JPH11507529A - サイトカインの高親和性核酸リガンド - Google Patents

サイトカインの高親和性核酸リガンド

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JPH11507529A JP9501840A JP50184097A JPH11507529A JP H11507529 A JPH11507529 A JP H11507529A JP 9501840 A JP9501840 A JP 9501840A JP 50184097 A JP50184097 A JP 50184097A JP H11507529 A JPH11507529 A JP H11507529A
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Abstract

(57)【要約】 サイトカインに対する高親和性核酸リガンドの同定および製造方法、ならびにそれによって得られるリガンドが開示されている。

Description

【発明の詳細な説明】 サイトカインの高親和性核酸リガンド 発明の分野 本明細書には、サイトカインに対する高親和性核酸リガンドの同定および製造 方法が記載される。このような核酸リガンドの同定に本発明で用いられる方法は SELEX(セレックス)と呼ばれ、これは指数関数的濃縮による核酸リガンド の系統的進化:Systematic Evolution of Ligands by EXponential Enrichment の頭文字による造語である。本発明はとくに以下のサイトカイン:IFN-γ, IL-4,IL-10,TNFαおよびRANTESの高親和性核酸リガンドの同定 のための方法を包含する。 さらに、IFN-γ,IL-4,IL-10 およびTNFαのRNAリガンドが開 示される。またRANTESのDNAリガンドも開示される。ピリミジンの2'- 位置が化学的に修飾されたヌクレオチド誘導体を含有するオリゴヌクレオチドの 特定の例が提供される。本発明のオリゴヌクレオチドは医薬または診断薬として 有用である。 発明の背景 サイトカインは、細胞シグナリング/細胞相互作用を誘発する小タンパク質の 多様なグループである。これらは、標的細胞の表面に発現されるその特異的な受 容体を介して生物学的機能を発揮する。 サイトカインはイムノ/ヘマトポイエチン、インターフェロン、腫瘍壊死因子 (TNF)-関連分子、およびケモカインを包含する数グループに亜分類できる。 代表的なイムノ/ヘマトポイエチンにはエリスロポイエチン(EPO),顆粒球 /マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF),顆粒球コロニー刺激因子 (G−CSF),白血病阻止因子(LIF),オンコスタチン−M(OSM), 絨毛性神経栄養因子(CNTF),成長ホルモン(GH),プロラクチン(PR L),インターロイキン(IL)-2,IL-3,IL-4,IL-5,IL-6,IL-7 ,IL-9,IL-10 およびIL-12 がある。代表的なインターフェロン(IFN ) にはIFNα,IFNβおよびIFN-γが包含される。代表的なTNFファミ リーメンバーにはTNFα,インターフェロン(IFN)β,gp39(CD40- L),CD27-L,CD30-L,および神経成長因子(NGF)が包含される。代 表的ケモカインは血小板因子(PF)4,血小板塩基性タンパク質(PBP), groα,MIG,ENA-78,マクロファージ炎症性タンパク質(MIP)1 α,MIP1β,単球走化性タンパク質(MCP)-1,I-309,HC14,C10 ,Regulated on Activation,Normal T-cell Expressed,and Secreted(RAN TES),およびIL-8 である。 INF−γ INF−γは、30年前に抗ウイルス剤としてはじめて記載された(Wheelock, 1965)。それ以来、このタンパク質は、実際に、免疫および炎症応答のすべての 相の調節に重要な役割を果たす著しく多面的なサイトカインであることが明らか にされてきた。マウスINF-γ(Gray & Goeddel,1983)およびヒトINF-γ (Gray & Goeddel,1982)のcDNAがクローン化され、配列決定され、特性が 解明されている。 INF-γは、細胞をウイルス感染から保護する能力によって関連するタンパ ク質のファミリーのメンバーである。このファミリーは様々な基準によって3つ の異なるクラスに分割されてきた。すなわちIFN-α(最初はI型IFNまた は白血球IFNと呼ばれた),IFN-β(最初同じくI型IFNまたは線維芽 細胞IFNと呼ばれた)およびIFN-γ(最初はII型IFNまたは免疫IFN と呼ばれた)である。IFN-γはI型インターフェロンとは遺伝子およびタン パク質の両レベルで類似しない(Grayら,1982)。ヒトおよびマウスIFN-γ タンパク質は、ヒトおよびマウス細胞に対する結合および活性化能力において厳 格な種特異性を発揮する。これは、少なくとも一部は、cDNAおよびアミノ酸 の両レベルでのそれらのあまり高くないホモロジー(それぞれ60%および40%) によるものである。 INF-γは刺激の独特なセットにより、Tリンパ球およびナチュラルキラー (NK)細胞によってのみ産生される。INF-γのヒトおよびマウス遺伝子は サイズ 6 kb で、それぞれ4個のエキソンと3個のイントロンを含有する。これ らの遺伝子はヒト染色体12(12q24.1)およびマウス染色体10に局在する。ヒト 遺伝子が活性化されると、166 アミノ酸のポリペプチドをコードする 1.2 kb の mRNAの転写が誘導される(Derynckら,1982)。ヒトタンパク質は 23 残基 のアミノ末端疎水性シグナル配列を含有し、これは蛋白分解的に除去されて推定 分子量 17 kDa の陽性に荷電した 143 残基成熟ポリペプチドを与える。陽性に 荷電したカルボキシ末端の翻訳後酵素分解の多様性(Rinderknechtら,1984)が 完全な成熟分子の荷電不均一性の原因である。6種の異なるカルボキシ末端を有 するタンパク質が天然にも、また組換え型INF-γにも検出されている。2つ のポリペプチドが自己会合して見掛けの分子量 34 kDa のホモダイマーを形成す る(Scahillら,1983)。ホモダイマーがこのタンパク質の生物活性型である。 成熟ヒトINF-γはシステイン残基を含まないので、ホモダイマーは完全な非 共有結合力により互いに保持されている。ネイティブなタンパク質のこの四次元 構造がその極端な熱(タンパク質は56℃以上で変性する)ならびにpH(pH値 4.0 以下および 9.0 以上では活性は急速に消失する)に対する特徴的感受性を 説明するものである(Mulkerrin & Wetzel,1989)。INF-γの著しい多面的 作用は単一型のINF-γ受容体への結合を介して誘導される。マウスおよびヒ トINF-γ受容体の構造および機能が報告されている(Schreiberら,1992)。 これらの受容体タンパク質はほとんどすべての細胞(赤血球を除く)および血小 板で発現される(Andersonら,1982)。受容体は高い親和性(Kd=10-9〜10-10 M)でリガンドを結合し、大部分の細胞において中等度のレベル(200〜25,000 部位/細胞)で発現する。細胞表面の受容体にINF-γが結合すると、受容体の 細胞内ドメインは、セリンおよびスレオニン残基で、リン酸化される(Hershey ら,1990)。 INF-γの主要な生理学的役割の一つは、免疫応答誘導の調節物質としての 役割、とくに免疫学的に重要な様々の細胞型におけるクラスIおよびII主要組織 適合(MHC)抗原の発現を調節するその能力である(Trinchieri & Perussia ,1985)。機能的に、MHC遺伝子発現のINF-γ依存性上方調整は免疫応答 の誘導相において抗原提示を促進する重要な工程であり、INF-γの抗腫瘍活 性にある役割を果たす可能性が考えられる(Buchmeier & Schreiber,1985)。 INF-γの他の主要な生理学的役割はヒトマクロファージの細胞毒性を活性 化する能力である(Schreiber & Celada.1985)。したがってINF-γは多様 な細胞内および細胞外寄生体ならびに新生物細胞に対する宿主防御の非特異的細 胞仲介機構を誘導する役割をもつ一次サイトカインである(Bancroft,1987)。 この活性化はINF-γの数種の異なる機能の結果である。INF-γは、未成熟 の骨髄性前駆細胞の成熟単球への分化を行うことが明らかにされている(Adams & Hamilton,1984)。INF-γは上述のようにMHCクラスIIの発現の誘導に よりマクロファージにおける抗原提示を促進するが、同時に抗原の処理に重要な 数種の細胞内酵素のレベルも上昇させる(Allen & Unanue,1987)。ICAM- 1のようなマクロファージ細胞表面タンパク質はINF-γによって上方調整さ れ、したがって抗原提示時のマクロファージとT細胞の相互作用の機能的結果を 増強させる(Mantovani & Dejana,1989)。INF−γはマクロファージ由来の 細胞破壊性化合物たとえば反応性酸素- および反応性窒素-中間体および腫瘍壊 死因子-a(TNF−a)の産生を活性化する(Dingら,1988)。INF-γはま たマクロファージ集団の微生物感染に対する感受性を低下させる(Bancroftら, 1989)。微生物病原体のクリアランスにおけるINF-γの役割が動物モデルを 用い検討されている。マウスに様々な微生物病原体の亜致死量を感染させる前に INF-γに対する中和モノクローナル抗体を注射した。これらのマウスにおい ては Listeria monocytogenes(Buchmeier & Schreiber,1085),Toxoplasma g ondii(Suzukiら,1988)または Leishmania major(Greenら,1990)によって 開始される感染を消失させる能力が失われていた。 これらの非特異的細胞誘導細胞破壊活性に加えINF-γは他のマクロファー ジ免疫応答エフェクター機能も増大させる。INF-γは単球/マクロファージ 上のFc受容体(FcgRI)の発現を上方調整し、したがってマクロファージの 抗体依存性細胞殺滅能を増強する(Erbeら,1990)。INF-γはまた、補体の 活性の増強を介して体液性免疫を促進する。これは、i)マクロファージおよび 線維芽細胞による様々な補体タンパク質(すなわち、C2,C4,およびB因子) の合成の促進、ならびにii)単核食食細胞形質膜上の補体受容体の発現の調節、 の2つの方法で行われる(Strunkら,1985)。 INF-γは免疫系の他の細胞にもその作用を発揮する。それは、B細胞上の 免疫グロブリンのイソタイプのスイッチを調節する(Snapper & Paul,1987)。 INF-γは、CD8+細胞傷害性T細胞(CTL)の発生に陽性の役割を果たし (Landolfoら,1985),NK細胞の活性を増大させる。最近、CD4+T細胞は、 均一な細胞クラスを構成しないことが明確に確立された。実際、リンホカインの 生物学とCD4+T細胞の機能のパラディグマ、いわゆるTh1/Th2 のパラディ グマが生じている(総説として Paul & Seder,1994参照)。TH1クローンは、 INF-γのそれらの産生を介して、上に詳述したようにマクロファージにおけ る殺微生物および抗腫瘍活性の増強の誘導に適し(細胞性免疫の増強)、一方、 Th2 クローンは、よく適合された産物(IL-4,IL-5,IL-6,IL-10, IL-13)を、B細胞の抗体産生細胞への分化を支援するように作用させる(体 液性免疫の増強)。T細胞のエフェクター機能の、この重大なネクサスにおいて INF-γが果たす役割は、免疫応答の成功または失敗の基盤になる。 INF-γは、そのTNF-α産生の増強能を介して、直接的および間接的の両 者で炎症応答の促進に主要な役割を果たしている。炎症応答時には、細胞は循環 を離れて感染の部位に移動する。この過程において、それらはまず血管内皮に結 合し、ついで内皮を通過して浸潤する。INF-γ,TNF-αの両者は、この過 程に重要な役割を果たす細胞接着分子の重複セット(ICAM-1,E-セレクチ ンおよびその他)の発現を促進できる(Poberら,1986;Thornhillら,1991)。 実際、実験により、これらの2つのサイトカインはインビボにおいて細胞接着分 子の上方調整に相乗作用を発揮することが示されている(Munroら,1989)。免疫 応答が発生した時点で微生物が既に蔓延しているか、あるいは応答が宿主から感 染原を速やかに駆逐しない微生物感染を想像すればよい。この場合には、連続的 なT細胞の活性化を生じ、局所的な炎症および組織傷害が誘発され、引き続いて 正常な機能が喪失する。実際感染原が内在性の病原性をほとんどもたない場合、 その感染により誘発される疾患は大部分このような応答の結果の反映である。 過剰なINF-γの産生が自己免疫疾患にある役割を果たしている可能性があ る(総説は Paul & Seder.1994 および Steinman,1993 参照)。この機構には クラスIおよびクラスIIMHC分子の発現の異常もしくは増大または過剰なTH1 細胞性応答の役割による過剰な組織傷害の関与が考えられる。INF-γの役割 およびTH1様細胞により誘発される免疫応答の組織傷害作用が自己免疫疾患たと えば慢性関節リウマチ(Feldman,1989),若年性糖尿病(Rapportら,1993), 重症筋無力症(Guら,1993),重症の炎症性腸疾患(Kuhnら,1993)および多発 性硬化症(Traugott,1988)において示唆されている。 IL-4 インターロイキン-4(IL−4)は、1992年にB細胞増殖因子(BCGF)と して最初に同定された著しく多面的なサイトカインである(Howardら,1982)。 その同じ年、IL-4 はIgG1促進因子として同定された(Isaksonら,1982) 。IL-4 がB細胞に対して示す作用により、それは最初BCGF-1 と呼ばれ、 その後BSF-1(B細胞刺激因子-1)と呼ばれ、1986年にIL-4 の名称が与え られた。マウスIL-4(Nomaら,1986;Leeら,1986)およびヒトIL-4(Yokot aら,1986)のcDNAがクローン化され、配列決定され、特性が解明された。 IL-4 は「IL-4 ファミリー」と命名される免疫認識誘導性リンホカインの ファミリーのプロト型メンバーと考えることができる(総説として Paul,1991 参照)。このファミリーは、IL-4,IL-5,IL-3,および顆粒球-マクロフ ァージコロニー刺激因子(GM−CSF)から構成される。これらのタンパク質 に共通する性質によりこのグループ化が行われ、それには、i)ファミリーのメ ンバーの遺伝子の連鎖(van Leeuwenら,1989),ii)ファミリーの各メンバー のリンパ球に対する作用に加えて造血細胞増殖因子としての作用,iii)これら のタンパク質に対する受容体は、すべて、ヘマトポイエチンファミリーの受容体 のメンバーである(Bazan,1990a)および、iv)クローン化CD4+T細胞(いわ ゆるTH2細胞)の亜集団(Mosmannら,1989)およびマスト細胞(Plautら,1989 )によるこれらの因子の共発現がある。 IL-4 の著しく多面的な作用は細胞表面の受容体(IL-4R)への結合を介 して誘導される。マウスIL-4R(Moselyら,1989;Haradaら,1990)およびヒ トIL-4R(Idzerdaら,1990;Galizziら,1990)がクローン化され、配列決定 され、特性が解明されている。IL-4Rは様々な造血(Parkら,1987)および非 造血(Lowenthalら,1988)細胞に存在する。ヒトおよびマウスの休止期Tおよ びB細胞のいずれもIL-4Rの数は少なく(<400)、サイトカインおよび他の 因子によって調節されている。受容体は高い親和性(Kd= 10-10M)でIL-4 と結合する。免疫調節および造血性サイトカインの受容体は大部分クローン化さ れていることから、これらの受容体の大多数が大きなファミリー内に含まれるこ とが明らかである。この造血性サイトカイン受容体スーパーファミリーには、リ ンパ系を調節するIL-4,IL-2(b および g鎖),IL-7,IL-9,および IL-13 受容体;ならびに,造血系を調節するエリスロポイエチン、顆粒球コロ ニー刺激因子(G-CSF),GM-CSF,IL-3 およびIL-5 の受容体が包 含される。このスーパーファミリーには、正常時は免疫および造血系の外部で機 能していると考えられる因子の受容体たとえば成長ホルモン(GH),プロラク チン、白血病阻止因子(LIF),IL-6,IL-11 および絨毛性神経影響因子 (CNF)の受容体も包含される(総説は Kishimotoら,1994 参照)。 免疫および造血サイトカインのシグナリング過程における一般的な最初の工程 は、受容体成分の細胞質領域の相互作用によるリガンド誘導性の二量体化が下方 へのシグナリンカスケードを開始することと考えられる。IL-4 受容体は長い 細胞内トメイン候補(マウスでは 553 アミノ酸、ヒトでは 569 アミノ酸)を有 し、キナーゼ活性またはヌクレオチド結合領域のコンセンサス配列は知られてい ない。IL-4 のその受容体への結合によって誘導されるシグナルの生化学的本 質はまだ解明されていない。受容体の細胞質ゾルドメインがそのシグナリング機 能に必須であるように思われる(Moselyら,1989)。IL-4 受容体のリガンド 誘導二量体化はIL-4 誘導シグナル伝達の重要な第一工程と考えられる。 IL-4 の主要な生理学的役割の一つはBリンパ球活性化および分化因子とし ての作用である(Rabinら,1985;Oliverら,1985)。このタンパク質は最初こ の活性に基づき単離された。この関連でIL-4 はIgG1の産生を活性化する (Vitettaら,1985)が、IgGからIgE免疫グロブリン産生へのB細胞のイ ソタイプスイッチにも関与する(Coffmanら,1986;Lebman & Coffman,1988;D el Preteら,1988)。IgEのインビボ調節に対するIL-4 の作用は明瞭に証 明されている。モノクローナル抗-IL-4 抗体(Finkelmanら,1986)もしくは IL-4 受容体に対するモノクローナル抗体(Finkelmanら,1990)での処置によ るIL-4 の中和は、IgE応答を遮断する。組換え可溶性IL-4 受容体はイン ビボにおいて、85%までIgEの産生を阻害することが示されている(Satoら, 1993)。マウス胚幹細胞におけるジーンターゲッティングにより作成したIL-4 欠損マウスは正常なBおよびT細胞の発生を示したが、IgG1およびIgE の血清レベルは著しく低下していた(Kuhnら,1991)。IL-4 によって増強さ れるIgEの産生は、アトピー状態(アレルギー/喘息)を招来する(Finkelma nら,1989;Katonaら,1991)。 IL-4 誘導IgG1の上方調整は、炎症カスケードにある役割を果たしてい る。IgG1は、最近、免疫グロブリンのFcドメインの細胞受容体(FcR) に結合する免疫複合体を形成し、炎症応答を導くことが示された(Sylvestre & Ravetch,1994;Ravetch,1994)。IL-4 を過剰発現するIL-4 トランスジェ ニックマウスが作成されている(Tepperら,1990)。これらのマウスでは、血清 IgG1ならびにIgEレベルが高く、それらはアレルギー性炎症疾患を発症す る。これらの所見は体液性免疫においてIL-4 が重要な役割を果たすことを証 明するものである。 IL-4 の他の主要な生理学的役割はTリンパ球増殖因子としての役割である (Hu-Liら,1987;Spitsら,1987)。IL-4 は細胞傷害性T細胞(CTL)の 前駆細胞の増殖およびそれらの活性CD8+CTLへの分化を亢進させる(Widmer & Grabstein,1987;Trenn,1988)。IL-4 はIL-2 によって駆動されるリ ンホカイン活性化キラー(LAK)細胞の誘導を増強し(Higuchiら,1989)、 これは主要組織適合複合体(MHC)の制限を受けることなく多様な腫瘍細胞標 的を溶解することが示されている。T細胞エフェクター機能のこの重大なネクサ スにおいてIL-4 が果たす役割は、免疫応答の成功または失敗の基盤になる。 IL-4 は、多様な様式で非骨髄性造血細胞に影響することが明らかにされて いる。IL-4 は、単球/マクロファージの増殖を調節し(McInnes & Rennick, 1988;Jansenら,1989)、一方、それらの分化およびある種の腫瘍細胞に対する 細胞傷害活性を増強する(Crawfordら,1987;Te Veldeら,1988)。IL-4 は またマスト細胞増殖スティミュラントとしての活性を有し(Mosmannら,1986;B rownら,1987)、好酸球の産生および供給を増大させる(Tepperら,1989)。 IL-4 は単独または他のサイトカインと連携して多様な細胞型における多様 な細胞表面分子の発現を促進することが可能で、疾患と多様に関連する。とくに IL-4 は腫瘍壊死因子(TNF)と相互作用して、炎症部位におけるT細胞の 浸潤に寄与する血管細胞接着分子-1(VCAM-1)の発現を選択的に増大させる ことができる(Briscoeら,1992)。IL-4 は単独またはTHFもしくはINF -γと共同して、MHC抗原および腫瘍関連抗原の両者の様々な新生物細胞にお ける発現を増大させることが示されている(Hoonら,1991)。 上に詳述したように、IgG1免疫複合体は免疫グロブリンのFcドメインに 対する細胞受容体(FcR)に結合し、炎症応答を導く。IL-4 の阻害および その結果としてのIL-4 誘導IgG1発現の低下は、免疫複合体炎症疾患状態 に対して有効な可能性がある。実際、IL-4 に対する阻害性リガンドは、IL- 4 によって誘導されるVCAM-1の過剰発現も防止し、したがってT細胞の炎症 部位における浸潤能を緩和するものと考えられる。 IL-4 活性のモノクローナル抗体、組換え可溶性IL-4 受容体、または遺伝 子ノックアウトによる阻害は、血清IgEレベルの低下を生じる。IL-4 に対 する阻害性オリゴヌクレオチドリガンドにはアレルギーおよびアレルギー性喘息 に対する臨床的な効果が期待できる。 最近の報告によれば、lck遺伝子のリンパ球特異的近位プロモーターの支配 下にIL-4 を不適切に発現するトランスジェニックマウスで骨ホメオスタシス の障害が認められるという(Lewisら,1993)。これらのマウスにおける骨疾患 は骨芽細胞による骨形成の著しい低下によって生じたもので、ヒトの骨粗鬆症に 見出されるのと同じ特徴を示した。IL-4 によって誘導される骨芽細胞活性の 低下の阻害は骨粗鬆症に対して有益な可能性がある。 移植片体宿主病(GVHD)はヒト組織移植の主要な合併症である。GVHD は単一の臨床的表出として存在するものではなく、免疫不全から全身性自己免疫 状態までの範囲の免疫学的異常の関与が考えられる(Ferraraら,1991)。これ らの全身性自己免疫状態はヒト全身性エリテマトーデス(SLE)の臨床および 血清学的表出を包含する。SLEの数種のマウスモデルが開発され(Gleichmann ら,1982;van Rappard-van Der Veenら,1982)、マウスでの全身性GVHDの 誘発が報告されている(Viaら,1988)。最近の2つの研究は、これらのマウス モデル系においてIL-4 に対するマウスモノクローナル抗体がGVHDおよび SLEの防止にインビボで有効なことを示した(Umlandら,1992;Ushiyamaら, 1995)。これらの観察はヒトIL-4 の阻害剤が、慢性的な全身性自己免疫状態 たとえばSLEおよびGVDHの処置に有効である可能性を示唆する。 様々な微生物感染は、細胞性免疫応答の低下、しかしながら体液性免疫応答の 上昇によって特徴づけられていて、これは感染に対するTH2型の応答を示唆する ものである。このTH2の表現型は上に詳述したように、IL-4 のT細胞分泌を 特徴とする。IL-4 は Leishmania major 感染と戦うINF-γ活性化マクロフ ァージの殺微生物活性をブロックする(Liewら,1989;Lealら,1993)。IL-4 の阻害は免疫応答のTH1エフェクターという武器を増強し、これが細胞性免疫 を増強し感染の消散を招来する。インビボにおけるIL-4 の中和はそうでなけ れば Leishmania major 感染に感受性のマウスに、この寄生体を撃退し、感染を 解消することを可能にする(Heinzelら,1989)。いくつかの啓蒙的な研究が感 染マウスにおけるTH1/TH2表現型の差異に注目し、TH1が優位を占める応答が 、微生物感染との戦闘に最も有効であることを示唆している(総説として、Sher & Coffman,1992 参照)。 IL-10 IL-10 はTh2 細胞によって産生され、Th1 細胞によっては産生されない サイトカインであり、Th1 細胞によって産生されTh2 細胞によっては産生さ れない大部分のサイトカインの合成を阻害する(Mosmannら,1991)。Th1 表 現型のCD4+細胞に対する作用に加えて、IL-10 は「Th1-様」表現型をもつ CD8+T細胞をも阻害する。IL-10 はマクロファージ活性化の強力なサプレッ サーである。IL-10 はTNFα,IL-1,IL-6,IL-8およびINF−γを 含めて前炎症サイトカインの産生を抑制することができる。全体的にこれらの結 果はIL-10 が強力なマクロファージの脱活性化物質であり、有効な抗炎症剤で あることを示唆している。さらに、IL-10 は一酸化窒素のINF-γ誘導性の 合成を防止し、細胞内寄生体に対する抵抗性の低下を惹起する(Gazzinelliら, 1992)。 ヒトおよびマウス(それぞれhIL-10 およびmIL-10)はクローン化され 発現されている(Mooreら,1990;Vieiraら,1991)。この2つのcDNAは全 体を通して高度のヌクレオチド配列ホモロジー(>80%)を示し、極めて類似し たオープンリーディングフレームをコードする(73%アミノ酸ホモロジー)。い ずれのタンパク質も、酸に不安定な非共有結合性ホモダイマーとして発現される (Mooreら,1993)。モノマーも等しく生物活性を有するかどうかはまだ明瞭で ない。一次構造に基づき、IL-10 はサイトカインの4a-ヘリックス束状ファミ リーに分類されていた(Shanafeltら,1991)。多分、高度の配列ホモロジーお よび類似構造によりhIL-10 はマウスの細胞にも活性であることが示されてい る(Mooreら,1993)が、その逆では活性はない。hIL-10 は 18 kDa ポリペ プチドであり、炭水化物は検出されないが、mIL-10 には1個のN-連結グリ コシル化がある。組換えhIL-10 はCHO細胞、COS7 細胞、マウス骨髄腫 細胞、バキュロウイルス発現系および大腸菌内で発現されている。これらの系で 発現されたrIL-10 は識別不能の生物学的挙動を示す(Mooreら,1993)。 寄生体の感染は保護または感受性を誘導できるTh1 またはTh2 いずれかの 型の分極化した免疫応答を導くことが多い。寄生体感染の帰結は寄生体および宿 主の性質に依存する。最もよく了解されている例はマウスにおける Leishmania major 感染である。L.major はマクロファージ内に細胞内感染を確立する原生動 物寄生体であり、これは主として食胞に局在する。活性化されたマクロファージ は細胞内寄生体を効果的に破壊することができ、したがって寄生体からの保護は マクロファージの活性化によって達成される。非活性化マクロファージはこれら の生物体を殺滅しない。期待されるように、INF-γ処置時のマクロファージ の活性化は保護を促進し、一方、IL-4 およびIL-10 はINF-γによって誘 導された殺微生物活性の上昇を遮断する(Liewら,1989)。大部分の近交株(た とえば、C57/BL6)の L.major による皮膚感染は自然治癒を伴う局在性感染 を誘導し、再感染に対する抵抗性を付与する。しかしながら、BALB/cマウ スでは、L.major 感染はIL-4 を産生することにより非保護的免疫応答を誘導 する。IL-4 により誘導される抗体応答は無効で死を招く(Howardら,1980)。 治癒株では強力なTh1 応答が高レベルのINF-γとともに注目される一方、 感受性のBALB/cマウスでは非生産的なTh2 応答と有意なIL-4レベルの 上昇が見出されている(Heinzelら,1991)。さらにモノクローナル抗-INF- γ抗体の1回注射が抵抗性マウスを感受性マウスに変換できることが示されてい る(Belosevicら,1989)。期待されるように、BALB/cマウスの抗-IL-4 抗体による処置ではTh1 応答の発生および治癒を招来した(Sher & Coffman, 1992)。すなわち、病原体の本質に依存して、免疫応答を保護的表現型を有する T細胞サブセットへ変化させると疾患状態への治療的介入を導くことができる。 サイトカインによって誘導されるTh1 およびTh2 の表現型の間の調節を理解 すれば、治療におけるサイトカイン-アンタゴニストの設計の助けになるものと 思われる。IL-10 の産生は様々な病原体たとえば Leisnmania major.Schisto soma mansoni,Trypanosoma cruzi ならびに Mycobacteium Leprae で感染した マウスにおいて著しく増大する(Sherら,1992;Salgameら,1991;Heinzelら, 1991)。 病原体に対する防御機構の正しい武器の設置を促進する免疫療法を設計する場 合は、この2つの武器の間のバランスを維持することが重要である。細胞内感染 原への応答時にTh1 細胞によって誘発される組織傷害の制御にはTh2 型応答 が重要な可能性もある。Th2 が優位な環境において機能するTh1 細胞をある 程度維持することは、IL-10 およびIL-4 の分泌によるTh1 の傷害作用の 除去を支援することができる。Th1/Th2 のスペクトルの極端な例の一つは、 IL-10 遺伝子欠損トランスジェニックマウスに反映される(Kuhnら,1993)。 IL-10 欠損マウスはそのTおよびB細胞サブセットの発生に関しては正常であ る。しかしながら、これらのマウスは、TNFαおよびINF−γのようなサイ トカインの連続的な過剰産生(Th1 応答)を介する慢性的炎症により、慢性腸 炎(または炎症性腸疾患)を発症する。 IL-12 もTh1 サブセットの発生を誘導できる。細胞内グラム陽性細菌であ る Lysteria monocytogen 感染をモデルとして抗体T細胞受容体トランスジェニ ックマウスに用いることにより、IL-10 はマクロファージからのIL-12 の産 生をブロックできることが示された(Hsiehら,1993)。すなわちIL-10 アン タゴニストは、1.Th1 サイトカインの産生の阻害を防止する、2.Th1 サ ブセットの発生を誘導するサイトカインの産生を可能にする、ことによりTh2 が優位な環境のTh1/Th2 集団を逆転させることになる。 手元の実験的証拠から、AIDSに対する抵抗性および/または進行性は個体 のTh1/Th2 ステージに依存することが提唱されている(Clerici & Shearer ,1993)。この仮説は、AIDSに対する進行性はIL-2 とINF-γ産生の消 失(Th1 応答の消失)およびIL-10 とIL-4 の増加(Th2 応答の獲得) を特徴とするとの所見に基づいている。多くの血清陰性者(HIVに暴露された 個体)は強力なTh1 型応答を発生する。血清変換後IL-4 およびIL-10の両 レベルのIL-4 およびINF-γを犠牲にした上昇に注目することが重要である 。しかしながら、完全発症AIDS患者では、Th2 応答は高レベルのIL-10 によって誘導されるように思われ、IL-4 によってではなくそのレベルはこれ らの患者では正常まで低下している。抗-IL-10 試薬は、AIDS患者に保護 を提供するTh2 応答のTh1 へのシフトにより、治療剤として働く可能性が考 えられる。 TNFα TNFαは細胞外サイトカインであり、免疫および炎症応答の中心的なメディ エーターである(Beutlerら,1989;Vassalli,1992)。それはホモトリマーで あり(Smithら,1987;Eckら,1988)、サブユニットサイズは 17 kD である。 健康な個体では 5 pg/ml 未満の濃度で循環し(Dinarelloら,1993)、敗血症症 状のある患者では 1000 pg/ml 程度の高値まで上昇することがある(Claseyら, 1993)。ヒトTNFαはグリコシル化されていないが、一部の他の種(とくにマ ウス)では成熟タンパク質の1個のN-連結部位にグリコシル化がある。しかし ながら、糖残基は生物活性に必須ではない(Beutlerら,1989)。ヒトTNFα はpH 5.3 の酸性である(Aggarwalら,1985)。各TNFαサブユニットはア ンチパラレルβサンドイッチから構成され、それがβシートのエッジ対フェース パッキングによってトリマーの形成に関与している。TNFαトリマーの構造は ウイルスのコートタンパク質の「ジェリーロール」構造モチーフの特徴に類似す る(Jonesら,1989)。TNFαは比較的安定な分子で、カオトロッピク剤たと えば尿素、SDS,または塩酸グアニジンに暴露されても、再生されて初期の生 物活性の50%程度が回収される。TNFαの再生性は構造の維持に必要な限られ た数の内部ジスルフィド結合(モノマーあたり1個)を反映するものと考えられ る(Beutlerら,1989)。 他の関連分子、TNFβは、TNFαと同一の生物活性を有する。TNFαお よびTNFβファミリー内の種間配列同一性は、それぞれ71%および61%である (Beutlerら,1989)。hTNFαとhTNFβの間の配列同一性は29%にすぎ ない(Beutlerら,1989)。類似性が低いにもかかわらず、hTNFαおよびh TNFβの両者は同一の受容体に、匹敵する親和性で結合する。 TNFαは細胞表面の受容体への結合を介しその生物活性を誘導する。TNF αの受容体は実際に、試験したすべての体細胞の表面に見出された(Vassalli, 1992)。2つの異なるTNFαの受容体、見掛けの分子量 55 kD(p55 TNF α-R1)および 75 kD(p75 TNFα-R2)が解明されている(Hohmannら, 1989;Brockhausら,1990;Loetscherら,1991)。いずれの受容体も高い親和性 (Kd=0.3〜0.6nM)で、TNFαおよびTNFβを結合する(Loetscherら, 1990;Schallら,1990;Pennicaら,1992)。 TNFαは多様な活性を有し、したがって、以下のようにいくつかの疾患に関 与している。 敗血症ショック:敗血症の発症はこの60年間増加を続けていて、米国における 集中治療室で最も多い死因である(Parrillo,1991)。敗血症ショックの死亡率 は、集中的な抗生物質の標準的な使用および心脈管系の維持にもかかわらず、過 去10年約50%のままである(Parrillo,1991)。敗血症にTNFαが関与してい る証拠は以下の通りである。マウスまたはヒヒをTNFαに対するモノクローナ ル抗体により前処置すると、致死量の大腸菌LPSから保護される(Beutlerら ,1985)。抗-TNFα抗体は霊長類を致命的エンドトキシン敗血症および致命 的S.aureus-誘発ショックから保護する(Fiedlerら,1992;Hinshawら,1992) 。可溶性TNFα受容体(p55)-IgG-Fc融合体(TNFα受容体免疫接着 )は、エンドトキシン注入の1時間後に投与してもマウスをエンドトキシンショ ックから保護することが見出された。同じ免疫接着がマウスのリステリア症に対 しても有効であった(Haak-Frendschoら,1994)。p25受容体に基づく他の免疫 接 着も致命的なエンドトキシン血症に有効であり、それはTNFαキャリアーおよ びTNFαアンタゴニストの両者として同時に機能することが示された(Mohler ら,1993)。 カヘキシー:マウスにおけるTNFαのインビボ投与はカヘキシーを惹起した (Oliffら,1987)。したがってTNFαのアンタゴニストは癌またはAIDS 感染患者をカヘキシーから保護する可能性がある。 脳マラリア:高レベルのTNFαが脳マラリア小児患者の予後不良に関連し、 TNFαに対する抗体がマウスを Plasmodium berghei 感染の脳障害から保護す る(Grauら,1987)。 関節炎:TNFαに対する抗体は滑膜細胞内の炎症性サイトカイン IL-2 の 産生を低下させる(Brennanら,1989)。TNFαは慢性関節リウマチにおける 主要な破壊的プロテアーゼ、コラーゲナーゼのインデューサーである(Brennan ら,1989)。抗-TNFα抗体は、マウスのコラーゲナーゼ誘導関節炎における 関節病変を緩和させることが見出された(Williamsら,1992)。hTNFα遺伝 子をもつトランスジェニックマウスは関節炎を発症し、これはhTNFαに対す るモノクローナル抗体のインビボ投与により防止できる(Kefferら,1991)。 移植片拒絶反応および移植片対宿主病(GVHR):TNFαは、移植片対宿 主病の急性相および腎臓同種移植拒絶反応における関与が明らかにされている。 TNFαのアンタゴニストはこれら致命的状態を防止できる。抗-TNFα抗体 は、実験動物で、移植片拒絶反応を遅延させることが見出されている(Piguet, 1992)。また、GVHRの急性相における抗-TNFα抗体の注射は、死亡率な らびに腸、上皮および肺胞の病変の重篤度を低下させた(Piguet,1992)。ヒト 骨髄移植における抗-TNFα抗体の効果の臨床試験が実施されている。 AIDS:細胞内シグナル伝達経路の研究により、TNFαはkB様エンハン サーエレメントに結合し、したがってNF-kB誘導性遺伝子の制御に一部関与 することが明らかにされた(Leonardら,1989;Lowenthalら,1989;Osbornら, 1989)。TNFαの抗ウイルス活性の少なくとも一部はNF-kBのβ-インター フェロン遺伝子におけるウイルス誘導性エレメントとの相互作用により誘導され るものである(Goldfeldら,1989;Visvanthanら,1989)。類似の機構によって TNFαは、ヒト免疫不全ウイルスI型を活性化するものと思われる(Duhら, 1989;Folksら,1989)。したがって、TNFαのアンタゴニストはAIDSウ イルスの活性化を遅延させるのに有用であり、AIDSの治療における他の処置 と併用して有効に働く可能性が考えられる。 パーキンソン病:最近、パーキンソン病患者の脳および脳脊髄液中でTNFα レベルの上昇が見出されている(Mogiら,1994)。この報告では、TNFαレベ ルの上昇がこの疾患に伴う神経変性に関連する可能性が推論されている。 RANTES RANTESは、小さい(MW 8-kD)高度に塩基性の(pI約9.5)CCグ ループに属するケモカインである(Schallら,1991;Baggioliniら,1994)。グ リコシル化はないようで(Schallら,1991)、単球(Schallら,1990;Wangら, 1993;Wiedermannら,1993),好塩基球(Bischoffら,1993;Kunaら,1993), 好酸球(Rotら,1992)および記憶T細胞機能に関与する前刺激またはプライム されたヘルパーT細胞と考えられるCD4+/UCHL+Tリンパ球(Schallら,1 990)の走化性促進因子である。RANTESは走化性因子であるのみでなく、 細胞からのそれらのエフェクターを放出させて組織傷害を招来する。たとえば、 RANTESは好塩基球からヒスタミンを放出させる(Kunaら,1992;Kunaら, 1993;Alamら,1993)。それはまた、好酸球の塩基性ペプチドの分泌(Alamら, 1993)ならびに好酸球による酸素フリーラジカルの産生を生じさせる(Rotら,1 992)。 最初、RANTESは活性化T細胞によって合成されると考えられていたが、 最近、他の細胞も、刺激に応じて極めて速やかにそれを合成することが見出され た。RANTES mRNAは休止期T細胞の活性化後に遅れて(3〜5日後) 発現するが、一方、線維芽細胞、腎臓上皮および糸球体脈管膜細胞ではTNFα の刺激によって、RANTES mRNAは速やかに上方調整される(Nelsonら ,1993)。 RANTESの受容体も同定されている。すべてのケモカインをKd=5nM で結合する無差別な受容体が、赤血球の表面にある(Horukら,1993;Neoteら, 1993)。この受容体は、ケモカインの走化性勾配の確立を助けるシンクと考えら れる。シグナル伝達受容体も同定され、クローン化されている(Gaoら,1993;N eoteら,1993;Van-Riperら,1993;Wangら,1993)。単球はRANTESを推 定Kd=400pMで結合するG-蛋白共役受容体をもつが、これにはMCAFおよ びMIP-1aも低い親和性(推定Kdはそれぞれ 6および 1.6nM)で結合する (Wangら,1993)。受容体分子は約 50nMの低い親和性でRANTESを結合 できる好中球からクローン化された(Gaoら,1993)。 疾患状態:RANTESのアゴニストは、炎症に治療的適用をもつ可能性があ る。RANTESの走化性作用およびエフェクター細胞活性化作用の遮断は局所 的炎症および組織傷害をブロックすることが期待される。RANTESのアゴニ ストの作用機構はRANTESの細胞表面受容体への結合の阻害であろう。 RANTESは、単球、好塩基球、好酸球および記憶リンパ球の走化性因子で ある。好塩基球は、ヒスタミンおよびペプチド-ロイコトリエンのようなメディ エーターの主要な起源であり、過敏性疾患でのアレルゲンに対する遅延型反応の 必須エレメントである。これらの細胞は他の炎症病理、たとえばある種の自己免 疫反応、寄生体感染および炎症性腸疾患にも関与している。これらの状態におい て好塩基球の供給および活性化はIgEとは無関係である。この数年、機能的に 「ヒスタミン放出因子」と呼ばれる確認し難い一群の刺激因子の作用を記載した 論文が多数蓄積している。これらの確認し難い刺激因子の大部分にRANTES が寄与している可能性がある。 好酸球もアレルギー性炎症に重要で、リンパ球とともに、喘息患者の気管支粘 膜に著しい浸潤を形成する。それらは上皮の傷害および特徴的な気道過敏性の原 因と考えられる。遅延相の反応部位へ好酸球と共遊走するTh2 型のリンパ球の 供給は好酸球を刺激する他の走化性サイトカインおよび増殖因子の重要な起源で ある。 RANTESは単球、好塩基球、好酸球およびリンパ球に対する作用により、 エフェクター細胞の蓄積ならびに慢性炎症性疾患とくにアレルギー性炎症の強力 なスティミュレーターであると考えられる。 炎症性細胞の供給システムには、その構築にある種の重複性がある。しかしな がら、RANTESは独特の性質をもっている。それはMCP-1 およびMCP- 1aよりも強力な走化性因子であり、一方、MCP-1 は好塩基球からのヒスタミ ン放出においてより強力なスティミュレーターである(Baggioliniら,1994)。 RANTESは好酸球による酸素ラジカルの産生を惹起させるが、MCP-1に はこの作用はない(Rotら,1992)。RANTESは好酸球の供給の点でC5aと 同様に強力であるが、好酸球の酸化バーストのトリガーとしてはそれ程強力では ない(Rotら,1992)。C5aは極めて強力な走化性因子である。しかしながら、 RANTESの特異性はもっていない。C5aは好塩基球および好酸球のみでな く、好中球も誘引する。ある種の炎症状態、たとえばアレルゲン誘発性遅延型反 応および喘息の病態生理に重要なのは好中球ではなくて好酸球であることから、 RANTESのような特異的な走化性因子の関与が期待される。 インシトゥハイブリダイゼーションを用い、RANTESの発現が、拒絶反応 を受けているヒト腎臓移植片の間質単核細胞および近位尿細管上皮細胞に見出さ れている。抗体染色により、RANTESの存在が、間質浸潤や腎尿細管上皮細 胞内のみならず、炎症内皮にも豊富に認められた(Wiedermannら,1993)。これ らの結果に基づき、走触性機構が想定されている。走触性は表面結合勾配によっ て誘導される細胞の遊走と定義される。走触性機構はインビトロの実験によって 支持され、抗-RANTES抗体はそのインビトロ走触性を防止することが見出 されている。 ヒト慢性関節リウマチの滑膜線維芽細胞は、TNFαおよびIL-1βによる 刺激後、RANTESおよびIL-8 のmRNAを発現する(Rathanaswamiら,1 993)。IL-8 およびRANTESのmRNAの発現には、差別調節が存在する 。シクロヘキシミドはIL-1βによる刺激後のIL-8 およびRANTESのm RNAレベルを上昇させたが、TNFαによる刺激後RANTESのmRNAの レベルを低下させた。また、TNFαおよびIL-1β誘導性のRANTESm RNAの上昇をIL-4 は下方調整し、IFN-γは増強したが、一方、IL-8m RNAのTNFαまたはIL-1βによる誘導はIFN-γによって阻害され、I L-4によって増強された。しかも、TNFαとIL-1βの組合せはIL-8 のm RNAのレベルを相乗的に上昇させたが、同じ条件下において、RANTESm RNAのレベルはTNFα単独により誘導されるたレベルより低かった。これ らの研究は、滑膜線維芽細胞が慢性関節リウマチの進行中の炎症過程に関与して いること、そしてRANTESがそれに関与するエフェクターの一つである可能 性を示唆する。観察されたIL-8 とRANTESの差別調節は細胞浸潤のタイ プおよび炎症性疾患の進行は刺激性および阻害性サイトカインの相対的レベルに 依存するらしいことを示している。 RANTESにはまた、動脈硬化および多分、血管形成術後の再狭窄への関与 が考えられている(Schall,1991)。動脈硬化におけるMIP-1 の関与はさら に詳細に検討されてきた。最近、RANTES,MIP-1aおよびMIP-1βの mRNAが正常な頸動脈プラークおよび心臓移植片動脈硬化にインシトゥで検出 された。RANTES mRNAはMIP-1aおよびMIP-1βを発現している 同じ細胞には検出されないが、通常内腔により近いリンパ球およびマクロファー ジに発現している。これらのデータはCCケモカインの陽性フィードバック機構 および動脈疾患の進行の様々な段階におけるこれらのケモカインの差別発現の可 能性を支持している。 最後に、RANTESレベルの上昇は子宮内膜増多症と相関する(Khorramら ,1993)。RANTESのレベルは子宮内膜増多症の女性からの骨盤液中で上昇 していて、これらのレベルは疾患の重篤度と相関する。 ヒトおよび動物のタンパク質ホモロジー:マウスのRANTESがクローン化 されている(Schallら,1992)。配列分析からヒトとマウスのタンパク質の間に は85%のアミノ酸同一性が明らかにされた。ヒトとマウスのRANTESには免 疫交叉性がある。ボイデンチェンバー走化能実験により、単球の走化能は種特異 性を欠くことが明らかにされ、組換えmuRANTESはインビトロで用量依存 性にヒト単球を誘引する。また、hRANTESのマウス腫瘍細胞系へのトラン スフェクションは、インビボにおいて、その腫瘍によるhRANTESの分泌が マウス単球の浸潤の増大と相関する腫瘍を生じる(Schallら,1992)。 セレックス 標的分子に対し高度に特異的結合性を有する核酸分子のインビトロ発生方法が 開発されている。この方法,Systematic Evolution of Ligands by EXponential Enrichment(指数関数的濃縮によるリガンドの系統的進化)はSELEX(セ レ ックス)と呼ばれ、現在は放棄された米国特許出願一連番号第07/536,428号(発 明の名称:Systematic Evolution of Ligands by Exponential Enrichment)、1 991年06月10日付で出願された米国特許出願一連番号第07/714,131号(発明の名 称:Nucleic Acid Ligands)、1992年08月17日付で出願された米国特許出願一連 番号第07/931,473号(発明の名称:Nucleic Acid Ligands)、現在は米国特許第 5,270,163号(PCT/US第91/04078号も参照)に記載されている。これらはい ずれも引用により本明細書にとくに導入される。本明細書において包括的にセレ ックス特許出願と呼ばれるこれらの各出願には、任意所望の標的分子に対する核 酸リガンドを作成する基本的に新規な方法が記載されている。 セレックス法は、実際に任意所望の基準の結合親和性および選択性を達成する ために同一の一般的選択スキームを用いる候補オリゴヌクレオチドの混合物から の選択、ならびに結合、分配および増幅の段階的反復を包含する。核酸の混合物 好ましくは無作為化された配列のセグメントからなる混合物に出発し、セレック ス法は、混合物を標的と、結合に有利な条件下に接触させ、標的分子に特異的に 結合した核酸から非結合核酸を分配し、核酸-標的複合体を解離させ、核酸-標的 複合体から解離させた核酸を増幅させ、リガンドが濃縮された核酸の混合物を得 て、ついで結合、分配、解離および増幅の工程を所望の回数再反復して、標的分 子に対し高度に特異的な高度に親和性の核酸リガンドを得る工程を包含する。 基本セレックス法は多くの特定の目的を達成するために改良されてきた。たと えば、1992年10月14日に出願された米国特許出願一連番号第07/960,093号(発明 の名称:Method for Selecting Nucleic Acids on the Basis of Structure)に は特異的な構造特性を有する核酸分子たとえばベントDNAを選択するためのゲ ル電気泳動と組合わせたセレックスの使用が記載されている。1993年09月17日に 出願された米国特許出願一連番号第08/123,935号(発明の名称:Photoselection of Nucleic Acid Ligands)には、標的分子に対する結合および/または光架橋 および/または光不活性化を可能にする光反応基を含有する核酸リガンドを選択 するセレックスに基づく方法が記載されている。1993年10月07日に出願された米 国特許出願一連番号第08/134,028号(発明の名称:High-Affinity Nucleic Acid Ligands That Discriminate Between Theophylline and Caffein)には、きわ め て類似した分子間の識別が可能な高度に特異的な核酸リガンドを同定する、カウ ンターセレックス(Counter-SELEX)と呼ばれる方法が記載されている。1993年1 0月25日出願の米国特許出願一連番号第08/143,564号(発明の名称:Systematic Evolution of Ligands by EXponential Enrichment: Solution SELEX)には、標 的分子に対して高親和性および低親和性を有するオリゴヌクレオチドの間の高度 に効率的な分配を達成するセレックスに基づく方法が記載されている。1992年10 月21日付出願の米国特許出願一連番号第07/964,624号(発明の名称:Methods of Producing Nucleic Acid Ligands)には、セレックスの実施後に改良された核 酸リガンドを得る方法が記載されている。1995年03月08日付で出願された米国特 許出願一連番号第08/400,440号(発明の名称:Systematic Evolution of Ligand s by EXponential Enrichment: Chemi-SELEX)には、リガンドをその標的に共有 結合させる方法が記載されている。 セレックス法は、リガンドに対して改良された特性、たとえばインビボ安定性 の改良または送達特性の改良を付与する修飾ヌクレオチドを含む高親和性核酸リ ガンドの同定を包含する。このような修飾の例には、リボースおよび/またはホ スフェートおよび/または塩基位置の化学的置換が包含される。修飾ヌクレオチ ドを含有し、セレックスで同定される核酸リカンドは、1993年09月08日出願の米 国特許出願一連番号第08/117,991号(発明の名称:High Affinity Nucleic Acid Ligands Containig Modified Nucleotides)にピリミジンの 5-および 2'-位が 化学的に修飾されたヌクレオチド誘導体を含むオリゴヌクレオチドが記載されて いる。上記米国特許出願一連番号第08/134,028号には 2'-アミノ(2'-NH2), 2'-フルオロ(2'-F)および/または2'-O-メチル(2'-OMe)により修飾さ れた1もしくは2個以上のヌクレオチドを含有する高度に特異的な核酸リガンド が記載されている。1994年06月22日出願の米国特許出願一連番号第08/264,029号 (発明の名称:Novel Method of Preparation of 2'Modified Pyrimidine Intra molecular Nucleophilic Displacement)には様々な 2'-修飾ピリミジンを含有 するオリゴヌクレオチドが記載されている。 セレックス法は、1994年08月02日出願の米国特許出願一連番号第08/284,063号 (発明の名称:Systematic Evolution of Ligands by Exponential Enrichment: Chimeric SELEX)ならびに1994年04月28日に出願された米国特許出願一連番号第 08/234,997号(発明の名称:Systematic Evolution of Ligands by Exponential Enrichment: Blended SELEX)にそれぞれ記載されているように、選ばれたオリ ゴヌクレオチドの、他の選ばれたオリゴヌクレオチドおよび非オリゴヌクレオチ ド機能性単位との結合を包含する。これらの出願は、オリゴヌクレオチドの広範 囲の形状および他の性質、ならびに効率的な増幅および複製特性を、他の分子の 望ましい性質と組合わせることを可能にする。基本的セレックス操作の修飾を記 述する上記特許出願はそれぞれ引用によりそれらの全体が本明細書にとくに導入 される。 発明の簡単な概要 本発明はサイトカイン対する核酸リガンドの同定および製造方法、ならびにそ のようにして同定および製造された核酸リガンドを包含する。とくに、IFN- γ,IL-4,IL-10,およびTNFαに対して特異的に結合できるRNA配列 が提供される。さらに、RANTESに特異的に結合できるDNA配列が提供さ れる。本発明にはとくに、表3,4,7,8,10,および12示したRNAリガン ド配列(配列番号:7〜73;79〜185;189〜205;209〜255)が包含される。 本発明はさらにサイトカインに対する核酸リガンドおよび核酸リガンド配列を 同定する方法において、(a)核酸の候補混合物を調製し、(b)サイトカイン と核酸の候補混合物を接触させ、(c)サイトカインに対する親和性に基づいて 上記候補混合物の間の分配を行い、ついで(d)選択された分子を増幅させて、 サイトカインに比較的に高い親和性を有する核酸配列が濃縮された核酸の混合物 を得る工程からなる方法を包含する。 本発明はさらにIFN-γ,IL-4,IL-10,TNFα,およびRANTES からなる群より選択されるサイトカインに対する核酸リガンドおよび核酸リガン ド配列を同定する方法において、(a)核酸の候補混合物を調製し、(b)上記 サイトカインと核酸の候補混合物を接触させ、(c)上記サイトカインに対する 親和性に基づいて上記候補混合物のメンバー間の分配を行い、ついで(d)選択 された分子を増幅して、上記サイトカインに対して比較的に高い親和性で結合す る核酸配列に富む核酸混合物を得る工程からなる方法を包含する。 さらに詳しくは、本発明は上述の方法により同定されたIFN-γ,IL-4, IL-10,およびTNFαに対するRNAリガンド、たとえば、表3,4,7, 8,10,および12示したリガンド(配列番号:7〜73;79〜185;189〜205;209 〜255)を包含する。また、与えられたリガンドのいずれかと実質的に相同であ って、IFN-γ,IL-4,IL-10,およびTNFαに結合する実質的に同一の 結合能を有し、IFN-γ,IL-4,IL-10,およびTNFαの機能を阻害する IFN-γ,IL-4,IL-10,およびTNFαに対するRNAリガンドを包含す る。さらに本発明には、本明細書に提示されたリガンドと実質的に同一の構造を 有し、IFN-γ,IL-4,IL-10 およびTNFαに結合する実質的に同一の 結合能を有し、IFN-γ,IL-4,IL-10 およびTNFαの機能を阻害する IFN-γ,IL-4,IL-10 およびTNFαに対する核酸リガンドを包含する 。 本発明はまた、ここに同定された核酸リガンドに基づき修飾されたヌクレオチ ド配列およびそれらの混合物を包含する。 発明の詳細な説明 本出願は、セレックスとして知られる方法によって同定される、サイトカイン に対して高親和性の核酸リガンドを記述する。セレックスは、現在は放棄された 米国特許出願一連番号第07/536,428号(発明の名称:Systematic Evolution of Ligands by EXponential Enrichment)、1991年06月10日に出願された米国特許 出願一連番号第07/714,131号(発明の名称:Nucleic Acid Ligands)、1992年08 月17日出願の米国特許出願一連番号第07/931,473号(発明の名称:Nucleic Acid Ligands)、現在米国特許第5,270,136号(PCT/US91/04078号も参照)に記 載されている。これらの出願はそれぞれ引用により本明細書にとくに導入され、 包括的にセレックス特許出願と呼ばれる。 その最も基本的な形態において、セレックス法は以下の一連の工程により定義 することができる。 1)異なる配列の核酸の候補混合物を調製する。候補混合物は一般に、固定さ れた配列の領域(すなわち、候補混合物の各メンバーは同一の位置に同一の配列 を含有する)および無作為化された配列の領域を包含する。固定配列の領域は、 (a)以下に記載する増幅工程を補助するため、(b)標的に結合することが既 知の配列に類似させるため、または(c)候補混合物中の核酸の与えられた構造 アレンジメントの濃度を増大させるためのいずれかで選択される。無作為化配列 は完全に無作為化されていても(すなわち任意の位置におけるある塩基の存在確 率は1/4である)または一部のみ無作為化されていてもよい(すなわち任意の位 置におけるある塩基の存在確率は0〜100%の任意のレベルに選択できる)。 2)候補混合物は選択された標的と、標的と候補混合物のメンバーの間の結合 に好都合な条件下に接触させる。このような環境下には標的と候補混合物の核酸 の間の相互作用は、標的とその標的に最高の親和性を有する核酸との間の核酸- 標的ペアを形成すると考えることができる。 3)標的に対して最高の親和性を有する核酸を、標的に対する親和性がより低 い核酸から分配する。最高の親和性核酸に相当する配列は、候補混合物中には極 めて少数(多分、核酸1分子のみ)しか存在しないので、一般には、候補混合物 中の有意な量の核酸(約5〜50%)が分配時に残存するように分配基準をセット することが望ましい。 4)標的に対して比較的に高い親和性を有するとして分配時に選択された核酸 をついで増幅し、標的に対して比較的に高い親和性を有する核酸が濃縮された新 たな候補混合物が創成される。 5)上述の分配および増幅工程を反復することにより、新たに形成される候補 混合物に含まれるユニークな配列の数は漸次減少し、標的に対する核酸の平均的 親和性の程度は一般に上昇する。極端な場合を考えると、セレックス法では標的 分子に最高の親和性を有する最初の候補混合物からの核酸である1種または少数 種のユニークな核酸を含有する候補混合物が得られることになる。 セレックス特許出願には、この方法に関して詳細に記述され、精密化が行われ ている。この方法に使用できる標的、候補混合物内での核酸の分配方法および分 配された核酸を増幅して濃縮された候補混合物を発生させる方法が包含されてい る。セレックス特許出願にはまた、タンパク質が核酸結合タンパク質である場合 および核酸結合タンパク質でない場合の両タンパク質標的を含めて、多くの標的 種に対して得られたリガンドも記載されている。 ここに記載される核酸リガンドは親油性化合物(たとえば、コレステロール) と複合体化することが可能であり、また親油性成分に結合または封入することも できる(たとえば、リポソーム)。複合体化した核酸リガンドは、その核酸リガ ンドを細胞内標的に送達するための細胞による核酸リガンドの細胞性取り込みを 増大させることができる。1995年05月04日付で出願された米国特許出願一連番号 第08/434,465号(発明の名称:Nucleic Acid Ligand Complexes)には、核酸リ ガンドと親油性化合物または非免疫原性高分子量化合物からなる治療用または診 断用複合体の調製方法が記載されている。この記載はその全体が本明細書に導入 される。 本明細書に記載された方法およびその方法によって同定された核酸リガンドは 治療用および診断用の両目的で有用である。治療的使用にはヒト患者における疾 患または医学的状態の処置または防止が包含される。診断的使用には、インビボ およびインビトロにおける両診断的適用が包含される。セレックス法は一般的に また本出願に特定して教示され請求されるセレックスの特定の適用において、と くに診断的適用に適している。セレックスは、標的に、高い親和性および驚くべ き特異性をもって結合できる核酸リガンドを同定する。これらの特性はもちろん 診断用リガンドに本技術分野の熟練者が求めている望ましい性質である。 本発明の核酸リガンドは、本技術分野の熟練者によって採用される多くの技術 によって定常的に診断の目的に適用することが可能である。診断薬は、利用者に 与えられた標的の特定の場所、特定の濃度での存在の確認を可能にすることのみ が要求される。単純に標的と結合対を形成し診断の目的に陽性のシグナルを誘発 するだけで十分である。本技術分野の熟練者には、このようなリガンドの存在を 追跡するために標識タグを導入する本技術分野で既知の操作によって、核酸リガ ンドを適用することも可能であろう。このようなタグが多くの診断操作に使用で きる。本明細書に記述するサイトカインに対する核酸リガンドはサイトカインタ ンパク質の同定に特異的に使用できる。 セレックス法は標的分子の高親和性リガンドを提供する。これは核酸研究分野 には前例のない卓絶した業績である。本発明は、セレックス操作を特異的な標的 に適用するものである。以下の実施例の項には、サイトカインに対する核酸リガ ンドの単離および同定に用いられる実験パラメーターを記述する。 医薬としての使用が望ましい核酸リガンドの製造のためには、核酸リガンドは (1)標的に対して所望の作用を達成できる様式で標的に結合する、(2)所望 の作用を得る目的で可能な限り小さい、(3)可能な限り安定である、(4)選 択された標識に対して特異的なリガンドである、ことが好ましい。大部分の場合 で核酸リガンドは標的に対して可能な最高の親和性を有することが好ましい。 1992年10月21日に出願された、係属中の共通して譲渡された米国特許出願一連 番号第07/964,624号('624)には、セレックスを実施したのち改良された核酸リ ガンドを得るための方法が記載されている。発明の名称:Methods of Producing Nucleic Acid Ligands のこの '624 出願は引用によりとくに本明細書に導入さ れる。 本発明は、サイトカインの核酸リガンドを同定するためのセレックス法を包含 する。サイトカインは、細胞シグナリング/細胞間相互作用を誘発する多様なグ ループの小タンパク質である。サイトカインにはイムノ/ヘマトポイエチン(た とえば,EPO,GM-CSF,G-CSF,LIF,OSM,CNTF,GH, PRL,IL-2,IL-3,IL-4,IL-5,IL-6,IL-7,IL-9,IL-10 ,IL-12),インターフェロン(たとえば,IFNα,IFNβ,IFN−γ ),TNF-関連分子(たとえば,TNFα,IFNβ,gp39(CD40-L), CD27-L,CD30-L,NGF),およびケモカイン(たとえば,PF4,PB P,groα,MIG,ENA-78,MIP1α,MIP1β,MCP-1,I-30 9,HC14,C10,RANTES,IL-8.MIP-1)が包含される。一実施態 様においては、サイトカインはT-リンパ球から誘導される。 本発明においては、セレックス実験は、サイトカイン,IFN-γ,IL-4, IL-10,hTNFα,およびRANTESに特異的な高親和性を有するRNA を同定するために、30または40ランダム位置(IFN-γ,IL-4,IL-10 お よびRANTESについては40N;hTNFαについては30N)を含有する縮重 ライブラリーから実施された(表1,5,9,11および16)。本発明は、実施例 1,3,5,7および12に記載の方法によって同定される表3,4,7,8,10 および12に示すIFN-γ,IL-4,IL-10 およびTNFαに対する特異的な RNAリガンド(配列番号:7〜73,79〜185,189〜205,209〜255)を包含す る。本発明はさらに、IFN-γ,IL-4,IL-10 およびTNFαの機能を阻 害するIFN-γ,IL-4,IL-10 およびTNFαに対するRNAリガンドを 包含する。本発明にはさらに、RANTESの機能を阻害するRANTESに対 するDNAリガンドが包含される。本発明によってカバーされるリガンドの範囲 は、セレックス操作に従って同定される修飾または非修飾の、IFN-γ,IL- 4,IL-10 ,TNFαおよびRANTESの核酸リガンドすべてに拡張される ものである。さらに特定すれば、本発明は表3,4,7,8,10および12に示す リガンド(配列番号:7〜73,79〜185,189〜205,209〜255)に実質的に相同 の核酸配列を包含する。実質的に相同とは、一次配列ホモロジーの程度が70%以 上、とくに好ましくは80%以上であることを意味する。表3,4,7,8,10, および12に示すIFN-γ,IL-4,IL-10 およびTNFαに対するリガンド (配列番号:7〜73,79〜185,189〜205,209〜255)の配列ホモロジーの検査 では、一次ホモロシーをほとんどまたは全くもたない配列が、IFN-γ,IL- 4,IL-10 およびTNFαに対して実質的に同一の結合能力を有する場合があ ることを示している。これらの理由から、本発明はまた、表3,4,7,8,10 および12に示した核酸リガンド(配列番号:7〜73,79〜185,189〜205,209〜 255)と実質的に同一の構造ならびにIFN-γ,IL-4,IL-10 およびTNF αに対する同一の結合能を有する核酸リガンドも包含する。IFN-γ,IL-4 ,IL-10 およびTNFαに対して実質的に同一の結合能力とは、本明細書に記 載のリガンドの親和性の大きさから1または2オーダー以内の親和性を意味する 。本明細書にとくに記載された配列と実質的に相同の与えられた配列が、IFN -γ,IL-4,IL-10 およびTNFαに対して実質的に同一の結合能力を有す るか否かの決定は十分に、本技術分野の通常の熟練者の技術の範囲内にある。 本発明はまた、上述のリガンドにおいて、リガンドのインビボ安定性の増大ま たはリガンドの送達を増強または誘発するために、ある種の化学修飾が行われた リガンドを包含する。このような修飾の例には与えられた核酸配列の糖および/ またはホスフェートおよび/または塩基位置での化学的置換が包含される。たと えば、1993年09月09日付出願の米国特許出願一連番号第08/117,991号(発明の名 称:High Affinity Nucleic Acid Ligands Containing Modified Nucleotides) を参照されたい。この出願は引用により本明細書にとくに導入される。他の修飾 は本技術分野の通常の熟練者には周知の通りである。このような修飾はポスト- セレックスによって(予め同定された非修飾リガンドの修飾)またはセレックス 過程への導入によって行うことができる。 上述のようにIFN-γ,IL-4,IL-10,hTNFαおよびにRANTES に選択的に結合するそれらの能力によって、本明細書に記載されたIFN-γ, IL-4,IL-10,TNFαおよびにRANTESに対する核酸リガンドは医薬 として有用である。したがって、本発明はまた、サイトカインに結合できる核酸 リガンドを投与することによるサイトカイン機能の阻害方法を包含する。 核酸リガンドの治療用組成物は、非経口的に注射によって投与することができ るが、他の有効な投与形態、たとえば動脈内注射、吸入用のミスト、経口的に活 性な処方、経皮的イオントホレーシスまたは坐剤も意図される。好ましい担体の 一つは生理的食塩溶液であるが、他の医薬的に許容される担体も使用できる。好 ましい一実施態様においては、担体とリガンドを生理的に適合性の徐放製剤に構 成することも意図される。このような担体における一次溶媒は水性または本質に おいて非水性の溶媒とすることができる。さらに担体は、製剤のpH,浸透圧、 粘度、澄明度、色度、滅菌性、安定性、溶解速度または臭気を改良または維持す るために薬理学的に許容される他の賦形剤を含有していてもよい。同様に、担体 にはさらに、リガンドの安定性、溶解速度、放出または吸収を改良または維持す るために薬理学的に許容される賦形剤を含有させることができる。このような賦 形剤は単位用量または多重用量形態の非経口投与用の剤形の製剤化に常用または 慣用される物質である。 治療用組成物が製剤化されたならば、それは、溶液、懸濁液、ゲル、エマルジ ョン、固体、または脱水もしくは凍結乾燥粉末として滅菌バイアル中に保存する ことができる。このような製剤は、そのまま使用できる形態または投与直前に再 構築が必要な形態で保存できる。核酸リガンドを含有する全身送達用の製剤の投 与様式には、皮下、筋肉内、静脈内、経鼻、または膣もしくは直腸坐剤を介する 様式がある。 以下の実施例は、本発明の説明および例示のために提供されるものであって、 本発明の限定を意図するものではない。 実施例1.IFN-γに対する 2'-NH2および 2'-F-修飾リガンドのための 実験操作 この実施例は、IFN-γに対する核酸リガンドの発生のために実施例2にお いて追跡され導入される一般的操作を説明する。 A.オリゴヌクレオチド 2'F修飾CTPおよびUTPは Piekenら,1991 の方法に従って調製された。 2'NH2修飾CTPおよびUTPは、1994年06月22日出願の McGee らの米国特許 出願08/264,029号に従い調製した。この記載は引用により本明細書に導入される (McGeeら,1995 も参照)。DNAオリゴヌクレオチドは Operon Technologies (Alameda,CA)によって合成された。 B.セレックス セレックス操作は米国特許第 5,270,163号に詳細に記載されている(Tuerk & Gold,1990;Goldら,1993 も参照)。IFN-γに対する高親和性リガンドの発 生には3つのセレックス操作が実施された。各セレックス操作には以下のように 2'位置で修飾したピリミジンを含有するRNAプールを使用した。1)2'Fと表 示する2'F-CTPおよび2'F-UTP,2)2'F/NH2と表示する2'F-CTP および2'NH2-UTP,ならびに3)2'NH2と表示する2'NH2-CTPおよび2 'NH2-UTPである。各セレックスのために、固定配列の5'および3'領域によ って隣接される40ランダムヌクレオチドを含有するDNA鋳型40N7 を設計した (表1;配列番号:1)。固定領域はPCRおよびcDNA合成のためのDNA プライマ−アニーリング部位ならびにインビトロ転写を可能にするコンセンサス T7プロモーター領域を包含する。 一本鎖DNAプライマーおよび鋳型は合成し、PCRによって二本鎖の転写可 能な鋳型に増幅した。RNA分子の最初のプールの調製には 1000 pmole の一本 鎖鋳型(表1;配列番号:1),および 2500 pmole の5'-(5P7;配列番号: 1)と3'-(3P7;配列番号:2)の両プライマーのPCR増幅が包含された。 これらを、50mM KCl,10mM Tris-Cl(pH 8.3),3mM MgCl2,0.5 mMの各dATP,dCTP,dGTPおよびdTTPを含有する反応混合物中 でインキュベートした。TaqDNAポリメラーゼ(Perkin-Elmer,Foster City CA)を 0.1U/μl で添加し、反応混合物を97℃で3分間インキュベートして、 鋳型およびプライマーを変性した。最初の変性工程ののちに、反応を、93℃で30 秒,53℃で30秒ついで72℃で1分間にて10サイクル行い、プライマーおよび鋳型 をそれぞれ変性、アニーリングおよび伸長した。最初のラウンドのセレックスの ための二本鎖PCR産物の正確な濃度を得るために、PCR産物をQIAquick- spinPCR精製カラム(QIAGEN Inc.,Chatsworth CA)を用い、製造業者の説明 に従って精製した。 修飾ヌクレオチドを用いるインビトロ転写には、二本鎖DNA鋳型 200 pmole (終濃度1μM)を、40mM Tris-Cl(pH 8.0),12mM MgCl2,5mM DTT,1mMのスペルミジン,0.002%Triton X-100,4%PEG8000,0.5 μM α-32P-ATP,5U/μl T7RNAポリメラーゼ(Davanlooら,1984 ),および他のヌクレオチドを以下の濃度含有する反応混合物中でインキュベー トした。1)2'Fセレックスには1mM ATPおよびGTP,3mM 2'F-C TPおよび 2'F-UTP,2)2'F/NH2セレックスには、1mM ATP,G TPおよび2'NH2-UTPならびに3mM 2'F-CTP,3)2'NH2セレック スには、1mM ATP,GTP,2'NH2-CTPおよび2'NH2-UTPを用い た。これらのインキュベーションは37℃のインキュベーター中で6時間〜1夜実 施した。通常、RNAはゲル精製および溶出によって精製した。この方法を手早 く行うためには、ラウンド11,12,および14〜17でRNAを,Bio-Spin 6 ク ロマトグラフィーカラム(Bio-Rad Laboratories,Hercules CA)を製造業者の 説明書に従って用い精製した。バックグランドを下げるためには、1,2,4,6, 14,および 16 ラウンドを除くセレックスの全ラウンドの前にRNAを前ろ過し た。前ろ過工程は、リン酸緩衝食塩溶液(PBS)を1mM Mg2+イオンを含 有するよう改良した(138mM NaCl,2.7mM KCl,8.1mM Na2HP O4,1.1mM KH2PO4,1mM MgCl2,pH 7.4)mPBS中,RNA を 200μlまでとし、このRNA溶液を3個の予めmPBSで湿潤したフィルタ ーディスク(0.45μm,ニトロセルロース/酢酸セルロース,Millipore Corpora tion,Bedford MA)を通してろ過した。 最初の結合には、1000 pmole のRNAを結合緩衝液[mPBS+0.01%ヒト 血清アルブミン(HSA)]中でヒトIFN-γタンパク質と 37℃で 5〜10分イ ンキュベートして結合を生じさせた。このセレックス操作に使用したヒト組換え IFN-γは2つの異なるソースから購入した。2'Fおよび2'F/NH2セレック ス両者の最初の3ラウンドは Upstate Biotechnology,Lake Placid NY から入 手したタンパク質を用いて行った。これらの2つのセレックス操作の以後のラウ ンドならびに2'NH2セレックスの全ラウンドは Genzyme Inc.,Cambridge MA から入手したタンパク質を用いて実施した。セレックスの各ラウンドについて、 RNAおよびタンパク質の濃度は至適の緊縮条件を与えるように注意深く選択し た。セレックスの8〜13ラウンドでは、結合緩衝液にNaClを加えて最終塩素 イオン濃度を 250nMまでにして緊縮度を上昇させた。予備実験でIFN-γは 高いタンパク質濃度では凝集する傾向を示した。この凝集したIFN-γに対し て親和性を有するRNA種が発生するのを防止するため、セレックスのラウンド 4の始めおよびセレックス操作の以後のすべてのラウンドで、結合混合物をニト ロセルロースフィルター分配の前にエッペンドルフ遠心管中 16,000×g で3分 間遠心分離した。IFN-γ/RNA複合体は、以下に述べるようにニトロセル ロースフィルター分配によって非結合RNAから分離した。 ニトロセルロース分配には、2'Fおよび2'F/NH2セレックス操作の最初の2 ラウンドでは 0.2μm 孔径の純粋なニトロセルロースフィルター(Scleicher & Schuell,Keene NH)を用いた。これらの2つのセレックス操作の以後の全ラウ ンドならびに2'NH2セレックスの全ラウンドでは、0.45μm 孔径のニトロセル ロース/酢酸セルロース混合マトリックスフィルター(Millipore Corporation ,Bedford MA)で実施した。フィルターディスクを真空マニホールドにつなぎ、 5ml のmPBS緩衝液で湿潤させた。IFN-γ/RNA結合混合物をフィルタ ーディスクを通して吸引し、これらを直ちに 5 ml のmPBS緩衝液で洗浄した 。緊縮度をさらに上昇させてバックグランドを下げるために、ラウンド 8〜13 および 15 においてはこの洗浄工程を改良し、0.5 M尿素 15 ml ついでmPB S緩衝液 20 ml でのフィルターディスクの洗浄を包含させた。結合RNAはフ ィルターから、300 mlの7M尿素中 400 ml のフェノール(Tris-Cl,pH 8. 0 中に平衡化)の溶液(新たに調製)で抽出して単離した。フィルターはフェノー ル/尿素溶液に室温で30分間および95℃で2分間浸漬した。RNAはフェノール /クロロホルム抽出し、20 mg のtRNAとともにエタノール沈殿させた。 RNAは、50mMのTris-Cl(pH 8.3),60mMのNaCl,6mM Mg (0Ac)2,10mM DTTを含有する緩衝液中 50 pmole のDNAプライマー,0 .4mMの各dNTP,ならびに1U/μl のAMV逆転写酵素(AMV RT)( Life Sciences,Inc.,St.Petersburg FL)を加えてcDNAに逆転写した。反 応混合物は、単離されたRNA中に存在する二次構造の融解を保証するため、37 ℃で30分間ついで70℃で10分間インキュベートした。 セレックスの新ラウンドを開始するためには、 250 pmole の 5'(5P7;配列 番号:2)および 3'(3P7;配列番号:3)の両プライマーを添加して上述し たのと同じ反応条件下に、cDNAをPCR増幅した。cDNAの増幅に必要な PCRのサイクル数は次のラウンドのセレックスが 250 pmole の二本鎖DNA 鋳型を用いて開始されるようにセレックスの各ラウンドで注意深く計算した。 C.平衡解離定数(Kd) RNAプールについての平衡解離定数(Kd)の測定は、各セレックスの進行 をモニターするために、ラウンド5,8,12,および17に続いて実施した。マウ スIFN-γ(Genzyme Inc.,Cambridge MA)についてのRNAプールのKd も ラウンド8および17ののちに測定した。Kd は個々のリガンドについて、RNA プールのクローニングおよび配列決定後、ならびに末端切断後(下記参照)にも 測定した。Kd の測定にはニトロセルロースフィルター結合を以下のように使用 した。フィルターディスクを真空マニホールドにつなぎ、5 ml のmPBS緩衝 液で湿潤させた。32P-標識RNAを結合緩衝液中IFN-γの希釈系列と37℃で 5〜10分間インキュベートして結合を生じさせた。結合混合物を上述のように遠 心分離して凝集物を除去し、フィルターディスクを通して吸引し、ついで直ちに 5 ml のmPBS緩衝液にて洗浄した。フィルターディスクを乾燥し、液体シン チレーションカウンター(Beckmann Instruments,Palo Alto,CA)中でカウン トした。平衡解離定数は、Kaleidagraph(登録商標)グラフィックスプログラム (Svnergy Software,Reading PA)を用いてデータ点の最小自乗フィッティング により決定した。多くのリガンドおよび発生したRNAプールで二相性の結合曲 線が得られた。二相性の結合は平衡にない2つの親和性種の結合として説明する ことができる。二相性結合定数は標準操作に従い計算した。Kdは Kaleidagraph (登録商標)グラフィックスプログラムを用いてデータ点の最小自乗フィッティ ングにより決定した。 D.クローニングおよび配列決定 第17ラウンドのセレックス後に、RNA分子をcDNAに逆転写して、制限エ ンドヌクレアーゼHindIII(表1;5'プライマー 5P7H;配列番号:4)およ びBamHI(表1;3'プライマー 3P7H;配列番号:5)に対する認識部位を 含有するプライマーでのPCR増幅によって二本鎖を作成した。これらの制限部 位を用いDNA配列を直接pUC19ベクターに挿入した。これらの組換えプラス ミドを Epicurian coli JM109 コンピテント細胞(Stratagene,La Jolla,CA )にトランスフォームした。プラスミドDNAはPERFECTprep(登録商標 )プラスミドDNAキット(5プライム→3プライム,Boulder CO)により調製 した。プラスミドクローンはPCR配列決定プライマーpUC19F30(配列番号 :6)を用いて、PCR配列決定プロトコール(Adamsら,1991)により、配列 を決定した。 E.リガンドの末端切断 境界実験は、末端標識RNAを用い、IFN-γに対するRNAリガンドの高 親和性結合に必要な最少配列を決定するために実施した。末端標識の前に、T7 RNAポリメラーゼにより転写されたRNAをUVシャドーイングによってゲル 精製した。各RNA 20 pmole の 5'末端を 20mM Tris-Cl(pH 8.0),10 mM MgCl2,0.1U/μl のエビアルカリホスファターゼ(SAP;United States Biochemical,Cleveland,OH)を含む反応混合物中37℃で30分間インキュベー トして脱リン酸化した。70℃で30分間インキュベートしてアルカリホスファター ゼの活性を破壊した。ついで 50mMのTris-Cl(pH 7.5),10mM MgCl2 ,5mMのDTT,0.1mM EDTA,0.1mMのスペルミジン,0.75mM g-32 P-ATPおよび1U/μl T4ポリヌクレオチドキナーゼ(New England Biola bs,Beverly MA)を含有する反応混合物中RNAを37℃で30分間インキュベート して 5'-末端標識した。 各RNA 20 pmole の 3'末端の標識には、50mMのTris-Cl(pH 7.8), 10mMのMgCl2,10mMのβ-メルカプトエタノール,1mM ATP,0.9mM (5'-32P)pCpおよび1U/μl のT4RNAリガーゼ(New England Biolabs ,Beverly MA)を含有する反応混合物中4℃で18時間インキュベートを実施した 。5'- および 3'-末端標識RNAは、12%,8M尿素、ポリアクリルアミドゲル 上ゲルバンド精製した。終濃度50mMになるようにNa2CO3を加えて沸騰水浴 中で3分間インキュベートして末端標識RNAを部分アルカリ加水分解したのち 、放射標識RNAリガンドをIFN-γと3種の異なるタンパク質濃度、1)お およそのKd値の5分の1,2)ほぼKd値および3)おおよそのKd値の5倍で インキュベートした。タンパク質結合RNAをニトロセルロース分配により分離 した。末端切断RNAを高分解能変性12%ポリアクリルアミドゲル上で分析した 。配列を配向させるために、G-残基で終わる放射標識リガンドのラダーを末端 標識RNAのRNアーゼT1消化によって発生させた。T1消化は、7M尿素, 20mMクエン酸ナトリウム(pH 5.0),1mM EDTAならびに5単位のR NアーゼT1(Boehringer Mannheim,Indianapolis IN)を含有する反応混合物 中50℃で5分間インキュベートして行った。 T7プロモーターの配列(5'-TAATACGACTCACTATAG-3';配 列番号:2のフラグメント)を含む相補性一本鎖DNAオリゴヌクレオチドと末 端切断リガンドの配列をアニーリングして、各末端切断リガンドの転写のための 二本鎖鋳型を形成させた。 F.受容体結合コンペティション ヒト肺癌細胞(A549;ATCC)を、RPMI1640および10%ウシ胎児血清 (FBS)中 24-ウエルプレートに 5×105細胞/ウエルの密度でプレーティング し、一夜またはコンフルーエントになるまでインキュベートした。細胞をPBS で3回洗浄した。生育培地を、200μl のRPMI1640+0.2%ヒト血清アルブミ ン/0.02%ナトリウムアジド/20mM Hepes,pH 7.4 に置換し、それと同時 に過剰(200倍)の非標識IFN-γの存在下または不存在下に、125I-IFN- γ(New England Nuclear)の量を増大させていった(20 pg/ml〜100 ng/ml)。 インキュベーションは振盪しなが4℃で2時間行った。細胞を冷PBSで2回洗 浄して遊離のINFを除去し、0.5%SDSで解離させた。解離した細胞の放射 能をガンマカウンターで測定して細胞に会合した125I−IFN-γを測定した。 データは非特異的結合で補正し、125I−IFN-γの親和性を結合データのスキ ャッチャード分析によって求めた。スキャッチャード分析から、高親和性結合部 位(Kd=20pM)と低親和性結合部位(Kd=0.5nM)の存在が示唆される。 オリゴヌクレオチドとのコンペティションには、細胞を 30pMの125I-IFN- γおよびコンペティターオリゴヌクレオチドを、後者の濃度を上昇させていって (1.01〜500nM)上述のように4℃で2時間インキュベートした。細胞に会合 した125I−IFN-γを上述のように測定した。 実施例2.IFN-γに対する 2'-NH2および 2'-F修飾RNAリガンド A.セレックス ピリミジンの2'位置にて修飾されたRNAの3つのライブラリー,1)2'F- CTPおよび2'F-UTP導入2'F,2)2'F-CTPおよび2'NH2-UTP導入 2'F/NH2,および3)2'NH2-CTPおよび2'NH2-UTP導入2'NH2を、 同時セレックスプロトコールにおいて使用し、ヒトIFN-γに対する高親和性 修飾RNAリガンドの多様なセットを発生させた。これらの各ライブラリーには 40ヌクレオチドの可変領域を有する分子1013〜1014個が含有された。セレックス に使用した鋳型およびプライマーならびにセレックスの条件は実施例1に記載し た通りで、それぞれ表1および2にまとめる。 B.RNA配列および解離定数 ランダム修飾RNAプールはヒトIFN-γを、0.7μM以上のおおよそのKd 値で結合した。17ラウンドのセレックス後、進化したプールのおおよそのKd 値 は、1)2'Fセレックスで 70nM,2)2'F/NH2セレックスで 115nM,3 )2'NH2セレックスで20nMに改善された。マウスIFN-γについては、17ラ ウンドのセレックス後のRNAプールのおおよそKd 値は、1)2'Fセレックス で410nM,2)2'F/NH2セレックスで 175nM,3)2'NH2セレックスで 8 5 nMであった。以後のラウンドでこれらのKd 値がさらにシフトすることはな かった。 進化したプールが依然としてランダムである程度を測定するために、セレック スの最終ラウンドからのPCR産物の配列を上に詳述したように決定したところ ランダムではなかった。17回目のラウンドからのRNAを逆転写し、増幅し、ク ローン化した。2'Fの32個、2'NH2の40個および2'F/NH2の11個の各クロー ンの配列を決定した(表3;配列番号:7〜65)。配列を保存された配列につい て解析し、この基準によりアラインした(表3)。2'F配列は2つのグループに 分かれ、9個のオーファン配列があった。2'F RNAのグループ1は最も多く 、32中18配列が含まれ、一方、2'F RNAのグループ2には32中5配列が含ま れた。2'NH2配列は2つのグループに分かれ、40の2'NH2 RNA中25がグル ープ1に、40の2'NH2RNA中15がグループ2に包含された。2'F/NH2配列 は単一のグループから構成された。 各グループ内の個々のRNAのKd 値を上述のように、ニトロセルロースフィ ルター結合によって測定した。Kd 値はデータの一相性または二相性最小自乗フ ィッティングを用いて決定した。 最善のクローンの高親和性結合に必要な最少の配列を上述の 5'および 3'境界 実験によって決定した。末端切断RNAはT7プロモーターと末端切断配列を含 有する二本鎖鋳型から転写した。転写が成功したものについて、末端切断リガン ドのKd 値を測定した。末端切断リガンドの配列ならびに完全長および末端切断 (測定した場合)リガンド両者のKd 値を表4に示す(配列番号:66〜73)。 C.受容体コンペティション 完全長 2'NH2(2'NH2-random,2'NH2-17,2'NH2-30)および2'F(2' F-random,2'F-28)オリゴヌクレオチドの両者についてそれらの受容体結合阻 害能を試験した。このコンペティションは 30pMの濃度の125I-IFN-γを用 い、主として高親和性結合成分を標的とした。この濃度で 2'NH2または 2'F のランダムオリゴはいずれも阻害を示さなかったが、試験した4つのクローンで は様々な程度の阻害が観察された。2'NH2リガンド #30(配列番号:72)は最 高の阻害剤で、10nMで50%阻害を示した。 実施例3.IL-4 に対する 2'-NH2および 2'-F修飾RNAリガンドのため の実験操作 この実施例は、IL-4 に対する核酸リガンドの発生のために実施例4におい て追跡され導入される一般的操作を提供する。 A.オリゴヌクレオチド 2'F修飾CTPおよびUTPは Piekenら,1991 の方法に従って調製された。 2'NH2修飾CTPおよびUTPは、1994年06月22日出願の McGee らの米国特許 出願08/264,029号の方法に従い調製した。この記載は引用により本明細書に導入 する(McGeeら,1995 についても参照)。DNAオリゴヌクレオチドは Operon Technologies(Alameda,CA)によって合成された。 B.セレックス セレックス操作は米国特許第 5,270,163号に詳細に記載されている(Tuerk & Gold,1990;Goldら,1993 も参照)。IL-4 に対する高親和性リガンドの発生 には3つのセレックス操作が実施された。各セレックス操作には、以下のように 2'位置で修飾したピリミジンを含有するRNAプールを使用した。1)2'Fと表 示する2'F-CTPおよび2'F-UTP,2)2'F/NH2と表示する2'F-CTP および2'NH2-UTP,ならびに3)2'NH2と表示する2'NH2-CTPおよび2 'NH2-UTPである。各セレックスのために、固定配列の5'および3'領域によ って隣接される40ランダムヌクレオチドを含有するDNA鋳型40N8 を設計した (表5;配列番号:74)。固定領域はPCRおよびcDNA合成のためのDNA プライマーアニーリング部位ならびにインビトロ転写を可能にするコンセンサス T7プロモーター領域を包含する。 一本鎖DNAプライマーおよび鋳型は合成し、PCRによって二本鎖の転写可 能な鋳型に増幅した。RNA分子の最初のプールの調製には 1000 pmole の一本 鎖鋳型(表5;配列番号:74),および 2500 pmole の 5'-(5P8;配列番号: 75)と 3'-(3P8;配列番号:76)の両プライマーのPCR増幅が包含された。 これらを、50mM KCl,10mM Tris-Cl(pH 8.3),3mM MgCl2,0.5 mMの各dATP,dCTP,dGTPおよびdTTPを含有する反応混合物中 でインキュベートした。TaqDNAポリメラーゼ(Perkin-Elmer,Foster City ,CA)を 0.1U/μl で添加し、反応混合物を 97℃で3分間インキュベートして 、鋳型およびプライマーを変性した。最初の変性工程ののちに、反応を、93℃で 30 秒,53℃で30秒ついで72℃で1分間で7回サイクルし、プライマーならびに鋳型 をそれぞれ変性、アニーリングおよび伸長した。最初のラウンドのセレックスの ための二本鎖PCR産物の正確な濃度を得るために、PCR産物をQIAquick- spinPCR精製カラム(QIAGEN Inc.,Chatsworth CA)を用い、製造業者の説明 に従って精製した。 修飾ヌクレオチドを用いるインビトロ転写には、二本鎖DNA鋳型 200 pmole (終濃度1μM)を、40mM Tris-Cl(pH 8.0).12mM MgCl2,5mM DTT,1mMのスペルミジン,0.002%Triton X-100,4%PEG8000,0.5 μM α-32P 2'OH ATP,5U/μl T7RNAポリメラーゼ(Davanlooら, 1984),および他のヌクレオチドを以下の濃度で含有する反応混合物中でインキ ュベートした。1)2'Fセレックスには1mM ATPおよびGTP,3mM 2' F-CTPおよび 2'F-UTP,2)2'F/NH2セレックスについては、1mM ATP,GTPと 2'NH2-UTPならびに3mM 2'F-CTP,3)2'NH2セ レックスについては、1mM ATP,GTP,2'NH2-CTPおよび 2'NH2- UTPを用いた。これらのインキュベーションは、37℃のインキュベーター中で 6時間〜1夜実施した。通常、RNAはゲル精製および溶出によって精製した。 この方法を手早く行うために、ラウンド11,12,および14〜17でRNAを Bio- Spin 6 クロマトグラフィーカラム(Bio-Rad Laboratories,Hercules CA)を 製造業者の説明書に従って用い精製した。バックグランドを下げるためには、1 ,2,4,6,14,および 16 ラウンドを除くセレックスの全ラウンドの前にRN Aを前ろ過した。前ろ過工程は、リン酸緩衝食塩溶液(PBS)を1mM Mg2 + イオンを含有するよう改良したmPBS(138mM NaCl,2.7mM KCl ,8.1mM Na2HPO4,1.1mM KH2PO4,1mM MgCl2,pH 7.4) 中にRNAを 200μl として、このRNA溶液を3個の予めmPBSで湿潤させ たフィルターディスク(0.45μm,ニトロセルロース/酢酸セルロース,Millipo re Corporation,Bedford MA)を通してろ過した。 最初の結合には、1000 pmole のRNAを結合緩衝液[mPBS+0.01%ヒト 血清アルブミン(HSA)]中でヒトIL-4 と37℃で 5〜10分インキュベート して結合を生じさせた。このセレックス操作に使用したヒト組換えIL-4 につ いては R & D Systems,Minneapolis MN から購入した。セレックスの各ラウン ドについて、RNAおよびタンパク質の濃度は至適の緊縮条件を与えるように注 意深く選択した。予備実験でIL-4 は高いタンパク質濃度では凝集する傾向を 示した。この凝集したIL-4 に対して親和性を有するRNA種が発生するのを 防止するため、セレックスのラウンド4の始めおよびセレックス操作の以後のす べてのラウンドで、結合混合物をニトロセルロースフィルター分配の前にエッペ ンドルフ遠心管中 16,000×g で3分間遠心分離した。IL-4/RNA複合体は 以下に述べるようにニトロセルロースフィルター分配によって非結合RNAから 分離した。 ニトロセルロース分配には、2'Fおよび2'F/NH2セレックス操作の最初の2 ラウンドでは 0.2μm 孔径の純粋なニトロセルロースフィルター(Scleicher & Schuell,Keene,NH)を用いた。これらの2つのセレックス操作の以後のラウン ドならびに2'NH2セレックスの全ラウンドでは 0.45μm 孔径のニトロセルロー ス/酢酸セルロース混合マトリックスフィルター(Millipore Corporation,Bed ford,MA)を使用した。フィルターディスクを真空マニホールドにつなぎ、5 ml のmPBS緩衝液で湿潤させた。IL-4/RNA結合混合物をフィルターディス クを通して吸引し、ディスクを直ちに 5 ml のmPBS緩衝液で洗浄した。緊縮 度をさらに上昇させてバックグランドを下げるために、ラウンド 8〜13,および 15 においてはこの洗浄工程を改良し、0.5 M尿素 15 ml ついでmPBS緩衝液 20 ml でのフィルターディスクの洗浄を包含させた。結合RNAはフィルターか ら、300μl の7M尿素中 400μl のフェノール(Tris-Cl,pH 8.0 中に平 衡化)の溶液(新たに調製)で抽出して単離した。フィルターはフェノール/尿 素溶液に室温で30分間および95℃で2分間浸漬した。RNAはフェノール/クロ ロホルム抽出し、20μgのtRNAとともにエタノール沈殿させた。 RNAは、50mMの Tris-Cl(pH 8.3).60mMのNaCl,6mM M g(0Ac)2,10mM DTTを含有する緩衝液中 50 pmole のDNAプライマー ,0.4mMの各dNTP,ならびに1U/μl のAMV逆転写酵素(AMV RT )(Life Sciences,Inc.,St.Petersburg FL)を加えてcDNAに逆転写した 。反応混合物は、単離されたRNA中に存在する二次構造の融解を保証するため 、 37℃で30分間ついで70℃で10分間インキュベートした。 セレックスの新ラウンドを開始するためには、 250 pmole の 5'(5P8;配列 番号:75)および 3'(3P8;配列番号:76)の両プライマーを添加して上述し たのと同じ反応条件下に、cDNAをPCR増幅した。cDNAの増幅に必要な PCRのサイクル数は次のラウンドのセレックスが 250 pmole の二本鎖DNA 鋳型を用いて開始されるようにセレックスの各ラウンドで注意深く計算した。 C.平衡解離定数(Kd) RNAプールについての平衡解離定数(Kd)の測定は、各セレックスの進行 をモニターするために、ラウンド5,8,12,および17に続いて実施した。マウ スIL-4(R & D Systems,Minneapolis,MN)についてのRNAプールのKd も ラウンド8ののちに測定した。Kd は個々のリガンドについて、RNAプールの クローニングおよび配列決定後ならびに末端切断後(下記参照)にも測定した。 Kd の測定にはニトロセルロースフィルター結合を以下のように使用した。フィ ルターディスクを真空マニホールドにつなぎ、5 ml のmPBS緩衝液で湿潤さ せた。32P-標識RNAを結合緩衝液中IL-4 の希釈系列と37℃で5〜10分間イ ンキュベートして結合を生じさせた。結合混合物を、上述のように遠心分離して 凝集物を除去し、フィルターディスクを通して吸引し、ついで、直ちに 5 ml の mPBS緩衝液にて洗浄した。フィルターディスクを乾燥し、液体シンチレーシ ョンカウンター(Beckmann Instruments,Palo Alto,CA)中でカウントした。 平衡解離定数は Kaleidagraph(登録商標)グラフィックスプログラム(Synergy Software,Reading PA)を用いてデータ点の最小自乗フィッティングにより決 定した。多くのリガンドおよび発生したRNAプールで二相性の結合曲線が得ら れた。二相性の結合は平衡にない2つの親和性種の結合として説明できる。二相 性結合定数は標準操作に従い計算した。Kdは Kaleidagraph(登録商標)グラフ ィックスプログラムを用いデータ点の最小自乗フィッティングにより決定した。 D.クローニングおよび配列決定 第17ラウンドのセレックス後に、RNA分子をcDNAに逆転写して、制限エ ンドヌクレアーゼHindIII(表5;5'プライマー 5P8H;配列番号:77)およ びBamHI(表5;3'プライマー 3P8H;配列番号:78)に対する認識部位を 含 有するプライマーでのPCR増幅によって二本鎖を作成した。これらの制限部位 を用いDNA配列を直接pUC19ベクターに挿入した。これらの組換えプラスミ ドを Epicurian coli JM109 コンピテント細胞(Stratagene,La Jolla,CA) にトランスフォームした。プラスミドDNAはPERFECTprep(登録商標) プラスミドDNAキット(5プライム→3プライム,Boulder CO)により調製し た。プラスミドクローンはPCR配列決定プライマーpUC19F30(配列番号: 6)を用い、PCR配列決定プロトコール(Adamsら,1991)によって配列を決 定した。 E.リガンドの末端切断 境界実験は、末端標識RNAを用い、IL-4 に対するRNAリガンドの高親 和性結合に必要な最少配列を決定するため実施した。末端標識の前にT7RNA ポリメラーゼによって転写したRNAをUVシャドーイングによってゲル精製し た。各RNA 20 pmole の 5'末端を、20mM Tris-Cl(pH 8.0),10mM MgCl2および 0.1U/μl のエビアルカリホスファターゼ(SAP;United States Biochemical,Cleveland,OH)を含有する反応混合物中37℃で30分間インキュベ ートして脱リン酸化した。70℃で30分間インキュベートして、アルカリホスファ ターゼの活性を破壊した。ついで、50mMのTris-Cl(pH 7.5),10mMの MgCl2,5mMのDTT,0.1mM EDTA.0.1mMスペルミジン,0.75mM g-32P-ATP,および1U/μl T4ポリヌクレオチドキナーゼ(New England Biolabs,Beverly MA)を含有する反応混合物中RNAを37℃で30分間インキュ ベートして 5'-末端標識した。 各RNA 20 pmole の 3'末端標識には、50mMのTris-Cl(pH 7.8),10 mMのMgCl2,10mMのβ-メルカプトエタノール,1mMのATP,0.9mMの (5'-32P)pCpおよび1U/μl のT4RNAリガーゼ(New England Biolabs ,Beverly MA)を含有する反応混合物中4℃で18時間のインキュベーションを実 施した。5'- および 3'-末端標識RNAは、12%,8M尿素、ポリアクリルアミ ドゲル上ゲルバンド精製した。終濃度50mMになるようにNa2CO3を加えて沸 騰水浴中3分間インキュベートして末端標識RNAを部分アルカリ加水分解した のち、放射標識RNAリガンドをIL-4 と3種の異なるタンパク質濃度、1) お およそのKd 値の5分の1,2)ほぼKd 値および3)おおよそのKd 値の5倍 でインキュベートした。タンパク質結合RNAをニトロセルロース分配により分 離した。末端切断RNAを高分解能変性12%ポリアクリルアミドゲル上で分析し た。配列を配向させるために、G-残基で終わる放射標識リガンドのラダーを末 端標識RNAのRNアーゼT1消化によって発生させた。T1消化は7M尿素, 20mMのクエン酸ナトリウム(pH 5.0),1mM EDTA,および5単位の RNアーゼT1(Boehringer Mannheim,Indianapolis IN)を含有する反応混合 物中 50℃で5分間インキュベートして行った。 T7プロモーターの配列(5'-TAATACGACTCACTATAG-3';配 列番号:75のフラグメント)を含む相補性一本鎖DNAオリゴヌクレオチドと末 端切断リガンドの配列をアニーリングして、各末端切断リガンドの転写のための 二本鎖鋳型を形成させた。 F.受容体結合コンペティション ヒトT細胞リンパ腫細胞(H−9;ATCC)を、RPMI1640+10%FBS 中に懸濁して培養した。細胞をPBSで2回洗浄し、1.5 ml ポリプロピレンチ ューブ(Eppendorf,W.Germany)中、RPMI1640+0.02%ヒト血清アルブミ ン/0.2%ナトリウムアジド/20mM Hepes,pH 7.4 を含有する培地 200μl に再懸濁し(5×105細胞)、200倍過剰の非標識サイトカインの存在下または不 存在下に,125I−rIL-4 の様々な量と4℃で2時インキュベートした。イン キュベーション後、チューブを遠心分離し(150×g,5分4℃)、上清を吸引し た。細胞ペレットを 200μl のRPMI-HSAに再懸濁した。100μl のアリコ ートを等容量のフタレートオイル(ジブチル/ジオクチル,1:1 v/v)のクッシ ョンにより遠心分離した。チューブを直ちにドライアイス/エタノール中で凍結 し、細胞ペレットを含有するチップを切り取りバイアル中に取ってガンマーカウ ンターで計測した。データは非特異的結合で補正し,125I−IL-4 の親和性を スキャッチャード分析によって決定した。オリゴヌクレオチドもしくは中和抗体 (R & D Systems)とのコンペティションには、細胞を上述のように、0.7nMの125 I−IL-4 およびコンペティターオリゴヌクレオチドを後者の濃度を上昇さ せていって(1.01〜500nM)4℃で2時間インキュベートした。細胞に会合し た125I−IL-4 を上述のように測定した。 実施例4.IL-4 に対する 2'-NH2および 2'-F修飾RNAリガンド A.セレックス ピリミジンの 2'位置にて修飾されたRNAの3つのライブラリー,1)2'F- CTPおよび2'F-UTP導入2'F,2)2'F-CTPおよび2'NH2-UTP導入 2'F/NH2,および3)2'NH2-CTPおよび2'NH2-UTP導入 2'NH2を、 同時セレックスプロトコールによって使用し、ヒトIL-4 に対する高親和性修 飾RNAリガンドの多様なセットを発生させた。これらの各ライブラリーは40ヌ クレオチドの可変領域を有する分子1013〜1014個を含有した。セレックスに使用 した鋳型およびプライマーならびにセレックスの条件は実施例3に記載した通り で、それぞれ表5および6にまとめる。 B.RNA配列および解離定数 ランダム修飾RNAプールはヒトIL-4 を、20μM以上のおおよそのKd値で 結合した。17ラウンドのセレックス後、進化したプールのおおよそのKd 値は、 1)2'Fセレックスで30nMおよび2)2'F/NH2セレックスで55nMに改善さ れた。より初期のラウンドからの2'NH2RNAについて実施した結合曲線はお およそのKd値 100nMを示したが、このセレックスではバックグランドの低下 が困難で、17ラウンド後の見掛けのKd 値は1μMであった。バックグランドに よるこの「マースキング」にもかかわらず、17ラウンド後のプールにはなお高親 和性のユニークな配列の2'NH2RNAが存在したものと感じられた。以後のラ ウンドでこれらのKd 値がさらにシフトすることはなかった。8ラウンドのセレ ックス後のRNAプールはマウスIL-4 に結合しなかったが、8ラウンド後に はヒトタンパク質に対する結合に、有意な改善が認められた(データは示してい ない)。 進化したプールが依然としてランダムである程度を測定するために、セレック スの最終ラウンドからのPCR産物の配列を上に詳述したように決定したところ ランダムではなかった。第17回目のラウンドからのRNAを逆転写し、増幅し、 クローン化した。2'Fの41個、2'NH2の57個、および2'F/NH2の30個の各ク ローンの配列を決定した(表7;配列番号:79〜177)。配列を保存された配列 について解析し、この基準によりアラインした(表7)。2'F配列は41配列中29 個からなる単一のグループが存在した。残りの12のクローンは、主要グループと もまた相互にも配列ホモロジーを欠くことにより、オーファン配列として分類さ れた。2'NH2配列は2つの配列の異なるグループに分かれた。57配列中 21のグ ループ1が、IL-4 に結合を示した。57配列中35の他のグループはニトロセル ロースフィルターに結合を示した。このような多数のニトロセルロースフィルタ ー結合RNAの存在は、これらの配列が高いバックグランドを有するプールから クローン化されたことから驚くべきことではなかった。これらニトロセルロース フィルター結合RNAは配列GGAGGの直接リピートの存在によって同定され た。単一のオーファン 2'NH2配列も見出された。2'F/NH2配列はさらに不均 一で、配列は3つのグループに分かれた。グループ1および2のRNAはIL-4 に結合したが、第三のグループはニトロセルロースフィルターに結合した。ニト ロセルロースフィルター結合グループも配列GGAGGの単独配列またはリピー トを含有した。この配列は 3'-固定領域にも見出されたことを留意すべきである (表7中に下線を付す)。 各グループ内の個々のRNAのKd 値を実施例3に上述したように、ニトロセ ルロースフィルター結合によって測定した。Kd 値はデータの一相性最小自乗フ ィッティングを用いて決定した。 最善のクローンの高親和性結合に必要な最少の配列を実施例3に上述したよう に、5'および3'境界実験によって決定した。末端切断RNAはT7プロモーター と末端切断配列を含有する二本鎮鋳型から転写した。転写が成功したものについ て、末端切断リガンドのKd 値を求めた。末端切断リガンドの配列ならびに完全 長および末端切断(測定した場合には)リガンド両者のKd 値を表8に示す(配 列番号:178〜185)。 C.受容体コンペティション 完全長2'NH2(2'NH2random,2'NH2-29),2'F(2'Frandom,2'F-9) および 2'F/NH2(2'F/NH2random,2'F/NH2-9 および 2'F/NH2-28) オリゴヌクレオチドについてそれらの受容体結合阻害能を試験した。このIL-4 濃度では 2'NH2,2'Fまたは 2'F/NH2のランダムオリゴはいずれも阻害を 示さなかったが、試験したクローンでは様々な程度の阻害が観察された。IL-4 濃度 0.7nMで 2'F/NH2-9 は受容体結合の最善のコンペティターであり約40 nMで50%阻害を示した。このオリゴヌクレオチドによるコンペティションは、 IL-4 に対する中和抗体により観察されるコンペティションと類似していた。 実施例5.IL-10 に対する 2'-F修飾リガンドのための実験操作 この実施例は、IL-10 に対する核酸リガンドの発生のために実施例6におい て追跡され導入される一般的操作を提供する。 A.材料 DNA配列は標準固相化学によってシアノエチルホスホルアミダイトを用いて 合成された。2'F CTPおよび2'F UTPは United States Biochemicals か ら購入した。ヒトIL-10 は Bachem もしくは R & D Systems から購入した。 中和抗-ヒトIL-10 モノクローナル抗体、マウスIL-10,およびヒトIL-10 ELISA検出キットは R & D Systems から購入した。 B.セレックス 8%ポリアクリルアミドゲル上で変性条件下に精製された合成DNA 5 pmole を4サイクルのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅した。PCR産物 は、それぞれ2mMのATPおよびGTP,それぞれ3mMの 2'F-CTPおよ び 2'F-UTP,40mM Tris-HCl(pH 8.0),12mM MgCl2,1mMの スペルミジン,5mM DTT,0.002%Triton X-100,ならびに4%ポリエチ レングリコール(v/v)を含有する反応混合物 1 mL 中T7RNAポリメラーゼ (1000U)により12時間インビトロ転写した。完全長転写産物(配列番号:186 )を8%変性ポリアクリルアミドゲル上で精製し、TBS緩衝液[100mM Tri s-HCl(pH 7.5),150mM NaCl)](結合緩衝液)に懸濁し 70℃に加 熱し、氷上で冷却しついでIL-10 と37℃で10分間インキュベートした。RNA -タンパク質混合物を予め湿潤させたニトロセルロースフィルターでろ過し、つ いで 5 mL の結合緩衝液で洗浄した。結合したRNAをフィルターから溶出させ 、エタノール沈殿で回収した。RNAをニワトリ骨髄芽球性白血病ウイルス逆転 写酵素(Life Sciences)により、5'-GCCTGTTGTGAGCCTCCTG TCGAA-3'プライマー(表9;配列番号:188)を使用して48℃で逆転写した 。 cDNAをPCR[5'および3'プライマー(配列番号:187および188]によって 増幅し、得られたDNA鋳型を転写し次の選択ラウンドのためのRNAを得た。 セレックスの経過時に、IL-10 の濃度を5μMから500μMに徐々に低下させ て選択圧を漸次上昇させた。選択過程は、濃縮されたRNAのIL-10 に対する 親和性が実質的に増大するまで反復した。その時点で、cDNAを 5'および 3' 末端にそれぞれBamHIおよびHindIII制限部位を導入するプライマーを用いて PCRにより増幅した。PCR産物をBamHIおよびHindIIIで消化し、同じ酵 素で消化したpUC18にクローン化した。個々のクローンについて標準方法でス クリーニングし配列を決定した。 C.平衡解離定数(Kd)の測定 内部標識RNA転写体をT7RNAポリメラーゼ転写反応に[α-32P]AT Pを包含させて調製した。完全長転写体を8%変性ポリアクリルアミドゲル上で 精製して、サイズの均一性を保証した。ゲル精製RNAをTEM緩衝液に約5n Mの濃度に希釈し、80℃に加熱し、ついで氷上で冷却して二次構造の形成を促進 した。RNA濃度は結合反応中、100pM以下に維持した。簡略に述べれば、等 量のRNAをTEM緩衝液 50μL 中様々な量のIL-10 と37℃で10分間インキ ュベートした。RNA-タンパク質混合物を予め湿潤させたニトロセルロースフ ィルター(0.2μ)に通し、直ちに 5 mL の結合緩衝液で洗浄した。フィルター 上に残留した放射能を液体シンチレーションカウンターで測定した。タンパク質 の不存在下にフィルターに結合するRNAの量を測定し、バックグランド補正に 使用した。各フィルター上に残留したRNAの添加RNAに対する百分率を、相 当する対数タンパク質濃度に対してプロットした。非線形最小自乗法により解離 定数(Kd)を求めた。 D.サンドイッチELISA hIL-10 の定量的測定用の市販のELISAキット(R & D Systems)を使 用してサンドイッチELISAを実施した。様々な量のRNA43,ランダムプー ルRNAおよび抗-hIL-10 モノクローナル抗体(R & D Systems)を 125 pg/ mL のhIL-10 と室温で10分間インキュベートしたのち、マイクロタイターウ エルに加えた。 実施例6.IL-10 に対する 2'-F修飾RNAリガンド ニトロセルロースフィルター結合条件下に、セレックス実験の開始に使用した ランダム配列プールは、5μM濃度までのIL-10 には検知される結合を示さな かった。しかしながら、12ラウンドの親和性選択後に、濃縮されたプールは親和 性の改善を示し、12回目のラウンド以後さらに選択を行ってもIL-10 に対する 親和性の上昇効果はなかった。表10(配列番号:189〜205)には第12回目のラウ ンドのプールから同定された配列を示す。配列は配列の類似性に基づいて3つの クラスにグループ化される。クラスIの大部分の配列の可変性40ヌクレオチド領 域における 5'部分はその 3'部分と相補性の配列を有し、このような配列はステ ムループ構造へのフォールディングが可能であることを示唆している。 個々のクローンは最初に、250nM濃度においてIL-10 に結合するそれらの 能力についてスクリーニングした。結果は、添加した個々のRNAの20〜40%が 250nM濃度においてIL-10 に結合を示した。予備スクリーニングに基づき、 配列43(配列番号:189)を以下のセクションBを実施するための代表的リガン ドとして選択した。 IL-10 に対する結合についての配列43のKdは 213nMである。このリガン ド43は他方、他のサイトカイン、たとえばインターフェロンγおよびIL-4 に は結合せず、セレックス由来RNA配列の特異性を指示している。ヒトIL-10 (hIL-10)およびマウスIL-10(mIL-10)はcDNAおよびアミノ酸の レベルで高度の配列ホモロジー(73%アミノ酸ホモロジー)を有し、hIL-10 はマウス細胞にも活性であることが示されている。しかしながら、リガンド43は mIL-10に高い親和性では結合しない。 B.IL-10 ELISAにおけるRNA 受容体結合を中和する抗-IL-10 モノクローナル抗体は市販品を入手するこ とができる。R & D Systems の Quantikine イムノアッセイキットはhIL-10 を捕獲するための中和抗体で被覆された 96ウエルマイクロタイタープレートで ある。RNAがIL-10 の中和抗体結合部位またはその付近に結合するかどうか を検討するためELISAを使用した。RNA43はランダムプールRNA(対照 として使用)と同様、プレート上の抗-IL-10 抗体へのIL-10 の結合を全く 阻害しないことが示された(データは示していない)。これらのデータは進化し たRNAリガンドが中和抗体によって認識される部位またはその付近に結合しな いことを示唆している。アッセイに対照として用いた可溶性抗-IL-10 は期待 されたように挙動し、固相上の同一の抗体との結合に競合した。 実施例7.hTNFαに対するリガンドのための実験操作 この実施例は、hTNFαに対する核酸リガンドの発生のために実施例8〜11 において追跡され導入される一般的操作を提供する。 A.材料 組換えヒトTNFα(hTNFα)は Genzyme(Cambridge,MA)または R & D Systems(Minneapolis,MN)から、組換えマウスTNFα(mTNFα),組 換えヒトTNFβ(hTNFβ)および可溶性ヒトTNF受容体2(sTNF- R2)は R & D Systems から購入した。アセチル化、およびヌクレアーゼを含 まないウシ血清アルブミン(BSA),リガーゼおよび制限酵素は New England Biolabs(Beverly,MA)から入手した。AMV逆転写酵素は Life Sciences(S t.Petersburg,FL)から入手した。RNasin リボヌクレアーゼ阻害剤およびTa q DNAポリメラーゼは Promega(Madison,WI)から入手した。超純粋のヌク レオチドトリホスフェートは Pharmacia(Piscataway,NJ)から入手した。125 I-TNFα,α-32P-ATPとγ-32P-ATPは DuPont NEN Research Produc ts(Boston,MA)から入手した。U937 細胞はATCCから入手した(カタログ 番号CRL1593)から入手した。オリゴヌクレオチドは Operon,Inc.(Alamed a,CA)から入手した。ニトロセルロース/酢酸セルロース混合マトリックス(H A)0.45μmフィルターは Millipore(Bedford,MA)から入手した。化学薬品は 少なくとも特級品を市販経路で購入した。 B.セレックス セレックス操作は、セレックス特許出願中に記載されている(Tuerk & Gold, 1990;Goldら,1993 も参照)。出発RNAはcDNA合成およびPCR増幅用 プライマ−アニーリング部位のための 5'および 3'固定領域によって隣接される 30ランダムヌクレオチドを含有した(表11;配列番号:206)。一本鎖DNA分 子をPCR増幅により二本鎖に変換した。PCR条件は、50mM KCl,10mM Tris-HCl(pH 9),0.1%Triton X-100,3mMのMgCl2,0.5mMの各 dATP,dCTP,dGTPおよびdTTP,0.1単位/μlのTaqDNAポリ メラーゼならびに各1nMの 5'および 3'プライマーとした。転写反応は、約5 μM DNA鋳型,5単位/μl T7RNAポリメラーゼ,40mM Tris-HCl (pH 8),12mM MgCl2,5mM DTT,1mMのスペルミジン,0.002% Triton X-100,4%PEG8000,各2〜4mMの 2'OH NTPおよび 0.25 μM α-32P-ATP(800Ci/mmole)で実施した。2'F修飾転写体については2 'F-CTPおよび 2'F-UTPを 2'OH-CTPおよび 2'OH-UTPの代わり に使用した。2つの異なるセレックス実験を行った。第一のセレックス実験、セ レックスAにおいては、タンパク質はニトロセルロースフィルター上に固定化し 、RNAリガンドは固定化タンパク質への捕獲により分配した。略述すれば、h TNFαをニトロセルロースフィルター(Millipore,HA 0.45μm)にスポッ トし、ろ紙上で5分間風乾したのち、ニトロセルロースフィルターを 24-ウエル マイクロタイタープレート内で、500μlの結合緩衝液(BB=10mMのTris-H Cl,pH 7.5,150mMのNaCl,1mMのEDTA,0.02%のアセチル化B SA,0.02%フィコール,および 0.02%PVP)中,1〜2×10-6M放射標識R NAと室温で30分間インキュベートした。フィルターをついで、BSAを含まな いBB 1.5 ml 中で3回それぞれ10分間洗浄した。結合および洗浄は激しく攪拌 しながら行った。固定化タンパク質に結合したRNAをフェノール/尿素抽出に よって回収し、ついでAMV逆転写酵素によって 50mMのTris-HCl,pH 8 .3,60mM NaCl,6mM Mg(0Ac)2,10mM DTT,50 pmol DNA プライマー1(表11;配列番号:206〜208),各 0.4mMのdATP,dCTP ,dGTPおよびdTTP,ならびに1U/μl のAMV RT中、48℃において 60分間cDNAに逆転写した。cDNAはついで上述のようにPCR増幅し、次 のセレックスサイクルを開始するために用いた。第二のセレックス実験、セレク ッスBでは、結合緩衝液は、カルシウムおよびマグネシウムを含むダルベッコの リン酸緩衝食塩溶液(DPBS;Life Technologies,Gaithersburg,MD,Cat.N o.21300-25)として、タンパク質-RNA複合体は、ニトロセルロース/酢酸セ ルロース混合マトリックス,0.45μm 孔径フィルターディスク(Millipore,Co. , Bedford,MA)を通すろ過によって分配した。ニトロセルロースフィルターに結 合したRNAをフェノール/尿素抽出によって回収した。分配されたRNAをつ いで上述のように逆転写し、次のセレックスサイクルの開始に使用した。 C.平衡解離定数の測定 タンパク質-RNA複合体を分配するためには、結合反応混合物をニトロセル ロース/酢酸セルロース混合マトリックス,0.45μm 孔径のフィルターディスク (Millipore,Co.,Bedford,MA)を通してろ過した。ろ過は、フィルターを真 空マニフォールドにつなぎ、5 ml DPBSを吸引して湿潤させた。結合反応混 合物をフィルターを通して吸引し、ついで5 ml の洗浄液を吸引し、フィルター をシンチレーションカウンター(Beckmann)でカウントした。ニトロセルロース 分配はセレックスおよびTNFαに対するRNAリガンドの平衡解離定数の測定 に使用した。TNFαに対するRNAリガンドは一相性に結合した。 TNFαに対するRNAリガンドの平衡解離定数を得るため、結合反応式: (式中、R=RNA,P=タンパク質,KD=解離定数である) を平衡時の結合RNAの分画についての式: q=(f/2RT)(PT+RT+KD-((PT+RT+KD)2-4PTRT)1/2) (式中、q=結合RNAの分画,PT=総タンパク質濃度,RT=総RNA濃度, f=RNA-タンパク質複合体の保持効率である)に変換する。 ニトロセルロースフィルター上におけるRNA-TNFα複合体の平均保持効 率は 0.1〜0.2 である。 KDは、ソフトウエア Kaleidagraph(Synergy Software,Reading,PA)を用 いてデータ点の最小自乗フィッティングにより決定した。 D.クローニングおよび配列決定 セレックスの最終ラウンドからのRT-PCR増幅cDNAを、MC1061大腸 菌(Casadabanら,1980,J.Mol.Biol.138: 179-207)中のpUC18プラスミド (Vieiraら,1982,Gene 19: 259-268)のBamHIおよびHindIII制限部位の間 にクローン化した。配列の決定は、PCR産物を鋳型として用い、市販のキット (Promega,Madison WI)によって行った。 E.受容体結合コンペティションアッセイ 受容体結合コンペティションアッセイをRNAリガンドの生物活性測定のため に用いた。125I標識hTNFαを 50μl の結合緩衝液(0.5mM Mg++,0.2 %BSA,0.02%ナトリウムアジド,1U/μl RNasin 含有PBS)中、0.1 nMで、10-4〜10-11Mのコンペティター希釈系列ならびに1×104/μl のU937 細胞と4℃で2時間インキュベートした。ついでアリコートを二重に採取して、 2:1 ジブチルフタレート:ジオクチルフタレート混合物を介して遠心分離し、遊 離および結合125I標識hTNFαを分離し、ペレット中の放射能をガンマーカ ウンターで測定した。非特異的結合は 200倍モル過剰の非標識TNFを加えて測 定した。 RNAリガンドの阻害定数(Ki)は標準方法を用いてデータの非線形回帰分 析によって測定した。Ki 値を得るためにTNF受容体の濃度を 3.4×10-11M ,TNFα-TNFRの相互作用のKDを 0.1Mと仮定した。 F.境界の決定 3'境界の決定には、6A RNAリガンドをT4ポリヌクレオチドキナーゼを 用いてγ-32P-ATPで 5'末端標識した。5'境界は、3'末端標識リガンドをα-32 P-pCpおよびT4RNAリガーゼを用いて確立された。部分アルカリ加水 分解後、放射標識RNAリガンドをhTNFαと濃度 5,25,および 125nMに おいてインキュベートし、タンパク質結合RNAをニトロセルロース分配により 単離した。末端切断RNAは高分解能変性ポリアクリルアミドゲル上において分 析した。アルカリ加水分解ラダー、およびG-残基で終わる放射標識リガンドの ラダーを部分RNアーゼT1消化によって発生させてマーカーとして用いた。 実施例8.hTNFαに対するRNAリガンド A.プレセレックス特性 ニトロセルロースフィルター結合では高タンパク質濃度でもhTNFαとラン ダムRNAには相互作用は検出できなかった。結合曲線は、10μM hTNFα まででも、RNAを1μMまで上げても、完全に平坦で、推定解離定数(KD) は10-3以上である。hTNFαとランダムRNAの相互作用を改善するような緩 衝条件は見出されなかった。 hTNFαがともかくRNAに結合したかどうかを決定するため、本発明者ら はノーザンプロービングに類似の感度のもっとよい方法(Bowenら,1980)を使 用した。この方法はタンパク質と核酸の相互作用の様々な研究に用いられ、様々 なDNA結合タンパク質のクローニングを助けてきた(Singhら,1988)。この 実験では、一部のランダムRNAはhTNFαに結合できることが明瞭に示され た。RNAの結合はフィルターに予めhTNFαをスポットし、ついで乾燥した 場合にのみ起こり、フィルターにhTNFαをスポットしたのちインキュベーシ ョンチェンバー内で湿らせると結合は起こらなかった。RNAはhTNFαを有 するフィルター上でのみ結合し、BSAが存在するフィルター上では結合しなか った。これは多分、フィルター上に十分なBSAが固定化されているかまたはイ ンキュベーション混合物中にBSAがあると、存在するBSAに特異的なRNA リガンドと競合して結合が起こらなかったものと考えられる。 B.セレックス 約1014のユニークな分子を含有する無作為化RNAのプールで、2つの独立し たセレックス実験(AおよびB)を開始した。出発のRNAおよびPCRプライ マー配列は表11に示す。 A-セレックスにおいては、タンパク質をニトロセルロースフィルターに乾燥 して固定化した。タンパク質含有フィルターをBB(実施例7参照)中で、標識 RNAとインキュベートし、ついで洗浄し、オートラジオグラフに付し、結合し たRNAをフェノール-尿素抽出によって回収した。A-セレックスの第1ラウン ドには、約 1000 pmole のhTNFαモノマーを用い、RNA濃度は 2×10-6M とした。以後の14ラウンドでは約 500 および 100 pmole のhTNFαモノマー を含有する2つの異なるフィルターを前ラウンドからの増幅RNAを約 2×10-6 Mで含有する同じチェンバー内でインキュベートした。高タンパク質フィルター からのRNAのみを次のラウンドに続けた。シグナル対ノイズ比の緩徐な上昇が 認められ、15ラウンドでは、500 および 100 pmole タンパク質フィルター上に 維持されたシグナルはそれぞれバックグランドの 170 および 35倍であった。比 較すると、第1ラウンドでは、シグナルはバックグランドの約3倍にすぎなかっ た。ラウンド15からのRNAはhTNFαに高い親和性を有し、Kd は 5×10-5 Mと推定され、ランダムRNAに比べてほぼ 100倍の改善を示した。選択の緊縮 度を上げるために、約10および 1 pmole のhTNFαを有するフィルターを用 いてさらに8ラウンドを実施した。以後のこれらの全ラウンドでは、ラウンド20 を除いて、1 pmole のhTNFαフィルターからのRNAを次のラウンドに続け た。ラウンド20においては、高いバックグランドのためラウンド 19の 10 pmole hTNFαフィルターからのRNAを使用した。これらの以後のラウンドでの シグナル対ノイズ比は各ラウンド毎に悪化したが、発生したRNAの親和性は改 善を続け、最終の推定Kd は 7×10-7Mに達し、これはさらに2オーダーの大き さの改善を示している。最終ラウンドでは、シグナルは 10分の1の短い暴露時 間で、フィルター上のhTNFαは 100分の1で検出することができた。 A-セレックスの緊縮相と平行して、A-セレックスのラウンド15のRNAをさ らに6ラウンドのB-セレックス条件(下記参照)を用いて進化させた。本発明 者らはこれをC-セレックスと命名した。C-セレックスの終了時において進化し た集団の親和性はA-セレックスのラウンド23の集団の場合に類似し、おおよそ のKd 値は 4×10-7Mであった。 ラウンド23から進化したRNAはhTNFαに対する親和性が改善されたのみ でなく特異的であった(表13)。結合はhTNFαとのみ検出可能であった。 B-セレックス実験では、結合反応を 25〜50μl にセットし、10分間37℃でイ ンキュベートしたのち、0.45μm HAニトロセルロースフィルターを通してろ過 した。B-セレックスの第1ラウンドでは、RNAおよびタンパク質はそれぞれ 約 4×10-5Mであった。これらの条件下では、添加したRNAのわずか 0.1%し かフィルター上に保持されなかった。これは、hTNFα-ranndom-RNAの相 互作用が極めて弱く、Kd 値は高すぎて測定不能であり、多分10-3Mの範囲と思 われることから、驚くべきことではない。以後のラウンドは第1ラウンドと同様 にセットした。ラウンド8までは、ニトロセルロースフィルターへのRNAのバ ックグランド結合は極めて高かった。 C.RNA配列および親和性 A-セレックスのラウンド23とC-セレックスのラウンド6から、RT-PCR で増幅されたcDNAを、実施例7に記載したようにクローン化し、配列を決定 した。A-セレックスからの37のクローンおよびC-セレックスからの36のクロー ンの配列を決定した。計73の配列からの48がユニークな配列であった(表12;配 列番号:209〜225)。ユニークな配列とは他のすべての配列から3個以上のヌク レオチドが異なる配列と定義される。47のユニークなクローンからの18のクロー ンが1μMより優れたKd 値でhTNFαに結合することができた(表12)。最 善のリカンド 25A(配列番号:233)は解離定数約40nMの親和性で結合した。 ランダムRNAは解離定数10-3M以上で結合すると仮定すると、25Aの親和性は 開始プールより少なくとも4〜5オーダーの大きさで優れていることになる。 配列アラインメントおよび予測される保存二次構造を用いると、hTNFαを 結合する18クローン中17は2つのクラスに帰属できた。 クラスIIのメンバーは、内部の張り出しと非対称ループを有するステムループ 構造にフォールディングすることが可能である。線状の配列アラインメントから は有意な保存配列は見出されなかった。 D.TNFに対するRNAリガンドの特異性 A-セレックスのラウンド23の進化したプールのヒトTNFα,ヒトTNFβ およびマウスTNFαに対する特異性を試験した。進化したプールはヒトTNF αに対して高度に特異的である。特異性比を表13に示す。 実施例9.細胞表面受容体へのhTNFα結合の阻害 TNFαリガンドが、hTNFαのその細胞表面受容体への結合を競合的に阻 害する能力を試験するため、U937 細胞を用いて数種のTNFαリガンドをスク リーニングした。観察されたKi 値を表14に掲げる。これらのデータは数種のリ ガンドがhTNFαのその細胞表面受容体への結合を競合的に阻害できること、 一方、ランダムRNAは阻害できないことを示している。リガンド25Aは、Ki 値21nMで、最高の効力を有す。このKi 値は同じ実験条件下にsTNF-R2 で観察されたKi 値より6倍劣るにすぎない。 実施例10.hTNFαリガンドの結合および阻害活性に対する2'Fピリミジン 修飾の影響 2'F修飾ピリミジンを含有する転写体はRNアーゼ分解に抵抗性を有する。安 定性が改善されたリガンドを得るために、数種のhTNFαリガンドの結合およ び阻害活性に対する2'Fピリミジン修飾の影響を試験した。表15にまとめた結果 は一部のリガンドが2'Fピリミジンで修飾された場合も結合活性を維持したが、 一般的には修飾リガンドの結合は非修飾の対応リガンドに比べて劣っている。ク ラスIIのリガンドは一般に、2'Fピリミジン修飾に対する耐容性が高い。2'Fピ リミジン修飾後も結合性を維持しているリガンドの大部分はそれらの阻害活性を 失っている。最も豊富なリガンド 6Aの2'Fピリミジン修飾のみが結合および阻 害活性に影響しなかった。 実施例11.RANTESに対するDNAリガンドのための実験操作 この実施例は、RANTESに対する核酸リガンドの発生のために実施例12に おいて追跡され導入される一般的操作を提供する。 A.材料 組換えヒトRANTESは、Genzyme(Cambridge,CA)から購入された。Taq DNAポリメラーゼは Perkin Elmer(Norwalk,CT)から、T4ポリヌクレオチ ドキナーゼは New England Biolabs(Beverly,MA)から、超純粋ヌクレオチド トリホスフェートは Pharmacia(Piscataway,NJ)から、親和性精製ストレプト アビジン(Cat.No.21122)はPierce(Rockford,IL)から購入した。オリゴヌク レオチドは Operon,Inc.(Alameda)から、ニトロセルロース/酢酸セルロー ス混合マトリックス(HA)0.45μm フィルターは,Millipore(Bedford,MA) から購入した。化学試薬は少なくとも試薬特級を、市販経路から購入した。 B.セレックス セレックス操作はセレックス特許出願に詳細に記載されている。DNA鋳型は PCRのプライマーアニーリング部位のための、5'および 3'固定領域によって 隣接される40ランダムヌクレオチドを含有した(表16;配列番号:256〜258)。 プライマー 3G7(配列番号:258)は一本鎖DNA(ssDNA)の精製の補助に その 5'末端に4個のビオチン残基を含有する。第1ラウンドには、合成 40N7 ssDNA 105 pmole をT4ポリヌクレオチドキナーゼを用いて、70mM Tris- HCl,pH 7.6,10mM MgCl2,5mM DTT,39.5 pmole g-32P-ATP (3000Ci/mmol)および16単位のキナーゼを含有する反応混合物 25μl 中 37℃ で1時間 5'末端標識した。キナーゼ処理されたDNAをついで8%ポリアクリ ルアミド、7%尿素、変性ゲル上で精製し、ついでゲル精製非標識 40N7と混合 して、比活性約 5,000 pcm/pmole とした。結合反応の準備として、DNA分子 をカルシウムおよびマグネシウムを含有しないハンクス平衡塩溶液(HBSS) (Life Technologies,Gaithersburg,MD,Cat.No.14175)に 0.01%ヒト血清ア ルブミンを加えた溶液中、組換えRANTESとインキュベートした。2つのセ レックス実験を実施し、一つは正常塩濃度、他方は 300mM NaClとした。 高塩濃度はHBSSにさらにNaClを加えて作成した。室温で30分間インキュ ベートしたのち、タンパク質-DNA複合体をHAニトロセルロース 0.45μm を 通してろ過し、非結合DNAから分配した。ニトロセルロースフィルターに結合 したDNAは、フェノール/尿素抽出によって回収した。分配されたDNAを、 50mM KCl,10mM Tris-HCl,pH 9.0,0.1%Triton X-100,3mM MgCl2,各1mMのdATP,dCTP,dGTP,およびdTTP中、0.1 単位/μlのTaqDNAポリメラーゼにより増幅した。3G7 および 5G7 プライ マーは2μM存在させた。5G7 プライマーは使用前に上述のように 5'-末端標 識した。ssDNAの精製には、PCR産物をエタノール沈殿し、ついで親和性精 製ストレプトアビジンと、10mM Tris-HCl,pH 7.5,50mM NaCl, 1mM EDTA,0.05%ナトリウムアジド中1:10 DNA対ストレプトアビジン のモル比で反応させた。室温で30分間インキュベートしたのち、等容量の100% ホルムアミドのトラッキング染料を加え、85℃で 1.5分間インキュベートして鎖 を変性させた。変性した鎖をついで8%ポリアクリルアミド7%尿素ゲル中にて 電気泳動し、シフトしないバンドを切り出し、つぶしたゲルから精製した。精製 したssDNAをついで次のセレックスサイクルに使用した。 実施例12.RANTESに対するDNAリガンド RANTESに対するDNAリガンドを発生させるために、2つのセレックス 実験を、一つは 150mM,他は 300mM NaClで実施した。高塩濃度は、低 い塩濃度で起こるRANTES-DNA複合体の沈殿を回避するために使用した 。300mM塩濃度でのセレックスは高いバックグランドのために、早期に中止し た。150mM塩濃度セレックスの各ラウンドのセレックス条件ならびに結果を表1 7に まとめる。出発プールは、150mM塩濃度セレックスの場合、1.8×1015(2,940p mole)のDNAを含有した。ランダムDNAの開始時のKD値は 3×10-6であっ た。19ラウンドのセレックス後、進化したプールは 20nMのKdで結合した。こ れは約150倍の改善である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD ,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CZ, DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,HU,I L,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK ,LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK, MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,TR ,TT,UA,UG,UZ,VN (72)発明者 パグラティス,ニコス アメリカ合衆国 80301 コロラド州 ボ ウルダー,ノース オーチャード クリー ク サークル 5813 (72)発明者 ジャヤセナ,スメドハ アメリカ合衆国 80301 コロラド州 ボ ウルダー,ノース オーチャード クリー ク 5875 (72)発明者 ゴールド,ラリー アメリカ合衆国 80301 コロラド州 ボ ウルダー,フィフス ストリート 1033

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.サイトカインに対する核酸リカンドを同定する方法において、 a)核酸の候補混合物に比較してサイトカインに対する親和性が高い核酸を候 補混合物の残部から分配できるように、核酸の候補混合物を上記サイトカインと 接触させ、 b)候補混合物の残部から親和性の高い核酸を分配し、 c)サイトカインの核酸リガンドが同定できるように、親和性の高い核酸を増 幅し、サイトカインに対して比較的に高い親和性および特異性で結合する核酸配 列が濃縮された核酸の混合物を生成させる工程からなる方法。 2.さらに、d)工程a),b)およびc)を反復する工程からなる「請求項 1」記載の方法。 3.核酸の候補混合物は一本鎖核酸からなる「請求項1」記載の方法。 4.一本鎖核酸はリボ核酸である「請求項3」記載の方法。 5.核酸は修飾された核酸である「請求項4」記載の方法。 6.核酸は 2'-アミノ(2'-NH2)修飾リボ核酸である「請求項5」記載の方 法。 7.核酸は 2'-フルオロ(2'-F)修飾リボ核酸である「請求項5」記載の方 法。 8.一本鎖核酸はデオキシリボ核酸である「請求項3」記載の方法。 9.サイトカインは、IFN-γ,IL-10,IL-4,TNFα,およびRA NTESからなる群より選ばれる「請求項1」記載の方法。 10.サイトカインはIFN-γである「請求項1」記載の方法。 11.サイトカインはIL-10である「請求項1」記載の方法。 12.サイトカインはIL-4である「請求項1」記載の方法。 13.サイトカインはTNFαである「請求項1」記載の方法。 14.サイトカインはRANTESである「請求項1」記載の方法。 15.サイトカイン誘発疾患の処置方法において、サイトカインの核酸リガンド の医薬的有効量を投与することからなる方法。 16.サイトカインの核酸リガンドは「請求項1」記載の方法によって同定され る「請求項15」記載の方法。 17.サイトカインはIFN-γである「請求項15」記載の方法。 18.リガンドは表3および4のリガンド(配列番号:7〜73)の一つから選択 される「請求項17」記載の方法。 19.サイトカインはIL-4である「請求項16」記載の方法。 20.リガンドは表7および8のリガンド(配列番号:100〜185)の一つから選 択される「請求項17」記載の方法。 21.サイトカインはIL-10 である「請求項16」記載の方法。 22.リガンドは表10のリガンド(配列番号:189〜205)の一つから選択される 「請求項21」記載の方法。 23.サイトカインはTNFαである「請求項16」記載の方法。 24.リガンドは表12のリガンド(配列番号:209〜255)の一つから選択される 「請求項23」記載の方法。 25.サイトカインに対する天然に存在しない精製および単離核酸リガンド。 26.核酸は一本鎖である「請求項25」記載の天然に存在しない精製および単離 核酸リガンド。 27.核酸はリボ核酸である「請求項26」記載の天然に存在しない精製および単 離核酸リガンド。 28.核酸はデオキシリボ核酸である「請求項26」記載の天然に存在しない精製 および単離核酸リガンド。 29.a)核酸の候補混合物に比較してサイトカインに対する親和性が高い核酸 を候補混合物の残部から分配できるように、核酸の候補混合物を上記サイトカイ ンと接触させ、 b)候補混合物の残部から親和性の高い核酸を分配し、 c)サイトカインの核酸リガンドが同定できるように、親和性の高い核酸を増 幅し、サイトカインに対して比較的に高い親和性および特異性で結合する核酸配 列が濃縮された核酸の混合物を生成させる工程からなる方法によって同定される サイトカインに対する核酸リガンド。 30.リガンドはIFN-γである「請求項27」記載の天然に存在しない精製お よび単離リボ核酸リガンド。 31.リガンドは表3および4に掲げた配列(配列番号:7〜73)からなる群よ り選択される「請求項30」記載のIFN-γに対する天然に存在しない精製およ び単離リボ核酸リガンド。 32.リカンドは表3および4に掲げた配列(配列番号:7〜73)からなる群よ り選択されるリガンドと実質的に相同であり、実質的に同一のIFN-γに対す る結合能を有する「請求項30」記載のIFN-γに対する天然に存在しない精製 および単離リボ核酸リガンド。 33.リガンドは表3および4に掲げた配列(配列番号:7〜73)からなる群よ り選択されるリガンドと実質的に同一の構造を有し、実質的に同一のIFN-γ に対する結合能を有する「請求項30」記載のIFN-γに対する天然に存在しな い精製および単離リボ核酸リガンド。 34.リガンドはIL-4である「請求項27」記載の天然に存在しない精製およ び単離リボ核酸リガンド。 35.リガンドは表7および8に掲げた配列(配列番号:79〜185)からなる群 より選択される「請求項34」記載のIL-4に対する天然に存在しない精製およ び単離リボ核酸リガンド。 36.リガンドは表7および8に掲げた配列(配列番号:79〜185)からなる群 より選択されるリガンドと実質的に相同であり、実質的に同一のIL-4に対す る結合能を有する「請求項34」記載のIL-4に対する天然に存在しない精製お よび単離リボ核酸リガンド。 37.リガンドは表7および8に掲げた配列(配列番号:79〜185)からなる群 より選択されるリガンドと実質的に同一の構造を有し、実質的に同一のIL-4 に対する結合能を有する「請求項34」記載のIL-4に対する天然に存在しない 精製および単離リボ核酸リガンド。 38.リガンドはIL-10 である「請求項27」記載の天然に存在しない精製およ び単離リボ核酸リガンド。 39.リカンドは表10に掲げた配列(配列番号:189〜205)からなる群より選択 される「請求項38」記載のIL-10 に対する天然に存在しない精製および単離リ ボ核酸リガンド。 40.リガンドは表10に掲げた配列(配列番号:189〜205)からなる群より選択 されるリガンドと実質的に相同であり、実質的に同一のIL-10 に対する結合能 を有する「請求項38」記載のIL-10 に対する天然に存在しない精製および単離 リボ核酸リガンド。 41.リガンドは表10に掲げた配列(配列番号:189〜205)からなる群より選択 されるリガンドと実質的に同一の構造を有し、実質的に同一のIL-10 に対する 結合能を有する「請求項38」記載のIL-10 に対する天然に存在しない精製およ び単離リボ核酸リガンド。 42.リガンドはTNFαである「請求項27」記載の天然に存在しない精製およ び単離リボ核酸リガンド。 43.リガンドは表12に掲げた配列(配列番号:209〜255)からなる群より選択 される「請求項42」記載のTNFαに対する天然に存在しない精製および単離リ ボ核酸リガンド。 44.リガンドは表12に掲げた配列(配列番号:209〜255)からなる群より選択 されるリガンドと実質的に相同であり、実質的に同一のTNFαに対する結合能 を有する「請求項42」記載のTNFαに対する天然に存在しない精製および単離 リボ核酸リガンド。 45.リガンドは表12に掲げた配列(配列番号:209〜255)からなる群より選択 されるリガンドと実質的に同一の構造を有し、実質的に同一のTNFαに対する 結合能を有する「請求項42」記載のTNFαに対する天然に存在しない精製およ び単離リボ核酸リガンド。 46.リガンドはRANTESである「請求項25」記載の天然に存在しない精製 および単離リボ核酸リガンド。
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