JPH10503363A - 神経分化(ニューロd)遺伝子及びタンパク質 - Google Patents

神経分化(ニューロd)遺伝子及びタンパク質

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JPH10503363A
JPH10503363A JP7529169A JP52916995A JPH10503363A JP H10503363 A JPH10503363 A JP H10503363A JP 7529169 A JP7529169 A JP 7529169A JP 52916995 A JP52916995 A JP 52916995A JP H10503363 A JPH10503363 A JP H10503363A
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ハロルド・エム バイントラウブ、
ジャックリーン・イー リー、
スタンレイ・エム ホレンバーグ、
スティーブン・ジェイ タップスコット、
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フレッド・ハッチンソン・キャンサー・リサーチ・センター
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Abstract

(57)【要約】 少なくとも15のヌクレオチドを具備し、以下のヌクレオチド配列から選択したニューロD HLH領域と高厳密度条件下でハイブリダイズする、単離された核酸分子:配列認識番号1のヌクレオチド577−696、配列認識番号3のヌクレオチド376−495、配列認識番号8のヌクレオチド405−524、配列認識番号10のヌクレオチド273−392、及びこれらの相補的配列。

Description

【発明の詳細な説明】 神経分化(ニューロD)遺伝子及びタンパク質 本発明は、アメリカ国立衛生研究所(NIH)交付の政府補助金番号CA42506のも と行なわれた。本発明に関して、政府はある一定の権利を有する。 本願は、1994年5月6日に出願された、合衆国特許一部継続出願第08/239,238号 である。 発明の属する分野 本発明は、分子生物学に関連し、特に脊椎動物の神経発生に関わる遺伝子及び タンパク質に関連する。 発明の背景 現在までのところ、塩基性のヘリックス-ループ-ヘリックス(bHLH)二次構造 が共通した、転写制御タンパク質のいくつかの例がある。bHLHタンパク質は、発 現を制御する遺伝子の5’制御領域いおいて結合する、ホモダイマ及びヘテロダ イマを形成する。bHLHタンパク質のなかでは、哺乳類MyoD及びジョウジョウバエ AS-Cが、筋の発生と感覚器官の発生においてそれぞれ機能を担っていると考えら れている。この両方のタンパク質は、細胞の分化と運命とを特異的に決定する遺 伝子中の、5’制御ヌクレオチド配列に結合することで、効果を発揮していると 考えられている。しかしながら、MyoD及びAS-Cにより影響を受ける遺伝子によっ て制御される発生経路がほとんど分かっていないため、これらの遺伝子の発生に おける特異的役割はほとんど分かっていない。本願で開示しているニューロDは 、bHLHタンパク質群の新規のサブファミリを代表し、また脊椎動物の神経発生に 関わっている。 神経組織及び内分泌組織は再生しない。障害は永久的である。麻痺、失明、聴 力の損失、及びホルモン不足もまた、永久的である。通常の化学療法の薬剤は、 神経組織に対して毒性の副作用を有する可能性があるため、神経組織及び内分泌 組織における腫瘍の治療は非常に難しいかもしれない。神経性外胚葉幹細胞の分 化をトリガーする活性を有する薬剤が手に入れば、医学界のみならず広く一般に とっても有益であろう。このような神経分化剤は、神経組織及び内分泌組織の再 生誘導、遺伝 子治療、腫瘍細胞の分化を可能にする治療剤の候補を同定するための、試験的細 胞株及びアッセイ方法を構築するのに使用することが可能である。 発明の要約 哺乳類及び両生類のニューロDタンパク質は同定されていて、またニューロDを コードしているポリヌクレオチド分子も単離され、配列決定されている。ニュー ロDはbHLHファミリのなかではっきりと区別のつくタンパク質をコードしている 。更に、本発明は、高度に保存されたHLH領域を共通して有する、ニューロDタン パク質のファミリを提供する。マウス胚の神経胚期において(e10)ニューロDは 、中枢神経系(CNS)における、神経冠細胞の神経性派生体、頭蓋及び背根神経 節、及び分裂終了細胞で多く発現している。マウスの発生では、ニューロDは、 鼻の上皮や網膜のような感覚器官において分化している神経細胞の神経分化に付 随して、一過性に発現する。アフリカツメガエルの胚においては、非神経細胞で のニューロDの異所的な発現は、神経の形成を誘導する。 マウスのニューロDの代表的なヌクレオチド配列を配列認識番号1に示した。マ ウスのニューロDのHLHをコードしている領域は、配列認識番号1のヌクレオチド 番号577から696の間にある。マウスのニューロDの推定のアミノ酸配列は配列認 識番号2に示してある。配列認識番号2のアミノ酸番号150から199までの領域にあ って、他のbHLHタンパク質とは共通していないヘリックス2領域の後に続く、高 く保存された領域が存在する。 アフリカツメガエルのニューロDの代表的なヌクレオチド配列を配列認識番号3 に示した。アフリカツメガエルのニューロDのHLHコード領域は、配列認識番号3 のヌクレオチド376から495までにある。マウスニューロDの推定アミノ酸配列を 配列認識番号4に示した。配列認識番号4のアミノ酸番号157から199までの領域に あって、他のbHLHタンパク質とは共通していないヘリックス2領域の後に続く、 高く保存された領域が存在する。 ヒトのニューロD配列も同様に開示した。ヒトニューロDファミリの代表的なヌ クレオチド及び推定のアミノ酸配列を配列認識番号8から11に示した。開示した ヒトクローン、9F1及び14B1は同じHLHモチーフを有している:配列認識番号9の アミノ酸残基117-156、配列認識番号11のアミノ酸残基91-130。 図の簡単な説明 図1はマウス及びアフリカツメガエルのニューロDのbHLHタンパク質のドメイン 構造を概略的に示している。 好ましい態様の詳細な記載 初期の神経外胚葉分化を制御する組織特異的bHLHタンパク質は、ショウジョウ バエのド−タレス(daughterless)遺伝子のタンパク質産物と相互作用すること ができるbHLHタンパク質の候補を同定するために設計された、発現クローニング 及びスクリーニングアッセイを使って発見された。これらのタンパク質はHLH領 域において、保存された残基を共通して有するタンパク質のファミリに属する。 ニューロDは新規タンパク質のファミリの構成員であり、また胚発生期におい て分化している神経細胞で一過性に発現されることがわかっている。その発現は 、成人の脳、海馬と小脳の顆粒層(granule layer)、でも検出される。ニュー ロDは、塩基性ヘリックス-ループ-ヘリックス(bHLH)タンパク質の上流認識配 列への結合と下流標的遺伝子の発現の活性化とに関わる、bHLH領域構造を有して いる。本発明は、ニューロDタンパク質の代表であって、配列認識番号2のマウス ニューロDタンパク質、及び配列認識番号4の両生類ニューロDタンパク質を含ん だものを提供する。その他のbHLHタンパク質との相同性に基づき、マウスニュー ロDタンパク質のbHLH領域は、配列認識番号2のアミノ酸番号102から155の間にあ り、両生類ニューロDタンパク質のbHLH領域は、配列認識番号4のアミノ酸番号10 1から157の間にあると予測された。以下に詳しく述べるように、本発明はヒトニ ューロDの同定することと、更に、二つのヒト遺伝子の間で共通するHLH領域にお いては、アミノレベルでほぼ同等な配列であることに基づき、同じファミリの、 予期しなかった相同性遺伝子を提供する。ニューロDタンパク質は、神経前駆細 胞を成熟した神経に分化させる、下流の標的遺伝子の転写を制御する転写活性因 子である。以下に更に詳しく記述するように、ニューロDタンパク質は、分化し ている神経細胞で発現されていて、また非神経細胞から神経細胞への転換を引き 起こすことができる。本発明は、例えばニューロDタンパク質がその認識部位に 結合することができるのに、下流の遺伝子を活性化させない様に修飾された変異 体を包含する。ニューロDタンパク質は、天然のタンパク質、及びそれ に近いもの、ニューロDに対する特異的抗体により得られた機能的に同等のもの 、及びニューロD遺伝子ファミリにユニークな領域との相同性に基づき検索され た、遺伝物質(DNA、RNA、cDNA)によりコードされるタンパク質を、組み換え技 術により発現したものを包含する。 本発明は、ニューロDファミリのタンパク質をコードする、単離精製された代 表的なポリヌクレオチド分子を開示する。ニューロDをコードする代表的なポリ ヌクレオチド分子は、配列認識番号の1、3、8、及び10に示してある。ニューロD をコードするポリヌクレオチド分子には、重要でない(minor)遺伝的多形性、 種間での差異、並びにアミノ酸の置換、付加、及び/または欠損を含む変異とな るような配列が含まれる。 いくつかの例では、組み換えニューロDの配列を変化させて、調製物の使用目 的に応じて、実質的にニューロDの活性を減少または増加さえも引き起こすよう にしてもよい。このような変化はまた、例えば遺伝子産物を変化させる、遺伝子 治療の方法を使って内在性のニューロD配列に向けられてもよい。 本発明のニューロDタンパク質は、カエルの胚における、N-CAM、β-チューブ リン、Xen-1神経フィラメントM(NF-M)、Xen-2、タナビン-1(tanabin-1)、 及びカエルHSCLのような神経特異的遺伝子の発現を誘導することが可能である。 以下に示すように、例えばニューロDのRNAをアフリカツメガエル胚の二細胞期に おける二つの細胞のうちの一方に注入して、免疫化学的方法かin situハイブリ ダイセーションにより、注入されなかったもう一方側の胚と比較して注入した側 の神経特異的遺伝子の発現をモニターして、ニューロDがカエルの卵母細胞で異 所的に発現したときに、ニューロDの活性が検出される。 「過剰発現」とは、組み換え形質転換細胞内における、ニューロDタンパク質 、またはニューロD転写産物の量を、該細胞が由来した親細胞内におけるそれぞ れの量と比較したときに、レベルが増加していることを意味する。 上記したとおり、本発明はニューロD及びその他のニューロDファミリの構成員 をコードする、単離精製されたポリヌクレオチド分子を提供する。開示された配 列は、イヌ、ヒツジ、ウシ、ヤギ、ウサギ、ニワトリのような適切な宿主細胞由 来のニューロDポリヌクレオチドを単離同定するのに使用することができる。特 に、HLH領域をコードしているヌクレオチド配列は、ニューロDファミリのその他 のヌクレオチド分 子をコードするポリヌクレオチドを同定するのに使用することができる。ニュー ロDファミリをコードする相補的DNA分子は、例えば胎児のの脳から単離したmRNA からcDNAライブラリを構築することで得ることができる。ニューロDファミリの 構成員をコードするDNA分子は、開示した配列を標準的なハイブリダイゼーショ ン技術(例:Sambrook et al.,同書、Bothwell,Yancopoulos,and Alt,同書 )に使用するか、またはPCRによる増幅法(例:Loh et al.,Science,243,217 -222,1989; Frohman et al.,Proc.Natl,Acad,Sci.USA 85,8998-9002,19 88; Erlich(ed.),PCR Technology:Principle and application for DNA a mplification,Stockton Press; 以上の文献は参照としてその全てをここに組み 込む)で配列を増幅させることにより、上記のライブラリから単離することが可 能である。同様の方法で、本願で開示している配列をもとに設計したプローブを 使って、ニューロDをコードするゲノムDNAを得ることができる。ニューロD配列 を同定するのに適切なプローブは哺乳類と両生類のニューロDの間で高く保存さ れている領域のニューロD特異的配列から得ることができる。例えばヘリックス- 2領域に続く約40残基をコードする領域のプライマは、PCRプライマを設計するの に適切である。または、ヒトのニューロDコード領域の特異的配列を含むオリゴ ヌクレオチドを、上記した方法において使用し、ヒトニューロDのゲノムクロー ンとcDNAクローンとを同定することが可能である。ニューロDの上流制御領域も 同様の方法により同定することが可能である。適切なPCRプライマは、長さが7か ら50ヌクレオチドであり、より好ましくは15から25ヌクレオチドの長さである。 または長さが少なくとも7ヌクレオチドから最高で全長コード配列までのプロー ブを用いて、標準的なハイブリダイゼーション技術により、ニューロDポリヌク レオチド分子を単離することが可能である。マウスニューロDのcDNAを使って、 高厳密度でプローブしたサザン分析により、ただ一つの遺伝子が存在することが 示され、このことより、高厳密度条件下ではその他のタンパク質ファミリのbHLH 遺伝子は同定されないことが示唆された。ニューロDファミリのその他の構成員 も、本願でPCR増幅法用に開示した配列に基づいた、縮重したプローブを利用す るか、または中程度の厳密度でのハイブリダイゼーションにより同定することが 可能である。 ニューロDをコードするDNA分子は適切な発現ベクタに挿入され、次いでこれは 適切な宿主細胞を形質転換するのに使われる。本発明を実施するのに適切な発現 ベクタは、宿主細胞内において注目しているポリヌクレオチド分子の転写を行わ せるこ とができるプロモータを具備している。代表的な発現ベクタには、プラスミド及 び/またはウイルスベクタの配列を含んでいてもよい。適切なベクタには、レト ロウイルスベクタ、ワクシニアウイルスベクタ、CMVウイルスベクタ、ブルース クリプト(Bluescript)ベクタ(登録商標)、バキュロウイルスベクタ等が含ま れる。クローン化した遺伝子、またはcDNAの転写を行わせるプロモータは、誘導 性または構成性のプロモータであってもよく、ウイルス性及び細胞性のプロモー タを包含する。哺乳類細胞内での発現のための適切なウイルスプロモータにはサ イトメガロウイルスの極初期(immediate early)プロモータ(Boshart et a l.,Cell,41:521-530,1985)、及びSV40プロモータ(Subramani et al.,Mol. Cell Biol.1:854-864,1981)が包含される。哺乳類細胞内での発現のための適 切な細胞プロモータには、マウスメタロチオネイン-1プロモータ(Palmiter et al.,U.S.Patent No.4,579,821)、マウスVkプロモータ(Bergman et al.,Pr oc.Natl.Acad.Sci.81:7041-7045,1983; Grant et al.,Nuceic Acid Res.1 5:5496,1987)、及びテトラサイクリン-応答性プロモータ(Gossen and Bujard ,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:5547-5551,1992; Pescini et al.,Biochem .Biophys.Res.Comm.202:1664-1667,1994)が包含される。発現ベクタ中に 含まれるものとしては更に、典型的には、注目しているこード配列の下流にある 転写終了シグナルがある。適切な転写終了シグナルには、SV40の初期及び後期の ポリアデニレーションシグナル(Kaufman and Sharp,Mol.Cell Biol.2:1304- 1319)、5型アデノウイルスelB領域のポリアデニレーションシグナル、及びヒト 成長ホルモン遺伝子テーミネータ(DeNoto et al.,Nucleic Acid Res.9:3719- 3730,1981)が包含される。例えば哺乳類細胞を、リン酸カルシウム沈殿法(Wi gler et al.,Cell,14:725,1978;Corsaro and Pearson,Somatic Cell Gene tics,7:603,1981; Van der Eb,Virology,52:456,1973)、リポフェクシ ョン、マイクロインジェクション、及び電気穿孔法(Neuman et al.,EMBO J.1 :841-845,1982)を含む数多くの方法により形質転換することが可能である。哺 乳類を、SV40、CMVのようなウイルスで形質導入することが可能である。ウイル スベクタの場合、クローン化したDNA分子を、感受性細胞でウイルス粒子で感染 させて導入させることが可能である。レトロウイルスベクタは、ニューロDCの哺 乳類細胞内発現には好ましく、特に遺伝子治療にニューロDを用いる時にはそう である(レビューは、Miller et al.,Methods in Enzymolozy 217:581-599,1994を参照されたし。この文献は参照としてその全体 を本願に組み込む)。クローン化したDNAを含む細胞を同定するために、選択性 マーカを使用することが好ましい。選択性マーカは通常、クローン化されたDNA 分子とともに細胞に導入され、ネオマイシン、ハイグロマイシン、メトトレキセ ートのような薬剤に対する抵抗性を与える遺伝子を含んでいる。選択性マーカは また、宿主内での栄養素要求性を補うことも可能である。更に別の選択性マーカ は、βガラクトシダーゼのような、クローン化したDNA分子を含む細胞を同定す るための検出可能なシグナルを提供する。選択性マーカは、増幅させることが可 能である。そのような増幅された選択性マーカは、宿主のゲノム中にインテグレ ートされた数多くの配列を増幅させるのに使用することが可能である。 当業者にとっては自明であろうが、本発明のポリヌクレオチド分子はサッカロ マイシス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)、糸状真菌、及び大腸菌 で発現させることが可能である。クローン化した遺伝子を、サッカロマイシス・ セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)で発現させる方法は、当業者らに広 く知られている(Gene Expression Technology、Methods in Enzymology,1 85,Goeddel(ed.)Academic Press,San Diego,CA,1990; Guide to Yeast Gen etics and Molecular Biology,Methods in Enzymology,Guthrie and Fi nk(ed.),Acadimic Press,San Diego,CA,1991を参照されたし。これらの文献 は、参照として本願に取り込む)。糸状真菌、例えばコウジカビ(Aspergillus )は本発明のタンパク質を発現するのに用いられる(McKnight et al.,U.S.Pa tent No 4,935,349;子の文献は、参照として本願に組み込む)。培養した哺乳類 細胞及び大腸菌で遺伝子及びcDNAを発現する方法は、サンブルック(Sambrook) らにより詳しく議論されている(Molecular Cloning:A laboratory manual,sec ond edition,Cold Spring Harbor,NY,1989;この文献は参考文献として組み込 む)当業者らに自明であろうが、その他の宿主、例えばニワトリ、昆虫、及び直 物細胞において、制御配列、ベクタ、及び文献で確立されている方法を利用して 、本発明のタンパク質を発現することができるであろう。 本願で用いる「高厳密度条件下でハイブリダイズできる」という表現は、主題 の核酸分子(DNAかRNA)が、配列認識番号1、3、8、または10のヌクレオチド配 列の15以上の連続したオリゴヌクレオチドにアニールすることを意味する。 本発明により合成したニューロDタンパク質は、固体支持体にカップリングさ れた抗-ニューロD抗体を使用したアフィニティークロマトグラフィーのような、 数多くの確立された方法により精製することが可能である。抗原性タグとニュー ロDとの融合タンパク質は、該タグに対する抗体を使用して精製することが可能 である。更なる精製は、液体クロマトグラフィー、勾配遠心、及びゲル電気泳動 といった通常の精製法により行うことが可能である。タンパク質精製法は当該技 術分野で知られていて(一般的なものとしては、Scope,R.,Protein Purifica tion,Springer-Verlag,NY,1982を参照されたし;この文献は、参考文献とし て本願に組み込まれる)、本願で記載した組み換えニューロDの精製に使用する ことができる。 ハイブリダイゼーションの条件の選択は、当業者らにとっては自明であり、通 常はハイブリダイゼーションの目的、ハイブリダイゼーションのタイプ(DNA-DN A、DNA-RNA)、及び配列間の所望の関連性のレベルにより決まる。ハイブリダイ ゼーションの方法は、文献で確立されている(例としては、Sambrook,同書;Ha mes and Higgins,ed.,Nucleic Acid Hybridization,A Practical Approach, IRL Press,Washington DC,1985; Berger and Kimmel eds.,Methods in Enzym ology,52,Guide to Molecular Cloning Techniques,Academic Press Inc.,N ew York,NY,1987; Botherwell,Yanocopoulos,and Alt eds.,Methods for C loning and Analysis of Eukaryotic Genes,Jones and Bartlett Publishers, Boston,MA 1990を参照されたし。以上の文献は、参考文献として全体を本願に 組み込む)。当業者は、二本鎖核酸の安定性はミスマッチ塩基の数の増加とその 場所により影響を受けることを認識していて、故に、ハイブリダイゼーションの 厳密度が、上記の二本鎖の安定性を最大限または最小限に増加または減少させる のに使うことが可能である。ハイブリダイゼーションの厳密度は以下のものによ り変化させることが可能である:ハイブリダイゼーションの温度を調節すること 、ハイブリダイゼーション混合物中の、ら旋不安定化剤(ホルムアミドのような )の割合を調節すること、洗浄液の温度と濃度を調節すること。一般的にいって 、ハイブリダイゼーションの厳密度は、ハイブリダイゼーション後の洗浄用の塩 濃度及び/又は温度を変化させることで調節することができる。ハイブリダイゼ ーションの厳密度は、ハイブリダイゼーション液中のホルムアミドの割合を減ら すか、または洗浄の温度を下げることで減らすことができる。高厳密度の条件に は、高温(Tmより5-25℃低温)と低塩濃度 (例えば0.1XSSC)とを組み合わせた高温ハイブリダイゼーション(例えば、4X から6XSSCを含む水溶液中で、65-68℃、または50%フォルムアミド中で42℃)が ある。減少させた厳密度には、中程度の温度(例えば40-60℃)、高塩濃度(例 えば2-6XSSC)、及び高塩濃度での洗浄(2Xから6X SSC)とからなる低減ハイブ リダイゼーション温度がある。中厳密度条件とは、50℃から55℃の間の温度での ハイブリダイゼーションと、0.1X SSC、0.1%SDS中で、50℃から55℃の間での 洗浄であり、これはニューロDファミリをコードしたクローンを同定するのに使 用される。 本発明は、配列認識番号1、3、8、10に示された配列、及びこれらの相補的配 列に、高厳密度でハイブリダイズできるニューロDをコードする、単離精製され たポリヌクレオチド分子を提供する。主題の単離されたニューロDポリヌクレオ チド分子は、好ましくは外胚葉細胞、特に神経外胚葉幹細胞で、及びその系列で 、より分化している細胞、例えば上皮性前駆細胞での分化をトリガーするニュー ロDタンパク質をコードする。そのようなニューロD発現産物は、典型的には標的 遺伝子の5’制御領域に結合して該標的遺伝子の転写を促進または抑制する、ヘ テロダイマのbHLHタンパク質複合体を形成する。 遺伝的変異または体細胞変異により分化しなくなったために、癌細胞が機能不 全のニューロDタンパク質を含むか、またはニューロDタンパク質を含まない例が いくつかある。このタイプの癌にたいしては、野生型のニューロDタンパク質の 過剰発現により癌細胞を無理やり分化させるような方法で処理することが可能で ある。 ニューロDのアンチセンスのヌクレオチドは、神経前駆細胞内の変異体ニュー ロDの発現を阻止して、神経幹細胞を作成、回収するために使用することが可能 である。アンチセンス・オリゴヌクレオチドの使用とその応用は、文献でレビュ ーされている(例えば、Mol and Van der Krulo,eds.,Antisense Nucleic Aci ds and Proteins Fundamental and Applications,New York,NY,1992;を参照 されたし。この文献は参考文献としてその全体を本願に組み込む)。適切なアン チセンス・オリゴヌクレオチドは少なくとも長さが11ヌクレオチドで、(上流ま たはイントロンに)翻訳されない、関連したコード配列を含んでいてもよい。当 業者には自明であるが、アンチセンス・オリゴヌクレオチドの最適の長さは該オ リゴヌクレオチドと、それに相補的なmRNAとの間の相互作用の強さ、翻訳が起こ る場所での温度とイオン的環境、並びに該mRNA及び/または該アンチセンス・オ リゴヌクレオチドに存在す る二次構造、及び三次構造に依存する。アンチセンス・オリゴヌクレオチドに対 する適切な標的配列には以下のものが含まれる:イントロン-エクソンの結合部 (正確なスプライシングを防ぐため)、DNA/RNAハイブリッドによりmRNAの核か ら細胞質への移行を妨げられる領域、イニシエーション・ファクタ結合部、リボ ソーム結合部、及びリボソームの進行が妨げる部位。アンチセンス・オリゴヌク レオチドの特に好ましい標的領域は、注目している遺伝子の5’非翻訳領域(プ ロモータ/エンハンサ)である。アンチセンス・オリゴヌクレオチドは、標的DNA 配列を含むDNA分子を適切な発現ベクタのプロモータの下流に、が注目している 遺伝子自体の方向とは反対向きに該DNA分子を挿入して調製することが可能であ る。次いで該発現ベクタは適切な細胞に形質導入、形質転換、またはトランスフ ェクションされ、アンチセンス・オリゴヌクレオチドの発現が起きる。または、 アンチセンス・オリゴヌクレオチドは標準的な合成方法(手動または自動)によ り作成することが可能である。合成したオリゴヌクレオチドは、電気穿孔法、リ ン酸カルシウム沈殿法、マイクロインジェクション法のような多種の方法により 適切な細胞へ挿入することが可能である。アンチセンス・オリゴヌクレオチドの 適切な投与方法の選択は、当業者には自明である。合成オリゴヌクレオチドに関 して、アンチセンス・オリゴヌクレオチド-mRNAのハイブリッドの安定性は、安 定化剤を該オリゴヌクレオチドへ添加することで増加することが可能である。安 定化剤はには、オリゴヌクレオチドの一方又は両方の末端に共有結合で連結する インターカレート剤が包含される。例えば、ホスホトリエステル、ホスホン酸塩 、チオホスホン酸塩、セレンホスホン酸塩、ホスホロアミデート(phosphoroami dates)、またはホスホロジチオエート(phosphorodithioates)を挿入して、バ ックボーンとなるホスホジエステルを修飾することにより、オリゴヌクレオチド をヌクレアーゼ抵抗性にすることが可能である。オリゴヌクレオチドを更に、デ オキシリボヌクレオチドのαアノマで合成することでヌクレアーゼ抵抗性にする ことも可能である。 ニューロDは、神経性及び内分泌性の組織の分化を含む、神経外胚葉分化に関 わる神経性遺伝子の5’制御領域に結合する。ニューロDタンパク質は、例えば転 写のダウンレギュレーションやアップレギュレーション、またはオルタナティブ なタンパク質読み取り枠への転写への誘導により、主題となる遺伝子の発現を変 化させる。主題のポリヌクレオチドには、様々な使用があり、例えば以下の例に 示したような、 オリゴヌクレオチド、発現ベクタ、及び形質転換した宿主細胞の調製に使うこと ができる。 ニューロDにより認識されるDNA配列は文献で知られた多くの方法により決定す ることが可能であり、そのなかには免疫沈降法(Biedenkapp et al.,Nature 33 5:835-837,1988,Kinzler and Vorgelstein,Nuc.Acids Res.17:3645-3653, 1989; Sompayrac and Danna,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:3274-3278,1990 ;以上の文献は参考文献として本願に組み込む)、タンパク質精製カラム(Oliph ant et al.,Mol.Cell Biol.,9:2944-2949,1989;参考文献として本願に組み 込む)、ゲル泳動度シフト(Blackwell and Weintraub,Science,250:1104-111 0;参考文献として本願に組み込む)、サウスウェスタンブロット(Keller and M aniatis,Nuc.Acids Res.17:4675-4680,1991;参考文献として本願に組み込む )がある。 本発明の一つの態様には、ニューロDによる神経性遺伝子の転写活性化を野生 型のニューロDと比較して増加または減少させることで、ニューロD活性を変化さ せるか、または構造-機能分析を容易にする、ニューロDタンパク質の種間ハイブ リッドを構築することが含まれる。本発明のハイブリッドタンパク質には、天然 のニューロDの一つまたはそれ以上の連続したアミノ酸を、その他の種のニュー ロDタンパク質の相同アミノ酸により置換したものが含まれる。このような種間 ハイブリッドタンパク質には、領域の一部または全てが置換されたものを有する ハイブリッドが包含される。当業者には自明であるが、このようなハイブリッド タンパク質は、組み換えDNA技術により得られる。簡単に述べると、注目してい るハイブリッドニューロDタンパク質をコードするDNA分子を、PCR変異導入法、 部位特異的突然変異導入法、及び/または制限消化と連結のような、一般的な方 法により調製される。このハイブリッドDNAを次いで発現ベクタに挿入し、適切 な宿主に形質転換またはトランスフェクションする。生物学的活性は本質的には 、以下の例により詳しく記載したアッセイ方法にそって行うことで調べることが できる。 本発明は更に、合成ペプチド、組み換えによる誘導ペプチド、融合タンパク質 や、その他のものを提供する。主題のペプチドは高厳密度条件下で、配列認識番 号1、3、8、または10の少なくとも15以上の連続したオリゴヌクレオチドとハイ ブリダイズする核酸にコードされているアミノ酸配列を有している。主題のペプ チドの代表的なアミノ酸配列は、配列認識番号2、4、9、及び11に開示されてい る。主題のペプチド には、種々の使用があり、その中には特異的抗体の調製が含まれる。 上記したとおり、本発明はニューロDに結合する抗体を提供する。ヒト以外の 血清またはモノクローナル抗体(例えばマウス、ウサギ、ブタ、ウマ)を作成す ることはよく知られており、例えば動物をニューロDタンパク質またはペプチド で免疫することで成し遂げられる。モノクローナル抗体の作成は、抗体を生成す る細胞を免疫した動物より得て、不死化してスクリーニングするか、またはニュ ーロDタンパク質もしくはペプチドに結合する抗体の産生に関してスクリーニン グを行ってから不死化する。ヒト以外の抗体の抗原結合領域(すなわち、F(ab′) 2または超可変領域)を組み換えDNA技術によりヒトの抗体の枠組みに移して実質 的にヒトの分子にすることが望ましい。このようなヒト化させた分子を作成する 方法は、広く知られており、例えば合衆国特許第4,816,397号に詳しく記載され ている(この文献は参考文献として本願にその全体を組み込む)。または、ヒト のモノクローナル抗体またはその一部は、ニューロDに特異的に結合する抗体を コードしたDNA分子の、ヒトB細胞cDNAライブラリを一度スクリーニングすること で同定することが可能であるが、この方法はヒューズ(Huse)らにより記載され ている(Science,246:1275-1281,1989;この文献は、参考文献として本願にそ の全体を組み込む)。次いで該DNA分子をクローニング、増幅させて、所望の特 異性を有する該抗体(またはその結合部)をコードする配列を得ることが可能で ある。 本願発明は更に、神経性の表現型に関連した遺伝子を、通常は該遺伝子を発現 していない細胞内で発現誘導させる方法を提供する。ニューロDの発現で修飾さ れてる神経性の表現型の例には、神経伝達物質または神経修飾因子の発現がある 。ニューロDによる遺伝子発現の修飾のために使われる細胞には、神経外胚葉系 列の細胞、グリア細胞、神経冠細胞、及び表皮の上皮性基底幹細胞(epidermal epithelial basal stem cells)、並びに中胚葉性及び内胚葉性の系列の細胞の 全てが含まれる。 例10に示すように、ニューロDの幹細胞中での発現は、上皮細胞分化の方向性 を変更し、神経細胞への最終分化、(すなわち表皮細胞ではなくする)を誘導す る。上皮性基底幹細胞(すなわち皮膚及び粘膜組織において)は、成体哺乳類に おいて継続して再生している数少ない細胞のタイプのうちの一つである。主題の ヌクレオチド配列の、上皮性基底幹細胞への導入は、適切な遺伝子治療ベクタ伝 達システム(例えばレトロウイルスベクタ)、マイクロインジェクション技術( 例えばTam, Basic Life Science 37:187-194、1986を参照されたし;この文献は参考文献と して本願にその全体を組み込む)、またはトランスフェクション法(例えば裸ま たはリポソームでカプセル化したDNAまたはRNA)(例えばTrends in Genetics, 5:138,1989; Chenand Okayama,Biotechniques 6:632-638,1988; Manninoand Gould-Forgerite,Biotechniques 6:682-690,1988; Kojima et al.,Bioche m.Biophys.Res.Comm.207:8-12,1995;以上の文献は参考文献として本願にそ の全体を取り込む)を使って、in vitroでもin vivoでも行うことが可能である 。導入方法は宿主細胞においてニューロDの一過性の発現を行わせるように選択 することが可能であが、組織特異的に、構成的にまたは制御をうけて発現するの が好ましい。 本発明の形質転換した細胞は、in vitroでの種々の使用がある。例えば以下の ような使用がある: 1) 神経増殖因子の便利な供給源として使用、 2) 神経腫を最終分化させる抗癌剤のスクリーニングのための一過性及び連続 培養において使用、そして 3) 診断アッセイにおいて有益なモノクローナル抗体及びポリクローナル抗体 の調製用の抗原としての組換え体ニューロDタンパク質の供給源として使用。 本発明の形質転換した細胞は、in vivoでの種々の使用がある。例えば運動ま たは知覚性機能が失われた神経の外傷部位での移植ののための使用がある。移植 により恩恵を受ける代表的な患者のポピュレーションには、視覚または聴覚神経 の損傷により視覚または聴覚を喪失した患者、外傷により脳または脊髄に損傷の ある患者が含まれる。例えば上皮性幹細胞のような患者由来細胞をin vitroで培 養し、ニューロDヌクレオチドで形質転換または形質導入する。低質転換した細 胞を次いで、マイクロインジェクションにより神経機能障害の部位へ戻す。 本発明のヌクレオチド配列の代表的な使用には、以下のものが含まれる: 1.細胞内での発現レベルを定性的、定量的に調べるためのサザン、ノーザン 、及びドットブロットアッセイに有益なオリゴヌクレオチドプローブ及びcDNAを 構築すること。神経内分泌腫瘍、及び胎児神経分化(以下を参照されたし)にお いて急激に分化している領域におけるニューロDの高レベル発現は、ニューロDの 発現レベルを測定することで、神経腫瘍の増殖率及び侵襲性を調べる予後の標識 となりえることを示している。更に、胎児の発生におけるニューロDの重要性を 考慮すると、出 生欠損及び流産は異常なニューロDタンパク質の発現による可能性が高い。この 場合には、ニューロDは、母親の出生前スクリーニングまたは胎児の子宮内試験 にとって有益である。 2.ニューロDタンパク質の転写制御活性がダウンレギュレーションされるか 無くなっている、ドミナントネガティブまたはノックアウトの組換え細胞株を含 む、組換えの細胞株、卵細胞、及びトランスジェニックの胚(胎児)及び動物を 構築すること。このような細胞は、標的遺伝子の転写を促進、抑制、または活性 化することができないニューロDタンパク質を発現する、変化したニューロDコー ド配列を含んでいてもよい。主題の細胞株及び動物は、ニューロDの機能の代わ りになるか、または欠損型のニューロDによる細胞欠損を修正することが可能な 治療剤の候補をスクリーニングするために使用できる。胚(胎児)発生における ニューロDの重要性を考慮に入れると、出生欠損は変異型のニューロDの発現によ る可能性があり、この欠損はニューロDを使用したスクリーニングアッセイで同 定された化合物の使用により、子宮内または出生後の初期の段階で修正すること が可能である。更に、ニューロDポヌクレオチドは、βガラクトシダーゼ、また はルシフェラーゼのようなレポータ遺伝子に連結し、マウス胎性幹細胞のような 適切な胎性宿主細胞のゲノムに、例えば相同組換えのような方法により、組み込 むことが可能である(レビューはCapecchi,Trends in enetics,5:70-76,1989 ;この文献を、参考文献として組み込む)。そしてニューロDを発現している細胞 は、分化している胎性細胞を分類にかけることにより神経芽細胞のポピュレーシ ョンを精製して得ることが可能である。神経芽細胞は増殖因子や化学療法剤に対 する神経芽細胞の感受性を調べるのに有益である。神経芽細胞は更に、特異的な タンパク質産物または遺伝子転写物を精製するための供給源として使用すること が可能である。これらの産物は、増殖因子の単離のため、または供給者の細胞か ら幹細胞ポピュレーションを移植用に精製するために使用することができる細胞 表面マーカの同定に使用することが可能である。 3.ベクタのコード領域にニューロDがプロモータの制御の下に挿入された遺 伝子輸送ベクタ(例としてはレトロウイルスベクタやその他のもの)を構築する こと。ニューロDの遺伝子治療は、運動性または知覚性神経の機能が喪失した神 経の外傷を修復するのに行うことが可能である。この治療のためには、遺伝子輸 送ベクタを直接外傷部位に注射するか、または該ベクタを細胞の形質転換に使用 して、該形質転 換細胞を外傷部位に注射することの何れかが可能である。例10に開示した結果は 、ニューロDを導入すると非神経細胞の神経細胞への変換を誘導することを示し ている。この発現は、神経の外傷により生じた神経の欠損を修復するのに移植及 び/または遺伝子治療を行うことの可能性を初めて示した。更に、ニューロDの発 見により、ある種の神経系疾患、例えばアルツハイマー、ハッチンソン病、及び パーキンソン病のような神経細胞の一群が障害を受けているものに特異的な遺伝 子治療を提供する可能性がある。このことに関しては、ニューロDを利用する2つ の基本的方法を予見することが可能である。一つの方法において、ニューロDを それがすでに存在している神経細胞で発現させ、該神経の表現型の特徴(神経伝 達物質の発現またはシナプスのターゲティング)を修飾し、疾患に関わる欠損を 補う因子または表現型を該神経細胞に発現させて、該疾患に関わっている欠損を 乗り越えさせる。この方法では、組換えニューロD配列は存在している神経細胞 へ導入されるか、または内在性のニューロD発現が誘導される。別の方法におい てニューロDを、非神経細胞(例えば脳におけるグリア細胞、または基底上皮細 胞のような非神経細胞型の細胞)で発現させて、該疾患の状態を改善するような 神経性表現型の一部または全部を与える遺伝子の発現を誘導させる。例として、 パーキンソン病は少なくともその一部が、神経伝達物質であるドーパミンを基底 の神経節に供給する神経細胞が死ぬことによって引き起こされる。神経伝達物質 の濃度を引き上げると、パーキンソン病の症状が改善される。ニューロDの発現 を基底神経節の神経細胞またはグリア細胞で起こさせると、該細胞で直接的に神 経伝達物質ドーパミンが合成されるといった、神経性の表現型の状態が誘導され る。同系間、または同種間移植として、ニューロDを移植のドナー細胞の、影響 を受けている領域で発現することも可能である。 4.移植可能な組換え神経前駆細胞ポピュレーションを、胎性外胚葉細胞、及 び非神経性基底幹細胞などから調製すること。非腫瘍神経細胞を治療用のスクリ ーニングアッセイに使うために確立することは非常に難しいことが分かっている 。本発明のニューロDをコードしている、単離されたポリヌクレオチドにより、 分化や癌化において活性な条件に似させた条件下で増殖している胎性神経幹細胞 の初代培養が樹立される。得られた細胞株には、以下の使用がある: 1) 神経の神経増殖因子の供給源として使用、 2) 抗癌性化合物のスクリーニングアッセイにおいて使用、 3) 新規の神経増殖因子を同定するアッセイにおいて使用。 胎児の視蓋におけるニューロDの高レベル発現は(以下参照)、ニューロDタン パク質が、増殖している網膜細胞に親和性のある因子の発現を制御可能であるこ とを示している。そのような細胞は増殖因子の供給源として有益であり、また治 療化合物の候補をスクリーニングするのに有益である。 本願で開示された細胞株及び転写制御因子は、胚(胎児)発生の非常に初期の 段階で活性であるために、細胞の運命を制御するON→OFF、またはOFF→ONの潜在 的なスイッチになるといったユニークな利点を提供する。もしこのスイッチが可 逆的であることが示されれば(たとえばON←→OFF)、本願で開示されているニ ューロD転写制御因子、及びニューロD核酸は、患者で失われている神経性及び/ または内分泌性の機能を回復させるといったエキサイティングな機会を提供する 。 以下の例はあくまで例示するにとどまり、限定するものではない。 例1 胎児幹細胞179cDNAライブラリの構築 変異型E2A(myoDの結合相手であると推定されている)を有する連続性胎児幹 細胞株を、一連の胎性幹細胞腫瘍の供給源として使用した。E2Aの結合に関する 推定の相手の両方の対立遺伝子が薬剤選択性マーカで置換されている、組換えES 幹細胞を構築した(相同組換えにより)。ES細胞は、ともにE2Aの遺伝子産物で ある機能性のE12タンパク質もE47タンパク質も合成しない。組織学的に、及びRT -PCRによる遺伝子発現アッセイにより、数多くの異なる胎性細胞型の代表を含む ことが分かっているES細胞は、類遺伝子性(congenic)マウス(例えば1129J) で皮下腫瘍を形成する。1X107細胞/部位の皮下注射により、それぞれの胎性幹 細胞腫がオスの129Jマウスで誘導された。3週間後にそれぞれの腫瘍を回収して 、それぞれよりRNAを調製した。ランダムプライミング、及び第二鎖合成に引き 続いて、ds-DNAを0.7%のアガロースゲル中で大きさにより選択し、400-800bpの 範囲にあるcDNAをBamHIまたはBgl IIリンカに連結した(リンカはcDNA中の内在 性BamHI部位が、クローニング中にうっかり切断されて、異常なサイズになるか またはフレームがあわない発現産物の生成を引き起こす可能性を最小限にするよ うにして使用した)。得られたそれぞれの幹細胞腫瘍のDNAを、それぞれ「f1-VP 16」2μ酵母発現ベクタのBamHIクローニング部位に連結した。この発現ベクタf1 -VP16には単純ヘルペスウイルス(HSV)のHindIII (HIII)とEcoRI(RI)部位との間にに位置するVP16活性化領域を含み、これは サッカロマイセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)のアルコールデ ハイドロゲナーゼプロモータの制御下にあり、LEU2及びアンピシリン抵抗性選択 標識を備えている。注目しているDNA分子をf1-VP16のHindIII部位(すなわちVP1 6のヌクレオチド配列に対して5’側)、またはBamHI部位(すなわちVP16のヌク レオチド配列に対して3’側)に挿入すると、VP16とフレームがあった、注目タ ンパク質を有するVP16融合タンパク質が発現される。得られたcDNAライブラリを 「179-ライブラリ」と命名した。 例2 ニューロDの同定とcDNAクローニング フィールズとソング(Fields and Song)らの方法に準じて(Nature,340:245 ,1989)、また本願で示した修飾を施して、ツーハイブリッドの酵母スクリーニ ングアッセイを行い、例1に記載の179-ライブラリをスクリーニングにかけた。 酵母のツーハイブリッドスクリーニングは、フィールズとスターングランツ(Fi elds and Sternglanz)により開示され、レビューされている(Trends in Genet ics,10:286-292,1994)。上記のライブラリを使用し、ショウジョウバエDa(d aughterless)のbHLH領域と、原核細胞Lex-DNA結合領域との融合タンパク質であ るLexA-Daと相互作用するcDNAをスクリーニングした。LexA多量体結合部位が、 標識遺伝子(HIS3遺伝子及びベータガラクトシダーゼ遺伝子)の上流にクローニ ングされた。LexA-Da融合タンパク質をコードするプラスミドを含んだサッカロ マイセス・セレビシアエ(S.cereciseae)のL40株を、CsClのグラジエントで精 製したf1-VP16-179-cDNAライブラリで形質転換した。形質転換体を16時間、双方 のプラスミド(LexA-Daプラスミド及びcDNAライブラリプラスミド)の選択培地 で培養し、次いでヒスチジン、ロイシン、トリプトファン、ウラシル、及びリジ ンを欠損したプレート上でヒスチジン選択にかけた。HIS+クローンを次いでLacZ 発現に関してスクリーニングした。クローニングの非特異的人為産物を除去する ために、HIS+/LacZ+由来のプラスミドを単離して、LexA-ラミン融合物をコード しているプラスミドを有するサッカロマイセス・セレビシアエ(S.cerevisiae) L40株を形質転換した。ラミンとの相互作用が陽性であったクローンは廃棄した 。60の異なる転写物を発現する約400個のcDNAクローンをこのアッセイで陽性と 同定した。特異的cDNAプローブとの反応 性に基づき、オリジナルのクローンのうち25%が既知のbHLH遺伝子であることが 後に示された。Daとは相互作用し、ラミンとはしなかったVP16融合タンパク質を コードしている一つのcDNAクローンを、配列決定によりユニークなクローンと同 定した。このクローンは最初、タンゴ(tango)と命名したが、現在はニューロD と命名している。 このユニークなcDNAクローン、VP16-ニューロDは、bHLH領域にわたる約450塩 基対の挿入部を有していた。配列分析により、このクローンにはユニークで以前 には報告のない、bHLHの完全なアミノ酸配列モチーフをコードしている挿入部が 含まれていることが示された。更に分析を進めて、上記cDNAにはbHLHタンパク質 ファミリの全てに共通して存在する保存残基が存在しているが、いくつかの残基 はユニークで以前同定されたbHLHタンパク質とは異なっていることが示唆された 。ニューロD cDNA挿入部のBamHI-NotI切断物を、pBluescript SK+のBamHI-NotI 線状化物へ挿入してサブクローニングした。得られたプラスミドをpSK+1-83と命 名した。 VP16-ニューロDプラスミドにあるニューロD挿入物を使って、発生期e10.5にあ るマウスの胚から調製したcDNAライブラリをプローブした。候補のクローンを単 離し、上記の方法と必然的に同じ方法で配列決定した。数個のクローンを単離し た。pKS+m7aRXと命名した一つのクローンを、郵便番号20852 メリーランド州ロ ックヴィル パークローン・ドライブ 12301 に所在のアメリカン・タイプ・ カルチャー・コレクション(ATCC)に、寄託番号75768の下、1994年5月6日に寄 託した。プラスミドpKS+m7aRXは、マウスのニューロD cDNAを、1646塩基対のEco RI-XhoI挿入部として有している。この挿入部がコードしているアミノ酸配列は 、アミノ酸番号で+73から始まり、ニューロDのカルボキシ末端まで伸びている。 このプラスミドには855塩基対のニューロDコード配列(アミノ酸73-536をコード )が含まれいている。 マウスcDNAで完全な5’コード配列を含むものはなかった。5’のニューロDコ ード配列を得るために、マウス129/Sv株のゲノムDNAライブラリを、VP16-ニュ ーロDプラスミド挿入部(450塩基対)でスクリーニングした。ゲノムクローン を単離して、配列決定し、その配列をcDNA配列と整列した。このゲノム5’コー ド配列と、アフリカツメガエルニューロDクローン(例8)との整列比較により、 5’ニューロDコード配列を確認した。ニューロDの完全なコード配列と、推定の アミノ酸配列とを配列認識番号1及び2に示した。 例3 ニューロD/ニューロD bHLHタンパク質群には構造的類似性があり、その中にはホモダイマやヘテロダ イマ複合体を形成するのに必要なタンパク質間相互作用に関わるHLH領域と、DNA に結合する塩基性領域とが含まれる。マウスのニューロDの塩基性領域(配列認 識番号2のアミノ酸102から113まで)と、その他のbHLHタンパク質の塩基性領域 とのアミノ酸配列を比較すると、マウスのニューロDにはこのタンパク質ファミ リに共通の保存残基の全てが含まれていることが分かった。しかしながら、ニュ ーロDにはいくつかのユニークな残基が含まれていた。これらのユニークな残基 はその他の既知のHLHには見られず、ニューロDをbHLHファミリのなかの新規で独 特のメンバーにしている。ニューロD中のNARERNR塩基性領域モチーフ(配列認識 番号2のアミノ酸107-113)は、神経発生に関わると考えられている、ショウジョ ウバエのAS-Cタンパク質中にも存在している。類似しているが同じではないNARE RRR及びNERERNRモチーフ(それぞれ配列認識番号5及び6に対応)が、神経発生に 関わると考えられている、ショウジョウバエの無調(atonal)及びMASH(mammal lian achaete-scute homolog)タンパク質にそれぞれ発見された。ニューロDのN ARERモチーフ(配列認識番号7)はその他のbHLHタンパク質、ショウジョウバエD aタンパク質、及び哺乳類Eタンパク質にもある。bHLHタンパク質の塩基性領域は DNA結合部位の認識にとって重要であり、この機能性領域に関してはニューロDと その他のニューロタンパク質との間に相同性がある。ニューロDの重要な二量体 決定HLH領域内には、マウスツイスト(twist)タンパク質(51%)及びMASH(46 %)との低い相同性がある。ニューロDには、結合部配列(MHG)を含むbHLH領域 内に、ユニークなペプチド配列からなる複数の領域がある。 例4 ニューロDは胚(胎児)発生期に分化する神経細胞で発現される。 ジゴキシゲニン(digoxigenin)(Boehringer Mannheim)で標識した一本鎖リ ボプローブのアンチセンスニューロDを使ったin situのハイブリダイゼーション により、マウス胚における胚(胎児)発生期のニューロDの発現を調べた。簡単 にいうと、T7ポリメラーゼとジゴキシゲニン-11-UTPとをラベル化に使用して、 リボプローブをプラスミドpSK+1-83から調製した。ハイブリダイズしたプローブ を、アルカリフォスファターゼをコンジュゲートした抗-ジゴキシゲニン抗体で 検出した。発色は製造業 者の説明書にしたがって行った。発生期の表記は、交尾(copulation)後の日数 で表し、膣栓の形成はe0.5となる。in situのハイブリダイゼーションでの結果 は、以下のとおりである。 e9.5のマウス胚では、ニューロDの発現は分化している三叉神経節で見られる 。 e10.5のマウス胚では、頭蓋の神経節の全て(すなわちV-XI)及び、胚の体幹 領域の背根神経節(DRG)において、ニューロDの明りょうなパターンの発現が見 られる。この時期には、ニューロDの発現は、神経分化しつつある脳及び脊髄に おける、分裂終了細胞の中枢神経系においても見られる。脊髄では、そこより運 動神経が伸びて分化する腹側でニューロDが高レベルで発現されていて、後腹側 での発現は、より成熟した前腹側の脊髄と比較すると、より高レベルである。 e11.5のマウス胚では、e10.5でのニューロDの発現パターンが持続した。脊髄 での発現は、e10.5での発現レベルを超え、これはこの時期により多くの分化し ている神経細胞が存在することと一致する。この時期において、ニューロDの発 現は、神経の分化が起きているその他の感覚器官、例えば鼻上皮、耳小胞、目の 網膜においても観察された。これらの器官においてニューロDの発現は分化して いる神経細胞を含む領域で観察された。 e14.5のマウス胚では、ニューロDの発現は頭蓋の神経節とDRGとで見れらたが 、ニューロDの発現は分化している感覚器官及び中枢神経系の神経領域で持続し ていた。故に、ニューロDの発現は神経発生の間、一過性であることが観察され た。 要約すると、胚の神経胚期(e10)、神経冠細胞の神経性誘導体、頭蓋及び背 根神経節、及びCNSの分裂終了細胞におけるニューロDの発現は、感覚及び運動神 経の発現と生成との間の重要なつながりの可能性について示唆する。胚発生の後 期において、CNS内または感覚器官(すなわち鼻上皮及び網膜)内の分化してい る神経細胞で起きる発現はまた、CNS及び感覚神経組織の発生における役割を支 持している。ニューロDの発現は一過性であるので、この結果はニューロDの発現 が感覚神経組織の形成を制御するスイッチとしての操作性を有していることを示 唆している。この研究でニューロDの発現が胎児の交感神経節及び腸内神経節( これらもまた遊走性の神経冠細胞より誘導されている)では起きなかったことは 特筆すべきことである。全般的にこの結果は、ニューロDは神経の分化において 重要な役割を担っていることを示している。 例5 ニューロDは神経及び脳の腫瘍細胞で発現している:マウスのプローブにより 、ヒトのニューロDが同定される。 マウスの胚での発現パターンが分かったので(例4)、マウスのニューロD cDN A(例2)を分子プローブとして使用して、腫瘍細胞株のmRNAのノーザンブロット を行った。第一段階としては、神経細胞へと発生する可能性のある細胞株をスク リーニングにかけた。多くの神経性マーカを発現しているD283ヒト髄質ブラスト ーマ(medullablastoma)細胞株が、高レベルのニューロDを発現していることが 、ノーザンブロット分析により分かった。ニューロDはまた、神経細胞へ変換さ れえる、ある種の横紋筋肉腫株において、異なるヒト神経芽腫により、転写され ていた。マウスのPC12褐色細胞腫細胞、及びP19胎性癌細胞は、適切な誘導剤、 すなわち神経増殖因子及びレチノイン酸の存在下では組織培養中で神経細胞に分 化する。誘導するとP19ではニューロDの転写物を発現するがPC12では発現されな かった。しかし誘導されていないPC12、及びP19細胞、並びに対照の3T3線維芽細 胞は、検出可能なレベルのニューロDの転写産物を生成しなかった。故に、PC12 及びP19細胞は神経再生及び神経腫瘍細胞の分化を刺激する可能性のある、ニュ ーロD発現誘導剤のスクリーニングアッセイに有益性のある細胞種である。 例6 ニューロDを発現する組み換え細胞 mycのタグを付けたマウスのニューロDタンパク質、またはmycのタグを付けた アフリカツメガエルのニューロDタンパク質の何れかを発現する組み換え体のマ ウス3T3線維芽細胞を作成した。組み換え細胞を、以下に記載するニューロDに対 する抗体を同定する試験系として使用した。 アフリカツメガエルのニューロDタンパク質に抗原性標識Mycのタグをつけて、 抗ニューロD抗体の特異性の決定を行った。プラスミドCS2+MTを使用してMyc融合 タンパク質を作成した。このCS2+MTベクタ(Turner and Weintraub,同書)はサ ルサイトメガロウイルスIE94エンハンサ/プロモータを含んでいて(更にIE94に よって制御されている転写産物の5’の非翻訳領域にSP6プロモータを含んでいて 試験管内でのRNA合成を可能にしている)、これは6コピーのMycのエピトープタ グをコードしたDNA(Roth et al.,J.Cell Biol.,115:587-596,1991; これは その全体を本願に 組み込む)、コード配列の挿入のためのポリリンカ、及びSV40の後期ポリアデニ レーション部位に、機能するように連結されている。CS2+MTをXhoIで消化して、 mycのタグをコードしているDNA配列の下流のポリリンカ部位で線状化した。線状 化したプラスミドを、クレノウとdNTPsを使って平滑断片にした。アフリカツメ ガエルの全長cDNAをXhoIとEaeIとで消化して、クレノウとdNTPsで平滑断片化し て、1.245キロ塩基からなるアフリカツメガエルのニューロDのcDNAの断片を単離 した。このニューロDの断片と線状化したベクタとを連結して、プラスミドCS2+M T x1-83を形成した。 CS2+MTをEcoRIで消化して、mycのタグをコードしているDNA配列の下流のポリ リンカ部位で線状化した。線状化したプラスミドをクレノウとdNTPsで平滑断片 化して、ついでXhoIで消化してXhoIの粘着性末端と、平滑末端とを有する線状化 プラスミドを得た。マウスのニューロDの一部を有するプラスミドpKS+m7aをXhoI で消化し、ニューロDを含む断片を平滑末端化し、ついでXbaIで消化して、約1.6 キロ塩基のマウスのニューロD cDNAの断片を得た。このニューロD断片及び線状 化したベクタとを連結して、プラスミドCS2+MT M1-83(m7a)を形成した。 プラスミドCS2+MT x1-83及びCS2+MT M1-83(m7a)をそれぞれマウス3T3線維芽 細胞へ形質転換して、ニューロDに対する抗体を同定する試験系として使用した (例7)。 例7 ニューロDに対する抗体 マルトース結合タンパク質(MBP)とマウスのニューロDのアミノ酸70-355との 組み換え融合タンパク質を抗原として使用して、ウサギで抗体産生を惹起した。 得られた血清の特異性を、上記の組み換え3T3細胞の免疫染色法により確認した 。Myc(すなわち形質転換DNA上の対照抗原タグ)へのモノクローナル抗体、及びウ サギ抗マウスのニューロD抗体を、抗ウサギIgGと組み合わせて、該組み換え細胞 の二重免疫染色を行った。ニューロDのDNAの異なる部分で形質転換された、マウ スの3T3線維芽細胞を調製して、得られた抗マウスのニューロD血清の特異性を更 に調べた。特異性はグルタミン酸に富む領域(配列認識番号2のアミノ酸66-73) に存在するようである。上記の抗マウス血清は、mycのタグを有するアフリカツ メガエルのニューロDで形質転換された細胞とは反応しなかった。同様にして、 アフリカツメガエルのニューロDを使って、ウサギ抗ニューロD血清を作成した。 この血清はアフリカツメガエル特異的で、mycのタグを有するマウスのニューロD で形質転換された細胞とは交差反応し なかった。 例8 ニューロDは進化において高度に保存されたタンパク質である:アフリカツメ ガエルのニューロDの配列 マウスcDNA挿入部を低厳密度でプローブとして使用して、キントナ−とメルト ン(Kintner and Melton,Development,99:311,1987)により作成された17期の アフリカツメガエルの頭のライブラリ由来の約100万クローンをスクリーニン グした。ハイブリダイゼーションは、50%ホルムアルデヒド/4XSSCを使用して33 ℃で行い、2XSSC/0.1%SDSを使用して40℃で洗浄した。 陽性クローンを同定して配列決定した。アフリカツメガエルのニューロD cDNA 配列(配列認識番号3)の分析により、ニューロDはカエルとマウスとの間で非 常に保存されているタンパク質であることが明らかになった。カエル及びマウス の推定のアミノ酸配列(配列認識番号2及び4)は、bHLH領域において96%の相 同性を示し(52アミノ酸中50が同じであった)、bHLH領域に対してカルボキシ末 端側の領域では80%の相同性があった(198アミノ酸中有159が同じであった)。 マウス及びアフリカツメガエルのニューロDは、「酸性」N末端領域(すなわちグ ルタミン酸またはアスパラギン酸に富む領域)、塩基性領域、ヘリックス1、ル ープ、ヘリックス2、及びプロリンに富むC末端領域において相同性が高い。マ ウス及びアフリカツメガエルのニューロDのアミノ酸配列はアミノ末端において 異なっているが、そのどちらともグルタミン酸及びアスパラギン酸に富む「酸性 領域」を保持している(配列認識番号2のアミノ酸102から113、配列認識番号4 のアミノ酸56から79)。酸性領域は、現在においてその他の転写制御因子に対し て理解されている活性化機構と同様の方法で、ニューロDタンパク質の「活性化 」領域となっている可能性が高い。 例9 アフリカツメガエルのニューロDの神経性発現 全体をマウントしたアフリカツメガエルの胚におけるニューロDの発現パター ンを、ジゴキシゲニンで標識した一本鎖のアフリカツメガエルニューロDアンチ センスcDNAプローブを使って、in situハイブリダイゼーションにより決定した 。胚は異なるいくつかの期において調べた。 マウスの発現パターンと一致して、後期までには全ての頭蓋神経節は非常に強 い 染色パターンを示した。アフリカツメガエルでは、その他の脊椎動物の様に神経 冠細胞が、頭部、末梢神経系の全ての神経節、及び色素細胞の骨格的構成となっ ている。これら派生物の中では、冠とプラコード起源とが混ざり合った頭蓋感覚 神経節が、ニューロDを発現する細胞群のみを代表している。目における高レベ ルのニューロDの発現もまた見られ、この期における網膜の活発な神経分化と相 関する。マウスと同様に、発現は分化している嗅覚のプラコード、及び耳の小胞 においてもみられる。松果体もまた、ニューロDを発現する。この発現全ては一 過性であり、ニューロDは分化の過程で機能するが、これらの分化している細胞 種の維持には必要ではないことを示唆している。 早くも14期(すなわち中期神経胚期)には、三叉神経節が分化する頭蓋神経冠 領域においてニューロD発現が見られた。脊髄の初代の機械受容性神経細胞はま た、ロホン・ベアード(Rohon-Beard)細胞とか、初代運動神経細胞とも呼ばれ 、この時期にニューロDの発現を示す。 24期までには、発生している全ての、頭蓋神経節、三叉神経、顔面聴覚性神経 (facio-acoustic)、舌咽神経、及び迷走神経は、高レベルのニューロD発現を 示した。ニューロDの高レベル発現はまた、この時期の目においても見られた。 (アフリカツメガエルの網膜での神経分化は、マウスにおけるよりもかなり早い 時期に起き、この動物モデルではニューロDの発現は、それに対応して早くて強 いことに注意を要す) 要約すると、アフリカツメガエルにおいてはマウスにおけるように、ニューロ Dの発現が神経分化の部位と相関していた。分化している神経細胞におけるニュ ーロDの発現パターンに関して、進化での特筆すべき保存は、ニューロDは構造的 及び機能的に上記の異なる分類上の動物においても進化を通じて保存されている という考えを支持するが、この考えは該タンパク質が胚発生において担うクリテ ィカルな役割を強調する。 例10 ニューロDの異所的発現は、非神経細胞を神経細胞へ変換する。 ニューロDの生物学的機能を更に調べるために、機能獲得アッセイを行った。 このアッセイでは、アフリカツメガエル胚の2細胞期の二つの細胞のうち一方にR NAをマイクロインジェクションで注入し、それ以降の神経表現型の発生への影響 を評価す る。この実験のために、mycでタグをしたニューロDの転写物をin vitroでSP6 RN Aポリメラーゼを使用して合成した。アフリカツメガエルの2細胞期の二つの細胞 のうちの一方に、mycのタグを有するニューロD転写物をマイクロインジェクショ ンで注入し、もう一方の細胞を内部対照とした。アフリカツメガエルのN-CAM( 神経接着分子)に対する抗体、抗−Myc(外来性タンパク質の検出のため)、及 び免疫染色技術を使用して、マイクロインジェクション後の胚の発生期における 、神経標識(及び対照)遺伝子の表現型発現を評価した。ニューロDのRNAをマイ クロインジェクションされた、130個を越える胚を評価して、マイクロインジェ クションした側の胚(すなわちMyc+)でN-CAMの異所的発現が顕著に増加してい ることが、増加した免疫染色で判明した。増加した免疫染色は、通常冠細胞が遊 走する(migrate)領域において見られた。ニューロDの異所的発現(または過剰 発現)は、神経冠の幹細胞を神経性細胞へ運命づけるようであると考えられてい る。神経管の外側では、異所的な免疫染色が、顔面頭側領域、及び表皮性層で見 られ、またある場合には、染色された細胞は神経管よりかなり離れた、胚の腹側 領域で見られた。免疫染色された細胞はN-CAMを異所的発現するのみではなく、 神経細胞の形態学的表現型を呈している。高倍率では、N-CAM発現細胞は軸索プ ロセスに似た典型的な神経性プロセスを呈した。 N-CAMの発現が、推定の表皮細胞への直接的効果に由来するものであって、神 経細胞の腹側及び背側表皮への異常な遊走によるものではないことを確認するた めに、ニューロDのRNAを32細胞期の胚の最上段へ注入して、表皮になる細胞へ注 入するようにした。内在性の神経系へなんら影響を与えることなく、N-CAMの染 色が腹側及び背側の表皮に見られ、これは表皮のN-CAMの染色が表皮から神経細 胞への細胞の運命の変換を示している。 ニューロDによる神経細胞の異所的生成は、神経特異的クラスIIベータチュー ブリン(Richter et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:)、アセチル化ア ルファチューブリン(Piperno and Fuller,J.Cell Biol.101:2085,1985)、 タナビン(tanabin)(Hemmati-Brinvanlou et al.,Neuron,9:417,1992)、 ニューロフィラメント(NF)-M(Szaro et al.,J.Copm.Neurol.273:344,19 88)、及びXen-1,2(Ruiz i Altaba,Development,115:67,1992)といったそ の他の神経特異的マーカで確認されている。アルカリフォスファターゼをコンジ ュゲートしたヤギ抗-マウス抗体、または抗-ウサギ抗体(1:2000に希釈(Boehr inger-Mannheim)) を使用して、胚をターナーとワイントラウブ(Turner and Weintraub)が記載し た方法(Genes Dev.8:1434,1994;これは参考文献として本願に組み込む)に より免疫化学的実験に供した。抗-アセチル化アルファチューブリンを1:2000に 希釈した。抗-Xen1,2は1:1に希釈した。抗-NF-Mは1:2000に希釈した。NF-Mで 染色した胚をデント(Dent)の固定液(20%ジメチルスルホキシド/80%メタノ ール)で固定して、デントらが記載したようにして(Development 105:61,1989; これは参考文献として本願に組み込む)ベンジルベンゾエート/ベンジルアルコ ールの2:1の溶液でクリアーした(cleared)。ハーランド(Harland)の記載に 準じ(Methods in Enzymology,B.K.Kay,H.J.Pend,Eds,Academic Press,N ew York,NY,Vol.36,pp675-685,1991;これは参考文献として本願に組み込む) 、ターナーとワイントラウブによる修飾(同書)を取り入れて、胚のin situの ハイブリダイゼーションを行った。RNアーゼによる処理なしで行ったベータチュ ーブリンとのin situハイブリダイゼーションでは、有繊毛表皮細胞においてチ ューブリンの発現を検出することが可能である。これらの標識全ては、ニューロ DのRNAを注入された側において異所的染色を示した。ニューロDのmRNAを植物性 細胞に注入すると、胴領域においてN-CAMの内部染色を示している一つの胚以外 では、神経性標識の異所性発現は起きず、これは植物性細胞内での補助因子の欠 損または阻害剤の存在を示唆している。しかしながら、内在の器官組織において 異所性神経細胞を示す胚は、非外胚葉系統の細胞を、ある特定の条件下で神経細 胞へ変換することが可能であることを示唆している。 胚はまた、ロホン・ベアード(Rohon-Beard)細胞(ニューロDが正常に発現し ている細胞)を検出する標識で染色された。HNK-1(1:1に希釈)(Nordlander ,Dev.Brain.Res.50:147,1989;参考文献として本願に組み込む)、Islet-1( 1:500に希釈)(Ericson et al.,Science 256:1555,1992;Korzh et al.,Deve lopment 118:417,1993)のようなロホン・ベアード(Rohon-Beard)細胞特異的 な標識を上記の方法により行った免疫染色、及びshaker-1(Ribera et al.,J. Neurosci.13:4988,1993)を使用して上記のようにして行ったin situハイブリ ダイゼーションにより、該胚の注入された側で、より多くの細胞が染色されてい たことを示した。 これらの結果を組み合わせると、ニューロDの異所的発現は、ニューロDの発現 がない場合には非神経細胞になるはずの細胞の、神経細胞への分化を誘導すると いう考えを支持する。要約すると、以上の実験はニューロDの異所的発現は非神 経細胞 (すなわち神経冠細胞及び表皮の上皮性基底幹細胞)の神経細胞への変換に使用 することが可能であるという考えを支持する。以上の発見により初めて、障害を 受けた神経組織において神経細胞形成を誘導する遺伝子治療が提供される。 興味ある形態学的異常がマイクロインジェクトされた胚において観察された。 多くの場合、胚のマイクロインジェクトされた側の目は、発生しなかった。その 他の胚では、胚のマイクロインジェクトされた側の脊髄が、適切に発生せず、こ の組織は抗−N-CAMで染色したときに非常に強く染まった。更に、中期神経胚期 では、多くのマイクロインジェクトされた胚が、神経冠細胞及びその派生物(す なわち冠神経節細胞)が遊走する、胚の冠領域において、細胞の量が増加してい た。観察された冠の膨らみ部では、N-CAMに特異的抗体での強い免疫染色を示し ていた。以上の結果は、目、神経冠、及び脊髄の形態学的変化は神経前駆細胞及 び神経冠前駆細胞の遊走を変化させる、未成熟な神経分化による結果であると解 釈できる。 ニューロDを注入された胚についてもまた、ショウジョバエのツイスト(twist )のアフリカツメガエルの相同体である、Xtwistの発現変化に関してアッセイし て、ニューロDが神経冠細胞の非神経性構成物を神経性の系統へと変換するかど うかについて決定した。野生型の胚においては、Xtwistは結合組織や頭蓋骨にな る、非神経性ポピュレーションの頭部神経冠細胞で強く発現している。ニューロ Dを注入された胚においては、遊走している頭蓋神経冠細胞の注入された側ではX twistの発現が完全に見られない。ニューロDを注入した胚において、十分な頭蓋 間葉の神経冠細胞前駆体を創製することができないことが、形態学的にも観察さ れたが、これは注入された胚の多くが頭部において鰓弓をほとんど発生しなかっ たためである。更に、頭部領域における多くの細胞が、N-CAM、ベータチューブ リン、及びXen-1で非常に強く染色され、これは上記細胞が神経性の特徴を有し ていることを示している。 逆の実験、すなわちカエルの胚にXtwistのmRNAを注入した実験では、Xtwistの 異所的発現により注入した側のニューロDの発現を顕著に減少させることが示さ れた。したがって、bHLHファミリの二つのメンバであるニューロDとXtwistは、 神経冠由来の異なる細胞型を見極めるの(difine)に拮抗する可能性がある。ニ ューロDを注入した胚においては、外来性ニューロDは、遊走前(premigratory) の神経冠のin situでの神経細胞への分化を誘導する可能性があり、その結果正 常な位置へ遊走するのを妨げる。 外来性のニューロDの導入が、通常ニューロDを発現している、頭蓋神経節、目 、耳の小胞、嗅覚器官、初代神経細胞、及び通常ニューロDを発現してないその 他のCNS細胞へ与える効果を、分化標識の染色により決定した。胚の頭蓋領域が 、異所的ニューロDにより大きく影響されているときには、胚の注入側では目が 小さいかまたは存在せず、更に脳、耳の小胞、及び嗅覚器官がほとんど構成され ていなかった。更に胚が成長するにつれて、脊髄の成長の遅れが現れ、ニューロ Dを注入した側で薄く短いままであった。 初期の正常な胚の、N-CAMによる染色は神経板全体を通じて均一ではなかった が、神経板の中間領域ではより顕著であった。N-CAMの発現を調べた注入済み胚 は、初期の胚の注入側の神経板がより強く、またより側方に染色されていること を示した。N-CAMの染色が強くなっていることは、神経板の側方的な発現とは関 係していなかったが、これは視覚的検査及び上皮標識のEpAによる染色により調 べた。このことは、神経板の伸長を引き起こすXASH-3の注入で観察されたことと は相反する。以上の観察は、ニューロDの第一の効果は、神経板における神経前 駆体の早まった分化を引き起こすことである。 ニューロDが神経前駆体に早まった分化を起こさせるかどうかを決定するため に、注入済みの胚を、分化した神経細胞で発現している二つの神経性標識、ベー タチューブリン及びタナビンで染色した。ベータチューブリン及びタナビンのin situ ハイブリダイゼーションは、上記のようにして行った。ニューロDの過剰 発現は、運動神経と14期のロホン・ベアード(Rohon-Beard)細胞の両方を含む 神経板領域においてベータチューブリンのシグナルを劇的に増加させた。注入し た側の異所的ベータチューブリン陽性細胞が、最も早く観察されたのは原腸形成 の終わりにおいてであったが、この時期には対照側ではベータチューブリン陽性 細胞はいっさい見られなかった。以上の結果は、ニューロDが神経前駆体の、分 化神経への分化を引き起こすことを示唆している。このことは、ニューロDが異 所的または過剰に発現されると、有糸分裂細胞を非分裂成熟細胞へと分化させる ことが可能であることを強く示している。 例11 ヒトゲノムニューロD マウスのニューロDのcDNAにより、ヒト線維芽細胞ゲノムライブラリをプロー ブすることで、ヒトのニューロDをコードしているゲノムクローンを得た。宿主 の大腸菌 株LE392(New England Biiolabs)をLB+10mM MgSO4,0.2%マルトース中で一晩、3 7℃で培養した。細胞を回収して10mM MgSO4に懸濁してOD600が最終的に2になる ようにした。再懸濁した細胞をファージ感染のための宿主に使用した。LE392細 胞(New England Biolabs)を感染させるための、ラムダFIX II(Stratagen)中 のヒト線維芽細胞ゲノムライブラリの段階希釈により、このスクリーニングで使 用するファージストックの最適な容量を決定した。1枚のプレート当たり約50,0 00プラークを得るために、ファージストックの一部(2.5μl)を使い、600μlの 再懸濁したLE392細胞を感染させた。該細胞をファージとともに37℃で15分間イ ンキュベーションした後、該細胞を、50℃に暖めた6.5mlのトップアガーと混ぜ た。このトップアガーを固形LBプレートにまいて、37℃で一晩インキュベーショ ンした。このようにして15cmのプレートを全部で22枚調製した。 二つで一組の、プラークリフト(plaque lift)を調製した。一組目のHybond 膜(Amersham)を該プレートに置き、2分間静置した初期膜をはがして、写し( もう一方)の膜を該プレートに4分間置いた。該膜を風乾して、次いでファージ を0.5M NaOH、1.5M NaCl、で7分間変性させた。膜を中和緩衝液(1.5M NaCl、0. 5M トリス、pH7.2)で二回洗浄して中和した。中和後、該膜をUVに露出してクロ スリンクさせた。マウスのニューロDコード配列を含む、1キロ塩基のEcoRI-Hind III断片に関して、ランダム・プライミング・キット(Boehringer Mannheim)を 製造者推奨の方法により使用して、ランダムにプライミングした。ハイブリダイ ゼーション用の膜は、10mlのFBIハイブリダイゼーション緩衝液(1リットルの水 溶液当たり、100gのポリエチレングリコール800、350mlの20%SDS、75mlの20X S SPE)に6枚の膜を浸し、その膜を65℃で10分間インキュベーションした。10分後 、変性済みサケ精子DNAを最終濃度が10μg/mlとなるように加え、変性済みプロ ーブを最終濃度が0.25-0.5 X 107cpm/mlとなるように加えた。該膜を65℃で8時 間から一晩の間ハイブリダイゼーションさせた。インキュベーション後、過剰な プローブを除去して、膜を2 X SSC、0.1%SDSにより50℃で30分間洗浄した。次 いで0.1 X SSC、0.1% SDSにより55℃で30分間の最終洗浄を行った。膜のオート ラジオグラフを調製した。第一スクリーニングにより、55の陽性プラークを同定 した。31個のプラークを上記の方法に準じて、第二スクリーニングにかけてた。 10個の陽性クローンを同定し、上記の方法により第三スクリーニングにかけた。 第三スクリーニングにより、8個の陽性クローンが同定された。 ファージDNAはクローン14B1、9F1,及び20A1より調製した。14B1及び20A1ファ ージDNAをPstIで消化して、マウスのニューロDプローブにハイブリダイズした、 それぞれ1.2キロ塩基及び1.6キロ塩基の断片を単離した。9F1ファージDNAをEcoR I及びSacIで消化して、マウスのニューロDプローブにハイブリダイゼーションす る約2.2キロ塩基の断片を得た。以上の断片を、あらかじめ適切な制限酵素で切 断しておいたプラスミドBluescript SK(Stratagene)へサブクローニングした 。該断片を、シーケナーゼ バージョン2.0(US Biochemical)と、以下に示す プライマを使用して配列決定した:ユニバーサル・プライマM13-21、T7プライマ 、及びT3プライマ。クローン9F1及びクローン14B1の配列分析(それぞれ配列認 識番号8、10)は、マウスとヒトとの間のコード配列がアミノ酸レベル及び核酸 レベルの双方において高い相同性を有していることを示した。更に、クローン9F 1及び14B1は、そのHLH領域においてアミノ酸レベルで100%の相同性があったが (すなわち配列認識番号9の117-156の残基、及び配列認識番号11の91-130の残基 )、一方bHLHのアミノ末端では分岐していた。この発見は14B1がニューロD遺伝 子ファミリのメンバであることを強く示唆する。配列分析によりクローン9F1は 、翻訳開始部位からbHLH領域の終わりまでの配列領域において、高い相同性を有 していた。この9F1クローンは、マウスのニューロDに対しては、HLH領域におい て100%の相同性を有していて(すなわち配列認識番号9の117-156残基、及び配 列認識番号2の117-156残基)、全体では94%の相同性を有していた。14B1クロー ンもまた、HLH領域に関して100%の相同性を有していたが(配列認識番号11の91 -130残基、及び配列認識番号2の117-156残基)、9F1に対しては40%の相同性で 、マウスのニューロDに対してはアミノ末端で39%の相同性しかない。このこと は、9F1がマウスのニューロDに関するヒトの相同体であり、一方ニューロDのHLH 領域における高い保存率は、14B1がニューロDHLHファミリの別のメンバであるこ とを証明している。 例12 ヒトニューロDクローンの染色体マッピング 固定化した中期の微小核体ハイブリッドの延展物上で、記載されているように してFISHカロタイピングを行った(Trask et al.,10:75-82,1991;参考文献と してこの文献の全体を本願に組み込む)。ジゴキシゲニンdUTP(Boehringer Man nheim)を製造者推奨の方法で使用してラベル化した9F1、及び20A1のファージDN Aを使用して、 ニューロD配列を検出した。ファージDNAをランダムプライミング(Gibco/BRL Bi oNick Kit)によりビオチン化して、in situで中期染色体延展物を変性したもの に24-48時間ハイブリダイズさせた。プローブはローダミンをコンジュゲートし た、ジゴキシゲニンに対する抗体で検出し、染色体はDAPI(Sigma)で対比染色し た。シグナルは蛍光顕微鏡で観察し、カラーのスライドフィルムに露出した。FI SH分析は、クローン9F1がヒト染色体2qに、クローン20A1がヒト染色体5にマッピ ングされることを示した。 染色体マッピングも同様に、ヒト/げっ歯類体細胞ハイブリッドのパネル(Nat ional Institute of General Medical Sciences,Camden NJ)上で行った。この パネルはヒト染色体を一つ維持しているヒト/げっ歯類の体細胞ハイブリッド24 個より単離したDNAよりなる。一組の実験では、DNAのパネルをEcoRIで消化して 、アガロースゲルで電気泳動した。このDNAをHybond-N膜(Amersham)にトラン スファーした。クローン9F1の4キロ塩基のEcoRI-SacI断片をランダムにプライミ ング(Boehringer Mannheim)したものを調製した。フィルタは10mlのFBIハイブ リダイゼーション緩衝液中、65℃、10分で前ハイブリダイゼーションした。前ハ イブリダイゼーション後、変性したサケ精子DNAを最終濃度が10μg/mlになるよ うに加え、変性したプローブを最終濃度が100万cpm/ml二なるように加えた。上 記フィルタを65℃で8時間から一晩の間ハイブリダイゼーションした。インキュ ベーション後、過剰なプローブを除去して、該フィルタを2 X SSC、0.1% SDS中 で、65℃、30分間洗浄した。この一回目の洗浄後、0.1 X SSC、0.1%SDS中で、6 5℃、30分間の最終洗浄を行った。このフィルタのオートラジオグラフを作成し た。オートグラフにより、FISHマッピングの結果を確認した。 二番目の実験では、上記パネルをPstIで消化し、電気泳動後、上記のようにし てトランスファーした。ランダムにプライミングした(Boehringer Mannheim)2 0A1の1.6キロ塩基のPstI断片を作成した。膜を前ハイブリダイゼーションし、20 A1 プローブでハイブリダイゼーションし、上記のようにして洗浄した。サザン のオートラジオグラフは、20A1がヒト染色体5にマッピングされることを示して いて、これはFISHマッピングの結果を確認した。オートラジオグラフ後、20A1で プローブした膜を、0.5M NaOH、1.5M NaClでの洗浄により、条片にした(stripp ed)。前ハイブリダイゼーション前に、該膜を0.1X SSCで洗浄した。クローン14 B1のランダムにプラ イミングした、1.2キロ塩某のPstI断片を作成した。洗浄した膜を前ハイブリダ イゼーションにかけて、14Bプローブで上記したようにハイブリダイゼーション した。上記した条件下での洗浄後、該膜をオートラジオグラフにかけた。オート ラジオグラフによりクローン14B1が染色体17にマッピングされた。 例13 ヒトニューロD相補的DNA ヒトニューロDのcDNAを得るために、100万プラーク形成単位(pfu)を、細菌 株XL-1 Blue(Stratagene)を使用して、LB+10mM MgSO4のプレート(150mm)20枚 にまいた。プレーティングと膜はがし(plate lifts)は、例11に記載の標準的 な方法により行った。UVによるクロスリンク後、該膜を水性のハイブリダイゼー ション溶液(1%ウシ血清アルブミン、1mM EDTA、0.5M Na2HPO4(pH 7.4)、7%SDS )中、50℃で、2時間の前ハイブリダイゼーションした。 ニューロDのcDNA挿入部は、pKS+m7a RXプラスミドをEcoRIとXhoIとで消化し、 電気溶出でcDNAを含む断片を単離して調製した。ランダムヘキサヌクレオチド、 dGTP、dATP、dTTP、α-32P-標識済みdCTP、及びクレノウを緩衝液(25mMトリス (pH6.9)、50mM KCl、5mM MgCl2、1mM DTT)中で使用してランダムにプライミ ングさせて、プローブを作成した。このプローブを、G-50セファロースカラムを 使用して、取り込まれなかったヌクレオチドより精製した。精製したプローブは 90℃で3分間加熱して変性させた。 前ハイブリダイゼーション後、変性したプローブをハイブリダイゼーション溶 液中の該膜へ加えた。該膜を50℃で24時間ハイブリダイゼーションした。過剰な プローブを膜より除去して、該膜を0.1 X SSC、0.1% SDSで50℃、20分間洗浄し た。洗浄溶液は5回交換した。該膜を吸い取って乾燥させ、オートラジオグラフ にかける前にプラスチックフィルムで覆った。該フィルタのオートラジオグラフ により、68個の陽性クローンが同定された。このクローンをプラーク精製し、純 粋な陽性クローンを得るために再スクリーニングした。 ストラテジーン(Strategene)の方法論にのっとって、cDNAを含むプラスミド ベクタをラムダファージクローンから生体内で切り取った。簡単にいうと、溶出 したファージとXL-1 Blue細胞(OD600=1を200μl)とを、ストラテジーン(Strate gene)のR408ヘルパーファージと、37℃で15分間混合した。5mlの豊富(rich) 細菌増殖培 地(2 X YT、 Sambrook et al.,同書参照)を加え、37℃で3時間培養した。チ ューブを70℃で20分間加熱して、4,000 X gで5分間遠心した。遠心後、200μlの 上清を等量のXL-1 Blue細胞(OD=1)に加え、この混合物を37℃で15分間インキ ュベーションし、その後、細菌細胞を50μg/mlのアンピシリン含有LBプレートに まいた。それぞれのコロニーをピックアップして、配列決定用のテンプレートを 調製した。このクローンを配列決定にかけ、ヒトのゲノム配列と比較した。 以上より、本発明の特異的な態様が例示のためにここに示されたが、本発明の 精神及び範囲から逸脱せずに、種々の修飾を行うことが可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ホレンバーグ、 スタンレイ・エム アメリカ合衆国、 オレゴン州 97219、 ポートランド、エスダブリュ・ラウンド ツリー・コート 6413 (72)発明者 タップスコット、 スティーブン・ジェイ アメリカ合衆国、 ワシントン州 98144、 シアトル、エス・ドーズ・テラス 3419

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.少なくとも15のヌクレオチドを具備し、以下のヌクレオチド配列から選 択したニューロD HLH領域と高厳密度条件下でハイブリダイズする、単離された 核酸分子:配列認識番号1のヌクレオチド577−696、配列認識番号3のヌ クレオチド376−495、配列認識番号8のヌクレオチド405−524、配 列認識番号10のヌクレオチド273−392、及びこれらの相補的配列。 2.プロモータ、請求項1に記載の核酸、及びポリ(A)テイルを連続的に配 置していることを具備したベクタ。 3.請求項1に記載の核酸分子で形質転換させた細胞。 4.高厳密度条件下で以下の配列から選択した核酸分子とハイブリダイズする 、請求項1に記載の単離された核酸分子:配列認識番号1、配列認識番号3、配 列認識番号8、配列認識番号10、及びこれらの相補的配列。 5.請求項1の核酸分子がコードする組み換えペプチド。 6.請求項4の核酸分子がコードする組み換えペプチド。 7.請求項5の組み換えペプチドに結合する、抗体、またはその抗原結合断片 。 8.請求項6の組み換えペプチドに結合することが可能な、抗体、またはその 抗原結合断片。 9.以下の配列から選択したペプチドに結合する、抗体、またはその抗原結合 断片:配列認識番号2、配列認識番号4、配列認識番号9、及び配列認識番号1 1。 10.以下のアミノ酸配列から選択したペプチドに結合する、抗体、またはそ の抗原結合断片:配列認識番号2のアミノ酸残基117−156、配列認識番号 4のアミノ酸残基118−157、配列認識番号9のアミノ酸残基117−15 6、及び配列認識番号11のアミノ酸残基91−130。 11.請求項1の核酸分子を非神経細胞に導入することを具備した、非神経細 胞から神経細胞への分化を誘導させる方法。
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