【発明の詳細な説明】
フィブリン架橋および/またはトランスグルタミナーゼのインヒビター
本発明は、フィブリン架橋および/またはトランスグルタミナーゼ活性のイン
ヒビターの新規のクラスに関する。特に、例えば、ヒル組織および/またはヒル
分泌物由来のこのようなインヒビターに関する。
トランスグルタミナーゼとして既知の酵素は、例えば、血液クロット形成にお
けるような、多くのタンパク質凝集の安定化を主に任う。トランスグルタミナー
ゼの作用によるタンパク質の架橋は、例えば、フィブリンクロットを安定化する
、主要な方法である。哺乳動物において、血液クロットの安定化は、第XIIIa因
子として既知の、トランスグルタミナーゼによってもたらされる。この第XIIIa
因子は、フィブリン線維間の架橋形成を触媒する。架橋した血液クロットは、フ
ィブリン溶解酵素の作用を受け難く、そして5M尿素のような、変性溶媒中で事
実上不溶性である。
第XIIIa因子は例外的な凝固酵素である。なぜならこれはセリンプロテアーゼ
ではなく、むしろシステイン含有、リジンとグルタミンとのアミノ酸側鎖の間の
反応を触媒して以下の式;
に従いアンモニアを排泄してアミド結合を形成するためのトランスアミデート酵
素であるからである。フィブリンが基質である場合、R1-CONH2およびR2-NH3は、
それぞれフィブリンポリペプチドの異なる鎖におけるグルタミンおよびリシン側
鎖である。
第XIIIa因子はまた、他のタンパク質の架橋を触媒し得る。例えば、第XIIIa因
子はフィブリンとα2アンチプラスミンとを結合し、そしてフィブリン溶解対す
る耐性を増大するることが既知である。さらに、コラーゲン、ラミニン、アクチ
ン、ミオシン、トロンボスポンジン、ビンクリンおよびビトロネクチンなどのよ
うな一連の異なる構造タンパク質と収縮性タンパク質との間に架橋を生じ得る。
この特性は創傷治癒プロセスの一部であり、組織再形成の多くの疾患の病理学に
おいて役割を担い得ると考えられている。
それゆえ、そのインヒビターが、例えば、種々の病理学的または血栓塞栓症事
象の処置に使用可能である、トランスグルタミナーゼのインヒビターを提供する
ことが所望される。トランスグルタミナーゼのインヒビターはすでに記載されて
おり、そして一般に以下の4つの主要なカテゴリーに分けられる:
(a) 酵素に対する免疫グロブリン;
(b) 天然のタンパク質基質と競合する低分子基質;
(c) 酵素の活性部位と反応する試薬;および
(d) 第XIII因子自身のペプチドフラグメント。
これらのインヒビターは、以下のような種々の理由のため、例えば、薬学的処
方物における使用には適切ではない:
天然の循環するトランスグルタミナーゼインヒビターは、トランスグルタミナ
ーゼのサブユニットに対する免疫グロブリンとして既に同定されている。このよ
うなインヒビターは、循環する第XIII因子の減少により生じる出血状態を生じる
。米国特許第5470957号は、モノクローナル抗体を、既知の技術によりトランス
グルタミナーゼ酵素サブユニットに対して惹起することにより、このような免疫
グロブリンを治療的に用いることを開示する。トランスグルタミナーゼインヒビ
ターのような抗体に関する不利な点は、これらが高分子量を有し、そして、例え
ば、ヒトの治療において使用される前に、免疫グロブリンのキメラヒトアナログ
を産生することが典型的に必要であることである。
WO91/10427は、別の基質に架橋することを妨げるために1つの基質のグルタミ
ン残基に結合することにより作用するアミンであるトランスグルタミナーゼイン
ヒビターを開示する。このようなインヒビターは、任意の有意な阻害効果を有す
るために、天然の基質と同等の濃度で、またはより高濃度で存在すべき必要性が
あるためにあまり強力ではない。従って、これらは、約50μM以上の領域の濃度
でのみ効果的である。
WO92/13530は、反応性のスルフヒドリル基に大きく依存するトランスグルタミ
ナーゼの活性に依存する種々のトランスグルタミナーゼインヒビターの使用を開
示する。従って、このスルフヒドリル基をアルキル化または酸化するいくつかの
試薬は、トランスグルタミナーゼの活性を阻害するはずである。しかし、このよ
うな試薬は、非常に反応性であり、そしてまた非常に不安定なため、例えば、薬
学的または治療的処置における使用には特に所望されない。
より特異的であり、より毒性でないと予測され得るペプチドインヒビターを提
供する試みは、現在までのところ低有効性の化合物を得たのみである。例えば、
このようなインヒビターは、米国特許第5328898号およびAchyuthan KE、Slaught
er TF、Santiago MAら;J.Biol.Chem.268:21284〜21292頁、1993;「第XIII
a因子由来ペプチドはトランスグルタミナーゼ活性を阻害する:基質認識部位の
位置決定」に記載される。
従って、本発明の1つの局面の目的は、トランスグルタミナーゼ酵素の強力な
インヒビターおよび例えば、薬学的または治療的用途に使用し得るそのようなイ
ンヒビターを提供することである。
本発明者らは、今回、トランスグルタミナーゼ活性および/またはフィブリン
架橋を阻害する新規のポリペプチドを単離した。これらのポリペプチドは以下の
アミノ酸配列を有する:
ここで、各X1、X2およびX3は任意のアミノ酸残基を表す;各Z1、Z2およびZ3は同
時にまたは別々にCysまたはGluを表す;または該アミノ酸配列の薬学的に受容可
能な塩、誘導体(例えばキメラ誘導体)もしくは生体前駆体、または実質的に類
似の活性を有するそれらのホモログあるいはアナログ。ホモログとは、本発明者
らは、ポリペプチド鎖のアミノ酸のうちわずか23%しか列挙したポリベプチド鎖
と異ならないポリペプチドを意味する。23%という数字は、Hirudo mediclians
に天然に存在するヒルジン(hirudin)の多くのホモログが文献に記載されている
という事実に基づく(最も異なる場合でポリペプチド鎖の65アミノ酸中15アミノ
酸が異なる)。アナログとは、本発明者らは、1以上のさらなるアミノ酸がポリ
ペプチド鎖に挿入され得るということを意味する。ただし、これらは、ポリペプ
チドの薬理学的活性を顕著には妨害しない。本発明はまた、上記のアミノ酸配列
を有するポリペプチドの短縮型を包含する。
本発明のポリペプチドは、トランスグルタミナーゼ活性および/またはフィブ
リン架橋の非常に強力なインヒビターである。タンパク質架橋の形成を妨げる本
発明のポリペプチドの能力は、例えば、血液クロットの不安定性に劇的な効果を
及ぼす。第XIIIa因子に対する本発明のポリペプチドの阻害効果は、5M尿素中の
フィブリンクロットの可溶性の増加により測定し得る。さらに、ポリペプチドの
阻害効果は、ポリペプチドがカゼイン中へのエチルアミンの取り込み、およびま
たカゼイン中へのビオチンアミドフェニルアラニンの取り込みによるアンモニア
放出を阻害するという事実を利用することにより測定し得る。
アミノ末端ドメインはトランスグルタミナーゼ活性の特に強力なインヒビター
と考えられている。従って、本発明は、トランスグルタミナーゼ活性を特異的に
阻害するポリペプチド、以下のアミノ酸配列を含むポリペプチドをさらに含む;
ここで、Yは任意のアミノ酸配列、またはそれらの薬学的に受容可能な塩、誘導
体またはその生体前駆体、または実質的に類似の活性を有するそれらのホモログ
またはアナログを表す。
本発明のポリペプチド(以下、「トリデギン」(Tridegins)という)は、1
〜50ナノモルの範囲の濃度で、トランスグルタミナーゼ活性を直接、有利に阻害
する(上記のカテゴリー(b)、(c)および(d)の既知のトランスグルタミナーゼイ
ンヒビターに対して少なくとも1000倍の差)。
トリデギンは、任意の適切な非毒性の、有機または無機酸を有する薬学的に受
容可能な塩を有利に形成し得る。このような無機酸の例としては、塩酸、臭化水
素酸、硫酸またはリン酸ならびにオルトリン酸一水素ナトリウムおよび硫酸水素
カリウムのような酸金属塩が挙げられる。有機酸の例としては、酢酸、グリコシ
ル酸、乳酸、ピルビン酸およびスルホン酸などのような、モノ、ジ、およびトリ
カルボン酸が挙げられる。カルボキシ末端アミノ酸部分の塩は、任意の適切な無
機塩基または有機塩基で形成された非毒性のカルボン酸塩を含む。
本発明のトリデギンは、例えば、実質的には、適切な緩衝液中でのヒル全体、
唾液腺、または吻管などのホモジネーションにより、ヒル組織またはヒル分泌物
から抽出され得る。トランスグルタミナーゼインヒビターは、ヒルからは以前に
まだ同定も抽出もされていなかった;従って、本発明は、ヒル組織またはヒル分
泌物から誘導され得るトランスグルタミナーゼ活性のインヒビターを含む。本明
細書中で用いられる用語「誘導され得る」は、直接的に誘導された物質か、また
は間接的に誘導されたあるいは化学的に改変された誘導体に変換された物質を含
む。
本発明のトリデギンは、代表的には、既知の技術(例えば、イオン交換、ゲル
濾過および/または逆相クロマトグラフィー)の組み合わせを用いて抽出または
精製される。
同じ属のヒルは、または同種のものさえも、しばしば、同様の生化学的効果を
有し、そしてそれらのアミノ酸構造が高度に相同である唾液中のポリペプチドを
有する。同種のヒルにおいて、若干のアミノ酸のみが異なるいくつかの異なるイ
ソ型が存在し得る。
本発明のトリデギンは、代表的にはRhynchobdellida目のヒル由来の、ヒル組
織またはヒル分泌物から誘導され得る。しかし、同様の生化学的特異性を有する
ヒル由来の唾液腺または組織分泌物の成分の多くがポリペプチドのこのような相
同なファミリーのメンバーであるため、本発明はまた、ヒルから誘導され得る本
発明のトリデギンのそのようなイソ型およびアナログなどを含む。さらに、ヒル
ポリペプチドの翻訳後修飾が頻繁に観察され、そしてトリデギンのいくつかの残
基は既知のアミノ酸構造に帰属し得ないという事実を考慮すれば、本発明はまた
上記の配列のポリペプチドに対応するこのような翻訳後修飾されたポリペプチド
を含む。
本発明の第2の局面によれば、フィブリン架橋および/またはトランスグルタ
ミナーゼ活性のインヒビターを提供し、このインヒビターは、代表的にはRhynch
obdellida目のヒル由来の、さらに好ましくはHaemenreria属のヒル由来のヒル組
織またはヒル分泌物から誘導され得る。
本発明のインヒビターは、好ましくは、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAG
E)による測定で、約7000ダルトンと8000ダルトンとの間の範囲の見かけの分子量
を有し、そしてアミンのカゼイン中への取り込みから生じるアンモニアの放出を
触媒する第XIIIa因子、およびビオチンアミドペンチルアミンのカゼイン中への
取り込みを触媒する第XIIIa因子を阻害する能力を有する。
第XIIIa因子に対する効果に加えて、トリデギンは、多くの異なるトランスグ
ルタミナーゼのインヒビターであり、それらは、血漿第XIIIa因子および血小板
第XIIIa因予の両方、および効力は異なるにもかかわらず、モルモット肝臓由来
の組織性トランスグルタミナーゼの活性を阻害する。従ってそれらはまた、一般
的なトランスアミナーゼインヒビターであり、そして異なる多くのタイプのこの
グループの酵素を阻害することが予測され得る。
本発明はまた、本発明のインヒビター(上記に定義したような)に対するトラ
ンスグルタミナーゼ活性の阻害の程度を測定する診断方法を包含する。この方法
は、インヒビターの存在下で、トランスグルタミナーゼによって触媒されるアミ
ンのカゼイン中への取り込みから遊離するアンモニアの量を測定する工程を包含
する。ここで、遊離するアンモニアおよび/またはアミン取り込みの量は、イン
ヒビターによるトランスグルタミナーゼ活性の阻害のレベルの測定を提供する。
本発明のさらなる局面において、本発明の第1のまたは第2の局面によるイン
ヒビター(上記のような)およびそのための薬学的に受容可能なキャリア、希釈
剤または賦形剤含む薬学的処方物が提供される。
トリデギンに関連する低レベルの毒性および高レベルのトランスグルタミナー
ゼの阻害活性のために、それらは、薬学的処方物に有利に組み込まれ得、それら
の処方物は、例えば、非経口または経口のいずれかで患者に投与され得る。
本明細書中で使用される、用語「非経口」は、皮下、静脈内、関節腔内、およ
び気管内の、注射および注入技術を含む。経口投与または局所的適用のような投
与の他の手段もまた使用され得る。好ましくは、非経口組成物および組合せは、
公知の手順に従ってボーラス形態または持続注入としてのいずれかで静脈内投与
される。
本明細書中で使用される用語「薬学的に受容可能なキャリア」は、活性化合物
または患者に有害に反作用しない、不活性、非毒性、固体または液体の、充填剤
、希釈剤またはカプセル化物質の任意のものを意味すると取るべきである。周知
の好ましい液体キャリアとしては、無菌水、生理食塩水、水性デキストロース、
糖溶液、エタノール、グリコール、および油が挙げられる。経口投与のための錠
剤およびカプセルは、結合剤、充填剤、潤滑剤、および膨潤剤などの従来の賦形
剤を含有し得る。経口液体調製物は、水性または油性懸濁液、溶液、乳濁液、シ
ロップ、エリキシルなどの形態であり得るか、または使用のための水または他の
適切なビヒクルを用いる再構築のための乾燥産物として生成され得る。
このような液体調製物は、懸濁剤、乳濁剤、非水性ビヒクル、および保存剤の
ような従来の添加物を含有し得る。局所的適用物は、水性または油性の懸濁液、
溶液、乳濁液、ゼリー、または好ましくは、乳濁軟膏の形態であり得る。
本発明による薬学的処方物の単位用量は、一日に必要な量のトリデギン、また
は所望の用量とするためのその約量(sub-multiple)を含有し得る。(ヒトのよ
うな哺乳動物であり得る)所定の患者のための最適な治療的に受容可能な投与量
および用量比率は、種々の要因(例えば、使用される特定の活性物質の活性、年
齢、体重、一般的な健康状態、性、食事、投与の時間および経路、クリアランス
の速度、処置の目的(すなわち、処置または予防)および処置される疾患の性質
)に依存する。
0.05〜50mg/kg体重、好ましくは、0.05mg/kgと10mg/kgとの間、およびより好
ましくは0.1〜1mg/kgの範囲の全身用量が有効であると予想される。処置される
べき疾患の性質によって、1単回用量は、全身的であるまたは局所的であるかに
よって、0.05〜10mg/kg体重を含有し得る。
トリデギンは、例えば、急性冠状動脈症候群、静脈血栓症、または発作におけ
る血栓形成の安定化を阻害するために潜在的に使用され得、そしてそれにより血
栓溶解治療の効果をまたは実際に天然の溶解プロセスを増強し得る。この関連に
おいて、α2-抗プラスミンのようなフィブリン溶解インヒビターのフィブリンク
ロットへの取り込みの阻害は、さらなる利点を提供し得る。
トリデギンが他のトランスグルタミナーゼも阻害するという事実は、トランス
グルタミナーゼ活性が、病理学的事象を引き起こすすべての場合のさらなる可能
な使用を非常に強く示す。トランスグルタミナーゼについてのこのような役割は
、クローン病、腫瘍移植、アテローム動脈硬化症のプロセスにおける血管壁の肥
厚、例えば腎臓における血栓性微小血管症、強皮症のような皮膚の繊維性成長、
膜性糸球体腎炎、網膜傷害の修復、白内障、アクネ、瘢痕組織の形成、および種
々のフィラリア線虫による感染において仮定されている。トリデギンは、上記ま
たは関連する症候群に対するそれらの治療的作用のために使用されるだけでなく
、それらの高い能力は、より低い用量を可能にする。
この可能性は、WO93/18760中に非常に十分に例示されており、これは、好まし
い用量(50mM)で肥大性瘢痕を処置するための虚弱なインヒビターであるプトレ
シンの使用を記載している。類似した情況下でのトリデギンの好ましい濃度は、
1〜100μMである。
本発明の第2の局面による処方物は、抗凝固剤、血栓溶解剤、フィブリン溶解
剤、またはフィブリノゲン溶解剤などと組み合わせて有利に投与され得る。これ
らは、例えば、血液クロットを消化または阻害する処方物の能力を有利に増大し
得る。抗凝固剤は、ヒルジンまたはヘパリンのようなポリペプチドを包含し得る
。ヒルジンは、EP 0347376およびEP 0501821に開示され、そしてトロンビンを特
異的にかつ強力に阻害し、次いで血液の凝固を阻害する種々のヒルに見い出ださ
れる相同なポリペプチドのファミリーの総称的な用語である。同様に、フィブリ
ノゲンの消化においてその活性があり、凝固不可能にするヘメンチンのようなフ
ィブリン溶解/フィブリノゲン溶解剤が使用され得る。ヘメンチンは、種々のヒ
ル
種に見出されるフィブリン溶解剤であり、そして例えば、米国特許第4390630号
およびWO 91/15576に開示されている。
トリデギンの特定の効果は、任意のフィブリン溶解性酵素によって溶解が誘導
された場合に、血小板を含まないヒト血漿クロットおよび血小板リッチなヒト血
漿クロットの両方の溶解時間を減少することである。トリデギンと組織プラスミ
ノゲンアクチベーターまたはヘメンチンのいずれかとの組合せにより、トリデギ
ン単独よりも迅速な溶解が得られる。トリデギンは単独では効果を有さないので
、このことは2つの活性物質の間の共同作用を示す。トリデギンは、フィブリン
を直接溶解するフィブリン溶解剤(例えば、ヘメンチン、プラスミン、もしくは
エミナーゼ(Eminase))、プラスミンを介して作用するプラスミノゲンアクチ
ベーター(例えば、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、スタフィロキナーゼ、
組織プラスミノゲンアクチベーター、もしくはそれらの誘導体)、または短縮形
態もしくは2つ以上のこれらの薬剤の性質を有するハイブリッド分子と組み合わ
せて使用され得る。
本発明の処方物中に含有され得る血栓溶解剤は、組織プラスミノゲンアクチベ
ーター、ストレプトキナーゼ、エミナーゼ、ウロキナーゼおよびスタフィロキナ
ーゼ(staphlyokinase)、ならびにそれらの誘導体、短縮形態、およびハイブリ
ッドの1つ以上を含み得る。有利に、トリデギンに加えて抗凝固剤、血栓溶解剤
、またはフィブリン溶解剤を含む場合、処方物は、血液クロットを消化するのに
かかる時間を顕著に減少する。従って、トリデギンは、例えば、急性冠状動脈症
候群、静脈血栓症などにおける血栓形成の安定性を阻害し、それにより血管崩壊
治療の効果を増大するために潜在的に使用され得る。代表的には、プラスミンの
存在下におけるフィブリンクロットの50%溶解に必要な時間は、架橋が1つ以上
のトリデギンで阻害される場合、約半分になる。
さらに、組織プラスミノゲンアクチベーターの存在下における血漿クロットの
50%溶解の時間は、40%まで減少し、そしてこれはストレプトキナーゼによる25
%より多い量の時間に類似する。
本明細書を通して使用される、用語「組合せ」は、任意のまたは全ての抗凝固
剤、フィブリン溶解剤、フィブリノゲン溶解剤、または血栓溶解剤と一緒の本発
明によるトリデギンの同時投与または連続投与を意味すると取るべきである。
本発明によるトリデギンは、血栓塞栓性疾患の処置のための薬剤の調製のため
に有利に使用され得る。本発明によるトリデギンを用いて処置され得る他の病理
学的事象は、クローン病、腫瘍移植、アテローム動脈硬化症のプロセスにおける
血管壁の肥厚、例えば腎臓における血栓性微小血管症、皮膚の繊維性成長、膜性
糸球体腎炎、白内障、アクネ、および瘢痕組織の形成、ならびにミクロファラリ
ア線虫による感染を含む。有利に、本発明によるトリデギンが、このような症候
群の治療的処置または予防において有用であるはずであるだけでなく、トリデギ
ンの高い能力は、使用されるべきより低い用量を可能にするはずである。
本発明は、組換えDNA技術によって産生されるポリペプチドをさらに包含し、
このポリペプチドは、上記で規定されたポリペプチドと等価であり;本発明は、
本発明によるポリペプチドに対する合成のまたはタンパク質工学的な等価物をさ
らに包含する。
本発明によるポリペプチドの単離および特徴付けのための例示的なプロセスを
、例示のみのために与えられた添付の図面を参照としてここに記載する。ここで
;
図1は、下記の実施例3に従って単離された本発明によるポリペプチドの阻害
活性の溶出の図解である;
図2は、本発明によるポリペプチドの、ヘメンチンおよびギランチン(ghilat
in)に比較した、阻害活性の溶出についての実施例4の結果の図解である;
図3は、本発明によるポリペプチドの阻害活性の実施例6の結果の図解である
;
図4は、図3からの阻害活性のクロマトグラフである;
図5は、図4から得られた活性画分のクロマトグラフである;
図6は、実施例7からのドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気
泳動の結果の図解である;
図7は、実施例22から得られた結果の図解である;
図8は、実施例24から得られた結果の図解である;そして
図9は、実施例25から得られた結果の図解である;実施例1
第1の実験Aにおいて、Haementeria ghilianii種のヒルの吻管、前唾液腺お
よび後唾液腺を、10mM Tris HCL、0.85% w/v NaCl(pH7.0)(1ml)中でPotter
ホモジナイザーにおいて一緒にホモジナイズし、そして13000rpmで遠心分離した
。上清をTymiak、Tuttle、Kimball、Wang、およびLeeの「第XIIIa因子のインヒ
ビターについての簡便で迅速なスクリーニング」J.Antibiotics 46(1993)204〜2
06頁のアッセイに類似するクロット溶解性アッセイにおいてアッセイした。第2
の実験Bにおいて、吻管、前唾液腺、および後唾液腺を、Haementeria ghiliani
i種のヒルから切除し、そして0.2mlアリコートの緩衝液中で別々にホモジナイズ
した。その効果を、0.2mlの緩衝液中で調製されたHaementeria officinalis種の
2つのヒル由来の吻管、前唾液腺、および後唾液腺の抽出物と比較した。試験試
料(30μl)を、第XIII因子を含有する10mg/mlの粗ウシフィブリノゲン溶液(30
μl)に添加した。9mMのCaCl2を含有する6.25単位/mlのウシトロンビン(40μl
)を添加することによって反応を開始した。8Mの尿素(160μl)を添加し、そ
してクロットに接触させて放置すると、15分でクロットが形成された。30分後、
クロットの乳光から生じる吸光度を405nmにおいて読み取った。低下した吸光度
は、架橋の阻害から生じたクロットの溶解性を示す。表1は、ヨードアセトアミ
ド(第XIIIa因子の公知のインヒビター)と比較したフィブリンクロットの溶解
性に対する種々の抽出物の阻害効果(405nmにおける吸光度)を示す。表中で引
用された数値は、405nmにおける吸光度である。
実施例2
第XIIIa因子のインヒビターの存在を確認するために、ヒト第XIIIa因子の、ビ
オチンアミドペンチルアミンのカゼイン中への取り込みを触媒する能力における
抽出物の効果を、Slaughter TF,Achyuthan KE,Lai T-S and Greenberg CS,(1
992)(「5-(ビオチンアミド)ペンチルアミンを基質として利用するマイクロタイ
タープレートトランスグルタミナーゼアッセイ」;Anal Biochem 205:166-171)
に記載のマイクロタイタープレート法によって測定した。吻管抽出物、Haemente
ria種のヒルの前および後唾液腺を実施例1の実験Aのように調製した。Haement
eria depressaから得たこれらを凍結乾燥した。唾液腺は、Hirudo medicinalis
およびHirudinaria manillensis種のヒルからは容易に取り出せないので、抽出
物を、1つのヒルの前部3分の1を摘出し、そして0.85% NaClを含む1mlの10mM
トリスHCl中でホモゲナイズすることによって調製した。13000rpmでの遠心分離
後の上清をそのアッセイに使用した。N,Nジメチルカゼインを0.1M トリスHCl(pH
8.5)中に、85℃で30分、2000gで20分攪拌することによって溶解した。濃度10〜2
0mg/ml(0.2ml)を使用して、37℃で1時間インキュベートすることによってマイ
クロタイタープレートのウェルをコーティングした。過剰のカゼインを廃棄し、
そしてウェルを0.1MのトリスHCl(pH8.5)中の0.5% 脱脂粉乳で30分間ブロックし
た。次いで、プレートを0.35mlアリコートのトリス緩衝液で2回洗浄した。第XI
IIa因子を、固体ベントナイト(40mg/ml)を添加し、10分間インキュベートし、そ
して12000gで2分間遠心分離することによって脱フィブリン生成(defibrinogena
tion)することによってヒト血漿クエン酸塩から調製した。上清(0.5ml)を1000U/
mlのウシトロンビン(0.05ml)および200mMのCaCl2(0.025ml)を添加し、そして37
℃で15分インキュベートすることによって活性化した。トロンビンを2000ATU/ml
のヒルジン(0.5ml)を添加することによって中和した。マイクロタイタープレー
トウェル(全容量0.2ml)は、5mM CaCl2、10mM ジチオスレイトール、0.5mM ビオ
チンアミドペンチルアミン、試験サンプル(0.05ml)、および活性化血漿(0.05ml)
を含んでいた。37℃で30分インキュベートした後、液体を廃棄し、そして0.2M E
DTA(各0.35ml)で2回洗浄し、続いて0.1M トリスHCl(pH8.5)(各0.35ml)で2回洗
浄することによって反応を停止させた。0.25mg/mlのストレプトアビジンアルカ
リフォスファターゼをトリス緩衝液中の0.5%脱脂粉乳で1:150に希釈して、そし
て0.25mlを各ウェルに添加し、そして20℃で1時間インキュベートした。プレー
トを0.1%トリトンX-100(0.35ml)で1回洗浄し、続いてトリス緩衝液(0.35ml)で
3回洗浄した。
結合したアルカリホスファターゼを1mg/ml p-ニトロフェニルホスフェートを
添加することによって測定した。トリス緩衝液(0.05ml)中の5mM MgCl2にトリス
緩衝液(0.2ml)を加え、そして30分後にTitertek Uniskan IIミクロタイタープレ
ートリーダーを使用して、405nmで吸光度を測定した。表2は、異なるそしてよ
り感度の高いアッセイにおいて、第XIIIa因子の阻害活性(ヒト血漿第XIIIa因子
に触媒されるビオチンアミドペンチルアミンのカゼインへの取り込みにより測定
される)が、Haementeria ghilianiiおよびHaementeria offcinalisの両方の唾液
分泌性器官において見出される事を確認する。さらに、有意であるが低い阻害活
性が、Haementeria depressaの唾液腺およびHirudo medicinalisおよびHirudina
ria manillensisの両方の前部において検出可能である。
実施例3
ホモジェネートを、実施例1に記載の方法と同様の方法で、Haementeria ghil
ianii由来の5組の完全な唾液(腺)複合体(前部、後部の腺、および吻管)から、
リン酸緩衝化生理食塩水中で調製した。そして上清をSuperdex G-200の1.6×80c
mカラムにアプライし、そして流速1ml/分でリン酸緩衝化生理食塩水(pH7.2)中
で流した。溶出液を280nmでモニターし、そして阻害活性を実施例1に記載のア
ッセイと同一のアッセイによって決定した。図1は、分離および阻害活性が溶出
する位置を示す。バーはトリデギン活性を有する画分を示す。実施例4
5つのHaementeria ghilianii由来の完全な唾液(腺)複合体のホモジェネート
を、実施例1のように20mM トリスHCl(pH8.0)中で調製した。その上清をExpress
-Ion Exchanger Q(Whatman)の0.8×7.5cmカラムにアプライし、そして0.3M NaCl
を含む20mM トリスHCl(pH8.0)へ直線勾配で溶出した。溶出液を280nmにおける吸
光度でモニターし、そしてトリデギン活性を実施例1のようにクロット溶解性ア
ッセイによって決定した。さらに、ヘメンチン(hementin)の活性をフィブリノー
ゲン溶解アッセイによって測定し、そして第Xa因子阻害活性をクロモゲニッタ基
質アッセイによって測定した。ヘメンチン活性を、2mg/mlのウシフィブリノーゲ
ン(50μl)を10mM CaCl2、および0.1% w/v Brij 35(pH7.5)(25μl)、およびカラ
ム画分の連続希釈物(25μL)を含む20mM HEPES緩衝液と共に37℃で、60分間イン
キュベートすることによって評価した。次いで、100U/mlのトロンビン(10μL)を
添加し、凝血を生じさせ、そして30分後にクロットを405nmでの濁度によって測
定した。濁度の減少は、線維素原が消化された量を示す。第Xa因子クロモゲニッ
ク基質アッセイを、分光光度計中で50mMトリスHCl(pH8.3)中の2mM S2765をイン
キュベートし、そして405nmで吸光度の変化速度を測定することによって実施し
た。この反応は、ヒト第Xa因子の添加により開始した。
図2は、0.3M NaClへと直線勾配で溶出したSP セファロースのカラムにおける
溶出プロフィールを示す。トリデギン(T)、ヘメンチン、および第Xa因子阻害活
性が現れる位置を示す;この種のヒルの唾液腺に存在することの知られる他の2
つの唾液成分(すなわちヘメンチン(H)およびギランテン(ghilanten)(G))からの
トリデギンの非常に明確な分離が存在し、このことによってトリデギンが既知の
成分とは異なることが確認される。阻害活性を含む画分はバーならびにそれぞれ
T、G、およびHの各文字によって示す。実施例5
Haementeria ghilianii由来の完全な唾液複合体のホモジェネートを、実施例
1の方法と同様の方法で、20mMの蟻酸アンモニウム(pH3.5)(5ml)中で調製し、そ
してExpress-Ion Exchanger S(Whatman)の0.8×7.5cmカラムにアプライした。
画分を、1M NaCl(pH3.5)を含む20mMの蟻酸ナトリウムに対する直線塩勾配で溶
出した。溶出液を280nmの吸光度でモニターし、そして実施例1のようにアッセ
イした。阻害画分を約0.6Mで溶出した。実施例6
実施例3、4、および5において例示される工程と同様のクロマトグラフィー
工程を組み合わせることによって、大きなバッチを調製した。少なくとも3か月
絶食させたHaementeria ghilianii種の50のヒルの完全な唾液複合体を、実施例
1のように、20mMのトリスHCl(pH8.0)(50ml)中でホモジェナイズし、そして遠心
分離した。その上清をQ Sepharose Fast Flow(Pharmacia)の60×10cmカラムにア
プライした。画分を出発緩衝液から0.1MのNaClを含む緩衝液までの直線勾配で溶
出した。溶出物を280nmの吸光度でモニターし、そして活性画分が約0.09M NaCl
で溶出されることを見出した(阻害活性を含む画分がバーで記されている図3を
参照のこと)。活性画分(145ml)を蟻酸を添加してpH4に調節し、そして20mMの蟻
酸ナトリウム緩衝液(pH3.5)中で平衡化させたSP Sepharose Fast Flow(Pharmaci
a)の5×12cmカラムにアプライした。カラムを平衡化緩衝液から1MのNaClを含む
同緩衝液への直線勾配で溶出した。活性性分は、約0.57MのNaClでのピークで溶
出した(阻害活性を有する画分がまたバーで記されている図4を参照のこと)。こ
れを凍結乾燥し、そして最終容量2.4mlの水中で再構築し、そしてリン酸緩衝化
生理食塩水(pH7.2)中で平衡化したSuperdex G-75の1.6×60cmカラムにアプライ
した。溶出プロフィールを図5に示す。ここで、阻害活性を有する画分をまたバ
ーで記す。プールした活性画分は、715μgのタンパク質を含み、そしてこれらを
凍結保存した。
硫酸ドデシルナトリウム中のポリアクリルアミド電気泳動、およびクマシーブ
ルーまたは銀染色のいずれかによる染色により、このタンパク質が、この工程の
後では実質的に純粋であり、そして既知の分子量の標準物と比較して、主要なバ
ンドが約7800ダルトンの明らかな分子量を有し、一方小さいバンドはより感度の
高い銀染色法によってのみ検出し得るより高い分子量を有することが示された。実施例7
配列決定の研究のために、さらなる精製工程を実施した。実施例6の0.3mlの
活性画分を0.1%トリフルオロ酢酸で平衡化したProPRCの0.5×10cmカラムにアプ
ライし、そして0.1%のトリフルオロ酢酸を含む0〜100%のアセトニトリルの勾
配で溶出した。阻害活性を含む主要なピークが見出され、そしてこれに続いて、
そしてこれとは大きく分離した、2つの非常により小さな、不活性なピークを見
出した。活性画分は、硫酸ドデシルナトリウムポリアクリルアミド電気泳動上で
、図6に図示する既知の分子量のペプチド標準と比較して約7800の見かけの分子
量を有する単一のバンドを示した。
図6は、PhastGel高密度ゲル(Pharmacia)上の純粋なポリペプチドの硫酸ドデ
シルナトリウム中のポリアクリルアミドゲル電気泳動である。
左側のレーン(レーン1)およびレーン7は、94、67、43、30、20.1、および14.4
kDの低分子量マーカーキット(Pharmacia)+アプロチニン(分子量6.5kD)である。
レーン2および7:分子量16.9、14.4、10.7、8.2、および6.2kDのペプチドマー
カーキット(Pharmacia)+アプロチニン(分子量6.5kD)である。
レーン3:水ブランク。
レーン4:精製トリデギン。
レーン5および6:逆相クロマトグラフィーカラムからの小さなピーク。
最も低い分子量成分は、ゲルの最上部付近で移動する。
単一の、明らかなアミノ酸配列がApplied Biosystems 473A自動タンパク質シ
ーケンサーによってアミノ酸末端から見出され、このことは1つのペプチドだけ
が存在することを示す。アミノ酸配列は以下であることが見出された:
ここで、XおよびYは明確に同定されておらず、従って任意のアミノ酸であり得る
。このサンプル中のシステインは誘導体化されておらず、従って指定され得ない
。配列決定をピリジルエチル化の後に繰り返し、そしてこのことは残基Xがシス
テインであり、一方、Yは全くピークを示さず、そして任意の普通のアミノ酸に
指定され得ないことを示した。実施例8
アミノ酸配列決定のための十分な材料を生成するために、トランスグルタミナ
ーゼインヒビターのサンプルを実施例6および7で使用される方法と同一の方法
によって、Haementeria ghilianii種の50のヒルの後部唾液腺のみから調製した
。アリコートを、変性し、アミノカルボキシルメチル化し、そしてトリプシンま
たはAspNエンドプロテアーゼのいずれかによって切断し(Matsudaira(「ミクロ配
列決定のためのタンパク質およびペプチド精製の実用的ガイド」Academic Press
,第2版、45-67頁)に記載の標準的な方法による)、そしてフラグメントを0.06
%トリフルオロ酢酸で平衡化したProRPCの0.5×10cmカラム上で分離し、そして
2〜38%、38〜75%、および75〜98%溶出緩衝液(ここで溶出緩衝液が0.0675%ト
リフルオロ酢酸中の80%アセトニトリルである)の連続的な直線勾配で溶出し、
そして210nmでモニターした。単離されたフラグメントの配列を、Applied Biosy
stems 473A自動タンパク質シーケンサーによって決定した。全ポリペプチドのア
ミノ酸配列を、これらおよび見出された重複ペプチドがから推定した。
ここで、アミノ酸X1、X2、およびX3は同定されておらず、そして翻訳後に修飾さ
れた残基を示し得、そしてZ1、Z2、およびZ3はCysまたはGluとの間で識別し得な
かったアミノ酸を示す。この配列を有するポリペプチドをトリデギン変異体1と
命名する。実施例9
第XIIIa因子がカゼイン中にアミンを取り込む能力および凝血溶解性における
第XIIIa因予の効果を示すアッセイに加えて、阻害作用の特異性は、アミンが取
り込まれる場合、カゼインからのアンモニアの産生を測定するアッセイにより示
され得る。ヒト血漿第XIIIa因子のトランスグルタミナーゼ活性を、Muszbek、Po
lgarおよびFesus:「血漿中の血液凝固第XIII因子の速度論的測定」Clin Chem 3 1
(1985)35〜40頁の方法の変法により分光光度的に測定した。この方法は、ア
ンモニアを、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ反応を通じてNADH酸化にリンクする
ことによって、アンモニアの産生を測定する。これは、340nmでの吸光度の変化
によりモニターし得る。第XIII因子を、フィブリン除去したヒト血漿(2ml)お
よび200mM CaCl2(0.1ml)を1000単位/mlのウシトロンビン(0.1ml)とともに3
7℃でインキュベートすることにより活性化した。15分後、260抗トロンビン単位
のヒルジンの添加により反応を停止した。反応キュベットには以下のものが含ま
れた:2.5mMのジチオトレイトール(0.1ml)、40mg/mlの脱リン酸化β-カゼイン
(0.05ml)、70mMのエチルアミン(0.1ml)、12mMの2-ケトグルタル酸ナトリウ
ム(0.1ml)、4mMのNADH(0.1ml)、1.2mMのADP(0.1ml)、40単位/mlのグルタ
ミン酸デヒドロゲナーゼ(0.1ml)、70mMのHEPES緩衝液 pH7.5(0.25ml)。そし
てこれを20℃の分光光度計内に配置した。可能な場合は、70mMのHEPES緩衝液 pH
7.5中に全ての成分を溶解させた。反応を活性化した第XIII因子(0.2ml)の添加
により開始し、そして340nmでモニターした。このアッセイを、第XIII因子欠損
血漿(Sigma)の使用で確認した。正常な血漿を欠損した血漿で置換すると、88
%低い反応速度が生じた(1.87に対して11.3mAbs/分)。これは、このアッセイ
が第XIIIa因子を実際に測定していることを示す。
試験サンプルを、0.1mlのHEPES緩衝液中で反応キュベット加えた。表3に示す
ように、トリデギン変異体1の阻害効果を、スルフスルフヒドリル基依存型第XI
IIa因子のインヒビターとして知られるヨードアセトアミド、ならびに必須カル
シウムのキレート化による第XIII因子の活性化および活性のインヒピターである
EGTAの阻害効果と比較した。トリデギンは、アンモニア産生速度を約93%低下さ
せた。すなわち、その阻害はヨードアセトアミドの阻害と同等であった(表3に
示す)。これは、トリデギンが凝血溶解のインヒビターであると同時に、血漿ト
ランスグルタミナーゼまたは第XIIIa因子のインヒビターであることを示すさら
なる証拠である。
実施例10
実施例6と同様に精製したトリデギン変異体1の、ヒト第XIIIa因子がビオチ
ンアミドペンチルアミンのカゼイン中への取り込みを触媒する能力に対する効果
を、Slaughter TF,Aehyuthan KE、Lai T-SおよびGreenberg CS,(1992)(「5-
(ビオチンアミド)ペンチルアミンを基質として用いるマイクロタイタープレー
トトランスグルタミナーゼアッセイ」Anal Biochem 205:166-171)により記載さ
れるマイクロタイタープレート法により測定した。N,Nジメチルカセインを0.1M
のTris HCl pH8.5中に85℃で30分間撹拌することにより溶解し、次いで12000gで
20分間遠心分離した。10〜20mg/mlの濃度(0.2ml)を用いて、37℃で1時間イン
キュベートすることによりマイクロタイタープレートのウェルをコートした。過
剰のカゼインを廃棄し、そして0.1M Tris HCl(pH8.5)中の0.5%の脱脂粉乳を用
いて30分間ウエルをブロックした。次いでプレートをTris緩衝液の0.35mlのアリ
コートで2回洗浄した。精製したヒト血小板第XIII因子(0.6単位/0.12ml)を、
15mMのCaCl2(0.18ml)中の150U/mlのトロンビンを添加し、そして37℃で15分間
インキュベートすることにより活性化した。次いでトロンビンを140ATU/mlの天
然型ヒルジン(0.3ml)の添加により阻害した。マイクロタイターブレートのウ
ェル(全容量0.2ml)は、5mMのCaCl2、10mMのジチオトレイトール、0.5mMのビ
オチンアミドペンチルアミン、実施例6に記載されるのと類似の方法で調製した
トリデギンサンプル、および0.1M Tris HCl(pH8.5)中の0.25単位/mlの活性化
した第XIIIa因子を含んでいた。37℃で30分のインキュベーション後、液体を廃
棄し、そして0.2MのEDTA(各0.35ml)での2回の洗浄、続く0.1MのTris HCl(pH
8.5)(各0.35ml)での2回の洗浄により反応を停止した。0.25mg/mlのストレプ
トアビジン-アルカリホスファターゼを、Tris緩衝液中の0.5%の脱脂粉乳で1:1
50に希釈し、0.25mlを各ウエルに添加し、そして20℃で1時間インキュベートし
た。プレートを0.1%のTriton X-100(0.35ml)で1回洗浄し、続いてTris緩衝
液(0.35ml)で3回洗浄した。結合したアルカリホスファターゼを、1mg/mlのp
-ニトロフェニルホスフェート、Tris緩衝液(0.05ml)中の5mMのMgCl2およびTr
is緩衝液(0.2ml)の添加により測定し、そして405nmでTitertck Uniskan IIマ
イクロタイタープレートリーダーを用いて30分後に吸光度を測定した。
トリデギン変異体1は、0.026±0.002μg/ml(3.4nM)のIC50でアミンの取り
込みを明らかに阻害した。これは、血小板第XIIIa因子に対するその非常に強力
な阻害活性を確認する。
精製した第XIII因子を健康なヒトボランティア由来の血漿で置換することおよ
びトリデギンの濃度を変化させることを除いて同じプロトコルを用いる別の実験
において、IC50は、第XIIIa因子の血漿形態について、0.07±0.003μg/ml(9.2n
M)と決定された。実施例11
実施例6と同様に精製したトリデギン変異体1の効果を、色素産生性基質アッ
セイを用いて凝固酵素トロンビンについて試験した。1mMのS2238を50mMのTris
HCl(pH8.3)中でインキュベートし、そして反応を、トロンビンを最終濃度0.15
U/mlで添加することにより開始した。反応を、分光光度計で405nmでモニターし
た。表4は、トリデギンは4.6μg/mlの濃度ではトロンビンについて効果を有さ
なかったが、0.046μg/mlの濃度でヒルジンは著しい阻害効果(95%)を有した
ことを示す。
実施例12
実施例6と同様に精製したトリデギンの効果を、第Xa因子について試験した。
2mMのS2765を50mMのTris HCl(pH8.3)中でインキュベートし、そしてヒト第Xa
因子を添加することにより反応を開始した。実施例11と同様にアッセイを行った
。4.6μg/mlのトランスグルタミナーゼインヒビターは第Xa因子について効果を
有
さなかったが、一方、第Xa因子のインヒビターとして知られる組換えダニ抗凝固
ペプチド(rTAP)(Waxman I.、Smith DE、Arcuri Kら「ダニ抗凝固ペプチド(T
AP)は血液凝固第Xa因子の新規のインヒビターである」Science 248:593〜596:1
990)は、0.046μg/mlの濃度において89.9%阻害した(表5)。これは、トラン
スグルタミナーゼインヒビターが既に知られている第Xa因子のインヒビターとは
異なることだけではなく、トランスグルタミナーゼインヒビターを精製するため
に例示された方法が第Xa因子のインヒビターをうまく除去することも確認する。
実施例13
トリデギンがヘメンチン(hementin)様フィブリノーゲン溶解活性を有するか
どうか確認するために、実施例6からの精製物質がフィブリノーゲンを消化する
能力を、インヒビターとともにインキュベートした後フィブリノーゲンの凝血能
力を測定することにより評価した。2mg/mlのウシフィブリノーゲン(50μl)を
、トリデギン、精製したヘメンチンまたはビヒクル(50μl)、ならびに10mMのC
aCl2および0.1%w/vのBrij 35(pH7.5)(50μl)を含有する20mMのHEPES緩衝液
とともに37℃で60分間インキュベートした。次いで、100U/mlのトロンビン(10
μl)を添加して凝血を引き起こし、そして30分後の405nmでの濁度により凝血を
測定した。表6は、トランスグルタミナーゼインヒビターは凝血形成について効
果を有さないが、一方、精製したヘメンチンは明らかにフィブリノーゲンを消化
し、ほとんど凝血を生じないことを示す。これは、トリデギンがフィブリノーゲ
ンに対してタンパク質分解作用を有さず、従ってWO 91/15576(「血栓症例の処
置」)および米国特許第4,390,630号(「ヘメンチン−フィブリン溶解物質」)
に記載されるようなヘメンチンではないことを示す。さらにこの実施例は、Haem
enteria ghilianiiに見出されるヘメンチンが例示される精製手順の間にトラン
スグルタミナーゼインヒビターから分離されるさらなる証拠を与える。
実施例14
酵素デスタビラーゼの活性は、色素産生性基質であるL-γ-グルタミルp-ニト
ロアニリドからのp-ニトロアニリン放出の誘発におけるその効果により測定され
得る。デスタビラーゼおよびトリデギンが類似の特性を有するかどうかを確認す
るために、色素産生性基質に対する2つの物質の効果を比較した。50mMのTris H
Cl、10mMのCaCl2(pH8.0)(0.9ml)中の0.45mg/mlのL-γグルタミルp-ニトロア
ニリドを含有するキュベットの吸光度を、分光光度計で405nmにおいて連続的に
記録した。実施例2と同様に調製した、0.046mg/mlのトリデギン変異体1(0.1m
l)またはデスタビラーゼの供給源として知られるHirudo medicinalisの抽出物
由来の上清(0.1ml)のいずれかを添加し、そしてニトロアニリンの生成速度を
測定した。表7は、デスタビラーゼの基質であるL-γ-グルタミルp-ニトロアニ
リドに対するトリデギンの効果を示し、これは、Hirudo medicinalis抽出物はデ
スタビラーゼに帰し得るこの基質の分解を示す吸光度の比率の増大を引き起こす
活性を有するが、トリデギンはこのような効果を有さず、そして実際、期間後の
吸光度においてわずかな減少をもたらすことを示す。
実施例15
トリデギンを、リン酸緩衝化生理食塩水中に実施例6と同様に精製した0.1容
量のインヒビター(46μg/ml)を添加した正常な血漿のサンプルを、緩衝液のみ
を含む正常血漿サンプルと比較することにより、血漿の凝血における効果につい
て試験した。標準的な凝血試験は、自動分析器において行った。表8の結果は、
2つのサンプル間に相違はなく、従ってトリデギンは正常なヒト血漿の凝血時間
に対して効果を有さないことを示す。この特性は期待されていたものである。な
ぜなら、フィブリン架橋のインヒビターは凝血形成には効果を有さず、そして凝
血が形成された後のその物理的および化学的特性にのみ影響するからである。さ
らにこれは、別の試験において、トリデギンに任意の他の抗凝固活性(例えば、
第Xa因子またはトロンビンの阻害)が存在しないことを確認する。
血小板凝集を、ヒトクエン酸処理血小板富化血漿中で、6.7μg/mlのコラーゲ
ン、6.3μMのADP、または0.4U/mlのトロンビンのいずれかに対して、Bio/Dataア
グリゴメーターで評価した。実施例6のトリデギンを、4.6μg/mlの最終濃度に
おいて緩衝液コントロールと比較した。表8は、このような条件下で、トリデギ
ンが明らかに血小板凝集に対する効果を有さないことを示す。
実施例16
モルモット肝組織トランスグルタミナーゼに対するインヒビターの効果を、活
性化第XIIIa因子を組織トランスグルタミナーゼに置き換えた実施例10に記載
のアッセイに類似のアッセイで測定した。トリデギン(4.5μg/ml)は、この酵素
により触媒されるカゼインへのアミンの取り込みを95.5%阻害した。異なる濃度
のトリデギンを用いることにより、IC50が1.55μg/mlであることが見出された。
このアッセイは、トリデギンが組織トランスグルタミナーゼのインヒビターなら
びに血漿トランスグルタミナーゼ第XIIIa因子のインヒビターであることを示し
、そしてそれは多くのトランスグルタミナーゼ酵素のインヒビターとなるようで
あることを示す。実施例17
トランスグルタミナーゼインヒビターは、Slaughter TF、Achyuthan KE、LalT
-S、およびGreenberg CSのアミン取り込みアッセイ(1992)により、Haementeria
ghilianiiの唾液系の腺および唾液分泌物中で測定可能である。(「基質として5-
(ビオチンアミド)ペンチルアミンを利用するマイクロタイタープレートトランス
グルタミナーゼアッセイ」。Anal Biochem 205:166〜171頁)。後吸盤(hind suck
er)とともに前および後唾液腺ならびに吻管(proboscis)を、飢餓状態にした第3
の給餌ステージの動物から除去した。そのサンプルを1mM Tris HCl pH8.0(後腺
の場合1mlまたは0.5ml)中グラスホモゲナイザー中でホモゲナイズし、そして12
000rpmで遠心分離した。その上清をそのアッセイに用いた。唾液分泌物の採取の
ために、8匹の飢餓させた第3給餌ステージのHaementeria ghilianiiのそれぞ
れの完全な唾液器官(吻管、前および後腺)を、2〜3時間、5℃で、ヒル(leech
)を冷却後、取り出したした。それをSylgard baseにピンアウト(pin out)し、そ
して、20℃、15分間生理的食塩水溶液(65mM NaCl、50mM NH4Cl、4mM KCl、1mM
EGTA、11mMグルコース、10mM HEPES pH 7.4)に浸漬した。吻管の壁を縦に切る
ことにより、内腔を調べ、そしてそれに含まれる分泌物をマイクロピペットによ
り回収した。
表9は、これらの抽出物およびヒルHaementeria ghilianiiの分泌物によるヒ
ト血漿第XIII因子の阻害を示す。その阻害活性は、両方の唾液腺(唾液分泌物中
および吻管中)に見出だされる。後吸盤中における検出可能な非常に低い活性は
、
非常に比活性の低いものであり(後唾液腺中の活性の0.35%)、そして実際には、
検出される見かけの活性は、組織のこの大きな切片から抽出される非常に高いタ
ンパク質濃度から十分生じ得る。
実施例18
プラスミンにより誘導されるフィブリン溶解に対するトリデギンの増強効果を
、吸光度法により実証した。10mg/mlのウシフィブリノーゲン(0.1ml)を、緩衝液
または実施例6由来のトリデギン(0.04ml)のいずれかを用いて、マイクロタイタ
ープレート中で37℃、2時間、50U/mlのウシトロンビン(0.01ml)とともにインキ
ュ
ベートした。2.56U/mlのプラスミン(0.05ml)を添加し、そしてプレートを37℃で
インキュベートした。その吸光度をTitretek Uniskan IIマイクロタイタープレ
ートリーダーで15分毎に測定した。クロットを15分毎に観察し、そしてクロット
が完全に溶解されるのにかかった時間を記録した。調べた全ての濃度で、トラン
スグルタミナーゼインヒビターは、表10に例示したように溶解の起こる時間を短
縮した。
実施例19
また、組織プラスミノーゲンアクチベーターにより誘導されたフィブリン溶解
に対するトリデギンの促進効果が、ヒト血漿クロットにおいて示された。ヒト血
漿(0.1ml)を、0.14M KClを含む0.18M CaCl2(0.01ml)中の5U/mlのウシトロンビ
ン、および緩衝液または実施例6におけるように調製したトリデギン(ただし、H
aementeria ghilianiiの後唾液腺由来)のいずれか(0.04ml)とともに、6連でマ
イクロタイタープレート中で37℃で2時間インキュベートした。次いで組織プラ
スミノーゲンアクチベーター(0.05ml)を、最終濃度10IU/mlになるように添加し
、
そしてプレートを37℃でインキュベートし、そしてTitretek Uniskan IIマイク
ロタイタープレートリーダーを用いて、405nmで30分毎に吸光度を読み取った。
吸光度の減少が血漿クロットの溶解を示した。コントロールのウエルの50%溶解
にかかった時間は、12.9±1.1時間であり、そしてトランスグルタミナーゼイン
ヒビターを含むウエルでは7.9±0.7時間であり、統計的に有意な減少であった。
本実施例は、トランスグルタミナーゼインヒビターが、ヒト血漿クロットにおけ
る組織プラスミノーゲンアクチベーターの作用を劇的に促進することを確認する
。実施例20
インビボでは、血小板は必然的に血栓と関連するので、トランスグルタミナー
セインヒビターが血小板リッチなクロットのより迅速な溶解(より生理学的な試
験)を可能にするかどうかを調べることは興味深い。血小板は、それらがフィブ
リン溶解剤の効果を激しく減少するように、血漿トランスグルタミナーゼ、第XI
II因子、ならびにフィブリン溶解のインヒビターのリッチな供給源である。同じ
ドナーから調製したヒト血小板リッチな血漿または血小板の少ない血漿(0.1ml)
を、0.14M KClを含む0.18M CaCl2中の5U/mlのウシトロンビン(0.01ml)、および
緩衝液または実施例6におけるように調製したトリゲニン(ただし、Haementeria
ghilianii種の後唾液腺由来)のいずれか(0.04ml)とともに、6連でマイクロタ
イタープレート中で37℃で2時間インキュベートした。組織プラスミノーゲンア
クチベーター(0.05ml)を、最終濃度10IU/mlになるように添加し、そしてプレー
トを37℃でインキュベートした。Molecular Devices Thermomax カイネティック
マイクロプレートリーダーを用いて、405nmで72時間にわたって30分毎に吸光度
を読み取った(吸光度の減少は血漿クロットの溶解を示す)。表11は、血小板の存
在下で、そのクロットは、72時間のインキュベーション時間内では50%溶解を達
成しなかったことを示す。トリデギンは、本実施例において、それらの存在下で
は>72時間から24.9時間にそしてそれらの非存在下では22.5時間から18.0時間に
時間を減少させるように示す場合、血小板の効果を減少させるときにより効果的
である。
実施例21
クロット溶解時間を減少するためのトリデギンの効果は一般的効果でり、そし
てストレプトキナーゼを溶解剤として用いる場合に示され得る。ヒト血漿(0.1ml
)を、0.14M KClを含む0.18M CaCl2中で5U/mlのウシトロンビン(0.01ml)、およ
び緩衝液または実施例6におけるように調製したトリギデン(0.04ml)(ただし、H
aementeria ghilianiiの後唾液腺由来)のいずれか(0.04ml)とともに、3連でマ
イクロタイタープレート中で37℃で2時間インキュベートした。次いでストレプ
トキナーゼを最終濃度30U/mlに添加し、そしてプレートをiEMSカイネティックマ
イクロタイタープレートリーダー中37℃でインキュベートし、405nmの吸光度を4
7.5時間にわたり30分毎に読み取った。ストレプトキナーゼのみを含むウエルは
、50%溶解のための時間を得るまでは十分に溶解しなかったが、トリデギンを含
むウエルは全て、36.1±1.6時間で50%溶解し、このことは、図7に示すストレ
プトキナーゼのようなフィブリン溶解剤と組み合わせて用いたときの促進効果(
ストレプトキナーゼにより誘導される血漿クロット溶解に対するトリデギンの効
果を示す)をさらに実証する。その結果は、±SEM(n=3)である。実施例22
トリデギンおよびヘメンチンの組み合わせを実施例21に記載のように調べた(
ここで、組織プラスミノーゲンアクチベーターを110U/mlのヘメンチンで置換し
た)。本実施例において、同じドナー由来の血小板の無いおよび血小板リッチな
血漿サンプルの両方を、少しでも差があるかどうかを確認するために用いた。表
12は、サンプル中で50%溶解の起こるのにかかる時間を示す。血小板には溶解に
必要とされる時間を34時間から>56時間まで増加させる明らかな効果が存在する
が、それでも明らかに、トリデギンは血小板が存在しなくても存在しても50%溶
解の生じる時間を減少させる。トリデギンは、主に、溶解時間をコントロールの
溶解時間に近い溶解時間に減少させることにより、血小板の効果を克服するよう
である。
実施例23
メキシコヒル(Haementeria oofficinalis)由来のトリデギンの特性を調べるた
めに、抽出物をゲル濾過、続いて逆相高圧液体クロマトイグラフィーにかけた。
唾液腺および吻管を、前腸中に血液の見出されない時点まで飢餓させた、Haemen
teria officinalisの5つの標本から切断した。これらを、テフロン/ガラスホモ
ゲナイザーでリン酸緩衝化生理食塩水pH 7.2(1ml)中でホモゲナイズし、そして
清澄な上清を得るために12000gで5分間遠心分離した。その上清を1.6×60cmのS
uperdex G75カラムにアプライし、そしてその溶出液を280nmでモニターし、そし
て全画分を回収し、そして実施例1のようにクロット溶解アッセイでアッセイし
た。その阻害活性を図8(その中で阻害活性を含む画分をさらにバーでマークし
た)に示した単一ピークに見出した。
活性画分を凍結乾燥し、そして水に再溶解した(1ml)。この一部(0.3ml)を、0
.1%トリフルオロ酢酸(TFA)で平衡化したPro-RPCの0.5×10cmカラムにアプライ
し
た。0.1%TFAから0.1%TFAを含むアセトニトリルの直線勾配での溶出は、280nm
で吸収される多数のピークの溶出をもたらす。それぞれを実施例1に記載のクロ
ット溶解アッセイでアッセイし、そして単一ピークが活性を含むことを見出した
。
2つのカラム上の溶出位置と、Haementeria ghilianiiの類似の抽出物の溶出
位置との比較は、トリデギン変異体1の溶出位置と近い類似性を示した。Haemen
teria officinalisの唾液腺から精製された阻害活性は、ゲル濾過により決定さ
れた分子量、トリデギン変異体1の特性に対して逆相高圧液体クロマトグラフィ
ーにより決定された分配係数の点で、非常に類似した物理化学的特性を有する。実施例24
インビボにおけるトリデギン変異体1の作用を決定するために、0.01M リン酸
ナトリウム、0.027M KCl、0.137M NaCl、pH7.4(4.7ml)中に処方された、0.207mg
/kg静注用量を、1グループの4匹のラットに静注により投与した。血液サンプ
ル(約0.3ml)を投与前および投与後2または5、ならびに10、20、30、60、およ
び120分に、尾の静脈から採取し、そして直ちに0.04mlの3.8%w/vクエン酸三ナ
トリウムと混合した。そのサンプルを直ちに12000gで5分間遠心分離し、そして
その上清を取り出し、そしてドライアイスで瞬間的に凍結させた。トリデギン投
与の副作用は認められなかった。
サンプル中のトリデギンを、実施例2で用いたアミン取り込みアッセイの改変
型によりアッセイした(ここで固有の第XIII因子は、各サンプル中(0.097ml)で0.
1M Tris HCl pH 8.5(0.03ml)および1000U/mlのウシトロンビン(0.01ml)の添加お
よび37℃での15分間のインキュベーションにより活性化した)。このフィブリン
クロットを、遠心分離により除去し、そしてその血清をアッセイに使用した。標
準曲線用のサンプルを、クエン酸添加ラット血漿への既知の濃度の純粋なトリデ
ギン変異体1の添加、および同一の方法での第XIIIa因子の活性化により調製し
た。次いで、各サンプル中のトリデギン濃度を、標準曲線との比較による、実施
例2におけるような第XIIIa因子の阻害%により測定した。
図9は、ラット中のトリデギンの薬物動態を示す。そのタイムコースは明らか
に多相であり;その末端半減期は、30〜60分であり、それは有意な作用期間であ
り、そしてトリデギンの薬物動態は、それを薬学的用途に適したものにしている
ことを示す。
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ーマーセン,ポリシルハイド,ルルウィン
イファン(番地なし)
(72)発明者 シール,リサ
イギリス国 エスエイ8 3ディーエス
スワンシー,ポンタダウェ,ジェリヌッ
ド,ティン イ グレイグ アイザフ(番
地なし)
(72)発明者 フィニィー,サラ
イギリス国 シーエフ32 9ディーユー
トンドゥ,グラン イ ナント 122