JPH1150802A - 容積型流体機械及びその製造方法 - Google Patents
容積型流体機械及びその製造方法Info
- Publication number
- JPH1150802A JPH1150802A JP21036997A JP21036997A JPH1150802A JP H1150802 A JPH1150802 A JP H1150802A JP 21036997 A JP21036997 A JP 21036997A JP 21036997 A JP21036997 A JP 21036997A JP H1150802 A JPH1150802 A JP H1150802A
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- Japan
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- displacer
- cylinder
- fluid machine
- center
- wall surface
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Abstract
(57)【要約】
【課題】従来の容積型流体機械のディスプレーサおよび
シリンダは、鋳造、鍛造等で成形するため、成形後2〜
3工程の機械加工仕上げが必要となるため、量産には適
していないという課題があった。 【解決手段】上記課題は、容積型流体機械のディスプレ
ーサおよび/またはシリンダを鉄系粉末冶金で成形する
ことで解決される。
シリンダは、鋳造、鍛造等で成形するため、成形後2〜
3工程の機械加工仕上げが必要となるため、量産には適
していないという課題があった。 【解決手段】上記課題は、容積型流体機械のディスプレ
ーサおよび/またはシリンダを鉄系粉末冶金で成形する
ことで解決される。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばポンプ、圧
縮機、膨張機等に係り、特に容積形流体機械及びその製
造方法に関する。
縮機、膨張機等に係り、特に容積形流体機械及びその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】容積形の流体機械の一つに、端板上に直
立した渦巻状のラップを有する一対の固定スクロール及
び旋回スクロールを噛み合わせ、旋回スクロールを旋回
運動させることにより作動流体を移動させるスクロール
式流体機械がある。そして、このスクロール式圧縮機の
主要部材である固定及び旋回スクロールは、特開平5−
79478号公報に記載のように鋳造による鋳鉄で成形
されており、特開昭59−13541号公報に記載の冷
間鍛造法及び特開昭64−54806号公報に記載の熱
間鍛造法が一般的に用いられている。
立した渦巻状のラップを有する一対の固定スクロール及
び旋回スクロールを噛み合わせ、旋回スクロールを旋回
運動させることにより作動流体を移動させるスクロール
式流体機械がある。そして、このスクロール式圧縮機の
主要部材である固定及び旋回スクロールは、特開平5−
79478号公報に記載のように鋳造による鋳鉄で成形
されており、特開昭59−13541号公報に記載の冷
間鍛造法及び特開昭64−54806号公報に記載の熱
間鍛造法が一般的に用いられている。
【0003】一方、固定及び旋回スクロールの成形に粉
末冶金法を適用した例として、特開平5−113181
号公報に記載のように旋回スクロールを20重量%〜3
0重量%のシリコンを含むアルミニウム粉末を用いて粉
末冶金法で成形する方法、特開平2−197506号公
報に記載のように渦巻き状のラップの頂上近傍部にアル
ミニウム系材料中に固体潤滑剤を分散させた混合粉末を
用い、アルミニウム系材料からなるスクロール本体とと
もに一体で粉末冶金法により成形する方法、特開昭64
−12090号公報に記載のようにスクロールラップな
どを焼結する際に成形用のグラファイト型を誘導加熱又
は通電加熱して放電焼結する方法などが考案されてい
る。さらに、特開昭64−379号公報及び特開平5−
332270号公報に記載のように熱硬化性及び熱可塑
性樹脂で射出成形されている。
末冶金法を適用した例として、特開平5−113181
号公報に記載のように旋回スクロールを20重量%〜3
0重量%のシリコンを含むアルミニウム粉末を用いて粉
末冶金法で成形する方法、特開平2−197506号公
報に記載のように渦巻き状のラップの頂上近傍部にアル
ミニウム系材料中に固体潤滑剤を分散させた混合粉末を
用い、アルミニウム系材料からなるスクロール本体とと
もに一体で粉末冶金法により成形する方法、特開昭64
−12090号公報に記載のようにスクロールラップな
どを焼結する際に成形用のグラファイト型を誘導加熱又
は通電加熱して放電焼結する方法などが考案されてい
る。さらに、特開昭64−379号公報及び特開平5−
332270号公報に記載のように熱硬化性及び熱可塑
性樹脂で射出成形されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】固定及び旋回スクロー
ルを鋳造で成形した場合、砂型鋳物などでは冷却速度と
の関係で表面にチル層が生じる。このため、成形後、荒
加工−中仕上げ−上仕上げの3工程の機械加工(精度約
5μm)で製品寸法に仕上げなければならない問題があ
った。同様に金型を用いて成形する冷間及び熱間鍛造法
においても、金型の加工精度、成形条件の変動要因から
成形精度は0.3〜0.5mmで、2〜3工程の機械加
工仕上げが必要であった。
ルを鋳造で成形した場合、砂型鋳物などでは冷却速度と
の関係で表面にチル層が生じる。このため、成形後、荒
加工−中仕上げ−上仕上げの3工程の機械加工(精度約
5μm)で製品寸法に仕上げなければならない問題があ
った。同様に金型を用いて成形する冷間及び熱間鍛造法
においても、金型の加工精度、成形条件の変動要因から
成形精度は0.3〜0.5mmで、2〜3工程の機械加
工仕上げが必要であった。
【0005】固定及び旋回スクロールをアルミニウム系
粉末材料を用いて粉末冶金法で成形した場合、渦巻状の
ラップと円板状の鏡板が組み合わされたスクロール部材
では、焼結よる鏡板の膨張・収縮がラップの寸法変化に
大きく影響し、ラップ部分が倒れ、後工程として必ず荒
加工−中仕上げ−上仕上げの3工程の機械加工が必要で
あった。
粉末材料を用いて粉末冶金法で成形した場合、渦巻状の
ラップと円板状の鏡板が組み合わされたスクロール部材
では、焼結よる鏡板の膨張・収縮がラップの寸法変化に
大きく影響し、ラップ部分が倒れ、後工程として必ず荒
加工−中仕上げ−上仕上げの3工程の機械加工が必要で
あった。
【0006】さらに、熱硬化性及び熱可塑性樹脂の射出
成形で一体成形する方法では、成形精度が0.2〜0.
3mmであり、このままスクロール部材として用いるこ
とはできず、切削性が悪いので機械加工で仕上げるのも
困難である。
成形で一体成形する方法では、成形精度が0.2〜0.
3mmであり、このままスクロール部材として用いるこ
とはできず、切削性が悪いので機械加工で仕上げるのも
困難である。
【0007】以上述べたように、いずれの従来技術で部
材を成形しても成形後の機械加工代が大きくなり、加工
時間が長いことなどの理由から製造コストが高価になる
問題があった。また、部材の機械加工時間が長くなる
と、加工機の占有時間が長くなり、量産品のスクロール
を生産する場合には、膨大な台数の加工機が必要とな
り、設備投資が多大になる問題があった。
材を成形しても成形後の機械加工代が大きくなり、加工
時間が長いことなどの理由から製造コストが高価になる
問題があった。また、部材の機械加工時間が長くなる
と、加工機の占有時間が長くなり、量産品のスクロール
を生産する場合には、膨大な台数の加工機が必要とな
り、設備投資が多大になる問題があった。
【0008】本発明の目的は、上記した従来技術の問題
点を解決した容積型流体機械およびその製造方法を提供
することにある。
点を解決した容積型流体機械およびその製造方法を提供
することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本願発明は、端板間にディスプレーサとシリンダと
を配置し、回転軸の回転中心にディスプレーサ中心を合
わせたときシリンダ内壁面及びディスプレーサ外壁面に
より1つの空間が形成され、ディスプレーサ及びシリン
ダとの位置関係を旋回位置においたときは複数の空間が
形成される容積型流体機械において、次の構成を備えた
ことを特徴とする。
め、本願発明は、端板間にディスプレーサとシリンダと
を配置し、回転軸の回転中心にディスプレーサ中心を合
わせたときシリンダ内壁面及びディスプレーサ外壁面に
より1つの空間が形成され、ディスプレーサ及びシリン
ダとの位置関係を旋回位置においたときは複数の空間が
形成される容積型流体機械において、次の構成を備えた
ことを特徴とする。
【0010】(1)ディスプレーサを鉄系粉末冶金で成
形すること。このようにすれば、粉末冶金はその密度を
任意に調整できるため、ディスプレーサの密度を必要に
応じた密度に成形することができる。
形すること。このようにすれば、粉末冶金はその密度を
任意に調整できるため、ディスプレーサの密度を必要に
応じた密度に成形することができる。
【0011】従来この部材には鋳鉄(FC250)が用いられ
るが鋳鉄の密度が7.3g/cm3なので、例えばディスプレ
ーサをFe−Cu−Cの混合粉末で成形したものは従来
の鋳鉄製のものに較べて10〜15%の軽量化が図れ
る。そのため、旋回ピストンを駆動するモータの動力が
10〜15%低減できる。また、鉄系粉末冶金はアルミ
ニウム系粉末材料と異なり焼結よる膨張・収縮の寸法変
化が少ないため、最小限の仕上げ加工で製品形状が形成
できる。さらに、粉末冶金で形成した旋回ピストンの表
面には微細な凹凸が形成されるため、この微細な凹凸が
油保持機能を発揮し摺動性能が大幅に向上する。
るが鋳鉄の密度が7.3g/cm3なので、例えばディスプレ
ーサをFe−Cu−Cの混合粉末で成形したものは従来
の鋳鉄製のものに較べて10〜15%の軽量化が図れ
る。そのため、旋回ピストンを駆動するモータの動力が
10〜15%低減できる。また、鉄系粉末冶金はアルミ
ニウム系粉末材料と異なり焼結よる膨張・収縮の寸法変
化が少ないため、最小限の仕上げ加工で製品形状が形成
できる。さらに、粉末冶金で形成した旋回ピストンの表
面には微細な凹凸が形成されるため、この微細な凹凸が
油保持機能を発揮し摺動性能が大幅に向上する。
【0012】(2)ディスプレーサの線膨張係数をシリ
ンダの線膨張係数よりも大きくすること。このようにす
れば、ディスプレーサとシリンダとの相対すき間は運転
時の熱膨張の関係から初期段階では大きく取れるので組
み立てを容易に行うことができる。また、運転時に温度
が上昇すると、旋回ピストンの熱膨張がシリンダに比べ
て大きいので相対すき間が小さくなり、流体機械の性能
を向上させることができる。
ンダの線膨張係数よりも大きくすること。このようにす
れば、ディスプレーサとシリンダとの相対すき間は運転
時の熱膨張の関係から初期段階では大きく取れるので組
み立てを容易に行うことができる。また、運転時に温度
が上昇すると、旋回ピストンの熱膨張がシリンダに比べ
て大きいので相対すき間が小さくなり、流体機械の性能
を向上させることができる。
【0013】(3)ディスプレーサの外周壁にディスプ
レーサの下面側から上面側に向かって広がるような傾斜
を設け、シリンダの内周壁にはディスプレーサの外周壁
の傾斜に沿う方向の傾斜を設けること。このようにすれ
ば、作動ガス圧の軸方向分力によって旋回ピストンが浮
上し、副軸受側と主軸側のすき間のバランスとれるた
め、旋回ピストンが自重により副軸受側に沈み込むこと
により生じる主軸受側のすき間が防止でき、すき間から
の作動ガスの漏れによる性能が低下できる。
レーサの下面側から上面側に向かって広がるような傾斜
を設け、シリンダの内周壁にはディスプレーサの外周壁
の傾斜に沿う方向の傾斜を設けること。このようにすれ
ば、作動ガス圧の軸方向分力によって旋回ピストンが浮
上し、副軸受側と主軸側のすき間のバランスとれるた
め、旋回ピストンが自重により副軸受側に沈み込むこと
により生じる主軸受側のすき間が防止でき、すき間から
の作動ガスの漏れによる性能が低下できる。
【0014】(4)ディスプレーサのシリンダとの摺動
面にはディスプレーサの素材が露出した領域とディスプ
レーサの素材よりも軟質な被膜が形成された領域とを存
在させること。すなわち、ディスプレーサのシリンダと
の摺動面のうち、シリンダとの接触圧力が高い部分のみ
を仕上げ加工し、他の部分をディスプレーサの素材より
も軟質な被膜で構成することにより最小限の仕上げ加工
で容積型流体機械が製作できる。
面にはディスプレーサの素材が露出した領域とディスプ
レーサの素材よりも軟質な被膜が形成された領域とを存
在させること。すなわち、ディスプレーサのシリンダと
の摺動面のうち、シリンダとの接触圧力が高い部分のみ
を仕上げ加工し、他の部分をディスプレーサの素材より
も軟質な被膜で構成することにより最小限の仕上げ加工
で容積型流体機械が製作できる。
【0015】上記の目的を達成するため、本願発明の容
積型流体機械の製造方法は、端板間にディスプレーサと
シリンダとを配置し、回転軸の回転中心にディスプレー
サ中心を合わせたときシリンダ内壁面及びディスプレー
サ外壁面により1つの空間が形成され、ディスプレーサ
及びシリンダとの位置関係を旋回位置においたときは複
数の空間が形成される容積型流体機械の製造方法におい
て、次の工程を有することを特徴とする。
積型流体機械の製造方法は、端板間にディスプレーサと
シリンダとを配置し、回転軸の回転中心にディスプレー
サ中心を合わせたときシリンダ内壁面及びディスプレー
サ外壁面により1つの空間が形成され、ディスプレーサ
及びシリンダとの位置関係を旋回位置においたときは複
数の空間が形成される容積型流体機械の製造方法におい
て、次の工程を有することを特徴とする。
【0016】(5)軸受穴および貫通穴を基準としてデ
ィスプレーサの素形材の外形を製品形状に仕上げ加工す
る工程。これによれば、ディスプレーサの素形材形成時
に形成した軸受穴および貫通穴を加工治具への取付けの
位置決め基準としているため、正確な位置決めが可能に
なるとともに、切削・研削加工時の変形等も防止され、
輪郭形状の寸法精度を向上させることができる。
ィスプレーサの素形材の外形を製品形状に仕上げ加工す
る工程。これによれば、ディスプレーサの素形材形成時
に形成した軸受穴および貫通穴を加工治具への取付けの
位置決め基準としているため、正確な位置決めが可能に
なるとともに、切削・研削加工時の変形等も防止され、
輪郭形状の寸法精度を向上させることができる。
【0017】(6)ディスプレーサの素形材を仕上げ用
の型に入れ軸受および貫通穴を基準としてディスプレー
サの素形材を加圧することにより旋回ピストンを製品形
状に仕上げる工程。これによれば、ディスプレーサの外
周壁を機械加工をすることなく仕上げることができるの
で、短時間で、かつ高精度に成形することができる。
の型に入れ軸受および貫通穴を基準としてディスプレー
サの素形材を加圧することにより旋回ピストンを製品形
状に仕上げる工程。これによれば、ディスプレーサの外
周壁を機械加工をすることなく仕上げることができるの
で、短時間で、かつ高精度に成形することができる。
【0018】(7)ディスプレーサの外周壁摺動面にデ
ィスプレーサの素形材よりも軟質な被膜を形成する工程
および被膜が形成されたディスプレーサを製品形状に仕
上げ加工する工程。これによれば、ディスプレーサのシ
リンダとの摺動面のうち、シリンダとの接触圧力が高い
部分のみを仕上げ加工し、他の部分をディスプレーサの
素材よりも軟質な被膜で構成することにより最小限の仕
上げ加工で容積型流体機械が製作できる。
ィスプレーサの素形材よりも軟質な被膜を形成する工程
および被膜が形成されたディスプレーサを製品形状に仕
上げ加工する工程。これによれば、ディスプレーサのシ
リンダとの摺動面のうち、シリンダとの接触圧力が高い
部分のみを仕上げ加工し、他の部分をディスプレーサの
素材よりも軟質な被膜で構成することにより最小限の仕
上げ加工で容積型流体機械が製作できる。
【0019】(8)ディスプレーサの外周壁摺動面にデ
ィスプレーサの素形材よりも軟質な被膜を形成する工程
およびディスプレーサとシリンダを摺動させて被膜をす
り合わせ加工してディスプレーサを製品形状に仕上げる
工程。これによれば、すり合わせ加工により余分な皮膜
が削れるため、結果として最良の形状となり、ディスプ
レーサとシリンダが接触することなく、また、大きな漏
れ損失を発生することなくなめらかに摺動することがで
きる。
ィスプレーサの素形材よりも軟質な被膜を形成する工程
およびディスプレーサとシリンダを摺動させて被膜をす
り合わせ加工してディスプレーサを製品形状に仕上げる
工程。これによれば、すり合わせ加工により余分な皮膜
が削れるため、結果として最良の形状となり、ディスプ
レーサとシリンダが接触することなく、また、大きな漏
れ損失を発生することなくなめらかに摺動することがで
きる。
【0020】
【発明の実施の形態】以上説明した本発明の特徴は以下
の実施形態によりさらに明確になる。以下、本発明の一
実施の形態を図を用いて説明する。まず、本発明に係る
旋回形流体機械の構造を図1乃至図3を用いて説明す
る。図1(a)は本発明に係る容積型流体機械を圧縮機と
して用いた場合における密閉型圧縮機の縦断面図((b)
のA-A断面図)、(b)は(a)のB-B断面図、図2容積型圧縮
要素の作動原理図、図3は本発明に係る容積型流体機械
を圧縮機として用いた場合における密閉型圧縮機の縦断
面図である。
の実施形態によりさらに明確になる。以下、本発明の一
実施の形態を図を用いて説明する。まず、本発明に係る
旋回形流体機械の構造を図1乃至図3を用いて説明す
る。図1(a)は本発明に係る容積型流体機械を圧縮機と
して用いた場合における密閉型圧縮機の縦断面図((b)
のA-A断面図)、(b)は(a)のB-B断面図、図2容積型圧縮
要素の作動原理図、図3は本発明に係る容積型流体機械
を圧縮機として用いた場合における密閉型圧縮機の縦断
面図である。
【0021】図1において、密閉容器3内には、本発明
に係る容積型圧縮要素1及びこれを駆動する電動要素2
(図示なし)が収納されている。容積型圧縮要素1の詳
細を説明する。図1(b)には同一輪郭形状が3組組み合
わされた3条ラップが示されている。シリンダ4の内周
形状は、いちょうの葉のような形状をした中空部が12
0°(中心o’)毎に同一の形状が表れるように形成さ
れている。この個々のいちょうの葉状をした中空部の端
部には、内方に向かって突出する複数(この場合は3条
ラップであるので3つ存在する)の略円弧形状のベ−ン
4bを有する。旋回ピストン5は、このシリンダ4の内
側に配設されシリンダ4の内周壁4a(ベーン4bより
も曲率が大きい部分)及びベ−ン4bと噛み合うように
構成されている。尚、シリンダ4の中心o’と旋回ピス
トン5の中心oを一致させると、両者の輪郭形状の間に
は基本形状として一定幅の隙間が形成される。
に係る容積型圧縮要素1及びこれを駆動する電動要素2
(図示なし)が収納されている。容積型圧縮要素1の詳
細を説明する。図1(b)には同一輪郭形状が3組組み合
わされた3条ラップが示されている。シリンダ4の内周
形状は、いちょうの葉のような形状をした中空部が12
0°(中心o’)毎に同一の形状が表れるように形成さ
れている。この個々のいちょうの葉状をした中空部の端
部には、内方に向かって突出する複数(この場合は3条
ラップであるので3つ存在する)の略円弧形状のベ−ン
4bを有する。旋回ピストン5は、このシリンダ4の内
側に配設されシリンダ4の内周壁4a(ベーン4bより
も曲率が大きい部分)及びベ−ン4bと噛み合うように
構成されている。尚、シリンダ4の中心o’と旋回ピス
トン5の中心oを一致させると、両者の輪郭形状の間に
は基本形状として一定幅の隙間が形成される。
【0022】次に、容積型圧縮要素1の作動原理を図1
及び図2により説明する。記号oはデイスプレ−サであ
る旋回ピストン5の中心、記号o’はシリンダ4(ある
いは駆動軸6)の中心である。記号a,b,c,d,
e,fはシリンダ4の内周壁4a及びベ−ン4bと旋回
ピストン5の噛み合いの接点を表す。ここで、シリンダ
4の内周輪郭形状をみると、同じ曲線の組合せが3箇所
連続して滑らかに接続されている。このうちの1箇所に
着目すると、内周壁4a、ベ−ン4bを形作る曲線を、
厚みのある一つの渦曲線(ベーン4bの先端を渦の巻始
めと考える)とみることができ、その内壁曲線(g−
a)は巻き角がほぼ360°(設計上は360°である
が製造誤差のため丁度その値にはならないという意味で
ある。以下、同様。尚、この巻角については詳細を後述
する)の渦曲線で、外壁曲線(g−b)は巻き角がほぼ
360°の渦曲線である。そして、上記1箇所の内周輪
郭形状は、内壁曲線及び外壁曲線から形成されている。
これら2つの曲線円周上にほぼ等ピッチ(3条ラップで
あるので120°)に配設し、隣合う渦巻体の外壁曲線
と内壁曲線とは円弧等の滑らかな接続曲線(b−b’)
で結ぶことによって、シリンダ4の内周輪郭形状が構成
されている。旋回ピストン5の外周輪郭形状も上記シリ
ンダ4と同じ原理で構成されている。
及び図2により説明する。記号oはデイスプレ−サであ
る旋回ピストン5の中心、記号o’はシリンダ4(ある
いは駆動軸6)の中心である。記号a,b,c,d,
e,fはシリンダ4の内周壁4a及びベ−ン4bと旋回
ピストン5の噛み合いの接点を表す。ここで、シリンダ
4の内周輪郭形状をみると、同じ曲線の組合せが3箇所
連続して滑らかに接続されている。このうちの1箇所に
着目すると、内周壁4a、ベ−ン4bを形作る曲線を、
厚みのある一つの渦曲線(ベーン4bの先端を渦の巻始
めと考える)とみることができ、その内壁曲線(g−
a)は巻き角がほぼ360°(設計上は360°である
が製造誤差のため丁度その値にはならないという意味で
ある。以下、同様。尚、この巻角については詳細を後述
する)の渦曲線で、外壁曲線(g−b)は巻き角がほぼ
360°の渦曲線である。そして、上記1箇所の内周輪
郭形状は、内壁曲線及び外壁曲線から形成されている。
これら2つの曲線円周上にほぼ等ピッチ(3条ラップで
あるので120°)に配設し、隣合う渦巻体の外壁曲線
と内壁曲線とは円弧等の滑らかな接続曲線(b−b’)
で結ぶことによって、シリンダ4の内周輪郭形状が構成
されている。旋回ピストン5の外周輪郭形状も上記シリ
ンダ4と同じ原理で構成されている。
【0023】なお、3つの曲線からなる渦巻体を円周上
にほぼ等ピッチ(120°)に配設するとしたが、これ
は後述する圧縮動作に伴う荷重を均等に分散させる目的
と製造のし易さを配慮したためで、特に、これらのこと
が問題にならない場合は、不等ピッチでもよい。
にほぼ等ピッチ(120°)に配設するとしたが、これ
は後述する圧縮動作に伴う荷重を均等に分散させる目的
と製造のし易さを配慮したためで、特に、これらのこと
が問題にならない場合は、不等ピッチでもよい。
【0024】さて、このように構成されたシリンダ4と
旋回ピストン5による圧縮動作を図2を用いて説明す
る。7aは吸入ポートであり、8aは吐出ポートであ
り、夫々3か所に設けられている。駆動軸6を回転させ
ることにより、旋回ピストン5が固定側であるシリンダ
4の中心o’の周りを自転することなしに旋回半径ε
(=oo’)で公転運動し、旋回ピストン5の中心o周
りに複数の作動室15(シリンダ内周輪郭(内壁)とピ
ストン外周輪郭(側壁)とにより囲まれて密閉された複
数の空間のうち、吸入が終了し圧縮(吐出)行程となっ
ている空間をいう。すなわち吸入終了から吐出終了まで
の期間となっている空間。前述の巻角が360゜の場合
に限ると、圧縮終了時点ではこの空間は無くなるが、そ
の瞬間に吸入も終了するのでこの空間を1つと勘定す
る。但し、ポンプとして用いる場合は、吐出ポートを介
して外部と連通している空間をいう)が形成される(本
実施の形態では常時3個の作動室)。接点aと接点bで
囲まれハッチングが施された1つの作動室(吸入終了時
点では2つに別れているが、圧縮行程が開始されると直
ぐにこの2つの作動室はつながって1つになる)に着目
して説明する。図2(1)が吸入ポ−ト7aからこの作
動室への作動ガスの吸入が終了した状態である。この状
態から90°駆動軸6が回転した状態が図2(2)で、
回転が進み最初から180°回転した状態が図2(3)
で、さらに回転が進み最初から270°回転した状態が
図2(4)である。図2(4)から90°回転すると最
初の図2(1)の状態に戻る。これより、回転が進むに
従って作動室15はその容積を縮少し、吐出ポ−ト8a
は吐出弁9(図1に示す)で閉じられているため作動流
体の圧縮作用が行われることになる。そして、作動室1
5内の圧力が外部の吐出圧力よりも高くなると圧力差で
吐出弁9が自動的に開き、圧縮された作動ガスは吐出ポ
−ト8aを通って吐き出される。吸入終了(圧縮開始)
から、吐出終了までの軸回転角は360°で、圧縮、吐
出の各行程が実施されている間に次の吸入行程が準備さ
れており、吐出終了時が次の圧縮開始となる。例えば、
接点aとdによって形成される空間に着目すると、図2
(1)の段階で既に吸入ポート7aから吸入が開始され
ており、回転が進むにつれてその容積が増し、図2
(4)の状態になると、この空間は分断される。この分
断された量に相当する流体は接点bとeによって形成さ
れる空間から補われる。
旋回ピストン5による圧縮動作を図2を用いて説明す
る。7aは吸入ポートであり、8aは吐出ポートであ
り、夫々3か所に設けられている。駆動軸6を回転させ
ることにより、旋回ピストン5が固定側であるシリンダ
4の中心o’の周りを自転することなしに旋回半径ε
(=oo’)で公転運動し、旋回ピストン5の中心o周
りに複数の作動室15(シリンダ内周輪郭(内壁)とピ
ストン外周輪郭(側壁)とにより囲まれて密閉された複
数の空間のうち、吸入が終了し圧縮(吐出)行程となっ
ている空間をいう。すなわち吸入終了から吐出終了まで
の期間となっている空間。前述の巻角が360゜の場合
に限ると、圧縮終了時点ではこの空間は無くなるが、そ
の瞬間に吸入も終了するのでこの空間を1つと勘定す
る。但し、ポンプとして用いる場合は、吐出ポートを介
して外部と連通している空間をいう)が形成される(本
実施の形態では常時3個の作動室)。接点aと接点bで
囲まれハッチングが施された1つの作動室(吸入終了時
点では2つに別れているが、圧縮行程が開始されると直
ぐにこの2つの作動室はつながって1つになる)に着目
して説明する。図2(1)が吸入ポ−ト7aからこの作
動室への作動ガスの吸入が終了した状態である。この状
態から90°駆動軸6が回転した状態が図2(2)で、
回転が進み最初から180°回転した状態が図2(3)
で、さらに回転が進み最初から270°回転した状態が
図2(4)である。図2(4)から90°回転すると最
初の図2(1)の状態に戻る。これより、回転が進むに
従って作動室15はその容積を縮少し、吐出ポ−ト8a
は吐出弁9(図1に示す)で閉じられているため作動流
体の圧縮作用が行われることになる。そして、作動室1
5内の圧力が外部の吐出圧力よりも高くなると圧力差で
吐出弁9が自動的に開き、圧縮された作動ガスは吐出ポ
−ト8aを通って吐き出される。吸入終了(圧縮開始)
から、吐出終了までの軸回転角は360°で、圧縮、吐
出の各行程が実施されている間に次の吸入行程が準備さ
れており、吐出終了時が次の圧縮開始となる。例えば、
接点aとdによって形成される空間に着目すると、図2
(1)の段階で既に吸入ポート7aから吸入が開始され
ており、回転が進むにつれてその容積が増し、図2
(4)の状態になると、この空間は分断される。この分
断された量に相当する流体は接点bとeによって形成さ
れる空間から補われる。
【0025】詳述する。図2(1)の状態の接点aとb
とにより形成された作動室に着目すると、隣の接点aと
dによって形成された空間は吸入が始まっており、この
中の流体が軸回転角360°後に接点aとbによって形
成される空間によって圧縮される筈であるが、この空間
は、一旦図2(3)に示されるように広がった後、図2
(4)になると分断されてしまうので、接点aとdによ
って形成された空間の全ての流体が接点aとbによって
形成される空間で圧縮される訳ではない。分断されて接
点aとdによって形成された空間に取り込まれなかった
流体体積と同量の流体は、図2(4)において吸入過程
にある接点bとeによって形成される空間が、図2
(1)に示されるように分断されて、吐出ポート付近の
接点eと接点bとにより形成される空間に流入している
流体によって充当される。これは、前述したように、不
均等ピッチで配置したのではなく均等ピッチで配置した
ことによる。即ち、旋回ピストンおよびシリンダの形状
が同一輪郭形状の繰返しにより形成されているため、い
ずれの作動室も異なる空間から流体を得てもほぼ同量の
流体を圧縮することができるのである。なお、不均等ピ
ッチであっても各空間に形成される容積が等しくなるよ
うに加工を施すことは可能であるが製作性が悪い。前出
のいずれの従来技術においても吸込過程にある空間が閉
じられてそのまま圧縮され吐出されるのに対して、この
ように作動室に隣合う吸入過程にある空間が分断されて
圧縮動作を行うことは本実施形態の特徴の一つでであ
る。
とにより形成された作動室に着目すると、隣の接点aと
dによって形成された空間は吸入が始まっており、この
中の流体が軸回転角360°後に接点aとbによって形
成される空間によって圧縮される筈であるが、この空間
は、一旦図2(3)に示されるように広がった後、図2
(4)になると分断されてしまうので、接点aとdによ
って形成された空間の全ての流体が接点aとbによって
形成される空間で圧縮される訳ではない。分断されて接
点aとdによって形成された空間に取り込まれなかった
流体体積と同量の流体は、図2(4)において吸入過程
にある接点bとeによって形成される空間が、図2
(1)に示されるように分断されて、吐出ポート付近の
接点eと接点bとにより形成される空間に流入している
流体によって充当される。これは、前述したように、不
均等ピッチで配置したのではなく均等ピッチで配置した
ことによる。即ち、旋回ピストンおよびシリンダの形状
が同一輪郭形状の繰返しにより形成されているため、い
ずれの作動室も異なる空間から流体を得てもほぼ同量の
流体を圧縮することができるのである。なお、不均等ピ
ッチであっても各空間に形成される容積が等しくなるよ
うに加工を施すことは可能であるが製作性が悪い。前出
のいずれの従来技術においても吸込過程にある空間が閉
じられてそのまま圧縮され吐出されるのに対して、この
ように作動室に隣合う吸入過程にある空間が分断されて
圧縮動作を行うことは本実施形態の特徴の一つでであ
る。
【0026】以上説明したように、連続的な圧縮動作と
なる作動室が旋回ピストン5の中心部に位置する駆動軸
受5aの周りにほぼ等ピッチで分散して配設され、各作
動室は各々位相がずれて圧縮が行われる。すなわち、一
つの空間に着目すると吸入から吐出までは軸回転角で3
60°ではあるが、本実施形態の場合3個の作動室が形
成され、これらが120°ずれた位相で吐出をするの
で、圧縮機として軸回転角で360°間に3回冷媒を吐
出することになる。このように冷媒の吐出脈動を小さく
し得る点がレシプロ式、ロータリ式及びスクロール式に
ない点である。
なる作動室が旋回ピストン5の中心部に位置する駆動軸
受5aの周りにほぼ等ピッチで分散して配設され、各作
動室は各々位相がずれて圧縮が行われる。すなわち、一
つの空間に着目すると吸入から吐出までは軸回転角で3
60°ではあるが、本実施形態の場合3個の作動室が形
成され、これらが120°ずれた位相で吐出をするの
で、圧縮機として軸回転角で360°間に3回冷媒を吐
出することになる。このように冷媒の吐出脈動を小さく
し得る点がレシプロ式、ロータリ式及びスクロール式に
ない点である。
【0027】さて、圧縮動作を終了した瞬間の空間(接
点aとbによって囲まれた空間)を一つの空間として見
做すと、本実施形態の如く巻角が360゜の場合、いず
れの圧縮機動作状態においても、吸入行程となっている
空間と圧縮行程となっている空間とが交互になるように
設計されており、このため、圧縮行程が終了した瞬間直
ちに次の圧縮行程に移行することができ、滑らかで連続
的に流体を圧縮することができる。
点aとbによって囲まれた空間)を一つの空間として見
做すと、本実施形態の如く巻角が360゜の場合、いず
れの圧縮機動作状態においても、吸入行程となっている
空間と圧縮行程となっている空間とが交互になるように
設計されており、このため、圧縮行程が終了した瞬間直
ちに次の圧縮行程に移行することができ、滑らかで連続
的に流体を圧縮することができる。
【0028】次に、このような形状をした容積型圧縮要
素1を組み込んだ圧縮機を図1及び図3を用いて説明す
る。図3において、容積型圧縮要素1は、上記詳述した
シリンダ4及び旋回ピストン5に加えて、旋回ピストン
5の中心部の軸受にクランク部6aが嵌合して旋回ピス
トン5を駆動する駆動軸6、前記シリンダ4の両端開口
部を閉塞する端板と駆動軸6を軸支する軸受を兼ねた主
軸受7と副軸受8、前記主軸受7の端板に形成された吸
入ポ−ト7a、前記副軸受8の端板に形成された吐出ポ
−ト8a、この吐出ポ−ト8aを開閉するリ−ド弁形式
(差圧で開閉する)の吐出弁9を有する。5bは旋回ピ
ストン5に形成された貫通穴である。また、10は主軸
受7に取り付けられた吸入カバ−、11は副軸受8に一
体的に吐出室8bを形成するための吐出カバ−である。
素1を組み込んだ圧縮機を図1及び図3を用いて説明す
る。図3において、容積型圧縮要素1は、上記詳述した
シリンダ4及び旋回ピストン5に加えて、旋回ピストン
5の中心部の軸受にクランク部6aが嵌合して旋回ピス
トン5を駆動する駆動軸6、前記シリンダ4の両端開口
部を閉塞する端板と駆動軸6を軸支する軸受を兼ねた主
軸受7と副軸受8、前記主軸受7の端板に形成された吸
入ポ−ト7a、前記副軸受8の端板に形成された吐出ポ
−ト8a、この吐出ポ−ト8aを開閉するリ−ド弁形式
(差圧で開閉する)の吐出弁9を有する。5bは旋回ピ
ストン5に形成された貫通穴である。また、10は主軸
受7に取り付けられた吸入カバ−、11は副軸受8に一
体的に吐出室8bを形成するための吐出カバ−である。
【0029】電動要素2は、固定子2aと回転子2bか
らなり、回転子2bは駆動軸6の一端に焼き嵌め等で固
定されている。この電動要素2は、電動機効率向上のた
め、ブラシレスモータで構成され、3相インバータによ
り駆動制御される。ただし、他の電動機形式、例えば、
直流電動機や誘導電動機でも差し支えない。
らなり、回転子2bは駆動軸6の一端に焼き嵌め等で固
定されている。この電動要素2は、電動機効率向上のた
め、ブラシレスモータで構成され、3相インバータによ
り駆動制御される。ただし、他の電動機形式、例えば、
直流電動機や誘導電動機でも差し支えない。
【0030】12は密閉容器3の底部に溜められた潤滑
油で、この中に駆動軸6の下端部が浸かっている。13
は吸入パイプ、14は吐出パイプ、15はシリンダ4の
内周壁4a及びベ−ン4bと旋回ピストン5の噛み合い
によって形成される前述した作動室である。また、吐出
室8bはOリング等のシ−ル部材16により密閉容器3
内の圧力と区画されている。
油で、この中に駆動軸6の下端部が浸かっている。13
は吸入パイプ、14は吐出パイプ、15はシリンダ4の
内周壁4a及びベ−ン4bと旋回ピストン5の噛み合い
によって形成される前述した作動室である。また、吐出
室8bはOリング等のシ−ル部材16により密閉容器3
内の圧力と区画されている。
【0031】作動ガス(冷媒)の流れを図1により説明
する。図中に矢印で示すように、吸入パイプ13を通っ
て密閉容器3に入った作動ガスは、主軸受7に取り付け
られた吸入カバ−10内に入り吸入ポ−ト7aを通って
容積型圧縮要素1に入り、ここで駆動軸6の回転によっ
て旋回ピストン5が旋回運動を行い作動室の容積が縮少
することにより圧縮される。圧縮された作動ガスは、副
軸受8の端板に形成された吐出ポ−ト8aを通り吐出弁
9を押し上げて吐出室8b内に入り、吐出パイプ14を
通って外部に流出する。尚、吸入パイプ13と吸入カバ
ー10との間に隙間が形成されている理由は、作動ガス
を電動機要素2内にも流通させることによって電動機要
素を冷却するためである。
する。図中に矢印で示すように、吸入パイプ13を通っ
て密閉容器3に入った作動ガスは、主軸受7に取り付け
られた吸入カバ−10内に入り吸入ポ−ト7aを通って
容積型圧縮要素1に入り、ここで駆動軸6の回転によっ
て旋回ピストン5が旋回運動を行い作動室の容積が縮少
することにより圧縮される。圧縮された作動ガスは、副
軸受8の端板に形成された吐出ポ−ト8aを通り吐出弁
9を押し上げて吐出室8b内に入り、吐出パイプ14を
通って外部に流出する。尚、吸入パイプ13と吸入カバ
ー10との間に隙間が形成されている理由は、作動ガス
を電動機要素2内にも流通させることによって電動機要
素を冷却するためである。
【0032】ここで、本発明の容積型圧縮要素1を構成
する主要部品である旋回ピストン5及びシリンダ4の輪
郭形状の構成方法を図4乃至図6を用いて説明する(3
条ラップの場合を例にあげる)。図4(a)(b)は、
一例として平面形状が円弧の組合せにより構成された旋
回ピストンの形状の一例で、(a)は平面図、(b)は
側面図である。図5(a)(b)は、図4に示した旋回
ピストンの対となって噛み合うシリンダ形状の一例で、
(a)は平面図、(b)は側面図である。また、図6
は、図4に示した旋回ピストンの中心oと図5示したシ
リンダの中心o’とを重ねて描いた図である(一組部
分)。
する主要部品である旋回ピストン5及びシリンダ4の輪
郭形状の構成方法を図4乃至図6を用いて説明する(3
条ラップの場合を例にあげる)。図4(a)(b)は、
一例として平面形状が円弧の組合せにより構成された旋
回ピストンの形状の一例で、(a)は平面図、(b)は
側面図である。図5(a)(b)は、図4に示した旋回
ピストンの対となって噛み合うシリンダ形状の一例で、
(a)は平面図、(b)は側面図である。また、図6
は、図4に示した旋回ピストンの中心oと図5示したシ
リンダの中心o’とを重ねて描いた図である(一組部
分)。
【0033】図4(a)において、旋回ピストンの平面
形状は中心o(正三角形IJKの図心)の周りに同一の
輪郭形状が3箇所連続して接続されている。その輪郭形
状は、半径R1から半径R7までの全部で7つの円弧で
形成されており、点p,q,r,s,t,u,v,wは
夫々異なる半径の円弧の接点である。曲線pqは、正三
角形の一辺IJ上に中心を持つ半径R1の半径、ここ
で、点pは頂点IよりR7の距離にある。曲線qrは辺
IJに中心を持つ半径R2の半円、曲線rsは辺IJ上
に中心を持つ半径R3の半円、曲線stは同様に辺IJ
上に中心を持つ半径R4(=2・R3+R2)の円弧で
ある。曲線tuは接点tと半径R2の中心を結ぶ直線の
延長線上に中心を持つ半径R5の円弧、曲線uvは図心
oを中心とする半径R6の円弧、曲線vwは頂点Jを中
心とする半径R7の円弧である。尚、半径R4,R5,
R6の夫々の円弧の角度は接点において滑らかに接続す
る(接点での接線の傾きが同一)という条件により決め
られる。点pから点wに至る輪郭形状を図心oを中心に
反時計周りに120°回転させると点wに点pが重な
り、さらに120°回転させると全周の輪郭形状が完成
する。これにより旋回ピストンの平面形状(厚みh)が
得られる。
形状は中心o(正三角形IJKの図心)の周りに同一の
輪郭形状が3箇所連続して接続されている。その輪郭形
状は、半径R1から半径R7までの全部で7つの円弧で
形成されており、点p,q,r,s,t,u,v,wは
夫々異なる半径の円弧の接点である。曲線pqは、正三
角形の一辺IJ上に中心を持つ半径R1の半径、ここ
で、点pは頂点IよりR7の距離にある。曲線qrは辺
IJに中心を持つ半径R2の半円、曲線rsは辺IJ上
に中心を持つ半径R3の半円、曲線stは同様に辺IJ
上に中心を持つ半径R4(=2・R3+R2)の円弧で
ある。曲線tuは接点tと半径R2の中心を結ぶ直線の
延長線上に中心を持つ半径R5の円弧、曲線uvは図心
oを中心とする半径R6の円弧、曲線vwは頂点Jを中
心とする半径R7の円弧である。尚、半径R4,R5,
R6の夫々の円弧の角度は接点において滑らかに接続す
る(接点での接線の傾きが同一)という条件により決め
られる。点pから点wに至る輪郭形状を図心oを中心に
反時計周りに120°回転させると点wに点pが重な
り、さらに120°回転させると全周の輪郭形状が完成
する。これにより旋回ピストンの平面形状(厚みh)が
得られる。
【0034】旋回ピストンの平面形状が決まると、この
旋回ピストンが旋回半径εで旋回運動したときにこれに
噛み合うシリンダの輪郭形状は、図6に示されるように
旋回ピストンの輪郭形状を構成する曲線の外側の法線距
離がεのオフセット曲線となる。
旋回ピストンが旋回半径εで旋回運動したときにこれに
噛み合うシリンダの輪郭形状は、図6に示されるように
旋回ピストンの輪郭形状を構成する曲線の外側の法線距
離がεのオフセット曲線となる。
【0035】図5によりシリンダの輪郭形状を説明す
る。三角形IJKは図4と同一の正三角形である。輪郭
形状は、旋回ピストンと同様に全部で7つの円弧で形成
されており、点p’,q’,r’,s’,t’,u’,
v’,w’は夫々異なる半径の円弧の接点である。曲線
p’q’は、正三角形の一辺IJ上に中心を持つ半径
(R1−ε)の半円、ここで、点p’は頂点Iより(R
7+ε)の距離にある。曲線q’r’は辺IJに中心を
持つ半径(R2−ε)の半円、曲線r’s’は辺IJ上
に中心を持つ半径(R3+ε)の半円、曲線s’t’は
同様に辺IJ上に中心を持つ半径(R4+ε)の円弧で
ある。曲線t’u’は接点t’と半径(R2−ε)の中
心を結ぶ直線の延長線上に中心を持つ半径(R5+ε)
の円弧、曲線u’v’は図心o’を中心とする半径(R
6+ε)の円弧、曲線v’w’は頂点Jを中心とする半
径(R7+ε)の円弧である。尚、半径(R4+ε),
(R5+ε),(R6+ε)の夫々の円弧の角度は旋回
ピストン同様、夫々の接点において滑らかに接続する
(接点での接線の傾きが同一)という条件により決めら
れる。点p’から点w’に至る輪郭形状を図心o’を中
心反時計周りに120°回転させると点w’に点p’が
一致し、さらに120°回転させると全周の輪郭形状が
完成する。これによりシリンダの平面形状が得られる。
シリンダの厚みHは、旋回ピストンの厚みhよりわずか
に厚くなっている。
る。三角形IJKは図4と同一の正三角形である。輪郭
形状は、旋回ピストンと同様に全部で7つの円弧で形成
されており、点p’,q’,r’,s’,t’,u’,
v’,w’は夫々異なる半径の円弧の接点である。曲線
p’q’は、正三角形の一辺IJ上に中心を持つ半径
(R1−ε)の半円、ここで、点p’は頂点Iより(R
7+ε)の距離にある。曲線q’r’は辺IJに中心を
持つ半径(R2−ε)の半円、曲線r’s’は辺IJ上
に中心を持つ半径(R3+ε)の半円、曲線s’t’は
同様に辺IJ上に中心を持つ半径(R4+ε)の円弧で
ある。曲線t’u’は接点t’と半径(R2−ε)の中
心を結ぶ直線の延長線上に中心を持つ半径(R5+ε)
の円弧、曲線u’v’は図心o’を中心とする半径(R
6+ε)の円弧、曲線v’w’は頂点Jを中心とする半
径(R7+ε)の円弧である。尚、半径(R4+ε),
(R5+ε),(R6+ε)の夫々の円弧の角度は旋回
ピストン同様、夫々の接点において滑らかに接続する
(接点での接線の傾きが同一)という条件により決めら
れる。点p’から点w’に至る輪郭形状を図心o’を中
心反時計周りに120°回転させると点w’に点p’が
一致し、さらに120°回転させると全周の輪郭形状が
完成する。これによりシリンダの平面形状が得られる。
シリンダの厚みHは、旋回ピストンの厚みhよりわずか
に厚くなっている。
【0036】図6は旋回ピストンの中心oとシリンダの
中心o’を重ねた図である。図からも理解されるよう
に、旋回ピストンとシリンダとの間に形成される隙間は
旋回半径に等しいεとなる。尚、この隙間は、全周にお
いてεであることが望ましいが、旋回ピストンの外周輪
郭とシリンダの内周輪郭とにより形成される作動室が正
常な動作をする範囲において、何らかの理由によって、
この関係が崩れる箇所があっても差し支えない。
中心o’を重ねた図である。図からも理解されるよう
に、旋回ピストンとシリンダとの間に形成される隙間は
旋回半径に等しいεとなる。尚、この隙間は、全周にお
いてεであることが望ましいが、旋回ピストンの外周輪
郭とシリンダの内周輪郭とにより形成される作動室が正
常な動作をする範囲において、何らかの理由によって、
この関係が崩れる箇所があっても差し支えない。
【0037】尚、ここでは旋回ピストン及びシリンダの
輪郭形状の構成方法として多円弧の組合せによる方法を
説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく任
意の(高次)曲線の組合せによっても同様の輪郭形状を
構成することができる。
輪郭形状の構成方法として多円弧の組合せによる方法を
説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく任
意の(高次)曲線の組合せによっても同様の輪郭形状を
構成することができる。
【0038】次に圧縮作用を行う主部材の構造及びその
製造方法を説明する。圧縮作用を行う主部材としてシリ
ンダ4と旋回ピストン5があるが、これらの素形材は同
様な成形方法で形成されるので、ここでは旋回ピストン
5を例にして以下に詳述する。
製造方法を説明する。圧縮作用を行う主部材としてシリ
ンダ4と旋回ピストン5があるが、これらの素形材は同
様な成形方法で形成されるので、ここでは旋回ピストン
5を例にして以下に詳述する。
【0039】〔実施例1〕図7に粉末冶金法で成形した
旋回ピストン5の素形材の鳥瞰図を示す。該旋回ピスト
ンの素形材の外周壁5eはシリンダ4と噛み合って作動
室を形成するように略円弧形状のプロファイルになって
いる。また、この素形材には、駆動軸6が嵌入される駆
動軸受5aと貫通穴5b,5b’が形成されている。該
貫通穴5b’は圧縮行程における旋回ピストンの上面5
d側と下面5d’側の圧力を均一にするための均圧穴で
あり、貫通穴5bは前記略円弧形状のプロファイルの回
転方向の位置決めの基準穴と均圧穴を兼ねたものであ
る。該貫通穴5bは、他の2個の貫通穴5b’と区別す
るために穴径を小さくしている。さらに、旋回ピストン
の上面5dと下面5d’に作動ガス中に混入した潤滑油
が循環する流路となる油溜まり5cが形成されている。
旋回ピストン5の素形材の鳥瞰図を示す。該旋回ピスト
ンの素形材の外周壁5eはシリンダ4と噛み合って作動
室を形成するように略円弧形状のプロファイルになって
いる。また、この素形材には、駆動軸6が嵌入される駆
動軸受5aと貫通穴5b,5b’が形成されている。該
貫通穴5b’は圧縮行程における旋回ピストンの上面5
d側と下面5d’側の圧力を均一にするための均圧穴で
あり、貫通穴5bは前記略円弧形状のプロファイルの回
転方向の位置決めの基準穴と均圧穴を兼ねたものであ
る。該貫通穴5bは、他の2個の貫通穴5b’と区別す
るために穴径を小さくしている。さらに、旋回ピストン
の上面5dと下面5d’に作動ガス中に混入した潤滑油
が循環する流路となる油溜まり5cが形成されている。
【0040】以上述べた旋回ピストン5は2次元形状で
あり、3次元的な形状をしている旋回スクロール(従来
のスクロール圧縮機の主要部品)に比べて非常に単純な
形状である。つまり、渦巻状のラップと円板状の鏡板と
円筒状のボスが組み合わされた旋回スクロールでは、素
形材の成形法も限定され、且つその成形精度も0.5m
m程度であるが、本実施例の旋回ピストン2の素形材は
成形の自由度もあり、且つ成形精度も大幅に向上する。
あり、3次元的な形状をしている旋回スクロール(従来
のスクロール圧縮機の主要部品)に比べて非常に単純な
形状である。つまり、渦巻状のラップと円板状の鏡板と
円筒状のボスが組み合わされた旋回スクロールでは、素
形材の成形法も限定され、且つその成形精度も0.5m
m程度であるが、本実施例の旋回ピストン2の素形材は
成形の自由度もあり、且つ成形精度も大幅に向上する。
【0041】また、本実施例の旋回ピストンは粉末冶金
で成形されているのでその密度を任意に調整できる。具
体的には粉末を圧縮成形する際の負荷荷重を調整し、必
要に応じた密度(6.2〜6.7g/cm3)で成形してい
る。従来この部材には鋳鉄(FC250)が用いられるが鋳鉄
の密度が7.3g/cm3なので、本実施例のものは従来の鋳
鉄製のものに較べて10〜15%の軽量化が図れる。そ
のため、旋回ピストンを駆動するモータの動力が10〜
15%低減できる。さらに、粉末冶金で形成した旋回ピ
ストンの表面には微細な凹凸が形成されるため、この微
細な凹凸が油保持機能を発揮し摺動性能が大幅に向上す
る。
で成形されているのでその密度を任意に調整できる。具
体的には粉末を圧縮成形する際の負荷荷重を調整し、必
要に応じた密度(6.2〜6.7g/cm3)で成形してい
る。従来この部材には鋳鉄(FC250)が用いられるが鋳鉄
の密度が7.3g/cm3なので、本実施例のものは従来の鋳
鉄製のものに較べて10〜15%の軽量化が図れる。そ
のため、旋回ピストンを駆動するモータの動力が10〜
15%低減できる。さらに、粉末冶金で形成した旋回ピ
ストンの表面には微細な凹凸が形成されるため、この微
細な凹凸が油保持機能を発揮し摺動性能が大幅に向上す
る。
【0042】図7に示した旋回ピストン5の素形材は、
Fe−Cu−Cの混合粉末50に黒鉛やステアリン酸亜
鉛などのような潤滑剤を混合して、図8に示すような構
造の装置で圧縮成形した。本装置は、Fe−Cu−Cの
混合粉末50(以下、粉末ともいう)を充填するダイス
51、ダイス51に嵌入された下パンチ52、下パンチ
52の中心部に嵌挿され、且つスライドするコアロッド
A53、下パンチ52に嵌挿され、コアロッドA53の
周囲に等分に配設された3本のコアロッドB54a〜5
4c、ダイス51に嵌入して、粉末50を圧縮する上パ
ンチ55から構成されている。なお、ダイス内周壁51
aのプロファイルは図7に示した旋回ピストン5のプロ
ファイルに略一致し、その寸法は粉末を圧縮成形する際
のダイスの弾性変形及び焼結時の寸法変化を見込んで設
計している。
Fe−Cu−Cの混合粉末50に黒鉛やステアリン酸亜
鉛などのような潤滑剤を混合して、図8に示すような構
造の装置で圧縮成形した。本装置は、Fe−Cu−Cの
混合粉末50(以下、粉末ともいう)を充填するダイス
51、ダイス51に嵌入された下パンチ52、下パンチ
52の中心部に嵌挿され、且つスライドするコアロッド
A53、下パンチ52に嵌挿され、コアロッドA53の
周囲に等分に配設された3本のコアロッドB54a〜5
4c、ダイス51に嵌入して、粉末50を圧縮する上パ
ンチ55から構成されている。なお、ダイス内周壁51
aのプロファイルは図7に示した旋回ピストン5のプロ
ファイルに略一致し、その寸法は粉末を圧縮成形する際
のダイスの弾性変形及び焼結時の寸法変化を見込んで設
計している。
【0043】該装置を用いて旋回ピストン5を圧縮成形
する方法は、まずダイス51に下パンチ52とコアロッ
ドA10,コアロッドB11を所定の位置に嵌入した状
態で、ダイス51のキャビティに粉末50を充填する。
その後、上パンチ55を上ラム(図示せず)により所定位
置まで下降させ、粉末50を圧縮成形する。この時、粉
末50には成形圧力として3.5〜4.0t/cm2が
負荷され、密度比率(成形品密度/理論密度)が0.8
5〜0.9になる旋回ピストンの素形材が圧縮成形され
る。
する方法は、まずダイス51に下パンチ52とコアロッ
ドA10,コアロッドB11を所定の位置に嵌入した状
態で、ダイス51のキャビティに粉末50を充填する。
その後、上パンチ55を上ラム(図示せず)により所定位
置まで下降させ、粉末50を圧縮成形する。この時、粉
末50には成形圧力として3.5〜4.0t/cm2が
負荷され、密度比率(成形品密度/理論密度)が0.8
5〜0.9になる旋回ピストンの素形材が圧縮成形され
る。
【0044】成形された旋回ピストンの素形材は、次の
ような手順でダイス51から取り出される。
ような手順でダイス51から取り出される。
【0045】まず、上パンチ55を上ラムにより上昇さ
せ、ダイスから抜き取る。その後、コアロッドA10,
コアロッドB11を下降させ、前記素形材から抜き取
る。さらに、下パンチ52を上昇させることにより、素
形材をダイスから取り出す。
せ、ダイスから抜き取る。その後、コアロッドA10,
コアロッドB11を下降させ、前記素形材から抜き取
る。さらに、下パンチ52を上昇させることにより、素
形材をダイスから取り出す。
【0046】以上のようにして圧縮成形された旋回ピス
トンの素形材は、その後、還元ガス雰囲気中で1000
℃〜1300℃に一定時間加熱されて焼結される。上記
のような工程で成形した旋回ピストンの素形材は、駆動
軸受5aと貫通穴5bを機械加工で所定精度に仕上げ、
その後、上面5dと下面5d’を研削により仕上げ加工
する。さらに、駆動軸受5aを基準にして略円弧形状の
プロファイルの中心を割り出し、また、貫通穴5bを基
準にして回転方向の位置決めをして、前記プロファイル
を切削又は研削で仕上げ加工して旋回ピストンとして用
いる。
トンの素形材は、その後、還元ガス雰囲気中で1000
℃〜1300℃に一定時間加熱されて焼結される。上記
のような工程で成形した旋回ピストンの素形材は、駆動
軸受5aと貫通穴5bを機械加工で所定精度に仕上げ、
その後、上面5dと下面5d’を研削により仕上げ加工
する。さらに、駆動軸受5aを基準にして略円弧形状の
プロファイルの中心を割り出し、また、貫通穴5bを基
準にして回転方向の位置決めをして、前記プロファイル
を切削又は研削で仕上げ加工して旋回ピストンとして用
いる。
【0047】一方、旋回ピストン5は主軸受7の端板と
副軸受8の端板に挟み込まれて旋回運動する。この時、
旋回ピストンの上面5dと主軸受端板、下面5d’と副
軸受端板とは微少すき間を設けてある。しかし、該すき
間に作動ガス中に混入した潤滑油が循環しなければ、作
動ガスが高圧側から低圧側に漏れ込み、圧縮機としての
性能が低下する。また、旋回ピストンと各端板との摺動
損出が大きくなり効率が低下する。そのために図7に示
したように旋回ピストンの上下面2d、2d’に旋回ピ
ストンの外周壁に形成している略円弧形状のプロファイ
ルを相似的に小さくしたプロファイルの油溜まり2c’
を設けている。
副軸受8の端板に挟み込まれて旋回運動する。この時、
旋回ピストンの上面5dと主軸受端板、下面5d’と副
軸受端板とは微少すき間を設けてある。しかし、該すき
間に作動ガス中に混入した潤滑油が循環しなければ、作
動ガスが高圧側から低圧側に漏れ込み、圧縮機としての
性能が低下する。また、旋回ピストンと各端板との摺動
損出が大きくなり効率が低下する。そのために図7に示
したように旋回ピストンの上下面2d、2d’に旋回ピ
ストンの外周壁に形成している略円弧形状のプロファイ
ルを相似的に小さくしたプロファイルの油溜まり2c’
を設けている。
【0048】図7に示した油溜まりは、上パンチ並びに
下パンチに油溝の形状通りに加工した突起を設け、圧縮
成形時に該形状を転写することにより、同時に形成して
いる。なお、上下パンチに設ける突起は、各パンチに一
体に形成しても良いし、別体で形成して各パンチに固定
しても良い。
下パンチに油溝の形状通りに加工した突起を設け、圧縮
成形時に該形状を転写することにより、同時に形成して
いる。なお、上下パンチに設ける突起は、各パンチに一
体に形成しても良いし、別体で形成して各パンチに固定
しても良い。
【0049】本実施例によれば粉末の圧縮成形時に、旋
回ピストンの外周壁に形成される略円弧形状のプロファ
イルの中心並びに回転方向の基準となる駆動軸受5aと
貫通穴5bを同時に形成するので、機械加工時の基準が
明確になり、高精度に加工できる。また、粉末を圧縮成
形するダイスは弾性変形及び焼結時の寸法変化を見込ん
で設計しているので、旋回ピストンは機械加工代が0.
1mm程度で成形することができ、機械加工が短時間に
なる。また、旋回ピストンの上下面に任意の形状の油溜
まりを粉末の圧縮成形時に同時に成形することができる
ので、油溜まりの機械加工が省略できる。
回ピストンの外周壁に形成される略円弧形状のプロファ
イルの中心並びに回転方向の基準となる駆動軸受5aと
貫通穴5bを同時に形成するので、機械加工時の基準が
明確になり、高精度に加工できる。また、粉末を圧縮成
形するダイスは弾性変形及び焼結時の寸法変化を見込ん
で設計しているので、旋回ピストンは機械加工代が0.
1mm程度で成形することができ、機械加工が短時間に
なる。また、旋回ピストンの上下面に任意の形状の油溜
まりを粉末の圧縮成形時に同時に成形することができる
ので、油溜まりの機械加工が省略できる。
【0050】〔実施例2〕実施例1では旋回ピストンの
素形材を粉末冶金法で成形した後、駆動軸穴5a及び貫
通穴5bを基準にして外周壁に形成された略円弧形状の
プロファイルを機械加工で仕上げている。本実施例で
は、機械加工工程を省略する工程を述べる。
素形材を粉末冶金法で成形した後、駆動軸穴5a及び貫
通穴5bを基準にして外周壁に形成された略円弧形状の
プロファイルを機械加工で仕上げている。本実施例で
は、機械加工工程を省略する工程を述べる。
【0051】まず、実施例1と同様にFe−Cu−Cの
混合粉末を図8に示すような構造の装置で圧縮成形し、
焼結を行って旋回ピストンの素形材を得る。この場合、
旋回ピストンの外周壁のプロファイルは、設計寸法に対
して小さく成形している。上記のような工程で成形した
旋回ピストンの素形材は、駆動軸受5aと貫通穴5bを
機械加工で所定精度に仕上げた後、図9に示すような方
法でサイジングを行う。図9において56はサイジング
用ダイス、57はサイジング用下パンチ、58はサイジ
ング用上パンチ、59はコアロッドA、60a〜60c
はコアロッドBである。なお、ダイス56の内周壁のプ
ロファイルは旋回ピストンの設計形状に仕上げてある。
図のように焼結した旋回ピストン5をサイジング用ダイ
ス56に挿入する。この際、機械加工で所定精度に仕上
げてある旋回ピストンの駆動軸受5aをコアロッドA5
9に、貫通穴5bをコアロッドB60aに挿入して中心
及び回転方向の位置決めを行う。この状態で上パンチを
下降させて軸方向に圧縮して半径方向に塑性変形させる
ことによりダイス内周面のプロファイルを旋回ピストン
の外周面に転写し高精度に成形している。本実施例によ
れば、旋回ピストンの外周壁を機械加工をすることなく
仕上げることができるので、短時間で、かつ高精度に成
形することができる。
混合粉末を図8に示すような構造の装置で圧縮成形し、
焼結を行って旋回ピストンの素形材を得る。この場合、
旋回ピストンの外周壁のプロファイルは、設計寸法に対
して小さく成形している。上記のような工程で成形した
旋回ピストンの素形材は、駆動軸受5aと貫通穴5bを
機械加工で所定精度に仕上げた後、図9に示すような方
法でサイジングを行う。図9において56はサイジング
用ダイス、57はサイジング用下パンチ、58はサイジ
ング用上パンチ、59はコアロッドA、60a〜60c
はコアロッドBである。なお、ダイス56の内周壁のプ
ロファイルは旋回ピストンの設計形状に仕上げてある。
図のように焼結した旋回ピストン5をサイジング用ダイ
ス56に挿入する。この際、機械加工で所定精度に仕上
げてある旋回ピストンの駆動軸受5aをコアロッドA5
9に、貫通穴5bをコアロッドB60aに挿入して中心
及び回転方向の位置決めを行う。この状態で上パンチを
下降させて軸方向に圧縮して半径方向に塑性変形させる
ことによりダイス内周面のプロファイルを旋回ピストン
の外周面に転写し高精度に成形している。本実施例によ
れば、旋回ピストンの外周壁を機械加工をすることなく
仕上げることができるので、短時間で、かつ高精度に成
形することができる。
【0052】〔実施例3〕実施例2では焼結した旋回ピ
ストンの素形材を軸方向に圧縮して半径方向に塑性変形
させることにより高精度に成形したが、図10に示す方
法でさらに高精度に成形することができる。旋回ピスト
ンの素形材を実施例1と同様な工程で成形する。その
後、実施例2と同様に旋回ピストンの中心及び回転方向
の位置決めの基準となる駆動軸受5aと貫通穴5bは機
械加工で所定精度に仕上げる。
ストンの素形材を軸方向に圧縮して半径方向に塑性変形
させることにより高精度に成形したが、図10に示す方
法でさらに高精度に成形することができる。旋回ピスト
ンの素形材を実施例1と同様な工程で成形する。その
後、実施例2と同様に旋回ピストンの中心及び回転方向
の位置決めの基準となる駆動軸受5aと貫通穴5bは機
械加工で所定精度に仕上げる。
【0053】図10において61は整形用金型、62は
下プレート、63は上プレート、64はロッドA、65
a〜65cはロッドBである。なお、整形用金型61の
内周壁のプロファイルは旋回ピストンの設計形状通りに
仕上げられており、下プレート62と上プレート63の
突起部62a、63aは旋回ピストンの上下面5d、5
d’に形成している油溜まり5cの形状に略一致してい
る。まず、下プレート62に組み付けられた整形用金型
61に旋回ピストンの素形材5を挿入する。この時、実
施例2と同様に機械加工で所定精度に仕上げてある旋回
ピストンの駆動軸受5aをロッドA64に、貫通穴5b
をロッドB65aに挿入して中心及び回転方向の位置決
めを行う。その後、上プレート63を締め付け、整形用
金型と上下プレートで密封されたキャビティ61aを形
成する。この状態で四ふっ化エチレンや二硫化モリブデ
ンなどを主成分とする自己潤滑性を有する材料を前記キ
ャビティ内に圧入する。圧入した際、油溜まり5cの部
分は上下プレートの突起部でシールされているので、潤
滑性材料が流入することはない。その後、整形用金型か
ら旋回ピストンを取り出し、所定の温度で焼き付けて被
膜を形成する。なお、本実施例においては上下プレート
の締め付けをボルトで行っているが、プレス機械を用い
ることにより処理時間を短縮できる。
下プレート、63は上プレート、64はロッドA、65
a〜65cはロッドBである。なお、整形用金型61の
内周壁のプロファイルは旋回ピストンの設計形状通りに
仕上げられており、下プレート62と上プレート63の
突起部62a、63aは旋回ピストンの上下面5d、5
d’に形成している油溜まり5cの形状に略一致してい
る。まず、下プレート62に組み付けられた整形用金型
61に旋回ピストンの素形材5を挿入する。この時、実
施例2と同様に機械加工で所定精度に仕上げてある旋回
ピストンの駆動軸受5aをロッドA64に、貫通穴5b
をロッドB65aに挿入して中心及び回転方向の位置決
めを行う。その後、上プレート63を締め付け、整形用
金型と上下プレートで密封されたキャビティ61aを形
成する。この状態で四ふっ化エチレンや二硫化モリブデ
ンなどを主成分とする自己潤滑性を有する材料を前記キ
ャビティ内に圧入する。圧入した際、油溜まり5cの部
分は上下プレートの突起部でシールされているので、潤
滑性材料が流入することはない。その後、整形用金型か
ら旋回ピストンを取り出し、所定の温度で焼き付けて被
膜を形成する。なお、本実施例においては上下プレート
の締め付けをボルトで行っているが、プレス機械を用い
ることにより処理時間を短縮できる。
【0054】本発明によれば、旋回ピストンの素形材の
表面に自己潤滑性を有する被膜を形成して旋回ピストン
の外周壁プロファイル及び厚さを設計寸法通りに仕上げ
ることができるので、機械加工に比べて短時間で、かつ
高精度に成形することができる。また、シリンダ及び主
軸受や副軸受の端板と摺動する部分に、自己潤滑性を有
する被膜を形成しているので、摺動特性が大幅に向上す
る。
表面に自己潤滑性を有する被膜を形成して旋回ピストン
の外周壁プロファイル及び厚さを設計寸法通りに仕上げ
ることができるので、機械加工に比べて短時間で、かつ
高精度に成形することができる。また、シリンダ及び主
軸受や副軸受の端板と摺動する部分に、自己潤滑性を有
する被膜を形成しているので、摺動特性が大幅に向上す
る。
【0055】〔実施例4〕図2に示したように容積型流
体機械は旋回ピストンと噛み合うシリンダとの接点で作
動ガスを閉じ込め、前記旋回ピストンをシリンダに対し
て旋回運動させることによって作動ガスを圧縮してい
る。したがって、実働時の旋回ピストンとシリンダとの
相対すき間が流体機械の性能に大きく影響する。この相
対すき間を小さくすることにより、圧縮機の性能は向上
するが、あまり小さくすると、各部材を超精密に加工す
る必要があり、また、組み立ても困難になる。運転時に
おいて、この相対すき間に影響する要因の1つとして、
旋回ピストンとシリンダとの熱膨張がある。つまり、容
積型圧縮機は通常120〜150℃の温度雰囲気で運転
され、この時の旋回ピストンとシリンダとの熱膨張差に
よって相対すき間が大きくなったり、小さくなったりす
る。
体機械は旋回ピストンと噛み合うシリンダとの接点で作
動ガスを閉じ込め、前記旋回ピストンをシリンダに対し
て旋回運動させることによって作動ガスを圧縮してい
る。したがって、実働時の旋回ピストンとシリンダとの
相対すき間が流体機械の性能に大きく影響する。この相
対すき間を小さくすることにより、圧縮機の性能は向上
するが、あまり小さくすると、各部材を超精密に加工す
る必要があり、また、組み立ても困難になる。運転時に
おいて、この相対すき間に影響する要因の1つとして、
旋回ピストンとシリンダとの熱膨張がある。つまり、容
積型圧縮機は通常120〜150℃の温度雰囲気で運転
され、この時の旋回ピストンとシリンダとの熱膨張差に
よって相対すき間が大きくなったり、小さくなったりす
る。
【0056】この課題を解決する実施例を以下に示す。
旋回ピストンは実施例1と同様に混合粉末を図8に示す
ような構造の装置で圧縮成形し、焼結を行って素形材を
得る。一方、シリンダは図11に示すような形状に混合
粉末を用いて圧縮成形し、焼結を行って素形材を得る。
ここで、旋回ピストンの線膨張係数は、シリンダより大
きくなるように各々粉末材料を調整しており、例えば旋
回ピストンにはFe−Cuの混合粉末を、シリンダには
Fe−Moの混合粉末を用いる。なお、旋回ピストンの
線膨張係数がシリンダより大きければシリンダは鋳鉄で
あっても良い。
旋回ピストンは実施例1と同様に混合粉末を図8に示す
ような構造の装置で圧縮成形し、焼結を行って素形材を
得る。一方、シリンダは図11に示すような形状に混合
粉末を用いて圧縮成形し、焼結を行って素形材を得る。
ここで、旋回ピストンの線膨張係数は、シリンダより大
きくなるように各々粉末材料を調整しており、例えば旋
回ピストンにはFe−Cuの混合粉末を、シリンダには
Fe−Moの混合粉末を用いる。なお、旋回ピストンの
線膨張係数がシリンダより大きければシリンダは鋳鉄で
あっても良い。
【0057】以上のようにして成形した各部材を図1
(b)に示すように駆動軸6を基準に噛み合わせて組み
立て旋回型流体機械として用いる。この時、旋回ピスト
ン5とシリンダ4との相対すき間は運転時の熱膨張の関
係から初期段階では大きく取れるので組み立てが容易に
行える。また、運転時に温度が上昇すると、旋回ピスト
ンの熱膨張がシリンダに比べて大きいので相対すき間が
小さくなり、流体機械の性能が向上する。
(b)に示すように駆動軸6を基準に噛み合わせて組み
立て旋回型流体機械として用いる。この時、旋回ピスト
ン5とシリンダ4との相対すき間は運転時の熱膨張の関
係から初期段階では大きく取れるので組み立てが容易に
行える。また、運転時に温度が上昇すると、旋回ピスト
ンの熱膨張がシリンダに比べて大きいので相対すき間が
小さくなり、流体機械の性能が向上する。
【0058】〔実施例5〕実施例1に示した旋回ピスト
ンの外周壁5e及び実施例4に示したシリンダの内周壁
4aは軸方向端面に対して直角に成形されている。本実
施例では図11に示すように各部材の内外周壁に傾斜面
を設けており、旋回ピストン5は傾斜面が該断面におい
て逆台形になるように配置し、シリンダ4は傾斜面が該
断面において台形になるように組み合わせ、両者の傾斜
面が相対して噛み合うようにしている。このように各部
材の内外周壁に傾斜を設けることは、粉末を圧縮成形す
る際のダイスからの離型を容易にするだけでなく、次の
ような効果がある。
ンの外周壁5e及び実施例4に示したシリンダの内周壁
4aは軸方向端面に対して直角に成形されている。本実
施例では図11に示すように各部材の内外周壁に傾斜面
を設けており、旋回ピストン5は傾斜面が該断面におい
て逆台形になるように配置し、シリンダ4は傾斜面が該
断面において台形になるように組み合わせ、両者の傾斜
面が相対して噛み合うようにしている。このように各部
材の内外周壁に傾斜を設けることは、粉末を圧縮成形す
る際のダイスからの離型を容易にするだけでなく、次の
ような効果がある。
【0059】図11に示したように旋回ピストンとシリ
ンダを組み立てた際、旋回ピストンは自重により、副軸
受8側に沈み込む。そのため、主軸受7側のすき間が大
きくなり、該すき間からの作動ガスの漏れにより流体機
械の性能が低下する。しかし、本実施例のように旋回ピ
ストンの傾斜面が逆台形となるように組み付けると、作
動ガス圧の軸方向分力によって旋回ピストンが浮上し、
副軸受側と主軸側のすき間がバランスとれ、漏れ損出が
低減できる。
ンダを組み立てた際、旋回ピストンは自重により、副軸
受8側に沈み込む。そのため、主軸受7側のすき間が大
きくなり、該すき間からの作動ガスの漏れにより流体機
械の性能が低下する。しかし、本実施例のように旋回ピ
ストンの傾斜面が逆台形となるように組み付けると、作
動ガス圧の軸方向分力によって旋回ピストンが浮上し、
副軸受側と主軸側のすき間がバランスとれ、漏れ損出が
低減できる。
【0060】〔実施例6〕本実施例では、旋回ピストン
及びシリンダの製造方法、特に前記した接触圧力が大き
い部分の仕上げ方法を踏まえた容積型流体機械の製造方
法について説明する。図12は本実施例の工程図であ
る。まず、図12の工程1、2に示すように粉末冶金法
により成形を行い焼結を行う。次に工程3に示すように
サイジングを行った。金属粉末を成形する際の金型及び
サイジングを行うための金型形状のプロファイル形状
は、サイジング後の再圧体が前記した接触圧力が高い部
分は機械加工しろを残す程度の大きさになりその他の部
分は製品の外周輪郭から10μm程度小さくなるように
設計した。この外周輪郭から小さくする大きさは、次の
工程で施されるりん酸マンガン処理、錫酸塩処理により
作られる表面皮膜の厚さにより0〜100μm程度の大
きさに可変する事ができる。なお、粉末冶金法におい
て、焼結を行った時点で、りん酸マンガン処理、錫酸塩
処理により成形精度を保証できる程度の成形精度で焼結
体が成形されている場合はサイジングを行う必要はな
い。次に、図12の工程4に示すように旋回ピストン及
びシリンダの表面に酸化膜を生成させ、旋回ピストン、
シリンダの表面が摺動した際に磨耗することがないよう
にした。なお、酸化膜を生成させる代わりに樹脂を含浸
させても良い。また、ここまでのプロセスは粉末冶金法
以外に精密鋳造法を用いても同等の素形材ができる。
及びシリンダの製造方法、特に前記した接触圧力が大き
い部分の仕上げ方法を踏まえた容積型流体機械の製造方
法について説明する。図12は本実施例の工程図であ
る。まず、図12の工程1、2に示すように粉末冶金法
により成形を行い焼結を行う。次に工程3に示すように
サイジングを行った。金属粉末を成形する際の金型及び
サイジングを行うための金型形状のプロファイル形状
は、サイジング後の再圧体が前記した接触圧力が高い部
分は機械加工しろを残す程度の大きさになりその他の部
分は製品の外周輪郭から10μm程度小さくなるように
設計した。この外周輪郭から小さくする大きさは、次の
工程で施されるりん酸マンガン処理、錫酸塩処理により
作られる表面皮膜の厚さにより0〜100μm程度の大
きさに可変する事ができる。なお、粉末冶金法におい
て、焼結を行った時点で、りん酸マンガン処理、錫酸塩
処理により成形精度を保証できる程度の成形精度で焼結
体が成形されている場合はサイジングを行う必要はな
い。次に、図12の工程4に示すように旋回ピストン及
びシリンダの表面に酸化膜を生成させ、旋回ピストン、
シリンダの表面が摺動した際に磨耗することがないよう
にした。なお、酸化膜を生成させる代わりに樹脂を含浸
させても良い。また、ここまでのプロセスは粉末冶金法
以外に精密鋳造法を用いても同等の素形材ができる。
【0061】次に図12の工程5に示すように旋回ピス
トン及びシリンダの表面にりん酸マンガン処理を施し、
膜厚10μm程度のりん酸マンガンの皮膜を表面に形成
させた。なお、皮膜を形成させる手法としては他に錫酸
塩皮膜処理を行う方法、りん酸マンガン処理後に錫酸塩
処理を行う方法がある。
トン及びシリンダの表面にりん酸マンガン処理を施し、
膜厚10μm程度のりん酸マンガンの皮膜を表面に形成
させた。なお、皮膜を形成させる手法としては他に錫酸
塩皮膜処理を行う方法、りん酸マンガン処理後に錫酸塩
処理を行う方法がある。
【0062】なお、このようにして生成させる皮膜はり
ん酸マンガン、錫酸塩以外でも、母材(粉末冶金法、精
密鋳造法等により成形した素形材)よりも柔らかいもの
であれば良い。さらに図12の工程6に示すように接触
圧力が高い部分のみ機械加工により仕上げ加工を行う。
この機械加工法について図13及び図14を用いて説明
する。図13はこの説明図であり、図14は旋回ピスト
ン外周加工状態の断面図である。図13において70は
加工治具でベ−ス70aとこのベ−ス70aに固定され
た複数のピン部70b及び工作物を固定するクランプ7
0cよりなる。71は加工工具で研削用工具71a、切
削用工具71b等からなる。粉末冶金あるいは精密鋳造
等で作られた旋回ピストン5の素材はまず、位置決め用
の貫通穴5b及び駆動軸受5aを高精度に位置決めする
ために追加工される。次に、図14に示すように前記貫
通穴5bを基準に加工治具70のピン部70bに沿って
嵌合され、クランプ70cによりベ−ス70aにねじあ
るいは機械力で締め付け固定される。この取り付け状態
(図13)で、マシニングセンタ等を用い、研削用工具
71a、切削用工具71b等により接触圧力が高い部分
の仕上げ加工が行われる。このように、旋回ピストン5
の中心部の駆動軸受5a周りに複数の貫通穴5bを形成
し、この貫通穴5bを加工治具70への取付けの位置決
め基準としているため、正確な位置決めが可能になると
ともに、切削・研削加工時の変形等も防止され、輪郭形
状の寸法精度を向上することができる。また、この貫通
穴は組立て及び検査用治具の位置決めと共通化すること
により効率的に組立てや検査作業を行うことができる。
さらに、旋回ピストン5の重量軽減にも効果がある。一
方、シリンダ4の内周輪郭の加工はシリンダ4の外周を
取付け治具に固定しマシニングセンタ等を利用して加工
される。なお、シリンダ4のベ−ン4b部の剛性を高め
るために、シリンダ4を主軸受7の端板面に固着しても
よいし、シリンダ4と主軸受7を一体で構成してもよ
い。
ん酸マンガン、錫酸塩以外でも、母材(粉末冶金法、精
密鋳造法等により成形した素形材)よりも柔らかいもの
であれば良い。さらに図12の工程6に示すように接触
圧力が高い部分のみ機械加工により仕上げ加工を行う。
この機械加工法について図13及び図14を用いて説明
する。図13はこの説明図であり、図14は旋回ピスト
ン外周加工状態の断面図である。図13において70は
加工治具でベ−ス70aとこのベ−ス70aに固定され
た複数のピン部70b及び工作物を固定するクランプ7
0cよりなる。71は加工工具で研削用工具71a、切
削用工具71b等からなる。粉末冶金あるいは精密鋳造
等で作られた旋回ピストン5の素材はまず、位置決め用
の貫通穴5b及び駆動軸受5aを高精度に位置決めする
ために追加工される。次に、図14に示すように前記貫
通穴5bを基準に加工治具70のピン部70bに沿って
嵌合され、クランプ70cによりベ−ス70aにねじあ
るいは機械力で締め付け固定される。この取り付け状態
(図13)で、マシニングセンタ等を用い、研削用工具
71a、切削用工具71b等により接触圧力が高い部分
の仕上げ加工が行われる。このように、旋回ピストン5
の中心部の駆動軸受5a周りに複数の貫通穴5bを形成
し、この貫通穴5bを加工治具70への取付けの位置決
め基準としているため、正確な位置決めが可能になると
ともに、切削・研削加工時の変形等も防止され、輪郭形
状の寸法精度を向上することができる。また、この貫通
穴は組立て及び検査用治具の位置決めと共通化すること
により効率的に組立てや検査作業を行うことができる。
さらに、旋回ピストン5の重量軽減にも効果がある。一
方、シリンダ4の内周輪郭の加工はシリンダ4の外周を
取付け治具に固定しマシニングセンタ等を利用して加工
される。なお、シリンダ4のベ−ン4b部の剛性を高め
るために、シリンダ4を主軸受7の端板面に固着しても
よいし、シリンダ4と主軸受7を一体で構成してもよ
い。
【0063】このようにして製作した旋回ピストン及び
シリンダを圧縮機に組み込むことで最良の形状の旋回ピ
ストン及びシリンダを得ることができる。旋回ピストン
側面とに生成させたりん酸マンガン及び錫酸塩の皮膜が
局部的に厚い場合は、運転中に旋回ピストン、シリンダ
が摺動することで皮膜が所定の厚さより余分な量だけ削
れるため、結果として最良の形状となり、旋回ピストン
とシリンダが接触することなく、また、大きな漏れ損失
を発生することなく、なめらかに摺動できるようにな
る。
シリンダを圧縮機に組み込むことで最良の形状の旋回ピ
ストン及びシリンダを得ることができる。旋回ピストン
側面とに生成させたりん酸マンガン及び錫酸塩の皮膜が
局部的に厚い場合は、運転中に旋回ピストン、シリンダ
が摺動することで皮膜が所定の厚さより余分な量だけ削
れるため、結果として最良の形状となり、旋回ピストン
とシリンダが接触することなく、また、大きな漏れ損失
を発生することなく、なめらかに摺動できるようにな
る。
【0064】〔実施例7〕図15は本実施例の工程図で
ある。本実施例と実施例6との違いは工程5において形
成させる被膜の膜厚である。すなわち、実施例6では被
膜の膜厚を所定の厚さ(10μm程度)に制御している
のに対して本実施例では所定の厚さよりも厚い膜を生成
させている。
ある。本実施例と実施例6との違いは工程5において形
成させる被膜の膜厚である。すなわち、実施例6では被
膜の膜厚を所定の厚さ(10μm程度)に制御している
のに対して本実施例では所定の厚さよりも厚い膜を生成
させている。
【0065】本実施例においても表面に膜を生成させた
後図15の工程6に示すように局部的に機械加工を加え
る。そして機械加工後の旋回ピストン及びシリンダを圧
縮機に組み込み(図15の工程7)、旋回ピストンを旋
回させ、擦り合わせ加工を行い、旋回ピストンの側面と
シリンダの内周輪郭を摺動させる(図15の工程8)。
接触する部分は表面の錫酸塩皮膜及びりん酸マンガン皮
膜が削れることにより、旋回ピストンとシリンダが接触
することなく、また、大きな漏れ損失を発生することな
く、なめらかに摺動できるようになる。
後図15の工程6に示すように局部的に機械加工を加え
る。そして機械加工後の旋回ピストン及びシリンダを圧
縮機に組み込み(図15の工程7)、旋回ピストンを旋
回させ、擦り合わせ加工を行い、旋回ピストンの側面と
シリンダの内周輪郭を摺動させる(図15の工程8)。
接触する部分は表面の錫酸塩皮膜及びりん酸マンガン皮
膜が削れることにより、旋回ピストンとシリンダが接触
することなく、また、大きな漏れ損失を発生することな
く、なめらかに摺動できるようになる。
【0066】〔実施例8〕図16は本実施例の工程図で
ある。本実施例は実施例7において、表面に膜を生成さ
せる工程と機械加工を行う工程の順序を逆にしたもので
ある。このような工程においても、接触圧力が高い部分
の表面皮膜は擦り合わせ加工時に削れてなくなるため
に、第2の実施例と同じ加工結果が得られる。
ある。本実施例は実施例7において、表面に膜を生成さ
せる工程と機械加工を行う工程の順序を逆にしたもので
ある。このような工程においても、接触圧力が高い部分
の表面皮膜は擦り合わせ加工時に削れてなくなるため
に、第2の実施例と同じ加工結果が得られる。
【0067】図17に実施例6〜8により製作した旋回
ピストンを示す。切削・研削加工を加えた部分73は、
実稼働時は旋回ピストンとシリンダが強い力で接触する
部分であり、側面に皮膜が付いていない状態となる。一
方、その他の部分は表面に生成させた膜が残り、膜厚が
所定の厚さよりも厚い場合はシリンダと摺動することで
最適な形状に成形される。
ピストンを示す。切削・研削加工を加えた部分73は、
実稼働時は旋回ピストンとシリンダが強い力で接触する
部分であり、側面に皮膜が付いていない状態となる。一
方、その他の部分は表面に生成させた膜が残り、膜厚が
所定の厚さよりも厚い場合はシリンダと摺動することで
最適な形状に成形される。
【0068】〔実施例9〕本実施例で製造した旋回ピス
トンを図18に示す。本実施例は実施例6の工程のうち
表面の被膜処理(図12の工程5)を省いたものであ
る。まず、図18の工程1、2に示すように粉末冶金に
よる成形、焼結を行い、外周輪郭のずれが設計値に対す
る許容値に入らない場合のみサイジング(図18の工程
3)を行う。そして表面に酸化膜を生成または樹脂の含
浸(図18の工程4)、その後局部的な機械加工(図1
8の工程5)を行う。この方法は、局部的には高い加工
精度が必要とされる一方で、その他の部分は機械加工を
良好にしなくても容積型流体機械の性能が十分発揮され
る場合に適用できる。
トンを図18に示す。本実施例は実施例6の工程のうち
表面の被膜処理(図12の工程5)を省いたものであ
る。まず、図18の工程1、2に示すように粉末冶金に
よる成形、焼結を行い、外周輪郭のずれが設計値に対す
る許容値に入らない場合のみサイジング(図18の工程
3)を行う。そして表面に酸化膜を生成または樹脂の含
浸(図18の工程4)、その後局部的な機械加工(図1
8の工程5)を行う。この方法は、局部的には高い加工
精度が必要とされる一方で、その他の部分は機械加工を
良好にしなくても容積型流体機械の性能が十分発揮され
る場合に適用できる。
【0069】〔実施例10〕図19に、本発明の一実施
例である容積型圧縮機を適用した空調システムを示す。
このサイクルは冷暖房が可能なヒ−トポンプサイクル
で、前述の図3で説明した本発明の容積型圧縮機30、
室外熱交換器31とそのファン31a、膨張弁32、室
内熱交換器33とそのファン33a、4方弁34から構
成されている。一点鎖線35は室外ユニット、36は室
内ユニットである。
例である容積型圧縮機を適用した空調システムを示す。
このサイクルは冷暖房が可能なヒ−トポンプサイクル
で、前述の図3で説明した本発明の容積型圧縮機30、
室外熱交換器31とそのファン31a、膨張弁32、室
内熱交換器33とそのファン33a、4方弁34から構
成されている。一点鎖線35は室外ユニット、36は室
内ユニットである。
【0070】容積型圧縮機30は、図2に示した作動原
理図に従って動作し、圧縮機を起動することによりシリ
ンダ4と旋回ピストン5間で作動流体(例えばフロンH
CFC22やR407C,R410A等)の圧縮作用が
行われる。
理図に従って動作し、圧縮機を起動することによりシリ
ンダ4と旋回ピストン5間で作動流体(例えばフロンH
CFC22やR407C,R410A等)の圧縮作用が
行われる。
【0071】冷房運転の場合、圧縮された高温・高圧の
作動ガスは破線矢印で示すように吐出パイプ14から4
方弁34をとおり室外熱交換器31に流入して、ファン
31aの送風作用で放熱、液化し、膨張弁32で絞ら
れ、断熱膨張して低温・低圧となり、室内熱交換器33
で室内の熱を吸熱してガス化された後、吸入パイプ13
を経て容積型圧縮機30に吸入される。一方、暖房運転
の場合は、実線矢印で示すように冷房運転とは逆に流
れ、圧縮された高温・高圧の作動ガスは吐出パイプ14
から4方弁34を通り室内熱交換器33に流入して、フ
ァン33aの送風作用で室内に放熱して、液化し、膨張
弁32で絞られ、断熱膨張して低温・低圧となり、室外
熱交換器33で外気から熱を吸熱してガス化された後、
吸入パイプ13を経て容積型圧縮機30に吸入される。
作動ガスは破線矢印で示すように吐出パイプ14から4
方弁34をとおり室外熱交換器31に流入して、ファン
31aの送風作用で放熱、液化し、膨張弁32で絞ら
れ、断熱膨張して低温・低圧となり、室内熱交換器33
で室内の熱を吸熱してガス化された後、吸入パイプ13
を経て容積型圧縮機30に吸入される。一方、暖房運転
の場合は、実線矢印で示すように冷房運転とは逆に流
れ、圧縮された高温・高圧の作動ガスは吐出パイプ14
から4方弁34を通り室内熱交換器33に流入して、フ
ァン33aの送風作用で室内に放熱して、液化し、膨張
弁32で絞られ、断熱膨張して低温・低圧となり、室外
熱交換器33で外気から熱を吸熱してガス化された後、
吸入パイプ13を経て容積型圧縮機30に吸入される。
【0072】図20は、本発明の容積型圧縮機を搭載し
た冷凍システムを示す。このサイクルは冷凍(冷房)専
用のサイクルである。図において、37は凝縮器、37
aは凝縮器ファン、38は膨張弁、39は蒸発器、39
aは蒸発器ファンである。
た冷凍システムを示す。このサイクルは冷凍(冷房)専
用のサイクルである。図において、37は凝縮器、37
aは凝縮器ファン、38は膨張弁、39は蒸発器、39
aは蒸発器ファンである。
【0073】容積型圧縮機30を起動することによりシ
リンダ4と旋回ピストン5間で作動流体の圧縮作用が行
われ、圧縮された高温・高圧の作動ガスは実線矢印で示
すように吐出パイプ14から凝縮器37に流入して、フ
ァン37aの送風作用で放熱、液化し、膨張弁38で絞
られ、断熱膨張して低温・低圧となり、蒸発器39で吸
熱ガス化された後、吸入パイプ13を経て容積型圧縮機
30に吸入される。ここに、図19、図20ともに本発
明の容積型圧縮機を搭載しているので、エネルギ効率に
優れ、低振動・低騒音で信頼性の高い冷凍・空調システ
ムが得られる。なお、ここでは容積型圧縮機30として
低圧タイプを例にあげて説明したが、高圧タイプでも同
様に機能し、同様の効果を奏することができる。
リンダ4と旋回ピストン5間で作動流体の圧縮作用が行
われ、圧縮された高温・高圧の作動ガスは実線矢印で示
すように吐出パイプ14から凝縮器37に流入して、フ
ァン37aの送風作用で放熱、液化し、膨張弁38で絞
られ、断熱膨張して低温・低圧となり、蒸発器39で吸
熱ガス化された後、吸入パイプ13を経て容積型圧縮機
30に吸入される。ここに、図19、図20ともに本発
明の容積型圧縮機を搭載しているので、エネルギ効率に
優れ、低振動・低騒音で信頼性の高い冷凍・空調システ
ムが得られる。なお、ここでは容積型圧縮機30として
低圧タイプを例にあげて説明したが、高圧タイプでも同
様に機能し、同様の効果を奏することができる。
【0074】以上、固定側部材40の端板部40b上に
巻き角が実質的にほぼ360°の固定渦巻体40aを3
箇所もつ旋回型流体機械について説明してきたが、本発
明はこれに限定されるものではなく、前述した実施例と
同様に、固定渦巻体40aの数が2個以上N個(多条)
の旋回型流体機械に拡張できる(Nの値も前述した実施
例と同様、実用上は8〜10以下となる)。
巻き角が実質的にほぼ360°の固定渦巻体40aを3
箇所もつ旋回型流体機械について説明してきたが、本発
明はこれに限定されるものではなく、前述した実施例と
同様に、固定渦巻体40aの数が2個以上N個(多条)
の旋回型流体機械に拡張できる(Nの値も前述した実施
例と同様、実用上は8〜10以下となる)。
【0075】これまでに述べた実施例では、旋回型流体
機械として圧縮機及びポンプを例に挙げて説明したが、
本発明はこれ以外に膨張機や動力機械にも応用すること
ができる。また、本発明では運動形態として、一方(シ
リンダ側)が固定しもう一方(旋回ピストン)がほぼ一
定の旋回半径で自転せずに公転運動を行う形式とした
が、相対的に上記の運動と等価な運動形態となる両回転
式の旋回型流体機械にも適用することができる。
機械として圧縮機及びポンプを例に挙げて説明したが、
本発明はこれ以外に膨張機や動力機械にも応用すること
ができる。また、本発明では運動形態として、一方(シ
リンダ側)が固定しもう一方(旋回ピストン)がほぼ一
定の旋回半径で自転せずに公転運動を行う形式とした
が、相対的に上記の運動と等価な運動形態となる両回転
式の旋回型流体機械にも適用することができる。
【0076】
【発明の効果】本発明によれば、摺動部材の仕上げ加工
を最小限におさえ、しかも摺動部の摺動性能を大幅に向
上させた容積型流体機械が提供できる。
を最小限におさえ、しかも摺動部の摺動性能を大幅に向
上させた容積型流体機械が提供できる。
【図1】 本発明に係る旋回型流体機械を圧縮機に適用
した密閉型圧縮機の圧縮要素の縦断面図及び平面図
した密閉型圧縮機の圧縮要素の縦断面図及び平面図
【図2】本発明に係る容積型流体機械の作動原理説明図
【図3】本発明に係る容積型流体機械の縦断面図
【図4】本発明に係る容積型流体機械の旋回ピストンの
輪郭構成法を示す図
輪郭構成法を示す図
【図5】本発明に係る容積型流体機械のシリンダの輪郭
構成法を示す図
構成法を示す図
【図6】図4及び図5に示される旋回ピストンとシリン
ダを重ねあわせた図
ダを重ねあわせた図
【図7】本発明に係る容積型流体機械の旋回ピストンの
鳥瞰図
鳥瞰図
【図8】本発明に係る容積型流体機械の旋回ピストンの
素形材の粉末圧縮成形装置の縦断面図
素形材の粉末圧縮成形装置の縦断面図
【図9】本発明に係る容積型流体機械の旋回ピストンの
素形材のサイジング加工装置の縦断面図
素形材のサイジング加工装置の縦断面図
【図10】本発明に係る容積型流体機械の旋回ピストン
の表面被膜形成装置の縦断面図
の表面被膜形成装置の縦断面図
【図11】本発明に係る容積型流体機械の旋回ピストン
の内周壁に傾斜面を設けた断面図
の内周壁に傾斜面を設けた断面図
【図12】本発明に係る容積型流体機械の旋回ピストン
及びシリンダの製造工程図
及びシリンダの製造工程図
【図13】本発明に係る容積型流体機械の旋回ピストン
の仕上げ加工説明図
の仕上げ加工説明図
【図14】本発明に係る容積型流体機械の旋回ピストン
外周加工状態の断面図
外周加工状態の断面図
【図15】本発明に係る容積型流体機械の旋回ピストン
及びシリンダの製造工程図
及びシリンダの製造工程図
【図16】本発明に係る容積型流体機械の旋回ピストン
及びシリンダの製造工程図
及びシリンダの製造工程図
【図17】本発明に係る容積型流体機械の旋回ピストン
の加工終了時の状態を示す図
の加工終了時の状態を示す図
【図18】本発明に係る容積型流体機械の旋回ピストン
及びシリンダの製造工程図
及びシリンダの製造工程図
【図19】本発明に係る容積型流体機械を適用した冷凍
システムを示す図
システムを示す図
【図20】本発明に係る容積型流体機械をポンプとして
用いた要部縦断面図
用いた要部縦断面図
1…容積型圧縮要素、2…電動要素、3…密閉容器、4
…シリンダ、4a…内周壁、4b…ベ−ン、5…旋回ピ
ストン、5a…駆動軸受、5b…貫通穴、6…駆動軸、
6a…クランク部、7…主軸受、7a…吸入ポ−ト、8
…副軸受、8a…吐出ポ−ト、8b…吐出室、9…吐出
弁、10…吸入カバ−、11…吐出カバ−、12…潤滑
油、13…吸入パイプ、14…吐出パイプ、15…作動
室、16…シ−ル部材、30…容積型圧縮機、31…室
外熱交換器、32…膨張弁、33…室内熱交換器、34
…4方弁、37…凝縮器、38…膨張弁、39…蒸発
器、50…混合粉末、51…ダイス、52…下パンチ、
53…コアロッドA、54…コアロッドB、55…上パ
ンチ、56…サイジング用ダイス、57…サイジング用
下パンチ、58…サイジング用上パンチ、59…コアロ
ッドA、60…コアロッドB、61…成型用金型、62
…下プレート、63…上プレート、64…ロッドA、6
5…ロッドB、70…加工治具、71…加工工具、o…
旋回ピストン中心、o’…シリンダ中心、Om…旋回側
部材中心、Of…固定側部材中心。
…シリンダ、4a…内周壁、4b…ベ−ン、5…旋回ピ
ストン、5a…駆動軸受、5b…貫通穴、6…駆動軸、
6a…クランク部、7…主軸受、7a…吸入ポ−ト、8
…副軸受、8a…吐出ポ−ト、8b…吐出室、9…吐出
弁、10…吸入カバ−、11…吐出カバ−、12…潤滑
油、13…吸入パイプ、14…吐出パイプ、15…作動
室、16…シ−ル部材、30…容積型圧縮機、31…室
外熱交換器、32…膨張弁、33…室内熱交換器、34
…4方弁、37…凝縮器、38…膨張弁、39…蒸発
器、50…混合粉末、51…ダイス、52…下パンチ、
53…コアロッドA、54…コアロッドB、55…上パ
ンチ、56…サイジング用ダイス、57…サイジング用
下パンチ、58…サイジング用上パンチ、59…コアロ
ッドA、60…コアロッドB、61…成型用金型、62
…下プレート、63…上プレート、64…ロッドA、6
5…ロッドB、70…加工治具、71…加工工具、o…
旋回ピストン中心、o’…シリンダ中心、Om…旋回側
部材中心、Of…固定側部材中心。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 香曽我部 弘勝 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社日 立製作所機械研究所内 (72)発明者 稲場 恒一 栃木県下都賀郡大平町大字富田800番地 株式会社日立製作所冷熱事業部内 (72)発明者 阿部 信雄 栃木県下都賀郡大平町大字富田800番地 株式会社日立製作所冷熱事業部内 (72)発明者 前田 幸男 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株 式会社日立製作所生産技術研究所内
Claims (8)
- 【請求項1】端板間にディスプレーサとシリンダとを配
置し、回転軸の回転中心に前記ディスプレーサ中心を合
わせたとき前記シリンダ内壁面及び前記ディスプレーサ
外壁面により1つの空間が形成され、前記ディスプレー
サ及び前記シリンダとの位置関係を旋回位置においたと
きは複数の空間が形成される容積型流体機械において、
前記ディスプレーサが鉄系の粉末冶金で成形されている
容積型流体機械。 - 【請求項2】端板間にディスプレーサとシリンダとを配
置し、回転軸の回転中心に前記ディスプレーサ中心を合
わせたとき前記シリンダ内壁面及び前記ディスプレーサ
外壁面により1つの空間が形成され、前記ディスプレー
サ及び前記シリンダとの位置関係を旋回位置においたと
きは複数の空間が形成される容積型流体機械において、
前記ディスプレーサが鉄系の粉末冶金で成形されてお
り、前記ディスプレーサの線膨張係数が前記シリンダの
線膨張係数よりも大きくなっている容積型流体機械。 - 【請求項3】端板間にディスプレーサとシリンダとを配
置し、回転軸の回転中心に前記ディスプレーサ中心を合
わせたとき前記シリンダ内壁面及び前記ディスプレーサ
外壁面により1つの空間が形成され、前記ディスプレー
サ及び前記シリンダとの位置関係を旋回位置においたと
きは複数の空間が形成される容積型流体機械において、
前記ディスプレーサおよび前記シリンダが鉄系の粉末冶
金で成形されており、前記ディスプレーサの外周壁には
前記容積型流体機械が前記回転軸が略鉛直方向になるよ
うに設置された状態において前記ディスプレーサの下面
側から上面側に向かって広がるような傾斜が設けられて
おり、前記シリンダの内周壁には前記ディスプレーサの
外周壁の傾斜に沿う方向に傾斜が設けられている容積型
流体機械。 - 【請求項4】端板間にディスプレーサとシリンダとを配
置し、回転軸の回転中心に前記ディスプレーサ中心を合
わせたとき前記シリンダ内壁面及び前記ディスプレーサ
外壁面により1つの空間が形成され、前記ディスプレー
サ及び前記シリンダとの位置関係を旋回位置においたと
きは複数の空間が形成される容積型流体機械において、
前記ディスプレーサが鉄系の粉末冶金で成形されてお
り、前記ディスプレーサの前記シリンダとの摺動面には
前記ディスプレーサの素材が露出した領域と前記ディス
プレーサの素材よりも軟質な被膜が形成された領域とが
存在する容積型流体機械。 - 【請求項5】端板間にディスプレーサとシリンダとを配
置し、回転軸の回転中心に前記ディスプレーサ中心を合
わせたとき前記シリンダ内壁面及び前記ディスプレーサ
外壁面により1つの空間が形成され、前記ディスプレー
サ及び前記シリンダとの位置関係を旋回位置においたと
きは複数の空間が形成される容積型流体機械の製造方法
において、次の工程を有する容積型流体機械の製造方
法。 (1)成形用型に入れた鉄系の混合粉末を加圧すること
により前記回転軸用の軸受穴と位置決め用の貫通穴とを
備えた前記ディスプレーサの素形材を形成する工程。 (2)前記軸受穴および前記貫通穴を仕上げ加工する工
程。 (3)前記軸受穴および前記貫通穴を基準として前記デ
ィスプレーサの素形材の外形を製品形状に仕上げ加工す
る工程。 - 【請求項6】端板間にディスプレーサとシリンダとを配
置し、回転軸の回転中心に前記ディスプレーサ中心を合
わせたとき前記シリンダ内壁面及び前記ディスプレーサ
外壁面により1つの空間が形成され、前記ディスプレー
サ及び前記シリンダとの位置関係を旋回位置においたと
きは複数の空間が形成される容積型流体機械の製造方法
において、次の工程を有する容積型流体機械の製造方
法。 (1)成形用型に入れた鉄系の混合粉末を加圧すること
により前記回転軸用の軸受穴と位置決め用の貫通穴とを
備えた前記ディスプレーサの素形材を形成する工程。 (2)前記軸受穴および前記貫通穴を仕上げ加工する工
程。 (3)前記ディスプレーサの素形材を仕上げ用の型に入
れ前記軸受および前記貫通穴を基準として前記ディスプ
レーサの素形材を加圧することにより前記旋回ピストン
を製品形状に仕上げる工程。 - 【請求項7】端板間にディスプレーサとシリンダとを配
置し、回転軸の回転中心に前記ディスプレーサ中心を合
わせたとき前記シリンダ内壁面及び前記ディスプレーサ
外壁面により1つの空間が形成され、前記ディスプレー
サ及び前記シリンダとの位置関係を旋回位置においたと
きは複数の空間が形成される容積型流体機械の製造方法
において、次の工程を有する容積型流体機械の製造方
法。 (1)成形用型に入れた鉄系の混合粉末を加圧すること
により前記回転軸用の軸受穴と位置決め用の貫通穴とを
備えた前記ディスプレーサの素形材を形成する工程。 (2)前記軸受穴および前記貫通穴を仕上げ加工する工
程。 (3)前記ディスプレーサの外周壁摺動面に前記ディス
プレーサの素形材よりも軟質な被膜を形成する工程。 (4)前記被膜が形成された前記ディスプレーサを製品
形状に仕上げ加工する工程。 - 【請求項8】端板間にディスプレーサとシリンダとを配
置し、回転軸の回転中心に前記ディスプレーサ中心を合
わせたとき前記シリンダ内壁面及び前記ディスプレーサ
外壁面により1つの空間が形成され、前記ディスプレー
サ及び前記シリンダとの位置関係を旋回位置においたと
きは複数の空間が形成される容積型流体機械の製造方法
において、次の工程を有する容積型流体機械の製造方
法。 (1)成形用型に入れた鉄系の混合粉末を加圧すること
により前記回転軸用の軸受穴と位置決め用の貫通穴とを
備えた前記ディスプレーサの素形材を形成する工程。 (2)前記軸受穴および前記貫通穴を仕上げ加工する工
程。 (3)前記軸受穴および前記貫通穴を基準として前記デ
ィスプレーサの素形材の外形を機械加工する工程。 (4)前記ディスプレーサの外周壁摺動面に前記ディス
プレーサの素形材よりも軟質な被膜を形成する工程。 (5)前記ディスプレーサと前記シリンダを摺動させて
前記被膜をすり合わせ加工して前記ディスプレーサを製
品形状に仕上げる工程。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21036997A JPH1150802A (ja) | 1997-08-05 | 1997-08-05 | 容積型流体機械及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21036997A JPH1150802A (ja) | 1997-08-05 | 1997-08-05 | 容積型流体機械及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1150802A true JPH1150802A (ja) | 1999-02-23 |
Family
ID=16588227
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP21036997A Pending JPH1150802A (ja) | 1997-08-05 | 1997-08-05 | 容積型流体機械及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1150802A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002317763A (ja) * | 2001-04-18 | 2002-10-31 | Taiho Kogyo Co Ltd | コンプレッサの摺動部材 |
KR100432714B1 (ko) * | 2000-12-06 | 2004-05-24 | 주식회사 엘지이아이 | 밀폐형 압축기 습동부품의 표면처리 방법 |
JP2010059835A (ja) * | 2008-09-03 | 2010-03-18 | Hitachi Appliances Inc | 密閉形圧縮機 |
-
1997
- 1997-08-05 JP JP21036997A patent/JPH1150802A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100432714B1 (ko) * | 2000-12-06 | 2004-05-24 | 주식회사 엘지이아이 | 밀폐형 압축기 습동부품의 표면처리 방법 |
JP2002317763A (ja) * | 2001-04-18 | 2002-10-31 | Taiho Kogyo Co Ltd | コンプレッサの摺動部材 |
JP2010059835A (ja) * | 2008-09-03 | 2010-03-18 | Hitachi Appliances Inc | 密閉形圧縮機 |
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