JPWO2015137441A1 - 抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメント、ミリストイル化タンパク質検出キット、医薬、遺伝子、及びベクター - Google Patents

抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメント、ミリストイル化タンパク質検出キット、医薬、遺伝子、及びベクター Download PDF

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Abstract

配列番号1に示されるアミノ酸配列を含むCDR−L1と、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むCDR−L2と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むCDR−L3と、を含む軽鎖可変ドメイン、及び/又は、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むCDR−H1と、配列番号5に示されるアミノ酸配列を含むCDR−H2と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むCDR−H3と、を含む重鎖可変ドメインを有することを特徴とする抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメント。

Description

本発明は、抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメント、ミリストイル化タンパク質検出キット、医薬、遺伝子、及びベクターに関する。 本願は、2014年3月14日に、日本に出願された特願2014−052535号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
cAMP依存性プロテインキナーゼ触媒サブユニットの一次配列決定の際にN末端にミリスチン酸が結合していることが発見されてから(非特許文献1参照。)、現在までに100 以上のミリストイル化タンパク質が報告され、全タンパク質の数パーセントがミリストイル化を受けているとゲノム配列から推定されている(非特許文献2参照。)。
ミリストイル化とは、タンパク質のN末端に炭素数14個の飽和脂肪酸であるミリスチン酸が付加される翻訳後修飾の一種であり、この修飾はすべての真核生物に普遍的に存在するN−ミリストイル転移酵素(NMT:N−myristoyltransferase、非特許文献3参照。)によって翻訳と同時に行われる。
ミリストイル化は、翻訳時にペプチド鎖がリボソームに結合した状態で、メチオニンアミノペプチダーゼによるN末端のメチオニンの除去により露出したグリシンのαアミノ基に、NMTがミリスチン酸をアミド結合で付加することで生じる(非特許文献4参照。)。ミリストイル化にはコンセンサス配列は存在しないが、N末端から1番目がグリシンであることは必須であり、2番目は電荷を持たないアミノ酸(但し、プロリン、芳香族アミンを除く)、5番目は電荷を持たないアミノ酸、特にセリンが存在する場合が多く、6番目はプロリン以外のアミノ酸である、という傾向がある(非特許文献5参照。)。
細胞内シグナル伝達系に関与するタンパク質に多く見られるミリストイル化は、タンパク質と細胞膜との可逆的な相互作用のために機能している。例えば、HIV遺伝子産物であるNefや、癌遺伝子産物であるSrc kinaseはミリストイル化がタンパク質の機能発現に関与していることが報告されている(非特許文献6,7参照。)。また、N末端グリシンに変異をいれミリストイル化できないようにしたタンパク質では細胞膜に結合できず、その結果、がんの転移活性がなくなる場合もあることも示唆されている。
タンパク質−膜間、あるいはタンパク質−タンパク質間の特異的相互作用を介して、タンパク質の細胞内局在や活性の制御を行うことにより細胞内情報伝達に深く関与しているミリストイル化タンパク質の検出は、それぞれの細胞の動作メカニズムを理解するための重要な知見を与える(非特許文献8,9参照。)。
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しかしながら、未知のミリストイル化タンパク質の存在が推定されているものの、化学的に安定で反応性の低いミリストイル基を簡便に検出する方法はこれまで存在しなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、相互作用だけで認識できる抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメント、ミリストイル化タンパク質検出キット、医薬、遺伝子、及びベクターを提供する。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、抗体と抗原の分子間相互作用だけで抗体をクローニングすることが出来る抗体ライブラリー技術を用いて、抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメントを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記の特徴を有する抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメント、ミリストイル化タンパク質検出キット、医薬、遺伝子、及びベクターを提供するものである。
(1)(a1)配列番号1に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号1に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−L1と、
(b1)配列番号2に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号2に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−L2と、
(c1)配列番号3に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号3に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−L3と、
を含む軽鎖可変ドメイン、及び/又は、
(d1)配列番号4に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号4に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−H1と、
(e1)配列番号5に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号5に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−H2と、
(f1)配列番号6に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号6に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−H3と、
を含む重鎖可変ドメインを有することを特徴とする抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメント。
(2)配列番号1に示されるアミノ酸配列を含むCDR−L1と、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むCDR−L2と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むCDR−L3と、を含む軽鎖可変ドメイン、及び/又は、
配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むCDR−H1と、配列番号5に示されるアミノ酸配列を含むCDR−H2と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むCDR−H3と、を有する重鎖可変ドメインを含む前記(1)に記載の抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメント。
(3)配列番号4に示されるアミノ酸配列と、配列番号5に示されるアミノ酸配列と、配列番号6に示されるアミノ酸配列と、配列番号1に示されるアミノ酸配列と、配列番号2に示されるアミノ酸配列と、配列番号3に示されるアミノ酸配列と、をこの順に有する前記(1)又は(2)に記載の抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメント。
(4)配列番号7に示されるアミノ酸配列を有する前記(1)〜(3)のいずれか一つに記載の抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメント。
(5)(a2)配列番号8に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号8に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−L1と、
(b2)配列番号9に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号9に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−L2と、
(c2)配列番号10に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号10に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−L3と、
を含む軽鎖可変ドメイン、及び/又は、
(d2)配列番号11に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号11に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−H1と、
(e2)配列番号12に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号12に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−H2と、
(f2)配列番号13に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号13に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−H3と、
を含む重鎖可変ドメインを有することを特徴とする抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメント。
(6)配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むCDR−L1と、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含むCDR−L2と、配列番号10に示されるアミノ酸配列を含むCDR−L3と、を含む軽鎖可変ドメイン、及び/又は、
配列番号11に示されるアミノ酸配列を含むCDR−H1と、配列番号12に示されるアミノ酸配列を含むCDR−H2と、配列番号13に示されるアミノ酸配列を含むCDR−H3と、を含む重鎖可変ドメインを有する前記(5)に記載の抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメント。
(7)配列番号11に示されるアミノ酸配列と、配列番号12に示されるアミノ酸配列と、配列番号13に示されるアミノ酸配列と、配列番号8に示されるアミノ酸配列と、配列番号9に示されるアミノ酸配列と、配列番号10に示されるアミノ酸配列と、をこの順に有する前記(5)又は(6)に記載の抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメント。
(8)配列番号14に示されるアミノ酸配列を有する前記(5)〜(7)のいずれか一つに記載の抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメント。
(9)(a3)配列番号15に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号15に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−L1と、
(b3)配列番号16に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号16に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−L2と、
(c3)配列番号17に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号17に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−L3と、
を含む軽鎖可変ドメイン、及び/又は、
(d3)配列番号18に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号18に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−H1と、
(e3)配列番号19に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号19に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−H2と、
(f3)配列番号20に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号20に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−H3と、
を含む重鎖可変ドメインを有することを特徴とする抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメント。
(10)配列番号15に示されるアミノ酸配列を含むCDR−L1と、配列番号16に示されるアミノ酸配列を含むCDR−L2と、配列番号17に示されるアミノ酸配列を含むCDR−L3と、を含む軽鎖可変ドメイン、及び/又は、
配列番号18に示されるアミノ酸配列を含むCDR−H1と、配列番号19に示されるアミノ酸配列を含むCDR−H2と、配列番号20に示されるアミノ酸配列を含むCDR−H3と、を含む重鎖可変ドメインを有する前記(9)に記載の抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメント。
(11)配列番号18に示されるアミノ酸配列と、配列番号19に示されるアミノ酸配列と、配列番号20に示されるアミノ酸配列と、配列番号15に示されるアミノ酸配列と、配列番号16に示されるアミノ酸配列と、配列番号17に示されるアミノ酸配列と、をこの順に有する前記(9)又は(10)に記載の抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメント。
(12)配列番号21に示されるアミノ酸配列を有する前記(9)〜(11)のいずれか一つに記載の抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメント。
(13)(a4)配列番号25に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号25に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−L1と、
(b4)配列番号26に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号26に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−L2と、
(c4)配列番号27に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号27に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−L3と、
を含む軽鎖可変ドメイン、及び/又は、
(d4)配列番号28に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号28に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−H1と、
(e4)配列番号29に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号29に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−H2と、
(f4)配列番号30に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号30に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−H3と、
を含む重鎖可変ドメインを有することを特徴とする抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメント。
(14)配列番号25に示されるアミノ酸配列を含むCDR−L1と、配列番号26に示されるアミノ酸配列を含むCDR−L2と、配列番号27に示されるアミノ酸配列を含むCDR−L3と、を含む軽鎖可変ドメイン、及び/又は、
配列番号28に示されるアミノ酸配列を含むCDR−H1と、配列番号29に示されるアミノ酸配列を含むCDR−H2と、配列番号30に示されるアミノ酸配列を含むCDR−H3と、を含む重鎖可変ドメインを有する前記(13)に記載の抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメント。
(15)配列番号28に示されるアミノ酸配列と、配列番号29に示されるアミノ酸配列と、配列番号30に示されるアミノ酸配列と、配列番号25に示されるアミノ酸配列と、配列番号26に示されるアミノ酸配列と、配列番号27に示されるアミノ酸配列と、をこの順に有する前記(13)又は(14)に記載の抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメント。
(16)配列番号31に示されるアミノ酸配列を有する前記(13)〜(15)のいずれか一つに記載の抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメント。
(17)前記(1)〜(16)のいずれか一つに記載の抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメントを有することを特徴とするミリストイル化タンパク質検出キット。
(18)前記(1)〜(16)のいずれか一つに記載の抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメントを有効成分として含有することを特徴とする医薬。
(19)前記(1)〜(16)のいずれか一つに記載の抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメントをコードするDNAからなることを特徴とする遺伝子。
(20)(g1)配列番号22に示される塩基配列からなるDNA、
(h1)配列番号22に示される塩基配列において、1〜数個の塩基が欠失、置換又は付加されている塩基配列からなり、かつミリストイル化タンパク質認識能を有するタンパク質をコードするDNA、
(i1)配列番号22に示される塩基配列と同一性が80%以上である塩基配列からなり、かつミリストイル化タンパク質認識能を有するタンパク質をコードするDNA、又は、
(j1)配列番号22に示される塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができる塩基配列からなり、かつミリストイル化タンパク質認識能を有するタンパク質をコードするDNA、からなることを特徴とする遺伝子。
(21)(g2)配列番号23に示される塩基配列からなるDNA、
(h2)配列番号23に示される塩基配列において、1〜数個の塩基が欠失、置換又は付加されている塩基配列からなり、かつミリストイル化タンパク質認識能を有するタンパク質をコードするDNA、
(i2)配列番号23に示される塩基配列と同一性が80%以上である塩基配列からなり、かつミリストイル化タンパク質認識能を有するタンパク質をコードするDNA、又は、
(j2)配列番号23に示される塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができる塩基配列からなり、かつミリストイル化タンパク質認識能を有するタンパク質をコードするDNA、からなることを特徴とする遺伝子。
(22)(g3)配列番号24に示される塩基配列からなるDNA、
(h3)配列番号24に示される塩基配列において、1〜数個の塩基が欠失、置換又は付加されている塩基配列からなり、かつミリストイル化タンパク質認識能を有するタンパク質をコードするDNA、
(i3)配列番号24に示される塩基配列と同一性が80%以上である塩基配列からなり、かつミリストイル化タンパク質認識能を有するタンパク質をコードするDNA、又は、
(j3)配列番号24に示される塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができる塩基配列からなり、かつミリストイル化タンパク質認識能を有するタンパク質をコードするDNA、からなることを特徴とする遺伝子。
(23)(g4)配列番号32に示される塩基配列からなるDNA、
(h4)配列番号32に示される塩基配列において、1〜数個の塩基が欠失、置換又は付加されている塩基配列からなり、かつミリストイル化タンパク質認識能を有するタンパク質をコードするDNA、
(i4)配列番号32に示される塩基配列と同一性が80%以上である塩基配列からなり、かつミリストイル化タンパク質認識能を有するタンパク質をコードするDNA、又は、
(j4)配列番号32に示される塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができる塩基配列からなり、かつミリストイル化タンパク質認識能を有するタンパク質をコードするDNA、からなることを特徴とする遺伝子。(24)前記(19)〜(23)のいずれか一つに記載の遺伝子を発現ベクターに挿入してなることを特徴とする組換えベクター。
本発明によれば、相互作用だけで認識できる抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメントを提供することができる。
抗体ライブラリーに用いられるファージの構造を示す図である。 抗体ライブラリーのスクリーニング方法(パニング)の概要を示す図である。 ファージディスプレイ用の抗体発現ベクターを示す図である。 実施例におけるNAP22の発現検討結果である。 実施例におけるNAP22の精製検討結果である。 実施例におけるmyrNAP22の発現検討結果である。 実施例におけるmyrNAP22の質量分析結果である。 実施例における抗体ライブラリーのスクリーニング方法の概要を示す図である。 実施例におけるビアコアを用いた相互作用解析結果である。 実施例におけるビアコアを用いた相互作用解析結果である。 実施例におけるビアコアを用いた相互作用解析結果である。 実施例におけるモノクローナル抗体を用いたウエスタンブロッティングの結果である。 実施例におけるモノクローナル抗体の発現チェックの結果、及びビーズへの結合量のチェック結果である。 実施例におけるモノクローナル抗体を用いた免疫沈降の検討結果である。
<抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメント>
[第一実施形態]
本実施形態の抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメント(以下、本実施形態の抗体ともいう。)は、
(a1)配列番号1に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号1に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−L1と、
(b1)配列番号2に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号2に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−L2と、
(c1)配列番号3に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号3に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−L3と、
を含む軽鎖可変ドメイン、及び/又は、
(d1)配列番号4に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号4に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−H1と、
(e1)配列番号5に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号5に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−H2と、
(f1)配列番号6に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号6に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−H3と、
を含む重鎖可変ドメインを有する。
更に、抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメントは、本実施形態の配列番号1に示されるアミノ酸配列を含むCDR−L1と、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むCDR−L2と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むCDR−L3と、を含む軽鎖可変ドメイン、及び/又は、
配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むCDR−H1と、配列番号5に示されるアミノ酸配列を含むCDR−H2と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むCDR−H3と、を含む重鎖可変ドメインを含むことが好ましい。
尚、本発明において、CDRはcomplementarity−determining regionを意味する。
本実施形態の抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメントは、ミリストイル化されたタンパク質のミリストイル基を特異的に認識するものである。従って、ミリストイル基特異的認識能を保持していれば、前記(a1)〜(f1)の配列番号1〜6に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されていてもよい。
ここで、欠失、置換、又は付加されてもよいアミノ酸の数としては、1 〜5個が好ましく、1 〜 2個がより好ましい。
更に、発現精製が容易であることから、本実施形態の抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメントは、抗原を認識するために必要な最小単位である重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインをフレキシブルなペプチドリンカーで結合した単可変ドメインフラグメントであることが好ましい。即ち、scFv抗体であることが好ましい。
具体的には、本実施形態の抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号4に示されるアミノ酸配列と、配列番号5に示されるアミノ酸配列と、配列番号6に示されるアミノ酸配列と、配列番号1に示されるアミノ酸配列と、配列番号2に示されるアミノ酸配列と、配列番号3に示されるアミノ酸配列と、をこの順に有することが好ましく、配列番号7に示されるアミノ酸配列を有することがより好ましい。
本実施形態の抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメントの製造方法としては、特に限定されず、通常用いられる動物免疫法やハイブリドーマによる抗体作製法を用いてもよい。
しかしながら、動物細胞の増殖速度が遅く時間がかかる、動物に有害(致死性)な抗原は使用出来ない、エピトープ(抗体の抗原結合部位)や結合力が限られた特定の抗体しか得られない、抗体遺伝子を得るのが困難、等の問題があることから、抗体と抗原の分子間相互作用のみで抗体遺伝子をクローニングできる、ファージ抗体ライブラリーを用いたモノクローナル抗体の作製方法を用いることが好ましい。
抗体ライブラリーは、1固体の動物、あるいは、複数の固体の動物から全ての抗体遺伝子をクローニングし、その全ての可変ドメインを組み換え体の形(scFv抗体)でそれぞれひとつの繊維状ファージ(例えば、M13)の外郭タンパク質に融合して発現させることで、全ての抗体を漏れなく提示したファージのセットを作製する技術である(図1参照。)。図2に示すように、かかる抗体ライブラリーを用いてファージ上に提示された抗体のセットを用いてパニングを行うことによって、目的の抗ミリストイル化タンパク質抗体が選択される。パニングのサイクルを数回繰り返すことによって抗体ライブラリーの中から、抗原であるミリストイル基との親和性の高い抗ミリストイル化タンパク質抗体を取得することができる。
パニングでは、標的タンパク質(抗原)であるミリストイル化タンパク質をプレートに固定化し、ファージ抗体を反応させ、結合しなかったファージは洗浄し、結合したファージ抗体を溶出し大腸菌(例えば、DH12S)に感染させて増殖させる、という操作を繰り返す。これにより、抗原分子に発現した抗体が結合するかしないかだけで抗体を選択することが可能である。
また、実施例において示すように、ミリストイル化タンパク質をビーズに固定化してもよい。(1)提示される抗原分子の絶対数の増加、(2)適切な抗原部位の露出の2つの観点から、ビーズを用いたビーズスクリーニングが好ましい。
抗体ライブラリーとしては、非免疫ライブラリー、免疫ライブラリー、合成ライブラリー等が挙げられる。非免疫ライブラリー及び免疫ライブラリーは、由来となる動物が体内で作製した抗体遺伝子を全てクローニングすることで作製する。このとき、非免疫ライブラリーでは免疫していない動物を、免疫ライブラリーでは目的の抗原で免疫した動物を使用する。前者ではどのような抗原も使用可能で、エピトープや結合力が異なる様々な抗体が得られる。後者では特異性が高く結合力が強い抗体が得られることが多い。合成ライブラリーは抗体の可変領域の中でも特に多様性を持つCDR領域の遺伝子をランダムなアミノ酸で置換をしたライブラリーである。この場合は多様性が得られるが、実際の生体内では機能する抗体だけが生み出されるのとは異なり、そこには不具合のある抗体が多数含まれている可能性があることが問題となる。
本実施形態においては、非免疫ライブラリー、免疫ライブラリーを用いることが好ましく、免疫ライブラリーを用いることがより好ましい。
抗体ライブラリーは必ずしも免疫が必要ではなく、動物がもつ全ての抗体が候補となることから、毒物や本発明の抗体のような本来は生体内に大量に存在して免疫反応を惹起することが難しい分子に対する抗体も取得することが可能である。
また生体内では抗原による刺激が繰り返されることでより親和性の高い抗体を産出していくアフィニティーマチュレーション(抗体親和性成熟)がなされているが、遺伝子に変異を入れることやパニングを繰り返すことでこの現象をin vitro で再現できる。
また抗体分子とともに抗体の遺伝子も得ることができるため、継続的な抗体の生産が可能となることや、抗体分子の改変も出来ることもメリットのひとつである。
ファージディスプレイ用の抗体発現ベクターとしては、例えば図3に示すベクターが挙げられる(藤田保健衛生大学、黒澤研究室より供与)。図3に示すベクターにおいて、抗体は一本鎖抗体(scFv)として、最初はファージ外膜の一部であるcp3と融合した形で発現される。次に、抗体を介して抗原に結合したファージからこのベクターを回収し、SalI処理を行うことでcp3遺伝子を除去すると、proteinA が融合したscFv抗体が得られる。そのため、得られたscFv抗体は、proteinA が結合するIgGを固相化したカラムで簡便に精製され得る。
[第二実施形態]
本実施形態の抗体は、
(a2)配列番号8に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号8に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−L1と、
(b2)配列番号9に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号9に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−L2と、
(c2)配列番号10に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号10に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−L3と、
を含む軽鎖可変ドメイン、及び/又は、
(d2)配列番号11に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号11に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−H1と、
(e2)配列番号12に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号12に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−H2と、
(f2)配列番号13に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号13に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−H3と、
を含む重鎖可変ドメインを有する。
更に、本実施形態の抗体は、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むCDR−L1と、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含むCDR−L2と、配列番号10に示されるアミノ酸配列を含むCDR−L3と、を含む軽鎖可変ドメイン、及び/又は、
配列番号11に示されるアミノ酸配列を含むCDR−H1と、配列番号12に示されるアミノ酸配列を含むCDR−H2と、配列番号13に示されるアミノ酸配列を含むCDR−H3と、を含む重鎖可変ドメインを含むことが好ましい。
本実施形態の抗体は、前記(a2)〜(f2)の配列番号8〜13に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されていてもよい。
更に、本実施形態の抗体は、scFv抗体であることが好ましく、配列番号11に示されるアミノ酸配列と、配列番号12に示されるアミノ酸配列と、配列番号13に示されるアミノ酸配列と、配列番号8に示されるアミノ酸配列と、配列番号9に示されるアミノ酸配列と、配列番号10に示されるアミノ酸配列と、をこの順に有することがより好ましく、配列番号14に示されるアミノ酸配列を有することが特に好ましい。
[第三実施形態]
本実施形態の抗体は、
(a3)配列番号15に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号15に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−L1と、
(b3)配列番号16に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号16に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−L2と、
(c3)配列番号17に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号17に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−L3と、
を含む軽鎖可変ドメイン、及び/又は、
(d3)配列番号18に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号18に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−H1と、
(e3)配列番号19に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号19に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−H2と、
(f3)配列番号20に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号20に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−H3と、
を含む重鎖可変ドメインを有する。
更に、本実施形態の抗体は、配列番号15に示されるアミノ酸配列を含むCDR−L1と、配列番号16に示されるアミノ酸配列を含むCDR−L2と、配列番号17に示されるアミノ酸配列を含むCDR−L3と、を含む軽鎖可変ドメイン、及び/又は、
配列番号18に示されるアミノ酸配列を含むCDR−H1と、配列番号19に示されるアミノ酸配列を含むCDR−H2と、配列番号20に示されるアミノ酸配列を含むCDR−H3と、を含む重鎖可変ドメインを含むことが好ましい。
本実施形態の抗体は、前記(a3)〜(f3)の配列番号15〜20に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されていてもよい。
更に、本実施形態の抗体は、scFv抗体であることが好ましく、配列番号18に示されるアミノ酸配列と、配列番号19に示されるアミノ酸配列と、配列番号20に示されるアミノ酸配列と、配列番号15に示されるアミノ酸配列と、配列番号16に示されるアミノ酸配列と、配列番号17に示されるアミノ酸配列と、をこの順に有することがより好ましく、配列番号21に示されるアミノ酸配列を有することが特に好ましい。
[第四実施形態]
本実施形態の抗体は、
(a4)配列番号25に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号25に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−L1と、
(b4)配列番号26に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号26に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−L2と、
(c4)配列番号27に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号27に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−L3と、
を含む軽鎖可変ドメイン、及び/又は、
(d4)配列番号28に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号28に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−H1と、
(e4)配列番号29に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号29に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−H2と、
(f4)配列番号30に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号30に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−H3と、
を含む重鎖可変ドメインを有する。
更に、本実施形態の抗体は、配列番号15に示されるアミノ酸配列を含むCDR−L1と、配列番号16に示されるアミノ酸配列を含むCDR−L2と、配列番号17に示されるアミノ酸配列を含むCDR−L3と、を含む軽鎖可変ドメイン、及び/又は、
配列番号18に示されるアミノ酸配列を含むCDR−H1と、配列番号19に示されるアミノ酸配列を含むCDR−H2と、配列番号20に示されるアミノ酸配列を含むCDR−H3と、を含む重鎖可変ドメインを含むことが好ましい。
本実施形態の抗体は、前記(a4)〜(f4)の配列番号25〜30に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されていてもよい。
更に、本実施形態の抗体は、scFv抗体であることが好ましく、配列番号28に示されるアミノ酸配列と、配列番号29に示されるアミノ酸配列と、配列番号30に示されるアミノ酸配列と、配列番号25に示されるアミノ酸配列と、配列番号26に示されるアミノ酸配列と、配列番号27に示されるアミノ酸配列と、をこの順に有することがより好ましく、配列番号31に示されるアミノ酸配列を有することが特に好ましい。
<遺伝子>
本発明の遺伝子は、上述した本発明の抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメントをコードするDNAからなる。該遺伝子は、本発明の抗体の重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインをコードするDNAを含むものであれば、特に限定されず、重鎖可変ドメインをコードするDNAを含む遺伝子、及び、軽鎖可変ドメインをコードするDNAを含む遺伝子の二つの遺伝子からなるものであってもよい。
ハンドリングしやすさの観点からは、上述したscFv抗体をコードするDNAの塩基配列と相同性(塩基配列の同一性)が高い塩基配列であることが好ましい。
[第一実施形態]
本実施形態の遺伝子は、上述した第一実施形態の抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメントをコードするDNAからなり、具体的には、以下の(g1)〜(j1)のいずれかの塩基配列からなるDNAである。
(g1)配列番号22に示される塩基配列からなるDNA、
(h1)配列番号22に示される塩基配列において、1〜数個の塩基が欠失、置換又は付加されている塩基配列からなり、かつミリストイル化タンパク質認識能を有するタンパク質をコードするDNA、
(i1)配列番号22に示される塩基配列と同一性が80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上である塩基配列からなり、かつミリストイル化タンパク質認識能を有するタンパク質をコードするDNA、又は、
(j1)配列番号22に示される塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができる塩基配列からなり、かつミリストイル化タンパク質認識能を有するタンパク質をコードするDNA
ここで、欠失、置換、又は付加されてもよい塩基の数としては、1 〜30個が好ましく、1 〜15個がより好ましく、1 〜10個が特に好ましく、1 〜 5個が最も好ましい。
本発明及び本願明細書において、「ストリンジェントな条件下」とは、例えば、Molecular Cloning−A LABORATORY MANUAL 2nd EDITION(Sambrookら、Cold Spring Harbor Laboratory Press)に記載の方法が挙げられる。例えば、5×SSC(20×SSCの組成:3M 塩化ナトリウム,0.3M クエン酸溶液,pH7.0)、0.1重量% N−ラウロイルサルコシン、0.02重量%のSDS、2重量%の核酸ハイブルダイゼーション用ブロッキング試薬、及び50%ホルムアミドから成るハイブリダイゼーションバッファー中で、55〜70℃で数時間から一晩インキュベーションを行うことによりハイブリダイズさせる条件を挙げることができる。なお、インキュベーション後の洗浄の際に用いる洗浄バッファーとしては、好ましくは0.1重量%SDS含有1×SSC溶液、より好ましくは0.1重量%SDS含有0.1×SSC溶液である。
[第二実施形態]
本実施形態の遺伝子は、上述した第二実施形態の抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメントをコードするDNAからなり、具体的には、以下の(g2)〜(j2)のいずれかの塩基配列からなるDNAである。
(g2)配列番号23に示される塩基配列からなるDNA、
(h2)配列番号23に示される塩基配列において、1〜数個の塩基が欠失、置換又は付加されている塩基配列からなり、かつミリストイル化タンパク質認識能を有するタンパク質をコードするDNA、
(i2)配列番号23に示される塩基配列と同一性が80%以上である塩基配列からなり、かつミリストイル化タンパク質認識能を有するタンパク質をコードするDNA、又は、
(j2)配列番号23に示される塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができる塩基配列からなり、かつミリストイル化タンパク質認識能を有するタンパク質をコードするDNA
[第三実施形態]
本実施形態の遺伝子は、上述した第三実施形態の抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメントをコードするDNAからなり、具体的には、以下の(g3)〜(j3)のいずれかの塩基配列からなるDNAである。
(g3)配列番号24に示される塩基配列からなるDNA、
(h3)配列番号24に示される塩基配列において、1〜数個の塩基が欠失、置換又は付加されている塩基配列からなり、かつミリストイル化タンパク質認識能を有するタンパク質をコードするDNA、
(i3)配列番号24に示される塩基配列と同一性が80%以上である塩基配列からなり、かつミリストイル化タンパク質認識能を有するタンパク質をコードするDNA、又は、
(j3)配列番号24に示される塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができる塩基配列からなり、かつミリストイル化タンパク質認識能を有するタンパク質をコードするDNA
[第四実施形態]
本実施形態の遺伝子は、上述した第四実施形態の抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメントをコードするDNAからなり、具体的には、以下の(g4)〜(j4)のいずれかの塩基配列からなるDNAである。
(g4)配列番号32に示される塩基配列からなるDNA、
(h4)配列番号32に示される塩基配列において、1〜数個の塩基が欠失、置換又は付加されている塩基配列からなり、かつミリストイル化タンパク質認識能を有するタンパク質をコードするDNA、
(i4)配列番号32に示される塩基配列と同一性が80%以上である塩基配列からなり、かつミリストイル化タンパク質認識能を有するタンパク質をコードするDNA、又は、
(j4)配列番号32に示される塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができる塩基配列からなり、かつミリストイル化タンパク質認識能を有するタンパク質をコードするDNA
<抗ミリストイル化タンパク質抗体組換えベクター>
本発明の組換えベクターは、上述した本発明の遺伝子を発現ベクターに挿入してなるものであり、具体的には、発現ベクターに、抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメントをコードするDNAを、制限酵素部位を介して挿入してなるものである。
本発明の組換えベクターに挿入されるDNAとしては、配列番号22に示される塩基配列からなるDNA、配列番号23に示される塩基配列からなるDNA、配列番号24に示される塩基配列からなるDNA、又は配列番号32に示される塩基配列からなるDNAが好ましい。
本発明に用いられる発現ベクターとしては、宿主細胞に抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメントを発現させる細胞系ベクター;適当な細胞から抽出されたタンパク質合成能を有する成分からなるタンパク質翻訳系において抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメントを発現させる無細胞系ベクターが挙げられる。
細胞系ベクターとしては、宿主細胞に適した公知の発現ベクターが用いられる。例えば、大腸菌においてはpBR322誘導体に代表されるColE系プラスミド、p15Aオリジンを持つpACYC系プラスミド、pSC系プラスミド、Bac系等のF因子由来ミニFプラスミドが挙げられる。その他、trcやtac等のトリプトファンプロモーター、lacプロモーター、T7プロモーター、T5プロモーター、T3プロモーター、SP6プロモーター、アラビノース誘導プロモーター、コールドショックプロモーター、テトラサイクリン誘導性プロモーター等を有する発現ベクターも挙げられる。
遺伝子が組込まれた組換えベクターの宿主への導入は従来公知の方法を用いて行うことができる。例えば、カルシウム処理された菌体を用いるコンピテント細胞法や、エレクトロポレーション法等が挙げられる。また、プラスミドベクター以外にもファージベクターを用いて、菌体内に感染させ導入する方法によってもよい。
無細胞系ベクターとしては、細胞系ベクターにおいて挙げられたT7プロモーターを有する発現ベクターやT3プロモーターを有する発現ベクター;SP6プロモーター又はT7プロモーターを有するpEU系プラスミド等の小麦無細胞タンパク質合成用ベクター等が挙げられる。
無細胞系ベクターを用いたタンパク質合成においては、先ず、転写系を用いて、抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメントのDNAを転写して、mRNAを合成する。係る転写系としては、RNAポリメラーゼにより転写させる従来公知のものが挙げられる。RNAポリメラーゼとしては、例えばT7RNAポリメラーゼが挙げられる。
次いで、翻訳系である無細胞タンパク質合成系を用いて、mRNAを翻訳し、タンパク質を合成する。この系にはリボゾーム、翻訳開始因子、翻訳伸長因子、解離因子、アミノアシルtRNA合成酵素等、翻訳に必要な要素が含まれている。このようなタンパク質翻訳系として、大腸菌抽出液、ウサギ網状赤血球抽出液、小麦胚芽抽出液等が挙げられる。
更に、上記翻訳に必要な要素が独立に精製された因子のみからなる再構成型無細胞タンパク質合成系が挙げられる。
細胞系ベクター又は無細胞系ベクターを用いて合成されたタンパク質から抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメントを精製して用いることができる。精製方法としては、塩析法や各種クロマトグラフィーを用いた方法が挙げられる。発現ベクターが目的タンパク質のN末端又はC末端にヒスチジンタグ等のタグ配列を発現するように設計されている場合には、ニッケルやコバルト等、このタグに親和性を有する物質を用いたアフィニティーカラムによる精製方法が挙げられる。その他、イオン交換クロマトグラフィーやゲルろ過クロマトグラフィー等、適宜組み合わせて精製することにより、精製抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメントの純度を高めることができる。
<ミリストイル化タンパク質検出キット>
本発明のミリストイル化タンパク質検出キットは、上述した本発明の抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメントを有するものであれば特に限定されない。
例えば、本発明のミリストイル化タンパク質検出キットとして、サンドイッチ法により比色定量するELISAキットが挙げられる。具体的には、本発明の抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメントでコートされた96ウェルプレートと、HRP(Horseradish peroxidase)等の酵素で標識した2次抗体と、該酵素の色原性基質と、を含む。
本発明のミリストイル化タンパク質検出キットによれば、ウエスタンブロット等を行わなくとも簡便にかつ短時間で試料中のミリストイル化タンパク質の検出をすることができる。
<医薬>
本発明の医薬は、抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメントを有効成分として含有する。上述したように、タンパク質のミリストイル化は、癌遺伝子産物であるSrc kinase等細胞内シグナル伝達系に関与するタンパク質や、Nef等のHIV遺伝子産物において報告されている。本発明の抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメントが中和抗体として機能する場合には、これを有効成分として含有する本発明の医薬は、種々の疾患に対する治療効果が期待される。
本発明の医薬の治療効果が期待される対象疾患としては、例えばヒトの固形がん等が挙げられる。ヒトの固形がんとしては、例えば、脳がん、頭頸部がん、食道がん、甲状腺がん、小細胞がん、非小細胞がん、乳がん、胃がん、胆のう・胆管がん、肝がん、膵がん、結腸がん、直腸がん、卵巣がん、絨毛上皮がん、子宮体がん、子宮頸がん、腎盂・尿管がん、膀胱がん、前立腺がん、陰茎がん、睾丸がん、胎児性がん、ウイルムスがん、皮膚がん、悪性黒色腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、ユ−イング腫、軟部肉腫などが挙げられる。
また、アルツハイマー病やパーキンソン病といった神経変性疾患;糖尿病等も挙げられる。
本発明の医薬における製剤化の例としては、必要に応じて糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤として経口的に使用されるものが挙げられる。
または、水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、又は懸濁液剤の注射剤の形で非経口的に使用されるものが挙げられる。更には、薬理学上許容される担体若しくは媒体、具体的には、滅菌水や生理食塩水、植物油、乳化剤、懸濁剤、界面活性剤、安定剤、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、結合剤等と適宜組み合わせて、一般に認められた製薬実施に要求される単位用量形態で混和することによって製剤化されたものが挙げられる。
錠剤、カプセル剤に混和することができる添加剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガントガム、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸のような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖又はサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油又はチェリーのような香味剤が用いられる。調剤単位形態がカプセルである場合には、上記の材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。注射のための無菌組成物は注射用蒸留水のようなベヒクルを用いて通常の製剤実施に従って処方することができる。
注射用の水溶液としては、例えば生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液、例えばD−ソルビトール、D−マンノース、D−マンニトール、塩化ナトリウムが挙げられ、適当な溶解補助剤、例えばアルコール、具体的にはエタノール、ポリアルコール、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、非イオン性界面活性剤、例えばポリソルベート80(TM)、HCO−50と併用してもよい。
油性液としてはゴマ油、大豆油があげられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールと併用してもよい。また、緩衝剤、例えばリン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液、無痛化剤、例えば、塩酸プロカイン、安定剤、例えばベンジルアルコール、フェノール、酸化防止剤と配合してもよい。調製された注射液は通常、適当なアンプルに充填させる。
患者への投与は、例えば、動脈内注射、静脈内注射、皮下注射などのほか、鼻腔内的、経気管支的、筋内的、経皮的、または経口的に当業者に公知の方法により行いうる。投与量は、患者の体重や年齢、投与方法などにより変動するが、当業者であれば適当な投与量を適宜選択することが可能である。投与量、投与方法は、患者の体重や年齢、症状などにより変動するが、当業者であれば適宜選択することが可能である。
本発明の医薬の投与量は、症状により差異はあるが、経口投与の場合、一般的に成人(体重60kgとして)においては、1日あたり約0.1から100mg、好ましくは約1.0から50mg、より好ましくは約1.0から20mgであると考えられる。
非経口的に投与する場合は、その1回の投与量は投与対象、対象臓器、症状、投与方法によっても異なるが、例えば注射剤の形では通常成人(体重60kgとして)においては、通常、1日当り約0.01から30mg、好ましくは約0.1から20mg、より好ましくは約0.1から10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合であると考えられる。
また、本発明の一側面は、治療のための前記抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメントを提供する。
また、本発明の一側面は、治療的に有効量の前記抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメントを含む医薬組成物を提供する。
また、本発明の一側面は、治療剤を製造するための前記抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメントの使用を提供する。
また、本発明の一側面は、前記抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメントの有効量を、治療を必要とする患者に投与することを含む、治療方法を提供する。
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(抗原作製)
[発現株の決定]
NAP22(neuronal axonal membrane protein 22kDa:脳に特異的に発現しているミリストイル化蛋白質)の発現には、pET14b vectorにラット由来NAP22遺伝子の挿入されたプラスミド(pET14b_NAP22)を持つ大腸菌BL21(DE3)株を用いた。pET14b_NAP22で形質転換したBL21(DE3)株を100μg/mLのアンピシリン(以下「Amp.」と記す。)を含むLBプレート(以下、LBAプレートと記す。)で37℃、一晩培養した。
生育したコロニーのうち、5つをpick upし、100μg/mLのAmp.を含むLB培地(以下、LBA培地と記す。)5mLで37℃、一晩培養した。各前培養液から、1)プラスミド抽出、2)グリセロールストック作製、3)発現確認を行った。
1)プラスミド抽出
Wizard Plus SV Minipreps DNA Purification System(Promega社)を用いて、上述した前培養液2mL分のプラスミドを抽出した。、1%アガロースゲルを用いて電気泳動を行い5つのコロニーすべてからプラスミドが抽出されていることを確認した。
2)グリセロールストック作製
あらかじめ15分間のUV照射により滅菌したグリセロールを終濃度15%になるように各前培養液と混和し、20μL×10本で分注し−80℃保存した。
3)発現確認
5つのクローンの各前培養液100μLをそれぞれLBA培地5mLに加え、30℃で培養した。O.D600=0.84で、誘導前培養液1mLを取り分けた後、IPTGを終濃度1.0 mMとなるよう加えた。さらに8時間、30℃で培養し、その後、誘導後菌体として1mL分の菌体を12,000rpm、3min、4℃で回収した。先に取り分けた誘導前培養液1mLについても同様の方法で誘導前菌体を回収した。
回収した誘導前・後菌体それぞれを60μLcell lytic B(SIGMA社)で懸濁し、12,000rpm、10min、4℃で培養上清を回収した。続いて、95℃、15minで上清を煮沸し、生じた沈殿を12,000rpm、15min、4℃の遠心により除去した。これを改めて誘導前・後サンプルとし、発現量を12.5%アクリルアミドゲルを用いたSDS−PAGEによって確認した。
結果を図4に示す。図4より、最も多く発現しているclone2をNAP22の発現株とし、大量発現を行った。
[NAP22の大量発現]
発現株となるクローンのグリセロールストック10μLをLBA培地3mLに加えた。37℃、一晩培養した後、この前培養液2mLをLBA培地200mLに加え、30℃で本培養を行った。4時間後、誘導前培養液2mLを取り分けた後、終濃度1mMとなるようIPTGを加え、さらに8時間、30℃で培養を続けた。その後、10,000rpm、15min、4℃で菌体を回収し誘導後菌体とした。
[NAP22の精製]
NAP22の精製には疎水性クロマトグラフィーを利用した。上記の手順に従い、200mL LBA培地でNAP22を発現させ、10,000rpm、15min、4℃で菌体を回収した。この培養液200mL分の誘導後菌体を12mLのTEG溶液(10mM Tris−HCl、0.2mM EGTA、pH7.5)で懸濁した。BRANSON SONIFIER 250を用いてDuty Cycle : 50%、Output control: power4、5min sonication→2.5min intervalを氷上にて3回繰り返すことで、菌体を破砕した。12,000rpm、30 min、4℃で遠心し、上清を回収した。
続いて、終濃度2.5%で過塩素酸を添加し、氷上で10min incubateした。12,000rpm、30 minで遠心し、上清を回収した。この上清に80%飽和硫酸アンモニウム溶液となるように、硫酸アンモニウムを加えた。4℃で一晩撹拌しながら硫安沈殿を行い、10,000rpm、60minで遠心した。沈殿を回収し、40%飽和の硫酸アンモニウムを加えた40%飽和硫酸アンモニウムTEG溶液で可溶化した。この可溶画分を精製前サンプルとし、AKTAPrime(GE Healthcare社)を用いてFPLCにかけた。
精製にはHiPrep Phenyl FF(high sub)16/10カラム(GE healthcare社)を用いた。あらかじめ40%飽和硫酸アンモニウムTEG溶液で平衡化した本カラムに5mLの精製前サンプルをインジェクトし、40%飽和硫酸アンモニウムTEG溶液を流速1mL/min、10min流し、洗浄した。Elution bufferとして0%飽和硫酸アンモニウムTEG溶液を調製し、流速1ml/min、30 minで硫酸アンモニウムの割合を40%から0%へと段階的に減少させることで、タンパク質を溶出した。FPLC後、吸光度の値からタンパク質を含むと考えられるfractionに関して12.5%アクリルアミドゲルでSDS−PAGEを行った。
結果を図5に示す。図5中、矢印で示したバンドがNAP22を示す。シングルバンドが確認されたfraction110〜120 の画分がタンパク溶液として使用可能であると考え、この区間の画分を精製NAP22として回収した。
精製が確認されたfractionを回収し、Amicon Ultra4、10,000 MWCO(Millipore社)を用いて8,000rpm、4℃でTris緩衝液からPBS緩衝液へのbuffer置換と濃縮を行った。濃縮後、advanced protein assay kit(cytoskeleton社)を用いて、bradford法によりタンパク質の濃度を定量した。
[myrNAP22の作製]
myrNAP22はNAP22とN−myristoyl transferase(以下NMTと略す。)の共発現株を構築し、作製した。
上記3)発現確認により最も発現量の多いとされたNAP22発現株にyeast N−myristoyl transferase cDNAが組み込まれたpBB131ベクターを導入した。
上記3)発現確認により最も発現量の多いとされたNAP22発現株をコンピテントセル化した。
NAP22発現株のグリセロールストックを起こし、LBAプレートで37℃、一晩培養した。プレート上で生育した直径2〜3mmのコロニーを一つpick upし、50 mLのSOB培地(組成は表1参照。)で18℃、200rpmで培養した。40時間後、O.D600=0.60で培養を止め、氷上で10min冷やした。4℃、3,000 rpm、10minで遠心し、菌体を回収した。続いて、氷冷したTransformation buffer20mLで菌体を懸濁、on iceで10min incubateした後、4℃、3,000rpm、10minで遠心し、上清を除去した。再び5mLのtransformation bufferにて菌体を懸濁し、終濃度7%のDMSOを加えた後、on iceにて10 min静置した。その後、100 μLずつに分注し、液体窒素にて瞬間冷凍させ、−80℃で保存した。
尚、Transformation bufferは表2の組成をKOHでpH6.7〜6.8に調整し、MnCl・4HO 5.45g添加し、milliQで500mLにメスアップし、フィルター滅菌して調製した。
[発現株の構築]
このコンピテントセルにyeast N−myristoyl transferase cDNAが組み込まれたpBB131ベクター(pBB131_yNMT)をヒートショック法にて導入した。
1μLのpBB131_yNMTと20μLのNAP22発現株コンピテントセルを混和した。30 min、on iceにて静置した後、42℃、45 secでインキュベートし、ただちに2 min、on iceに静置した。4倍量のLB培地を加えて混合し、37℃、1時間で振盪培養した。培養後、50μLを50μg/mLカナマイシンを含むLBAプレート(以下、「LBAKプレート」と記す。)、残り50μLをLBAプレートにまき、37℃、一晩培養した。コントロールとして、形質転換していないNAP22発現株コンピテントセル20μLを、LB培地80μLで希釈した後、LBAK 、LBAプレートに各50μLずつまき、同様に37℃、一晩培養した。
生育したコロニーを5つpick upし、50μg/mL カナマイシンを含むLBA培地(以下、「LBAK培地」と記す。)2mLで37℃、一晩培養した。各前培養液から、1)プラスミド抽出、2)グリセロールストック作製、3)発現確認を行った。
1)プラスミド抽出
前培養液1mLを用い、上記と同様の方法で抽出、アガロース電気泳動を行い確認した。
2)グリセロールストック作製
各前培養液140μLを用い、上記と同様の方法で行った。
3)発現確認
5つのクローンの各前培養液400μLをそれぞれLBAK培地20mLに加え、30℃で培養した。O.D600=0.89で、誘導前培養液2mLを取り分けた後、IPTGを終濃度1.0 mMとなるように加えた。さらに8時間、30℃で培養し、その後、誘導後菌体として18mL分の菌体を12,000rpm、15min、4℃で回収した。
回収した誘導後菌体を表3で示したInitial buffer1.2mLで懸濁した後、懸濁液を600μLずつエッペンドルフチューブに分注した。BRANSON SONIFIER 250を用いてDuty Cycle: 50%、Output control: power3、30min sonication→1min intervalを2回繰り返した。これを12,000rpm、10min、4℃で遠心し、培養上清を回収した。これを誘導後サンプルとした。
誘導前培養液2mLからは12,000rpm、5min、4℃の遠心処理により、誘導前菌体を回収した。240μL cell lytic Bを加え、ピペッティングにより菌体を破砕した後、2,000rpm、5 min、4℃で培養上清を回収し誘導前サンプルとした。
5つのクローンに関して、上記のサンプルを調製し、myrNAPの発現を12.5%アクリルアミドゲルを用いたSDS−PAGEにて確認した。結果を図6に示す。コントロールのバンドを基準にmyrNAP22と考えられるバンドは矢印で示したものである。誘導をかけたことによる発現量がもっとも高いと考えられるのはclone2であった。このclone2をmyrNAP22発現株の候補とした。
[ミリストイル化の確認]
この候補株で発現したタンパク質がミリストイル化されているかを、MALDI−TOF MSによる質量分析で確認した。図7中、Aは、NAP22の結果を示し、Bは、myrNAP22の結果を示す。NAP22で確認されたピークからの213.5Da(ミリストイル基の分子量に相当する)のずれを考慮すると、Bのピークはミリストイル化されたNAP22と考えるのが妥当である。
[myrNAP22の大量発現]
上記でタンパク質の発現とそのミリストイル化が確認された株を用いて、200mLスケールでmyrNAP22を大量発現させた。myrNAP22発現株のグリセロールストックを起こし、LBAK培地3mLに植菌し、37℃、一晩培養した。この前培養液をLBAK 200mLに加え、30℃、4時間培養した。終濃度1 mM IPTGで発現誘導をかけ、その後8時間培養を続けた。
12,000rpm、15min、4℃で遠心し、菌体を回収した後、12mLのinitial bufferを加え、上記と同様の方法でsonicationを行った。 回収した可溶画分を95℃、15minで上清を煮沸し、生じた沈殿を12,000rpm、15min、4℃の遠心により除去した。さらに、終濃度10mMとなるようCaClを加え、12,000rpm、15min、4℃の遠心により、上清をタンパク質溶液として回収した。そのうち6mL分のタンパク質溶液に関して、透析によりbufferをPBS緩衝液へと置換した。その後、この6mL誘導後サンプルをAmicon Ultra15、10,000 MWCOを用いて8,000rpm、15min、4℃で1mLに濃縮した。これをPBS系誘導後サンプルとした。一方、透析を行わなかった6mLタンパク質溶液に関してもAmicon Ultra15、10,000 MWCOを用いた濃縮を同様に行い、Tris系誘導後サンプル1mLを回収した。
大量培養によるmyrNAP22の発現とそのミリストイル化の確認は、SDS−PAGEと質量分析を用いて行った。
(ラビット免疫ライブラリーの作製)
[total RNAの抽出]
ミリストイル基は、分子量が小さく、かつ生体内に含まれるものであるため、ミリストイル基をそのまま免疫しても、抗原性を示さない。そこでKLH(Keyhole limpet hemocyanin、450kDa−13000kDa)にミリストイル基をコンジュゲートさせた。ミリストイル基は結合するタンパク質のN末端がグリシンでないと結合しない、またKLHも被結合分子がペプチド又はタンパク質でないと結合しないことから、条件を満たすようにリンカー用のペプチドを挟んで両者をマレイミド法で結合させた。リンカーペプチドにはミリストイル化タンパク質の中で天然には存在しない配列を設計した。具体的には、ミリストイル化タンパク質のN末端の配列傾向、KLH結合用にC末端はシステインにする必要があることを踏まえて下記のように設計した。
myristoyl−GKRKC−KLH(myrKLHと略す。)
myrKLHによる免疫を7回行ったラビット(SPF Japanese White rabbit)から脾臓を抽出し、すぐにRNAlater RNA Stabilization Reagent(QIAGEN社製)により安定化した後、ハサミを用いて細かくした。抽出した脾臓の一部(50mg)からRNeasy kit(QIAGEN社製)を用いてtotal RNAを抽出した。吸光度にて抽出したtotal RNAの濃度を見積もった。
[cDNAの合成]
抽出したtotal RNA 30μgをSuperScript II Reverse Transcriptase(Invitrogen社製)とrandom primer(Invitrogen社製)を用いてcDNAを合成した。
表5に示す組成の溶液を混合し、65℃5分、氷上2分インキュベートした。
表4に示す組成の溶液に、表5に示す組成の溶液をさらに混合し、42℃2分インキュベートした。次いで、この溶液に逆転写酵素6μLをさらに混合し、42℃50分、70℃15分、氷上5分インキュベートした。次いで、RNAを分解するために、この溶液にRibonuclease H(Invitrogen社製)を加え、37℃20分インキュベートした。次いで、合成したcDNA溶液を、QIAquick purification Kit(QIAGEN社製)を用いて精製した。
[PCR法の最適サイクル数の検討]
合成したcDNAを鋳型として用い、各抗体遺伝子に特異的なプライマーを用いてPCR法にて、各抗体遺伝子を増幅した。その際に最適なサイクル数を見積もった。各特異的プライマーはそれぞれ可変領域の両端にあるV遺伝子群(V primer)、J遺伝子群(J primer)に共通する配列をミックスしたものである。
各遺伝子の増幅におけるサイクル数を24サイクルから36サイクルに振り分けてPCR反応を行い、増幅産物をそれぞれアガロース電気泳動で確認した。PCR反応における反応液の組成を表6に示し、PCR反応の反応条件を表7に示す。
[コントロールによるレパートリーチェック]
逆転写したcDNAが十分なレパートリーを保有しているかを予測するためにレパートリーチェックを行った。各鎖に特異的なプライマーを用いて、最適サイクル数でそれぞれ抗体遺伝子を増幅した。
各PCR反応溶液を1/5等量の6×Loading Dye(TaKaRa社製)と混ぜ、2%アガロースゲルで電気泳動し、コントロールとDNA量を比較することでレパートリーを見積もった。
[PCR法による抗体遺伝子の増幅]
十分なレパートリーを含んでいることを確認した上で検討した最適サイクル数により抗体遺伝子を増幅した。PCR反応における反応液の組成を表8に示し、PCR反応の反応条件を表9に示す。
各PCR反応液をフェノールクロロホルム処理し、エタノール沈殿をした後、QIAquick Gel Extraction Kit(QIAGEN社製)を用いて精製した。各反応溶液を1/5等量の6×Loading Dye(TaKaRa社製)と混ぜ、2%アガロースゲルで電気泳動し、目的のバンドがあることを確認した。
[軽鎖ライブラリーの作製]
精製した抗体遺伝子の軽鎖(k鎖、λ鎖)、及び図3に記載のファージディスプレイ用の抗体発現ベクターをNcoI、AscIで制限酵素処理をした。各抗体遺伝子4μgに、10×bufferを10μL、NcoI、AscIを各1.2μL加え37℃で2時間インキュベートした。vector30μgに、10×bufferを18μL、NcoI、AscIを各9μL加え37℃で2時間インキュベートした。
制限酵素処理後の抗体遺伝子をQIA PCR purification Kit(QIAGEN社製)を用いて精製し、制限酵素処理後のベクターをQIAquick Gel Extraction Kit(QIAGEN社製)を用いて精製し、アガロース電気泳動にて切断を確認した。
制限酵素処理済みのサンプルを、以下の反応組成で15℃、3時間、ライゲーションを行った。
k鎖、λ鎖のライゲーション産物をアガロース電気泳動にて確認をし、エタノール沈殿を行った。そのサンプル各5μLとDH12S 100μLを混合し、エレクトロポレーション法にて(25μF、2.5kV、200Ω)形質転換し、2×YT培地10mLで37℃1時間培養し、その一部(100μL、10μL、1μL)をLBGAプレートにまき、37℃一晩インキュベートした。また、10mL培養液に2×YTGA190mLを加え30℃一晩培養した。
用いた培地の組成を以下に示す。
2×YT:triptone 16g,yeast extract 5g,NaCl 10g(1L)
2×YTGA:2×YT+Amp final 20μg/mL,Glucose final 1%
LBプレート:triptone 10g,yeast extract 5g,NaCl 10g,agar 15g(1L)
LBGAプレート:LBプレート+Amp final 20μg/mL,Glucose final 1%
各培養液200mLからMaxi prep(QIAGEN社製)を用いてプラスミドを抽出し、アガロース電気泳動で目的のバンドを確認し、これをそれぞれラビット免疫k鎖、λ鎖ライブラリープラスミドとした。プレートのコロニー数からレパートリーを見積もり、コロニーを10個ピックアップして、選択したコロニーから抽出したプラスミドDNAの塩基配列を解析した。シークエンス反応に用いた溶液の組成を表11に示し、シークエンス反応の条件を表12に示す。
[重鎖軽鎖抗体ライブラリーの作製]
精製した重鎖遺伝子(H 鎖)と軽鎖(k鎖、λ鎖)ライブラリーをSfiIで50℃、2時間制限酵素処理をした。具体的には、4μg重鎖遺伝子に、10×bufferを10μL、SfiIを6μL加え、50℃で2時間インキュベートしアガロース電気泳動にて切断を確認した。また、軽鎖k鎖遺伝子と軽鎖λ鎖遺伝子を9:1に混合した軽鎖ライブラリー5μgに、10×bufferを20μL、SfiIを10μL加え、50℃で2時間インキュベートしアガロース電気泳動にて切断を確認した。
さらに重鎖遺伝子、軽鎖ライブラリーにXhoIを5μL加え37℃2時間インキュベートし、アガロース電気泳動にて切断を確認した。軽鎖ライブラリーについては、制限酵素処理後、エタノール沈殿をし、QIAquick Gel Extraction Kit (QIAGEN社製)で精製した。軽鎖ライブラリーに重鎖遺伝子を組み込むために、以下の反応組成で15℃、3時間、ライゲーションを行った。
重鎖のライゲーション産物を電気泳動にて確認をし、エタノール沈殿を行った。そのサンプル19μLとDH12S 100μLを混合し、エレクトロポレーション法にて形質転換し、2×YT培地1000mLに加え、37℃1時間培養し、その一部(100μL、10μL、1μL)をLBGAプレートにまき、37℃一晩インキュベートした。また培養液にGlucose final 1%、Ampiciline final 20μg/mlになるように加え、30℃一晩培養した。プレートのコロニー数からレパートリー数を見積もり、コロニーを10個ピックアップして、選択したコロニーから抽出したプラスミドDNAの塩基配列を解析した。シークエンス反応に用いた溶液の組成は、表11と同様であり、シークエンス反応の条件は、表12と同様である。
[プラスミド抽出]
上記[重鎖軽鎖抗体ライブラリーの作製]において、30℃一晩培養した培養液200mLから、Maxi prep(QIAGEN社製)カラムを1本使用してプラスミドを抽出し、これをラビット抗体ライブラリープラスミドとした。
[グリセロールストックの作製1]
上記[重鎖軽鎖抗体ライブラリーの作製]の培養液のうち40mLを8000rpm、4℃、10分遠心し菌体を回収した。上清を捨て40%グリセロールを500μL加えて懸濁し−80℃で保存した。同じものを計4本作り、これをラビット抗体ライブラリーグリセロールストックとした。
[cp3 formの作製1]
上記[重鎖軽鎖抗体ライブラリーの作製]において、一晩培養した培養液0.5mLを2×YTAI 10mLに加え30℃一晩培養した。この培養液を10000rpm、4℃、10分遠心し上清を回収し、飽和硫安を同量加え、10000rpm、4℃、10分遠心し上清を完全に捨てきり硫安沈殿を行った。沈殿をNaN(final0.05%)入りPBS 1mLで懸濁、10000rpm、4℃、10分遠心し上清を回収した。これをラビット抗体ライブラリーcp3 form溶液とした。
用いた培地及び試薬の組成を以下に示す。
培地組成
2×YTAI:2×YT+Ampiciline final 20μg/ml、Isopropyl β−D−1−thiogalactopyranoside(IPTG)final 0.5mM
試薬組成
PBS:NaCl(final 137mM),KCl(final 2.7mM), NaHPO(final 10mM) ,KHPO (final 1.76mM)pH 7.4
[ファージ抗体の作製1]
上記[重鎖軽鎖抗体ライブラリーの作製]において、一晩培養した培養液1mlを2×YTA培地20mLに加えOD=0.56になるまで37℃にて振盪培養し、M13ヘルパーファージKO7を1mL加え1.5時間感染させた。その後、終濃度50μg /mL カナマイシンを加え、感染効率の確認のため10μLの培養液を取り分けた後、30℃、一晩培養した。取り分けた培養液は希釈系列を作製し、1/10μL分、1/100μL分、1/1000μL分でそれぞれ一晩、37℃LBAKプレートにて培養した。
200mL液体培地から10,000rpm、4℃、10minの遠心により菌体を除去し、ファージ抗体を含む培養上清を回収した。20%ポリエチレングリコ―ル(以下「PEG」と略す。)を4mL加え、ボルテックスにより激しく混和した後、10min、Room Temperature(以下「R.T.」と略す。)で静置した。続いて、10,000rpm、4℃、10 minの遠心により上清を除去した後、再度10,000 rpm、4℃、5 minで上清を完全に取り除いた。残った沈殿を0.05% NaN/ PBSにて400μLで懸濁し、溶解しなかった不純物を12,000 rpm、4℃、5 minの遠心で除去した。回収した上清を0.45μmのフィルターで滅菌し、これをファージ抗体溶液とした。
この溶液中に含まれるファージ抗体のタイターを確認した。まず、菌株DH12Sを2×YT培地でO.D600=0.5まで培養した。続いて、10、10、10、10倍希釈したファージ抗体溶液10μLを、DH12S(O.D600=0.5)の菌液1mLにそれぞれ加え、ファージを大腸菌に感染させた。1.5 時間後、各感染後菌液50μLずつをLBAプレートにまき、37℃、一晩培養した。
用いた培地及び試薬の組成を以下に示す。
培地組成
2×YTAK:2×YT+Ampiciline final 20μg/mL,Kanamicine final 50μg/mL
LBAK:LB培地+Ampiciline final 20μg/mL,Kanamicine final 50μg/mL
試薬組成
PEG:PEG6000 20%,NaCl 2.5M
[グリセロールストックの作製]
上記の前培養液140μLを用いてグリセロールストックを作製した。作製方法は前記と同様であった。
[抗原ビーズの作製]
スクリーニングを行うために作製したmyrNAP22を用いた抗原ビーズを作製した。ストレプトアビジンを介したビーズへの固定化のために、myrNAP22をビオチン化した。
[myrNAP22のビオチン化]
ビオチン化はBiotin Labeling kit−NH(DOJINDO社)を用いて行った。上記SDS−PAGEの結果をもとに、myrNAP22の濃度を見積もり、約50μgのmyrNAP22を含むサンプル溶液を、PBSで希釈した1/10×WS buffer200 μLと混和した。あらかじめ純水で湿らせておいたAmicon Ultra4、10,000 MWCOを用いて、5,000 g、R.T.、15 minで遠心し、不純物除去・濃縮を行った。ろ液を捨て、再度同様の方法で洗浄した後、サンプル約20μLを回収し、1.5mLエッペンドルフチューブに移した。
DMSO 10μLで付属のNH−Reactive Biotinを懸濁し、100 μL reaction bufferと共に10μL全量をサンプルに添加した。37℃、12 min、incubateした後、1×WS buffer 200μLでピペッティングし、あらかじめ純水で湿らせておいたAmicon Ultra4、10,000 MWCOを用いて5,000 g、R.T.、15 minで遠心した。ろ液を破棄し、サンプルを回収し、再度同様の方法で洗浄した後、約20 μLのサンプルを回収し、WS bufferを用いて200 μLまでメスアップした。これをビオチン化myrNAP22(以下、「Bio−myrNAP22」と記す。)とした。
[ビーズへの固定化]
Invitrogen社のDynabeads(登録商標) MyOne(商標) Streptavidin T1 (10mg/mL) 250μLを用意した。マグネットトラッパーを用いて上清を破棄した後、0.05% Tween in TBS (以下「TBS−T0.05」と記す。)400μLを用いて懸濁、上清を破棄した。これを2回繰り返しビーズを洗浄した後、TBS−T0.05 400μLで懸濁し、上記で作製したBio−myrNAP22溶液10μL(=約3.5μgに相当)と混和した。4℃で一晩回転攪拌した後、フリーのストレプトアビジンをマスクするために、ビオチンが付加された1 mM GAP43−pep(Biotin−HHHHHH−MLCCMRRTK)を6μL加えた。1時間、4℃、回転攪拌した後、マグネットトラッパーを用いて、未反応物を除去した。これを素通り画分とし、続いて、0.05% Tween in PBS(以下「PBS−T0.05」と記す。)400μLで懸濁、マグネットトラッパーを用いて洗浄という操作を2回繰り返した。各ろ液を画分wash1・wash2として回収した。最終的にビーズを2% BSA in PBS 400μL で懸濁し、これをmyrNAP22の抗原ビーズとした。
[スクリーニング]
スクリーニング前のpresoaking solutionを表14のように調製し、1時間、R.T.、回転攪拌にて反応させた。
1時間の反応の後、作製したmyrNAP22抗原ビーズを400μL加え、1時間、R.T.、回転攪拌でファージ抗体ライブラリーと反応させた(図8参照)。終了後、マグネットトラッパーを用いてろ液を捨て、続いて1% Triton X−100 in PBS(以下「PBS−TX1」と略す。)700μLで懸濁し、ろ液を捨てた。この操作を5回繰り返し洗浄した後、700μLのPBSで懸濁した。
平行して菌株DH12Sを2×YT培地でO.D600=0.5まで培養した。この培養液1mLを、ライブラリーと反応したmyrNAP22抗原ビーズ700μLと試験管内で混和させ、1時間、37℃、180rpmで振盪培養した。1時間後、100ml 2×YTA+Glucose培地( 以下YTGAと略す。) に移し、一部をプレート培養用に取り分けた後、一晩、130rpm、37℃で振盪培養した。プレート培養は100mL培地から50μL、5μL、1μLで取り分け、それぞれをLBAプレートで37℃、一晩培養した。
培養終了後、100mLを次の3つの用途にそれぞれ取り分けた。すなわち、1)グリセロールストック、2)ファージ抗体調整、3)抗体タンパク質発現である。
1)グリセロールストック作製
上記の培養液60mLを取り分け、2本のグリセロールストックを作製した。30mL×2本分の培養液を10,000rpm、4℃、15minで遠心し、菌体を回収した。回収した菌体を50%グリセロール500μLで激しく懸濁し、これを1stスクリーニングライブラリグリセロールストックとして、−80℃で保存した。
2)ファージ抗体調整
上記の培養液500μLを5mL 2×YT培地に移し、そこにM13KO7ヘルパーファージ50μLを加え1時間、37℃で感染させた。その後、全量40mLとなるように2×YTAを加え、さらに終濃度50μMカナマイシンを添加し、30℃、一晩震盪培養した。
培養終了後、10,000rpm、4℃、15minで遠心し、上清を回収した。20% PEGを5mL添加し、vortexにて激しく混和した。5min、R.T.にてincubateした後、10,000rpm、4℃、10min遠心し、上清を除去した。再度、8,000rpm、4℃、5minで遠心し、上清を完全に除去した。生じた沈殿物を0.05% NaN in PBS 1 mLで懸濁し、1.5mLエッペンドルフチューブに移した。これを12,000rpm、4℃、10minで遠心し、上清を回収した。この上清を0.45μmのフィルターを通して滅菌し、これを1stスクリーニングファージ抗体とした。
この一連のスクリーニング操作を3回繰り返し、それぞれを1st、2nd、3rdスクリーニングとした。各スクリーニング段階でそれぞれの培養液を用いて、1)グリセロールストック作製、2)ファージ抗体調製を行った。
[モノクローナル抗体作製]
各スクリーニングでのプレート培養からモノクローナル抗体の作製を行った。各スクリーニング段階のプレート培養にて生育したコロニーをpick upし、各cp3 formモノクローナル抗体の発現とその一部の抗体遺伝子のアミノ酸配列の決定を試みた。
[cp3 form発現]
ファージの感染した大腸菌の一部をプレート培養した。各プレートからコロニーをpick upし、それぞれを2×YTA培地 2mLで、37℃、一晩培養した。各前培養液50μLを終濃度1mMのIPTGを含む2×YTA培地(以下2×YTAIと略す。)1 mLに継代し、さらに30℃、一晩培養した。また、各前培養液70μLを50%グリセロール30μLと混和し、各モノクローナル抗体グリセロールストックとした。
12,000rpm、4℃、5 minの遠心により上清を回収し、各cp3 formモノクローナル抗体溶液とした。続いて、硫安沈殿による濃縮を行った。サンプルと等量の飽和硫安を加え、vortexを用いて激しく混和した後、5 min、R.T.でincubateした。12,000rpm、4℃、7minで遠心し、生じた沈殿をサンプルの1/10量の0.05% NaN in PBSで懸濁した。再び12,000rpm、4℃、7minで遠心し、不溶物を除去し、これを最終的なcp3 formモノクローナル抗体溶液とした。
[ELISAを用いた発現確認]
発現させたcp3 formモノクローナル抗体溶液、各50μLをそれぞれPBS 50μLと混和し、Nunc Plate F8WELLMOD Maxisorp(Thermo scientific社)の各wellにそれぞれ4℃、一晩、震盪させながらコーティングした。
終了後、各抗体溶液を破棄し、PBSで各wellの洗浄を2回行った。続いて、2% BSA +0.05% NaN in PBS 200μLを添加し、37℃、1時間、静置してブロッキングした。ブロッキング終了後、PBSで3回洗浄し、一次抗体として1/2000×α−cp3 antibody in PBST0.05 100μLを添加した。1時間、R.T.で振盪しながら反応させた後、抗体溶液を破棄し、PBSで3回洗浄した。続いて、二次抗体として1/4000×α−IgG(H+L chain)(Rabbit)pAb−HRP(MBL社)in PBST0.05 100μLを添加し、1時間、R.T.で振盪しながら反応させた。抗体溶液を破棄し、PBSで3回洗浄した後、検出のために OPD tabletを用いた基質溶液を作製し200μLを各wellに添加した。添加してから5分後、2N HSO 75μLを添加することで酵素反応を停止し、490 nmの発色をBioRad micro platerで検出した。
1stスクリーニングから53個、2ndスクリーニングから47個、3rdスクリーニングから8個、計108個をモノクローナル化した。
[SDS−PAGEを用いた発現確認]
発現量を見積もるために、発現したcp3 formモノクローナル抗体を12.5%アクリルアミドゲルでSDS−PAGEを行い、SYPRO Ruby(invitrogen社) 染色を行った。泳動の終わったゲルを取り出し、表12に示す固定液に浸し30min、2回ゲルを振とうした。milliQ で10min、振とうしながらゲルをゆすいだ後、SYPRO Rubyに浸し、遮光下で一晩振とうした。ゲルを10min、milliQ でゆすぎ、遮光下で表15に示す脱色液に浸しながら30min振とうした。遮光下でmilliQ に浸し10min洗浄し、Ettan DIGE(GE Healthcare社)によりゲルを撮影した。
[プラスミド抽出]
作製したグリセロールストックを起こし、2×YTA 5mLで37℃、一晩振盪培養した。終了後、培養液2mL分の菌体を12,000rpm、4℃、7minの遠心により回収し、Wizard Plus SV Minipreps DNA Purification System(Promega)を用いてプラスミドを抽出した。プラスミドの抽出はアガロース電気泳動で確認した。
[アミノ酸配列決定]
アガロース電気泳動の結果をもとにプラスミドの濃度を見積もった。表16の組成でPCR反応溶液を調製し、表17の反応条件でPCRを行うことで、抗体遺伝子を増幅させた。反応後、125 mM EDTA 5μL、100% EtOH 60μLを添加しタッピングした。20 min、−20℃でインキュベートし、12,000rpm、20min、4 ℃で遠心分離して上清を取り除いた。70% EtOH 60μLを添加し、12,000rpm、10 min、4 ℃で遠心分離して再び上清を取り除いた。エッペンドルフチューブのフタを開けて、5min室温で乾燥させ、ホルムアミド 20μLを添加、ピペッティングした。95℃、3 minでヒーティングブロックして、解析した。
[モノクローナル抗体の性能評価]
各cp3 formモノクローナル抗体の特異性を評価するためにELISAを行った。
上記で発現させたNAP22、myrNAP22それぞれの抗原吸着量を確認した。発現させたNAP22、myrNAP22について、それぞれ10μg、5μg、2.5μg、1.25μg、0.675μg、0.3375μgのタンパク質を含む100μL PBSを調製し、Nunc Plate F8WELLMOD Maxisorpの各wellにそれぞれ4℃、一晩、震盪させながらコーティングした。
終了後、各抗原溶液を破棄し、PBSで各wellの洗浄を2回行った。続いて、2% BSA+0.05% NaN in PBS 200μLを添加し、37℃、1時間、静置してブロッキングした。ブロッキング終了後、PBSで3回洗浄し、一次抗体として1/100×α−NAP22 (M−65) : sc−66995 (SANTA CRUZ BIOTECHNOLOGY社) in PBST0.05 100μLを添加した。1時間、R.T.で振盪しながら反応させた後、抗体溶液を破棄し、PBSで3回洗浄した。続いて、二次抗体として1/4000 × α−IgG (H+L chain )(Rabbit)pAb−HRP(MBL社)in PBST0.05 100μLを添加し、1時間、R.T.で振盪しながら反応させた。抗体溶液を破棄し、PBSで3回洗浄した後、検出のためにOPD tabletを用いた基質溶液を作製し200μLを各wellに添加した。添加してから5分後、2N HSO 75μLを添加することで酵素反応を停止し、490 nmの発色をBioRad micro platerで検出した。
1st〜3rdスクリーニングにおいて、発色強度比(myrNAP/NAP)の高かったクローンのELISAの結果を表18に示す。
[SPR法を用いた結合力評価]
抗体の抗原との結合力を定量するために、SPR法を用いた。解析にはBIAcore−X(GE Healthcare社)を用いた。リガンドには上記で精製したNAP22、myrNAP22を用いた。濃度はNAP22についてはSDS−PAGEと紫外吸収法、myrNAP22についてはSDS−PAGEに加えbradford法を用いて算出した。アナライトには、発色強度比(myrNAP/NAP)の高かった上記3つのクローンの未精製cp3 formモノクローナル抗体を用いた。cp3 formの濃度は、12.5%アクリルアミドゲルを用いてSDS−PAGEを行い、SYPRO Ruby染色の結果から見積もった。アナライトのコントロールとして、抗体遺伝子をクローニングする前のベクター(pTZ19R_original)で形質転換された大腸菌でタンパク質を発現させ、そのlysateを用いた。
[BIAcore測定]
リガンドを結合させるセンサーチップは、アミノカップリング法で結合させるCM5を用いた。ランニングバッファーとしてHBS(10mM HEPES 150mM NaCl pH7.5)を用いてシステムを置換した後、リガンド希釈用緩衝液の最適pHを検討した。10mM sodium acetate pH4.0、4.5、5.0 各固定化緩衝液でリガンド溶液を希釈し、10μL / minで流した。最も固定化量の多い緩衝液を最適pHとした。100 mM NHS : 400 mM EDC = 1 : 1混合液を5μL / minで14分 70μL 流し、センサーチップ上のカルボキシル基を活性化させたのち、2つの流路のうち一方に最適pHの固定化緩衝液で希釈したリガンド溶液を5μL /min、7分、35μL流し結合させた。リガンドが結合していることを確認した後、1M ethanolamine hydrochloride (pH 8.5)を5μL / min、7 分、35μL流し、ブロッキングをした。残るもう一つの流路はカルボキシル基の活性化の後、ただちにブロッキングを行いコントロール流路とした。
続いて上述したアナライトを20μL / min、3 min、60μLで流し、リガンドとの相互作用を測定した。3 min後からは解離もモニタリングした。反応終了後はNaOHを30μL / min、1 min、30μL流すことでセンサーチップを再生した。
結果を図9〜図11に示す。また、各抗体のNAP22、myrNAP22それぞれに対するKD値を表19に示す。このように、myrNAP22に対して特異性の高い抗体が得られた。
[cp3 formモノクローナル抗体を用いたwestern blotting]
上述したclone21,161,187を用いたWestern blottingを行った。
未精製NAP22、精製myrNAP22の3段階希釈系列を調製して12.5%アクリルアミドゲルでSDS−PAGEを行った。SDS−PAGEの間に、PVDFメンブレンをメタノールに60秒ほど浸したのち、milliQでゆすぎ、表20に示す組成のSemi−Wet transfer Bufferに一時間以上浸し、振盪した。泳動が終わったゲルを、transfer Bufferに浸したろ紙とメンブレンで空気が入り込まないよう挟み、25 V、100 mA / メンブレンの条件で90分間転写した。
転写の終わったメンブレンを0.05% Tween20 in TBS(以下「TBS−T0.05」と略す。)で5分間ゆすぎ、5 % Skim−milk in TBS−Tで室温、1時間ブロッキングした。続いて5% skim milk in TBS−T0.05で5倍希釈した上記3つのクローンを一次抗体として用いて反応させた。二次抗体にはモノクロ―ナル抗体のcp3を認識できる1/2000×α−cp3 antibody in TBS−T0.05を用いた。この二次抗体はrabbit由来IgG型であるので、三次抗体に1/4000×α− IgG (H+L chain )(Rabbit)pAb−HRP(MBL社)in TBS−T0.05を用いることで、検出可能であった。また、NAP22, myrNAP22の存在を確認するために、1/100×α−NAP22 (M−65 ) : sc−66995 (SANTA CRUZ BIOTECHNOLOGY社) in TBS−T0.05を用いたWestern blottingも行った。この場合二次抗体には1/4000×α− IgG (H+L chain )(Rabbit)pAb−HRP(MBL社)in TBS−T0.05を用いた。抗体反応の後はその都度TBS−T0.05で10 min × 3回洗浄を行った。二次(三次)抗体反応後に、Immobilon Western Chemiluminescent HRP Substrate(MILLIPORE社)を用いて化学発光させ、image scanner ATTOを用いて発光を検出した。
結果を図12に示す。図12Aに示すように、コントロールとして行ったα−NAP22 antibody によるWesternblottingではNAP22、myrNAP22 どちらのレーンにも抗体が反応したバンドが検出された。
図12B〜図12Dに示すように、本発明に係るモノクローナル抗体、特にclone21や167ではミリストイル化を受けていないNAP22 のレーンにはほとんどバンドが検出されず、myrNAP22に対する特異性が確認された。
また、上記3つのクローンについて全て遺伝子配列を確認したところ、4種類のクローンが得られたことが確認された。CDR 領域の決定はIgG BLASTを参考にした。
クローン21のアミノ酸配列は配列番号7で表され、クローン161のアミノ酸配列は配列番号14で表され、クローン187のアミノ酸配列は配列番号21で表される。
上記1st〜3rdスクリーニングにおいて、発色強度比(myrNAP/NAP)の高かったクローンとして、クローン119に注目した。クローン119のELISAの結果を表21に示す。
[抗体ビーズの調製]
図3に示した抗体発現ベクターには、3’末端にProteinAをコードする配列が挿入されている(図3中、PAの部分)。そのため、この発現ベクターを用いて作製した抗体には、Fc部分のC末端側にProteinAがついている。このProteinAを介してIgGセファロースビーズにクローン119を結合させた。
詳細に説明すると、クローン119の発現ベクターを用いて形質転換した大腸菌(JM−109)を前培養後、1Lの0.5mM IPTGを含む2×YT培地で30℃、12h培養した。培養液を遠心後、上清を回収し、硫安沈殿で得られた沈殿をPBS、40mLに溶かして抗体溶液を得た。
次いで、IgG Sepharose 6 Fast Flow (GE Healthcare社製) 50μLをカラムに充填し、先に得られた抗体溶液(40 mL)を、全量、そのカラムに通して反応させて抗体ビーズを得た。
抗体ビーズを、SDS elution buffer(2% SDS, 100mM Tris−HCl pH7.5, 10% glycerol, 0.5mM EDTA, 100mM DTT, BPB)で溶出して、結合したクローン119の発現チェックとビーズへの結合量のチェックをSDS−PAGEにて行った。クマシー染色した結果を図13に示す。
図13中、レーン1は、ビーズに結合していたクローン119を示し、レーン2は、コントロールとして用いたビーズに結合していたコントロールクローン(ライブラリーからランダムにクローニングした抗体クローン)を示す。40kDaの位置にバンドが確認でき、2種類の抗体のバンドが同じ濃さであることから、等量のクローン119及びコントロールクローンをそれぞれのビーズに結合できたことが確認された。
[免疫沈降]
得られた抗体ビーズが、抗原を免疫沈降できるかどうかの確認を行った。抗体ビーズ80μL(クローン119 4μg)を[myrNAP22の大量発現]で調製したリコンビナントmyrNAP22と4℃一晩反応させた後、遠心分離し、上清を用いて12.5%アクリルアミドゲルでSDS−PAGEを行った。クマシー染色した結果を図14に示す。
図14中、レーン1は、クローン119を用いたものの上清を示し、レーン2は、コントロールクローンを用いたものの上清を示し、レーン3は、インプットに用いたリコンビナントmyrNAPを示す。レーン3とレーン1を比較すると、レーン1のシグナル強度は、レーン3のシグナル強度の61%であった。一方、レーン2とレーン3を比較すると、レーン2のシグナル強度は、レーン3のシグナル強度の90%であった。即ち、クローン119を用いてインプットの約30%〜40%のmyrNAP22抗原を免疫沈降できることが確認された。
本実施例においてこのように特異性の高い抗体が多種類得られた理由として、ビーズスクリーニングを用いたことによる(1)提示される抗原分子の絶対数の増加(2)適切な抗原部位の露出、の2点が挙げられる。本実施例で用いたビーズは1mgあたり1,000 pmolの分子と結合できる。
プレートスクリーニングで1つのwellあたりに固相化できるタンパク量が約10 pmolであることを考えると、提示される抗原分子の数には数十倍以上の差があることになる。加えて、プレートスクリーニングには、プレートに吸着していることで部分的にまったく抗体が反応できない箇所ができてしまう、という大きな問題点がある。
本実施例で抗原として用いたミリストイル基は、タンパク質を膜へアンカーできるほど疎水性に富んでいる。そのため、疎水性相互作用を利用したプレート吸着方法では、この脂肪酸部分がプレートと面する形になってしまい、抗体との反応が妨げられている可能性も十分考えられる。
一方、ビーズスクリーニングでは、ビーズの表面に抗原が提示されることで、脂肪酸部分も含む一つの抗原分子の様々な面に対し抗体集団が相互作用することが可能になったと推測される。このように抗原の絶対量、そして提示の仕方に変化があったことで、特異性の高い多種類のモノクローナル抗体を得ることが可能になったと考察される。
相互作用だけで認識できる抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメント、ミリストイル化タンパク質検出キット、医薬、遺伝子、及びベクターを提供できる。

Claims (24)

  1. (a1)配列番号1に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号1に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−L1と、
    (b1)配列番号2に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号2に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−L2と、
    (c1)配列番号3に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号3に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−L3と、
    を含む軽鎖可変ドメイン、及び/又は、
    (d1)配列番号4に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号4に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−H1と、
    (e1)配列番号5に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号5に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−H2と、
    (f1)配列番号6に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号6に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−H3と、
    を含む重鎖可変ドメインを有することを特徴とする抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメント。
  2. 配列番号1に示されるアミノ酸配列を含むCDR−L1と、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むCDR−L2と、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むCDR−L3と、を含む軽鎖可変ドメイン、及び/又は、
    配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むCDR−H1と、配列番号5に示されるアミノ酸配列を含むCDR−H2と、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むCDR−H3と、を含む重鎖可変ドメインを有する請求項1に記載の抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメント。
  3. 配列番号4に示されるアミノ酸配列と、配列番号5に示されるアミノ酸配列と、配列番号6に示されるアミノ酸配列と、配列番号1に示されるアミノ酸配列と、配列番号2に示されるアミノ酸配列と、配列番号3に示されるアミノ酸配列と、をこの順に有する請求項1又は2に記載の抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメント。
  4. 配列番号7に示されるアミノ酸配列を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメント。
  5. (a2)配列番号8に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号8に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−L1と、
    (b2)配列番号9に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号9に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−L2と、
    (c2)配列番号10に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号10に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−L3と、
    を含む軽鎖可変ドメイン、及び/又は、
    (d2)配列番号11に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号11に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−H1と、
    (e2)配列番号12に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号12に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−H2と、
    (f2)配列番号13に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号13に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−H3と、
    を含む重鎖可変ドメインを有することを特徴とする抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメント。
  6. 配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むCDR−L1と、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含むCDR−L2と、配列番号10に示されるアミノ酸配列を含むCDR−L3と、を含む軽鎖可変ドメイン、及び/又は、
    配列番号11に示されるアミノ酸配列を含むCDR−H1と、配列番号12に示されるアミノ酸配列を含むCDR−H2と、配列番号13に示されるアミノ酸配列を含むCDR−H3と、を含む重鎖可変ドメインを有する請求項5に記載の抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメント。
  7. 配列番号11に示されるアミノ酸配列と、配列番号12に示されるアミノ酸配列と、配列番号13に示されるアミノ酸配列と、配列番号8に示されるアミノ酸配列と、配列番号9に示されるアミノ酸配列と、配列番号10に示されるアミノ酸配列と、をこの順に有する請求項5又は6に記載の抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメント。
  8. 配列番号14に示されるアミノ酸配列を有する請求項5〜7のいずれか一項に記載の抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメント。
  9. (a3)配列番号15に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号15に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−L1と、
    (b3)配列番号16に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号16に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−L2と、
    (c3)配列番号17に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号17に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−L3と、
    を含む軽鎖可変ドメイン、及び/又は、
    (d3)配列番号18に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号18に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−H1と、
    (e3)配列番号19に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号19に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−H2と、
    (f3)配列番号20に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号20に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−H3と、
    を含む重鎖可変ドメインを有することを特徴とする抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメント。
  10. 配列番号15に示されるアミノ酸配列を含むCDR−L1と、配列番号16に示されるアミノ酸配列を含むCDR−L2と、配列番号17に示されるアミノ酸配列を含むCDR−L3と、を含む軽鎖可変ドメイン、及び/又は、
    配列番号18に示されるアミノ酸配列を含むCDR−H1と、配列番号19に示されるアミノ酸配列を含むCDR−H2と、配列番号20に示されるアミノ酸配列を含むCDR−H3と、を含む重鎖可変ドメインを有する請求項9に記載の抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメント。
  11. 配列番号18に示されるアミノ酸配列と、配列番号19に示されるアミノ酸配列と、配列番号20に示されるアミノ酸配列と、配列番号15に示されるアミノ酸配列と、配列番号16に示されるアミノ酸配列と、配列番号17に示されるアミノ酸配列と、をこの順に有する請求項9又は10に記載の抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメント。
  12. 配列番号21に示されるアミノ酸配列を有する請求項9〜11のいずれか一項に記載の抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメント。
  13. (a4)配列番号25に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号25に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−L1と、
    (b4)配列番号26に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号26に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−L2と、
    (c4)配列番号27に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号27に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−L3と、
    を含む軽鎖可変ドメイン、及び/又は、
    (d4)配列番号28に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号28に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−H1と、
    (e4)配列番号29に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号29に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−H2と、
    (f4)配列番号30に示されるアミノ酸配列、又は、配列番号30に示されるアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列を含むCDR−H3と、
    を含む重鎖可変ドメインを有することを特徴とする抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメント。
  14. 配列番号25に示されるアミノ酸配列を含むCDR−L1と、配列番号26に示されるアミノ酸配列を含むCDR−L2と、配列番号27に示されるアミノ酸配列を含むCDR−L3と、を含む軽鎖可変ドメイン、及び/又は、
    配列番号28に示されるアミノ酸配列を含むCDR−H1と、配列番号29に示されるアミノ酸配列を含むCDR−H2と、配列番号30に示されるアミノ酸配列を含むCDR−H3と、を含む重鎖可変ドメインを有する請求項13に記載の抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメント。
  15. 配列番号28に示されるアミノ酸配列と、配列番号29に示されるアミノ酸配列と、配列番号30に示されるアミノ酸配列と、配列番号25に示されるアミノ酸配列と、配列番号26に示されるアミノ酸配列と、配列番号27に示されるアミノ酸配列と、をこの順に有する請求項13又は14に記載の抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメント。
  16. 配列番号31に示されるアミノ酸配列を有する請求項13〜15のいずれか一項に記載の抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメント。
  17. 請求項1〜16のいずれか一項に記載の抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメントを有することを特徴とするミリストイル化タンパク質検出キット。
  18. 請求項1〜16のいずれか一項に記載の抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメントを有効成分として含有することを特徴とする医薬。
  19. 請求項1〜16のいずれか一項に記載の抗ミリストイル化タンパク質抗体又はその抗原結合フラグメントをコードするDNAからなることを特徴とする遺伝子。
  20. (g1)配列番号22に示される塩基配列からなるDNA、
    (h1)配列番号22に示される塩基配列において、1〜数個の塩基が欠失、置換又は付加されている塩基配列からなり、かつミリストイル化タンパク質認識能を有するタンパク質をコードするDNA、
    (i1)配列番号22に示される塩基配列と同一性が80%以上である塩基配列からなり、かつミリストイル化タンパク質認識能を有するタンパク質をコードするDNA、又は、
    (j1)配列番号22に示される塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができる塩基配列からなり、かつミリストイル化タンパク質認識能を有するタンパク質をコードするDNA、からなることを特徴とする遺伝子。
  21. (g2)配列番号23に示される塩基配列からなるDNA、
    (h2)配列番号23に示される塩基配列において、1〜数個の塩基が欠失、置換又は付加されている塩基配列からなり、かつミリストイル化タンパク質認識能を有するタンパク質をコードするDNA、
    (i2)配列番号23に示される塩基配列と同一性が80%以上である塩基配列からなり、かつミリストイル化タンパク質認識能を有するタンパク質をコードするDNA、又は、
    (j2)配列番号23に示される塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができる塩基配列からなり、かつミリストイル化タンパク質認識能を有するタンパク質をコードするDNA、からなることを特徴とする遺伝子。
  22. (g3)配列番号24に示される塩基配列からなるDNA、
    (h3)配列番号24に示される塩基配列において、1〜数個の塩基が欠失、置換又は付加されている塩基配列からなり、かつミリストイル化タンパク質認識能を有するタンパク質をコードするDNA、
    (i3)配列番号24に示される塩基配列と同一性が80%以上である塩基配列からなり、かつミリストイル化タンパク質認識能を有するタンパク質をコードするDNA、又は、
    (j3)配列番号24に示される塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができる塩基配列からなり、かつミリストイル化タンパク質認識能を有するタンパク質をコードするDNA、からなることを特徴とする遺伝子。
  23. (g4)配列番号32に示される塩基配列からなるDNA、
    (h4)配列番号32に示される塩基配列において、1〜数個の塩基が欠失、置換又は付加されている塩基配列からなり、かつミリストイル化タンパク質認識能を有するタンパク質をコードするDNA、
    (i4)配列番号32に示される塩基配列と同一性が80%以上である塩基配列からなり、かつミリストイル化タンパク質認識能を有するタンパク質をコードするDNA、又は、
    (j4)配列番号32に示される塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができる塩基配列からなり、かつミリストイル化タンパク質認識能を有するタンパク質をコードするDNA、からなることを特徴とする遺伝子。
  24. 請求項19〜23のいずれか一項に記載の遺伝子を発現ベクターに挿入してなることを特徴とする組換えベクター。
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