JPH11510783A - 乳白ガラス組成物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本発明は香水用瓶等の乳白ガラス製品の製造用乳白ガラス組成物に関する。本発明によると、これらの組成物はホウケイ酸型であり、更にＣａＯ ０.５〜３.０重量％、Ｐ₂Ｏ₅ １.０〜６.０重量％をも含み、アルカリ酸化物の合計は９〜１８重量％である。

Description

【発明の詳細な説明】 乳白ガラス組成物 本発明は乳白ガラス組成物、即ち乳白ガラス製品又は基材の製造用組成物に関 する。これらの製品又は基材は特に、多少なりとも「曇った」「乳濁状の」外観 を与えるようにその厚みに分配された微結晶を形成する組成物から得られる。 香水及び化粧品産業では、乳白ガラスから製造された瓶や壷等の製品の需要が 増している。これらの製品の製造は、特に美的観点からこれらの産業の生産品の 体裁を整えることを主眼としている。 本発明はこのような用途に限定するものではないが、以下の記載では、特に理 解し易くするために香水及び／又は化粧品産業での利用に関して具体的に説明す る。 従って、本発明者らは乳白ガラス製品製造用としてガラス組成を決定するよう に努めた。 研究の結果、本発明者らは特に結晶核生成を確保し得る成分であるフッ素を含 むガラス組成物から前記製品を製造することに成功した。これらの研究によると 、所期用途に十分な光透過率を示す不透明ではない乳白壁をもつ前記製品を製造 すること に成功した。しかし、充填前に課されると同様の貯蔵条件下で前記製品を老化試 験に課した処、別の問題が生じた。 まず、閉鎖環境での貯蔵条件下で製品は温度と湿度の変動を受けるため、酢臭 型の残存する刺激臭が発生することが判明した。このような臭気の発生は香水及 び化粧品産業用途には当然全く許容できない。 他方、試験した老化条件下ではガラスの表面に厚いゲルが形成されることも判 明した。表面にこのような厚い膜が形成されると、充填前に製品の洗浄及び／又 は酸洗いが必要になる。これらの作業は費用を著しく増すうえ、容器製造業者で なく充填業者が実施しなければならないので、この欠点も許容できない。 上記問題を分析する間に、本発明者らはこれらの問題の予想される原因を突き 止めることができた。実際に、使用したガラス組成物は十分な耐加水分解性をも たないと思われた。 従って、本発明の目的は上記結果に鑑みて改善された耐加水分解性をもつ乳白 ガラス組成物を提供することである。 また、全乳白をもたらすようにその厚みに結晶を含むガラス基材を製造するこ とは知られており、このような基材は乳白ガラス組成物から得られる。このよう な組成物は特に特許出願第 ＷＯ９６／０６０５２号に記載されている。この出願は特に熱膨張率を改善する ためにフッ素系化合物に代えてリン系化合物を使用することを記載している。 上記目的は、本発明に従い、ＣａＯ ０.５〜３.０重量％及びＰ₂Ｏ₅ １.０ 〜６.０重量％をも含み、アルカリ酸化物（oxydes alcalins）の合計が９〜１８ 重量％であるホウケイ酸型乳白ガラス組成物により達成される。 この定義に対応する種々のガラス組成物を使用すると、特に香水及び／又は化 粧品産業に関連するような用途に十分な耐加水分解性をもつ製品を実際に製造す ることができる。実際に、瓶や壷は上記のような条件下で貯蔵後に厚い膜を形成 せず、使用を妨げるような臭気も生じず、充填前の付加的洗浄段階が不要になる 。 また、上記ガラス組成物は、特に香水及び化粧品産業用瓶及び壷の製造産業で 通常使用されている技術により支障なく溶融した後、加工できる。 これらのガラス母材で最も重要な主成分はＳｉＯ₂である。ＳｉＯ₂の含量は５ ８〜７２％が有利であり、好ましくは＞６０％で＜６６％とするのが有利である 。下限を下回ると、本発明の ガラス組成物は非常に加工しにくくなり、製品の成形がほぼ実現不能になる。他 方、上限を越えると、ガラス組成物は溶融しにくくなる。 Ｂ₂Ｏ₃の含量は＞８％、好ましくは＞１０％であって、＜１４％、好ましくは ＜１２％が有利である。Ｂ₂Ｏ₃は望ましい微結晶の成長に多少影響する。この成 分は高温で粘度を低下させることもできる。 アルカリ（alcalins）はガラスの粘度と微結晶の成長に影響を及ぼす。アルカ リ成分の含量が低いと粘度が高くなり、ガラスの溶融と成形が困難になる。他方 、含量が高過ぎると粘度が低くなり過ぎ、微結晶の成長を妨げる。従って、アル カリ含量は＞１０％で＜１５％とするのが有利である。これらのアルカリ成分は 有利には９〜１３％の含量のＮａ₂Ｏと１.５〜２.５％の含量のＫ₂Ｏが好ましい 。 ＣａＯ以外に、組成物はＢａＯ等の他のアルカリ土類成分も含むと有利である 。これらの成分は粘度に影響する以外に、主に微結晶の形成に役立つ。具体的に は、ＣａＯは主に結晶の性質に影響し、ＢａＯは主に寸法に影響する。例えば、 ＢａＯの重量含量は１〜４％が有利であり、好ましくは＞２％で＜３％ である。ＣａＯ含量は＜１.５％が有利である。 本発明によるガラス組成物は微結晶の形成、特にこれらの微結晶の成長率にも 影響する酸化物ＺｎＯを更に含むと有利である。ＺｎＯ含量は例えば＜３％、好 ましくは＞０.５％、より好ましくは＜１.５％に選択すると有利である。 本発明によるガラス組成物は、有利には＜１０％の含量の酸化物Ａｌ₂Ｏ₃を含 むと更に有利である。この酸化物は特にガラスの耐薬品性とその粘度に影響する 。含量が少ないと微結晶の成長を妨げ、耐薬品性が低下する。含量が高過ぎると 、粘度が高くなり過ぎ、溶融が困難になる恐れがある。従って、Ａｌ₂Ｏ₃の含量 は有利には＞５％で好ましくは＜８％、より好ましくは＜６％である。 本発明のガラス組成物は、特に微結晶の成長に影響し得る他の酸化物を更に含 んでいてもよい。例えば、特に＜１０００ｐｐｍといった非常に低濃度で微結晶 の核生成を助長する酸化物であるＣｅＯ₂が挙げられる。 本発明者らは更に、本発明によるガラス組成物が貯蔵後の厚い膜の形成や臭気 の発生等の上記欠点をもつ製品を生じないという条件で、Ｐ₂Ｏ₆の含量を補うゼ ロ以外の含量のフッ素を含 んでもよいことも見いだした。但し、フッ素含量は有利には＜１.５％、好まし くは＜１％に止める。 本発明の好適態様によると、本発明の組成物はＳｉＯ₂ ６０〜６６重量％、 Ｎａ₂Ｏ ９〜１３重量％、Ｋ₂Ｏ １.５〜２.５重量％、ＣａＯ ０.５〜１.５ 重量％、Ａｌ₂Ｏ₃ ５〜６重量％、ＢａＯ ２〜３重量％、Ｃｅ₂Ｏ ０〜０.１ 重量％、Ｂ₂Ｏ₃ １０〜１２重量％、ＺｎＯ ０.５〜１.５重量％、Ｆ ０〜１ 重量％、Ｐ₂Ｏ₅ １.５〜３重量％を含有する。 既に記載した通り、本発明の上記ガラス組成物は十分な耐加水分解性をもつ製 品の製造を可能にし、実際に、これらのガラスはヨーロッパ又は米国薬局方ＵＳ Ｐ２３−ＮＦ１８の規定によるＩ型ガラスに相当する。これらの規定は、特に粉 末法による内部又は表面の耐加水分解性の測定に基づく。 更に、これらの乳白ガラス組成物は光がその壁を完全に透過できる製品を製造 できる。この光透過は製品の壁の厚みにおける微結晶の濃度に依存する。光透過 率は＞１０％が好ましく、８０％以下が有利である。製造の型、即ち製造される 製品の種類とその目的に応じて光透過率は＞２０％、例えば３０％が有 利である。この光透過率は特に測色値Ｌ又は輝度として表すことができ、この値 は光透過率に直接依存する。この値Ｌは文字ａ、ｂ、Ｌにより表される測色座標 の１つであり、ａとｂはガラスの色度を表し、Ｌはこの同一ガラスの輝度を表し 、当該座標は測色分野に関する機関として認められる国際照明委員会により１９ ３１年に定義及び提案された３色座標Ｘ、Ｙ及びＺから派生したものである。Ｃ ＩＥＬＡＢと通称される座標系Ｌ，ａ，ｂは１９７６年にＣＩＥにより公式勧告 され（国際照明委員会、測色法公式勧告、ＣＩＥ公報第１５−２号、ウィーン、 １９８６）、多数の産業部門で利用されている。 測色座標Ｌ，ａ，ｂの測定は製品の壁で実施される。壁上のａ，ｂ，Ｌの値を 決定するための透過率の測定は、スペクトロメーターｃｏｌｏｒｑｕｅｓｔ Ｉ ｎｔｅｒｌａｂをＣ光源下、観測角２°で使用して実施される。 特に香水及び化粧品産業用製品の製造については、その大半で使用される方法 は瓶及び壷の製造分野の慣用製造方法である。これらの製造方法は多くの場合は 自動式であり、壷や瓶は例えばＩＳ機械型の機械で製造される。 しかし、例えば香水瓶は、別の方法で製造してもよい。ある 種の瓶の製造時には、この瓶を種々の規模で製造すべき場合が多い。実際に、１ シリーズの香水は特にエッセンス、香水、オードパルファン、オードトワレット 、サンプル、見本等の複数のモデルから構成される。香水、オードパルファン、 オードトワレット及びサンプルは大量生産されるが、特にエッセンスや見本はそ うではない。大量生産製品は上記型の機械で自動生産される。特にエッセンスや 見本については、特に機械の適応に関連する費用及び／又は製品の寸法が同一機 械でこれらの製品を製造しにくくするという理由で、大量生産は考えにくい。こ の種の製品に一般に考えられる方法は「半自動式」と呼ばれ、即ちこれらの製品 の製造は１人以上の手動作業者が介入する段階を含む。 特にこの種の「半自動式」製造の場合、本発明は非常に広い作業温度域をもち 、製品の製造時に手作業を加えるのに適した組成物を提供する。特に製品の自動 製造用の本発明の組成物に比較して、このような組成物はシリカ含量を低くし、 アルカリ、特にＮａ₂Ｏ、及びＰ₂Ｏ₅の含量を増加すると有利である。ＳｉＯ₂と Ｎａ₂Ｏの含量を変えると、特に作業温度域を広くすることができる。このよう な変更により特に溶融精錬温度が低 下する。Ｐ₂Ｏ₅含量の変更は主にＮａ₂Ｏの変更を補償し、所望の微結晶形成率 を維持する。 好ましくは、自動製造用組成物に比較して、ＳｉＯ₂含量は３〜６％、好まし くは５％低くする。また、アルカリ含量、好ましくはＮａ₂Ｏ含量は３〜６％、 好ましくは４％高くする。 更に、Ｐ₂Ｏ₅含量は１〜３％、好ましくは１％高くする。 本発明の変形例では、特に「半自動式」製造用組成物は５８〜６３％のＳｉＯ₂ 含量と、１２〜１８％のアルカリ含量、特に有利には１０〜１３％のＮａ₂Ｏ含 量と、２〜６％のＰ₂Ｏ₅含量をもつことを特徴とする。 好ましくはこのような特に「半自動式」製造用の組成物は、５９〜６１％のＳ ｉＯ₂含量と、１３〜１５％のアルカリ含量と、２.５〜３％のＰ₂Ｏ₅含量をもつ ことを特徴とする。 特に自動製造用の本発明による乳白ガラス組成物は、ＳｉＯ₂ ６５.１０重量 ％、Ｎａ₂Ｏ ９.００重量％、Ｋ₂Ｏ ２.０２重量％、ＣａＯ １.０５重量％ 、Ａｌ₂Ｏ₃ ５.７０重量％、ＢａＯ ２.６５重量％、Ｃｅ₂Ｏ ０.０４重量％ 、Ｂ₂Ｏ₃ １１.２６重量％、ＺｎＯ ０.９３重量％、Ｆ ０.４５重量％、Ｐ₂ Ｏ₅ １.８０重量％を含有し得る。 特に手動段階を含む「半自動式」製造用の本発明による乳白ガラス組成物は、 ＳｉＯ₂ ６０.８０重量％、Ｎａ₂Ｏ １２.４重量％、Ｋ₂Ｏ ２重量％、Ｃａ Ｏ １.１重量％、Ａｌ₂Ｏ₃ ５.６重量％、ＢａＯ ２.７重量％、Ｃｅ₂Ｏ ０ .０４重量％、Ｂ₂Ｏ₃ １１.２重量％、ＺｎＯ ０.９重量％、Ｆ ０.５重量％ 、Ｐ₂Ｏ₅ ２.６重量％を含有し得る。 上述のように、特に「半自動式」製造用乳白ガラス組成物は、特に「自動式」 製造用の乳白ガラス組成物と同様に、Ｉ型ガラスに類似する十分な耐加水分解性 と、１０％を上回る光透過率をもつ。 本発明による種々の乳白ガラス組成物から作成した試料を下表に報告する。 表は作成した製品の各々のガラス組成と、測定できるように予め切断しておい た製品の壁を横断する測色値Ｌを示す。 これらの試料から明らかなように、まずＰ₂Ｏ₅含量が増加すると光透過率が低 下する。本発明によるこれらのガラス組成物から得られる光透過率は所期用途に 完全に満足できる。 また、これらのガラスの各々の耐加水分解性も、特に香水及び化粧品産業等の 用途に満足できる。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １． ＣａＯ ０.５〜３.０重量％及びＰ₂Ｏ₅ １.０〜６.０重量％の酸化物を も含み、アルカリ酸化物の合計が９〜１８重量％であるホウケイ酸型乳白ガラス 組成物。 ２． ＳｉＯ₂含量が６０〜６６重量％であることを特徴とする請求項１に記載 のガラス組成物。 ３． Ｂ₂Ｏ₃含量が８〜１４重量％であることを特徴とする請求項１又は２に記 載のガラス組成物。 ４． Ｂ₂Ｏ₃含量が１０〜１２重量％であることを特徴とする請求項１又は２に 記載のガラス組成物。 ５． ＳｉＯ₂ ６０〜６６重量％、Ｎａ₂Ｏ ９〜１３重量％、Ｋ₂Ｏ １.５〜 ２.５重量％、ＣａＯ ０.５〜１.５重量％、Ａｌ₂Ｏ₃ ５〜６重量％、ＢａＯ ２〜３重量％、Ｃｅ₂Ｏ ０〜０.１重量％、Ｂ₂Ｏ₃ １０〜１２重量％、Ｚｎ Ｏ ０.５〜１.５重量％、Ｆ ０〜１重量％、Ｐ₂Ｏ₅ １.５〜３重量％を含有 することを特徴とする請求項１から３のいずれか一項に記載のガラス組成物。 ６． ＳｉＯ₂ ６５.１０重量％、Ｎａ₂Ｏ ９.００重量％、 Ｋ₂Ｏ ２.０２重量％、ＣａＯ １.０５重量％、Ａｌ₂Ｏ₃ ５.７０重量％、Ｂ ａＯ ２.６５重量％、Ｃｅ₂Ｏ ０.０４重量％、Ｂ₂Ｏ₃ １１.２６重量％、Ｚ ｎＯ ０.９３重量％、Ｆ ０.４５重量％、Ｐ₂Ｏ₅ １.８０重量％を含有する ことを特徴とする請求項１から５のいずれか一項に記載のガラス組成物。 ７． ＳｉＯ₂含量が５８〜６３％であり、アルカリ含量が１２〜１８％であり 、Ｐ₂Ｏ₅含量が２〜６％であることを特徴とする請求項１に記載のガラス組成物 。 ８． ＳｉＯ₂含量が５９〜６１％であり、アルカリ含量が１３〜１５％であり 、Ｐ₂Ｏ₅含量が２.５〜３％であることを特徴とする請求項７に記載のガラス組 成物。 ９． ＳｉＯ₂ ６０.８０重量％、Ｎａ₂Ｏ １２.４重量％、Ｋ₂Ｏ ２重量％ 、ＣａＯ １.１重量％、Ａｌ₂Ｏ₃ ５.６重量％、ＢａＯ ２.７重量％、Ｃｅ₂ Ｏ ０.０４重量％、Ｂ₂Ｏ₃ １１.２重量％、ＺｎＯ ０.９重量％、Ｆ ０.５ 重量％、Ｐ₂Ｏ₅ ２.６重量％を含有することを特徴とする請求項７又は８に記 載のガラス組成物。 １０． 特に香水及び／又は化粧品産業に用いられる壷や瓶等 の製品の製造のための請求項１から９のいずれか一項に記載の乳白ガラス組成物 の使用。 １１． 製品の製造方法が半自動式であることを特徴とする、壷又は瓶等の製品 の製造のための請求項７から９のいずれか一項に記載の乳白ガラス組成物の使用 。 １２． ヨーロッパ又は米国薬局方ＵＳＰ２３−ＮＦ１８の規定によるＩ型ガラ スに相当する耐加水分解性をもつことを特徴とする請求項１０又は１１に記載の 使用により得られる製品。 １３． 壁を透過する全光透過率が１０〜８０％であることを特徴とする請求項 １０又は１１に記載の使用により得られる製品。