JPH1151163A - 自動変速機の変速制御装置 - Google Patents

自動変速機の変速制御装置

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Publication number
JPH1151163A
JPH1151163A JP9210520A JP21052097A JPH1151163A JP H1151163 A JPH1151163 A JP H1151163A JP 9210520 A JP9210520 A JP 9210520A JP 21052097 A JP21052097 A JP 21052097A JP H1151163 A JPH1151163 A JP H1151163A
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JP
Japan
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speed
clutch
low
stage
duty ratio
Prior art date
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Application number
JP9210520A
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English (en)
Inventor
Kazumi Hoshiya
一美 星屋
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 クラッチツウクラッチ変速において、ファー
ストクイックフィルが適切に行われない場合にも変速シ
ョックが小さくなるようにする。 【解決手段】 クラッチ油圧の制御により二つのクラッ
チの解放と係合によるクラッチツウクラッチ変速を行う
に際し、解放側クラッチ油圧を低下させると共に、係合
側クラッチに対してファーストクイックフィルを実行し
た後、係合側クラッチ油圧を漸次上昇させるスウィープ
アップ制御を実行し、解放側クラッチの滑り又は係合側
クラッチの係合開始を検出した後、変速機入力回転速度
の上昇速度が目標値となるように係合側クラッチ油圧を
フィードバック制御する自動変速機の変速制御装置にお
いて、前記スウィープアップ制御における係合側クラッ
チ油圧を漸次上昇させる制御指令値に上限ガードを設け
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばパワーオフ
状態の時に高速段側クラッチの解放及び低速段側クラッ
チの係合によるクラッチツウクラッチのダウンシフトを
実行するための自動変速機の変速制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】クラッチツウクラッチによる変速制御を
実行する場合、一般的に、係合側クラッチに対してファ
ーストクイックフィル(クラッチが摩擦係合して容量を
持ち始めるまでクラッチの隙間つまり「がた」を詰める
ために全開状態でオイルを急速導入する操作)を行って
いる。
【0003】特開平4−210158号公報には、クラ
ッチツウクラッチのパワーオフダウンシフトを行う場合
に、高速段側クラッチ油圧を低下させると共に、低速段
側クラッチに対してファーストクイックフィルを実行し
た後、低速段側クラッチ油圧を漸次上昇させるスウィー
プアップ制御を実行し、高速段側クラッチの滑りを確認
したら、タービン回転速度(=変速機入力回転速度)の
上昇速度が目標値となるように低速段側クラッチ油圧を
フィードバック制御し、その結果、タービン回転速度と
低速段側同期回転速度の偏差が所定値以下となったら、
低速段側クラッチの係合完了と判断して、低速段側クラ
ッチ油圧をライン圧まで上昇させて変速を終了するとい
う制御技術が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ファースト
クイックフィル制御が適切に行われず、低速段側クラッ
チのがたが依然として大きく存在する状態から、低速段
側クラッチ油圧を一定割合で「漸次」上昇させるスウィ
ープアップ制御を実行するような状況が生じた場合、最
初に残りのがた詰めがなされ、がた詰めが完了した段階
で、実際のクラッチ油圧が上昇を始めることになる。
【0005】従って、油圧上昇の制御指令に対して実際
の低速段側クラッチ油圧の上昇に遅れが生じ、高速段側
クラッチの滑り又は低速段側クラッチの係合開始が判断
されたときには、実際の低速段側クラッチ油圧に対して
制御指令値が過度に大きくなってしまい、この状態から
フィードバック制御が実行されると、タービン回転速度
の上昇速度の目標値への制御性が悪化するという問題が
あった。その結果、クラッチ係合完了付近では、クラッ
チ油圧が高くなり過ぎて一気に係合してしまい、変速シ
ョックの悪化を招くおそれがあった。
【0006】本発明は、このような従来の問題に鑑みて
なされたものであって、タービン回転速度の上昇をスム
ーズにすることができ、変速ショックの緩和を図ること
のできる自動変速機の変速制御装置を提供することを目
的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、図1にその要
旨を示すように、変速判断があったとき解放側クラッチ
油圧を低下させると共に、係合側クラッチに対してファ
ーストクイックフィルを実行する第1制御手段と、該第
1制御手段によるフアーストクイックフィルの実行後
に、係合側クラッチ油圧を漸次上昇させるスウィープア
ップ制御を実行する第2制御手段と、該スウィープアッ
プ制御における係合側クラッチ油圧の制御指令値に上限
ガードを設定する上限ガード設定手段と、前記第1制御
手段の実行による解放側クラッチの滑り、あるいは係合
側クラッチの容量の持ち始めを検出する手段と、該手段
が解放側クラッチの滑り、あるいは係合側クラッチの容
量の持ち始めを検出した後、変速機入力回転速度の変更
速度が目標値となるように係合側クラッチ油圧をフィー
ドバック制御する第3制御手段を備えたことにより、上
記課題を解決したものである。
【0008】なお、前記フィードバック制御の後は、例
えば、変速機入力回転速度と低速段側同期回転速度の偏
差が所定値以下となった段階で、低速段側クラッチの係
合完了と判断して、低速段側クラッチ油圧をライン圧ま
で上昇させて、変速を終了する。
【0009】上記のように制御した場合、ファーストク
イックフィルが適切に行われず、係合側クラッチのがた
が大きい状態から、係合側クラッチ油圧を漸次上昇させ
る状況が生じた場合にあっても、係合側クラッチ油圧の
制御指令値に上限ガードが設定されるため、スウィープ
アップ制御時の指令値が過度に大きくなることが防止さ
れ、変速機入力回転速度(タービン回転速度)の変更を
スムーズにすることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を
参照しながら説明する。
【0011】まず、本発明が適用される自動変速機の具
体的な一例を図2にスケルトンで示す。この自動変速機
2は、トルクコンバータ111、副変速部112及び主
変速部113を備える。
【0012】トルクコンバータ111は、ロックアップ
クラッチ124を備える。ロックアップクラッチ124
は、ポンプインペラ126に一体化したフロントカバー
127と、タービンランナ128を一体に取付けた部材
(ハブ)129との間に設けられている。
【0013】エンジン1のクランクシャフト(図示せ
ず)はフロントカバー127に連結されている。タービ
ンランナ128に連結された入力軸(変速機入力回転
軸)130は、副変速部112を構成するオーバードラ
イブ用遊星歯車機構131のキャリヤ132に連結され
ている。
【0014】遊星歯車機構131のキャリヤ132とサ
ンギヤ133との間には、クラッチC0 と一方向クラッ
チF0 とが設けられている。この一方向クラッチF0
は、サンギヤ133がキャリヤ132に対して相対的に
正回転(入力軸130の回転方向の回転)する場合に係
合するものである。又、サンギヤ133の回転を選択的
に止めるためにブレーキB0 が設けられている。
【0015】副変速部112の出力要素であるリングギ
ヤ134は、主変速部113の入力要素である中間軸1
35に接続されている。クラッチC0 もしくは一方向ク
ラッチF0 が係合した状態では、遊星歯車機構131の
全体が一体となって回転するため、中間軸135は入力
軸130と同速度で回転する。又、ブレーキB0 を係合
させてサンギヤ133の回転を止めた状態では、リング
ギヤ134が入力軸130に対して増速されて正回転す
る。従って、副変速部112は、ハイ・ローの2段の切
換えを設定することができる。
【0016】主変速部113は三組の遊星歯車機構14
0、150、160を備えており、これらの歯車機構1
40、150、160は以下のように連結されている。
【0017】即ち、第1遊星歯車機構140のサンギヤ
141と第2遊星歯車機構150のサンギヤ151とが
互いに一体的に連結され、第1遊星歯車機構140のリ
ングギヤ143と第2遊星歯車機構150のキャリヤ1
52と第3遊星歯車機構160のキャリヤ162との三
者が連結されている。又、第3遊星歯車機構160のキ
ャリヤ162に出力軸170が連結されている。更に、
第2遊星歯車機構150のリングギヤ153が、第3遊
星歯車機構160のサンギヤ161に連結されている。
【0018】この主変速部113の歯車列は、後進1段
と前進4段を設定することができるものであり、それを
実現するため、クラッチ及びブレーキが以下のように設
けられている。
【0019】第2遊星歯車機構150のリングギヤ15
3及び第3遊星歯車機構160のサンギヤ161と、中
間軸135との間にクラッチC1 が設けられている。第
1遊星歯車機構140のサンギヤ141及び第2遊星歯
車機構150のサンギヤ151と、中間軸135との間
にクラッチC2 が設けられている。第1遊星歯車機構1
40及び第2遊星歯車機構150のサンギヤ141、1
51の回転を止めるブレーキB1 が配置されている。
又、これらのサンギヤ141、151とケーシング17
1との間には、一方向クラッチF1 とブレーキB2 とが
直列に配列されている。一方向クラッチF1 はサンギヤ
141、151が逆回転(入力軸135の回転方向とは
反対方向の回転)しようとする際に係合するものであ
る。
【0020】第1遊星歯車機構140のキャリヤ142
とケーシング171との間にはブレーキB3 が設けられ
ている。又、第3遊星歯車機構160のリングギヤ16
3の回転をとめる要素として、ブレーキB4 と一方向ク
ラッチF2 とが、リングギヤ163とケーシング171
との間に並列に配置されている。この一方向クラッチF
2 は、リングギヤ163が逆回転しようとする際に係合
するものである。
【0021】上記の自動変速機2では、副変速部112
がハイ・ローの二段の切換えを行うことができ、且つ、
主変速部113が前進側で4段の変速を行うことができ
るので、全体で後進1段と前進8段の変速を行うことが
できる。これらの変速段を設定するための各クラッチ及
びブレーキの係合作動表を図3に示す。
【0022】図3において、○印は係合状態、●印はエ
ンジンブレーキ時に係合状態、空欄は解放状態をそれぞ
れ示す。但し、◎で示すように、ここではニュートラ
ル、リバースのほか、第1、2、3、4、5速段のみが
使用される。
【0023】図3から明らかなように、第3速段から第
2速段へのダウンシフトが、ブレーキB2 (高速段側ク
ラッチに相当)の解放と、ブレーキB3 (低速段側クラ
ッチに相当)の係合によるクラッチツウクラッチ変速と
なっていることが分かる。ここでは、ブレーキB2 が解
放側クラッチに相当し、ブレーキB3 が係合側クラッチ
に相当する。
【0024】図2に示すように、各クラッチ及びブレー
キの係合あるいは解放は、油圧制御装置20内の電磁弁
やリニアソレノイドが、コンピュータ30からの指令に
基づいて駆動されることによって実行される。コンピュ
ータ30には、各種センサ群40からの信号、例えば車
速センサ41からの車速信号(出力軸回転速度の信
号)、スロットルセンサ42からのスロットル開度信号
(アクセル開度信号)、パターンセレクトスイッチ43
からのパターンセレクト信号(運転者の選択した動力重
視走行、燃費重視走行等の選択信号)、シフトポジショ
ンスイッチ44からのシフトポジション信号、ブレーキ
スイッチ45からのフットブレーキ信号(制動信号)等
の基本的な信号の他、変速機入力回転速度センサ46か
らの入力軸130の回転速度(以下、「タービン回転速
度NT」という)の信号が入力されている。
【0025】なお、ブレーキB2 を解放させるときの油
圧制御及びブレーキB3 を係合させるときの油圧制御自
体については各種方法が従来公知であるため、詳細な説
明は省略するが、ここではデューティソレノイド(リニ
アソレノイド)のデューティ比を、コンピュータ30で
調整することで制御するようにしている。
【0026】次に制御の内容について詳しく説明する。
【0027】図4は実施形態の制御動作の内容を示すタ
イムチャートである。このタイムチャートは、高速段側
(解放側)デューティ比(=高速段側クラッチの油圧制
御のためのデューティソレノイドへ出力するデューティ
比)と、高速段側(解放側)クラッチ油圧と、低速段側
(係合側)デューティ比(=低速段側クラッチの油圧制
御のためのデューティソレノイドへ出力するデューティ
比)と、低速段側(係合側)クラッチ油圧と、タービン
回転速度NT(=変速機入力回転速度)との相互の関係
を示している。また、併せて変速禁止フラグ(後述)の
状態も示している。
【0028】この場合、デューティ比が100%のとき
各クラッチにライン圧が100%供給される。又、デュ
ーティ比が0%のとき各クラッチの油圧がドレンされ
る。
【0029】図4の左端の(a)で示す部分は、高速段
側デューティ比が100%で高速段側クラッチが完全係
合し、且つ、低速段側デューティ比が0%で低速段側ク
ラッチが完全解放している第3速段の状態を示す。
【0030】この第3速段の状態から第2速段にパワー
オフダウンシフトする場合、ダウンシフト指令(変速出
力の発生)があると、まず、高速段側デューティ比を約
50%以下の値DH1に低下させ、高速段側クラッチ油
圧をスキップダウンさせる〔図の(b)で示す部分〕。
スキップダウンの後は、高速段側デューティ比を一定速
度ΔDH1で徐々に低下させ、高速段側クラッチ油圧を
低下させていく〔スウィープダウン。図の(c)で示す
部分〕。そして、高速段側クラッチが容量を持たないぎ
りぎりの値DH2まで低下させたら、その値を維持する
〔図の(d)で示す部分〕。
【0031】又、低速段側については、ダウンシフト指
令があると、まず、低速段側デューティ比を100%に
設定し、低速段側クラッチのファーストクイックフィル
(FQF)を実施する〔図の(e)で示す部分〕。ファ
ーストクイックフィルは、ここではFQFタイマでセッ
トした所定時間T0 だけ行う。ファーストクイックフィ
ルが終了したら、低速段側デューティ比は、低速段側ク
ラッチが容量を持たない程度のレベルDL1に一旦落と
す〔図の(f)で示す部分〕。そして、FQF完了タイ
マでセットした所定時間T1だけDL1を維持した後、
低速段側デューティ比を一定割合ΔDL1で増加させ、
低速段側クラッチ油圧を漸次上昇させるスウィープアッ
プ制御を実行する〔図の(g)で示す部分〕。このスウ
ィープアップ制御の際には、低速段側デューティ比に上
限ガードを設ける。これにより、過度に低速段側デュー
ティ比が増大することを防止する。
【0032】低速段側クラッチ油圧の上昇により、低速
段側クラッチの伝達トルク容量が増加してクラッチの係
合が開始すると、タービン回転速度NTが上昇を開始す
る。従って、このタービン回転速度NTの上昇開始を検
出したら〔図の(h)で示す部分〕、第2段階として、
タービン回転速度NTの上昇速度を監視する。
【0033】タービン回転速度NTの上昇開始のタイミ
ングは、高速段の同期回転速度NHで推移して来たター
ビン回転速度NTがΔNT1だけ上昇し、且つ、タービ
ン回転速度の上昇速度が所定値以上であることをもって
検出する。タービン回転速度NTの上昇開始を検出した
ら、ある段階までは、タービン回転速度NTの上昇速度
が所定値d/dt(NT1)となるように、低速段側ク
ラッチ油圧をフィードバック制御する〔図の(i)で示
す部分〕。即ち、常にタービン回転速度NTの上昇速度
を監視しながら高速段側デューティ比を設定する。
【0034】やがて、一定速度d/dt(NT1)で上
昇していくタービン回転速度NTが、低速段の同期速度
NLより所定量ΔNT2だけ下回った値に達したら〔図
の(j)で示す部分〕、タービン回転速度NTの上昇速
度を僅かに緩め(勾配が小さくなる方向)に修正し、上
昇速度がd/dt(NT2)となるように、低速段側ク
ラッチ油圧をフィードバック制御する〔図の(k)で示
す部分〕。ただし、d/dt(NT1)>d/dt(N
T2)である。その結果、緩やかな変化でタービン回転
速度NTが低速段の同期回転速度NL付近に到達する。
【0035】タービン回転速度NTが低速段同期回転速
度NL付近に達したことは、タービン回転速度NTと低
速段同期回転速度NLとの偏差がゼロに近い正の所定値
ΔNT3内に入ったことで検出する〔図の(l)で示す
部分〕。
【0036】タービン回転速度NTが低速段同期回転速
度NL付近に達したことが検出されたら、低速段側デュ
ーティ比を100%にすることで、低速段側クラッチ油
圧をスキップアップする〔図の(m)で示す部分〕。
又、高速段側はデューティ比を0%にして〔図の(n)
で示す部分〕、高速段側クラッチの油圧を抜く。その後
は、クラッチの掴み替えが終了したと判断して、高速段
側及び低速段側のデューティ比を固定する。そして、高
速段側クラッチ油圧が略零になり、同クラッチが完全に
解放された時点をもって、本ダウンシフト制御を終了す
る。
【0037】この場合、高速段側クラッチ油圧が略零に
なる点は、実油圧の検出によって可能であるが、ここで
は、高速段側デューティ比を0%に設定した時点から、
ある所定時間Tdrn を経過した時点を、高速段側クラッ
チ油圧が略零になる点と見なしている。この所定時間T
drn は、予め計測等により求めておくことができる。こ
の所定時間Tdrn を経過するまでの間は、次の変速開始
を禁止するために、変速禁止フラグをONにしておく
〔図の(o)で示す部分〕。
【0038】次に変速制御の内容をフローチャートに従
って説明する。
【0039】ここでは、制御の各段階ごとにフェイズ
(phase )1〜4と命名する。
【0040】図4に示すように、phase 1は、変速開始
〜低速段側クラッチの係合開始までの段階を指す。phas
e 2は、タービン回転速度NTの上昇速度が第1の所定
値d/dt(NT1)となるように低速段側クラッチ油
圧をフィードバック制御する段階を指す。phase 3は、
タービン回転速度NTの上昇速度が第2の所定値d/d
t(NT2)となるように低速段側クラッチ油圧をフィ
ードバック制御する段階を指す。phase 4は、高速段側
クラッチを完全解放し低速段側クラッチを完全係合する
までの最終段階を指す。
【0041】図5は変速制御の全体を示すフローチャー
トである。なお、フロー中のphaseという記号は、phase
フラグを示す場合もある。
【0042】このフローでは、最初のステップ001に
おいて、パワーオフダウンシフトが要求されているか否
かを判断する。ダウンシフト要求の出力は、図示されて
いない変速判断のフロー等において行われる。例えば、
第3速段から第2速段へのダウンシフトが発生するか否
かの判断は、スロットル開度及び車速のマップから現時
点の走行状態が第3速段→第2速段のダウンシフト線を
横切ったか否かで判断される。
【0043】ステップ001がYESの場合、ステップ
002でphase =0(非変速中)か否かを判断する。最
初は前回の処理でphase =0となっているから、ステッ
プ003に進んでphase =1とする。ステップ002が
NOの場合、つまりphase =1〜4の場合はステップ0
03をパスする。いずれの場合もステップ004に進ん
で、現時点でのphase の値つまり最初は「1」をフラグ
mphase に入れる。
【0044】以降、各phase のサブルーチン処理を実行
する。即ち、phase =1であれば、ステップ005から
ステップ006に進んで、phase 1のサブルーチン処理
を実行する。phase =2であれば、ステップ007から
ステップ008に進んで、phase 2のサブルーチン処理
を実行する。phase =3であれば、ステップ009から
ステップ010に進んで、phase 3のサブルーチン処理
を実行する。又、phase =4であれば、ステップ011
にてphase 4のサブルーチン処理を実行する。そして、
各phase 処理を実行したら、ステップ012において、
現在のphase がステップ004で入れたmphase である
か否か、つまりphase フラグの値が切り替わっているか
否かを判断し、Noであれば(切替わっていれば)ステ
ップ004へ戻り、各phase 処理を実施する。又、YE
Sであれば(切替わっていなければ)エンドとなる。
【0045】図6にphase 1のサブルーチン処理のフロ
ーチャートを示す。
【0046】この処理では、まずステップ101におい
て、phase 1の終了条件が成立しているか否かを判断す
る。phase 1の終了判定は下記の2条件により行う。
【0047】(1)〔タービン回転速度NT−高速段同
期回転速度NH〕>所定値ΔNT1即ち、高速段側クラ
ッチの滑り回転速度が所定値以上 (2)タービン回転速度NTの上昇速度が所定値以上
【0048】ステップ101がYES〔図4の(h)の
部分に相当〕であればステップ102の処理を実施し、
NOであればステップ103以降の処理を実施する。ス
テップ102ではphase を「2」とし、phase 2で実施
するフィードバック制御の初期値として、出力中のデュ
ーティ比の設定及びフィードバック積分項のクリアを実
施する。
【0049】ステップ103以降の処理のうち、ステッ
プ103〜106は、高速段側クラッチ油圧のデューテ
ィ比duhの制御に関するもので、最初はデューティ比
duhが100%であるので、ステップ103からステ
ップ104に進んで、高速段側デューティ比duhをD
H1までスキップダウンする。次回以降は、ステップ1
03からステップ105に進んで、高速段側デューティ
比duhを一定の速度ΔDH1でスウィープダウンす
る。その際、ステップ106ではデューティ比duhが
下がり過ぎないように下限ガード処理を実施する。この
場合、高速段側デューティ比の下限値は、高速段側クラ
ッチが容量を持たないぎりぎりの値DH2とする。そし
て、ステップ107に進む。
【0050】ステップ107〜116は、低速段側クラ
ッチ油圧のデューティ比dulの制御に関するもので、
ステップ107ではファーストクイックフィル(以下
「FQF」と略称する)完了フラグがONかどうか、ス
テップ108ではFQF実施中フラグがONかどうかを
判定する。初回はFQF未実施であるから、ステップ1
07→108→109と進み、ステップ109にてFQ
Fタイマをクリア・スタートする。そして、ステップ1
11に進んで、FQF実施中フラグをONし、低速段側
デューティ比dulを100%にしてファーストクイッ
クフィルを開始する。
【0051】次回の処理ではステップ108の判断がY
ESになるので、ステップ110に進む。FQFタイマ
の値が所定時間T0 以上になるまで、ステップ111に
進んでファーストクイックフィルを継続し、所定時間T
0 が経過したら、ステップ110からステップ112に
進み、FQF完了フラグをONにすると共に、FQF実
施中フラグをOFFにし、FQF完了タイマをクリア・
スタートし、更にステップ113→116と進んで、低
速段側デューティ比dulを一旦DL1に落とす。その
後、ステップ107、113の判断により、ステップ1
16で所定時間T1 だけ低速段側デューティ比dulを
DL1に維持した後、ステップ113からステップ11
4に進んで、低速段側デューティ比dulをΔDL1の
割合でスウィープアップし、リターンステップに進む。
【0052】この場合、スウィープアップ制御の際に、
低速段側デューティ比dulに対して、過度に大きくな
らないよう上限ガード処理を施す。即ちステップ115
−1においてスウィープアップした結果、現在の低速段
側デューティ比du1 が所定値(上限ガード値)dul
o より小さいことを確認し、もし該所定値dulo を越
えた場合にはステップ115−2に進んでこの所定値d
ulo に固定する。この所定値dulo は、通常のばら
つきの範囲においてこの値まで上昇すれば(これを維持
することにより)必ず伝達容量を持てる値(タービン回
転速度NTが上昇し得る値)に設定される。
【0053】この結果、たとえファーストクイック処理
の終了後においても未だ大きな「がた」が存在していた
ような場合でも、油圧指令値(低速段側デューティ比d
ul)が過度に上昇してしまうのを防止でき、以降のフ
ィードバック制御を良好に実行することができるように
なる。
【0054】図7にphase 2のサブルーチン処理のフロ
ーチャートを示す。
【0055】この処理では、まずステップ201におい
て、phase 2の終了条件が成立しているか否かを判断す
る。phase 2の終了判定は下記条件により行う。
【0056】(1)(低速段側同期回転速度NL−ター
ビン回転速度NT)<所定値ΔNT2ここでは、ΔNT
2は実際のタービン回転速度上昇速度のマップ値とす
る。
【0057】ステップ201がYESであれば、ステッ
プ202でphase を「3」とする。NOであれば、ステ
ップ203で高速段側デューティ比duhをDH2に維
持固定する。又、ステップ204で、タービン回転速度
の上昇速度が所定値d/dt(NT1)となるように、
フィードバック制御するための低速段側デューティ比d
ulを決定する。
【0058】図8はphase 3のサブルーチン処理のフロ
ーチャートを示す。
【0059】この処理では、まずステップ301におい
て、phase 3の終了条件が成立しているか否かを判断す
る。phase 3の終了判定は下記の条件により行う。
【0060】(1)|低速段側同期回転速度NL−ター
ビン回転速度NT|≦所定値ΔNT3ここで、ΔNT3
は0に近い正の定数であり、これによりタービン回転速
度NTが低速段同期回転速度付近に至ったことを確認す
る。
【0061】ステップ301がYESであれば、ステッ
プ302でphase を「4」とし、更に、高速段側デュー
ティ比duhを0%とすると共に、低速段側デューティ
比dulを100%とし、ドレンタイマ(Tdrn )をク
リア・スタートし、変速禁止フラグをONにする。
【0062】ステップ301がNOであれば、ステップ
303で高速段側デューティ比duhをDH2に維持固
定し、ステップ304でタービン回転速度の上昇速度が
所定値d/dt(NT2)となるようフィードバック制
御するための低速段側デューティ比dulを決定する。
これにより、タービン回転速度NTの上昇速度はそれま
でのd/dt(NT1)より遅くなる。
【0063】図9はphase 4のサブルーチン処理のフロ
ーチャートを示す。
【0064】この処理では、まずステップ401におい
て、phase 4の終了条件が成立しているか否かを判断す
る。phase 4の終了判定は下記条件により行う。
【0065】(1)ドレンタイマが所定値(Tdrn )以
上 ここで、所定値(Tdrn )としては、高速段側デューテ
ィ比として0%出力後、高速段側クラッチ油圧が完全に
ドレン(油圧0kPa又はクラッチリターンエンド圧以
下)されるまでの時間を設定する。
【0066】ステップ401の判断がYESであればス
テップ402の処理を実施し、NOであればステップ4
03の処理を実施する。ステップ402では、変速終了
処理としてphase を「0」に設定する。又、高速段側デ
ューティ比duhを0%に固定し、且つ低速段側デュー
ティ比dulを100%に固定する。又、高速段側クラ
ッチのFQF完了フラグをOFFにし、ドレンタイマを
FF(初期設定)にして、変速禁止フラグをOFFにす
る(非変速中は、係合クラッチ側のFQF完了フラグは
常にONされているから)。
【0067】尚、変速禁止フラグは、往復変速時の制御
性の悪化を防止するために設けられている。例えば、3
速段→2速段のダウンシフトに引き続いて、2速段→3
速段のアップシフトが指令された場合、油圧の切換えを
即座に指令通りに行うと、高速段側クラッチから完全に
オイルが抜け切らない状態で、次の係合油圧の導入が行
われることがあり得る。そうすると、次変速での高速段
側クラッチに対する油圧の導入が予期した通りとならな
くなり、変速ショックが起こり得る。そこで、高速段側
クラッチのオイルが完全にドレンされるまでは、変速禁
止フラグをONにして、変速を禁止するようにしてい
る。
【0068】上記の制御では、低速段側クラッチに対す
るファーストクイックフィル後のスウィープアップ制御
の際に、制御指令値であるデューティ比dulに上限ガ
ードを設けているので、ファーストクイックフィルの達
成度合いに拘らず(ファーストクイックフィルによるが
た詰めが完全になされていない場合でも)、その後のス
ウィープアップ制御において過度に制御指令値が大きく
なってしまうことを防止することができる。従って、引
き続いて行うフィードバック制御にスムーズに移行する
ことができる。また、変速の途中でフィードバック目標
値であるタービン回転速度の上昇速度を緩やかに変化さ
せるので、変速終了時のトルク変化を小さくすることが
できる。そって、変速ショックを緩和することができ
る。
【0069】尚、上記実施形態では、高速段側クラッチ
油圧が零になる時点を時間の設定(Tdrn )により決め
ているが、別の手段でクラッチ油圧が零になったことを
検出できれば、その検出結果を用いて変速禁止フラグを
OFFにしてもよい。又、理想的にはクラッチ油圧が厳
密に零になった時点を変速禁止フラグOFFの時期と定
めるのがよいが、変速が禁止される時間と変速ショック
の度合いとの兼ね合いで、クラッチ油圧が零付近の所定
値以下となった時点を、変速禁止フラグOFFの時期と
定めてもよい。
【0070】又、前記実施形態の制御では、フィードバ
ック制御をphase 2とphase 3の2段階で行っていた
が、この実施形態では、1段階の処理で済ませるように
している。即ち、図7、図8のphase 2、3の処理を廃
止して、図10に示すようにphase 2の処理を若干変更
している。それ以外は前記実施形態と同様である。
【0071】図10は先に示した図7のphase 2のフロ
ーに変更を加えたフローチャートを示す。
【0072】前述の図7のものとの違いは、ステップ2
04をステップ204−1、204−2に変更した点、
及びステップ202の処理の内容を図8のphase 3のス
テップ302の内容に変更した点である。更に、ステッ
プ201での終了判定の条件を前述のphase 3のステッ
プ301の条件と同じくした点である。
【0073】この処理では、ステップ204−1におい
て、低速段同期回転速度NLとタービン回転速度の偏差
からフィードバック目標値d/dt(NTx)を決定す
る。ここで、d/dt(NTx)は、低速段同期回転速
度NLとタービン回転速度NTの偏差が大きいほど大き
な値に設定する。又、ステップ204−2において、タ
ービン回転速度NTの上昇速度が所定値d/dt(NT
x)となるようフィードバック制御するための低速段側
デューティ比dulを決定する。
【0074】このようにすることで、前記実施形態では
phase 2からphase 3にかけてタービン回転速度NTが
折れ線状に変化することになっていたが、もっと滑らか
にタービン回転速度を変化させることができるようにな
り、トルク変化も滑らかになる。特に、タービン回転速
度の上昇し始めは上昇速度が急で、低速段同期回転速度
に近付くに従い上昇速度が緩くなるので、低速段達成時
点での変速ショックを一層緩和することができる。
【0075】尚、上記実施形態では、パワーオフダウン
シフトの場合について説明したが、その他のクラッチツ
ウクラッチ変速の場合にも本発明は適用できる。
【0076】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ファーストクイックフィルが適切に行われなかった場合
でも、変速の際の変速機入力回転速度の上昇をスムーズ
にすることができ、変速ショックを和らげることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の要旨を示すブロック図
【図2】本発明が適用された車両用自動変速機の概略を
示すブロック図
【図3】上記自動変速機の各摩擦係合装置の車両状態を
示す線図
【図4】前記自動変速機の制御特性を示すタイムチャー
【図5】前記自動変速機を制御するためのコンピュータ
において実行される実施形態の制御のフローチャート
【図6】図5のフローチャートの中のphase 1のサブル
ーチンのフローチャート
【図7】図5のフローチャートの中のphase 2のサブル
ーチンのフローチャート
【図8】図5のフローチャートの中のphase 3のサブル
ーチンのフローチャート
【図9】図5のフローチャートの中のphase 4のサブル
ーチンのフローチャート
【図10】本発明の別の実施形態の制御フローの中のサ
ブルーチンのフローチャート
【符号の説明】
B1 …ブレーキ(解放側クラッチ) B2 …ブレーキ(解放側クラッチ) B3 …ブレーキ(係合側クラッチ) 20…油圧制御装置 30…コンピュータ 40…各種センサ群

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】クラッチ油圧の制御により二つのクラッチ
    の解放と係合によるクラッチツウクラッチ変速を行うに
    際し、解放側クラッチ油圧を低下させると共に、係合側
    クラッチに対してファーストクイックフィルを実行した
    後、係合側クラッチ油圧を漸次上昇させるスウィープア
    ップ制御を実行し、解放側クラッチの滑り又は係合側ク
    ラッチの係合開始を検出した後、変速機入力回転速度の
    変更速度が目標値となるように係合側クラッチ油圧をフ
    ィードバック制御する自動変速機の変速制御装置におい
    て、 係合側クラッチ油圧を漸次上昇させる前記スウィープア
    ップ制御の指令値に、上限ガードを設けたことを特徴と
    する自動変速機の変速制御装置。
JP9210520A 1997-08-05 1997-08-05 自動変速機の変速制御装置 Pending JPH1151163A (ja)

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