【発明の詳細な説明】
リンパ球インターフェロン調節因子(LSIRF)ポリペプチドをコードする遺伝子
背景
発明の分野
本発明は、DNA 結合活性を有する新規ポリペプチド、及び前記ポリペプチドを
コードする核酸分子に関する。これまで“IRF−3”ポリペプチドと称されて来
たポリペプチドは現在、“LSIRF ”ポリペプチド(リンパ球特異的インターフェ
ロン調節因子)と称されており、そしてインターフェロン調節因子として知られ
ているポリペプチドの種類の新規メンバーである。
関連技術の記載
遺伝子発現の調節は、いくつかの異なったレベルで起こるが、しかし遺伝子特
異的転写因子の活性化はこの過程にとって最とも基礎的なものであると思われる
。転写因子の1つの種類、すなわちインターフェロン調節因子(IRF)は、4種の
メンバー、すなわち IRF−1,IRF−2,ISGF3γ及びICSBP から成る。すべて
の4種のIRF は、反復されたトリプトファンモチーフを含有する、強く保存され
たN−末端DNA 結合ドメインにより特徴づけられる(Veals など.,Mol.Cell.
Biol.,12 : 3315-3324[1992])。
インターフェロン調節因子−1(IRF−1)及び−2(IRF−2)は、ヒトインター
フェロン−β(IFN−β)遺伝子の転写調節の研究により初め同定された(Miyamot
oなど.,Cell,54 : 903-913[1988]及びHaradaなど.,Cell,58 : 729-739[1989
])。cDNA発現研究は
、IRF−1がIFN 遺伝子及び IFN−誘導性遺伝子の転写活性化因子として機能し
、そして IRF−2は IRF−1の効果を抑制することを示している(Fujitaなど.
,Nature,337,270-272[1989]及びHaradaなど.,Cell,63 : 303-312[1990])
。最近の分析は、IRF−1が、腫瘍抑制遺伝子としても作用し、そして IRF−2
が可能性ある腫瘍遺伝子として作用することを示している(Haradaなど.,Scien
ce,259 : 971-974[1993])。IRF−1発現はタンプ−I(α/β)IFN 及びタイ
プII(γ)IFN により誘発され(Miyamotoなど.,Cell,54 : 903-913[1988];
Kannoなど.,Mol.Cell.Biol.,13 : 3951-3963[1993])、他方 IRF−2は構
成的に発現され、且つタイプ−I IFNにより誘発される(Haradaなど.,Cell,5
8 : 729-739[1989])。
インターフェロンにより刺激される遺伝子因子−3γ(ISGF3γ)は、タイプ
−I IFNにより潜在サイトゾル形から活性化されたISGF3αサブユニットに会合
する IFN−γ−誘導性タンパク質である(Levyなど.,EMBO J.,9 : 1105-1111
[1990]; Levy など.,New Biologist,2 : 383-392[1990])。会合に基づいて
、この複合体は、核にトランスロケートし、そしてISRE(IFNにより刺激される応
答要素;Veals など.,Mol.Cell.Biol.,12 : 3315-3324[1992])として知ら
れる IFN−誘導性遺伝子のプロモーター領域に見出される特定のDNA 配列と結合
することが示されている。最近、91/84KDa 及び113KDaのISGF3αサブユニット
がクローン化されており(Schindler など.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89
: 7836-7839[1992];Fuなど.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89 : 7840-7843[1
992])、そして転写−1(Stat−1)及び−2(Stat−2)のシグナルトランス
ジューサー及び活性化因子として、それぞれ命名されており、それらはタイプ−
I IFN/IFN−レセプター関与に続い
てのJAK キナーゼリン酸化の標的物である(Shuai など.,Science,261 : 1744
-1746[1993];Darnellなど.,Science,261 : 1415-1421[1994])。
インターフェロンコンセンサス配列結合タンパク質(ICSBP)はまた、ネズミMHC
クラスI,H−2LD遺伝子のプロモーターのISREモチーフ(ICSとも称する)を
認識するタンパク質として初め単離された IFN−γ−誘導性タンパク質でもある
(Driggersなど.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87 : 3743-3747[1990])。し
かしながら、IRF−1,IRF−2及びISGF3γとは異なって、ICSBP は、マクロフ
ァージ及びリンパ球系細胞において独占的に誘導されるので、発現の組織制限さ
れたパターンを示す(Driggersなど.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87 : 3743
-3747[1990])。最近の研究は、ICSBP がIFN 遺伝子及び IFN−誘導性遺伝子の
誘導に対する IRF−1の効果をアンタゴナイズすることにおいて IRF−2に類似
する役割を有することを示唆している(Weisz など.,J.Biol.Chem.,267 ; 2
5589-25596[1992]; Nelsonなど.,Mol.Cell.Biol.,13 : 588-599[1993])
。インターフェロン−誘導性遺伝子のISREは、IRF−E、すなわち IRF−1及び
−2により認識されるDNA 配列とオーバーラップする(Tanakaなど.,Mol.Cell
.Biol.13 : 4531-4538[1993])。つい最近、ISGF3γは、IFN−β遺伝子の
IRF−Eを結合することが示された(Kawakamiなど.,FEBS Letters,358 : 225-
229[1995])。
インターフェロン遺伝子及び他の遺伝子の発現を調節することにおけるIRF の
重要性の観点から、他のIRF 、特に組織特異的IRF を同定する必要性が当業界に
おいて存在する。
従って、IRF 遺伝子の種類の新規メンバーを同定することが、本発明の目的で
ある。
他の目的は、当業者に容易に明らかになるであろう。
発明の要約
本発明は、リンパ球特異的インターフェロン調節因子をコードする新規核酸分
子を提供する。“IRF−3”分子としてこれまで言及されて来た分子は現在、“L
SIRF”分子として言及されるが、しかしながら、この用語は、用語“LSIRF”分
子と交換可能的に使用され得る。
1つの観点において、本発明は、
a)配列番号1のヌクレオチド配列を有する核酸分子;
b)配列番号4のヌクレオチド配列を有する核酸分子;
c)配列番号24のヌクレオチド配列を有する核酸分子又はその“Double Q”変
異体;
d)配列番号2のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を有する核酸分
子;
e)配列番号25のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を有する核酸又
はその“二重Q”変異体;及び
f)(a),(b),(c),(d)もしくは(e)の核酸分子、又はそれら
のフラグメントとハイブリダイズするヌクレオチド配列を有する核酸分子;
から成る群から選択された、LSIRF ポリペプチド又はそのフラグメントをコー
ドする単離された核酸分子を提供する。
本発明はさらに、宿主細胞におけるそれらの核酸分子の発現の生成物であるポ
リペプチドを供給する。
さらにまた、本発明は、LSIRF ポリペプチドを特異的に結合する抗体を供給す
る。任意には、前記抗体はモノクローナル抗体である。
もう1つの観点において、本発明は、LSIRF ポリペプチドの特異的DNA 結合活
性を有する単離されたポリペプチド又はそのフラグメントを供給する。
もう1つの観点において、本発明は、LSIRF ポリペプチドをコードするDNA 分
子を含んで成るベクターを供給する。
さらにもう1つの観点において、本発明は、LSIRF ポリペプチドをコードする
DNA 分子を含んで成るベクターにより安定して形質転換され、又はトランスフェ
クトされた宿主細胞を供給する。
さらにもう1つの観点において、本発明は、単離されたLSIRF ポリペプチド又
はそのフラグメントを供給し;前記ポリペプチドは配列番号2のアミノ酸配列を
有する。
さらなる観点において、本発明は、外因性LSIRF 核酸配列の原核又は真核宿主
細胞発現生成物であるLSIRF ポリペプチドを供給する。
さらに、本発明は、LSIRF 発現を可能にする条件下で原核又は真核宿主細胞を
培養することを含んで成る、LSIRF ポリペプチドを生成するための方法を提供す
る。
図面の簡単な説明
図1は、完全な長さのマウスLSIRF cDNA核酸配列を示す。
図2は、完全な長さのマウスLSIRF ポリペプチドアミノ酸配列を示す。
図3は、マウスLSIRF 遺伝子の5’フランキング配列を示す。
図4は、マウスLSIRF ゲノムDNA 配列を示す。
図5は、マウスの種々の組織からのDNA のノザンブロットを示す。前記ブロッ
トは、LSIRF 転写体を同定するために、放射性ラベルされたLSIRF プローブによ
りプローブされた。前記転写体のサイズ
を示すDNA 塩基対マーカーは、左側に示されている。リボソームRNA を示すアガ
ロースゲルの写真もまた示されている。
図6は、示されるように、刺激体(stimulator)を伴わないで(−)又は刺激
体により処理されたマウスリンパ球からのRNA のノザンブロットを示す。前記ブ
ロットは、LSIRF 転写を誘発するそれらの刺激体を同定するために、放射性ラベ
ルされたLSIRF プローブによりプローブされた。放射性ラベルされたβアクチン
プローブによりプローブされた同じブロットがまた、示されている。
図7は、示されるように、刺激体を伴わないで(−)又は1又は複数の刺激体
により処理され、そして次に、放射性ラベルされたLSIRF プローブによりプロー
ブされたマウス脾臓細胞のノザンブロットを示す。放射性ラベルされたβ−アク
チンプローブによりプローブされた同じノザンブロットもまた示されている。
図8は、示されるように、刺激体を伴わないで(−)又は刺激体により処理さ
れ、そして次に、放射性ラベルされたLSIRF プローブによりプローブされたマウ
ス脾臓細胞のノザンブロットを示す。放射性ラベルされたβ−アクチンプローブ
によりプローブされた同じノザンブロットもまた示される。
図9は、マウスMHC ISKEのLSIRF 結合のゲルシフト結合アッセイを示す。対照
のバキュロウィルス感染されたSF9昆虫細胞(レーン2)又はLSIRF 遺伝子を含
む、バキュロウィルスにより感染されたSF9細胞(レーン3〜12)からの核抽出
物を、放射性ラベルされたマウスMHC ISREプローブ及び示される競争体DNA フラ
グメント(前記競争体フラグメントの配列は表1に示されている)の両者と共に
インキュベートした。レーン1及び13は、放射性ラベルされたMHC ISREプローブ
のみを含む。
図10は、“単一Q”形でのヒトLSIRF のコード領域の完全な長さ
のヌクレオチド配列を示す(配列番号24)。“二重Q”形は、アミノ酸163 のコ
ドンとアミノ酸164 のコドンとの間に挿入されたアミノ酸Q(Glu)をコードする
追加のコドンを有する。
図11は、図10のヌクレオチド配列から翻訳されるような、ヒトLSIRF のアミノ
酸配列の推定上の“単一Q”形を示す(配列番号25)。“二重Q”形は、アミノ
酸163 とアミノ酸164 との間に挿入された追加のアミノ酸Q(Glu)を有する。
発明の詳細な記載
用語“IRF−3”及び“LSIRF”は、本明細書において、交換可能に使用され、
そして同じ核酸及びアミノ酸配列を言及し;LSIRF の“単一Q”及び“二重Q”
形はこの定義内に包含される(例5を参照のこと)。
本明細書で使用される場合、用語“生物学的活性”とは、ISRE(インターフェ
ロン結合性応答要素)型DNA フラグメント、たとえばネズミMHCI ISRE、ヒトISG
54 及び/又はISRE変異体、たとえばISREm1又はISREm4(それらの配列は表
1に示されている)を結合する、いづれかの源に由来する完全な長さのポリペプ
チド又はそのフラグメントを意味する。生物学的活性ポリペプチド又はそのフラ
グメントはまた、完全な長さのLSIRF ポリペプチド、たとえば図2及び25に示さ
れるLSIRF ポリペプチドに対して生ぜしめられ、そしてそのポリペプチドと反応
する抗体との免疫学的交差反応性を有するそれらのポリペプチド又はフラグメン
トも包含する。
本明細書で使用される場合、用語“安定して形質転換された又はトランスフェ
クトされた”とは、宿主細胞ゲノムDNA 又は独立した分子(たとえば染色体外的
に)として、宿主細胞中に挿入され、そして宿主細胞に存在し、そしてそれが宿
主細胞の連続的世代を通し
て代々伝えられるように親宿主細胞において維持され、そして複製される核酸分
子を意味する。
用語“合成DNA”とは、全体的に又は部分的に化学合成法により生成された核
酸分子を言及する。
用語“ベクター”とは、細菌、酵母、無脊椎動物及び/又は哺乳類宿主細胞と
機能することができるプラスミド又はウィルスDNA システムの形での核酸分子増
幅、複製及び/又は発現ビークルを意味する。ベクターは、宿主細胞ゲノムDNA
と独立して存続することができ、又はゲノムDNA と完全に又は部分的に統合する
ことができる。ベクターは、それが適合できるいづれかの宿主細胞において機能
的であるためのすべての必要な要素を含むであろう。そのような要素は、下記に
示されている。
本発明の1つの観点は、LSIRF ポリペプチドを調製するための方法を提供する
。典型的には、前記ポリペプチドは、そのポリペプチドをコードする核酸分子を
得、この核酸分子を適切な発現ベクター中に挿入し、前記ベクターを適合する宿
主細胞中に挿入し、前記宿主細胞においてLSIRF ポリペプチドを発現し、そして
前記LSIRF ポリペプチドを精製することによって調製されるであろう。1.LSIRF ポリペプチドをコードするDNA の調製
LSIRF をコードする核酸分子は、種々の手段、たとえば化学合成、cDNAもしく
はゲノムライブラリーのスクリーニング、発現ライブラリーのスクリーニング、
及び/又はcDNAのPCR 増幅(但し、これらだけには限定されない)により容易に
得られる。そのようなDNA を単離するのに有用な方法及び他のものは、Sambrook
など.(Molecular Cloning : A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Labor
atory Press,Cold Spring Harbor,NY[1989])により、Ausubel など.,eds.(
Current Protocols in Molecular Biology,Current
Protocols Press[1994])により、及びBerger and Kimmel(Method in Enzym
ology : Guide to Molecular Cloning Techniques,vol.152,Academic Press
,Inc.,San Diego,CA[1987])により示されている。LSIRF をコードする好
ましい核酸配列は、哺乳類の配列である。LSIRF をコードする最とも好ましい核
酸配列は、ヒト、ラット及びマウスのものである。
LSIRF 核酸分子の化学合成は、Engelsなど.(Angew.Chem.Intl.Ed.,28 :
716-734[1989])により示される、当業界においてよく知られている方法を用いて
達成され得る。それらの方法は、中でも、核酸合成のホスホトリエステル法、ホ
スホラミジト法及びH−ホスホネート法を包含する。典型的には、完全な長さの
LSIRF ポリペプチドをコードする核酸分子は、長さ数百の塩基対(bp)又はヌク
レオチドであろう。長さ約 100個以上のヌクレオチドの核酸は、長さ約 100個ま
でのヌクレオチドであるいくつかのフラグメントとして合成され得る。次に、そ
れらのフラグメントが下記のようにして一緒に連結され、LSIRF ポリペプチドを
コードする完全な長さの核酸が形成される。好ましい方法は、標準的ホスホラミ
ジト化学を用いてのポリマー支持合成法である。
あるいは、LSIRF ポリペプチドをコードする核酸は、適切なcDNAライブラリー
(すなわち、ポリペプチドを発現すると思われる1もしくは複数の組織源から調
製されたライブラリー)又はゲノムライブラリー(ゲノムDNA 全体から調製され
たライブラリー)をスクリーニングすることによって得られる。cDNAライブラリ
ーの源は、典型的には、適切な量でLSIRF を発現すると思われるいづれかの種か
らの組織(たとえばリンパ系組織)である。ゲノムライブラリーの源は、LSIRF
又はLSIRF 相同体をコードする遺伝子を有すると思われるいづれかの哺乳類又は
他の種からのいづれかの組織である。ラ
イブラリーは、そのライブラリーに存在するLSIRF のcDNA又はLSIRF 相同体cDNA
と選択的にハイブリダイズするであろう1又は複数の核酸プローブ(クローン化
されるべきLSIRF 又はLSIRF 相同体cDNA又は遺伝子に対して許容できるレベルの
相同性を有する、オリゴヌクレオチド、cDNA又はゲノムDNA フラグメント)を用
いて、LSIRF cDNA/遺伝子の存在についてスクリーンされ得る。典型的には、そ
のようなライブラリースクリーニングのために使用されるプローブは通常、ライ
ブラリーが調製された種と同じか又はそれに類似する種からのLSIRF DNA 配列の
小領域をコードする。他方、プローブは、下記で論ぜられるようにして変性され
得る。
ライブラリースクリーニングは、典型的には、プローブ又はプライマーと有意
なレベルの相同性を有するそれらのクローンの非特異的結合を妨げるが、しかし
その結合を可能にする緊縮条件下でライブラリーにおけるクローンにオリゴヌク
レオチドプローブ又はcDNAをアニーリングすることによって達成される。典型的
なハイブリダイゼーション及び洗浄緊縮条件は、cDNA又はオリゴヌクレオチドプ
ローブのサイズ(すなわち、ヌクレオチドの数)に、及びプローブが変性される
かどうかに依存する。クローンを得ることの確率(すなわち、cDNA又はゲノムラ
イブラリーがスクリーンされるかどうか;それがcDNAライブラリーである場合;
興味あるcDNAが高レベルで存在する確率)はまた、ハイブリダイゼーション溶液
を企画することにおいても考慮される。
DNA フラグメント(たとえばcDNA)がプローブとして使用される場合、典型的
なハイブリダイゼーション条件は、Ausubel など.,eds.,前記,に示されるよう
な条件である。ハイブリダイゼーションの後、ライブラリーを含むブロットは、
いくつかの要因、たとえばプローブサイズ、クローンへのプローブの予測される
相同性、スクリ
ーニングされるライブラリーの型、スクリーニングされるクローンの数、及び同
様のものに依存して、適切な緊縮下で洗浄される。緊縮性洗浄溶液(通常、イオ
ン強度が低く、そして比較的高い温度で使用される)の例は、次の通りである。
1つのそのような緊縮洗浄液は、55〜65℃での 0.015MのNaCl,0.005Mのクエ
ン酸ナトリウム及び 0.1%のSDS である。もう1つのそのような緊縮緩衝液は、
約40〜50℃での1mMのNa2EDTA,40mMのNaHPO4(pH7.2)及び1%のSDS である。他
の1つの緊縮洗浄液は、約50〜65℃での 0.2×SSC及び 0.1% SDSである。
cDNA又はゲノムライブラリーをスクリーンするためにオリゴヌクレオチドプロ
ーブが使用される場合、次のような緊縮洗浄条件についての2種の手段が使用さ
れ得る。第1の手段は、プローブの長さに依存して、約35〜62℃の温度での6×
SSC 及び0.05%ピロリン酸ナトリウムを使用する。たとえば、14塩基のプローブ
は35〜40℃で、17塩基のプローブは45〜50℃で、20塩基のプローブは52〜57℃で
、そして23塩基のプローブは57〜63℃で洗浄される。その温度は、バックグラウ
ンド非特異的結合が高く出現する場合、高められ得る。第2の段階は、洗浄のた
めにテトラメチルアンモニウムクロリド(TMAC)を用いる。1つのそのような緊
縮洗浄溶液は、3MのTMAC,50mMのトリス−HCl,pH8.0、及び 0.2%のSDS であ
る。この溶液を用いての洗浄温度は、プローブの長さの関数である。たとえば、
17塩基のプローブは約45〜50℃で洗浄される。
LSIRF ポリペプチドをコードする核酸を得るためのもう1つの適切な方法は、
ポリメラーゼ鎖反応(PCR)である。この方法においては、poly(A)+RNA 又は
全RNA が、LSIRF を発現する組織(たとえばリンパ系組織)から抽出される。次
に、逆転写酵素を用いてRNA からcDNAが調製される。次に、LSIRF cDNAの2つの
別々の領域に
対して典型的に相補的な2つのプライマー(オリゴヌクレオチド)が、ポリメラ
ーゼ、たとえばFaq ポリメラーゼと共にcDNAに付加され、そして前記ポリメラー
ゼがそれらの2つのプライマー間のcDNA領域を増幅する。
LSIRF ポリペプチドをコードする核酸を調製するための選択された方法がオリ
ゴヌクレオチドプライマー又はプローブを必要とする場合(たとえばPCR,cDNA
又はゲノムライブラリースクリーニング)、プローブ又はプライマーとして選択
されるオリゴヌクレオチド配列は、ライブラリースクリーニング又はPCR 増幅の
間に生じるであろう非特異的結合の量を最少にするために適切な長さのもの及び
有意に明白なものであるべきである。プローブ又はプライマーの実際の配列は通
常、他の生物からの同じか又は類似する遺伝子からの保存された又は相同性の高
い配列又は領域に基づいている。任意には、プローブ又はプライマーは、完全に
又は部分的に変性することができ、すなわちプローブ/プライマーの混合物を含
むことができ、ここですべては同じアミノ酸配列をコードするが、しかしそのよ
うにするためには異なったコドンを用いている。変性プローブを調製するための
もう1つの手段は、種により変化するそれらのコドン位置のいくつか又はすべて
にイノシンを配置することである。オリゴヌクレオチドプローブ又はプライマー
は、上記のようなDNA の化学合成法により調製され得る。
LSIRF 変異体配列は、本発明の本発明の範囲内に考慮される。本発明において
使用されるような変異体配列は、野生型アミノ酸配列に比較してアミノ酸配列変
異をもたらす;野生型配列に比較しての1又は複数のヌクレオチド置換、欠失及
び/又は挿入を含む配列である。多くの場合、天然に存在するLSIRF アミノ酸変
異体は、天然の対立遺伝子変動の存在により存在することができる。そのような
天然に存在する変異体もまた、本発明の範囲内でもある。合成変異体配列の調製
は、当業界において良く知られており、そしてたとえば、Wells など.(Gene,3
4 : 315[1985])及びSambrookなど.,前記に記載されている。2.LSIRF ポリペプチドの5’側フランキング配列の調製
いづれかの種からのLSIRF 5’フランキング配列(また、本明細書においては
、“プロモーター”としても言及される)は、本発明の範囲内に含まれる。本明
細書で使用される場合、プロモーターとは、LSIRF 遺伝子の5’側フランキング
配列を意味する。その5’側フランキング配列は、種々の転写因子結合部位を有
し、そしてまた、ほぼ−30位置でのTATAボックス及びそのTATAボックスの上流の
CCAAT ボックスも有することができる。そのような5’側フランキング配列は、
単独で又は他の因子、たとえばエンハンサー要素、リプレッサー及び同様のもの
(それらのいづれか又はすべては、ひじょうに遠位に位置することができる)と
組合して、LSIRF 遺伝子の転写をインビボで天然において調節するものとして特
徴づけられる。好ましい5’側フランキング配列は、哺乳類LSIRF 5’側フラン
キング配列である。ヒトLSIRF 5’側フランキング配列が最とも好ましい。
本発明の5’側フランキング配列は、LSIRF 遺伝子の5’部分に好ましくはハ
イブリダイズするcDNA又はゲノムLSIRF フランキングによりゲノムライブラリー
をスクリーニングすることによってそのライブラリーから得られる。そのような
フラグメントは、LSIRF のためのコード配列の開始点のすぐ5’側に一般的に位
置する、LSIRF 5’側フランキング配列のいくつか又はすべてを含むライブラリ
ー中のクローンにハイブリダイズすることができる。同定されたクローンがプロ
モーターの一部のみを含む場合、そのクローン自体又
はそのフラグメントは、追加の5’側フランキング配列を得るために続いてのゲ
ノムライブラリースクリーニングのために使用され得る。フラグメントによるス
クリーニング(ハイブリダイゼーション及び洗浄を包含する)は、LSIRF 遺伝子
及び/又はcDNAをクローニングするために上記のようにして達成され得る。3.LSIRF 発現のためのベクターの調製
クローニングの後、LSIRF ポリペプチド又はそのフラグメントをコードするcD
NA又は遺伝子を単離し、それを典型的には、増幅及び/又は発現ベクター中に挿
入し、前記遺伝子のコピー数を高め、そして/又は適切な宿主細胞において前記
ポリペプチドを発現せしめる。ベクターはしばしば、市販のベクターであるが、
但し“注文製造された”ベクターも同様に使用され得る。ベクターは、使用され
る特定の宿主細胞において機能するよう選択される(すなわち、ベクターは、LS
IRF 遺伝子の増幅及び/又は遺伝子の発現が生じ得るように宿主細胞の機構と適
合することができる)。LSIRF ポリペプチド又はそのフラグメントは、原核、酵
母、昆虫(バキュロウィルス系)及び/又は真核宿主細胞において増幅され/発
現され得る。宿主細胞の選択は、LSIRF ポリペプチド又はそのフラグメントがグ
リコシル化され得るかどうかに少なくとも一部依存するであろう。そのような場
合、酵母、昆虫又は哺乳類宿主細胞が好ましく;酵母細胞はポリペプチドをグリ
コシル化するであろうし、そして昆虫及び哺乳類細胞は、それがLSIRF ポリペプ
チドに対して天然において生ぜしめるように、ポリペプチドをグリコシル化し、
そして/又はリン酸化することができる(すなわち、“生来”のグリコシル化及
び/又はリン酸化)。
典型的には、宿主細胞のいづれかに使用されるベクターは、5’側フランキン
グ配列及び他の調節要素、たとえばエンハンサー、複
製起点の要素、転写終結要素、ドナー及びアクセプタースプライス部位を含む完
全なイントロン配列、シグナルペプチド配列、リボソーム結合部位要素、ポリア
デニル化配列、発現されるべきポリペプチドをコードする核酸を挿入するための
ポリリンカー領域、及び選択可能マーカー要素を含むであろう。任意には、ベク
ターは、“標識”配列、すなわちポリHis(たとえばヘキサHis)又は他の小さな免
疫原性配列をコードするLSIRF コード配列の5’又は3’端で位置するオリゴヌ
クレオチド配列を含むことができる。この標識は、タンパク質と共に発現され、
そして宿主細胞からのLSIRF ポリペプチドの精製のための親和性標識として作用
することができる。任意には、標識は、続いて、種々の手段、たとえば選択され
たペプチダーゼを用いて、精製されたLSIRF ポリペプチドから除去され得る。
A.5’側フランキング配列要素
5’側フランキング配列は、相同(すなわち、宿主細胞と同じ種及び/又は株
からの)、異種(すなわち、宿主細胞種又は株以外の種からの)、ハイブリッド
(すなわち、1つよりも多くの源からのp5’フランキング配列の組合せ)、合
成、又は生来のLSIRF 5’側フランキング配列であり得る。5’側フランキング
配列の源は、単細胞原核又は真核生物、いづれかの脊椎もしくは無脊椎動物、又
はいづれかの植物であり得るが、但し、その5’側フランキング配列は、宿主細
胞機構において機能的であり、そしてそれにより活性化され得る。
本発明のベクターにおいて有用な5’側フランキング配列は、当業界において
よく知られているいくつかの方法のいづれかにより得られる。典型的には、LSIR
F 5’側フランキング配列以外の本発明において有用な5’側フランキング配列
は、マッピングにより及び/又は制限エンドヌクレアーゼ消化によりすでに同定
されており、
そして従って、適切な制限エンドヌクレアーゼを用いて適切な組織源から単離さ
れ得る。多くの場合、5’側フランキング配列の完全なヌクレアーゼ配列は知ら
れることができる。従って、5’側フランキング配列は、核酸合成又はクローニ
ングについての上記方法を用いて合成され得る。
5’側フランキング配列のすべて又は単に一部が知られている場合、それは、
PCR を用いて、及び/又は同じか又は他の種からの適切なオリゴヌクレオチド及
び/又は5’側フランキング配列フラグメントによりゲノムライブラリーをスク
リーニングすることによって得られる。
5’側フランキング配列が知られていない場合、ある5’側フランキング配列
を含むDNA のフラグメントが、コード配列又はさらにもう1つの遺伝子を含むよ
り大きなDNA 断片から単離され得る。単離は、適切なDNA フラグメントを単離す
るために1又は複数の注意して選択された酵素を用いての制限エンドヌクレアー
ゼ消化により達成され得る。消化の後、その消化されたフラグメントは、アガロ
他の方法により単離され得る。この目的を達成するための適切な酵素の選択は、
当業者に明らかであろう。
B.複製起点要素
この成分は典型的には、市販の原核発現ベクターの一部であり、そして宿主細
胞においてベクターの増幅を助ける。一定のコピー数へのベクターの増幅は、多
くの場合、LSIRF ポリペプチドの最適な発現のために重要である。選択されるベ
クターが複製部位の起点を含まない場合、既知の配列に基づいて化学的に合成さ
れ得、そしてベクター中に連結され得る。
C.転写終結要素
この要素は典型的には、LSIRF ポリペプチドコード配列の端の3’側に位置し
、そしてLSIRF ポリペプチドの転写を終結するよう作用することができる。通常
、原核細胞における転写終結要素は、G−Cに富むフラグメント、続いてポリT
配列を有する。その要素はライブラリーから容易にクローン化され、又はベクタ
ーの一部として市販されているが、それはまた、核酸合成のための方法、たとえ
ば上記方法を用いて容易に合成され得る。
D.選択マーカー要素
選択マーカー遺伝子は、選択培養培地において増殖される宿主細胞の生存及び
増殖のために必要なタンパク質をコードする。典型的な選択マーカー遺伝子は、
(a)抗生物質又は他の要素、たとえば原核宿主細胞のためのアンピシリン、テ
トラサイクリン又はカナマイシンに対する耐性を付与し、(b)細胞の栄養要求
性欠損を補足し、又は(c)複雑な培地から入手できない決定的な栄養素を供給
するタンパク質をコードする。好ましい選択可能マーカーは、耐カナマイシン性
遺伝子、耐アンピシリン性遺伝子及び耐テトラサイクリン性遺伝子である。
E.リボソーム結合部位要素
通常、Shine−Dalgarno配列(原核生物)又はKozak 配列(真核生物)と呼ば
れるこの要素は、mRNAの翻訳開始のために必要である。この要素は典型的には、
プロモーターの3’側及び合成されるべきポリペプチドのコード配列の5’側に
位置する。その Shine−Dalgarno配列は種々であるが、しかし典型的には、ポリ
プリン(すなわち高いA−G含有率を有する)である。多くのShine−Dalgarno
配列は同定されており、それらの個々は上記に示される方法を用いて容易に合成
され得る。
上記に示される要素のすべて、及び本発明において有用な他の要
素は、当業者に良く知られており、そしてたとえば、Sambrookなど.(Molecular
Cloning : A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Col
d Spring Harbor,NY[1989])及びBergerなど.,eds.(Guide to Molecular Clon
ing Techniques,Academic Press,Inc.,San Diego,CA[1987])に記載されてい
る。
F.シグナル配列要素
トランスジーン(trans gene)が分泌される予定である本発明のそれらの態様
のためには、シグナル配列は、それが合成されるトランスジーンによりコードさ
れるポリペプチドを細胞外に出すために、ときおり存在する。典型的には、シグ
ナル配列は、コード領域の5’端近くでの又は5’端でのトランスジーンのコー
ド領域に位置する。多くのシグナル配列は同定されており、そしてトランスジェ
ニック組織において機能するそれらのいづれかがトランスジーンと共に使用され
得る。従って、シグナル配列はトランスジーンに対して同種性であり、又は異種
性であり得、そしてトランスジェニック哺乳類に対して同種性であり、又は異種
性であり得る。さらに、シグナル配列は、上記に示される方法を用いて化学的に
合成され得る。しかしながら、本発明の目的のためには、好ましいシグナル配列
は、トランスジーンにより天然に存在する配列である(すなわち、トランスジー
ンに対して同種である)。
G.イントロン要素
多くの場合、トランスジーンの転写は、ベクター上の1又は複数のイントロン
の存在により高められる。イントロンは、トランスジーン配列内に、特にトラン
スジーンが完全な長さのゲノムDNA 配列又はそのフラグメントである場合、天然
に存在することができる。イントロンがDNA 配列内に天然に存在しない場合(ほ
とんどのcDNAに関して)、イントロンは他の源から得られる。イントロンは、ト
ランスジーン及び/又はトランスジェニック哺乳類に対して同種性であり又は異
種性であり得る。プロモーター及びトランスジーンに対するイントロンの位置は
、イントロンは効果的に転写されるべきであるので、重要である。トランスジー
ンがcDNA配列である場合、イントロンについての好ましい位置は、転写開始部位
の3’側及びポリA転写終結配列の5’側に存在する。好ましくは、cDNAトラン
スジーンのためには、イントロンは、それがトランスジーンを中断しないように
、トランスジーン配列の片側又は他側(すなわち、5’側又は3’側)に位置す
るであろう。いづれかの源、たとえばいづれかのウィルス、原核及び真核(植物
又は動物)生物からのいづれかのイントロンが、本発明を実施するために使用さ
れ得るが、但し、それは、それが挿入される宿主細胞と適合性であるべきである
。合成イントロンもまた、本発明に包含される。任意には、1よりも多くのイン
トロンが、ベクターに使用され得る。
H.ベクターの構成
1又は複数の上記要素が使用されるベクターにすでに存在しない場合、それら
は個々に得られ、そしてベクター中に連結される。個々の要素を得るために使用
される方法は当業界において良く知られており、そして上記に示される方法(す
なわち、DNA の合成、ライブラリースクリーニング、及び同様のもの)に適合で
きる。
本発明を実施するために使用される最終ベクターは典型的には、出発ベクター
、たとえば市販のベクターから構成される。このベクターは、完結されたベクタ
ーに含まれるべき要素のいくつかを含んでも又は含まなくても良い。所望する要
素のどれも出発ベクターに存在しない場合、個々の要素は、連結されるべき要素
の端及びベクターの端が連結のために適合するように適切な制限エンドヌクレア
ーゼによりベクターを切断することによって、ベクター中に個々に
連結され得る。多くの場合、満足すべき連結を得るためには、一緒に連結される
べき端を“ブラント化”することが必要である。ブラント化は、すべての4種の
ヌクレオチドの存在下でクレノウDNA ポリメラーゼ又はT4 DNAポリメラーゼを
用いて“付着端”をまず、フィルインすることによって達成される。この方法は
、当業界において良く知られており、そしてたとえば、Sambrookなど.,前記に記
載されている。
あるいは、ベクター中に挿入されるべき複数の要素は、まず、一緒に連結され
(それらは、お互い隣接して配置され)、そして次に、ベクター中に連結される
。
ベクターを構成するための1つの他の方法は、1つの反応混合物中で種々の要
素のすべての連結を同時に行なう。ここで、多くのナンセンス又は非機能的ベク
ターが要素の不適切な連結又は挿入により生成されるであろうが、しかしながら
、機能的ベクターは、制限エンドヌクレアーゼ消化により同定され、そして選択
され得る。
本発明を実施するための好ましいベクターは、細菌、昆虫及び哺乳類宿主細胞
と適合できるものである。そのようなベクターは、中でも、pCRII(Invitrogen C
ompany,San Diego,CA),pBSII(Stratagene Company,La Jolla,CA)及びpET
L(Blue BacII;Invitrogen)を包含する。
ベクターが構成され、そしてLSIRF 核酸がそのベクターの適切な部位中に挿入
された後、その完結されたベクターは、増幅及び/又はLSIRF ポリペプチド発現
のために適切な宿主細胞中に挿入され得る。典型的に使用される宿主細胞は次の
ものを包含するが、但しそれらだけには限定されない:原核細胞、たとえばグラ
ム陰性又はグラム陽性細胞、すなわちE.コリ(E.coli)、バシラス(Bacillus
)、ストレプトミセス(Streptomyces)、サッカロミセス(Sacchar
omyces)、サルモネラ(Salmonella)及び同様のもののいづれかの株;真核細胞
、たとえばCHO(Chineseハムスター卵巣)細胞、ヒト腎臓293 細胞、COS−7細
胞;昆虫細胞、たとえばSf4,Sf5,Sf9及びSf21、及びHigh5(すべては、In
vitrogen Company,San Diego,CA からである);及び種々の酵母細胞、たとえ
ばサッカロミセス(Saccharomyces)及びピチア(Pichia)。
選択された宿主細胞中へのベクターの挿入(また、“形質転換”又は“トラン
スフェクション”とも称される)は、塩化カルシウム、エレクトロポレーション
、マイクロインジェクション、リポフェクション又はDEAE−デキストラン法のよ
うな方法を用いて達成され得る。選択された方法は、一部、使用される宿主細胞
のタイプの関数であろう。それらの方法及び他の適切な方法は、当業者に良く知
られており、そしてたとえば、Sambrookなど.,前記に示されている。
ベクターを含有する宿主細胞(すなわち、形質転換され又はトランスフェクト
されている)が、当業者に良く知られている標準培地を用いて培養される。培地
は通常、細胞の増殖及び生存のために必要なすべての栄養物を含むであろう。E
.コリ細胞を培養するための適切な培地は、たとえばLuria Broth(LB)及び/又
はTerrific Broth(TB)である。真核細胞を培養するための適切な培地は、RPMI
1640,MEM,DMEM であり、それらのすべては培養される特定の細胞系により必要
とされる場合、血清及び/又は成長因子により補充され得る。昆虫培養のための
適切な培地は、必要な場合、イーストレート、ラクタルブミン加水分解物、及び
/又はウシ胎児血清により補充されたGrace's 培地である。
典型的には、形質転換された細胞のみの選択的増殖のために有用な抗生物質又
は他の化合物が補充物として培地に添加され得る。使
用される化合物は、宿主細胞が形質転換されたプラスミド上に存在する選択可能
マーカー要素により検出されるであろう。たとえば、選択可能マーカー要素が耐
カナマイシン性である場合、培養培地に添加される化合物は、カナマイシンであ
ろう。4.発現の評価
宿主細胞に生成されるLSIRF ポリペプチドの量は、当業界において知られてい
る標準の方法を用いて評価され得る。そのような方法は次のものを包含するが、
但しそれらだけには限定されない:ウェスターンブロット分析、SDS−ポリアク
リルアミドゲル電気泳動、非変性ゲル電気泳動、HPLC分離、免疫沈殿、及び/又
は活性アッセイ、たとえばDNA 結合ゲルシフトアッセイ。5.LSIRF ポリペプチドの精製
LSIRF ポリペプチドが宿主細胞から分泌されるよう企画されている場合、その
ポリペプチドの大部分は、細胞培養培地に見出されるであろう。しかしながら、
LSIRF ポリペプチドが宿主細胞から分泌されない場合、それは細胞質(真核、グ
ラム陽性細菌及び昆虫宿主細胞に関して)、及びペリプラズム(グラム陰性細菌
宿主細胞に関して)に存在するであろう。
細胞内LSIRF に関しては、宿主細胞はまず、緩衝溶液中に細胞質含有物を開放
するために機械的に又は浸透圧的に粉砕される。次に、LSIRF ポリペプチドがこ
の溶液から単離される。
溶液からのLSIRF ポリペプチドの精製は、種々の技法を用いて達成され得る。
ポリペプチドが標識、たとえばヘキサヒスチジン(LSIRF/ヘキサHis)又は他の小
さなペプチドをそのいづれかのカルボキシル又はアミノ端で含むように合成され
る場合、それは親和性カラムを通して溶液を通すことによって一段階工程で実質
的に精製され、ここで前記カラムマトリックスは標識又はポリペプチド(すなわ
ち、LSIRF を特異的に認識するモノクローナル抗体)に対する高い親和性を有す
る。たとえば、ポリヒスチジンはニッケルに対して高い親和性及び特異性を伴っ
て結合し、従ってニッケルの親和性カラム(たとえば、Qiagenニッケルカラム)
は、LSIRF/ポリHis の精製のために使用され得る(たとえば、Ausubel など.,
eds.,Current Protocols in Molecular Biology,Section 10.11.8,John Wi
ley & Sons,New York 1993]を参照のこと)。
LSIRF ポリペプチドが標識を有さず、そして抗体が利用できない場合、精製の
ための他の良く知られた方法が用いられ得る。そのような方法は次のものを包含
するが、但し、それらだけには限定されない:イオン交換クロマトグラフィー、
分子篩クロマトグラフィー、HPLC、ゲル溶離と組合しての活性ゲル電気泳動、及
び分離用等電点電気泳動(“Isoprime”機械/技法、Hoefer Scientific)。多く
の場合、複数のそれらの技法が、高い純度を達成するためには組合され得る。精
製のための好ましい方法は、分離用等電点電気泳動と組合してのポリヒスチジン
標識及びイオン交換クロマトグラフィーを包含する。
LSIRF ポリペプチドが細菌のペリプラズム空間又は真核細胞の細胞質に主とし
て見出されることが予測される場合、ペリプラズム又は細胞質、たとえば封入体
(細菌)(処理されたポリペプチドがそのような複合体を形成する場合)の含有
物は、当業者に知られているいづれかの標準的技法を用いて宿主細胞から抽出さ
れ得る。たとえば、宿主細胞は、ペリプラズムの含有物を開放するために、Fren
chプレス、均質化及び/又は音波処理により溶解され得る。次に、その均質物が
遠心分離され得る。
LSIRF ポリペプチドがペリプラズムにおいて封入体を形成している場合、その
封入体はしばしば、内部及び/又は外部細胞膜に結合
し、そして従って、遠心分離の後、ペレット材料に主に見出されるであろう。次
に、そのペレット材料がカオトロピック剤、たとえばグアニジン又はウレアによ
り処理され、封入体が開放され、分解され、そして溶解される。次に、現在、そ
の溶解形で存在するLSIRF ポリペプチドが、ゲル電気泳動、免疫沈澱又は同様の
方法を用いて分析され得る。LSIRF ポリペプチドを単離することが所望される場
合、単離は、標準の方法、たとえば下記に及びMarstan など.(Meth.Enz.,182
: 264-275[1990])に示される方法を用いて達成され得る。
LSIRF ポリペプチド封入体が宿主細胞の細胞周辺に有意な程度形成されない場
合、LSIRF ポリペプチドは、細胞均質物の遠心分離の後、その上清液に主に見出
され、そしてLSIRF ポリペプチドは、下記に示されるような方法を用いて、その
上清液から単離され得る。
LSIRF ポリペプチドを部分的に又は完全に単離することが好ましい情況におい
ては、精製は、当業界において良く知られている標準方法を用いて達成され得る
。そのような方法は次のものを包含するが、但しそれらだけには限定されない:
電気泳動、続く電気溶離による分離、種々のタイプのクロマトグラフィー(イム
ノアフィニティー、分子篩い、及び/又はイオン交換)、及び/又は高圧液体ク
ロマトグラフィー。多くの場合、完全な精製のためには、1つ以上のそれらの方
法を用いることが好ましい。
用語“物質”とは、本明細書において使用される場合、LSIRF 遺伝子の転写、
LSIRF mRNAの翻訳、又はLSIRF ポリペプチドの活性のいづれかを阻害することに
おいて有用な化合物を意味する。
用語“治療的に効果的な”とは、所望する生理学的応答を得るために、すなわ
ち抗原刺激又は自己免疫応答に応答してリンパ球の活性化を抑制し、又は抗原の
刺激に対する免疫応答を刺激するために
リンパ球の数を高めるために必要とされる物質の量を意味する。
用語“抗原刺激”とは、哺乳類において天然において見出され(内因性)、そ
して免疫応答のいくつかの点を誘発し、又は外因性源からであり、そして免疫応
答のいくつかの点を誘発する化合物を意味する。
本発明の方法を実施するために有用な組成物は、当業者に良く知られている標
準の方法に従って調製され得る。治療用抗−LSIRF 抗体
本発明の実施において有用なポリクローナル又はモノクローナル治療用抗−LS
IRF 抗体は、次の方法を用いて、実験用動物において又は組換えDNA 技法により
調製され得る。標的アミノ酸配列を含むLSIRF 分子又はそのフラグメントに対す
るポリクローナル抗体は一般的に、アジュバント、たとえばフロイント アジュ
バント(完全又は不完全)と共にLSIRF 分の複数回の皮下(sc)又は腹腔内(ip
)注射により動物において生ぜしめられる。免疫原性を増強するためには、LSIR
F 分子又はその標的アミノ酸配列を含むフラグメントを、免疫化されるべき種に
おいて免疫原性であるタンパク質、たとえばキーホールクンペットヘモシアニン
、血清アルブミン、ウシチログロブリン又は大豆トリプシンインヒビターに、二
官能価又は誘導体化剤、たとえばマレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエ
ステル(システイン残基を通しての接合)、N−ヒドロキシスクシンイミド(リ
シン残基を通して)、グルタルアルデヒド、無水琥珀酸、SOCl2又はR1N =C=N
R(ここでR及びR1は異なったアルキル基である)を用いて最初に接合すること
が有用である。他方では、LSIRF−免疫原接合体は、融合タンパク質として組換
え的に生成され得る。
動物は、約1mg又は約1μgの接合体(それぞれ、ウサギ又はマ
ウスのための)と約3体積のフロイント完全アジュバントとを組合し、そして複
数の部位でその溶液を皮下注射することによって、免疫原性LSIRF 接合体又は誘
導体(たとえば、標的アミノ酸配列を含むフラグメント)に対して免疫化される
。約7〜14日後、動物を放血し、そして血清を抗−LSIRF 力価についてアッセイ
する。動物は、力価が安定状態に達するまで、くり返して抗原により追加免疫化
される。好ましくは、動物は、初期免疫化のために使用されるのと同じであるが
、しかし異なったタンパク質に及び/又は異なった架橋剤を通して接合されてい
るLSIRF 分子又はそのフラグメントにより追加免疫化される。さらに、凝集剤、
たとえばミョウバンが、免疫応答を高めるために注射に使用される。
モノクローナル抗体は、免疫化された動物から脾臓細胞を回収し、そして従来
の態様で、たとえば骨髄腫細胞との融合により前記細胞を免疫化することによっ
て調製され得る。次に、クローンが、所望する抗体を発現するクローンについて
スクリーンされる。モノクローナル抗体は好ましくは、他のLSIRF ポリペプチド
又はLSIRF ポリペプチドイソフォームと交差しない。
組換えDNA 法、たとえばフォージミド表示法を用いての抗体の調製は、たとえ
ばPharmacia(Uppsala,Sweden)から入手できるRecombinant Phagemid Antibod
y System、又はSurf ZAPTMファージ表示システム(Stratagene Inc.,La Jolla,
CA)として、市販のキットを用いて達成され得る。
好ましくは、ヒトへの投与のための抗体は、実験用動物、たとえばマウスにお
いても調製されるが、“ヒト化され”ているか又はキメラ性であり、すなわちヒ
ト患者が抗体に対する免疫応答を進行せしめないように、ヒト免疫系と適合でき
るように製造される。さらにより好ましくは、たとえば、Lonberg など.(Natu
re Genetics,
7 : 13-21[1994])に記載されるような方法を用いて現在調製され得るヒト抗体
は、患者への治療投与のために好ましい。
上記方法のいづれかを用いて製造された抗体は、核中に抗体を輸送するために
細胞膜及び核膜を侵入することができる化合物に、たとえば核標的化シグナル、
たとえばLSIRF のリン酸化された形上に見出されるシグナルを用いて接合され得
る。治療用組成物及び投与
本発明を実施するために有用な組成物、たとえばLSIRF 抗体の治療用配合物は
、所望する程度の純度を有する選択された組成物と、生理学的に許容できる任意
のキャリヤー、賦形剤又は安定剤(Remington's Pharmaceutical Sciences,18t
h 版、A.R.Gonnaro,ed.,Mack Publishing Company[1990])とを混合するこ
とによって、凍結乾燥されたケーク又は水溶液の形で貯蔵のために調製され得る
。許容できるキャリヤー、賦形剤又は安定剤は、受容者に対して非毒性であり、
そして好ましくは、使用される用量及び濃度で不活性であり、そして緩衝液、た
とえばリン酸、クエン酸又は他の有機酸緩衝液;酸化防止剤、たとえばアスコル
ビン酸;低分子量ポリペプチド;タンパク質、たとえば血清アルブミン、ゼラチ
ン又は免疫グロブリン;親水性ポリマー、たとえばポリビニルピロリドン;アミ
ノ酸、たとえばグリシン、グルタミン、アスパラジン、アルギニン又はリシン;
単糖類、二糖類及び他の炭水化物、たとえばグルコース、マンノース又はデキス
トリン;キレート化剤、たとえばEDTA;糖アルコール、たとえばマンニトール又
はソルビトール;塩形成性カウンターイオン、たとえばナトリウム;及び/又は
非イオン性界面活性剤、たとえばツイーン、プルロニック又はポリエチレングリ
コール(PEG)を含む。
インビボ投与のために使用される組成物は無菌であるべきである
。これは、凍結乾燥及び再構成の前又はそれらの後、無菌濾過膜を通しての濾過
により容易に達成される。非経口投与のための組成物は、通常、凍結乾燥された
形又は溶液において貯蔵されるであろう。
治療用組成物は一般的に、無菌の入口を有する容器、たとえば皮下注射針によ
り突き刺すことができるストッパーを有する静脈注射溶液バッグ又はバイアル中
に配置される。
組成物の投与路は、既知の方法に従って、たとえば静脈内、腹腔内、脳内、筋
肉内、眼内、動脈内又は外傷内路による、又は持効性システム又は移植装置によ
る経口、注射又は注入である。所望には、組成物は、注入、巨丸注射、又は移植
装置により連続的に投与され得る。
持効性調製物の適切な例は、形状化された物品、たとえばフィルム又はマイク
ロカプセルの形での半透性ポリマーマトリックスを包含する。持効性マトリック
スは、ポリエステル、ヒドロゲル、ポリラクチド(アメリカ特許第 3,773,919号
、ヨーロッパ特許第58,481号)、L−グルタミン酸及びγエチル−L−グルタメ
ートのコポリマー(Sidmanなど.,Biopolymers,22 : 547-556[1983])、ポリ
(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)(Langerなど.,J.Biomed.Mater
.Res.,15 : 167-277[1981]及びLanger,Chem.Tech.,12 : 98-105[1982])
、エチレンビニルアセテート(Langerなど.,前記)、又はポリ−D(−)−3−
ヒドロキシ酪酸(ヨーロッパ特許第 133,988号)を包含する。持効性組成物はま
た、当業界において知られているいくつかの方法のいづれかにより調製され得る
リポソームを包含する(デンマーク特許第 3,218,121号;Epstein など.,Proc
.Natl.Acad.Sci.USA,82 : 3688-3692[1985]; Hwangなど.,Proc.Natl.
Acad.Sci.USA,77 : 4030-4034[1980]
;ヨーロッパ特許第52,322号;ヨーロッパ特許第36,676号;ヨーロッパ特許第88
,046号;ヨーロッパ特許第143,949号)。
治療的に使用される組成物の有効量は、たとえば治療用目的物、投与の経路、
及び患者の状態に依存するであろう。従って、最適な治療効果を得るために必要
とされる場合、セラピストが投与量を滴定し、そして投与の経路を改良すること
が必要であろう。典型的に毎日の投与量は、上記要因に依存して、約1μg/kg
〜100 mg/kg又はそれ以上の範囲である。典型的には、臨床医は、投与量が所望
する効果を達成するまで、組成物を投与するであろう。この治療の進行は、評価
するよう企画された従来のアッセイにより容易にモニターされる。
本発明のLSIRF 核酸分子、5’側フランキング配列、ポリペプチド及び抗体は
、当業者に明らかである種々の用途を有するであろう。
LSIRF ポリペプチドは、リンパ球活性化を調節するために使用される治療用化
合物のための標的物として使用されるであろう。LSIRF 遺伝子の発現(LSIRF転写
又は翻訳を低めることにより)又はLSIRF ポリペプチドの活性のいづれかを遮断
することによって、一定の環境刺激に応答するリンパ球活性化を抑制することが
可能である。LSIRF 遺伝子の発現のレベルを高めることによって(LSIRF5’側
フランキング配列のアップ−レギュレートにより)、リンパ球活性化及び増殖を
刺激することが可能であり、それにより、特定の抗原に対する免疫応答を高める
。
本発明の抗体は、ポリクローナル又はモノクローナルであり、そしていづれか
の哺乳類からのLSIRF に対して生ぜしめられ得る。それらの抗体は、一定の組織
又は生物学的サンプルにおけるLSIRF ポリペプチドの存在及び/又は量を評価す
るために使用され得る。さ
らに、それらは、このポリペプチドの活性部位に結合することによりLSIRF の活
性を遮断するために使用され得る。従って、抗体自体は、LSIRF のレベルを低め
るための治療用化合物として使用され得る。
本発明は、次の例により一層容易に理解され得る。それらの例は、本発明の範
囲を制限するものとして解釈されるべきではない。
例例1:マウスLSIRF cDNAのクローニング
2種のPCR(ポリメラーゼ鎖反応)部分的変性プライマーを、C57B1/6マウ
スの脾臓組織から得られた全RNA から調製されたcDNAのPCR 増幅のために使用し
た。プライマーは下記のものであった:
プライマーNo.5は、ヌクレオチド2と3(TとC)の間、ヌクレオチド4と
5(CとT)の間、及びヌクレオチド9と10(AとC)の間に位置する3個のイ
ノシン塩基を含んだ。プライマーNo.6は、ヌクレオチド5と6(AとC)の間
、ヌクレオチド7と8(GとA)の間、ヌクレオチド9と10(AとC)の間、及
びヌクレオチド11と12(TとG)の間に位置する4個のイノシン塩基を含んだ。
PCR を、200μMのdNTP,2UのTaq ポリメラーゼ、及び100pMの個々のプライ
マーを含むPCR 緩衝液(10mMのトリス−HCl,pH8.3,1.5mM のMgCl2、及び50mMの
KCl)50μlにおいて、プログラムできる熱サイクラー(Perkin−Elmer Cetus,N
orwalk,CT)に基づいて行なった。30サイクルのPCR を、次の温度型式下で行な
った:94℃で60秒;37℃で60秒;及び72℃で60秒。続いて、PCR 生成物を、TA−
Cloning System(Invitrogen Corp.,San Diego,CA)を用いて
pCRIIプラスミド中に直接的に挿入した。PCR 生成物挿入体を含むプラスミドを
用いて、コンピテントE.コリ株 INV−αF’(Invitrogen Corp.)を、増幅のた
めに形質転換した。それらの宿主細胞からのプラスミドDNA を、標準のアルカリ
溶解法(Sambrookなど.,前記)を用いて調製し、そして次に、そのプラスミドDN
A を、約1.5%のアガロースゲルを通して電気泳動した。そのDNA の一部を、Hyb
ond−N膜紙(Amersham,Oakville,Ontario,Canada)上にブロットし、そして製
造業者のプロトコール(Amersham)を用いて、ネズミ IRF−1及び IRF−2の
ランダムに感作された、32PラベルされたDNA フラグメントとハイブリダイズし
た。IRF−1又は IRF−2フラグメントのいづれともハイブリダイズしなかった
クローンからのプラスミド DNAを、US Bioscience Sequonase キット(US Biosc
ience,Cleveland,Ohio)を用いて配列決定した。1つのクローン、“spl5”
は、Genbank における調査から決定される場合、新規のヌクレオチド配列を含ん
だ。このクローンを、ランダムプライミングを用いて32Pによりラベルし(Amer
sham法)、そして次に、それを用いて、マウスIL−4誘発された脾臓cDNAライブ
ラリーをスクリーンした(Clonetech,Dalo Alto,CA)。ハイブリダイゼーショ
ンの後、cDNAライブラリークローンを含むフィルターを、まず1×SSC 及び 0.1
% SDSにより約65℃で約30分間、及び次に、0.2×SSC 及び 0.1% SDSにより約6
5℃で約30分間、洗浄した。ATG 開始コドンを欠いている2種のLSIRF cDNAクロ
ーンを得た。3種のクローンの1つ、すなわち“C13”を用いて、同じライブラ
リーを再スクリーンし、5’配列をまた欠いている、約5kbのクローン“C16”
を得た。次に、クローンC16を用いて、λZAPII マウス脾臓cDNAライブラリー(
Stratagene,La Jolla,CA)をスクリーニングし、そして推定上のATG 開始コド
ンを有するいくつかの部分的クローンを
得た。全コードのLSIRF 領域を含む完全なcDNA配列を、5’延長されたプライマ
ーによりPCR を用いて人工的なクローンを創造することによって得た。このクロ
ーンをベクター pBSII中に挿入し、プラスミドPV−1を生成し、そしてLSIRF の
配列を確かめた。
予測されるアミノ酸配列を、部分的cDNAクローンの個々のために得、そしてク
ローンのいくつかは、アミノ酸位置164 で特別のグルタミンを有した。約 1.4kb
である、PV−1の十分な長さのcDNA配列は、図1に示されている。PV−1 cDNA
は、アミノ酸位置164 で特別なグルタミンを含む。LSIRF cDNA配列に基づく、LS
IRF のための予測される十分な長さのアミノ酸配列は、図2に示されている。例2:マウスLSIRF のゲノムクローニング
LSIRF cDNAのC16クローンの約 630bp部分を、次のプライマーを用いてPCR 増
幅した:
PCR 条件は、94℃で1分、及び72℃で30秒であった。
得られたPCR フラグメントを、1%アガロースゲル電気泳動により続いてSpin
−Xカラム(Costar Corp.,Cambridge,MA)に通すことにより精製した。次に、
このフラグメントを、ランダムプライマー技法(Amersham)を用いて32Pにより
ラベルし、そして続いて、それを用いて、129/Jマウスの腎臓組織から調製さ
れたゲノムライブラリーをスクリーンした。いくつかのクローンを、0.1×SSC
及び 0.1% SDSにより65℃で洗浄することによって得た。それらのクローンの2
種(サイズ12及び15kb)を、配列決定のためにベクター pBSII(Stratagene,La
Jolla,CA)中にサブクローン化した。それらのクローンは、約2kbの5’側フ
ランキング配列の同定を可能にするオーバーラップ配列を含んだ。ネズミLSIRF
遺伝子のエキ
ソン及びイントロンを含むゲノム配列は、図4に示されており、そして配列の不
明確性による配列における不整合は、A又はGのために“R”、G又はCのため
に“S”、A又はCのために“M”、及びT又はGのために“K”として示され
る。それらの不明瞭性は次の通りである:
ヌクレオチド748,4159,7413 及び10357 でのM;
ヌクレオチド5277,5310,10564 及び11713 でのR;
ヌクレオチド4513,5885及び9812でのK;並びに
ヌクレオチド6425でのS。
すべての不明瞭性はイントロンに存在し、従って、LSIRF のコード領域を含ん
で成るエキソンの実際のヌクレオチド配列には影響を及ぼさない。
LSIRF のヌクレオチド(cDNA及びゲノム)配列及び推定されるアミノ酸配列を
、GenBank 及びSwiss Protデータバンクにおけるすべての配列と比較し、そして
同一の配列は見出されなかった。しかしながら、LSIRF のアミノ末端配列は、IR
F ファミリーの他のメンバとの相同性を有した。最高の相同性は、アミノ末端で
LSIRF と約83%の相同性(1つのアミノ酸ギャップを可能にする)を共有するポ
リペプチドICSBP(インターフェロンコンセンサス配列結合タンパク質)に対し
てであった。例3:マウスLSIRF 発現
十分な長さのLSIRF cDNA配列を、EcoRI制限消化によりプラスミドPV−1から
切り出した。LSIRF 遺伝子を、電気泳動の後、0.7%アガロースゲルから単離し
、クレノウDNA フラグメントを用いてブラント末端化し、そしてプラスミドpETL
(Blue BacII,Invitrogen Company)のNheI部位に連結し、プラスミドpETL−L
SIRF を生成した。プラスミドを、標準の培養法及び条件を用いてE.コリ細胞
株DH5−α(アンピシリンの存在下で増殖された)において増幅した。適切な配
向(EcoRI,HindIII又は PvuII消化による制限エンドヌクレアーゼマッピング
により決定される場合)でLSIRF 遺伝子を含む精製されたプラスミドを、線状化
されたバキュロウィルスゲノムDNA(Invitrogen Corp.,San Diego,CA USA)と
共に、Sf9昆虫細胞(American Type Culture Collection,12301 Parklawn Dri
ve,Rockville,MD,USAから入手できる)中に同時トランスフェクトし、そして
細胞を、イーストレート、ラクタルブミン加水分解物及び10%ウシ胎児血清によ
り補充されたGrace 培地において、約28℃で約48時間インキュベートした。
インキュベーションの後、細胞を収穫し、そして組換えウィルスを単離するた
めにBluo−gal(Gibco−BRL,Grand Island,NY,USA)の存在下でプラークアッ
セイを行なった(Richardson,ed.,Meth.Mol.Biol.,vol 39 : Baculovirus
Expression Protocols,Humana Press,Totowa,NJ[1995])。青色の組換えプ
ラークを、5〜7日間の培養の後に選択し、そしてプラークを、Sf9細胞を含む
24ウェルのマイクロタイタープレートにおいて増幅した。組換えウィルスのさら
なる増幅を、約108pfu/mlの力価が得られるまで、組織培養フラスコにおける大
規模細胞培養により行なった。LSIRF の発現を、約1 pfu/細胞の感染の多重性
でSf9細胞を感染せしめ、そして感染後0,24,48,72、及び96時間で細胞を収
穫することによって確かめた。次に、細胞溶解物を、SDS−PAGEサンプル緩衝液(
100mMのDTT,80mM のトリス−HCl,pH6.8,10%のグリセロール、0.0012%のブ
ロモフェノールブルー)における溶解により調製し、そしてウェスターンブロッ
ト分析により分析した。
Sf9細胞及びマウス末梢リンパ球の両者からのタンパク質抽出物を、LSIRF ポ
リペプチドの存在について分析した。リンパ球を、細
かなメッシュスクリーンにリンパ節組織を通すことによってマウスから摘出され
たリンパ節から調製した。リンパ球を、10%ウシ胎児血清により補充されている
Iscove培地に保持した。Sf9及びリンパ球細胞からのタンパク質抽出物を、Sf9
細胞についての製造業者のプロトコール(Pharmingen,San Diego,CA)又はSambr
ookなど.,(Molewlar Cloning : A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor L
aboratory Press,Cold Spring Harbor,NY[1989])に示されるリンパ球細胞の
ための方法を用いて調製した。タンパク質を、8%ポリアクリルアミド/0.1%
SDSゲル上で分解し、そしてゲルを、標準の方法を用いて、Immobilon−P膜(Mil
lipore Company)に移した。まず、そのブロットを、ブロッキング緩衝液(1×P
BS 中、4%脱脂乳及び0.05% Tween−20)と共に室温で1時間インキュベート
した。次に、LSIRF カルボキシ末端ペプチドに対して生ぜしめられたLSIRF ウサ
ギポリクローナル抗血清を、約1:2000(1部のPBS に対して1部のブロッキン
グ緩衝液の溶液において)の希釈度で、ブロットに添加した。抗体を生成するた
めにウサギ中に注射されるLSIRF ペプチドは次の通りである:GYELPHEVTTPDYHR
(配列番号9)。LSIRF 抗体と共に約1時間インキュベートした後、ブロットを
洗浄し、そしてLSIRF 抗体を、約1:5000の希釈度で、ヤギ抗−ウサギホースラ
ディシュペルオキシダーゼ−接合された抗体により検出した。
その結果は、約51KDのバンド(LSIRFの予測される分子量)が抗−CD3抗体及
び組換えSf9細胞により刺激された両末梢T細胞に関する抗LSIRF 抗体により認
識されたことを示唆する。例4:マウスLSIRF 発現分析 A.組織ブロット
LSIRF 転写体の組織特異性を評価するために、完全なRNA を、マ
ウス脳、肺、胸腺、骨髄、脾臓、肝臓、腸、膵臓、唾液腺、精巣、心臓及び平滑
筋組織から、Wangm など.(EMBO J.,10 : 2437-2450[1991])により記載さ
れる方法を用いて調製した。RNA を、標準の方法を用いて、1%アガロース/ホ
ルムアルデヒドゲルを通して電気泳動し、そして次に、Sambrookなど.,前記に記
載されるようにしてニトロセルロース紙に移した。次に、ブロットを、LSIRF の
全コード領域(PV−1からの挿入体)を含むランダム−感作された、32P−ラベ
ルされた 1.4kbのcDNAによりハイブリダイズせしめ、そして続いて、Stewart な
ど.(Meth.Mol.Cell Biol.,1 : 73-76[1989])により記載されるようにして
、0.2×SSC 及び 0.1% SDSにおいて約50℃で洗浄した。
図5に示されるような結果は、約 5.5kbのLSIRF 転写体が大規模に脾臓及び骨
髄組織に、同じサイズの弱い転写体が胸腺及び肺組織に存在することを示唆する
。驚くべきことには、さらなるバンドは観察されなかった。さらに、図6は、リ
ンパ節組織もまた、LSIRF 転写体を含むことを示す。
American Type Culture Collection,12301 Parklawn Drive,Rockville,MD
,USAから入手できる、CTLL−2,D10.G4.1,HT−2,EL−4及びBW5147を包含
する種々のT細胞系を、ノザンブロット分析を用いてLSIRF 発現について評価し
た。RNA を、Chomczynski など.(Anal.Biochem.,162 : 156-159[1987])
の方法を用いて、それらの細胞系から抽出した。細胞系を、10%ウシ胎児血清及
び2mMのL−グルタミンにより補充されたIscove培地において、37℃及び5% C
O2下で維持した。最初の3種の細胞系は、末梢T細胞系統であると思われ、そし
て最後の2種は、未熟T細胞系統であると思われる。HT−2及びCTLL−2細胞の
培養物を、50U/mlのIL−2(Genzyme Inc.,Cambridge,MA)及び50μMの2−
メルカプトエタノ
ールにより補充し;D10.G4.1の培養物を、50U/mlのIL−1(Genzyme Inc.,Cam
bridge,MA)、50U/mlのIL−2及び50mMの2−メルカプトエタノールにより補
充した。
ノザンブロットを、完全なRNA から調製し、Hybond N紙に移し、そしてStew
art など.,前記の方法を用いて、上記のようにして、1.4kbのランダム感作され
たcDNAによりプローブした。
その結果は、LSIRF 転写体が末梢T細胞系にのみ見えることを示し、これは、
LSIRF が成熟T細胞に選択的に発現されることを示唆する。プレ−B細胞系CB17
.51 ,B細胞系WEHI231(American Type Culture Collection)及びプラスマ細胞
腫細胞系J558(American Type Culture Collection)におけるmRNA転写体の類似
する分析は、すべての細胞系においてその転写体の存在を示し、そしてJ558は最
強のシグナルを有した。
脾臓又はリンパ節から得られた一次リンパ球におけるLSIRF の誘発を、培養さ
れた細胞に種々の刺激剤を添加し、そしてLSIRF mRNAレベルを評価することによ
って評価した。リンパ節細胞のために使用される刺激剤は、1000U/mlのネズミ
インターフェロン−β(IFN−β;Lee Biomolecular Research,San Diego,CA
)、100U/mlのネズミインターフェロン−γ(IFN−γ;Genzyme Inc.,Cambrid
ge,MA)、又は10ng/mlのネズミ腫瘍壊死因子(TNF;Genzyme Inc.)であった
。脾臓細胞を、20μg/mlの抗−IgM 抗体、10μg/mlのリポ多糖(LPS ;細菌
性内毒素)、10ng/mlのPMA(ホルボールミリステートアセテート;Sigma Chemic
al Co.,St.Louis,MO)、1mg/mlのシクロスポリンA(CsA ; Sandoz Campany
,Basel,Switzerland),10μg/mlのコンカナバリンA(ConA ; Sigma)、又
は1又は10μg/mlのシクロヘキシミド(CHX ; Sigma)により処理した。すべて
の細胞を、37℃で6時間、処理した。
その結果は図6,7及び8に示される。すべての図において、β−アクチンが
、分析される全RNA の量のインビケーターとして示される。
図6は、抗−CD3抗体がLSIRF 転写を誘発したことを示す。しかしながら、最
とも驚くべきことには、インターフェロンはLSIRF 転写体を誘発しなかった。こ
れは、他の既知のIRF の両者の転写体はインターフェロンにより誘発されるので
、他の既知のIRF との強力な対比である。
図7は、シクロヘキシミド、すなわちタンパク質合成インヒビターがLSIRF 転
写を誘発することを示す。この結果は、シクロヘキシミドが IRF−1又は IRF−
2遺伝子の転写を誘発しないので、予測されなかった。
図8は、抗−IgM 及びPMA がLSIRF 転写を誘発することを示す。抗−IgM によ
るそのような誘発は、LSIRF がB細胞及びT細胞に発現されるので、驚くべきで
ある。B.ゲルシフトアッセイ
電気泳動移動度シフトアッセイを、LSIRF ポリペプチドがDNA 結合タンパク質
であるかどうかを評価するために行なった。対照Sf9細胞(野生型バキュロウィ
ルスのみによりトランスフェクトされた)及びLSIRF 発現Sf9(LSIRF cDNAを含
むバキュロウィルスによりトランスフェクトされた)細胞からの核抽出物を次の
ようにして調製した。Sf9細胞をペレット化し、そして次に、PBS により2度洗
浄した。最終洗浄の後、その細胞を、107個の細胞当たり 0.5mlの“H−緩衝液
”(低張緩衝液)(H−緩衝液は、25mMの Hepes−NaOH,pH8.0,10mM のKCl,
5mMのMgCl2,0.5mMのEDTA、及び0.5mMのDTT から成る)に再懸濁し、そして約3
0分間、氷上でインキュベートし、この間、細胞は低張緩衝液により膨張された
。次に、細胞
を、ダウンスホモジナイザーにおけるタイプB乳棒での15回のストロークにより
破壊した。核を、約10分間、10Krpm での遠心分離機により約4℃でペレット化
することにより、細胞残髄から単離した。主要部の核を含むペレットを、107個
の細胞当たり 0.5mlのN−緩衝液(N−緩衝液は、25mMの Hepes−NaOH,pH8.0
,400mMのKCl,5mMのMgCl2,0.5mMのEDTA,10%のグリセロール及び 0.5mMのDT
T から成る)に再懸濁し、そして氷上で約20分間インキュベートすることにより
抽出した。次に、その懸濁液を、遠心分離機により15Krpm で約15分間、4℃で
遠心分離した。主要部のLSIRF ポリペプチドを含む上清液を、Gentricon 10マイ
クロコンセントレーター(Amicon Corporation)を用いて過剰の塩を除去するた
めに緩衝液交換した。濃縮のための希釈緩衝液は、E−緩衝液(25mMの Hepes−N
aOH,pH8.0,50mM のKCl,5mMのMgCl2,0.5mMのEDTA,15%のグリセロール、及
び 0.5mMのDTT)であった。H−緩衝液、N−緩衝液及びE−緩衝液のすべては、
次のプロテアーゼインヒビターを含んだ: 0.5mMのPMSF,0.5μg/mlのロイペ
クチン及び0.5μg/mlのアプロチニン。
フラグメントのLSIRF 結合による特定のDNA フラグメントの電気泳動移動度を
評価するために、抽出物を32P−ラベルされた二本鎖DNA プローブと共にインキ
ュベートした。このプローブのセンス鎖の配列、すなわち野生型ネズミMHC IRSE
結合配列は下記に示される:
結合反応のために、約25×103cpm(プローブ約1×10-11モルに相当する)を、
結合反応緩衝液(12mMの Hepes−KOH,pH7.9,30mMのKCl,60μMのEGTA,0.3mM
のDTT,2.5%の Ficoll,0.6μgの poly(olI−dC)〔Pharmacia から得られ
た〕、及び0.05%のNP−40
)において調製した。核抽出物を、LSIRF 含有反応のために約14μgの全タンパ
ク質/ml及び対照反応のために約22μg/mlの最終濃度に、約 0.1mg/mlのBSA
(ウシ血清アルブミン)を含むE−緩衝液において約8倍に希釈することにより
調製した。結合反応は、約6.24μlのプローブ溶液に約1μlの核抽出物を添加
することにより開始され、ここで多くの場合、前記プローブ溶液はまた、ラベル
されていない“競争体”DNA フラグメントも含んでいた。それらのフラグメント
の個々の配列は、下記表1に示される。競争体フラグメントを、約 750倍のモル
過剰(ラベルされたフラグメントに比較して)で添加した。核抽出物/プローブ
溶液を、約23℃で約、20分間インキュベートし、そして次に、サンプル適用の前
、約 250ボルトで約2時間、予備運転された9%ポリアクリルアミドゲル(0.25
×TBA により調製された)に適用した。ゲルを約 300ボルトで約2時間、運転し
、結合されていないDNA プローブからタンパク質−DNA 複合体を分離した。次に
、ゲルを乾燥せしめ、そしてフィルムに暴露し、タンパク質結合によるDNA プロ
ーブ移動シフトを評価した。
表1において、“m”は、マウス配列を示し、そして“h”はヒト配列を示す
。
結果は図9に示される。それから明らかなように、野生型MHC ISRE配列は、LS
IRF タンパク質を結合する。さらに、2種のISRE DNAフラグメント変異体、すな
わちm1及びm4は、2種の他のDNA フラグメント、すなわちIgλB及びISG54
と同じように結合のために十分に競争する。例5:ヒトLSIRF クローニング
LSIRF をコードするヒトcDNAを同定するために、ヒトリンパ球cDNAライブラリ
ー(Clontech,Palo Alto,CA ; カタログ番号HL1031a)を、マウスPV−1クロ
ーンを用いてスクリーンした。スクリーニング条件は、Church緩衝液(Church a
nd Gilbert,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81 : 1991-1995[1984])において
65℃で一晩であった。フィルターをそれぞれ2×SSC 及び 0.1% SDSにより約30
分間、2度洗浄した。スクリーンされた約百万のプラークのうち、2つの陽性ク
ローンを同定し、単離し、そしてそのDNA を標準の技法を用いて精製した。クロ
ーンを、pBluescript(Stratagene,LaJolla,CA)のEcoRI部位中にサブクローン
化した。約2kbよりも長い、H14と称する、それらのクローンのうち最長のクロ
ーンを配列決定した。その配列は、このクローンが、TNF(腫瘍壊死因子)受容体
p55(約 400個の塩基対)、及びマウスLSIRF 配列のエキソン3−9に高い相同
性を有する約1kbの配列のハイブリッドであったことを示した。さらに、このク
ローンは、保存された終止コドン、スプライスドナー配列及びイントロン9の約
600個の塩基対を有した。従って、この1019個の塩基対配列はヒトLSIRF 配列の
一部を表わすことが結論づけられた。この1019個の塩基対配列を、次のプライマ
ーを用いてPCR により増幅した:
増幅条件は、94℃で30秒、65℃で30秒及び72℃で約90秒であった。約 500ngの
H14鋳型を、Taq ポリメラーゼの存在下で用い、そして約15サイクルのPCR を実
施した。得られるPCR 生成物を、TAクローニングキットベクターPCRII(Invitrog
en,San Diego,CA)中に直接的に連結し、そして配列決定し、適切なフラグメン
トが増幅されたことを確かめた。次に、“FISH”と称する、この1019個の塩基対
のcDNAフラグメントを用いて、ヒト白血球5’−延長cDNAライブラリー(Clonte
ch;カタログ番号HL1169x)をスクリーンした。そのスクリーニング条件は次の
通りであった:Church緩衝液において約65℃で一晩、続いて、2×SSC 及び 0.1
% SDSにおいて約30分間にわたって2度のすすぎ、及び次に、0.2×SSC 及び 0.
1% SDSにおいて約30分間にわたって2度のすすぎ、約500,000のうちの1つのプ
ラークを同定し、そしてそのDNA を精製し、そして配列決定した。HIRF4λDR2
と称するこのクローンは、イントロン2及び十分な長さのエキソン3(エキソン
3の一部のみがH14クローンには見出された)、並びにエキソン5,7,8及び
イントロン8を含んだ。エキソン4及び6はたぶんスプライスされているか又は
欠失していた。
LSIRF コード配列の残りを得るために、2つのアプローチが用いられた。第1
においては、ベクターλ fix2(Stratagene,La Jolla,CA)におけるヒト胎盤
ゲノムライブラリーを、プローブとしてFISH cDNA を用いてスクリーンした。ス
クリーニング条件は、Church緩衝液において約65℃で一晩、続いて、2×SSC 及
び 0.1% SDSにおいて約30分間にわたっての2度のすすぎ、及び次に、0.2×SSC
及び 0.1% SDSにおいて約30分間にわたっての2度のすすぎであ
った。10個のファージクローンを単離し、そしてそのDNA を、HG−1と称する1
つのクローンから精製した。このDNA を制限エンドヌクレアーゼBamHI,SacI
、及びXbaIにより消化し、そしてフラグメントをクローニングベクターpMOB(S
trathmannなど.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,88 : 1247-1250[1991])中にサ
ブクローン化した。個々のフラグメントの配列を得、そしてマウスLSIRF 配列と
比較した。ヒトLSIRF のプロモーター、エキソンI及びエキソンIIを、マウス配
列に対する相同性に基づいてこのクローンにおいて同定した。
用い、そして製造業者のプロトコールに従ってのRACE反応であった。高いLSIRF
発現を有することが前のノザンブロット分析により示されている、OCILY8(Bloo
d,69 : 1307-1314[1987])と称するB−細胞リンパ腫系を用いた。得られるRAC
E生成物が配列決定され、そしてエキソンI及びII(上記のようにして得られた
)のゲノム配列に適合することが見出された。
読み取り枠を生成するために、FISH cDNA を、ベクターPCRIIのEcoRI部位か
ら切り出し、そしてPGEX4T3(Promega,Madison,WI)のEcoRI部位中に連結し
、ベクターpGEX4T3−FISHを形成した。読み取り枠の5’端を、FISHクローンへ
の融合を可能にする形で得る
からのcDNAを、増幅のために次の2つのプライマーと共に使用した:
増幅は次の条件下でPCR を用いて達成された:94℃で30秒、64℃で30秒、及び
68℃で1分間。30回のサイクルが、Expond High Fide
lity Polymerose(Boehringer Manheim)を用いて行なわれた。この方法を用いて
、LSIRF のN−末端の配列を増幅し、約 600個の塩基対の予測されるDNA フラグ
メントサイズを付与した。
約 600個の塩基対フラグメントを、配列番号22(上記に示される)及び下記に
示されるような配列番号23を用いて、PCR により増幅した:
PCR の15回のサイクルが次のようにして行なわれた:生来のPFU ポリメラーゼ
(Stratagene,La Jolla,CA)を用いて、94℃で30秒、64℃で30秒、及び72℃で
90秒。
FISH挿入体を含むPGEX4T3 ベクター(pGEX4T3−FISH)を、BamHI及び SacIIの
両者により消化し、それにより、FISH挿入体の5’部分を除去した。上記からの
約 600個の塩基対PCR 生成物を同じ酵素により消化し、そして pGEX4T3−FISHベ
クター中に連結し、十分な長さの読み取り枠構造体 pGEX4T3 LSIRF BamHI/Ec
oRIを形成し、このコード領域は図10に示されている。予測されるアミノ酸配列
は、図11に示されている。このクローンを、製造業者のプロトコールに従って、
GST 融合タンパク質(Pharmacia)の生成により評価した。その融合タンパク質の
予測されるサイズは、約79KDであり、この約27KDはGST タンパク質であり、そし
て約52KDがLSIRF タンパク質である。前記融合タンパク質は、クーマシーブルー
染色により決定される場合、約79KDの予測されるサイズに8% SDS−PAGE上を移
動した。
ヒトLSIRF のノザンブロット分析は、この遺伝子が脾臓組織及び末梢血液組織
において主に発現され、そして低レベルで、結腸及び腸に見出されることを示し
た。さらに、Clontech(カタログNo.7757−1)から得られる複数癌細胞系ノザ
ンブロットを用いる場合、
前記遺伝子の弱い発現がヒトB細胞Burkitt リンパ腫系Rajaに見出され、そして
強い発現がヒト黒色腫系G361癌細胞に観察された。
部分的hLSIRF配列を含むいくつかのクローンのDNA 配列決定に基づけば、hLSI
RF配列の2種の形が存在すると思われる。1つの形、すなわち“単一Q”形は、
アミノ酸位置164 でアミノ酸Q(Gln)をコードする、塩基 490−492 で“CAG”コ
ドンを含む。LSIRF DNA の第2の形、すなわち“二重Q”形は、“単一Q”形の
塩基492 と493 との間に追加の“CAG”コドンを含み、“単一Q”形のアミノ酸1
63 と164 との間に追加のアミノ酸Q(Gln)をもたらす。この1つの差異の他に、
前記2種の形のアミノ酸及び核酸配列は同一である。
ベクターpGEX4T3 におけるヒトLSIRF(hLSIRF)をコードする十分な長さの“単
一Q”DNA 配列は、1996年3月27日、受託番号98016 としてATCCに寄託された。
さらに、hLSIRFタンパク質の“二重Q”形をコードする十分な長さのヒトLSIRF
配列は、1996年3月27日、受託番号98017 としてATCCに寄託された。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
C12P 21/02 C12P 21/08
// C12P 21/08 C12N 5/00 B
(C12N 1/21
C12R 1:19)
(C12P 21/02
C12R 1:91)
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S
Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD
,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ
,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CZ,
DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,HU,I
S,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK,LR
,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,
MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,S
D,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,TR,TT
,UA,UG,UZ,VN
(72)発明者 リチャードソン,クリストファー ディ
ー.
カナダ国,オンタリオ エム5エス 2エ
ックス3,トロント,ウエスト #602,
ウェレスレイ ストリート 62