JPH11514886A - 神経原性分化(NeuroD)遺伝子およびタンパク質 - Google Patents

神経原性分化(NeuroD)遺伝子およびタンパク質

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JPH11514886A JP9517570A JP51757097A JPH11514886A JP H11514886 A JPH11514886 A JP H11514886A JP 9517570 A JP9517570 A JP 9517570A JP 51757097 A JP51757097 A JP 51757097A JP H11514886 A JPH11514886 A JP H11514886A
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エム. ウェイントラウブ,ハロルド
イー. リー,ジャクリーン
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フレッド ハッチンソン キャンサー リサーチ センター
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Abstract

(57)【要約】 ヒト、マウス、およびカエル由来の神経原性分化遺伝子およびタンパク質が、同定、単離、および配列決定される。neuroD1の発現は、神経細胞、膵臓細胞、および消化管細胞で実証され、そしてneuroD2は脳で検出された。アフリカツメガエル胚の非ニューロン細胞におけるneuroD1およびneuroD2の異所性発現は、ニューロンの形成を誘導した。neuroD1ノックアウトマウスは糖尿病を有した。

Description

【発明の詳細な説明】 神経原性分化(NeuroD)遺伝子およびタンパク質 本発明は、米国国立予防衛生研究所によって与えられた助成CA42506の下で米 国政府の支援を得て実施された。米国政府は本発明に特定の権利を有する。 この出願は、PCT出願第PCT/US95/05741の一部継続出願(親出願である米国出願 第08/239,238号(1994年5月6日出願)(放棄)の一部継続出願)である、同時係属 中の米国出願第08/552,142号(1995年11月2日出願)の一部継続出願である。 発明の分野 本発明は、分子生物学に関し、特に脊椎動物の神経発生に関与する遺伝子およ びタンパク質に関する。 発明の背景 塩基性ヘリックス-ループ-ヘリックス(bHLH)ファミリーの転写因子は、栄養芽 層細胞(Crossら、Development 121:2513-2523,1995)、色素細胞(Steingrimsson ら、Nature Gen.8:251-255,1994)、B細胞(Shen,C.P.およびT.Kadesch.,Mo lec.& Cell.Biol.15:3813-3822,1995;Zhuangら、Cell 79:875-884,1994) 、軟骨細胞および骨芽細胞(Cserjesiら、Development 121:1099-1110,1995;Ta mura,M.およびM.Noda.,J.Cell Biol.126:773-782,1994)、および心筋(Burg essら、Develop.Biol.168:296-306,1995;Hollenbergら、Molec.& Cell.Bi ol.15:3813-3822,1995)を含む、広範な種々の細胞タイプにおいて分化の調節 に関係している。bHLHタンパク質は、遺伝子の5’調節領域でDNAと結合して発 現を制御する、ホモダイマーおよびヘテロダイマーの複合体を形成する。 おそらく最も広範囲にわたって研究されたbHLHタンパク質のサブファミリーは 、筋形成および神経発生を調節するものである。筋原性bHLH因子(MyoD、ミオゲ ニン、Myf5、およびMRF4)は、筋形成中に独特で非常に豊富な機能を有するよう である(Weintraub,H.,Cell 75:1241-1244,1933;Weintraubら、Science 251: 7 61-766,1991)。Myf5またはMyoDのいずれかは、筋原性の運命を決定するのに不 可欠であり、一方、ミオゲニンは末端分化に関与する事象に不可欠であると考え られている(Hastyら、Nature 364:501-506,1993;Nabeshimaら、Nature 364:53 2-535,1993;Rudnickiら、Cell 75:1351-1359,1993;Venutiら、J.Cell Biol .128:563-576,1995)。近年の神経原性bHLHタンパク質に関する研究は、bHLHタ ンパク質の筋原性サブファミリーと神経原性サブファミリーとの間の相似を示唆 する。Drosophila melanogaster achaete-scute複合体の遺伝子およびatonal遺 伝子は、神経細胞の運命の決定に関与していることが示されており(Anderson, D .J.,Cur.Biol.5:1235-1238,1995;Campuzano,S.およびJ.Modolell.,Tre nds in Genetics 8:202-208,1992;Jamanら、Cell 73:1307-1321,1993)、そし て哺乳動物のホモログ(MASH1およびMATH1)は、神経発生の時期に神経管に発現す る(Akazawaら、J.Biol.Chem.270:8730-8738,1995;Loら、Genes & Dev.5:1 524-1537,1991)。2つの関連する脊椎動物bHLHタンパク質(neuroD(以後「neuroD 1」と呼ぶ)およびNEX-1/MATH-2)は、CNS発生においてやや後に、神経管の辺縁層 において優勢に発現され、そして成熟神経系において持続する(Bartholoma,A. およびK.A.Nave.,Mech.Dev.48:217-228,1994;Leeら、Science 268:836-8 44,1995;Shimizuら、Eur.J.Biochem.229:239-248,1995)。NeuroD1はまた 、膵臓β細胞中のインスリン転写を調節する因子としてクローン化され、そして「 β2」と命名された(Nayaら、Genes & Dev.9:1009-1019,1995)。発生中のアフ リカツメガエル胚におけるneuroD1の構成的な発現は、外胚葉細胞中の異所性神 経発生を生じる。このことは、neuroDは神経発生プログラムを調節し得ることを 示す。36,873ヌクレオチドを有するneuroD1ホモログは、C.elegansにおいて同 定されている(Leeら、1995;Genbank Accession No.010402)。このことは、こ の神経発生を調節する分子メカニズムは、脊椎動物と無脊椎動物の間で保存され 得ることを提案する。 神経組織および内分泌組織は再生しない。損傷は永久である。麻痺、視覚また は聴覚の喪失、およびホルモン不全はまた、治りにくい医学的状態である。さら に、神経および内分泌組織中の腫瘍は、従来の化学治療薬が神経組織に対して有 し得る毒性副作用のために、処置するのが非常に難しい。医学界および公衆は、 神経外胚葉幹細胞における分化をトリガーすることに活性な薬剤が入手可能であ ることから、多大な利益を得る。そのようなニューロン分化剤は、試験細胞株の 構築、ニューロン組織および内分泌組織の再生を誘導し得る治療薬の候補を同定 するためのアッセイ、遺伝子治療および腫瘍細胞の分化に用いられ得る。 発明の要旨 本発明において開示されたneuroDタンパク質は、bHLHタンパク質の新規なサブ ファミリーを表し、そして脊椎動物のニューロン、内分泌、および消化管の発生 に関与する。哺乳動物および両生類のneuroDタンパク質は、同定されており、そ してneuroDタンパク質をコードするポリヌクレオチド分子は単離および配列決定 されている。neuroD遺伝子は、bHLHファミリーの別個のメンバーであるタンパク 質をコードする。さらに、本発明は、高度に保存されたHLH領域を共有するneuro Dタンパク質のファミリーを提供する。neuroDファミリーのメンバーをコードす る代表的なポリヌクレオチド分子は、neuroD1、neuroD2およびneuroD3を含む。 マウスneuroD1をコードする代表的なヌクレオチド配列は、配列番号1に示さ れている。マウスneuroD1のHLHをコードするドメインは、配列番号1のヌクレオ チド577と696との間に存在する。マウスneuroD1の推定アミノ酸配列は、配列番 号2に示されている。他のbHLHタンパク質によって共有されない、配列番号2の アミノ酸150からアミノ酸199までのヘリックス2ドメインの後に高度に保存され た領域が存在する。 アフリカツメガエルneuroD1をコードする代表的なヌクレオチド配列は、配列 番号3に示されている。アフリカツメガエルneuroD1のHLHをコードするドメイン は、配列番号3のヌクレオチド376と495との間に存在する。アフリカツメガエル neuroD1の推定アミノ酸配列は、配列番号4に示されている。他のbHLHタンパク 質によって共有されない、配列番号4のアミノ酸157からアミノ酸199までのヘリ ックス2ドメインの後に高度に保存された領域が存在する。 ヒトneuroDファミリーの代表的なヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列は 、配列番号8から配列番号15に示されている。マウスneuroD1のヒトホモログの 代表的なヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列は、配列番号8および配列番 号 9(部分ゲノム配列)、ならびに配列番号14および配列番号15(ヒトneuroD1 cDNA) に示されている。ヒトおよびマウスのneuroD2の代表的なヌクレオチド配列およ び推定アミノ酸配列は、それぞれ、配列番号10および配列番号11、ならびに配列 番号16および配列番号17に示されている。ヒトneuroD3に対する代表的なヌクレ オチド配列および推定アミノ酸配列は、配列番号12および配列番号13に示されて いる。開示されたヒトクローン9F1(およびそれに対応するcDNA HC2A;ここで、 ヒトneuroD1と呼ぶ)、ならびに14B1(ここで、ヒトneuroD2と呼ぶ)は、同一のHLH モチーフ(配列番号9および15のアミノ酸残基117〜156、ならびに配列番号11の アミノ酸残基137〜176(配列番号8および配列番号14のヌクレオチド405〜524、 ならびに配列番号10のヌクレオチド463〜582に対応する))を有する。これらのne uroD遺伝子の推定アミノ酸配列の比較は、ヒトneuroD3が配列番号13のアミノ酸 残基108〜147(配列番号12のヌクレオチド376〜495に対応する)の間のHLHドメイ ンを含むこと、ならびにマウスneuroD2が、配列番号17のアミノ酸残基138〜177( 配列番号16のヌクレオチド641〜760に対応する)の間のHLHドメインを含むことを 示している。マウスneuroD2のHLHドメインは、ヒトneuroD1タンパク質およびヒ トneuroD2タンパク質のHLHドメインと同一である。同様の分析は、マウスのneur oD3が、配列番号22のアミノ酸残基109〜148(配列番号21のヌクレオチド425〜544 に対応する)の間のHLHドメインを含むことを示した。 図面の簡単な説明 図1は、マウスおよびアフリカツメガエルのneuroD bHLHタンパク質のドメイ ン構造を概略的に示す。 好適な実施態様の詳細な説明 初期神経外胚葉の分化を調節する組織特異的bHLHタンパク質が、ショウジョウ バエdaughterless遺伝子のタンパク質産物と相互作用し得る可能性のあるbHLHタ ンパク質を同定するために設計された発現クローニングおよびスクリーニングア ッセイを使用して発見された。これらのタンパク質は、HLH領域中の保存された 残基を共有するタンパク質のファミリーに属する。本発明はneuroD2およびneuro D3を提供する。これらは、neuroD1に関連する2つの新規な遺伝子であり、そし て単離されており、そのヌクレオチド配列は決定されている。本明細書で使用す る用語「neuroD」は、neuroDファミリーのすべてのメンバーを包含し、そしてneur oD1、neuroD2、およびneuroD3のコード配列およびタンパク質を包む。 neuroDファミリーの遺伝子は、神経系の発生の間に機能する。MATH1(Loら、Ge nes & Dev.5:1524-1537,1991)のように、neuroD3の発現は胚発生の間にピーク になり、そして成熟神経系では検出されない。neuroD2は、neuroD1およびNEX-1/ MATH2の両方と高い配列類似性を示し、そして胚形成の間および成熟神経系の両 方で同様に発現する。このことは、neuroD1と発現パターンが部分的に重複する ことを示す。neuroD1のように、neuroD2は、アフリカツメガエル胚においてトラ ンスフェクションによって発現される場合、外胚葉細胞における神経発生を誘導 する。neuroD1およびneuroD2についての発現ベクターのトランスフェクションは 、これらの高度に類似する転写因子がいくらかの標的特異性を示し、GAP-43プロ モーターはneuroD2によって活性化されるがneuroD1によっては活性化されないこ とを示す。neuroD1およびneuroD2の部分的に重複する発現パターンおよび標的特 異性から、この群の神経原性転写因子は、重複はしているが適合していない標的 遺伝子のセットに作用することによって、神経系におけるニューロンのアイデン ティティーの確立に寄与し得ることが示唆される。 neuroDタンパク質は、胚形成の間に分化しているニューロンにおいて一過性に 発現する。neuroDタンパク質はまた、成体脳で、海馬および小脳の顆粒層で検出 される。さらに、マウスneuroD1発現は、発達している胚および出生後のマウス の膵臓および消化管組織において検出される(例えば、実施例14を参照)。 neuroDタンパク質は、塩基性ヘリックス-ループ-ヘリックス(bHLH)タンパク質 の上流認識配列への結合および下流標的遺伝子の活性化に関与するbHLHドメイン 構造を含む。本発明は代表的なneuroDタンパク質を提供する。これは、配列番号 2のマウスneuroD1タンパク質、配列番号4の両生類neuroD1タンパク質、配列番 号17のマウスneuroD2タンパク質、配列番号9および15のヒトneuroD1タンパク質 、配列番号11のヒトneuroD2タンパク質、配列番号13のヒトneuroD3タンパク質、 および配列番号22のマウスneuroD3タンパク質を含む。他のbHLHタンパク質との 相 同性に基づいて、マウスneuroD1のbHLHドメインは、配列番号2のアミノ酸102と 155との間、両生類neuroD1についてはおよび配列番号4のアミノ酸101と157との 間にあることが予測される。 以下に詳述するように、本発明はヒトneuroD1の同定を提供し、そしてさらに 、アミノ酸レベルで2つのヒト遺伝子(neuroD2およびneuroD3;それぞれ、配列 番号10および11、ならびに12および13)の間で共有されるHLHドメインにわたって 高度に保存された配列に基づいて、同じファミリーの予想外の相同遺伝子を提供 する。 neuroDタンパク質は、下流の標的遺伝子(活性のなかでもとりわけニューロン 前駆体の成熟ニューロンへの分化を引き起こす遺伝子を含む)の転写を制御する 転写アクチベーターである。マウス胚(e10)の神経胚ステージにおいて、マウスn euroD1は、神経冠細胞の神経原性誘導体、脳神経節および後根神経節、ならびに 中枢神経系(CNS)における有糸分裂後細胞において高度に発現する。マウス発生 の間、neuroD1は一過性に発現し、そして鼻上皮および網膜のような感覚器官に おいて分化しているニューロンにおけるニューロン分化を伴う。アフリカツメガ エル胚において、非ニューロン細胞におけるneuroD1の異所性発現は、ニューロ ンの形成を誘導した。以下でより詳細に記載するように、neuroDタンパク質は、 分化しているニューロンにおいて発現し、そして非ニューロン細胞のニューロン への転換を引き起こし得る。本発明は、例えばその認識部位へ結合し得るが下流 の遺伝子は活性化し得ないneuroDタンパク質を生じる様式で改変されるneuroD遺 伝子の改変体を包含する。本発明はまた、例えば天然のneuroDパートナーに結合 し得るが下流の遺伝子は活性化し得ないneuroDタンパク質のフラグメントを包含 する。neuroDタンパク質は、天然に存在する物質から回収されるタンパク質、お よび密接に関連する、neuroDタンパク質に特異的な抗血清によって回収される機 能的に類似するタンパク質、ならびに遺伝子のneuroDファミリーの独自の領域に 対するその類似性に基づいて回収される遺伝物質(DNA、RNA、cDNA)にコードされ る、組換え的に発現されるタンパク質を包含する。 本発明は、neuroDファミリーのタンパク質をコードする典型的な単離され精製 された代表的なポリヌクレオチド分子を提供する。種々のneuroDタンパク質をコ ードする代表的なポリヌクレオチド分子は、配列番号1、3、8、10、12、14、 および16で示される配列を含む。neuroDをコードするポリヌクレオチド分子は、 小さな遺伝的多型性、種間の差異を生じる配列、およびアミノ酸の置換、付加、 および/または欠失を含む配列を含む。本発明によれば、neuroDタンパク質をコ ードするポリヌクレオチド分子は、配列番号2、4、9、11、13、15、および17 に示される配列と同一性を共有するneuroDタンパク質またはペプチドをコードす る分子を包含する。このような分子は、一般に、開示された配列とアミノ酸レベ ルで35%以上の同一性を共有する。本発明のneuroD遺伝子は、HLHドメインのよ うな高度に保存された領域にわたるアミノ酸レベルでより高い同一性を共有し得 る。例えば、マウスおよびアフリカツメガエルneuroD1遺伝子の推定のアミノ酸 配列は、このドメイン内で96%が同一である。 いくつかの例において、組換えneuroDポリヌクレオチド分子の配列におけるこ のような変化を用いて、調製物の意図する使用に依存して、野生型neuroD活性と 比較してneuroDタンパク質の生物学的活性を実質的に減少させ得るか、または増 加さえさせ得る。このような変化はまた、例えば遺伝子産物を改変するための遺 伝子治療法を用いて、外来neuroDポリヌクレオチド配列に対して向けられ得る。 このような変化は、neuroD1、neuroD2、neuroD3、またはneuroD遺伝子ファミリ ーの他のメンバーに関して想定される。 本発明のneuroD1タンパク質は、ニューロン特異的遺伝子(例えば、N-CAM、β チュブリン、およびXen-1)、ニューロフィラメントM(NF-M)、Xen-2、tanabin-1 、shaker-1、およびカエルHSCLのカエル胚における発現を誘導し得る。以下の実 施例10で詳述するように、neuroD1の活性は、neuroDをカエル卵母細胞で異所的 に発現させ、その後例えば、アフリカツメガエルneuroD1 RNAの2細胞ステージ のアフリカツメガエル胚の2つの細胞の1つへ注入し、そして免疫化学的または インサイチュハイブリダイゼーションによって、胚の注入部位におけるニューロ ン特異的遺伝子の発現を、注入していない部位と比較してモニターする場合に検 出される。 「過剰発現」は、宿主細胞が由来する親細胞におけるタンパク質または転写物の レベルと比較して、組換え形質転換宿主細胞におけるneuroDタンパク質またはne uroD転写物のレベルの増加を意味する。 上記のように、本発明は、neuroDファミリーの種々のメンバーをコードする、 単離されそして精製されたポリヌクレオチド分子を提供する。開示された配列を 使用して、適切な哺乳動物または非哺乳動物の宿主細胞(例えば、イヌ、ヒツジ 、ウシ、ヤギ、ウサギ、またはトリ)からさらなるneuroDポリヌクレオチド分子 を同定しそして単離し得る。特に、HLH領域をコードするヌクレオチド配列を使 用して、neuroDファミリーの他のタンパク質をコードするポリヌクレオチド分子 を同定し得る。neuroDファミリーメンバーをコードする相補的DNA分子は、例え ば、胎児脳、新生児脳、および成人脳組織由来のcDNAライブラリーmRNAを構築す ることによって得られ得る。neuroDファミリーメンバーをコードするDNA分子は 、標準的なハイブリダイゼーション法(例えば、Sambrookら、Molecular Cloning : ALaboratory Manual,第2版、Cold Spring Harbor,NY,1989、本明細書中に 参考として援用される、およびBothwell,YancopoulosおよびAlt,同書中)で使 用されるプローブを提供するために開示された配列を使用して、またはポリメラ ーゼ連鎖反応(PCR)増幅(例えば、Lohら、Science 243:217-222,1989; Frohman ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:8998-9002,1988; Erlich(編)、PCR Techn ology: Principles and Applications for DNA Amplification,Stockton Press ,1989; およびMullisら、PCR: The Polymerase Chain Reaction,1994、その全 体が本明細書中で参考として援用される)を使用する配列の増幅によって、この ようなライブラリーから単離され得る。類似の様式で、neuroDタンパク質をコー ドするゲノムDNAが、本明細書中で開示された配列から設計されたプローブを使 用して得られ得る。neuroD遺伝子または転写物の同定に使用される適切なプロー ブは、哺乳動物と両生類のneuroDコード配列間で高度に保存されている領域であ るneuroD特異的配列から得られ得る。例えば、ヘリックス2ドメインの後の約40 残基をコードする領域由来ヌクレオチド配列は、PCRプライマーの設計に適して いる。あるいは、ヒトneuroD1、neuroD2、またはneuroD3コード領域由来の特異 的DNA配列を含むオリゴヌクレオチドは、関連するヒトneuroDゲノムおよびcDNA クローンを同定するために、記載された方法の中で使用され得る。neuroDの上流 調節領域が、同一の方法を使用して得られ得る。適切なPCRプライマーは、7〜5 0の間の ヌクレオチド長、より好ましくは15〜25の間のヌクレオチド長である。あるいは 、neuroDポリヌクレオチド分子は、少なくとも約15ヌクレオチド長および全コー ド配列までを含むプローブを用いる標準的なハイブリダイゼーション技術を使用 して、単離され得る。ストリンジェントな条件下でのマウスneuroD1 cDNAでプロ ーブしたマウスゲノムDNAのサザン分析ではたった1つの遺伝子の存在しか示さ れず、このことはストリンジェントな条件下では他のタンパク質ファミリー由来 のbHLH遺伝子は同定されないことを示唆した。neuroDファミリーの他のメンバー は、PCR増幅について本明細書中で開示された配列に基づく縮重オリゴヌクレオ チドを用いて、または開示された中程度のストリンジェンシーでのハイブリダイ ゼーションにより、同定され得る。 neuroDの調節領域は、組織特異的プロモーターとして有用であり得る。このよ うな調節領域は、例えば、膵臓、消化管、または神経細胞、組織または細胞株に おける異種遺伝子の組織特異的発現を駆動するための遺伝子治療において使用を 見い出し得る。実施例14に示すように、マウスneuroD1プロモーター配列は、1.4 kbの5'非翻訳領域内にある。この領域内の調節配列は、他のプロモーター配列と の比較および/または領域それ自身の欠失分析によって同定される。 本発明の別の局面では、neuroDタンパク質をコードするDNA分子は、適切な発 現ベクター中に挿入され、これは次に適切な宿主細胞をトランスフェクトするか または形質転換するために使用される。本発明の実施において使用するに適した 発現ベクターとしては、宿主細胞での目的のポリヌクレオチド分子の転写を指揮 し得るプロモーターが挙げられ、そしてまた転写終結シグナルを含み、これらの エレメントはベクター中で作動可能に連結され得る。代表的な発現ベクターには 、プラスミドベクターおよび/またはウイルスベクター配列の両方が含まれ得る 。適切なベクターとしては、レトロウイルスベクター、ワクシニアウイルスベク タ どが挙げられる。クローン化された遺伝子またはcDNAの転写を指揮し得るプロモ ーターは、誘導可能なプロモーターまたは構成的プロモーターであり得、そして ウイルスプロモーターおよび細胞性プロモーターを含む。哺乳動物宿主細胞での 発現については、適切なウイルスプロモーターとしては、即時初期サイトメガロ ウイルスプロモーター(Boshartら、Cell 41:521-530,1985)およびSV40プロモー ター(Subramaniら、Mol.Cell.Biol.1:854-864,1981)が挙げられる。哺乳動 物宿主細胞でのタンパク質の発現に適している細胞性プロモーターとしては、マ ウスメタロチオネイン−1プロモータ一(Palmiterら、米国特許第4,579,821号) 、マウスVkプロモーター(Bergmanら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:7041-704 5, 1983; Grantら、Nucleic Acid.Res.15:5496,1987)、およびテトラサイク リン応答性プロモーター(GossenおよびBujard,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89 :5547-5551,1992およびPesciniら、Biochem.Biophys.Res.Comm.202:1664-16 67, 1994)が挙げられる。発現ベクターにはまた、代表的には、目的のコード配 列の下流に位置する転写終結配列が含まれる。適切な転写終結配列としては、SV 40由来の初期および後期ポリアデニル化シグナル(KaufmanおよびSharp,Mol.Ce ll. Biol.2:1304-1319,1982)、アデノウイルス5elB領域由来のポリアデニル 化シグナル、およびヒト成長ホルモン遺伝子ターミネーター(DeNotoら、Nucleic Acid.Res.9:3719-3730,1981)が挙げられる。哺乳動物細胞は、例えば、多数 の方法(リン酸カルシウム沈澱(Wiglerら、Cell 14:725,1978: CorsaroおよびPea rson、Somatic Cell Genetics 7:603,1981; GrahamおよびVan der Eb,Virolog y 52:456,1973)、リポフェクション、マイクロインジェクション、およびエレク トロポレーション(Neumannら、EMBO J.1:8410845,1982)を含む)によってトラ ンスフェクトされ得る。哺乳動物細胞は、SV40、CMVなどのウイルスで形質導入 され得る。ウイルスベクターの場合、クローン化されたDNA分子は、感受性の細 胞をウイルス粒子で感染することによって、導入され得る。レトロウイルスベク ターは、特に遺伝子治療(総説については、Millerら、Methods in Enzymology 2 17:581-599,1994; その全体が参考として本明細書中で援用される)で使用され るneuroD遺伝子の場合、哺乳動物細胞でのneuroDタンパク質の発現での使用にも 好適であり得る。クローン化されたDNAを含む細胞を同定するためには、選択マ ーカーを使用するのが好ましい。選択マーカーは、一般に、クローン化されたDN A分子と共に細胞に導入され、そして薬物(例えば、ネオマイシン、ハイグロマ イシン、およびメトトレキセート)に対する耐性を付与する遺伝子を含む。選択 マーカーはまた、宿主細胞の栄養要求性を相補し得る。なお別の選択マーカーは 、検出可 能なシグナル(例えば、βガラクトシダーゼ)を提供して、クローン化されたDNA 分子を含む細胞を同定する。選択マーカーは、増幅可能である。このような増幅 可能な選択マーカーを用いて、宿主ゲノムに組み込まれた配列の数を増幅し得る 。 当業者に明らかなように、本発明のポリヌクレオチド分子は、Saccharomyces cerevisiae、糸状菌、およびE.coliにおいて発現され得る。Saccharomyces cer eviaeにおいてクローン化された遺伝子を発現させるための方法は、当該分野で 一般に知られている(「Gene Expression Technology」、Methods in Enzymology, 第185巻、Goeddel(編)、Academic Press,San Diego,CA,1990;および「Guide t o Yeast Genetics and Molecular Biology」、Methods in Enzymology,Guthrie およびFink(編)、Academic Press,San Diego,CA,1991を参照。これらは、そ の全体が参考として本明細書中で援用される)。糸状菌はまた、本発明のタンパ ク質を発現させるために使用され得る;例えば、真菌Aspergillusの株(McKnight ら、米国特許第4,935,349号、これは、本明細書中に参考として援用される)。培 養哺乳動物細胞およびE.coliにおいて遺伝子およびcDNAを発現させる方法は、S ambrookら(1989)に詳述されている。当業者に明らかなように、本発明のタンパ ク質は、調節配列、ベクター、および文献でよく確立されている方法を用いて、 他の宿主細胞(例えば、トリ、昆虫、および植物細胞)で発現し得る。 本発明に従って産生されたneuroDタンパク質は、固体支持体に結合した抗neur oD抗体を使用するアフィニティークロマトグラフィーのような、多数の確立され た方法を用いて、精製し得る。抗原性タグとneuroDとの融合タンパク質は、タグ に対する抗体を使用して精製され得る。さらなる精製は、従来の精製手段(とり わけ、液体クロマトグラフィー、勾配遠心分離、およびゲル電気泳動など)を用 いて達成され得る。タンパク質精製の方法は、当該分野で公知であり(一般に、S copes,R.,Protein Purification,Springer-Verlag,NY,1982を参照、これは 、本明細書中に参考として援用される)、そして本明細書中に記載される組換えn euroDの精製に適用され得る。 本明細書で使用する用語「ストリジェントな条件下でハイブリダイズし得る」は 、被検核酸分子(DNAまたはRNAのいずれか)が、ストリンジェントなハイブリダイ ゼーション条件下で、15またはそれ以上の、配列番号1、配列番号3、配列番号 8、 配列番号10、配列番号12、配列番号14、または配列番号16の連続するヌクレオチ ドにアニールすることを意味する。15ヌクレオチドまたはそれ以上の長さのオリ ゴヌクレオチドは、哺乳動物ゲノム中に一回以上存在する可能性は極めて低く、 それゆえこのようなオリゴヌクレオチドは、特異的なハイブリッドを形成し得る ことが一般に知られている(例えば、Sambrookら、Molecular Cloning,(第2版) 、Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989,セクション11.7)。 「ストリンジェントなハイブリダイゼーション」は、一般に、ハイブリダイゼー ション反応の間に形成される核酸の二重鎖が、完全に適合するかまたはほぼ完全 に適合することを意味すると、当該分野では理解される。核酸ハイブリダイゼー ションを支配するいくつかの法則が、よく確立されている。例えば、長さが200 ヌクレオチドを超えるポリヌクレオチド分子については、予測された二重鎖の融 点(Tm)より15〜25℃低く、かつオリゴヌクレオチドプローブのTmより5〜10℃低 い温度でハイブリダイズすることによってストリンジェントなハイブリダイゼー ションを達成するのが標準的な実施であ(例えば、Sambrookらのセクション11.45 )。 核酸二重鎖のTmは、核酸に含まれるG+Cの%に基づき、そして鎖長を考慮に 入れた式、例えば、式Tm=81.5-16.6(log[Na+])+0.41(%G+C)−(600/N)、( N=鎖長)(Sambrookら、1989,セクション11.46)を用いて算出される。Tmに対す る鎖長の影響は、より短い核酸がハイブリダイズする場合にのみ顕著であり、そ して長さの影響は数百塩基より長い核酸については無視してよいことが、この式 から明らかである。 ハイブリダイゼーション条件の選択は、当業者に明らかであり、そして一般に 、ハイブリダイゼーションの目的、ハイブリダイゼーションのタイプ(DNA-DNAま たはDNA-RNA)、および配列間の所望する関連のレベルによって左右される。上記 のように、ハイブリダイゼーションのための方法は、文献によく確立されている 。例えば、Sambrookら、同上;HamesおよびHiggins編、Nucleic Acid Hybridiza tion,A Practical Approach,IRL Press,Washington DC,1985; Bergerおよび Kimmel編、Methods in Enzymology,第52巻、Guide to Molecular Cloning Tech niques,Academic Press Inc.,New York,NY,1987; およびBothwell,Yancopo ul osおよびAlt編、Methods for Cloning and Analysis of Eukaryotic Genes,Jon esおよびBartlett Publishers,Boston,MA 1990を参照;これらは、その全体が 参考として本明細書中に援用される。当業者は、核酸二重鎖の安定性は、ミスマ ッチ塩基の数の増加および位置に伴って減少することを認識する;従って、ハイ ブリダイゼーションのストリンジェンシーは、このような二重鎖の安定性を最大 または最小にするために使用され得る。ハイブリダイゼーションのストリンジェ ンシーは以下によって改変し得る;ハイブリダイゼーション温度の調節;ハイブ リダイゼーション混合物中のホルムアミドのようなヘリックス脱安定剤の割合の 調節;および洗浄溶液の温度および/または塩濃度の調節。一般に、ハイブリダ イゼーションのストリンジェンシーは、塩濃度および/または温度を変化させる ことによって、ハイブリダイゼーション後の洗浄の間に調節される。ハイブリダ イゼーションのストリンジェンシーは、ハイブリダイゼーション溶液中のホルム アミドの割合を減少させるか、または洗浄溶液の温度を低下させることによって 、減少させ得る。高ストリンジェンシー条件は、低塩濃度(例えば、0.1×SSC)の 溶液中での、高温での洗浄(例えば、Tmより5〜25℃低い)と合わせた、高温ハイ ブリダイゼーション(例えば、4〜6×SSC(1×SSC=0.15M NaCl、0.015M クエ ン酸ナトリウム)を含む水溶液中で65〜68℃、または50%ホルムアミド中で42℃) を包含し得る。低ストリンジェンシー条件は、中間温度(例えば、40〜60℃)で行 う洗浄およびより高い塩濃度(例えば、2〜6×SSC)を有する洗浄溶液中の、よ り低いハイブリダイゼーション温度(例えば、20〜50%ホルムアミド中で35〜42 ℃)を包含し得る。中程度のストリンジェンシー条件は、50℃と65℃との間の温 度での0.2〜0.3M NaCl中でのハイブリダイゼーションおよび50℃と55℃との間 での0.1×SSC、0.1%SDS中での洗浄を包含し、neuroDファミリーのメンバーをコ ードするゲノムまたはcDNAクローンを同定するためのプローブとして開示された ポリヌクレオチド分子と共に使用され得る。 本発明は、配列番号1、配列番号3、配列番号8、配列番号10、配列番号12、 配列番号14、および/または配列番号16の、15またはそれ以上の連続するオリゴ ヌクレオチドに、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得るneuroDタン パク質をコードする単離されそして精製されたポリヌクレオチド分子を提供し、 そしてまた、コード鎖に相補的なポリヌクレオチド分子も含む。本発明の単離さ れたneuroDポリヌクレオチド分子は、好ましくは外胚葉、特に神経外胚葉幹細胞 での分化、およびその系統(例えば、表皮前駆細胞、膵臓細胞、および消化管細 胞)のより関連のある細胞での分化を誘発するneuroDタンパク質をコードする。 このようなneuroD発現産物は、代表的には、標的遺伝子の5'調節領域で結合しそ して標的遺伝子の転写を増加または抑制するヘテロダイマーのbHLHタンパク質複 合体を形成する。 ある場合では、ガン細胞は、非機能的neuroDタンパク質を含むかもしれないが 、またはこれらの細胞が分化することができないような遺伝的変異または体細胞 変異のためにneuroDタンパク質を含まないこともある。このタイプのガンについ ては、ガン細胞は、野生型neuroDタンパク質の過剰発現を引き起こす様式で処置 され得て、ガン細胞を強いて分化させる。 アンチセンスneuroDヌクレオチド配列、すなわち、neuroD遺伝子の非転写鎖に 相補的なヌクレオチド配列を使用して、ニューロン前駆体細胞における変異体ne uroD発現の発現を遮断し、ニューロン幹細胞を生成および採取し得る。アンチセ ンスオリゴヌクレオチドの使用およびそれらの適用は、文献に概説されている( 例えば、MolおよびVan der Krul編,Antisense Nucleic Acides and Proteins F undamentals and Applications,New York,NY,1992;これは本明細書中にその 全体が参考として援用される)。適切なアンチセンスオリゴヌクレオチドは、少 なくとも11ヌクレオチド長であり、そして非翻訳配列(上流部またはイントロン) および関連するコード配列を含み得る。当業者に明らかであるように、アンチセ ンスオリゴヌクレオチドの最適な長さは、アンチセンスオリゴヌクレオチドと相 補的mRNAとの間の相互作用の強さ、翻訳が起こる温度およびイオン環境、アンチ センスオリゴヌクレオチドの塩基配列、および標的mRNAおよび/またはアンチセ ンスオリゴヌクレオチドにおける二次および三次構造の存在に依存する。アンチ センスオリゴヌクレオチドに適切な標的配列は、イントロン-エクソン接合部(適 切なスプライシングを防止するため)、DNA/RNAハイブリッドが核から細胞質への mRNAの輸送を防止する領域、開始因子結合部位、リボソーム結合部位、およびリ ボソームの前進を妨害する部位を含む。アンチセンスオリゴヌクレオチドに特に 好ましい標的領域は、目的の遺伝子の5'非翻訳(プロモーター/エンハンサー)領 域である。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的DNA配列を含むDNA分子の適 切な発現ベクターへの、このDNA分子が遺伝子自身と比べて逆方向にプロモータ ーの下流に挿入されるような挿入により調製され得る。次いで、この発現ベクタ ーは適切な細胞中に形質導入、形質転換、またはトランスフェクトされ得、結果 的にアンチセンスオリゴヌクレオチドが発現する。あるいは、アンチセンスオリ ゴヌクレオチドは、標準の手動または自動化された合成技術を用いて合成され得 る。合成されたオリゴヌクレオチドは、エレクトロポレーション、リン酸カルシ ウム沈澱、リポソーム、またはマイクロインジェクションを含む様々な手段によ り、適切な細胞中に導入され得る。適切なアンチセンスオリゴヌクレオチド投与 法の選択は、当業者には明らかである。合成されたオリゴヌクレオチドに関して 、アンチセンスオリゴヌクレオチド-mRNAハイブリッドの安定性は、オリゴヌク レオチドへの安定化試薬の添加によって増加し得る。安定化試薬は、オリゴヌク レオチドの一端または両端に共有結合するインターカレート試薬を含む。オリゴ ヌクレオチドは、例えば、ホスホトリエステル、ホスホネート、ホスホロチオエ ート、ホスホロセレノエート、ホスホルアミデート、またはホスホロジチオエー トの導入によるホスホジエステル骨格の改変により、ヌクレアーゼ耐性にされ得 る。オリゴヌクレオチドはまた、デオキシリボヌクレオチドのα-アノマーとの オリゴヌクレオチドの合成によっても、ヌクレアーゼ耐性にされ得る。 neuroDタンパク質は、神経および内分泌組織の発達を含む神経外胚葉の分化に 関係する、神経原性遺伝子の5'調節領域に結合する。本明細書中でより詳細に 記載されるように、マウスのneuroD1は、胚および成体のマウス中の、ニューロ ン、膵臓、および消化管の組織において検出されており、このことはneuroD1が これらの組織において転写調節で機能することを示唆している。neuroDタンパク 質は、例えば、ダウンレギュレートもしくはアップレギュレートする転写により 、または転写において代わりのオープンリーディングフレームへの変化を誘導す ることにより、被験遺伝子の発現を変化させる。被験ポリヌクレオチド分子は様 々な使用を見出し、例えば、以下の実施例中に記載されるように、オリゴヌクレ オチドプローブ、発現ベクター、および形質転換された宿主細胞を調製する際に 使 用される。 様々なneuroDタンパク質によって認識されるDNA配列は、文献において公知の 多くの方法を用いて決定され得る。それには免疫沈降(Biedenkappら,Nature 33 5:835-837,1988; KinzlerおよびVorgelstein,Nuc.Acids Res.17:3645-3653, 1989;およびSompayracおよびDanna,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:3274-327 8,1990;これらは本明細書中に参考として援用される)、タンパク質アフィニテ ィーカラム(Oliphantら,Mol.Cell.Biol.9:2944-2949,1989;これは本明細書 中に参考として援用される)、ゲル移動度シフト(BlackwellおよびWeintraub,Sc ience 250:1104-1110,1990;これは本明細書中に参考として援用される)、およ びサウスウェスタンブロット(KellerおよびManiatis,Nuc.Acids Res.17:4675 -4680,1991;これは本明細書中に参考として援用される)が含まれる。 本発明の1つの実施態様は、種間ハイブリッドneuroDタンパク質の構築、およ び、2つ以上のneuroDファミリーメンバー由来の少なくとも1つのドメインを含 むハイブリッドneuroDタンパク質の構築を伴い、構造-機能分析を促進するか、 あるいは野生型neuroDに関連する神経原性遺伝子のneuroDに媒介される転写活性 化を増加または減少させることにより、neuroD活性を変化させる。本発明のハイ ブリッドタンパク質は、別の種由来のneuroDまたはneuroDファミリーの他のタン パク質のアナログアミノ酸との、天然型neuroDタンパク質の1つ以上の連続する アミノ酸の置換を含み得る。そのような種間またはファミリー間ハイブリッドタ ンパク質は、全体または一部のドメインの置換を有するハイブリッドを含む。そ のようなハイブリッドタンパク質は、組換えDNA技術を用いることで得られる。 簡潔に述べれば、目的のハイブリッドneuroDタンパク質をコードするDNA分子は 、PCR変異誘発、部位特異的変異誘発、および/または制限消化ならびに連結のよ うな、一般に利用可能な方法を用いて調製される。次いでハイブリッドDNAは発 現ベクター中に挿入され、そして適切な宿主細胞中に導入される。生物学的活性 は、本質的に、以下の実施例中でより詳細に呈示されるアッセイに記載されるよ うに評価され得る。 本発明はまた、neuroDの一部または全部のタンパク質を含む、合成されたペプ チド、組換え由来のペプチド、融合タンパク質などを提供する。被験ペプチドは 、 ストリンジェントな条件下で、配列番号1、配列番号3、配列番号8、配列番号 10、配列番号12、配列番号14、または配列番号16の15以上の連続するヌクレオチ ドの、オリゴヌクレオチドとハイブリダイズする核酸によりコードされたアミノ 酸配列を有する。被験ペプチドの代表的なアミノ酸配列は、配列番号2、配列番 号4、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、および配列番号17に 開示される。被験ペプチドは様々な使用を見出し、特異的抗体の調製およびneur oD活性のアゴニストおよびアンタゴニストの調製を含む。 上記のように、本発明はneuroDタンパク質に結合する抗体を提供する。非ヒト 抗血清またはモノクローナル抗体(例えば、マウス、ウサギ、ブタ、ウマ)の産生 は周知であり、例えば、動物をneuroDタンパク質またはペプチドで免疫化するこ とにより、達成され得る。モノクローナル抗体の産生のために、抗体産生細胞を 免疫化動物から得、不死化およびスクリーニングするか、あるいはneuroDタンパ ク質またはペプチドと結合する抗体の産生のために最初にスクリーニングし、次 いで不死化する。組換えDNA技術によって非ヒト抗体の抗原結合領域(例えば、F( ab')2または超可変領域)をヒト抗体のフレームワーク中に移入し、実質的にヒト の分子を産生することが望まれ得る。そのような「ヒト化した」分子の産生方法は 一般に周知であり、そして、例えば、米国特許第4,816,397号に記載される。こ れは本明細書中にその全体が参考として援用される。あるいは、ヒトのモノクロ ーナル抗体またはその一部は、neuroDファミリーメンバーに特異的に結合する抗 体をコードするDNA分子について、ヒトB細胞cDNAライブラリーを最初にスクリ ーニングすることで同定され得る。これは、例えば、一般にHuseらによって呈示 される方法(Science 246:1275-1281,1989,本明細書中にその全体が参考として 援用される)に従う。次いでDNA分子はクローン化されそして増幅され、所望の特 異性の抗体(または結合ドメイン)をコードする配列が得られ得る。 本発明はまた、通常は、ニューロン表現型に関する遺伝子を発現しない細胞に おいて、それら遺伝子の発現を誘導する方法を提供する。neuroD発現によって調 節され得るニューロン表現型の例は、神経伝達物質または神経調節因子の発現を 含む。neuroDによる遺伝子発現の調節の目的に用いられ得る細胞は、神経外胚葉 系統の細胞、グリア細胞、神経冠細胞、および表皮上皮基底幹細胞、ならびに中 胚葉および内胚葉の両系統細胞の全タイプを含む。neuroDの発現はまた、膵臓お よび消化管の表現型に関する遺伝子の発現を誘導する方法の範囲内でも使用され 得る。そのような遺伝子発現の例は、インスリンの発現、および消化管に特異的 な酵素の発現を含む。 実施例10に示されるように、幹細胞におけるアフリカツメガエルのneuroD1タ ンパク質の発現は、表皮細胞の分化の再方向化を引き起こし、そしてニューロン への末端分化(すなわち、表皮細胞への分化に代わって)を誘導する。上皮基底幹 細胞(すなわち、皮膚および粘膜組織中の)は、成体の哺乳動物における数少ない 連続的な再生細胞タイプの一つである。上皮基底幹細胞への被験ヌクレオチド配 列の導入は、以下の方法を用いて、インビトロまたはインビボで達成され得る: 適切な遺伝子治療ベクター送達系(例えば、レトロウイルスベクター)、マイクロ インジェクション技術(例えば、Tam,Basic Life Sciences 37:187-196,1986を 参照、これは本明細書中にその全体が参考として援用される)、またはトランス フェクション法(例えば、裸のまたはリポソームにカプセル化されたDNAまたはRN A;例えば、Trends in Genetics 5:138,1989;ChenおよびOkayama,Biotechniq ues 6:632-638,1988;ManninoおよびGould-Fogerite,Biotechniques 6:682-69 0,1988;Kojimaら,Biochem.Biophys.Res.Comm.207:8-12,1995を参照、こ れらは本明細書中にその全体が参考として援用される)。導入方法は、宿主細胞 におけるneuroDの一過性の発現を達成するために選択され得るか、あるいは組織 特異的な方法で構成性のまたは制御された発現を達成することが好適であり得る 。 本発明の形質転換された宿主細胞は、様々なインビトロの使用を見出し、それ らは例えば:i)ニューロン性および他の成長因子の手頃な供給源としての使用、 ii)神経腫瘍において末端分化を駆動し得る抗ガン薬をスクリーニングするため の、一過性および連続培養における使用、iii)診断用アッセイにおいて有用なモ ノクローナルおよびポリクローナル抗体を調製する際の抗原として用いられる、 組換え的に発現されるneuroDタンパク質の供給源としての使用、およびiv)neuro Dの活性を増加または減少させ得る化合物をスクリーニングするための、一過性 および連続培養における使用である。 本発明の形質転換された宿主細胞はまた、様々なインビボの使用を見出し、そ れは例えば、運動神経または感覚神経の活性が失われている外傷性の神経傷害の 部位における移植である。移植によって利益を受け得る代表的な患者集団は、以 下を含む:視神経または聴神経の損傷による聴覚または視覚の消失を伴う患者、 末梢神経の損傷および運動神経または感覚神経の活性の消失を伴う患者、および 外傷性の傷害に由来する脳または脊髄の損傷を伴う患者。例えば、上皮基底幹細 胞のような患者由来のドナー細胞は、インビトロで培養され、次いでneuroDヌク レオチド配列により形質転換または形質導入される。次いで形質転換細胞は、マ イクロインジェクションによって、患者の神経機能障害の部位に戻される。さら に、neuroDがインスリンの発現を調節し得るようなので、本発明の形質転換され た宿主細胞は、糖尿病の患者への移植に有用であり得る。例えば、線維芽細胞、 膵島細胞、または他の膵臓細胞のような患者由来のドナー細胞は、採取されそし てneuroDヌクレオチド配列によって形質転換またはトランスフェクトされる。次 いで、遺伝子操作された細胞は患者に戻される。別の実施態様では、そのような 操作された宿主細胞は、吸収不良症候群の処置において使用を見出し得る。 本発明のヌクレオチド配列の代表的な使用は以下を含む: 1.細胞内neuroDの発現レベルを同定および定量するためのノーザンまたはサ ザンブロット、ドットブロット、またはPCRアッセイにおいて有用な、cDNAおよ びオリゴヌクレオチドプローブの構築。神経内分泌性腫瘍における、および胚の 神経発生(以下を参照)の急速に増殖する領域における、neuroDの高レベルの発現 は、neuroD発現レベルの測定が、神経腫瘍の増殖速度および侵襲性を評価するた めの予後マーカーを提供し得ることを示す。さらに、胚発生におけるneuroDの重 要な役割を考慮して、出生欠損および自然流産が異常neuroDタンパク質の発現に 起因し得ることの高い可能性が考えられる。この場合、neuroDは、出生前の母体 のスクリーニングおよび/または胎児の子宮内検査に非常に有用であることが証 明され得る。 2.neuroDタンパク質の転写調節活性がダウンレギュレートまたは排除された 、ドミナントネガティブなおよび「ノックアウト」の組換え細胞株を含む、組換え 細胞株、卵子、ならびにトランスジェニック胚および動物の構築。このような細 胞は、標的遺伝子の転写を増強、抑制、または活性化し得ないneuroDタンパク質 の 発現をもたらす、改変されたneuroDコード配列を含み得る。主題の細胞株および 動物は、neuroDによって行われる機能を代替するか、または欠陥neuroDによって 引き起こされる細胞の欠陥を矯正するかのいずれかを行い得る候補治療薬剤をス クリーニングすることにおいて使用を見出す。胚発生におけるneuroDの重要な調 節的役割を考慮すれば、出生欠陥が、変異体neuroDタンパク質の発現から生じ得 、そしてこれらの欠陥は、子宮内または出生直後の初期生物内で、neuroDを用い るスクリーニングアッセイで同定される化合物の使用により矯正され得る。さら に、neuroDポリヌクレオチド分子は、β-ガラクトシダーゼまたはルシフェラー ゼのようなレポーター遺伝子に連結され得、マウス胚性幹細胞のような適切な胚 性宿主細胞のゲノム中に、例えば、相同組換え(総説については、本明細書に参 考として援用される、Capecchi、Trends in Genetics 5:70-76、1989を参照)に より挿入され得る。次いで、neuroDを発現する細胞は、分化中の胚性細胞を細胞 ソーティングし、神経芽細胞の集団の純化に導くことにより得られ得る。神経芽 細胞は、成長因子または化学的治療剤に対する神経芽細胞の感受性を研究するた めに有用であり得る。神経芽細胞はまた、特異的タンパク質産物または遺伝子転 写物を精製するための供給源として用いられ得る。これらの産物は、成長因子の 単離のため、または移植のドナーから幹細胞集団を精製するために用いられ得る 細胞表面マーカーの同定のために用いられ得る。 実施例14に示されるように、「ノックアウト」マウスは、マウスneuroD1タンパ ク質の排除の結果を評価し、そして胎児および出生後マウスにおけるneuroD1の 組織分布を調査するために、マウスneuroD1コード領域を、β-ガラクトシダーゼ レポーター遺伝子およびネオマイシン耐性遺伝子と置き換えることによって作製 される。(neuroD1を欠く)変異についてホモ接合であったマウスは、高い血中グ ルコースレベルにより実証されるように、糖尿病を有し、そして4日目までに死 亡した。ホモ接合の変異体は、野生型マウスの血中グルコースレベルの2〜3倍 の血中グルコースレベルを有していた。ヘテロ接合変異体は、野生型マウスと類 似の血中グルコースレベルを示した。変異についてヘテロ接合である胎児および 出生後マウスからの染色組織の調査は、インサイチュハイブリダイゼーションに より実証されるニューロン細胞中のneuroD1発現パターンを確認し(実施例4)、 そしてまた、膵臓および消化管におけるneuroD1発現を実証した。 「ノックアウト」マウスは、糖尿病のためのモデル系として有用であり得る。こ のようなマウスは、ホモ接合変異体を救う方法を研究するため、そして糖尿病を 処置するための移植組織を試験するための宿主として用いられ得る。 3.neuroDがプロモーターの制御下のベクターのコード領域中に挿入される、 遺伝子移入ベクター(例えば、レトロウイルスベクターなど)の構築。neuroD遺伝 子治療を、運動または感覚神経機能の損失を生じた外傷性の神経損傷を矯正する ために、そしてまた糖尿病の処置のために用い得る。これらの治療には、遺伝子 移入ベクターは、外傷性損傷の部位に直接に注入され得るか、またはこのベクタ ーを用いて、次いで外傷性部位に注入される形質転換された宿主細胞を構築し得 るかのいずれかであり得る。実施例10に開示された結果は、neuroD1の導入が、 非ニューロン細胞をニューロンになるように誘導することを示す。この発見は、 外傷性損傷から生ずる神経欠陥を修復するために移植および/または遺伝子治療 を用いる可能性を初めて示す。さらに、neuroD1の発見は、ニューロンの集団が 損傷を受けた、アルツハイマー病、ハンチントン病、およびパーキンソン病のよ うな特定の神経学的障害の処置のために特異的な遺伝子治療を提供する可能性を 提供する。neuroD1利用の2つの基本的方法が、この観点から想像される。1つ の方法では、neuroD1は、存在するニューロン集団で発現され、それらのニュー ロンの表現型の局面(例えば、神経伝達物質発現またはシナプス標的化)を調整し 、ニューロンに、疾患の原因となる欠陥を克服する因子または表現型を発現させ る。この方法では、組換えneuroD1配列が、存在するニューロン中に導入される か、または内因性のneuroD1発現が誘導される。別の方法では、neuroD1が、非ニ ューロン細胞(例えば、脳中のグリア細胞、または基底上皮細胞のような別の非 ニューロン細胞タイプ)中で発現され、疾患局面を改善する完全または部分的な ニューロン表現型を与える遺伝子発現を誘導する。例として、パーキンソン病は 、少なくとも部分的には、神経伝達物質ドーパミンを脳幹神経節に供給するニュ ーロンの死滅により引き起こされる。神経伝達物質のレベルを増加することは、 パーキンソン病の症状を改善する。脳幹神経節ニューロンまたはグリア細胞にお けるneuroD1の発現は、神経伝達物質ドーパミンがこれら細胞中で直接産生され るよ うにニューロン表現型の局面を誘導し得る。同系間または異系間いずれかの移植 物として、影響された領域中への移植のために、ドナー細胞中でneuroD1を発現 することもまた可能である。なお別の実施態様では、neuroD1は、非膵臓細胞中 で発現され、糖尿病の局面を改善する完全または部分的な膵臓表現型を与える遺 伝子の発現を誘導する。なお別の実施態様では、neuroD1は、膵臓島細胞で発現 され、インスリンの発現を誘導する遺伝子の発現を誘導する。 4.胚性外胚葉細胞、非神経基底幹細胞など由来の移植可能な組換えニューロ ン前駆体細胞集団の調製。治療のスリーニングアッセイにおける使用のために悪 性でないニューロン細胞培養を確立することは困難な課題であることが実証され ている。本発明のneuroDタンパク質をコードする、単離されたポリヌクレオチド 分子は、発生およびガンにおいて活性である条件を模倣する条件下で、胚性ニュ ーロン幹細胞を増殖する初代(または連続)培養の確立を可能にする。得られる細 胞株は:i)新規な神経成長因子の供給源として、ii)抗ガン性化合物のスクリ ーニングアッセイにおいて、およびiii)新規なニューロン成長因子を同定する ためのアッセイにおいて使用を見出す。例えば、neuroDの高レベル発現が、胚の 視蓋で観察され、neuroD1タンパク質が、成長する網膜細胞に栄養性の因子の発 現を調節し得ることを示した。このような細胞は、成長因子の有用な供給源であ り得、そして候補治療化合物のスクリーニングアッセイで有用であり得る。 本明細書で開示される細胞株および転写調節因子は、それらは胚芽分化のかな り初期に活性であるので、それらが引き続く細胞の運命を制御する、潜在的なス イッチ、例えば、ON→OFFまたはOFF→ONを示すという、独特の利点を提供する。 このスイッチが可逆的(すなわち、ON⇔OFF)であることが示され得る場合、本明 細書に開示されるneuroD転写調節因子およびneuroD核酸は、被験体における失わ れた神経機能および/または内分泌機能を回復させる刺激的機会を提供する。 以下の実施例は、例示のために提供され、制限するために提供されるのではな い。 実施例1 胚性幹細胞「179」cDNAライブラリーの構築 変異体E2A(myoDの推定の結合パートナー)を有する連続的なマウス胚性幹細胞 株(すなわち、ES細胞株)を細胞供給源として用い、胚性幹細胞腫瘍のパネルを発 生させた。推定のmyoD結合パートナーE2Aの対立遺伝子の両方が薬剤選択マーカ ー遺伝子で置き換えられた組換えES幹細胞を構築した(すなわち、相同組換えを 用いて)。ES細胞は、いずれもE2A遺伝子産物である、機能的なE12またはE47タン パク質を作製しない。ES細胞は、組織学的に、およびRT-PCR遺伝子発現アッセイ の使用により判定されるとき、多くの異なる胚性細胞タイプの代表を含むように 見える、コンジェニックマウス(すなわち、129J系統)中で皮下腫瘍を形成する。 個々の胚性幹細胞腫瘍は、1×107細胞/部位の皮下注射により雄性129J系統マウ ス中に誘導された。3週間後に各腫瘍を回収し、そして個々のRNAサンプルを調 製するために用いた。ランダムプライミングおよび第2鎖合成の後、ds-cDNAを 、0.7%アガロースゲル上でそれらのサイズを基に選択し、そして400-800bpの範 囲のcDNAを、BamHIまたはBglIIリンカーのいずれかに連結した。(リンカーを用 いて、cDNA中の内部BamHI部位が、クローニングの間に不注意に切断され、異常 なサイズのまたはフレームのずれた発現産物に至る可能性を最小にする。)得ら れる個々の幹細胞腫瘍DNAを、「f1-VP16」2μ酵母発現ベクター中のBamHIクローニ ング部位中に個々に連結した。この発現ベクターf1-VP16は、Hind III(HIII)部 位とEcoRI(RI)部位との間に位置し、そしてSaccharomyces cerevisiaeアルコー ルデヒドロゲナーゼプロモーターの制御下にある単純ヘルペスウイルス(HSV)のV P16活性化ドメインを;LEU2およびアンピシリン耐性選択マーカーとともに含む 。目的DNA分子の、f1-VP16ベクターのHindIII部位中(すなわち、VP16ヌクレオチ ド配列の5'側)への、またはBamHI部位中(すなわち、VP16配列の3'側であるがEco RI部位の5'側)への挿入は、VP16にインフレームで連結された目的のタンパク質 を有するVP16融合タンパク質の発現を生じる。得られるcDNAライブラリーを「179 -ライブラリー」と称した。 実施例2 マウスneuroD1の同定およびcDNAクローニング ツーハイブリッド酵母スクリーニングアッセイを用い、本質的にはFieldsおよ びSong(Nature 340:245、1989)に記載されるように、そして本明細書に記載さ れるように改変して用い、実施例1に記載の179-ライブラリーをスクリーニング した。酵母ツーハイブリッドスクリーニングは、FieldsおよびSternglanz(Trend s in Genetics 10:286-292、1994)に開示されるように総説される。このライブ ラリーを、ショウジョウバエDa(Daughterless)bHLHドメインと原核生物LexA-DNA 結合ドメインとの間の融合タンパク質であるLexA-Daと相互作用したcDNAについ てスクリーニングした。S.cerevisiaeL40株は、2つのレポーター遺伝子、すな わち、HIS3遺伝子およびβ-ガラクトシダーゼ遺伝子(その各々はL40ゲノム中に 組み込まれていた)の上流にクローン化された、多量体化されたLexA結合部位を 含んでいた。LexA-Da融合タンパク質をコードするプラスミドを含むS.cerevisia eL40株を、CsClグラジエント精製f1-VP16-179-cDNAライブラリーを用いて形質 転換した。形質転換体を、ヒスチジン、ロイシン、トリプトファン、ウラシル、 およびリジンを欠くプレート上でのヒスチジン選択に供する前に、両プラスミド (LexA-DaプラスミドおよびcDNAライブラリープラスミド)を選択する培地上に16 時間維持した。次いで、HIS+であったクローンを、LacZの発現についてアッセイ した。可能な非特異的なクローニングアーチファクトを排除するために、HIS+/L acZ+からのプラスミドを単離し、そしてLexA-ラミン融合体をコードするプラス ミドを含むS.cerevisiaeL40株中に形質転換した。ラミンとの相互作用でポジテ ィブとスコアされるクローンは捨てた。60の異なる転写物を代表する約400のcDN Aクローンを、これらのアッセイでポジティブとして同定した。当初のクローン の25%が、次いで、特異的cDNAプローブとのそれらの反応性を基に既知のbHLH遺 伝子であることが示された。Daとは相互作用するが、ラミンとは相互作用しない VP16-融合タンパク質をコードする1つのcDNAクローンを、配列分析により独特 であると同定した。このクローンは、最初tangoと称したが、今は、neuroD1と称 される。 上記で同定された独特のcDNAであるVP16-neuroDは、bHLH領域に広がる約450bp のインサートを含んでいた。配列分析は、このクローンが、独特でありかつ先に は報告されていない完全なbHLHアミノ酸配列モチーフをコードするインサートを 含んでいたことを示した。さらなる分析は、このcDNAが、bHLHタンパク質ファミ リーのすべてのメンバーに共通な保存残基を含んでいたが、いくつかの残基が独 特でありそしてそれを先に同定されたbHLHタンパク質とは区別されることを示唆 した。VP16-neuroD中にクローン化されたDNAは、「neuroD1」と称される。neuroD1 cDNAインサートを、BamHI-NotIインサートとして、BamHI-NotI線状化pBluescrip tSK+中にサブクローン化した。得られるプラスミドをpSK+1-83と称した。 VP16-neuroDプラスミド中に含まれていたneuroD1インサートを用いて、発生ス テージe10.5のマウス胚から調製したマウスcDNAライブラリーを再びプロービン グした。候補クローンを単離し、そして本質的に上記のように配列決定した。い くつかのクローンを単離した。pKS+m7a RXと称する1つのクローンは、受託番号 75768の下、1994年5月6日にアメリカンタイプカルチャーコレクション(12301 Parklawn Drive,Rockville,MD 20852 USA)に寄託された。プラスミドpKS+ m7a RXは、1646bpのマウスneuroD1 cDNAを、EcoRI-XhoIインサートとして含む。こ のインサートによりコードされるアミノ酸配列は、アミノ酸残基+73で始まり、 そして、neuroD1タンパク質のカルボキシ末端まで伸びる。このプラスミドは、 約855bpのneuroD1コード配列(アミノ酸73〜536をコードする)を含む。 完全な5'コード配列を含んでいたマウスcDNAはなかった。5'neuroD1コード配 列を得るために、マウス129/Sv系統ゲノムDNAライブラリーを、VP16-neuroDプラ スミドインサート(450bp)を用いてスクリーニングした。ゲノムクローンを単離 し、そして配列決定し、そして配列をcDNA配列とともにアラインメントした。こ の配列のアラインメントおよびゲノム5'コード配列とアフリカツメガエルneuroD 1クローン(実施例8)との比較は、5'neuroD1コード配列を確認した。完全なneur oD1コード配列および推定されるアミノ酸配列を配列番号1および2中に示す。 実施例3 NeuroD/neuroD bHLHタンパク質は、DNAを結合する塩基性領域、ならびにホモダイマーおよび ヘテロダイマー性複合体の形成のために必要とされるタンパク質−タンパク質相 互作用に関与するHLH領域を含む、共通の構造的類似性を共有する。マウスneuro D1の塩基性領域(配列番号2のアミノ酸102〜113)のアミノ酸配列の、他のbHLHタ ンパク質の塩基性領域との比較は、マウスneuroDが、このタンパク質のファミリ ーの間で特徴的な保存的残基の全てを含んでいたことを明らかにした。しかし、 さらに、neuroD1はいくつかの独特の残基を含んでいた。これらの独特のアミノ 酸残基は、いかなる他の公知のHLHにおいても見出されず、これはneuroD1を、bH LHファミリーの異なる新たなメンバーにしている。neuroDにおけるNARERNR塩基 性領域モチーフ(配列番号2のアミノ酸107〜113)はまた、神経発生に関与すると 考えられているタンパク質である、ショウジョウバエAS-Cタンパク質においても 見出される。類似の、しかし同一ではない、NARERRRおよびNERERNRモチーフ(そ れぞれ、配列番号5および6)は、それぞれショウジョウバエのAtonalおよびMAS H(mammalian achaete-scute homolog)タンパク質(これらもまた、神経発生に関 与すると考えられている)において見出された。neuroD1のNARERモチーフ(配列番 号7)は、他のbHLHタンパク質、ならびにショウジョウバエDaughterless(Da)お よび哺乳動物Eタンパク質により共有される。bHLHタンパク質の塩基性領域はDN A結合部位認識のために重要であり、そしてneuroD1と他のneuroタンパク質との 間にはこの機能的領域において相同性が存在する。neuroD1の重要なダイマー決 定HLH領域内で、マウスtwistタンパク質(すなわち、51%相同性)およびMASH(す なわち、46%相同性)との低レベルの相同性が記録された。NeuroD1は、連結配列 (MHG)を含めて、bHLHドメイン内に、いくつかの、独特のペプチド配列の領域を 含む。 実施例4 neuroD1、neuroD2、およびneuroD3の組織発現パターン NeuroD1発現を、マウス胚の胚発生の間に、インサイチュハイブリダイゼーシ ョンを使用して分析した。使用したプローブは、ジゴキシゲニン(Boehringer Ma nnheim)で標識したアンチセンスneuroD1一本鎖リボプローブであった。簡潔に記 載すると、リボプローブを、プラスミドpSK+1-83からT7ポリメラーゼおよび標識 のためのジゴキシゲニン-11-UTPを使用して調製した。ハイブリダイズされたプ ローブを、アルカリホスファターゼに結合された抗ジゴキシゲニン抗体を使用し て検出した。発色を製造業者の説明書に従って実施した。発生のステージは、一 般に交接後の日数として表され、そして膣栓の形成はe0.5である。インサイチュ ハイブリダイゼーション研究において記録された結果は以下の通りであった: e9.5マウス胚において、neuroD1発現は発達中の三叉神経節において観察され た。 e10.5マウス胚において、異なるパターンのneuroD1発現が、胚の体幹領域にお ける全ての脳神経節(すなわち、V-XI)および後根神経節(DRG)において観察され た。この時点で、neuroD1発現はまた、中枢神経系において、ニューロン分化を 経ている脳および脊髄中の有糸分裂後細胞において観察された。脊髄において、 そこから運動ニューロンが生じそして分化する脊髄腹側部分が、neuroD1を高レ ベルで発現することが観察され;そして後腹側脊髄における発現は、より成熟し た前腹側脊髄に比較した場合、より高かった。 e11.5マウス胚において、e10.5において観察されたneuroD1の神経節発現パタ ーンは持続した。脊髄における発現は、e10.5胚において観察された発現のレベ ルを上回って増加し、これはこのステージにおけるより多くの分化中のニューロ ンの存在と一致した。このステージにおいて、neuroD1発現はまた、その中でニ ューロン分化が生じる他の感覚器官において(例えば、鼻上皮、耳胞、および眼 の網膜において)観察された。これらの器官の両方において、neuroD1発現は、分 化中のニューロンを含む領域において観察された。 e14.5マウス胚において、neuroD1の発現は、脳神経節およびDRGにおいて観察 されたが、neuroD1の発現は、発達中の感覚器および中枢神経系(CNS)のニューロ ン領域において持続した。従って、neuroD1発現はニューロン発達の間一過性で あると観察された。 要約すると、神経胚期(e10)の胚における、神経冠細胞の神経原性誘導体、頭 側および後根の神経節、ならびにCNS中の有糸分裂後細胞におけるneuroD1の発現 は、感覚神経および運動神経の発現と生成との間の重要な可能な関連を示唆する 。CNSおよび感覚器(すなわち、鼻上皮および網膜)中の分化中のニューロンにお いて、胚発達の後期に生じる発現はまた、CNSおよび感覚神経組織の発達におけ る役割を支持する。neuroD1発現は一過性であったので、結果は、neuroD1発現が 、感覚神経組織の形成を制御するスイッチとして作用することを示唆する。これ ら の研究において、neuroD1発現が胚の交感神経節および腸神経節(これもまた、移 動する神経冠細胞に由来する)においては観察されなかったことは注目に値する 。全体に、結果は、neuroD1が神経分化において重要な役割を担うことを示す。 上記のインサイチュ研究に加えて、ノーザンブロット分析を、マウスのどの組 織においてneuroD1、neuroD2、およびneuroD3が発現されたかを決定するために 行った。全RNAをマウス胚全体および成体マウス組織から単離した。RNA単離を、 提供されるプロトコルに従ってRNazol Bを使用して実施した(Cinna/Biotex CS-1 05B)。RNAを1.5%アガロースゲル上でサイズ分画し、そしてHybond-N膜に移した 。ハイブリダイゼーションを、7%SDS、0.25 M Na2PO4、10 mg/ml BSA、1mM E DTA中で、65℃で、少なくとも5時間実施し、次いで0.1×SSCおよび0.1%SDS中 で、55℃〜60℃で洗浄した。マウスmRNAを分析するためのプローブを、遺伝子間 の交差ハイブリダイゼーションを回避するために、bHLHドメインの3'側の分岐す る(divergent)C末端領域を表すフラグメントから調製した。neuroD1のためのプ ローブを、マウスneuroD1 cDNA由来の350塩基対PstIフラグメント(Leeら、1995) (これは、アミノ酸187〜304をコードする領域を含む)から作製し;neuroD2のた めのプローブを、マウスneuroD2 cDNA由来の635塩基対PstIフラグメント(これは 、アミノ酸210領域から3'非翻訳領域までを含む)から作製し;そしてneuroD3の ためのプローブを、neuroD3ゲノム領域由来の400塩基対ApaI−BamHIフラグメン ト(これは、bHLHドメインをコードする領域の3'側である)から作製した。 32Pで標識した後、上記のフラグメントを使用して、新生マウスおよび成体マ ウスの種々の組織から調製したRNAを含むノーザンブロットをプローブした。neu roD1およびneuroD2の両方は新生マウスおよび成体マウスの脳において検出され たが、一方、neuroD3転写物は試験した組織において検出されなかった。成体マ ウス神経系の切開した領域から抽出したRNAは、neuroD1が皮質より小脳において 豊富であり、一方neuroD2は小脳および皮質の両方において相対的に等価なレベ ルで発現されたことを実証した。 マウス胚発生の間、neuroD2およびneuroD3が、neuroD1に比較していつ発現さ れたかを決定するために、RNAを種々の発生ステージにおける胚全体から調製し た。以前の報告(Leeら、1995)に一致して、neuroD1 mRNAは、胚9.5日目に低レベ ルで最初に検出され、そして胚12.5日(試験した最も後期の胚ステージである)ま で漸増レベルで検出された。neuroD2 mRNAは、胚11日目で最初に検出され、そし てまた豊富さが胚12.5日目までに増加した。本発明者らはneuroD3を成体組織に おいて検出しなかったが、胚発現パターンは胚10日目と胚12日目との間で一過性 の発現を示し、次いで胚16日目までに検出不能レベルまで減衰した。まとめると 、これらのデータは、neuroD3が、MATH1の発現パターンと同様に(Akazawaら、19 95)、胚形成の間に一過性に発現されること、ならびにneuroD1およびneuroD2の 一時的な発現はneuroD3と部分的に重複すること、しかしそれらの発現は成体神 経系において持続することを実証する。 実施例5 neuroD1は神経および脳の腫瘍細胞において発現される: マウスプローブはヒトneuroD1を同定する マウス胚における発現パターン(実施例4)を前提として、腫瘍細胞株mRNAのノ ーザンブロットを、マウスneuroD1 cDNA(実施例2)を分子プローブとして使用し て、検討した。第1の工程として、ニューロンに発達する能力を有する細胞株を スクリーニングした。D283ヒト髄芽腫(medullablastoma)細胞株(これは、多くの ニューロンマーカーを発現した)は、ノーザンブロット分析により、高レベルのn euroD1を発現した。neuroD1はまた、異なるヒト神経芽腫細胞株により種々のレ ベルで、そしてニューロンに変換し得る特定の横紋筋肉腫株において転写された 。 実施例6 neuroD1を発現する組換え細胞 mycタグ化したマウスneuroD1タンパク質またはmycタグ化したアフリカツメガ エルneuroD1タンパク質のいずれかを発現する組換えマウス3T3線維芽細胞を作製 した。組換え細胞を、下記のneuroDに対する抗体を同定するための試験系として 使用した。 アフリカツメガエルneuroD1タンパク質を抗原性マーカーMycでタグ化して、決 定されるべき抗neuroD1抗体の特異性の決定を可能にした。プラスミドCS2+MTを 使用して、Myc融合タンパク質を生成させた。CS2+MTベクター(TurnerおよびWein traub、同上)は、6コピーのMycエピトープタグをコードするDNA配列に作動可能 に連結されたシミアンサイトメガロウイルスIE94エンハンサー/プロモーター(お よび、インビトロRNA合成を可能にするための、IE94駆動転写物の5'非翻訳領域 におけるSP6プロモーター)(Rothら、J.Cell Biol.115:587-596,1991;その全 体が本明細書中に援用される)、コード配列の挿入のためのポリリンカー、なら びにSV40後期ポリアデニル化部位を含む。CS2-MTをXho Iで消化して、Mycタグを コードするDNA配列の下流のポリリンカー部位でプラスミドを線状化した。線状 化したプラスミドを、KlenowおよびdNTPを使用して平滑末端化した。完全長アフ リカツメガエルneuroD1 cDNAクローンをXho IおよびEae Iで消化し、そしてKlen owおよびdNTPを使用して平滑末端化し、そしてアフリカツメガエルneuroD1 cDNA の1.245 kbフラグメントを単離した。neuroD1フラグメントおよび線状化したベ クターを連結して、プラスミドCS2+MT x1-83を形成させた。 CS2+MTをEco RIで消化して、MycタグをコードするDNA配列の下流のポリリンカ ー部位でプラスミドを線状化した。線状化したプラスミドをKlenowおよびdNTPを 使用して平滑末端化し、そしてXho Iで消化して、Xho I付着末端および平滑末端 を有する線状化したプラスミドを得た。部分的なマウスneuroD1 cDNAを含むプラ スミドpKS+m7aをXho Iで消化し、そしてneuroD1含有フラグメントを平滑末端化 し、そしてXba Iで消化して、マウスneuroD1 cDNAの約1.6 kbフラグメントを得 た。neuroD1フラグメントおよび線状化したベクターを連結して、プラスミドCS2 +MT M1-83(m7a)を形成させた。 プラスミドCS2+MT x1-83およびCS2+MT M1-83(m7a)の各々をマウス3T3線維芽細 胞中に形質転換し、そしてneuroD1に対する抗体を同定するための試験系として 使用した(実施例7)。 実施例7 neuroD1に対する抗体 マルトース結合タンパク質(MBP)およびマウスneuroD1のアミノ酸残基70〜355 の組換え融合タンパク質を、ウサギにおいて抗体を惹起するための抗原として使 用した。得られた抗血清の特異性を、上記の組換え3T3細胞の免疫染色により確 認した。Myc(すなわち、トランスフェクトしたDNAについてのコントロール抗原 性タグ)に対するモノクローナル抗体およびウサギ抗マウスneuroD1を抗ウサギIg Gと組み合わせて用いて、組換え細胞の二重免疫染色を観察した。得られた抗マ ウスneuroD1血清の特異性を、neuroD1 DNAの異なる部分でトランスフェクトした マウス3T3線維芽細胞を調製することにより、さらに検討した。特異性はグルタ ミン酸リッチドメイン(すなわち、配列番号2のアミノ酸66〜73)にマップされる ようであった。抗マウス抗血清は、mycタグ化Xenopus neuroD1でトランスフェク トした細胞とは反応しなかった。同様に、Xenopus neuroD1を使用してウサギ抗n euroD抗血清を生成させた。抗血清はXenopus特異的であり、そしてMycタグ化マ ウスneuroD1でトランスフェクトした細胞とは交差反応しなかった。 実施例8 NeuroD1は、進化的に高度に保存されたタンパク質である:アフリカツメガエル のneuroD1の配列。 KintnerおよびMelton(Development 99:311,1987)により作製されたステージ1 7のアフリカツメガエル頭部cDNAライブラリー由来の約100万個のクローンを、プ ローブとしてマウスcDNAインサートを用いて、低ストリンジェンシーでスクリー ニングした。ハイブリダイゼーションを、50%ホルムアミド/4×SSCを用いて33 ℃にて実行し、2×SSC/0.1%SDSを用いて40℃にて洗浄した。 ポジティブクローンを同定し、そして配列決定した。アフリカツメガエルのne uroD1 cDNA配列(配列番号3)を分析することにより、neuroD1は、カエルとマウ スとの間で高度に保存されたタンパク質であることが明らかになった。カエルお よびマウスの推定アミノ酸配列(配列番号2および4)は、bHLHドメインにおいて 96%の同一性(52アミノ酸中50アミノ酸が同一)およびbHLHドメインに対してカル ボキシ末端側の領域において80%の同一性(198アミノ酸中159アミノ酸が同一)を 示す。マウスおよびアフリカツメガエルのneuroD1のドメイン構造は、「酸性」N 末端ドメイン(すなわち、グルタミン酸またはアスパラギン酸リッチ);塩基性領 域;ヘリックス1、ループ、ヘリックス2;およびプロリンリッチなC末端領域 と高度に相同である。マウスおよびアフリカツメガエルのneuroD1のアミノ末端 領域は、アミノ酸配列が異なるが、共にグルタミン酸またはアスパラギン酸リッ チな「酸性ドメイン」(配列番号2のアミノ酸102〜113、および配列番号4のアミ ノ酸56〜79)を保持する。酸性ドメインは、他の公知の転写調節因子について、 現在、理解されている活性化機構と同様な様式で、neuroD1タンパク質の「活性化」 ドメインを構成している可能性が高い。 実施例9 アフリカツメガエルneuroD1のニューロンにおける発現 全載アフリカツメガエル胚におけるneuroD1の発現パターンを、一本鎖のジゴ キシゲニン標識したアフリカツメガエルneuroD1アンチセンスcDNAリボプローブ でのインサイチュハイブリダイゼーションを使用して決定した。胚をいくつかの 異なるステージで検査した。 マウスの発現パターンと一致して、後期ステージまでに、すべての脳神経節が 非常に強い染色パターンを示した。アフリカツメガエルにおいて、他の脊椎生物 のように、神経冠細胞は、頭部の骨格成分、末梢神経系のすべての神経節、およ び色素細胞を生じる。これらの誘導体のうち、脳感覚神経節(神経冠とプラコー ドの混合起源のもの)は、neuroD1を発現する唯一の細胞群である。眼における高 レベルのneuroD1発現もまた観察された。これは、このステージの網膜における 活発なニューロン分化と相関する。発現は、マウスで観察されたように、発達中 の鼻プラコードおよび耳胞において観察される。松果腺もまたneuroD1を発現し た。この発現はすべて一過性であった。このことは、neuroD1が分化プロセスの 間に機能するが、これらの分化した細胞タイプの維持には必要でないことを示唆 する。 ステージ14(すなわち、中間神経胚ステージ)程の早期に、neuroD1の発現は、 三叉神経節が分化する脳神経冠領域において観察された。脊髄の一次機械感覚ニ ューロン(これはまたRohon-Beard細胞および一次運動ニューロンとも呼ばれる) は、このステージにneuroD1発現を示した。 ステージ24までに、発達中の脳神経節、三叉神経節、顔耳神経組織、舌咽神経 組織、および迷走神経組織はすべて、高レベルのneuroD1発現を示した。高レベ ルのneuroD1発現はまた、このステージの眼において観察された。(注:アフリカ ツメガエルにおいて網膜でのニューロン分化は、マウスよりずっと早いステージ に生じる。そして、neuroD1発現は、この動物モデルにおいて、対応してより早 くそしてより強かった。) まとめると、マウスと同様にアフリカツメガエルにおいて、neuroD1発現は、 ニューロン分化の部位と相関した。分化中のニューロンにおけるneuroD1の発現 パターンの顕著な進化的保存は、neuroD1が、これらの遠いクラスにおいて、構 造的にも機能的にも進化的に保存されており、このことは、胚発達においてこの タンパク質が演じる重要な役割を強調するという見解を支持する。 実施例10 neuroD1およびneuroD2の発現は、非ニューロン細胞をニューロンに変換する。 neuroD1の生物学的機能をさらに分析するため、機能増大(gain-of-function) アッセイを行った。このアッセイにおいて、2細胞ステージのアフリカツメガエ ル胚の2つの細胞の一方にRNAをマイクロ注入し、そしてニューロン表現型のよ り後の発達についての効果を評価した。これらの実験のために、mycをタグした アフリカツメガエルneuroD1転写物を、SP6RNAポリメラーゼを使用してインビト ロで合成した。mycをタグしたneuroD1転写物を、アフリカツメガエルの2細胞胚 において、2つの細胞の一方にマイクロ注入し、そしてその胚の他方の細胞を内 部コントロールとして用いた。 Xenopus laevisへの注入用のキャップしたRNAの合成を、pCS2-hND2、pCS2-hND 1、pCS2-mND2、およびpCS2MT-mND2のSP6転写を使用して、本質的には、記載(Kre ig,P.A.およびD.A.Melton、Meth.Enzymol.155:397-415,1987)されたように行 った。キャップしたRNAをフェノール/クロロホルム抽出し、続いてG-50スピンカ ラムを使用して組み込まれなかったヌクレオチドを分離した。約350pgのキャッ プしたRNAを、2細胞ステージのアルビノXenopus laevis胚の一方の細胞に、約 5nlの容量で、以前(TurnerおよびWeintraub,1994)に記載されたように注入し た。胚を、0.1×改変Barth生理食塩水(MBS)中で発生させ、そしてNieukwoopおよ びFaber(Nieuwkoop,P.D.およびJ.Faber、「Normal Table of Xenopus laevis」、N orth-Holland Publishing Co.、Amsterdam、The Netherlands、1967)に従ってス テージ分けした。胚をMEMFA中で2時間室温にて固定し、そしてメタノール中で 保存した。胚を、段階的な一連のメタノール/PBS溶液により水和し、そして記載 (TurnerおよびWeintraub、1994)されたように免疫組織化学用に調製した。胚を 、1:500希釈した抗NCAM抗体(Balakら、Develop.Biol.119:540-550,1987)(Urs Rutishauserの寄贈)で、続いてアルカリホスファターゼ標識したヤギ抗ウサギ二 次抗体で染色するか、またはモノクローナル抗mycタグ9e10抗体で染色した。抗 体の存在を、提供されたプロトコル(Gibco)に従ってNBT/BCIP発色反応によって 視覚化した。 アフリカツメガエルのN-CAM(神経接着分子)に対する抗体、抗Myc(外因性タン パク質タグを検出するため)、および免疫染色技術を使用して、マイクロ注入し た胚の以後の発生ステージの間の、ニューロンマーカー(およびコントロール)の 遺伝子の表現型発現を評価した。注目すべきことに、neuroD1 RNAを注入した130 を超える胚の評価により、免疫染色の増大によって判断されるように、胚のマイ クロ注入した側(すなわち、Myc+)におけるN-CAMの異所性発現の顕著な増加が示 された。染色の増大は、神経冠細胞が通常そこから移動する領域で観察された。 neuroD1の異所性発現(または過剰発現)が神経冠幹細胞を神経原性細胞運命に従 わせるようであると考えられる。神経管の外側では、異所性免疫染色は、顔頭部 領域および表皮層において観察され、そしていくつかの場合には、染色された細 胞は、神経管から離れた胚の腹側領域に存在した。免疫染色された細胞は、N-CA Mを異所性に発現するだけでなく、ニューロン細胞の形態学的表現型を呈示した 。高倍率で、N-CAM発現細胞は、軸索突起を思わせる代表的なニューロン突起を 呈示した。 異所性N-CAM発現が、推定の表皮細胞に対する直接効果から生じ、外側および 腹側の表皮への異常な神経細胞の移動から生じたのではないことを確認するため 、neuroD1 RNAを、32細胞ステージの胚の最上列(表皮になる運命の細胞に注入を 標的づけるため)に注入した。N-CAM染色は、外側および腹側表皮において、内因 性神経系に対する注目すべき効果なしに観察された。このことは、表皮における N- CAMの染色が、表皮細胞運命のニューロン細胞運命への変換を表すことを示す。 neuroD1によるニューロンの異所性生成を、他の神経特異的マーカー、例えば 、神経特異的クラスIIβチューブリン(Richterら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85: 8066,1988)、アセチル化Iチューブリン(PipernoおよびFuller、J.Cell.Biol. 101:2085,1985)、タナビン(tanabin)(Hemmati-Brinvanlouら、Neuron9:417,19 92)、ニューロフィラメント(NF)-M(Szaroら、J.Comp.Neurol.273:344,1988) 、およびXen-1,2(Ruiz i AItaba、Development 115:67,1992)を用いて確認した 。胚を、TurnerおよびWeintraub(Genes Dev.8:1434,1994、本明細書中に参考 として援用する)によって記載されたように、1:2000に希釈されたアルカリホス ファターゼ標識ヤギ抗マウスまたは抗ウサギ抗体(Boehringer-Mannheim)で検出 される一次抗体を使用する免疫化学に供した。抗アセチル化αチューブリンを1: 2000希釈した。抗Xen-1を1:1希釈した。抗NF-Mを1:2000希釈した。NF-Mについて 染色された胚を、Dentら(Development 105:61,1989、本明細書中に参考として 援用する)により記載されたように、Dent固定液(20%ジメチルスルホキシド/80 %メタノール)中で固定し、そして2:1ベンジルベンゾエート/ベンジルアルコー ル中で明澄化した。胚のインサイチュハイブリダイゼーションを、本質的には、 Harland(Methods in Cell Biology、B.K.Kay,H.J.Pend編、Academic Press、 New York、NY、第36巻、675〜685頁、1991、本明細書中に参考として援用する) より記載され、TurnerおよびWeintraub(同上)によって改変されたように実行し た。RNase処理なしでのβチューブリンとのインサイチュハイブリダイゼーショ ンはまた、線毛表皮細胞におけるチューブリン発現を検出し得る。これらのマー カーはすべて、neuroD1 RNA注入側で異所性染色を示した。植物性細胞へのneuro D1 mRNAの注入は、体幹領域において内部N-CAM染色を示した1つの胚を除いて、 神経マーカーの異所性発現に至らなかった。このことは、植物性細胞中に補因子 が存在しないかまたはインヒビターが存在することを示唆する。しかし、内部器 官組織において異所性ニューロンを示した1つの胚は、特定の条件下で、非外胚 葉系統の細胞をニューロンに変換する可能性があり得ることを示唆する。 胚をまた、Rohon-Beard細胞(neuroD1が通常発現される細胞)を検出するマーカ ーで染色した。Rohon-Beard細胞特異的マーカー(例えば、希釈率1:1のHNK-1(Nor dlander、Dev.Brain Res.50:147,1989、本明細書中で参考として援用する)、 希釈率1:500のIslet-1(Ericsonら、Science 256:1555,1992、およびKorzhら、D evelopment 118:417,1993))に関する上記の方法を使用する免疫染色、ならびに shaker-1(Riberaら、J.Neurosci.13:4988,1993)との上記のインサイチュハイ ブリダイゼーションにより、胚の注入側でのより多くの細胞の染色が示された。 結果を組み合わせると、neuroD1の異所性発現が、neuroD1のマイクロ注入がな ければ非ニューロン細胞を生じる細胞からのニューロン細胞の分化を誘導したと いう見解が支持される。まとめると、これらの実験は、異所性neuroD1発現が非 ニューロン細胞(すなわち、非拘束(uncommitted)神経冠細胞および表皮上皮基底 幹細胞)をニューロンに変換するために使用され得るという見解を支持する。こ れらの知見は、損傷した神経組織においてニューロン形成を誘導するための遺伝 子治療についての可能性を初めて提供する。 興味ある形態学的異常が、マイクロ注入された胚において観察された。多くの 場合、胚のマイクロ注入された側の眼は発達しなかった。別の胚において、胚の マイクロ注入した側の脊髄は正しく発達しなかった。そして、この組織は、抗N- CAMで染色し場合、強い免疫陽性であった。さらに、中間神経胚ステージでは、 多くのマイクロ注入された胚は、(正常な胚では)そこから神経冠細胞およびそれ らの誘導体(すなわち、脳神経節細胞)が移動する胚の脳領域において、細胞量の 増加を示した。観察された頭部の膨らみ(bulge)は、N-CAMに特異的な抗体により 強い免疫染色を示した。これらの結果は、眼、神経冠、および脊髄の形態学的変 化が、神経および神経冠前駆体細胞の移動を変化させる、成熟前神経分化に起因 することを意味すると解釈された。 neuroD1を注入した胚をまた、xtwist(ショウジョウバエtwistのアフリカツメ ガエルのホモログ)発現の変化についてアッセイして、neuroD1が、神経冠細胞の 非ニューロン成分を神経系統に変換するかどうかを決定した。野生型胚において 、Xtwistは、頭部の結合組織および骨格を生じる非ニューロン集団頭部神経冠細 胞において強く発現する。neuroD1を注入した胚は、注入側の移動中の脳神経冠 細胞において、Xtwist発現が全く見られなくなっていた。neuroD1を注入した胚 において、十分な脳間葉神経冠前駆体を発生できないことが形態学的にも観察さ れ た。なぜなら、多くの注入された胚が、頭部において、健全な鰓弓の発達を示さ なかったからである。さらに、頭部領域中の量が増加した細胞は、N-CAM、βチ ューブリン、およびXen-1について非常に強く染色された。このことは、これら の細胞が特徴において神経性であることを示している。 カエル胚にXtwist mRNAを注入する逆の実験により、Xtwistの異所性発現が、 注入側でneuroD1発現を顕著に減少させることが示された。したがって、bHLHフ ァミリーの2つのメンバーであるneuroD1およびXtwistは、神経冠に由来する異 なる細胞タイプのアイデンティティーを規定することについて競合し得る。neur oD1を注入した胚において、外因性neuroD1は、移動前神経冠にインサイチュでの ニューロンへの分化を誘導し得、その結果、それらは正常な位置に移動できない 。 通常neuroD1を発現する細胞(例えば、脳神経節、眼、耳胞、嗅覚器、および一 次ニューロン)の運命に対する、および通常neuroD1を発現しない他のCNS細胞に 対する外因性neuroD1の導入の効果を、分化マーカーを染色することによって決 定した。胚の頭部の領域が異所性neuroD1によって重篤に影響された場合、胚の 注入側は、小さな眼を示すか眼がないかのいずれかであり、さらに、十分に組織 化されていない脳、耳胞、および嗅覚器を示した。さらに、胚が成長するにつれ て、脊髄は遅延された成長を示し、neuroD1注入側においてより薄くかつより短 いままであった。 初期ステージでの正常な胚におけるN-CAM染色は、神経板全体を通して均一で はなかったが、むしろ神経板の中間の領域において、より顕著であった。N-CAM 発現のために分析した注入胚は、初期ステージの胚の注入側の神経板がより強く そしてより側面で染色されたことを示した。N-CAM染色の増加は、視覚的観察お よび表皮性マーカーEpAを用いる染色によってアッセイされる神経板のいずれの 側面拡大とも関連しなかった。これは、神経板拡大を引き起こすXASH-3注入を用 いて観察されているものと対照的であった。これらの観察は、neuroD1の第1の 効果が、神経板における神経前駆体を早熟に分化させることを引き起こすことを 示唆する。 neuroD1が神経前駆体を早熟に分化させることを引き起こすかどうかを決定す るために、注入した胚を分化したニューロン中で発現する2つのニューロンマー カー(神経特異的β−チューブリンおよびタナビン(tanabin))を用いて染色した 。β−チューブリンおよびタナビンのためのインサイチュハイブリダイゼーショ ンを、上記のように行った。neuroD1の過剰発現は、ステージ14で、運動ニュー ロンおよびRohon-Beard細胞の両方を含む神経板の領域中でβ−チューブリンシ グナルを劇的に増加した。注入側における最初期の異所性β−チューブリン陽性 細胞は、コントロール側がまだβ−チューブリン陽性細胞を示していない原腸形 成の終わりで観察された。タナビンをまた、ステージ14で、胚のneuroD1注入側 における脊髄中のより多い細胞において発現させた。これらの結果は、neuroD1 が、分化したニューロンへの神経前駆体の早熟な分化を引き起こし得ることを示 唆する。これは、異所性発現または過剰発現した場合に、neuroD1が、有糸分裂 細胞を非分裂成熟ニューロンへ分化し得るという強力な指標である。 neuroD2がまたカエルにおける異所性ニューロン発生を誘導し得るかどうかを 決定するために、マウスneuroD2 RNAを2細胞X.laevis胚の片側に注入した(注入 していない側は、コントロールとして用いる)。neuroD2 mRNAを、pCS2-MTmND2( 以下のように構築した発現ベクター)から作製した。発現ベクターを、pCS2+また はpCS2+MT(Turner,D.L.およびH.Weintraub,Genes&Dev.8:1434-1447,1994)( これらの両方は、サルCMVプロモーターを含み、そしてMTは、インサートの上流 でインフレームでクローン化した9e10モノクローナル抗体(ATCC:CRL1729)によっ て認識されるmycエピトープの6つのコピーを含む)中で作製した。プラスミドph cnd1-17aからの1.75kbの完全長ヒトneuroD1 cDNA(Tamimiら、Genomics 34: 418- 421,1996)を、EcoRI部位でクローン化し、pCS2-hND1-17s(以下、pCS2-hND1とい う)を作製した。ヒトneuroD2遺伝子の全コード配列(実施例11に記載)を含む1.53 kbゲノム領域を、StuI-XbaI部位でクローン化し、pCS2-hND2-14B1(以下、pCS2-h ND2という)を作製した。マウスの1.95kb neuroD2 cDNAを、EcoRI-XhoI部位でク ローン化し、pCS2-mND2-1.1.1(以下、pCS2-mND2という)を作製した。myc-タグ化 構築物のために、合成オリゴヌクレオチド媒介変異誘発を使用して、EcoRI部位 をATG開始コドンに隣接させて導入し、その結果mycタグおよびneuroD2コード領 域をインフレームにし、pCS2MT-mND2を作製した。 Xenopus laevisに注入した場合、マウスneuroD2 mRNAは、抗NCAM抗体を用いる 免疫組織化学によって決定したところ、異所性ニューロン発生を誘導し得た。抗 mycタグ抗体である9E10を使用して、カエルの注入側上のほとんどの外胚葉細胞 が、mycタグ化マウスneuroD2を発現したこと、そして注入した胚の約80〜90%が 抗mycまたは抗NCAM抗体を用いてポジティブに染色されたことを確認した。ヒトn euroD2遺伝子をコードするRNAの注入は、アフリカツメガエルneuroD1およびマウ スneuroD2で見られる異所性ニューロン表現型に類似する異所性ニューロン表現 型を生じた。これは、neuroD1およびneuroD2の両方がニューロンの形成を調節し 得、そしてヒトおよびマウスneuroD2タンパク質がアフリカツメガエルの胚の発 生において機能し得ることを示す。 発生発現パターンは、神経性bHLH遺伝子の2つの明確なサブファミリーを示唆 する。MATHIおよびneuroD3は、bHLH領域における類似性を共有し、そして10日目 の胚の周囲で検出されたRNA発現で類似の一過性の発現パターンを有するが、成 熟神経系において持続しない。MATH-1 RNAは、10.5〜11.5日目の胚において背側 神経管に位置したが、誕生までには、小脳の外部顆粒細胞層(小脳顆粒細胞層の 祖先である)のみに存在した(Akazawaら、1995)。対照的に、neuroD1、neuroD2、 およびMATH2/NEX-1遺伝子は、分化ニューロンおよび成熟ニューロンの両方で発 現される。ノーザン分析は、neuroD2発現が胚の11日目で開始され、そして16日 目(試験された最も遅い胚の時点)まで継続されることを示した。neuroD2を、小 脳および皮質の両方で比較的等しく豊富に、新生児ならびに成体マウスの脳中で 検出した。neuroD2に類似して、neuroD1のCNS発現は出生後にも継続し、そして 膵臓のβ細胞においても発現する(Nayaら、1995)。ノーザンブロット分析は、成 体マウス脳におけるneuroD1発現は、小脳において最も豊富であり、大脳皮質お よび脳幹においてより低いレベルであることを示した。NEX-1/MATH-2遺伝子発現 は、胚の11.5日目までに生じ、そして15.5日目の胚で、その発現が有糸分裂が活 発な脳室帯に隣接する中間帯に限定されると報告されており、これは、NEX-1/MA TH2がこのステージで新たに分化しているニューロン中で主に発現されることを 示唆する(Bartholoma,A.およびK.A.Nave,1994; Shimizuら、1995)。成熟脳にお いて、NEX-1/MATH-2は、海馬、皮質のニューロンのサブセット、および移動後の 小脳の顆粒細胞を含むニューロンで発現されるが、この報告は、この遺伝子が海 馬の歯状回で発現されるかどうかについて同意していない。Shimizuら(1995)に よって報告されたMATH2発現のノーザン分析が、大脳皮質で高レベルを示し、そ して小脳で低レベルを示す(neuroD1について観察される発現パターンの反対)こ とに注目することは興味深く、これは、これらの遺伝子がまた、神経系の特定の 領域での相対的な豊富さにおいて有意な相違を有し得ることを示唆する。従って 、MATH-1およびneuroD3が神経系発生の初期に発現され、そしてニューロン前駆 体の集団を決定するかまたは拡大するかのいずれかの役割を有し得るようである が、neuroD1、neuroD2、およびNEX-1/MATH-2の持続的な発現は、ニューロンの分 化に関連する遺伝子の発現を開始し、そして維持する役割を示唆する。 Kumeら(Biochem.Biophys.Res.Comm.219: 526-530,1996)は、長期増強モ デルにおける海馬ニューロンのテタヌス刺激の間発現される遺伝子を同定するた めに設計されたストラテジーを使用して、ラット脳由来のヘリックス−ループ− ヘリックス遺伝子のクローニングを報告している。彼らが記載する遺伝子である KW8は、本明細書中に記載のマウスおよびヒトneuroD2遺伝子のラットホモログで ある。Kumeらはまた、海馬を含む成体の脳における発現を記載する。その後、Ya Sunamiら(Biophys.Res.Comm.220:754-758,1996)は、neuroD2にほとんど同一 のマウスNDRF遺伝子を報告し、そしてインサイチュハイブリダイゼーションによ って成体の脳における類似の発現パターンを示している。 Xenopus leavisの胚においてneuroD1またはneuroD2のいずれかの発現が異所性 ニューロン発生を生じる一方で、neuroD1もneuroD2も、それが存在する全ての細 胞タイプをニューロンに変換し得ないことを留意することは興味深い。neuroD1 の場合におけるように、点在するNCAM陽性染色パターンによって示されるごとく 、neuroD2によって誘導される異所性ニューロンは、外胚葉細胞のサブ集団に限 定された。外胚葉由来の細胞のサブセットへ見かけ上制限されたneuroDタンパク 質の活性は、他の因子(例えば、ショウジョウバエ神経発生の間の側方抑制を媒 介するnotch経路)がそれらの活性を調節し得ることを示唆する。 アフリカツメガエル胚におけるneuroD1およびneuroD2の両方による異所性神経 発生の誘導が、類似の機能を示唆する一方で、発生発現パターンおよびインビト ロトランスフェクション実験は、ファミリーメンバーが重複する機能および異な る機能の両方を作用させることを示す。以前の研究は、neuroD/β2およびNEX-1 /MATH2が、E-タンパク質とのヘテロダイマーとしてE-ボックスのコアCANNTG配列 に結合し転写を活性化し得ることを示している。 本明細書中で示した研究において、neuroD1およびneuroD2の両方が多量体化し たE-ボックスを含む構築物を活性化し得ることを示す。それらはまた、neuroD2 の調節領域をおそらく含むneuroD2遺伝子由来のゲノムフラグメントによって駆 動される構築物を活性化し、そして胚形成およびP19分化におけるneuroD1および neuroD2タンパク質の一過性の発現パターンは、発生の間neuroD1がneuroD2発現 を活性化し得るモデルを示唆する。しかし、最も重要なのは、neuroD1およびneu roD2が、GAP-43遺伝子のコア調節配列によって駆動される構築物を活性化する異 なる能力を有することを示すことであり、これは、高度に関連したneuroD1およ びneuroD2タンパク質が遺伝子の特定のサブセットを調節し得ることを示す。こ のプロモーターは、いくつかのE-ボックスを含み、そしてneuroD2がこれらの部 位に直接結合するかどうかは、依然として決定されるべきである。 bHLH領域において、neuroD1およびneuroD2は、2アミノ酸のみが異なり、そし てそれらが同じコア結合配列を認識することが予想される。従って、転写活性の 差別調節(differential regulation)を、DNA結合と独立して決定し得る。塩基性 領域の結合領域中のヒスチジンに続くアミノ酸は、neuroD1、NEX-1/MATH2、およ びMATH1においてはグリシン、neuroD2においてはアスパラギン酸、およびneuroD 3においてはアスパラギンである。この残基は、筋原性活性に重要なものの1つ であることが示されている筋原性bHLHタンパク質におけるリジン残基と同一の部 位に位置する(Davisら、Cell 60: 733-746,1990; Davis,R.L.およびH.Weintrau b,Science 256: 1027-1030,1992; Weintraubら、Genes&Dev.5: 1377-1386, 1991)。この場合、転写活性を調節するコアクチベーター因子との潜在的な相互 作用の部位であると仮定されている。neuroDタンパク質がそれらの調節活性を働 かせる類似の機構を有する場合、このアミノ酸におけるアミノ酸変異性が、異な る標的特異性を媒介することが可能である。あるいは、より分散した(divergent )アミノ末端領域およびカルボキシ末端領域が、他のアクチベーターまたはリプ レッサーとの相互作用による調節を与え得る。 成熟神経系における異なる発現パターンおよび標的遺伝子における微妙な差異 は、筋原性bHLHタンパク質に類似する。成熟筋肉において、MyoDは、速筋線維に おいて発現され、そしてmyogeninは遅筋線維において発現される(Asakuraら、De velop.Biol.171: 386-398,1995; Hughesら、Development 118: 1137-1147,1 993)。そしてトランスフェクション研究は、コアE-box配列に隣接する配列が、M yoDおよびミオゲニン(myogenin)の転写アクチベーターとして機能する能力を、 おそらく他の調節因子のMyoDおよびミオゲニンの非bHLH領域との相互作用によっ て、差別的に調節し得ることを示す(Asakuraら、Molec.&Cell.Biol.13: 7153 -7162,1993)。neuroD関連遺伝子については、部分的に重複した発現パターンお よび部分的に重複した標的遺伝子は、それらが遺伝子の重複サブセットを直接的 に調節するために組み合わせ様式で作用し、それにより、特定のニューロン表現 型を付与し得ることを示唆する。このモデルにおいて、neuroD関連転写因子の小 さなファミリーが、限られた数のニューロンサブタイプの同一性を確立するため に作用し、そして局所的な誘導事象がより高度の複雑性の生成に影響することが 可能である。あるいは、このサブファミリーの多くのさらなるメンバーが、依然 同定されるべきであり、そしてそれらが特定のニューロンの特性を直接決定する ために作用し得ることが可能である。 実施例11 ヒトneuroD1、neuroD2、およびneuroD3ならびにマウスneuroD3のゲノムクローン 。 ヒトneuroD1をコードするゲノムクローンを、ヒト線維芽細胞ゲノムライブラ リーをマウスneuroD1 cDNAでプローブすることによって得た。宿主のE.coli株LE 392(New England Biolabs)をLB+10mM MgSO4、0.2%マルトース中で37℃で一晩 増殖させた。細胞を回収し、そして最終的にOD600が2になるように10mM MgSO4 に再懸濁した。再懸濁した細胞をファージ感染の宿主として使用した。このスク リーニングで使用するためのファージストックの至適容量は、λFIX II(Stratag を用いてLE392細胞(New England Biolabs)に感染させることによって決定した。 プレートあたり約50,000プラークを得るために、ファージストックの2.5μlアリ コートを使用して、再懸濁した600μlのLE392細胞を感染させた。細胞をファー ジと共に37℃で15分間インキュベートし、その後細胞を50℃に温めた6.5mlの上 層寒天と混合した。上層寒天を固形LB上にプレーティングし、そして37℃で一晩 インキュベートした。合計22の15cmプレートをこの様式で調製した。 複製プラークリフトを調製した。第1セットのHybond membrane(Amersham)を プレート上に置き2分間静置した。最初の膜を取り出し、そして複製膜を4分間 プレート上に置いた。膜を風乾させ;次いでファージを0.5M NaOH、1.5M NaCl中 で7分間変性した。膜を中和緩衝液(1.5M NaCl、0.5M Tris、pH7.2)中で2回洗 浄して中和した。中和後、膜を、UVへ曝すことによって架橋した。1kbのマウス neuroD1コード配列を含むEcoRI-HindIIIフラグメントを、Random Priming Kit(B oehringer Mannheim)を用い、製造者の指示に従ってランダムプライムした。ハ イブリダイゼーションのための膜を、6枚の膜を10mlのFBIハイブリダイゼーシ ョン緩衝液[100g ポリエチレングリコール800、350ml 20%SDS、75ml 20×SSPE ;水を加えて最終容量を1リットルにする]中に置き、そして膜を65℃で10分間 インキュベートすることにより調製した。10分後、変性したサケ精子DNAを最終 濃度10μg/mlまで添加し、そして変性したプローブを最終濃度0.25〜0.5×107cp m/mlまで添加した。膜を8時間から一晩の期間65℃でハイブリダイズした。イン キュベーション後、過剰なプローブを除去し、そして膜を最初に2×SSC、0.1% SDS中で50℃で30分間洗浄した。最初の洗浄後に0.1×SSC、0.1%SDS中で55℃で3 0分間(中程度のストリンジェンシー)の最終洗浄を行った。膜のオートラジオグ ラフを調製した。最初のスクリーニングで、55の推定のポジティブプラークを同 定した。31のプラークを、本質的には上記の方法を用いる二次スクリーニングに 供した。10のポジティブクローンを同定し、そして上記のような三次スクリーニ ングに供した。三次スクリーニング後、8つのポジティブクローンを同定した。 これら8つのクローンのうち、3つ(14B1、9F1、および20A1)をさらなる分析の ために選択した。クローン14B1および20A1を、American Type Culture Collecti on(12301 Parklawn Drive,Rockville MD 20852 USA)へ1995年11月1日に、それ ぞれアクセス番号69943および69942の下で寄託した。 ファージDNAをクローン14B1、9F1、および20A1から調製した。14B1および20A1 ファージDNAをPstIで消化し、マウスneuroD1プローブにハイブリダイズしたそれ ぞれ1.2kbおよび1.6kbのフラグメントを単離した。9F1ファージDNAをEcoRIおよ びSacIで消化して、マウスneuroD1プローブとハイブリダイズした約2.2kbのフラ グメントを得た。フラグメントを、適切な制限酵素で線状化したプラスミドBLUE SCRIPT SK(Stratagene)にそれぞれサブクローン化した。フラグメントを、Seque nase Version 2.0(US Biochemical)および以下のプライマーを使用して配列決定 した:ユニバーサルプライマーM13-21、T7プライマー、およびT3プライマー。 クローン9F1(配列番号8および9)、および14B1(配列番号10および11)の配列 分析から、マウスコード配列とヒトコード配列との間で、アミノ酸レベルおよび ヌクレオチドレベルの両方で高い類似性が示された。さらに、クローン9F1およ び14B1は、HLH領域ではアミノ酸レベルで100%の同一性を共有しているが(すな わち、配列番号9における117〜156残基、および配列番号11における137〜176残 基)、これらはbHLHのアミノ末端において異なっていた。この発見から、14B1が 遺伝子のneuroDファミリーのメンバーであることが強く示唆される。配列分析に より、クローン9F1が、翻訳開始部位からbHLH領域の終末までにわたる配列領域 を通じて高程度の相同性を有することが証明された。9F1クローンは、マウスneu roD1のHLH領域において100%の同一性を有し(すなわち、配列番号9における117 〜156残基、および配列番号2における117〜156残基)、そして全体では94%の同 一性を有していた。14B1クローンもまた、HLH領域と100%の同一性(すなわち、 配列番号11における137〜176残基、および配列番号2における117〜156残基)を 有したが、アミノ末端領域においては9F1とは40%のみの同一性、そしてマウスn euroD1とは39%のみの同一性を有した。このことから、9F1はマウスneuroD1のヒ トホモログであるが、neuroD HLHの強い保存性により、14B1はneuroD HLHサブフ ァミリーの別のメンバーとして同定されることが証明される。ヒトクローン9F1( 配列番号8および9により示される)は、ヒトneuroD1と呼ばれる。ヒトクローン 14B1はneuroD2(配列番号10および11)、そしてヒトクローン20A1はneuroD3(配列 番号12および13)と呼ばれる。 マウスゲノムライブラリーおよび胚16日目のマウスのcDNAライブラリーの両方 をスクリーニングするために、ヒトneuroD2遺伝子のフラグメントを使用した。1 6日齢マウス胚cDNAライブラリーをスクリーニングするために、クローン14B1のn euroD2配列由来の800bpのHindIII-EagIフラグメントを32Pでランダムプライム し、そして本質的には上記のように使用した。フィルターをFBIハイブリダイゼ ーション緩衝液(前記を参照)中で10分間50℃でプレハイブリダイズした。プレハ イブリダイゼーション後、変性サケ精子DNAを最終濃度10μg/mlまで添加した; 変性プローブを最終濃度1,000,000cpm/mlまで添加した。フィルターを50℃で一 晩ハイブリダイズした。インキュベーション後、過剰なプローブを除去し、そし てフィルターを、最初に2×SSC、0.1%SDS中で30分間60℃にて洗浄した。ゲノ ムクローンを得、そして特徴付けた。5つの独立したcDNAを、制限エンドヌクレ アーゼによってマッピングし、そして同一の制限酵素部位および配列を証明した 。1.1.1と呼ばれる一つのクローンは、EcoRI-HindIIIインサートとして1.46kbの マウスneuroD2 cDNAを含んでいた。ヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列を 、配列番号16および17にそれぞれ示す。対応するマウスゲノム配列との比較によ り、neuroD2の全コード領域が第2のエキソンに含まれることが証明された。 マウスnueroD2 cDNA配列は、ヒトneuroD2遺伝子の主要なオープンリーディン グフレームと9残基のみ異なる、382アミノ酸の推定タンパク質を示した。これ ら9残基はすべて、推定タンパク質のアミノ末端部に存在する。ヒトneuroD2タ ンパク質は、bHLH領域においてneuroD1およびMATH2と98%の相同性を有し、そし てカルボキシル末端に隣接するbHLH領域までの30アミノ酸においては90%の類似 性を有することが見出された。neuroD1およびMATH2と同様に、neuroD2は酸性活 性化ドメインを構成し得るグルタミン酸塩残基に富むアミノ末端領域を含み、そ してタンパク質を通じてneuroD1に類似する他の領域を有する。 ヒトneuroDコード配列を含む標識したPst-Pstゲノムフラグメントを使用して、 マウスneuroD2を選択するための本質的に上記と(プレハイブリダイゼーションお よびハイブリダイゼーションを55℃で行い、そして最終洗浄を50℃で行った以外 は)同じ条件用いてスクリーニングすることによって、マウスneuroD3を得た。 neuroD1に関連する遺伝子ファミリーの同定されたメンバーすべてが、全コー ド配列を単一エキソン内に有することを知られているので、ヒトおよびマウスの neuroD3由来のゲノムDNAにおいてコードされる主要なオープンリーディングフレ ーム(ORF)が決定された(それぞれ、配列番号12および配列番号21)。マウスおよ びヒトのneuroD3タンパク質の推定アミノ酸配列は、これらの遺伝子についてはc DNAがクローン化されていないので、対応するゲノムDNAにおける主要なORFに基 づいている。マウスneuroD3のゲノム配列は、244アミノ酸の主要なORFを含み、 そしてヒトneuroD3遺伝子は、マウスの推定タンパク質と26位が異なる237アミノ 酸のORFを含む。他のneuroDファミリーメンバーの全コード領域は単一のエキソ ン中に含まれ、このためneuroD3ゲノムDNAにおけるORFが全コード領域に相当す る可能性がある。これは、停止コドンまで拡張されるマウスとヒトの間の保存性 によって支持される概念である。主要なORFは、関連するneuroDファミリーメン バーより小さなタンパク質を推定し、そして酸性に富むアミノ末端領域を欠く。 bHLH領域はMATH1に類似したいくつかのループ状エレメントを有するが、bHLH領 域の相同性の全体的なレベルはneuroD関連遺伝子により近かった。neuroD2とは 対照的に、neuroD3タンパク質は、bHLH領域の外ではneuroD1またはMATH2/NEX-1 に顕著に相同な領域を含まず、そしてグルタミン酸塩または酸性アミノ酸に富む アミノ末端領域を有さない。 Genbankアクセス番号は:ヒトneuroD2、U58681;マウスneuroD2、U58471;ヒ トneuroD3、U63842;マウスneuroD3、U63841である。 実施例12 ヒトneuroD1クローンの染色体マッピング。 FISH核型分析(karyotyping)を、微小核細胞ハイブリッドの固定された中期ス プレッド上で、本質的には記載(Traskら、Am.J.Hum.Genet.48:1-15,1991; およびBrandriffら、Genomics 10:75-82,1991;これらの全体は本明細書中に参 考として援用される)されたように行った。neuroD1の配列を、ジゴキシゲニン-d UTP(Boehringer Mannheim)を製造者の指示に従って使用して標識したプローブと して9F1または20A1ファージDNAを用いて検出した。ファージDNAをランダムプラ イミング(Gibco/BRL BioNick Kit)によってビオチン化し、そして変性した中期 染色体スプレッドに24〜48時間インサイチュでハイブリダイズした。プローブを ローダミンに結合したジゴキシゲニンに対する抗体で検出し、そして染色体をDA PI(Sigma)で対比染色した。シグナルを蛍光顕微鏡で観察し、そして写真をカラ ースライドフィルムで撮影した。FISH分析により、クローン9F1はヒト2q染色体 にマッピングされ、そしてクローン20A1はヒト第5染色体にマッピングされるこ とが示された。 また染色体マッピングをヒト/齧歯類体細胞ハイブリッドパネル(National Ins titute of General Medical Sciences,Camden,NJ)について実施した。このパ ネルは、一つのヒト染色体を保持している24のヒト/齧歯類体細胞ハイブリッド から単離されたDNAからなる。1セットの実験のために、DNAのパネルをEcoRIで 消化し、そしてアガロースゲル上で電気泳動した。DNAをHybond-Nメンブレン(Am ersham)に転写した。ランダムプライム(Boehringer Mannheim)したクローン9F1 の4kbのEcoRI-SacIフラグメントを調製した。フィルターを10mlのFBIハイブリ ダイゼーション緩衝液(上記を参照)中で65℃で10分間プレハイブリダイズした。 プレハイブリダイゼーション後、変性サケ精子DNAを最終濃度10μg/mlまで添加 した;変性プローブを最終濃度1,000,000 cpm/mlまで添加した。フィルターを、 65℃で8時間から一晩の期間ハイブリダイズした。インキュベーション後、過剰 のプローブを除去し、そしてフィルターを最初に2×SSC、0.1%SDSで65℃で30 分洗浄した。最初の洗浄後、0.1×SSC、0.1%SDS中で65℃で30分、最終のストリ ンジェントな洗浄を行った。フィルターのオートラジオグラフを調製した。オー トラジオグラフでFISHマッピング結果を確認した。 第2の実験において、パネルをPstIで消化し、本質的には上記のように電気泳 動し、そして転写した。ランダムプライム(Boehringer Mannheim)したクローン2 0A1の1.6kbのPstIフラグメントを調製した。メンブレンをプレハイブリダイズし 、20A1プローブとハイブリダイズし、そして上記のように洗浄した。サザン分析 のフィルターのオートラジオグラフは、20A1がヒト第5染色体にマップすること を示し、そしてFISHマッピング結果が確認された。オートラジオグラフィー後、 20A1でプローブしたメンブレンを0.5M NaOH、1.5M NaCl中で洗浄して除去した。 メンブレンを0.5M Tris-HCL(pH7.4)、1.5M NaCl中で中和した。フィルターをプ レハイブリダイゼーションの前に0.1×SSCで洗浄した。ランダムプライム(Boehr in ger Mannheim)したクローン14B1の1.2kbのPstIフラグメントを調製した。洗浄し たメンブレンをプレハイブリダイズし、そして上記のように14B1プローブとハイ ブリダイズした。前記の条件下で洗浄した後に、メンブレンをオートラジオグラ フした。オートラジオグラフから、クローン14B1が第17染色体にマップすること が示された。 実施例13 ヒトneuroD1相補的DNA ヒトneuroD1 cDNAを得るために、百万のプラーク形成単位(pfu)を、細菌株XL- 1 Blue(Stratagene)中のλZAP IIのStratageneヒトcDNAライブラリーを用いて20 LB+10mM MgSO4(150mm)プレート上にプレートした。プレーティングおよび膜リ フトを、実施例11に記載のように、標準的な方法を用いて行った。UV架橋後に 、膜を、ハイブリダイゼーション水溶液(1%ウシ血清アルブミン、1mM EDTA、 0.5M Na2HPO4(pH7.4)、7%SDS)中で50℃にて2時間プレハイブリダイズした。 マウスneuroD1 cDNAインサートを、pKS+m7a RXプラスミドをEco RIおよびXho Iで消化することにより調製し、そしてcDNAを含有するフラグメントを電気溶出 により単離した。プローブを、cDNA含有フラグメントを用いて、緩衝溶液(25mM Tris(pH6.9)、50mM KCl、5mM MgCl2、1mM DTT)中でランダムヘキサヌクレオチ ド、dGTP、dATP、dTTP、α-32P-標識dCTP、およびクレノウを用いたランダムプ れていないヌクレオチドから精製した。精製されたプローブを、90℃で3分間熱 変性した。 プレハイブリダイセーション後、変性プローブをハイブリダイゼーション溶液 中の膜に付加した。膜を50℃で24時間ハイブリダイズした。過剰のプローブを膜 から除去し、そして膜を0.1×SSC、0.1%SDS中で50℃にて20分間洗浄した。洗浄 溶液を5回変えた。オートラジオグラフィーにかける前に、膜をブロット乾燥し 、そしてプラスチックフィルムでカバーした。フィルターのオートラジオグラフ ィーで、68のポジティブクローンが同定された。クローンをプラーク精製し、そ して再びスクリーニングして、40の純粋なポジティブクローンを得た。ポジティ ブクローンを、ランダムプライムされた、クローン9F1(ヒトneuroD1)由来のPst I フラグメントを用いてスクリーニングした。ヒトneuroD1ゲノムプローブとハイ ブリダイズする12のポジティブクローンを単離した。 cDNAインサートを含有するプラスミドベクターを、インビボでStratagene方法 論に従ってλファージクローンから切り出した。簡単に述べれば、溶出されたフ ァージおよびXL-1 Blue細胞(200μlのOD 600=1)を、Stratageneにより提供さ れたR408ヘルパーファージと37℃で15分間混合した。5mlの富化細菌増殖培地( 2×YT、Sambrookら、同書を参照)を添加し、そして培養物を37℃で3時間イン キュベートした。チューブを70℃で20分間加熱し、そして4,000×gで5分間回転 した。遠心分離後、200μlの上清を同じ容量のXL-1 Blue細胞(OD=1)に添加し 、そして混合物を37℃で15分間インキュベートした。その後、細菌細胞を50mg/m lアンピシリンを含有するLBプレート上にプレートした。各コロニーを採集し、 そしてテンプレート調製物を配列決定するために増殖させた。クローンを配列決 定し、そしてヒトゲノム配列と比較した。9F1 neuroD1ゲノム配列に同一であっ たヒトneuroD1をコードする全長cDNAを得、そしてHC2Aと命名した。ヌクレオチ ドおよび推定のアミノ酸配列を、それぞれ、配列番号14および15に示す。クロー ンHC2Aを、1995年11月1日にアクセス番号69944でアメリカンタイプカルチャーコ レクション(12301 Parklawn Drive、Rockville、MD 20852 USA)で寄託した。 マウスneuroD2(Boehringer Mannheim)にランダムプライムされた放射標識アン チセンスプローブを用いて、発現パターンをノーザン分析を用いて決定した。胎 仔から成体までのマウスの脳および脊髄由来のマウスRNAを含有するフィルター を、高いストリンジェンシーでプローブし、そして0.1×SSC、0.1%SDSで65℃で 洗浄した。ノーザン分析により、12.5日胎齢の胎仔から成体のマウス由来の脳お よび脊髄におけるneuroD2発現が示された。 マウスneuroD3mRNAに対応するcDNAを単離する実験もまた行った。上記の手順 と同様の手順を用いて、ランダムプライムされた、ヒトneuroD3クローン20A1由 来の1.1kb PstIフラグメントを調製し、そしてマウス胎仔および新生マウスの脳 ライブラリーをスクリーニングするために使用した。原因は不明だが、ポジティ ブクローンは得られなかった。同様に、ヒトneuroD3 cDNAをクローニングする試 みは成功しなかった。neuroD3 cDNAを得ることにおける困難さは、ライブラリー 中の構築物の不安定性に次くものかもしれない。なぜなら、増幅の間のゲノムDN A中の欠損は、通常のことであったからである。 実施例14 ノックアウトマウスの構築 マウスneuroD1コード配列がβ-ガラクトシダーゼ遺伝子およびネオマイシン耐 性遺伝子(neo)で置換されたノックアウトマウスを作製して、i)マウス発生間に マウスneuroD1タンパク質を除去した結果を評価し、そしてii)マウス胚における neuroD1の発現パターンの検査を可能にした。これらのノックアウトマウスのた めに使用されるゲノムneuroD1配列は、129/Svマウスから得られ、それによって 、相同組換えは、129/Svマウス胚幹細胞におけるコンジェニックなバックグラン ドにおいて起こることができた。いくつかのマウスneuroD1ゲノムクローンを、 実施例11に本質的に記載されるようにランダムプライムされたプローブとしてpS K+1-83のフラグメントを含有するBamHI-NotI neuroD1 cDNA(実施例2)を用い て、129/Svマウスから調製されたゲノムライブラリー(Zhuangら、Cell 79:875-8 84,1994;これは全体が本明細書中で参考として援用される)から単離した。ネ オマイシン耐性遺伝子(neo;ポジティブ選択マーカー)および単純ヘルペスウイ ルスチミジンキナーゼ遺伝子(hsv-tk;ネガティブ選択マーカー)を含有するプラ スミドpPNT(Tybulewiczら、Cell 65:1153-1163,1991;これは全体が本明細書中 で参考として援用される)は、PGKプロモーターの制御下で、標的化構築物のため のベクター骨格を提供した。1.4kbの5'マウスneuroD1ゲノムフラグメントを3kb 細胞質β-ガラクトシダーゼ遺伝子とともにpPNTベクターのEcoRIおよびXbal部位 の間に挿入し、そしてneuroD1のゲノム3'非翻訳配列を含有する8kbフラグメン トをベクター骨格のXhoIおよびNotI部位の間に挿入した。 β-ガラクトシダーゼ遺伝子に結合したneuroD1プロモーター配列を含有するEc oRI-XbaIフラグメントを調製するために、5'非翻訳マウスneuroD1ゲノム配列を 含有する1.4kbのEcoRI(ベクター由来)-Asp718フラグメントを、細胞質β-ガラク トシダーゼ遺伝子を含有するHindIII-XbaIフラグメントに連結し、それによって 、Asp718およひHindIII部位を破壊した。5'neuroD1ゲノム配列(neuroD1プロモー タ ーを含む)およびβ-ガラクトシダーゼ遺伝子を同じ転写方向に含有する、得られ た約4.4kbのEcoRI-XbaIフラグメントを、EcoRI-XbaI線状化pPNTに挿入して、プ ラスミドpPNT/5'+β-galを生じた。3'非翻訳DNAを含有するneuroD1フラグメン トを、SpeIおよびNotI(ベクター由来)で消化したマウスneuroD1ゲノムクローン から得て、8kbフラグメントを生じた。5'XhoI部位を得るために、8kbフラグメ ントをSpeI-NotI線状化pBlueskriptSK+(Stratagene)に挿入し、そして得られた プラスミドをXhoIおよびNotIで消化して、8kb neuroD1 3'ゲノムフラグメント を得た。XhoI-NotIフラグメントをXhoI-NotI線状化pPNT/5'+β-galに挿入して、 neuroD1標的化ベクターを生じた。最終の構築物は、5'neuroD1フラグメント、β -ガラクトシダーゼ遺伝子、および3'ゲノムneuroD1フラグメントを同じ方向に、 そしてhsv-tkおよびネオマイシン耐性遺伝子を反対の方向に含有していた。 標的化構築物を、エレクトロポレーションにより、マウス胚幹(ES)細胞にトラ ンスフェクトした。Zhuangら(同書)により記載された129/Sv由来のES細胞株であ るAK-7を、エレクトロポレーションのために使用した。これらのES細胞を、McMa honおよびBradley(Cell 62:1073-1085,1990;これは全体が本明細書中で参考と して援用される)により記載されるように、マイトマイシンC(Sigma)処理のSNL 76/7細胞(栄養補給(feeder)細胞)上で、15%ウシ胎児血清(Hyclone)および0.1μ Mのβ-メルカプトエタノールを補充した高グルコースDMEMを含有する培養培地に おいてルーチン的に培養した。トランスフェクション用の標的化構築物を調製す るために、25μgの標的化構築物を、NotIでの消化により線状化し、フェノール −クロロホルムで抽出し、そしてエタノールで沈澱させた。次いで、線状化され たベクターを1〜2×107AK-7(ES)細胞にエレクトロポレーションした。エレクト ロポレーションされた細胞を3枚の10cmプレート上に播種した(1つのプレート にはエレクトロポレーションされた細胞の50%を入れ、そして残りの2つのプレ ートには、それぞれ、エレクトロポレーションされた細胞の25%を入れた)。24 時間後、G418を各プレートに添加して、150μg/mlの最終濃度とした。添加の24 時間後、ガンシクロビルを50%のプレートおよび25%のプレートの1つに添加し て、0.2μMの最終濃度とした。エレクトロポレーションされた細胞の25%を含有 する第3のプレートをG418選択のみに供して、ガンシクロビル選択の効率を評価 した。各プレートの培養培地を最初の数日は毎日交換し、次いで選択が起こった 後に必要に応じて交換した。選択の10日後に、各コロニーの一部を引き出しマイ クロピペットで顕微鏡下に取り、そしてJoynerら(Nature 338:153-156,1989; これは全体が本明細書中で参考として援用される)により記載されるPCRにより直 接分析した。簡単に述べれば、PCR増幅を、記載されるように(Koganら、New Eng land J.Med.317:985-990,1987;これは全体が本明細書中で参考として援用さ れる)、93℃30秒、57℃30秒、および65℃3分間の40サイクルを用いて実施した 。野生型対立遺伝子を検出するために、プライマーJL34およびJL36(それぞれ、 配列番号18および19)をPCR反応に使用し、変異neuroD1対立遺伝子を検出するた めに、プライマーJL34およびJL40(それぞれ、配列番号18および20)をPCR反応に 使用した。PCRにより同定されたポジティブコロニーを、4ウェルプレートにサ ブクローニングし、60mmのプレートに拡大培養し、そして2〜3のアンプルに凍 結した。 G418耐性(neo遺伝子発現について陽性選択)およびガンシクロビル耐性(hsv-tk 遺伝子発現についてネガティブ選択)の両方について選択されたクローンのうち 、10%の集団は、マウスneuroD1遺伝子座への正確に標的化されたベクターの組 込みを含有していた(全体で10%の標的化頻度)。ネガティブ陰性選択により、相 同組換え事象について4〜8倍の富化が提供された。 キメラマウスを作製するために、各ポジティブクローンを解凍し、そして栄養 補給細胞上で一度継代した。トランスフェクトされた細胞をトリプシン処理して 個々の細胞にし、そしてC57BL/6Jマウスから得られた芽細胞を約15個の細胞に注 入した。次いで、注入された芽細胞を偽妊娠のマウス(C57BL/6J×CBA)に移植し た。4匹の雄性キメラは、注入された芽細胞(AK-71、AK-72、AK-74およびAK-75) から得られた。雄性キメラAK-71およびAK-72は、C57BL/6J雌性マウスと交配した 場合の子孫(F1)へのアグーチコート色伝達の頻度により決定されるように、高比 率の生殖系伝達をもたらした。50%のアグーチコート色子孫(F1)がヘテロ接合性 変異体を示すはずなので、それらの遺伝子型をサザンブロット分析により決定し た。簡単に述べれば、尾の生検から調製されたゲノムDNAをEcoRIで消化し、そし て標的化構築物を作成するために使用される1.4kbの5'ゲノム配列を用いてプロ ーブした。このプローブにより、野生型対立遺伝子由来の4kb EcoRIフラグメン ト、および変異対立遺伝子由来の6.3kb EcoRIフラグメントが検出される。従っ て、サザン分析は、野生型マウスについて単一の4kbバンド、ヘテロ接合性マウ スについて4kbおよび6.3kbのフラグメント、そしてホモ接合性変異マウスにつ いて単一の6.3kbバンドを示す。得られた子孫(F1)ヘテロ接合性(+/-)マウスを、 同胞ヘテロ接合性マウスと交配させて、ホモ接合性(-/-)変異マウスが得られた 。 胚性マウスにおけるneuroD1発現パターンを研究するために、キメラマウスま たはキメラ×C57B/J6交配由来のF1ヘテロ接合性子孫を、C57B/J6と交配した。こ れらの交雑種から得られた同腹仔を妊娠中の雌性マウスから採集し、そしてβ- ガラクトシダーゼ活性について染色した。胚を全ての胚外組織から切除し、そし て卵黄嚢をDNA分析のために保存した。胚を、固定溶液(0.2%グルタルアルデヒ ド、2%ホルムアルデヒド、5mM EGTA(pH7.3)、2mM MgCl2を含有する0.1Mリン酸 緩衝液)中で1時間固定した。リンス溶液(2mM MgCl2、0.1%デオキシコール酸ナ トリウム、0.2%NP-40を含有する0.10.1Mリン酸緩衝液(pH7.3))を用いる30分間 のリンス3回により固定溶液を除去した。固定された胚を、暗室中で、1mg/ml X -gal、5mMフェリシアン化ナトリウム、5mM フェロシアン化ナトリウムを含有す るリンス溶液中で一晩染色した。染色後、胚をPBSでリンスし、そして検査のた めの調製の前に、固定溶液中で保存した。胎仔および出生後のヘテロ接合性マウ スからの染色された組織の変異についての検査から、先にインサイチュハイブリ ダイゼーションにより示された(実施例4)ニューロン細胞におけるneuroD1発現 パターンが確認され、また、膵臓および消化管におけるneuroD1発現も示された 。 血中グルコースレベルを、PRECISION QID血中グルコース試験紙およびPRECISI ON QID血中グルコースセンサー(Medisens Inc.,Waltham,MA)を用いて製造者の 指示に従って検出した。組織サンプルを、DNA分析のために採取し、そして子マ ウスをさらなる組織的検査のために固定した。変異(neuroD1)についてホモ接合 性マウスの血中グルコースレベルは、野生型マウスの血中グルコースレベルより も2倍と3倍との間で高い血中グルコースレベルを有していた。ヘテロ接合性変 異体は、野生型マウスと同様の血中グルコースレベルを示した。変異(neuroD1を 欠く)についてホモ接合性であったマウスは、高血中グルコースレベルにより示 される糖尿病を有し、そして4日目に死亡した;いくつかのホモ接合性マウスは 出生時に死亡した。 実施例15 PC12およびP19胚ガン細胞におけるneuroD1の発現ならびに活性 マウスPC12褐色細胞腫細胞は、組織培養において、適切な誘導物質(すなわち 、神経成長因子)の存在下で、ニューロンに分化する。誘導したマウスPC12細胞 も誘導していないマウスPC12細胞もneuroD1転写物を発現せず、コントロールの3 T3線維芽細胞も検出可能なレベルのneuroD1転写産物を産生しなかった。 P19細胞は、十分に特徴づけられたマウス胚ガン細胞株であり、ジメチルスル ホキシド(DMSO)あるいはレチノイン酸(RA)での処理後、多くの細胞タイプ(骨格 筋および心筋またはニューロンおよびグリアを含む)に各々分化する能力を有す る(Jones-Villeneuveら、Molec.&Cell.Biol.3:2271-2279,1983)。P19細胞が、 ニューロン分化の間に内因性neuroD遺伝子を発現したかどうかを決定するために 、誘導していないP19細胞ならびに誘導したP19細胞の両方において、neuroD1、n euroD2およびneuroD3についてRNA発現を分析した。ニューロン形成を誘導するた めに、P19細胞をペトリ皿中でレチノイン酸の存在下に4日間凝集物として培養 した。次いで、その凝集物をレチノイン酸非存在下の組織培養皿へプレートし、 そして、ニューロンフィラメント陽性突起を有する細胞の形成によって証明され るように、5日間ニューロン分化を起こした。 neuroD1 mRNAは、細胞を凝集させRAで4日間処理した後、最大になり、ニュー ロン分化期間の間には減少したレベルで発現し続けた。neuroD2は、RA誘導期間 の間検出されなかったが、ニューロン分化期間の間豊富になった。分化したP19 培養物を、いくつかの分裂中の非ニューロン細胞を排除するAra-Cの存在下で成 長させた場合、neuroD1およびneuroD2のシグナルは共に、中程度に増強した。こ のことは、neuroD1およびneuroD2の遺伝子が有糸分裂後の細胞集団において優先 的に発現することを示唆するが、この点を証明するためにさらなる実験が必要で ある。neuroD3は、誘導の2日後に最初に検出され、誘導の4日後に最大であっ た。しかし、neuroD1と異なり、neuroD3 mRNAは、その後のさらに分化した時点 では検 出されなかった。それゆえ、分化中のP19細胞におけるneuroD1、neuroD2、およ びneuroD3の時間的発現パターンは、胚発生の間に見られるパターンと類似して いた:ニューロン拘束の時期および神経発生初期でのneuroD3発現のピーク、neu roD1の早期の持続的な発現、ならびにneuroD2のわずかに遅れた持続的な発現。 それゆえ、P19細胞は、神経再生および神経腫瘍細胞の分化を刺激し得るneuroD1 発現の誘導物質を同定するスクリーニングアッセイに潜在的に有用である。 neuroD1およびneuroD2は共に、ニューロンにおいて発現し、カエル胚で発現す る場合、共に神経発生を誘導し得る。これらが、類似の標的遺伝子を活性化する 能力を有するかどうかを決定するために、サルサイトメガロウイルスプロモータ ーからヒトneuroD1またはヒトneuroD2をコードする領域を駆動する発現ベクター を構築した;これらのベクターはpCS2-hND1およびpCS2-hND2であり、その構築は 実施例10に記載されている。neuroD1およびneuroD2の活性を、P19細胞へ同時ト ランスフェクトされたレポーター構築物でアッセイした。neuroDファミリーの他 のメンバーは、インビトロでコンセンサスE-box配列に結合することが示されて いる。ゲルシフトアッセイから、MATH-1およびNEX-1/MATH-2はコンセンサスE-bo x部位CAGGTGにE47タンパク質と共にヘテロダイマーとして結合し、レポーター構 築物の転写を活性化することが示された(Akazawaら、1995;Bartholoma,A.および K.A.Nave.,1994;Shimizuら、1995)。インビトロゲルシフトアッセイから、neuro D1およびneuroD2タンパク質は、E-タンパク質と共にヘテロダイマーとして、コ アE-boxのCACCTGを含むオリゴと結合し得ることが示された。それゆえ、本発明 者らは、neuroD1およびneuroD2タンパク質が単純なレポーター構築物(同じコア 配列を有する多量体化E-boxおよびルシフェラーゼを駆動するチミジンキナーゼ 遺伝子由来の最少プロモーターp4RTK-lucから構成される)の転写を活性化する能 力を試験した。 トランスフェクトすべきP19細胞を、10%ウシ胎児血清を補充した最少必須培 地α中で培養した。トランスフェクションを、以前に記載されたように、BBS塩 化カルシウム沈澱法を用いて行った(Tamura,M.およびM.Noda.,1994)。トラン スフェクションの48時間後、細胞を採取し、ルシフェラーゼおよびlacZについて アッセイした。発現ベクターpCS2-hND1およびpCS2-hND2の構築は実施例10に記載 し た通りであった。pGAP43-luc構築物(インビボで有糸分裂後アップレギュレート されるニューロン特異的プロモーター構築物で、最後にニューロンに分化する(N ediviら、J.Neurosci.12:691-704,1992))は、マルチクローニング部位の上流に ポリA部位を含むように改変されたpGL2ベクター中にルシフェラーゼを駆動する 、GAP43の760塩基対プロモーター領域を含み、この構築物はPate SkeneおよびJo seph Weberより快く頂いた。pND2-ルシフェラーゼ構築物を、第1のエキソンに 終結するマウスneuroD2配列の1kbフラグメントをクローニングし、このフラグ メントをpGL3ルシフェラーゼベクター中にクローニングすることによって作製し た。p4RTK-ルシフェラーゼ構築物は、p4RTK-CATベクター(Weintraubら、Proc.Na tl.Acad.Sci.87:5623-5627,1990)のHindIIIからXhoIまでの4RTK領域を、プロモ ーターのないルシフェラーゼベクターへ配置することによって作製した。ルシフ ェラーゼアッセイを、Current Protocols in Molecular Biology(Brasier,A.R., John Wiley & Sons,New York,1989)に従って行った。 P19細胞を上記のようにトランスフェクトした場合、pCS2-ND1またはpCS2-ND2 のいずれかとの同時トランスフェクトは、P19細胞におけるp4RTK-luc由来の活性 レベルを中程度に増大させ、活性を2〜4倍増大させることが観察された。 neuroDおよびneuroD2タンパク質が異なる転写活性化能力を有するかどうかを 決定するために、さらなるレポーター構築物をP19細胞で試験した。試験は、ル シフェラーゼレポーター構築物(pGAP43-ルシフェラーゼ)をトランス活性化するp CS2-ND1およびpCS2-ND2の能力を決定するために行った。単純なE-box駆動レポー ターとは対照的に、pCS2-ND1は、pGAP43−ルシフェラーゼの顕著なトランス活性 化を示さなかったが、一方pCS2-ND2は、この構築物からベースの活性に対して約 4倍の発現を誘導した。 筋原性bHLHタンパク質は自己制御および交差制御を示し、そしてNEX-1/MATH-2 の発現は、NEX-1/MATH-2プロモーターによって駆動されるレポーターを活性化す ることが示されている(BartholomaおよびNave,1994)。neuroD1またはneuroD2が 、neuroD2プロモーターを含む構築物を活性化し得るかを決定するために、本発 明者らは、第1エキソンに終結しルシフェラーゼレポーター遺伝子を駆動する、 マウスneuroD2遺伝子の上流の1kbフラグメントを含む構築物を作製した。P19細 胞 を、このpND2-lucレポーター構築物およびneuroD発現ベクターで同時トランスフ ェクトした。pCS2-ND1およびpCS2-ND2は共に、このレポーター構築物をトランス 活性化した。このことは、neuroD2が、筋原性bHLH遺伝子の制御と類似の様式で 、neuroDファミリーの他のメンバーによって自己制御および交差制御され得るこ とを示唆する。 これらのトランスフェクション実験をまとめると、neuroD1およびneuroD2タン パク質は共に、いくつかの標的遺伝子(例えば、多量体化したE-boxレポーターお よびneuroD2プロモーター)を活性化し得ることが示される;一方、GAP43プロモ ーターによって駆動されるレポーター構築物は、neuroD2によって優先的に活性 化されるようである。この時、トランスフェクション後に各ベクターから産生さ れるタンパク質の量は定量し得ず、解釈はレポーター構築物の相対的活性に依存 する。neuroDおよびneuroD2の特異性のさらなる分析により、活性を仲介するこ れらレポーターにおける特異的シス作用配列を同定することが必要である。 実施例16 成体マウスの脳におけるneuroD1およびneuroD2 RNAのインサイチュ位置決定 neuroD1およびneuroD2が成体マウス脳のニューロンで発現しているか、そして それらが同じ細胞で発現しているかという問題に取り組むため、35S-UTP標識RNA プローブを用いてインサイチュハイブリダイゼーションを行った。成体マウス脳 の切片を、センスおよびアンチセンスプローブ用にT3およびT7で作成した転写物 を用い、35S-UTP標識を組み込んだ、neuroD1およびneuroD2 cDNAフラグメント由 来のアンチセンスプローブとハイブリダイズさせた。凍結させた4〜5ミクロン の成体マウス脳の矢状切片を切り出し、Fisher Superfrostスライド上に置いて 、−80℃で凍結させた。35SUTP標識プローブへのハイブリダイゼーションおよび オートラジオグラフィーを、本明細書中で参考として援用されるMastersら(J.Ne urosci.14:5844-5857,1994)に従って行った。ハイブリダイズしなかったプロー ブを洗浄して除去した後、切片を液体写真乳剤でコートした。乳剤の現像後、暗 視野光学は拡大率160倍で、銀粒子を白い斑点として照明した。 小脳において、neuroD1は、顆粒層で容易に検出されたが、一方、neuroD2シグ ナルはこの領域では強度が弱く、大部分はプルキンエ細胞領域に制限された。対 照的に、海馬の錐体細胞および歯状回におけるneuroD1およびneuroD2シグナルは 、容易に検出された。neuroD2プローブは、プルキンエ細胞層の領域に優先的に ハイブリダイズした。これらの結果は、neuroD1およびneuroD2が、成熟神経系の ニューロン集団で発現し、その相対的な発現レベルはニューロン集団の間で変化 することを示す。 以上から、本発明の特定の実施態様を、例示のために本明細書に記載したが、 種々の改変が、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなくなされ得ることが 理解される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A61K 39/395 A61K 48/00 48/00 C12N 5/00 B (C12N 15/09 ZNA C12R 1:91) (72)発明者 ホレンバーグ,スタンリー エム. アメリカ合衆国 オレゴン 97219,ポー トランド,エス.ダブリュー.ラウンドト ゥリー コート 6413 (72)発明者 タプスコット,スティーブン ジェイ. アメリカ合衆国 ワシントン 98144,シ アトル エス.ドーズ テラス 3419

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.neuroDポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチド分子であって 、ストリンジェントな条件下で配列番号1、配列番号3、配列番号8、配列番号 10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号21、またはそれらの相補体 の中から選択される核酸分子とハイブリダイズする、ポリヌクレオチド分子。 2.ヒトneuroD2ポリペプチドをコードし、そしてさらに、ストリンジェントな 条件下で配列番号10のヌクレオチド配列またはその相補体とハイブリダイズし得 る、請求項1に記載の単離されたポリヌクレオチド分子。 3.ヒトneuroD3ポリペプチドをコードし、そしてさらに、ストリンジェントな 条件下で配列番号12のヌクレオチド配列またはその相補体とハイブリダイズし得 る、請求項1に記載の単離されたポリヌクレオチド分子。 4.少なくとも15ヌクレオチドを含む単離されたポリヌクレオチド分子であって 、ストリンジェントな条件下で配列番号1のヌクレオチド577〜696、配列番号3 のヌクレオチド376〜495、配列番号8のヌクレオチド149〜268、配列番号10のヌ クレオチド463〜582、配列番号12のヌクレオチド368〜496、配列番号14のヌクレ オチド405〜524、配列番号16のヌクレオチド642〜761、配列番号21のヌクレオチ ド425〜544、またはそれらの相補体の中から選択されるneuroD HLHドメインとハ イブリダイズする、ポリヌクレオチド分子。 5.以下の作動可能に連結されたエレメントを含むベクター: プロモーター、 請求項1に記載のポリヌクレオチド分子、および 転写終結シグナル。 6.請求項1に記載のポリヌクレオチド分子によって形質転換された細胞。 7.請求項1に記載のポリヌクレオチド分子によってコードされる、組換えペプ チド。 8.請求項9に記載の組換えペプチドに結合する、抗体またはその抗原結合フラ グメント。 9.配列番号2、配列番号4、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号 15、配列番号17、および配列番号22の中から選択されたポリペプチドに結合する 、抗体またはその抗原結合フラグメント。 10.配列番号2のアミノ酸残基117〜156、配列番号4のアミノ酸残基118〜157 、配列番号9のアミノ酸残基117〜156、配列番号11のアミノ酸残基137〜176、配 列番号13のアミノ酸残基108〜147、配列番号15のアミノ酸残基117〜156、配列番 号17のアミノ酸残基138〜177、および配列番号22のアミノ酸残基109〜148の中か ら選択されたペブチドに結合する、抗体またはその抗原結合フラグメント。
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