【発明の詳細な説明】
環状ペプチド化合物およびそれらの誘導体
技術分野
この発明は、医薬として有用な新規ペプチド化合物および医薬として許容され
るそれらの塩に関する。
先行技術
WO92/19648などに記載されているように、いくつかのペプチド化合
物が知られている。
発明の開示
この発明は、新規ペプチド化合物に関する。
この発明の一つの目的は、高い抗菌作用(特に抗真菌作用)、ならびにβ−1
,3−グルカンシンターゼに対して強力な阻害作用を有する新規で有用なペプチ
ド化合物および医薬として許容されるそれらの塩を提供することである。
この発明の他の目的は、前記のペプチド化合物およびそれらの塩の製造法を提
供することである。
この発明のさらに他の目的は、前記のペプチド化合物または医薬として許容さ
れるそれらの塩を有効成分として含有する医薬組成物を提供することである。
この発明のいま一つの目的は、前記のペプチド化合物または医薬として許容さ
れるそれらの塩の、ヒトまたは動物における種々の病原微生物により引き起こさ
れるニューモシスティス カリニ(Pneumocvstis carinii)感染症(たとえばニュ ーモシスティス カリニ
肺炎など)などの感染疾患の治療と予防のための医薬と
しての用途を提供することである。
この発明の目的化合物は、新規であり、下記の一般式(I)
[式中、R1はアルキル基またはアラルキル基、
R2はアミノ(低級)アルキル基または保護されたアミノ(低級)アルキル基
、
R3はヒドロキシ基、保護されたヒドロキシ基、アミノ基または保護されたア
ミノ基、
R4はヒドロキシ基、または
R3とR4は連結して、−Z−(−Z−は−O−または−NH−)を形成、
R5は水素、またはアミノ保護基、
R6はヒドロキシ基、または
R5とR6は連結して、結合を形成し、
R3がヒドロキシ基、保護されたヒドロキシ基、アミノ基または保護されたア
ミノ基、
R4がヒドロキシ基、
である場合、R5とR6は連結して、結合を形成する、
をそれぞれ意味する。]
で表すことができる。
この発明の目的化合物(I)は下記の諸方法によって製造することができる。製造法(1)
製造法(2)
製造法(3)
製造法(4)
製造法(5)
製造法(6)
製造法(7)
製造法(8)
(上記各式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6および−Z−はそれぞれ前記定義
の通りであり、
をそれぞれ示す。)
この発明の出発化合物(II)および(III)は下記の諸方法で製造するこ
とができる製造法(A)
製造法(B)
(上記各式中、R1およびR2はそれぞれ前記定義の通りである。)
目的化合物(I)の医薬として許容される好適な塩は、慣用の無毒性の塩であ
って、塩基との塩、すなわち無機塩基との塩、たとえばアルカリ金属塩(たとえ
ばナトリウム塩、カリウム塩など)、アルカリ土類金属塩(たとばカルシウム塩
、マグネシウム塩など)、アンモニウム塩;有機塩基との塩、たとえば有機アミ
ン塩(たとえばトリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、エタノールアミ
ン塩、トリエタノールアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’−ジベン
ジルエチレンジアミン塩など);無機酸付加塩(たとえば塩酸塩、臭化水素酸塩
、硫酸塩、燐酸塩など);有機カルボン酸またはスルホン酸付加塩(たとえば蟻
酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、メ
タンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩など);塩基
性または酸性アミノ酸(たとえばアルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸な
ど)との塩などの酸付加塩を挙げることができる。
この明細書の以上および以下の記述において、この発明の範囲に包含される種
々の定義の好適な例および実例を次に詳細に説明する。
特記ない限り、「低級」とは、炭素原子数1ないし6、好ましくは1ないし4
を有する基を意味する。
特記ない限り、「高級」とは、炭素原子数7ないし20を有する基を意味する
。
好適な「低級アルキル基」、および「アミノ(低級)アルキル」、「アシルア
ミノ(低級)アルキル」および「保護されたアミノ(低級)アルキル」の好適な
「低級アルキル部分」としては、炭素原子数1ないし6を有する直鎖または分岐
状のもの、たとえばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブ
チル、第二級ブチル、第三級ブチル、ペンチル、第三級ペンチル、ヘキシルなど
を挙げることができる。
好適な「アルキル基」、および「アラルキル」の好適なアルキル部分としては
、炭素原子数1ないし20を有する直鎖または分岐状のもの、たとえばメチル、
エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第二級ブチル、第三級
ブチル、ペンチル、第三級ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、
デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシルなど
を挙げることができる。
「アラルキル」の好適な「アリール部分」としては、フェニル、ナフチルなど
を挙げることができる。
「保護されたヒドロキシ」の好適なヒドロキシ保護基としては、アシル、1個
またはそれ以上の適当な置換基を有していてもよいモノ(またはジまたはトリ)
フェニル(低級)アルキル(たとえばベンジル、4−メトキシベンジル、トリチ
ルなど)、トリ置換されたシリル[たとえばトリ(低級)アルキルシリル(たと
えばトリメチルシリル、第三級ブチルジメチルシリルなど)など]、テトラヒド
ロピラニルなどを挙げることができる。
好適な「アミノ保護基」としては、アシルなどを挙げることができる。
好適な「保護されたアミノ基」、および「保護されたアミノ(低級)アルキル
」の「保護されたアミノ部分」としては、アシルアミノ、または慣用の保護基、
たとえばモノ(またはジまたはトリ)フェニル(低級)アルキル(たとえばベン
ジル、トリチルなど)などのモノ(またはジまたはトリ)アリール(低級)アル
キルで置換されたアミノ基を挙げることができる。
好適な「アシル基」、および「アシルアミノ」、「アシルアミノ(低級)アル
キル」および「アシルオキシ」の好適な「アシル部分」としては、カルバモイル
、脂肪酸アシル基、および脂肪族アシルと呼ばれる芳香環を含むアシル基を挙げ
ることができる。
前記のアシルの好適な例としては、下記のもの:
カルバモイル、チオカルバモイル;
低級または高級アルカノイル(たとえばホルミル、アセチル、プロパノイル、
ブタノイル、2−メチルプロパノイル、ペンタノイル、2,2−ジメチルプロパ
ノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、ノナノイル、デカノイル
、ウンデカノイル、ドデカノイル、トリドデカノイル、テトラデカノイル、ペン
タデカノイル、ヘキサデカノイル、ヘプタデカノイル、オクタデカノイル、ノナ
デカノイル、イコサノイルなど);低級または高級アルコキシカルボニル(たと
えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、第三級ブトキシカルボニル、第
三級ペンチルオキシカルボニル、ヘプチルオキシカルボニルなど);低級または
高級アルキルスルホニル(たとえばメチルスルホニル、エチルスルホニルなど)
;
低級または高級アルコキシスルホニル(たとえばメトキシスルホニル、エトキシ
スルホニルなど);シクロ(低級)アルキルカルボニル(たとえばシクロペンチ
ルカルボニル、シクロヘキシルカルボニルなど);
芳香族アシル、たとえばアロイル(たとえばベンゾイル、トルオイル、ナフト
イルなど);アル(低級)アルカノイル[たとえばフェニル(低級)アルカノイ
ル(たとえばフェニルアセチル、フェニルプロパノイル、フェニルブタノイル、
フェニルイソブタノイル、フェニルペンタノイル、フェニルヘキサノイルなど)
、ナフチル(低級)アルカノイル(たとえばナフチルアセチル、ナフチルプロパ
ノイル、ナフチルブタノイルなど)など];アル低級)アルケノイル[たとえば
フェニル(低級)アルケノイル(たとえばフェニルプロペノイル、フェニルブテ
ノイル、フェニルメタクリロイル、フェニルペンテノイル、フェニルヘキセノイ
ルなど)、ナフチル(低級)アルケノイル(たとえばナフチルプロペノイル、ナ
フチルブテノイルなど)など];アル(低級)アルコキシカルボニル[たとえば
フェニル(低級)アルコキシカルボニル(たとえばベンジルオキシカルボニルな
ど)など];アリールオキシカルボニル(たとえばフェノキシカルボニル、ナフ
チルオキシカルボニルなど);アリールオキシ(低級)アルカノイル(たとえば
フェノキシアセチル、フェノキシプロピオニルなど);アリールグリオキシロイ
ル(たとえばフェニルグリオキシロイル、ナフチルグリオキシロイルなど);ア
リールスルホニル(たとえばフェニルスルホニル、p−トリルスルホニルなど)
;など;などを挙げることができる。
目的化合物(I)の好ましい態様としては、下記のものを挙げることができる
。
R1はC1−C13アルキル基またはフェニル(C1−C6)アルキル基、
R2はアミノ(低級)アルキル基またはアシルアミノ(低級)アルキル基(よ
り好ましくは、低級アルコキシカルボニルアミノ(低級)アルキル基)、
R3はヒドロキシ基、アシルオキシ基、アミノ基またはアシルアミノ基(より
好ましいものとしては、アル(低級)アルコキシカルボニルアミノ基;最も好ま
しいものとしては、フェニル(低級)アルコキシカルボニルアミノ基)
R4はヒドロキシ基、または
R3とR4は連結して、−Z−(−Z−は−O−または−NH−)を形成し、
R5は水素またはアシル基(より好ましいものとしては、アル(低級)アルコ
キシカルボニル基;最も好ましいものとしては、フェニル(低級)アルコキシカ
ルボニル基)、
R6はヒドロキシ基、または
R5とR6は連結して、結合を形成し、
R3がヒドロキシ基、アシルオキシ基、アミノ基またはアシルアミノ基(より
好ましいものとしては、アル(低級)アルコキシカルボニル基;最も好ましいも
のとしては、フェニル(低級)アルコキシカルボニル基)、
R4がヒドロキシ基、
である場合、R5とR6は連結して、結合を形成する、
をそれぞれ意味する。
目的および出発化合物の製造法を次に詳細に説明する。製造法(1)
化合物(Ia)またはその塩は、化合物(II)またはアミノ基におけるその
反応性誘導体またはその塩を化合物(III)またはカルボキシ基におけるその
反応性誘導体またはその塩と反応させることにより製造することができる。
化合物(II)のアミノ基における好適な反応性誘導体としては、化合物(I
I)をアルデヒド、ケトンなどのカルボニル化合物と反応させて生成されるシッ
フ塩基型イミノまたはその互変異性エンアミン型異性体;化合物(II)をN,
O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、N−(トリメチルシリル)アセト
アミドなどのシリル化合物と反応させて生成されるシリル誘導体;化合物(II
)を三塩化燐またはホスゲンと反応させて生成される誘導体などを挙げることが
できる。
化合物(III)の好適な反応性誘導体としては、酸ハロゲン化物、酸無水物
、活性エステルなどを挙げることができる。好適な例としては、酸塩化物;酸ア
ジ化物;置換された燐酸(たとえばジアルキル燐酸、フェニル燐酸、ジフェニル
燐酸、ジベンジル燐酸、ハロゲン化燐酸など)、ジアルキル亜燐酸、亜硫酸、チ
オ硫酸、アルカンスルホン酸(たとえばメタンスルホン酸、エタンスルホン酸な
ど)、硫酸、アルキルカルボン酸、脂肪族カルボン酸(たとえばピバル酸、ペン
タン酸、イソペンタン酸、2−エチル酪酸、トリクロロ酢酸など)などの酸との
混合酸無水物;芳香族カルボン酸(たとえば安息香酸など);対称酸無水物;イ
ミダゾール、4−置換イミダゾール、ジメチルピラゾール、トリアゾールまたは
テトラゾールとの活性アミド;活性エステル(たとえばシアノメチルエステル、
ステル、ビニルエステル、プロパルギルエステル、p−ニトロフェニルエステル
、2,4−ジニトロフェニルエステル、トリクロロフェニルエステル、ペンタク
ロロフェニルエステル、メシルフェニルエステル、フェニルアゾフェニルエステ
ル、フェニルチオエステル、p−ニトロフェニルチオエステル、p−クレジルチ
オエステル、カルボキシメチルチオエステル、ピラニルエステル、ピリジルエス
テル、ピペリジルエステル、8−キノリルチオエステルなど);N−ヒドロキシ
化合物(たとえばN,N−ジメチルヒドロキシルアミン、1−ヒドロキシ−2−
(1H)−ピリドン、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ベンゾトリアゾール
、N−ヒドロキシフタルイミド、1−ヒドロキシ−6−クロロ−1H−ベンゾト
リアゾールなど)とのエステルなどを挙げることができる。これらの反応性誘導
体は、使用する化合物(III)の種類に応じて任意に選択できる。
この反応は、通常、反応に悪影響を及ぼさない慣用の溶媒、たとえば水、アセ
トン、ジオキサン、アセトニトリル、クロロホルム、塩化メチレン、塩化エチレ
ン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、ピリジ
ンまたは他の有機溶媒、またはそれらの混合物中で行われる。
この反応において、化合物(III)が遊離酸またはその塩の形で使用される
場合、この反応は慣用の縮合剤の存在下で行われることが好ましく、縮合剤の例
としては、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド;N−シクロヘキシル−
N’−モルホリノエチルカルボジイミド;N−シクロヘキシル−N’−(4−ジ
エチルアミノシクロヘキシル)カルボジイミド;N,N’−ジイソプロピルカル
ボジイミド;N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミ
ド;N,N’−カルボニルビス(2−メチルイミダゾール);ペンタメチレンケ
テン−N−シクロヘキシルイミン;ジフェニルケテン−N−シクロヘキシルイミ
ン;エトキシアセチレン;1−アルコキシ−1−クロロエチレン;トリアルキル
亜燐酸;ポリ燐酸イソプロピル;オキシ塩化燐(塩化ホスホリル);三塩化燐;
塩化チオニル;塩化オキサリル;トリフェニルホスファイト;2−エチル−7−
ヒドロキシベンズイソキサゾリウム塩;水酸化2−エチル−5−(m−スルホフ
ェニル)イソキサゾリウム分子内塩;1−(p−クロロベンゼンスルホニルオキ
シ)−6−クロロ−1H−ベンゾトリアゾール;N,N−ジメチルホルムアミド
を塩化チオニル、ホスゲン、オキシ塩化燐などと反応させて調製されるいわゆる
ビルスマイヤー試薬;などを挙げることができる。
この反応は、アルカリ金属重炭酸塩、トリ(低級)アルキルアミン(たとえば
トリエチルアミンなど)、ピリジン、N−(低級)アルキルモルホリン、N,N
−ジ(低級)アルキルベンジルアミンなどの無機または有機の塩基の存在下でも
実施可能である。
反応温度は特に限定されず、通常、冷却ないし加熱下で行われる。製造法(2)
化合物(Ic)またはその塩は、化合物(Ib)またはその塩をアミノ保護基
の脱離反応に付すことによって製造することができる。
この脱離反応の好適な方法としては、加水分解、還元などの慣用の方法を挙げ
ることができる。
(i)加水分解
加水分解は、塩基またはルイス酸などの酸の存在下で行われることが好ましい
。
好適な塩基としては、アルカリ金属[たとえばナトリウム、カリウムなど];
アルカリ土類金属[たとえばマグネシウム、カルシウムなど];それらの水酸化
物、炭酸塩または重炭酸塩;トリアルキルアミン[たとえばトリメチルアミン、
トリエチルアミンなど];ピコリン;1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノ
ン−5−エンなどの無機および有機の塩基を挙げることができる。
好適な酸としては、有機酸[たとえば蟻酸、酢酸、プロピオン酸、トリクロロ
酢酸、トリフルオロ酢酸など]、および無機酸[たとえば塩酸、臭化水素酸、硫
酸、塩化水素、臭化水素など]を挙げることができる。
トリハロ酢酸[たとえばトリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸など]などのルイ
ス酸などを用いる脱離反応は、カチオン捕捉剤[たとえばアニソール、フェノー
ルなど]の存在下で行うのが好ましい。
この反応は、通常、反応に悪影響を及ぼさない慣用の溶媒、たとえば水、アル
コール(たとえばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなど)、テ
トラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、塩化メチレン、二塩化エチレン、ク
ロロホルム、N,N−ジメチルホルムアミドなどまたは他の有機溶媒、またはそ
れらの混合物中で行われる。反応温度は特に限定されず、通常、冷却ないし加温
下で行われる。
(ii)還元
還元は、化学還元、触媒還元などの慣用の方法で行われる。
化学還元に用いられる好適な還元剤としては、水素化物(たとえばヨウ化水素
、硫化水素、水素化アルミニウムリチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化シ
アノホウ素ナトリウムなど)、または金属(たとえば錫、亜鉛、鉄など)または
金属化合物(たとえば塩化クロム、酢酸クロムなど)と有機酸または無機酸(た
とえば蟻酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸
、塩酸、臭化水素酸など)との組合せを挙げることができる。
触媒性還元に使用される好適な触媒としては、慣用の触媒、たとえば白金触媒
(たとえば白金板、白金海綿、白金黒、コロイド白金、酸化白金、白金線など)
、パラジウム触媒(たとえばパラジウム海綿、パラジウム黒、酸化パラジウム、
パラジウム炭、コロイドパラジウム、パラジウム−硫酸バリウム、パラジウム−
炭酸バリウムなど)、ニッケル触媒(たとえば還元ニッケル、酸化ニッケル、ラ
ネーニッケルなど)、コバルト触媒(たとえば還元コバルト、ラネーコバルトな
ど)、鉄触媒(たとえば還元鉄、ラネー鉄、ウルマン鉄など)などを挙げること
ができる。
還元は、通常、反応に悪影響を及ぼさない慣用の溶媒、たとえば水、アルコー
ル(たとえばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなど)、テトラ
ヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、塩化メチレン、二塩化エチレン、クロロ
ホルム、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドまたは
他の有機溶媒、またはそれらの混合物中で行われる。
さらに、化学還元に用いられる前記の酸が液体である場合、それらもまた溶媒
として使用できる。
反応温度は特に限定されず、通常、冷却ないし加温下で行われる。製造法(3)
化合物(Id)またはその塩は、化合物(Ic)またはその塩を環化反応に付
すことによって製造することができる。
この反応は、通常、反応に悪影響を及ぼさない慣用の溶媒、たとえばアセトニ
トリル、クロロホルム、塩化メチレン、塩化エチレン、テトラヒドロフラン、N
,N−ジメチルホルムアミドまたは他の有機溶媒、またはそれらの混合物中で行
われる。
この反応は、通常、慣用の縮合剤の存在下で行われ、縮合剤の例としては、N
,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド;N−シクロヘキシル−N’−モルホ
リノエチルカルボジイミド;N−シクロヘキシル−N’−(4−ジエチルアミノ
シクロヘキシル)カルボジイミド;N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド;
N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド;N,N’
−カルボニルビス(2−メチルイミダゾール);ペンタメチレンケテン−N−シ
クロヘキシルイミン;ジフェニルケテン−N−シクロヘキシルイミン;エトキシ
アセチレン;1−アルコキシ−1−クロロエチレン;トリアルキル亜燐酸塩;ポ
リ燐酸イソプロピル;オキシ塩化燐(塩化ホスホリル);三塩化燐;塩化チオニ
ル;塩化オキサリル;トリフェニルホスファイト;2−エチル−7−ヒドロキシ
ベンズイソキサゾリウム塩;水酸化2−エチル−5−(m−スルホフェニル)イ
ソキサゾリウム分子内塩;1−(p−クロロベンゼンスルホニルオキシ)−6−
クロロ−1H−ベンゾトリアゾール;N,N−ジメチルホルムアミドを塩化チオ
ニル、ホスゲン、オキシ塩化燐などと反応させて調製されるいわゆるビルスマイ
ヤー試薬;などを挙げることができる。
この反応は、アルカリ金属重炭酸塩、トリ(低級)アルキルアミン、ピリジン
、N−(低級)アルキルモルホリン、N,N−ジ(低級)アルキルベンジルアミ
ンなどの無機または有機の塩基の存在下でも実施可能である。
反応温度は特に限定されず、通常、冷却ないし加熱下で行われる。
反応は、N−ヒドロキシ化合物(たとえばN,N−ジメチルヒドロキシルアミ
ン、1−ヒドロキシ−2−(1H)−ピリドン、N−ヒドロキシコハク酸イミド
、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール、N−ヒドロキシフタルイミド、1−ヒド
ロキシ−6−クロロ−1H−ベンゾトリアゾールなど)の存在下で行われるのが
好ましい。製造法(4)
化合物(Ie)またはその塩は、化合物(IV)またはアミノ基におけるその
反応性誘導体またはその塩を化合物(V)またはカルボキシ基におけるその反応
性誘導体またはその塩と反応させることにより製造することができる。
この反応は、前記の製造法(1)と同様に実施されるので、使用される試薬な
らびに反応条件(たとえば溶媒、反応温度など)は、製造法(1)の記載を参照
すればよい。製造法(5)
化合物(Ig)またはその塩は、化合物(If)またはその塩をアミノ保護基
の脱離反応に付すことによって製造することができる。
この反応は、前記の製造法(2)と同様に実施されるので、使用される試薬な
らびに反応条件(たとえば溶媒、反応温度など)は、製造法(2)の記載を参照
すればよい。製造法(6)
化合物(Ih)またはその塩は、化合物(Ig)またはその塩を環化反応に付
すことによって製造することができる。
この反応は、前記の製造法(3)と同様に実施されるので、使用される試薬な
らびに反応条件(たとえば溶媒、反応温度など)は、製造法(3)の記載を参照
すればよい。製造法(7)
化合物(Ij)またはその塩は、化合物(Ii)またはアミノ基におけるその
反応性誘導体またはその塩をアシル化反応に付すことによって製造することがで
きる。
このアシル化反応で使用される好適なアシル化剤としては、式
R7−OH (VII)
(式中、R7はアシル基を意味する。)
で表される化合物またはその反応性誘導体またはその塩を挙げることができる。
化合物(Ii)のアミノ基における好適な反応性誘導体としては、化合物(I
i)をアルデヒド、ケトンなどのカルボニル化合物と反応させて生成されるシッ
フ塩基型イミノまたはその互変異性エンアミン型異性体;化合物(Ii)をN,
O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、N−(トリメチルシリル)アセト
アミドなどのシリル化合物と反応させて生成されるシリル誘導体;化合物(Ii
)を三塩化燐またはホスゲンと反応させて生成される誘導体などを挙げることが
できる。
化合物(VII)の好適な反応性誘導体としては、酸ハロゲン化物、酸無水物
、活性エステルなどを挙げることができる。好適な例としては、酸塩化物;酸ア
ジ化物;置換された燐酸(たとえばジアルキル燐酸、フェニル燐酸、ジフェニル
燐酸、ジベンジル燐酸、ハロゲン化燐酸など)、ジアルキル亜燐酸、亜硫酸、チ
オ硫酸、アルカンスルホン酸(たとえばメタンスルホン酸、エタンスルホン酸な
ど)、硫酸、アルキルカルボン酸、脂肪族カルボン酸(たとえばピバル酸、ペン
タン酸、イソペンタン酸、2−エチル酪酸、トリクロロ酢酸など)などの酸との
混合酸無水物;芳香族カルボン酸(たとえば安息香酸など);対称酸無水物;イ
ミダゾール、4−置換イミダゾール、ジメチルピラゾール、トリアゾールまたは
テトラゾールとの活性アミド;活性エステル(たとえばシアノメチルエステル、
ステル、ビニルエステル、プロパルギルエステル、p−ニトロフェニルエステル
、2,4−ジニトロフェニルエステル、トリクロロフェニルエステル、ペンタク
ロロフェニルエステル、メシルフェニルエステル、フェニルアゾフェニルエステ
ル、フェニルチオエステル、p−ニトロフェニルチオエステル、p−クレジルチ
オエステル、カルボキシメチルチオエステル、ピラニルエステル、ピリジルエス
テル、ピペリジルエステル、8−キノリルチオエステルなど);N−ヒドロキシ
化合物(たとえばN,N−ジメチルヒドロキシルアミン、1−ヒドロキシ−2−
(1H)−ピリドン、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ベンゾトリアゾール
、N−ヒドロキシフタルイミド、1−ヒドロキシ−6−クロロ−1H−ベンゾト
リア
ゾールなど)とのエステルなどを挙げることができる。これらの反応性誘導体は
、使用する化合物(VII)の種類に応じて任意に選択できる。
この反応は、通常、反応に悪影響を及ぼさない慣用の溶媒、たとえば水、アセ
トン、ジオキサン、アセトニトリル、クロロホルム、塩化メチレン、塩化エチレ
ン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、ピリジ
ンまたは他の有機溶媒、またはそれらの混合物中で行われる。
この反応において、化合物(VII)が遊離酸またはその塩の形で使用される
場合、この反応は慣用の縮合剤の存在下で行われることが好ましく、縮合剤の例
としては、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド;N−シクロヘキシル−
N’−モルホリノエチルカルボジイミド;N−シクロヘキシル−N’−(4−ジ
エチルアミノシクロヘキシル)カルボジイミド;N,N’−ジイソプロピルカル
ボジイミド;N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミ
ド;N,N’−カルボニルビス(2−メチルイミダゾール);ペンタメチレンケ
テン−N−シクロヘキシルイミン;ジフェニルケテン−N−シクロヘキシルイミ
ン;エトキシアセチレン;1−アルコキシ−1−クロロエチレン;トリアルキル
亜燐酸塩;ポリ燐酸イソプロピル;オキシ塩化燐(塩化ホスホリル);三塩化燐
;塩化チオニル;塩化オキサリル;トリフェニルホスファイト;水酸化2−エチ
ル−7−ヒドロキシベンズイソキサゾリウム塩;水酸化2−エチル−5−(m−
スルホフェニル)イソキサゾリウム分子内塩;1−(p−クロロベンゼンスルホ
ニルオキシ)−6−クロロ−1H−ベンゾトリアゾール;N,N−ジメチルホル
ムアミドを塩化チオニル、ホスゲン、オキシ塩化燐などと反応させて調製される
いわゆるビルスマイヤー試薬;などを挙げることができる。
この反応は、アルカリ金属重炭酸塩、トリ(低級)アルキルアミン、ピリジン
、N−(低級)アルキルモルホリン、N,N−ジ(低級)アルキルベンジルアミ
ンなどの無機または有機の塩基の存在下でも実施可能である。
反応温度は特に限定されず、通常、冷却ないし加熱下で行われる。製造法(8)
化合物(Il)またはその塩は、化合物(Ik)またはその塩を加水分解反応に
付すことによって製造することができる。
この反応は、前記の製造法(2)と同様に実施されるので、使用される試薬な
らびに反応条件(たとえば溶媒、反応温度など)は、製造法(2)の記載を参照
すればよい。製造法(A)
化合物(II)またはその塩は、化合物(VI)またはその塩を酵素による二
個のアミド結合の劈開反応に付すことによって製造することができる。
前記酵素の好適な例としては、アクチノプラナセエ(Actinoplanaceae)、た
とえばアクチノプラーネス ユタヘンシス(Actinoplanes utahensis)IFO−
13244、アクチノプラーネス ユタヘンシスATCC12301、アクチノ
プラーネス ミズーリエンシーズ(missourienses)NRRL12053など;
などを挙げることができる。
この反応は、通常、反応に悪影響を及ぼさない溶媒、たとえば燐酸緩衝液、ト
リ塩酸緩衝液、または他の溶媒中で行われる。
反応温度は特に限定されず、室温または加温下で行われる。製造法(B)
化合物(IV)またはその塩は、化合物(Il)またはその塩を脱アシル化反
応に付すことによって製造することができる。
この反応は、加水分解、還元、酵素との反応などの慣用の方法によって行われ
る。
前記の加水分解および還元は、前記の製造法(2)と同様に実施されるので、
使用される試薬ならびに反応条件(たとえば溶媒、反応温度など)は、製造法( 2)
の記載を参照すればよい。
さらに、前記の酵素との反応は、前記の製造法(A)と同様に実施されるので
、使用される試薬ならびに反応条件(たとえば溶媒、反応温度など)は、製造法 (A)
の記載を参照すればよい。
目的および出発化合物ならびに医薬として許容されるそれらの塩としては、溶
媒化合物[たとえば包接化合物(たとえば水和物など)]を挙げることができる
。
製造法(1)ないし(8)、(A)および(B)における目的、出発化合物お
よびそれらの反応性誘導体の好適な例としては、化合物(I)で示したものを挙
げることができる。
前記の製造法に従って得られた目的化合物は、粉砕、再結晶、カラムクロマト
グラフィー、再沈殿などの慣用の方法で分離し、精製することができる。
化合物(I)および他の化合物には、不斉炭素原子および二重結合に基づく光
学異性体および幾何異性体などの立体異性体が1個またはそれ以上存在すること
があるが、これらの異性体およびそれらの混合物もまたこの発明の範囲に含まれ
る。
目的化合物(I)とその医薬として許容される塩は、種々の病原微生物の成長
を阻害する高い抗菌作用(特に抗真菌作用)、ならびにβ−1,3−グルカンシ
ンターゼに対して強力な阻害作用を有する。
したがって、種々の病原微生物により引き起こされたニューモシスティス カ リニ
感染症(たとえばニューモシスティス カリニ肺炎)などの感染疾患の予防
および/または治療に有用である。
この発明の医薬組成物は、ペプチド化合物(I)またはその医薬として許容さ
れる塩を有効成分として含有し、直腸;肺(鼻または口腔吸入);鼻;目;外用
(局所塗布);経口投与;または非経口(皮下、静脈内および筋肉内を含む)投
与;吸入に適した有機または無機の担体または賦形剤との混合物として、たとえ
ば固体、半固体または液体状の医薬製剤の形で用いることができる。この有効成
分を、たとえば、錠剤、ペレット剤、トローチ、カプセル剤、坐剤、クリーム、
軟膏、エアロゾル剤、吸入用粉末、溶剤、乳剤、懸濁剤および用途に適した他の
形の通常の無毒の医薬として許容される担体と配合してもよい。さらに、必要に
応じて、補助剤、安定化剤、増粘剤および着色剤さらには香料を含有してもよい
。ペプチド化合物(I)またはその医薬として許容される塩は、疾患の経過また
は症状に所望の抗菌効果をもたらすに十分な量を該医薬組成物中に含有する。該
医薬組成物をヒトに適用する場合、静脈内、筋肉内、肺内または経口投与または
吸入により適用するのが好ましい。ペプチド化合物(I)の治療有効用量は、治
療を受ける個々の患者の年令および症状によっても変動するが、一般的に、静脈
内投与の場合、1日当たり0.01ないし20mgの範囲のペプチド化合物(I
)の量をヒトの体重1kg当たりとし、筋肉内投与の場合、1日当たり0.1な
い
し20mgの範囲のペプチド化合物(I)の量をヒトの体重1kg当たりとし、
経口投与の場合、1日当たり0.5ないし50mgの範囲のペプチド化合物(I
)の量をヒトの体重1kg当たりとして、感染疾患の治療または予防のために投
与すればよい。
特にニューモシスティスカリニ感染症の治療と予防の場合、下記のことに注意
すべきである。
吸入投与の場合、この発明の化合物は、製剤されていてもよい粉末として加圧
されたものからエアロゾル噴霧の形で送出されると好都合であり、この粉末組成
物は、吸入粉末吸入器の補助によって吸入されてもよい。吸入のための好ましい
送出方式としては、計量吸入エアロゾルがあり、これは、フッ化炭化水素や炭化
水素などの好適な推進薬中の化合物の懸濁液または溶液として製剤されてもよい
。
肺および気管支を直接治療することが望ましいので、エアロゾル投与は好まし
い投与方法である。特に感染が耳や他の体腔に広まっているような場合、吸入も
また望ましい方法である。
あるいは、静脈内点滴投与を用いて、非経口投与を行なってもよい。
以下の製造例および実施例は、この発明をさらに詳しく説明するために示した
ものである。製造例1
(3R)−3−ヒドロキシヘキサデカン酸メチル(2.0g)のメタノール(
30ml)中の溶液に、1N水酸化ナトリウム水溶液(10ml)を加える。反
応混合物を80℃で30分間環流する。溶媒を留去後、残留物を酢酸エチルに溶
解し、1N塩酸で洗浄する。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、真空中で溶媒
を留去して、(3R)−3−ヒドロキシヘキサデカン酸(1.95g)を得る。
(3R)−3−ヒドロキシヘキサデカン酸(1.95g)のジクロロメタン(
20ml)中の溶液に、2,2,2−トリクロロエタノール(688μl)、1
−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(1.3
7g)および4−ジメチルアミノピリジン(87.6mg)を加え、反応混合物
を室温で1時間攪拌する。溶媒を留去後、残留物を酢酸エチルに溶解し、1N塩
酸、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で順次洗浄する。硫酸マグネシウムで乾燥後、
溶媒を留去して、(3R)−3−ヒドロキシヘキサデカン酸2,2,2−トリク
ロロエチル(2.95g)を得る。
N2−ベンジルオキシカルボニル−N5−第三級ブトキシカルボニル−L−オル
ニチン(73.3mg)と(3R)−3−ヒドロキシヘキサデカン酸2,2,2
−トリクロロエチル(80.7mg)のジクロロメタン(2ml)中の溶液に、
(ベンゾトリアゾール−1−イル)オキシートリピロリジノ−ホスホニウムヘキ
サフルオロホスフェート(PyBop)(104.1mg)と4−ジメチルアミ
ノピリジン(48.8mg)を室温で加える。溶液を6.5時間攪拌後、真空中
で溶媒を留去する。残留物を分取薄層クロマトグラフィー(メルク5744(メ
ルク社製))で精製して、(3R)−3−[N2−ベンジルオキシカルボニル−
N5−第三級ブトキシカルボニル−L−オルニチル]オキシ−ヘキサデカン酸2
,2,2−トリクロロエチル(50mg)を得る。
1H NMR(300MHz,CDCl3,δ):7.36(5H,m),5.35(1H,m),
5.30(1H,m),5.10(2H,s),4.75(2H,s),4.58(1H,m),4.34
(1H,m),3.12(2H,m),2.74(2H,m),1.95-1.20(28H,m),
1.43(9H,s),0.88(3H,t,J=7Hz)
FABMS(m/z):751(M+H)+ 製造例2
N2−ベンジルオキシカルボニル−N6−第三級ブトキシカルボニル−L−リシ
ン(76.1mg)と(3R)−3−ヒドロキシヘキサデカン酸2,2,2−ト
リクロロエチル(80.7mg)のジクロロメタン(0.5ml)中の溶液に、
(ベンゾトリアゾール−1−イル)オキシ−トリピロリジノ−ホスホニウムヘキ
サフルオロホスフェート(PyBop)(104.1mg)と4−ジメチルアミ
ノピリジン(48.8mg)を室温で加える。溶液を6.5時間攪拌後、真空中
で溶媒を留去する。残留物を分取薄層クロマトグラフィー(メルク5744)で
精製して、(3R)−3−[N2−ベンジルオキシカルボニル−N6−第三級ブト
キシカルボニル−L−リシル]オキシ−ヘキサデカン酸2,2,2−トリクロロ
エチル(79.4mg)を得る。
1H NMR(300MHz,CDCl3,δ):7.34(5H,m),5.38(1H,
m),5.30(1H,m),5.09(2H,s),4.74(2H,s),4.59(1H,m),
4.31(1H,m),3.09(2H,m),2.74(2H,m),1.83(2H,m),
1.65(4H,m),1.42(9H,s),1.55-1.20(24H,m),0.86(3H,
t,J=6Hz)
FABMS(m/z):787(M+Na)+ 製造例3
(3R)−3−[N2−ベンジルオキシカルボニル−N5−第三級ブトキシカル
ボニル−L−オルニチル]オキシ−ヘキサデカン酸2,2,2−トリクロロエチ
ル(100mg)の90%酢酸水溶液(3ml)中の溶液に、亜鉛粉末(400
mg)を0℃で加え、1時間攪拌する。反応混合物を濾過後、濾液から真空中で
溶媒を留去する。残留物を酢酸エチルに溶解し、希釈塩酸で洗浄する。有機層を
硫酸ナトリウムで乾燥後、真空中で溶媒を留去して、(3R)−3−[N2−ベ
ンジルオキシカルボニル−N5−第三級ブトキシカルボニル−L−オルニチル]
オキシ−ヘキサデカン酸(86.5mg)を得る。
1H NMR(300MHz,CDCl3,δ):7.34(5H,m),5.45(1H,d,
J=8Hz),5.30(1H,m),5.10(2H,s),4.80(1H,m),4.30(1H,
m),3.08(2H,m),2.59(2H,m),1.80-1.20(28H,m),1.43
(9H,s),0.87(3H,t,J=7Hz)
FABMS(m/z):643(M+Na)+ 製造例4
下記の化合物を製造例3と同様にして得る。
(3R)−3−[N2−ベンジルオキシカルボニル−N6−第三級ブトキシカル
ボニル−L−リシル]オキシ−ヘキサデカン酸
1H NMR(300MHz,CDCl3,δ):7.35(5H,m),6.32(1H,
m),5.35(2H,m),5.11(2H,s),4.76(1H,m),4.38(1H,m),
3.10(2H,m),2.58(2H,m),1.85-1.20(39H,m),0.88(3H,
t,J=6Hz)
FABMS(m/z):657(M+Na)+
IR(KBr):3355,2925,1730,1725,1685,1650,1525 cm-1
下記の製造例および実施例において使用される出発化合物および得られる目的
化合物を以下の表に示す。表中において、特記ない限り、出発化合物の式を上側
に、目的化合物の式を下側にそれぞれ記載する。
以下の実施例および製造例において、IUPAC−IUB(生物学的命名委員
会)により採用された略語に加えて、他の略語を使用している。
使用される略語は下記の通りである。
Boc : 第三級ブトキシカルボニル
Z : ベンジルオキシカルボニル
製造例5
アクチノプラーネス ユタヘンシスIFO−13244の保存株を調製し、寒
天斜面培地に保持する。斜面培養物の1白金耳を、デンプン1%、蔗糖1%、ブ
ドウ糖1%、綿種粉1%、ペプトン0.5%、大豆粉0.5%、炭酸カルシウム
0.1%からなる種培地に接種する。接種した栄養培地を、振盪器上の225m
lの広口エルレンマイヤーフラスコ中で30℃で約72時間インキューベートす
る。
このインキューベートした栄養培地を、蔗糖2%、落花生粉1%、燐酸水素二
カリウム(K2HPO4)0.12%、燐酸二水素カリウム(KH2PO4)0.0
5%と硫酸マグネシウムヘプタ水和物(MgSO4 7H2O)0.025%から
なる生成培地に接種する。接種した生成培地を、30lのジャーファーメンター
中で30℃で約80時間発酵させる。発酵培地を慣用の攪拌器を用いて250r
pmで攪拌し、毎分20lの通気を行う。栄養菌糸を濾過により発酵培地から集
め、水で一度洗浄する。洗浄した菌糸を直接使用して目的化合物を得る。
出発化合物はEP 0 584 360 A1で開示された発酵法によって製造さ
れる。
出発化合物を、2.5mg/mlの濃度で0.2M燐酸緩衝液(pH7.8)
に溶解する。2lの溶液に、上記のようにして得られたアクチノプラーネスユタ
ヘンシスIFO−13244の湿潤重量400gの洗浄された菌糸を加える。反
応を60℃未満で20時間実施する。出発化合物の減少と目的化合物の増加を逆
相カラムを備えるHPLCを用いて測定する。
5gの出発化合物から、1.3gの目的化合物を反応混合物中に生成する。
上記の反応混合物を濾過助剤を用いて濾過する。
菌糸ケーキを捨てる。濾液を、水充填YMC GEL ODS−AM 120−
S50(YMC社)のカラム(350ml)に通す。カラムを1lの水と2lの5
%メタノール水溶液で洗浄し、次に1lの30%メタノール水溶液で溶離する。
溶離液から真空中で溶媒を留去して乾燥粉末を得る。粉末を水(20ml)に溶
解し、0.5%二水素燐酸アンモニウム(NH4H2PO4)を含む10%アセト
ニトリル水溶液を充填したYMC GEL ODS−AM 120−S50のカラ
ム(350ml)に通す。カラムを同一溶媒系で溶離し、溶離液を、YMCパッ
ク
ODS−AM AM303(250 x 4.6mm内径、S−5 120A;YM
C社)のカラムおよび0.5%NH4H2PO4を含む12.5%アセトニトリル
水溶液の溶媒系を用いて、1ml/分の流量にて分析HPLCにより監視し、2
10nmにてUVモニターで検出する。目的化合物を含む画分を合わせ、真空中
で溶媒を留去して、アセトニトリルを除去し、次に、水充填YMC GEL OD
S−AM 120−S50のカラム(180ml)に通す。カラムを1.8lの水
と0.6lの5%メタノール水溶液で洗浄し、0.6lの30%メタノール水溶液
で溶離する。溶離液を真空中で濃縮してメタノールを除去後、凍結乾燥して、1
.15gの目的化合物を白色粉末として得る。
1H NMR(400MHz,CD3OD,δ):7.04(2H,d,J=8Hz),6.70
(2H,d,J=8Hz),4.77(1H,d,J=5Hz),4.63-3.83(21H,
m),3.80(1H,dd,J=4,11Hz),3.19(1H,dd,J=5,
14Hz),2.77(1H,dd,J=11,14Hz),2.46(2H,m),2.25
(2H,m),2.11(1H,m),2.04(2H,m),1.23(3H,d,
J=6Hz),1.21(3H,d,J=6Hz),1.17(3H,d,J=6Hz),1.16
(3H,d,J=6Hz),0.97(3H,d,J=6Hz),0.95(3H,d,
J=6Hz)
FAB-MS(m/z):1183(M+H)+
IR(KBr):3300,2980,1655,1540,1455,1235 cm-1
製造例6
出発化合物(下記の実施例8で得られた目的化合物)(20g)の水(500
ml)中の溶液に、2N水酸化ナトリウム溶液(500ml)を加え、氷冷下で
1時間攪拌する。次に、2N塩酸溶液(500ml)を加えて、化合物Aを含む
反応混合物を中和する。中和溶液に、4lの1M燐酸緩衝液(ph7.5)、1
3lの水と製造例5と同様にして製造されたアクチノプラーネスユタヘンシスI
FO−13244の湿潤重量3kgの洗浄された菌糸を加える。攪拌しながら3
7℃で24時間反応を行う。目的化合物の増加を逆相カラムを備えるHPLCを
用いて測定する。
20gの出発化合物から、10gの目的化合物を反応混合物中に生成する。
上記の反応混合物を濾過助剤を用いて濾過する。菌糸ケーキを捨てる。濾液を
、水充填ダイヤイオンHP−20(三菱化成)のカラムに通す。カラムを水(1
.5l)と20%メタノール水溶液(1.5l)で洗浄し、次に80%メタノール
水溶液(1.5l)で溶離する。溶離液から真空中で溶媒を留去して乾燥粉末を
得る。粉末を水(100ml)に溶解し、0.5%NH4H2PO4を含む17.
5%アセトニトリル水溶液を充填したYMC GEL ODS−AM 120−S
50(YMC社)のカラム(2l)に通す。カラムを同一溶媒系で溶離し、溶離
液を、YMCパック ODS−AM AM303(250mm x 4.6mm内径
、S−5 120A;YMC社)のカラムおよび0.5%NH4H2PO4を含む1
7.5%アセトニトリル水溶液の溶媒系を用いて、1ml/分の流量にて分析H
PLCにより監視し、210nmにてUVモニターで検出する。目的化合物を含
む画分を合わせ、真空中で溶媒を留去して、アセトニトリルを除去し、次に、水
充填ダイヤイオンHP−20のカラム(500ml)に通す。カラムを水(3l
)と20%メタノール水溶液(2l)で洗浄し、80%メタノール水溶液(2l)
で溶離する。溶離液を真空中で濃縮してメタノールを除去後、凍結乾燥して、7
.6gの目的化合物を白色粉末として得る。
1H NMR(400MHz,CD3OD,δ):7.03(2H,d,J=8Hz),6.70
(2H,d,J=8Hz),4.78(1H,d,J=5Hz),4.62-3.85(22H,m),
3.80(1H,dd,J=4,11Hz),3.20(1H,dd,J=5,12Hz),3.05
(2H,m),2.77(1H,dd,J=10,12Hz),2.47(2H,m),2.25(2H,
m),2.05(3H,m),1.87(1H,m),1.71(1H,m),1.52(2H,m),
1.42(9H,m),1.23(3H,d,J=6Hz),1.21 (3H,d,J=6Hz),
1.20(3H,d,J=6Hz),1.18(3H,d,J=6Hz),1.16(3H,d,
J=6Hz),0.97(3H,d,J=6Hz),0.95(3H,d,J=6Hz)
FABMS(m/z):1398(M+H)+
IR(KBr):3305,2975,1655,1520,1455,1250cm-1
実施例1
(3R)−3−[N2−ベンジルオキシカルボニル−N5−第三級ブトキシカル
ボニル−L−オルニチル]オキシ−ヘキサデカン酸(31mg)のジクロロメタ
ン(0.5ml)中の溶液に、塩化ピバロイル(6.15μl)とトリエチルア
ミン(6.97μl)を0℃で加え、混合物を同温度で1時間攪拌する。反応混
合物を、出発化合物(製造例5で得られた目的化合物)(59mg)のN,N−
ジメチルホルムアミド(1.5ml)とトリエチルアミン(6.97μl)中の
溶液に、0℃で滴下し、反応混合物を室温で4時間攪拌する。溶媒を真空中で留
去後、残留物をODS開カラムで精製して、目的化合物(39mg)を得る。
1H NMR(300MHz,CD3OD,δ):7.32(5H,m),7.00(2H,d,
J=8.5Hz),6.68(2H,d,J=8.5Hz),5.22(1H,m),5.07(2H,
s),4.66(1H,d,J=5Hz),4.63-3.8(22H,m),3.73(1H,dd,
J=4,11Hz),3.02(3H,m),2.78(1H,dd,J=9,14Hz),2.53
(2H,m),2.45(2H,d,J=7Hz),2.26(2H,m),2.00(3H,m),
1.79(1H,m),1.73-1.45(5H,m),1.43(9H,s),1.4-1.2
(37H,m),0.92(9H,m)
FABMS(m/z):1808(M+Na)+
IR(KBr):3305,2925,1735,1655,1515,1455,
1245cm-1
実施例2
目的化合物を実施例1と同様にして得る。
1H NMR(400MHz,CD3OD,δ):7.33(5H,m),7.02(2H,d,
J=8.5Hz),6.71(2H,d,J=8.5Hz),5.23(1H,m),5.09(2H,
),4.68(1H,d,J=5Hz),4.65-3.70(23H,m),3.02(3H,m),
2.81(1H,dd,J=9,14Hz),2.54(2H,m),2.48(2H,brd,
J=7Hz),2.26(2H,m),2.02(3H,m),1.78(1H,m),1.62(3H,
m),1.42(9H,s),1.5-1.2(38H,m),1.20(3H,d,J=7Hz),
0.95(3H,d,J=7Hz),0.93(3H,d,J=7Hz),0.90(3H,t,
J=7Hz)
FABMS(m/z):1822(M+Na)+
IR(KBr):3305,2925,1730,1655,1540,1455,
1250cm-1
実施例3
出発化合物(実施例1で得られた目的化合物)(39mg)のメタノール(3
ml)中の溶液に、10%パラジウム炭(40mg)を加え、混合物を室温で6
時間水素化(1気圧)する。反応混合物を濾過し、濾液から真空中で溶媒を留去
して、目的化合物(32.4mg)を得る。
1H NMR(400MHz,CD3OD,δ):7.02(2H,dA,J=8.5Hz),
6.72(2H,d,J=8.5Hz),5.31(1H,m),4.72(1H,d,J=5Hz),
4.6-3.8(22H,m),3.75(1H,m),3.09(2H,m),3.00(1H,dd,
J=6,14Hz),2.80(1H,dd,J=9,14Hz),2.6(2H,m),2.47
(2H,d,J=7Hz),2.27(2H,m),2.03(3H,m),1.95-1.5(6H,
m),1.44(9H,s),1.4-1.18(34H,m),1.15(3H,d,J=7Hz),
0.95(3H,d,J-7Hz),0.92(3H,d,J=7Hz),0.89(3H,t,
J=7Hz)
FABMS(m/z):1652(M+H)+
IR(KBr):3315,2925,1745,1655,1520,1455,
1250cm-1
実施例4
目的化合物を実施例3と同様にして得る。
1H NMR(400MHz,CD3OD,δ):7.02(2H,d,J=8.5Hz),
6.72(2H,d,J=8.5Hz),5.31(1H,m),4.75-3.7(24H,m),
3.04(3H,m),2.80(1H,m),2.54(2H,m),2.47(2H,br d,
J=7Hz),2.27(2H,m),2.03(3H,m),1.43(9H,s),1.9-1.2
(42H,m),1.15(3H,d,J=7Hz),0.95(3H,d,J=7Hz),0.93
(3H,d,J=7Hz),0.90(3H,t,J=7Hz)
FABMS(m/z):1666(M+H)+
IR(KBr):3310,2925,1740,1655,1515,1455,
1250cm-1
実施例5
出発化合物(実施例3で得られた目的化合物)(32.4mg)のN,N−ジ
メチルホルミアミド(20ml)中の溶液に、1−エチル-3−(3−ジメチル
アミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSCD.HCL)(7.7mg)と
1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)(5.4mg)を室温で加える
。反応混合物を2時間攪拌後、WSCD.HCL(3.83mg)とHOBT(
2.7mg)を溶液に加え、室温で2時間攪拌する。溶媒を真空中で留去後、残
留物をODS開カラムで精製して、目的化合物(22mg)を得る。
1H NMR(400MHz,CD3OD,δ):7.08(2H,d,J=8Hz),6.84
(2H,d,J=8Hz),5.12(1H,m),4.97(1H,d,J=4Hz),4.69
(1H,s),4.65-3.84(20H,m),3.74(2H,br s),3.05(2H,m),
2.90(2H,d,J=8Hz),2.60-1.80(11H,m),1.70-1.43(4H,m),
1.43(9H,s),1.40-1.16(34H,m),1.15(3H,d,J=6Hz),0.9
(9H,m)
FABMS(m/z):1656(M+Na)+
IR(KBr):3305,2930,1735,1655,1515,1455,
1250cm-1
実施例6
目的化合物を実施例5と同様にして得る。
1H NMR(400MHz,CD3OD,δ):7.11(2H,d,J=8Hz),6.86
(2H,d,J=8Hz),5.09(1H,m),4.98(1H,d,J=3Hz),4.73-
3.85(21H,m),3.72(2H,brs),3.05(2H,m),2.90(2H,d,
J=8Hz),2.63-2.17(6H,m),2.13-1.75(5H,m),1.72-1.15
(40H,m),1.14(3H,d,J=7Hz),0.90(3H,d,J=7Hz),0.87
(3H,d,J=7Hz),0.86(3H,t,J=7Hz)
FABMS(m/z):1670(M+Na)+
IR(KBr):3335,2925,1735,1655,1515,1455,
1250cm-1
実施例7
出発化合物(実施例6で得られた目的化合物)(42mg)のトリフルオロ酢
酸(0.5ml)中の溶液を0℃で30分間攪拌する。溶媒を真空中で留去後、
残留物を分取HPLCで精製して、目的化合物(20.1mg)を得る。
1H NMR(400MHz,CD3OD,δ):7.09(2H,d,J=8Hz),6.88
(2H,d,J=8Hz),5.12(1H,m),5.00(1H,br s),4.67-3.85
(21H,m),3.73(1H,brs),3.64(1H,brd,J=11Hz),2.96
(3H,m),2.85(1H,m),2.65-2.18(6H,m),2.13-1.85(5H,
m),1.72-1.25(40H,m),1.14(3H,d,J=7Hz),0.88(9H,m)
FABMS(m/z):1548(M+H)+
IR(KBr):3310,2930,1740,1660,1520,1455,
1085cm-1
実施例8
EP 0 584 360 A1で開示された発酵法によって製造された出発化合
物(20g)のジオキサン(250ml)と水(250ml)中の溶液に、ジ第
三級ブチルジカルボネート(6g)とトリエチルアミン(2ml)を室温で加え
、2時間攪拌する。
溶媒を真空中で留去後、500mlの水を加える。溶液を、水充填YMC G
FL ODS−AM 120−S50(YMC社)のカラム(1l)に通す。カラ
ムを3lの水と3lの50%メタノール水溶液で洗浄し、次に3lの95%メタノ
ール水溶液で溶離する。溶離液を真空中で濃縮してメタノールを除去後、凍結乾
燥して、20gの目的化合物を白色粉末として得る。
1H NMR(400MHz,CD3OD,δ):7.08(2H,d,J=8Hz),6.84
(2H,d,J=8Hz),5.12(1H,m),4.97(1H,d,J=4Hz),4.69
(1H,s),4.65-3.84(20H,m),3.74(2H,br s),3.05(2H,m),
2.90(2H,d,J=8Hz),2.60-1.80(11H,m),1.70-1.43(4H,m),
1.43(9H,s),1.40-1.16(34H,m),1.15(3H,d,J=6Hz),0.90
(9H,m)
FABMS(m/z):1634(M+H)+
IR(KBr):3305,2930,1735,1655,1515,1455,
1250cm-1
実施例9
(3R)−3−ベンジルオキシカルボニルアミノヘキサデカン酸(29mg)
のジクロロメタン(1.0ml)中の溶液に、塩化ピバロイル(8.82μl)
とトリエチルアミン(9.98μl)を0℃で加え、混合物を同温度で1時間攪
拌する。反応混合物を、出発化合物(製造例6で得られた目的化合物)(100
mg)のN,N−ジメチルホルムアミド(1.0ml)とトリエチルアミン(9
.98μl)中の溶液に、0℃で滴下し、反応混合物を室温で4時間攪拌する。
溶媒を真空中で留去後、残留物をODS開カラムで精製して、目的化合物(70
mg)を得る。
1H NMR(400MHz,CD3OD,δ):7.33(5H,m),7.02(2H,
d,J=8Hz),6.71(2H,d,J=8Hz),5.06(2H,m),4.69(1H,d,
J=5Hz),4.63-3.83(23H,m),3.75(1H,m),3.05(2H,t,
J=7Hz),3.00(1H,dd,J=7,14Hz),2.82(1H,dd,J=9,14Hz),
2.45(4H,m),2.27(2H,m),2.02(3H,m),1.89(1H,m),
1.74(1H,m),1.42(9H,s),1.64-1.15(41H,m),0.95(3H,
d,J=7Hz),0.92(3H,d,J=7Hz),0.90(3H,t,J=7Hz)
FABMS(m/z):1807(M+Na)+
IR(KBr):3320,2925,1660,1540,1455,1255cm-1
実施例10
目的化合物を実施例9と同様にして得る。
1H NMR(400MHz,CD3OD,δ):7.35-7.2(7H,m),7.15
(3H,m),7.02(2H,d,J=8Hz),6.72(2H,d,J-8Hz),5.05
(2H,m),4.69(1H,d,J=5Hz),4.65-3.8(23H,m),3.74(1H,
m),3.05(2H,t,J=7Hz),3.00(1H,dd,J-7,14Hz),2.81
(1H,dd,J=9,14Hz),2.58(2H,m),2.45(4H,m),2.26(2H,
m),2.02(3H,m),1.89(1H,m),1.74(1H,m),1.42(9H,s),
1.65-1.16(27H,m),0.95(3H,d,J=7Hz),0.92(3H,d,
J=7Hz)
FABMS(m/z):1785(M+Na)+
IR(KBr):3325,2930,1690,1535,1455,1250 cm-1
実施例11
出発化合物(実施例9で得られた目的化合物)(70mg)のメタノール(6
ml)中の溶液に、10%パラジウム炭(100mg)を加え、混合物を室温で
6時間水素化(1気圧)する。反応混合物を濾過し、濾液から真空中で溶媒を留
去して、目的化合物(46.1mg)を得る。
1H NMR(400MHz,CD3OD,δ):7.03(2H,d,J=8Hz),6.72
(2H,d,J=8Hz),4.73(1H,d,J=5Hz),4.62-3.83(22H,m),
3.75(1H,m),3.52(1H,m),3.05(3H,m),2.80(1H,dd,
J=9,14Hz),2.75-2.4(4H,m),2.28(2H,m),2.05(3H,m),
1.88(1H,m),1.42(9H,s),1.8-1.15(42H,m),0.97(3H,d,
J=7Hz),0.94(3H,d,J=7Hz),0.90(3H,t,J=7Hz)
FABMS(m/z):1651(M+H)+
IR(KBr):3325,2930,1665,1515,1455,1250 cm-1
実施例12
目的化合物を実施例11と同様にして得る。
1H NMR(400MHz,CD3OD,δ): 7.22(2H,m),7.15(3H,
m),7.03(2H,d,J=8Hz),6.72(2H,d,J=8Hz),4.72(1H,d,
J=5Hz),4.65-3.8(22H,m),3.74(1H,m),3.48(1H,m),3.05
(3H,m),2.80(1H,dd,J=9,14Hz),2.7-2.4(6H,m),2.28
2H,m),2.04(3H,m),1.89(1H,m),1.42(9H,s),1.8-1.3
(13H,m),1.22-1.16(15H,m),0.97(3H,d,J=7Hz),0.94
(3H,d,J=7Hz)
FABMS(m/z):1629(M+H)+
IR(KBr):3305,2935,1670,1520,1455,1250cm-1
実施例13
出発化合物(実施例11で得られた目的化合物)(46mg)のジメチルホル
ミアミド(28ml)中の溶液に、WSCD.HCL(10.7mg)とHOB
T(7.5mg)を室温で加える。反応混合物を2時間攪拌後、WSCD.HC
L(5.3mg)とHOBT(3.8mg)を溶液に加え、室温で2時間攪拌す
る。溶媒を真空中で留去後、残留物をODS開カラムで精製して、目的化合物(
19.4mg)を得る。
1H NMR(400MHz,CD3OD,δ):7.06(2H,d,J=8Hz),6.78
(2H,d,J=8Hz),4.86-3.6(25H,m),3.04(3H,m),2.90(1H,
dd,J=9,14Hz),2.48(2H,m),2.33(1H,dd,J=9,14Hz),
2.25(2H,m),2.02(3H,m),1.43(9H,s),1.6-1.2(44H,m),
1.19(3H,d,J=7Hz),0.92(3H,d,J=7Hz),0.91(3H,d,
J=7Hz),0.90(3H,t,J=7Hz)
FABMS(m/z):1633(M+H)+
IR(KBr):3310,2925,1655,1520,1450,1250cm-1
実施例14
目的化合物を実施例13と同様にして得る。
1H NMR(400MHz,CD3OD,δ):7.22(2H,m),7.15(3H,
m),7.05(2H,d,J=8Hz),6.78(2H,d,J=8Hz),
4.63-3.6(25H,m),3.04(3H,m),2.90(1H,dd,J-9,14Hz),
2.58(2H,m),2.47(4H,m),2.33(1H,dd,J=9,14Hz),2.25
(2H,m),2.02(3H,m),1.42(9H,s),1.65-1.15(30H,m),
0.92(3H,d,J=7Hz),0.89(3H,d,J=7Hz)
FABMS(m/z):1611(M+H)+
IR(KBr):3310,2935,1655,1515,1450,1250 cm-1
実施例15
出発化合物(実施例13で得られた目的化合物)(19.4mg)のトリフル
オロ酢酸(0.5ml)中の溶液を0℃で30分間攪拌する。溶媒を真空中で留
去後、残留物を分取HPLCで精製して、目的化合物(19.4mg)を得る。
1H NMR(400MHz,CD3OD,δ):7.05(2H,d,J=8Hz),6.84
(2H,d,J=8Hz),4.95(1H,d,J=4Hz),4.74(1H,brs),4.64
(3H,m),4.5-3.8(18H,m),3.69(2H,m),2.94(4H,m),
2.52-2.15(5H,m),2.04(3H,m),1.75(1H,s),1.65-1.2
(43H,m),1.17(3H,d,J=7Hz),0.89(3H,t,J=7Hz),0.89
(3H,d,J=7Hz),0.87(3H,d,J=7Hz)
FABMS(m/z):1533(M+H)+
IR(KBr):3310,2930,1660,1520,1455,1085cm-1
実施例16
目的化合物を実施例15と同様にして得る。
1H NMR(400MHz,CD3OD,δ):7.22(2H,m),7.14(3H,
m),7.04(2H,d,J=8Hz),6.84(2H,d,J=8Hz),4.95(1H,d,
J=4Hz),4.73(1H,brs),4.65(2H,m),4.5-3.8(19H,m),
3.70(2H,m),2.94(4H,m),2.57(2H,m),2.48(1H,dd,
J=8,14Hz),2.43-2.18(5H,m),2.02(4H,m),1.75(1H,m),
1.63-1.2(24H,m),1.17(3H,d,J=7Hz),0.89(3H,d,
J=7Hz),0.87(3H,d J=7Hz)
FABMS(m/z):1511(M+H)+
IR(KBr):3295,2935,1665,1515,1455,1235,
1070cm-1
─────────────────────────────────────────────────────
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