JPH1148008A - クランクシャフトミラーのチャック装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 位相基準ブロックの段取り替えを手作業で行
っていたため、作業能率が悪い。 【解決手段】 ワーク３の両端をチャック本体２に設け
られた複数の爪体４によりクランプして、回転するカッ
タにより上記ワーク３を加工するようにしたクランクシ
ャフトミラーにおいて、上記チャック本体２に互に対向
するように設けられ、かつ接離方向へ移動自在に支承さ
れた位相基準ブロック１２及び位相クランプブロック１
３と、加工すべきワーク３の種類に応じて上記位相基準
ブロック１２の位置を移動調整する基準ブロック駆動手
段１７と、ワーク３に予め形成された位相基準面３ｂ
を、上記位相基準ブロック１２の基準面１２ａに当接す
るように上記位相クランプブロック１３を、位相基準ブ
ロック１２方向へ駆動するクランプブロック駆動手段１
９とより構成したもので、位相基準ブロック１２の位置
調整が自動的に行えるため、手作業による段取り替えが
不要となる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明はクランクシャフト
を加工するクランクシャフトミラーのチャック装置に関
する。

【０００２】

【従来の技術】従来エンジンなどに使用するクランクシ
ャフトは、クランクシャフトミラーを使用して加工して
いる。またクランクシャフトミラーによりクランクシャ
フトを加工する場合、搬入されたワークの位相位置決め
を行った後ワークの両端をチャックによりクランプして
ワークを固定された状態でピンやジャーナルの加工を行
っており、チャックには位相位置決めを行うための手段
が設けられている。

【０００３】一方位相位置決め手段の設けられたチャッ
ク装置としては、例えば特開平６−２２６５１１号公報
に記載されたものが公知である。上記公報のチャック装
置は、放射方向に複数の移動自在な爪体が設けられたチ
ャック本体の前面に、ワークの位相基準面に応じて固定
基準ブロックと可動位相ブロックを選択的に取付けると
共に、可動位相ブロックを固定基準ブロックの接離方向
へ移動自在としたもので、ワークの種類に応じて固定基
準ブロック及び可動位相ブロックを段取り替えするだけ
で対応することができるため、その都度チャックを交換
する手間を必要がないなどの効果を有している。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし上記公報のチャ
ック装置でも、ワークの種類が変る毎に固定基準ブロッ
クや、可動位相ブロックを交換する段取り替え作業が必
要なため、段取り替えに長時間を要して生産性の低下を
招くと共に、全作業を自動化する上での支障ともなって
いる。

【０００５】この発明はかかる従来の不具合を改善する
ためになされたもので、ワークの種類が変っても段取り
替え作業を必要とせずに、ワークの位相位置決めを可能
にしたクランクシャフトミラーのチャック装置を提供す
ることを目的とするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
請求項１記載の発明は、ワークの両端をチャック本体に
設けられた複数の爪体によりクランプして、回転するカ
ッタにより上記ワークを加工するようにしたクランクシ
ャフトミラーにおいて、上記チャック本体に互に対向す
るように設けられ、かつ接離方向へ移動自在に支承され
た位相基準ブロック及び位相クランプブロックと、加工
すべきワークの種類に応じて上記位相基準ブロックの位
置を移動調整する基準ブロック駆動手段と、ワークに予
め形成された位相基準面を、上記位相基準ブロックの基
準面に当接するように上記位相クランプブロックを、位
相基準ブロック方向へ駆動するクランプブロック駆動手
段とより構成したものである。

【０００７】上記構成により、ワークの種類が変って
も、ワークの種類に応じて位相基準ブロックの位置が自
動調整されるため、段取り替え作業が不要となり、これ
によってワークの変更に伴う段取り替え時間の大幅な短
縮が図れるため、生産性が向上すると共に、人為的な作
業が不要となるため、作業の自動化や無人化が計れるよ
うになる。

【０００８】またワークの加工中、位相基準ブロックと
位相クランプブロックの間でもワークがクランプされる
ため、ワーク加工中切削負荷の変動によりワークの位相
がずれて、加工精度が低下するなどの不具合も生じな
い。

【０００９】上記目的を達成するため請求項２記載の発
明は、基準ブロック駆動手段をＮＣ制御されるサーボモ
ータより構成したものである。

【００１０】上記構成により、ＮＣ装置にワークの加工
データを入力するだけで、ワークの種類に応じて位相基
準ブロックの位置調整が自動的に精度よく行えるように
なる。

【００１１】上記目的を達成するため請求項３記載の発
明は、基準ブロック駆動手段及びクランプブロック駆動
手段を、ともにＮＣ制御されるサーボモータより構成し
たものである。

【００１２】上記構成により、位相クランプブロックも
位相基準ブロックとして使用できるため、左側に位相基
準面を有するワーク及び右側に位相基準面を有するワー
クにも段取り替えを必要とせずに対応することができ
る。

【００１３】

【発明の実施の形態】この発明の実施の形態を図面を参
照して詳述する。図１はチャック本体の正面図、図２は
図１のＡ−Ａ線に沿う断面図、図３は図１のＢ−Ｂ線に
沿う断面図である。

【００１４】これら図において１はクランクシャフトミ
ラーのワークヘッドで、図示しないベッド上に接離自在
に２基（図では１基のみを示す）設置されており、これ
らワークヘッド１の対向面にチャック本体２が固着され
ている。上記チャック本体２には、加工すべきワーク３
の両端をクランプする３本の爪体４が放射方向に設けら
れていて、これら爪体４は各爪体４毎に設けられたクラ
ンプ用作動杆５の傾斜面５ａに当接されている。

【００１５】上記各クランプ用作動杆５は、チャック本
体２内に軸心と平行するよう設けられていて、基端側に
形成された凹部５ｂに、クランプシリンダ６のピストン
杆６ａ先端に突設されたフランジ部６ｂが係合されてい
る。上記クランプシリンダ６はワークヘッド１内に設置
されていて、中空なピストン６ｃと、このピストン６ｃ
より突設された中空なピストン杆６ａを有しており、ク
ランプシリンダ６内に供給された油圧により、ピストン
杆６ａを介して上記クランプ用作動杆５を前進させるこ
とにより、各爪体４を中心方向へ移動させて、ワーク３
の両端をクランプするようになっている。

【００１６】またチャック本体２の中心部には、ワーク
３の両端に予め突設されたセンタ孔３ｃに嵌入すること
により、ワーク３の両端をチャック本体２の中心に支持
するセンタ７が設けられている。上記センタ７はクラン
プシリンダ６のピストン６ｃ及びピストン杆６ａの中心
部を貫通するよう設けられた駆動杆８の一端側に取付け
られており、駆動杆８の他端はワークヘッド１の後面に
固着されたセンタ駆動シリンダ９のピストン杆９ａに連
結されていて、このセンタ駆動シリンダ９により、駆動
杆８を介してセンタ７が前後動できるようになってい
る。

【００１７】一方上記チャック本体２には、両端がセン
タ７により支持されたワーク３を回転させることによ
り、ワーク３の位相位置決めを行う位相位置決め手段１
０が設けられている。上記位相位置決め手段１０は、予
めワーク３のカウンタウエイト３ａに形成された位相基
準面３ｂを基準面１２ａに当接することにより、ワーク
３の位相位置決めを行う位相基準ブロック１２と、ワー
ク３の位相基準面３ｂを位相基準ブロック１２の基準面
１２ａに圧接することにより、位相基準ブロック１２と
の間でカウントウエイト３ａをクランプする位相クラン
プブロック１３よりなる。

【００１８】上記位相基準ブロック１２と位相クランプ
ブロック１３は、図１に示すように、チャック本体２の
中心よりやや下方に形成されたガイド溝２ａ内に嵌合さ
れていて、接離方向移動自在となっており、対向面に基
準面１２ａと押し付け面１３ａがそれぞれ形成されてい
る。

【００１９】また位相基準ブロック１２は、チャック本
体２内に軸心と平行するように設けられた位相基準用作
動杆１４の一端側に形成された傾斜面１４ａが、そして
位相クランプブロック１３は、チャック本体２内に軸心
と平行するよう設けられた位相クランプ用作動杆１５の
一端側に形成された傾斜面１５ａがそれぞれ当接されて
いる。

【００２０】上記位相基準用作動杆１４及び位相クラン
プ用作動杆１５は、図３に示すようにワークヘッド１内
に挿通されていて、位相基準用作動杆１４の他端部は、
ワークヘッド１の後面に取付けられたサーボモータより
なる基準ブロック駆動手段１７の回転軸１７ａにセルフ
ロック機能を有する駆動力変換手段１８を介して接続さ
れ、位相クランプ用作動杆１５の他端部は、ワークヘッ
ド１の後面に取付けられたクランプブロック駆動手段１
９のピストン杆１９ａに接続されている。

【００２１】上記駆動力変換手段１８は、基準ブロック
駆動手段１７の回転を位相基準用作動杆１４の往復動に
変換するもので、ねじ軸１８ａと、このねじ軸１８ａに
螺合されたナット１８ｂ及びナット１８ｂを位相基準用
作動杆１４に固定するヨーク１８ｃより構成されてい
る。

【００２２】次に上記構成されたチャック装置の作用を
説明する。ワーク３の種類に応じて位相基準ブロック１
２の位置を調整するに当って、まず図示しないＮＣ装置
へワーク３の種類などのデータを入力する。これによっ
てＮＣ装置より基準ブロック駆動手段１７へ制御信号が
出力されて、基準ブロック駆動手段１７が所定数回転さ
れ、回転力は駆動力変換手段１８により、往復動に変換
されて、位相基準用作動杆１４が前進、または後退され
る。

【００２３】これによって位相基準用作動杆１４の傾斜
面１４ａにより位相基準ブロック１２が位相クランプブ
ロック１３の接離方向へ移動され、ワーク３の種類に応
じた位置に位置決めされる。なおこのとき位相クランプ
ブロック１３は、クランプブロック駆動手段１９によ
り、位相クランプ用作動杆１５を介して後退端まで後退
されている。

【００２４】次に加工するワーク３が図示しないワーク
搬入出手段により各チャック本体２間に搬入されると、
センタ駆動シリンダ９により、各チャック本体２のセン
タ７が前進されて、各センタ７によりワーク３の両端が
支持される。次にクランプブロック駆動手段１９へ油圧
が供給されるため、クランプブロック駆動手段１９によ
り位相クランプ用作動杆１５を介して位相クランプブロ
ック１３が前進されて、ワーク３のカウンタウエイト３
ａを押圧し、カウンタウエイト３ａに予め形成された位
相基準面３ｂを位相基準ブロック１２の基準面１２ａに
圧接して位相位置決めを行うと共に、位相基準ブロック
１２と位相クランプブロック１３の間でカウンタウエイ
ト３ａをクランプする。

【００２５】その後クランプシリンダ９に油圧が供給さ
れて、クランプシリンダ９によりクランプ用作動杆５を
介して各爪体４が中心方向へ移動され、各爪体４により
ワーク３の両端がクランプされたら、図示しないカッタ
がワーク３の加工位置に位置決めされて、回転するカッ
タによりワーク３のピンやジャーナル（ともに図示せ
ず）の加工が開始される。

【００２６】またワーク３の加工中は、駆動力変換手段
１８にセルフロック機構が働いて、基準ブロック駆動手
段１７の逆転を阻止するため、位相基準ブロック１２と
位相クランプブロック１３の間でワーク３のクランプが
確実に行え、位相基準がずれることがない。

【００２７】以上のようにワーク３の種類に応じて、位
相基準ブロック１２の位置をＮＣ装置により自動調整す
ることができるため、加工するワーク３の種類が変って
も、人為的な段取り替え作業を必要とせずに対応するこ
とができるようになり、作業の自動化及び無人化が図れ
るようになる。

【００２８】なお、上記実施の形態では、位相基準ブロ
ック１２側をサーボモータよりなる基準ブロック駆動手
段１７で、また位相クランプブロック１３を油圧シリン
ダよりなるクランプブロック駆動手段１９で駆動するよ
うにしたが、クランプブロック駆動手段１９も基準ブロ
ック駆動手段１７と同様に、ＮＣ制御されるサーボモー
タより構成すれば、カウンタウエイト３ａの右側に位相
基準面３ｂを有するワーク３と、左側に位相基準面３ｂ
を有するワーク３にもそれぞれ対応できる。

【００２９】すなわち右側に位相基準面３ｂを有するワ
ーク３の場合は、チャック本体２の右側に位置するブロ
ックを位相基準ブロック１２とし、左側に位相基準面３
ｂを有するワーク３の場合は、チャック本体２の左側に
位置するブロックを位相基準ブロック１２として、位相
基準ブロック１２側の基準ブロック駆動手段１７（また
はクランプブロック駆動手段１８）をＮＣ制御し、クラ
ンプ側のクランプブロック駆動手段１９（またはクラン
プブロック駆動手段１７）は電流制限をかければよい。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施の形態になるクランクシャフト
ミラーのチャック装置の正面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ線に沿う断面である。

【図３】図１のＢ−Ｂ線に沿う断面図である。

【符号の説明】

２…チャック本体 ３…ワーク ３ｂ…位相基準面 ４…爪体 １２…位相基準ブロック １２ａ…基準面 １３…位相クランプブロック １３ａ…押し付け面 １７…基準ブロック駆動手段 １９…クランプブロック駆動手段

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ワーク３の両端をチャック本体２に設け
   られた複数の爪体４によりクランプして、回転するカッ
   タにより上記ワーク３を加工するようにしたクランクシ
   ャフトミラーにおいて、上記チャック本体２に互に対向
   するように設けられ、かつ接離方向へ移動自在に支承さ
   れた位相基準ブロック１２及び位相クランプブロック１
   ３と、加工すべきワーク３の種類に応じて上記位相基準
   ブロック１２の位置を移動調整する基準ブロック駆動手
   段１７と、ワーク３に予め形成された位相基準面３ｂ
   を、上記位相基準ブロック１２の基準面１２ａに当接す
   るように上記位相クランプブロック１３を、位相基準ブ
   ロック１２方向へ駆動するクランプブロック駆動手段１
   ９とを具備したことを特徴とするクランクシャフトミラ
   ーのチャック装置。
2. 【請求項２】 基準ブロック駆動手段１７をＮＣ制御さ
   れるサーボモータより構成してなる請求項１記載のクラ
   ンクシャフトミラーのチャック装置。
3. 【請求項３】 基準ブロック駆動手段１７及びクランプ
   ブロック駆動手段１９を、ともにＮＣ制御されるサーボ
   モータより構成してなる請求項１記載のクランクシャフ
   トミラーのチャック装置。