JPH11514522A - Mycobacterium tuberculosisのis6110に基づく改良型分子検出法 - Google Patents

Mycobacterium tuberculosisのis6110に基づく改良型分子検出法

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JPH11514522A JP9517193A JP51719397A JPH11514522A JP H11514522 A JPH11514522 A JP H11514522A JP 9517193 A JP9517193 A JP 9517193A JP 51719397 A JP51719397 A JP 51719397A JP H11514522 A JPH11514522 A JP H11514522A
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Abstract

(57)【要約】 臨床標本中のIS6110挿入エレメントの検出は、Mycobacterium tuberculosisによる感染を診断する迅速な方法である。IS6110 DNAに基づく、結核の信頼性のある診断試験を本開示中に記載する。全ての種類の臨床標本から生きた微生物を除去しそして核酸を精製する、「普遍的な」標本調製プロトコルを記載する。ポリメラーゼ連鎖反応において高い特異性でIS6110 DNAを増幅するために設計された、2つの核酸プライマーをも記載する。増幅されたIS6110 DNAは、制限エンドヌクレアーゼおよび電気泳動に基づくアッセイにより同定される。同定プロセスはまた、次のPCRにおいてDNAを増幅不可能にし、それにより他の標本の混入の可能性を減少させる。時間、労働、およびコストは最小化され、一方、使用者の安全および試験の信頼性は最大化される。完全なDNAの抽出、増幅、および分析は、8時間以内で、92%の感度および100%に近い特異性で、容易に達成される。同一の患者から連続的に得られたサンプルの試験によって、総検出率は100%まで増大する。

Description

【発明の詳細な説明】 MYCOBACTERIUM TUBERCULOSISのIS6110に基づく改良型分子検出法 発明の範囲 本明細書中に記載およびクレームされる発明は、任意の臨床標本に存在するM. tuberculosis挿入エレメントIS6110を検出することにより、Mycobacterium tub erculosisによる感染を決定するためのアッセイの設計および組成物に関する。 本明細書中に記載およびクレームされる発明はまた、全てのタイプの臨床標本か ら核酸を抽出する「普遍的な」方法の設計および組成物にも関する。本明細書中 に記載およびクレームされる発明はまた、ポリメラーゼ連鎖反応においてIS6110 部分を特異的に増幅し得る、2つの核酸プライマーの設計および組成物、ならび に増幅されたIS6110 DNAを同定するための、制限エンドヌクレアーゼおよび電気 泳動に基づく試験の設計および組成物にも関する。 発明の背景 Mycobacterium tuberculosisのため、1995年中に300万人が死亡すると予測さ れ(Dolinら)、結核は感染因子に起因する死亡の世界最大の原因となっている 。毎年新たに感染する人の数は増加し、そして現在880万人と見積もられている 。HIV感染の増加、ならびに世界的な移住および旅行様式の変化が、先進国にお けるこの疾患の復活を導いている。 結核は、M.tuberculosisによる感染(少数はM.bovisによる感染)に起因する 。数ダース種のミコバクテリアが知られており、そしてほとんどはヒトに対して 非病原性である。早期の結核はしばしば、他の点では健康な個体中で、認識され ずに進行する。古典的な初期の診断方法には、抗酸性ミコバクテリアの顕微鏡下 での痰スメアの検査、および肺のX線診断が含まれる。しかし、大多数の場合に おいて、痰スメア検査は疾患の初期段階におけるMycobacteriaに陰性であり、そ して感染後数ヶ月までは、肺の変化はX線で明らかでないこともある。別の複雑 な要因は、痰スメア中の抗酸菌が、しばしば他の種のミコバクテリアであり得る こ とである。 結核処置のために用いられる抗生物質にはかなりの副作用があり、そして6〜 12ヶ月にわたり、3以上の薬物を併用する形で投与されねばならない。さらに、 薬剤耐性結核の出現が誘導される可能性があるため、診断を支持するための確固 たる証拠がなければ、治療では投与が行えない。現在、唯一の絶対的に信頼でき る診断方法は、臨床標本からM.tuberculosisを培養し、そしてそれを形態学的お よび生物化学的に同定することに基づく。これは通常3〜6週間を要し、その間 に患者は深刻な病状になり得、そして他の個体に感染させ得る。従って、M.tube rculosisの存在を信頼をもって検出できる迅速な試験が、早期検出および処置に 不可欠である。 近年、いくつかの分子試験が、M.tuberculosisの迅速な検出および同定のため に開発されている。市販の試験、Gen-Probe「Amplified Mycobacterium tubercu losis Direct Test」が、Abeら,J.Clin.Microbiol.31:3270-3274(1993)お よびMillerら,J.Clin.Microbiol.32:393-397(1994)によって評価されてい る。この試験は、M.tuberculosisの16SリボゾームRNAを呼吸器標本から増幅し、 そして増幅された生成物を検出するために化学発光プローブを用いる。報告され た感度は約91%である。リガーゼ連鎖反応(LCR)(Abbott Laboratories)、ポリメ ラーゼ連鎖反応(PCR)(Roche Diagnostics Systems,Eastman Kodak Co.,Johnso n & Johnson)、Q-βレプリカーゼ(Gene Trak)、および鎖置換増幅(Becton Di ckinson)に基づく他の市販の試験は、Forbesら,J.Clin.Microbiol.31:1688 -1694(1993)の総説で議論されている。 ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(Saikiら,Science 239:487-491(1988))の開発に より、少量の核酸サンプルからDNAを増幅して検出できるようになり、臨床標本 中のM.tuberculosisに特異的な核酸の検出が可能になっている。最初の報告のい くつかは、16SリボゾームRNAまたはその遺伝子の検出に基づいていた。IS6110挿 入エレメントの発見(Caveら,Molecular and Cellular Probes 5:73-80(1991 )、Eisenachら,J.Infectious Diseases 161:977-981(1990)、Thierryら,J .Clin.Microbiol.28:2668-2673(1990))、およびこの配列がM.tuberculos isコンプレックス(M.tuberculosis、M.bovis、M.bovis-BCG、M.africanum 、 およびM.microti)にのみ存在し得るとの確信が、迅速な診断戦略の全ての系統 を生み出した(Brisson-Noelら,Lancet 338:364-366(1991)、Clarridgeら,J ournal of Clinical Microbiology 31:2049-2056(1993)、Cormicanら,J.Cli n.Pathology 45:601-604(1992)、Cousinsら,J.Clin.Microbiol.30:255-2 58(1992)、Del Portilloら,J.Clin.Microbiol.29:2163-2168(1991)、Fo lgueiraら,Neurology 44:1336-1338(1994)、Forbesら,J.Clin.Microbiol. 31:1688-1694(1993)、Hermansら,J.Clin.Microbiol.28:1204-1213(1990 )、Kaltwasserら,Molecular & Cellular Probes 7:465-470(1993)、Kocagoz ら,J.Clin.Microbiol.31:1435-1438(1993)、Kolkら,J.Clin.Microbiol .30:2567-2575(1992)、Koxら,J.Clin.Microbiol.32:672-678(1994)、L iuら,Neurology 44:1161-1164(1994)、Millerら,J.Clin.Microbiol.32:3 93-397(1994)、Paoら,J.Clin.Microbiol.28:1877-1880(1990)、Reischl ら,Biotechniques 17:844-845(1994)、Schlugerら,Chest 105:1116-1121(1 994)、Shawarら,J.Clin.Microbiol.31:61-65(1993)、Wilsonら,J.Clin .Microbiol.31:776-782(1993)、Zambardiら,Annales de Biologie Cliniqu e 51:893-897(1993))。これらの試験は、痰からDNAを抽出するための様々な 技術を用いる。PCRは抽出されたDNAからIS6110 DNA配列を増幅するために用いら れる。このDNAの増幅の成功が、M.tuberculosis感染の存在の指標となると考え られる。米国特許第5,168,039号および同第5,370,998号はCrawfordらに発行され ており、これはIS6110に基づく結核の検出についてのものである。欧州特許EP 0 ,461,045はGuesdonに発行されており、これはIS6110に基づく結核の検出につい てのものである。IS6110エレメントは、M.tuberculosis、M.bovis、M.bovis- BCG、M.africanum、およびM.microtiに、それぞれ10個、2個、1個、5個、 および5個のコピーで存在する(Spargoら,Moleculer and Cellular Probes 7: 395-404(1993))。 IS6110に基づく結核の検出を用いた報告のほとんどが、75%を越える感度およ び100%に近い特異性を主張している。しかし、Noordhoekら,J.Clin.Microbi ol.32:277-284(1994)により著された、7つの主要な研究所の間の盲検比較研 究により、偽陽性の割合が3〜77%で感度が2〜90%の範囲であることが報告さ れたとき、主要な関心事が提起された。参加した全ての実験施設が、IS6110を同 定するための独自の検出戦略の使用を許され、そして最終結果が、現在のプロト コルが感度および特異性の両方に関して極めて不十分であることを明確に示すの で、この研究は重要であった。Leeら,J.Neurological Sciences 123:173-179 (1994)による別の研究は、結核性髄膜炎の患者から得た脳脊髄液サンプルの分 析において、62%の偽陽性を報告した。同じ実験施設において先に処理されたサ ンプルに起因する、増幅IS6110 DNAの試料への混入が、いくつかの偽陽性を説明 し得る。しかし、ほとんどの研究室は混入を避けるための優れた標本封じ込め手 順を維持しているので、これは誤りの主要な原因ではない。別の可能性が存在し 、そしてこれはM.tuberculosis以外の微生物におけるIS6110様配列の存在であ る。IS6110は輸送可能な挿入エレメントであり(CalosおよびMiller,Cell 20:5 79-595(1980))、そしてこれらのDNAフラグメントは「可動性」であるという 特性を有する。DNA中の挿入エレメントは、特定の状況下で、微生物ゲノム中の 元の位置から「ジャンプ」し、そして同一ゲノムDNA中の別の部位に移動し得る 。挿入エレメントがしばしば微生物間を移動して進化して来たことを示す、進化 論的データも存在する。この事実は、分子生物学の分野に精通した者には周知で ある。IS6110はまた、他の微生物起源である(または他の微生物に伝播されて来 た)可能性があり、そしてDNAの特定の領域は、進化の間にこれらの微生物の間 で保存されて来たかも知れない。これは、いくつかの研究室が、M.tuberculosi sではない微生物由来のIS6110に関係するDNAストレッチを増幅している可能性を 提起する。これにより、文献に報告された偽陽性試験のいくつかが説明される。 この問題に取りかかるため、本発明者らは、GenBankに寄託された核酸配列の系 統的な分析を実行し、そしてM.tuberculosis以外の微生物中のIS6110に類似の 配列ストレッチを見出した。これらの微生物の多くが臨床標本中に見出された。 Marianiら,Journal of General Microbiology 139:1767-1772(1993)で公開さ れた報告も、M.tuberculosis IS6110エレメントに関係する配列の、微生物間の 水平移動を議論している。さらに、Kentら,J.Clin.Microbiol.33:2290-2293 (1995)は、M.tuberculosis以外のミコバクテリア由来のIS6110に関係する配 列を増幅し得、IS6110様の配列が他の微生物にも存在し、そしてそれらはM.tub ercu losisを検出するために設計された、おそらくIS6110に特異的なプライマーを用 いて行われたPCRにおいて検出され得るという疑いを確認した。 PCR増幅用プライマーの設計は、IS6110への特異性のために、慎重に選択およ び最適化されねばならない。プライム特性を考慮されずに設計されたプライマー は、他の微生物由来のIS6110関連配列にハイブリダイズし得、見かけ上は正確な サイズで増幅されたDNAを生じ得る。ハイブリダイゼーションに基づくアッセイ による、この増幅されたDNAの次の分析は、理想に満たない条件下で行われれば 、偽陽性試験を導き得る。Fidlerら,Tubercle and Lung Disease 74:414-415( 1993)も、IS6110配列に基づくいくつかのプライマーが、IS6110遺伝子に特異的 であるかもしれないし、またはそうでないかもしれないと述べている。 公開されたプロトコルの別の欠点は、核酸を抽出するために用いられる方法の ほとんどが、痰以外の標本にも容易に用いられ得ることである。単調で非効率的 なDNA精製を必要とするいずれの核酸抽出も、試験の速度および感度を減少させ る。さらに、非痰サンプルでは異なる抽出手順を実行する必要があるので、プロ セス全体が高価でかつ時間のかかるものになる。生きたM.tuberculosisを含む サンプルを扱う際の操作者の安全もまた主要な関心事であり、そして多くの公開 された核酸精製のためのプロトコルにおいては、全ての生きた微生物を除去する ことは不可能である。 公開された報告から、IS6110に基づく技術で、臨床診断試験に必要な信頼のレ ベルを提供するものは存在しないことが明らかになった。本発明者らは、核酸抽 出に関与する様々なパラメータの系統分析を実行し、そしてプロトコルを開発し そして最適化した。そのプロトコルは安全で、効率的であり、そして改変なしに 用いて、あらゆるタイプの臨床標本に存在するいかなる微生物からも核酸を精製 し得る。次いで本発明者らは、GenBankから入手可能な既知のIS6110様配列を分 析し、そしてIS6110のみを増幅し得、そして関連の遺伝子に由来する他の既知の 核酸配列を増幅し得ない、核酸プライマーを開発した。 研究室内にあらかじめ存在する増幅DNAの標本への混入は、それが偽陽性の結 果を導くために、診断研究室における主要な関心事である。本発明者らの増幅DN Aの同定戦略は迅速であり、そしてまた増幅DNAを、2つの部分に切断することで 不活化するように設計されている。これにより、続くPCR増幅においてDNAは増幅 し得なくなる。 本開示中で、本発明者らは、「普遍的な」標本調製プロトコルを系統的に分析 しそして開発し、IS6110特異的PCRプライマーを開発し、そして完全な「結果の ための標本」プロトコルを提供する、増幅DNAの同定および不活化戦略を開発し た。 発明の要旨 臨床標本中のIS6110 DNAの検出は、Mycobacterium tuberculosisによる感染を 診断する迅速な方法である。IS6110挿入エレメントに基づく、結核についての信 頼できる診断試験を本開示中に記載する。全ての種類の臨床標本から生きた微生 物を除去し、核酸を精製する「普遍的な」標本調製プロトコルを記載する。ポリ メラーゼ連鎖反応において高い特異性でIS6110 DNAを増幅するために設計された 、2つの核酸プライマーもまた記載する。増幅されたIS6110 DNAは制限エンドヌ クレアーゼと電気泳動とを組み合わせたアッセイにより、同定される。同定プロ セスはまた、次のPCRにおいてDNAを増幅不可能にし、それにより他の標本の混入 の可能性が減少する。時間、労働、およびコストが最小化され、一方、使用者の 安全および試験の信頼性は最大化される。完全なDNAの抽出、増幅、および分析 が、8時間以内で、92%の感度および100%に近い特異性で、達成される。同一 の患者から連続的に得られたサンプルの試験によって、総検出率は100%に増大 する。 図面の簡単な説明 図1は、M.smegmatisおよびM.tuberculosisの分離株で、IS6110用のプライマ ー(GGTGCGTAAG TGGGTGCGCC AGGCおよびGCAGATCGAC TCGACACCCC AC)を用いて実 行されたPCRでの、正確および不正確なプライミングの例である。図2は、IS611 0の増幅および制限エンドヌクレアーゼ消化を示す。図3は、Crawfordらの特許 に記載される、PCRプライマーの位置(下線部)およびSalI(GTCGAC)制限酵素 部位を示す。本発明のプライマー配列番号1および配列番号2の位置は、本発明 の検出技術において用いられた制限酵素部位BamHI(GGATCC)に沿って、大文字 で示される。図4は、Guesdonらの特許に記載される、3つのPCRプライマー(下 線部)B、C、およびDの位置を示す。本発明のプライマー配列番号1および配列 番号2の位置は、本発明の検出技術において用いられた制限酵素部位BamHI(GGA TCC)に沿って、大文字で示される。 発明の詳細 この研究の目的は、信頼でき、迅速かつ安全なM.tuberculosisの検出を可能に する、包括的な技術の組合せを開発することである。いかなるPCRに基づく診断 スキームにおいても制限的な段階はサンプルの溶解、DNA抽出、特定のDNAの増幅 、および増幅DNA(アンプリコン)の同定である。 臨床標本(数分前のものから数年も保管されたサンプルまで変動し得る)から の核酸の精製は、困難な仕事である。液体の標本は、尿および脳脊髄液のような 水様のものから、膿、凝固した血液および痰のように濃い物質まで、粘度が変動 する。固体の標本は、器官の生検から組織切片より作製されるスライドまで、様 々であり得る。M.tuberculosisの存在を決定するためのサンプルを調製するた めの、一般に受け入れられている「標準的な」プロトコルは存在しない。この問 題の重大性は、PCRに基づく結核の診断を記載する刊行物が、異なるDNAの抽出技 術を多数記載しているという事実から明らかである。普遍的な方法は、細胞を溶 解して核酸を抽出するために、1以上の以下の試薬を用いる。標本を、酵素、界 面活性剤、アルカリ、有機溶媒、またはカオトロピック試薬を含む試薬中で混合 することにより、溶解する。種々の暴露期間の後、これらの溶解試薬から核酸を 分離するために、様々な技術を用いる。本発明者らは、酵素、界面活性剤、アル カリ、および有機溶媒によるM.tuberculosis溶解の結果を比較し、そしていか なる溶解試薬を用いるよりも、単に培養M.tuberculosisの細胞懸濁液を純粋な 水の中で15分間煮沸させる方が良いことを発見した。一連の実験において、M. t uberculosis培養物の連続希釈液を、酵素、界面活性剤、アルカリ、または有機 溶媒のいずれかからなる溶解試薬での処理による溶解に供した後、水浴中で15分 間煮沸した。PCRをこれらの溶解液において実行した。驚くべきことに、水に再 懸濁させたM.tuberculosisのみを含むコントロールチューブが、任意の溶解 試薬を用いた試験よりも10倍大きな検出感度を示した。本発明者らは、2コロニ ー形成単位と等価量のM.tuberculosisからDNAを増幅できることを見出した。煮 沸溶解の安全性を評価し、そして1.5mlポリプロピレンスクリューキャップチュ ーブ中のM.tuberculosis培養物の懸濁液が、煮沸水浴中に置かれると15分で生 存不能になることを決定した。従って、煮沸水中での15分間は、全ての生きたM. tuberculosisを完全に死滅させ、そしてさらなる分析のために標本を安全なも のにするには十分であった。この発見は、Zwadyk Jr.らにより報告された結果に 類似する。 M.tuberculosisの純粋な培養液を煮沸するのは容易であるが、臨床標本を煮 沸するのは不得策である。なぜなら、標本中のタンパク質が凝固する傾向があり 、そして結果として溶解細胞から放出された全てのDNAが凝固物に捕捉され、核 酸をさらに精製することが不可能になるからである。さらなる実験から、グアニ ジンチオシアネートの付加がタンパク質の凝固を防ぎ、そして臨床標本の煮沸が 可能になることが示された。本発明者らはさらに、グアニジンチオシアネートへ のアルカリ性フェノール(pH8.0)の付加によって、溶解標本からのDNAの優先的 な精製が可能になることを発見した。グアニジンチオシアネートおよびフェノー ルの存在によって、この試薬の組合せが極めて溶解的かつ殺菌的になる。同じチ ューブ内でクロロホルム抽出および遠心分離を続けたとき、DNAは優先的に水相 に分離され、アルコールに暴露することでそこから容易に沈澱する。本発明者ら は、この迅速で単純な、一般的な溶解およびDNA抽出の手順を用いて、1000を超 える標本を処理した。標本は、ミコバクテリアおよび真菌の純粋培養液から、痰 、気管支肺胞液、組織ホモジネート、脳脊髄液、尿、血液、創傷スワブ、および 組織のパラフィン包埋スライドの屑(scrapings)までの範囲にわたる。一般的な 溶解は、体液および組織の中に存在し得る、事実上どの微生物からも高い質のDN Aを提供する。従って、特殊な「微生物または標本に特異的な」形態の溶解を実 行する必要は除去される。一般的な溶解手順よりも単純な唯一の技術は、水中で サンプルを煮沸する事である。水中での煮沸は純粋培養液にはしばしば具合が良 いが、臨床標本中のタンパク質性の物質が凝固し、そして回収不可能なほどにDN Aを捕捉することを防ぐためには、グアニジンチオシアネートのようなカオトロ ープ(c haotrope)の添加が必要である。PCR増幅を阻害する化学物質の存在も主要な関心 事であり、そして本発明の「普遍的な」溶解はこの落とし穴を避けるようである 。これには本発明のグアニジンチオシアナートの使用がある程度関係し得る。こ れは、この化学物質が、PCR阻害剤をさもなければ増幅不可能な標本から除去す るという、Brisson-Noelらの報告による。 本発明のDNA抽出手順は、ChomczynskiおよびSacchiにより記載される技術に類 似し、ここで彼らは、細胞および組織からRNAを優先的に抽出するために、酸性 グアニジウムチオシアネート-フェノール-クロロホルムを利用した。本発明の方 法は、彼らの技術とはいくつかの点で異なる。彼らの細胞溶解は、RNAの完全性 を維持するために、室温(22℃)で実行された。本発明者らは、細胞溶解を100 ℃での煮沸により実行した。煮沸はいくつかの重要な機能を担う。煮沸により、 真菌およびミコバクテリアのような病原体の溶解されにくい細胞壁が溶解される 。グアニジンチオシアネートの存在下での煮沸は、不溶性の組織断片、およびさ もなければDNAを捕捉する凝固したタンパク質性の堆積物を分解する。煮沸によ り感染因子が死滅し、そして標本は研究所の職員によって扱われるのに安全なも のになる。最後に、煮沸は染色体をより小さなDNAフラグメントに分解する。そ のフラグメントは、細胞堆積物に捕捉されにくく、従ってより容易に精製される 。ChomczynskiおよびSacchiは、酸性グアニジウムチオシアネート-フェノール- クロロホルムを用いて、細胞および組織からRNAを抽出した。一方、本発明者ら は、アルカリ性グアニジンチオシアネート-フェノール-トリスを用いて、多様な 種類の臨床標本から優先的にDNAを抽出した。アルカリ性フェノールの環境が極 めて重大な目的を担う。なぜなら、アルカリ性条件下ではRNAが優先的に有機相 に残りそして捨てられるが、一方、DNAは安全に水相へ分離し、そこからイソプ ロパノール沈澱により回収されるからである。ChomczynskiおよびSacchiにより 記載された酸性条件は、DNAの脱プリン化(depurinating)および小さく増幅不可 能なフラグメントへの切断により、DNAに不可逆的に損傷を与える。そして酸性 の環境はまた、DNAを優先的に有機相へ分離させ、そして水相へのRNAの優先的な 分離の間にDNAが捨てられる原因にもなる。少なくとも3つの会社が、グアニジ ン-フェノール試薬を含むキットを市販しており、それはRNA抽出用(Tel-Test, Frien swood,TXによるRNAzolおよびLife Technologies,Gaithersburg,MDによるTRIz ol)またはRNA/DNA/タンパク質抽出用(Molecular Research Center,Cincinnat i,OHによるTri Reagent)である。全てが室温での抽出を用いており、そして細 胞培養物およびホモジネートされた組織において用いられ得る。本発明者らは、 臨床標本中の病原性微生物からDNAを抽出するための、アルカリ性グアニジンチ オシアネート-フェノール-トリス中での煮沸溶解の使用を記載する報告を、全く 見出さない。ChomczynskiおよびSacchiの技術も、これら市販のキットを用いた プロトコルのいずれも、それらの臨床標本への有用性を記載していない。現在の 形態では、4つの方法全てが、本発明のプロトコルの容易性および効率で、全て の臨床標本からPCRの質のDNAを提供し得ない。さらに、真菌やミコバクテリアの ような病原体は、室温ではこれらの試薬で完全に溶解されず、研究所の職員に潜 在的な健康の危機を提起する。 本発明の「普遍的な」DNA抽出プロトコルを、記載されるように用いる。痰、 気管支肺胞洗浄液、脳脊髄液、尿、または他の体液/滲出液のような、200μlの 液体の標本を用いる。濃厚な膿のサンプルについては、100μlの標本を100μlの 滅菌水と混合する。尿のような希薄な標本は、遠心分離によって濃縮し得る。10 0μlの血液は、100μlの滅菌水と混合する。(もしあれば)凝血は、ピペットを 数回上下させることで分解する。細菌、真菌、ウイルス、またはミコバクテリア の培養液50μlを、150μlの滅菌水で希釈する。平板培養では、1白金耳量の微 生物をボルテックスにより200μlの滅菌水に再懸濁する。感染供給源からのスワ ブを、300μlの滅菌水を含む小型遠心分離チューブに浸し、そしてチューブの側 面に寄せて搾り出す。200μlをサンプル調製のために用いる。固体の組織を滅菌 水中でホモジネートし、一方スライドに固定された切片を、滅菌したメスを用い て削り取り、そして200μlの滅菌水に再懸濁する。この節に記載される全ての方 法の目的は、いかなる臨床標本をも可能な限り細かく分解し、そしてそれを200 μlの容積の水性液体に再懸濁することである。事実上いかなる臨床標本もこれ らの方法の一つによって処理され得る。 1.5mlのOリングシール付きSarsted(Newton,North Carolina)ポリプロピレ ンスクリューキャップチューブを、抽出のために用いた。200μlの標本を500μl のアルカリ性グアニジンチオシアネート/フェノール/トリス(GPT)試薬(6Mの グアニジンチオシアネートを50mMのトリス(pH8.3)に溶解させ、等容量のトリ ス(pH8.0)中で緩衝化したフェノールと混合した)に添加した。これをボルテ ックスによって混合し、即座に煮沸水浴中に15分間置いた。チューブを小型遠心 分離器中で5秒間回転させた。250μlのクロロホルム/イソアミルアルコール( 容積比24:1)を添加し、ボルテックスにより混合した。液相を、小型遠心分離 器中14,000rpm、10分間の遠心分離によって分離し、450μlの水相(上相)を新 鮮なチューブに移した。水相を500μlの100%イソプロパノールと混合し、そし て-20℃で少なくとも1時間置いた(-20℃で一晩放置され得る)。この期間の終 了時に、チューブを小型遠心分離器中で14,000rpm、15分間遠心分離し、そして 核酸ペレットを乱さずに上清を除去した。痕跡量のGPT試薬を除去するために、 穏やかに2回転倒させ次いで5分間遠心分離することにより、ペレットを、500 μlの氷冷した70%エタノールで洗浄した。エタノールを除去し、そしてペレッ トを高速吸引機(speed vac)中で10分間乾燥した。DNAペレットを25μlの脱イオ ン水に再懸濁し、そして5μl(純粋培養の溶解物の場合は1μl)を50μlのPCR 増幅で用いた。 「普遍的な」標本溶解およびDNA抽出プロトコルの開発は、事実上任意の所定 の臨床標本から、迅速に、安全に、かつ信頼度が高くDNAを精製するという、本 発明者らの最初の目的を完了した。本発明の「普遍的な」溶解プロトコルはまた 、「真菌の検出および同定のための核酸プローブ」と題された、本発明の米国特 許出願(出願番号08/373,127、1995年1月出願)にも記載される。欧州特許EP 0 556 521 A1「殺菌剤を用いたサンプル処理」(Deyら、92年12月)は、ミコバク テリアからのDNAの抽出に用いられるための様々な化学物質を記載する。記載さ れるいずれの方法も、本発明の「普遍的な」溶解およびDNA抽出戦略に関係しな い。 本発明の次の目的は、特異性および感度の高いIS6110挿入エレメント由来のDN Aを増幅するために用いられる、一組のPCRプライマーを開発することである。本 発明の主要な目的は、他の研究所が直面する落とし穴に挑み、それを回避するこ とであった。研究所はその落とし穴のために、背景の部で議論したように、多数 の偽陽性標本を経験した(Noordhoekら、Leeら、Kentら)。特異性のための最初 の段階として、本発明者らは、M.tuberculosis IS6110配列と何らかの相同性を 有する、他の微生物由来の配列を同定するために、GenBank中の配列を分析した 。GenBankから得られた1360塩基対のIS6110配列は、200塩基対の断片へと編集さ れ、そして各200塩基対単位を関連配列についてGenBankを調査するために用いた 。目的は、他の微生物由来の遺伝子と共通の配列モチーフを共有するような、IS 6110 DNAの副領域を同定することである。PCRプライマーに誤ったプライム部位 を提供するのに十分に大きい相同な領域を有するいくつかの配列には、Mycobact erium smegmatis挿入配列IS1137、Pseudomonas syringae挿入配列IS51、Pseudom onas cepacia挿入配列IS401、Escherichia ColiトランスポゾンTn3411、およびA grobacterium tumefaciens Tiプラスミドが含まれる(GenBankアクセス番号X709 13、M14365、L09108、M19532、X55075)。これらの微生物のいくつかは決して臨 床標本中では見出されないが、これらの配列の存在は、気道にコロニーを形成し 得る微生物の中で、より関連した配列(まだ発見されていないが)に遭遇する可 能性を強く支持する。 図1は、M.tuberculosis由来のIS6110を増幅するために用いられるプライマ ー対が、いかにして異なる微生物由来の非IS6110 DNAを容易に増幅し得るかの、 適切な実証である。正しい増幅物および誤った増幅物の両方がゲル上で全く同じ に見えるので、非IS6110増幅物をIS6110増幅物であると誤認することは容易であ り、それは結核について偽陽性の試験結果をもたらす。図1の写真は、M.smegm atisおよび2つのM.tuberculosisの単離株において、IS6110プライマーを用い て行われたPCRの間に増幅されたDNAを含む、ゲルを示す。プライマーはGGTGCGTA AG TGGGTGCGCC AGGCおよびGCAGATCGAC TCGACACCCC ACの配列を有する。M.smegm atis IS1137挿入エレメントは、これらのプライム部位とわずかな塩基が異なる のみであり、IS6110増幅物において予測されるのとほぼ同じサイズの増幅物を生 成する。レーン1はφ X-174 HaeIIIサイズマーカーを示し、レーン2はM.smeg matisを示し、レーン3および4はM.tuberculosisの2つの単離株を示し、レー ン5はPCR増幅の陰性コントロールを示す。 PCR増幅に用いるための高度に特異的な核酸プライマーの設計では、プライマ ーを首尾良く設計することに関する全ての要素を慎重に考慮する必要がある。最 も重要な局面の1つは、プライマーの3'末端に存在する最後の数塩基の位置、 組成、およびプライム特性である。3'側塩基が完全にDNAストレッチにアニール する限り、プライマーはPCRでの増幅に利用され得る。そして意図されない標的 配列は前節で実証されたように増幅され得る。従って、PCR増幅用の両プライマ ーの3'末端が、所望の標的配列に対して高度に特異的であることが不可欠であ る。PCRプライマーの3'末端のプライム特異性の重要性は、Sommerらによっても 、ヒト遺伝子の変異および多型性を診断する際に実証されている。 一旦、他の遺伝子と共通なIS6110の領域が同定されると、これらをPCRプライ マーに対する潜在的な部位として除外した。IS6110エレメントと関連配列との徹 底的な比較分析を行った。IS6110に特異的で、そして数種の生物由来のDNAの存 在下でも作用するのに十分な感度の(ほとんどの臨床標本は、様々な割合で混合 しているヒト、細菌、ウイルス、および真菌のDNAを有する)PCRプライマーに対 する部位は、明らかではなく、そして本発明者らの知り得る限りは文献中で報告 されていなかった。ハイブリダイズ特性、二次構造、および熱プロフィルを分析 した後、いくつかの潜在的プライマーをIS6110に「特有な」領域に選択した。次 いで潜在的プライマーをGenBank中の全ての遺伝子と比較し、そして他の遺伝子 の領域と顕著な相同性を有する全てのプライマーを削除した。わずかに残った潜 在的プライマー対を、塩基組成、熱安定性、アニーリング特性、特有の3'末端 、ヘアピンの非存在、GC含有量、およびプライマー二量体形成の非存在について 再評価した。ほとんどの基準を満たす2つのプライマーを選択した。プライマー 配列番号1=TTCGGACCAC CAGCACCTAA CCおよびプライマー配列番号2=CCTTCTTGTT GGCGGGTCCA Gである。 気道標本から抽出されたいずれのDNAも、この領域に存在する細菌のDNAととも に、ヒトのDNAを含む。従って、本発明者らは、様々な細菌およびミコバクテリ アから単離されたDNAと同様にヒトDNAを増殖させる、本発明のプライマーの能力 を試験した。結核歴の無い個体から得た貯留痰(pooled sputum)をまた、プライ マーの特異性を決定するために試験した。この貯留痰は、ヒトの気道に存在する 可能性のあるほとんどの細菌、真菌、およびウイルスの、典型的なサンプルを含 むと予測された。偽陽性試験をもたらし得るいかなるDNAも、貯留痰中に潜在的 に検出されるべきである。結核の原因とならないが痰スメア中に抗酸性微生物と して存在し得る、いくつかのミコバクテリアもまた試験した。本発明のプライマ ー対(配列番号1および配列番号2)で増殖され得るいかなる関連配列をも同定 する試みで、PCRを行った。PCR試薬を、PCR試薬の調製専用の無菌室で作製しそ して分注した。標本、培養液、または精製DNAはどれも、PCR混合室には決して持 ち込まれなかった。標的DNAを、増幅DNAに決して暴露していない隔離室の中で、 PCR混合物に添加した。増幅を、Perkin-Elmer 9600熱サイクル装置(Norwalk,C onnecticut)で、個々のキャップの付いた薄壁の200μlのPerkin-Elmerチューブ を用いて行った。PCRチューブに添加した最初の溶液は、2.5μlの10×PCR緩衝液 (100mMトリス(pH8.3)、500mM KCl、15mM MgCl2)、5.0μlの50%グリセロー ル/1mMクレゾールレッド、8.0μlのdNTP混合物(それぞれ1.25mMずつのdATP、d GTP、dTTP、およびdCTP)、2.0μlのプライマー配列番号1=TTCGGACCAC CAGCACC TAA CC(5ピコモル/μl)、プライマー配列番号2=CCTTCTTGTT GGCGGGTCCA G( 5ピコモル/μl)、および5.5μlの水を含んでいた。1個のAmpliwax PCR Gem-5 0ワックスビーズ(Perkin-Elmer,Norwalk,CT)を添加し、そしてチューブを加 熱ブロックに80℃で30秒間置き、そして室温まで冷却してワックスの隔壁を形成 させた。2.5μlの10×PCR緩衝液、5.0μlの50%グリセロール/1mMクレゾールレ ッド、12.3μlの水、および0.2μlのTaqポリメラーゼ(AmpliTaq 5U/μl,Perk in-Elmer)を含む20μlの溶液を、各チューブに添加した。チューブを混合調製 室から移動し、そして「普遍的な溶解」由来の5.0μlのDNA鋳型を、各チューブ に添加した。チューブを94℃に予熱された熱サイクル装置中に1分間置き、次い で94℃で30秒間、65℃で30秒間、そして72℃で1分間の増幅を50サイクル行い、 そして最後は72℃で10分間延長した。 PCRに続き、10μlずつの各サンプルを、200ボルトで20分間、1×TBE緩衝液( 0.1Mトリス、0.09Mホウ酸、1mM EDTA、pH8.3)中の5%ポリアクリルアミド小 型ゲルに流した。ゲルを、1×TBE中0.5μg/mlエチジウムブロミドで4分間染 色し、そして短波UVライトボックスで可視化した。表1に示すように、M.tuber culosisおよびM.bovis由来のDNAのみが、適切なサイズの増幅物を生じた。この 発見から、本発明のプライマーがIS6110に特異的であり、そして非IS6110標的 を偽陽性にしないことが示された。M.smegmatisでは、それがIS6110エレメント に極めて類似する挿入エレメントを含むにも関わらず、偽陽性が全く観察されな かったことに留意するべきである。さらに、M.avium、M.intracellulare、M. fortuitum、M.kansasii、M.xenopi、M.malmoense、またはM.chelonae由来の DNAにおいても偽陽性は全く見られなかった。このことは、これらの微生物由来 のIS6110様配列をM.tuberculosis IS6110 DNAを増幅するために設計されたプラ イマーを用いて増幅し得る能力を実証した、Kentらの発見とは異なる。 正確なサイズの増幅物がゲル上に存在することは、増幅物の相同性を証明する ためには十分でない。増幅物の同定は、DNAを直接配列決定し、そしてそれを既 知のIS6110配列と比較することによって、最も正確に行われる。現在、これは費 用効果のある方法ではなく、そして達成には24時間かかる。プローブのハイブリ ダイゼーションに基づく様々な方式の1つを用いる増幅DNAの分析は、Kohneに発 行された米国特許第4,851,330号で議論されるように、効果的な分析手段である 。 しかしそれは1組のサンプルを処理するのに1日を要し得る。さらに、増幅DNA の過度の取り扱いは、IS6110について試験されている増幅DNAが混入標本となり 、そして再増幅され、偽陽性試験の結果をもたらすような、さらなる混入の問題 を持ちかける。従って、PCR混入防止戦略を遵守することが重要である。 本発明の次の目的は、信頼できる増幅物の同定方法を開発することであり、そ してその方法は、増幅DNAを不活化し、そしてそれが本発明のPCRプライマー配列 番号1および配列番号2によってさらに増幅されるのを防ぐ。制限酵素は、高度 に特殊化したタンパク質であり、二本鎖DNA上の特定の配列を認識する。制限酵 素はDNAのこれらの特異的な部位に結合し、そしてDNAの各鎖のホスホジエステル 結合を加水分解し、「断片」を生成する。本発明のプライマー配列番号1および 配列番号2により増幅されたIS6110のフラグメントは、GGATCCと読まれる6塩基 対DNA配列のストレッチを有する。この配列は、増幅物の一端から約110塩基、他 端から約85塩基の位置にある。GGATCC配列は、制限エンドヌクレアーゼ酵素であ るBamHIまたはイソシゾマー(isoschizomer)の認識部位および切断部位である。B amHIに対するイソシゾマーは、BamHIと同一の配列でDNAを切断する任意の異なる 制限酵素である。配列番号1および配列番号2によって生成されたIS6110増幅物 を酵素BamHIと共にインキュベートすると、増幅物は、110および85塩基対の長さ の2片に切断される。これら2つのDNAフラグメントをゲル電気泳動によって検 出し、そして増幅DNAの相同性が確認される。増幅DNAを2つの部分に切断するこ とによってまた、DNAの完全な線形性が破壊され、そしてプライマー配列番号1 および配列番号2を用いて行われたPCRにおいて、DNAがさらなる複製のための鋳 型として機能するのが阻止される。これにより事実上、増幅DNAが安全処理(ster ilize)され、そして全長の増幅物に他の標本が混入する可能性が減少する。 適切な制限部位の分析と組み合わされた、増幅物のサイズは正確で非常に迅速 な分析手段である。一連の40個程度のサンプルを、1.5時間以内に分析し得る。D NAの断片を同定するための制限フラグメントの使用は、当該分野に置いて周知で ある。 PCRの完了の際に、増幅DNAは固化したワックスの層の下に封印されて残る。制 限エンドヌクレアーゼ消化を、7.5μlの10×BamHI緩衝液、16.5μlの水、および 1μl(10U)のBamHI制限エンドヌクレアーゼ(Boehringer Mannheim,Indianap olis,Indiana)を含む25μlの混合物をこのワックスの最上部に置くことにより 、行う。ワックスの隔壁をピペットチップで破壊し、そして2つの液体を穏やか にピペッティングして混合する。チューブを37℃で20分間放置し、全ての増幅IS 6110 DNAの消化を完了させる。各サンプルのアリコートを、1×TBE(0.1Mトリ ス、0.09Mホウ酸、1mM EDTA、pH8.3)緩衝液中の5%ポリアクリルアミド小型 ゲル上で、200ボルトで20分間、電気泳動する。ゲルを、1×TBE中0.5μg/mlエ チジウムブロミドで、4分間染色する。存在する全てのDNAが、短波UVライトボ ックスで可視化される。110および85塩基サイズの2つのバンドの存在により、I S6110の存在が確認される。 図2は、プライマー配列番号1および配列番号2を用いて、ミコバクテリアの パネルにおいて行われた、PCR増幅の結果を示す。M.bovisおよび4つの異なるM .tuberculosisの単離株のみが、増幅物を生じた。5つ全ての増幅物のBamHI制 限エンドヌクレアーゼ消化産物が、2つのDNAフラグメントの相同パターンを示 し、そしてこれによりIS6110の存在が確認される。図2は、それぞれ15レーンを 含む、2つの近接した5%ポリアクリルアミドゲルの写真である。(レーン1お よび16:φ X-HaeIIIサイズマーカー。レーン2〜15:M.malmoense、M.intrac ellulare、M.fortuitum、M.gordonae、M.smegmatis、M.phlei、M.nonchrom ogenicum、M.xenopi、M.szulgai、M.kansasii、M.triviale、M.marinum、M .simiae、M.chelonae。レーン17:M.avium。レーン18:M.bovis。レーン19 〜22:M.tuberculosisの4つの分離株。レーン23〜27:レーン18〜22由来のM. bovisおよび4つのM.tuberculosisの増幅物の、BamHI消化産物。レーン28〜30 :PCR増幅における陰性コントロール。) PCR手順の感度は、溶解手順の有効性および増幅条件に直接に影響される。前 述のように、アルカリ、界面活性剤、有機溶媒、またはプロテアーゼの存在は、 純粋な水の中でのサンプルの煮沸に比べ、感度を約10分の1に減少させる。次に 、本発明者らは、本発明により記載された様式でワックス隔壁を用いる温態始動 (hot-start)PCR増幅が、従来の冷態始動(cold-start)PCR増幅に比べ、本発明の 試験の感度を少なくとも1000倍に増加することを見出した。これは、温態始動お よ び冷態始動の増幅条件下で、連続希釈されたM.tuberculosis DNAを比較するこ とで行われた。冷態始動反応では、全ての試薬が室温でPCRチューブ中で混合さ れる。この低温により、いくらかのプライマーが互いにおよび非特異的なDNA標 的とアニールするのが可能になり、そしてTaqポリメラーゼは、これらの誤って アニールされたプライマーにdNTPを付加して伸長する。このプライマーの損失に より、所望の標的遺伝子が増幅されるために残る試薬の量が減少する。温態始動 反応では、プライマーおよびdNTPがワックス隔壁によってTaqポリメラーゼおよ びDNA鋳型から隔離されたままである。この隔壁は、チューブを熱サイクル装置 に置きそして94℃まで加熱すると、溶解する。温帯始動でさえも、サンプルは時 折(通常は試験された総標本数の1%未満)プライマー二量体を形成し、これは ポリアクリルアミドゲル電気泳動において見られ得る。プライマー二量体の存在 により、感度の減少のためにPCRが失敗した可能性が示され、分析の繰り返しが 必要とされる。プライマー二量体形成の防止による、増幅におけるこの改良は、 元々はChouらにより留意された。 本発明の詳細に記載される全てのプロトコルの個々の構成要素は、極めて迅速 で、信頼性があり、かつ費用効果のある結核の検出するために設計された、包括 的なプロトコルに併用された。この診断プロトコルは8時間以内に完了し得、従 って同日中に診断を提供し得る。全てのタイプの臨床標本から生きた微生物を除 去しそして核酸を精製する、効率的で「普遍的な」標本調製プロトコルは、ポリ メラーゼ連鎖反応において高い特異性でIS6110 DNAを増幅するように設計された 2つの核酸プライマーと併用されると、本発明のプロトコルに高い信頼性を与え る。同定プロセスもまた、その後のPCRにおいてDNAを増幅不可能にし、それによ り他の標本が混入する可能性が減少する。 この速度、安全性、感度、および特異性は、使用の容易性および低いコストと 合わせて、本発明者らの知り得る限り、いかなる報告にも述べられていない。本 発明者らは、信頼性のあるPCRに基づく結核用試験を開発するため、全ての重要 な変数を系統的に分析しそして最適化した。本発明者らが取り組んだ変数の重要 性、試験結果への貢献、および統合は、自明ではなく、そして、完全な試験手順 を提供するための全ての段階のサンプルの取り扱いおよび試験を最適化する目的 を伴う包括的な様式では、以前には決して取り組まれていない。米国特許第5,16 8,039号において、Crawfordらは、IS6110遺伝子、およびそのサブクローンの、 結核を検出するためのハイブリダイゼーションプローブとしての使用を記載する 。本発明者らは、時間を消費するハイブリダイゼーションに基づく検出の使用を 避け、そして代わりに、増幅DNAを迅速に同定するための、BamHIでの制限エンド ヌクレアーゼ消化に信頼を置く。これはまた、プローブが間違って増幅されたIS 6110関連配列に誤ってハイブリダイズする可能性も減少させる。Crawfordらに発 行されたさらなる米国特許第5,370,998号は、SalI制限酵素部位を含み、IS6110 の123塩基対フラグメントを増幅する2つのPCRプライマーを記載する。1つのタ イプの標本(痰)からDNAを抽出するための方法も記載される。痰標本からIS611 0を検出するプロセス全体は、報告によると48時間で達成される。本発明の検出 戦略は全ての臨床標本に用いられ得(Crawfordらにより記載される痰標本のみと は対照的に)、そして本発明の検出プロセス全体は8時間以内で完了され得る。 IS6110遺伝子に基づく結核の検出についての欧州特許EP 0 461 045 A1は、Gue sdonに発行されている。彼らは、IS6110を増幅するために様々な組合せ(AとB、 C、またはD、およびHとG)で用いられ得る8つのPCRプライマー(A、B、C、D、E 、F、G、H)を記載している。DNA抽出戦略は記載されておらず、そして請求項は 、記載されたプライマーに80%の相同性を有するオリゴヌクレオチドプライマー は、IS6110もまた首尾良く検出するというものである。これはM.tuberculosis の純粋培養においては真実であるが、高レベルな特異性を有さないプライマーは 無関係の遺伝子を増幅する可能性があり得るので、前提が自滅的である。 図3は、Crawfordらの特許に記載された、PCRプライマーの位置(下線部)お よびSalI(GTCGAG)制限酵素部位を示す。本発明のプライマー配列番号1および 配列番号2の位置は、本発明の検出技術で用いられる制限酵素部位BamHI(GGATC C)とともに、大文字で示される。プライマー配列番号1はCrawfordらのプライ マーの1つと5塩基対が重複し、そしてCrawfordらのプライマーの3'末端から1 7塩基離れた位置に3'末端を有する。本発明のプライマー配列番号1および配列 番号2が、Crawfordらのプライマーに関係しない特有の3'末端を有すること、 そしてこの特有のプライム特異性が、高レベルの信頼性でIS6110の検出を可能に することに留意するべきである。Mycobacterium tuberculosis IS6110配列にお いて、最初の塩基の数は、GenBank配列、アクセス番号X17348およびM29899に示 されるとおりである。特許に記載されたCrawfordらのプライマー配列は、GenBan k配列にはない1つのさらなる塩基を有する。この塩基は図中に示された配列に 加えられており、そしてプライマー配列中に太字で大文字の「C」で印す。 図4は、Guesdonらの特許に記載された3つのPCRプライマー(下線部)B、C、 およびDの位置を示す。本発明のプライマー配列番号1および配列番号2の位置 は、本発明の検出技術で用いられる制限酵素部位BamHI(GGATCC)とともに、大 文字で示す。プライマー配列番号2はGuesdonらのプライマーCおよびDとそれぞ れ11および16塩基対が重複し、そしてGuesdonらのプライマーの末端から19およ び16塩基離れた位置に3'末端を有する。本発明のプライマー配列番号1および 配列番号2が、Guesdonらのプライマーのいずれにも関係しない特有の3'末端を 有することに留意するべきである。Mycobacterium tuberculosis IS6110配列に おいて、最初の塩基の数は、GenBank配列、アクセス番号X17348およびM29899に 示されるとおりである。Guesdonらのプライマー配列B、C、およびDは、それぞれ のプライマー配列の両端にBB'、CC'、およびDD'と印し、下線を引くことで示さ れる。特許に記載されたプライマーBは、GenBank配列にはない1つのさらなる塩 基を有する。この塩基は図中に示された配列に加えられており、そしてプライマ ー配列中には太字で大文字の「C」と印す。 本発明のさらなる改変は、当業者には明らかである。以下に本発明の様々な局 面を例示するが、発明の有用性を限定する意図はない。 実施例1.臨床標本における、特異的増幅ならびに制限エンドヌクレアーゼに 基づく結核の同定 普遍的な溶解を含む結核検出プロトコル、特異的なIS6110増幅、制限ヌクレア ーゼによる増幅物の分析、および増幅物の安全処理の組合せを、臨床標本上で試 験した。 本発明者らは、104の痰標本を培養により試験し、そして48がM.tuberculosis 陽性であることを見出したが、一方、別の24は他のミコバクテリア種について陽 性と試験された。次いで、これらの痰標本を、本発明の完全なIS6110に基づく結 核検出戦略に供した。この戦略は、それぞれの痰標本の普遍的な溶解およびDNA 抽出、プライマー配列番号1および配列番号2を用いる温態始動PCR増幅、BamHI 制限エンドヌクレアーゼ消化および増幅物の安全処理、ならびにポリアクリルア ミド小型ゲル電気泳動から構成されていた。結果を表2に示す。本発明の技術で 、培養においてM.tuberculosis陽性であった48標本のうちの、44が検出された 。本発明の結果は、培養可能なM.tuberculosisを含む痰の同定に対して、92% (48中44)の感度を示した。しかし、臨床試験では複数のサンプル(数日間にわ たって連続的に採取された)を培養によって分析する。類似の様式で、4人の「 偽陰性」患者から連続的に得たサンプルをまたIS6110について試験した。各ケー スにおいて、これら4人の患者に由来する全ての別のサンプルが、IS6110につい て陽性と試験された。従って、この試験の実際の検出率は、各患者から複数の標 本が試験されれば、100%に達する。 さらに、本発明の試験により、以前にM.tuberculosisについての培養試験で 陽性であり、そして結核の完全な処置を受けた患者から得た28標本中の、25を検 出した。現在、これら28人の患者の痰からは、M.tuberculosisは全く培養され なかった。結核の処置は、M.tuberculosisを死滅させ、培養での増殖を不可能 にする。しかし、これらの生存力のない微生物の残物は存続し続け、そして処置 後長年にもわたって痰中に流し出される。これらは、生きたミコバクテリアの存 在に依存しないPCR増幅に基づく試験の使用によって検出され得、そして以前の 結核感染から置き去られたDNAフラグメントの跡を実際に同定し得る。この観察 は当業者に公知である。 他のミコバクテリア種を含む全ての標本が、IS6110について陰性と試験された 。結核歴のない患者の標本の1つが、PCRによってIS6110について陽性と試験さ れた。この患者の痰は、抗酸性桿菌に対して陽性のスメアであり、いくつかのミ コバクテリア種の存在を示すが、培養では全く増殖しなかった。もしかすると、 この患者は不顕性感染を有しており、その感染は大量の生存力のない微生物を残 し、結局ひとりでに解決したのかもしれない。 増幅阻害剤の存在は、臨床標本を分析する際の関心事であり、そして多くの研 究室では日常的に、試験される各サンプルに内的増幅制御物を添加する。本発明 者らは普遍的な溶解に伴う阻害剤の持ち越し(carry over)を観察しておらず、そ して偽陰性は阻害剤の持ち越しよりもむしろサンプリングの限界と相関するよう である。各PCR増幅反応は、非常に小さな容量の痰を試験するだけであり、一方 、培養に基づく同定に利用される痰の容量は、はるかに大きい。内的陽性制御物 の添加は、科学的に聞こえるが、それ以外では真のIS6110標的の同定に用いられ る増幅試薬を浪費し、それにより増幅の感度が減少し得、そして減少する。1コ ピーまたは2コピーのIS6110の存在をマスクし得るいかなる内的陽性制御物の付 加も、容認されない。 本実施例に示すように、完全なDNAの抽出、増幅、および分析が、8時間以内 に、92%の感度および100%に近い特異性で、容易に達成される。同一の患者か ら連続的に得られたサンプルの試験によって、総検出率は100%に増大する。 実施例2.DNA配列に基づく結核の同定 本発明のプライマー配列番号1および配列番号2の別の有用性は、配列に基づ くM.tuberculosisの同定である。これらのプライマーを、任意の臨床標本由来 のIS6110 DNAを増幅するために用い、そして増幅DNAを、プライマー配列番号1 または配列番号2のいずれかを用いて配列決定する。得られた配列またはそれの 相補体が配列番号3と照合する場合は、増幅物の相同性を、M.tuberculosis IS 6110挿入エレメントとして確認する。配列を、現在のDNA配列決定方法またはこ の技術の任意の将来的開発もしくは改変を用いて、生成し得る。 実施例3.キャピラリー電気泳動に基づく増幅IS6110 DNAの同定 プライマー配列番号1および配列番号2は、任意の蛍光部分を用いて標識し得 、そして任意の臨床標本由来のIS6110 DNAを増幅するためにPCRにおいて用い得 る。増幅に続き、蛍光標識された増幅DNAを制限エンドヌクレアーゼBamHIを用い る制限消化に供する。次いで、生成したDNAのフラグメントをキャピラリー電気 泳動によって分離しそしてサイズ分析する。そして110および85塩基対長の2つ の断片の存在により、IS6110 DNAの相同性が確認される。 実施例4.IS6110 DNAの捕獲および同定 本発明で開示される両プライマーは、任意の検出可能部分によっても標識し得 る。これには、放射性同位元素、酵素、抗原、抗体、化学発光試薬、および蛍光 化学物質が挙げられるが、これらに限定されない。プライマー配列番号1および 配列番号2をまた、制限部位または他の有用な配列を取り込むように設計された ヌクレオチドの末端の付加により、それらの目的の本質を変化させることなく改 変し得る。これらのIS6110配列、あるいは配列番号1、配列番号2、配列番号3 または、それらの相補体とハイブリダイズする任意の配列の、固相捕獲および/ または精製を補助するために設計された付加的な改変としては、常磁性粒子、ビ オチン、フルオレセイン、ジゴキシゲニン、抗原、および抗体のような部分が挙 げられるが、これらに限定されない。 これらの改変のいくつかの有用性としては、以下のものが挙げられるが、これ らに限定されない。プライマー配列番号1または配列番号2を、ビオチンまたは 固相捕獲を補助するために設計された任意の部分、例えばストレプトアビジンで 覆われた常磁性粒子または他の固相を用いて標識する。臨床標本由来の標的IS61 10 DNAの増幅に続き、固相をDNAを捕獲するために用い、そしてこれを次に検出 可能部分で標識された第三のプローブとハイブリダイズさせる。この第三のプロ ーブは、BanHI制限配列と重複し、そしてそれを検出するために設計された配列 番号3のサブセットであり得る。 あるいは、配列番号1および配列番号2を、検出可能なシグナル部分で標識し 、 そしてPCRに用いる。それに続き、固相に付着した第三のプローブ(配列番号3 またはそのサブセット)を、増幅されて標識されたDNAを分析のために捕獲する ために用いる。 別の選択肢は、配列番号1および配列番号2を用いて増幅されたDNAを、配列 番号3のサブセットとのハイブリダイゼーションにより捕獲することである。配 列番号3は、DNAハイブリダイズ「チップ」のような固相に結合し、そして検出 部分で標識された別の配列番号3のサブセットを、結合されたDNAの存在を検出 するために用いる。 配列番号1および配列番号2により増幅されたIS6110配列をまた、BamHI制限 部位を横切る2つのオリゴヌクレオチドを連結することによって、同定し得る。 これら2つのオリゴヌクレオチドの1つは捕獲で標識され得、もう1つは検出部 分で標識され得る。捕獲部分の固相捕獲に続いて検出部分を検出する能力により 、2つのオリゴヌクレオチドの連結の成功が確認される。これら2つの付加的な オリゴヌクレオチドは、配列番号3のサブセットである。 さらに、本明細書に記載される全ての同定戦略は、十分なシグナルが検出部分 によって生じる場合は、PCR増幅なしでも行われ得る。これは、プローブ配列中 で多数の検出部分を付着させることによって達成され得る。分枝DNAプローブは 、多数の検出可能部分を付加するのに適切であり、直接的な検出を実行可能(fea sable)にする。 本発明者らは、現在および将来の技術が、本出願に記載されるように、DNA配 列(配列番号1)、(配列番号2)、および(配列番号3)と機能的に等価なRNAま たは改変された合成配列の使用にも適用され得ることを認識する。この技術の他 の改変は、当業者には明らかである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD ,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CZ, DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,HU,I L,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK ,LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK, MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,TR ,TT,UA,UG,US,UZ,VN (72)発明者 クライン,ブルース シー. アメリカ合衆国 ミネソタ 55902,ロチ ェスター,クライン レーン エス.ダブ リュー.2315 (72)発明者 ストックマン,レスリー アメリカ合衆国 ミネソタ 55904,ロチ ェスター,イースト リバー ハイツ 331 (72)発明者 ロバーツ,グレン ディー. アメリカ合衆国 ミネソタ 55902,ロチ ェスター,ウォルデン レーン エス.ダ ブリュー.1751 (72)発明者 レウィス,マルシア イー. アメリカ合衆国 マサチューセッツ 02025,コハセット,ウィールライト フ ァーム 67

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.サンプル中のMycobacterium tuberculosisまたはMycobacterium bovisの存 在を検出するための方法であって、 該サンプル中の(配列番号3)またはその相補体からなるDNAセグメントの 存在を検出する工程、 該サンプル中のMycobacterium tuberculosisまたはMycobacterium bovisの 存在を示す工程、 を包含し、ここで、該DNAセグメントはMycobacterium tuberculosisまたはMycob acterium bovisのいずれもが存在しない該サンプル中では検出されない、方法。 2.前記DNAセグメントの存在を検出する前に、(配列番号3)またはその相補 体を増幅する工程、 をさらに包含する、請求項1に記載の方法。 3.ポリメラーゼ連鎖反応が(配列番号3)またはその相補体を増幅するために 用いられ、そして該ポリメラーゼ連鎖反応で用いられるプライマーが(配列番号 1)および(配列番号2)またはそれらの相補体である、請求項2に記載の方法 。 4.前記サンプルが、痰、気管支肺胞洗浄液、脳脊髄液、尿もしくは他の体液、 滲出液、または組織である、請求項1に記載の方法。 5.(a)グアニジンチオシアネートの存在下で煮沸することにより、前記サン プル中の細胞を溶解する工程;および、 (b)該細胞中に含まれるゲノムDNAを単離する工程、 をさらに包含し、ここで、工程(a)および(b)が前記DNAセグメントの存在を 検出する前に実行される、請求項1に記載の方法。 6.(c)(配列番号3)またはその相補体の存在を決定する前に、前記単離さ れたDNAの一部を増幅する工程、 をさらに包含する、請求項5に記載の方法。 7.ポリメラーゼ連鎖反応が(配列番号3)またはその相補体を増幅するために 用いられ、そして該ポリメラーゼ連鎖反応で用いられるプライマーが(配列番号 1)および(配列番号2)またはそれらの相補体である、請求項6に記載の方法 。 8.(d)工程(c)の後に制限エンドヌクレアーゼ酵素を添加することにより、 前記増幅されたDNAを不活化する工程、 をさらに包含する、請求項7に記載の方法。 9.その中で前記酵素がBamHIまたは同一の核酸配列を認識するイソシゾマーで ある、請求項8に記載の方法。 10.工程(a)が、さらに有機溶媒およびアルカリ性緩衝液の存在下で、前記 サンプル中の細胞を溶解することをさらに包含する、請求項5に記載の方法。 11.前記有機溶媒がフェノールであり、そして前記アルカリ性緩衝液がトリス 緩衝液である、請求項10に記載の方法。 12.工程(a)が、15分間煮沸することにより、前記サンプル中の細胞を溶解 することをさらに包含し; 工程(b)が、遠心分離および沈澱により、該細胞に含まれるゲノムDNAを単 離することをさらに包含し;そして 工程(c)が、ポリメラーゼ連鎖反応を用いて該単離されたDNAを増幅するこ とをさらに包含し、ここで、該ポリメラーゼ連鎖反応で用いられるプライマーが (配列番号1)および(配列番号2)またはそれらの相補体である、請求項6に 記載の方法。 13.前記DNAが迅速な小型ゲル電気泳動により分析され、前記DNAセグメントの 存在が決定される、請求項5に記載の方法。 14.前記DNAセグメントが、DNA配列(配列番号3)またはその相補体と機能的 に等価なRNAまたは改変された合成配列により置換される、請求項1に記載の方 法。 15.前記プライマーが、DNA配列(配列番号1)および(配列番号2)または それらの相補体と機能的に等価なRNAまたは改変された合成配列により置換され る、請求項3に記載の方法。 16.前記プライマーが検出可能な部分で標識される、請求項3に記載の方法。 17.前記検出可能な部分が、放射性同位元素、酵素、抗原、抗体、化学発光試 薬および蛍光化学物質から成る群より選択される、請求項16に記載の方法。 18.サンプル中のMycobacterium tuberculosisまたはMycobacterium bovisの 存在を決定するための、(配列番号3)またはその相補体から成る、DNA配列。 19.臨床サンプル中に含まれる細胞からゲノムDNAを単離するための方法であ って、 (a)該臨床サンプルをグアニジンチオシアネート、有機溶媒、およびアル カリ性緩衝液の存在下で煮沸することにより、該細胞を溶解する工程;および、 (b)該細胞に含まれる該ゲノムDNAを単離する工程、 を包含する、方法。 20.工程(b)が、 (i)前記DNAを抽出するための有機相および水相を用いて、該DNAを抽出するこ と; (ii)該DNAを含む該水相を遠心分離すること;および (iii)該DNAを該水相から沈澱させること、 をさらに包含する、請求項19に記載の方法。 21.前記有機溶媒がフェノールであり、そして前記アルカリ性緩衝液がトリス である、請求項20に記載の方法。
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