【発明の詳細な説明】
新規の複素環化合物
発明の分野
本発明は新規のN−置換化アミノ酸及びそのエステルであって、置換化アルキ
ル鎖がN−置換基又はその塩の一部を形成している化合物、その製造のための方
法、それらを含む組成物、並びにC−線維が神経原性の疼痛又は炎症を誘発する
ことにより病理生理学的な役割を果している疼痛、痛覚過敏及び/又は炎症症状
の臨床処置のためのその利用に関する。本発明は更に非インスリン依存性真性糖
尿病(NIDDM)又は老化におけるインスリン抵抗性の処置のための本化合物の利用
にも関連する。本化合物はC線維含有ニューロペプチドを妨害し、それ故CGRP又
はアミリンの如きインスリン拮抗性ペプチドの分泌及び循環を阻害するものと理
解される。
発明の背景
神経系は炎症反応に強い効果を及ぼす。知覚神経の逆行性刺激は局在型の血管
拡張及び増大した血管浸透性をもたらし(Janecsoら、Br.J.Pharmacol.1967,
31,138-151)、そして似たような反応が知覚神経に存在していることがわかって
いるペプチドの注射を経て観察される。これら及びその他のデーターから、知覚
神経の終末から放出されるペプチドは皮膚、関節、尿路、目、髄膜、胃腸管及び
気道の如き組織における数多くの炎症反応を媒介するものと推定される。それ故
、知覚神経ペプチドの放出及び/又は活性の阻害は、例えば関節炎、皮膚炎、鼻
炎、ぜん息、膀胱炎、歯肉炎、血栓性静脈炎、緑内障、胃腸病又は片頭痛の処置
において有用でありうる。
更に、骨格筋グリコーゲンシンターゼ活性及び筋グルコース代謝に及ぼすCGRP
の潜在的な効果は、神経興奮により神経筋肉接続部からこのペプチドが放出され
ることと共に、CGRPが、ホスホリル化グルコースをグリコーゲン貯蔵体から解糖
及び酸化経路へと誘導することによって骨格筋グルコース代謝において生理学的
役割を果たしうることを示唆する(Rossettiら、Am.J.Physiol.264,E1-E10,
1993)。このペプチドは生理学的状況、例えば運動において往来する細胞内グル
コースの重要な生理学的モジュレーターであり得、そしてCGRPの循環血漿レベル
が著しく増大する NIDDM又は老化関連肥満症の如き病理生理学的症状における低
下したインスリン作用及び骨格筋グリコーゲン生合成を司りうる(Melnykら Obes
ity Res.3,337-344,1995)。従って、ニューロペプチドCGRPの放出及び/又
は活性の阻害は2型糖尿病又は老化に関連するインスリン抵抗性の処置において
有用でありうる。
米国特許第 4,383,999号及び第 4,514,414号、並びにEP 236,342号及びEP 231
,996号において、いくつかのN−(4,4−二置換化−3−ブテニル)アザ複素
環カルボン酸の誘導体がGABA取込のインヒビターとして請求されている。EP 342
,635号及びEP 374,801号において、N−置換化アザ複素環カルボン酸であってオ
キシムエーテル基及びビニルエーテル基がそれぞれN−置換基の一部を構成して
いる化合物がGABA取込のインヒビターとして請求されている。更に、WO 9107389
号及びWO 9220658号においてはN−置換化アザ環式カルボン酸がGABA取込インヒ
ビターとして請求されている。EP 221,572号は1−アリールオキシアルキルピリ
ジン−3−カルボン酸がGABA取込のインヒビターであると主張している。
発明の説明
本発明は次式Iの新規のN−置換化アミノ酸及びそのエステル
(式中、R1及びR2は独立して水素、ハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキ
シ、C1-6−アルキル又はC1-6−アルコキシであり;そして
Yは>N−CH2−、>CH−CH2−又は>C=CH−であり、ここで下線付きの原子
のみが環系を構成しており;そして
Xは−O−、−S−、−C(R6R7)−、−CH2CH2−、−CH=CH−CH2−、−CH2−C
H=CH−、−CH2−(C=O)−、−(C=O)−CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH=CH−、−
N(R8)−(C=O)−、−(C=O)−N(R8)−、−O−CH2−、−CH2−O−、−S−CH2
−、−CH2−S−、−(C=O)−、−N(R9)−又は−(S=O)−であり、ここでR6,
R7,R8及びR9は独立して水素又はC1-6−アルキルであり;そして
rは1,2又は3であり;そして
Zは
から選ばれ、ここでnは0又は1であり;そして
R3は−(CH2)mOH又は−(CH2)sCOR4であり、ここでmは0,1,2,3,4,
5又は6であり、そしてsは0又は1であり、そしてここでR4は−OH、−NH2、
−NHOH又はC1-6−アルコキシであり;そして
R5は水素、ハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、C1-6−アルキル又
はC1-6−アルコキシであり;そして
R10は水素又はC1-6−アルキルであり;
AはC1-6−アルキレン、C2-6−アルケニレン又はC2-6−アルキニレンであ
る)
又はその薬理学的に許容される塩に関する。
式Iの化合物は幾何学的及び光学的異性体として存在し得、そしてその全ての
異性体及び混合物が本発明に包含される。異性体はクロマトグラフィー技術又は
適当な塩の分別結晶化の如き標準の方法により分割し得る。
好ましくは、式Iの化合物は個々の幾何学的又は光学的異性体として存在する
。
本発明に係る化合物は任意的に薬理学的に許容される酸付加塩として、又はカ
ルボン酸基がエステル化されていないとき、薬理学的に許容される金属塩として
、又は任意的にアルキル化されたアンモニウム塩として存在しうる。
かかる塩の例には、無機及び有機酸付加塩、例えば塩酸塩、臭酸塩、硫酸塩、
リン酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、クエ
ン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩又は類似の薬理学的に許容される無機又
は有機酸付加塩が含まれ、そして引用することで本明細書中に組入れる Journal
of Pharmaceutical Science,66,2(1977)に挙示されている薬理学的に許容さ
れる塩が含まれる。
本明細書において使用する語「C1-6−アルキル」は、単独で、又は組合さっ
て、1〜6個の炭素原子を有する直鎖又は枝分れした飽和炭化水素鎖、例えばメ
チル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ
ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、
n−ヘキシル、4−メチルペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、1,2−ジ
メチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル及び1,2,2−トリメチルプロピ
ルを意味する。
本明細書において使用する語「C1-6−アルコキシ」は、単独で、又は組合さ
って、エーテル酸素を介して連結したC1-6−アルキル基であって自由価結合が
エーテル酸素に由来しており、且つ1〜6個の炭素原子を有する基を含んで成る
直鎖又は枝分れした一価の置換基、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イ
ソプロポキシ、ブトキシ、ペントキシを意味する。
「ハロゲン」なる語はフッ素、塩素、臭素又はヨウ素を意味する。
本発明により包括される化合物の具体例には以下が含まれる:
3−(N−メチル−N−(3−(10,11−ジヒドロジベンゾ〔a,d〕シクロヘ
プテン−5−イリデン)−1−プロピル)アミノ)プロピオン酸;
4−(N−メチル−N−(3−(10,11−ジヒドロジベンゾ〔a,d〕シクロヘ
プテン−5−イリデン)−1−プロピル)アミノ)酪酸;
3((3−(10,11−ジヒドロ−5H−ジベンザ〔b,f〕アゼピン−5−イル)
−1−プロピル)アミノ)プロピオン酸;
2−(N−(3−(10,11−ジヒドロ−5H−ジベンザ〔b,f〕アゼピン−5
−イル)−1−プロピル)−N−メチルアミノ)コハク酸;
2−((3−(10,11−ジヒドロ−5H−ジベンザ〔b,f〕アゼピン−5−イル
)−1−プロピル)アミノ)安息香酸;
4−(N−(3−(10,11−ジヒドロ−5H−ジベンザ〔b,f〕アゼピン−5
−イル)−1−プロピル)−N−メチルアミノ)−1−メチル−3−ピペリジン
カルボン酸;
2−(N−(3−(10,11−ジヒドロ−5H−ジベンザ〔b,f〕アゼピン−5
−イル)−1−プロピル)−N−メチルアミノ)ニコチン酸;
2−((N−(3−(10,11−ジヒドロ−5H−ジベンザ〔b,f〕アゼピン−5
−イル)−1−プロピル)−N−メチルアミノ)メチル)安息香酸;
2−(N−(3−(10,11−ジヒドロ−5H−ジベンザ〔b,f〕アゼピン−5
−イル)−1−プロピル)−N−メチルアミノ)−1−シクロヘキサンカルボン
酸;
2−(3−(10,11−ジヒドロ−5H−ジベンザ〔b,f〕アゼピン−5−イル
)−1−プロピルアミノ)−ピリジン−3−オール;
3−((3−(10,11−ジヒドロ−5H−ジベンザ〔b,f〕アゼピン−5−イル
)−1−プロピル)アミノ)安息香酸;
2−((3−(10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ〔a,d〕シクロヘプテン−5
−イリデン)−1−プロピル)アミノ)安息香酸;
2−(N−(3−(3−クロロ−10,11−ジヒドロ−5H−ジベンザ〔b,f〕
アゼピン−5−イル)−1−プロピル)アミノ)−安
息香酸;
5−ブロモ−2−(N−(3−(10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ〔a,d〕
シクロヘプテン−5−イリデン)−1−プロピル)アミノ)安息香酸;
又はそれらの薬理学的に許容される塩。
本明細書において用いる語「患者」には、神経原性疼痛もしくは炎症又は NID
DMにおけるインスリン抵抗性の処置により利益を被る任意の哺乳動物が含まれる
。この語は特にヒト患者を意味するが、それらに限定するつもりではない。
式Iの新規の化合物は知覚C線維の末梢及び中央終末からのニューロペプチド
の放出に関与する神経原性炎症を阻止することが実証された。実験的に、このこ
とはホルマリン誘導した疼痛又は足水腫の動物モデルにおいて実証でき(Wheele
r and Cowan,Agents Actions 1991,34,264-269)、それにおいてこの式Iの新
規化合物は有能な阻害効果を示す。式Iの化合物は、C線維が神経原性の疼痛又
は炎症を誘発することにより病理生理学的な役割を果している全ての疼痛、痛覚
過敏及び/又は炎症症状、即ち:
片頭痛、術後疼痛、火傷、挫傷、後疱疹性疼痛(帯状疱疹)により例示される
急性疼痛症状、並びに急性炎症に一般に関係する疼痛;様々なタイプのニューロ
パシー(糖尿病性、後外傷性、毒性)、神経痛、リウマチ様関節炎、脊椎炎、痛
風、炎症性腸炎、前立腺炎、癌痛、慢性頭痛、せき、ぜん息、慢性膵臓炎、炎症
性皮膚病、例えば乾癬及び自己免疫皮膚病、骨粗しょう症痛により例示される慢
性的な疼痛及び/又は炎症性症状、を処置するのに利用されうる。
更に、一般式Iの化合物は糖尿病ob/obマウスにおけるグルコース寛容を向上
させること、及びこれが末梢神経終末からのCGRPの放出の低下に由来しうること
が実証された。従って、一般式Iの化合
物は NIDDM及び老化関連肥満症の処置において利用されうる。実験的には、この
ことは一般式Iの化合物による事前の経口処置を伴う又は伴わないob/obマウス
へのグルコースの皮下投与により実証された。
式Iの化合物は以下の工程により調製し得る:
R1,R2,X,Y及びrが前記の通りであり、そしてWが適当な離脱基、例え
ばハロゲン、p−トルエンスルホネート又はメシレートである式IIの化合物を、
Zが前記の通りである式 IIIのアミノ化合物と反応させてよい。このアルキル化
反応はアセトン、ジブチルエーテル、2−ブタノン、メチルエチルケトン、酢酸
エチル、テトラヒドロフラン(THF)又はトルエンの如き溶媒の中で、塩基、例え
ば水素化ナトリウム及び触媒、例えばアルカリ金属ヨージドの存在下で、室温か
ら使用する溶媒にとっての還流温度で、例えば1〜120 hにわたって実施してよ
い。もしR4がアルコキシであるエステルを調製するなら、R4がOHである式Iの
化合物を好ましくは室温において、水性アルカリ金属水酸化物とアルコール、例
えばメタノール又はエタノールとの混合物の中で、例えば約 0.5〜6hにわたっ
てエステル基を加水分解することにより調製することができる。
式II及び IIIの化合物は当業者に周知の方法により容易に調製し
うる。
所定の環境のもとで、上記方法に用いる中間体、例えば式 IIIの化合物を、適
当な保護基で保護することが必要でありうる。カルボン酸基は例えばエステル化
してよい。かかる基の導入及び除去は「Protective Groups in Organic Chemist
ry」J.W.F.McOrnie編(New York,1973)に記載されている。薬理学的方法 ホルマリン誘導型疼痛又は足水腫
本発明の化合物に関するホルマリン誘導型疼痛又は水腫のin vivo阻害につい
ての値は、本質的にWheeler-Aceto and Cowan(Agents Action 1991,34,265-2
69)の方法によりマウスで評価した。
約20gのNMR1雌マウスに対し、20μlの1%のホルマリンを左後足に注射した
。この動物を加熱(31℃)テーブルの上に載せ、そして疼痛反応を評点した。1
h後、それらを殺し、そして出血させた。左及び右後足を切り取り、そして足間
の重量差を、ホルマリン注射を施した足の水腫反応の指標として利用した。低下したCGRPの放出
生後16週間のob/ob雌マウスにグルコース(2g/kg)を皮下注射した。その
後、血液グルコースをグルコースオキシダーゼ法により尾静脈血液で決定した。
この試験の終了時に、動物を断頭にかけ、そして胴体血液を採取した。免疫反応
CGRPをラジオイムノアッセイにより血漿において決定した。2グループの動物を
利用した。1のグループはビヒクル処理し、一方、他のグループには試験前5日
間にわたって飲料水(100mg/l)を介して式Iの化合物を与えた。
いくつかの代表化合物についてのホルマリン誘導型疼痛反応の阻害についての
値を表1に記録する。
上記の指標に関し、用量は採用した式Iの化合物、投与の態様、及び所望の治
療に依存するであろう。しかしながら、一般に、満足たる結果は約 0.5mg〜約10
00mg、好ましくは約1mg〜約500mg の用量で式Iの化合物を、好都合には1日1
〜5回、任意的に徐放式で与えることで得られる。通常、経口投与に適する投与
形態は、薬理担体又は希釈剤と混合した約 0.5mg〜約1000mg、好ましくは約1mg
〜約500mg の式Iの化合物を含んで成る。
式Iの化合物は薬理学的に許容される酸付加塩形態、又は可能なら、金属又は
低級アルキルアンモニウム塩として投与されうる。かかる塩形態は遊離塩基形態
とほぼ同程度の活性を示す。
本発明は更に式Iの化合物又はその薬理学的に許容される塩を含んで成る薬理
組成物にも関連し、そして通常、かかる組成物は薬理担体又は希釈剤も含む。本
発明の化合物を含む組成物は慣用の技術により調製し得、そして慣用の形態、例
えばカプセル、錠剤、溶液又は懸濁物である。
採用する薬理担体は慣用の固体又は液体担体であってよい。固体担体の例はラ
クトース、テラ・アルバ(terra alba)、スクロース、タルク、ゼラチン、アガ
ー、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸である。
液体担体の例はシロップ、
ピーナッツ油、オリーブ油及び水である。
同様に、担体又は希釈剤は当業界公知の任意の遅延剤、例えばグリセリルモノ
ステアレート又はグリセリルジステアレートを、単独で、又はワックスとの混合
で含みうる。
もし経口投与用の固体担体を使用するなら、調製品を錠剤化する、粉末もしく
はペレット状でハードゼラチンカプセルに入れる、又はトローチもしくはロゼン
ジの形態にすることがよい。固体担体の量は幅広く変わるが、通常は約25mg〜約
1gであろう。液体担体を使用するなら、この調製品はシロップ、エマルション
、ソフトゼラチンカプセル又は無菌注射用液体の形態、例えば水性又は非水性液
体懸濁物又は溶液であってよい。
一般に、本発明の化合物は、単位投与当り、50〜200mg の活性成分を薬理学的
に許容される担体の中に、又はそれと一緒に含んで成る単位投与形態において分
配する。
本発明に係る化合物の用量は、患者、例えばヒトに薬剤として投与するとき、
1〜500 mg/日、例えば1回の投与当り 100mgとする。
慣用の錠剤化技術により調製し得る典型的な錠剤は以下を含む:コ ア:
活性化合物(遊離化合物又はその塩) 100mg
コロイド状二酸化珪素(Areosil(登録商標)) 1.5mg
微結晶セルロース(Avicel(登録商標)) 70mg
改質セルロースゴム(Ac-Di-Sol(登録商標)) 7.5mg
ステアリン酸マグネシウムコーティング:
HPMC 約9mg*
Mywacett(登録商標)9-40T 約 0.9mg
* フィルムコーティングのための可塑剤としてアセチル化モノグリセリド使用
投与のルートは、活性化合物を適当な又は所望の作用部位に効率的に搬送する
任意のルートであってよく、例えば経口又は非経口、例えば直腸、経皮、皮下、
鼻内、筋肉内、局所、静脈内、尿道内、点眼溶液又はオイントメントであってよ
く、経口ルートが好ましい。実施例
式Iの化合物及びそれらを含む調製品の製造のための方法は以下の実施例に更
に例示されているが、しかしながらそれらに限定されるものではない。
以降、TLCは薄層クロマトグラフィー、CDCl3は重水素クロロホルム、そして D
MSO-d6はヘキサ重水素ジメチルスルホキシドである。本化合物の構造は元素分析
又は NMRのいづれかにより確認し、ここでピークは適宜表題の化合物の中の特徴
的なプロトンの存在に起因する。1H NMRシフト(δH)は ppmで示す。M.p.は融
点であり、そして℃で表示し、そして補正していない。カラムクロマトグラフィ
ーは W.C.StillらJ.Org.Chem.(1978),43,2923-2925に記載の技術を利用
し、Merckのシリカゲル60(Art.9385)で実施した。出発材料として用いた化合物
は公知の化合物か、又は周知の方法により容易に調製し得る化合物である。
実施例1
2−((3−(10,11−ジヒドロ−5H−ジベンザ〔b,f〕アゼピン−5−イル
)−1−プロピル)アミノ)安息香酸
トルエン(250ml)の中の10,11−ジヒドロ−5H−ジベンザ〔b,f〕アゼピ
ン(27.6g、0.141mol)の懸濁物に、エチルマロニルクロリド(25.0g、0.166m
ol)を加え、そして得られる混合物を1時間還流温度で加熱した。飽和水性炭酸
水素ナトリウム(200ml)を加え、そして相分離させた。有機相をブラインで洗い
(2×150ml)、乾かし(MgSO4)、そして真空濃縮した。これは油としての定量収
量で56.0gの3−(10,11−ジヒドロ−5H−ジベンザ〔b,f〕アゼピン−5
−イル)−3−オキソプロピオン酸エチルエステルをもたらし、これを更なる精
製抜きで以下の工程に利用した。
リチウムアルミニウムヒドリド(20.0g、0.527mol)をトルエン(800ml)に懸
濁し、そしてテトラヒドロフラン(80ml)を加えた。得られる懸濁物を10〜20℃
に冷やし、そしてテトラヒドロフラン(250ml)に溶かした上記アミド(0.141mol)
をその温度を10〜20℃に保ちながら滴下した。添加が終了したら、得られる混合
物を室温で一夜撹拌した。冷却しながら、2Nの水酸化ナトリウム(200ml)を静
かに加え、次いで水(1.0l)を加えた。有機層をデカンテーションし、そして水
性相をトルエンで抽出した(2×300ml)。合わせた有機抽出物をブラインで洗い(
2×100ml)、乾かし(MgSO4)、そして真空濃縮した。その残渣をヘプタンと酢酸
エチルとの勾配(10:0→2:1)を利用し、シリカゲル(175g)でのフラッシ
ュクロマトグラフィーにより精製した。これは21.2g(59%)の3−(10,11−
ジヒドロ−5H−ジベンザ〔b,f〕アゼピン−5−イル)−1
−プロパノールを油として供する。
TLC :Rf=0.55(SiO2:酢酸エチル/ヘプタン=1:1)。
上記のアルコール(1.17g、0.00462mol)をトルエン(30ml)に0℃で溶かし
、そしてトリエチルアミン(1.18g、0.0117mol)及びメタンスルホニルクロリド
(0.70ml、0.009mol)を加えた。0℃で1h撹拌後、水(50ml)を加えた。相分
離させ、有機相をブラインで洗い(20ml)、乾かし(MgSO4)、そして真空濃縮し
た。得られる粗メシレートを2−アミノ安息香酸エチルエステル(5.00ml、0.03
4mol)と混合し、そして得られる混合物を 110℃で16h加熱した。水(50ml)を
加え、そしてその混合物を酢酸エチルで抽出した(2×20ml)。合わせた有機相
をブラインで洗い(20ml)、乾かし(MgSO4)、そして真空濃縮した。その残渣を
ヘプタンと酢酸エチルとの勾配(10:0→10:2)を利用してシリカゲル(75g
)でのフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、出発材料と2−((3−(10
,11−ジヒドロ−5H−ジベンザ〔b,f〕アゼピン−5−イル)−1−プロピ
ル)アミノ安息香酸エチルエステルとの混合物2.60gを得た。
TLC :Rf=0.67(SiO2:酢酸エチル/ヘプタン=1:2)。
上記の粗エステルをエタノール(100ml)及びテトラヒドロフラン(50ml)に溶
かし、そして4Nの水酸化ナトリウム(30ml)を加えた。室温で24h撹拌後、そ
の混合物を真空濃縮し、そしてその残渣を水(100ml)と混合し、そして濃塩酸の
添加により酸性にした。水性相をジクロロメタンで抽出し(2×30ml)、そして
合わせた抽出物をブラインで洗った(50ml)。乾燥(MgSO4)及び真空濃縮は油を
供し、それを酢酸エチル(4.0ml)とヘプタン(10ml)との混合物に再溶解させた
。12h後、沈殿物を濾過し、そして乾かし、結晶としての0.71g(41%)の表題
の化合物を得た。
M.p.170−172℃。
C24H24N2O2についての計算値:
C 77.40%;H 6.49%;N 7.52%;
実験値:
C 77.26%;H 6.76%;N 7.22%。
実施例2
3−((3−(10,11−ジヒドロ−5H−ジベンザ〔b,f〕アゼピン−5−イル
)−1−プロピル)アミノ)プロピオン酸塩酸塩
トルエン中の10,11−ジヒドロ−5H−ジベンザ〔b,f〕アゼピン(15.2g
、0.078mol))の懸濁物に、3−クロロプロピオニルクロリド(9.50ml、0.099mol
)を加え、そして得られる混合物を還流温度で1h加熱した。飽和炭酸水素ナト
リウム(100ml)を加え、そして相分離させた。有機相をブラインで洗い(100ml)、
乾かし(MgSO4)、そして真空濃縮した。これは固体としての23.6gの3−クロロ
−1−(10,11−ジヒドロ−5H−ジベンザ〔b,f〕アゼピン−5−イル)−
3−プロパノンを供し、それを以下の工程に更なる精製抜きで使用した。
M.p.107−108 ℃。
C17H16ClNOについての計算値:
C 71.45%;H 5.64%;N 4.90%;
実験値:
C 71.45%;H 5.79%;N 5.01%。
テトラヒドロフラン(150ml)中の上記粗クロリド(14.0g、0.044mol)の溶液
に、0℃でナトリウムボロヒドリド(6.66g、0.176mol)を加え、次いで氷酢酸
(10.0ml)を滴下した。得られる混合物を室温で一夜撹拌し、次いで還流温度で
2h加熱した。更なるナトリウムボロヒドリド(6.50g、172mmol)、ボロントリ
フルオリドジエチルエーテラート(20.0ml、0.163mol)を加え、そして還流温度
での加熱を20h続けた。水(350ml)を静かに加え、そして相分離させた。水性
相をトルエンで抽出した(3×100ml)。合わせた有機相をブラインで洗い(3×10
0ml)、乾かし(MgSO4)、そして真空濃縮した。その残渣をヘプタンと酢酸エチル
との勾配(10:0→10:2)を利用してシリカゲル(100g)でのフラッシュクロ
マトグラフィーにより精製し、油としての4.58g(38%)の5−(3−クロロプ
ロピル)−10,11−ジヒドロ−5H−ジベンザ〔b,f〕アゼピンを得た。
TLC :Rf=0.63(SiO2:酢酸エチル/ヘプタン=1:2)。
β−アラニンエチルエステル塩酸塩(1.52g、0.0099mol)をアセトニトリル(5.
0ml)に懸濁し、そしてジイソプロピルエチルアミン(2.41g、0.019mol)、アセ
トニトリル(5.0ml)中の上記クロリドの溶液(1.72g、0.0063mol)及びヨウ化カリ
ウム(0.93g、0.0056mol)を加えた。得られる混合物を還流温度で8h加熱し、
そして室温で一夜撹拌した。水(50ml)を加え、そして水性相を酢酸エチルで抽
出した(3×30ml)。合わせた有機抽出物をブラインで洗い(2×20ml)、乾か
し(MgSO4)、そして真空濃縮した。その残渣を水(50ml)及び濃塩酸(3.0ml)と混
合し、そしてヘプタン(20ml)とトルエン(20ml)との混合物で洗った。有機相
を捨てた。水性相をトルエン(20ml)とジクロロメタン(20ml)との混合物で抽
出した。合わせた有機抽出物を乾かし(MgSO4)、そして真空濃縮した。そ
の生成物を酢酸エチル(5.0ml)とヘプタン(3.0ml)との混合物との中に残渣を再溶
解させることにより結晶化させた。これは、濾過及び乾燥後、粉末としての0.24
g(10%)の3−((3−(10,11−ジヒドロ−5H−ジベンザ〔b,f〕アゼピ
ン−5−イル)−1−プロピル)アミノ)プロピオン酸エチルエステル塩酸塩を供
した。
M.p.111−120 ℃。
C22H28N2O2・HCl についての計算値:
C 67.94%;H 7.51%;N 7.20%;
実験値:
C 67.57%;H 7.69%;N 7.13%。
上記エステル塩酸塩(0.20g、0.51mmol)をエタノール(2.0ml)に溶かし、そ
して水(0.5ml)中の水酸化ナトリウム(0.10g、2.50mmol)の溶液を加えた。得
られる混合物を室温で5h撹拌した。水(20ml)と濃塩酸(3.0ml)との混合物を
加え、そして水性相をジクロロメタン(7×15ml)で抽出し、そして乾かした(M
gSO4)。溶媒のエバポレーションは泡を供し、これを水(0.5ml)と混合した。固体
が沈殿し、それを濾過し、水(0.5ml)、酢酸エチル(0.5ml)で洗い、トルエン(3.0
ml)に懸濁し、そして真空濃縮し、0.12g(65%)の表題の化合物が粉末として
得られた。
M.p.114−117 ℃。
C20H24N2O2・HCl ・H2O についての計算値:
C 63.40%;H 7.18%;N 7.39%;
実験値:
C 63.46%;H 7.23%;N 7.15%。
実施例3
2−((N−(3−(10,11−ジヒドロ−5H−ジベンザ〔b,f〕アゼピン−5
−イル)−1−プロピル)−N−メチルアミノ)メチ
ル)安息香酸塩酸塩
2−メチル安息香酸エチルエステル(9.87g、0.060mol)、四塩化炭素(75ml
)、N−ブロモスクシニミド(10.7g、0.060mol)及びジベンゾイルペルオキシ
ド(0.62g、0.002mol;25%の水含有)の混合物を還流温度で 1.5時間加熱した
。次いでこの混合物を室温に冷やし、そして濾過した。濾過ケーキをヘプタンで
洗い(2×20ml)、そして合わせた濾液を真空濃縮し、14.9gの液体が得られ、
それは直ちに黄色に変色した。1H-NMR観察は、その液体が主に所望の2−(ブロ
モメチル)安息香酸エチルエステルと出発材料との混合物であったことを示した
。この混合物を以下の反応に更なる精製抜きで使用した。
N(3−(10,11−ジヒドロ−5H−ジベンザ〔b,f〕アゼピン−5−イル
)−1−プロピル)−N−メチルアミン塩酸塩(1.57g、0.0052mol)、アセトニ
トリル(20ml)、炭酸カリウム(1.51g、0.011mol)、臭化リチウム(0.23g、0
.0027mol)及び上記粗ブロミド(1.30g、0.0054mol)の混合物を還流温度で5h加
熱した。水(50ml)を加え、そしてその混合物を酢酸エチルで抽出した(2×30
ml)。合わせた有機抽出物をブラインで洗い(30ml)、乾かし(MgSO4)、そして
真空濃縮した。その生成物をヘプタンと酢酸エチルとの勾配(10:2→10:3)
を利用してシリカゲル(70g)でのカラムクロマトグラフィーにより精製した。
これに油としての1.09g(49%)の2−((N−(3−(10,11−ジヒドロ−5H
−ジベンザ
〔b,f〕アゼピン−5−イル)−1−プロピル)−N−メチルアミノ)メチル)
−安息香酸エチルエステルを供した。
TLC :Rf=0.50(SiO2:酢酸エチル/ヘプタン=1:1)。
上記エステル(0.80g、0.0019mol)、エタノール(10ml)、テトラヒドロフラ
ン(10ml)及び4Nの水酸化ナトリウム(2ml)の混合物を室温で72h撹拌した
。水(50ml)及び濃塩酸(3ml)を加え、そしてこの混合物を酢酸エチルで抽出
した(2×30ml)。合わせた有機抽出物をブライン(30ml)で洗い、乾かし(MgS
O4)、そして真空濃縮した。その残渣を酢酸エチルで破砕し、そして真空乾燥し
て0.71g(87%)の表題の化合物をアモルファスな泡として供した。
HPLC保持時間= 24.74分(5μmのC18 4×250mm カラム;35℃で30分にわ
たる 0.1%のトリフルオロ酢酸/アセトニトリルと 0.1%のトリフルオロ酢酸/
水との20−80%の勾配により溶出)。
C26H28N2O2・HCl ・1.75H2O についての計算値:
C 66.66%;H 6.62%;N 5.98%;
実験値:
C 66.80%;H 6.89%;N 5.52%。
実施例4
2−(N−(3−(10,11−ジヒドロ−5H−ジベンザ〔b,f〕アゼピン−5
−イル)−1−プロピル)−N−メチルアミノ)ニコチン酸
テトラヒドロフラン(100ml)中のジイソプロピルアミン(3.47g、0.034mol)
の溶液に、−78℃において、n−ブチルリチウム(13ml、0.033mol、2.5M;ヘ
キサン中)を加えた。その反応混合物を−30℃にまで温め、そしてその混合物を
再び−78℃に冷やした。予備冷却した2−ブロモピリジン(3.0ml、0.032mol)を
ゆっくり加え、そして添加が終了したときに、得られる混合物を−75℃で1h撹
拌した。エチルクロロホルメート(5.0ml、0.052mol)を一度に加え、そして冷却
槽を外した。−10℃で、飽和水性炭酸水素ナトリウム(20ml)加え、次いで水(2
00ml)を加え、そしてその混合物を酢酸エチルで抽出した(3×100ml)、合わせた
有機抽出物をブラインで洗い(2×100ml)、乾かし(MgSO4)、そして真空濃縮した
。これは粗2−ブロモニコチン酸エチルエステルを含む9.18gの油を供し、それ
を以下の反応において更に精製することなく使用した。
上記粗エステル(9.18g)、N−(3−(10,11−ジヒドロ−5H−ジベンザ
〔b,f〕アゼピン−5−イル)−1−プロピル)−N−メチルアミン塩酸塩(
8.47g、0.028mol)、ジイソプロピルエチルアミン(10.6g、0.082mol)、アセ
トニトリル(10ml)及びヨウ化カリウム(1.70g、0.010mol)の混合物を還流温
度で28h加熱した。水(100ml)を加え、そしてこの混合物を酢酸エチルで抽出し
た(3×100ml)。合わせた有機抽出物をブラインで洗い(100ml)、乾かし(MgSO4)
、そして真空濃縮した。その残渣をヘプタンと酢酸エチルとの勾配(10:0→10
:7)を利用してシリカゲル(90g)でのカラムクロマトグラフィーにより精製
し、油としての粗2−(N−(3−(10,11−ジヒドロ−5H−ジベンザ〔b,
f〕アゼピン−5−イル)−1−プロピル)−N−メチルアミノ)ニコチン酸エ
チルエステル6.63g(36%)が得られた。
TLC :Rf=0.74(SiO2:ヘプタン/酢酸エチル=1:1)。
上記の粗エステル(6.60g)、メタノール(50ml)、テトラヒドロフラン(30
ml)及び4Nの水酸化ナトリウム(10ml)の混合物を室温で24h、65℃で9h、
次いで室温で48h撹拌した。水(100ml)及び濃塩酸(10ml)を加え、そしてその
生成物をジクロロメタンで抽出した(3×20ml)。合わせた有機抽出物をブライ
ンで洗い(100ml)、乾かし(MgSO4)、そして真空濃縮した。その残渣をヘプタンと
酢酸エチルとの勾配(1:1→0:1)を利用してシリカゲル(100g)でのカラ
ムクロマトグラフィーにより精製した。これは油としての1.93g(50%)の表題
の化合物を供し、これは室温で1回放置後、結晶化した。この生成物を酢酸エチ
ルとヘプタンとの混合物から再結晶化させ、1.45gの表題の化合物が得られた。
TLC :Rf=0.32(SiO2:酢酸エチル)。
M.p. 133−135 ℃。
C24H25N3O2についての計算値:
C 74.40%;H 6.50%;N 10.84%;
実験値:
C 74.46%;H 6.65%;N 10.70%。
実施例5
3−((3−(10,11−ジヒドロ−5H−ジベンザ〔b,f〕アゼピン−5−イル
)−1−プロピル)アミノ)安息香酸
5−(3−クロロプロピル)−10,11−ジヒドロ−5H−ジベンザ〔b,f〕
アゼピン(1.5g、0.0055mol;実施例2の記載と似た
ようにして調製)及びヨウ化カリウム(5.4g、0.0327mol)のメチルエチルケトン(
100ml)中の混合物を還流温度で1h加熱し、次いで室温で撹拌した。その混合物
を濾過し、そして真空で溶媒をエバポレーションさせた。粗ハロゲニドをドライ
ジメチルスルホキシド(15ml)に溶かして保管した。ドライジメチルスルホキシ
ド(15ml)中の3−アセチルアミノ安息香酸エチルエステル(1.5g、7.4mmol)の
溶液を50℃に加熱し、そして水素化ナトリウム(0.32g、8.1mmol、60%油分散
物)を小分けして加えた。得られる混合物を 120℃で 2.5h加熱し、そしてその
混合物を80℃に冷やしてから上記ハロゲニド含有溶液を加えた。得られる混合物
を 115〜120 ℃で一夜加熱し、次いで室温にまで冷やした。水(100ml)を加え、
そして得られる混合物をジクロロメタンで抽出した(3×200ml)。有機抽出物を
捨て、そして水性相のpHを7に合わせた。水性相を酢酸エチル(100ml)及びジク
ロロメタン(2×100ml)で抽出し、そして合わせた有機抽出物を乾かした(MgSO4)
。その揮発物を真空除去し、その残渣を溶出剤として酢酸エチルを利用してシリ
カゲル(200g)でのフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、油としての 1.
0gの3−(N−アセチル−N−(3−(10,11−ジヒドロ−5H−ジベンザ〔
b,f〕アゼピン−5−イル)−1−プロピル)−アミノ)安息香酸エチルエス
テルが得られた。
TLC :Rf=0.32(SiO2:酢酸エチル)。
エタノール(5ml)中の上記エステル(1.0g、0.0023mol)の溶液に水酸化ナト
リウム(0.6ml)を加え、そしてこの混合物を室温で6h撹拌し、次いでフリーザ
ーの中に一夜放置した。その反応混合物を室温にまで温め、そして、更なる4N
の水酸化ナトリウム(0.6ml)を加えた。この混合物を室温で3h撹拌した。水及
び4Nの塩酸(1.7ml)を加え、そしてその混合物をジクロロメタンで抽出した(
2×200ml)。合わせた有機抽出物を乾かし(MgSO4)、そして溶媒を真空エバポレ
ーションした。その残渣をジクロロメタンで2回精製し、そして真空乾燥して、
アモルファス固体としての 0.5g(59%)の表題の化合物が得られた。
HPLC保持時間=25.4分(5μmのC18 4×250mm カラム、35℃で30分かけて
0.1%のトリフルオロ酢酸/アセトニトリルと 0.1%のトリフルオロ酢酸/水と
の20−80%の勾配により溶出。1
H NMR(400MHz,CDCl3)δ1.90(q,2H),3.18(s,4H),3.20(t,2H),3.85(t,2H
),6.71(dd,1H),6.92(t,2H),7.05-7.21(m,7H),7.27(d,1H),7.41(d,1H)
。
実施例6
2−((3−(10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ〔a,d〕シクロヘプテン−5
−イリデン)1−プロピル)アミノ)−安息香酸
メチルエチルケトン(100ml)中の炭酸カリウム(8.3g、0.06mol)及びヨウ化カ
リウム(3.3g、0.02mol)の懸濁物に、2−アミノ安息香酸エチルエステル(2.1ml
、0.014mol)及び5−(3−ブロモ−1−プロピリデン)−10,11−ジヒドロ−
5H−ジベンゾ〔a,d〕シクロヘプタン(3.00g、0.0096mol)を加え、そして
この混合物を還流温度で強力に12日間撹拌した。冷却後、水(100ml)を加え、そ
して相分離させた。水性相を酢酸エチル(100ml)で抽出し、そして合わせた有機
抽出物を乾かし(MgSO4)、そして真空エバポレーションした。その残渣を酢酸エ
チルとヘプタンとの混合物(1:10)を
利用してシリカゲル(800ml)でのカラムクロマトグラフィーにより精製した。こ
れは油としての 1.2gの2−((3−(10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ〔a,
d〕シクロヘプテン−5−イリデン)−1−プロピル)安息香酸エチルエステルを
供した。
上記エステル(1.2g)を96%のエタノール(20ml)に溶かし、そして1Nの水
酸化ナトリウム(10ml)を加えた。この混合物を還流温度で3h加熱し、そして
室温で一夜撹拌した。水(50ml)及びジエチルエーテル(35ml)を加えた。相分
離させ、そして水性相をジエチルエーテル(35ml)で洗った。水性相を1Nの塩
酸で処理し、そして酢酸エチル(75ml)で抽出した。有機相を乾かし(MgSO4)、
そして真空エバポレーションして固体としての0.36gの表題の化合物が得られた
。
M.p. 164−167 ℃。
C25H23NO2についての計算値:
C,81.27%; H,6.29%; N,3.79%;
実験値:
C,80.84%; H,6.44%; N,3.65%。
実施例7
5−ブロモ−2−(N−(3−(10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ〔a,d〕
シクロヘプテン−5−イリデン)−1−プロピル)アミノ)安息香酸
5−(3−ブロモ−1−プロピリデン)−10,11−ジヒドロ−5
H−ジベンゾ〔a,d〕シクロヘプテン(6.13g、19.6mmol;WO 9518793に記載
の通りに調製)、炭酸カリウム(10.8g、78mmol)、ヨウ化カリウム(4.3g、26
mmol)及び2−アミノ−5−ブロモ安息香酸メチルエステル(3.00g、13.0mmol
)をメチルエチルケトン(200ml)の中で混合し、そして還流温度で17日間加熱し
た。冷却後、混合物を濾過し、そして濾液をエバポレーションした。その残渣を
溶出剤として酢酸エチルとヘプタンとの混合物(1:9)を利用するシリカゲル
(800ml)でのカラムクロマトグラフィーにより精製した。これは1.14gの粗5−
ブロモ−2−(N−(3−(10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ〔a,d〕シク
ロヘプテン−5−イリデン)−1−プロピル)アミノ)安息香酸メチルエステル
を供した。これを次の工程に更なる精製抜きで使用した。
TLC :Rf=0.44(SiO2:酢酸エチル/ヘプタン=1:10)。
上記粗エステル(1.14g)をエタノール(10ml)に溶かし、そして1Nの水酸
化ナトリウム(10ml)を加えた。得られる混合物を還流温度で16h加熱した。冷
却後、水(150ml)を加えた。得られる混合物をジエチルエーテルで抽出し(2×10
0ml)、そして有機相を乾かし(MgSO4)、そしてエバポレーションした。得られる
粗生成物をシリカゲル(200ml)でのカラムクロマトグラフィーにより、まずヘプ
タンで、次いで酢酸エチル、ヘプタン及び酢酸の混合物(1:2:0.03)で溶出
させることにより精製し、0.47g(51%)の表題の化合物が得られた。
M.p. 226.5−227.0 ℃。
C25H22BrNO2についての計算値:
C,66.97%; H,4.95%; N,3.12%;
実験値:
C,67.28%; H,5.01%; N,2.94%。1
H-NMR(200MHz,CDCl3+DMSO-d6):δ2.47(q,2H),2.78(bd,2H),3.00(bd,2H
),3.3(b,2H),5.59(t,1H),6.36(d,1H),7.0-7.3(m,9H),7.99(d,1H)。
実施例8
2−(N−(3−(3−クロロ−10,11−ジヒドロ−5H−ジベンザ〔b,f〕
アゼピン−5−イル)−1−プロピル)アミノ)−安息香酸
3−クロロ−10,11−ジヒドロ−5H−ジベンザ〔b,f〕アゼピン(3.82g
、16.6mmol)をトルエン(20ml)に溶かした。トルエン中の3−クロロプロピオ
ニルクロリド(2.53g、19.9mmol)の溶液を滴下し、そして得られる混合物を95
℃に加熱し、そしてその温度で30分撹拌した。その混合物を室温で一夜撹拌した
。更なる3−クロロプロピオニルクロリド(2.53g、19.9mmol)を加え、そして
その混合物を95℃で 1.5h撹拌した。冷却後、0.2Mの水酸化ナトリウム(10ml
)を加え、そして相分離させた。有機相を更なるトルエン(50ml)で希釈し、そ
してまず 0.2Mの水酸化ナトリウム(6×10ml)で、次いで水相がアルカリとな
るまで更なる 0.2Mの水酸化ナトリウム(3×20ml)で洗った。有機相を水(3
×15ml)、ブライン(25ml)で洗い、そして乾かした(MgSO4)。真空エバポレー
ションは油としての5.23(98%)の粗クロロ−1−(3−クロロ−10,11−ジヒ
ドロ−5H−ジベンザ〔b,f〕アゼピン−5−イル)−1−プロパノンを供し
た。これをヘプタンと酢酸エチルとの混
合物(1:1)の添加により更に精製した。これは固体としての3.14g(59%)
の生成物を供した。
テトラヒドロフラン(18.7ml、18.7mmol)中の 1.0Mのリチウムアルミニウム
ヒドリド溶液を窒素雰囲気下で 250mlのドライな三つ口丸底フラスコに入れた。
この溶液を氷浴槽上で冷却した。濃硫酸(0.5ml)を静かに10分かけて滴下した。
更なるドライテトラヒドロフラン(20ml)を加えて蒸発溶媒を補充し、そしてそ
の混合物を15分間撹拌した。更なるテトラヒドロフランを加え(20ml)、そして
氷浴槽を外した。この混合物を室温で75分撹拌した。上記アミド(3.0g、9.3mmo
l)をドライテトラヒドロフラン(25ml)に溶かし、そして20分かけて滴下した。
反応混合物を1h撹拌した。水(0.7ml)を加え、次いで4Nの水酸化ナトリウム(
0.7ml)を及び水(2.1ml)を加えた。撹拌を30分続けた。この混合物を濾過し(hyfl
o)、そして真空エバポレーションし、油としての2.70g(95%)の3−クロロ−
5−(3−クロロプロピル)−10,11−ジヒドロ−5H−ジベンザ〔b,f〕ア
ゼピンに供した。
上記クロリド(1.0g、3.3mmol)を2−アミノ安息香酸エチルエステル(3.6ml、
25mmol)に溶かし、そしてヨウ化カリウム(0.54g、3.3mmol)を加えた。得られる
混合物を 110℃で一夜加熱した。冷却後、水(40ml)を加えた。水性混合物を酢
酸エチル(2×25ml)で抽出し、合わせた有機相をブライン(25ml)で洗い、そ
して乾かした(MgSO4)。真空エバポレーション後、粗2−(N−(3−(3−ク
ロロ−10,11−ジヒドロ−5H−ジベンザ〔b,f〕アゼピン−5−イル)−1
−プロピル)アミノ)安息香酸エチルエステルを次の工程に直接使用した。
上記エステルをエタノール(160ml)とテトラヒドロフラン(80ml)との混合物
に溶かした。4Mの水酸化ナトリウム溶液(50ml)を
加え、そしてその反応混合物を室温で53h撹拌した。溶媒のエバポレーション後
、水(150ml)を加え、そしてその溶液を濃塩酸の添加により酸性にした。その混
合物をジクロロメタンで抽出した(2×50ml)。合わせた有機抽出物をブライン
で洗い、乾かし(MgSO4)、そして真空エバポレーションした。その残渣をアセト
ン(6ml)に再溶解し、そして水(20ml)を加えた。得られる沈殿物を濾過し、
そして水(150ml)に懸濁し、そしてその混合物を一夜撹拌した。この固体を濾過
し、そして酢酸イソプロピルにおいて再結晶させた。これは 0.5g(37%)の表
題の化合物を供した。
M.p. 176−178 ℃。
C24H23N2O2Clについての計算値:
C 70.84%;H 5.70%;N 6.88%;
実験値:
C 70.45%;H 5.85%;N 6.65%。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
C07D 401/12 223 C07D 401/12 223
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S
Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD
,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ
,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CZ,
DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,HU,I
S,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK,LR
,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,
MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,S
D,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,TR,TT
,UA,UG,UZ,VN
(72)発明者 デルバルド,フロレンツィオ ザラゴッサ
デンマーク国,デーコー−2730 ヘルレ
ブ,クロッケディベット 3デー
(72)発明者 イェルゲンセン,ティネ クロフ
デンマーク国,デーコー−2730 ヘルレ
ブ,スタウンスイェルグ アレ 80
(72)発明者 アンデルセン,ヘンリック スーネ
デンマーク国,デーコー−2100 ケベンハ
ウン エー,カステルスバイ 24 エステ
ー.テーホー.
(72)発明者 ホールベグ,ロルフ
デンマーク国,デーコー−3490 クビスト
ガールド,ニボバイ 6
(72)発明者 オルセン,ウーフェ バング
デンマーク国,デーコー−2625 バレンス
バエク,ホルスブレズ 111