選択性β3作動薬
およびObタンパク質若しくはObタンパク質の誘導体である当該薬の効果的な
成分も本発明の1例である。
発明の詳細な説明
本発明は肥満と糖尿病の治療のための化合物またはそれの医薬上許容できる塩
の組合せに関する。肥満と真性糖尿病はしばしば患者の食物摂取を少なくし、代
謝率を増加させることにより体重を減少させて治療する。obタンパク質は食物
摂取を減じる。β3選択性作動薬は脂肪を標的とし代謝率を増加させる。こうし
て、今やObタンパク質若しくはobタンパク質の発現を増大させる化合物とβ
3選択性作動薬の組合せ治療はβ3選択性作動薬またはObタンパク質単独によ
る肥満および糖尿病の治療より有利であることがわかった。さらに、食物摂取を
減じる効果に加えて、obタンパク質は幅広い効果を持つ。例えば、obタンパ
ク質は未知の経路により代謝率を増加させ、糖尿病マウスのグルコースとインシ
ュリンを低下させる。上で議論したように、β3選択性作動薬もまた脂肪細胞を
特異的に標的とすることにより代謝率を増加させる。故に、β3選択性作動薬を
ob遺伝子産物と組み合わせて用いたときに、非常に太った人にとってさらなる
代謝上の有益な効果が生じる。
ここで用いる「選択性β3作動薬」および「β3選択性作動薬」は同義であり
ヒトにおいてβ1およびβ2アドレナリンレセプターサブタイプよりもβ3アド
レナリンレセプターサブタイプに選択性のある作動薬を指す。選択性β3作動薬
の例には化合物AおよびU.S.Patent No.5,541,677に記載の化合物がある。本発明
の組成物と方法に有用な化合物Aと追加の選択性β3アドレナリン作動薬は1996
年10月1日に発行されたU.S.patent No.5,561,142および1995年11月2日に刊
行されたPCT国際出願番号WO 95/29159に記載されている。
ここで用いている「対象動物」という用語は治療、観察および実験の対象とな
る動物、好ましくはほ乳類さらに好ましくはヒトを指す。
ここで用いられている「治療上の有効量」という用語は研究者、獣医師、医師
または他の臨床学者が求める組織、系、動物またはヒトにおいて治療中の疾患の
症状を緩和させることも含めて生物学的反応または医薬反応を引き起こす活性化
合物または医薬の量を指す。
ここで用いられている「糖尿病」という用語はインシュリン依存性真性糖尿病
(例えばタイブI糖尿病として知られている
IDDM)およびインシュリン非依存性真性糖尿病(例えば、タイプII糖尿病として
知られているNIDDM)の両方を指す。
ここで用いられている「組成物」という用語は特定の量の特定の成分からなる
産物だけでなく、特定の量の特定の成分の組合せから直接にまたは間接にできる
産物をも含むことを意図している。
本発明の組合せは以下のように定義される。
化合物Aおよび患者に投与されたときに食物摂取を減少させる化合物またはそ
れらの医薬上許容される塩。好ましくは、組合せは化合物AおよびObタンパク
質からなる。最も好ましくは組合せは化合物AおよびヒトObタンパク質からな
る。
β3作動薬である化合物Aは以下の実施例1および参考として本明細書に導入
される1996年10月1日発行のU.S.Patent No.5,561,142の実施例70のように合成
される。
化合物Aは(R)-N-[4-[2-[[2-ヒドロキシ-2-(ピリジン-3-イル)エチル]アミノ]
エチル]-フェニル]-4-[4-(3-シクロペンチルプロピル)-5-テトラゾロン-1-イル]
ベンゼンスルフォンアミドまたはその許容される塩である。好ましくは化合物A
のジヒドロクロリド塩が組合せに使われる。
Obタンパク質(即ちレプチン)を含む食物摂取を減少させる化合物。ここで
用いている「Obタンパク質」、「OBタンパク質」および「obタンパク質」
という用語はすべて同じタンパク質を指し、さらに「レプチン」と呼ばれるタン
パク質と同義である。好ましくは、本発明の組合せは化合物AおよびObタンパ
ク質またはその医薬上許容できる塩からなる。
Obタンパク質は最近発見されたOb遺伝子の発現により得られる。Drosophi la Schneider 2
(S2)細胞でのマウスOb遺伝子産物の発現は以下の実施例13に記
載されている。刊行されているヒトOb cDNA(Y.Zhangら,Nature 372,425-432(
1994);R.V.Considineら,J.Clin.Invest.95,2986-2988(1995))に基づいて、当業
者は実施例13に従ってヒトcDNAを単離することができDrosophila S2細胞中でヒ
トOb cDNAの発現によりヒトObタンパク質を得ることができる。同様にOb
タンパク質は当業者により大腸菌系や酵母系のような細菌の発現系でも発現され
精製される。
化合物AおよびObタンパク質からなる組合せに加えて、Obタンパク質の発
現を増加させる化合物(例えば、グルココルチコイド、P.De Vos,J.Biol.Chem.27
0(27),15958-15961(1995)を
参照)もまた肥満および糖尿病治療のために化合物Aと組合せで使用すると有用で
ある。さらに、本発明にはタンパク質が切断された小ペプチドおよび/または1
個またはそれ以上のアミノ酸が欠失され、付加され、置換されまたは修飾されて
いるが摂食習性と食物摂取に対する生物学的効果を維持しているObタンパク質
の誘導体も含まれる。本発明に有用なレプチン誘導体の例(例えば、レプチンの
トランケート型)はU.S.Patent No.5,552,524; 5,552,523; 5,552,522; 5,521,2
83およびPCT国際出願番号WO96/23513; WO96/23514; WO96/23515; WO96/23516; W
O96/23517; WO96/23518; WO96/23519; WO96/23520(総て、1996年8月8日
刊行)にある。
本発明の医薬上許容できる塩(水溶性、油溶性または分散性産物の形で)は通
常の非毒性塩または4級アンモニウム塩を含み、これらは例えば無機または有機
の酸または塩基から形成される。この酸付加塩の例には酢酸塩、アジピン酸塩、
アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸
塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、シクロペ
ンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩
、フマル酸塩、グル
コヘプタノン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタノン酸塩、ヘキサノ
ン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホ
ン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン
酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フ
ェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、コハク
酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩およびウンデカン酸塩がある。塩
基塩にはアンモニウム塩、ナトリウム塩及びカリウム塩のようなアルカリ金属塩
、カルシウム塩及びマグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩、ジシクロヘキ
シルアミン塩及び N-メチル-D-グルカミンのような有機塩基の塩並びにアルギニ
ン及びリシンのようなアミノ酸塩などがある。また、塩基性窒素含有基は以下の
試薬で4級化されても良い。塩化、臭化及びヨウ化メチル、塩化、臭化及びヨウ
化エチル、塩化、臭化及びヨウ化プロピル並びに塩化、臭化及びヨウ化ブチルの
ような低級ハロゲン化アルキル;ジメチル、ジエチル、ジブチルなどのジアルキ
ル硫酸;ジアミル硫酸、塩化、臭化及びヨウ化デシル、塩化、臭化及びヨウ化ラ
ウリル、塩化、臭化及びヨウ化ミリスチル並びに塩化、臭化及びヨウ化
ステアリルなどの長鎖ハロゲン化物、臭化及びその他のハロゲン化ベンジル並び
に臭化その他のハロゲン化フェネチルなどのハロゲン化アルアルキルなどである
。他の医薬上許容できる塩にはエタノール硫酸塩および硫酸塩がある。
本発明の組成物の医薬上許容できる塩には組合せの個々の構成物が医薬上許容
できる塩の形になっている組成物または総ての構成物が医薬上許容できる塩の形
になっている組成物(ここでそれぞれの構成物の塩は同じでもあり得るし、異な
っていることもあり得る)、あるいは組み合わされた構成物の医薬上許容できる
塩(即ち、組成物の塩)が含まれる。本発明の1つの具体例では、組成物の塩酸
塩が用いられる。
本発明の医薬上許容できるエステルは非毒性エステルを指し、好ましくはメチ
ル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチルまたはペンチルエス
テルであり、なかでもメチルエステルが好ましい。しかし、フェニル-C1-5アル
キルなどの他のエステルも所望により使ってもよい。
本発明の化合物Aのようなアルコールのエステル化はアルコール基を適当な無
水物、カルボン酸または酸塩化物で反応させることをも含むいろいろな通常の方
法で行われる。アルコール
の他のエステル化を含めて、これらの反応は当業者には明らかである。
適当な無水物とアルコールの反応は4-DMAP(N,N-ジメチルアミノピリジンとし
ても知られる4-ジメチルアミノピリジン)、ピリジンまたは1,8-ビス[ジメチルア
ミノ]ナフタレンのようなアシル化触媒の存在下で行われる。
適当なカルボン酸とアルコールの反応は脱水試薬(アシル化触媒を併用しても
良い)の存在下で行われる。水の除去により反応を進行させるために役立つ脱水
試薬はジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC),1-[3-ジメチルアミノプロピル]-3
-エチルカルボジイミド(EDC)または他の水溶性脱水試薬から選ばれる。
この代わりに、適当なカルボン酸とアルコールとの反応は、もし代わりにトリ
フルオロ酢酸無水物(ピリジンを併用できる)の存在下で反応させるならば同様
にエステル化を起こし得る。さらに、ピリジンとN,N-カルボニルジイミダゾール
の存在下でアルコールを適当なカルボン酸と反応させるという変法もある。
酸塩化物とアルコールの反応は4-DMAPまたはピリジンのよ
うなアシル化触媒で達成される。
いずれかの上述のエステル形成方法の間、関係する分子の感受性基または反応
基を保護することが必要および/または好ましい。これはProtective Groups in
Organic Chemistry,ed.J.F.W.McOmie,Plenum Press,1993およびT.W.Greene&P.
G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons,1991
に記載されたように通常の基の保護方法により達成される。保護基はその分野で
知られた通常の次の段階で除去され得る。
一つの側面では、本発明はヒトまたは非ヒト動物の肥満治療に使用する化合物
の組合せ、その医薬的に許容可能なエステルまたは医薬的に許容できる塩を提供
する。
本発明はさらにヒトまたは非ヒト動物の高血糖症(糖尿病)治療に使用する化
合物の組合せ、その医薬的に許容可能なエステルまたは医薬的に許容できる塩を
提供する。
真性糖尿病は適切な血糖レベルの維持ができなくなるグルコースの産生と利用
の代謝的欠陥を特徴とする。これらの欠陥は血中グルコースの上昇すなわち高血
糖症という結果をもたらす。糖尿病治療の研究は絶食時および食後の血中グルコ
ースレベル
を正常化することに集中していた。治療は外来性インシュリンの注射による投与
、薬の経口投与および食事療法をも含んでいた。
現在、2タイプの真性糖尿病が知られている。タイプI糖尿病、すなわちイン
シュリン依存性糖尿病はグルコースの利用を調整するホルモンであるインシュリ
ンの完全な欠乏の結果起こる。タイプII糖尿病、すなわちインシュリン非依存性
糖尿病(即ち、非インシュリン依存性真性糖尿病)はインシュリンレベルが正常
でも、さらにはインシュリンレベルが上昇していても起こるとが多く、組織のイ
ンシュリンへの適切な反応が不可能になる結果起こるようである。ほとんどのタ
イプII糖尿病患者はまた肥満でもある。本発明の組合せはタイプI,タイプII糖尿
病の両方の治療に役立つ。組合せは特にタイプII糖尿病の治療に効果的である。
本発明の化合物の組合せは肥満と糖尿病の治療に役立つ。この目的のために、
本発明の組合せは経口的に、非経口的に(皮下、静脈内、筋肉内、胸骨内注射ま
たは注入技術を含む)、噴霧吸入または直腸内に、通常の非毒性の医薬的に許容
できるキャリアー、アジュバントおよびビヒクルを含む単位投与形態で
投与される。
本発明の組合せに従って、さらに肥満と糖尿病治療のための治療法と医薬組成
物が提供される。医薬的なキャリアー、治療上有効な量の本発明の組合せの組成
物からなる医薬組成物をそのような治療が必要な患者へ投与することも含む。
これらの医薬組成物は経口的に投与できる懸濁液または錠剤、鼻スプレー、無
菌の注射可能な調製品、例えば無菌の注射可能な水性または油性の懸濁液または
座薬の形であっても良い。
本発明の方法に従って、組合せの個々の構成物は別々に治療過程における異な
った時間に、または分割した形でまたは単一組合せの形で同時に投与し得る。例
えば、β3作動薬、化合物AおよびObタンパク質の2つの構成物の組合せ治療
において、Obタンパク質による治療は化合物Aの治療の開始に先んじて、後で
または同時に開始できる。さらに、投与という用語はインビボで選択性β3作動
薬またはObタンパク質またはその誘導体に変換するβ3作動薬及び/又はOb
タンパク質の前駆薬の使用をも含む。本発明はそれ故、同時または交互の治療の
総ての治療計画を含むと理解され、「投与」はそのように説明される。
活性成分(例えば化合物A)のいずれかが懸濁液として経口的に投与されると
き、これらの組成物は医薬処方の分野でよく知られた技術に従って調製される。
また、これらの組成物はかさあげのため微小結晶性セルロースを、懸濁試薬とし
てアルギン酸またはアルギン酸ナトリウムを、増粘剤としてメチルセルロースを
、そして当分野で知られている甘味/風味剤を含んでいても良い。迅速放出錠剤
としては、これらの組成物は当分野で知られた微小結晶性セルロース、リン酸ジ
カルシウム、デンプン、ステアリン酸マグネシウム及び乳酸及び/又は他の賦形
剤、結合材、増量剤、錠剤分解物質、希釈液および潤滑剤を含んでいても良い。
鼻エアゾルまたは吸入剤により投与するときは、これらの組成物は医薬処方の
分野でよく知られた技術に従って調製され、当分野で知られたベンジルアルコー
ルまたは他の適した保存剤、生物適合性を高めるための吸収促進剤、フルオロカ
ーボン、及び/又は他の溶剤または分散剤を利用する塩溶液として調製しても良
い。
組合せに用いられる組成物は静脈内(大量瞬時投与としておよび点滴のどちら
も)、腹腔内、皮下、吸蔵によるかよらずし
て局部的にまたは筋肉内に投与しても良く、これら総ての形は医薬当業者によく
知られている。注射により投与されるとき注射液または懸濁液は周知技術に従っ
て、マンニトール、1,3−ブタンジオール、水、リンガー液若しくは等張塩化
ナトリウム溶液のような適切な非毒性、注射可能な希釈液若しくは溶剤または合
成したモノ若しくはジグリセリドを含む無菌で刺激がない不揮発性油若しくはオ
レイン酸を含む脂肪酸のような適切な分散性、湿潤性および懸濁性試薬を用いて
処方しても良い。
これらの組成物を座薬の形で直腸に投与するときは、薬をココアバター、合成
グリセリドエステルまたはポリエチレングリコールと混合することにより調製し
ても良い。これらは常温では固体であるが直脳内では液状化及び/又は溶解し薬
を放出する。
本発明の組合せの活性成分(例えば化合物A)は医薬組成物として、例えば、
不活性希釈液または消化され得る食用キャリアーとともに投与しても良い。また
は、硬殻または軟殻カプセルに閉じこめても良いし、錠剤中に圧縮しても良いし
、制限食に直接に混ぜても良い。舌下投与も含む経口治療投与ではこれらの活性
化合物は賦形剤と混ぜられ、錠剤、丸薬、カプセル、
アンプル、香粉、エリキシル剤、懸濁液、シロップなどの形で用いられる。この
ような組成物および調製品は少なくとも0.1パーセントの活性成分を含むべきで
ある。もちろん、これらの組成物の活性成分の含有パーセントは変更でき、約2
パーセントから60パーセント重量単位が好ましい。このような医薬的に有用な
組成物中の活性成分の量は効果的な投薬量が達成できるような量である。活性化
合物はまた例えば液滴またはスプレーとして鼻孔内に投与することもできる。
組合せに使用するそれぞれの活性成分の投与量は使用する特定の化合物、投与
方法、患者の状態及び患者の状態の過酷さによって変えて良い。ゆえに、本発明
の化合物を利用する投与計画はタイプ、種、年齢、体重、性別、患者の医学的状
態、患者の状態の過酷さ、投与経路、患者の腎臓および肝臓機能及び使用する特
定の化合物を含むいろいろな因子に従って選択される。通常の技量を有する医師
または獣医師は健康状態の進行を止め、押しとどめ、阻止するのに要求される効
果のある薬の量を難なく決定し処方することができる。毒性なしに効力を生じる
範囲内の薬の濃度を最適な精度で決めるには標的部位への薬の有効性の動態に基
づいた計画が必要である。この計画には 薬の分
布、平衡及び排出を考慮することも含む。
本発明の化合物はそれぞれの化合物に特異的な範囲の投与量でヒトに投与し得
る。真性糖尿病及び/又は高血糖症の治療において、通常は、化合物A又はその医
薬的に許容できる塩が動物体重キログラム当たり約0.001ミリグラムから約100ミ
リグラムの投与量で毎日投与されたとき、好ましくは単一投与で、一日2〜6回
の分割投与でまたは持続性放出性形態で投与されたとき満足できる結果が得られ
る。ヒト成人の場合は総一日投与量は通常0.07ミリグラムから350ミリグラムで
あろう。投与計画は最適治療反応を得るために調節されても良い。Obタンパク
質は約0.05mg/kgから約20mg/kgの一日投与量で,好ましくは単一投与、一日2〜
3回の分割投与または持続性放出形態で投与される。好ましくは、Obタンパク
質の一日投与量は約0.05mg/kgから約5mg/kgである。しかし、特異的な投与量レ
ベルと投与頻度は特定の患者毎に異なり、使用される特定の化合物の活性、代謝
安定性並びにその化合物の作用の長さ、年齢、体重、体全体の健康、性別、食事
、投与方式と量、排出率、薬の組合せ、特定の健康状態の過酷さ及び患者が受け
ている治療を含むいろいろな因子に依存する。
糖尿病及び/又は高血糖症と共に、または単独で肥満治療を行うときは、通常
は化合物Aが一日に動物体重1キログラム当たり0.01ミリグラムから100ミリグラ
ム、好ましくは単一投与で、または一日2〜6回の分割投与でまたは持続性放出
性形態で投与されたとき満足できる結果が得られる。ヒト成人の場合は総一日投
与量は通常0.7ミリグラムから3500ミリグラムであろう。Obタンパク質は約0.0
5mg/kgから約20mg/kgの一日投与量で,好ましくは単一投与、一日2〜3回の分
割投与または継続注入で投与される。好ましくは、Obタンパク質の一日投与量
は0.05mg/kgから5mg/kgである。投与計画は最適治療反応を提供するために調節
されても良い。しかし、特異的な投与量レベルと投与頻度は特定の患者毎に異な
り、利用される特定の化合物の活性、代謝安定性並びにその化合物の作用の長さ
、年齢、体重、体全体の健康、性別、食事、投与方式と量、排出率、薬の組合せ
、特定の健康状態の過酷さ及び患者が受けている治療を含むいろいろな因子に依
存する。
錠剤、丸薬、カプセルなどはトラガカントゴム、アカシア、コーンスターチ若
しくはゼラチンのような結合剤、リン酸ジカルシウム、コーンスターチ、ポテト
スターチ、アルギン酸のよ
うな賦形剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤及びスクロース、ラクト
ース若しくはサッカリンのような甘味剤を含んでも良い。投与単位形態がカプセ
ルのときは上述のタイプの材料に加え脂肪油のような液体キャリアーを含んでも
良い。
いろいろな他の材料が被覆剤、または投与単位の物理的形態を修飾するために
存在していても良い。例えば、錠剤はセラック(shellac)、糖または両方で被覆
されていても良い。シロップ又はエリキシル剤は活性成分に加えて、甘味剤とし
てスクロースを保存剤としてメチル及びプロピルパラベン、チェリーまたはオレ
ンジ風味のような色素及び風味剤を含んでいても良い。
これらの化合物は非経口的に投与されても良い。これらの活性化合物の溶液ま
たは懸濁液はヒドロキシプロピルセルロースのような界面活性剤と適切に混ぜて
水中で調製することができる。分散液もグリセロール、液体ポリエチレングリコ
ールおよび油中でのそれらの混合物中で調製できる。通常の貯蔵及び使用条件下
では、これらの調製品は微生物の増殖を抑えるための保存剤を含む。
注射使用に適した医薬形態は無菌水溶液又は分散液及び無菌注射できる溶液又
は分散液の用時調製のための無菌粉末を含む。
総ての場合において、形態は無菌でなければならずまた注射器中に存在し得るよ
うにある程度流動性がなければならない。形態は製造及び保存条件で安定でなけ
ればならず、また細菌や真菌のような微生物の混入に対して保護されなければな
らない。キャリアーは例えば水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロー
ル、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコール)、それらの適切な
混合物及び植物油を含む溶液または分散液媒体でもあり得る。
本願明細書で、特に図式と実施例で用いられる略語は以下の通りである。
Boc又はBOc:t-ブチルオキシカルボニル
DBBA:ジブロムバルビツール酸
(-)-DIP-Cl:(-)-B-クロロジイソピノカンファイルボラン
DMF:N,N-ジメチルフォルムアミド
DTT:ジチオトレイトール
EDTA:エチレンジアミン四酢酸
HPLC:高速液体クロマトグラフィー
NCS:N-クロロスクシンイミド
NMR:核磁気共鳴
THF:テトラヒドロフラン
TLC:薄層クロマトグラフィー
Tris:トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン
以下の実施例は本発明が完全に理解されるよう提供される。実施例はいかなる
方法でも本発明を制限するものと解釈してはならない。実施例1
化合物A(R)-N-[4-[2[[2- ヒドロキシ-2-(ピリジン-3-イルエチル]アミノ]エチル]-フェニ ル]-4-(3-シクロペンチルプロピル)-5-テトラゾロン-1-イル]ベンゼンスルフォ ンアミド A.3-シクロペンチル-1-ヨードプロパンの調製
20mLのジクロロメタン中に5gの市販の3-シクロペンチル-1-プロパノールを溶
かした溶液中に0℃で5mLの乾燥トリエチ
ルアミンと5gのメタンスルフォニルクロリドを加えた。トリエチルアミンヒドロ
クロリドの重白色沈殿を含む混合物をさらに5分間撹拌した後に70mLのジエチル
エーテルを添加した。混合液は沈殿を除くためにガラス漏斗を通して濾過し、濾
液を減圧下で濃縮しメシラートを得た。10gのヨウ化ナトリウムと30mのアセトン
Lをこれに添加した。18時間室温に置いた後に、暗色のスラリーを水に溶解させ
ジクロロメタンで抽出した。抽出物は過剰の硫酸ナトリウム水溶液と混ぜ洗浄し
、硫酸マグネシウムで乾燥させた。ジクロロメタンのろ過と濃縮により表記の化
合物が得られた。1
H NMR(CDCl3)δ3.19(t,2H,J=7.1Hz),1.85(m,3H),1.77(m,2H),1.61(m,2H),1.52(
m,2H),1.41(m,2H),1.09(m,2H)。B.4-(3-シクロペンチルプロピル)-1-フェニル-5-テトラゾロンの調製
2mLのN,N-ジメチルフォルムアミド(DMF)中に600mgの1-フェニル-5-テト
ラゾロン(この化合物の合成はHorwitz,J.P.; Fisher,B.E; Tomasewski,A.J.J.A
mer.Chem.Soc.81,3076(1959))を参照)を溶かした溶液に280mgの粉末化85%水
酸化カリウムを添加した後に、ステップAで得られた3-シクロペン
チル-1-ヨードプロパン870mgを添加した。混合物を80℃で18時間攪拌し次いで
水を添加して急冷した。産生物をジクロロメタンで抽出し、シリカゲル(9:1
ヘキサン:酢酸エチル)上でフラッシュ(flash)クロマトグラフィーにより精
製し表記の化合物を得た。1
H NMR(CDCl3)δ7.96(d,2H,J=8.5 Hz),7.50(t,2H,J=7.5Hz),7.37(t,1H,J=7.5Hz)
,4.02(t,2H,J=7.1Hz),1.90(m,3H),1.79(m,2H),1.61(m,2H),1.53(m,2H),1.41(m,2
H),1.10(m,2H)。C.4-(3-シクロペンチルプロピル)-1-(4-ニトロフェニル)-5-テトラゾロンの調 製
50mLの乾燥アセトニトリル中にステップBで得られた4-(3-シクロペンチルプ
ロピル)-1-フェニル-5-テトラゾロン7gを溶かした溶液に95%テトラフルオロホウ
酸ニトロニウム4.2gを1回ですばやく攪拌しながら添加した。反応混合物を室温
で30分攪拌した後、さらにテトラフルオロホウ酸ニトロニウム2gを添加し、検
出可能な開始原料と反応させた。混合物はさらに30分攪拌し水を添加し酢酸エ
チルで抽出した。混合酢酸エチル抽出物は重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し硫酸
マグネシウムで乾燥させた。ろ過とそのろ液の濃縮によりオレンジオイルを
得た。4:1ヘキサン:酢酸エチルを用いたシリカゲル上のフラッシュクロマトグ
ラフィーによりパラニトロフェニル表記化合物が固体として得られ(Rf=0.7)、
少量のオルトニトロフェニル産物がオイルとして得られた(Rf=0.2)。
パラーニトロ産物 1H NMR(CDCl3)δ8.35(ABq,4H,Jab=9.3Hz),4.06(t,2H,J=7.1H
z),1.93(m,3H),1.80(m,2H),1.63(m,2H),1.54(m,2H),1.43(m,2H),1.10(m,2H);
オルトーニトロ産物 1H NMR(CDCl3)δ8.13(dd,1H,J=1.1,8.3Hz),7.81(dt,1H,J=
1.3,7.8Hz),7.72(dd,1H,J=1.1,8.0Hz),7.67(dt,1H,J=1.4,7.6Hz),4.03(t,2H,J=7
.1Hz),1.92(m,3H),1.80(m,2H),1.61(m,2H),1.53(m,2H),1.42(m,2H),1.10(m,2H)
。D.1-(4-アミノフェニル)-4-(3-シクロペンチルプロピル)-5-テトラゾロン
ステップCで得られた4-(3-シクロペンチルプロピル)-1-(4-ニトロフェニル)-
5-テトラゾロン6.23gを250mLのエタノールに溶かした溶液に1.8gの10%パラジウ
ムー炭を添加した。次いで、混合物をバルーンにより水素を供給した1気圧下で
3−6時間撹拌した。次いで、シリカゲルプラグを通した濾過により触媒を減圧
下で除去した。濾液を真空で濃縮し、表記の化合
物をワックス状の固体として得た。1
H NMR(CDCl3)δ7.64(d,2H,J=8.9Hz),6.77(d,2H,J=8.9Hz),4.01(t,2H,J=7.3Hz),
3.83(br s,2H),1.90(m,3H),1.79(m,2H),1.60(m,2H),1.54(m,2H),1.41(m,2H),1.1
0(m,2H)。E.4-[4(3-シクロペンチルプロピル)-5-テトラゾロン-1-イル]-ベンゼンスルフ ォニルクロリド
32mLの濃塩酸と8mLの氷酢酸の溶液に-20℃でステップDで得られた粉末1-(4-
アミノフェニル)-4-(3-シクロペンチルプロピル)-5-テトラゾリン5.42gを添加し
た。混合物を5分間撹拌した後に10mLの水に1.6gの亜硝酸ナトリウムを溶かした
溶液を温度が-10℃より上がらない速度で添加した。ジアゾニウム塩混合物をさ
らに40分間-20℃で撹拌した後に、0℃で二酸化硫黄で飽和させた塩化第一銅690m
gを含む32mLの氷酢酸に1回で添加した。生成反応混合物はすぐに変色し、窒素
放出下で濃い緑から時間と共にライムグリーンスラリーに変化した。反応混合物
は50分かけて0℃から室温へと温めた。混合物を次いで氷水中に注ぎ酢酸エチ
ルで抽出した。混合有機抽出物を冷水で一度洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥さ
せ、濾過し、減圧下で濃縮し酢酸を除去した。粗スルフォニルクロリドをフラッ
シュ
クロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)で精製し、表記の化合物を
白色固体として得た。1
H NMR(CDCl3)δ8.37(d,2H,J=9.1Hz),8.20(d,2H,J=8.6Hz),4.06(t,2H,J=7.1Hz),
1.93(m,3H),1.81(m,2H),1.62(m,2H),1.55(m,2H),1.41(m,2H),1.11(m,2H)。F.(R)-N-[4-[2-[N-(1,1-ジメチルエトキシカルボニル)-N-[2-ヒドロキシ-2-( ピリジン-3-イル)エチル]アミノ]エチル]フェニル]-4-[4-(3-シクロペンチルプ ロピル)-5-テトラゾロン-1-イル]ベンゼンスルフォンアミドの調製
実施例7の産生物2.84gに30mLのジクロロメタンとステップEで得た4-[4-(3-シ
クロペンチルプロピル)-5-テトラゾロン-1-イル]ベンゼンスルフォニルクロリド
3.01gを添加した後に5mLの乾燥ピリジンを添加した。オレンジ色の溶液を室温で
12時間撹拌した後に、TLCで開始物質が含まれていないことを確認した。混合
物を濃縮乾燥させ、残渣固体泡をジクロロメタン中に溶解させシリカゲル(4:6
アセトン:ヘキサン)上のフラッシュクロマトグラフィーで3回精製し表記の化
合物を得た。1
H NMR(CD3OD)δ8.46(d,1H,J=9.2Hz),8.41(m,1H,J=4.8Hz),8.07(d,2H,J=6.9Hz),
7.86(d,2H,J=8.3Hz),7.80(dd,1H,J=6.9,24.3H
z),7.40(m,1H,J=5.5Hz),7.02(m,4H),4.85(m,1H),4.01(t,2H,J=7.1Hz),3.43-3.10
(m,4H),2.72(m,2H),1.87(m,3H),1.78(m,2H),1.62(m,2H),1.53(m,2H),1.30(d,9H)
,1.10(m,2H)。G.(R)-N-[4-[2-[[2-ヒドロキシ-2-(ピリジン-3-イル)エチル]アミノ]エチル]- フェニル]-4- 4-(3-シクロペンチルプロピル)-5-テトラゾロン-1-イル]ベンゼン スルフォンアミドの調製
ステップFで得たBoc誘導体3.1gのサンプルを50mLのメタノールと10mLの濃塩
酸に溶解させた。溶液を50℃で1時間加熱した。塩酸塩の沈殿が得られた。これ
を冷やし、過剰の重炭酸ナトリウム溶液で塩基性化し酢酸エチルで抽出した。混
合抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し減圧下で濃縮した。残渣固体をフ
ラッシュクロマトグラフィーで精製し(シリカゲル、9:1ジクロロメタン:メタ
ノール)、表記の化合物をガラスとして得た。1
H NMR(CD3OD)δ8.51(d,1H,J=2.1Hz),8.42(dd,1H,J=1.6,4.8Hz),8.09(d,2H,J=8.
9Hz),7.86(d,2H,J=8.7Hz),7.81(d,1H,J=7.7Hz),7.39(dd,1H,J=4.6,7.8Hz),7.05(
ABq,4H,Jab=8.5Hz),4.79(m,1H),3.97(t,2H,J=7.1Hz),2.90-2.70(m,6H),1.90-1.7
4(m,5H),1.61(m,2H),1.53(m,2H),1.37(m,2H),1.07(m,2H)。実施例2
(R)-N-[4-[2-[[2- ヒドロキシ-2-(ピリジン-3-イル)エチル]アミノ]エチル]-フェ ニル]-4-[4-(3-シクロペンチルプロピル)-5-テトラゾロン-1-イル]ベンゼンスル フォンアミドジヒドロクロリド
実施例1で得た遊離塩基、(R)-N-[4-[2-[[2-ヒドロキシ-2-(ピリジン-3-イル)
エチル]アミノ]エチル]-フェニル]-4-[4-(3-シクロペンチルプロビル)-5-テトラ
ゾロン-1-イル]ベンゼンスルフォンアミド1.56gに75mLのメタノールと3mLの2N塩
酸を添加した。溶液を減圧下で乾燥するまで濃縮し残渣塩を30mLのメタノールと
100mLの沸騰エタノールに再溶解した。冷却により(氷浴)結晶が生じ表記の化
合物が白色結晶固体として得られた。mp 198-202℃(分解)1
H NMR(CD3OD)δ8.99(br s,1H),8.86(d,1H,J=5.5Hz),8.74(d,
1H,J=8.0Hz),8.14(dd,1H,J=5.5,8.0Hz),8.08(d,2H,J=9Hz),7.89(d,2H,J=9Hz),7.
15(ABq,4H,Jab=8.4Hz),5.35(dd,1H,J=2.5,9.5Hz),4.00(t,2H,J=7.1Hz),3.47(dd,
1H,J=3.0,12.8Hz),3.35-3.22(m,3H),2.99(m,2H),1.87(m,3H),1.79(m,2H),1.61(m
,2H),1.53(m,2H),1.39(m,2H),1.10(m,2H)。実施例3
3-(2- クロロアセチル)ピリジンハイドロクロリド
100mLのエチルエーテル中に3-アセチルピリジン12g(11mL,100mmol)を溶かした
溶液に1M塩化水素エステル100mLを添加した。生じた沈殿を濾過し15.0g(95.2mmo
l)を集め磁性撹拌子を入れた500mLの丸底フラスコに入れた。これに、酢酸中の1
M塩化水素95mLを添加した。固体が溶解するまで混合物を撹拌した後に、N-クロ
ロスクシンイミド(NCS)12.7g(95.2mmol)を1回で添加した。溶液は黄色に変化し
NCSは徐々に溶解した。4時間後白色沈殿が形成された。混合物を2.5日間撹
拌した。次いで、濾過した。回収固体物を10mLの酢酸と200mLのエチルエ
ーテルで洗浄し、表記の化合物を白色固体として得た。1
H NMR(200MHz,d6-DHSO)δ9.22(t,1H,J=1Hz),8.29(dd,IH,J=1.6,5.1Hz),8.55(td
,1H,J=2,8.1Hz),7.82(ddd,1H,J=0.8,5.1,8.1Hz),5.27(s,2H)。実施例4
(R)- α-クロロメチル-3-ピリジンメタノール
11mLのTHF中に(-)-B-クロロジイソピノカンファイルボラン[(-)-DIP-Cl]3.
67g(11.5mmol)を溶かした撹拌溶液に5mLのTHF中の実施例3の産物1.00g(5.21
mmol)のスラリーをカニューレを通して25℃で添加した。0.80mL(5.79mmol)のト
リエチルアミンを添加した後に、反応混合物を-25℃で4日間撹拌した。混合物
に10mLの水を添加し、室温まで温めたた。混合物に20mLの酢酸エチルを添加し、
有機相を分離した。水相を飽和NaHCO3溶液で中和した後に、酢酸エチルで6回抽
出した。混合有機相は減圧下で濃縮し黄色の油を得た。フラッシュクロマトグラ
フィー(シリカゲル、75-100%酢酸エチルーヘキサン)に
より表記の化合物を薄黄色油として得た。1
H NMR(400MHz,CD3OD)δ8.58(d,1H,J=1.8Hz),8.46(dd,1H,J=4.9,1.5Hz),7.90(d,
1H,J=7.9Hz),7.44(dd,1H,J=7.9,4.9Hz),4.93(m,1H),3.75(m,2H)。実施例5
(R)-( ピリド−3−イル)オキシラン
16mLのアセトンに実施例4で得られた生産物557mg(3.55mmol)を溶かした溶液
に1.8gの炭酸カリウムを添加した。混合物を20時間還流加熱した後に、室温まで
冷却した。混合物を濾過し、濾液を減圧蒸発させた。フラッシュクロマトグラフ
ィー(シリカゲル、2%メタノールー塩化メチレン)で表記の化合物を薄黄色油
として得た。1
H NMR(200MHz,CDCl3)δ8.54(m,2H),7.52(m,1H),7.24(m,1H),3.86(dd,1H,J=4.0,
2.5Hz),3.17(dd,1H,J=5.4,4.0Hz),2.80(dd,1H,J=5.4,2.5Hz)。実施例6
(R) −N-[2[4-(アミノフェニル)エチル]-2-ヒドロキシ-2-(ビリド-3-イル)エチル アミン
10mLのメタノールに377mg(2.44mmol)の4-アミノフェネチルアミンを溶かした
溶液に15mLのメタノールに実施例5で得た産生物300mg(2.48mmol)を溶かした溶
液を添加した。混合物を16時間還流加熱した後に、室温に冷却した。メタノー
ルを減圧により除去し、残渣についてクロマトグラフィー(シリカゲル、6−8
%メタノール、1%アンモニアー化メチル)を行い、表記化合物と混合物を得て
、混合物について再度クロマトグラフィー(5%メタノール、1%アンモニア−
塩化メチル)を行いさらに表記化合物をオフホワイトの固体として得た。1
H NMR(500MHz,CD3OD)δ8.52(d,1H,J=1.8Hz),8.43(dd,1H,J=4.8,1.4Hz),7.81(m,
1H),7.40(m,1H),6.95(d,2H,J=8.3Hz),6.67(d,2H,J=8.3Hz),4.81(m,1H),2.90-2.6
5(m,6H)。実施例7
(R)-N-[2-[4-( アミノフェニル)]エチル]2-ヒドロキシ-2-(ピリド-3-イル)エチル カルバミン酸1,1-ジメチルエチルエステル
3.5mLのTHFに386mg(1.77mmol)のジ-tert-ブチルジカルボン酸を溶かした溶液
をカニューレを通して0℃に冷却した3.6mLのTHFに実施例6の産生物456mg(1.77
mmol)を溶かした撹拌スラリーに添加した。黄色の溶液を0℃で3時間撹拌した
後に、THFを減圧により除去した。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル
、10%メタノーノル、1%アンモニア−塩化メチレン)により表記の化合物を
オフホワイトの固体として得た。1
H NMR(500MHz,CD3OD,回転異性体の混合物)δ8.45(m,2H),7.83(d,0.6H,J=7.4Hz
),7.78(d,0.4H,J=6.9Hz),7.41(m,1H),6.94(d,0.8H,J=8.0Hz),6.89(d,1.2H,J=7.8
Hz),6.66(d,2H,J=7.3Hz),4.89(m,1H),3.42-3.21(m,4H),2.67(m,2H),1.39(s,5.4H
),1.36(s,3.6H)。
実施例7のアニリン誘導体の別の合成は実施例8〜12に例示する。実施例8
2- クロロ-5-(2-ブロモアセチル)ピリジン
10mLのTHFに784mgの2-クロロ-5-アセチルピリジンを溶かした溶液をカニュー
レを通して10mLのTHFに1.44gのジブロモバルビツール酸(DBBA)を溶かした溶液に
添加した。生じた溶液を50から55℃で12時間加熱した後に、さらに0.72gのDBBA
を添加した。50から55℃でさらに2.5時間撹拌した後に、0.36gのDBBAを添加した
。混合物を2時間撹拌し、アリコートのポイントNMR分析で87%の変換を示した。
反応混合物を冷却し、酢酸エチルで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液、水及
びブラインで2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ濃縮した。フラッシュク
ロマトグラフィー(シリカゲル、15%酢酸エチル/ヘキサン)による精製により表
記の化合物を白色固体として得た。1
H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.96(d,1H,J=2.6Hz),8.21(dd,1H,J=
2.5,8.3Hz),7.46(d,1H,J=8.4Hz),4.37(s,2H)。
NMRはまた対応する2-ブロモ誘導体の存在を示した。〜4:1混合は合成を通じて続
けられた。実施例9
(R)- α-ブロモメチル-3-(6−クロロピリジン)メタノール
0.5mLのTHFに602mg(1.88mmol)の(-)-DIP-Clを溶かした溶液に、カニューレを
通して-25℃で1.5mLのTHF中の実施例8のケトン200mgを添加した。混合物を-25
℃で17時間撹拌した。次いで、水を添加して、冷却しエーテルで抽出した。エー
テル相を酢酸エチルで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液、水及びブラインで
2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ濃縮した。フラッシュクロマトグラフ
ィー(シリカゲル、15及び25%酢酸エチル/ヘキサン)により表記の化合物を得た
。1
H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.38(d,1H),7.70(dd,1H),7.32(d,1H),4.97(m,1H),3.61(
dd,1H),3.50(dd,1H),2.85(d,1H)。実施例10
(R)-(2- クロロピリド-イル)オキシラミン
2mLの1:1 THF:水に実施例9のブロモアルコール100mgを溶かした溶液に1mLの5
N水酸化ナトリウム水溶液に添加した。混合物を10分間撹拌した。ついで、ジク
ロロメタンの3部分で抽出した。混合有機相を水とブラインで2回洗浄し、硫酸
マグネシウムで乾燥させ濃縮しさらなる精製なしに表記の化合物を得た。1
H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.34(d,1H),7.48(dd,1H),7.29(d,1H),3.86(dd,1H),3.18
(dd,1H),2.78(dd,1H)。実施例11
(R)-N-[2-[4[( ニトロフェニル)]エチル]-2-ヒドロキシ-2-(2ークロロビリド-5- イル)エチルカルバミン酸1,1-ジメチルエチルエステル
実施例6及び7で概略を示した方法に従って、表記の化合物を実施例10のエ
ポキシドと4-ニトロフェニルエチルルアミンから表記の化合物を調製した。1
H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.32(d,1H,J=1.3Hz),8.13(d,2H,J=8.6Hz),7.66(br m,1H
),7.30(d,2H,J=8.1Hz),7.27(br m,1H),4.94(br m),3.38(br m,4H),2.84(br m,2H
),1.40(s,9H)。実施例12
(R)-N-[2-[4- (アミノフェニル)]エチル]2-ヒドロキシ-2-(ピリド-3-イルエチ ルカルバミン酸1,1-ジメチルレチルエステル
2mLのエタノールに実施例11のニトロ化合物80mg(0.19mmol)を溶かした溶液に0
.114mL(0.57mmol)の5N水酸化ナトリウム水溶液及び20mgのラネーニッケルを添加
した。
反応混合物を45psiの水素の存在下で16時間室温で撹拌した。混合物は飽和
一塩基リン酸ナトリウム水溶液で中和し、酢酸エチルで3回抽出した。混合有機
相は水とブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮し実施例7で調
製したサンプルと同じである表記の化合物を得た。実施例13 Drosophila S2 細胞でのマウスOb遺伝子産物の発現
総白色脂肪RNA(white adipose RNA)をスイスウェブスターマウスから単離し,
単鎖cDNAを合成した。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により、ob cDNAのコーデ
ィング領域を以下のプライマーセットを用いて2つの重複フラグメントとして単
離した(5’CAGTGAGCCCCAAGAAGAGG3’(配列番号1)、
5’TCCAGGTCATTGGCTATCTG3’(配列番号2))及び(5
’ATTCCTGGGCTTCAGGGGATTCTGAGTTTC3’(配列
番号3)、5’GCGTGTACCCACGGAGGAAC3’(配列番号4)
)。得られた380bp及び626bpフラグメントを精製し次のPCRの鋳型として用いた
。この際、以下のプライマーを用いた。5’AAGAATTCATGTTGCT
GGAGACCCCTGTG
TC3’(配列番号5)及び5’AAGGATCCTCAGCATTCAGGG
CTAACATC3’(配列番号6)。
最終的に得られた501bpのフラグメントをPerkin-Elmer/Applied Biosystems 3
73Aシーケンサー上で色素プライマー化学を用いて配列決定した。このcDNAによ
りコードされる推定アミノ酸配列は先行記載(Y.Zhangら、Nature 373,425-432(1
994))と同じであった。ob遺伝子産物をコードする501bpフラグメントはEcoRI
及びBamH1部位を通してプラスミドpRmHa3にサブクローニングした(T.A.Bunchら
、Nucleic Acids Research 16,1043-1061(1988))。Drosophila S2細胞をpUChsne
o、ob発現または調節(pRmHa3)プラスミドでCaPO4沈殿法により、共トランスフ
ェクト(H.Steller及びV.Pirrotta,EMBO Journal 4,167-171(1985))。トランスフ
ェクトした細胞のポリクローナル集団を1mg/mlのG418で選択し、無血清条件のEX
CELL 401培地(JRH Bioscience)で成長させた。細胞を2×106細胞/mlで播き、C
uSO4を最終濃度1mMで添加した。7日後、細胞を遠心分離し上清を0.45ミクロン
フィルターで濾過した。
obタンパク質の部分精製
上清中のタンパク質を50パーセントの(NH4)SO4で沈殿させることにより濃縮し
た。沈殿を緩衝液A(20mM Tris pH8,1mMDTT及び1mMEDTA)に溶解させ、緩衝液Aで
平衡化したPD-10カラム(Pharmacia)で脱塩した。PD-10溶出液中のタンパク質をM
ono Qクロマトグラフィー(Pharmacia)にかけ、緩衝液A中のNaClの0-200mM勾配で
溶出した。ob免疫活性のピークフラクション(100mM NaClを中心とする)を抗
血清103-2を用いて同定した。Mono Qカラムから溶出したプールフラクションを
含むポリアクリルアミドゲルのデンシトメトリー走査に基づくと、この段階を経
たobタンパク質の純度は30パーセントであった。S2細胞1リッター当たり0.
5から1ミリグラムの部分精製obタンパク質調製品が得られた。ピークフラク
ションをC4カラム(1×100mm)で10mMトリフルオロ酢酸中の0から67パーセントの
アセトニトリル直線勾配でHPLC電気スプレー(electrospray)質量分析により分析
した。この逆相HPLC/質量分析は免疫活性タンパク質が16,004ダルトンの分子量
を有していることを明らかにし、これはアミノ酸21及び22のN末端シグナル
配列の開裂後のob遺伝子産物で推定される値と同じであった。実施例14 免疫学的方法
抗血清103-2をマウスob配列のアミノ酸22番目から41番目、即ちVPIQKVQ
DDTKTLIKTIVTR(配列番号7)(Y.Zhangら、Nature372,425-432(1994))に一致する
4つの派生複合抗原ペプチドを注射したニュージーランド白ウサギから単離した
。ウエスタンブロット分析をニトロセルロース膜(BA85m0.45μmポアサイズ、Sch
leicher and Schuell Inc.)上で行った。ob遺伝子産物の免疫検出はECLキット
(Amersham)を用いてTBS-T(20mM Tris-Cl pH7.6,137mM NaCl,0.1% Tween20)中
で行った。第2抗体(西洋ワサビペルオキシダーゼ結合抗ウサギIg F(ab')2フラ
グメント、Amersham)を1:3000希釈で用いた。14.5kDaのはっきりした分子量を有
する単一免疫反応性タンパク質が同定された。実施例15 化合物AとOBタンパク質を用いた組合せ療法のインビボ研究
ヒト患者にベヒクル(obタンパク質処理)中総obタンパク質(ヒト)0.05
から20mg/kgを1日当たり1から3回投与により注射(例えば、皮下、筋肉内、
または静脈内)した。同時に
あるいはその後で0.001から100mg/kgのジヒドロクロリド化合物Aを経口的にまた
は注射により1日1回から3回投与した。最初の治療は0日目に行い、患者は6
ヶ月間毎日治療を受けた。対象患者群は比較のため治療しなかった(例えば、プ
ラシーボを投与)。体重データは毎週集めた。体重減少の統計的有意差を反復測
定の分散の2因子(群と日)分析(ANOVA)及びその後引き続き最小二乗法分散(LS
D)テストを行うことにより決定した。
血漿中のインシュリン及びグルコースレベルの決定
最初の治療前および第1週目の毎日、血液をヘパリン処理キャピラリーチュー
ブに集めた。その後、患者は個々に自分自身の血中グルコースを毎日モニターす
ることとした(市販のキットを用いた)。血液を実験室での分析のため毎週体重
測定と同時に集めた。血液サンプルのグルコース及びインシュリンレベルを分析
した(例えば、登録した病院でまたは他のGLP実験室で)。
前記の明細書が本発明の原理を例示を目的とした実施例をもって教えてくれる
ので、以下の請求項に含まれ、及び均等の範囲に含まれる総ての通常の変更、応
用または修飾を含む本発明の実施について理解できるであろう。
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(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
// C07D 401/12 257 A61K 37/02
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S
Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD
,RU,TJ,TM),AL,AM,AU,AZ,BA
,BB,BG,BR,BY,CA,CN,CU,CZ,
EE,GE,HU,IL,IS,JP,KG,KR,K
Z,LC,LK,LR,LT,LV,MD,MG,MK
,MN,MX,NO,NZ,PL,RO,RU,SG,
SI,SK,TJ,TM,TR,TT,UA,US,U
Z,VN