【発明の詳細な説明】
3−ピロリジリデン−2−オン−セファロスポリンの誘導体
本発明は、一般式(I):
[式中、
R1は、水素、低級アルキル、アラルキル、シクロアルキル、R3CO−又は−
C(R4R5)CO2R6であり;ここで、R4及びR5は、それぞれ独立して水素又は
低級アルキルであるか、あるいはR4及びR5は、一緒になってシクロアルキル基
を形成し;R3は、水素又は低級アルキルであり;そしてR6は、水素、低級アル
キル、低級アルケニル、又はカルボン酸保護基であり、
R2は、イソブチル、sec−ブチル、2,2−ジメチル−プロピル、2−エチル
−ブチル、シクロブチル−メチル、シクロペンチル−メチル、又はシクロヘキシ
ル-メチルであり;
nは、0、1又は2であり;
Xは、CH又はNである]
で示されるセファロスポリン誘導体、その容易に加水分解しうるエステル、及び
該化合物の薬学的に許容しうる塩、並びに式(I)の化合物、そのエステル及び
塩の水和物に関するものである。
式(I)の上記化合物において、3位の置換基は、E−型の式(Ia)、又は
Z−型の式(Ib)として存在することができる。
式(I)の化合物の詳細な実施態様においては、nは、1である。更に、R1
は、好ましくは水素又はシクロペンチルである。Xは、好ましくはCHである。
式(I)の化合物は、好ましくはオキシイミノ基においてZ−型であり、かつ3
位の置換基についてはE−型である。
式(I)の好ましい化合物としては:
(6R,7R)−7[(Z)−2−(2−アミノ−チアゾール−4−イル)−2
−ヒドロキシイミノアセチルアミノ]−3−[(E)−1−イソブチル−2−オ
キソ−ピロリジン−3−イリデンメチル]−8−オキソ−5−チア−1−アザビ
シクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボン酸、
(6R,7R)−7[(Z)−2−(2−アミノ−チアゾール−4−イル)−2
−ヒドロキシイミノアセチルアミノ]−3−[(E)−1−(2,2−ジメチル
−プロピル)−2−オキソ−ピロリジン−3−イリデンメチル]−8−オキソ−
5−チア−1−アザビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボン酸
、
(6R,7R)−7[(Z)−2−(2−アミノ−チアゾール−4−イル)−2
−ヒドロキシイミノアセチルアミノ]−3−[(E)−1−シクロヘキシルメチ
ル−2−オキソ−ピロリジン−3−イリデンメチル]−8−オキソ−5−チア−
1−アザビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボン酸、
が挙げられる。
本発明は、医薬組成物及び上記の使用方法にも関する。
ここにおいて使用されるように、“低級アルキル”の語は、1〜8個、好まし
くは1〜4個の炭素原子を有する直鎖及び分枝鎖両方の飽和炭化水素基、例えば
、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、tert−ブチルなどを指す。
“アラルキル”の語は、アリール基を含むアルキル基を意味する。それは、芳
香族及び脂肪族構造の両方を有する炭化水素基、すなわち低級アルキル基の水素
原子が、単環式アリール基、例えばフェニル、トリルなどにより置換された炭化
水素基である。
“シクロアルキル”の語は、3〜7員の飽和炭素環基、例えばシクロプロピル
、シクロブチル、シクロヘキシルなどを意味する。
ここにおいて使用されるように、“低級アルケニル”は、2〜8個の炭素原子
、好ましくは2〜4個の炭素原子を有し、かつ少なくとも1個のオレフィン二重
結合を有する、非置換又は置換された炭化水素鎖、例えばアリル、ビニルなどを
指す。
“カルボン酸保護基”の語は、カルボン酸の酸性プロトンを置換するために慣
用的に使用されている保護基を指す。そのような基の例は、ベンズヒドリル、t
−ブチル、p−ニトロベンジル、p−メトキシベンジル及びアリルである。
ここにおいて使用されるように、本発明において有用な薬学的に許容しうる塩
は、金属から誘導される塩、アンモニウム塩、有機塩基から誘導される第四級ア
ンモニウム塩、及びアミノ酸塩である。好ましい金属塩の例は、例えばリチウム
(Li+)、ナトリウム(Na+)、及びカリウム(K+)などのアルカリ金属から誘導
されるもの、例えばカルシウム(Ca++)及びマグネシウム(Mg++)などのア
ルカリ土類金属から誘導されるものであるが、鉄(Fe++又はFe+++)、アルミ
ニウム(Al+++)及び亜鉛(Zn++)などのその他の金属の陽イオン形態も本発
明の範囲にある。有機塩基から誘導される第四級アンモニウム塩の例は、テトラ
メチルアンモニウム(N+(CH3)4)、テトラエチルアンモニウム(N+(CH2CH3
)4)、ベンジルトリメチルアンモニウム(N+(C6H5CH2)(CH3)3)、フェニル
トリエチルアンモニウム(N+(C6H5)(CH2CH3)3)などである。アミンから誘
導されるこれらの塩類は、N−エチル−ピペリジン、プロカイン、ジベンジルア
ミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、アルキルアミン又はジアルキル
アミンとの塩、並びにアルギニン又はリジンとの塩などのアミノ酸との塩を含む
。
式(I)の化合物の容易に加水分解しうるエステルとしては、そのカルボキシ
ル基(例えば、2−カルボキシル基)が、容易に加水分解しうるエステル基の形
態で存在する式(I)の化合物が、理解される。慣用の形態でありうるそのよう
なエステルの例は、低級アルカノイルオキシ−アルキルエステル(例えば、アセ
トキシメチル、ピバロイルオキシメチル、1−アセトキシエチル及び1−ピバロ
イルオキシエチルエステル)、低級アルコキシカルボニルオキシアルキルエステ
ル(例えば、メトキシカルボニルオキシメチル、1−エトキシカルボニルオキシ
エチル及び1−イソプロポキシカルボニルオキシエチルエステル)、ラクトニル
エステル(例えば、フタリジル及びチオフタリジルエステル)、低級アルコキシ
メチルエステル(例えば、メトキシメチルエステル)並びに低級アルカノイルア
ミノメチルエステル(例えば、アセトアミドメチルエステル)である。他のエス
テル(例えば、ベンジル及びシアノメチルエステル)も使用することができる。
このようなエステルの別の例は次のとおりである:(2,2−ジメチル−1−オ
キソプロポキシ)メチルエステル;2−[(2−メチルプロポキシ)カルボニル
]−2−ペンテニルエステル;1−[[(1−メチルエトキシ)カルボニル]オ
キシ]エチルエステル;1−(アセチルオキシ)エチルエステル;(5−メチル
−2−オキソ−1,3−ジオキソ−ル−4−イル)メチルエステル;1−[[(
シクロヘキシルオキシ)カルボニル]オキシ]エチルエステル;及び3,3−ジ
メチル−2−オキソブチルエステル。本発明化合物の容易に加水分解しうるエス
テルは、化合物の遊離カルボキシル基、例えば1位のカルボキシル基、及びカル
ボキシル基−COOR6において形成することができることは、当業者には認識
されるであろう。
式(I)の化合物、並びにその塩及び容易に加水分解しうるエステル
は、水和物であることができる。水和は、製造の過程において行うことができ、
又は当初は無水であった生成物の吸湿の結果として徐々に起こってもよい。
本発明化合物は、強力かつ広域な抗微生物活性を有する抗生物質として有用で
ある。これらは、良好な経口吸収性を有する。
本発明による生成物は、例えば消化管(経口)投与のための医薬製剤の形で医
薬として使用することができる。本発明による生成物は、例えば錠剤、コーティ
ング錠、糖衣剤、硬及び軟ゼラチンカプセル剤、水剤、乳剤又は懸濁剤の形で経
口的に、あるいは坐剤の形で直腸的に投与することができる。
これらの化合物を含有する医薬組成物は、当業者にはよく知られた慣用の方法
、例えば、成分を適当な非毒性の不活性な治療上適合する固体又は液体担体物質
、そして所望により通常の医薬添加剤と共に製剤化することによって調製するこ
とができる。
化合物は、最終的には適当な経口又は非経口剤型の組成物に具体化されると考
えられる。本発明の組成物は、任意の成分として、医薬製剤の製造において通常
に使用される種々の添加剤のいずれをも含有することができる。したがって、例
えば、この組成物を所望の経口剤型に製剤化する場合には、任意の成分として、
共沈水酸化アルミニウム−炭酸カルシウム、リン酸二カルシウム又は乳糖などの
充填剤;トウモロコシデンプンなどの崩壊剤;タルク、ステアリン酸カルシウム
などの潤滑剤などを、使用することができる。しかしながら、ここに列記した任
意の成分は、例示のためのみに記載したものであり、本発明がそれらの使用に限
定されるものではないことは十分に理解されなければならない。当業界でよく知
られているその他の賦形剤も、本発明の実施に使用することができる。
無機ばかりでなく有機担体物質も、担体物質として適当である。したがって、
錠剤、コーティング錠、糖衣剤及び硬ゼラチンカプセルについては、例えば乳糖
、トウモロコシデンプンもしくはその誘導体、タルク、ステアリン酸もしくはそ
の塩を使用することができる。軟ゼラチンカプセルについて適当な担体は、例え
ば、植物油、ロウ、油脂並びに半固形及び液体ポリオール類である(しかしなが
ら、活性物質の性質に応じて、軟ゼラチンカプセルの場合には担体は必要とされ
ない)。水剤及びシロップ剤の調製に適当な担体物質は、例えば水、ポリオール
類、ショ糖、転化糖及びグルコースである。坐剤に適当な担体物質は、例えば天
然又は硬化油、ロウ、油脂、半液体又は液体ポリオールである。
医薬添加剤としては、通常の保存料、可溶化剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘
味料、着色剤、香料、浸透圧変更のための塩類、緩衝剤、コーティング剤、及び
抗酸化剤が考慮される。
式(I)の化合物及びその塩、又は水和物は、好ましくは非経口投与のために
使用することができ、このためには、水又は等張の通常の塩溶液などの慣用の試
薬による希釈のための凍結乾燥又は乾燥粉末として製剤化するのが好ましい。
薬理学的に活性な化合物の性質に応じて、本医薬組成物は、哺乳動物、ヒト及
び非ヒトにおける感染性疾患の予防及び治療のための化合物を含有することがで
き、約10mg〜約4,000mg、特に約50mg〜約3,000mgの1日投与量が
通常であるが、ただし、投与量が、哺乳動物の年齢、症状、並びに予防又は治療
されるべき疾患の種類に応じて変更されることは当業者には認識されよう。1日
当たりの投与量は、単回投与においても、又は数回に分けても投与することがで
きる。平均的な単回投与量としては、約50mg、100mg、250mg、500mg
、
1,000mg、及び2,000mgを考慮することができる。
本発明化合物の代表例の試験を行った。
インビトロ活性を、ミューラー・ヒントン寒天における寒天希釈法によって、
微生物スペクトルにおける最少阻止濃度により測定した。
以下の化合物を試験した:
A:(6R,7R)−7[(Z)−2−(2−アミノ−チアゾール−4−イル)
−2−ヒドロキシイミノアセチルアミノ]−3−[(E)−1−イソブチル−2
−オキソ−ピロリジン−3−イリデンメチル]−8−オキソ−5−チア−1−ア
ザビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボン酸トリフルオロ酢酸
塩、
B:(6R,7R)−7[(Z)−2−(2−アミノ−チアゾール−4−イル)
−2−ヒドロキシイミノアセチルアミノ]−3−[(E)−1−(2,2−ジメ
チル−プロピル)−2−オキソ−ピロリジン−3−イリデンメチル]−8−オキ
ソ−5−チア−1−アザビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボ
ン酸トリフルオロ酢酸塩、及び
C:(6R,7R)−7[(Z)−2−(2−アミノ−チアゾール−4−イル)
−2−ヒドロキシイミノアセチルアミノ]−3−[(E)−1−シクロヘキシル
メチル−2−オキソ−ピロリジン−3−イリデンメチル]−8−オキソ−5−チ
ア−1−アザビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボン酸トリフ
ルオロ酢酸塩。
抗菌スペクトルは以下のとおりである:
MIC:最少阻止濃度値
セフジニル:[6R−[6a,7b(Z)]]−7−(2−アミノ−4−チアゾ
リル)[(ヒドロキシイミノ)]アセチル]アミノ]−3−エテニル−8−オキ
ソ−5−チア−1−アザビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボ
ン酸
セフトリアキソン:[6R−[6a,7b(Z)]]−7−([[2−アミノ−
4−チアゾリル)(メトキシイミノ)アセチル]アミノ]−8−オキソ−3−[
[(1,2,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−5,6−ジオキソ−1,2,
4−トリアジン−3−イル)チオ]メチル]−5−チア−1−アザビシクロ[4
.2.0]オクト−2−エン−2−カルボン
酸
本発明の式(I)の化合物並びにその薬学的に許容しうる塩、水和物、又は容
易に加水分解しうるエステルは、本発明により、
(a)式(II):
[式中、R2及びnは、上記に定義したとおりである]
で示される化合物又はそのエステルもしくは塩を、式(III):
[式中、R1及びXは、上記に定義したとおりであるか、又はR1は、その反応性
官能基誘導体である]
で示されるカルボン酸で処理するか、あるいは、
(b)式(IV):
[式中、R2は、上記に定義したとおりであり、Rfは、水素又はアミノ保護基で
あり、Rgは、水素又はヒドロキシ保護基であり、Rhは、水素又はカルボキシ保
護基であり、ただしRf、Rg及びRhの少なくとも一つは、対応する保護基又は
その塩である]
で示される化合物のアミノ、ヒドロキシ及び/又はカルボキシ保護基を開
裂させるか、あるいは
(c)式(I)の化合物の容易に加水分解しうるエステルの製造のために、式(
I)のカルボン酸を対応するエステル化に付すか、あるいは
(d)式(I)の化合物の塩もしくは水和物、又は該塩の水和物の製造のために
、式(I)の化合物を、塩もしくは水和物、又は該塩の水和物に変換することに
より製造することができる。
化合物(II)及び(III)又は化合物(III)の反応性誘導体の実施態様(a)によ
る反応は、それ自体既知の方法において行うことができる。化合物(II)のカル
ボキシル基は、例えば、エステル化により、シリルエステル(例えば、トリメチ
ルシリルエステル)又はベンズヒドリルエステルなどの容易に開裂可能なエステ
ルを形成することによって保護することができる。またカルボキシル基は、前述
の容易に加水分解しうるエステルの一つの形で保護することができる。更に、カ
ルボキシル基は、無機又はトリエチルアミンなどの第三級有機塩基との塩形成に
より保護することができる。式(III)のアシル化剤中に存在するアミノ基は、保
護されていることができる。用いることのできる保護基は、例えば、酸加水分解
により開裂可能な保護基(例えば、tert−ブトキシカルボニル又はトリチル基)
、あるいは塩基性加水分解により開裂可能な保護基(例えば、トリフルオロアセ
チル基)である。好ましい保護基は、クロロアセチル、ブロモアセチル及びヨー
ドアセチル基、特にはクロロアセチル基である。これらの最後に述べた保護基は
、チオ尿素処理により開裂することができる。化合物(II)の7−アミノ基は、
例えばトリメチルシリル基などのシリル保護基により保護することができる。
式(II)の7−アミノ化合物と式(III)のカルボン酸又はその反応性官能基誘
導体との反応において、例えば遊離カルボン酸は、上述の式(II)
の化合物のエステルと、ジシクロヘキシルカルボジイミドなどのカルボジイミド
の存在下、酢酸エチル、アセトニトリル、ジオキサン、クロロホルム、塩化メチ
レン、ベンゼン又はジメチルホルムアミドなどの不活性溶媒中において反応させ
ることができ、引き続いてエステル基を開裂させることができる。オキサゾリウ
ム塩(例えば、N−エチル−5−フェニル−イソオキサゾリウム−3’−スルホ
ネート)は、上記の反応においてカルボジイミドに替えて使用することができる
。
別の実施態様によると、式(II)の酸の塩(例えば、トリエチルアンモニウム
などのトリアルキルアンモニウム塩)を、不活性溶媒(例えば、前述の溶媒の一
つ)中、前述したように式(III)のカルボン酸の反応性官能基誘導体と反応させ
る。
更なる実施態様によると、式(III)のカルボン酸の酸ハロゲン化物、好ましく
は酸塩化物を、式(II)のアミンと反応させる。該反応は、酸結合試薬の存在下
、例えば水性アルカリ、好ましくは水酸化ナトリウムの存在下、又は炭酸カリウ
ムなどのアルカリ金属炭酸塩の存在下で、又はトリエチルアミンなどの低級アル
キルアミンの存在下で行うのが好ましい。溶媒としては、水を、場合によりテト
ラヒドロフラン又はジオキサンなどの不活性有機溶媒との混合物として、使用す
るのが好ましい。反応は、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメ
チルスルホキシド又はヘキサメチルリン酸トリアミドなどの非プロトン性有機溶
媒中においても行うことができる。式(II)のシリル化化合物を使用する場合、
反応は、無水媒質中にて行う。
式(III)のアシル化剤に存在するアミノ基を保護する必要がない場合のアシル
化のための好都合な替わりの方法としては、カルボン酸の2−ベンゾチアゾリル
チオエステル又は1−ヒドロキシベンゾトリアゾールエステ
ルを使用することが挙げられる。例えば、2−ベンゾチアゾリルチオエステルは
、塩素化炭化水素(例えば、塩化メチレン)などの不活性有機溶媒、アセトン、
酢酸エチル、又はこれらの溶媒の水との混合物中において、化合物(II)と反応
させることができる。1−ヒドロキシベンゾトリアゾールエステルは、カルボン
酸を、不活性有機溶媒、好ましくは塩化メチレン、ジメチルホルムアミド、テト
ラヒドロフラン、アセトニトリル、又は酢酸エチル中において、1−ヒドロキシ
ベンゾトリアゾール及びカルボジイミド、特にN、N’−ジシクロヘキシルカル
ボジイミド又はN,N’−ジイソプロピルカルボジイミドと反応させることによ
り用いることができる。
式(II)の7−アミノ化合物と、式(III)のカルボン酸又はその反応性誘導体
との反応は、約−40℃と+60℃との間の温度、例えば室温にて好都合に行う
ことができる。
本発明の方法の実施態様(b)は、式(IV)の化合物に存在する保護されたア
ミノ、ヒドロキシ又はカルボキシル基の脱保護(除去)を含み、以下のように行
うことができる:アミノ保護基の除去
可能なアミノ保護基は、ペプチド化学において用いられるものであって、例え
ばt−ブトキシカルボニルなどのアルコキシカルボニル基、トリクロロエトキシ
カルボニルなどの置換アルコキシカルボニル基、p−ニトロベンジルオキシカル
ボニル又はベンジルオキシカルボニルなどの場合により置換されたアラルキルオ
キシカルボニル基、トリチル又はベンズヒドリルなどのアラルキル基、あるいは
クロロアセチル、ブロモアセチル、ヨードアセチル又はトリフルオロアセチルな
どのハロゲン−アルカノイル基などである。
好ましい保護基は、t−ブトキシカルボニル(t−BOC)及びトリチルであ
る。
アミノ保護基は、例えば水性ギ酸による酸加水分解(例えば、t−ブトキシカ
ルボニル又はトリチル基)、又は塩基性加水分解(例えば、トリフルオロアセチ
ル基)によって開裂させることができる。クロロアセチル、ブロモアセチル及び
ヨードアセチル基は、チオ尿素処理によって開裂させる。
酸加水分解によって開裂されるアミノ保護基は、ハロゲン化されていてもよい
低級アルカンカルボン酸によって除去するのが好ましい。詳細には、ギ酸又はト
リフルオロ酢酸を使用する。反応は、酸中で、あるいは塩化メチレンなどのハロ
ゲン化低級アルカンなどの共溶媒の存在下で行う。酸加水分解は、一般に室温に
て行うが、若干高温度又は若干低温度でも行うことができる(例えば約−30℃
〜+40℃の範囲の温度)。塩基性条件下で開裂される保護基は、一般に苛性ア
ルカリ希水溶液により0℃〜30℃にて加水分解される。クロロアセチル、ブロ
モアセチル及びヨードアセチル保護基は、チオ尿素を用いて酸性、中性又はアル
カリ性媒質中、約0℃〜30℃にて開裂することができる。ヒドロキシ保護基の除去
用いることのできるヒドロキシ保護基は、当業界で一般に知られているもので
、例えば、
−ヒドロキシイミノ基(式(I)の化合物において、R1=水素)の保護のた
めには、通常、トリチル、低級アルカノイル、好ましくはアセチル、テトラヒド
ロピラニル保護基を使用する。
これらの保護基は、例えば以下のように除去する:
−トリチル 90%ギ酸などの酸性溶媒中、約0〜50℃
にて、又はトリフルオロ酢酸中のトリエチル
シランにより、約−20〜25℃にて;
塩酸の有機溶媒溶液中、約−50〜25℃に
て;
−アセチル エタノール/水中の重炭酸ナトリウムなどの
弱無機塩基により、約0〜50℃にて;
−テトラヒドロピラニル 例えば、エタノールなどのアルコール中の
p−トルエンスルホン酸などの弱有機酸によ
り、約0℃〜該混合物の沸点にて。カルボキシ官能基の保護基除去
エステル保護基として、穏和な条件下で遊離カルボキシル基に容易に変換する
ことができるエステルの形を使用することができ、該エステル保護基は、例えば
t−ブチル、p−ニトロベンジル、p−メトキシベンジル、ベンズヒドリル、ア
リルなどにより例示される。
これらの保護基は、以下のように除去する:
ベンズヒドリル アニソール、フェノール、クレゾール又はト
リエチルシランと共にトリフルオロ酢酸を用
いて、約−40℃〜室温にて;エタノールな
どのアルコール中、又はテトラヒドロフラン
中、Pd/Cと共に水素を用いて;酢酸中、
BF3−エテレート(etherate)を用いて、
約0〜50℃にて;
t−ブチル アニソール、フェノール、クレゾール又はト
リエチルシランと共に、又は無しで、ギ酸又
はトリフルオロ酢酸、及びジクロロメタン
などの溶媒を用いて、約−10℃〜室温に
て;
p−ニトロベンジル アセトン/水中、硫化ナトリウムを用いて、
約0℃〜室温にて;又はエタノールなどのア
ルコール中もしくはテトラヒドロフラン中、
Pd/Cと共に水素を用いて;
p−メトキシベンジル ギ酸を用いて、約0〜50℃にて;又は
アニソール、フェノール又はトリエチル
シランと共にトリフルオロ酢酸を用いて、
約−40℃〜室温にて;
アリルパラジウム(O) 2−エチルヘキサン酸のナトリウム又はカリ
ウム塩の存在下で触媒トランスアルキル化反
応により、例えばJ.Org.Chem.1982,47,
587 参照。
本発明により提供される方法の実施態様(c)により、式(I)のカルボン酸
の容易に加水分解しうるエステルを製造するために、式(I)のカルボン酸を、
所望のエステル基を有する対応するハロゲン化物、好ましくはヨウ化物と反応さ
せるのが好ましい。反応は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、又は
トリエチルアミンなどの有機アミンなどの塩基によって加速することができる。
エステル化は、好ましくは、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリア
ミド、ジメチルスルホキシド、又は特にはジメチルホルムアミドなどの不活性有
機溶媒中で行う。好ましくは反応は、約0〜40℃の範囲の温度にて行う。
本発明により提供される方法の実施態様(d)により、式(I)の化合物の塩
及び水和物、又は該塩の水和物の調製は、好都合には、例えば水などの溶媒、又
は有機溶媒(例えば、エタノール、メタノール、アセトンなど)中、式(I)の
カルボン酸又はその塩を、当量の所望の塩基と反応させることにより、それ自体
既知の方法により行うことができる。したがって、塩形成は、有機又は無機塩の
添加により行う。塩形成を行う温度は、
決定的なものではない。塩形成は、一般的には室温で行うが、室温より若干高温
度又は低温度、例えば0℃〜+50℃の範囲で行うことができる。
水和物の生成は、通常は製造過程において、又は当初は無水であった生成物の
吸水の結果として自然に起こる。制御された水和物の製造のためには、完全に又
は部分的に無水の式(I)のカルボン酸又はその塩を、湿潤大気に曝すことがで
きる(例えば、約+10℃〜+40℃)。
本発明による生成物を得るための工程の例は、下記の反応式1及び2である。
反応式1 1又は2+3 → 4
Rrが、上記Rhで定義したカルボキシ保護基であり、R10がアミノ保護基であ
る既知の2−セフェムアルデヒド(1)又は3−セフェムアルデヒド(2)の、
構造(3)で例示するウィッティッヒ試薬との反応により、カップリング生成物
(4)が生じる。本反応は、無機塩基(水酸化ナトリウム又はカリウム、炭酸ナ
トリウム又はカリウムなど)、有機塩基(第三級アミン)、ブチルリチウム又は
フェニルリチウムなどの有機リチウム、又は1,2−ブチレンオキシドなどのエ
ポキシドのいずれかである塩基の存在下で行う。無機塩基を使用する場合の好ま
しい溶媒は、水及び水混和性溶媒(アセトン、テトラヒドロフラン、又はアルコ
ールなど)であり;有機塩基を使用する場合には、塩化メチレン、クロロホルム
、ベンゼン、テトラヒドロフランなどの不活性溶媒であり;有機リチウムを使用
する場合には、ベンゼン又はテトラヒドロフランであり;そしてエポキシドを使
用する場合には、エポキシド自体(例えば、1,2−ブチレンオキシド)である
。本反応の温度は、−20℃〜80℃の範囲である。好ましい条件は、実施例に
例示する。
反応式1による通常のウィッティッヒ反応において、E−異性体が、主要生成
物である。常に10%未満のZ−異性体が形成され、量は試薬及び条件に依存し
ていた。4 → 5
化合物(4)を、過酸化水素又は過酸、好ましくはm−クロロ過安息香酸であ
ることができる酸化剤により、スルホキシド(5)に変換する。温度は、−20
℃〜室温の範囲であり、適当な溶媒、好ましくは塩素化炭化水素又はベンゼンを
使用することができる。5 → 6
スルホキシド(5)の脱酸素反応は、ジメチルホルムアミド中、又はジメチル
ホルムアミドとN−メチルアセトアミドの混合溶媒中、三臭化リンの存在下で行
う。この反応のための反応温度は、約−40℃〜約0℃である。6 → 7
保護基Rr及びR10を除去するが、用いる反応条件は、保護基の性質により異
なる。R10が、t−ブトキシカルボニルであり、Rrが、ベンズヒドリルである
場合、トリフルオロ酢酸を、約−20℃〜約室温(約22℃)の温度で使用する
。7 → 8
化合物(7)のアシル化は、既知の試薬、好ましくは塩化チオニル、塩化オキ
サリル、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ビス−[ベンゾチアゾリル−(2)
]ジスルフィド、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール又は2−ハロ N−メチル
ピリジニウム塩により活性化される有機酸を用いて行うことができる。反応は、
活性化方法に応じて塩基(無機又は有機塩基)を用いるか、又は用いないで行い
、また、水及び水混和性溶媒から、クロロホルム、ジメチルホルムアミド(DM
F)又はジメチルスルホキシド(DMSO)などの不活性溶媒まで、広範囲の溶
媒を使用することができる。必要に応じて、R1基は、保護基除去に適当な反応
条件を用いて更に脱保護することができる。8 → 9
化合物(8)の2−カルボキシル官能基を、インビボにおいて容易に加水分解
しうるプロドラッグエステルに変換する。RPは、そのRPの対応するアルコール
によるエステル化、又はRPの対応するハロゲン化物及び
塩基を用いる処理による、当業界で既知の任意のエステルであることができ、好
ましいエステルは、実施例において例示する。R1基は、必要に応じて、保護基
除去に適当な反応条件を用いて更に脱保護することができる。
n=1又は2
R2=上記定義のとおり
Rh=フェニル
反応式2の工程は、下記のとおりに行う。1から2へ
既知のジブロモ酸塩化物(1,n=1,2)を、適当なアミン又はアミンハロ
ゲン化水素酸塩、及び水酸化ナトリウムもしくはカリウム、炭酸ナトリウムもし
くはカリウムなどの無機塩基、ナトリウムメトキシドなどの
有機塩基、又はトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなどの第三級ア
ミンを使用して、アミド(2)に変換することができる。本反応は、無機塩基を
使用する場合には、水/ジクロロメタン又は水/クロロホルムなどの二相溶媒混
合物中にて行う。有機塩基又は第三級アミンを使用する場合には、塩化メチレン
、クロロホルム、ベンゼン、テトラヒドロフランなどの不活性溶媒が好ましい。
反応温度は、−10〜100℃の範囲である。2から3へ
N−置換ジブロモアミド(2)の閉環は、Dowex 2×10、テトラアルキルア
ンモニウム塩、テトラアルキルアリールアンモニウム塩、クラウンエーテルなど
の触媒を、水酸化ナトリウムもしくはカリウム、炭酸ナトリウムもしくはカリウ
ム水溶液などの塩基と共に使用して、通常の相転移触媒条件下で行うことができ
る。
別法として、水素化ナトリウム、リチウムジイソプロピルアミド、カリウムt
−ブトキシドなどの強塩基を、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、ジメトキ
シエタン又はジエチルエーテルなどの溶媒中、−78〜+80℃の間の反応温度
で用いることができる。1から3へ
酸塩化物のブロモラクタムへの直接変換は、第1工程(1から2へ)を、水/
ジクロロメタン又は水/クロロホルムなどの二相溶媒混合物中において、塩基と
して水酸化ナトリウム又はカリウムを用いて行う場合に可能である。Dowex 2×
10、テトラアルキルアンモニウム塩、テトラアルキルアリールアンモニウム塩
、クラウンエーテルなどの触媒は、TLC又はHPLC分析にてアミド(2)が
形成された際に添加する。反応温度は、0〜50℃の範囲である。3から4へ
トリフェニルホスホニウム塩(4)は、ブロモラクタムを、テトラヒドロフラ
ン、トルエン、ベンゼン、酢酸エチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロ
ロホルムなどの溶媒中、0〜150℃の温度にて、トリフェニルホスフィンによ
り処理することにより調製することができる。
実施例1
(a)rac−2,4−ジブロモ−N−イソブチル−ブチルアミド
1.52g(20.8mmol)のイソブチルアミンを、3mlの水に溶解し、13
mlのジクロロメタンを添加した。混合物を0℃に冷却し、激しく撹拌した。3ml
のジクロロメタンに5.0g(18.9mmol)の2,4−ジブロモブタン酸塩化
物(J.Med.Chem.,1987,30,1995)を含む溶液を5分以内で添加した。その後
、1.5mlの水に0.83g(20.8mmol)のNaOHを含む溶液を、温度が
7〜10℃に維持される速度で添加した。完全に添加した後、この温度で撹拌を
3時間継続した。最後に相を分離させ、水性相を15mlのジクロロメタンにて3
回抽出した。合わせた有機相を17mlの0.5M HClにて1回、14mlの5%
重炭酸ナトリウム溶液にて1回、及び10mlのブラインにて1回洗浄し、硫酸マ
グネシウムにて乾燥した。溶媒蒸発後、無色の固体を得た。
収率:4.5g(78.9%)
IR(フィルム):3,310 、1,654 、1,552cm-1
MS(EI):299(M)
(b)rac−3−ブロモ−1−イソブチル−ピロリジン−2−オン
4.48g(14.9mmol)のrac−2,4−ジブロモ−N−イソブチル−
ブチルアミドを、40mlのジクロロメタンに溶解し、次いで17.3mlの50%
水酸化ナトリウム溶液及び0.48gのDowex
2×10を添加した。混合物を室温にて4時間激しく撹拌した。その後、混合物
を50mlの氷/水に注入し、相を分離させた。水性相を20mlのジクロロメタン
にて3回抽出し、有機相を合わせて20mlの水にて1回、20mlのブラインにて
1回洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒蒸発後、得られた無色の油状
物を、酢酸エチル/n−ヘキサン(1:1)を溶出液としてシリカゲル(0.0
40〜0.063mm)クロマトグラフィーに付した。
収率:2.74g(83%)淡黄褐色の結晶
IR(KBr):2,960、1,694cm-1
MS(EI) :219(M)
(c)rac−(1−イソブチル−2−オキソ−ピロリジン−3−イル)−トリ
フェニル−ホスホニウムブロミド
2.74g(12.4mmol)のrac−3−ブロモ−1−イソブチル−ピロリ
ジン−2−オンを、12mlのTHFに溶解し、3.43g(13.1mmol)のト
リフェニルホスフィンを添加した。次いで、混合物をアルゴン雰囲気下で3日間
還流した。室温まで冷却後、懸濁液を吸引濾過し、白色の結晶を氷冷THFにて
洗浄し、高真空下で乾燥した。
収率:4.8g(80%)
IR(KBr):2,768、1,683、1,436cm-1
MS(ISP):402.4(M+)
(d)(E)−(2R,6R,7R)−7−tert−ブトキシカルボニルアミノ−
3−(1−イソブチル−2−オキソ−ピロリジン−3−イリデンメチル)−8−
オキソ−5−チア−1−アザ−ビシクロ[4.2.0]オクト−3−エン−2−
カルボン酸ベンズヒドリルエステル
160mlの1,2−ブチレンオキシドに20.3g(41.1mmol)の
[6R−(6a,7b)]−7−[[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル
]アミノ]−3−ホルミル−8−オキソ−5−チア−1−アザビシクロ[4.2
.0]オクト−3−エン−2−カルボン酸ジフェニルメチルエステル、及び23
.8g(49.3mmol)のrac−(1−イソブチル−2−オキソ−ピロリジン
−3−イル)−トリフェニル−ホスホニウムブロミドを含む懸濁液を、2時間還
流した。室温まで冷却後、溶媒を減圧下で除去し、残渣を、酢酸エチル/n−ヘ
キサン(1:1)を溶出液としてシリカゲル(0.040〜0.063mm)クロ
マトグラフィーに付した。次いで生成物をCH2Cl2/n−ヘキサンから再結晶
した。
収率:26.5g(86.3%)白色の粉末
IR(KBr):1,781、1,742、1,712、1,680cm-1
MS(ISP):618.4(M+H+)
微量分析:C34H39N3O6S
(e)(E)−(5R,6R,7R)−及び(5S,6R,7R)−7−tert−
ブトキシカルボニルアミノ−3−(1−イソブチル−2−オキソ−ピロリジン−
3−イリデンメチル)−5,8−ジオキソ−5−チア−1−アザ−ビシクロ[4
.2.0]オクト−2−エン−2−カルボン酸ベンズヒドリルエステル
100mlのジクロロメタンに11.3g(18.3mmol)の(E)−(2R,
6R,7R)−7−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−
(1−イソブチル−2−オキソ−ピロリジン−3−イリデンメチル)−8−オキ
ソ−5−チア−1−アザ−ビシクロ[4.2.0]オクト−3−エン−2−カル
ボン酸ベンズヒドリルエステルを含む溶液を0℃に冷却し、80mlのジクロロメ
タンに4.5g(18.3mmol)のm−クロロ過安息香酸(70〜75%)を含
む溶液で、温度を4℃以下に保ちつつ滴下処理した。この温度で更に1時間撹拌
後、50mlの10%チオ硫酸ナトリウム水溶液を添加し、相を分離させた。水性
相を50mlのジクロロメタンにて3回抽出し、合わせた有機抽出物を10%チオ
硫酸ナトリウム水溶液、飽和重炭酸ナトリウム水溶液及び最後に水にて順次洗浄
した。硫酸マグネシウムにて乾燥後、乾燥剤及び溶媒を除去し、残渣をフラッシ
ュシリカゲルクロマトグラフィー(0.040〜0.063mm、酢酸エチル/n
−ヘキサン(3:1))により精製して、所望の生成物を黄色の油状物として得
た。
収率:10.2g(87.8%)
IR(KBr):1,796、1,722、1,685cm-1
MS:634.4(M+H+)
(f)(E)−(6R,7R)−7−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−(
1−イソブチル−2−オキソ−ピロリジン−3−イリデンメチル)−8−オキソ
−5−チア−1−アザ−ビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボ
ン酸ベンズヒドリルエステル
ジクロロメタン(230ml)、N−メチルアセトアミド(32ml)及びN,N
−ジメチルホルムアミド(34mm)に、22.7g(35.8mmol)の(E)−
(5R,6R,7R)−及び(5S,6R,7R)−7−tert−ブトキシカルボ
ニルアミノ−3−(1−イソブチル−2−オキソ−ピロリジン−3−イリデンメ
チル)−5,8−ジオキソ−
5−チア−1−アザ−ビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボン
酸ベンズヒドリルエステルを含む溶液を、−30℃に冷却し、温度を−25℃以
下に保ちつつ、ジクロロメタン(35ml)中の13.6ml(143mmol)の三臭
化リンにより処理した。溶液をこの温度で1時間撹拌し、次いで氷水(1リット
ル)及びジクロロメタン(650ml)の撹拌溶液に注入した。水性相を分離し、
ジクロロメタン(各250ml)により3回、再抽出した。有機抽出物を合わせ、
飽和重炭酸ナトリウム水溶液、水、最後にブラインにて洗浄した。硫酸マグネシ
ウムによる乾燥、濾過、及び溶媒留去の後、残渣をジクロロメタン/n−ヘキサ
ンから結晶化して、所望の化合物を白色の粉末として得た。
収率:22.9g(99.1%)
IR(KBr):1,786、1,721、1,685cm-1
MS:618.4(M+H+)
(g)(E)−(6R,7R)−7−アミノ−3−(1−イソブチル−2−オキ
ソ−ピロリジン−3−イリデンメチル)−8−オキソ−5−チア−1−アザ−ビ
シクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボン酸トリフルオロ酢酸塩
(E)−(6R,7R)−7−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−(1−
イソブチル−2−オキソ−ピロリジン−3−イリデンメチル)−8−オキソ−5
−チア−1−アザ−ビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボン酸
ベンズヒドリルエステル(21.9g、35.0mmol)を、240mlのジクロロ
メタン及び23mlのアニソールに溶解した。2℃において、120mlのトリフル
オロ酢酸を、温度を5℃以下に保ちつつ滴下添加した。添加完了後、氷浴を外し
、溶液を環境温度にて2.5時間撹拌した。次いで、揮発性物質を減圧下で除去
し、残留する
黄色の油状物を400mlのジエチルエーテルにゆっくり添加したところ、生成物
が沈殿し始めた。1.5時間後に懸濁液をアルゴン雰囲気下で濾過し、残った結
晶を150mlの酢酸エチル中で2時間撹拌した。懸濁液をアルゴン下で濾過して
、所望の生成物を黄色の結晶性粉末として得た。
収率:11.2g(74.5%)
IR(KBr):1,782、1,680、1,623cm-1
MS(ISP):352.3(M+H+)
微量分析:C18H22F3N3O6S
(h)(6R,7R)−7−[(Z)−2−(2−アミノ−チアゾール−4−イ
ル)−2−トリチルオキシイミノ−アセチルアミノ]−3−[(E)−1−イソ
ブチル−2−オキソ−ピロリジン−3−イリデンメチル]−8−オキソ−5−チ
ア−1−アザ−ビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボン酸
482mg(1.26mmol)の(E)−(6R,7R)−7−アミノ−3−(1
−イソブチル−2−オキソ−ピロリジン−3−イリデンメチル)−8−オキソ−
5−チア−1−アザ−ビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボン
酸トリフルオロ酢酸塩を、ジメチルホルムアミド(21ml)に懸濁し、室温にて
1時間撹拌した。この間に形成された溶液に、765mg(1.39mmol)の2−
(2−アミノチアゾール−4−イル)−(Z)−2−トリチルオキシイミノ−酢
酸1−ベンゾトリアゾー
ルエステルを添加し、反応混合物を室温にて24時間撹拌した。溶媒を減圧下で
除去し、残る残渣を酢酸エチルに取った。溶液を水にて2回、次いでブラインに
て洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥した。濾過及び溶媒留去の後、半固体の残
渣を50mmのジエチルエーテルにて処理し、30分間撹拌した。固体を濾過し、
ジエチルエーテル及びn−ヘキサンにて洗浄し、高真空下で乾燥した。
収率:610mg(64.5%)
IR(KBr):1,784、1,675、1,626cm-1
MS(ISP):763.2(M+H+)
(i)(6R,7R)−7−[(Z)−2−(2−アミノ−チアゾール−4−イ
ル)−2−ヒドロキシイミノ−アセチルアミノ]−3−[(E)−1−イソブチ
ル−2−オキソ−ピロリジン−3−イリデンメチル]−8−オキソ−5−チア−
1−アザ−ビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボン酸トリフル
オロ酢酸塩
16.8ml(219.4mmol)のトリフルオロ酢酸を0℃に冷却し、2.0g
(2.62mmol)の(6R,7R)−7−[(Z)−2−(2−アミノ−アゾー
ル−4−イル)−2−トリチルオキシイミノ−アセチルアミノ]−3−[(E)
−1−イソブチル−2−オキソ−ピロリジン−3−イリデンメチル]−8−オキ
ソ−5−チア−1−アザ−ビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カル
ボン酸を、温度を5℃以下に保ちつつ、少量ずつ添加した。5分後に、同じ温度
にて、0.96ml(6.06mmol)のトリエチルシランを滴下にて添加し、反応
混合物を0℃にて1時間撹拌した。この間に形成された淡黄褐色の懸濁液を、1
00mlのジエチルエーテルに撹拌しつつそそいだ。1時間後に、結晶を濾過によ
って集め、50mlのジエチルエーテルにて再処理した。1.5時
間後に生成物を濾過し、高真空下で乾燥した。
収率:1.17g(86%)淡黄褐色の結晶性粉末
IR(KBr):1,778、1,670、1,633cm-1
MS(ISP):521.3(M+H+)
微量分析:C21H24N6O6S2
(j)(6R,7R)−7−[(Z)−2−(2−アミノ−チアゾール−4−イ
ル)−2−シクロペンチルオキシイミノ−アセチルアミノ]−3−[(E)−1
−イソブチル−2−オキソ−ピロリジン−3−イリデンメチル]−8−オキソ−
5−チア−1−アザ−ビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボン
酸
125mlのジメチルホルムアミドに3.0g(7.70mmol)の(E)−(6
R,7R)−7−アミノ−3−(1−イソブチル−2−オキソ−ピロリジン−3
−イリデンメチル)−8−オキソ−5−チア−1−アザ−ビシクロ[4.2.0
]オクト−2−エン−2−カルボン酸トリフルオロ酢酸塩を含む懸濁液を、室温
にて50分間撹拌した。この間にほとんどの出発物質が溶解した。次いで、3.
47g(8.58mmol)の(Z)−2−(2−アミノ−チアゾール−4−イル)
−2−シクロペンチル−オキシイミノ−チオ酢酸5−ベンゾチアゾール−2−イ
ルエステルを添加し、反応混合物を18時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、
結晶を濾過により集め、25mlの酢酸エチル中で1時間、及び100mlのジエチ
ルエーテル中で1.5時間温浸した。
収率:2.92g(60.8%)淡黄褐色の結晶
IR(KBr):1,783、1,676、1,629cm-1
MS(ISP):589.4(M+H+)
微量分析:C26H32N6O6S2
実施例2
(a)rac−2,4−ジブロモ−N−(2,2−ジメチルプロピル)−ブチル
アミド
1(a)と同様に、10g(0.115mol)のネオペンチルアミン及び27
.6g(0.104mol)の2,4−ジブロモブタン酸クロリドから、rac−
2,4−ジブロモ−N−(2,2−ジメチルプロピル)−ブチルアミドを合成し
た。
収率:32.4g(98.5%)無色の結晶
IR(KBr):3,302、1,656、1,566cm-1
MS(EI) :298(M-CH3)
(b)rac−3−ブロモ−1−(2,2−ジメチルプロピル)−ピロリジン−
2−オン
1(b)と同様に、64.5g(0.205mol)のrac−2,4−ジブロモ
−N−(2,2−ジメチルプロピル)−ブチルアミドの閉環によって、rac−
3−ブロモ−1−(2,2−ジメチルプロピル)−ピロリジン−2−オンを合成
した。
収率:30.9g(64.5%)白色の粉末
IR(KBr):1,693、1,413cm-1
MS(ISP):218(M-CH3)
(c)rac−[1−(2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−ピロリジン
−3−イル]−トリフェニル−ホスホニウムブロミド
1(c)と同様に、16.1g(68.7mmol)のrac−3−ブロモ−1−
(2,2−ジメチルプロピル)−ピロリジン−2−オン及び19.8g(75.
6mmol)のトリフェニルホスフィンから、rac−[1−(2,2−ジメチルプ
ロピル)−2−オキソ−ピロリジン−3−イル]−トリフェニル−ホスホニウム
ブロミドを合成した。
収率:31.5g(92.2%)無色の粉末
IR(KBr):2,776、1,684、1,482cm-1
MS(ISP):416.4(M+)
(d)(E)−(2R,6R,7R)−7−tert−ブトキシカルボニルアミノ−
3−[1−(2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−ピロリジン−3−イリ
デンメチル]−8−オキソ−5−チア−1−アザ−ビシクロ[4.2.0]オク
ト−3−エン−2−カルボン酸ベンズヒドリルエステル
1(d)と同様に、30.6g(61.6mmol)のrac−[1−(2,2−
ジメチルプロピル)−2−オキソ−ピロリジン−3−イル]−トリフェニル−ホ
スホニウムブロミド及び25.4g(51.3mmol)の[6R−(6a,7b)
]−7−[[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]アミノ]−3−ホルミ
ル−8−オキソ−5−チア−1−アザビシクロ[4.2.0]オクト−3−エン
−2−カルボン酸ジフェニルメチルエステルから、(E)−(2R,6R,7R
)−7−tert−ブトキシカル
ボニルアミノ−3−[1−(2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−ピロリ
ジン−3−イリデンメチル]−8−オキソ−5−チア−1−アザ−ビシクロ[4
.2.0]オクト−3−エン−2−カルボン酸ベンズヒドリルエステルを合成し
た。
収率:18.2g(56.0%)黄色の泡状物
IR(KBr):1,783、1,743、1,718cm-1
MS(ISP):632.4(M+H+)
(e)(E)−(5R,6R,7R)−及び(5S,6R,7R)−7−tert−
ブトキシカルボニルアミノ−3−[1−(2,2−ジメチル−プロピル)−2−
オキソ−ピロリジン−3−イリデンメチル]−5,8−ジオキソ−5−チア−1
−アザ−ビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボン酸ベンズヒド
リルエステル
1(e)と同様に、18.2g(28.8mmol)の(E)−(2R,6R,7
R)−7−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−[1−(2,2−ジメチルプ
ロピル)−2−オキソ−ピロリジン−3−イリデンメチル]−8−オキソ−5−
チア−1−アザ−ビシクロ[4.2.0]オクト−3−エン−2−カルボン酸ベ
ンズヒドリルエステル及び7.1g(28.8mmol)のm−クロロ過安息香酸(
70〜75%)から、(E)−(5R,6R,7R)−及び(5S,6R,7R
)−7−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−[1−(2,2−ジメチル−プ
ロピル)−2−オキソ−ピロリジン−3−イリデンメチル]−5,8−ジオキソ
−5−チア−1−アザ−ビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボ
ン酸ベンズヒドリルエステルを合成した。
収率:12.0g(64.3%)黄色の泡状物
IR(KBr):1,798、1,723、1,689cm-1
MS(ISP):648.3(M+H+)
(f)(E)−(6R,7R)−7−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−[
1−(2,2−ジメチル−プロピル)−2−オキソ−ピロリジン−3−イリデン
メチル]−8−オキソ−5−チア−1−アザ−ビシクロ[4.2.0]オクト−
2−エン−2−カルボン酸ベンズヒドリルエステル
1(f)と同様に、12.0g(0.185mol)の(E)−(5R,6R,
7R)−及び(5S,6R,7R)−7−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3
−[1−(2,2−ジメチル−プロピル)−2−オキソ−ピロリジン−3−イリ
デンメチル]−5,8−ジオキソ−5−チア−1−アザ−ビシクロ[4.2.0
]オクト−2−エン−2−カルボン酸ベンズヒドリルエステルから、20.1g
(0.74mol)の三臭化リンを用いて還元することにより、(E)−(6R,7
R)−7−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−[1−(2,2−ジメチル−
プロピル)−2−オキソ−ピロリジン−3−イリデンメチル]−8−オキソ−5
−チア−1−アザ−ビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボン酸
ベンズヒドリルエステルを合成した。
収率:9.5g(82.9%)淡黄色の粉末
IR(KBr):1,786、1,721、1,692cm-1
MS(ISP):632.4(M+H+)
(g)(E)−(6R,7R)−7−アミノ−3−[1−(2,2−ジメチル−
プロピル)−2−オキソ−ピロリジン−3−イリデンメチル]−8−オキソ−5
−チア−1−アザ−ビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボン酸
トリフルオロ酢酸塩
1(g)と同様に、9.50g(0.15mol)の(E)−(6R,
7R)−7−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−[1−(2,2−ジメチル
−プロピル)−2−オキソ−ピロリジン−3−イリデンメチル]−8−オキソ−
5−チア−1−アザ−ビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボン
酸ベンズヒドリルエステルを、48.5ml(0.63mol)のトリフルオロ酢酸及
び10mlのアニソール中で脱保護することにより、(E)−(6R,7R)−7
−アミノ−3−[1−(2,2−ジメチル−プロピル)−2−オキソ−ピロリジ
ン−3−イリデンメチル]−8−オキソ−5−チア−1−アザ−ビシクロ[4.
2.0]オクト−2−エン−2−カルボン酸トリフルオロ酢酸塩を合成した。
収率:4.7g(85.4%)帯褐色の粉末
IR(KBr):1,783、1,681、1,626cm-1
MS(ISP):366.4(M+H+)
微量分析:C17H23N3O4S
(h)(6R,7R)−7−[(Z)−2−(2−アミノ−チアゾール−4−イ
ル)−2−トリチルオキシイミノ−アセチルアミノ]−3−[(E)−[1−(
2,2−ジメチル−プロピル)−2−オキソ−ピロリジン−3−イリデンメチル
]−8−オキソ−5−チア−1−アザ−ビシクロ[4.2.0]オクト−2−エ
ン−2−カルボン酸
1(h)と同様に、1.0g(2.62mmol)の(E)−(6R,7R)−7
−アミノ−3−[1−(2,2−ジメチル−プロピル)−2−
オキソ−ピロリジン−3−イリデンメチル]−8−オキソ−5−チア−1−アザ
−ビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボン酸トリフルオロ酢酸
塩(トリフルオロ酢酸の含有量:4.25%)及び1.59g(2.90mmol)
の2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−(Z)−2−トリチルオキシイミ
ノ酢酸1−ベンゾトリアゾールエステルから、(6R,7R)−7−[(Z)−
2−(2−アミノ−チアゾール−4−イル)−2−トリチルオキシイミノ−アセ
チルアミノ]−3−[(E)−[1−(2,2−ジメチル−プロピル)−2−オ
キソ−ピロリジン−3−イリデンメチル]−8−オキソ−5−チア−1−アザ−
ビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボン酸を合成した。
収率:1.41g(71.6%)白色の結晶
IR(KBr):1,785、1,683、1,624cm-1
MS(ISP):777.2(M+H+)
(i)(6R,7R)−7−[(Z)−2−(2−アミノ−チアゾール−4−イ
ル)−2−ヒドロキシイミノ−アセチルアミノ]−3−[(E)−1−(2,2
−ジメチル−プロピル)−2−オキソ−ピロリジン−3−イリデンメチル]−8
−オキソ−5−チア−1−アザ−ビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2
−カルボン酸トリフルオロ酢酸塩
1(i)と同様に、1.41g(1.80mmol)の(6R,7R)−7−[(
Z)−2−(2−アミノ−チアゾール−4−イル)−2−トリチルオキシイミノ
−アセチルアミノ]−3−[(E)−1−(2,2−ジメチル−プロピル)−2
−オキソ−ピロリジン−3−イリデンメチル]−8−オキソ−5−チア−1−ア
ザ−ビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボン酸を、11.6ml
(151.5mmol)のトリフルオロ酢酸及び0.67ml(4.17mmol)のトリ
エチルシラン中で脱保護する
ことにより、(6R,7R)−7−[(Z)−2−(2−アミノ−チアゾール−
4−イル)−2−ヒドロキシイミノ−アセチルアミノ]−3−[(E)−1−(
2,2−ジメチル−プロピル)−2−オキソ−ピロリジン−3−イリデンメチル
]−8−オキソ−5−チア−1−アザ−ビシクロ[4.2.0]オクト−2−エ
ン−2−カルボン酸トリフルオロ酢酸塩を合成した。
収率:0.93g(96.6%)淡黄褐色の結晶
IR(KBr):1,781、1,669、1,633cm-1
MS(ISP):535.2(M+H+)
微量分析:C22H26N6O6S2
(j)(6R,7R)−7−[(Z)−2−(2−アミノ−チアゾール−4−イ
ル)−2−シクロペンチルオキシイミノ−アセチルアミノ]−3−[(E)−1
−(2,2−ジメチル−プロピル)−2−オキソ−ピロリジン−3−イリデンメ
チル]−8−オキソ−5−チア−1−アザ−ビシクロ[4.2.0]オクト−2
−エン−2−カルボン酸
1(j)と同様に、1.0g(2.62mmol)の(E)−(6R,7R)−7
−アミノ−3−[1−(2,2−ジメチル−プロピル)−2−オキソ−ピロリジ
ン−3−イリデンメチル]−8−オキソ−5−チア−1−アザ−ビシクロ[4.
2.0]オクト−2−エン−2−カルボン酸トリフルオロ酢酸塩(トリフルオロ
酢酸の含有量:4.25%)と、
1.16g(2.90mmol)の(Z)−2−(2−アミノ−チアゾール−4−イ
ル)−2−シクロペンチルオキシイミノ−チオ酢酸 5−ベンゾチアゾール−2
−イルエステルとの反応により、(6R,7R)−7−[(Z)−2−(2−ア
ミノ−チアゾール−4−イル)−2−シクロペンチルオキシイミノ−アセチルア
ミノ]−3−[(E)−1−(2,2−ジメチル−プロピル)−2−オキソ−ピ
ロリジン−3−イリデンメチル]−8−オキソ−5−チア−1−アザ−ビシクロ
[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボン酸を合成した。
収率:1.28g(81.0%)淡黄褐色の粉末
IR(KBr):1,782、1,679、1,628cm-1
MS(ISP):603.3(M+H+)
微量分析:C27H34N6O6S2
実施例3
(a)rac−2,4−ジブロモ−N−シクロヘキシルメチル−ブチルアミド
1(a)と同様に、4.71g(41.6mmol)の(アミノメチル)シクロヘ
キサン及び10.0g(37.8mmol)の2,4−ジブロモブタン酸クロリドか
ら、rac−2,4−ジブロモ−N−シクロヘキシルメチル−ブチルアミドを合
成した。
収率:11.4(90%)淡黄褐色の結晶
IR(KBr):1,786、1,649、1,568cm-1
MS(ISP):342(M)
(b)rac−3−ブロモ−1−シクロヘキシルメチル−ピロリジン−2−オン
1(b)と同様に、11.4g(33.4mmol)のrac−2,4−ジブロモ
−N−シクロヘキシルメチル−ブチルアミドの閉環によって、rac−3−ブロ
モ−1−シクロヘキシルメチル−ピロリジン−2−オンを合成した。
収率:8.3g(85.9%)白色の結晶
IR(KBr):2,923、1,690cm-1
MS(ISP):261(M)
(c)rac−[1−シクロヘキシルメチル−2−オキソ−ピロリジン−3−イ
ル]−トリフェニル−ホスホニウムブロミド
1(c)と同様に、8.30g(31.9mmol)のrac−3−ブロモ−1−
シクロヘキシルメチル−ピロリジン−2−オン及び9.20g(35.1mmol)
のトリフェニルホスフィンから、rac−[1−シクロヘキシルメチル−2−オ
キソ−ピロリジン−3−イル]−トリフェニル−ホスホニウムブロミドを合成し
た。
収率:15.3g(91.6%)白色の結晶
IR(KBr):1,685、1,437 cm-1
MS(ISP):442.4(M+)
微量分析:C29H33BrNOP
(d)(E)−(2R,6R,7R)−7−tert−ブトキシカルボニルアミノ−
3−[1−シクロヘキシルメチル−2−オキソ−ピロリジン−3−イリデンメチ
ル]−8−オキソ−5−チア−1−アザ−ビシクロ[4.2.0]オクト−3−
エン−2−カルボン酸ベンズヒドリルエステル
1(d)と同様に、14.0g(26.8mmol)のrac−[1−シクロヘキ
シルメチル−2−オキソ−ピロリジン−3−イル]−トリフェニル−ホスホニウ
ムブロミド及び11.0g(22.2mmol)の[6R−(6a,7b)]−7−
[[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]アミノ]−3−ホルミル−8−
オキソ−5−チア−1−アザビシクロ[4.2.0]オクト−3−エン−2−カ
ルボン酸ジフェニルメチルエステルから、(E)−(2R,6R,7R)−7−
tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−[1−シクロヘキシルメチル−2−オキ
ソ−ピロリジン−3−イリデンメチル]−8−オキソ−5−チア−1−アザ−ビ
シクロ[4.2.0]オクト−3−エン−2−カルボン酸ベンズヒドリルエステ
ルを合成した。
収率:12.5g(85.4%)黄色の泡状物
IR(KBr):1,783、1,743、1,718cm-1
MS(ISP):658.4(M+H+)
(e)(E)−(5R,6R,7R)−及び(5S,6R,7R)−7−tert−
ブトキシカルボニルアミノ−3−[1−シクロヘキシルメチル−2−オキソ−ピ
ロリジン−3−イリデンメチル]−5,8−ジオキソ−5−チア−1−アザ−ビ
シクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボン酸ベンズヒドリルエステ
ル
1(e)と同様に、12.5g(19.0mmol)の(E)−(2R,
6R,7R)−7−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−[1−シクロヘキシ
ルメチル−2−オキソ−ピロリジン−3−イリデンメチル]−8−オキソ−5−
チア−1−アザ−ビシクロ[4.2.0]オクト−3−エン−2−カルボン酸ベ
ンズヒドリルエステル及び4.70g(19.0mmol)のm−クロロ過安息香酸
(70〜75%)から、(E)−(5R,6R,7R)−及び(5S,6R,7
R)−7−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−[1−シクロヘキシルメチル
−2−オキソ−ピロリジン−3−イリデンメチル]−5,8−ジオキソ−5−チ
ア−1−アザ−ビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボン酸ベン
ズヒドリルエステルを合成した。
収率:6.6g(51.6%)淡黄色の泡状物
IR(KBr):1,797、1,723、1,686cm-1
MS(ISP):674.3(M+H+)
(f)(E)−(6R,7R)−7−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−[
1−シクロヘキシルメチル−2−オキソ−ピロリジン−3−イリデンメチル]−
8−オキソ−5−チア−1−アザ−ビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−
2−カルボン酸ベンズヒドリルエステル
1(f)と同様に、6.60g(9.80mmol)の(E)−(5R,6R,7
R)−及び(5S,6R,7R)−7−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−
[1−シクロヘキシルメチル−2−オキソ−ピロリジン−3−イリデンメチル]
−5,8−ジオキソ−5−チア−1−アザ−ビシクロ[4.2.0]オクト−2
−エン−2−カルボン酸ベンズヒドリルエステルから、10.6g(39.2mm
ol)の三臭化リンを用いて還元することにより、(E)−(6R,7R)−7−
tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−「1−シクロヘキシルメチル−9−オキ
ソ−ピロリジン−
3−イリテンメチル]−8−オキソ−5−チア−1−アザ−ビシクロ[4.2.
0]オクト−2−エン−2−カルボン酸ベンズヒドリルエステルを合成した。
収率:5.6g(86.9%)無色の結晶
IR(KBr):1,785、1,719、1,683cm-1
MS(ISP):658.4(M+H+)
(g)(E)−(6R,7R)−7−アミノ−3−[1−シクロヘキシルメチル
−2−オキソ−ピロリジン−3−イリデンメチル]−8−オキソ−5−チア−1
−アザ−ビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボン酸トリフルオ
ロ酢酸塩
1(g)と同様に、5.60g(8.50mmol)の(E)−(6R,7R)−
7−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−[1−シクロヘキシルメチル−2−
オキソ−ピロリジン−3−イリデンメチル]−8−オキソ−5−チア−1−アザ
−ビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボン酸ベンズヒドリルエ
ステルを、27.4ml(357.8mmol)のトリフルオロ酢酸及び5.5mlのア
ニソール中で脱保護することにより、(E)−(6R,7R)−7−アミノ−3
−[1−シクロヘキシルメチル−2−オキソ−ピロリジン−3−イリデンメチル
]−8−オキソ−5−チア−1−アザ−ビシクロ[4.2.0]オクト−2−エ
ン−2−カルボン酸トリフルオロ酢酸塩を合成した。
収率:3.1g(93.9%)褐色の結晶
IR(KBr):2,923、1,781、1,680cm-1
MS(ISP):392.4(M+H+)
微量分析:C19H25N3O4S
(h)(6R,7R)−7−[(Z)−2−(2−アミノ−チアゾール−4−イ
ル)−2−トリチルオキシイミノ−アセチルアミノ]−3−[(E)−1−シク
ロヘキシルメチル−2−オキソ−ピロリジン−3−イリデンメチル]−8−オキ
ソ−5−チア−1−アザ−ビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カル
ボン酸
1(h)と同様に、1.0g(2.43mmol)(トリフルオロ酢酸の含有量:
4.77%)の(E)−(6R,7R)−7−アミノ−3−[1−シクロヘキシ
ルメチル−2−オキソ−ピロリジン−3−イリデンメチル]−8−オキソ−5−
チア−1−アザ−ビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボン酸ト
リフルオロ酢酸塩及び1.48g(2.70mmol)の2−(2−アミノチアゾー
ル−4−イル)−(Z)−2−トリチルオキシイミノ酢酸1−ベンゾトリアゾー
ルエステルから、(6R,7R)−7−[(Z)−2−(2−アミノ−チアゾー
ル−4−イル)−2−トリチルオキシイミノ−アセチルアミノ]−3−[(E)
−1−シクロヘキシルメチル−2−オキソ−ピロリジン−3−イリデンメチル]
−8−オキソ−5−チア−1−アザ−ビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン
−2−カルボン酸を合成した。
収率:0.92g(47.2%)淡黄褐色の粉末
IR(KBr):1,784、1,679、1,625cm-1
MS(ISP):803.3(M+H+)
(i)(6R,7R)−7−[(Z)−2−(2−アミノ−チアゾール−4−イ
ル)−2−ヒドロキシイミノ−アセチルアミノ]−3−[(E)−1−シクロヘ
キシルメチル−2−オキソ−ピロリジン−3−イリデンメチル]−8−オキソ−
5−チア−1−アザ−ビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボン
酸トリフルオロ酢酸塩
1(i)と同様に、0.87g(1.08mmol)の(6R,7R)−7−[(
Z)−2−(2−アミノ−チアゾール−4−イル)−2−トリチルオキシイミノ
−アセチルアミノ]−3−[(E)−1−シクロヘキシルメチル−2−オキソ−
ピロリジン−3−イリデンメチル]−8−オキソ−5−チア−1−アザ−ビシク
ロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボン酸を、6.94ml(90.6
mmol)のトリフルオロ酢酸及び0.40ml(2.49mmol)のトリエチルシラン
中で脱保護することにより、(6R,7R)−7−[(Z)−2−(2−アミノ
−チアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノ−アセチルアミノ]−3−[
(E)−1−シクロヘキシルメチル−2−オキソ−ピロリジン−3−イリデンメ
チル]−8−オキソ−5−チア−1−アザ−ビシクロ[4.2.0]オクト−2
−エン−2−カルボン酸トリフルオロ酢酸塩を合成した。
収率:0.54g(88.9%)淡黄褐色の結晶性粉末
IR(KBr):1,779、1,670、1,634cm-1
MS(ISP):561.2(M+H+)
微量分析:C24H28N6O6S2
(j)(6R,7R)−7−[(Z)−2−(2−アミノ−チアゾール−4−イ
ル)−2−シクロペンチルオキシイミノ−アセチルアミノ]−3−[(E)−1
−シクロヘキシルメチル−2−オキソ−ピロリジン−3−イリデンメチル]−8
−オキソ−5−チア−1−アザ−ビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2
−カルボン酸
1(j)と同様に、1.0g(2.43mmol;トリフルオロ酢酸の含有量:4
.77%)の(E)−(6R,7R)−7−アミノ−3−[1−シクロヘキシル
メチル−2−オキソ−ピロリジン−3−イリデンメチル]−8−オキソ−5−チ
ア−1−アザ−ビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボン酸トリ
フルオロ酢酸塩と、1.08g(2.70mmol)の(Z)−2−(2−アミノ−
チアゾール−4−イル)−2−シクロペンチルオキシイミノ−チオ酢酸5−ベン
ゾチアゾール−2−イルエステルとの反応により、(6R,7R)−7−[(Z
)−2−(2−アミノ−チアゾール−4−イル)−2−シクロペンチルオキシイ
ミノ−アセチルアミノ]−3−[(E)−1−シクロヘキシルメチル−2−オキ
ソ−ピロリジン−3−イリデンメチル]−8−オキソ−5−チア−1−アザ−ビ
シクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボン酸を合成した。
収率:1.26g(78.7%)淡褐色の粉末
IR(KBr):1,780、1,674、1,629cm-1
MS(ISP):629.4(M+H+)
微量分析:C29H36N6O6S2
─────────────────────────────────────────────────────
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