JP2005500049A - 有機化合物 - Google Patents
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Abstract
免疫系の樹状細胞中で発現される、単離されたBASP1、GID2.1、GID2.2、GID3およびGID4遺伝子、そのような遺伝子によって発現されるBASP1、GID2.1、GID2.2、GID3およびGID4ポリペプチド、ならびにBASP1、GID2.1、GID2.2、GID3およびGID4ポリペプチドに対する、アンタゴニスト、アゴニストである化合物の同定におけるそれらの機能。
Description
【0001】
本発明は、樹状細胞から単離された遺伝子、およびそのような遺伝子によってコードされるタンパク質(ポリペプチド)に関し、例えば、樹状細胞におけるそのような遺伝子/タンパク質の活性を阻害または活性化する(調節する)ことによる、異常な免疫応答を伴う疾患の治療的介入を含む。
【0002】
樹状細胞(DC)は、初期免疫応答および寛容の誘導において、中心的な役割を果たす、専門の抗原提示白血球である。未成熟の状態DCは、侵入病原体からの抗原を捕獲可能であり、炎症分子に応答しうる、体の異なる組織に存在する。抗原捕獲後、DCは、抗原提示細胞へと成熟し、T細胞を活性化するために、リンパ器官に移動する(Banchereau,M.and R.M.Steinman,Nature 329[1998]245−252)。例えば、皮膚に存在するランゲルハンス細胞(LC)が、皮膚で産出されるか、または浸潤しうる種々の抗原を提示することが示されてきた。過敏症に関して、反応性ハプテンの局所適用により、LCが活性化されて、表皮から灌注リンパ節に移動し、そこでLCは、選択されたT細胞に対する抗原を提示しうる。LCとT細胞の接触の間、LCは、T細胞増殖およびエフェクター細胞への分化を誘導するT−細胞へのシグナルを提供しうる。T細胞の型および関連する分子の相互作用の種類に依存して、細胞障害性、調節およびヘルパーT細胞が形成されうる。DCはまた、全ての種類のアポトーシス細胞を飲み込むことが示されてきており、それによって自己抗原に対する寛容の維持において重要な役割を果たしうる(Steinman,R.M and K.Inaba,J.Leukoc.Biol.66[1999]205−208)。例えば、接触皮膚炎およびアトピー性皮膚炎のような炎症性皮膚疾患を含む慢性炎症疾患、自己免疫疾患、移植拒絶発作、および、AIDSや癌を含む、免疫抑制または過敏性によって特徴づけられる疾患でのような、免疫応答の強力な開始および調節細胞として、DCが、原因または関連する役割を果たす疾患が、DC特異的薬理学的診療に関する標的であり得る。
【0003】
DCは、ネガティブ選択(富化)、すなわち存在する他の細胞型の選択的除去または特異的モノクローナル抗体(mAB)でコーティングした磁気ビーズまたはプラスチック表面上に捕捉することによって、単球(CD14+)、T−細胞(CD3+)、B−細胞(CD19+)およびNK細胞(CD16+)、例えば、従来の方法にしたがって、記載されているように、特定のmABで捕獲することによって単離した細胞の培養による単球または未成熟の前駆体細胞のようなこれらの他の細胞型からの分離によって単離することができる。RNAがDCから単離することができ、cDNAおよびcDNAライブラリーを作製することができ、そしてDCの異なる遺伝子発現パターンを、例えば、オリゴヌクレオチドフィンガープリンティング、RNA−cDNAハイブリダイゼーションプロファイリング、サブトラクティブハイブリダイゼーション、または配列決定によって、例えば、従来の方法に従って得ることができる。
【0004】
本発明者らは、単離したヒトDCのRNAから合成したcDNAより、表1にて示す名称を有している遺伝子のコピーを含む組換え体クローンを発見した。
【表1】
【0005】
単離したDCのcDNAライブラリーより、BASP1(NAP22、またはCAPとも呼ばれる)転写物のコピーを含む組換え体クローンを同定可能であり、これは、ヌクレオチド配列番号1を持ち、タンパク質配列決定データから導かれるBASP1に関する登録番号第P80723号で、SwissProt配列データベースでのポリペプチドと同一のポリペプチドをコードしている(Mosevitsky,M.I.,Biochimie 79[1997]373−384)。配列番号1は、GenBankにおけるポリヌクレオチド、登録番号第AF039656号(NAP22)(Park,S.,Mol.Cells 8[1998]471−477)および第NM_006317号(7ヌクレオチドが異なる)および第BC000518号(1ヌクレオチドが異なる)に対して、いくつかの置換、小さい欠失および挿入によって異なる。BASP1タンパク質は、脊髄および脳において発現されることが知られており(lino,S.and S.Maekawa,Brain Res.834[1999]66−73、lino,S.,Neuroscience 91[1999]1435−1444)、この部分で、神経細胞における膜微小領域(ラフト)上に局在することが観察されており、この局在は、コレステロール依存性である。(Maekawa,S.,J.Biol.Chem.274[1999]21369−21374)。BASP1タンパク質は、カルモジュリン−結合ドメインを含むことが示されており(Takasaki,A.,J.Biol.Chem.274[1999]11848−11853)、このことは、カルシウムの流れに応答する神経細胞中での代謝の活性化において基本的な役割を示唆しており、神経細胞中での局在性の変化が、神経極性の発達の間に生じることを示唆している(Kashihara,M.,Neurosci.Res.37[2000]315−325)。
【0006】
本発明者らは、ここで、DC中での遺伝子の機能に対する直接的な関連およびそれに関係している免疫反応性に関連して、DC中でのBASP1発現が、T細胞を刺激するDCの能力を強化することが知られている薬剤での処理に応答して誘導され、DCのこの特性が、免疫系内でのその鍵となる調節の役割の中心であることを観察した。DCの刺激に応答するBASP1遺伝子発現の誘導を図1に示す。
【0007】
さらに、本発明者らは、BASP1異所性発現が、IL−8のような、炎症性サイトカインの発現を調節することができることを観察した(実施例15および図7を参照のこと)。
【0008】
本発明者らはまた、単離したヒトDC由来のRNAから合成したcDNAから、GID2遺伝子(ポリヌクレオチド)のGID2.1およびGID2.2転写物のコピーを含む組換え体クローンを単離および同定することができるも発見した。DC由来のcDNAから直接同定した配列の再増幅、および複数のクローンの解析により、コンセンサス配列が、GID2.1転写物のポリヌクレオチド配列番号2、ポリペプチドをコードする配列番号3、および対応するコードされるポリペプチド配列番号4、ならびに、GID2.2転写物のポリヌクレオチド配列番号5および対応するコードされるポリペプチド配列番号6を含むことを明らかにする。配列番号2および配列番号5は、GID2遺伝子(ポリヌクレオチド)のおそらく異なってスプライシングされた転写物であり、GID2遺伝子のコード能力の多様性を反映している。コードされるGID2ポリペプチド配列GID2.1 配列番号4およびGID2.2 配列番号6は、2つの公知のタンパク質であるV7(CD101)白血球表面糖タンパク質およびプロスタグランジンF2αレセプター(FPRP)の調節タンパク質に相同であり、特性化されていないKIAA1436タンパク質に相同である。V7は、活性化T細胞、単球および顆粒球、ならびにT細胞のサブ集団および特定のアクセサリー細胞上に発現されており、T細胞中でのシグナル−1形質導入、すなわち、T細胞レセプター複合体の架橋によって生成されるシグナルの媒介において、役割を果たすことが示されている(Ruegg,C.L.ら,J.Immunol.154[1995]4434−4443)。マウスのFPRPは、F2αレセプター分子に物理的に結合し、その表面転位を防ぎ、したがって、プロスタグランジンF2による細胞性刺激を負に調節することが示されている(Orlicky,D.J.and S.K.Nordeen,Prostaglandins Leukot.Essent.Fatty Acids 55[1996]261−268、Orlicky D.J.,Prostaglandins Leukot.Essent.Fatty Acids 54[1996]247−259)。GID2ポリペプチドGID2.1 配列番号4およびGID2.2 配列番号6、ならびに相同であるV7タンパク質およびFPRPは、複数の免疫グロブリン様および主要組織適合性複合体ドメインを含み、多くの免疫に関係している活性に必要な重要な細胞内シグナルに関連している、免疫グロブリンスーパーファミリーの推定上の新規メンバーである。本発明者らは、DCにおける遺伝子の機能および関連する免疫反応性に関して、DCでのGID2発現が、T細胞を刺激するDCの能力を強化にすることが公知の薬剤での処置に応答して誘導され、DCのこの特性が、免疫系におけるその鍵となる調節の役割の中心であることを観察した。DCの刺激に応答するGID2遺伝子(ポリヌクレオチド)発現の誘導を、図2に示す。さらに、本発明者らは、抗原提示細胞中でのGID2.2の異所性発現が、T細胞増殖を正に調節することを発見した(実施例16および図8ならびに9を参照のこと)。
【0009】
本明細書中に記載するGID2遺伝子(ポリヌクレオチド)およびポリペプチドは、本発明によって提供されたGID2遺伝子(ポリヌクレオチド)およびポリペプチドである。
【0010】
本発明者らはさらに、単離したヒトDC由来のRNAから合成したcDNAから、GID3遺伝子の転写物のコピーを含む組換え体クローンを単離しそして同定することができることを発見した。DC由来のcDNAから直接同定した配列の再増幅および、多数のクローンの解析により、コンセンサス配列が、GID3転写物のポリヌクレオチド配列番号7、ポリペプチドをコードする配列番号8、および対応するコードされるポリペプチド配列番号9を含むことを明らかにする。後者の配列は、466、760、783および1274位で、コンセンサス配列Asn−Xaa−Ser/Thr(Marshall,R.D.,Annu.Rev.Biochem.41[1972]673−702)に特異的であり、aa残基248〜390のDENN(AEX−3)ドメインに対して強い相同性(4.7e−44)を持つ、4つの可能性あるN−グリコシル化部位を含む。ヒトのセリン−およびロイシン−を多く含むDENNタンパク質は、RGD細胞接着モチーフ、およびタンパク質二量体化に関するロイシン−ジッパー様モチーフを持ち、腫瘍壊死因子αのレセプター結合ドメインに対して部分的な相同性を示す。DENNは、I型腫瘍壊死因子レセプターと相互作用する、MADD、ヒトMAPキナーゼ活性化死亡ドメインタンパク質と、実質的に同一である。DENNは、細胞間小胞移動に関与しているRab3小Gタンパク質に特異的なラットGDP/GTP交換タンパク質であるRab3 GEPと有意な相同性を示す。DENNはまた、Caenorhabditis elegansのAEX−3と強い相同性を示し、これはRab3と相互作用して、シナプス小胞の放出を調節する(Lim,D.,ら,Genome 41[1988]543−552)。DENN(AEX−3)ドメインを含む他のタンパク質の例としては、Schizosaccharomyces prombe由来の仮想タンパク質(Q9Y7Q7)、ヒトDENNタンパク質(Q15741)、ヒトMADDタンパク質(O15293)、Caenorhabditis elegansタンパク質AEX−3(O02626)、およびラットRab3小Gタンパク質(O08873)が挙げられる。オルトログに対するGID3タンパク質の相同性から、GID3が、GTP依存性である特定の細胞性プロセスにおいて、例えばアダプター分子として、エフェクターを調節する役割を果たしうることが推定される。GID3ポリペプチド配列番号9は、推定ヒト147 KDAタンパク質(TREMBL:Q9UFV0)およびKIAA1090タンパク質(1つの点変異によって異なる)(TREMBL:Q9UPR1)と同一であり、酵母ツーハイブリッドスクリーニング(Janoueix−Lerosey,I.,ら,J.Biol.Chem 270[1995]14801−14808)にて同定されたRab6 GTP結合タンパク質に関連するタンパク質断片TREMBL:Q62146を含有している推定マウス144.1 KDAタンパク質(TREMBL:Q9QYZ2)と95.8%同一である(24残基のギャップおよび複数の点変異)。Rabタンパク質は、エンドサイトーシスおよび分泌経路による小胞伝達の調節に関与している、Ras様GTP結合タンパク質であり(Valencia,A.ら,Biochemistry 30[1991]4627−4648、Pfeffer,S.R.,Curr.Opin.Cell Biol.6[1994]522−526、Nuoffer,C.and W.E.Balch,Annu.Rev.Biochem.63[1994]949−990)、Rab6は、ゴルジ体内膜伝達を調節すると考えられる(Goud,B.ら,Nature 345[1990]553−556、Martinez,O.ら,J.Cell Biol.127[1994]1575−1588)。マウスRab6に関連するホモログTREMBL:Q62146の断片は、Rab6のGTPが結合した形態と、優先的に相互作用することが示されており(Janoueix−Lerosey,I.ら,J.Biol.Chem 270[1995]14801−14808)、したがって、Rab6のエフェクターまたはGAPタンパク質のいずれかに相当すると予測される。GID3が機能する1つの他の可能性のあるプロセスは、カルモジュリン結合タンパク質として同定された、GenBank AAF46398配列エントリーのオルトログ遺伝子であるD.melanogaster Cragタンパク質に対するその関係(23%同一/72.1%アライメント)によって示唆される(Xian−Zhong,S.X.ら,J.Biol Chem 274[1998]31297−31307)。後者の物理的相互作用は、シグナル伝達事象でのカルモジュリンとの共調節機能の可能性を反映していると考えられ、これにおいては、カルモジュリンは、カルシウムの流れの主要な細胞センサーである。さらに、カルモジュリンは、それ自体が別のRabタンパク質Rab3Aに結合することが示されている(Park,J.B.ら,J.Biol.Chem.272[1997]20857−20865)。本発明者らは、DC中での遺伝子の機能および関係している免疫反応性に関して、DC中でのGID3発現が、T細胞を刺激するDCの能力を強化にすることが知られている薬剤での処理に応答して誘導され、DCのこの能力が、免疫系でのそれらの鍵となる調節の役割の中心であることを観察した。DCの刺激に応答するGID3遺伝子(ポリヌクレオチド)発現の誘導を図3に示す。本明細書で記載したGID3遺伝子(ポリヌクレオチド)およびGID3ポリペプチド(タンパク質)は、本発明で提供したGID3遺伝子(ポリヌクレオチド)およびGID3ポリペプチド(タンパク質)である。
【0011】
本発明者らはまた、単離したヒトDC由来のRNAから合成したcDNAから、GID4遺伝子の転写物のコピーを含む組換え体クローンを単離しそして同定することができることを発見した。DC由来のcDNAから直接同定した配列の再増幅および、多数のクローンの解析により、コンセンサス配列が、GID4転写物のポリヌクレオチド配列番号11、ポリペプチドをコードする配列番号12、および対応するコードされるポリペプチド配列番号12からなることが明らかになる。後者の配列は、ポリペプチドの長さ全体にわたって分散している、6〜8の可能性ある膜貫通ドメインを含む大きな(832アミノ酸)タンパク質からなる。コンセンサス配列Asn−Xaa−Ser/Thr(Marshall,R.D.,Annu.Rev.Biochem.41[1972]673−702)に特異的な、7つの可能性のあるアスパラギンN−グリコシル化部位(位置15、177、266、368、406、462および511)が存在する。GID4で見られるさらなるモチーフには以下が含まれる:2つの連続したN末端近傍の塩基性残基(Fremisco,J.R.ら,J.Biol.Chem.255[1980]4240−4245、Glass,D.B.and S.B.Smith,J.Biol.Chem.258[1983]14797−14803、G.ass,D.B.ら,J.Biol.Chem.264[1986]2987−2993)の規則にしたがうスレオニン224残基に、1つの可能性のあるcAMP/cGMP依存タンパク質キナーゼリン酸化部位、コンセンサス(S/T)(×2)(D/E)規則(Pinna,L.A.,Biochim.Biophys.Acta 1054[1990]267−289)にしたがう17個の可能性のあるカゼインキナーゼIIリン酸化部位(セリンまたはスレオニン残基76、114、268、337、397、456、535、603、746、779、791、792、800、801、814、820および824の位置)、コンセンサス(S/T)(×)(R/K)規則(Woodget,J.R.ら,Eur.J.Biochem.161[1986]177−148、Kishimoto,A.ら,J.Biol.Chem.260[1985]12492−12499)にしたがう8つの可能性のあるタンパク質キナーゼCリン酸化部位(セリンまたはスレオニン残基25、222、227、253、388、424、700および768の位置)、コンセンサス(R/K)(×2/3)(D/E)(×3/2)(Y)規則(Patschinsky,T.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 79[1982]973−977、Hunter,T.,J.Biol.Chem.275[1982]4843−4848,Cooper,J.A.ら,J.Biol.Chem.259[1984]7835−7841)にしたがう4つの可能性のあるチロシンキナーゼリン酸化部位(チロシン残基86、143、257および258の位置)、ならびにTowler,D.A.ら,Annu.Rev.Biochem.57[1988]69−99およびGrand,R.J.A.,Biochem.J.258[1989]625−638によって定義されたコンセンサスパターンにしたがう4個の可能性のあるミリストイル化部位(グリシン残基35、39、621または787の位置であり、これらは内部グリシン残基であり、これらの全ての位置でのN末端ミリストイル化は、転移酵素であるミリストイルCoA:タンパク質N−ミリストイルトランスフェラーゼの作用に供されるグリシン残基の1つをN−末端に露出させる、この場合の前駆タンパク質であるGID4タンパク質のタンパク質分解的切断に依存する)。GID4タンパク質は、多くの未知の機能の推定上の膜貫通タンパク質の特徴である、DUF221(PFAM記号)と名付けられた、残基348〜809の、よく保存された(E=1.2e−89)大きなポリペプチドドメインを含む。GID4タンパク質配列の、コンセンサスDUF221配列に対する配列相同性を、このドメイン中にあるGID4中の推定膜貫通ドメインの図4、5〜6に示す。DUF221を含有しているタンパク質ファミリーの公知の例には、推定のS.cerebisiae Ylr241w(SwissProt登録番号第S59387号)、および遺伝子ymr266wによってコードされる107.7KDAタンパク質(SwissProt登録番号第Q03516号)、遺伝子spac2g11.09によってコードされる推定のS.pombe 90.9kdaタンパク質(SwissProt登録番号第Q09809号)、Arabidopsis thalianaの81.9KDAタンパク質(TREMBL:Q9C8G5)、D.melanogaster 760アミノ酸CG11210タンパク質(TREMBL:Q9V364)、推定ヒト807アミノ酸KIAA0792タンパク質(TREMBL:O94886)、および推定ヒト93.3/93.8KDAタンパク質(TREMBL:Q9P1W3およびQ9P1W1)が含まれる。もっとも密接に関係している公知のヒトタンパク質は、KIAA0792タンパク質(TREMBL:O94886、Nagase,T.ら,DNA Res.5[1998]277−286)であり、これは59.0%同一性を持って、753アミノ酸の重なりで、GID4ポリペプチド配列番号12と一列にならび(2.1e−174)、また、817アミン酸の重なりにわたる、43.0%同一性でならぶ(4.8e−128)、93.3/93.8KDAタンパク質(TREMBL:Q9P1W3およびQ9P1W1)である。非常に遠い関係にある生物のDUF211を含有しているタンパク質もまた、729アミノ酸重複において33.3%同一性にて、GID4タンパク質配列番号12と並ぶ(8.3e−49)、D.melanogaster760アミノ酸CG11210タンパク質(TREMBL:Q9V364、Adams,M.D.ら,Science 287[2000]2185−2195)、および656アミノ酸重複で23.2%同一性で並ぶ(8.6e−14)、Arabidopsis thalianaの81.9KDAタンパク質(TREMBL:Q9C8G5、Theologis,A.ら,Nature 408[2000]816−820)と著しい相同性を示す。これらのタンパク質配列全体の相同性に加えて、タンパク質内でのDUF221ドメインの相対位置、および可能性のある膜貫通ドメインの分布、およびN−グリコシル化部位によって定義されるような、保存されている構造的機構も存在し、この関係を図5に示す。GID4タンパク質の370のC−末端配列は、公知の推定上のタンパク質断片(TREMBL:Q9NSG5)と同一である。
【0012】
本発明者らは、DC中で遺伝子の機能および関係している免疫反応性に関して、DC中でのGID4発現が、T細胞を刺激するDCの能力を強化にすることが知られている薬剤での処理に応答して誘導され、このDCの能力が免疫系でのそれらの鍵となる調節の役割の中心であることを発見した。DCの刺激に応答する、GID4遺伝子発現の誘導を図6に示す。膜貫通タンパク質の主要な促進因子スーパーファミリーのメンバーとして分類される機能が未知であるS.cerebisiae Ylr241wタンパク質に対するGID4タンパク質の相同性によると(Nelissen,B.ら,FEMS Microbiol.Reviews 21[1997]113−134)、刺激したDCまたは他の細胞中でのGID4タンパク質の推定される活性は、例えば、成熟または分化または細胞の活性化のような細胞の状態の変化の間に細胞膜で、あるいは上記の細胞の状態の変化に重要である他の細胞性タンパク質との協調して行われる細胞成分と膜表面との間の境界線で生じる、活性化シグナルまたは他のプロセスの媒介に関与することである。DCの場合、この状態の変化(例えば細胞の活性化)は、正常な免疫応答のためのDCのT細胞との相互作用の間に、表現系的に増幅される。
【0013】
1つの態様において、本発明は、単離した、
− 免疫系の樹状細胞(DC)中で発現されたBASP1遺伝子、または
− 免疫系の樹状細胞中で発現されたGID2遺伝子(ポリヌクレオチド)、または
− 例えば、免疫系の樹状細胞中で発現されたGID3遺伝子、または
− 例えば、免疫系の樹状細胞中で発現されたGID4遺伝子
を提供する。
【0014】
別の態様において、本発明は、単離した、
− 配列番号1の配列を含むBASP1遺伝子、または
− 配列番号2および/または配列番号3および/または配列番号5を含むGID2遺伝子、または
− 例えば、コード配列番号8を含む、配列番号7を含むGID3遺伝子、または
− 例えば、コード配列番号12を含む、配列番号11を含むGID4遺伝子
を提供する。
【0015】
− 本発明の免疫系のDC中で発現されたBASP1遺伝子は、例えばSwissProt第P80723号エントリーのBASP1ポリペプチドをコードしている。本発明のBASP1ポリペプチドには、SwissProt第P80723号エントリーのポリペプチドが含まれる。
− 本発明によって提供されるGID2ポリヌクレオチド(遺伝子)は、例えば、配列GID2.1配列番号4および/またはGID2.2配列番号6の、GID2ポリペプチド(タンパク質)をコードしている。
− 本発明のGID2ポリペプチドはしたがって、配列GID2.1配列番号4および/またはGID2.2配列番号6のポリペプチドを含む。
− 本発明によって提供されるGID3遺伝子は、例えば配列番号9の、GID3ポリペプチドをコードしている。本発明のGID3ポリペプチドには、配列番号9のポリペプチドが含まれる。
−本発明のGID4遺伝子(ポリヌクレオチド)は、配列番号12の、GID4ポリペプチドをコードしている。本発明のGID4ポリペプチド(タンパク質)には、配列番号12のポリペプチドが含まれる。
【0016】
別の態様において、本発明は、例えば
− BASP1遺伝子によってコードされる、例えばSwissProt第P80723号エントリーの、BASP1、または
− 例えばGID2遺伝子によってコードされる、例えば配列番号4および/または配列番号6の、GID2、または
− 例えばGID3遺伝子によってコードされる、例えば配列番号9の、GID3ポリペプチド、または
− 例えばGID4遺伝子によってコードされる、例えば配列番号12の、GID4ポリペプチド、
の免疫系の樹状細胞中で発現された単離されたポリペプチドを提供する。
【0017】
本明細書で、他に特に定義しない限り、「ポリヌクレオチド」には、あらゆるポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌクレオチドが含まれ、これは、限定はしないが、一本鎖および二本鎖のRNAまたはDNA、ならびに一本鎖および二本鎖領域の混合物であるRNAまたはDNAを含む、未改変RNAまたはDNA、あるいは改変RNAまたはDNAでありうる。
【0018】
本明細書で、他に特に定義しない限り、「ポリペプチド」には、ペプチド結合によって互いに連結された、2またはそれ以上のアミノ酸を含む任意のペプチドまたはタンパク質が含まれる。
【0019】
本発明のDC中で発現された遺伝子(ポリヌクレオチド)には、例えば対立遺伝子変異体、およびその転写および転写後改変変異体、および/またはそれらの相補体を含む、表1に示す遺伝子(例えば配列番号4、配列番号6、配列番号9および配列番号12)のポリペプチド配列をコードしている、およびその対立遺伝子変異体、ポリヌクレオチドにおける転写および転写後差違による変異体、および翻訳後修飾による変異体を含む、DCで天然に発生しうる、表1に示す相当する配列のポリヌクレオチド(例えば、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号8、配列番号10および配列番号11)ならびにその変異体が含まれる。免疫系のDC中の本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドには、DCに密接に関係している細胞で発現される配列、および本発明と同様の免疫学的機能の配列、および例えば、薬理学的探索で一般的に使用される実験動物の免疫系のDC中で、および本発明のそれらの種のDCに密接に関係している細胞中で発現されるオルトログ変異体が含まれる。ここで、上記変異体は、種の分岐の間に発生することが一般的に公知な機構によるものであり、例えば、上記オルトログ配列の、対立遺伝子、転写および転写後、ならびに翻訳後変異体である。
【0020】
本発明の遺伝子の「対立遺伝子変異体」は、それぞれ、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号8、配列番号10および配列番号11、ならびにSwissProt第P80723号エントリーとは異なる所定の種に存在する遺伝子のポリヌクレオチドおよびポリペプチド、ならびに相補的なポリヌクレオチド配列の形態であり、ここで、差異は、一般的に公知の機構による種の進化の間に生じた変異を特徴とする場合がある。一般的に、対立遺伝子変異体は、配列の長さ全体にわたり、95%以上、例えば97%または99%以上、そして100%未満の同一性を持ち、上記同一性は、配列の長さ全体のの最適な直線的なアライメントにおいて、対応する位置での同一のヌクレオチドまたはアミノ酸残基の割合として計算される。
【0021】
遺伝子の「転写変異体」は、それぞれ、表1に示す配列および例えば、SwissProt第P80723号エントリーとは異なる、所定の種内に存在するポリヌクレオチドおよびコードされるポリペプチド、ならびに配列の長さ全体の最適な直線的アライメントの最初または終わりの部分で、追加の配列部分を含ませることまたは配列部分を欠失させることによって、対応するポリヌクレオチド相補的配列であり、ここで上記変異体は、一般的に公知の機構による、遺伝子染色体鋳型からのRNA合成の開始および/または終結の位置に起因しうる。
【0022】
遺伝子の「転写後変異体」は、それぞれ与えられた配列、例えば配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号8、配列番号10および配列番号11、ならびにSwissProt第P80723号エントリーとは異なる、所定の種に存在する遺伝子のポリヌクレオチドおよびコードされるポリペプチド、ならびに配列の長さ全体の最適な直線的なアライメントの最初または終わりの部分で、追加の配列部分を含ませるかまたは配列部分を欠失させることによる、相補的ポリヌクレオチド配列であり、ここで上記変異体は、一般的に公知である機構によって、染色体鋳型から合成されたRNA配列部分の切除およびスプライシングに由来しうる。
【0023】
遺伝子の「翻訳後変異体」は、そこで配列の長さの差異が特異的なタンパク質の分解的改変に由来しえる、配列の長さ全体の最適な直線的なアライメントの最初または終わりの部分で、配列部分を決失させることまたは追加の配列部分を含ませることによって、与えられた配列および例えばSwissProt第P80723号エントリーとは異なるか、あるいはリン酸化、ミリストイル化、アセチル化を含みうる、配列内に含まれる特定のアミノアシル残基の生物学的変化、例えば存在することが一般的に公知であるタンパク質の多くの型の生化学的改変のなかの変化を含ませることによって、与えられた配列とおよび例えばSwissProt第P80723号エントリーとは異なる、所定の種に存在する遺伝子のポリペプチド配列である。
【0024】
遺伝子の「オルトログ変異体」は、第2の種に存在する遺伝子のポリヌクレオチドおよびコードされるポリペプチドである。ここで、配列の長さ全体の最適な直線的なアライメントで見られる、それぞれ、所定の配列、例えば配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号8、配列番号10および配列番号11、ならびにSwissProt第P80723号エントリー、ならびに相補的ポリヌクレオチド配列とは異なる一般的に公知である機構による進化の間の種の分岐の際に生じた変異により生じた由来する可能性がある。
【0025】
「アライメント」は、最小である単一残基または部分偏差への割り当てを伴って、その直線配列に沿って構成要素である単一のヌクレオチジル残基またはアミノアシル残基、あるいはそのような残基の部分またはブロックの、同一性または関連性または相補性にしたがって、配列の全体的な関連性を決定できるように、2つの直線的な配列を一緒に並べることである。上記関連性は、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列の同一性の測定であり、例えば市販されているコンピュータプログラムを用いる従来の方法によって計算することができる。
【0026】
例えば、その(既存の)変異体または一部を含む本発明のポリヌクレオチドは、DCまたは他の細胞由来のmRNAから導かれたcDNAまたはcDNAライブラリーから、あるいはゲノムDNAから、標準的なクローニング、スクリーニングおよび配列決定法、例えば発現配列タグ(EST)解析による、cDNAライブラリーからのBASP1ポリヌクレオチド配列の同定によって、分子クローンとして天然の供給源より入手することができる(Adams,M.D.ら,Science 252[1991]1651−1656、Adams,M.D.ら,Nature 355[1992]632−634、Adams,M.D.ら,Nature 377[1995]Suppl.:3−174)。BASP1ポリヌクレオチド、またはその変異体もしくは部分もまた、従来の方法にしたがって合成することもできる。例えばその(存在する)変異体または部分を含む本発明のBASP1ポリペプチドは、天然の供給源から入手することもでき、例えば細胞または組織から単離することもでき、ポリペプチドまたはその変異体もしくは部分はまた、従来の方法にしたがって合成することもできる。
【0027】
本発明のポリヌクレオチド(遺伝子)は、当業者によって組換え体分子の使用に適切なように、例えば、本発明の実用性または改変遺伝子機能の特性を与えるのに適切なように、例えば、従来の方法にしたがって、そのような特性を与える外来DNA配列(すなわち、本発明のポリヌクレオチド内に含まれないDNA配列)と、遺伝子配列を連結させることによって、組換え体分子の一部として組み込むことができる。ポリヌクレオチドを、ポリペプチドの産出のために使用する場合、ポリヌクレオチド配列は、他の配列、例えばそれ自体による成熟ポリペプチド(またはその断片)のコード配列、あるいはリーダーまたは分泌配列、プレ−、またはプロ−またはプレプロ−タンパク質配列をコードしているもののような、外来コード配列と連続したリーディングフレーム中に融合したポリペプチドをコードする配列(またはその断片)、あるいは例えばそのような目的のために一般的に使用される他の融合ペプチド部分を含むこともできる。例えば組換え体ポリペプチドの精製を容易にする外来マーカー配列を結合させうる。マーカー配列は、適切である場合には、例えば、pQEベクター(キアゲン社(Qiagen,Inc.))によって提供され、例えばGentzら,Proc Natl Acad Sci USA 86[1989]821−824)に記載されているようなヘキサ−ヒスチジンペプチド、または例えばヘマグルチニン(HA)タグを含むことができる。本発明の組換え体ポリヌクレオチドはまた、スプライシングおよびポリアデニル化シグナルのような非翻訳配列、リボソーム結合部位、局在化配列、ならびにmRNAを安定化もしくは不安定化させる配列、例えば当業者によって、適切である場合には調節特性を与えることが一般的に公知であるいくつかの非コード配列のうちの任意のものである、非コードヌクレオチド配列を含むこともできる。非コードヌクレオチド配列は、本発明の遺伝子の転写物または転写変異体中に、あるいは例えば従来の方法にしたがって、適切である場合にはポリヌクレオチド配列として、自然界に存在しうる。
【0028】
適切なポリペプチドまたはポリリボヌクレオチド、あるいは相補的ポリリボヌクレオチドまたはその一部の産出に使用する、遺伝子配列を含む組換え体分子もまた、例えば遺伝子の対立遺伝子または相同変異体またはオルトログ変異体として自然界に存在しているような、例えば、従来の方法によって遺伝子配列に人工的に導入することができるような、特定の変異を含む場合があり、これによって、本発明の、相当するポリペプチドまたはポリリボヌクレオチド、あるいは相補ポリリボヌクレオチドの機能特性の改変を行うことができる。
【0029】
別の態様において、本発明は、本発明の遺伝子(ポリヌクレオチド)、および/または例えば、本発明のポリペプチドを提供する。
【0030】
表1に示す配列を含むベクターは、例えば、従来の方法によって適切に産出しうる。配列を含むベクターは、例えば、物理的運搬、自己または細胞依存性複製、発現および選択を変更する特性のような、特定の特性を配列に人工的に加えて産出しうる。そのようなベクターは、例えば、従来の方法にしたがって、例えば、市販されている適切なベクターを使用して、望む特性を提供する外来DNA配列とポリヌクレオチド配列を連結することによって、産出することができる。ベクター内に含まれる、ポリヌクレオチドの発現特性は、例えば当業者によって、例えば従来の方法にしたがって、望む発現に適切であるように、天然に存在する遺伝子プロモーター、または真核生物の、原核生物の、またはウイルスの遺伝子にような他の遺伝子のプロモーターを組み込むことによって決定することができる。
【0031】
本発明の遺伝子を含むベクターは、例えば、適合する宿主細胞のような宿主細胞中で、ポリヌクレオチドまたは組換え体ポリペプチド、ポリリボヌクレオチドまたはその相補物を産出可能である発現系を入手するために有用であり得る。例えば、BASP1、GID2、GID3またはGID4、または組換え体BASP1、GID2、GID3またはGID4ポリペプチドは、例えば、BASP1、GID2、GID3またはGID4遺伝子を含むベクターを、相当する遺伝子、例えばSwissProt第P80723号エントリーのBASP1ポリペプチド、または例えば本発明のその部分または変異体(群)のようなBASP1ポリペプチドの産出のために、宿主細胞内へ、発現系を組み込むために使用することによって、遺伝工学的に操作した宿主細胞において、本発明にしたがって合成しうる。細胞を用いない転写または翻訳系もまた、本発明にしたがって、例えば従来の方法によって、例えばポリヌクレオチド配列を含む組換え体DNAベクター由来のRNAを用いて、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドを産出するために使用しうる。
【0032】
遺伝子プロモーター配列、すなわち、本発明の遺伝子の転写発現を制御するポリヌクレオチドの染色体鋳型に対して近位に存在する染色体DNAから得た配列を含むベクターは、適切に産出することができる。そのようなベクターはまた、本発明のポリヌクレオチドも含むこと、例えば上記のように含むことができる。すなわち、ベクターは、物理的に、遺伝子の活性を特性化する配列と、遺伝子の転写発現の特性を特性化する配列とを連結するか、または容易かつ定量的に検出可能な指標分子を含む外来配列を含むことができる場合もある。すなわち、ベクターは、遺伝子プロモーター活性の単純な指標を特性化する配列と、遺伝子の転写発現の特性を特性化する配列とを連結することもできる。
【0033】
別の態様において、本発明は、本発明の遺伝子(ポリヌクレオチド)、例えば、上記のように改変された単離されたポリヌクレオチド、または組換え体ベクターの一部として含まれる例えば上記のような単離された遺伝子プロモーター配列を含む本発明のポリヌクレオチドを、例えば発現ベクターの一部として含む発現系を提供する。ここでは、上記発現系またはその一部は、本発明の相当するポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドを産出可能であり、例えば、または上記発現系またはその一部は、上記発現系またはその一部は、適合可能宿主細胞内に存在する場合には、例えば上記のように、例えば任意の上記の組換え体ベクターの発現が可能である発現系またはその一部を含む、適切なプロモーター配列による転写制御を受ける。
【0034】
別の態様において、本発明は、例えば以上で定義したように、本発明のポリヌクレオチド、
− またはその相補的ポリヌクレオチド配列もしくは変異体、
− またはその改変物、
− またはそのようなポリヌクレオチドの一部、
− またはそのようなポリヌクレオチドを含む組換え体分子
を含む改変された宿主細胞の、あるいは、
特定のポリヌクレオチドに対応するポリペプチドを産出可能な、そのようなポリヌクレオチドを含む宿主細胞の、あるいは
上記のポリペプチドまたはその変異体、またはその改変物または部分を含む宿主細胞、例えば、上記の任意の発現系を含む、そしてその発現が可能である改変された宿主細胞を産出するための工程を提供し、工程は、上記ポリヌクレオチドまたはポリペプチドを宿主細胞に伝達することを含み、そこで、上記工程は、上記宿主細胞内で、本発明の遺伝子の活性を伝達するかまたは改変するために使用しうる。
【0035】
伝達には、例えば従来の方法にしたがって、例えばそれと同様に、例えば形質転換、トランスフェクション、トランスベクション、エレクトロポレーション、またはマイクロインジェクションが含まれる。
【0036】
別の態様において、本発明は、ポリヌクレオチドを含む適切な組換え体ベクターのDNAを、宿主細胞内に導入すること、例えば、遺伝子発現系を適切な宿主細胞内に導入すること、および導入されたDNAを安定して維持する細胞を単離することを含む、発現系、または上記のヒトの発現系の一部として、本発明の遺伝子(ポリヌクレオチド)を含む、安定なトランスジェニック宿主細胞の産出に関する工程を提供し、例えば上記細胞は、安定なトランスジェニック宿主細胞として定義される。
【0037】
適切な培養条件下で、本発明の安定なトランスジェニック宿主細胞は、例えば該配列の、相当するポリリボヌクレオチド、またはその相補物、または例えば上記のような、その変異体または改変体または一部を産出する。本発明の安定なトランスジェニック宿主細胞は、上記ポリリボヌクレオチドに相当するポリペプチドを産出可能であり得る。本発明の工程は、上記トランスジェニック宿主細胞内に、適切な条件下で、本発明の遺伝子の活性を安定に導入または改変するために使用することもできる。
【0038】
別の態様において、本発明は、本発明の発現系を含む単離された宿主細胞、例えば上記の工程によって産出しそして単離した、例えば安定な遺伝子を含有しているトランスジェニック宿主細胞を提供する。
【0039】
別の態様において、本発明は、本発明のポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドの産出のために十分な条件下で、本発明の発現系を保持している、上記のような単離され改変されたかまたは安定なトランスジェニック宿主細胞を培養すること、ならびに上記ポリヌクレオチドまたはポリペプチドを、培養液から回収することを含む、本発明のポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドを産出するための工程を提供し、例えばここで、回収したポリヌクレオチドまたはポリペプチドの配列、および回収した物質の組成は、発現系を含むベクター内のポリヌクレオチドの性質、保持している宿主細胞の作用、および物質の生化学的単離方法によって決定される。
【0040】
宿主細胞へのポリヌクレオチドの導入は、例えばリン酸カルシウム媒介性トランスフェクション、DEAE−デキストラン媒介性トランスフェクション、トランスベクション、マイクロインジェクション、カチオン脂質媒介性トランスフェクション、エレクトロポレーション、形質導入、スクレープローディング、衝撃による導入、感染のような方法を含む、例えば従来の方法にしたがって、例えばDavisら,Basic Methods in Molecular Biology(1986)、Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989)にしたがって、適切に達成することができる。
【0041】
適切な宿主細胞の例には、Streptococci、staphylococci、E.coli、StreptomycesおよびBacillus subtilis細胞のような細菌細胞、酵母およびAspergillus細胞のような真菌細胞、Drosophila S2およびSpodoptera Sf9細胞のような昆虫細胞、CHO、COS、HeLa、C127、CCL39、3T3、BHK、HEK293およびRajiリンパ細胞のような単離されている動物細胞、ならびに植物細胞が含まれる。
【0042】
適切な発現系には、例えば染色体、エピソームおよびウイルス由来の系、例えば細菌プラスミドから、バクテリオファージから、トランスポゾンから、酵母エピソームから、挿入エレメントから、酵母染色体エレメントから、バキュロウイルス、SV40のようなパポバウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、家禽ジフテリアウイルス、仮性狂犬病ウイルスおよびレトロウイルスのようなウイルスに由来するベクター、ならびにコスミドおよびファージミドのようなプラスミドとバクテリオファージ遺伝子エレメントに由来するもののようなこれらの組み合わせから由来するベクターが含まれる。発現系は、発現を調節する、ならびに発生させる制御領域を含みうる。一般的に、宿主内で、ポリヌクレオチドおよびポリペプチドを維持し、増殖させ、または発現させるのに好適な任意の系またはベクターを使用することができる。適切なヌクレオチド配列を、従来の方法にしたがって、例えばSambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(上記)にしたがって、発現系内に挿入しうる。
【0043】
本発明の発現系を保持するように操作されている宿主細胞によって発現された、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、例えば、従来の方法にしたがったもののような、例えば(生化学的)抽出および分離の方法を含む、任意の適切な方法によって十分な収率および純度で、宿主細胞より単離しうる。収率および純度は、単離した物質が使用される目的に適切な収率および純度であり得る。例えば、本発明のポリヌクレオチドは、細菌宿主細胞から、二本鎖または一本鎖DNA組換え体ファージミド分子として、またはポリリボヌクレオチドとして、例えば多量の精製したポリヌクレオチドを得る目的のために、発現系を含むベクターの性質に依存して単離することができる。感染性または非感染性ウイルス粒子を発現している好適な系に組み込まれるポリヌクレオチドは、適切な形態で、例えば、本発明の遺伝子活性の調節を検出するために設計された生物学的実験またはスクリーニングアッセイに適切な形態で、単離しうる。相当するポリペプチドは、適切な形態で、例えば、本発明の遺伝子活性の調節を検出するために設計された生物学的実験またはスクリーニングアッセイに適切な形態で単離することができるか、またはいくつかの場合、相当するポリペプチドを発現している宿主細胞をそのようなアッセイで、直接使用しうる。ポリペプチドは、一般に使用される実験動物で、抗体を産出するために使用することができる。
【0044】
ポリペプチドの単離および精製は、適切なように、例えば従来の方法にしたがって、例えば適切な方法の組み合わせを含んで、実施しうる。適切な方法には、例えば、発現宿主細胞培養液からの直接の回収、界面活性剤による抽出、酸抽出のような抽出、超遠心分離、密度勾配遠心分離のような遠心分離、硫酸アンモニウム沈殿またはエタノール沈殿のような沈殿、陽イオンまたは陰イオン交換クロマトグラフィー、リン酸セルロースクロマトグラフィー、疎水相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィー、レクチンクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィーを含むようなクロマトグラフィーが含まれる。本発明のポリペプチドが、単離または精製の間に変性した場合、活性な立体構造の再生、例えばポリペプチドの変性させられた形態から非変性形態へのリホールディングを、適切なように、例えば従来の方法にしたがって、実施しうる。本明細書で他に特に言及しない限り、「単離および精製」には、「共存している物質からの分離」、例えば天然の状態からの「ヒトの手による改変」の意味が含まれる。
【0045】
本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドまたはベクターまたは発現系または宿主細胞は、研究試薬として、および動物ならびにヒト疾患のための治療の発見に関する物質として使用しうる。そのような疾患には、免疫応答が、疾患に関係している病因、進行および/または悪化症状の主要な要素である疾患が含まれ、例えば、アレルギー性およびアトピー性皮膚炎のような、炎症性皮膚疾患、および腸および大腸、肺および脈管組織のような他の組織で症状が見られる慢性炎症疾患を含む急性および慢性炎症疾患、例えば自己免疫疾患における異常な免疫応答、または移植拒絶においてのような、疾患の治療的処置に関連した望まない免疫応答、例えば癌のような疾患における免疫過剰反応または抑制、および持続性ウイルスまたは細菌感染に関連した疾患が含まれる。例えば、ポリペプチドとカルモジュリンとの間の相互作用のアンタゴニストは、疾患、例えば上記のような疾患に関係している免疫応答において、樹状細胞の活性化に必要なカルシウム媒介性形質導入経路を分断する場合がある。あるいは、例えば、免疫の活性化の間に、本発明の樹状細胞による遺伝子の過剰発現を導く誘導段階のアンタゴニストは、これらの細胞におけるカルシウム媒介性形質導入経路を遮断する場合もある。遺伝子活性が中和されている活性化された樹状細胞は、免疫刺激シグナルの増幅に関係してT細胞応答を調節するか、またはそのように指向する場合がある。
【0046】
別の態様においては、本発明は、診断試薬として本発明の遺伝子の使用を提供する。
【0047】
機能障害に関連する本発明の遺伝子の、異常な発現または対立遺伝子形態の検出により、疾患または疾患への感受性の診断に加わるまたは定義しうる、例えば診断アッセイにおいてのような、診断ツールが提供される。遺伝子の対立遺伝子変異体は、個々のDNA中で検出することができるか、遺伝子の発現をcDNA中で検出することができるか、または抗体または他の方法を用いて、例えば従来の方法によってタンパク質として検出することができる場合もある。
【0048】
診断のためのDNAまたはRNAまたはタンパク質は、血液、尿、唾液、組織生検または死体解剖物質からのような、対象の細胞より得ることができる。ゲノムDNAは、直接検出に使用してよく、または解析の前に、PCRまたは他の増幅技術を用いることで、酵素的に増幅してよい。RNAまたはcDNAもまた、同様に解析に使用することができる。
【0049】
欠失および挿入は、正常の対象由来の増幅産物と比較して増幅産物の大きさの変化によって検出しうる。点変異は、標識されたBASP1遺伝子ヌクレオチド配列に対する増幅されたDNAのハイブリダイゼーションによって同定することができる。完全にマッチした配列は、例えばRNase消化、または融点温度の差異によって、ミスマッチ二本鎖から区別可能である。DNA配列の差異はまた、変性剤を含むかまたはそれを含まないゲル中でのDNA断片の電気学移動度の変化によって、あるいは、例えばMyersら,Science(1985)230:1242にしたがう直接DNA配列決定によっても検出することができる。特定の局所での配列変化はまた、RNaseおよびS1保護のようなヌクレアーゼ保護アッセイ、またはCottonら,Proc Natl Acad Sci USA(1985)85:4397−4401にしたがう化学的開裂方法によって明らかにすることができる。本発明のポリヌクレオチド配列またはその断片を含むオリゴヌクレオチドプローブのアレイを、例えば特定の対立遺伝子遺伝的多型の十分なスクリーニングを達成するために構築しうる。アレイ技術方法は、例えば、遺伝子発現、遺伝子の連結、および例えばM.Cheeら,Science(1996)274:610−613にしたがう遺伝的可変性を含む、分子遺伝学における種々の疑問を扱うために使用可能である。
【0050】
発現の減少または増加は、例えば、PCR、RT−PCR、RNase保護、ノザンブロッティングおよび他のハイブリダイゼーション方法によって、対象の細胞中で発現されたRNAから決定しうる。対象の細胞中のポリペプチドのようなタンパク質のレベルを決定するために使用することができるアッセイ技術は、例えば従来の方法によって実施することができる。そのようなアッセイ技術には、ペプチドに対して調製した抗体を用いる、ラジオイムノアッセイ、競合結合アッセイ、ウエスタンブロットアッセイおよびELISAアッセイ、例えば二次元分離ゲル中での同定、および液体相分離技術とそれに続く配列または分子量解析が含まれる。
【0051】
診断アッセイは、例えば従来の方法を含む上記の方法にしたがって、本発明の遺伝子の対立遺伝子多型および異常な発現の検出を介して、例えば、アレルギー性およびアトピー性皮膚炎のような、炎症性皮膚疾患、および腸および大腸、肺および脈管組織のような他の組織で症状が見られる慢性炎症疾患を含む急性および慢性炎症疾患、例えば自己免疫疾患における異常な免疫応答、または移植拒絶においてのような、疾患の治療的処置に関連した望まない免疫応答、例えば癌のような疾患における免疫過剰反応または抑制、および持続性ウイルスまたは細菌感染に関連した疾患の罹患しやすさを診断または決定するための工程を提供する。
【0052】
したがって、別の態様において、本発明は、以下の
(a)例えば記載したような変異体または断片を含む、本発明の遺伝子、
(b)(a)の配列と相補的なヌクレオチド配列、
(c)本発明のポリペプチド、例えばそれに対して少なくとも80%同一性を持つアミノ酸配列のポリペプチドを含み、例えば本発明の上記ポリペプチドに対して、少なくとも80%同一性を持つアミノ酸配列のポリペプチドの断片または変異体、あるいは
(d)本発明のポリペプチドに対する抗体、
を含む、上記のような疾患、または疾患の罹患しやすさに関する、診断キットを提供する。
【0053】
任意のそのようなキットにおいて、(a)、(b)、(c)または(d)は、例えば試験すべき試料の適切な環境、および例えば、試験すべき試料中のa)、b)、c)またはd)のいずれかの作用を測定するための適切な方法を含む、十分な要素を含みうる。
【0054】
本発明の遺伝子(ポリヌクレオチド)はまた、染色体の同定に有用である場合もある。配列を、個々のヒト染色体上の特定の位置に対して特異的に標的化され、そしてそこにハイブリダイズさせることが可能であり、そして/または配列は、GenBank染色体配列データベースエントリーにおいて同定することもできる。例えばウイルス性疾患および関節炎を含む多くの疾患への罹患しやすさは、齧歯類においてそのような方法によって染色体上に位置づけられてきた。本発明による染色体への配列のマッピングは、遺伝子が関係している疾患と、これらの配列を相関させる重要な第一の段階である。いったん配列を、正確な染色体位置に位置づけると、染色体上での配列の物理的位置を遺伝マップデータと相関させることができる。そのようなデータは、例えばMcKusick,Mendelian Inheritance in Man(Johns Hopkins University Welch Medical Libraryを介してオンラインで入手可能)にて見られる。同一の染色体領域に位置づけられた、遺伝子と疾患の間の関係は、連関分析(定義された染色体領域内に物理的に局在化している遺伝子配列の共同相続)により同定することができる。罹患した個体と罹患していない個体との間でのcDNAまたはゲノム配列の差異をもまた決定することができる。変異が、一部または全ての罹患した個体において観察されるが、正常な個体では観察されない場合には、上記の変異は、おそらく疾患、または疾患の罹患の原因因子であり、例えば疾患の兆候の発生または進展に関して必要な関連する生物学的活性に関係している機構の因子である可能性がある。
【0055】
別の態様において、本発明は、例えばin vivoで、本発明の遺伝子機能研究のための実験室研究に有用な、遺伝的に改変された動物、例えばマウスまたはラット、例えばD.melanogasterまたはCaenorhabditisのような低級真核細胞を提供し、そこでオルトログ遺伝子座または他の座におけるオルトログまたは相同遺伝子配列が改変され、例えば生殖型細胞または他の適切な細胞中での相同組換えまたは非相同組換え方法、および一般に使用される繁殖技術によって作成される。そのような技術の概論に関しては、例えばCapecchi,M.,Science 244[1989]1288−1292、Benoist,C.and D.Mathis,Curr.Opin.Immunol.5[1993]900−902、Charreau,B.ら,Transgenic Res.5[1996]223−234、Moreadith,R.W.and N.B.Radford,J.Mol.Med.75[1997]208−216、Nomura,T.,Lab.Anim.Sci.47[1997]113−117、Cohen−Tannoudji,M.and C.Babinet,Mol.Hum.Reprod.4[1998]929−938を参照のこと。そのような遺伝的改変には、例えば本明細書で記載したような、オルトログ遺伝子座または他の座における、例えば上記のような、発現系の一部であり得る、例えばオルトログまたは相同遺伝子配列の置換、例えばまたはその断片または変異体、例えばオルトログ遺伝子座または他の座における任意の上記配列の挿入、例えばオルトログ遺伝子座または他の座における任意の上記配列の欠失が含まれうる。そのような遺伝的改変には、記載したような安定な改変が含まれ得、または、例えば特定の欠失事象、または例えば上記挿入または置換配列の発現が、選別された細胞内でのみ、または遺伝的に改変された生物の適切な処置において選択された細胞で起こりうる、条件的改変が含まれうる。上記の任意の遺伝的変異体は、例えば特定のチャレンジに対して非常に感受性の遺伝的背景内で、特定の免疫応答に影響を与えるように、例えば特定のチャレンジに続くより再現可能であるかまたは鋭い免疫応答に影響を与えるように、例えばヒトで観察されたもののより特徴であり得るか、またはin vivoでの複雑な生命相互作用の研究のために、他の生物学的系における特定の応答に影響を与えるように、他の座において交配または遺伝子操作された、チャレンジに対する応答における免疫応答に影響を与えるように、他の座において交配または遺伝子操作された実験動物中で産出することができる。
【0056】
別の態様において、本発明は、in vivoでの遺伝子機能研究のための実験室研究に有用である、遺伝的に改変した動物、例えばマウスまたはラット、例えばD.melanogasterまたはCaenorhabditisのような遺伝的に改変された下等真核細胞を提供し、そこでオルトログ遺伝子座または他の座でオルトログまたは相同遺伝子配列が改変され(正常な未改変の遺伝子配列と比較して)、例えば生殖型細胞または他の適切な細胞中での相同組換えまたは非相同組換え方法、および一般に使用される繁殖技術によって作成される。
【0057】
実験動物の遺伝的改変に関する技術の概論に関しては、例えばCapecchi,M.,Science 244[1989]1288−1292、Benoist,C.and D.Mathis,Cur.Opin.Immunol.5[1993]900−902、Charreau,B.ら,Transgenic Res.5[1996]223−234、Moreadith,R.W.and N.B.Radford,J.Mol.Med.75[1997]208−216、Nomura,T.,Lab.Anim.Sci.47[1997]113−117、Cohen−Tannoudji,M.and C.Babinet,Mol.Hum.Reprod.4[1998]929−938を参照のこと。そのような遺伝的改変には、改変配列によるオルトログ遺伝子座または他の座における、本発明の発現系の一部であり得る、例えばオルトログまたは相同遺伝子配列遺伝子配列、またはその断片または変異体の置換、例えばオルトログ遺伝子座または他の座における任意の上記配列の挿入、例えばオルトログ遺伝子座または他の座における任意の上記配列の欠失が含まれうる。そのような遺伝的改変には、安定な改変が含まれる場合があり、また、例えば特定の欠失事象、または例えば上記挿入または置換配列の発現が、選別された細胞内でのみ、または遺伝的に改変された生物の適切な処置において選択された細胞で起こりうる、条件改変が含まれる場合もある。例えば上記のような、任意の遺伝的変異体は、例えば特定のチャレンジに対して非常に敏感な遺伝的背景において、特定の免疫応答に影響を与えるために、例えば特定のチャレンジに続くより再現可能であるか、または鋭い免疫応答に影響を与えるために、例えばヒトで観察されたもののより特徴であり得るか、またはin vivoで、複雑な生命相互作用を研究するために、他の生物学的系における特定の応答に影響を与えるために、他の座において交配または遺伝子操作された、チャレンジに対する応答における免疫応答に影響を与えるために、他の座において交配または遺伝子操作された実験動物内で産出することもできる。
【0058】
別の態様において、本発明は、本発明の、例えば表1に列記したようなポリペプチド配列の、例えばその断片または変異体を含む、例えば本明細書で記載したようなポリペプチドに対する(単離された)抗体を提供する。
【0059】
本発明のポリペプチドまたはそのようなポリペプチドを発現している細胞は、相当するポリペプチドに対して免疫特異的な抗体を産出するための、免疫源として使用しうる。語句「免疫特異的」は、先行技術における、他の関連するポリペプチドに対するその親和力よりも、上記ポリペプチドに対する親和力が実質的に大きい抗体を意味する。
【0060】
本発明のポリペプチドに対して産出された抗体は、ポリペプチドまたはエピトープを保有している断片、アナログまたは発現細胞を、動物、好ましくは非ヒト動物に対して、一般的なプロトコールを用いて投与することによって得ることができる。モノクローナル抗体の調製に関して、例えば、ハイブリドーマ技術(Kohler,G.and C.Milstein,Nature 256[1975]495−497)、トリオーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozborら,Immunology Today 4[1983]72)、およびEBV−ハイブリドーマ技術(Coleら,In Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,pp.77−96、Alan R.Liss,Inc.[1985])を含む、例えば連続的な細胞株の培養によって産出される抗体を提供する、任意の技術を使用しうる。
【0061】
単鎖抗体の産出のための技術(米国特許第4,946,778号)はまた、GID2ポリペプチドに対する単鎖抗体を産出するように適合させることができる。また、トランスジェニックマウス、または他の哺乳動物を含む他の生物を、ヒト化抗体を発現させるために使用することができる。上記のような抗体を、適切なように、例えば本発明のポリペプチドを発現している宿主細胞の単離または同定において、例えばアフィニティクロマトグラフィーによる本発明のポリペプチドの精製に、使用することもできる。
【0062】
本発明のポリペプチドに対する抗体はまた、例えば、免疫応答が、疾患に関係している病因、進展および/または悪化症状の第一要素である疾患を含む、疾患の処置に有用であり得る。
【0063】
本発明の抗体には、例えば、本発明のポリペプチドと、ウイルス、細菌または真核生物寄生生物のポリペプチド、または本発明のポリペプチドと同一の細胞中または第2の細胞中のいずれかで発現される第2の宿主遺伝子によってコードされるポリペプチドとに結合する二重特異的抗体が含まれる。
【0064】
別の態様において、本発明は、本発明のポリペプチドに結合し、かつウイルス、細菌または真核寄生生物の第2のポリペプチドに結合する二重特異的抗体を提供し、例えばそこで、上記第2のポリペプチドは、本発明のポリペプチドと同じ細胞中または例えば癌細胞を含む第2の細胞中のいずれかで発現されうる、第2の宿主遺伝子によってコードされる。
【0065】
二重特異的抗体の代わりに、本発明のポリペプチドと、ウイルス、細菌または真核細胞寄生生物のポリペプチド、または本発明のポリペプチドと同一の細胞中、または例えば癌細胞のような、第2の細胞中のいずれかで発現されうる、第2の宿主遺伝子によってコードされるポリペプチドとに結合する能力を持っている他の二重特異的薬剤も使用しうる。
【0066】
別の態様において、本発明は、本発明のポリペプチドと、ウイルス、細菌または真核寄生生物とに、または癌細胞とに結合する能力を持つ、抗体ではない二重特異的薬剤を提供する。
【0067】
別の態様において、本発明は、上記哺乳動物に、上記哺乳動物を、例えば免疫応答が、疾患に関係している病因、進行および/または悪化症状の第一要素である疾患を含む疾患から保護するために、抗体および/またはT細胞免疫応答を産出するのに十分な量で、本発明のポリペプチドを接種することを含む、哺乳動物の免疫応答を誘導するための方法を提供する。
【0068】
別の態様において、本発明は、上記哺乳動物を疾患から保護するように抗体および/又はT細胞の免疫応答を生じるための免疫学的応答を誘導するために、in vivoで、相当するポリヌクレオチドの発現を指向するベクターを介して、本発明のポリペプチドを伝送することを含む、哺乳動物の免疫応答を誘導する方法を提供する。他の態様においては、哺乳動物に導入したときに、本発明のポリペプチドに対して哺乳動物の免疫応答を誘導する、免疫学的/ワクチン処方(組成物)を提供し、そこで上記処方には、本発明のポリペプチド、本発明のポリヌクレオチドを含む発現ベクター、または本発明のポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む、処理される哺乳動物からの細胞を含んでいる、宿主細胞が含まれる。
【0069】
ワクチン処方はさらに、適切な担体を含む。本発明のポリペプチドは、消化系で分解されうるので、上記ワクチン処方は、好ましくは(皮下、筋肉内、静脈内、皮内などの注射を含む)非経口で投与される。非経口投与に適切な免疫学的/ワクチン処方には、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、および処方をレシピエントの血液と等張にする溶質を含みうる、水性および非水性無菌注射溶液、および、懸濁剤または増粘剤を含みうる、水性または非水性無菌懸濁液が含まれる。処方は、単位用量投与または多用量投与容器、例えば密封アンプルおよびバイアル中に存在しえ、使用の直前に、無菌液体担体の添加のみが必要な、凍結乾燥状態で保存可能である。ワクチン処方はさらに、添加物、例えば、ワクチン処方における従来の添加物と同様の添加物を含むことができ、例えば油中水系を含む適切な系の形態であり得る。投与量は、例えば特定の活性および安定性に依存し、通常の実験によって簡単に決定することができる。
【0070】
別の態様において、本発明は、免疫系の樹状細胞中のポリペプチド活性および発現の、アゴニストおよびアンタゴニストについてのスクリーニングアッセイを提供する。本発明のポリペプチドは、多くの病変を含む、多くの生物学的機能の原因であり得る。したがって、一方で、本発明のポリペプチドの活性または本発明の遺伝子の発現を刺激する化合物および薬剤(アゴニスト)、他方で、本発明のポリペプチドの機能または本発明の遺伝子の発現を阻害可能な(アンタゴニスト)、化合物および薬剤を見つけることが好ましい。例えばColiganら,Current Protocols in Immunology 1(2):Chapter 5(1991)により、ポリペプチドまたは機能的ミメティックを、例えばスクリーニングアッセイにおいて、例えば細胞、細胞を含まない調製物、化学的ライブラリー、および天然の産物混合物内で、ポリペプチドのアゴニストまたはアンタゴニストの結合を評価するために使用することもできる。
【0071】
スクリーニング手順には、本発明のポリペプチドを発現する適切な細胞の産出を含みうる。適切な細胞には、例えば哺乳動物、酵母またはDrosophila由来の細胞が含まれる。本発明のポリペプチドを発現している細胞は、機能的応答の刺激または阻害、あるいはポリペプチド発現または生化学的活性のレベルに対する作用、あるいはその発現が、本発明の遺伝子発現を制御する転写エレメントによる制御を受ける、マーカー遺伝子の刺激または阻害を観察するために、試験化合物と接触させる(試験化合物に対して暴露する)ことが可能である。あるいは、精製したポリペプチド、または物理的に相互作用する他のポリペプチドを含む混合物を、ポリペプチドへの結合、または混合液中他のポリペプチドに結合するポリペプチドに対する化合物の作用を観察するために、試験化合物と溶液中で接触させる(暴露する)ことが可能である。
【0072】
スクリーニングアッセイは、例えばポリペプチドを発現している細胞に適切な検出系を用いて、候補化合物が、ポリペプチドの活性によって産出されるシグナルの変化を生じるかどうかを試験するために、本発明のポリペプチドを発現している細胞中で使用することができる。そのような作用は、ポリペプチドの作用の「下流」と言われる。例えば、本発明のポリペプチドからなる発現系を保持している細胞中、好ましくは、樹状細胞または本発明と同様の特性の細胞中で、ポリペプチドの活性の阻害因子をもまた、ポリペプチド活性に依存する、第2の細胞性遺伝子産物の活性の阻害に影響を与える。もっとも好ましくは、第2の遺伝子産物の活性のアッセイは、特異的ハイスループットアッセイに適切であり、感度よい、例えば比色分析、蛍光、リン光、放射分析または抗体技術、すなわち例えば、従来技術により当業者によって、簡単に測定することができる場合もある。「レポーター遺伝子アッセイ」と言われる第2の型のスクリーニングアッセイは、本発明の発現系を保持している細胞中で使用され得、これは、トランスジーンの発現が、天然の遺伝子プロモーターによって制御され、トランスジーンには、本発明にしたがって、その発現レベルによって検出されるマーカー遺伝子に融合させられた本発明の組換え体ポリペプチドを含むベクターが含まれる。例えば、プロモーターおよびE.coli β−ガラクトシダーゼポリペプチドに融合された組換え体ポリペプチドトランスジーンからなる発現系を保持している細胞中で、好ましくは、樹状細胞または本発明と同様の特性の細胞中では、本発明の遺伝子の発現の阻害因子は、トランスジーンの発現の際の影響によるアッセイにおいて模倣される。これは例えば、β−ガラクトシダーゼ融合ポリペプチドのβ−ガラクトシダーゼエステラーゼ酵素活性によって、簡単に測定することができ、多くのそのような融合マーカー遺伝子は、例えば、ルシフェラーゼおよびアルカリホスファターゼのような他の酵素として、例えば適切な抗体によって検出することができる、すなわち、従来の方法を用いる本技術分野の技術にしたがって検出することができるエピトープタグとして公知である。
【0073】
例えば(ポリ)ペプチド、モノクローナル抗体、低分子量化学物質、アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む、本発明のポリペプチドのアゴニストおよびアンタゴニストは、免疫調節活性を有している場合があり、例えば、アレルギー性およびアトピー性皮膚炎のような、炎症性皮膚疾患、および腸および大腸、肺および脈管組織のような他の組織で症状が見られる慢性炎症疾患を含む急性および慢性炎症疾患、例えば自己免疫疾患における異常な免疫応答、または移植拒絶においてのような、疾患の治療的処置に関連した望まない免疫応答、例えば癌のような疾患における免疫過剰反応または抑制、および持続性ウイルスまたは細菌感染に関連した疾患のような疾患の処置に使用することができる。
【0074】
スクリーニングアッセイは、混合物を形成するために、候補化合物を本発明のポリペプチドを含む溶液と混合すること、ポリペプチドへの化合物の結合を検出することの段階を含み得、例えば、ポリペプチドと化合物との間で形成された複合体は、例えば、検出される、固有の生物物理学的特性を変化させる場合があり、例えば特異的抗体とのポリペプチドの反応性を減少させる場合がある。
【0075】
あるいは、本発明のポリペプチドと化合物との間で形成される複合体は、本発明にしたがって、カルモジュリンポリペプチドに対して改変された結合特性を有する場合がある。ここではアッセイは、例えば、基質とカルモジュリンポリペプチドの複合体の改変された固有の生物物理学的特性によって、化合物が全く存在しない場合のそのような結合と比較して、ポリペプチドを試験化合物と混合する第一段階、カルモジュリンポリペプチドを混合液に加える第2の段階、および対応する基質とカルモジュリンポリペプチドの結合に対する化合物の効果を測定する第三段階からなる。
【0076】
したがって、別の態様において、本発明は、本発明のポリペプチドの産出および、または生物学的活性を減少または増加させる、例えば化学的ライブラリーおよび天然の産物のライブラリー中の低分子量化合物を含むアゴニストまたはアンタゴニスト、ならびにアンチセンスオリゴヌクレオチドを同定するためのスクリーニングのためのアッセイを提供する。例えば、
(a)本発明のポリペプチド、または本発明の、マーカーポリペプチドに融合した改変ポリペプチド、
(b)本発明のポリペプチド、または本発明の、マーカーポリペプチドに融合した改変ポリペプチドを含む発現系を保持している宿主細胞、
(c)本発明の融合ポリペプチドを発現するマーカーポリヌクレオチドに融合した、遺伝子プロモーターおよび組換え体ポリヌクレオチドトランスジーンを含む、発現系を保持している宿主細胞、あるいは
(d)本発明のポリペプチド、または本発明の、マーカーポリペプチドに融合した改変ポリプチドに対する抗体、
を含むアゴニストまたはアンタゴニストを同定する方法を提供する。そして例えば、候補化合物との接触のための手段、および例えば、a)、b)、c)またはd)のいずれかに対する候補化合物の影響を検出するための手段、例えば候補化合物の存在下と不在下とでの、a)、b)、c)またはd)のいずれかの活性を比較することによる、例えば、候補化合物の存在下で、本発明の遺伝子の発現および/または生物学的活性において、減少または増加があるかどうかを決定するための方法を提供する。
【0077】
任意のそのようなスクリーニングアッセイにおいて、a)、b)、c)またはd)は十分な要素を含みうることが明らかである。
【0078】
候補化合物には、本発明のスクリーニングアッセイにおいて、a)、b)、c)またはd)のいずれかに対する作用が未知である、例えば天然または合成化合物ライブラリー、すなわち化学的要素の合成集合内に存在する、上記のような化学テロ構成要素の任意の1つが含まれる。
【0079】
アンタゴニストまたはアゴニストは、a)、b)、c)またはd)のいずれかに対する作用が、スクリーニングアッセイ、または上記のようなアンタゴニストまたはアゴニストを同定するための方法を用いて発見されている候補化合物である。アンタゴニストまたはアゴニストは、本発明の遺伝子の発現および、または生物学的活性を、それぞれ減少または増強する場合がある。
【0080】
別の態様において、本発明は、本発明の遺伝子の発現および、または生物学的活性のアンタゴニストまたはアゴニストを提供する。これは、上記アンタゴニストまたはアゴニストを、上記のスクリーニングおよび同定方法によって提供することができることに特徴がある。
【0081】
別の態様において、本発明は、免疫調節活性を持ち得、例えば、アレルギー性およびアトピー性皮膚炎のような、炎症性皮膚疾患、および腸および大腸、肺および脈管組織のような他の組織で症状が見られる慢性炎症疾患を含む急性および慢性炎症疾患、例えば自己免疫疾患における異常な免疫応答、または移植拒絶においてのような、疾患の治療的処置に関連した望まない免疫応答、例えば癌のような疾患における免疫過剰反応または抑制、および持続性ウイルスまたは細菌感染に関連した疾患のような疾患の処置において、治療的介入として使用しうる、上記のようなアンタゴニストまたはアゴニストを提供し、例えば本発明の遺伝子の発現および、または生物学的特性のアンタゴニストまたはアゴニストを提供する。上記アンタゴニストまたはアゴニストは、以下の方法段階、
A)
(a)表1のポリペプチド、
(b)表1のポリペプチドを含む発現系を保持している宿主細胞、
(c)遺伝子プロモーター、および表1の融合ポリペプチドを発現するマーカーポリペプチドに融合された組換え体ポリヌクレオチドトランスジーンを含む、発現系を保持している宿主細胞、または、
(d)表1のポリヌクレオチドに対する抗体、
を候補化合物と接触させること、
B)a)、b)、c)またはd)のいずれかに対する候補化合物の作用を測定すること、
C)段階B)で測定したアゴニストまたはアンタゴニストを選択すること、
によって提供されうることを特徴とする。
【0082】
本発明のアンタゴニストまたはアゴニストは、疾患の処置における治療的介入として有用であり得る。
【0083】
別の態様において、本発明は、医薬品としての使用のために、本発明のアンタゴニストまたはアゴニストを提供する。
【0084】
そのような使用のために、種々のアプローチが利用可能である。本発明の樹状細胞または同様の生物学的機能の免疫系の細胞中での本発明の遺伝子の活性が、疾患において過剰に存在する場合、1つのアプローチには、本発明の遺伝子、すなわち遺伝子のポリペプチドの発現または活性を阻害するのに効果的な量で本発明のアンタゴニストを、例えば薬理学的に許容可能な賦形剤と組み合わせて対象に投与すること、あるいは本発明の遺伝子の活性に依存する第2の活性に影響を与え、それによって疾患に関係している異常な状態を緩和することが含まれる。本発明の樹状細胞または同様の生物学的機能の免疫系の細胞中での本発明の遺伝子の活性が、疾患において不足している場合、1つのアプローチには、本発明の遺伝子、すなわち遺伝子のポリペプチドの発現または活性を増強するのに効果的な量の本発明のアゴニストを、例えば薬理学的に許容可能な賦形剤と組み合わせて、対象に投与すること、または本発明の遺伝子の活性に依存する第2の活性に影響を与え、それによって疾患に関係している異常な状態を緩和することが含まれる。
【0085】
別の態様において、本発明は、本発明の樹状細胞または同様の生物学的機能の免疫系の細胞中での本発明の遺伝子の発現または活性のアンタゴニストまたはアゴニストを提供する。これは、上記アンタゴニストまたはアゴニストによって処理されたかまたは処理されない、ならびに/あるいは影響を受けるかまたは受けないかのいずれかである、他の型の細胞または同様の細胞と相互作用する、すなわちこれらの細胞に対する生物学的作用を持有しているそのような細胞の生物学的活性を変化させる。
【0086】
例えば、T細胞は、アンタゴニストまたはアゴニストを対象に投与し、それにより対象の樹状細胞とT細胞両方を、薬剤に対して暴露することによって、本発明のアンタゴニストまたはアゴニストでの処理によって変更される樹状細胞との相互作用によって、刺激されるかまたはエネルギーを与えられうる。
【0087】
また別のアプローチにおいて、本発明の樹状細胞または同様の生物学的機能の免疫系の細胞中での本発明の遺伝子の発現は、発現遮断技術を用いて阻害することができる場合もある。そのような公知の技術には、例えば、O’Connor,J.Neurochem(1991)56:560、「Oligodeoxynucleotides as Antisense Inhibitor of Gene Expression」,CRC Press,Boca Raton,Fla.(1988)により内部で合成されたかまたは別に投与されたか野いずれかであるアンチセンスオリゴヌクレオチドの使用が含まれる。あるいは、オリゴマー、例えば本発明の遺伝子とともに三重へリックスを形成するオリゴヌクレオチドを、例えばLeeら,Nuc Acids Res(1979)6:3073、Cooneyら,Science(1988)241:456、Dervanら,Science(1991)251:1360にしたがって、提供することもできる。そのようなオリゴマーは、それ自体投与することができ、また、in vivoで発現させることができる場合もある。
【0088】
本発明の樹状細胞または同様の生物学的機能の免疫系の細胞中での本発明の遺伝子の発現の不足に関係している疾患における異常な状態の処置に関して、遺伝子治療が、治療される対象中の関連している細胞により、本発明のトランスジーンとしての遺伝子の外来発現に影響を与えるように使用することができる場合もある。例えば、本発明の遺伝子は、複製欠損レトロウイルスベクター中で発現するように操作することができる。得られたレトロウイルス発現構造物は、上記構造物で形質導入したパッケージング細胞中に単離し、導入することができ、それにより本発明の遺伝子の発現系の導入の原則を含む感染性ウイルス粒子がを産出することができる。上記ウイルス粒子を単離し、治療として、対象に直接投与することが可能であるか、または、まず発現系の確立のために対象の単離した細胞に投与し、次いで上記の処理した単離細胞を、対象内に再度導入する。あるいは、遺伝子治療は、本発明の樹状細胞または同様の生物学的活性の免疫系の細胞中での内因性遺伝子の過剰な発現に関係している疾患における異常な状態の治療として、その活性が、例えば、遺伝子のトランスドミナント阻害因子形態により形成される発現系を確立するために、使用することもできる。遺伝子治療の概論に関しては、例えば、Human Molecular Genetics,T Strachan and AP Read,BIOS Scientific Publishers Ltd(1996)内の「Gene Therapy and other Molecular Genetic−based Therapeutic Approaches」20章(および該文献にて引用されている文献)を参照のこと。
【0089】
さらなる態様において、本発明は、本発明の治療有効量のアゴニストまたはアンタゴニストを治療が必要な対象に投与することを含む、本発明の遺伝子の発現の、過剰な、および不十分なレベル両方に関連した、あるいは本発明のポリペプチドの過剰および不十分な活性両方に関連した、異常状態を処置する方法を提供する。これには、例えば本発明の、樹状細胞、または同様の生物学的機能の免疫系の細胞における、遺伝子の発現または活性の過剰または不足、または異常な活性いずれかに関連した疾患における異常な状態を処置する方法が含まれる。上記の任意のアプローチによって、そのような疾患には、例えば、アレルギー性およびアトピー性皮膚炎のような、炎症性皮膚疾患、および腸および大腸、肺および脈管組織のような他の組織で症状が見られる慢性炎症疾患を含む急性および慢性炎症疾患、例えば自己免疫疾患における異常な免疫応答、または移植拒絶においてのような、疾患の治療的処置に関連した望まない免疫応答、例えば癌のような疾患における免疫過剰反応または抑制、および持続性ウイルスまたは細菌感染に関連した疾患のような疾患が含まれる。
【0090】
さらなる態様において、本発明は、治療を必要としている対象へ、本発明の、治療有効量のアゴニストまたはアンタゴニスト、好ましくはアンタゴニストを投与することを含む、例えば、アレルギー性およびアトピー性皮膚炎のような、炎症性皮膚疾患、および腸および大腸、肺および脈管組織のような他の組織で症状が見られる慢性炎症疾患を含む急性および慢性炎症疾患、例えば自己免疫疾患における異常な免疫応答、または移植拒絶においてのような、疾患の治療的処置に関連した望まない免疫応答、例えば癌のような疾患における免疫過剰反応または抑制、および持続性ウイルスまたは細菌感染に関連した疾患のような疾患の処置の方法を提供する。
【0091】
さらなる態様において、本発明は、治療有効量の、本発明のアゴニストまたはアンタゴニスト、例えば本発明の遺伝子の発現または活性のアゴニストまたはアンタゴニストを、薬理学的に許容可能な担体/賦形剤と組み合わせて含む薬理学的組成物を提供する。
【0092】
さらなる態様において、本発明は、治療を必要としている対象に薬理学的組成物の形態で治療有効量のアゴニストまたはアンタゴニストを投与することによる、上記のような疾患を処置する方法を提供する。
【0093】
本発明の薬理学的組成物の全身投与の好ましい形態には、注射、典型的には静脈内注射が含まれる。皮下、筋肉内または腹膜内のような、他の注射経路も使用しうる。全身投与の他の方法には、例えば胆汁塩またはフシジン酸または他の界面活性剤のような浸潤剤、またはジメチルスルホキシドまたはアルコール類のような溶媒を用いる、経粘膜および経皮投与が含まれる。さらに、腸溶性またはカプセル封入処方で適切に処方される場合、経口投与も可能であり得る。本発明の組成物の投与にはまた、例えば、スレーブス、パッチ、ゲルの形態などのような、局所および/または局在でもあり得る。
【0094】
必要な投与量範囲は、選択されるアゴニストまたはアンタゴニスト、投与経路、薬理学的組成物の性質、処置する対象の臨床状態、および使用者の判断に依存しうる。しかしながら、適切な用量は、対象の体重1kgあたり、0.1〜100μgのアゴニストまたはアンタゴニストの範囲である。しかしながら、入手可能な化合物の種類、および種々の投与経路の異なる有効性の観点から、必要な用量の変量を予測することができる。例えば、経口投与は、静脈内注射による投与に比べて高い用量が必要であることが予測される。これらの投与量レベルの変量は、例えば、最適化のための標準的な経験的作業により調整することができる。
【0095】
治療で使用するポリペプチドまたはポリヌクレオチドはまた、例えば上記のように、しばしば「遺伝子治療」と言われる処置様態にて、例えばそのような治療が必要な対象の中で内部で合成することができる。したがって、例えば対象由来の細胞を、例えば、上記のような導入の原理として、レトロウイルスプラスミドベクターを使用することにより、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドをコードするように、DNAまたはRNAのようなポリヌクレオチドで、ex vivoにて操作することができる場合もある。
【0096】
別の態様において、本発明は、例えば表1に示したようなポリヌクレオチド配列を含み、相当するポリペプチド配列のタンパク質をコードしている、免疫系のDC中で発現される本発明の遺伝子を提供する。そのDC中での発現は、免疫応答が、疾患に関係している病因、進行および/または悪化症状の主な構成要素である疾患における治療的介入のために、DCにおける特定の分子標的として、炎症性刺激によって調節される。
【0097】
このような疾患として、例えば上記の疾患を挙げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】免疫系中の樹状細胞の活性に関係している、細胞の活性化の特定の条件によって刺激した、樹状細胞中での発現の誘導の関連性を示している、免疫系の樹状細胞および他の細胞型におけるBASP1の発現の解析である。BASP1発現は、左最初の2つのレーンを比較することで示したように、ザイモサン酵母粒子のファゴサイトーシスおよび細胞表面上に発現しているCD40タンパク質の架橋による刺激によって、単球由来樹状細胞内で刺激される。そこでは、発現のレベルは、未刺激および刺激からのmRNAからのcDNAからのDNA合成の繰り返しサイクルによって得た、BASP1の全長コード配列のDNAの相対量により測定し(上パネル)、観察された差異は、第2の遺伝子、β−アクチン(下パネル)のものと比較によって示したように、BASP1遺伝子の発現に特異的である。右に対する上パネルは、多くの型の細胞試料におけるBASP1 mRNA発現のノザンブロットハイブリダイゼーション解析の結果を示しており、右に対する下パネルは、ハイブリダイゼーション解析に使用した同一のブロットの写真である(ブロット上に移した細胞RNAの色素染色、これは異なる細胞試料からの同量の全RNAを解析したこと、等しい質の調節RNAを明らかにし、画像中で染色によりもっとも明らかであるリボソームRNA[rRNA]の相対的強度によって判断した)。未刺激および刺激した(レクチンフィトヘムアグルチニン[PHA]による処理)T細胞は、ハイブリダイゼーションによってBASP1はごくわずかな発現を示したかまたは発現を示さず(上右パネルの左最初の2つのレーン)、刺激B細胞(ヤマゴボウ有糸分裂促進物質およびIL−4での処理)はわずかな発現を示し(レーン3)、未刺激単球は、ほとんど、または全く発現を示さないが、一方刺激単球(GM−CSFでの処理)は、検出可能であるが、ただし相対的に低い発現を示し(それぞれレーン4および5)、Flt−3リガンドおよびIL−3の存在下で培養した臍帯血樹状細胞は、ほとんど、または全く発現を示さず、一方でLPSでのそのような細胞の刺激によって検出可能な発現が誘導され(それぞれレーン6および7)、GM−CSF、TNFαおよびTGFβの存在下で培養した臍帯血樹状細胞は検出可能な発現を示し、これは、LPSによる細胞の処理によって誘導され、細胞の表面上に発現したCD40タンパク質の抗CD40抗体との架橋による処置によってある程度誘導され(それぞれレーン8、9および1お)、GM−CSFおよびIL−4の存在下で培養した臍帯血樹状細胞は、ほとんど発現を示さず、これは、LPSでの細胞の処理によって強く誘導される(それぞれレーン11および12)。
【図2】免疫系中のDCの活性に関係している細胞の活性化の特定の条件によって刺激された、DCにおける誘導された発現の関連を示しているDCおよび免疫系の他の細胞型におけるGID2遺伝子(ポリヌクレオチド)の発現の解析である。GID2.1およびGID2.2発現は、左最初の2つのレーンの比較によって示したように、ザイモサン酵母粒子のファゴサイトーシスおよび細胞表面上に発現しているCD40タンパク質の架橋による刺激によって、単球由来樹状細胞内で刺激され、そこでは、発現のレベルは、未刺激および刺激した細胞由来のmRNAからのcDNAからのDNA合成の繰り返しサイクルによって得た、全長コード配列(配列番号3および配列番号5)のDNA断片の相対量より測定する(上パネル)。観察された差異は、第2の遺伝子、β−アクチン(下パネル)のものと比較によって示したように、GID2ポリペプチドの発現に特異的である。右に対する上パネルは、多くの型の細胞試料におけるGID2 mRNA発現のノザンブロットハイブリダイゼーション解析の結果を示しており、未刺激および刺激した(レクチンフィトヘムアグルチニン[PHA]による処置)T細胞は、GID2発現をほとんど示さず(左パネルの最初の2つのレーン)、未刺激およびLPSで刺激した単球は、ほとんど発現を示さず(それぞれレーン3および4)、未刺激MoDCはわずかな発現を示し、これは、LPSによる刺激によって有意に増加し(それぞれレーン5および6)、未刺激臍帯血DCは、相当レベルの発現を示し、これはさらにLPSでの刺激によって増加し(それぞれレーン7および8)、ホルボールミリステート(PMA)による、TNFαによる刺激または未刺激ヒト臍帯静脈上皮細胞(HUVEC)では発現はわずか、または全く検出されなかった(それぞれレーン9、10および11)。
【図3】免疫−炎症性刺激に対する応答における、DCおよび単球の2つの細胞型における発現の誘導の関連を示している、これらの細胞内でのGID3遺伝子の発現の解析である。GID3発現は、左最初の2つのレーンの比較によって示したように、ザイモサン酵母粒子のファゴサイトーシスおよび細胞表面上に発現しているCD40タンパク質の架橋による刺激によって、単球由来樹状細胞内で刺激され、そこでは、発現のレベルは、未刺激および刺激からの(mRNAからの)cDNAからのDNA合成の繰り返しサイクルによって得た、全長コード配列(配列番号8)のDNA断片の相対量より測定する(上パネル)。観察された差異は、第2の遺伝子、β−アクチン(下パネル)のものと比較によって示したように、GID3遺伝子の発現に特異的である。右に対する上パネルは、多くの型の細胞試料におけるGID3 mRNA発現のノザンブロットハイブリダイゼーション解析の結果を示しており、未刺激単球(右パネル内の最初の左レーン)は、GID3の発現を全く示さず、一方でインターフェロン−γ(IFN−γ)、細菌リポポリサッカライド(LPS)または顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)による単球の刺激は、GID3発現を有意に増加させる(それぞれレーン2、3および4)。未刺激(レーン5および10)またはCD40架橋による刺激(レーン6)いずれかの単球由来DCは、低い、または検出不能なレベルのGID3の発現を示すが、しかし、発現は、ファゴサイトーシス/CD40架橋の組み合わせ(レーン7)、または炎症サイトカインTNFα/IL−1βの組み合わせ(レーン11)によって、これらの細胞で有意に増加し(左パネルの結果を立証している)、未刺激臍帯血DCは低いレベルの発現を示し(レーン8)、これはCD40架橋によって増加する(レーン9)。
【図4】コンセンサスDUF221配列に対する、GID4タンパク質配列の配列相同性を示している。図4は、HMMRソフトウェア(Washington University,St.Louis)を用いたPFAMデータベースリリース6から得た、DUF221 PFAM記号との、配列番号12の位置348〜809のGID4ポリペプチド配列のアライメントである。
【図5】GID4タンパク質内のDUF221ドメインの相対位置によって定義したような、保存された構造構成、および潜在的膜貫通ドメインおよびN−グリコシル化部位の分布を示している。図5において、GID4タンパク質配列番号12の構造配置を、DUF221ドメイン、潜在的膜貫通ドメイン、および潜在的N−グリコシル化部位に関して、相同物ヒトタンパク質KIAA0792(TREMBL:O94886)および93.3/93.8KDA(TREMBL:Q9P1W3およびQ9P1W1)、およびD.melanogasterタンパク質CD11210(TREMBL:Q9V364)の配列と比較する。解析の方法は実施例1に記載している。
【図6】DCの刺激に応答するGID4遺伝子発現の誘導を示している。図6において、DCにおけるGID4発現の誘導の特異性を示し、炎症性刺激に対する誘導発現の関連性が示されている、DCおよび免疫系の他の型の細胞におけるGID4遺伝子の発現の解析を示している。GID4発現は、左最初の2つのレーンの比較によって示したように、ザイモサン酵母粒子のファゴサイトーシスおよび細胞表面上に発現しているCD40タンパク質の架橋による刺激によって、単球由来樹状細胞内で刺激され、そこでは、発現のレベルは、未刺激および刺激からの(mRNAからの)cDNAからのDNA合成の繰り返しサイクルによって得た、全長コード配列(配列番号12)のDNA断片の相対量より測定する(上パネル)。観察された差異は、第2の遺伝子、β−アクチン(下パネル)のものと比較によって示したように、GID4遺伝子の発現に特異的である。右に対するパネルは、多くの型の細胞試料におけるGID2 mRNA発現のノザンブロットハイブリダイゼーション解析の結果を示しており、IL−2とともに培養した未刺激T細胞(右パネル中最初の左レーン)はGID4発現を示さないが、一方で刺激T細胞(レクチンフィトヘムアグルチニンによる処理、レーン2)および刺激B細胞(ヤマゴボウ有糸分裂促進物質およびIL−4での処理、レーン3)中でのGID4発現は、非常に低いレベルではあるが、検出可能である。GID4は、低いレベルで、未刺激単球由来DC(MoDC)にて発現し、細菌リポポリサッカライド(LPS)での刺激により有意に増加する(それぞれレーン4および5)。未刺激MoDCでの発現と比較可能なレベルの発現がまた、GM−CSF/TNFα/TGFβ(レーン7)またはGM−CSF/TNFα/IL−4(レーン8および10)とともに、臍帯血前駆体細胞を培養することで得られるDCにて見られ、ある程度高いレベルのGID4が、Flt−3リガンドおよびIL−3で培養した前駆体細胞由来のLPSで刺激したDCで見られ(レーン6)、GM−CSF/TNFα/IL−4で培養した前駆体細胞から由来するDCの6時間および18時間のLPSでの刺激(それぞれレーン9および11)は、より長い刺激でのGID4発現における明らかな増加を示す。方法は実施例2で詳述している。
【図7】ベクター対照含有細胞(U937_ベクター)と比較して、BASP1を異所的に発現する細胞(U937_BASP)の、LPSでの刺激に続く特異的ELISAによって測定した、IL−8分泌を示している。
【図8】ベクター対照含有細胞と比較して、エピトープ−タグ化GID2.2ポリヌクレオチドを異所的に発現する抗原提示細胞のFACS解析の結果を示しており、AB4細胞の表面上でのGID2.2の発現を確認している。
【図9】対照ベクター含有AB4細胞と比較して、異所的にGID2.2ポリペプチドを発現している抗原提示細胞(AB4)(AB4−GID2.2)と共培養することによる、T細胞クローン(TCC)の抗原依存刺激を示している。解析において、抗原提示細胞のTCCに対する比は、示唆したように様々である。抗原陰性対照として、50000AB4細胞と50000TCCの1:1混合物も示した。
【実施例1】
【0099】
樹状細胞からの、BASP1、GID2、GID3およびGID4ポリヌクレオチドの単離および配列解析
5’長が種々である、BASP1、GID2、GID3およびGID4を含むcDNAクローンを、刺激(ザイモサンおよび抗CD40抗体)および未刺激樹状細胞mRNAから調製した、cDNAのサブトラクションにより導いた小(200−bp)BASP1、GID2、GID3およびGID4プローブとのハイブリッド形成によって、樹状細胞mRNAから調製したcDNAライブラリーから単離し、BLASTNアルゴリズムを用いた、GenBankデータベースとのcDNAクローンの配列の比較によって、NAP22(BASP1の別名)、AF039656に対するエントリーの配列と>98%同一であるとして配列を同定し、またはGIDプローブの場合は、GCG SeqWeb(Wisconsin Package)のFRAMESソフトウェアを用いて同定した。組換え体cDNAファージミドクローンおよび予想されるオープンリーディングフレームの確認のために、コード配列に隣接しているオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、熱安定性DNAポリメラーゼ(KlenTaq Polymerase、Clontech(Clontech))を用いる、合成の繰り返しサイクルによって、樹状細胞cDNAから直接クローンを得た。このように導いた3つの異なるクローンの配列は、以下のコンセンサスを生じた
BASP1ポリペプチドをコードしている配列番号1、
GID2.1ポリペプチドをコードしている配列番号3、
GID2.2ポリペプチドをコードしている配列番号5、(上記コードポリヌクレオチド配列に相当する、ポリペプチド配列番号4および配列番号6)、
GID3ポリペプチドをコードしている配列番号8、(ポリヌクレオチド配列番号8に相当する、ポリペプチド配列GID3 配列番号9)、
GID4ポリペプチドをコードしているコンセンサス配列番号12、(ポリヌクレオチド配列番号12に相当する、ポリペプチド配列GID4 配列番号12)、が産出される。
【0100】
ポリヌクレオチド二本鎖構造の効果的な融解温度を低める、5%ジメチルスルホキシドを含めることが、配列番号1およびAF039656のような関連配列のGCを著しく多く含む配列成分のために、KlenTaqポリメラーゼでの再現性のある合成のために必要である。
i)配列番号1の翻訳が、SwissProtデータベースエントリー第P80723号のBASP1ポリペプチド配列と100%一致し、これは、タンパク質配列より由来し、すなわち、どのin vitro のcDNAまたはDNA合成工程とも無関係であり、そして
ii)5%ジメチルスルホキシドの存在下で、KlenTaqポリメラーゼを用いる、樹状細胞cDNAから上記のように合成した、3つのBASP1 DNAクローンの配列が、コンセンサス配列番号1と一致する、
ことから、本発明者らは、配列番号1が、樹状細胞中でmRNAとして発現されるBASP1の正確な配列を反映しており、GenBankデータベースエントリー第AF039656号および第NM_006317号(本発明の最初のセクションで記載した)の配列は不正確であると結論づける。
【0101】
単球に由来する樹状細胞
向流洗浄によって得たヒト単球を、10%ウシ胎児血清を含み、GM−CSF(Novartis AG、Basel、Switzerland)(300U/ml)およびrIL−4(R&D Systems)(200U/ml)を加えた、RPMI1640(Gibco−BRL、Rockville、MD)中、8×105細胞/mlにて、コースター6ウェルプレート(Costar、Chambridge、MA)内に蒔いた。培養液を、培地の半分を、GM−CSFおよびrIL−4を加えた新鮮な培地と交換することで、3日目に変え、上記の濃度に到達させる。
【0102】
RNA単離、cDNAおよびDNA合成、および組換え体プラスミドクローンの構築
RNAを、Trizol試薬(Gibco−BRL、Rockville MD)を用いて単離した。cDNAを、SuperScript(変異によって破壊されたRNaseH活性)、Moloney白血病ウイルス逆転写酵素、RNaseH、およびE.coliから精製したDNAポリメラーゼおよびDNAリガーゼ(Gibco−BRL、Rockville MD)より合成し、cDNAライブラリーに関しては、cDNAを、リンカー−アダプターのライゲーション、設計にしたがった制限酵素SalIおよびNotIによる特異的消化、SalI−NotI挿入物としての、pSPORT1プラスミドベクターDNA(Gibco−BRL、Rockville MD)内へのライゲーションによって改変した。
【0103】
cDNA鋳型から直接のDNAの独立変異体に関して、DNA合成の繰り返しサイクルを、以下の合成オリゴヌクレオチド
BASP1 DNAに関して、
5’−CGAGCCGAACTCCAAGATGG−3’および5’−GGTCCTTGTCACTCTTTCACG−3’、
GID2.1 DNAに関して、
5’−CCACGCATGACGGTGCATG−3’および5’−GGAAACTCAGGGTATTCCCAC−3’、
GID2.2 DNAに関して、
5’−ATGGGCGCCCTCAGGCCCAC−3’および5’−TCACCGTTTTCGAAGCCTCTTC−3’、
GID3およびGID4に関して、
5’−GGCGCCATGAGTGGCGGCGG−3’および5’−GGTGCTGGGAGGTCAGATGTCG−3’、
(全てGenset、Parisより)
の伸張産物として、5%(v/v)ジメチルスルホキシドの存在下、(ポリメラーゼエラーの頻度を低減するために、3’−5’エキソヌクレアーゼルーフリーディング活性を含む)KlenTaq熱安定性DNAポリメラーゼ(Clontech)を用いて行い、つづいてDNAポリメラーゼ(New England Biolabs)のKlenow断片で末端修復し、その末端が同じ酵素で平滑断片にされているEcoRI消化pSPORT1プラスミドベクターDNA内にライゲーションすることで実施する。
【0104】
DNA配列のアライメントおよびデータベースの解析
アルゴリズムClustalWを、DNA配列のアライメントに使用し、BLASTNアルゴリズムを、GenBank−EMBL DNA配列データベースに存在する類似の配列を同定するために使用し、BLASTXアルゴリズムを、DNAによってコードされているポリペプチド配列と類似の配列を、SwissProtタンパク質配列データベース内で同定するために使用する。
【0105】
膜貫通へリックス予測を、G.von Heijne,J.Mol.Biol.225[1992]487−494にしたがって実施する。ポリペプチドモチーフを、Protein SiteおよびPatternsのPROSITE DictionaryのMotif検索によって得る。HMMPFAMを、HMMデータベース、HMMER2.1.1[1998年12月]、Washington University School of Medicineの検索によって得る。
【実施例2】
【0106】
樹状細胞および免疫系の他の細胞中でのBASP1、GID2、GID3およびGID4 mRNAの発現
単球、T細胞およびB細胞を、遠心洗浄によって濃縮して、末梢血より単離し、臍帯血樹状細胞を、臍帯血より前駆体細胞として得、未成熟細胞へのその分化を促進する因子の存在下で培養する。RNAの単離、cDNA合成および熱安定性DNAポリメラーゼを用いるDNA合成の繰り返しサイクルを、上記のように実施する。電気泳動によるRNAの分離、ブロッティングおよび合成オリゴヌクレオチドプローブとのハイブリッド形成(ノザンハイブリッド形成解析)を、Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989)に記載されたように実施する。
【0107】
図1、2、3および4で示したように、刺激していないかまたは関連する免疫活性化シグナルによって刺激した、樹状細胞および免疫系の他の型の細胞中での適切なmRNAの発現を、1)(上記のプライマーを用いた)全長BASP1をコードしているポリヌクレオチドのRT−PCR、およびβ−アクチンmRNAのような均一に発現されるポリヌクレオチド配列の発現に関してその発現を標準化すること、または2)ノザンハイブリッド形成解析のいずれかによって解析することができる。
【0108】
そのような解析は、異なる基質に関して、以下を示す。
− 本発明のBASP1 mRNAの発現は、関連する刺激によって、種々の型の樹状細胞、ならびに異なる特異的な増殖因子およびサイトカイン中での培養によって成熟させられた樹状細胞中で、有意に増加する。さらに、BASP1 mRNAのはるかに低いレベルの発現が、刺激または未刺激T細胞、B細胞または単球にて検出され、後者の3つの型の免疫細胞のうち、GM−CSFで刺激した単球は、検出可能なBASP1 mRNA発現を示したが、しかし刺激樹状細胞中で断言するほどではない。
− GID2 mRNAの発現は、関連刺激によって、種々の型のDCならびに異なる特異的増殖因子およびサイトカイン中での培養によって成熟させられたDCにおいて、有意に増加した。さらに、GID2 mRNAの非常に低いレベルの発現が、刺激または未刺激T細胞、単球または内皮細胞中で検出される。
− GID3 mRNAの発現は、単球、単球由来DCおよび臍帯血前駆体細胞から成熟したDC中で、免疫系活性化、例えば炎症性刺激に関連した特定の刺激によって、有意に増加する。
− GID4 mRNAは、CD40架橋と組み合わされたファゴサイト刺激による、および単球由来DC中での細菌リポポリサッカライド(LPS)刺激によって単球由来DC中で、そして顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)およびインターロイキン−4(IL−4)との培養による臍帯血前駆体細胞から成熟したDC中で、有意に増加する。一方、未刺激または刺激T細胞、または刺激B細胞では、検出可能ぎりぎりまたは全くGID4の発現は見られなかった。したがって、GID4発現は、TおよびB細胞に関連したDCに限られており、特定の炎症性刺激により誘導されたDC中でのGID4発現は、免疫系の活性化に対する関連を示している。
【実施例3】
【0109】
BASP1、GID2、GID3およびGID4ポリペプチドおよび組換え体ポリペプチドの産出
組換え体タンパク質の産出における、経験および一般的に使用される方法に基づいて、発現ベクターを、BASP1、GID2、GID3およびGID4ポリペプチドおよびその変異体の産出のために調製可能である。安定にトランスフェクトされたプロデューサー細胞から発現されたトランスジェニックポリペプチドを、単離および精製し得、抗体産出および機能研究のため、ならびにスクリーニングアッセイで使用しうる。N−およびC−末端タグを含む適切なポリペプチドの組換え変異体、ならびにポリペプチドの非改変形態を産出しうる。タグ化組換え体タンパク質の発現は、市販されているFLAG−含有pcDNAベクター内で構築物を調製することによって行うことができる(InVitrogenおよびSigma、ならびに他の供給先)。タンパク質は、これも市販されているE.coli株内で産出可能である。翻訳後修飾(例えば糖付加)した多量のタンパク質を産出するために、昆虫細胞内でのバキュロウイルス発現ベクターを使用可能であり、またはベクターを、酵母細胞内で選別および発現のために操作することができ、両方の場合に、発現ベクターおよび好適なプロデューサー細胞は市販されており、一般に使用されている。mg量のタンパク質が産出され、これは免疫化に有利であり、本発明の機能研究およびスクリーニングアッセイに不可欠である。
【実施例4】
【0110】
モノクローナル抗体の産出
モノクローナル抗体は、産出したBASP1、GID2、GID3およびGID4タンパク質で免疫化したマウス内で使用した一般的な方法によって得ることができ、そこで得られたハイブリドーマ細胞株によって産出された抗体を、免疫化タンパク質に対してスクリーニングし、そして抗体を、この免疫化タンパク質を用いるアフィニティクロマトグラフィーによって精製する。Tag含有組換え体BASP1、GID2、GID3またはGID4タンパク質をまた、抗体を産出するために、マウスを免疫化するのに使用してよく、その場合、得られたハイブリドーマ細胞株によって産出された抗体を、BASP1、GID2、GID3またはGID4タンパク質の非改変形態に対して、またはグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)−tag融合タンパク質のような、tagを含有しているタンパク質および第2のtagを含有しているタンパク質両方に対してのいずれかの、エピトープ特異的抗体に対してスクリーニングする。抗体を、アンチセンスオリゴヌクレオチドによるBASP1、GID2、GID3またはGID4発現を阻害すること、および以下で記載するスクリーニングアッセイで同定した、低分子量アンタゴニストまたはアゴニストの作用を試験することのような、機能研究における適切なポリペプチドの発現を検出するための試験で使用することができる。抗体はまた、診断方法およびキットの成分を含む場合がある。
【実施例5】
【0111】
アンチセンスオリゴヌクレオチドによるBASP1、GID2、GID3およびGID4発現の阻害
所定の遺伝子のセンスポリリボヌクレオチド(mRNA)鎖の特定の配列に相補的であり、細胞内に導入したときに、mRNAが二本鎖構造となり、それによって、それに続いて本来のmRNA分子を分解し、その遺伝子のコードタンパク質の発現を破棄する、二本鎖RNase酵素によって認識されるmRNAに結合する、小配列ストレッチ、好ましくは長さにして18〜20ヌクレオチドからなる合成アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)の使用が、遺伝子機能の研究に関して、一般的に使用される方法である。BASP1発現の阻害に関して、相補的BASP1、GID2、GID3またはGID4配列を含むASOを、例えば、市販されているリポソーム薬剤(例えば、リポフェクタミンおよびリポフェクション、Gibco−BRL)の使用のような、一般的な技術によって、樹状細胞およびBASP1、GID2、GID3またはGID4 mRNAを発現する特定の細胞株に導入する。ASOの効果は、RNase保護アッセイ、S1ヌクレアーゼアッセイ、PCRまたは上記の抗BASP1モノクローナル抗体を用いるELISAアッセイのような、任意のいくつかの方法によって測定する。それぞれ、BASP1、GID2、GID3またはGID4 mRNAの異なる領域に相補的な配列を含む、いくつかの異なるASOを、記載したアッセイで活性に関して試験し、ほとんどの効果的なASOを、以下の続く実施例で記載した仕様に関して選別した。ASOの活性の特異性は、例えば、選別したアッセイにおける「ミスマッチ」ASOを用いることによって、特異的なASOの活性を制御することなど、記載したアッセイで、いくつかの、好ましくは3〜5のヌクレオチド置換基を含む、関連配列のASOの活性を測定することで決定する。
【実施例6】
【0112】
樹状細胞および細胞株中での活性化マーカーの同定は、BASP1、GID2、GID3またはGID4発現に依存する
樹状細胞から、T細胞および免疫系の他の型の細胞(異型応答)、および他の樹状細胞(同型応答)への免疫学的シグナルの増幅において、役割を果たしていると認識される、例えばMHCクラスIIタンパク質、CD40、CD80およびCD86のような、樹状細胞中で発現される多数の表面膜関連タンパク質、およびG−CSF、IL−12およびIL−1のような、樹状細胞によって分泌される多数の水溶性メディエーターが存在する。樹状細胞内での、活性化マーカーと呼ばれうる、これらの型の遺伝子の発現は、細胞が、免疫学的シグナルによって活性化される時に、劇的に増加する。刺激細胞における活性化マーカーの誘導に際し、LPS、TNFα、ファゴサトーシス、または特異的表面タンパク質を架橋するために適切な抗体またはリガンドを使用すること、またはそのような刺激の組み合わせのような、異なる方法で刺激した樹状細胞で発現した、BASP1、GID2、GID3またはGID4の役割は、上記のような細胞内へのASOを導入すること、続いて、細胞の刺激、および活性化マーカーの発現レベルに関するアッセイによって測定される。阻害の特異性は、ミスマッチASOを上記のように導入された細胞との比較によって、またはアッセイ中、ASOで処理しない細胞を用いることで、制御する。活性化マーカーの発現は、RNase保護アッセイ、S1ヌクレアーゼアッセイ、PCR、適切な抗体を用いるELISAまたはFACSアッセイのような、任意のさまざまな方法によって測定する。上記のような細胞株中の活性化マーカーもまた、これらの同じ方法によって同定される。
【実施例7】
【0113】
他の樹状細胞膜関連タンパク質との、BASP1、GID2、GID3またはGID4の相互作用の測定
樹状細胞中で発現されたBASP1、GID2、GID3またはGID4の膜または細胞内局在を、神経細胞で示されたように(Maekawa,S.,J.Biol.Chem.274[1999]21369−21374)、タンパク質がラフト構造に関連するかどうかを決定するために、遠心による濃縮にしたがって、膜調製物を画分化することによって試験する。本解析において、種々の細胞画分、例えば細胞質、膜ラフトおよび非ラフト膜画分内に含まれるタンパク質は、さらに、ポリアクリルアミドゲル中で、変性条件下での電気泳動(SDSゲル電気移動)によって画分化し、フィルター上にブロットし、上記のBASP1、GID2、GID3またはGID4抗体を用いるウエスタン解析にかける。未刺激樹状細胞および、LPS、TNFα、ファゴサイトーシス、または特異的表面タンパク質を架橋するために適切な抗体またはリガンドを使用すること、またはそのような刺激の組み合わせのような、異なる方法で処理した細胞を、細胞性活性化に対する応答において、BASP1、GID2、GID3またはGID4タンパク質の局在が変化したかどうかを決定するために解析する。異なる画分中でBASP1、GID2、GID3またはGFID4と物理的に近く相互作用する他の細胞性タンパク質、およびBASP1、GID2、GID3またはGID4抗体は、Sigma Chemical CompanyおよびPierceより市販されている)可逆二価架橋剤での処理するか、またはせず、つづいて、2Dゲル分離(変性SDSゲル電気泳動と組み合わせた等電点電気泳動)および部分微小配列解析を実施する。これらの技術によって同定した樹状細胞中で発現されている第2のタンパク質との、BASP1、GID2、GID3またはGID4の物理的相互作用を、逆実験で確認し、そこでは、免疫沈殿を、第2のタンパク質に対する特異的抗体を用いて行い、続いて、BASP1、GID2、GID3またはGID4抗体を用いるウエスタンブロッティング解析を実施する。多くの公知の膜関連表面タンパク質に対する特異的抗体が、市販されている。該タンパク質が、それらの細胞株内で発現することが示されている場合には、樹状細胞内で同定し確認した任意の第2のタンパク質の、BASP1、GID2、GID3またはGID4と物理的相互作用もまた、上記の細胞株において確認する。
【実施例8】
【0114】
タンパク質−タンパク質相互作用に特異的なBASP1、GID2、GID3またはGID4タンパク質ドメインのマッピング
上記のtag−ポリペプチド、例えばFLAGエピトープに融合した、改変組換え体BASP1、GID2、GID3またはGID4タンパク質をコードしているDNA発現ベクターを、特定の部位で、BASP1、GID2、GID3またはGID4内のドメイン機能を崩壊しうる、小さなインフレーム挿入によって、遺伝的変異させる。変異させた構造を、上記で発現させた細胞株内に導入し、組換え体、変異BASP1、GID2、GID3またはGID4変異体タンパク質と物理的に一緒に、他の細胞性タンパク質を、タンパク質複合体を精製するために、tag−ポリペプチドに特異的な抗体を用いて、上記の方法により同定する。例えば、神経細胞で起こることが知られている(Takasaki,A.,J.Biol.Chem.274[1999]11848−11853)、カルモジュリンとの物理的相互作用に必要である、BASP1、GID2、GID3またはGID4内のドメインが、本方法で同定されるべきである。次いで、BASP1、GID2、GID3またはGID4タンパク質ドメインの確認およびフィンガーマッピングを、欠失または点変異をBASP1、GID2、GID3またはGID4タンパク質配列に導入することによって、tag−融合組換え体BASP1、GID2、GID3またはGID4発現構造物を用いて実施する。本方法において、相互作用欠損BASP1、GID2、GID3またはGID4変異体タンパク質を定義し、これらは、上記のように、プロデューサー細胞内で、発現ベクターを用いて産出しうる。さらに、相互作用ポリペプチド配列と呼ばれる、最小BASP1、GID2、GID3またはGID4直鎖状ポリペプチド配列を定義することができ、これは、第2のタンパク質と相互作用するために、BASP1、GID2、GID3またはGID4に不可欠であり得る。
【実施例9】
【0115】
ポリペプチドを用いて樹状細胞内でのBASP1、GID2、GID3またはGID4との相互作用を活性化する
上記の相互作用ポリペプチド配列を、そのコードが、感染細胞内でポリペプチドを発現することができる、例えば、レンチウイルスまたはスプマウイルスに基づく好適な足場より誘導した、感染、複製欠損哺乳動物発現ベクターを用いて、樹状細胞内に導入する。内因性BASP1、GID2、GID3またはGID4タンパク質の、上記の第2のタンパク質との相互作用を妨害する、発現された相互作用ポリペプチドの作用を、上記の抗BASP1、GID2、GID3またはGID4抗体での免疫沈降、続く共沈したタンパク質の解析、好ましくは、上記のような、第2のタンパク質に対する特異的抗体を用いるウエスタンブロット解析によって、細胞から抽出したタンパク質にて解析する。所定の相互作用−妨害ポリペプチドの特異性を、変異、すなわち2〜4個のアミノ酸置換基を、発現ベクター内のポリペプチドに挿入し、アッセイにおける、そのような「ミスマッチ」相互作用−妨害制御ポリペプチドを試験することによって決定する。この方法において、相互作用−妨害ポリペプチドを同定可能であり、従来のような合成方法によって、純粋な形態でこれらを産出することができる。
【実施例10】
【0116】
樹状細胞および細胞株における活性化マーカーの同定は、第2の細胞性タンパク質との、BASP1、GID2、GID3またはGID4の特異的物理的相互作用に依存する
刺激した細胞での活性化マーカーの誘導のために、LPS、TNFα、ファゴサイトーシス、または特異的表面タンパク質への架橋のために適切な抗体またはリガンドを使用すること、またはそのような刺激の組み合わせのような、異なる方法で刺激した、樹状細胞、および上記の細胞株で発現された第2の細胞性タンパク質との、BASP1、GID2、GID3またはGID4の特異的物理的相互作用の必要性を、相互作用−妨害ポリペプチドを、複製欠損感染性ウイルス発現ベクターを使用して、上記の細胞内に導入し、続いて、細胞の刺激、および活性化マーカーの発現レベルに関するアッセイによって、決定した。アッセイの特異性は、アッセイに供する細胞内へ、ミスマッチ相互作用−妨害制御ポリペプチドを導入することによって決定する。
【実施例11】
【0117】
BASP1、GID2、GID3またはGID4発現および/あるいはBASP1、GID2、GID3またはGID4の第2の細胞性タンパク質との特異的物理的相互作用に依存する樹状細胞の表現系特性
免疫学的に関連する細胞性活性または特性に関して、樹状細胞において発現されるBASP1、GID2、GID3またはGID4の機能的重要性を、以下の2つのアッセイで評価する。
【0118】
i)樹状細胞遊走アッセイ
未成熟の樹状細胞の活性化の間の初期段階は遊走機能の獲得であり、これは、例えば、半浸透性膜によって分離した2つのチャンバー系の1つのチャンバー内に細胞を入れること、および膜を介して第2のチャンバーに遊走した細胞の割合を測定すること、またはコラーゲン含有ゲルとして、ブラウン運動を妨げる粘性の高い培地中に懸濁させた細胞の顕微鏡写真を実施することによって評価される。BASP1、GID2、GID3またはGID4発現における遊走能力の依存性を、上記のように、BASP1、GID2、GID3またはGID4 mRNAに対する特異的ASOが誘導された樹状細胞中で評価する。ASOの特異性は、上記のように、アッセイにミスマッチASOを含ませることによって測定する。BASP1、GID2、GID3またはGID4の、樹状細胞中で発現された第2の細胞性タンパク質との特異的物理的相互作用における、遊走能力の依存性を、上記のように、特異的相互作用−妨害ポリペプチドを導入した細胞内で評価する。相互作用−妨害ポリペプチドの作用の特異性を、上記のように、アッセイに供する細胞に、ミスマッチ相互作用−妨害コントロールポリペプチドを導入することで決定する。
【0119】
ii)樹状細胞および細胞株によるT細胞活性化
活性化に応答でして樹状細胞が成熟するので、これらは、抗原の提示によって、複製するようにT細胞を活性化するその能力が、より強力になる。このことは、樹状細胞のT細胞活性化能力と呼ばれ、これは、(提示に好適な抗体に予め暴露した)樹状細胞の漸増比の系列を、培養培地中でT細胞とともに混合すること、例えば1:5〜1:25〜1:100〜1:300〜1:1000など、樹状細胞が内部で抗原を処理し、MHCクラスIIタンパク質との複合体でその表面からエピトープを提示し、次いで、活性化工程を含む他の細胞−細胞相互作用シグナルの間に、T細胞レセプター表面タンパク質との複合体を形成する間、一般的には5〜7日間インキュベートすること、次いで、例えば複製中のT細胞におけるDNA合成に関する、放射活性基質の組み込みを測定することによって、活性化工程によって刺激したT細胞複製の程度を測定すること、によって評価される。例えば、樹状細胞の活性能力の強さまたは強度は、T細胞の複製の最大の程度刺激された時の、樹状細胞あたりのT細胞の数として表され、例えば、単一の樹状細胞によって複製するように刺激され得るT細胞の数が多いことは、樹状細胞の相当するより高い活性化能力を表す。そのような、樹状細胞中でのBASP1、GID2、GID3またはGID4発現における活性化能力の依存性は、上記のように導入された、BASP1、GID2、GID3またはGID4 mRNAに対する特異的ASOが導入されている細胞内でアッセイされる。上記のように導入された、ASOの特性を、上記のように、アッセイにミスマッチASO含ませることによって決定する。BASP1、GID2、GID3またはGID4の、樹状細胞中で発現された第2の細胞性タンパク質との特異的物理的相互作用における依存性を、上記のように、特異的相互用−障害ポリペプチドが導入されている細胞内で評価する。相互作用−妨害ポリペプチドの活性の特異性は、上記のように、アッセイに供する細胞内への、ミスマッチ相互作用−妨害コントロールポリペプチドの導入によって決定する。
【実施例12】
【0120】
BASP1、GID2、GID3またはGID4プロモーター配列を含む組換え体レポーター遺伝子ベクター、ならびに樹状細胞および細胞株における発現
mRNA合成の転写制御は、一般的に、遺伝子プロモーターと呼ばれる、mRNA合成開始部位のすぐ上流に存在する染色体DNA配列(すなわち、開始部位に近接している鋳型配列に隣接した染色体配列)、およびプロモーター配列に対して遠位に存在しうる転写エンハンサーと呼ばれる小DNAエレメントによって達成される。BASP1、GID2、GID3またはGID4遺伝子プロモーターを含む可能性のある染色体DNA配列を、PCRによって、例えば100〜200〜500〜1000bpの範囲の長さの増幅DNA断片を増幅し、ルシフェラーゼのような簡単に検出しうるマーカータンパク質を発現することができ、それによって組換え体発現ベクターを哺乳動物細胞中に導入したときに、マーカーの発現が挿入された増幅DNA断片のプロモーター活性に依存する、組換え体哺乳動物発現ベクター内にクローン化する。この方法では、i)BASP1、GID2、GID3またはGID4プロモーターが、機能的に定義され、著しく局在化され得、そしてii)複雑な細胞性因子の活性化、ならびに増強されたBASP1、GID2、GID3またはGID4 mRNA発現が依存するそれらの因子の活性化を制御する事象(例えば、樹状細胞性活性化の間に起こる)を、組換え体発現ベクターがその中に導入されている細胞中で発現されたマーカータンパク質の量によって簡便に、そして定量的にモニターすることができる。組換え体発現ベクターを、BASP1、GID2、GID3またはGID4プロモーターが制御されている樹状細胞内に導入する。他の関連しない作用に対抗して、そのような作用を測定するように設計されたアッセイにおける、マーカーの発現レベルが組換え体発現ベクター中のBASP1、GID2、GID3またはGID4プロモーターの活性をどの程度正確に反映するかは、その活性がアッセイの間に生じる細胞性事象の変化に影響されない第2のプロモーターによる転写制御を受ける第2の組換え体ベクター中に第2のマーカー、および上記第2のプロモーターによる転写制御を受ける第2の組換え体ベクター内の第一マーカーを含ませることによって、評価する。
【実施例13】
【0121】
BASP1、GID2、GID3またはGID4発現または活性の低分子量アゴニストまたはアンタゴニストに関するスクリーニングアッセイ
いくつかの型のアッセイが、低分子量化合物のライブラリー、例えば、天然の産物の集合およびコンビナトリアル化学ライブラリー(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド、ペプチド、抗体およびミメティック)のハイスループットスクリーニングに適する。BASP1、GID2、GID3またはGID4発現の、あるいはBASP1、GID2、GID3またはGID4タンパク質の機能活性のアンタゴニストまたはアゴニストを、以下のアッセイにしたがってスクリーニングする。
【0122】
i)BASP1、GID2、GID3またはGID4発現のアンタゴニストまたはアゴニストに関する細胞スクリーニングアッセイ
上記のように、その発現がBASP1、GID2、GID3またはGID4プロモーターに支配される、マーカータンパク質を含む組換え体発現ベクターを、プロモーターが上記のような適切な細胞性刺激によって誘導されることが示されている細胞株中に導入する。スクリーニングアッセイにおいて、発現ベクターを含有している細胞を、ライブラリー中に存在する基質と接触させ、次いで、これらを、BASP1、GID2、GID3またはGID4プロモーターを活性化することが示されている条件下で処理し、そして任意の基質に曝さなかった細胞と比べて、より高いマーカー発現(潜在的アゴニスト)またはより低いマーカー発現(潜在的アンタゴニスト)のいずれかを生じる化合物をスクリーニングし、選択する。
【0123】
ii)BASP1、GID2、GID3またはGID4活性のアンタゴニストまたはアゴニストに関する細胞スクリーニングアッセイ
刺激の際のその発現がBASP1、GID2、GID3またはGID4発現に依存する、および/あるいは上記のように、第2の細胞性タンパク質とのBASP1、GID2、GID3またはGID4の特異的物理的相互作用に依存する細胞株中の細胞性活性化マーカーを、BASP1の細胞性活性の指標として使用する。指標は、その発現が細胞アッセイにおいて、例えば、結合抗体(例えば、発色または蛍光を生じる反応)に依存する第2のシグナル生成システムと組み合わせて、指標タンパク質に特異的な抗体を使用して、簡便かつ定量的に検出できるように、例えば、近似蛍光又は他の検出可能なエネルギー転移方法を選択する。スクリーニングアッセイでは、細胞をライブラリー中に存在する基質と接触させ、次いでこれを、BASP1、GID2、GID3またはGID4発現を活性化することが示されている条件下で処理し、いずれの基質にも暴露しなかった細胞と比べて、活性化マーカー(指標)の発現(潜在的アゴニスト)またはより低い活性化マーカーの発現(潜在的アンタゴニスト)のいずれかを生じる化合物をスクリーニングし、選択する。
【0124】
iii)BASP1、GID2、GID3またはGID4タンパク質に特異的に結合する化合物に関するスクリーニングアッセイ
上記のように単離し産出したBASP1、GID2、GID3またはGID4タンパク質を、タンパク質と結合した基質を遊離(結合していない)基質およびタンパク質から区別することができるアッセイにおいて、ライブラリー中に存在する基質と接触させる。例えば、タンパク質に結合した基質は、それによって検出されうるタンパク質の固有の生物物理的特性を変化させる場合があり、また基質は、連結した基質がタンパク質分子に結合し、それにより指標に近くに存在すると生物物理的特性が変化する場合がある指標分子に結合し得る場合もあり、また例えば、競合型のアッセイにおいては、タンパク質に結合すると検出されうる抗体またはミメティックが、それ自体がそのタンパク質に結合する基質の存在によりその結合が競合する。
【0125】
iv)BASP1、GID2、GID3またはGID4タンパク質の、第2のタンパク質との物理的相互作用のアンタゴニストまたはアゴニストに関するスクリーニングアッセイ
上記のように単離し産出したBASP1、GID2、GID3またはGID4タンパク質を、ライブラリー中に存在する基質と接触させ、次いでBASP1、GID2、GID3またはGID4タンパク質と同語作用する第2のタンパク質をアッセイに添加する。その結果、第2のタンパク質に結合したBASP1、GID2、GID3またはGID4は遊離のタンパク質から区別され、それにより2つのタンパク質の物理的相互作用を増大させる(潜在的アゴニスト)またはそれを減少させる(潜在的アンタゴニスト)物質を選択する。例えば、上記のように、タンパク質−タンパク質結合に関係している、タンパク質の生物物理的特性の変化を、物理的相互作用、抗体またはミメティックを用いる競合型アッセイ、あるいはハイスループットアッセイに適切なBASP1、GID2、GID3またはGID4に結合した第2のタンパク質の生物化学活性の変化を検出するために使用することができる場合もある。
【実施例14】
【0126】
スクリーニングアッセイにおいて同定したBASP1、GID2、GID3またはGID4発現または活性についての単離したアンタゴニストまたはアゴニストの活性の評価
特異性または毒性または利便性の特性を明らかにするために、アンタゴニストまたはアゴニストの活性を多数の異なるアッセイのいずれかで試験する。
【0127】
i)単離した樹状細胞、または上記のような同様の機能を持つ細胞もしくは細胞株、あるいは無関係な細胞もしくは細胞株を、漸増濃度の試験するアンタゴニストまたはアゴニストと接触させ、発現されたBASP1、GID2、GID3またはGID4 mRNAまたはタンパク質のレベルを上記の方法のいずれかによって測定し、そして未処理の細胞ならびに上記のようにアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびミスマッチ制御アンチセンスオリゴヌクレオチドで処理した細胞と比較する。BASP1、GID2、GID3またはGID4 mRNAまたはタンパク質の発現における、アンタゴニストまたはアゴニストの作用を、第2の無関係な細胞性遺伝子の発現に対する作用と比較する。
【0128】
ii)単離した樹状細胞または上記のような同様の機能の細胞もしくは細胞株を、漸増濃度の試験するアンタゴニストまたはアゴニストと接触させ、上記のようにBASP1、GID2、GID3またはGID4発現に依存して発現された活性化マーカーのレベルを、上記の方法のいずれかによって測定し、そして未処理の細胞ならびに上記のようにアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびミスマッチ制御アンチセンスオリゴヌクレオチドで処理した細胞のレベルと比較する。
【0129】
iii)単離した樹状細胞または上記のような同様の機能の細胞もしくは細胞株を、漸増濃度の試験するアンタゴニストまたはアゴニストと接触させ、上記のようなBASP1、GID2、GID3またはGID4の第2の細胞性タンパク質との特異的物理的相互作用に依存する発現活性化マーカーのレベルを、上記の方法のいずれかによって測定し、そして未処理の細胞ならびに上記のようにアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびミスマッチ制御アンチセンスオリゴヌクレオチドで処理した細胞のレベルと比較する。
【0130】
iv)単離した樹状細胞または同様の機能の細胞を、漸増濃度の試験するアンタゴニストまたはアゴニストと接触させ、細胞遊走に対する作用を上記のように測定し、そして未処理の細胞、上記のようにアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびミスマッチ制御アンチセンスオリゴヌクレオチドで処理した細胞、ならびに上記のように相互作用−妨害ポリペプチドおよびミスマッチ制御ポリペプチドで処理した細胞のレベルと比較する。
【0131】
v)単離した樹状細胞または上記のような同様の機能の細胞もしくは細胞株を、漸増濃度の試験するアンタゴニストまたはアゴニストと接触させ、細胞のT細胞活性化能力に対する作用を、上記のように測定し、そして未処理の細胞、上記のようにアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびミスマッチ制御アンチセンスオリゴヌクレオチドで処理した細胞、ならびに上記のように相互作用−妨害ポリペプチドおよびミスマッチ制御ポリペプチドで処理した細胞のレベルと比較する。
【0132】
vi)単離した樹状細胞または上記のような同様の機能の細胞もしくは細胞株を、漸増濃度の試験するアンタゴニストまたはアゴニストと接触させ、細胞複製または生存性に対する作用を、例えばDNA合成の放射活性または蛍光前駆体の取り込みによって、例えば死滅ししつある細胞の細胞成分と反応する特異的抗体に基づく市販されているキットを用いることによって、測定する。
【0133】
vii)単離した樹状細胞、上記のような同様の機能の細胞もしくは細胞株、または無関係な細胞もしくは細胞株を、漸増濃度の試験するアンタゴニストまたはアゴニストと接触させ、遺伝子発現プロフィールに対する作用を、DNAマイクロアレイハイブリダイゼーション技術によって決定し、そしてBASP1、GID2、GID3またはGID4アンチセンスオリゴヌクレオチドおよびミスマッチ制御ポリペプチド、または相互作用−妨害ポリペプチドおよびミスマッチ制御ポリペプチドで処理した細胞の作用と、あるいはBASP1、GID2、GID3またはGID4とは無関係な第2の細胞性遺伝子の活性のアンタゴニストまたはアゴニストで処理した細胞の作用と比較する。
【0134】
viii)単離した樹状細胞、上記のような同様の機能の細胞もしくは細胞株、または無関係な細胞もしくは細胞株を、漸増濃度の試験するアンタゴニストまたはアゴニストと接触させ、発現された細胞性タンパク質のプロフィールおよびそれらのタンパク質の状態に対する作用を、プロテオミクス技術によって測定し、そしてBASP1、GID2、GID3またはGID4アンチセンスオリゴヌクレオチドおよびミスマッチ制御ポリペプチド、または相互作用−妨害ポリペプチドおよびミスマッチ制御ポリペプチドで処理した細胞の作用と、あるいはBASP1、GID2、GID3またはGID4とは無関係な第2の細胞性遺伝子の活性のアンタゴニストまたはアゴニストで処理した細胞の作用と比較する。
【0135】
ix)上記のような組換え体レポーター遺伝子発現ベクターを含む、単離した樹状細胞、上記のような同様の機能の細胞もしくは細胞株、または無関係な細胞もしくは細胞株を、漸増濃度の試験するアンタゴニストまたはアゴニストと接触させ、レポーターベクター中に含まれる、BASP1、GID2、GID3またはGID4プロモーター配列の活性に対する作用に対する作用を、上記のように測定し、そしてBASP1、GID2、GID3またはGID4とは無関係な第2の細胞性遺伝子のプロモーターを含む第2のレポーターベクターで得られる作用、および上記レポーターベクターのいずれかを含んでいる未処理の細胞で得られる作用、およびBASP1、GID2、GID3またはGID4とは無関係な第2の細胞性遺伝子の発現のアンタゴニストまたはアゴニストで処理した上記レポーターベクターのいずれかを含有している細胞で得られる作用と比較する。
【0136】
x)上記のように精製したBASP1、GID2、GID3またはGID4タンパク質および第2の細胞性相互作用タンパク質を、漸増濃度の試験するアンタゴニストまたはアゴニストと接触させ、タンパク質−タンパク質相互作用に対する作用を、上記の方法のいずれかによって測定し、そして処理しない場合に見られる作用、精製した相互作用−妨害ポリペプチドおよびミスマッチ制御−相互作用ポリペプチドの存在下で見られる作用と、あるいは上記の処理したおよび未処理の変異相互作用欠損BASP1、GID2、GID3またはGID4タンパク質および第2の相互作用タンパク質を用いて見られる作用、またはBASP1、GID2、GID3またはGID4タンパク質とは無関係なタンパク質の相互作用のアンタゴニストまたはアゴニストで処理した任意の上記の精製したタンパク質のいずれかを用いて見られる効果と比較する。
【0137】
xi)試験する漸増濃度のアンタゴニストまたはアゴニストで処理したかまたは処理していないかいずれかの、単離した樹状細胞または同様の機能の細胞または上記細胞を含む組織を、薬理学的試験において使用する移植片移植に寛容である適切な実験動物(例えばSCIDマウス、例えば照射動物)に移植し、続いて、免疫刺激によってチャレンジし、続く免疫応答に対する試験物質の作用を測定し、そして上記のようにアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびミスマッチアンチセンスオリゴヌクレオチドで処理した単離した細胞または組織、あるいは上記のような、相互作用−妨害ポリペプチドおよびミスマッチ制御ポリペプチドで処理した細胞または組織、あるいは上記のような無関係なアンタゴニストまたはアゴニストで処理した細胞または組織を用いて見られる作用と比較する。
【0138】
xii)単離した樹状細胞または同様の機能の細胞または上記細胞を含む組織を、薬理学的試験において使用する移植片移植に寛容である適切な実験動物(例えばSCIDマウス、例えば照射動物)に移植し、続いて、免疫刺激によってチャレンジし、試験する漸増濃度のアンタゴニストまたはアゴニストで処理するかまたは処理せず、続く免疫応答に対する試験物質の作用を測定し、薬理学的処理を行わない場合に見られる作用と比較する。
【0139】
xiii)薬理学的試験に使用した適切な実験動物から得た、そして、BASP1、GID2、GID3またはGID4遺伝子の種の内因性オルトログを発現する、漸増濃度の試験するアンタゴニストまたはアゴニストで処理したかまたは処理していない、単離した樹状細胞または同様の機能の細胞または上記細胞を含む組織を、上記動物に移植し、続いて免疫刺激でチャレンジし、続く免疫応答に対する作用を測定し、上記のようなオルトログに関して単離したアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびミスマッチアンチセンスオリゴヌクレオチドで処理した単離した細胞または組織を用いて、または上記のようなオルトログに関して単離した相互作用−妨害ポリペプチドおよびミスマッチ制御ポリペプチドで処理した単離細胞または組織を用いて、または上記のような無関係なアンタゴニストまたはアゴニストで処理した細胞または組織を用いて見られる作用と比較する。
【0140】
xiv)薬理学的試験に使用した適切な実験動物から得た、機能的特性または使用特性において、ヒトのBASP1、GID2、GID3またはGID4遺伝子の変異体および/または組換え体のいずれかに相当する、BASP1、GID2、GID3またはGID4遺伝子の種のオルトログの形態を発現するように処理または処理した、本発明に記載した任意の適切な方法によって産出され導入され、漸増濃度の試験するアンタゴニストまたはアゴニストで処理したかまたは処理していない、単離した樹状細胞または同様の機能の細胞または適切な細胞株を、上記動物に移植し、続いてこれを免疫刺激によりチャレンジし、免疫応答に対する作用を測定し、上記のようなオルトログに関して単離した、アンチセンスオリゴヌクレオチドおよびミスマッチアンチセンスオリゴヌクレオチドで処理した単離した細胞を用いて、または上記のようなオルトログに関して単離した相互作用−妨害ポリペプチドおよびミスマッチ制御ポリペプチドで処理した単離した細胞を用いて得られる作用と、あるいは上記のような無関係なアンタゴニストまたはアゴニストで処理した細胞または組織を用いて見られる作用と比較する。
【0141】
xv)薬理学的試験に使用した適切な実験動物から得た、本発明により変更された機能的特性または使用特性を含むヒトのBASP1、GID2、GID3またはGID4遺伝子、または変異体、組換え体形態を発現するように操作または処理された、本発明に記載されている任意の適切な方法によって産出され導入された、漸増濃度の試験するアンタゴニストまたはアゴニストで処理されたかまたは処理していないかいずれかの、単離した樹状細胞または同様の機能の細胞もしくは細胞株を、上記動物に移植し、続いて免疫刺激によりチャレンジし、免疫応答に対する作用を測定し、そして上記のようなアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびミスマッチアンチセンスオリゴヌクレオチドで処理した単離した細胞または組織を用いて見られる作用と比較する。
【0142】
xvi)薬理学的試験に使用した適切な実験動物から得た、その発現が、上記のようにBASP1、GID2、GID3またはGID4プロモーター配列に依存しているか、または記載した本発明の方法によって産出した試験に使用する実験動物のオルトログBASP1、GID2、GID3またはGID4遺伝子のプロモーターに依存する、組換え体レポーター遺伝子を発現するように操作または処理されている、漸増濃度の試験するアンタゴニストまたはアゴニストで処理したかまたは処理していないかいずれかの、単離した樹状細胞または同様の機能の細胞または細胞株を、上記動物に移植し、続いて免疫刺激によりチャレンジし、組換え体レポーターベクター内に含まれるプロモーターの活性に対する作用を測定し、未処理の細胞またはBASP1、GID2、GID3またはGID4とは無関係な第2の遺伝子の発現のアンタゴニストまたはアゴニストで処理したかまたは処理していない細胞を用いて見られる作用と比較する。
【0143】
xvii)その中に単離した樹状細胞または記載したような同一の機能の細胞または細胞株が移植されている、BASP1、GID2、GID3またはGID4の任意の遺伝子形態または相補体または変異体または組換え体、あるいはBASP1、GID2、GID3またはGID4のオルトログ、あるいはBASP1、GID2、GID3またはGID4を含む組換え体レポーター遺伝子ベクター、あるいは記載した適切なオルトログプロモーター配列を発現するように処理したかまたはしていない、続いて免疫刺激によって刺激した、薬理学的試験において一般的に使用する実験動物を、漸増濃度の試験するアンタゴニストまたはアゴニストで処理し、上記の作用のいずれかを、上記の方法のいずれかによって測定し、アンチセンスオリゴヌクレオチド、相互作用−妨害ポリペプチドを用いて、あるいはBASP1、GID2、GID3またはGID4とは無関係な第2の遺伝子の発現または活性のアンタゴニストまたはアゴニストを用いて処理したまたは処理していない動物で見られる作用と比較する。
【0144】
xviii)ヒトBASP1、GID2、GID3またはGID4遺伝子または相補体または変異体または組換え体、あるいは本発明のヒトまたはオルトログBASP1、GID2、GID3またはGID4プロモーター配列を安定にまたは条件的に含みそして発現するように操作されている、本発明のトランスジェニック実験動物(その中ではトランスジーンが、内因性BASP1、GID2、GID3またはGID4オルトログ遺伝子の異種または同種置換物として、あるいは第2の遺伝子座における置換物または挿入物として産出され、続いて免疫刺激によってチャレンジする本発明のトランスジェニック実験動物を、漸増濃度の試験するアンタゴニストまたはアゴニストで処理し、上記の作用のいずれかを上記の方法のいずれかによって測定し、そしてアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いて、相互作用−妨害ポリペプチドを用いて、またはBASP1、GID2、GID3またはGID4とは無関係な第2の遺伝子の発現または活性のアンタゴニストもしくはアゴニストを用いて処理したかまたは処理していない動物で見られる作用と比較する。
【0145】
xix)免疫刺激によってチャレンジした、本発明のオルトログBASP1、GID2、GID3またはGID4遺伝子配列のホモ接合型決死津あるいはBASP1、GID2、GID3またはGID4活性を破壊するのに十分な欠失を含む遺伝子操作した実験動物を、漸増濃度の試験するアンタゴニストもしくはアゴニストで処理するか、あるいは動物から単離した樹状細胞または同様の機能の細胞を次いで動物に再度導入し、そして免疫応答に対する作用を測定し、未処理の動物または動物内に再導入した細胞においてて得られる作用と比較する。
【0146】
xx)上記の遺伝的変異体のいずれかを、例えば、特異的チャレンジに対して感受性が高い遺伝的背景において特異的免疫応答を生じるように、例えば、特異的チャレンジ後のより再生性があるかまたは浸透性免疫応答に影響を与えるように、例えば、ヒトにおいて観察されるもの以上に特徴的であり得るチャレンジに応答する免疫応答を生じるように、他の遺伝子座で交配または操作されている実験動物中で産出し、これらの変異動物を、免疫刺激によってチャレンジし、漸増濃度の試験するアンタゴニストまたはアゴニストで処理するか、またはこれらの動物から単離した樹状細胞または同様の機能の細胞、または上記のように改変した単離細胞のいずれかを、漸増濃度のアンタゴニストまたはアゴニストで処理するかまたはしないかして、動物内に再導入するかまたは導入し、免疫応答に対する作用を測定し、未処理の動物を用いてまたは、動物内に導入した未処理の単離した細胞を用いて得られる作用と比較する。
【実施例15】
【0147】
脊髄細胞株U937におけるBASP1の過剰発現
C−末端FLAGタグ化BASP1または空のベクターを発現するU937骨髄球細胞を、レトロウイルス遺伝子導入およびそれに続くFACS細胞ソーティングによって確立する。トランスフェクタントを、1×106細胞/mlで10μg/ml LPSで刺激する。IL−8分泌を、示した時点で、特異的ELISAによって測定する(例えば図7を参照のこと)。TNF−α分泌のレベルに変化がないことが観察された(データは示していない)。
【0148】
これらのデータは、BASP1の異所性発現が、IL−8、炎症性サイトカインの分泌を調整することできることを示している。したがって、BASP1経路の妨害が、炎症および自己免疫疾患のような疾患で考えられる。
【実施例16】
【0149】
抗原提示細胞におけるGID2.2の過剰発現
N−FLAG−GID2.2または空のベクターを高レベルで発現する樹状細胞に相当する、表現系(例えば、CD36、CD40、CD83のような表面マーカー)および機能性(例えば、HLA−II抗原の高い発現、HLA−IIとの複合体として抗原を内部に取り込み、処理し、そして提示する能力)を有するAB4細胞=EBV形質転換B細胞を、レトロウイルス形質導入およびそれに続くFACS細胞ソーティングによって確立する(例えば、図8を参照のこと)。ベクターまたはGID2.2を形質導入したAB4細胞に、DerP1タンパク質(=Pteronyssinusの皮膚ファゴイドタンパク質、ハウス−ダスト−ミベの主要アレルゲン性タンパク質)を取り込ませ、DerP1特異的T細胞クローンの増幅を刺激するために使用する。T細胞クローンの抗原特異的増幅を測定する(例えば図9を参照のこと)。
【0150】
これらのデータは、抗原提示細胞中のGID2.2の異所性発現が、T細胞増幅を正に調節することを示唆している。したがって、GID2.2の妨害が、自己免疫疾患、アレルギーおよび喘息のような、T細胞が慢性的に刺激される疾患において有用であり得る。
【0151】
【表2】 【表3】 【表4】 【表5】 【表6】 【表7】 【表8】 【表9】 【表10】 【表11】
本発明は、樹状細胞から単離された遺伝子、およびそのような遺伝子によってコードされるタンパク質(ポリペプチド)に関し、例えば、樹状細胞におけるそのような遺伝子/タンパク質の活性を阻害または活性化する(調節する)ことによる、異常な免疫応答を伴う疾患の治療的介入を含む。
【0002】
樹状細胞(DC)は、初期免疫応答および寛容の誘導において、中心的な役割を果たす、専門の抗原提示白血球である。未成熟の状態DCは、侵入病原体からの抗原を捕獲可能であり、炎症分子に応答しうる、体の異なる組織に存在する。抗原捕獲後、DCは、抗原提示細胞へと成熟し、T細胞を活性化するために、リンパ器官に移動する(Banchereau,M.and R.M.Steinman,Nature 329[1998]245−252)。例えば、皮膚に存在するランゲルハンス細胞(LC)が、皮膚で産出されるか、または浸潤しうる種々の抗原を提示することが示されてきた。過敏症に関して、反応性ハプテンの局所適用により、LCが活性化されて、表皮から灌注リンパ節に移動し、そこでLCは、選択されたT細胞に対する抗原を提示しうる。LCとT細胞の接触の間、LCは、T細胞増殖およびエフェクター細胞への分化を誘導するT−細胞へのシグナルを提供しうる。T細胞の型および関連する分子の相互作用の種類に依存して、細胞障害性、調節およびヘルパーT細胞が形成されうる。DCはまた、全ての種類のアポトーシス細胞を飲み込むことが示されてきており、それによって自己抗原に対する寛容の維持において重要な役割を果たしうる(Steinman,R.M and K.Inaba,J.Leukoc.Biol.66[1999]205−208)。例えば、接触皮膚炎およびアトピー性皮膚炎のような炎症性皮膚疾患を含む慢性炎症疾患、自己免疫疾患、移植拒絶発作、および、AIDSや癌を含む、免疫抑制または過敏性によって特徴づけられる疾患でのような、免疫応答の強力な開始および調節細胞として、DCが、原因または関連する役割を果たす疾患が、DC特異的薬理学的診療に関する標的であり得る。
【0003】
DCは、ネガティブ選択(富化)、すなわち存在する他の細胞型の選択的除去または特異的モノクローナル抗体(mAB)でコーティングした磁気ビーズまたはプラスチック表面上に捕捉することによって、単球(CD14+)、T−細胞(CD3+)、B−細胞(CD19+)およびNK細胞(CD16+)、例えば、従来の方法にしたがって、記載されているように、特定のmABで捕獲することによって単離した細胞の培養による単球または未成熟の前駆体細胞のようなこれらの他の細胞型からの分離によって単離することができる。RNAがDCから単離することができ、cDNAおよびcDNAライブラリーを作製することができ、そしてDCの異なる遺伝子発現パターンを、例えば、オリゴヌクレオチドフィンガープリンティング、RNA−cDNAハイブリダイゼーションプロファイリング、サブトラクティブハイブリダイゼーション、または配列決定によって、例えば、従来の方法に従って得ることができる。
【0004】
本発明者らは、単離したヒトDCのRNAから合成したcDNAより、表1にて示す名称を有している遺伝子のコピーを含む組換え体クローンを発見した。
【表1】
【0005】
単離したDCのcDNAライブラリーより、BASP1(NAP22、またはCAPとも呼ばれる)転写物のコピーを含む組換え体クローンを同定可能であり、これは、ヌクレオチド配列番号1を持ち、タンパク質配列決定データから導かれるBASP1に関する登録番号第P80723号で、SwissProt配列データベースでのポリペプチドと同一のポリペプチドをコードしている(Mosevitsky,M.I.,Biochimie 79[1997]373−384)。配列番号1は、GenBankにおけるポリヌクレオチド、登録番号第AF039656号(NAP22)(Park,S.,Mol.Cells 8[1998]471−477)および第NM_006317号(7ヌクレオチドが異なる)および第BC000518号(1ヌクレオチドが異なる)に対して、いくつかの置換、小さい欠失および挿入によって異なる。BASP1タンパク質は、脊髄および脳において発現されることが知られており(lino,S.and S.Maekawa,Brain Res.834[1999]66−73、lino,S.,Neuroscience 91[1999]1435−1444)、この部分で、神経細胞における膜微小領域(ラフト)上に局在することが観察されており、この局在は、コレステロール依存性である。(Maekawa,S.,J.Biol.Chem.274[1999]21369−21374)。BASP1タンパク質は、カルモジュリン−結合ドメインを含むことが示されており(Takasaki,A.,J.Biol.Chem.274[1999]11848−11853)、このことは、カルシウムの流れに応答する神経細胞中での代謝の活性化において基本的な役割を示唆しており、神経細胞中での局在性の変化が、神経極性の発達の間に生じることを示唆している(Kashihara,M.,Neurosci.Res.37[2000]315−325)。
【0006】
本発明者らは、ここで、DC中での遺伝子の機能に対する直接的な関連およびそれに関係している免疫反応性に関連して、DC中でのBASP1発現が、T細胞を刺激するDCの能力を強化することが知られている薬剤での処理に応答して誘導され、DCのこの特性が、免疫系内でのその鍵となる調節の役割の中心であることを観察した。DCの刺激に応答するBASP1遺伝子発現の誘導を図1に示す。
【0007】
さらに、本発明者らは、BASP1異所性発現が、IL−8のような、炎症性サイトカインの発現を調節することができることを観察した(実施例15および図7を参照のこと)。
【0008】
本発明者らはまた、単離したヒトDC由来のRNAから合成したcDNAから、GID2遺伝子(ポリヌクレオチド)のGID2.1およびGID2.2転写物のコピーを含む組換え体クローンを単離および同定することができるも発見した。DC由来のcDNAから直接同定した配列の再増幅、および複数のクローンの解析により、コンセンサス配列が、GID2.1転写物のポリヌクレオチド配列番号2、ポリペプチドをコードする配列番号3、および対応するコードされるポリペプチド配列番号4、ならびに、GID2.2転写物のポリヌクレオチド配列番号5および対応するコードされるポリペプチド配列番号6を含むことを明らかにする。配列番号2および配列番号5は、GID2遺伝子(ポリヌクレオチド)のおそらく異なってスプライシングされた転写物であり、GID2遺伝子のコード能力の多様性を反映している。コードされるGID2ポリペプチド配列GID2.1 配列番号4およびGID2.2 配列番号6は、2つの公知のタンパク質であるV7(CD101)白血球表面糖タンパク質およびプロスタグランジンF2αレセプター(FPRP)の調節タンパク質に相同であり、特性化されていないKIAA1436タンパク質に相同である。V7は、活性化T細胞、単球および顆粒球、ならびにT細胞のサブ集団および特定のアクセサリー細胞上に発現されており、T細胞中でのシグナル−1形質導入、すなわち、T細胞レセプター複合体の架橋によって生成されるシグナルの媒介において、役割を果たすことが示されている(Ruegg,C.L.ら,J.Immunol.154[1995]4434−4443)。マウスのFPRPは、F2αレセプター分子に物理的に結合し、その表面転位を防ぎ、したがって、プロスタグランジンF2による細胞性刺激を負に調節することが示されている(Orlicky,D.J.and S.K.Nordeen,Prostaglandins Leukot.Essent.Fatty Acids 55[1996]261−268、Orlicky D.J.,Prostaglandins Leukot.Essent.Fatty Acids 54[1996]247−259)。GID2ポリペプチドGID2.1 配列番号4およびGID2.2 配列番号6、ならびに相同であるV7タンパク質およびFPRPは、複数の免疫グロブリン様および主要組織適合性複合体ドメインを含み、多くの免疫に関係している活性に必要な重要な細胞内シグナルに関連している、免疫グロブリンスーパーファミリーの推定上の新規メンバーである。本発明者らは、DCにおける遺伝子の機能および関連する免疫反応性に関して、DCでのGID2発現が、T細胞を刺激するDCの能力を強化にすることが公知の薬剤での処置に応答して誘導され、DCのこの特性が、免疫系におけるその鍵となる調節の役割の中心であることを観察した。DCの刺激に応答するGID2遺伝子(ポリヌクレオチド)発現の誘導を、図2に示す。さらに、本発明者らは、抗原提示細胞中でのGID2.2の異所性発現が、T細胞増殖を正に調節することを発見した(実施例16および図8ならびに9を参照のこと)。
【0009】
本明細書中に記載するGID2遺伝子(ポリヌクレオチド)およびポリペプチドは、本発明によって提供されたGID2遺伝子(ポリヌクレオチド)およびポリペプチドである。
【0010】
本発明者らはさらに、単離したヒトDC由来のRNAから合成したcDNAから、GID3遺伝子の転写物のコピーを含む組換え体クローンを単離しそして同定することができることを発見した。DC由来のcDNAから直接同定した配列の再増幅および、多数のクローンの解析により、コンセンサス配列が、GID3転写物のポリヌクレオチド配列番号7、ポリペプチドをコードする配列番号8、および対応するコードされるポリペプチド配列番号9を含むことを明らかにする。後者の配列は、466、760、783および1274位で、コンセンサス配列Asn−Xaa−Ser/Thr(Marshall,R.D.,Annu.Rev.Biochem.41[1972]673−702)に特異的であり、aa残基248〜390のDENN(AEX−3)ドメインに対して強い相同性(4.7e−44)を持つ、4つの可能性あるN−グリコシル化部位を含む。ヒトのセリン−およびロイシン−を多く含むDENNタンパク質は、RGD細胞接着モチーフ、およびタンパク質二量体化に関するロイシン−ジッパー様モチーフを持ち、腫瘍壊死因子αのレセプター結合ドメインに対して部分的な相同性を示す。DENNは、I型腫瘍壊死因子レセプターと相互作用する、MADD、ヒトMAPキナーゼ活性化死亡ドメインタンパク質と、実質的に同一である。DENNは、細胞間小胞移動に関与しているRab3小Gタンパク質に特異的なラットGDP/GTP交換タンパク質であるRab3 GEPと有意な相同性を示す。DENNはまた、Caenorhabditis elegansのAEX−3と強い相同性を示し、これはRab3と相互作用して、シナプス小胞の放出を調節する(Lim,D.,ら,Genome 41[1988]543−552)。DENN(AEX−3)ドメインを含む他のタンパク質の例としては、Schizosaccharomyces prombe由来の仮想タンパク質(Q9Y7Q7)、ヒトDENNタンパク質(Q15741)、ヒトMADDタンパク質(O15293)、Caenorhabditis elegansタンパク質AEX−3(O02626)、およびラットRab3小Gタンパク質(O08873)が挙げられる。オルトログに対するGID3タンパク質の相同性から、GID3が、GTP依存性である特定の細胞性プロセスにおいて、例えばアダプター分子として、エフェクターを調節する役割を果たしうることが推定される。GID3ポリペプチド配列番号9は、推定ヒト147 KDAタンパク質(TREMBL:Q9UFV0)およびKIAA1090タンパク質(1つの点変異によって異なる)(TREMBL:Q9UPR1)と同一であり、酵母ツーハイブリッドスクリーニング(Janoueix−Lerosey,I.,ら,J.Biol.Chem 270[1995]14801−14808)にて同定されたRab6 GTP結合タンパク質に関連するタンパク質断片TREMBL:Q62146を含有している推定マウス144.1 KDAタンパク質(TREMBL:Q9QYZ2)と95.8%同一である(24残基のギャップおよび複数の点変異)。Rabタンパク質は、エンドサイトーシスおよび分泌経路による小胞伝達の調節に関与している、Ras様GTP結合タンパク質であり(Valencia,A.ら,Biochemistry 30[1991]4627−4648、Pfeffer,S.R.,Curr.Opin.Cell Biol.6[1994]522−526、Nuoffer,C.and W.E.Balch,Annu.Rev.Biochem.63[1994]949−990)、Rab6は、ゴルジ体内膜伝達を調節すると考えられる(Goud,B.ら,Nature 345[1990]553−556、Martinez,O.ら,J.Cell Biol.127[1994]1575−1588)。マウスRab6に関連するホモログTREMBL:Q62146の断片は、Rab6のGTPが結合した形態と、優先的に相互作用することが示されており(Janoueix−Lerosey,I.ら,J.Biol.Chem 270[1995]14801−14808)、したがって、Rab6のエフェクターまたはGAPタンパク質のいずれかに相当すると予測される。GID3が機能する1つの他の可能性のあるプロセスは、カルモジュリン結合タンパク質として同定された、GenBank AAF46398配列エントリーのオルトログ遺伝子であるD.melanogaster Cragタンパク質に対するその関係(23%同一/72.1%アライメント)によって示唆される(Xian−Zhong,S.X.ら,J.Biol Chem 274[1998]31297−31307)。後者の物理的相互作用は、シグナル伝達事象でのカルモジュリンとの共調節機能の可能性を反映していると考えられ、これにおいては、カルモジュリンは、カルシウムの流れの主要な細胞センサーである。さらに、カルモジュリンは、それ自体が別のRabタンパク質Rab3Aに結合することが示されている(Park,J.B.ら,J.Biol.Chem.272[1997]20857−20865)。本発明者らは、DC中での遺伝子の機能および関係している免疫反応性に関して、DC中でのGID3発現が、T細胞を刺激するDCの能力を強化にすることが知られている薬剤での処理に応答して誘導され、DCのこの能力が、免疫系でのそれらの鍵となる調節の役割の中心であることを観察した。DCの刺激に応答するGID3遺伝子(ポリヌクレオチド)発現の誘導を図3に示す。本明細書で記載したGID3遺伝子(ポリヌクレオチド)およびGID3ポリペプチド(タンパク質)は、本発明で提供したGID3遺伝子(ポリヌクレオチド)およびGID3ポリペプチド(タンパク質)である。
【0011】
本発明者らはまた、単離したヒトDC由来のRNAから合成したcDNAから、GID4遺伝子の転写物のコピーを含む組換え体クローンを単離しそして同定することができることを発見した。DC由来のcDNAから直接同定した配列の再増幅および、多数のクローンの解析により、コンセンサス配列が、GID4転写物のポリヌクレオチド配列番号11、ポリペプチドをコードする配列番号12、および対応するコードされるポリペプチド配列番号12からなることが明らかになる。後者の配列は、ポリペプチドの長さ全体にわたって分散している、6〜8の可能性ある膜貫通ドメインを含む大きな(832アミノ酸)タンパク質からなる。コンセンサス配列Asn−Xaa−Ser/Thr(Marshall,R.D.,Annu.Rev.Biochem.41[1972]673−702)に特異的な、7つの可能性のあるアスパラギンN−グリコシル化部位(位置15、177、266、368、406、462および511)が存在する。GID4で見られるさらなるモチーフには以下が含まれる:2つの連続したN末端近傍の塩基性残基(Fremisco,J.R.ら,J.Biol.Chem.255[1980]4240−4245、Glass,D.B.and S.B.Smith,J.Biol.Chem.258[1983]14797−14803、G.ass,D.B.ら,J.Biol.Chem.264[1986]2987−2993)の規則にしたがうスレオニン224残基に、1つの可能性のあるcAMP/cGMP依存タンパク質キナーゼリン酸化部位、コンセンサス(S/T)(×2)(D/E)規則(Pinna,L.A.,Biochim.Biophys.Acta 1054[1990]267−289)にしたがう17個の可能性のあるカゼインキナーゼIIリン酸化部位(セリンまたはスレオニン残基76、114、268、337、397、456、535、603、746、779、791、792、800、801、814、820および824の位置)、コンセンサス(S/T)(×)(R/K)規則(Woodget,J.R.ら,Eur.J.Biochem.161[1986]177−148、Kishimoto,A.ら,J.Biol.Chem.260[1985]12492−12499)にしたがう8つの可能性のあるタンパク質キナーゼCリン酸化部位(セリンまたはスレオニン残基25、222、227、253、388、424、700および768の位置)、コンセンサス(R/K)(×2/3)(D/E)(×3/2)(Y)規則(Patschinsky,T.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 79[1982]973−977、Hunter,T.,J.Biol.Chem.275[1982]4843−4848,Cooper,J.A.ら,J.Biol.Chem.259[1984]7835−7841)にしたがう4つの可能性のあるチロシンキナーゼリン酸化部位(チロシン残基86、143、257および258の位置)、ならびにTowler,D.A.ら,Annu.Rev.Biochem.57[1988]69−99およびGrand,R.J.A.,Biochem.J.258[1989]625−638によって定義されたコンセンサスパターンにしたがう4個の可能性のあるミリストイル化部位(グリシン残基35、39、621または787の位置であり、これらは内部グリシン残基であり、これらの全ての位置でのN末端ミリストイル化は、転移酵素であるミリストイルCoA:タンパク質N−ミリストイルトランスフェラーゼの作用に供されるグリシン残基の1つをN−末端に露出させる、この場合の前駆タンパク質であるGID4タンパク質のタンパク質分解的切断に依存する)。GID4タンパク質は、多くの未知の機能の推定上の膜貫通タンパク質の特徴である、DUF221(PFAM記号)と名付けられた、残基348〜809の、よく保存された(E=1.2e−89)大きなポリペプチドドメインを含む。GID4タンパク質配列の、コンセンサスDUF221配列に対する配列相同性を、このドメイン中にあるGID4中の推定膜貫通ドメインの図4、5〜6に示す。DUF221を含有しているタンパク質ファミリーの公知の例には、推定のS.cerebisiae Ylr241w(SwissProt登録番号第S59387号)、および遺伝子ymr266wによってコードされる107.7KDAタンパク質(SwissProt登録番号第Q03516号)、遺伝子spac2g11.09によってコードされる推定のS.pombe 90.9kdaタンパク質(SwissProt登録番号第Q09809号)、Arabidopsis thalianaの81.9KDAタンパク質(TREMBL:Q9C8G5)、D.melanogaster 760アミノ酸CG11210タンパク質(TREMBL:Q9V364)、推定ヒト807アミノ酸KIAA0792タンパク質(TREMBL:O94886)、および推定ヒト93.3/93.8KDAタンパク質(TREMBL:Q9P1W3およびQ9P1W1)が含まれる。もっとも密接に関係している公知のヒトタンパク質は、KIAA0792タンパク質(TREMBL:O94886、Nagase,T.ら,DNA Res.5[1998]277−286)であり、これは59.0%同一性を持って、753アミノ酸の重なりで、GID4ポリペプチド配列番号12と一列にならび(2.1e−174)、また、817アミン酸の重なりにわたる、43.0%同一性でならぶ(4.8e−128)、93.3/93.8KDAタンパク質(TREMBL:Q9P1W3およびQ9P1W1)である。非常に遠い関係にある生物のDUF211を含有しているタンパク質もまた、729アミノ酸重複において33.3%同一性にて、GID4タンパク質配列番号12と並ぶ(8.3e−49)、D.melanogaster760アミノ酸CG11210タンパク質(TREMBL:Q9V364、Adams,M.D.ら,Science 287[2000]2185−2195)、および656アミノ酸重複で23.2%同一性で並ぶ(8.6e−14)、Arabidopsis thalianaの81.9KDAタンパク質(TREMBL:Q9C8G5、Theologis,A.ら,Nature 408[2000]816−820)と著しい相同性を示す。これらのタンパク質配列全体の相同性に加えて、タンパク質内でのDUF221ドメインの相対位置、および可能性のある膜貫通ドメインの分布、およびN−グリコシル化部位によって定義されるような、保存されている構造的機構も存在し、この関係を図5に示す。GID4タンパク質の370のC−末端配列は、公知の推定上のタンパク質断片(TREMBL:Q9NSG5)と同一である。
【0012】
本発明者らは、DC中で遺伝子の機能および関係している免疫反応性に関して、DC中でのGID4発現が、T細胞を刺激するDCの能力を強化にすることが知られている薬剤での処理に応答して誘導され、このDCの能力が免疫系でのそれらの鍵となる調節の役割の中心であることを発見した。DCの刺激に応答する、GID4遺伝子発現の誘導を図6に示す。膜貫通タンパク質の主要な促進因子スーパーファミリーのメンバーとして分類される機能が未知であるS.cerebisiae Ylr241wタンパク質に対するGID4タンパク質の相同性によると(Nelissen,B.ら,FEMS Microbiol.Reviews 21[1997]113−134)、刺激したDCまたは他の細胞中でのGID4タンパク質の推定される活性は、例えば、成熟または分化または細胞の活性化のような細胞の状態の変化の間に細胞膜で、あるいは上記の細胞の状態の変化に重要である他の細胞性タンパク質との協調して行われる細胞成分と膜表面との間の境界線で生じる、活性化シグナルまたは他のプロセスの媒介に関与することである。DCの場合、この状態の変化(例えば細胞の活性化)は、正常な免疫応答のためのDCのT細胞との相互作用の間に、表現系的に増幅される。
【0013】
1つの態様において、本発明は、単離した、
− 免疫系の樹状細胞(DC)中で発現されたBASP1遺伝子、または
− 免疫系の樹状細胞中で発現されたGID2遺伝子(ポリヌクレオチド)、または
− 例えば、免疫系の樹状細胞中で発現されたGID3遺伝子、または
− 例えば、免疫系の樹状細胞中で発現されたGID4遺伝子
を提供する。
【0014】
別の態様において、本発明は、単離した、
− 配列番号1の配列を含むBASP1遺伝子、または
− 配列番号2および/または配列番号3および/または配列番号5を含むGID2遺伝子、または
− 例えば、コード配列番号8を含む、配列番号7を含むGID3遺伝子、または
− 例えば、コード配列番号12を含む、配列番号11を含むGID4遺伝子
を提供する。
【0015】
− 本発明の免疫系のDC中で発現されたBASP1遺伝子は、例えばSwissProt第P80723号エントリーのBASP1ポリペプチドをコードしている。本発明のBASP1ポリペプチドには、SwissProt第P80723号エントリーのポリペプチドが含まれる。
− 本発明によって提供されるGID2ポリヌクレオチド(遺伝子)は、例えば、配列GID2.1配列番号4および/またはGID2.2配列番号6の、GID2ポリペプチド(タンパク質)をコードしている。
− 本発明のGID2ポリペプチドはしたがって、配列GID2.1配列番号4および/またはGID2.2配列番号6のポリペプチドを含む。
− 本発明によって提供されるGID3遺伝子は、例えば配列番号9の、GID3ポリペプチドをコードしている。本発明のGID3ポリペプチドには、配列番号9のポリペプチドが含まれる。
−本発明のGID4遺伝子(ポリヌクレオチド)は、配列番号12の、GID4ポリペプチドをコードしている。本発明のGID4ポリペプチド(タンパク質)には、配列番号12のポリペプチドが含まれる。
【0016】
別の態様において、本発明は、例えば
− BASP1遺伝子によってコードされる、例えばSwissProt第P80723号エントリーの、BASP1、または
− 例えばGID2遺伝子によってコードされる、例えば配列番号4および/または配列番号6の、GID2、または
− 例えばGID3遺伝子によってコードされる、例えば配列番号9の、GID3ポリペプチド、または
− 例えばGID4遺伝子によってコードされる、例えば配列番号12の、GID4ポリペプチド、
の免疫系の樹状細胞中で発現された単離されたポリペプチドを提供する。
【0017】
本明細書で、他に特に定義しない限り、「ポリヌクレオチド」には、あらゆるポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌクレオチドが含まれ、これは、限定はしないが、一本鎖および二本鎖のRNAまたはDNA、ならびに一本鎖および二本鎖領域の混合物であるRNAまたはDNAを含む、未改変RNAまたはDNA、あるいは改変RNAまたはDNAでありうる。
【0018】
本明細書で、他に特に定義しない限り、「ポリペプチド」には、ペプチド結合によって互いに連結された、2またはそれ以上のアミノ酸を含む任意のペプチドまたはタンパク質が含まれる。
【0019】
本発明のDC中で発現された遺伝子(ポリヌクレオチド)には、例えば対立遺伝子変異体、およびその転写および転写後改変変異体、および/またはそれらの相補体を含む、表1に示す遺伝子(例えば配列番号4、配列番号6、配列番号9および配列番号12)のポリペプチド配列をコードしている、およびその対立遺伝子変異体、ポリヌクレオチドにおける転写および転写後差違による変異体、および翻訳後修飾による変異体を含む、DCで天然に発生しうる、表1に示す相当する配列のポリヌクレオチド(例えば、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号8、配列番号10および配列番号11)ならびにその変異体が含まれる。免疫系のDC中の本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドには、DCに密接に関係している細胞で発現される配列、および本発明と同様の免疫学的機能の配列、および例えば、薬理学的探索で一般的に使用される実験動物の免疫系のDC中で、および本発明のそれらの種のDCに密接に関係している細胞中で発現されるオルトログ変異体が含まれる。ここで、上記変異体は、種の分岐の間に発生することが一般的に公知な機構によるものであり、例えば、上記オルトログ配列の、対立遺伝子、転写および転写後、ならびに翻訳後変異体である。
【0020】
本発明の遺伝子の「対立遺伝子変異体」は、それぞれ、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号8、配列番号10および配列番号11、ならびにSwissProt第P80723号エントリーとは異なる所定の種に存在する遺伝子のポリヌクレオチドおよびポリペプチド、ならびに相補的なポリヌクレオチド配列の形態であり、ここで、差異は、一般的に公知の機構による種の進化の間に生じた変異を特徴とする場合がある。一般的に、対立遺伝子変異体は、配列の長さ全体にわたり、95%以上、例えば97%または99%以上、そして100%未満の同一性を持ち、上記同一性は、配列の長さ全体のの最適な直線的なアライメントにおいて、対応する位置での同一のヌクレオチドまたはアミノ酸残基の割合として計算される。
【0021】
遺伝子の「転写変異体」は、それぞれ、表1に示す配列および例えば、SwissProt第P80723号エントリーとは異なる、所定の種内に存在するポリヌクレオチドおよびコードされるポリペプチド、ならびに配列の長さ全体の最適な直線的アライメントの最初または終わりの部分で、追加の配列部分を含ませることまたは配列部分を欠失させることによって、対応するポリヌクレオチド相補的配列であり、ここで上記変異体は、一般的に公知の機構による、遺伝子染色体鋳型からのRNA合成の開始および/または終結の位置に起因しうる。
【0022】
遺伝子の「転写後変異体」は、それぞれ与えられた配列、例えば配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号8、配列番号10および配列番号11、ならびにSwissProt第P80723号エントリーとは異なる、所定の種に存在する遺伝子のポリヌクレオチドおよびコードされるポリペプチド、ならびに配列の長さ全体の最適な直線的なアライメントの最初または終わりの部分で、追加の配列部分を含ませるかまたは配列部分を欠失させることによる、相補的ポリヌクレオチド配列であり、ここで上記変異体は、一般的に公知である機構によって、染色体鋳型から合成されたRNA配列部分の切除およびスプライシングに由来しうる。
【0023】
遺伝子の「翻訳後変異体」は、そこで配列の長さの差異が特異的なタンパク質の分解的改変に由来しえる、配列の長さ全体の最適な直線的なアライメントの最初または終わりの部分で、配列部分を決失させることまたは追加の配列部分を含ませることによって、与えられた配列および例えばSwissProt第P80723号エントリーとは異なるか、あるいはリン酸化、ミリストイル化、アセチル化を含みうる、配列内に含まれる特定のアミノアシル残基の生物学的変化、例えば存在することが一般的に公知であるタンパク質の多くの型の生化学的改変のなかの変化を含ませることによって、与えられた配列とおよび例えばSwissProt第P80723号エントリーとは異なる、所定の種に存在する遺伝子のポリペプチド配列である。
【0024】
遺伝子の「オルトログ変異体」は、第2の種に存在する遺伝子のポリヌクレオチドおよびコードされるポリペプチドである。ここで、配列の長さ全体の最適な直線的なアライメントで見られる、それぞれ、所定の配列、例えば配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号8、配列番号10および配列番号11、ならびにSwissProt第P80723号エントリー、ならびに相補的ポリヌクレオチド配列とは異なる一般的に公知である機構による進化の間の種の分岐の際に生じた変異により生じた由来する可能性がある。
【0025】
「アライメント」は、最小である単一残基または部分偏差への割り当てを伴って、その直線配列に沿って構成要素である単一のヌクレオチジル残基またはアミノアシル残基、あるいはそのような残基の部分またはブロックの、同一性または関連性または相補性にしたがって、配列の全体的な関連性を決定できるように、2つの直線的な配列を一緒に並べることである。上記関連性は、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列の同一性の測定であり、例えば市販されているコンピュータプログラムを用いる従来の方法によって計算することができる。
【0026】
例えば、その(既存の)変異体または一部を含む本発明のポリヌクレオチドは、DCまたは他の細胞由来のmRNAから導かれたcDNAまたはcDNAライブラリーから、あるいはゲノムDNAから、標準的なクローニング、スクリーニングおよび配列決定法、例えば発現配列タグ(EST)解析による、cDNAライブラリーからのBASP1ポリヌクレオチド配列の同定によって、分子クローンとして天然の供給源より入手することができる(Adams,M.D.ら,Science 252[1991]1651−1656、Adams,M.D.ら,Nature 355[1992]632−634、Adams,M.D.ら,Nature 377[1995]Suppl.:3−174)。BASP1ポリヌクレオチド、またはその変異体もしくは部分もまた、従来の方法にしたがって合成することもできる。例えばその(存在する)変異体または部分を含む本発明のBASP1ポリペプチドは、天然の供給源から入手することもでき、例えば細胞または組織から単離することもでき、ポリペプチドまたはその変異体もしくは部分はまた、従来の方法にしたがって合成することもできる。
【0027】
本発明のポリヌクレオチド(遺伝子)は、当業者によって組換え体分子の使用に適切なように、例えば、本発明の実用性または改変遺伝子機能の特性を与えるのに適切なように、例えば、従来の方法にしたがって、そのような特性を与える外来DNA配列(すなわち、本発明のポリヌクレオチド内に含まれないDNA配列)と、遺伝子配列を連結させることによって、組換え体分子の一部として組み込むことができる。ポリヌクレオチドを、ポリペプチドの産出のために使用する場合、ポリヌクレオチド配列は、他の配列、例えばそれ自体による成熟ポリペプチド(またはその断片)のコード配列、あるいはリーダーまたは分泌配列、プレ−、またはプロ−またはプレプロ−タンパク質配列をコードしているもののような、外来コード配列と連続したリーディングフレーム中に融合したポリペプチドをコードする配列(またはその断片)、あるいは例えばそのような目的のために一般的に使用される他の融合ペプチド部分を含むこともできる。例えば組換え体ポリペプチドの精製を容易にする外来マーカー配列を結合させうる。マーカー配列は、適切である場合には、例えば、pQEベクター(キアゲン社(Qiagen,Inc.))によって提供され、例えばGentzら,Proc Natl Acad Sci USA 86[1989]821−824)に記載されているようなヘキサ−ヒスチジンペプチド、または例えばヘマグルチニン(HA)タグを含むことができる。本発明の組換え体ポリヌクレオチドはまた、スプライシングおよびポリアデニル化シグナルのような非翻訳配列、リボソーム結合部位、局在化配列、ならびにmRNAを安定化もしくは不安定化させる配列、例えば当業者によって、適切である場合には調節特性を与えることが一般的に公知であるいくつかの非コード配列のうちの任意のものである、非コードヌクレオチド配列を含むこともできる。非コードヌクレオチド配列は、本発明の遺伝子の転写物または転写変異体中に、あるいは例えば従来の方法にしたがって、適切である場合にはポリヌクレオチド配列として、自然界に存在しうる。
【0028】
適切なポリペプチドまたはポリリボヌクレオチド、あるいは相補的ポリリボヌクレオチドまたはその一部の産出に使用する、遺伝子配列を含む組換え体分子もまた、例えば遺伝子の対立遺伝子または相同変異体またはオルトログ変異体として自然界に存在しているような、例えば、従来の方法によって遺伝子配列に人工的に導入することができるような、特定の変異を含む場合があり、これによって、本発明の、相当するポリペプチドまたはポリリボヌクレオチド、あるいは相補ポリリボヌクレオチドの機能特性の改変を行うことができる。
【0029】
別の態様において、本発明は、本発明の遺伝子(ポリヌクレオチド)、および/または例えば、本発明のポリペプチドを提供する。
【0030】
表1に示す配列を含むベクターは、例えば、従来の方法によって適切に産出しうる。配列を含むベクターは、例えば、物理的運搬、自己または細胞依存性複製、発現および選択を変更する特性のような、特定の特性を配列に人工的に加えて産出しうる。そのようなベクターは、例えば、従来の方法にしたがって、例えば、市販されている適切なベクターを使用して、望む特性を提供する外来DNA配列とポリヌクレオチド配列を連結することによって、産出することができる。ベクター内に含まれる、ポリヌクレオチドの発現特性は、例えば当業者によって、例えば従来の方法にしたがって、望む発現に適切であるように、天然に存在する遺伝子プロモーター、または真核生物の、原核生物の、またはウイルスの遺伝子にような他の遺伝子のプロモーターを組み込むことによって決定することができる。
【0031】
本発明の遺伝子を含むベクターは、例えば、適合する宿主細胞のような宿主細胞中で、ポリヌクレオチドまたは組換え体ポリペプチド、ポリリボヌクレオチドまたはその相補物を産出可能である発現系を入手するために有用であり得る。例えば、BASP1、GID2、GID3またはGID4、または組換え体BASP1、GID2、GID3またはGID4ポリペプチドは、例えば、BASP1、GID2、GID3またはGID4遺伝子を含むベクターを、相当する遺伝子、例えばSwissProt第P80723号エントリーのBASP1ポリペプチド、または例えば本発明のその部分または変異体(群)のようなBASP1ポリペプチドの産出のために、宿主細胞内へ、発現系を組み込むために使用することによって、遺伝工学的に操作した宿主細胞において、本発明にしたがって合成しうる。細胞を用いない転写または翻訳系もまた、本発明にしたがって、例えば従来の方法によって、例えばポリヌクレオチド配列を含む組換え体DNAベクター由来のRNAを用いて、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドを産出するために使用しうる。
【0032】
遺伝子プロモーター配列、すなわち、本発明の遺伝子の転写発現を制御するポリヌクレオチドの染色体鋳型に対して近位に存在する染色体DNAから得た配列を含むベクターは、適切に産出することができる。そのようなベクターはまた、本発明のポリヌクレオチドも含むこと、例えば上記のように含むことができる。すなわち、ベクターは、物理的に、遺伝子の活性を特性化する配列と、遺伝子の転写発現の特性を特性化する配列とを連結するか、または容易かつ定量的に検出可能な指標分子を含む外来配列を含むことができる場合もある。すなわち、ベクターは、遺伝子プロモーター活性の単純な指標を特性化する配列と、遺伝子の転写発現の特性を特性化する配列とを連結することもできる。
【0033】
別の態様において、本発明は、本発明の遺伝子(ポリヌクレオチド)、例えば、上記のように改変された単離されたポリヌクレオチド、または組換え体ベクターの一部として含まれる例えば上記のような単離された遺伝子プロモーター配列を含む本発明のポリヌクレオチドを、例えば発現ベクターの一部として含む発現系を提供する。ここでは、上記発現系またはその一部は、本発明の相当するポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドを産出可能であり、例えば、または上記発現系またはその一部は、上記発現系またはその一部は、適合可能宿主細胞内に存在する場合には、例えば上記のように、例えば任意の上記の組換え体ベクターの発現が可能である発現系またはその一部を含む、適切なプロモーター配列による転写制御を受ける。
【0034】
別の態様において、本発明は、例えば以上で定義したように、本発明のポリヌクレオチド、
− またはその相補的ポリヌクレオチド配列もしくは変異体、
− またはその改変物、
− またはそのようなポリヌクレオチドの一部、
− またはそのようなポリヌクレオチドを含む組換え体分子
を含む改変された宿主細胞の、あるいは、
特定のポリヌクレオチドに対応するポリペプチドを産出可能な、そのようなポリヌクレオチドを含む宿主細胞の、あるいは
上記のポリペプチドまたはその変異体、またはその改変物または部分を含む宿主細胞、例えば、上記の任意の発現系を含む、そしてその発現が可能である改変された宿主細胞を産出するための工程を提供し、工程は、上記ポリヌクレオチドまたはポリペプチドを宿主細胞に伝達することを含み、そこで、上記工程は、上記宿主細胞内で、本発明の遺伝子の活性を伝達するかまたは改変するために使用しうる。
【0035】
伝達には、例えば従来の方法にしたがって、例えばそれと同様に、例えば形質転換、トランスフェクション、トランスベクション、エレクトロポレーション、またはマイクロインジェクションが含まれる。
【0036】
別の態様において、本発明は、ポリヌクレオチドを含む適切な組換え体ベクターのDNAを、宿主細胞内に導入すること、例えば、遺伝子発現系を適切な宿主細胞内に導入すること、および導入されたDNAを安定して維持する細胞を単離することを含む、発現系、または上記のヒトの発現系の一部として、本発明の遺伝子(ポリヌクレオチド)を含む、安定なトランスジェニック宿主細胞の産出に関する工程を提供し、例えば上記細胞は、安定なトランスジェニック宿主細胞として定義される。
【0037】
適切な培養条件下で、本発明の安定なトランスジェニック宿主細胞は、例えば該配列の、相当するポリリボヌクレオチド、またはその相補物、または例えば上記のような、その変異体または改変体または一部を産出する。本発明の安定なトランスジェニック宿主細胞は、上記ポリリボヌクレオチドに相当するポリペプチドを産出可能であり得る。本発明の工程は、上記トランスジェニック宿主細胞内に、適切な条件下で、本発明の遺伝子の活性を安定に導入または改変するために使用することもできる。
【0038】
別の態様において、本発明は、本発明の発現系を含む単離された宿主細胞、例えば上記の工程によって産出しそして単離した、例えば安定な遺伝子を含有しているトランスジェニック宿主細胞を提供する。
【0039】
別の態様において、本発明は、本発明のポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドの産出のために十分な条件下で、本発明の発現系を保持している、上記のような単離され改変されたかまたは安定なトランスジェニック宿主細胞を培養すること、ならびに上記ポリヌクレオチドまたはポリペプチドを、培養液から回収することを含む、本発明のポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドを産出するための工程を提供し、例えばここで、回収したポリヌクレオチドまたはポリペプチドの配列、および回収した物質の組成は、発現系を含むベクター内のポリヌクレオチドの性質、保持している宿主細胞の作用、および物質の生化学的単離方法によって決定される。
【0040】
宿主細胞へのポリヌクレオチドの導入は、例えばリン酸カルシウム媒介性トランスフェクション、DEAE−デキストラン媒介性トランスフェクション、トランスベクション、マイクロインジェクション、カチオン脂質媒介性トランスフェクション、エレクトロポレーション、形質導入、スクレープローディング、衝撃による導入、感染のような方法を含む、例えば従来の方法にしたがって、例えばDavisら,Basic Methods in Molecular Biology(1986)、Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989)にしたがって、適切に達成することができる。
【0041】
適切な宿主細胞の例には、Streptococci、staphylococci、E.coli、StreptomycesおよびBacillus subtilis細胞のような細菌細胞、酵母およびAspergillus細胞のような真菌細胞、Drosophila S2およびSpodoptera Sf9細胞のような昆虫細胞、CHO、COS、HeLa、C127、CCL39、3T3、BHK、HEK293およびRajiリンパ細胞のような単離されている動物細胞、ならびに植物細胞が含まれる。
【0042】
適切な発現系には、例えば染色体、エピソームおよびウイルス由来の系、例えば細菌プラスミドから、バクテリオファージから、トランスポゾンから、酵母エピソームから、挿入エレメントから、酵母染色体エレメントから、バキュロウイルス、SV40のようなパポバウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、家禽ジフテリアウイルス、仮性狂犬病ウイルスおよびレトロウイルスのようなウイルスに由来するベクター、ならびにコスミドおよびファージミドのようなプラスミドとバクテリオファージ遺伝子エレメントに由来するもののようなこれらの組み合わせから由来するベクターが含まれる。発現系は、発現を調節する、ならびに発生させる制御領域を含みうる。一般的に、宿主内で、ポリヌクレオチドおよびポリペプチドを維持し、増殖させ、または発現させるのに好適な任意の系またはベクターを使用することができる。適切なヌクレオチド配列を、従来の方法にしたがって、例えばSambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(上記)にしたがって、発現系内に挿入しうる。
【0043】
本発明の発現系を保持するように操作されている宿主細胞によって発現された、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、例えば、従来の方法にしたがったもののような、例えば(生化学的)抽出および分離の方法を含む、任意の適切な方法によって十分な収率および純度で、宿主細胞より単離しうる。収率および純度は、単離した物質が使用される目的に適切な収率および純度であり得る。例えば、本発明のポリヌクレオチドは、細菌宿主細胞から、二本鎖または一本鎖DNA組換え体ファージミド分子として、またはポリリボヌクレオチドとして、例えば多量の精製したポリヌクレオチドを得る目的のために、発現系を含むベクターの性質に依存して単離することができる。感染性または非感染性ウイルス粒子を発現している好適な系に組み込まれるポリヌクレオチドは、適切な形態で、例えば、本発明の遺伝子活性の調節を検出するために設計された生物学的実験またはスクリーニングアッセイに適切な形態で、単離しうる。相当するポリペプチドは、適切な形態で、例えば、本発明の遺伝子活性の調節を検出するために設計された生物学的実験またはスクリーニングアッセイに適切な形態で単離することができるか、またはいくつかの場合、相当するポリペプチドを発現している宿主細胞をそのようなアッセイで、直接使用しうる。ポリペプチドは、一般に使用される実験動物で、抗体を産出するために使用することができる。
【0044】
ポリペプチドの単離および精製は、適切なように、例えば従来の方法にしたがって、例えば適切な方法の組み合わせを含んで、実施しうる。適切な方法には、例えば、発現宿主細胞培養液からの直接の回収、界面活性剤による抽出、酸抽出のような抽出、超遠心分離、密度勾配遠心分離のような遠心分離、硫酸アンモニウム沈殿またはエタノール沈殿のような沈殿、陽イオンまたは陰イオン交換クロマトグラフィー、リン酸セルロースクロマトグラフィー、疎水相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィー、レクチンクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィーを含むようなクロマトグラフィーが含まれる。本発明のポリペプチドが、単離または精製の間に変性した場合、活性な立体構造の再生、例えばポリペプチドの変性させられた形態から非変性形態へのリホールディングを、適切なように、例えば従来の方法にしたがって、実施しうる。本明細書で他に特に言及しない限り、「単離および精製」には、「共存している物質からの分離」、例えば天然の状態からの「ヒトの手による改変」の意味が含まれる。
【0045】
本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドまたはベクターまたは発現系または宿主細胞は、研究試薬として、および動物ならびにヒト疾患のための治療の発見に関する物質として使用しうる。そのような疾患には、免疫応答が、疾患に関係している病因、進行および/または悪化症状の主要な要素である疾患が含まれ、例えば、アレルギー性およびアトピー性皮膚炎のような、炎症性皮膚疾患、および腸および大腸、肺および脈管組織のような他の組織で症状が見られる慢性炎症疾患を含む急性および慢性炎症疾患、例えば自己免疫疾患における異常な免疫応答、または移植拒絶においてのような、疾患の治療的処置に関連した望まない免疫応答、例えば癌のような疾患における免疫過剰反応または抑制、および持続性ウイルスまたは細菌感染に関連した疾患が含まれる。例えば、ポリペプチドとカルモジュリンとの間の相互作用のアンタゴニストは、疾患、例えば上記のような疾患に関係している免疫応答において、樹状細胞の活性化に必要なカルシウム媒介性形質導入経路を分断する場合がある。あるいは、例えば、免疫の活性化の間に、本発明の樹状細胞による遺伝子の過剰発現を導く誘導段階のアンタゴニストは、これらの細胞におけるカルシウム媒介性形質導入経路を遮断する場合もある。遺伝子活性が中和されている活性化された樹状細胞は、免疫刺激シグナルの増幅に関係してT細胞応答を調節するか、またはそのように指向する場合がある。
【0046】
別の態様においては、本発明は、診断試薬として本発明の遺伝子の使用を提供する。
【0047】
機能障害に関連する本発明の遺伝子の、異常な発現または対立遺伝子形態の検出により、疾患または疾患への感受性の診断に加わるまたは定義しうる、例えば診断アッセイにおいてのような、診断ツールが提供される。遺伝子の対立遺伝子変異体は、個々のDNA中で検出することができるか、遺伝子の発現をcDNA中で検出することができるか、または抗体または他の方法を用いて、例えば従来の方法によってタンパク質として検出することができる場合もある。
【0048】
診断のためのDNAまたはRNAまたはタンパク質は、血液、尿、唾液、組織生検または死体解剖物質からのような、対象の細胞より得ることができる。ゲノムDNAは、直接検出に使用してよく、または解析の前に、PCRまたは他の増幅技術を用いることで、酵素的に増幅してよい。RNAまたはcDNAもまた、同様に解析に使用することができる。
【0049】
欠失および挿入は、正常の対象由来の増幅産物と比較して増幅産物の大きさの変化によって検出しうる。点変異は、標識されたBASP1遺伝子ヌクレオチド配列に対する増幅されたDNAのハイブリダイゼーションによって同定することができる。完全にマッチした配列は、例えばRNase消化、または融点温度の差異によって、ミスマッチ二本鎖から区別可能である。DNA配列の差異はまた、変性剤を含むかまたはそれを含まないゲル中でのDNA断片の電気学移動度の変化によって、あるいは、例えばMyersら,Science(1985)230:1242にしたがう直接DNA配列決定によっても検出することができる。特定の局所での配列変化はまた、RNaseおよびS1保護のようなヌクレアーゼ保護アッセイ、またはCottonら,Proc Natl Acad Sci USA(1985)85:4397−4401にしたがう化学的開裂方法によって明らかにすることができる。本発明のポリヌクレオチド配列またはその断片を含むオリゴヌクレオチドプローブのアレイを、例えば特定の対立遺伝子遺伝的多型の十分なスクリーニングを達成するために構築しうる。アレイ技術方法は、例えば、遺伝子発現、遺伝子の連結、および例えばM.Cheeら,Science(1996)274:610−613にしたがう遺伝的可変性を含む、分子遺伝学における種々の疑問を扱うために使用可能である。
【0050】
発現の減少または増加は、例えば、PCR、RT−PCR、RNase保護、ノザンブロッティングおよび他のハイブリダイゼーション方法によって、対象の細胞中で発現されたRNAから決定しうる。対象の細胞中のポリペプチドのようなタンパク質のレベルを決定するために使用することができるアッセイ技術は、例えば従来の方法によって実施することができる。そのようなアッセイ技術には、ペプチドに対して調製した抗体を用いる、ラジオイムノアッセイ、競合結合アッセイ、ウエスタンブロットアッセイおよびELISAアッセイ、例えば二次元分離ゲル中での同定、および液体相分離技術とそれに続く配列または分子量解析が含まれる。
【0051】
診断アッセイは、例えば従来の方法を含む上記の方法にしたがって、本発明の遺伝子の対立遺伝子多型および異常な発現の検出を介して、例えば、アレルギー性およびアトピー性皮膚炎のような、炎症性皮膚疾患、および腸および大腸、肺および脈管組織のような他の組織で症状が見られる慢性炎症疾患を含む急性および慢性炎症疾患、例えば自己免疫疾患における異常な免疫応答、または移植拒絶においてのような、疾患の治療的処置に関連した望まない免疫応答、例えば癌のような疾患における免疫過剰反応または抑制、および持続性ウイルスまたは細菌感染に関連した疾患の罹患しやすさを診断または決定するための工程を提供する。
【0052】
したがって、別の態様において、本発明は、以下の
(a)例えば記載したような変異体または断片を含む、本発明の遺伝子、
(b)(a)の配列と相補的なヌクレオチド配列、
(c)本発明のポリペプチド、例えばそれに対して少なくとも80%同一性を持つアミノ酸配列のポリペプチドを含み、例えば本発明の上記ポリペプチドに対して、少なくとも80%同一性を持つアミノ酸配列のポリペプチドの断片または変異体、あるいは
(d)本発明のポリペプチドに対する抗体、
を含む、上記のような疾患、または疾患の罹患しやすさに関する、診断キットを提供する。
【0053】
任意のそのようなキットにおいて、(a)、(b)、(c)または(d)は、例えば試験すべき試料の適切な環境、および例えば、試験すべき試料中のa)、b)、c)またはd)のいずれかの作用を測定するための適切な方法を含む、十分な要素を含みうる。
【0054】
本発明の遺伝子(ポリヌクレオチド)はまた、染色体の同定に有用である場合もある。配列を、個々のヒト染色体上の特定の位置に対して特異的に標的化され、そしてそこにハイブリダイズさせることが可能であり、そして/または配列は、GenBank染色体配列データベースエントリーにおいて同定することもできる。例えばウイルス性疾患および関節炎を含む多くの疾患への罹患しやすさは、齧歯類においてそのような方法によって染色体上に位置づけられてきた。本発明による染色体への配列のマッピングは、遺伝子が関係している疾患と、これらの配列を相関させる重要な第一の段階である。いったん配列を、正確な染色体位置に位置づけると、染色体上での配列の物理的位置を遺伝マップデータと相関させることができる。そのようなデータは、例えばMcKusick,Mendelian Inheritance in Man(Johns Hopkins University Welch Medical Libraryを介してオンラインで入手可能)にて見られる。同一の染色体領域に位置づけられた、遺伝子と疾患の間の関係は、連関分析(定義された染色体領域内に物理的に局在化している遺伝子配列の共同相続)により同定することができる。罹患した個体と罹患していない個体との間でのcDNAまたはゲノム配列の差異をもまた決定することができる。変異が、一部または全ての罹患した個体において観察されるが、正常な個体では観察されない場合には、上記の変異は、おそらく疾患、または疾患の罹患の原因因子であり、例えば疾患の兆候の発生または進展に関して必要な関連する生物学的活性に関係している機構の因子である可能性がある。
【0055】
別の態様において、本発明は、例えばin vivoで、本発明の遺伝子機能研究のための実験室研究に有用な、遺伝的に改変された動物、例えばマウスまたはラット、例えばD.melanogasterまたはCaenorhabditisのような低級真核細胞を提供し、そこでオルトログ遺伝子座または他の座におけるオルトログまたは相同遺伝子配列が改変され、例えば生殖型細胞または他の適切な細胞中での相同組換えまたは非相同組換え方法、および一般に使用される繁殖技術によって作成される。そのような技術の概論に関しては、例えばCapecchi,M.,Science 244[1989]1288−1292、Benoist,C.and D.Mathis,Curr.Opin.Immunol.5[1993]900−902、Charreau,B.ら,Transgenic Res.5[1996]223−234、Moreadith,R.W.and N.B.Radford,J.Mol.Med.75[1997]208−216、Nomura,T.,Lab.Anim.Sci.47[1997]113−117、Cohen−Tannoudji,M.and C.Babinet,Mol.Hum.Reprod.4[1998]929−938を参照のこと。そのような遺伝的改変には、例えば本明細書で記載したような、オルトログ遺伝子座または他の座における、例えば上記のような、発現系の一部であり得る、例えばオルトログまたは相同遺伝子配列の置換、例えばまたはその断片または変異体、例えばオルトログ遺伝子座または他の座における任意の上記配列の挿入、例えばオルトログ遺伝子座または他の座における任意の上記配列の欠失が含まれうる。そのような遺伝的改変には、記載したような安定な改変が含まれ得、または、例えば特定の欠失事象、または例えば上記挿入または置換配列の発現が、選別された細胞内でのみ、または遺伝的に改変された生物の適切な処置において選択された細胞で起こりうる、条件的改変が含まれうる。上記の任意の遺伝的変異体は、例えば特定のチャレンジに対して非常に感受性の遺伝的背景内で、特定の免疫応答に影響を与えるように、例えば特定のチャレンジに続くより再現可能であるかまたは鋭い免疫応答に影響を与えるように、例えばヒトで観察されたもののより特徴であり得るか、またはin vivoでの複雑な生命相互作用の研究のために、他の生物学的系における特定の応答に影響を与えるように、他の座において交配または遺伝子操作された、チャレンジに対する応答における免疫応答に影響を与えるように、他の座において交配または遺伝子操作された実験動物中で産出することができる。
【0056】
別の態様において、本発明は、in vivoでの遺伝子機能研究のための実験室研究に有用である、遺伝的に改変した動物、例えばマウスまたはラット、例えばD.melanogasterまたはCaenorhabditisのような遺伝的に改変された下等真核細胞を提供し、そこでオルトログ遺伝子座または他の座でオルトログまたは相同遺伝子配列が改変され(正常な未改変の遺伝子配列と比較して)、例えば生殖型細胞または他の適切な細胞中での相同組換えまたは非相同組換え方法、および一般に使用される繁殖技術によって作成される。
【0057】
実験動物の遺伝的改変に関する技術の概論に関しては、例えばCapecchi,M.,Science 244[1989]1288−1292、Benoist,C.and D.Mathis,Cur.Opin.Immunol.5[1993]900−902、Charreau,B.ら,Transgenic Res.5[1996]223−234、Moreadith,R.W.and N.B.Radford,J.Mol.Med.75[1997]208−216、Nomura,T.,Lab.Anim.Sci.47[1997]113−117、Cohen−Tannoudji,M.and C.Babinet,Mol.Hum.Reprod.4[1998]929−938を参照のこと。そのような遺伝的改変には、改変配列によるオルトログ遺伝子座または他の座における、本発明の発現系の一部であり得る、例えばオルトログまたは相同遺伝子配列遺伝子配列、またはその断片または変異体の置換、例えばオルトログ遺伝子座または他の座における任意の上記配列の挿入、例えばオルトログ遺伝子座または他の座における任意の上記配列の欠失が含まれうる。そのような遺伝的改変には、安定な改変が含まれる場合があり、また、例えば特定の欠失事象、または例えば上記挿入または置換配列の発現が、選別された細胞内でのみ、または遺伝的に改変された生物の適切な処置において選択された細胞で起こりうる、条件改変が含まれる場合もある。例えば上記のような、任意の遺伝的変異体は、例えば特定のチャレンジに対して非常に敏感な遺伝的背景において、特定の免疫応答に影響を与えるために、例えば特定のチャレンジに続くより再現可能であるか、または鋭い免疫応答に影響を与えるために、例えばヒトで観察されたもののより特徴であり得るか、またはin vivoで、複雑な生命相互作用を研究するために、他の生物学的系における特定の応答に影響を与えるために、他の座において交配または遺伝子操作された、チャレンジに対する応答における免疫応答に影響を与えるために、他の座において交配または遺伝子操作された実験動物内で産出することもできる。
【0058】
別の態様において、本発明は、本発明の、例えば表1に列記したようなポリペプチド配列の、例えばその断片または変異体を含む、例えば本明細書で記載したようなポリペプチドに対する(単離された)抗体を提供する。
【0059】
本発明のポリペプチドまたはそのようなポリペプチドを発現している細胞は、相当するポリペプチドに対して免疫特異的な抗体を産出するための、免疫源として使用しうる。語句「免疫特異的」は、先行技術における、他の関連するポリペプチドに対するその親和力よりも、上記ポリペプチドに対する親和力が実質的に大きい抗体を意味する。
【0060】
本発明のポリペプチドに対して産出された抗体は、ポリペプチドまたはエピトープを保有している断片、アナログまたは発現細胞を、動物、好ましくは非ヒト動物に対して、一般的なプロトコールを用いて投与することによって得ることができる。モノクローナル抗体の調製に関して、例えば、ハイブリドーマ技術(Kohler,G.and C.Milstein,Nature 256[1975]495−497)、トリオーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozborら,Immunology Today 4[1983]72)、およびEBV−ハイブリドーマ技術(Coleら,In Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,pp.77−96、Alan R.Liss,Inc.[1985])を含む、例えば連続的な細胞株の培養によって産出される抗体を提供する、任意の技術を使用しうる。
【0061】
単鎖抗体の産出のための技術(米国特許第4,946,778号)はまた、GID2ポリペプチドに対する単鎖抗体を産出するように適合させることができる。また、トランスジェニックマウス、または他の哺乳動物を含む他の生物を、ヒト化抗体を発現させるために使用することができる。上記のような抗体を、適切なように、例えば本発明のポリペプチドを発現している宿主細胞の単離または同定において、例えばアフィニティクロマトグラフィーによる本発明のポリペプチドの精製に、使用することもできる。
【0062】
本発明のポリペプチドに対する抗体はまた、例えば、免疫応答が、疾患に関係している病因、進展および/または悪化症状の第一要素である疾患を含む、疾患の処置に有用であり得る。
【0063】
本発明の抗体には、例えば、本発明のポリペプチドと、ウイルス、細菌または真核生物寄生生物のポリペプチド、または本発明のポリペプチドと同一の細胞中または第2の細胞中のいずれかで発現される第2の宿主遺伝子によってコードされるポリペプチドとに結合する二重特異的抗体が含まれる。
【0064】
別の態様において、本発明は、本発明のポリペプチドに結合し、かつウイルス、細菌または真核寄生生物の第2のポリペプチドに結合する二重特異的抗体を提供し、例えばそこで、上記第2のポリペプチドは、本発明のポリペプチドと同じ細胞中または例えば癌細胞を含む第2の細胞中のいずれかで発現されうる、第2の宿主遺伝子によってコードされる。
【0065】
二重特異的抗体の代わりに、本発明のポリペプチドと、ウイルス、細菌または真核細胞寄生生物のポリペプチド、または本発明のポリペプチドと同一の細胞中、または例えば癌細胞のような、第2の細胞中のいずれかで発現されうる、第2の宿主遺伝子によってコードされるポリペプチドとに結合する能力を持っている他の二重特異的薬剤も使用しうる。
【0066】
別の態様において、本発明は、本発明のポリペプチドと、ウイルス、細菌または真核寄生生物とに、または癌細胞とに結合する能力を持つ、抗体ではない二重特異的薬剤を提供する。
【0067】
別の態様において、本発明は、上記哺乳動物に、上記哺乳動物を、例えば免疫応答が、疾患に関係している病因、進行および/または悪化症状の第一要素である疾患を含む疾患から保護するために、抗体および/またはT細胞免疫応答を産出するのに十分な量で、本発明のポリペプチドを接種することを含む、哺乳動物の免疫応答を誘導するための方法を提供する。
【0068】
別の態様において、本発明は、上記哺乳動物を疾患から保護するように抗体および/又はT細胞の免疫応答を生じるための免疫学的応答を誘導するために、in vivoで、相当するポリヌクレオチドの発現を指向するベクターを介して、本発明のポリペプチドを伝送することを含む、哺乳動物の免疫応答を誘導する方法を提供する。他の態様においては、哺乳動物に導入したときに、本発明のポリペプチドに対して哺乳動物の免疫応答を誘導する、免疫学的/ワクチン処方(組成物)を提供し、そこで上記処方には、本発明のポリペプチド、本発明のポリヌクレオチドを含む発現ベクター、または本発明のポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む、処理される哺乳動物からの細胞を含んでいる、宿主細胞が含まれる。
【0069】
ワクチン処方はさらに、適切な担体を含む。本発明のポリペプチドは、消化系で分解されうるので、上記ワクチン処方は、好ましくは(皮下、筋肉内、静脈内、皮内などの注射を含む)非経口で投与される。非経口投与に適切な免疫学的/ワクチン処方には、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、および処方をレシピエントの血液と等張にする溶質を含みうる、水性および非水性無菌注射溶液、および、懸濁剤または増粘剤を含みうる、水性または非水性無菌懸濁液が含まれる。処方は、単位用量投与または多用量投与容器、例えば密封アンプルおよびバイアル中に存在しえ、使用の直前に、無菌液体担体の添加のみが必要な、凍結乾燥状態で保存可能である。ワクチン処方はさらに、添加物、例えば、ワクチン処方における従来の添加物と同様の添加物を含むことができ、例えば油中水系を含む適切な系の形態であり得る。投与量は、例えば特定の活性および安定性に依存し、通常の実験によって簡単に決定することができる。
【0070】
別の態様において、本発明は、免疫系の樹状細胞中のポリペプチド活性および発現の、アゴニストおよびアンタゴニストについてのスクリーニングアッセイを提供する。本発明のポリペプチドは、多くの病変を含む、多くの生物学的機能の原因であり得る。したがって、一方で、本発明のポリペプチドの活性または本発明の遺伝子の発現を刺激する化合物および薬剤(アゴニスト)、他方で、本発明のポリペプチドの機能または本発明の遺伝子の発現を阻害可能な(アンタゴニスト)、化合物および薬剤を見つけることが好ましい。例えばColiganら,Current Protocols in Immunology 1(2):Chapter 5(1991)により、ポリペプチドまたは機能的ミメティックを、例えばスクリーニングアッセイにおいて、例えば細胞、細胞を含まない調製物、化学的ライブラリー、および天然の産物混合物内で、ポリペプチドのアゴニストまたはアンタゴニストの結合を評価するために使用することもできる。
【0071】
スクリーニング手順には、本発明のポリペプチドを発現する適切な細胞の産出を含みうる。適切な細胞には、例えば哺乳動物、酵母またはDrosophila由来の細胞が含まれる。本発明のポリペプチドを発現している細胞は、機能的応答の刺激または阻害、あるいはポリペプチド発現または生化学的活性のレベルに対する作用、あるいはその発現が、本発明の遺伝子発現を制御する転写エレメントによる制御を受ける、マーカー遺伝子の刺激または阻害を観察するために、試験化合物と接触させる(試験化合物に対して暴露する)ことが可能である。あるいは、精製したポリペプチド、または物理的に相互作用する他のポリペプチドを含む混合物を、ポリペプチドへの結合、または混合液中他のポリペプチドに結合するポリペプチドに対する化合物の作用を観察するために、試験化合物と溶液中で接触させる(暴露する)ことが可能である。
【0072】
スクリーニングアッセイは、例えばポリペプチドを発現している細胞に適切な検出系を用いて、候補化合物が、ポリペプチドの活性によって産出されるシグナルの変化を生じるかどうかを試験するために、本発明のポリペプチドを発現している細胞中で使用することができる。そのような作用は、ポリペプチドの作用の「下流」と言われる。例えば、本発明のポリペプチドからなる発現系を保持している細胞中、好ましくは、樹状細胞または本発明と同様の特性の細胞中で、ポリペプチドの活性の阻害因子をもまた、ポリペプチド活性に依存する、第2の細胞性遺伝子産物の活性の阻害に影響を与える。もっとも好ましくは、第2の遺伝子産物の活性のアッセイは、特異的ハイスループットアッセイに適切であり、感度よい、例えば比色分析、蛍光、リン光、放射分析または抗体技術、すなわち例えば、従来技術により当業者によって、簡単に測定することができる場合もある。「レポーター遺伝子アッセイ」と言われる第2の型のスクリーニングアッセイは、本発明の発現系を保持している細胞中で使用され得、これは、トランスジーンの発現が、天然の遺伝子プロモーターによって制御され、トランスジーンには、本発明にしたがって、その発現レベルによって検出されるマーカー遺伝子に融合させられた本発明の組換え体ポリペプチドを含むベクターが含まれる。例えば、プロモーターおよびE.coli β−ガラクトシダーゼポリペプチドに融合された組換え体ポリペプチドトランスジーンからなる発現系を保持している細胞中で、好ましくは、樹状細胞または本発明と同様の特性の細胞中では、本発明の遺伝子の発現の阻害因子は、トランスジーンの発現の際の影響によるアッセイにおいて模倣される。これは例えば、β−ガラクトシダーゼ融合ポリペプチドのβ−ガラクトシダーゼエステラーゼ酵素活性によって、簡単に測定することができ、多くのそのような融合マーカー遺伝子は、例えば、ルシフェラーゼおよびアルカリホスファターゼのような他の酵素として、例えば適切な抗体によって検出することができる、すなわち、従来の方法を用いる本技術分野の技術にしたがって検出することができるエピトープタグとして公知である。
【0073】
例えば(ポリ)ペプチド、モノクローナル抗体、低分子量化学物質、アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む、本発明のポリペプチドのアゴニストおよびアンタゴニストは、免疫調節活性を有している場合があり、例えば、アレルギー性およびアトピー性皮膚炎のような、炎症性皮膚疾患、および腸および大腸、肺および脈管組織のような他の組織で症状が見られる慢性炎症疾患を含む急性および慢性炎症疾患、例えば自己免疫疾患における異常な免疫応答、または移植拒絶においてのような、疾患の治療的処置に関連した望まない免疫応答、例えば癌のような疾患における免疫過剰反応または抑制、および持続性ウイルスまたは細菌感染に関連した疾患のような疾患の処置に使用することができる。
【0074】
スクリーニングアッセイは、混合物を形成するために、候補化合物を本発明のポリペプチドを含む溶液と混合すること、ポリペプチドへの化合物の結合を検出することの段階を含み得、例えば、ポリペプチドと化合物との間で形成された複合体は、例えば、検出される、固有の生物物理学的特性を変化させる場合があり、例えば特異的抗体とのポリペプチドの反応性を減少させる場合がある。
【0075】
あるいは、本発明のポリペプチドと化合物との間で形成される複合体は、本発明にしたがって、カルモジュリンポリペプチドに対して改変された結合特性を有する場合がある。ここではアッセイは、例えば、基質とカルモジュリンポリペプチドの複合体の改変された固有の生物物理学的特性によって、化合物が全く存在しない場合のそのような結合と比較して、ポリペプチドを試験化合物と混合する第一段階、カルモジュリンポリペプチドを混合液に加える第2の段階、および対応する基質とカルモジュリンポリペプチドの結合に対する化合物の効果を測定する第三段階からなる。
【0076】
したがって、別の態様において、本発明は、本発明のポリペプチドの産出および、または生物学的活性を減少または増加させる、例えば化学的ライブラリーおよび天然の産物のライブラリー中の低分子量化合物を含むアゴニストまたはアンタゴニスト、ならびにアンチセンスオリゴヌクレオチドを同定するためのスクリーニングのためのアッセイを提供する。例えば、
(a)本発明のポリペプチド、または本発明の、マーカーポリペプチドに融合した改変ポリペプチド、
(b)本発明のポリペプチド、または本発明の、マーカーポリペプチドに融合した改変ポリペプチドを含む発現系を保持している宿主細胞、
(c)本発明の融合ポリペプチドを発現するマーカーポリヌクレオチドに融合した、遺伝子プロモーターおよび組換え体ポリヌクレオチドトランスジーンを含む、発現系を保持している宿主細胞、あるいは
(d)本発明のポリペプチド、または本発明の、マーカーポリペプチドに融合した改変ポリプチドに対する抗体、
を含むアゴニストまたはアンタゴニストを同定する方法を提供する。そして例えば、候補化合物との接触のための手段、および例えば、a)、b)、c)またはd)のいずれかに対する候補化合物の影響を検出するための手段、例えば候補化合物の存在下と不在下とでの、a)、b)、c)またはd)のいずれかの活性を比較することによる、例えば、候補化合物の存在下で、本発明の遺伝子の発現および/または生物学的活性において、減少または増加があるかどうかを決定するための方法を提供する。
【0077】
任意のそのようなスクリーニングアッセイにおいて、a)、b)、c)またはd)は十分な要素を含みうることが明らかである。
【0078】
候補化合物には、本発明のスクリーニングアッセイにおいて、a)、b)、c)またはd)のいずれかに対する作用が未知である、例えば天然または合成化合物ライブラリー、すなわち化学的要素の合成集合内に存在する、上記のような化学テロ構成要素の任意の1つが含まれる。
【0079】
アンタゴニストまたはアゴニストは、a)、b)、c)またはd)のいずれかに対する作用が、スクリーニングアッセイ、または上記のようなアンタゴニストまたはアゴニストを同定するための方法を用いて発見されている候補化合物である。アンタゴニストまたはアゴニストは、本発明の遺伝子の発現および、または生物学的活性を、それぞれ減少または増強する場合がある。
【0080】
別の態様において、本発明は、本発明の遺伝子の発現および、または生物学的活性のアンタゴニストまたはアゴニストを提供する。これは、上記アンタゴニストまたはアゴニストを、上記のスクリーニングおよび同定方法によって提供することができることに特徴がある。
【0081】
別の態様において、本発明は、免疫調節活性を持ち得、例えば、アレルギー性およびアトピー性皮膚炎のような、炎症性皮膚疾患、および腸および大腸、肺および脈管組織のような他の組織で症状が見られる慢性炎症疾患を含む急性および慢性炎症疾患、例えば自己免疫疾患における異常な免疫応答、または移植拒絶においてのような、疾患の治療的処置に関連した望まない免疫応答、例えば癌のような疾患における免疫過剰反応または抑制、および持続性ウイルスまたは細菌感染に関連した疾患のような疾患の処置において、治療的介入として使用しうる、上記のようなアンタゴニストまたはアゴニストを提供し、例えば本発明の遺伝子の発現および、または生物学的特性のアンタゴニストまたはアゴニストを提供する。上記アンタゴニストまたはアゴニストは、以下の方法段階、
A)
(a)表1のポリペプチド、
(b)表1のポリペプチドを含む発現系を保持している宿主細胞、
(c)遺伝子プロモーター、および表1の融合ポリペプチドを発現するマーカーポリペプチドに融合された組換え体ポリヌクレオチドトランスジーンを含む、発現系を保持している宿主細胞、または、
(d)表1のポリヌクレオチドに対する抗体、
を候補化合物と接触させること、
B)a)、b)、c)またはd)のいずれかに対する候補化合物の作用を測定すること、
C)段階B)で測定したアゴニストまたはアンタゴニストを選択すること、
によって提供されうることを特徴とする。
【0082】
本発明のアンタゴニストまたはアゴニストは、疾患の処置における治療的介入として有用であり得る。
【0083】
別の態様において、本発明は、医薬品としての使用のために、本発明のアンタゴニストまたはアゴニストを提供する。
【0084】
そのような使用のために、種々のアプローチが利用可能である。本発明の樹状細胞または同様の生物学的機能の免疫系の細胞中での本発明の遺伝子の活性が、疾患において過剰に存在する場合、1つのアプローチには、本発明の遺伝子、すなわち遺伝子のポリペプチドの発現または活性を阻害するのに効果的な量で本発明のアンタゴニストを、例えば薬理学的に許容可能な賦形剤と組み合わせて対象に投与すること、あるいは本発明の遺伝子の活性に依存する第2の活性に影響を与え、それによって疾患に関係している異常な状態を緩和することが含まれる。本発明の樹状細胞または同様の生物学的機能の免疫系の細胞中での本発明の遺伝子の活性が、疾患において不足している場合、1つのアプローチには、本発明の遺伝子、すなわち遺伝子のポリペプチドの発現または活性を増強するのに効果的な量の本発明のアゴニストを、例えば薬理学的に許容可能な賦形剤と組み合わせて、対象に投与すること、または本発明の遺伝子の活性に依存する第2の活性に影響を与え、それによって疾患に関係している異常な状態を緩和することが含まれる。
【0085】
別の態様において、本発明は、本発明の樹状細胞または同様の生物学的機能の免疫系の細胞中での本発明の遺伝子の発現または活性のアンタゴニストまたはアゴニストを提供する。これは、上記アンタゴニストまたはアゴニストによって処理されたかまたは処理されない、ならびに/あるいは影響を受けるかまたは受けないかのいずれかである、他の型の細胞または同様の細胞と相互作用する、すなわちこれらの細胞に対する生物学的作用を持有しているそのような細胞の生物学的活性を変化させる。
【0086】
例えば、T細胞は、アンタゴニストまたはアゴニストを対象に投与し、それにより対象の樹状細胞とT細胞両方を、薬剤に対して暴露することによって、本発明のアンタゴニストまたはアゴニストでの処理によって変更される樹状細胞との相互作用によって、刺激されるかまたはエネルギーを与えられうる。
【0087】
また別のアプローチにおいて、本発明の樹状細胞または同様の生物学的機能の免疫系の細胞中での本発明の遺伝子の発現は、発現遮断技術を用いて阻害することができる場合もある。そのような公知の技術には、例えば、O’Connor,J.Neurochem(1991)56:560、「Oligodeoxynucleotides as Antisense Inhibitor of Gene Expression」,CRC Press,Boca Raton,Fla.(1988)により内部で合成されたかまたは別に投与されたか野いずれかであるアンチセンスオリゴヌクレオチドの使用が含まれる。あるいは、オリゴマー、例えば本発明の遺伝子とともに三重へリックスを形成するオリゴヌクレオチドを、例えばLeeら,Nuc Acids Res(1979)6:3073、Cooneyら,Science(1988)241:456、Dervanら,Science(1991)251:1360にしたがって、提供することもできる。そのようなオリゴマーは、それ自体投与することができ、また、in vivoで発現させることができる場合もある。
【0088】
本発明の樹状細胞または同様の生物学的機能の免疫系の細胞中での本発明の遺伝子の発現の不足に関係している疾患における異常な状態の処置に関して、遺伝子治療が、治療される対象中の関連している細胞により、本発明のトランスジーンとしての遺伝子の外来発現に影響を与えるように使用することができる場合もある。例えば、本発明の遺伝子は、複製欠損レトロウイルスベクター中で発現するように操作することができる。得られたレトロウイルス発現構造物は、上記構造物で形質導入したパッケージング細胞中に単離し、導入することができ、それにより本発明の遺伝子の発現系の導入の原則を含む感染性ウイルス粒子がを産出することができる。上記ウイルス粒子を単離し、治療として、対象に直接投与することが可能であるか、または、まず発現系の確立のために対象の単離した細胞に投与し、次いで上記の処理した単離細胞を、対象内に再度導入する。あるいは、遺伝子治療は、本発明の樹状細胞または同様の生物学的活性の免疫系の細胞中での内因性遺伝子の過剰な発現に関係している疾患における異常な状態の治療として、その活性が、例えば、遺伝子のトランスドミナント阻害因子形態により形成される発現系を確立するために、使用することもできる。遺伝子治療の概論に関しては、例えば、Human Molecular Genetics,T Strachan and AP Read,BIOS Scientific Publishers Ltd(1996)内の「Gene Therapy and other Molecular Genetic−based Therapeutic Approaches」20章(および該文献にて引用されている文献)を参照のこと。
【0089】
さらなる態様において、本発明は、本発明の治療有効量のアゴニストまたはアンタゴニストを治療が必要な対象に投与することを含む、本発明の遺伝子の発現の、過剰な、および不十分なレベル両方に関連した、あるいは本発明のポリペプチドの過剰および不十分な活性両方に関連した、異常状態を処置する方法を提供する。これには、例えば本発明の、樹状細胞、または同様の生物学的機能の免疫系の細胞における、遺伝子の発現または活性の過剰または不足、または異常な活性いずれかに関連した疾患における異常な状態を処置する方法が含まれる。上記の任意のアプローチによって、そのような疾患には、例えば、アレルギー性およびアトピー性皮膚炎のような、炎症性皮膚疾患、および腸および大腸、肺および脈管組織のような他の組織で症状が見られる慢性炎症疾患を含む急性および慢性炎症疾患、例えば自己免疫疾患における異常な免疫応答、または移植拒絶においてのような、疾患の治療的処置に関連した望まない免疫応答、例えば癌のような疾患における免疫過剰反応または抑制、および持続性ウイルスまたは細菌感染に関連した疾患のような疾患が含まれる。
【0090】
さらなる態様において、本発明は、治療を必要としている対象へ、本発明の、治療有効量のアゴニストまたはアンタゴニスト、好ましくはアンタゴニストを投与することを含む、例えば、アレルギー性およびアトピー性皮膚炎のような、炎症性皮膚疾患、および腸および大腸、肺および脈管組織のような他の組織で症状が見られる慢性炎症疾患を含む急性および慢性炎症疾患、例えば自己免疫疾患における異常な免疫応答、または移植拒絶においてのような、疾患の治療的処置に関連した望まない免疫応答、例えば癌のような疾患における免疫過剰反応または抑制、および持続性ウイルスまたは細菌感染に関連した疾患のような疾患の処置の方法を提供する。
【0091】
さらなる態様において、本発明は、治療有効量の、本発明のアゴニストまたはアンタゴニスト、例えば本発明の遺伝子の発現または活性のアゴニストまたはアンタゴニストを、薬理学的に許容可能な担体/賦形剤と組み合わせて含む薬理学的組成物を提供する。
【0092】
さらなる態様において、本発明は、治療を必要としている対象に薬理学的組成物の形態で治療有効量のアゴニストまたはアンタゴニストを投与することによる、上記のような疾患を処置する方法を提供する。
【0093】
本発明の薬理学的組成物の全身投与の好ましい形態には、注射、典型的には静脈内注射が含まれる。皮下、筋肉内または腹膜内のような、他の注射経路も使用しうる。全身投与の他の方法には、例えば胆汁塩またはフシジン酸または他の界面活性剤のような浸潤剤、またはジメチルスルホキシドまたはアルコール類のような溶媒を用いる、経粘膜および経皮投与が含まれる。さらに、腸溶性またはカプセル封入処方で適切に処方される場合、経口投与も可能であり得る。本発明の組成物の投与にはまた、例えば、スレーブス、パッチ、ゲルの形態などのような、局所および/または局在でもあり得る。
【0094】
必要な投与量範囲は、選択されるアゴニストまたはアンタゴニスト、投与経路、薬理学的組成物の性質、処置する対象の臨床状態、および使用者の判断に依存しうる。しかしながら、適切な用量は、対象の体重1kgあたり、0.1〜100μgのアゴニストまたはアンタゴニストの範囲である。しかしながら、入手可能な化合物の種類、および種々の投与経路の異なる有効性の観点から、必要な用量の変量を予測することができる。例えば、経口投与は、静脈内注射による投与に比べて高い用量が必要であることが予測される。これらの投与量レベルの変量は、例えば、最適化のための標準的な経験的作業により調整することができる。
【0095】
治療で使用するポリペプチドまたはポリヌクレオチドはまた、例えば上記のように、しばしば「遺伝子治療」と言われる処置様態にて、例えばそのような治療が必要な対象の中で内部で合成することができる。したがって、例えば対象由来の細胞を、例えば、上記のような導入の原理として、レトロウイルスプラスミドベクターを使用することにより、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドをコードするように、DNAまたはRNAのようなポリヌクレオチドで、ex vivoにて操作することができる場合もある。
【0096】
別の態様において、本発明は、例えば表1に示したようなポリヌクレオチド配列を含み、相当するポリペプチド配列のタンパク質をコードしている、免疫系のDC中で発現される本発明の遺伝子を提供する。そのDC中での発現は、免疫応答が、疾患に関係している病因、進行および/または悪化症状の主な構成要素である疾患における治療的介入のために、DCにおける特定の分子標的として、炎症性刺激によって調節される。
【0097】
このような疾患として、例えば上記の疾患を挙げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】免疫系中の樹状細胞の活性に関係している、細胞の活性化の特定の条件によって刺激した、樹状細胞中での発現の誘導の関連性を示している、免疫系の樹状細胞および他の細胞型におけるBASP1の発現の解析である。BASP1発現は、左最初の2つのレーンを比較することで示したように、ザイモサン酵母粒子のファゴサイトーシスおよび細胞表面上に発現しているCD40タンパク質の架橋による刺激によって、単球由来樹状細胞内で刺激される。そこでは、発現のレベルは、未刺激および刺激からのmRNAからのcDNAからのDNA合成の繰り返しサイクルによって得た、BASP1の全長コード配列のDNAの相対量により測定し(上パネル)、観察された差異は、第2の遺伝子、β−アクチン(下パネル)のものと比較によって示したように、BASP1遺伝子の発現に特異的である。右に対する上パネルは、多くの型の細胞試料におけるBASP1 mRNA発現のノザンブロットハイブリダイゼーション解析の結果を示しており、右に対する下パネルは、ハイブリダイゼーション解析に使用した同一のブロットの写真である(ブロット上に移した細胞RNAの色素染色、これは異なる細胞試料からの同量の全RNAを解析したこと、等しい質の調節RNAを明らかにし、画像中で染色によりもっとも明らかであるリボソームRNA[rRNA]の相対的強度によって判断した)。未刺激および刺激した(レクチンフィトヘムアグルチニン[PHA]による処理)T細胞は、ハイブリダイゼーションによってBASP1はごくわずかな発現を示したかまたは発現を示さず(上右パネルの左最初の2つのレーン)、刺激B細胞(ヤマゴボウ有糸分裂促進物質およびIL−4での処理)はわずかな発現を示し(レーン3)、未刺激単球は、ほとんど、または全く発現を示さないが、一方刺激単球(GM−CSFでの処理)は、検出可能であるが、ただし相対的に低い発現を示し(それぞれレーン4および5)、Flt−3リガンドおよびIL−3の存在下で培養した臍帯血樹状細胞は、ほとんど、または全く発現を示さず、一方でLPSでのそのような細胞の刺激によって検出可能な発現が誘導され(それぞれレーン6および7)、GM−CSF、TNFαおよびTGFβの存在下で培養した臍帯血樹状細胞は検出可能な発現を示し、これは、LPSによる細胞の処理によって誘導され、細胞の表面上に発現したCD40タンパク質の抗CD40抗体との架橋による処置によってある程度誘導され(それぞれレーン8、9および1お)、GM−CSFおよびIL−4の存在下で培養した臍帯血樹状細胞は、ほとんど発現を示さず、これは、LPSでの細胞の処理によって強く誘導される(それぞれレーン11および12)。
【図2】免疫系中のDCの活性に関係している細胞の活性化の特定の条件によって刺激された、DCにおける誘導された発現の関連を示しているDCおよび免疫系の他の細胞型におけるGID2遺伝子(ポリヌクレオチド)の発現の解析である。GID2.1およびGID2.2発現は、左最初の2つのレーンの比較によって示したように、ザイモサン酵母粒子のファゴサイトーシスおよび細胞表面上に発現しているCD40タンパク質の架橋による刺激によって、単球由来樹状細胞内で刺激され、そこでは、発現のレベルは、未刺激および刺激した細胞由来のmRNAからのcDNAからのDNA合成の繰り返しサイクルによって得た、全長コード配列(配列番号3および配列番号5)のDNA断片の相対量より測定する(上パネル)。観察された差異は、第2の遺伝子、β−アクチン(下パネル)のものと比較によって示したように、GID2ポリペプチドの発現に特異的である。右に対する上パネルは、多くの型の細胞試料におけるGID2 mRNA発現のノザンブロットハイブリダイゼーション解析の結果を示しており、未刺激および刺激した(レクチンフィトヘムアグルチニン[PHA]による処置)T細胞は、GID2発現をほとんど示さず(左パネルの最初の2つのレーン)、未刺激およびLPSで刺激した単球は、ほとんど発現を示さず(それぞれレーン3および4)、未刺激MoDCはわずかな発現を示し、これは、LPSによる刺激によって有意に増加し(それぞれレーン5および6)、未刺激臍帯血DCは、相当レベルの発現を示し、これはさらにLPSでの刺激によって増加し(それぞれレーン7および8)、ホルボールミリステート(PMA)による、TNFαによる刺激または未刺激ヒト臍帯静脈上皮細胞(HUVEC)では発現はわずか、または全く検出されなかった(それぞれレーン9、10および11)。
【図3】免疫−炎症性刺激に対する応答における、DCおよび単球の2つの細胞型における発現の誘導の関連を示している、これらの細胞内でのGID3遺伝子の発現の解析である。GID3発現は、左最初の2つのレーンの比較によって示したように、ザイモサン酵母粒子のファゴサイトーシスおよび細胞表面上に発現しているCD40タンパク質の架橋による刺激によって、単球由来樹状細胞内で刺激され、そこでは、発現のレベルは、未刺激および刺激からの(mRNAからの)cDNAからのDNA合成の繰り返しサイクルによって得た、全長コード配列(配列番号8)のDNA断片の相対量より測定する(上パネル)。観察された差異は、第2の遺伝子、β−アクチン(下パネル)のものと比較によって示したように、GID3遺伝子の発現に特異的である。右に対する上パネルは、多くの型の細胞試料におけるGID3 mRNA発現のノザンブロットハイブリダイゼーション解析の結果を示しており、未刺激単球(右パネル内の最初の左レーン)は、GID3の発現を全く示さず、一方でインターフェロン−γ(IFN−γ)、細菌リポポリサッカライド(LPS)または顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)による単球の刺激は、GID3発現を有意に増加させる(それぞれレーン2、3および4)。未刺激(レーン5および10)またはCD40架橋による刺激(レーン6)いずれかの単球由来DCは、低い、または検出不能なレベルのGID3の発現を示すが、しかし、発現は、ファゴサイトーシス/CD40架橋の組み合わせ(レーン7)、または炎症サイトカインTNFα/IL−1βの組み合わせ(レーン11)によって、これらの細胞で有意に増加し(左パネルの結果を立証している)、未刺激臍帯血DCは低いレベルの発現を示し(レーン8)、これはCD40架橋によって増加する(レーン9)。
【図4】コンセンサスDUF221配列に対する、GID4タンパク質配列の配列相同性を示している。図4は、HMMRソフトウェア(Washington University,St.Louis)を用いたPFAMデータベースリリース6から得た、DUF221 PFAM記号との、配列番号12の位置348〜809のGID4ポリペプチド配列のアライメントである。
【図5】GID4タンパク質内のDUF221ドメインの相対位置によって定義したような、保存された構造構成、および潜在的膜貫通ドメインおよびN−グリコシル化部位の分布を示している。図5において、GID4タンパク質配列番号12の構造配置を、DUF221ドメイン、潜在的膜貫通ドメイン、および潜在的N−グリコシル化部位に関して、相同物ヒトタンパク質KIAA0792(TREMBL:O94886)および93.3/93.8KDA(TREMBL:Q9P1W3およびQ9P1W1)、およびD.melanogasterタンパク質CD11210(TREMBL:Q9V364)の配列と比較する。解析の方法は実施例1に記載している。
【図6】DCの刺激に応答するGID4遺伝子発現の誘導を示している。図6において、DCにおけるGID4発現の誘導の特異性を示し、炎症性刺激に対する誘導発現の関連性が示されている、DCおよび免疫系の他の型の細胞におけるGID4遺伝子の発現の解析を示している。GID4発現は、左最初の2つのレーンの比較によって示したように、ザイモサン酵母粒子のファゴサイトーシスおよび細胞表面上に発現しているCD40タンパク質の架橋による刺激によって、単球由来樹状細胞内で刺激され、そこでは、発現のレベルは、未刺激および刺激からの(mRNAからの)cDNAからのDNA合成の繰り返しサイクルによって得た、全長コード配列(配列番号12)のDNA断片の相対量より測定する(上パネル)。観察された差異は、第2の遺伝子、β−アクチン(下パネル)のものと比較によって示したように、GID4遺伝子の発現に特異的である。右に対するパネルは、多くの型の細胞試料におけるGID2 mRNA発現のノザンブロットハイブリダイゼーション解析の結果を示しており、IL−2とともに培養した未刺激T細胞(右パネル中最初の左レーン)はGID4発現を示さないが、一方で刺激T細胞(レクチンフィトヘムアグルチニンによる処理、レーン2)および刺激B細胞(ヤマゴボウ有糸分裂促進物質およびIL−4での処理、レーン3)中でのGID4発現は、非常に低いレベルではあるが、検出可能である。GID4は、低いレベルで、未刺激単球由来DC(MoDC)にて発現し、細菌リポポリサッカライド(LPS)での刺激により有意に増加する(それぞれレーン4および5)。未刺激MoDCでの発現と比較可能なレベルの発現がまた、GM−CSF/TNFα/TGFβ(レーン7)またはGM−CSF/TNFα/IL−4(レーン8および10)とともに、臍帯血前駆体細胞を培養することで得られるDCにて見られ、ある程度高いレベルのGID4が、Flt−3リガンドおよびIL−3で培養した前駆体細胞由来のLPSで刺激したDCで見られ(レーン6)、GM−CSF/TNFα/IL−4で培養した前駆体細胞から由来するDCの6時間および18時間のLPSでの刺激(それぞれレーン9および11)は、より長い刺激でのGID4発現における明らかな増加を示す。方法は実施例2で詳述している。
【図7】ベクター対照含有細胞(U937_ベクター)と比較して、BASP1を異所的に発現する細胞(U937_BASP)の、LPSでの刺激に続く特異的ELISAによって測定した、IL−8分泌を示している。
【図8】ベクター対照含有細胞と比較して、エピトープ−タグ化GID2.2ポリヌクレオチドを異所的に発現する抗原提示細胞のFACS解析の結果を示しており、AB4細胞の表面上でのGID2.2の発現を確認している。
【図9】対照ベクター含有AB4細胞と比較して、異所的にGID2.2ポリペプチドを発現している抗原提示細胞(AB4)(AB4−GID2.2)と共培養することによる、T細胞クローン(TCC)の抗原依存刺激を示している。解析において、抗原提示細胞のTCCに対する比は、示唆したように様々である。抗原陰性対照として、50000AB4細胞と50000TCCの1:1混合物も示した。
【実施例1】
【0099】
樹状細胞からの、BASP1、GID2、GID3およびGID4ポリヌクレオチドの単離および配列解析
5’長が種々である、BASP1、GID2、GID3およびGID4を含むcDNAクローンを、刺激(ザイモサンおよび抗CD40抗体)および未刺激樹状細胞mRNAから調製した、cDNAのサブトラクションにより導いた小(200−bp)BASP1、GID2、GID3およびGID4プローブとのハイブリッド形成によって、樹状細胞mRNAから調製したcDNAライブラリーから単離し、BLASTNアルゴリズムを用いた、GenBankデータベースとのcDNAクローンの配列の比較によって、NAP22(BASP1の別名)、AF039656に対するエントリーの配列と>98%同一であるとして配列を同定し、またはGIDプローブの場合は、GCG SeqWeb(Wisconsin Package)のFRAMESソフトウェアを用いて同定した。組換え体cDNAファージミドクローンおよび予想されるオープンリーディングフレームの確認のために、コード配列に隣接しているオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、熱安定性DNAポリメラーゼ(KlenTaq Polymerase、Clontech(Clontech))を用いる、合成の繰り返しサイクルによって、樹状細胞cDNAから直接クローンを得た。このように導いた3つの異なるクローンの配列は、以下のコンセンサスを生じた
BASP1ポリペプチドをコードしている配列番号1、
GID2.1ポリペプチドをコードしている配列番号3、
GID2.2ポリペプチドをコードしている配列番号5、(上記コードポリヌクレオチド配列に相当する、ポリペプチド配列番号4および配列番号6)、
GID3ポリペプチドをコードしている配列番号8、(ポリヌクレオチド配列番号8に相当する、ポリペプチド配列GID3 配列番号9)、
GID4ポリペプチドをコードしているコンセンサス配列番号12、(ポリヌクレオチド配列番号12に相当する、ポリペプチド配列GID4 配列番号12)、が産出される。
【0100】
ポリヌクレオチド二本鎖構造の効果的な融解温度を低める、5%ジメチルスルホキシドを含めることが、配列番号1およびAF039656のような関連配列のGCを著しく多く含む配列成分のために、KlenTaqポリメラーゼでの再現性のある合成のために必要である。
i)配列番号1の翻訳が、SwissProtデータベースエントリー第P80723号のBASP1ポリペプチド配列と100%一致し、これは、タンパク質配列より由来し、すなわち、どのin vitro のcDNAまたはDNA合成工程とも無関係であり、そして
ii)5%ジメチルスルホキシドの存在下で、KlenTaqポリメラーゼを用いる、樹状細胞cDNAから上記のように合成した、3つのBASP1 DNAクローンの配列が、コンセンサス配列番号1と一致する、
ことから、本発明者らは、配列番号1が、樹状細胞中でmRNAとして発現されるBASP1の正確な配列を反映しており、GenBankデータベースエントリー第AF039656号および第NM_006317号(本発明の最初のセクションで記載した)の配列は不正確であると結論づける。
【0101】
単球に由来する樹状細胞
向流洗浄によって得たヒト単球を、10%ウシ胎児血清を含み、GM−CSF(Novartis AG、Basel、Switzerland)(300U/ml)およびrIL−4(R&D Systems)(200U/ml)を加えた、RPMI1640(Gibco−BRL、Rockville、MD)中、8×105細胞/mlにて、コースター6ウェルプレート(Costar、Chambridge、MA)内に蒔いた。培養液を、培地の半分を、GM−CSFおよびrIL−4を加えた新鮮な培地と交換することで、3日目に変え、上記の濃度に到達させる。
【0102】
RNA単離、cDNAおよびDNA合成、および組換え体プラスミドクローンの構築
RNAを、Trizol試薬(Gibco−BRL、Rockville MD)を用いて単離した。cDNAを、SuperScript(変異によって破壊されたRNaseH活性)、Moloney白血病ウイルス逆転写酵素、RNaseH、およびE.coliから精製したDNAポリメラーゼおよびDNAリガーゼ(Gibco−BRL、Rockville MD)より合成し、cDNAライブラリーに関しては、cDNAを、リンカー−アダプターのライゲーション、設計にしたがった制限酵素SalIおよびNotIによる特異的消化、SalI−NotI挿入物としての、pSPORT1プラスミドベクターDNA(Gibco−BRL、Rockville MD)内へのライゲーションによって改変した。
【0103】
cDNA鋳型から直接のDNAの独立変異体に関して、DNA合成の繰り返しサイクルを、以下の合成オリゴヌクレオチド
BASP1 DNAに関して、
5’−CGAGCCGAACTCCAAGATGG−3’および5’−GGTCCTTGTCACTCTTTCACG−3’、
GID2.1 DNAに関して、
5’−CCACGCATGACGGTGCATG−3’および5’−GGAAACTCAGGGTATTCCCAC−3’、
GID2.2 DNAに関して、
5’−ATGGGCGCCCTCAGGCCCAC−3’および5’−TCACCGTTTTCGAAGCCTCTTC−3’、
GID3およびGID4に関して、
5’−GGCGCCATGAGTGGCGGCGG−3’および5’−GGTGCTGGGAGGTCAGATGTCG−3’、
(全てGenset、Parisより)
の伸張産物として、5%(v/v)ジメチルスルホキシドの存在下、(ポリメラーゼエラーの頻度を低減するために、3’−5’エキソヌクレアーゼルーフリーディング活性を含む)KlenTaq熱安定性DNAポリメラーゼ(Clontech)を用いて行い、つづいてDNAポリメラーゼ(New England Biolabs)のKlenow断片で末端修復し、その末端が同じ酵素で平滑断片にされているEcoRI消化pSPORT1プラスミドベクターDNA内にライゲーションすることで実施する。
【0104】
DNA配列のアライメントおよびデータベースの解析
アルゴリズムClustalWを、DNA配列のアライメントに使用し、BLASTNアルゴリズムを、GenBank−EMBL DNA配列データベースに存在する類似の配列を同定するために使用し、BLASTXアルゴリズムを、DNAによってコードされているポリペプチド配列と類似の配列を、SwissProtタンパク質配列データベース内で同定するために使用する。
【0105】
膜貫通へリックス予測を、G.von Heijne,J.Mol.Biol.225[1992]487−494にしたがって実施する。ポリペプチドモチーフを、Protein SiteおよびPatternsのPROSITE DictionaryのMotif検索によって得る。HMMPFAMを、HMMデータベース、HMMER2.1.1[1998年12月]、Washington University School of Medicineの検索によって得る。
【実施例2】
【0106】
樹状細胞および免疫系の他の細胞中でのBASP1、GID2、GID3およびGID4 mRNAの発現
単球、T細胞およびB細胞を、遠心洗浄によって濃縮して、末梢血より単離し、臍帯血樹状細胞を、臍帯血より前駆体細胞として得、未成熟細胞へのその分化を促進する因子の存在下で培養する。RNAの単離、cDNA合成および熱安定性DNAポリメラーゼを用いるDNA合成の繰り返しサイクルを、上記のように実施する。電気泳動によるRNAの分離、ブロッティングおよび合成オリゴヌクレオチドプローブとのハイブリッド形成(ノザンハイブリッド形成解析)を、Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989)に記載されたように実施する。
【0107】
図1、2、3および4で示したように、刺激していないかまたは関連する免疫活性化シグナルによって刺激した、樹状細胞および免疫系の他の型の細胞中での適切なmRNAの発現を、1)(上記のプライマーを用いた)全長BASP1をコードしているポリヌクレオチドのRT−PCR、およびβ−アクチンmRNAのような均一に発現されるポリヌクレオチド配列の発現に関してその発現を標準化すること、または2)ノザンハイブリッド形成解析のいずれかによって解析することができる。
【0108】
そのような解析は、異なる基質に関して、以下を示す。
− 本発明のBASP1 mRNAの発現は、関連する刺激によって、種々の型の樹状細胞、ならびに異なる特異的な増殖因子およびサイトカイン中での培養によって成熟させられた樹状細胞中で、有意に増加する。さらに、BASP1 mRNAのはるかに低いレベルの発現が、刺激または未刺激T細胞、B細胞または単球にて検出され、後者の3つの型の免疫細胞のうち、GM−CSFで刺激した単球は、検出可能なBASP1 mRNA発現を示したが、しかし刺激樹状細胞中で断言するほどではない。
− GID2 mRNAの発現は、関連刺激によって、種々の型のDCならびに異なる特異的増殖因子およびサイトカイン中での培養によって成熟させられたDCにおいて、有意に増加した。さらに、GID2 mRNAの非常に低いレベルの発現が、刺激または未刺激T細胞、単球または内皮細胞中で検出される。
− GID3 mRNAの発現は、単球、単球由来DCおよび臍帯血前駆体細胞から成熟したDC中で、免疫系活性化、例えば炎症性刺激に関連した特定の刺激によって、有意に増加する。
− GID4 mRNAは、CD40架橋と組み合わされたファゴサイト刺激による、および単球由来DC中での細菌リポポリサッカライド(LPS)刺激によって単球由来DC中で、そして顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)およびインターロイキン−4(IL−4)との培養による臍帯血前駆体細胞から成熟したDC中で、有意に増加する。一方、未刺激または刺激T細胞、または刺激B細胞では、検出可能ぎりぎりまたは全くGID4の発現は見られなかった。したがって、GID4発現は、TおよびB細胞に関連したDCに限られており、特定の炎症性刺激により誘導されたDC中でのGID4発現は、免疫系の活性化に対する関連を示している。
【実施例3】
【0109】
BASP1、GID2、GID3およびGID4ポリペプチドおよび組換え体ポリペプチドの産出
組換え体タンパク質の産出における、経験および一般的に使用される方法に基づいて、発現ベクターを、BASP1、GID2、GID3およびGID4ポリペプチドおよびその変異体の産出のために調製可能である。安定にトランスフェクトされたプロデューサー細胞から発現されたトランスジェニックポリペプチドを、単離および精製し得、抗体産出および機能研究のため、ならびにスクリーニングアッセイで使用しうる。N−およびC−末端タグを含む適切なポリペプチドの組換え変異体、ならびにポリペプチドの非改変形態を産出しうる。タグ化組換え体タンパク質の発現は、市販されているFLAG−含有pcDNAベクター内で構築物を調製することによって行うことができる(InVitrogenおよびSigma、ならびに他の供給先)。タンパク質は、これも市販されているE.coli株内で産出可能である。翻訳後修飾(例えば糖付加)した多量のタンパク質を産出するために、昆虫細胞内でのバキュロウイルス発現ベクターを使用可能であり、またはベクターを、酵母細胞内で選別および発現のために操作することができ、両方の場合に、発現ベクターおよび好適なプロデューサー細胞は市販されており、一般に使用されている。mg量のタンパク質が産出され、これは免疫化に有利であり、本発明の機能研究およびスクリーニングアッセイに不可欠である。
【実施例4】
【0110】
モノクローナル抗体の産出
モノクローナル抗体は、産出したBASP1、GID2、GID3およびGID4タンパク質で免疫化したマウス内で使用した一般的な方法によって得ることができ、そこで得られたハイブリドーマ細胞株によって産出された抗体を、免疫化タンパク質に対してスクリーニングし、そして抗体を、この免疫化タンパク質を用いるアフィニティクロマトグラフィーによって精製する。Tag含有組換え体BASP1、GID2、GID3またはGID4タンパク質をまた、抗体を産出するために、マウスを免疫化するのに使用してよく、その場合、得られたハイブリドーマ細胞株によって産出された抗体を、BASP1、GID2、GID3またはGID4タンパク質の非改変形態に対して、またはグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)−tag融合タンパク質のような、tagを含有しているタンパク質および第2のtagを含有しているタンパク質両方に対してのいずれかの、エピトープ特異的抗体に対してスクリーニングする。抗体を、アンチセンスオリゴヌクレオチドによるBASP1、GID2、GID3またはGID4発現を阻害すること、および以下で記載するスクリーニングアッセイで同定した、低分子量アンタゴニストまたはアゴニストの作用を試験することのような、機能研究における適切なポリペプチドの発現を検出するための試験で使用することができる。抗体はまた、診断方法およびキットの成分を含む場合がある。
【実施例5】
【0111】
アンチセンスオリゴヌクレオチドによるBASP1、GID2、GID3およびGID4発現の阻害
所定の遺伝子のセンスポリリボヌクレオチド(mRNA)鎖の特定の配列に相補的であり、細胞内に導入したときに、mRNAが二本鎖構造となり、それによって、それに続いて本来のmRNA分子を分解し、その遺伝子のコードタンパク質の発現を破棄する、二本鎖RNase酵素によって認識されるmRNAに結合する、小配列ストレッチ、好ましくは長さにして18〜20ヌクレオチドからなる合成アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)の使用が、遺伝子機能の研究に関して、一般的に使用される方法である。BASP1発現の阻害に関して、相補的BASP1、GID2、GID3またはGID4配列を含むASOを、例えば、市販されているリポソーム薬剤(例えば、リポフェクタミンおよびリポフェクション、Gibco−BRL)の使用のような、一般的な技術によって、樹状細胞およびBASP1、GID2、GID3またはGID4 mRNAを発現する特定の細胞株に導入する。ASOの効果は、RNase保護アッセイ、S1ヌクレアーゼアッセイ、PCRまたは上記の抗BASP1モノクローナル抗体を用いるELISAアッセイのような、任意のいくつかの方法によって測定する。それぞれ、BASP1、GID2、GID3またはGID4 mRNAの異なる領域に相補的な配列を含む、いくつかの異なるASOを、記載したアッセイで活性に関して試験し、ほとんどの効果的なASOを、以下の続く実施例で記載した仕様に関して選別した。ASOの活性の特異性は、例えば、選別したアッセイにおける「ミスマッチ」ASOを用いることによって、特異的なASOの活性を制御することなど、記載したアッセイで、いくつかの、好ましくは3〜5のヌクレオチド置換基を含む、関連配列のASOの活性を測定することで決定する。
【実施例6】
【0112】
樹状細胞および細胞株中での活性化マーカーの同定は、BASP1、GID2、GID3またはGID4発現に依存する
樹状細胞から、T細胞および免疫系の他の型の細胞(異型応答)、および他の樹状細胞(同型応答)への免疫学的シグナルの増幅において、役割を果たしていると認識される、例えばMHCクラスIIタンパク質、CD40、CD80およびCD86のような、樹状細胞中で発現される多数の表面膜関連タンパク質、およびG−CSF、IL−12およびIL−1のような、樹状細胞によって分泌される多数の水溶性メディエーターが存在する。樹状細胞内での、活性化マーカーと呼ばれうる、これらの型の遺伝子の発現は、細胞が、免疫学的シグナルによって活性化される時に、劇的に増加する。刺激細胞における活性化マーカーの誘導に際し、LPS、TNFα、ファゴサトーシス、または特異的表面タンパク質を架橋するために適切な抗体またはリガンドを使用すること、またはそのような刺激の組み合わせのような、異なる方法で刺激した樹状細胞で発現した、BASP1、GID2、GID3またはGID4の役割は、上記のような細胞内へのASOを導入すること、続いて、細胞の刺激、および活性化マーカーの発現レベルに関するアッセイによって測定される。阻害の特異性は、ミスマッチASOを上記のように導入された細胞との比較によって、またはアッセイ中、ASOで処理しない細胞を用いることで、制御する。活性化マーカーの発現は、RNase保護アッセイ、S1ヌクレアーゼアッセイ、PCR、適切な抗体を用いるELISAまたはFACSアッセイのような、任意のさまざまな方法によって測定する。上記のような細胞株中の活性化マーカーもまた、これらの同じ方法によって同定される。
【実施例7】
【0113】
他の樹状細胞膜関連タンパク質との、BASP1、GID2、GID3またはGID4の相互作用の測定
樹状細胞中で発現されたBASP1、GID2、GID3またはGID4の膜または細胞内局在を、神経細胞で示されたように(Maekawa,S.,J.Biol.Chem.274[1999]21369−21374)、タンパク質がラフト構造に関連するかどうかを決定するために、遠心による濃縮にしたがって、膜調製物を画分化することによって試験する。本解析において、種々の細胞画分、例えば細胞質、膜ラフトおよび非ラフト膜画分内に含まれるタンパク質は、さらに、ポリアクリルアミドゲル中で、変性条件下での電気泳動(SDSゲル電気移動)によって画分化し、フィルター上にブロットし、上記のBASP1、GID2、GID3またはGID4抗体を用いるウエスタン解析にかける。未刺激樹状細胞および、LPS、TNFα、ファゴサイトーシス、または特異的表面タンパク質を架橋するために適切な抗体またはリガンドを使用すること、またはそのような刺激の組み合わせのような、異なる方法で処理した細胞を、細胞性活性化に対する応答において、BASP1、GID2、GID3またはGID4タンパク質の局在が変化したかどうかを決定するために解析する。異なる画分中でBASP1、GID2、GID3またはGFID4と物理的に近く相互作用する他の細胞性タンパク質、およびBASP1、GID2、GID3またはGID4抗体は、Sigma Chemical CompanyおよびPierceより市販されている)可逆二価架橋剤での処理するか、またはせず、つづいて、2Dゲル分離(変性SDSゲル電気泳動と組み合わせた等電点電気泳動)および部分微小配列解析を実施する。これらの技術によって同定した樹状細胞中で発現されている第2のタンパク質との、BASP1、GID2、GID3またはGID4の物理的相互作用を、逆実験で確認し、そこでは、免疫沈殿を、第2のタンパク質に対する特異的抗体を用いて行い、続いて、BASP1、GID2、GID3またはGID4抗体を用いるウエスタンブロッティング解析を実施する。多くの公知の膜関連表面タンパク質に対する特異的抗体が、市販されている。該タンパク質が、それらの細胞株内で発現することが示されている場合には、樹状細胞内で同定し確認した任意の第2のタンパク質の、BASP1、GID2、GID3またはGID4と物理的相互作用もまた、上記の細胞株において確認する。
【実施例8】
【0114】
タンパク質−タンパク質相互作用に特異的なBASP1、GID2、GID3またはGID4タンパク質ドメインのマッピング
上記のtag−ポリペプチド、例えばFLAGエピトープに融合した、改変組換え体BASP1、GID2、GID3またはGID4タンパク質をコードしているDNA発現ベクターを、特定の部位で、BASP1、GID2、GID3またはGID4内のドメイン機能を崩壊しうる、小さなインフレーム挿入によって、遺伝的変異させる。変異させた構造を、上記で発現させた細胞株内に導入し、組換え体、変異BASP1、GID2、GID3またはGID4変異体タンパク質と物理的に一緒に、他の細胞性タンパク質を、タンパク質複合体を精製するために、tag−ポリペプチドに特異的な抗体を用いて、上記の方法により同定する。例えば、神経細胞で起こることが知られている(Takasaki,A.,J.Biol.Chem.274[1999]11848−11853)、カルモジュリンとの物理的相互作用に必要である、BASP1、GID2、GID3またはGID4内のドメインが、本方法で同定されるべきである。次いで、BASP1、GID2、GID3またはGID4タンパク質ドメインの確認およびフィンガーマッピングを、欠失または点変異をBASP1、GID2、GID3またはGID4タンパク質配列に導入することによって、tag−融合組換え体BASP1、GID2、GID3またはGID4発現構造物を用いて実施する。本方法において、相互作用欠損BASP1、GID2、GID3またはGID4変異体タンパク質を定義し、これらは、上記のように、プロデューサー細胞内で、発現ベクターを用いて産出しうる。さらに、相互作用ポリペプチド配列と呼ばれる、最小BASP1、GID2、GID3またはGID4直鎖状ポリペプチド配列を定義することができ、これは、第2のタンパク質と相互作用するために、BASP1、GID2、GID3またはGID4に不可欠であり得る。
【実施例9】
【0115】
ポリペプチドを用いて樹状細胞内でのBASP1、GID2、GID3またはGID4との相互作用を活性化する
上記の相互作用ポリペプチド配列を、そのコードが、感染細胞内でポリペプチドを発現することができる、例えば、レンチウイルスまたはスプマウイルスに基づく好適な足場より誘導した、感染、複製欠損哺乳動物発現ベクターを用いて、樹状細胞内に導入する。内因性BASP1、GID2、GID3またはGID4タンパク質の、上記の第2のタンパク質との相互作用を妨害する、発現された相互作用ポリペプチドの作用を、上記の抗BASP1、GID2、GID3またはGID4抗体での免疫沈降、続く共沈したタンパク質の解析、好ましくは、上記のような、第2のタンパク質に対する特異的抗体を用いるウエスタンブロット解析によって、細胞から抽出したタンパク質にて解析する。所定の相互作用−妨害ポリペプチドの特異性を、変異、すなわち2〜4個のアミノ酸置換基を、発現ベクター内のポリペプチドに挿入し、アッセイにおける、そのような「ミスマッチ」相互作用−妨害制御ポリペプチドを試験することによって決定する。この方法において、相互作用−妨害ポリペプチドを同定可能であり、従来のような合成方法によって、純粋な形態でこれらを産出することができる。
【実施例10】
【0116】
樹状細胞および細胞株における活性化マーカーの同定は、第2の細胞性タンパク質との、BASP1、GID2、GID3またはGID4の特異的物理的相互作用に依存する
刺激した細胞での活性化マーカーの誘導のために、LPS、TNFα、ファゴサイトーシス、または特異的表面タンパク質への架橋のために適切な抗体またはリガンドを使用すること、またはそのような刺激の組み合わせのような、異なる方法で刺激した、樹状細胞、および上記の細胞株で発現された第2の細胞性タンパク質との、BASP1、GID2、GID3またはGID4の特異的物理的相互作用の必要性を、相互作用−妨害ポリペプチドを、複製欠損感染性ウイルス発現ベクターを使用して、上記の細胞内に導入し、続いて、細胞の刺激、および活性化マーカーの発現レベルに関するアッセイによって、決定した。アッセイの特異性は、アッセイに供する細胞内へ、ミスマッチ相互作用−妨害制御ポリペプチドを導入することによって決定する。
【実施例11】
【0117】
BASP1、GID2、GID3またはGID4発現および/あるいはBASP1、GID2、GID3またはGID4の第2の細胞性タンパク質との特異的物理的相互作用に依存する樹状細胞の表現系特性
免疫学的に関連する細胞性活性または特性に関して、樹状細胞において発現されるBASP1、GID2、GID3またはGID4の機能的重要性を、以下の2つのアッセイで評価する。
【0118】
i)樹状細胞遊走アッセイ
未成熟の樹状細胞の活性化の間の初期段階は遊走機能の獲得であり、これは、例えば、半浸透性膜によって分離した2つのチャンバー系の1つのチャンバー内に細胞を入れること、および膜を介して第2のチャンバーに遊走した細胞の割合を測定すること、またはコラーゲン含有ゲルとして、ブラウン運動を妨げる粘性の高い培地中に懸濁させた細胞の顕微鏡写真を実施することによって評価される。BASP1、GID2、GID3またはGID4発現における遊走能力の依存性を、上記のように、BASP1、GID2、GID3またはGID4 mRNAに対する特異的ASOが誘導された樹状細胞中で評価する。ASOの特異性は、上記のように、アッセイにミスマッチASOを含ませることによって測定する。BASP1、GID2、GID3またはGID4の、樹状細胞中で発現された第2の細胞性タンパク質との特異的物理的相互作用における、遊走能力の依存性を、上記のように、特異的相互作用−妨害ポリペプチドを導入した細胞内で評価する。相互作用−妨害ポリペプチドの作用の特異性を、上記のように、アッセイに供する細胞に、ミスマッチ相互作用−妨害コントロールポリペプチドを導入することで決定する。
【0119】
ii)樹状細胞および細胞株によるT細胞活性化
活性化に応答でして樹状細胞が成熟するので、これらは、抗原の提示によって、複製するようにT細胞を活性化するその能力が、より強力になる。このことは、樹状細胞のT細胞活性化能力と呼ばれ、これは、(提示に好適な抗体に予め暴露した)樹状細胞の漸増比の系列を、培養培地中でT細胞とともに混合すること、例えば1:5〜1:25〜1:100〜1:300〜1:1000など、樹状細胞が内部で抗原を処理し、MHCクラスIIタンパク質との複合体でその表面からエピトープを提示し、次いで、活性化工程を含む他の細胞−細胞相互作用シグナルの間に、T細胞レセプター表面タンパク質との複合体を形成する間、一般的には5〜7日間インキュベートすること、次いで、例えば複製中のT細胞におけるDNA合成に関する、放射活性基質の組み込みを測定することによって、活性化工程によって刺激したT細胞複製の程度を測定すること、によって評価される。例えば、樹状細胞の活性能力の強さまたは強度は、T細胞の複製の最大の程度刺激された時の、樹状細胞あたりのT細胞の数として表され、例えば、単一の樹状細胞によって複製するように刺激され得るT細胞の数が多いことは、樹状細胞の相当するより高い活性化能力を表す。そのような、樹状細胞中でのBASP1、GID2、GID3またはGID4発現における活性化能力の依存性は、上記のように導入された、BASP1、GID2、GID3またはGID4 mRNAに対する特異的ASOが導入されている細胞内でアッセイされる。上記のように導入された、ASOの特性を、上記のように、アッセイにミスマッチASO含ませることによって決定する。BASP1、GID2、GID3またはGID4の、樹状細胞中で発現された第2の細胞性タンパク質との特異的物理的相互作用における依存性を、上記のように、特異的相互用−障害ポリペプチドが導入されている細胞内で評価する。相互作用−妨害ポリペプチドの活性の特異性は、上記のように、アッセイに供する細胞内への、ミスマッチ相互作用−妨害コントロールポリペプチドの導入によって決定する。
【実施例12】
【0120】
BASP1、GID2、GID3またはGID4プロモーター配列を含む組換え体レポーター遺伝子ベクター、ならびに樹状細胞および細胞株における発現
mRNA合成の転写制御は、一般的に、遺伝子プロモーターと呼ばれる、mRNA合成開始部位のすぐ上流に存在する染色体DNA配列(すなわち、開始部位に近接している鋳型配列に隣接した染色体配列)、およびプロモーター配列に対して遠位に存在しうる転写エンハンサーと呼ばれる小DNAエレメントによって達成される。BASP1、GID2、GID3またはGID4遺伝子プロモーターを含む可能性のある染色体DNA配列を、PCRによって、例えば100〜200〜500〜1000bpの範囲の長さの増幅DNA断片を増幅し、ルシフェラーゼのような簡単に検出しうるマーカータンパク質を発現することができ、それによって組換え体発現ベクターを哺乳動物細胞中に導入したときに、マーカーの発現が挿入された増幅DNA断片のプロモーター活性に依存する、組換え体哺乳動物発現ベクター内にクローン化する。この方法では、i)BASP1、GID2、GID3またはGID4プロモーターが、機能的に定義され、著しく局在化され得、そしてii)複雑な細胞性因子の活性化、ならびに増強されたBASP1、GID2、GID3またはGID4 mRNA発現が依存するそれらの因子の活性化を制御する事象(例えば、樹状細胞性活性化の間に起こる)を、組換え体発現ベクターがその中に導入されている細胞中で発現されたマーカータンパク質の量によって簡便に、そして定量的にモニターすることができる。組換え体発現ベクターを、BASP1、GID2、GID3またはGID4プロモーターが制御されている樹状細胞内に導入する。他の関連しない作用に対抗して、そのような作用を測定するように設計されたアッセイにおける、マーカーの発現レベルが組換え体発現ベクター中のBASP1、GID2、GID3またはGID4プロモーターの活性をどの程度正確に反映するかは、その活性がアッセイの間に生じる細胞性事象の変化に影響されない第2のプロモーターによる転写制御を受ける第2の組換え体ベクター中に第2のマーカー、および上記第2のプロモーターによる転写制御を受ける第2の組換え体ベクター内の第一マーカーを含ませることによって、評価する。
【実施例13】
【0121】
BASP1、GID2、GID3またはGID4発現または活性の低分子量アゴニストまたはアンタゴニストに関するスクリーニングアッセイ
いくつかの型のアッセイが、低分子量化合物のライブラリー、例えば、天然の産物の集合およびコンビナトリアル化学ライブラリー(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド、ペプチド、抗体およびミメティック)のハイスループットスクリーニングに適する。BASP1、GID2、GID3またはGID4発現の、あるいはBASP1、GID2、GID3またはGID4タンパク質の機能活性のアンタゴニストまたはアゴニストを、以下のアッセイにしたがってスクリーニングする。
【0122】
i)BASP1、GID2、GID3またはGID4発現のアンタゴニストまたはアゴニストに関する細胞スクリーニングアッセイ
上記のように、その発現がBASP1、GID2、GID3またはGID4プロモーターに支配される、マーカータンパク質を含む組換え体発現ベクターを、プロモーターが上記のような適切な細胞性刺激によって誘導されることが示されている細胞株中に導入する。スクリーニングアッセイにおいて、発現ベクターを含有している細胞を、ライブラリー中に存在する基質と接触させ、次いで、これらを、BASP1、GID2、GID3またはGID4プロモーターを活性化することが示されている条件下で処理し、そして任意の基質に曝さなかった細胞と比べて、より高いマーカー発現(潜在的アゴニスト)またはより低いマーカー発現(潜在的アンタゴニスト)のいずれかを生じる化合物をスクリーニングし、選択する。
【0123】
ii)BASP1、GID2、GID3またはGID4活性のアンタゴニストまたはアゴニストに関する細胞スクリーニングアッセイ
刺激の際のその発現がBASP1、GID2、GID3またはGID4発現に依存する、および/あるいは上記のように、第2の細胞性タンパク質とのBASP1、GID2、GID3またはGID4の特異的物理的相互作用に依存する細胞株中の細胞性活性化マーカーを、BASP1の細胞性活性の指標として使用する。指標は、その発現が細胞アッセイにおいて、例えば、結合抗体(例えば、発色または蛍光を生じる反応)に依存する第2のシグナル生成システムと組み合わせて、指標タンパク質に特異的な抗体を使用して、簡便かつ定量的に検出できるように、例えば、近似蛍光又は他の検出可能なエネルギー転移方法を選択する。スクリーニングアッセイでは、細胞をライブラリー中に存在する基質と接触させ、次いでこれを、BASP1、GID2、GID3またはGID4発現を活性化することが示されている条件下で処理し、いずれの基質にも暴露しなかった細胞と比べて、活性化マーカー(指標)の発現(潜在的アゴニスト)またはより低い活性化マーカーの発現(潜在的アンタゴニスト)のいずれかを生じる化合物をスクリーニングし、選択する。
【0124】
iii)BASP1、GID2、GID3またはGID4タンパク質に特異的に結合する化合物に関するスクリーニングアッセイ
上記のように単離し産出したBASP1、GID2、GID3またはGID4タンパク質を、タンパク質と結合した基質を遊離(結合していない)基質およびタンパク質から区別することができるアッセイにおいて、ライブラリー中に存在する基質と接触させる。例えば、タンパク質に結合した基質は、それによって検出されうるタンパク質の固有の生物物理的特性を変化させる場合があり、また基質は、連結した基質がタンパク質分子に結合し、それにより指標に近くに存在すると生物物理的特性が変化する場合がある指標分子に結合し得る場合もあり、また例えば、競合型のアッセイにおいては、タンパク質に結合すると検出されうる抗体またはミメティックが、それ自体がそのタンパク質に結合する基質の存在によりその結合が競合する。
【0125】
iv)BASP1、GID2、GID3またはGID4タンパク質の、第2のタンパク質との物理的相互作用のアンタゴニストまたはアゴニストに関するスクリーニングアッセイ
上記のように単離し産出したBASP1、GID2、GID3またはGID4タンパク質を、ライブラリー中に存在する基質と接触させ、次いでBASP1、GID2、GID3またはGID4タンパク質と同語作用する第2のタンパク質をアッセイに添加する。その結果、第2のタンパク質に結合したBASP1、GID2、GID3またはGID4は遊離のタンパク質から区別され、それにより2つのタンパク質の物理的相互作用を増大させる(潜在的アゴニスト)またはそれを減少させる(潜在的アンタゴニスト)物質を選択する。例えば、上記のように、タンパク質−タンパク質結合に関係している、タンパク質の生物物理的特性の変化を、物理的相互作用、抗体またはミメティックを用いる競合型アッセイ、あるいはハイスループットアッセイに適切なBASP1、GID2、GID3またはGID4に結合した第2のタンパク質の生物化学活性の変化を検出するために使用することができる場合もある。
【実施例14】
【0126】
スクリーニングアッセイにおいて同定したBASP1、GID2、GID3またはGID4発現または活性についての単離したアンタゴニストまたはアゴニストの活性の評価
特異性または毒性または利便性の特性を明らかにするために、アンタゴニストまたはアゴニストの活性を多数の異なるアッセイのいずれかで試験する。
【0127】
i)単離した樹状細胞、または上記のような同様の機能を持つ細胞もしくは細胞株、あるいは無関係な細胞もしくは細胞株を、漸増濃度の試験するアンタゴニストまたはアゴニストと接触させ、発現されたBASP1、GID2、GID3またはGID4 mRNAまたはタンパク質のレベルを上記の方法のいずれかによって測定し、そして未処理の細胞ならびに上記のようにアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびミスマッチ制御アンチセンスオリゴヌクレオチドで処理した細胞と比較する。BASP1、GID2、GID3またはGID4 mRNAまたはタンパク質の発現における、アンタゴニストまたはアゴニストの作用を、第2の無関係な細胞性遺伝子の発現に対する作用と比較する。
【0128】
ii)単離した樹状細胞または上記のような同様の機能の細胞もしくは細胞株を、漸増濃度の試験するアンタゴニストまたはアゴニストと接触させ、上記のようにBASP1、GID2、GID3またはGID4発現に依存して発現された活性化マーカーのレベルを、上記の方法のいずれかによって測定し、そして未処理の細胞ならびに上記のようにアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびミスマッチ制御アンチセンスオリゴヌクレオチドで処理した細胞のレベルと比較する。
【0129】
iii)単離した樹状細胞または上記のような同様の機能の細胞もしくは細胞株を、漸増濃度の試験するアンタゴニストまたはアゴニストと接触させ、上記のようなBASP1、GID2、GID3またはGID4の第2の細胞性タンパク質との特異的物理的相互作用に依存する発現活性化マーカーのレベルを、上記の方法のいずれかによって測定し、そして未処理の細胞ならびに上記のようにアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびミスマッチ制御アンチセンスオリゴヌクレオチドで処理した細胞のレベルと比較する。
【0130】
iv)単離した樹状細胞または同様の機能の細胞を、漸増濃度の試験するアンタゴニストまたはアゴニストと接触させ、細胞遊走に対する作用を上記のように測定し、そして未処理の細胞、上記のようにアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびミスマッチ制御アンチセンスオリゴヌクレオチドで処理した細胞、ならびに上記のように相互作用−妨害ポリペプチドおよびミスマッチ制御ポリペプチドで処理した細胞のレベルと比較する。
【0131】
v)単離した樹状細胞または上記のような同様の機能の細胞もしくは細胞株を、漸増濃度の試験するアンタゴニストまたはアゴニストと接触させ、細胞のT細胞活性化能力に対する作用を、上記のように測定し、そして未処理の細胞、上記のようにアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびミスマッチ制御アンチセンスオリゴヌクレオチドで処理した細胞、ならびに上記のように相互作用−妨害ポリペプチドおよびミスマッチ制御ポリペプチドで処理した細胞のレベルと比較する。
【0132】
vi)単離した樹状細胞または上記のような同様の機能の細胞もしくは細胞株を、漸増濃度の試験するアンタゴニストまたはアゴニストと接触させ、細胞複製または生存性に対する作用を、例えばDNA合成の放射活性または蛍光前駆体の取り込みによって、例えば死滅ししつある細胞の細胞成分と反応する特異的抗体に基づく市販されているキットを用いることによって、測定する。
【0133】
vii)単離した樹状細胞、上記のような同様の機能の細胞もしくは細胞株、または無関係な細胞もしくは細胞株を、漸増濃度の試験するアンタゴニストまたはアゴニストと接触させ、遺伝子発現プロフィールに対する作用を、DNAマイクロアレイハイブリダイゼーション技術によって決定し、そしてBASP1、GID2、GID3またはGID4アンチセンスオリゴヌクレオチドおよびミスマッチ制御ポリペプチド、または相互作用−妨害ポリペプチドおよびミスマッチ制御ポリペプチドで処理した細胞の作用と、あるいはBASP1、GID2、GID3またはGID4とは無関係な第2の細胞性遺伝子の活性のアンタゴニストまたはアゴニストで処理した細胞の作用と比較する。
【0134】
viii)単離した樹状細胞、上記のような同様の機能の細胞もしくは細胞株、または無関係な細胞もしくは細胞株を、漸増濃度の試験するアンタゴニストまたはアゴニストと接触させ、発現された細胞性タンパク質のプロフィールおよびそれらのタンパク質の状態に対する作用を、プロテオミクス技術によって測定し、そしてBASP1、GID2、GID3またはGID4アンチセンスオリゴヌクレオチドおよびミスマッチ制御ポリペプチド、または相互作用−妨害ポリペプチドおよびミスマッチ制御ポリペプチドで処理した細胞の作用と、あるいはBASP1、GID2、GID3またはGID4とは無関係な第2の細胞性遺伝子の活性のアンタゴニストまたはアゴニストで処理した細胞の作用と比較する。
【0135】
ix)上記のような組換え体レポーター遺伝子発現ベクターを含む、単離した樹状細胞、上記のような同様の機能の細胞もしくは細胞株、または無関係な細胞もしくは細胞株を、漸増濃度の試験するアンタゴニストまたはアゴニストと接触させ、レポーターベクター中に含まれる、BASP1、GID2、GID3またはGID4プロモーター配列の活性に対する作用に対する作用を、上記のように測定し、そしてBASP1、GID2、GID3またはGID4とは無関係な第2の細胞性遺伝子のプロモーターを含む第2のレポーターベクターで得られる作用、および上記レポーターベクターのいずれかを含んでいる未処理の細胞で得られる作用、およびBASP1、GID2、GID3またはGID4とは無関係な第2の細胞性遺伝子の発現のアンタゴニストまたはアゴニストで処理した上記レポーターベクターのいずれかを含有している細胞で得られる作用と比較する。
【0136】
x)上記のように精製したBASP1、GID2、GID3またはGID4タンパク質および第2の細胞性相互作用タンパク質を、漸増濃度の試験するアンタゴニストまたはアゴニストと接触させ、タンパク質−タンパク質相互作用に対する作用を、上記の方法のいずれかによって測定し、そして処理しない場合に見られる作用、精製した相互作用−妨害ポリペプチドおよびミスマッチ制御−相互作用ポリペプチドの存在下で見られる作用と、あるいは上記の処理したおよび未処理の変異相互作用欠損BASP1、GID2、GID3またはGID4タンパク質および第2の相互作用タンパク質を用いて見られる作用、またはBASP1、GID2、GID3またはGID4タンパク質とは無関係なタンパク質の相互作用のアンタゴニストまたはアゴニストで処理した任意の上記の精製したタンパク質のいずれかを用いて見られる効果と比較する。
【0137】
xi)試験する漸増濃度のアンタゴニストまたはアゴニストで処理したかまたは処理していないかいずれかの、単離した樹状細胞または同様の機能の細胞または上記細胞を含む組織を、薬理学的試験において使用する移植片移植に寛容である適切な実験動物(例えばSCIDマウス、例えば照射動物)に移植し、続いて、免疫刺激によってチャレンジし、続く免疫応答に対する試験物質の作用を測定し、そして上記のようにアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびミスマッチアンチセンスオリゴヌクレオチドで処理した単離した細胞または組織、あるいは上記のような、相互作用−妨害ポリペプチドおよびミスマッチ制御ポリペプチドで処理した細胞または組織、あるいは上記のような無関係なアンタゴニストまたはアゴニストで処理した細胞または組織を用いて見られる作用と比較する。
【0138】
xii)単離した樹状細胞または同様の機能の細胞または上記細胞を含む組織を、薬理学的試験において使用する移植片移植に寛容である適切な実験動物(例えばSCIDマウス、例えば照射動物)に移植し、続いて、免疫刺激によってチャレンジし、試験する漸増濃度のアンタゴニストまたはアゴニストで処理するかまたは処理せず、続く免疫応答に対する試験物質の作用を測定し、薬理学的処理を行わない場合に見られる作用と比較する。
【0139】
xiii)薬理学的試験に使用した適切な実験動物から得た、そして、BASP1、GID2、GID3またはGID4遺伝子の種の内因性オルトログを発現する、漸増濃度の試験するアンタゴニストまたはアゴニストで処理したかまたは処理していない、単離した樹状細胞または同様の機能の細胞または上記細胞を含む組織を、上記動物に移植し、続いて免疫刺激でチャレンジし、続く免疫応答に対する作用を測定し、上記のようなオルトログに関して単離したアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびミスマッチアンチセンスオリゴヌクレオチドで処理した単離した細胞または組織を用いて、または上記のようなオルトログに関して単離した相互作用−妨害ポリペプチドおよびミスマッチ制御ポリペプチドで処理した単離細胞または組織を用いて、または上記のような無関係なアンタゴニストまたはアゴニストで処理した細胞または組織を用いて見られる作用と比較する。
【0140】
xiv)薬理学的試験に使用した適切な実験動物から得た、機能的特性または使用特性において、ヒトのBASP1、GID2、GID3またはGID4遺伝子の変異体および/または組換え体のいずれかに相当する、BASP1、GID2、GID3またはGID4遺伝子の種のオルトログの形態を発現するように処理または処理した、本発明に記載した任意の適切な方法によって産出され導入され、漸増濃度の試験するアンタゴニストまたはアゴニストで処理したかまたは処理していない、単離した樹状細胞または同様の機能の細胞または適切な細胞株を、上記動物に移植し、続いてこれを免疫刺激によりチャレンジし、免疫応答に対する作用を測定し、上記のようなオルトログに関して単離した、アンチセンスオリゴヌクレオチドおよびミスマッチアンチセンスオリゴヌクレオチドで処理した単離した細胞を用いて、または上記のようなオルトログに関して単離した相互作用−妨害ポリペプチドおよびミスマッチ制御ポリペプチドで処理した単離した細胞を用いて得られる作用と、あるいは上記のような無関係なアンタゴニストまたはアゴニストで処理した細胞または組織を用いて見られる作用と比較する。
【0141】
xv)薬理学的試験に使用した適切な実験動物から得た、本発明により変更された機能的特性または使用特性を含むヒトのBASP1、GID2、GID3またはGID4遺伝子、または変異体、組換え体形態を発現するように操作または処理された、本発明に記載されている任意の適切な方法によって産出され導入された、漸増濃度の試験するアンタゴニストまたはアゴニストで処理されたかまたは処理していないかいずれかの、単離した樹状細胞または同様の機能の細胞もしくは細胞株を、上記動物に移植し、続いて免疫刺激によりチャレンジし、免疫応答に対する作用を測定し、そして上記のようなアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびミスマッチアンチセンスオリゴヌクレオチドで処理した単離した細胞または組織を用いて見られる作用と比較する。
【0142】
xvi)薬理学的試験に使用した適切な実験動物から得た、その発現が、上記のようにBASP1、GID2、GID3またはGID4プロモーター配列に依存しているか、または記載した本発明の方法によって産出した試験に使用する実験動物のオルトログBASP1、GID2、GID3またはGID4遺伝子のプロモーターに依存する、組換え体レポーター遺伝子を発現するように操作または処理されている、漸増濃度の試験するアンタゴニストまたはアゴニストで処理したかまたは処理していないかいずれかの、単離した樹状細胞または同様の機能の細胞または細胞株を、上記動物に移植し、続いて免疫刺激によりチャレンジし、組換え体レポーターベクター内に含まれるプロモーターの活性に対する作用を測定し、未処理の細胞またはBASP1、GID2、GID3またはGID4とは無関係な第2の遺伝子の発現のアンタゴニストまたはアゴニストで処理したかまたは処理していない細胞を用いて見られる作用と比較する。
【0143】
xvii)その中に単離した樹状細胞または記載したような同一の機能の細胞または細胞株が移植されている、BASP1、GID2、GID3またはGID4の任意の遺伝子形態または相補体または変異体または組換え体、あるいはBASP1、GID2、GID3またはGID4のオルトログ、あるいはBASP1、GID2、GID3またはGID4を含む組換え体レポーター遺伝子ベクター、あるいは記載した適切なオルトログプロモーター配列を発現するように処理したかまたはしていない、続いて免疫刺激によって刺激した、薬理学的試験において一般的に使用する実験動物を、漸増濃度の試験するアンタゴニストまたはアゴニストで処理し、上記の作用のいずれかを、上記の方法のいずれかによって測定し、アンチセンスオリゴヌクレオチド、相互作用−妨害ポリペプチドを用いて、あるいはBASP1、GID2、GID3またはGID4とは無関係な第2の遺伝子の発現または活性のアンタゴニストまたはアゴニストを用いて処理したまたは処理していない動物で見られる作用と比較する。
【0144】
xviii)ヒトBASP1、GID2、GID3またはGID4遺伝子または相補体または変異体または組換え体、あるいは本発明のヒトまたはオルトログBASP1、GID2、GID3またはGID4プロモーター配列を安定にまたは条件的に含みそして発現するように操作されている、本発明のトランスジェニック実験動物(その中ではトランスジーンが、内因性BASP1、GID2、GID3またはGID4オルトログ遺伝子の異種または同種置換物として、あるいは第2の遺伝子座における置換物または挿入物として産出され、続いて免疫刺激によってチャレンジする本発明のトランスジェニック実験動物を、漸増濃度の試験するアンタゴニストまたはアゴニストで処理し、上記の作用のいずれかを上記の方法のいずれかによって測定し、そしてアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いて、相互作用−妨害ポリペプチドを用いて、またはBASP1、GID2、GID3またはGID4とは無関係な第2の遺伝子の発現または活性のアンタゴニストもしくはアゴニストを用いて処理したかまたは処理していない動物で見られる作用と比較する。
【0145】
xix)免疫刺激によってチャレンジした、本発明のオルトログBASP1、GID2、GID3またはGID4遺伝子配列のホモ接合型決死津あるいはBASP1、GID2、GID3またはGID4活性を破壊するのに十分な欠失を含む遺伝子操作した実験動物を、漸増濃度の試験するアンタゴニストもしくはアゴニストで処理するか、あるいは動物から単離した樹状細胞または同様の機能の細胞を次いで動物に再度導入し、そして免疫応答に対する作用を測定し、未処理の動物または動物内に再導入した細胞においてて得られる作用と比較する。
【0146】
xx)上記の遺伝的変異体のいずれかを、例えば、特異的チャレンジに対して感受性が高い遺伝的背景において特異的免疫応答を生じるように、例えば、特異的チャレンジ後のより再生性があるかまたは浸透性免疫応答に影響を与えるように、例えば、ヒトにおいて観察されるもの以上に特徴的であり得るチャレンジに応答する免疫応答を生じるように、他の遺伝子座で交配または操作されている実験動物中で産出し、これらの変異動物を、免疫刺激によってチャレンジし、漸増濃度の試験するアンタゴニストまたはアゴニストで処理するか、またはこれらの動物から単離した樹状細胞または同様の機能の細胞、または上記のように改変した単離細胞のいずれかを、漸増濃度のアンタゴニストまたはアゴニストで処理するかまたはしないかして、動物内に再導入するかまたは導入し、免疫応答に対する作用を測定し、未処理の動物を用いてまたは、動物内に導入した未処理の単離した細胞を用いて得られる作用と比較する。
【実施例15】
【0147】
脊髄細胞株U937におけるBASP1の過剰発現
C−末端FLAGタグ化BASP1または空のベクターを発現するU937骨髄球細胞を、レトロウイルス遺伝子導入およびそれに続くFACS細胞ソーティングによって確立する。トランスフェクタントを、1×106細胞/mlで10μg/ml LPSで刺激する。IL−8分泌を、示した時点で、特異的ELISAによって測定する(例えば図7を参照のこと)。TNF−α分泌のレベルに変化がないことが観察された(データは示していない)。
【0148】
これらのデータは、BASP1の異所性発現が、IL−8、炎症性サイトカインの分泌を調整することできることを示している。したがって、BASP1経路の妨害が、炎症および自己免疫疾患のような疾患で考えられる。
【実施例16】
【0149】
抗原提示細胞におけるGID2.2の過剰発現
N−FLAG−GID2.2または空のベクターを高レベルで発現する樹状細胞に相当する、表現系(例えば、CD36、CD40、CD83のような表面マーカー)および機能性(例えば、HLA−II抗原の高い発現、HLA−IIとの複合体として抗原を内部に取り込み、処理し、そして提示する能力)を有するAB4細胞=EBV形質転換B細胞を、レトロウイルス形質導入およびそれに続くFACS細胞ソーティングによって確立する(例えば、図8を参照のこと)。ベクターまたはGID2.2を形質導入したAB4細胞に、DerP1タンパク質(=Pteronyssinusの皮膚ファゴイドタンパク質、ハウス−ダスト−ミベの主要アレルゲン性タンパク質)を取り込ませ、DerP1特異的T細胞クローンの増幅を刺激するために使用する。T細胞クローンの抗原特異的増幅を測定する(例えば図9を参照のこと)。
【0150】
これらのデータは、抗原提示細胞中のGID2.2の異所性発現が、T細胞増幅を正に調節することを示唆している。したがって、GID2.2の妨害が、自己免疫疾患、アレルギーおよび喘息のような、T細胞が慢性的に刺激される疾患において有用であり得る。
【0151】
【表2】 【表3】 【表4】 【表5】 【表6】 【表7】 【表8】 【表9】 【表10】 【表11】
Claims (21)
- BASP1、GID2、GID3およびGID4から選択される免疫系の樹状細胞中で発現された、単離遺伝子。
- 配列番号1または配列番号2または配列番号3または配列番号5または配列番号7または配列番号8または配列番号10または配列番号11のポリヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載の単離遺伝子。
- 配列番号4、または配列番号6または配列番号9または配列番号12のポリペプチドをコードしている、請求項1または2のいずれか1つに記載の単離遺伝子。
- 請求項1〜3のいずれか1つに記載の、GID2.1、GID3および/またはGID4遺伝子によってコードされる単離ポリペプチド。
- 請求項1〜3のいずれかの1つに記載の遺伝子、ならびに/あるいは請求項4に記載のおよび/または配列番号6のポリペプチドを含む、ベクター。
- 請求項1〜3のいずれか1つに記載の遺伝子、または組換え体ベクターの一部分としての、相当する単離プロモーター配列を含む発現系であって、前記発現系またはその一部が、適合する宿主細胞に存在する場合に、前記発現系またはその一部が、請求項1〜4のいずれか1つに記載のポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチド、および/または配列番号6のポリペプチドを産出することが可能である、発現系。
- 請求項6に記載の発現系を含む単離宿主細胞。
- 以上に記載のような疾病、または疾患の可能性に関する診断キットであって、
(a)例えば、配列番号4または配列番号6または配列番号9または配列番号12の配列をコードしている遺伝子、
(b)(a)の配列に相補的なヌクレオチド配列、
(c)ポリペプチド、または
(d)ポリペプチドに対する抗体
を含むキット。 - 請求項4に記載のポリペプチドまたは配列番号6のポリペプチドに対する単離抗体。
- 請求項4に記載のポリペプチドの産出およびまたは生物学的活性を減少させるか、増強する、アゴニストまたはアンタゴニストを同定するための、スクリーニングのためのアッセイであって、以下の
(a)請求項4または配列番号6に記載のポリペプチド、
(b)請求項4または配列番号6に記載のポリペプチドを含む、発現系を保持している宿主細胞、
(c)請求項4または配列番号6に記載のポリペプチドを含む融合ポリペプチドを発現する、マーカーポリヌクレオチドに融合した、相当する遺伝子プロモーターおよび組換え体ポリヌクレオチドトランスジーンを含む、発現系を保持している宿主細胞、
(d)請求項4または配列番号6に記載のポリペプチドに対する抗体、
を含むアッセイ。 - 請求項1〜3のいずれか1に記載の遺伝子の発現および、または生物学的活性のアンタゴニストまたはアゴニストであって、前記アンタゴニストまたはアゴニストが以下の方法段階
A)
(a)請求項4または配列番号6に記載のポリペプチド、
(b)請求項4または配列番号6に記載のポリペプチドを含む発現系を保持している宿主細胞、
(c)請求項4または配列番号6に記載のポリペプチドを含む融合ポリペプチドを発現する、マーカーポリヌクレオチドに融合した、相当する遺伝子プロモーターおよび組換え体ポリヌクレオチドトランスジーンを含む、発現系を保持している宿主細胞、
(d)請求項4または配列番号6に記載のポリペプチドに対する抗体
を、候補化合物と接触させること、
B)a)、b)、c)またはd)のいずれかに対する候補化合物の効果を測定すること、
C)段階B)にて測定したアゴニストまたはアンタゴニストを選択すること、
によって提供されることを特徴とする、アンタゴニストまたはアゴニスト。 - 薬剤としての使用のための、請求項11に記載のアンタゴニストまたはアゴニスト。
- 薬理学的に許容可能な担体(単数または複数)/賦形剤(単数または複数)との組み合わせで、治療有効量の請求項11に記載のアゴニストまたはアンタゴニストを含む、薬理学的組成物。
- (なし)
- (なし)
- 請求項1〜3の任意の1つに記載の遺伝子の、過剰または不十分な発現レベル両方に関する、あるいは請求項4または配列番号6に記載のポリペプチドの過剰または不十分な発現レベル両方に関する異常な状態を処置する方法であって、前記処置を必要な対象へ、治療有効量の、請求項11に記載のアゴニストまたはアンタゴニストを投与することを含む、方法。
- 請求項16に記載の方法であって、前記処置すべき異常な状態に、例えば、アレルギー性またはアトピー性皮膚炎のような炎症性皮膚疾患、および、例えば自己免疫疾患での異常免疫活性のようなその症状が、腸および大腸、肺および脈管組織のような他の組織で見られる慢性炎症疾患を含む、急性および慢性炎症疾患、あるいは、例えば癌のような疾患での免疫過剰反応または抑制のような、移植拒絶発作が伴う疾患の処置治療に関連した望まない免疫応答、および持続性ウイルスまたは細菌感染に関連した望まない免疫応答が含まれる、方法。
- 免疫系のDC中で発現され、相当するポリペプチド配列のタンパク質をコードしている、請求項1に記載の遺伝子であって、そのDCでの発現が、免疫応答が疾患の病因、進行および/または症状の悪化の第一要素である疾患での治療的介入のために、DC中の特定の分子標的として、炎症性刺激によって調節される、遺伝子。
- 抗体ではない二重特異的試薬であって、請求項4または配列番号6に記載のポリペプチドに結合し、かつウイルス、細菌または真核寄生生物に、または癌細胞に結合する能力を有している、試薬。
- 哺乳動物における免疫応答を誘導するための方法であって、前記哺乳動物に、疾患から前記哺乳動物を保護するために、抗体および/またはT細胞免疫応答を生じるのに十分な量で、請求項4または配列番号6に記載のポリペプチドを接種することを含む方法。
- 哺乳動物に導入したときに、前記哺乳動物において、請求項4または配列番号6に記載のポリペプチドに対する免疫応答を誘導する、免疫学的/ワクチン処方(組成物)であって、前記処方が、請求項4または配列番号6に記載のポリペプチド、または請求項4または配列番号6に記載のポリペプチドを含む発現ベクター、あるいは請求項4で請求したような、または配列番号6のポリペプチドを含む発現ベクターを含む、前記処置される哺乳動物由来の細胞を含む宿主細胞を含む、免疫学的/ワクチン処方(組成物)。
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