JPH11506314A - 低酸素親和性突然変異ヘモグロビン - Google Patents

低酸素親和性突然変異ヘモグロビン

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JPH11506314A JP8533456A JP53345696A JPH11506314A JP H11506314 A JPH11506314 A JP H11506314A JP 8533456 A JP8533456 A JP 8533456A JP 53345696 A JP53345696 A JP 53345696A JP H11506314 A JPH11506314 A JP H11506314A
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Abstract

(57)【要約】 未変性のヘモグロビンより低い酸素親和性を示すが酸素結合における高い協同性を示す、天然に存在しない突然変異ヘモグロビン(α96Val→Trp)が提供される。突然変異ヘモグロビンは好ましくは組換えDNA技術により得られる。このような突然変異ヘモグロビンは血液代替物の成分として使用できる。

Description

【発明の詳細な説明】 低酸素親和性突然変異ヘモグロビン謝辞 本発明は、一部は助成金HL−24525号により政府の支持により開発され た。政府は本発明に一定の権利を有する。本発明の分野 本発明は、一般的に新規の突然変異ヘモグロビン、さらに詳しくは、低い酸素 親和性を示すが酸素結合における高い協同性を示す組換え突然変異ヘモグロビン 「rHB(α96Val→Trp)」に関する。本発明はさらに、組換えDNA 技術を用いる、赤血球代替物として有用な突然変異ヘモグロビンの製造に関する 。発明の背景 ヒト血液製剤の赤血球におけるHIVや肝炎のような感染性物質の流行が適当 な供与者がいないことによる血液の不足と相まって、赤血球代替物、特にヒトヘ モグロビン(「Hb」)およびその誘導体の開発に対する関心を高めている。ヘ モグロビンは血液の酸素運搬成分であり、赤血球内に存在して血流中を循環して いる。 健常な成人ヘモグロビン(「HbA」)は、各141アミノ酸残基を有する2 つのα鎖と各146アミノ酸残基を有する2つのβ鎖を含有し、またヘムとして 知られている補欠分子族を有する4量体タンパク質である。赤血球は、ヘモグロ ビンが還元型、機能型を維持することを助ける。ヘム−鉄原子は酸化を受けやす いが、赤血球内の2つのシステム(サイトクロームb5およびグルタチオン還元 系)のうちの1つにより再び還元される。 酸素運搬性赤血球代替物の候補としてのヘモグロビンの無細胞溶液の使用は、 長い間研究されている。例えば、エー・ジー・ムルダー(Muldr,A.G.)ら、 .Cell Comp.Physiol.5 :383(1934)を参照された い(この開示内容は参考のため本明細書に引用される)。赤血球から精製される 非修飾無細胞ヒトヘモグロビンの使用は、上記の汚染や供給不足の問題以外にい く つかの限界を有する。例えば、補助因子2,3−ジホスホグルセレート(「2、 3−DPG」)の喪失による酸素親和性の上昇、および腎臓の濾過により排出さ れ長期の腎臓障害を引き起こすαβダイマーへのヘモグロビン4量体の解離があ る。例えば、エィチ・エフ・ブン(Bunn,H.F.)ら、J.Exp.Med.12 :909(1969)を参照されたい(この開示内容は参考のため本明細書に 引用される)。 ヘモグロビンは、アロステリック制御物質である2、3−DPGに依存して、 その酸素親和性を変化させ、こうして体内での酸素輸送の効率を上昇させること ができる。2、3−DPGは、結合した酸素をヘモグロビンが組織に放出するこ とを促進する濃度で赤血球内に存在する。2、3−DPGが存在しない場合、ヘ モグロビンはより強固に酸素に結合し、結合した酸素を容易に放出しない。すな わち、未変性の健常成人ヘモグロビン(「HbA」)は被験体に導入されると、 血漿中に2、3−DPGが欠如しているため、酸素を正しく運搬できない。 ヒトグロビンおよびヘモグロビンは、以下のもので発現されている:トランス ジェニックマウス、例えばケー・チャダ(Chada,K.)ら、Nature(ロン ドン)314 :377(1985)およびティー・エム・トウネス(Townes,T. M.)ら、EMBO J.4:1715(1985)(この開示内容は参考のため 本明細書に引用される);エム・イー・スワンソン(Swanson,M.E.)ら、Bi o/Technology 10 :557(1992)(この開示内容は参考の ため本明細書に引用される)に記載のトランスジェニックブタ;ディー・アール ・グレーベ(Groebe,D.R.)ら、Protein Expression an d Purification 3 :134(1992)(この開示内容は参考 のため本明細書に引用される)に記載の昆虫細胞培養物;エム・ワゲンバッハ( Wagenbach,M.)ら、Bio/Technology 9:57(1991)お よびジェイ・ジェイ・デリアノ(DeLiano,J.J.)ら、Proc.Natl.A cad.Sci.USA 90 :918(1993)(この開示内容は参考のた め本明細書に引用される)に記載の酵母;エス・ジェイ・ホフマン(Hoffman,S .J.)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:8521( 1990)、アール・エー・ヘルナン(Hernan,R.A.)ら、Biochemistry 31 :8619(1992)、およびティー・ジェ イ・シェン(Shen,T.-J.)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.US A 90 :8108(1993)(この開示内容は参考のため本明細書に引用さ れる)に記載の大腸菌(Escherichia coli)(「E.coli」)。多くの点で、大 腸菌(E.coli)系は発現効率が優れており部位特異的突然変異誘発の実施が容 易なため、このような目的には最適の選択である。 ヒトα−グロビンまたはβ−グロビンを融合蛋白として発現する最初の大腸菌 (E.coli)系は、ケー・ナガイ(Nagai,K.)ら、Nature(ロンドン) 309 :810(1984)およびケー・ナガイ(Nagai,K.)ら、Metho ds Enzymol.153 :461(1987)(この開示内容は参考のた め本明細書に引用される)により記載されたように開発されたが、この系の生成 物処理方法は非常に手間がかかり低収率である。従って、特に生化学的、生物物 理的、および生物学的研究に組換えヘモグロビン(「rHb」)が多量に必要な 場合は、この発現系は好ましくない。 エス・ジェイ・ホフマン(Hoffman,S.J.)ら、Proc.Natl.Acad .Sci.USA 87 :8521(1990)は、α−グロビンおよびβ−グ ロビン遺伝子が単一のシストロンで構築され、等量発現される同時発現系を報告 した。発現されたα−グロビンおよびβ−グロビン遺伝子の両方は、大腸菌(E .coli)内で内因性ヘムとともに正しく4量体Hb分子に構築される。アール・ エー・ヘルナン(Hernan,R.A.)ら、Biochemistry 31:861 9(1992)は、大腸菌(E.coli)内で非融合の単一β−グロビンの発現を 報告した。これらの2つの系はいくつかの面でうまく作用するが、α−グロビン とβ−グロビンの両方のアミノ(N)−末端に余分のメチオニン残基が保持され ている。 エィチ・エフ・ブン(Bunn,H.F.)ら編、「ヘモグロビン:分子的、遺伝的、 および臨床的側面」(Hemoglobin: Molecular ,Genetic and Clinical Aspects )(ダブリュー・ビー・サンダーズ社(W.B.Saunders,Co.)、フィラデルフィ ア、ペンシルバニア州)37〜60頁(1986)(この開示内容は参考のため 本明細書に引用される)が報告した、HbAの天然のN−末端のバリン残基は、 酸素 親和性の制御(ボーア(Bohr)効果)やアロステリックエフェクターや陰イオン との相互作用において重要な役割を果たすことが知られている。ジェイ・エス・ カバナウ(Kavanaugh,J.S.)ら、Biochemistry 31:8640 (1992)(この開示内容は参考のため本明細書に引用される)が報告したよ うに、余分のメチオニンはヘモグロビン分子のN−末端コンフォメーションを変 化させ得る。従って、ヘモグロビンの酸素添加性はN−末端残基の完全性に依存 し、そのため所望の非修飾および突然変異ヘモグロビンの産生のために大腸菌( E.coli)系を有効に使用する前に、発現されたヘモグロビンのα−グロビンと β−グロビンの両方のN−末端から余分のメチオニン残基を除去することが必要 となる。 メチオニンアミノペプチダーゼ(「Met−AP」または「MAP」)は、大 腸菌(E.coli)、サルモネラ(Salmonella)、バシラス(Bacillus)、および 酵母において、新生ペプチド鎖からのN−末端メチオニン残基の除去に関与して いることが見いだされており、多様な生物からのMet−APは精製され性状解 析されている。例えば、エー・ベン−バサート(Ben-Bassat,A.)ら、J.Ba cteriol.169 :751(1987)、および米国特許第4,865, 974号、4,870,017号、および5,013,662号を参照されたい (この開示内容は参考のため本明細書に引用される)。これらの酵素は、ペプチ ドまたはタンパク質のN−末端メチオニンに対する独特の特異性を有し、大腸菌 (E.coli)やサルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium)のM et−APは、多くの発現された外来タンパク質からN−末端メチオニンを除去 することが報告されている。エー・ベン−バサート(Ben-Bassat,A.)ら、J. Bacteriol.169 :751(1987)。 ヒル(Hill)係数(「n」)で測定されるヘモグロビンの協同的酸素添加は、 そのアロステリック性のいくつかの便利な尺度である。アール・イー・ディカー ソン(Dickerson,R.E.)ら、「ヘモグロビン:構造、機能、進化、および病理」 (Hemoglobin: Structure ,Function,Evolution,and Pathology)(ベンジャ ミンカミングスパブリッシング社(Benjamin Cummings Publishing Co.)、メン ロパーク(Menlo Park)、カリホルニア州)(1983)(この開示内容は参考 のため本明細書に引用される)を参照されたい。HbAは、通常の実験条件下で O2との結合においてnmax値は約3である。α1β2(またはα2β1)サブユニッ ト界面においてアミノ酸置換を有するヒトの異常ヘモグロビンは、HbAに比較 して高い酸素親和性とO2結合性において協同性の低下を示す。例えば、アール ・イー・ディカーソン(Dickerson,R.E.)ら、同上(1983);エィチ・エ フ・ブン(Bunn,H.F.)ら、J.Biol.Chem.249:7402(19 74);およびエム・エフ・ペルツ(Perutz,M.F.)ら、「タンパク質における 協同性とアロステリック制御の機構」(Mechanisms of Cooperativity and Allos teric Regulation in Proteins )、ケンブリッジ大学プレス(Cambridge Univers ity Press)(1990)を参照されたい。すなわち、α1β2サブユニット界面 はヘモグロビンの機能性に重要であることが示唆されている。例えば、β99A spでアミノ酸置換を有するヒト突然変異ヘモグロビンは、HbAに比較して協 同性が大きく低下し酸素親和性が上昇している。このような突然変異ヘモグロビ ンの例は、ヘモグロビンケンプセイ(Hb Kempsey)(β99Asp→His)( シー・エス・リード(Reed,C.S.)ら、Blood 31:623(1969) );ヘモグロビンヤキマ(Hb Yakima)(β99Asp]→His)(アール・ ティー・ジョーンズ(Jones,R.T.)ら、J.Clin.Invest.46: 1840(1967));およびヘモグロビンラドクリフ(Hb Radcliff)(β 99Asp→Ala)(ディー・ジェイ・ウェザーオール(Weatherall,D.J.) ら、British J.Haematol.35:177(1977))(( この開示内容は参考のため本明細書に引用される)がある。ジー・フェルミ(Fe rmi,G.)ら、J.Mol.Biol.175:159(1984)(この開示 内容は参考のため本明細書に引用される)は、デオキシ−HbA(酸素分子のな いHbA)のX線結晶解析を行い、β99Aspはα1β2サブユニット界面でα 42Tyrとα97Asnの両方に水素結合していることを示している。これは 、β99Aspの基本的な役割は、サブユニット間水素結合を形成してデオキシ −ヘモグロビン分子を安定化させることであることを示唆する。 最近、得られた突然変異体における非常に異なる性質を与えるα42Tyrの 突然変異が関与する2つの組換えヘモグロビン(「rHb」)が作成されている 。ケー・イシモリ(Ishimori,K.)ら、J.Biol.Chem.264:14 624(1989)とケー・イマイ(Imai,K.)ら、J.Mol.BIol.2 18 :769(1991)(この開示内容は参考のため本明細書に引用される) のrHb(α42Tyr→His)は、酸素の結合(pH6.8でn=2)にお いてある程度の協同性と中程度の酸素親和性を示す。rHb(α42Tyr→P he)(ケー・イシモリ(Ishimori,K.)ら、J.Biol.Chem.264 :14624(1989)とケー・イマイ(Imai,K.)ら、J.Mol.BIo l.218 :769(1991))(この開示内容は参考のため本明細書に引用 される)のrHb(α42Tyr→Phe)は、酸素の結合(n=1.2)にお いて協同性を示さず、非常に高い酸素親和性を有する。これらの2つの突然変異 体の性質の差は、rHb(α42Tyr→His)のデオキシ状態ではα42H isとβ99Aspの間に弱い水素結合が存在するが、デオキシ−rHb(α4 2Tyr→Phe)では存在しないためであるとされている。サブユニット間の 水素結合が喪失したβ99Aspまたはα42Tyrのいずれかでアミノ酸置換 を有する異常ヘモグロビンはまた、その機能性を喪失していることが知られてお り、従ってこれらの水素結合はヘモグロビン分子の構造と機能に決定的に重要で あるかも知れないことが示唆されている。 ビー・シャーナン(Shaanan,B.)ら、J.Mol.Biol.171:31 (1983)(この開示内容は参考のため本明細書に引用される)に報告される ように、そのオキシ型のHbA(酸素分子を有するHbA)は、α1β2サブユニ ット界面のα94Aspとβ102Asnの間の特徴的な水素結合を有する。ヘ モグロビンチツスビル(Hb Titusville)(α94Asp→Asn)(アール・ジ ー・シュナイダー(Schneider,R.G.)ら、Biochim.Biophys.A cta.400 :365(1975)、この開示内容は参考のため本明細書に引 用される)のようなα94Asp位に、またはヘモグロビンカンザス(Hb Kansa s)(β102Asn→Thr)(ジェイ・ボナベンチュラ(Bonaventura,J. )ら、J.Biol.Chem.243:980(1968)、この開示内容は 参考のため本明細書に引用される)のようなβ102Asn位にアミノ酸置 換を有するヒトヘモグロビン、ならびに他のヘモグロビンは、非常に低い酸素親 和性を示す。しかし、ヘモグロビンのオキシ型のα94Aspとβ102Asn の間の水素結合を直接破壊するこれらのすべてのヘモグロビン突然変異体は、酸 素の結合の協同性が大幅に低下しており、さらに結合状態ではダイマーに容易に 解離する。 α94Aspまたはβ102Asnのいずれも関与しない低い酸素親和性のヒ ト突然変異ヘモグロビンも存在する。例えば、ヘモグロビンプレスビテリアン( Hb Presbyterian)(β108Asn→Lys)(ダブリュー・エフ・ムー−ペ ン(Moo-Penn,W.F.)ら、FEBS Lett.92:53(1978)および ジェイ・ケー・オドネル(O'Donnell,J.K.)ら、J.Biol.Chem.2 69 :27692(1994);ヘモグロビンヨシズカ(Hb Yoshizuka)(β1 08Asn→Asp)(ジェイ・ケー・オドネル(O'Donnell,J.K.)ら、J. Biol.Chem.269 :27692(1994))、および組換えヘモグ ロビンメクオン(Hb Mequon)(β41Phe→Tyr)(ブイ・バウディン(B audin,V.)ら、Biochim.Biophys.Acta.1159:22 3(1992)(これらの開示内容は参考のため本明細書に引用される)はすべ て、HbAに比較して低い酸素親和性を示すが、これらはすべて、ヒル係数で測 定する時nが1.8〜2.9で変動する可変の協同性を示す。 未変性のタンパク質と突然変異タンパク質の差の自由エネルギーを計算するた めに、分子動力学(「MD」)シミュレーションが使用されている。例えば、エ ル・エックス・ダング(Dang,L.X.)ら、J.Am.Chem.Soc.111 :8505(1989)、およびジェイ・ガオ(Gao,J.)ら、Science 244 :1069(1989)(この開示内容は参考のため本明細書に引用さ れる))を参照されたい。ジェイ・ガオ(Gao,J.)ら、Science 24 :1069(1989)に報告されているように、ヘモグロビンラドクリフ( Hb Radcliff)(β99Asp→Ala)は、測定された熱力学値と計算された 値がよく一致している。エィチ・ダブリュー・キム(Kim,H.-W.)ら、Pro c.Natl.Acad.Sci.USA 91:11547(1994)(こ の開示内容は参考のため本明細書に引用される)に報告さ れているように、MDシミュレーションを用いて、そのアロステリック性を回復 する異常ヘモグロビンで、補償アミノ酸置換がうまく設計されている。 ティー・ジェイ・シェン(Shen,T.-J.)ら、Proc.Natl.Acad .Sci.USA 90:8108(1993)(この開示内容は参考のため本 明細書に引用される)は、合成ヒトα−グロビンおよびβ−グロビン遺伝子が、 別別のtacプロモーターの制御下で大腸菌(E.coli)メチオニンアミノペプ チダーゼ遺伝子とともに同時発現されている、大腸菌(E.coli)発現プラスミ ド(pHE2)を記載している。このプラスミドで形質転換される大腸菌(E.c oli)細胞は、rHbAを発現し、ここからN−末端メチオニンが、同時発現さ れたMAPにより有効に切断されている。N−末端メチオニンの欠如した得られ る組換えHbAは、多くの構造および機能が未変性のHbAと同一である。 しかし、ヘモグロビンに基づく血液代替物または治療薬の成分として使用でき る突然変異ヘモグロビン種に対するニーズがある。特に興味のあるのは、低い酸 素親和性を有するが酸素結合において高い協同性を有し、結合した時異常なサブ ユニット解離を示さない突然変異ヘモグロビンである。さらに、組換え法で産生 されるこのようなヘモグロビン、および特に血液代替物として使用するために高 収率でそのような突然変異ヘモグロビンを産生するための効率的な発現系に対す るニーズがある。発明の要約 従って、本発明の主な目的は、低い酸素親和性を有する突然変異ヘモグロビン を提供することである。 本発明の別の目的は、低い酸素親和性を有する天然に存在しない突然変異ヘモ グロビンを提供することである。 本発明の別の目的は、人工的に、好ましくは組換え手段で産生される、正しい ヘムコンフォメーションを有する低酸素親和性突然変異ヘモグロビンを提供する ことである。 本発明のさらに別の目的は、低い酸素親和性を有するが酸素結合において高い 協同性を有する突然変異ヘモグロビンを提供することである。 本発明の別の目的は、無細胞環境で赤血球中の健常成人ヘモグロビンと同様の 酸素結合性を有する突然変異ヘモグロビンを提供することである。 本発明のさらに別の目的は、そのような突然変異ヘモグロビンを産生するため の発現系を提供することである。 本発明のさらに別の目的は、ヘモグロビンに基づく赤血球代替物または治療薬 として使用される人工ヘモグロビンを提供することである。 本発明のこれらおよび他の目的は、以下の実施態様の1つまたはそれ以上によ り達成される。 1つの面において、本発明は、α鎖の96位のバリン残基がトリプトファン残 基により置換されている、天然に存在しない突然変異ヒトヘモグロビンを特徴と する。 好適な実施態様において、ヘモグロビンは健常成人ヘモグロビンと比較して低 い酸素親和性を有し、かつ酸素結合の高い協同性を有し、そして組換え法で産生 される。 別の面において、本発明は、アロステリックエフェクター2、3−DPGの存 在下で健常成人ヘモグロビンのそれに匹敵する酸素結合性を有する、天然に存在 しない低酸素親和性突然変異ヘモグロビンを特徴とする。 好適な実施態様において、突然変異ヘモグロビンではα鎖の96位のバリン残 基はトリプトファン残基で置換されている。 本発明の他の特徴および利点は、以下の好適な実施態様の説明および請求の範 囲から明らかであろう。図面の簡単な説明 図1は、プラスミドpHE202で形質転換した大腸菌(E.coli)JM10 9細胞(「pHE202/JM109」)の超音波処理物から得られるrHb( α96Val→Trp)のモノSカラムからのクロマトグラフィー溶出プロフィ ールであり、ピークa、b1、およびb2を示す。画分は546nmで追跡した。 図2A〜2Dは、プラスミドpHE202から得られたピークa(図2A); ピークb1(図2B);およびピークb2(図2C)からのrHb(α96Val →Trp);ならびに参照としてHbA(図2D)の電子噴霧質量スペクトルで ある。 図3Aと3Bは、29℃でpH7.0の0.1Mリン酸塩水溶液中のCO型の pHE202/JM109から得られる4%rHb(α96Val→Trp)お よび4%Hb Aの環電流シフトプロトン共鳴を示す1H−NMRスペクトルで ある。図3Aは、CO型のモノSカラムから精製された画分(a、b1、b2)を 示す。図3Bは、CO型からFe+3状態に変換し、次にCO型に戻した、ピーク a、b1、b2から精製されたrHb(α96Val→Trp)を示す。 図4Aと4Bは、29℃(両方の図)と36℃(図4Bのみ)でのpH7.0 の0.1Mリン酸塩水溶液中のデオキシ型のpHE202/JM109から得ら れるピークからの4%rHb(α96Val→Trp)、および4%HbAの1 H−NMR共鳴を示す。図4Aは、近位ヒスチジン残基の超微細シフトNδH交 換可能なプロトン共鳴を示す。図4Bは超微細シフトおよび交換可能な共鳴を示 す。図4B中の「デオキシ−rHb」は、デオキシrHb(α96Val→Tr p)を示す。 図5A〜5Dは、10、21、29および36℃でのpH7.0の0.1Mリ ン酸塩水溶液中の10mMイノシトール六リン酸(「IHP」)の存在下での、p HE202/JM109から得られるピークからの4%rHbCO(α96Va l→Trp)と4%HbCO Aの300−MHzプロトン共鳴に及ぼす温度の 影響を示す。図5Aと5Bは、それぞれピークaからの4%rHbCO(α96 Val→Trp)と4%HbCO Aの交換可能なプロトン共鳴を示す。図5C と5Bは、それぞれピークaからの4%rHbCO(α96Val→Trp)お よび4%HbCO Aの環電流シフトプロトン共鳴である。 図6A〜6Dは、10、15、21、および29℃でのpH7.0のIHP水 溶液の非存在下でのpHE202/JM109から得られるピークからの4%r HbCO(α96Val→Trp)と4%HbCO Aの300−MHzプロト ン共鳴に及ぼす温度の影響を示す。図6Aと6Bは、それぞれピークaからの4 %rHbCO(α96Val→Trp)と4%HbCO Aの交換可能なプロト ン共鳴を示す。図6Cと6Dは、それぞれピークaからの4%rHbCO(α9 6Val→Trp)と4%HbCO Aの環電流シフトプロトン共鳴である。 図7Aと7Bは、29℃でpH範囲6.3〜8.9の0.1Mリン酸ナトリウ ム緩衝液中のpHE202/JM109から得られる、0.1mMのHbAまたは rHb(α96Val→Trp)で得られるpHの関数としてプロットした50 %飽和のO2分圧(P50)(mmHg)を有する酸素親和性を示す。図7Aは、Hb A(○)およびモノSカラムからのrHb(α96Val→Trp)の精製され た画分(ピークa(■)、b1(△)、およびb2(+))を示す。図7Bは、H bA(○)およびCO型からFe+3状態に変換され次にCO型に戻された、モノ SカラムからのrHb(α96Val→Trp)の精製された画分(ピークa( ■)、b1(△)、およびb2(+))を示す。 図8Aと8Bは、29℃でpH範囲6.5〜8.4の0.1Mリン酸ナトリウ ム緩衝液中のpHE202/JM109から得られる、0.1mMのHbAまたは rHb(α96Val→Trp)で得られる酸素解離データ中のpHの関数とし てのヒル係数(nmax)を示す。図8Aは、HbA(○)およびモノS−精製画 分(ピークa(■)、b1(△)、およびb2(+))を示す。図8Bは、HbA (○)、およびCO型からFe+3状態に変換され次にCO型に戻された、モノS カラムからのrHb(α96Val→Trp)の精製された画分(ピークa(■ )、b1(△)、およびb2(+))を示す。 図9は、pHE202/JM109から得られるピークからのモノS−精製し たrHb(α96Val→Trp)のpH7.4で29℃の0.1Mリン酸緩衝 液中の0.1mM Hbおよびアロステリックエフェクター(2mM 2、3−DP Gと2mM IHP)の存在下でピークaからのモノS−精製rHb(α96Va l→Trp)と比較したHbAを示す。 図10Aと10Bは、それぞれ酸素親和性(P50)の温度依存性、およびpH 7.4で16、20、25、29、および37℃の0.1Mリン酸緩衝液中の0 .1mM HbAまたはrHb(α96Val→Trp)で得られるヒル係数(nmax )を示す。使用したHbは:HbA(○)、rHb(α96Val→Trp )(△)、2mM IHPの存在下でのrHb(α96Val→Trp)(+)、 および2mM IHPの存在下でのHbA(□)である。 図11Aと11Bは、pHE202/JM109から得られるピークb2から の4%rHbCO(α96Val→Trp)、pHE702/JM109から得 られるピーク2からの4%rHbCO(α96Val→Trp)、およびHbA (すべて、pH7.0で29℃の0.1Mリン酸塩水溶液中のCO型)の、交換 可能なプロトン共鳴(図11A)と環電流シフトプロトン共鳴(図11B)であ る。両方のrHb(α96Val→Trp)試料は、NMR測定を行う前に酸化 −還元反応を受けた。発明の詳細な説明 I.定義 本明細書において「HbA」または「未変性のHbA」とは、ヒト被験体から 得られる健常成人ヘモグロビンを意味する。 「組換え健常成人ヘモグロビン」、「rHbA」および「非修飾rHbA」と は、組換えDNA技術により産生され、かつティー・ジェイ・シェン(Shen,T. -J.)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:8108( 1993)に記載のように未変性のHbAと基本的に同じ構造と機能を有する健 常成人ヘモグロビンを意味する。 「rHb(α96Val→Trp)」は、組換えDNA技術により産生され、 α1β2(またはα2β1)界面に位置するα鎖の96位のバリン残基がトリプトフ ァン残基で置換されている、突然変異健常成人ヘモグロビンを意味する。このヘ モグロビンは、低い酸素親和性を示すが、酸素結合において高い協同性を有し、 結合した時異常なサブユニット解離を示さない。 「デオキシ」および「オキシ」は、HbAおよびrHb(α96Val→Tr p)中のヘム−鉄原子の酸素添加状態を意味する。オキシヘモグロビン「オキシ −Hb」または「HbO2」は、ヘム基に結合した4つの酸素分子を有する。デ オキシヘモグロビン(「デオキシ−Hb」)は、酸素分子を含有しない。正常な 動脈血では、健常成人のヘモグロビンA(「HbA」)はオキシ型(「オキシ− HbA」)である。静脈血では、HbAの一部はデオキシ型である(「デオキシ −HbA」)である。 「カーボンモノオシ−Hb」、「HbCO A」、「rHbCO(α96Va l→Trp)」および「CO型」はすべて、酸素分子ではなく一酸化炭素分子に 結合したヘモグロビンを意味する。 「フェリ−ヘモグロビン」、「フェリ−Hb」、「第二鉄型」、「メトヘモグ ロビン」、「Met−Hb」、および「Fe+3状態」はすべて、その各ヘム−鉄 原子が第二鉄(Fe3+)状態に酸化されているHbAおよびrHb(α96Va l→Trp)を意味する。フェリ−Hbは酸素に結合しない。 「フェロ−ヘモグロビン」、「フェロ−Hb」、「Fe+2状態」、および「第 一鉄型」は、その各ヘム−鉄原子が未変性の還元第一鉄(Fe+2)状態であるH bA、rHb(α96Val→Trp)、HbCO A、およびrHbCO(α 96Val→Trp)を意味する。フェロ−Hbは酸素または一酸化炭素に結合 することができる。 「対照」は、DNA分子の調節領域中の別の遺伝子(特に、プロモーター)に 影響される遺伝子コード配列を意味し、こうしてコード配列はプロモーターの支 配下で発現され制御される。そのような調節がない場合、コード配列は、宿主生 物中で高すぎまたは低すぎるレベルで、または正しくない時期に発現される。 「メト−アミノペプチダーゼ」、「Met−Ap」および「MAP」は、ペプ チド配列からアミノ(N)末端メチオニン残基を特異的に切断する酵素メチオニ ンアミノペプチダーゼを意味する。 「四次構造遷移」は、デオキシ型からオキシ型に進むα1β2のような、ヘモグ ロビンのサブユニット界面中の構造転位を意味する。 「酸素親和性」は、ヘモグロビン分子への酸素の結合の強さを意味する。高酸 素親和性は、ヘモグロビンがその結合酸素分子を容易に放出しないことを意味す る。P50は、酸素親和性の尺度である。 「協同性」は、ヘモグロビンのシグモイド酸素結合曲線を意味し、すなわち四 量体ヘモグロビン分子内の1つのサブユニットへの酸素の結合は、他の非結合サ ブユニットへの酸素分子の結合を増強する。これはヒル係数(nmax)で測定す ることが便利である。HbAでは、nmax=3.0である。 ヘモグロビンのR−型もしくはR−様およびT−型もしくはT−様構造は、特 徴的な四次構造マーカーを示すヘモグロビン(例えば、R−構造マーカーとして DSSから10.7ppmでのプロトン共鳴、およびT−構造マーカーとしてDS Sから14ppmでのプロトン共鳴)を示すヘモグロビンを意味する。いくつかの 突然変異体および化学的修飾されるHbは、T−またはR−四次構造マーカーを 有するが、変化した四次構造を有する。 II.方法および結果 本発明において、天然に存在しない低い酸素親和性の突然変異体ヒトヘモグロ ビン、およびそのようなヘモグロビンを組換え法で産生させるための手段が提供 される。さらに詳しくは、本発明は、組換え法で産生されるHbAの突然変異体 (本明細書において、rHb(α96Val→Trp)として表す)(ここで、 α1β2(またはα2β1)サブユニット界面領域に位置するα鎖の96位のバリン 残基はトリプトファン残基により置換されている)に関する。この新しい人工ヘ モグロビン(すなわち、完全に血液以外の供給源から得られる)は、低い酸素親 和性を示すが酸素結合において高い協同性を示す。さらに、これは結合する時、 異常なサブユニット解離を示さない。無細胞環境中で、本発明のrHb(α96 Val→Trp)は、赤血球中のHbAと同様の酸素結合性を示す。組換え法で 産生されるこのような低い酸素親和性のヘモグロビン突然変異体は、ヘモグロビ ンに基づく血液代替物の成分として有用である。このような突然変異体はまた、 腫瘍の放射線治療、外傷、および手術における血液希釈において有用である。 また、他の適当な突然変異を有する他の低い酸素親和性のヘモグロビンの調製 および使用も、本発明の範囲内である。特に本発明の方法は、追加の利点を有す る他の突然変異ヘモグロビンを産生するために使用してもよい。α1β2界面中の 他の突然変異およびヘモグロビンの中央の空洞は、他の有用な低い酸素親和性の 突然変異体を与えると考えられる。血液代替物または治療への使用についてのこ のような突然変異体の適切性を評価する方法は、本明細書で後述される。 下記の分子動力学シミュレーションは、本発明のrHb(α96Val→Tr p)の独特の酸素結合性は、rHbのデオキシ型(α96Val→Trp)中の α1β2サブユニット界面のα96Trpとβ99Aspの間の余分の水素結合に 帰因することを示唆する。 α1β2サブユニット界面中の小アミノ酸残基であるバリンが大きなトリプトフ ァン残基でる置換されるにもかかわらず、この人工ヘモグロビンは、健常成人 ヘモグロビンに比較して、ヘムポケットの周りの非常によく似た三次構造とα1 β2サブユニット界面中の非常によく似た四次構造を示すことが、以下に証明さ れる。ヘモグロビン分子の三次構造は、各鎖がそれ自身の上で折り畳むようにさ せる線状の鎖の配列中で遠く離れているアミノ酸残基の立体関係を意味し、四次 構造は、サブユニット鎖が互いに相互作用する方法を意味する。 以下に証明されるように、本発明の人工ヘモグロビンは、このヘモグロビンの 結合型(例えば、オキシ−(R−)型四次構造中のカーボンモノキシ型)は、ア ロステリックエフェクターの添加により結合状態を変化させることなく、デオキ シ−(T−)型四次構造に変換できる性質を有する。この変換はまた、イノシト ール六リン酸の非存在下で温度を低下させることにより行われる。従って本発明 の組換えヘモグロビンは、α1β2界面中のサブユニット相互作用の本質およびヘ モグロビンのアロステリック機構の分子的基礎に関して新しい知見を得るのに使 用できる。 明らかに、本発明の方法は、異なる性質を有する他の突然変異人工ヘモグロビ ンならびに天然に存在する突然変異体を補償する突然変異を有するヘモグロビン を産生するのに使用できる。rHb(α96Val→Trp)を得るための好適 な材料と方法は、以下の参考例で与えられる。本発明のrHb(α96Val→ Trp)は、好適には組換え法で産生されるが、非組換え法も利用できることを 理解すべきである。参考例 A.プラスミドpHE202 発現プラスミドpHE202の作製 本発明において、rHb(α96Val→Trp)を発現する2つのプラスミ ド(プラスミドpHE202とプラスミドpHE702)が作製された。プラス ミドpHE202のプロトコールンと結果は、以下の通りである。 合成ヒトα−グロビンおよびβ−グロビン遺伝子を含有するHbA発現プラス ミドpHE2を、出発物質として使用した。プラスミドpHE2の作製および産 生されるrHbAの性質は、ティー・ジェイ・シェン(Shen,T.-J.)ら、Pr oc.Natl.Acad.Sci.USA 90:8108(1993) (この開示内容は参考のため本明細書に引用される)に詳細に記載される。プラ スミドpHE2の作製において、合成α−グロビンおよびβ−グロビン遺伝子は 、プラスミドpDLIII−13e(ソマトゲン社(Somatogen,Inc.)、ボール ダイ(Boulder)、コロラド州、から供与された、またエス・ジェイ・ホフマン( Hoffman,S.J.)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:8 521(1990)(この開示内容は参考のため本明細書に引用される)に詳細 に記載されている)から得られた。大腸菌(E.coli)Met−AP遺伝子のコ ード配列は、プラスミドpSYC1174(大腸菌(E.coli)MM294中の pSYC1174は、シータス社(Cetus Corp.)、エメリイビル(Emeryville) 、カリホルニア州、からの供与である)から得られ、この株は受託番号ATCC 53245号でアメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Cu lture Collection)に寄託されており、一般的に入手できる。また、米国特許第 4,865,974号、4,870,017号、および5,013,662号を 参照されたい。プラスミドpHE2は、別のtacプロモーターの支配下で大腸 菌(E.coli)Met−AP遺伝子とともに、合成ヒトα−グロビンおよびβ− グロビン遺伝子を同時発現する。 次に部位特異的突然変異誘発を行って、α鎖の96位のバリン残基を下記のよ うにトリプトファン残基で置換した。合成ヒトα−グロビンおよびβ−グロビン 遺伝子(プラスミドpDLIII−13eから)を、当該分野で公知の方法により 、ファージミドpTZ18U(バイオラッドラボラトリーズ(Bio-Rad Laborato ries)、ハーキュリーズ(Hercules)、カリホルニア州)に挿入した。配列5’ −TTTGAAGTTCCATGGATCAAC−3’(突然変異コドンに下線 を引いてある)の合成オリゴヌクレオチドを、ピッツバーグ大学のDNA合成施 設(DNA Synthesizing Facility)で合成し、プライマーとして使用して標準的 DNA合成法により突然変異(α96Val→Trp)を導入した。オリゴヌク レオチド合成の方法は当該分野で公知であり、本発明は特定の方法に限定されな い。部位特異的突然変異誘発は、ティー・エム・クンケル(Kunkel,T.M.)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:488(1985)お よびティー・ジェイ・シェン(Shen,T.-J.)ら、Proc.Natl. Acad.Sci.USA 90:8108(1993)(この開示内容は参考 のため本明細書に引用される)に記載のように行った。次にプラスミドpHE2 中のヒト正常α−グロビン遺伝子を、突然変異した遺伝子で置換してプラスミド pHE202を得た。宿主細胞大腸菌(E.coli)JM109中のプラスミドp HE202はpHE202/JM109と名付け、ATCC 69792号で1 995年4月26日にアメリカンタイプカルチャーコレクション(American Typ e Culture Collection)(ロックビル(Rockville)、メリーランド州)に寄託 した。細胞の増殖 プラスミドpHE202を当該分野で公知の方法により大腸菌(E.coli)JM 109細胞(プロメガ(Promega)、マジソン(Madison)、ウィスコンシン州)に形 質転換した。細胞を、1.2%バクトトリプトン、2.4%バクトイーストエキ ス、0.4%グリセロール、17mM KH2PO4、72mM K2HPO4、および 100μgアンピシリン(シグマ(Sigma)、セントルイス、ミズーリ州)を含有す るTB培地中で、20リットルのマイクロファームモデル(Microferm Model) MF20発酵槽(ニューブランズウィックサイエンティフィック(New Brnswick Scientific)、エジソン(Edison)、ニュージャージー州)中で30℃で、細 胞密度が1〜2×109細胞/mlに達するまで増殖させた。 rHb(α96Val→Trp)の発現は、0.2mMの濃度になるようにイソ プロピルβ−チオガラクトピラノシドを加えて誘導した。次に培養物にヘミン( 20mg/l)(シグマ(Sigma)、セントルイス、ミズーリ州)とグルコース(1 0g/l)を補足し、少なくともさらに4時間増殖を続けた。次に遠心分離して細 胞を集め、さらなる精製に必要になるまで−80℃で100gずつ凍結保存した 。 本発明の組換え突然変異ヘモグロビンの発現と産生には、現在大腸菌(E.col i)細胞が好適であるが、本発明は大腸菌(E.coli)細胞に限定されない。他の適 当な発現系(例えば、酵母、昆虫細胞、およびブタやウシのようなトランスジェ ニック動物)を使用して突然変異ヘモグロビンを発現することも有効である。プ ラスミドpHE202は大腸菌(E.coli)細胞について最適化されているが、 以下に詳述するpHE702はヒト遺伝子から作成され、従ってプラスミドpH E702中に含有されるヒト遺伝子とともに他の発現系が有効に使用できる。組換えヘモグロビンの単離と精製 プラスミドpHE202で形質転換した細胞から得られるrHb(α96Va l→Trp)を、ティー・ジェイ・シェン(Shen,T.-J.)ら、Proc.Na tl.Acad.Sci.USA 90:8108(1993)の方法を若干修 飾して精製した。 凍結保存した細胞ペーストを溶解緩衝液(3ml/gの細胞ペーストで40mMトリ ス塩基/1mMベンズアミジン(シグマ(Sigma))に入れ、完全に懸濁されるま で攪拌した。10mlの40mMトリス−塩酸(pH8.0)に溶解したリゾチーム (シグマ(Sigma))(1mg/g細胞ペースト)を細胞懸濁液に加え、4℃で約4 5分間放置した(溶液は非常に粘性が高くなる)。MgCl2とMnCl2を最終 濃度がそれぞれ10mMと1mMになるように添加した。約3〜5μg/mlのDNAs e(アイシーエヌバイオケミカル社(ICN Biochemical,Inc.)、コスタメサ( Costa Mesa)、カリホルニア州)を加え、粘性が低下するまで30〜60分間攪 拌した。次に溶解物をブランソン450ソニファイアー(Branson 450 sonifier )(ブランソン(Branson)、ダンベリー(Danbury)、コネチカット州)で氷浴中で 65〜75Wで3分間のサイクル(溶解物の低温を維持するためにサイクルの間 で停止した)を3回超音波処理した。次に溶解物をソーバル(Sorvall)GSA ロータ(イー・アイ・デュポン(E.I.duPont)、ウィルミントン(Wilmington )、デラウェア州)で4℃で14,000rpmで45分間遠心分離した。次に上 清をCOガスで飽和させ、4℃で3〜4日間放置した。上清のpHを1Mトリス 塩基で8.0に調整し、10%ポリエチレンイミン(シグマ(Sigma))(容量 /容量)をゆっくり加えて、最終濃度を0.5%にして核酸を沈殿させた。これ をCOガス下で15分間攪拌し、次に前記のように14,000rpmで遠心分離 した。上清のpHを1Mトリス塩基で8.3に調整し、容量が約150mlになる までミリポアミニタンアクリリック(Millipore Minitan Acrylic)限外濾過装 置(ミリポア社(Millipore Corp.)、ベッドフォード(Bedford)、マサチュ ーセッツ州)に通した。濃縮した溶液を20mMトリス− 塩酸/0.1mMトリエチレンテトラアミン(「TETA」)(pH8.3)(以 後「Q2」緩衝液と呼ぶ)で一晩、緩衝液を交換して透析した。Q2緩衝液と同 じになるように通常20mMトリス−塩酸/0.1mMTETAを加えて、pHと伝 導度を調整した。 最終精製工程でファルマシアファーストプロテイン液体クロマトグラフィー( Pharmacia fast protein liquid chromatography)(「FPLC」)装置(ファ ルマシアバイオテク社(Pharmacia Biotech,Inc.)、ピスカタウェイ(Piscat away)、ニュージャージー州)を用いて、2つのカラムを使用した。最初のカラ ムはQ−セファロースファーストフローカラム(ファルマシア(Pharmacia)陰 イオン交換樹脂)(5cm×28cm)であり、これはヘモグロビンを結合させるの に使用した。試料をカラムにのせてから、Q2緩衝液(20mMトリス−塩酸/0 .1mMTETA、pH8.3)で洗浄し、混入している核酸が溶出するまで26 0nmで追跡した。次にヘモグロビン画分を、20mMトリス−塩酸(pH7.2) で溶出させた。溶出液を10mMリン酸塩/0.1mMエチレンジアミン四酢酸(「 EDTA」)(pH6.8)(緩衝液A)で濃縮した。使用した第2のカラムは 、モノSカラム(ファルマシア(Pharmacia)陽イオン交換樹脂、HR6/10 )である。10mMリン酸ナトリウム/0.1mMエチレンジアミン四酢酸(「ED TA」)(pH6.8)(緩衝液A)から20mMリン酸ナトリウム/0.1mME DTA(pH8.3)(緩衝液B)の勾配を流して平衡化した試料をモノSカラ ムで精製した。画分を546nmで追跡した。 rHb(α96Val→Trp)を図1に示す2つの主要なピーク(対称のピ ーク(ピークa)の後に2つの重複するピーク(ピークb1とb2))で示される ように溶出した。前記のように得たこれらのピークは、図1に示すように以後「 ピークa」、「ピークb1」、および「ピークb2」と呼ぶ。ヘモグロビン濃度は 、イー・アントニーニ(Antonini,E.)ら、「リガンドとの反応におけるヘモグ ロビンとミオグロビン」(Hemoglobin and Myoglobin inTheir Reactions with Ligands )(ノースホランド(North Holland)、アムステルダム)、第19頁( 1971)(この開示内容は参考のため本明細書に引用される)に記載の公表さ れている吸光係数を用いて求めた。ヘモグロビンの型 フラスコ中のHBO2またはデオキシ−Hb溶液にCOガスを流して、ヘモグ ロビンのCO型(例えば、HbAとrHb(α96Val→Trp))を調製し た。この操作は、喚起されたドラフト内で行った。デオキシ−Hbは、通常ティ ー・アール・リンドストローム(Lindstrom,T.R.)ら、Proc.Natl. Acad.Sci.USA 69:1707(1972)に詳述されているよう に、4℃で窒素ガス下でロータリーエバポレーター中で、HbCOまたはHbO2 を脱酸素型に変換して調製した。オキシ−Hbは、デオキシ−Hb溶液を空気 または酸素ガスに暴露して調製した。タンパク質配列決定 アール・エム・ヘウィック(Hewick,R.M.)ら、J.Biol.Chem.2 56 :7990(1981)(この開示内容は参考のため本明細書に引用される )に記載のように、オンラインのフェニルチオヒダントイン−アミノ酸アナラー ザー(モデル120A)を取り付けたアプライドバイオシステム(Applied Bios ystm)気/液相シーケンサー(モデル470/900A)を用いて、エドマン分 解の自動サイクルを行った。質量スペクトル 質量スペクトルに付したヘモグロビン試料を、蒸留水に対して充分透析し、次 に凍結乾燥した。解析の直前に、試料を水に溶解して、125pmolのヘモグロビ ン/μl水(7.8mg/ml)の濃度にした。次にこれらの溶液のアリコートを希釈 して、最終濃度を10pmol/μlの50:50水/0.2%ギ酸含有アセトニトリ ルとした。これらの最終溶液のアリコート(10μl)を、5μl/分で電子噴霧 イオン源に導入した。 電子噴霧分析は、ブイジー・クアトロ−ビーキュー(VG Quattro-BQ)(フィ ソンズインスツルメンツ(Fisons Instruments)、ブイジーバイオテク(VG Bio tech)、アルトリンチャム(Altrincham)、英国)(単一の荷電イオンの質量範 囲が4000の三重4極子装置)で行った。スキャンは、1スキャン当たり10 秒間でm/z980〜1400で行った。20スキャンから得られたデータを、 まとめて最終スペクトルを得た。質量スケール較正では、外部参照としてH bAのα鎖(分子量=15,126.4)からの複数の荷電したイオンピークを 使用した。正常のα鎖および正常のβ鎖のアミノ酸配列から計算した分子量は、 それぞれ15,126.4と15,967.2である。これらの値は、以下の原 子質量に基づく:C=12,011;H=1,00794;N=14,0067 4;0=15,9994;およびS=32,066(これらは、原子質量と同位 体存在に関する委員会(Commission on Atomic Weights and Isotopic Abundanc es)、Pure Appl.Chem.63:975(1991)により報告さ れている;この開示内容は参考のため本明細書に引用される)。得られた電子噴 霧質量スペクトルは、図2A〜2Dに示す。ヘム−鉄原子の酸化状態の変換 ヘモグロビンを酸化(この場合、HbAとrHb(α96Val→Trp)の CO型をFe3+状態に)するために、0.1Mリン酸塩(pH6.5)中のヘモ グロビン溶液の濃度を測定した。3モル過剰のK3Fe(CN)6(フィッシャー サイエンティフック(Fisher Scientific))または他の適切な酸化剤を加え、 室温で1時間攪拌した。この間、ヘモグロビン溶液は赤色から褐色に変化した。 得られた酸化されたヘモグロビン(Fe3+)を、0.1Mリン酸塩(pH6.5 )を用いてセファデックスG−25(中間)カラム(シグマ(Sigma))に通し て、過剰のK3Fe(CN)6を除去し、室温で一晩放置した。 次に酸化されたヘモグロビン(Fe3+)を、まず試験管中で0.1Mリン酸塩 (pH約7.0)を調製して、緩衝液に窒素を泡立たせて酸素を除去して溶存酸 素を除去する。別の試験管に、充分量の亜ジチオン酸ナトリウム(フルカケミー (Fluka Chemie)、スイス)を計りとって亜ジチオン酸塩の0.1M溶液を得る 。次に試験管に窒素をフラッシュして酸素を除去する。次にデオキシリン酸塩緩 衝液を嫌気的にデオキシ亜ジチオン酸塩に移して0.1Mの最終濃度を得る。酸 化されたヘモグロビン溶液の上(泡立たせない)にCO流を吹き付ける。色が明 るい赤色に戻るまで、酸化されたヘモグロビン溶液にデオキシ亜ジチオン酸塩緩 衝液を加えた。この時点で、すべてのヘモグロビン(Fe3+)がヘモグロビン( Fe2+)に還元されていることを確認するために、光学スペクトルをチェックす ることができる。ヘモグロビンの還元に使用したものと同じCOガスを吹き付 けた緩衝液で、セファロースG−25カラムを平衡化させた。次に還元したヘモ グロビン溶液を、同じCOガスを吹き付けた緩衝液を用いてセファロースG−2 5カラムに通過させた。得られた酸化/還元されたヘモグロビンを次に、好まし くは前述のFPLCモノSカラムに通して精製した。得られた酸化された、還元 された、モノS精製されたrHb(α96Val→Trp)またはHbAを、前 述のように必要に応じてカーボンモノキシまたはオキシ型に変換した。 フェロ−ヘモグロビン(Fe2+)からフェリ−ヘモグロビン(Fe3+)への酸 化のために他の適切な酸化剤を使用してもよい(例えば、フェリシアン化物、銅 、過酸化水素、ヒドロキシルアミン、亜硝酸塩、ヒドラジン、チオール、アリー ルアミン、または電気化学電位(「Em」)が0.14ボルトより大きい任意の 化合物)。フェリ−ヘモグロビン(Fe3+)からフェロ−ヘモグロビン(Fe2+ )への還元のために使用できる他の適切な還元剤は、(i)非酵素的還元のため には、亜ジチオン酸塩、メタ重亜硫酸塩、システイン、還元型グルタチオン、お よびアスコルビン酸(メチレンブルーの存在下で)、および(ii)酵素的還元の ためには、サイトクロームb5還元酵素、NADPH−フラビン還元酵素、およ びEmが0.14ボルト未満の任意の他の化合物が使用できる。エィチ・エフ・ ブン(Bunn,H.F.)ら編、「ヘモグロビン:分子的、遺伝的、および臨床的側面 」(Hemoglobin: Molecular ,Genetic and Clinical Aspects)(ダブリュー・ ビー・サンダーズ社(W.B.Saunders,Co.)、フィラデルフィア、ペンシルバニ ア州)634〜662頁(1986)(この開示内容は参考のため本明細書に引 用される)を参照されたい。NMR測定 1H−NMRスペクトル法は、ヘムポケットを含む三次構造、およびサブユニ ット界面である四次構造のようなHbAの構造的特徴を研究するための優れた手 段であることが証明されている。シー・ホー(Ho,C.)ら、Adv.Prote in Chem.43 :153(1992)(この開示内容は参考のため本明細 書に引用される)を参照されたい。ヘモグロビンの環電流シフト1H共鳴は、C O型のrHbAのヘム配向と環境に影響を受けることが知られている(シー・ホ ー(Ho,C.)ら、Adanc.Protein Chem.43:1 53(1992)、およびティー・ジェイ・シェン(Shen,T.-J.)ら、Pro c.Natl.Acad.Sci.USA 90:8108(1993)、これ らの開示内容は参考のため本明細書に引用される)。 1H−NMRスペクトルは、ブルカー(Bruker)AM−300分光光度計を3 00MHzで10℃〜36℃で操作して得られた。すべてのヘモグロビン試料は、 pH7.0の0.1リン酸ナトリウム緩衝液(100%の水中)に入れた。ヘモ グロビン濃度範囲は約4%であった。水のシグナルは、ピー・プラトー(Platea u,P.)ら、J.Am.Chem.Soc.104:7310(1982)(こ れらの開示内容は参考のため本明細書に引用される)に報告されているように、 「ジャンプ−アンド−リターン」パルスシーケンスを用いて抑制した。特定のカ ーボンモノキシ−Hb(「HbCO」)とデオキシ−Hb試料の1H−NMRス ペクトルは、9.7μ秒の90°パルス、スペクトル幅8kHz(デオキシ−Hb については16kHz)を有する5−mm複数核プローブ(ブルカー(Bruker))の プロトンデカプリングコイルと8000のデータ点を用いて得られた。典型的に は、256または1024スキャンを平均してシグナル対ノイズ比を改良した。 プロトン化学シフトは、2,2−ジメチル−2−シラペンタン−5スルホネート (「DSS」)のナトリウム塩のメチルプロトン共鳴を参照とし、29℃でDS Sのシグナルのダウンフィールドの4.76ppmにシグナルが存在する水のシグ ナルを内部標準とした。得られた1H−NMRスペクトルは、図3〜6と図11 に示す。HbA試料の酸素結合 酸素解離曲線は、ヘモックス−アナライザー(Hemox-Analyzer)(ティーシー エスメディカルプロダクツ(TCS Medical Products)、ハンチントンバレイ(Hu ntington Valley)、ペンシルバニア州)により、pH6.0〜8.3の範囲の 0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液中で16〜37℃で測定した。エー・ハヤシ( Hayashi,A.)ら、Biochim.Biophys.Acta.310:30 9(1973)(この開示内容は参考のため本明細書に引用される)に記載のメ トヘモグロビン還元酵素系を、フェリ−Hbの生成を防ぐために加えた(30〜 60μl)。50%酸素添加時の分圧(P50)とヒル係数(nmax)を、各 曲線から求めた。これらの試験の結果を図7〜10に示す。MDシミュレーション MDシミュレーションは、シー・エル・ブルークス(Brooks,C.L.)ら、J. Mol.Biol.208 :159(1989)(この開示内容は参考のため本 明細書に引用される)の確率的境界法を使用して、極性水素タンパク質モデルに ついて標準的パラメータ(param19)を有するCHARMM22(ビー・ アール・ブルークス(Brooks,B.R.)ら、J.Comp.Chem.4:187 (1983)(この開示内容は参考のため本明細書に引用される))を使用して 、行った。 異なるヘモグロビンコンフォメーションの安定性の比較のために、半径10オ ングストロームと15オングストロームを有するそれぞれMD領域とランゲビン (Langevin)領域に、分子を分離した(これらはその中心が、ジー・フェルミ( Fermi,G.)ら、J.Mol.Biol.175:159(1984)(この開 示内容は参考のため本明細書に引用される)の示したデオキシ−HbAの結晶構 造の参照座標上にある)。これらの座標は、2つのα96Val側鎖のCβのほ ぼ中間にある。シミュレーションの自由エネルギーの計算のために、半径10オ ングストロームと15オングストロームを有するそれぞれMD領域とランゲビン (Langevin)領域に、分子を分離した(これらはその中心が、ヘモグロビンのデ オキシ(ジー・フェルミ(Fermi,G.)ら、J.Mol.Biol.175:1 59(1984))とオキシ結晶構造(ビー・シャンナン(Shannan,B.)、 .Mol.Biol.171 :31(1983)(この開示内容は参考のため本 明細書に引用される)のβ99Asp側鎖のCβの質量の中心座標にある)。内 部の球を、ダブリュー・エル・ジョルゲンセン(Jorgensen,W.L.)ら、J.C hem.Phys.79 :926(1983)(この開示内容は参考のため本明 細書に引用される)に記載のように、charmm−適合プレ平衡化TIP3P 水分子で充填した。デオキシシミュレーションは、103の水分子を含有し、オ キシシミュレーションは83の水分子を含有した。 Hb(α96Val→Trp)の利用可能な結晶構造がないため、初期のコン フォメーションのためにα96Trpのいくつかの異なる局所的コンフォメーシ ョンを考慮した。10%を超える頻度[χ1=−70.4、χ2=−100.5( 37.9%);χ1=64.8、χ2=−88.9(20.7%);χ1=−17 7.3、χ2=−95.1(13.8%);χ1=−179.5、χ2=−87. 5(10.3%)]を示す、回転異性体ライブラリー(ジェイ・ダブリュー・ポ ンダー(Ponder,J.W.)ら、J.Mol.Biol.193:775(1987 )、(この開示内容は参考のため本明細書に引用される))からのトリプトファ ンの4つの可能な側鎖角を、MDシミュレーションの初期配向として使用した。 同じ数のタンパク質原子と水分子を各コンフォメーションで使用した。 野生型と突然変異タンパク質の間の形質転換は、ハイブリッドポテンシャル関 数Vλ=(1−λ)VA+λVB(ジェイ・ガオ(Gao,J.)ら、Science 244:1069(1989)およびビー・チドー(Tidor,B.)ら、Bio chemistry 30:3217(1991)、これらの開示内容は参考の ため本明細書に引用される)(ここでλは、0と1の間のカプリング因子である )を使用して行われる。VAとVBは、それぞれHbAと突然変異ヘモグロビンの カプリング因子である。シミュレーションは9つのλi(λ=0.1、0.2、 .....0.9)で行い、5psの平衡化の後に5psの製造動力学を用いて 、但しλ=0.1とλ=0.9では10psの平衡化を用いて、行った。非結合 相互作用は8.5Åでゼロまで端を切り取り、一定の誘電率(ε=1)を使用し た。水素原子が関与するすべての結合は、ジェイ・ピー・ライケート(Ryckaert ,J.-P.)ら、J.Comput.Phys.23:327(1977)、この開 示内容は参考のため本明細書に引用される)のシェーク(SHAKE)アルゴリ ズムにより束縛した。10psのシミュレーションは、lfsの組み込み時間で サンスパーク(SunSparc)ワークステーション10で約2時間かかる。 シミュレーションの自由エネルギーは、ジェイ・ジー・カークウッド(Kirkwo od,J.G.)、J.Chem.Phys.3:300(1935)(この開示内容 は参考のため本明細書に引用される)の記載した熱力学的組み込み法を使用して 、ヘモグロビンのデオキシ型とオキシ型の両方についてMDシミュレーションの 軌跡ファイルから、式: (式中、ΔV=VB−VAであり、熱力学的平均<ΔV>λはハイブリッド系にわ たるVλの平均を示す)を用いて得ることができる。熱力学的式の線形型は、シ ミュレーションの総自由エネルギーは各付加的寄与に分解しできることを示す。 突然変異に帰因する協同性の自由エネルギーの変化は、すでにジェイ・ガオ(Ga o,J.)ら、Science 244:1069(1989)により示されたよ うに、熱力学的サイクルから間接的に得られる。 構造解析を行うために、野生型(λ=0)と突然変異系(λ=1)の平均構造 は、シー・エル・ブルークス(Brooks,C.L.)ら、P.Phys.Chem.9 :6680(1986)(この開示内容は参考のため本明細書に引用される) の指数式: (式中、Xはデカルト座標を示し、X0とX1はシミュレーション平均野生型と突 然変異座標を示し、それぞれβ=1/kBT、および<>λはポテンシャルVλ 下の合計平均である)を用いてシミュレーション(それぞれ、λ=0.1および λ=0.9)された最も近い状態から計算した。 B.結果 rHb(α96Val→Trp)の生化学的性質 前述のように、プラスミドpHE202を有する大腸菌(E.coli)JM10 9の超音波処理した細胞から発現されたrHb(α96Val→Trp)のモノ Sクロマトグラフィーにより、図1に示すようにモノSカラムクロマトグラフィ ー上で2つの主要なピーク(ピークaとb)が得られた。対照的なピーク(ピー クa)がまず出てきて、次に2つの重複するピーク(ピークb1とb2)が出てく る。モノSクロマトグラフィーによりこうして得られたピークは、以後「ピーク a」、「ピークb1」、「ピークb2」と呼ぶ。CO型のこれらのピークのすべて は、HbAに等しい350〜700nmの範囲で可視の光学的スペクトルを示す( 結果は示していない)。 前述のように行った電子噴霧質量スペクトルは、図2に示すように、すべての 3つのピークのアミノ末端メチオニン残基は、同時発現されるMet−APによ り有効に切断されていることを示す。ピークaについては、α鎖の少なくとも9 8%は質量15,213(これは、トリプトファン残基によるバリン残基の置換 についての計算値である)を有し、および約90%までのβ鎖は質量15,86 7(これは、HbAのβ鎖の計算された質量である)を有する。その質量(15 ,998)が正常のβ鎖+メチオニン残基の質量に対応する小さな成分(<10 %)がある。しかし、ピークb1とピークb2については、α鎖とβ鎖の両方とも 検出されない(<2%)N−末端メチオニンとともに正しい質量を有する。rHb(α96Val→Trp)の1H−NMR試験 i.CO型から第二鉄型への変換、次にヘモグロビンのCO型へ戻る変換 pHE202/JM109由来の各CO型とHbCO AのモノS精製したr Hbs(α96Val→Trp)の3つのすべてのピーク(a、b1、およびb2 )の環電流シフト1H共鳴の比較を、図3Aに示す。スペクトルは、前述のよう にその各CO型に変換された、29℃でpH7.0の0.1Mリン酸塩水溶性中 の4%rHbs(α96Val→Trp)と4%HbAを用いて得られた。図3 Bのスペクトルを得るために、すべてのヘモグロビンはそのCO型からFe3+状 態に変換し、CO型に戻した。DSSから0〜2.0の1H共鳴は、ヘモグロビ ン分子とポルフィリンのヘムポケットの近傍に位置するアミノ酸残基のいくつか のプロトンに由来する(シー・ホー(Ho,C.)ら、Advanc.Protei n Chem.43 :153(1992)(この開示内容は参考のため本明細書 に引用される))。図3Aから明らかなように、ピークa、b1、 およびb2からのrHbCO(α96Val→Trp)の環電流シフト1H共鳴は すべて、HbCO Aのそれとは少し異なる。またHbCO Aには見られない 追加の共鳴ならびにDSSから0〜−1.1ppmの領域上にいくつかの共鳴の強 度の変化がある。しかし、ピークaからのHbCO Aのα鎖とβ鎖のE11V al(遠位Val)のγ2−メチル基に割り当てられている−1.7〜−1.8p pmの共鳴(ティー・アール・リンドストローム(Lindstrom,T.R.)ら、Bio chemistry 11:1677(1972)およびシー・ダルビット(Da lvit,C.)ら、Biochemistry 24:3398(1985)、これ らの開示内容は参考のため本明細書に引用される)は、HbAのそれと基本的に 同じであるが、ピークb1とピークb2からの共鳴ははるかに大きい。 大腸菌(E.coli)中のヘモグロビン発現プラスミドpHE2を使用する、発 現されたグロビンへのヘムの正しい挿入の現象は、ティー・ジェイ・シェン(Sh en,T.-J.)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:81 08(1993)で考察されている。かれらは、酸化および還元工程によるrH bの精製成分の1つのヘムポケットの未変性のHbAのそれへの変換を記載した 。同様に、rHb(α96Val→Trp)の異常1H共鳴をヘモグロビンの未 変性型のそれへ変換する可能性を本発明において検討した。すべての3つのピー クからのrHb(α96Val→Trp)を、まずその各第二鉄状態に酸化し、 次に前述のように各CO型またはオキシ型に還元して戻した。図3Bに示すよう に、酸化と還元工程後のすべての3つのピークからのこのような「変換されたヘ モグロビン」は、変換前のピークaからのrHb(α96Val→Trp)のそ れと同様である、同一のNMRスペクトル(各遠位バリンの環境は同じである) を示す(図3)。これは、rHb(α96Val→Trp)のピークaは、正し いヘムコンフォメーションとサブユニット界面を有することを示唆する。従って 特に明記しない場合は、ピークaからのrHb(α96Val→Trp)は、本 明細書に記載のすべてのさらなる研究に使用された。 ii.ヘム環境とサブユニット界面 前述のように図4Aと4Bの1H−NMRスペクトルは、ピークaからのpH E202/JM109から、pH7.0の0.1Mリン酸塩水溶性中の4%モノ S精製したrHb(α96Val→Trp)および4%HbA(いずれもデオキ シ型)について得られた。図に記載のように、図4Aスペクトルは、29℃で得 られ、図4Bのスペクトルは29℃と36℃で得られた。近位ヒスチジン残基の 超微細シフトNδH交換可能なプロトン共鳴を、図4Aに示す。図4Aについて 、〜63ppmの共鳴は、デオキシ−HbAのβ鎖の近位His残基(α87Hi s)の超微細シフトNδH交換可能なプロトンに割り当てられ、〜77ppmの共 鳴は、デオキシ−HbAのβ鎖(β92His)の対応する残基に割り当てられ た(エス・タカハシ(Takahashi,S.)ら、Biochemistry 19: 5196(1980)、およびジー・エヌ・ラ・マール(La Mar,G.N.)ら、 iochem.Biophys.Res.Commun.96 :1172(19 80)、これらの開示内容は参考のため本明細書に引用される)。rHb(α9 6Val→Trp)のピークa中のこれらの2つの近位ヒスチジン共鳴の化学シ フト位置は、図4Aで見られるHbAのそれと同じである。これは、rHb(α 96Val→Trp)の近位ヒスチジンのまわりに摂動がないことを示す。 デオキシ型のピークaのrHb(α96Val→Trp)とHbAの第一鉄超 微細シフトおよび交換可能なプロトン共鳴を、図4Bに示す。超微細シフト共鳴 は、ヘム−鉄原子中のプロトンとFe(II)の対になっていない電子の間の超微 細相互作用により、ヘム基とその近くのアミノ酸残基のプロトンに由来する。2 9℃のピークaからのrHb(α96Val→Trp)の超微細シフト共鳴は、 DSSから〜22.5と〜18.7ppmの共鳴(デオキシ−HbAのβ鎖に関連 するプロトンに割り当てられている)(タカハシ(Takahashi)ら、1980) およびDSSから〜17ppmの共鳴(デオキシ−HbAのα鎖に関連するプロト ンに割り当てられている)(タカハシ(Takahashi)ら、1980)の周りのい くつかの化学シフト変化を、29℃でのHbAのそれと比較して示す。DSSか ら11〜14ppmのスペクトル領域上の交換可能な1H共鳴は、HbAのデオキシ −四次構造の優れたマーカーであることが知られている(シー・ホー(Ho,C.) ら、Advanc.Protein Chem.43:153(1992))。 〜14ppmの共鳴は、α42Tyrとβ99Aspの間のサブユニット間水素結 合(デオキシ−四次(T)構造の特徴)に割り当てられている(エル・ダブリュ ー・エム・フング(Fung,L.W.-M)ら、Biochemistry 14:25 26(1975)、この開示内容は参考のため本明細書に引用される)。図4B に見られるように、デオキシ型のピークaからのHbAとrHb(α96Val →Trp)の間のDSSから〜14ppmの共鳴には顕著な差がなく、これは、デ オキシ型のこのα1β2サブユニット間水素結合は、突然変異により影響を受けな いことを示している。 rHb(α96Val→Trp)では、図4Bに見られるように29℃でDS Sから〜12.6ppmに新しい共鳴が現れ、これはデオキシ−HbAには存在し ない。しかし、高温(36℃)で1H−NMRスペクトルをとった時、DSSか ら〜12.6ppmでの共鳴はシフトした。温度感受性の化学シフト位置は、この 新しい共鳴は、交換可能な共鳴であるより超微細シフト共鳴である可能性を示し ている(ジェイ・ピー・ジェッソン(Jesson,J.P.)ら、J.Chem.Phy s.47 :579(1967);アール・ジェイ・カーランド(Kurland,R.J. )ら、J.Magn.Reson.2:286(197):エム・イー・ジョン ソン(Johnson,M.E.)ら、J.Am.Chem.Soc.99:1245(1 977)、これらの開示内容は参考のため本明細書に引用される)。 以上の結果は、MDシミュレーションが野生型(HbA)から突然変異ヘモグ ロビン(α96Val→Trp)への形質転換にうまく応用できることを示して いる。 iii.結合状態を変化させない四次構造のスイッチング イノシトール六リン酸(「IHP」)(シグマ(Sigma))の存在下でのCO 型のrHb(α96Val→Trp)の交換可能なプロトン共鳴は、HbAのそ れに比較してある非常に興味深く独特の特徴を示す。pH7.0で0.1Mリン 酸水溶液中の10mM IHPの存在下で300MHzで、pHE202/JM10 9ピークから得られる4%rHbCO(α96Val→Trp)および4%Hb CO Aの1H−NMRスペクトルが得られた。10、21、20、および36 ℃でスペクトルが得られた。図5Aと5Bは、それぞれrHbCO(α96Va l→Trp)とHbCO Aの交換可能なプロトン共鳴を示す。図5Cと5Dは 、それぞれrHbCO(α96Val→Trp)とHbCO Aの環電流シフト 共 鳴を示す。 オキシ−四次(R)構造(α94Aspとβ102Asnの間のサブユニット 間水素結合)(エル・ダブリュー・エム・フング(Fung,L.W.-M.)ら、Bio chemistry 14:2526(1975);ビー・シャーナン(Shaana n,B.)、J.Mol.Biol.171:31(1983)、これらの開示内 容は参考のため本明細書に引用される)の特徴であるDSSから〜10.7ppm の共鳴は、IHPの存在下では、29℃でのrHbCO(α96Val→Trp )の1H−スペクトルにおいて消失している(図5A)。その代わりに図5Aは 、HbCO A(図5B)に比較すると、デオキシ−四次(T)構造(α42T yrとβ99Aspの間のサブユニット間水素結合)(フング(Fung)ら、19 75;ジー・フェルミ(Fermi,G.)ら、J.Mol.Biol.175:15 9(1984)、この開示内容は参考のため本明細書に引用される)の特徴であ るDSSから〜14ppmの共鳴が出現していることを示す。 図5に関して後述されるように、強力なアロステリックエフェクターであるI HPの存在は、rHb(α96Val→Trp)のデオキシ型を安定化し、従っ て平衡をデオキシ型にシフトさせ得るようである。α1β2とα2β1サブユニット 界面における新規な水素結合の存在は、さらに安定性を付与して、特に低い温度 で、IHPの存在下で非常に容易に四次構造遷移をデオキシ−四次構造に向ける ことができる。 図5Aにおいて、rHb(α96Val→Trp)のスペクトルのDSSから 〜14ppmの共鳴の強度は、温度が29から10℃に低下するにつれて、徐々に 増大する。36℃で、DSSから〜14ppmの共鳴は消失し、そしてオキシ−四 次(R)構造の特徴であるDSSから〜10.7ppmの共鳴は、肩(shoulder) として再出現する。10℃の〜14ppmの共鳴の相対強度は、rHb(α96V al→Trp)のデオキシ型における交換可能な共鳴のそれと同等である。DS Sから〜14ppmのこの共鳴の化学シフト位置は、温度により変化せず、このこ とは、この共鳴の由来が、超微細シフトするのではなく交換可能であることを示 唆している。DSSから〜14ppmの共鳴の出現は、〜11から〜24ppmの超微 細シフト共鳴の出現に伴うものではなく、このことは、ヘム鉄がなお低スピン の反磁性状態(すなわち、リガンド結合型)にあることを示している。デオキシ −(T−)およびオキシ−(R−)四次構造の特徴である共鳴の温度による強度 の変化は、可逆的である。 図5Bは、図5AにおいてrHbCO(α96Val→Trp)について観察 されるのとは対照的に、温度の関数としての10mM IHP中のHbCO Aの 交換可能なプロトン共鳴にはほとんど変動がないことを示している。10℃にお いてさえ、HbCO Aについては〜14ppmに非常に小さなシグナルが見られ るのみであり、rHbCO(α96Val→Trp)のそれと強度を比較して非 常に異なっている。21℃や29℃のような中間の温度では、IHPの存在下の rHbCO(α96Val→Trp)の交換可能なプロトン共鳴は、オキシ−四 次構造の特徴である〜10.7ppmの共鳴は基本的に消失するが、デオキシ−四 次構造の特徴である〜14ppmの共鳴は非常に弱い強度を示すことを、示してい る。これらの結果は、〜10.7ppmの共鳴により明示されるようにα94As pとβ102Asnの間の水素結合を失っているが、〜14ppmの共鳴により明 示されるようにα42Aspとβ99Aspの間の水素結合が未だ形成されてい ない、中間の四次構造が存在するかもしれないことを示唆している。本発明のこ のrHbCO(α96Val→Trp)は、強力なアロステリックエフェクター であるIHPの添加のみにより、および/または温度の低下により、結合状態を 変化させることなくデオキシ−様四次構造に緩やかに変換することができる。 10mM IHPの存在下のCO型のrHb(α96Val→Trp)およびH bAの環電流シフトプロトン共鳴はまた、図5Cと5Dに示されるように異なる 温度で比較した。rHbCO(α96Val→Trp)のDSSから0〜−1. 1ppmの領域にわたる共鳴の相対強度および化学シフト位置は、HbAのそれら が相対的にほとんど変化しないのに対して、温度によりかなりの変化が見られた 。HbCO Aのαおよびβ鎖のEllVal(遠位バリン)のγ2−メチル基 (ティー・アール・リンドストロム(Lindstrom,T.R.)ら、Biochemi stry 11:1677(1972);シー・ダルビット(Dalvit,C.)ら、Biochemistry 24:3398(1985)、これらの開示内容は 参考のため本明細書に引用される)に割り当てられるDSS から−1.7〜−1.8ppmの共鳴は、rHb(α96Val→Trp)および HbAの両方のCO型において低温で1つのピークに合体する。rHb(α96 Val→Trp)のDSSから−11.7〜−1.8ppmの共鳴は、HbAのそ れよりもはるかに広幅化していることが判る。DSSから0〜−1.1ppmの領 域にわたる共鳴の相対強度および化学シフト位置における変化、およびrHb( α96Val→Trp)の−1.7〜−1.8ppmの共鳴の広幅化は、HbAで は観察されない構造の遷移を反映するものと考えられる。 IHPが存在が無しで、pH7.0の0.1Mリン酸水溶液中で300MHzで 、ピークaからの4%rHbCO(α96Val→Trp)および4%HbCO Aの1H−NMRスペクトルも得られた。異なる温度におけるIHPの非存在 下のCO型のrHb(α96Val→Trp)およびHbAの交換可能なプロト ン共鳴で得られたスペクトルを図6Aと6Bにおいて比較する。温度が低下する につれて、DSSから〜14ppmの共鳴は、IHPの非存在下のrHb(α96 Val→Trp)で出現するが、一方HbAでは10℃でもDSSから〜14pp mの共鳴の出現は見られない。図6Cと6Dは、IHPの非存在下の、それぞれ CO型のrHb(α96Val→Trp)とHbCO Aの環電流シフト共鳴を 示す。これらの図はまた、温度に依存するスペクトル変化を示す。 rHbCO(α96Val→Trp)のDSSから0〜−1.1ppmの領域に わたる共鳴の相対強度および化学シフト位置は、温度により大きな変化が見られ たが、HbCO Aのそれらはほとんど変化しなかった。低温における、デオキ シ−四次構造の特徴であるDSSから〜14ppmの交換可能な共鳴の出現(図6 Aと6B)、およびrHbCO(α96Val→Trp)のDSSから0〜−1 .1ppmの環電流シフト領域にわたる共鳴の相対強度および化学シフト位置(図 6Cと6D)は、IHPの非存在下でもデオキシ−四次構造変換が起こることを 示唆している。rHb(α96Val→Trp)の酸素結合性 pH7.0の0.1Mリン酸中の、pHE202/JM109(ピークa、b1 、およびb2)から得られるrHbCO(α96Val→Trp)の3つのピー クの0.1mMの各Hbを、セファデックス(Sephadex)G−75のカラムに 適用した。それぞれ、HbO2 Aに対応する位置で対称性ピークとして溶出し 、このことは、オキシ型のrHb(α96Val→Trp)の3つの全ての型が 、本実験条件下で四量体であることを示している(結果は示していない)。 pHの関数としてのrHb(α96Val→Trp)のピークa、b1、およ びb2の酸素結合性を、前述のように検討した。簡単に述べると、29℃でpH 範囲6.3〜8.9で0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液中で使用される0.1mM 濃度の各特定のHbにより酸素解離データを得た。50%飽和(P50)のO2分 圧は、各曲線から求めた。図7Aのデータは、pHE202/JM109から得 たモノS(Mono S)精製画分、pHE202/JM109からのピークa、b1 、およびb2およびHbAから得た。図7Bのデータは、pHE202/JM1 09から得たモノS(Mono S)精製画分、ピークa、b1、およびb2およびHb Aから得たが、これらは、前述のように、各CO型からFe+3型に変換し、次に CO型に戻る。図7Aと7Bの両方について、HbAは(○);ピークaからの rHb(α96Val→Trp)は(■);ピークb1からのrHb(α96V al→Trp)は(△);そしてピークb2からのrHb(α96Val→Tr p)は(+)である。図7Aと7Bに見られるように、ピークb1とb2からのr Hb(α96Val→Trp)は、酸化と還元の過程の前のHbAと同様なP50 (50%飽和のO2分圧)値を示し、これに対して、ピークaからのrHb(α 96Val→Trp)およびピークb1およびb2からの「変換された」Hbは、 著しく低い酸素親和性を示す。 pHE202/JM109から得たモノS(Mono S)精製ピークa、b1、お よびb2並びにHbAについて、両方のそれぞれその非修飾型、さらにはその各 CO型からそのFe+3状態に変換し次にそのCO型に戻した型の、ヒル係数(nmax )を求めた。酸素解離データは、前述のように得られた。簡単に述べると、 各Hb試料のデータは、29℃でpH範囲6.5〜8.4の0.1Mリン酸ナト リウム中の0.1mM濃度のHbにより得られた。各曲線からヒル係数を求めた。 図8Aは、種々の非修飾ヘモグロビンから得られたデータを示し;図8Bは、C O型からFe+3状態に変換し、次にそのCO型に戻したヘモグロビンから得られ たデータを示す。両方の図において、HbAは(○);ピークaからのrHb (α96Val→Trp)は(■);ピークb1からのrHb(α96Val→ Trp)は(△);そしてピークb2からのrHb(α96Val→Trp)は (+)である。 図8Aと8Bから、ピークaからのrHb(α96Val→Trp)および「 変換された」Hbが、約90%のHbAのボーア効果(Bohr effect)(Δlo gP50/ΔpH)を示し、HbAが約3であるのに対してpHによって約2.2 〜2.6のnmax値の協同性を示すことが判る。 下記の表1は、pHE202/JM109から得たピークaからのrHb(α 96Val→Trp)、rHbA(ティー・ジェイ・シェン(Shen,T.-J.)ら 、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:8108(1993 )に従って我々の研究室で調製した)、HbA、および5mMの2,3−DPGの 存在下のHbAについて、P50およびnmaxの値を比較する。すなわち、rHb (α96Val→Trp)の独特の構造により、アロステリックエフェクターが 存在しないときでさえ、アロステリックエフェクターの存在下のHbAと同等の 性質を有すると考えらる。 また、酸素解離データは、pH7.4で29℃の0.1Mリン酸ナトリウム緩 衝液中の0.1mMの以下の各ヘモグロビン試料により得られた。曲線は、HbA 、rHb(α96Val→Trp)(pHE202/Jm109)、2mM 2, 3−DPGの存在下のrHb(α96Val→Trp)、および2mM IHPの 存在下のrHb(α96Val→Trp)について求めた。結果は図9に示す。 低い酸素親和性と高い協同性に加えて、ピークaからのrHb(α96Val→ Trp)の酸素結合曲線は、独特の酸素結合性を示す。非常に低い酸素圧では、 2,3−DPGまたはIHPのようなアロステリックエフェクターの存在下のピ ークaからのrHb(α96Val→Trp)の酸素結合は、二相性曲線を示す 。 ピークaからのrHb(α96Val→Trp)およびHbAの酸素親和性( P50)およびヒル係数(nmax)に及ぼす温度の影響は、ぞれぞれ図10Aと1 0Bにおいて比較される。 種々のHb試料の酸素解離データは、前述のように、pH7.4の0.1Mリ ン酸ナトリウム緩衝液中の0.1mM濃度の各Hb試料により得られた。温度は、 16、20、25、29、および37℃とした。P50およびヒル係数(nmax) は、各曲線から求めた。HbA(○);ピークaからのrHb(α96Val→ Trp)(pHE202/JM109)(△);2mM IHPの存在下のrHb (α96Val→Trp)(pHE202/JM109)(+);および2mM IHPの存在下のHbA(□)のデータを得た。図10Aは、酸素親和性(P50 )を示し;図10Bは、ヒル係数(nmax)を示す。 図10Aに示されるように、酸素親和性は、温度が低下するにつれて、IHP が存在してもIHPが存在しなくとも、rHb(α96Val→Trp)および HbAにおいて有意に増大している。しかし、図10Bは、rHb(α96Va l→Trp)およびHbAのnmax値が、温度の関数としてあまり変化しないこ とを示している。15〜37℃の温度範囲にわたって、rHb(α96Val→ Trp)およびHbAは、約2.0〜2.9のnmax値の協同性を示す。 B.プラスミドpHE702 発現プラスミドpHE702の作成 同様のα96Val→Trp突然変異を、オリゴヌクレオチド5’−AGCT TGAAGTTCCATGGGTCCACCC−3’(ディーエヌエー・インタ ーナショナル社(DNA International,Inc.)、レーク・オスウェゴ(Lake Osw ego)、オレゴン州)によりプラスミドpHE7中に導入して、報告された方法 (ティー・エム・クンケル(Kunkel,T.M.)、1985、Proc.Natl. Acad.Sci.USA 82:488−492;ティー・ジェイ・シェン( Shen,T.-J.)ら、1993、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:8108)によりプラスミドpHE702を形成した。 プラスミドpHE7は、ヒトα−およびβ−cDNAと大腸菌(E.coli)M et−AP遺伝子を同時発現するプラスミドである。これは、前述のpHE2と 同じ方向にタンデムに配列された2つの発現カセットを含む:(i)tacプロ モーター−大腸菌(E.coli)Met−APコード配列−5ST1T2ターミネ ーター、および(ii)tacプロモーター−α−グロビンcDNAコード配列− β−グロビンcDNAコード配列−5ST1T2ターミネーター。 プラスミドpHE702は、(1)合成ヒトα−グロビン遺伝子をヒトα−グ ロビンcDNAに置き換え;(2)合成ヒトβ−グロビン遺伝子をヒトβ−グロ ビンcDNAに置き換え;そして(3)大腸菌(E.coli)Met−APコード 配列を、プラスミドpSYC1174からではなく大腸菌(E.coli)ゲノムD NAから直接得た以外は、前述のようにpHE2を作成するのに使用されるのと 同様の方法で作成した。 ヒトα−グロビンcDNAコード配列は、pKT218−αc(エール大学の ビー・ジー・フォーゲット(B.G.Forget)から供与されたが、希望すれば入手 可能である)を鋳型として、2つの合成プライマー5’−GAGAACCCCA TATGGTGCTGTCTCCTGCC−3’および5’−CCGAGGCA CTAGTTTAACGGTATTTGGAGGTC−3’(両方ともディーエ ヌエー・インターナショナル社(DNA International,Inc.)から)(これらは 、ヒトα−グロビンcDNAの5’−および3’−末端配列に相補的であり、そ れぞれNdeI部位およびSpeI部位を含む)を用いてPCRにより得られた 。 ヒトβ−グロビンcDNAコード配列は、グローベ(Groebe)ら(Prote in Expression and Purification :134(1992))のプロトコールにより作成したpβを鋳型として、 2つの合成プライマー5’−CAAACAGACCATATGGTGCACCT GACTCCTGAGGAG−3’および5’−AGCAAGAATGCATG CTTAGTGATACTTGTGGGCCAGG−3’(両方ともディーエヌ エー・インターナショナル社(DNA International,Inc.)から)(これらは、 ヒトβ−グロビンcDNAの5’−および3’−末端配列に相補的であり、それ ぞれNdeI部位およびNsiI部位を含む)を用いてPCRにより得られた。 大腸菌(E.coli)Met−AP遺伝子のコード配列は、大腸菌(E.coli)ゲ ノムDNAを鋳型として、2つの合成プライマー5’−TGGACAGAATT CCATGGCTATCTCAATCA−3’および5’−TGGCTTAAG CTTATTCGTCGTGCGAG−3’(両方ともピッツバーグ大学のDN A合成施設から)(これらは、大腸菌(E.coli)Met−AP遺伝子の5’− および3’−末端配列に相補的であり、それぞれEcoRI部位およびHind III部位を含む)を用いてPCRにより得られた。pH702/JM109と名 付けた、宿主細胞大腸菌(E.coli)JM109中のプラスミドpHE702は 、1995年4月26日にATCC 69793の番号で、メリーランド州ロッ クビル(Rockville)のアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(Ameri can Type Culture Collection)に寄託した。プラスミドpHE202およびpHE702からのrHb(α96Val→Tr p)の比較 pHE702を有する大腸菌(E.coli)JM109の増殖条件は、pHE2 02について前述したものと同一である。pHE702から得られるrHb(α 96Val→Trp)の収率は、前述のpHE202から得られるrHb(α9 6Val→Trp)の約50%である。上記のように、pHE702はヒト遺伝 子から作成したため、他の発現系の使用が有利かもしれない。pHE702から 得たrHb(α96Val→Trp)の溶出プロフィールは、モノS(Mono S) クロマトグラフィー後に2つのピーク(ピーク1およびピーク2と呼ぶ)を与え る(結果は示していない)。同様に、pHE202から得たrHb(α96Va l→Trp)について前述した他の全ての分析法を、pHE702から得られた ヘモグロビンにも同様に実施した。 2つの異なるプラスミドpHE202とpHE702から得た酸素親和性が低 いrHb(α96Val→Trp)の機能上および構造上の性質の両方を比較し た。pHE202から得たrHb(α96Val→Trp)の詳細な説明は前述 されている。pHE202およびpHE702から得たrHb(α96Val→ Trp)を前述のように酸化して還元し、pH6.8と7.4で29℃で0.1 Mリン酸ナトリウム中でP50およびnmax値を測定して、HbAと比較した。下 記表2に、pH6.8と7.4の、HbA、pHE202から得たrHb(α9 6Val→Trp)、およびpHE702から得たrHb(α96Val→Tr p)の酸素結合性を要約する。両方のプラスミドから得たrHb(α96Val →Trp)が示す機能性は本質的に同一であることは明らかである。 図11は、詳細には前述のように、pH7.0で29℃で実施した0.1Mリ ン酸塩中のCO型のHbAおよびpHE202とpHE702から得たrHb( α96Val→Trp)の1H−NMRスペクトルを示す。図11Aは、CO型 のHbAおよびpHE202(ピークb2)とpHE702(ピーク2)から得 たrHb(α96Val→Trp)の交換可能なプロトン共鳴を示し、図11B は、環電流シフトプロトン共鳴を示す。両方のセットの1H−NMR結果は、こ れら2つのrHb(α96Val→Trp)の間で1H−NMRスペクトルに観 察可能な差がないことを示している。すなわち、pHE202とpHE702か ら得たrHb(α96Val→Trp)の間に観察可能な構造上または機能上の 差がないことが結論される。 C.MDシミュレーション デオキシHbAの結晶構造中の2つのα96Val残基のCαの間の距離は、 10.3オングストロームである(ジー・フェルミ(Fermi,G.)ら、J.Mo l.Biol.175 :159(1984)、この開示内容は参考のため本明細 書に引用される)。rHb(α96Val→Trp)のα96位に位置するトリ プトファン残基の大きさにより、rHb(α96Val→Trp)の安定性が、 トリプトファン残基の側鎖角の配向に強く依存するであろうことが予測される。 デオキシ型の最初のコンピュータモデルは、回転異性体ライブラリー(ジェイ・ ダブリュー・ポンダー(Ponder,J.W.)ら、J.Mol.Biol.193:7 75(1987)、この開示内容は参考のため本明細書に引用される)からの1 0%を超える発生率を示すトリプトファンの4つの側鎖角の中で、側鎖角χ1= 64.8およびχ2=−88.9(20.7%)を有するトリプトファンのみが 、安定なコンホメーションを与えることを示している。他の3つのトリプトファ ンコンホメーションは、全て相互に向き合い、好ましくない非結合相互作用を与 えている。 野生型および変異型Hbの間の形質転換は、トリプトファン残基の4つ全ての 可能な側鎖角で行われた。デオキシ型の平均模擬構造における2つのα鎖におけ るNε1 Trp96残基の間の距離および各α96Trp残基の側鎖角を、下 記表3に要約する。 χ1=64.8およびχ2=−88.9の最初のトリプトファン側鎖角からの模 擬構造のみが、相対的に対称なコンホメーションの両方のα96Trpを示す。 このコンホメーションにおける両方のα96Trp残基の側鎖角は、相対的によ く保存されており、2つのα96Trp残基のNε1間の距離は、α96Trp 残基が十分に分離されているため、相互に影響しないことを示している。これら の結果は、χ1=64.8およびχ2=−88.9のトリプトファン側鎖角が、天 然のコンホメーションに最も近いことを示唆している。 すなわち、協同性の自由エネルギーの計算のため、自由エネルギーのシミュレ ーションの分析を容易にするために、このrHbのデオキシおよびオキシ型の両 方の結晶構造のβ99AspのCβの質量座標の中心を中心とする球上で、χ1 =64.8およびχ2=−88.9の側鎖角によりMDシミュレーションを行っ た。この球は、計算目的のため1つだけのα96Trp残基を含む。 デオキシ型のHbAおよびrHb(α96Val→Trp)の平均模擬構造を 、ペンシルバニア州ピッツバーグのピッツバーグスーパーコンピューティングセ ン ター(Pittsburgh Supercomputing Center)で開発された分子グラフィクスプロ グラムのグラフエックス(GRAPHX)により準備した。これらの側鎖角からのデオ キシ型の平均模擬構造は、β99Aspとα42Tyr間およびβ99Aspと α97Asn間に存在する水素結合に加えて、α96Trpとβ99Asp間の 新規な界面水素結合を示唆する。さらに、デオキシ型の形質転換した変異体Hb (α96Val→Trp)の100−ps MDシミュレーションは、α1β2サブ ユニット界面のこれらの水素結合が、非常に安定であることを示唆しており、す なわち、2.25±0.19オングストロームの平均模擬距離であり、そしてそ れぞれα42Tyrとβ99Asp間は2.32±0.22オングストローム、 α97Asnとβ99Asp間は2.22±0.34オングストロームである。 rHb(α96Val→Trp)の協同性の自由エネルギーの実験による測定 値はないが、HbAに十分匹敵するrHb(α96Val→Trp)の相対的に 高いヒル係数(pH7.4でnmax=2.6)は、rHb(α96Val→Tr p)の協同性の自由エネルギーが、HbA(pH7.4でnmax=3.0)の協 同性の自由エネルギーに近いことを示唆している。rHb(α96Val→Tr p)とHbAの間の協同性の自由エネルギーにおける差の計算値は、下記表4に 示されるように、界面当たり−1.5kcal/molであり、これは、HbAよりわず かに低い協同性を有するHbのほぼ期待値である(ジー・ジェイ・ターナー(Tu rner,G.J.)ら、Proteins14 333(1992)、この開示内容 は参考のため本明細書に引用される)。 すなわち、MDシミュレーションの結果は、協同性の全自由エネルギーに寄与 する特異的な相互作用に関する情報を得るために有利に使用することができる。 協同性の全自由エネルギーへの個々のアミノ酸の寄与も表4に示される。多くの 個々のアミノ酸は、1.0kcal未満の寄与であり、このことは、α1β2界面に導 入されるトリプトファンが、大きなコンホメーション変化を引き起こさないこと を示している。協同性の全自由エネルギーへの最も大きな寄与は、β99Asp との相互作用(14.8kcal)に由来し、これは恐らくデオキシ構造における 安定化からもたらされる(−12.2kcal)。これらの結果は、α96Trpと β99Aspの間の新規な水素結合が、このrHbのデオキシ構造の安定化を担 当しうることを示唆している。 本発明のrHb(α96Val→Trp)は、本分子の二量体への解離を防止 するために、代替血液または治療薬の成分として使用する前に、架橋する必要が ある。赤血球中の事実上全てのヘモグロビンは四量体状態にあるが、代替血液の ように細胞から遊離して循環するヘモグロビンは、腎臓の糸球体膜の閉塞、さら には注入した四量体ヘモグロビンの循環からの連続排出を引き起こす程度まで、 二量体に解離することがある。ヘモグロビンは、解離によるクリアランスを防止 するために架橋する必要がある。 ヘモグロビンは、α鎖の間を、ジイソチオシアナトベンゼンスルホネートなど により、ヘモグロビン四量体内を、ピリドキサールや誘導体およびアシルリン酸 類などにより、架橋してもよい。アール・エム・ウィンスロウ(Winslow,R.M. )ら編、「代替血液、有効性の生理学的基礎」(Blood Substitutes Physiologic al Basis of Efficacy) (バークハウザー(Birkhaeuser)、ボストン、マサチュ ーセッツ州)、82−84頁(1995)を参照のこと(この開示内容は参考の ため本明細書に引用される)。また、アール・エム・ウィンスロウ(Winslow,R .M.)、「ヘモグロビンに基づく代替赤血球」(Hemoglobin-Based Red Cell Sub stitutes) (ジョンズ・ホプキンス大学出版(Johns Hopkins University Press )、ボルチモア、メリーランド州);エル・アール・マニング(Manning,L.R. )ら、Biochemistry 27:6640(1988);アール・イー ・ベネシュ(Benesch,R.E.)ら、Biochem.Biophys.Res. Comm.156 :9(1988);イー・ブッチ(Bucci,E.)ら、J.Bio l.Chem.264 :6191(1989);ティー・エム・エス・チャン( Chang,T.M.S.)ら編、代替血液に関する第2回国際シンポジウムの抄録(Proc eeding of II International Symposium on Blood Substitutes),Bioma ter.Artif.Cells Artif.Organs (1988);ア ール・クルーガー(Kluger,R.)ら、Biochemistry 31:755 1(1992);およびエフ・デベヌート(DeVenuto,F.)ら、Surg.Gynecol.Obstet.155 :342(1982)をも参 照のこと(これらの開示内容は参考のため本明細書に引用される)。 適切に架橋されている、精製された架橋rHb(α96Val→Trp)は、 次に当該分野で公知の方法により生理学的に許容しうるヘモグロビンに基づく代 替血液に組み込むことができる。アール・エム・ウィンスロウ(Winslow,R.M. )ら編、「代替血液、有効性の生理学的基礎」(Blood Substitutes Physiologic al Basis of Efficacy) (バークハウザー(Birkhaeuser)、ボストン、マサチュ ーセッツ州)(1995)を参照のこと(この開示内容は参考のため本明細書に 引用される)。 本発明は例示の目的で詳細に記載されているが、このような詳細な説明は、単 にその目的のためであり、当業者には本発明の精神と範囲から逸脱することなく 本発明の変法を行うことができ、そして本発明は請求の範囲により限定されるこ とは理解されたい。
【手続補正書】 【提出日】1998年7月29日 【補正内容】 請求の範囲 1.α鎖の96位のバリン残基がトリプトファン残基により置換されている、 天然に存在しない突然変異ヒトヘモグロビン。 2.健常成人ヘモグロビンに比較して低い酸素親和性を有する、請求の範囲第 1項記載のヘモグロビン。 3.酸素結合における高い協同性をさらに有する、請求の範囲第2項記載のヘ モグロビン。 4.組換え法で産生される、請求の範囲第3項記載のヘモグロビン。 5.rHb(α96Val→Trp)。 6.人工的突然変異ヘモグロビンを含む非毒性組成物からなる血液代替物又は 血液希釈剤。 7.健常成人ヘモグロビンに比較して突然変異ヘモグロビンは低い酸素親和性 を有する、請求の範囲第6項記載の血液代替物又は血液希釈剤。 8.突然変異ヘモグロビンはまた、酸素結合において高い協同性を有する、請 求の範囲第7項記載の血液代替物又は血液希釈剤。 9.突然変異ヘモグロビンは組換え法で産生される、請求の範囲第8項記載の 血液代替物又は血液希釈剤。 10.突然変異ヘモグロビンは、α鎖の96位でバリン残基の突然変異を含有す る、請求の範囲第9項記載の血液代替物又は血液希釈剤。 11.突然変異ヘモグロビンはrHb(α96Val→Trp)である、請求の 範囲第10項記載の血液代替物又は血液希釈剤。 12.発現可能なα−グロビンおよびβ−グロビン遺伝子からなる組換えDNA 発現プラスミドであって、α−グロビン遺伝子は突然変異、および別個のtac プロモーターの支配下でタンデムに配置された大腸菌(E.coli)のMet−A P遺伝子を含有し、該配列は、ヒトα−グロビンおよびβ−グロビン遺伝子およ びMet−AP遺伝子について別々に発現され、かつヘムを導入して、突然変異 以外は、未変性のHbAと基本的に同じアミノ酸配列およびヘムコンフォメーシ ョンを有する組換えヘモグロビンを形成する、上記プラスミド。 13.請求の範囲第12項記載のプラスミドであって、α−グロビン遺伝子は、 α鎖の96位のバリン残基は、発現されたタンパク質中でトリプトファン残基に より置換されているように突然変異される、上記プラスミド。 14.人工ヘモグロビンの製造方法であって、 請求の範囲第13項記載の発現プラスミドを、赤血球以外の適切な宿主に導入 し、形質転換細胞を増殖させる工程、 DNAを発現させて人工ヘモグロビンを産生させる工程、および ヘモグロビンを回収し精製する工程、 からなる上記方法。 15.宿主細胞は大腸菌(E.coli)である、請求の範囲第14項記載の方法。 16.プラスミドはpHE202である、請求の範囲第15項記載の方法。 17.プラスミドはpHE702である、請求の範囲第15項記載の方法。 18.薬剤学的に許容される担体中の天然に存在しない突然変異ヘモグロビンか らなる、非毒性薬剤組成物。 19.無細胞環境中のヘモグロビンは、健常成人ヘモグロビンより低い酸素結合 性を有する、請求の範囲第18項記載の組成物。 20.ヘモグロビンはrHb(α96Val→Trp)である、請求の範囲第1 9項記載の組成物。 21.プラスミドpHE202。 22.プラスミドpHE702。 23.無細胞環境中で、赤血球中の健常成人ヘモグロビンに匹敵する酸素結合性 を有する、人工突然変異ヒトヘモグロビン。 24.ヘモグロビンはα鎖の96位のバリン残基の突然変異を有する、請求の範 囲第23項記載のヘモグロビン。 25.バリン残基はトリプトファン残基で置換されている、請求の範囲第24項 記載のヘモグロビン。 26.組換え法で産生される、請求の範囲第25項記載のヘモグロビン。 27.rHb(α96Val→Trp)である、請求の範囲第26項記載のヘモ グロビン。 28.健常成人ヘモグロビンより低い酸素親和性を有することを特徴とする、分 子のα1β2サブユニット界面領域中に突然変異を有する、天然に存在しない低酸 素親和性突然変異ヘモグロビン。 29.アロステリックエフェクター2、3−DPGの存在下で健常成人ヘモグロ ビンに匹敵する酸素結合性を有する、天然に存在しない低酸素親和性突然変異ヘ モグロビン。 30.α鎖の96位のバリン残基はトリプトファン残基で置換されている、請求 の範囲第29項記載の突然変異ヘモグロビン。 31.表1に示す性質を有する、天然に存在しない突然変異ヘモグロビン。 32.プラスミドpHE202で形質転換される細胞から得られたrHb(α9 6Val→Trp)。 33.プラスミドpHE702で形質転換される細胞から得られたrHb(α9 6Val→Trp)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI (C12P 21/02 C12R 1:19) (C12N 1/21 C12R 1:19) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S Z,UG),AM,AT,AU,BB,BG,BR,B Y,CA,CH,CN,CZ,DE,DK,EE,ES ,FI,GB,GE,HU,IS,JP,KE,KG, KP,KR,KZ,LK,LR,LT,LU,LV,M D,MG,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT ,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,TJ, TM,TT,UA,UG,UZ,VN (72)発明者 シェン,トン−ジアン アメリカ合衆国 15213 ペンシルバニア 州 ピッツバーグ,アトウッド ストリー ト 337,アパートメント 2

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.α鎖の96位のバリン残基がトリプトファン残基により置換されている、 天然に存在しない突然変異ヒトヘモグロビン。 2.健常成人ヘモグロビンに比較して低い酸素親和性を有する、請求の範囲第 1項記載のヘモグロビン。 3.酸素結合における高い協同性をさらに有する、請求の範囲第2項記載のヘ モグロビン。 4.組換え法で産生される、請求の範囲第3項記載のヘモグロビン。 5.rHb(α96Val→Trp)。 6.人工的突然変異ヘモグロビンからなる非毒性組成物を投与することからな る、ヒト被験体の治療方法。 7.健常成人ヘモグロビンに比較して突然変異ヘモグロビンは低い酸素親和性 を有する、請求の範囲第6項記載の方法。 8.突然変異ヘモグロビンはまた、酸素結合において高い協同性を有する、請 求の範囲第7項記載の方法。 9.突然変異ヘモグロビンは組換え法で産生される、請求の範囲第8項記載の ヘモグロビン。 10.突然変異ヘモグロビンは、α鎖の96位でバリン残基の突然変異を含有す る、請求の範囲第9項記載の方法。 11.突然変異ヘモグロビンはrHb(α96Val→Trp)である、請求の 範囲第10項記載の方法。 12.発現可能なα−グロビンおよびβ−グロビン遺伝子からなる組換えDNA 発現プラスミドであって、α−グロビン遺伝子は突然変異、および別個のtac プロモーターの支配下でタンデムに配置された大腸菌(E.coli)のMet−A P遺伝子を含有し、該配列は、ヒトα−グロビンおよびβ−グロビン遺伝子およ びMet−AP遺伝子について別々に発現され、かつヘムを導入して、突然変異 以外は、未変性のHbAと基本的に同じアミノ酸配列およびヘムコンフォメーシ ョンを有する組換えヘモグロビンを形成する、上記プラスミド。 13.請求の範囲第12項記載のプラスミドであって、α−グロビン遺伝子は、 α鎖の96位のバリン残基は、発現されたタンパク質中でトリプトファン残基に より置換されているように突然変異される、上記プラスミド。 14.人工ヘモグロビンの製造方法であって、 請求の範囲第13項記載の発現プラスミドを、赤血球以外の適切な宿主に導入 し、形質転換細胞を増殖させる工程、 DNAを発現させて人工ヘモグロビンを産生させる工程、および ヘモグロビンを回収し精製する工程、 からなる上記方法。 15.宿主細胞は大腸菌(E.coli)である、請求の範囲第14項記載の方法。 16.プラスミドはpHE202である、請求の範囲第15項記載の方法。 17.プラスミドはpHE702である、請求の範囲第15項記載の方法。 18.薬剤学的に許容される担体中の天然に存在しない突然変異ヘモグロビンか らなる、非毒性薬剤組成物。 19.無細胞環境中のヘモグロビンは、健常成人ヘモグロビンより低い酸素結合 性を有する、請求の範囲第18項記載の組成物。 20.ヘモグロビンはrHb(α96Val→Trp)である、請求の範囲第1 9項記載の組成物。 21.プラスミドpHE202。 22.プラスミドpHE702。 23.無細胞環境中で、赤血球中の健常成人ヘモグロビンに匹敵する酸素結合性 を有する、人工突然変異ヒトヘモグロビン。 24.ヘモグロビンはα鎖の96位のバリン残基の突然変異を有する、請求の範 囲第23項記載のヘモグロビン。 25.バリン残基はトリプトファン残基で置換されている、請求の範囲第24項 記載のヘモグロビン。 26.組換え法で産生される、請求の範囲第25項記載のヘモグロビン。 27.rHb(α96Val→Trp)である、請求の範囲第26項記載のヘモ グロビン。 28.健常成人ヘモグロビンより低い酸素親和性を有することを特徴とする、分 子のα1β2サブユニット界面領域中に突然変異を有する、天然に存在しない低酸 素親和性突然変異ヘモグロビン。 29.アロステリックエフェクター2、3−DPGの存在下で健常成人ヘモグロ ビンに匹敵する酸素結合性を有する、天然に存在しない低酸素親和性突然変異ヘ モグロビン。 30.α鎖の96位のバリン残基はトリプトファン残基で置換されている、請求 の範囲第29項記載の突然変異ヘモグロビン。 31.表1に示す性質を有する、天然に存在しない突然変異ヘモグロビン。 32.プラスミドpHE202で形質転換される細胞から得られたrHb(α9 6Val→Trp)。 33.プラスミドpHE702で形質転換される細胞から得られたrHb(α9 6Val→Trp)。
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