【発明の詳細な説明】
オレフィンおよび環状オレフィンの結晶性コポリマーの重合 発明の属する分野
本発明は、開環複分解(ring-opening metathesis)を伴わないオレフィンおよ
び環状オレフィンの半結晶性コポリマーの製造のための重合方法に関する。本方
法に好適な特異的触媒としては、アルモキサン(alumoxane)またはイオン化触媒
活性剤を有する架橋されたモノシクロペンタジエニル触媒化合物が挙げられる。背景
環状オレフィンの重合は、単独であっても、あるいは共重合可能なモノマー、
特にオレフィン類とのものであっても、配位重合のためのメタロセン触媒の有効
性の発見に伴って有意に進歩してきた。結晶性ホモポリマーは、配座(コンフォ
メーション)の規則的なまたは立体特異的なポリマーを生じる立体硬質(stereor
igid)なキラルなメタロセンの使用により製造することができる。例えば、New M
aterials by Polymerization of Cyclic Olefins with Metallocene Catalysts
,W.Kaminsky,Paper for METCON'93,Houston,TX,May 26-28,1993,p.325-3
35 を参照されたい。α−オレフィンを用いる共重合は、オレフィンの取り込み
により引き起こされるv−オレフィン結晶化度の破壊のため、エラストマー状ポ
リマーをもたらすことができる。例えば、米国特許第5,204,429号を参
照されたい。
さらに最近には、メタロセン触媒の配位子(リガンド)構造を注意深く選択す
ることにより、オレフィンを環状オレフィンと共重合させて結晶特性を有するコ
ポリマーを製造することができることが発見された。米国特許第5,324,8
01号には、サンドイッチを構成する配位子が環を形成するように連結または架
橋されているサンドイッチ構造のメタロセンの存在下での非環式オレフィンとの
共重合を含む、1〜80%の少なくとも1個の環状オレフィンを有するシクロオ
レフィンコポリマーの製造方法が記載されている。好ましいコポリマーは、環状
オレフィン対非環式オレフィンの取り込み比が40:60から60:40である
と言われている。C1対称を呈するサンドイッチメタロセンを用い、好ましい配
位子がフルオレニルおよびシクロペンタジエニルであり、ノルボルネンまたはテ
トラシクロクロドデセンのいずれかとエチレンとの交互配列(alternating seque
nce)のコポリマーは、235℃〜335℃の結晶融点および50:50から41
:59の範囲のモル比の環状オレフィン対非環式オレフィンを有するものとして
製造された。透明度のため、このポリマーは、ガラス代用品としても好適であり
、ポリマーアロイにおいても好適であると言われている。さらなる生成物の記載
は、Cherdon,et al.,Cycloolefin Copolymers: A New Class of Transparent
Thermoplastics,Angew.Chem.223,121-133(1994)に見られる。
これらのエチレン、α−オレフィン、および環状オレフィンの結晶性および半
結晶性コポリマーは、特有の興味深い物理的特性を呈するので、触媒合成の場合
の潜在的な改良、増加した重合効率、増加した環状オレフィン取り込み効率およ
び異なるコポリマー生成物の特徴を伴う、これらを製造する代替的な手段には、
大変興味が持たれている。したがって、このような共重合方法が可能であること
が従来発見されていたものとは異なる触媒系を開発するための研究がなされた。発明の概要
したがって、本発明は、非対称に置換されたモノシクロペンタジエニル補助配
位子、かさ高い置換基を含有するヘテロ原子配位子を含有し、上記モノシクロペ
ンタジエニル配位子およびヘテロ原子配位子が共有結合により架橋されている4
族遷移金属化合物を含む活性重合触媒に、エチレンと少なくとも1個の環状オレ
フィンとを好適な重合条件下で接触させることを特徴とする、高結晶融点環状オ
レフィンコポリマーの製造に好適な共重合方法である。発明の説明および例
本発明の方法が好適である環状オレフィンコポリマーとしては、配列規則性お
よび配座規則性の両方を有するものが挙げられる。ここに配列規則性とは、実質
的に交互である環状オレフィンモノマーおよびエチレンの配列を意味する。配座
規則性、すなわち立体特異性は、一定の分子配位形態の結果である。これらの特
徴的な特性は、このコポリマーが、−50℃から350℃まで1分当たり10℃
の加熱速度で実施する示差走査熱量測定(DSC)により測定したとき約150℃
〜350℃、特に200℃〜300℃の当初の結晶融点を呈しうることを確実に
する。これらのコポリマーは、典型的にはデカリン中で135℃で測定したとき
0.05dl/g〜20dl/g の固有粘度を有する。分子量分布、すなわち多分散度
(polydispersity;MWD)は、典型的には狭く、従来の方法にしたがって既知
のポリエチレン標準を参照に用いたゲル透過クロマトグラフィ(GPC)により
測定した分子量から算出したとき約1.1〜6.0まで、好ましくは1.2〜4
.5、より好ましくは2.0〜4.0の範囲である。2.0未満(<2.0)の
MWDは従来のZiegler-Natta重合においては典型的ではないが、本発明にした
がった共重合のためのある種の重合条件の使用により、2.0未満のMWD特性
を典型とする「リビング」アニオン重合に類似の重合をもたらすことができる。
エチレンは、本発明の触媒系を用いてC3およびより高い炭素数のα−オレフ
ィンは典型的には本発明の半結晶性ポリマーの生産と一致する共重合配列が可能
ではないことにおいて、好ましいコモノマーである。この現象は顕著であり、環
状オレフィンコポリマーに関する従来技術において、C3およびより高い炭素数
のα−オレフィンは、典型的には環状オレフィンに対するほとんどあらゆる取り
込み比で容易に共重合すると言われている。
好適な環状オレフィンとしては、少なくとも4個の炭素原子および1個の配位
重合可能なエチレン性不飽和部位を有するものが挙げられる。このようなオレフ
ィンとしては、多環構造を有するもの、および触媒配位部位で配位付加反応に容
易に利用可能ではない付加的な妨害されたまたはマスクされたエチレン性不飽和
を有するものが挙げられる。これらのオレフィンは、最も普通には炭化水素(hy
drocarbyl)であるが、低レベルの非炭素、ヘテロ原子(これらが触媒配位部位
で配位可能でないように妨害され、保護され、またはマスクされている場合には
)を含んでいてもよい。
これらのオレフィンは、好ましくは置換されていない環員のみを含むが、位置
または部位により、本発明の方法により作られるコポリマー組成物の全体的な結
晶性配置(コンフィギュレーション)の破壊が有意でないのであれば、置換は許
容されうる。好ましくは、置換は、エチレン結合炭素原子の1つに位置していな
いC1〜C6炭化水素(hydrocarbyl)配位子によるものである。
好ましい環状オレフィンとしては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロオ
クテン、ノルボルネン、5−メチルノルボルネン、3−メチルノルボルネン、エ
チルノルボルネン、フェニルノルボルネン、ジメチルノルボルネン、ジエチルノ
ルボルネン、ジシクロペンタジエン、テトラシクロドデセン、メチルテトラシク
ロドデセン等が挙げられる。さらに、好適な環状オレフィンとしては、当業界で
公知のものが挙げられ、例示的な記載はWO94/17113、および米国特許
第5,270,393号および第5,324,801号に見出すことができるが
、それらのすべては米国特許実務の目的のために参照により包含される。
好ましいヘテロ原子含有モノシクロペンタジエニル4族金属触媒は、一般式:
MR1R2J(T)Cp
(式中、R1およびR2は、エチレン挿入が可能であるかまたはエチレン挿
入可能な配位子による置換および抽出が可能である同一または異なる一価配位子
であり;Jは、連結基Tを通じて共有結合によりCpに架橋され、環状オレフィ
ンによる直接の接近からMを保護するのに十分にかさ高い一価置換基を含有する
15族ヘテロ原子であり;Cpは、架橋環員と環の反対側の点との間に引いた線
について非対称であるように環員原子に置換を有するn5−シクロペンタジエニ
ル環誘導体である)
を有する共有結合により架橋された4族金属含有化合物を含む(compromising
)クラスのものである。
R1およびR2は、同一または異なり、水素原子、ハロゲン原子、C1〜C10ア
ルキル基、C1〜C10アルコキシ基、C6〜C10アリール基、C6〜C10アリール
オキシ基、C2〜C10アルケニル基、C7〜C10アリールアルキル基、C8〜C10
アルキルアリール基またはC8〜C10アリールアルケニル基である。
Jは、ヘテロ原子含有配位子であり、かさ高い一価配位子としてイソプロピル
、tert−ブチル、アダマンチル、シクロドデシル等のようなC3〜C30炭化水素
(hydrocarbyl)配位子を含む。好ましくは、このかさ高い一価配位子は、触媒
配位部位への環状オレフィンの接近の妨害について最大の大きさを提供するよう
にヘテロ原子に結合している第二級、より好ましくは第三級炭素を含む。WO9
6/00244に記載されている配位子は、特に好適である。
JとCpとの間の共有結合架橋基Tは、典型的には、水素および/または炭素
もしくはケイ素元素包含配位子を有する13〜15族元素を含有する。好ましく
は、Tは、メチレン、エチレンまたはシリレンを含み、これらのいずれであって
もアルキル、アリール、アルキルアリール(alkyaryl)、好ましくはC1〜C20
のもの、またはシリル置換基を有することができる。
具体例としては、文献において利用可能なものと同様に容易に合成される既知
のクラスの配位子グループから選択される置換を有するモノシクロペンタジエニ
ル触媒化合物が挙げられる。中でも、第5,055,438号、第5,096,
867号、第5,264,400号およびWO92/00333に記載されてお
り、各々は米国特許実務の目的のため参照により包含される。特に、好ましい化
合物の1つはジメチルシリル(3−tert−ブチルシクロペンタジエニル)(1−
アダマンチルアミド)ハフニウムジメチルであり、これは絵入りで本発明におい
て好適な化合物のクラスを例示する。その図は次のとおりである。
図1
この記載および図から明白なように、C1またはより高い炭素数、好ましくは
C2またはそれ以上、最も好ましくはC3またはそれ以上、C30まで、好ましくは
C20まで、最も好ましくはC10まで、のあらゆるアルキル置換を、3−シクロペ
ンタジエニル位において用いることができる。さらに、二置換の置換パターンを
用いることができ、ここで、3−シクロペンタジエニル位および2−シクロペン
タジエニル位の2つの隣接するR基は、水素、C1〜C30炭化水素基(hydrocarb
yl)、好ましくはC2〜C20、最も好ましくはC3〜C10、例えばアルキル、アル
ケニル、アリール、アルキルアリールまたはアリールアルキル遊離基(ラジカル
)から選択される同一または異なる基であることができ、2つの隣接するR置換
基が結合してさらにC1〜C20置換または非置換環系、例えばシクロヘキシル、
インデニル、ベンジルインデニル(benzyindenyl)等を形成する構造のものを含
む。置換されたシクロペンタジエニル誘導体は、非対称の置換パターンを保存す
るようなもので置換されている限り、環の4位および/または5位が置換されて
いてもよい。3−フェニル−インデニル等のあらゆる誘導体が好適である。
明確さのために、シクロペンタジエニル環の位置は、対称性を決定するに際し
、上述のように番号づけするものとする。
同様に、Jは、図示したアダマンチル基により例示したようにヘテロ原子のエ
キソサイクリック位にかさ高い置換基を有する公知のあらゆるアミド、ホスフィ
ド等のヘテロ原子構造であってよく、好ましくはC3〜C30炭化水素置換アミド
またはホスフィド基である。
4族遷移金属のうち、ハフニウムおよびジルコニウムは、環状オレフィン対エ
チレンの低モル比(例えば3:1から15:1)を用いる場合には特に好適であ
る。チタニウム触媒は、エチレン配列をより多量に取り込む傾向を有し、したが
って、より高いレベルの環状オレフィン対エチレン比が好適であり、例えば80:
1まで、またはそれ以上のモル比(環状オレフィン:エチレン)が好ましい。よ
り高いモル比は、重合媒体中で増加した環状オレフィン含量および低いエチレン
圧を用いることにより達成することができる。さらなる説明については、以下お
よび米国特許第5,324,801号および第5,498,677号の方法の記
載を参照されたい。
本発明の4族遷移金属化合物を活性触媒状態に活性化することができる化合物
は、本発明の方法において活性触媒を製造するために用いられる。好適な活性剤
としては、イオン化非配位アニオン前駆体およびアルモキサン活性化化合物が挙
げられるが、これらはともにメタロセン触媒の分野において周知であり、記載さ
れている。
本発明の4族遷移金属化合物のカチオンを含む活性なイオン性触媒組成物およ
び非配位アニオンは、4族遷移金属化合物とイオン化非配位アニオン前駆体との
反応に際して生じる。この活性化反応は、アニオン前駆体が、プロトン化、アン
モニウムまたはカルボニウム塩イオン化、金属カチオンイオン化またはルイス酸
イオン化を含む任意の方法により、典型的にはR1またはR2の抽出により、メタ
ロセンをイオン化するか否かにかかわらず、好適である。この活性化の重要な特
徴は、4族遷移金属化合物のカチオン化であり、結果として生じる融和性、非配
位性、または弱配位性(非配位性の用語に含まれる)の、本発明の共重合可能な
モノマーにより置き換えられうるアニオンによるそのイオン的安定化である。例
えば、EP−A−0277,003、EP−A−0277,004、米国特許第
5,198,401号、米国特許第5,241,025号、米国特許第5,38
7,568号、WO91/09882、WO92/00333、WO93/11
172およびWO94/03506を参照されたい。これらは、非配位性アニオ
ン前駆体を4族遷移金属触媒化合物とともに使用すること、重合方法におけるそ
れらの使用および不均一系触媒を製造するためにそれらを支持する手段を扱って
いる。アルモキサン化合物、典型的にはアルキルアルモキサンによる活性化は、
そのメカニズムに関しては十分に定義されていないが、それにもかかわらず、4
族遷移金属化合物触媒と共に使用することについて周知である。例えば、米国特
許第5,096,867号を参照されたい。
本発明の方法は、典型的には、触媒およびモノマーの相互作用を助ける反応媒
体、すなわちそれらの接触を容易にする媒体中において実施される。したがって
、液体環状オレフィン中の支持触媒のスラリーは、反応媒体として役立ちうる。
同様に、典型的な炭化水素溶剤を用いる溶液法は好適であり、好ましくは、溶剤
は、芳香族または脂環式炭化水素化合物のものであるが、直鎖状または分枝状脂
肪族化合物もまた好適である。したがって、好適な溶剤としては、トルエン、シ
クロヘキサン、ヘキサン等が挙げられる。
活性触媒は、スラリー法を用いる場合には特に、選択した反応方法に好適な任
意の方式で支持されていてよい。オレフィンの共重合方法について、特にアルモ
キサンにより活性化された触媒について、多数の支持方法が当業界で公知であり
、いずれのものも、最も広い範囲の本発明の方法に好適である。例えば、米国特
許第5,227,440号を参照されたい。ルイス酸イオン化触媒活性剤を用い
る場合、特に効果的な方法の1つは、WO96/04319に記載されたもので
ある。この係属中の出願の支持方法は、保持されたヒドロキシ基を通じてシリカ
含有支持体に共有結合により結合したルイス酸非配位アニオン前駆体(例えばト
リスパーフルオロフェニルボロン)の使用を記載する。これは当初形成される活
性剤錯体として、触媒活性カチオンへの4族遷移金属化合物のプロトン化のため
のプロトンとしてヒドロキシル水素を与える。
触媒およびモノマーの接触を実施するスラリーまたは溶液法は、選択した触媒
に好適なことが知られている条件下で行うことができる。したがって、重合反応
温度は、約−20℃未満から約300℃までの範囲にわたることができ、その間
の任意の温度であってよい。室温(20℃)での反応は便宜であるが、活性の増
加はより高い温度範囲で得られる。したがって、60℃を超える温度が好適であ
り、例えば100℃を超える温度のように、または120℃以上であっても、本
発明のモノシクロペンタジエニル触媒の安定性が与えられればよい。重合の圧力
は、環状オレフィン対エチレンの適切な比が得られる限りにおいて重要ではない
。典型的には、エチレンは加圧された気体として導入され、約0.1〜約15バ
ール、好ましくは0.5〜2.0バールに維持されうる。
本発明の重合方法は、好適には、触媒および活性剤を、公知の方法に従って公
知の量で公知の条件下で用いる。したがって、当業者に公知の予備活性化または
インシチュ(in situ)活性化、およびアルモキサンまたはアルキルアンモニウ
ムを用いる除去(スカベンジング)、あるいはそれらの組合わせは、本発明に好
適である。上述で引用した参考文献における方法の記載は例示的なものである。
本発明の例とともに、当業者は容易に好適な方法を認識するであろう。
上記で例示し記載した触媒構造は、かさ高い環状オレフィンの迅速な重合を可
能にするように作用すると信じられているが、優先的に、金属配位中心への保護
されていない接近路から、かつ、触媒化合物配位子系および環状オレフィンの形
とその中の重合可能なエチレン性不飽和の位置との両方の立体的制約により指示
される方式で、である。このことは、明らかに配座規則的なまたは立体特異的な
取り込みをもたらす。さらに、1つ目の環状オレフィンの大きさおよび挿入中の
触媒配位子系の立体的制約は、直後に続く環状オレフィンモノマーの触媒の配位
中心への進入を阻害するように作用する可能性が高い。したがって、後続するオ
レフィンモノマーの挿入の前に、そのように立体的に進入が阻害されない、そし
て挿入された場合に当初挿入された環状オレフィンを配位部位から除くように作
用するエチレンの挿入が先行する。次いで後続の環状オレフィンは、挿入された
エチレンにより阻害されず、容易に進入し挿入されることができる。実質的に交
互のコモノマーの配列セグメントを有するコポリマーが生じる。このコポリマー
は、存在したとしても有意でない、連続的に重合した環状オレフィンからなるダ
イアドしか含まない。
以下に例示する触媒を用いて、本発明の、エチレンおよびノルボルネンの、高
融点のエンジニアリングポリマーを製造した。40モル%を超える量のノルボル
ネンが、報告された重合条件下でポリマー骨格に容易に取り込まれた。ポリプロ
ピレンを作成することができることが知られている米国特許第5,324,80
1号の触媒(「背景」を参照されたい)とは対照的に、プロピレンの本発明の触
媒との接触は、実質的に、測定可能なポリプロピレンポリマーを生じなかった。
したがって、環状モノマーの共重合を達成することは、それらがプロピレンのよ
うにかさ高いので、まったく予期されないことであった。同様に、ポリノルボル
ネンは、同様のビスシクロペンタジエニル触媒の使用により生じることが知られ
ているが、本発明の触媒を用いて生産することはできなかった。さらに、プロピ
レンまたは環状オレフィンのような2つの連続するかさ高いモノマーを鎖につな
ぐことができないことにより、特にハフニウムおよびジルコニウム化合物を用い
て、求めている非常に好ましい実質的に交互の配列を犠牲にすることなしに、エ
チレンに対し広範なフィード比(約3:1〜30:1またはそれ以上)での環状
オレフィンモノマーの添加が可能である。得られるポリマーは実質的に環状オレ
フィンのダイアドを含まないので、より欠陥のない交互の配列分布をもつコポリ
マーが生じる。これらのコポリマーは、より低い環状オレフィン対エチレン比で
、より高い、より予測可能な融点温度を有することができる。
235℃の融点温度を有するコポリマーは、低フィード比(7:1)のノルボ
ルネン対エチレンで米国特許第5,324,801号において達成された。しか
し、6:1未満のより低いノルボルネン対エチレン比で、本発明の方法は、24
5℃を超える結晶融点のコポリマーを生産した。表2を参照されたい。これは、
産業的実務において、環状オレフィン転換効率に関する有意な経済的利点および
関連方法の利点と解釈することができる。
本発明のコポリマーは、高結晶融点ポリマー(エンジニアリングポリマーとし
ても知られる)が従来用途を見出されていた応用において有用なポリマー組成物
に加工することができる。具体的には、固い、熱安定性の、ポリカーボナートの
透明ポリマー組成物について知られている用途のように、ポリアミドおよびポリ
エステルと同様の注入成形に好適な熱安定性ポリマー組成物が可能である。した
がって、米国特許第5,324,801号に開示されているような光学的応用が
、同様のガラス遷移温度または融点の他のエンジニアリングポリマーおよび樹脂
のそれに関連する技術により示唆される応用に加えて、可能である。さらに、こ
れらのポリオレフィンエンジニアリングポリマー組成物の潜在的融和性により、
改変された使用温度を有する材料を製造するように本発明の生成物および他のエ
ンジニアリングポリマーを含むポリマーアロイの製造が可能である。
本発明のコポリマーは、堅いエンジニアリングプラスチックの脆弱性特性を呈
する。この衝撃靭性すなわち衝撃強度の欠如は、5〜40重量%、より典型的に
は10〜30重量%、そして好ましくは12〜25重量%の量のエラストマー性
ポリマーの包含により改良することができる。このようなエラストマー性ポリマ
ーは、本発明のコポリマーとの融和性を有する実質的にあらゆるものであること
ができる。ここに用いる意味での「融和性」とは、典型的にはメルト加工または
溶液条件下で、本発明のコポリマーと混和することができ、続いて有意な全体の
分離または層化の問題なしに安定に分散することができることを意味する。
堅いサーモプラスチックの衝撃改変に好適な当業界で公知のあらゆるエラスト
マー性ポリマーは好適であり、特にエチレンまたは環状オレフィンを含むコモノ
マーからなるものは、好適である。特に重要なものは、弾性のあるまたはエラス
トマー性の環状オレフィンコポリマーの使用、特にWO94/17113および
WO96/11983に記載されているものであり、米国特許出願番号08/0
05,676(93年1月19日出願)および08/539,487(95年1
0月6日出願)も参照されたい。さらに、スチレンおよびアルキル置換スチレン
のような、エチレンおよびビニル芳香族オレフィンに基づくポリマーは好適であ
る。
以下の記載および表は、本発明の例(1〜3)を説明し、本発明の方法の開発
中に試験した類似の触媒の非機能的能力を説明する比較例(4〜6)を提供する
。例
エチレン/ノルボルネンの重合は、表1に報告する条件下で以下の手順にした
がって実施した。生成物の特性は表2に示す。例1)〜例3)の本発明にしたが
った方法のみが、選択した重合条件下、特に低いコモノマーのモル比で、高結晶
融点のポリマーを製造することができたことは顕著である。記載した条件下で、
比較例6)の架橋モノシクロペンタジエニル触媒系は、シクロペンタジエニル環
において非対称を示さないものであり、高融点温度の環状オレフィンコポリマー
を生成しなかった。ガラス遷移温度(Tg)は、環状オレフィン取り込みの指標
であり、より大きい数字はより多い取り込みと相関する。したがって、比較例5
)は、本発明の触媒に関して環状オレフィンの匹敵する取り込みを示すが、測定
可能な結晶融点を示さない。同様に、ビスシクロペンタジエニル触媒系は、一方
のシクロペンタジエニル基において非対称を示し、他方においてはかさ高い置換
パターンを示すものであり(比較例4〜5)、匹敵する重合条件下で測定可能な
結晶融点を有するコポリマーを生成しなかった。例1:触媒活性化
40.0mgのμ−Me2Si(3−tert−BuCu)(1−アダマンチルア
ミド)HfMe2(WO96/00244における開示にしたがって製造した)
を不活性雰囲気中で計り、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス−パーフル
オロフェニルボロン(DMAH)B(pfp)3活性剤を添加して、ややモル過
剰の遷移金属錯体を得た。2mlの乾燥トルエンをピペットで添加して、混合物を
、ときどき攪拌しながら活性化が完了するまで(10〜20分)置いた。得られ
た混合物を隔膜でシールしてカニューレで反応器に移す準備を整えた。
反応器条件
0.8lの乾燥トルエンを、空気感受性技術(air sensitive technique)を
用いて、清浄な乾燥した窒素置換(N2パージ)した2リットルのオートクレー
ブ反応器に移した。溶剤は、反応器が60℃で平衡に達する間、継続的にゆっく
り窒素置換しながら(10 SLPM)攪拌した。トリイソブチルアルミニウム
(TIBA)を、トルエン中1M溶液の0.5mlをさらなるトルエン(10〜2
0ml)で希釈し、標準的空気感受性技術を用いてパージロを通じてカニューレか
ら反応器に移すことにより、掃去剤(スカベンジャー)として添加した。106
gのノルボルネンを、トルエン中の濃縮溶液(86重量%)として標準的空気感
受性技術を用いてパージロを通じてカニューレから反応器に添加した。窒素置換
は、反応器をシールするのと同時に停止した。15psig(1バール)のエチレン
ガスを、溶液が飽和するまで反応器に添加した。(モルフィード比は、ノルボル
ネン:エチレン=5.6:1である。)エチレン調節器およびフローコントロー
ラーは、15psig(1バール)のエチレン圧および10 SLPMの補給フロー
を維持するよう設定した。次いで、反応器を迅速に開けて、予め活性化した触媒
をパージ口を通してカニューレから反応器に添加した。次いで口をシールし、フ
ローコントローラーを開いてエチレン圧を迅速に15psi(1バール)に戻した
。混合物を60℃で74分間攪拌した。
反応器を急速に開くことによって反応を鎮め、内容物を急速に攪拌されている
11のアセトン中に注入した。得られた白色固体ポリマーを洗浄して、ろ過により
分離し、真空オーブン中で一晩乾燥させた(60℃、−30in.Hg(−1.0atm
))。128.4gのコポリマーが得られ、これは融解温度247℃、Mw=3
9,685、MWD=1.44であった。註:すべての重量平均分子量(Mw)
測定値は、ゲル透過クロマトグラフィ(GPC)により、ポリエチレン標準に基
づいたものである。したがって、報告されたMwは本発明の実施例については比
較可能であるが、実際のMwの決定については正確ではない。例2〜6
以下の例(2〜6)は、例1について記載したものと同様の方法により実施し
たが、表1に示す条件を用いた。得られたコポリマー生成物およびそれらを製造
するために用いた触媒を表2に示す。例7
本発明にしたがったエチレン−ノルボルネンコポリマー(A)を、60℃で例
1の触媒系を用いて製造した。ただし、938mgの触媒、10,960mlのトル
エン、および21psi(144.8kPa)のエチレン圧を用いた。3766gのノ
ルボルネンを、5.6:1のノルボルネン対エチレンのモル比を与えるために用
いた。重合反応は、1時間実施した。収量は、1076g/g-h の活性について1
.01kgのコポリマーであった。このコポリマーは、250℃のTm、112℃
のTg、57,000のMw(PE標準を用いたGPCによる)、および2.3
4の分子量分布(MWD)を示した。
WO94/17113の記載にしたがって作成した、約10モル%NB、いく
らかのエチレン結晶化度(Tm=60℃、MWD=1.83)および43,80
0に等しいMnを有するE/NB(エチレン/ノルボルネン)エラストマー(B)
を、この例7の立体規則的な交互のE/NBと混和(20重量%)して、脆弱性
E/NBコポリマー(A)を強化する能力を比較した。混和は、250℃で10
分間、Brabenderミキサーを用いて標準的メルト加工条件下で行った。除去およ
び冷却の後、得られた混和物は、堅く不透明な固体であり、硬質の光沢のある表
面を有していた。その加圧成形フィルムは、いくらか透明であり、切り込みを入
れておかない限り手で裂くことはできなかった。これらのフィルムは強靭であり
、反復的に折りたたんだ場合、破壊されなかった。
次に、改変していない交互E/NBポリマー(A)およびそのE/NBエラス
トマー(B)との混和物の両方を、破壊時の引張り強さおよび破壊時のひずみ%
について標準化した条件下で試験した。
【手続補正書】
【提出日】1998年8月11日
【補正内容】
請求の範囲
1.高結晶融点環状オレフィンコポリマーの製造に好適な共重合方法であって、
非対称に置換されたモノシクロペンタジエニル補助配位子、かさ高い置換基を含
有するヘテロ原子配位子を含有し、上記モノシクロペンタジエニル配位子および
ヘテロ原子配位子が共有結合により架橋されているハフニウムまたはジルコニウ ム
遷移金属化合物を含む活性重合触媒に、エチレンと少なくとも1個の環状オレ
フィンとを好適な重合条件下で接触させることを特徴とする方法。
2.上記遷移金属化合物が、ハフニウムを含む、請求項1記載の方法。3
.上記かさ高い置換基を含有するヘテロ原子配位子が、窒素原子に結合した第
三級炭素を含む炭化水素置換アミド配位子を含む、請求項1記載の方法。4
.上記かさ高い置換基を含有するヘテロ原子配位子が、1−アダマンチルアミ
ドである、請求項3記載の方法。5
.上記モノシクロペンタジエニル配位子およびヘテロ原子配位子が、炭素また
はケイ素を含む基により共有結合により架橋されている、請求項1記載の方法。6
.上記非対称に置換されたモノシクロペンタジエニル補助配位子が、3−シク
ロペンタジエニル位に少なくとも1個の炭素原子を有する少なくとも1個のアル
キルまたはアルキル置換シリル置換基を含む、請求項1記載の方法。7
.上記非対称に置換されたモノシクロペンタジエニル補助配位子が、二置換の
置換パターンを含み、ここで3−シクロペンタジエニル位および2−シクロペン
タジエニル位の2つの隣接するR基は、水素、C2〜C18アルキル置換シリルお よびC1〜C30
炭化水素から選択される同一または異なる置換基である、請求項1
記載の方法。8
.上記エチレンと少なくとも1個の環状オレフィンとを、エチレンに対する環
状オレフィンのフィードストリーム比が約6.0以下となるように1以上のフィ
ードストリームを重合媒体中に導入することにより、上記活性重合触媒と接触さ
せる、請求項1記載の方法。9.上記少なくとも1個のアルキル置換基が、tert−ブチルを含む、請求項6記 載の方法。 10.上記かさ高い置換基を含有するへテロ原子配位子が、1−アダマンチルア ミドである、請求項9記載の方法。