JPH1147570A - 分離膜およびその製造方法 - Google Patents

分離膜およびその製造方法

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JPH1147570A
JPH1147570A JP9210518A JP21051897A JPH1147570A JP H1147570 A JPH1147570 A JP H1147570A JP 9210518 A JP9210518 A JP 9210518A JP 21051897 A JP21051897 A JP 21051897A JP H1147570 A JPH1147570 A JP H1147570A
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文明 福井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高い抗血小板付着性をもち、尚且つ高い物質透
過性能をもち、血液浄化用に有効である分離膜の提供。 【解決手段】ポリビニルピニルリドンを含むポリスルホ
ン系樹脂よりなる膜の表面にポリアルキレングリコール
が存在することを特徴とする分離膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高い物質透過性能
と 抗血小板付着性を両立する分離膜及びそれを含む血
液浄化器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、様々な高分子材料が医療分野で使
用されているが、人工血管、カテーテル、血液バッグ、
人工腎臓等の直接血液に接触する用具においては、血漿
蛋白や血小板等の血液成分の付着、及びこれに起因する
血栓の形成は避け難い問題である。特に血液浄化器に使
用される膜では、血液成分の付着が直接膜の性能低下に
つながるため重要な問題である。
【0003】従来、血液浄化器用の膜の素材としては、
セルロースアセテート、ポリオレフィン、ポリイミド、
ポリカーボネイト、ポリアリレート、ポリエステル、ポ
リアクリロニトリル・ポリメタクリル酸メチル・ポリア
ミド・ポリスルホン系樹脂等の高分子化合物が用いられ
てきた。これらの中でも、特にポリスルホン系樹脂は、
耐熱安定性、耐酸・耐アルカリ性に優れていることか
ら、近年広く使用されてきている。しかしその一方で、
その素材自身の疎水性のために、血液成分、特に血漿蛋
白や血小板の付着による性能の経時的な劣化は、避けら
れないものであった。かかる疎水性膜の欠点を解決する
ために該膜を親水化する手段として、製膜原液中に親水
性高分子を添加する方法(例えば特公平2−18695
号公報、特開昭61−93801号公報、特開昭61−
238306号公報、特開昭63−97205号号公報
など)があるが、一般にこの製膜原液中の親水性高分子
は膜の造孔剤としての役割も果たしており、製膜後洗浄
により取り除く必要があり、洗浄後の膜中には少量の親
水性高分子のみが残る。このような方法により製造され
た膜であっても、通常の使用に際しては血液成分の付着
をある程度抑制 することができるが、使用する患者の
血中成分の活性が高い場合などには必ずしも充分に血液
成分の付着を抑制 できるとは言えない。また、製膜後
材料表面に親水性高分子を固定化する方法(例えば特開
平6−238139号公報)があるが、この方法ではあ
る程度高い密度で親水性高分子を固定化しなければなら
ず、膜本来の透過性を低下させる危険がある。さらに、
血液成分と膜表面との相互作用の発現機序は非常に複雑
であり、膜の組成が微妙に変化するだけで、血液成分の
付着を抑制 するための最適な親水性高分子や処理条件
は異なる。現実に親水性高分子を導入することによりか
えって抗血小板付着性が低下する場合すらある。つま
り、現在までは高物質透過性、及び高い抗血小板付着性
の二つの性能を兼ね備えたポリスルホン系膜は実現され
ていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は従来の技術
の改良を目指し、高い物質透過性をもち、なお且つ血漿
蛋白や血小板等の血液成分の付着も少ない分離膜、およ
びかかる分離膜を内蔵した抗血小板付着性を有する血液
浄化器を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は次の構成を有する。すなわち、 1.「ポリビニルピロリドンを含むポリスルホン系樹脂
よりなる膜の表面の少なくとも一部にポリアルキレング
リコールが存在することを特徴とする分離膜。」 2.「ポリアルキレングリコールが不溶化処理されてい
ることを特徴とする前記分離膜。」 3.「ポリアルキレングリコールが0.01ng/cm2以上、50
0ng/cm2以下の割合で存在することを特徴とする前記い
ずれかの分離膜。」 4.「ポリアルキレングリコールが0.05ng/cm2以上、30
0ng/cm2以下の割合で存在することを特徴とする前記い
ずれかの分離膜。」 5.「血液浄化用である前記いずれかに記載の分離
膜。」 6.「前記分離膜を内蔵する血液浄化器。」
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の分離膜においては、ポリ
ビニルピロリドンを含有するポリスルホン系樹脂を主成
分として基体として使用する。ポリスルホン系樹脂は、
骨格にスルホン基をもつポリマーであればよく、さらに
式(1)の繰り返し単位からなるものが好ましいが、官
能基を含んでいたりアルキル系のものであってもよく、
また共重合していてもよい。
【化1】
【0007】分離膜に含有されるポリビニルピロリドン
の分子量は特に限定されるものではないが、市販の1
万、4万、16万、36万のもの、もしくはこれらの混合物
を用いることができる。
【0008】また、本発明の分離膜におけるポリスルホ
ン樹脂とポリビニルピロリドンの構成比は、特に限定さ
れるものではないが、分離膜の機械的強度を保つ意味か
ら、ポリスルホン99〜70%、ポリビニルピロリドン
1〜30%の範囲であることが好ましい。
【0009】本発明におけるポリビニルピロリドンを含
むポリスルホン系膜を製造するにあっては、例えば特公
平2-18695号公報、特開昭61-93801号公報、特開昭61-23
8306号公報等に開示されている製造方法を用いればよ
く、何等制限を加えるものではない。
【0010】本発明におけるポリアルキレングリコール
は例えばポリエチレングリコールやポリプロピレングリ
コールに代表される主鎖中に酸素原子を含む鎖状高分子
であるが、ポリアルキレングリコールがグラフトしたポ
リマーであっていてもよい。ポリアルキレングリコール
は、表面において0.01〜500ng/cm2、0.05〜300ng/cm2の
範囲の量であることが好ましい。
【0011】そしてポリアルキレングリコールは不溶化
されていることが好ましい。
【0012】ポリアルキレングリコールの不溶化を行う
にはポリビニルピロリドンを含むポリスルホン系の基体
膜をポリアルキレングリコール溶液(好ましくは水溶
液)に、浸漬などにより接触した状態で放射線を照射す
る方法が挙げられる。
【0013】本発明においては、かかる分離膜をプラス
ティックケースなどに内蔵することにより、血液浄化器
として好ましく用いることができる。本発明における血
液浄化器とは、血液透析器、血液濾過器、血液濾過透析
器、血漿分離器等の血液処理用の膜を含有するモジュー
ルである。また、ポリビニルピロリドンを含むポリスル
ホン系膜を含有する血液透析器、血液濾過器、血液濾過
透析器、血漿分離器等の血液浄化器を抗血小板付着性化
する場合であれば、該血液浄化器内の膜および少なくと
も血液が接触する部分全てにポリアルキレングリコール
水溶液が接触した状態で放射線処理すれば、膜表面ばか
りでなく、血液浄化器端部やヘッダーの内側などの血液
が接触する部位の全てを抗血小板付着性化することが可
能であり、例えば血液浄化器端部での血液凝固を軽減す
ることも可能である。
【0014】ポリアルキレングリコール水溶液のポリア
ルキレングリコールの分子量および水溶液の濃度は、特
に限定するものではないが、一般には低分子量、低濃度
の組み合わせであれば比較的抗血小板付着性化の程度は
低く、分子量が高くなるほど、また濃度が高くなるほど
抗血小板付着性化の程度は高くなる。しかし本発明の製
造方法ではポリアルキレングリコールの分子量を選択す
ることにより水溶液の濃度が1〜20000ppmと比較的低濃
度であっても十分な抗血小板付着性を得ることができる
ので抗血小板付着性化に対するコストを低く抑えること
ができ、このことは本発明の効果の一つである。他方、
高分子量、高濃度の組み合わせになると、膜表面にポリ
アルキレングリコール鎖が結合するだけでなくポリアル
キレングリコール鎖同士が互いに架橋してしまうため、
ポリアルキレングリコール鎖の運動性が損なわれ、思っ
たほど抗血小板付着性を付与できないばかりか、膜表面
でポリアルキレングリコールがゲル層を形成してしまう
ため、物質透過性能が低下する傾向もある。
【0015】但しポリアルキレングリコール水溶液の条
件は、ポリスルホン系膜中のポリビニルピロリドンの含
有比率や、膜の形状や細孔径、ポリアルキレングリコー
ル水溶液に対する膜の量など、また希望する抗血小板付
着性の程度により、個々の場合について最適な条件は異
なる。
【0016】放射線の照射量は特に限定されるものでは
なく、抗血小板付着性化したい膜表面や血液浄化器の血
液が接触する面にポリアルキレングリコール鎖が結合す
るだけの照射量があればよく、15〜35kGy程度の吸収エ
ネルギーでの照射が好適に用いられる。また、抗血小板
付着性を付与すると同時に滅菌を行うこともできる。こ
の場合、放射線の照射量は一般に滅菌線量以上であれば
幾らでも良いが、膜の強度劣化の問題や経済性を考慮し
て、25〜35kGy程度が望ましい。但し、放射線に対する
膜の劣化が無視しうる範囲である場合や経済性を考慮す
る必要のない場合には、放射線の照射量がこの範囲であ
る必要はない。
【0017】ポリスルホン系膜の表面でポリアルキレン
グリコールを不溶化するために放射線を使用する方法
は、ポリアルキレングリコール鎖を導入するための特別
の反応性基を必要としないため好ましい。一般にはポリ
スルホン系樹脂を含有する素材に反応性基を導入するこ
とは素材の価格が上昇するだけでなく、製造方法にまで
制限が生まれる。例えばポリスルホン系中空糸膜を紡糸
する際、その素材であるポリスルホン系樹脂に反応性基
を導入すると、一般にその化学的性質が変わるので、原
液調製の際の溶解性や製膜性が大きく変わり、製造条件
全てを検討し直す必要がある。つまり、中空糸紡糸原液
の調整方法から、製糸条件、後処理条件、ケース組み込
み工程の条件まで全ての工程において検討の必要があ
り、その労力は膨大なものとなる。更には、反応性基の
導入により一般には素材分子間の結合力が弱まり、中空
糸の強伸度特性が低下するために、製糸安定性が悪くな
り、生産性の低下が懸念される。これに対して、上記に
記載の製造方法によれば、従来の膜の製造方法を何等手
直しする必要はなく、従来の製造プロセスにポリアルキ
レングリコール水溶液充填と放射線照射のプロセスを付
け加えるだけで良く、膜表面のみの反応であるため中空
糸膜の強伸度特性の悪化の心配もほとんどいらない。更
に、既に滅菌方法として放射線照射を採用している場合
は、製品滅菌時にポリアルキレングリコール水溶液をモ
ジュールケース内に充填するだけでよい。
【0018】本発明における血液浄化器とは、血液透析
器、血液濾過器、血液濾過透析器、血漿分離器等の血液
処理用の分離膜を含有するモジュールである。
【0019】
【実施例】以下に本発明を実施例に基づいて説明する。
【0020】以下、用いた測定法は以下の通りである。
【0021】(1)ポリエチレングリコール(以下PEG
と略す)の表面濃度の測定 後の各実施例、比較例で説明するγ線照射後蒸留水にて
洗浄したミニモジュール(もしくは小型モジュール)を
解体し中空糸を取り出した。取り出した中空糸を50
℃、0.5torr にて10時間乾燥した。乾燥した中空糸
10〜100mgを試験管に取り、無水酢酸とパラトルエ
ンスルホン酸の混合溶液2mlを添加し、120℃で約1
時間アセチル化し、冷却後2mlの純水で器壁を洗い落と
した後、20%炭酸ナトリウム溶液で中和し、トリクロ
ロメタン5mlで抽出し、ガスクロマトグラフィー法(以
下GCと言う)で分析した。
【0022】膜表面上に存在しているPEG量は、予め作
成した検量線から求めた。
【0023】PEGの表面濃度はGCにより求めたPEG量を、
窒素吸着法により求めた膜の細孔内部を含む表面積で割
り、求めた。
【0024】(2)in vitro 血小板付着実験 洗浄後のミニモジュールの血液入口から中空糸中空部分
に、3.8%クエン酸ナトリウム水溶液を10容量%添
加した家兎新鮮血10ccを0.57ml/minで流し、その
後生理食塩水にて洗浄した後、グルタルアルデヒド固定
し、中空糸分離膜をミニモジュールから切り出して凍結
乾燥した。この中空糸の内表面を(フィールドエミッシ
ョン型走査電子顕微鏡)FE-SEMにて観察し、0.01cm2
の面積中の付着血小板数を数えた。
【0025】(3)in vivo 血小板付着実験 体重約3kgの家兎の頚動脈から導き出した血液を、洗浄
後の小型モジュールの血液入口から中空糸中空部に通
し、小型モジュールの血液出口から該家兎の頚静脈へ戻
す体外循環試験を行った。血液の流速は50ml/min、
抗凝固剤としてヘパリンを18IU 初期投与し、更に6
0IU/hr 持続投与しながら3時間循環した。体外循環
終了後、in vitro 血小板付着実験と同様に生理食塩水
にて洗浄後グルタルアルデヒド固定し、モジュールから
切り出した中空糸及びモジュールヘッダーを凍結乾燥し
た。この中空糸の内表面及びモジュールヘッダー内側
(血液接触面)をFE-SEMにて観察し、0.01cm2の面積
中の付着血小板数を数えた。
【0026】(4)in vitro β2-ミクログロブリン
(以下β2-MG)除去性能の測定 フィルター処理を行った牛血清 30ml に、ヒトβ2-M
Gを5mg/mlの濃度で溶解し、洗浄後のミニモジュールの
血液入口からの中空糸中空部分に1ml/minで灌流し、中
空糸外側には37℃に保ったPBS140mlを20ml/min
の速度で密閉形で灌流した。4時間灌流後中空糸内側・
外側灌流液を採取し、クリアランスを算出した。クリア
ランスは式(2)により算出した。
【数1】 ここでCL:クリアランス(ml/min)、CBi:モジュール入
口側濃度(mg/ml)、 CBo:モジュール出口側濃度(mg/m
l)、QB:モジュール供給液量(ml/min)である。
【0027】また、実施例、比較例に使用した試料中空
糸は次のようにして準備した。
【0028】実施例1〜11、比較例1〜3 ポリスルホン(ユ―デルP―3500)18部、ポリビ
ニルピロリドン(K30)2部をN,N-ジメチルアセトア
ミド(以下DMAcと言う)80部に加え、加熱溶解した。
この製膜原液をオリフィス型二重円筒型口金より吐出し
空気中を200mm通過した後、水100%の凝固浴中に
導き中空糸を得た。この際、内部注入液にはDMAc50
部、水50部の注入液を用いた。該中空糸の内径は0.
2mm、膜厚は0.04mmであった。
【0029】このようにして準備したポリスルホン中空
糸分離膜を40本束ね、中空糸中空部を閉塞しないよう
にエポキシ系ポッティング剤で両末端をガラス管モジュ
ールケースに固定し、図1に示すミニモジュールを作成
した。該ミニモジュールの直径は約7mm、長さは約10
cmである。
【0030】該ミニモジュールの血液流入口と透析液流
出口をシリコンチューブで繋ぎ、血液流出口から種種の
ポリエチングリコール水溶液またはポリビニルピロリド
ン水溶液100mlを100ml/minの流速で流し、ミニモ
ジュール内に空気が入らないようにキャップをし、30
kGyでγ線を照射した。ミニモジュールに充填したポリ
エチレングリコール水溶液およびポリビニルピロリドン
水溶液の溶質の数平均分子量および水溶液濃度を表1に
示す。γ線照射後のミニモジュールの血液流入口と透析
液流出口をシリコンチューブで繋ぎ、血液流出口から蒸
留水500mlを100ml/minの流速で流し中空糸および
モジュール内部を洗浄し、in vitro 血小板付着実験お
よびin vitro β2-MG除去性能の測定を行った。各ミニ
モジュールの測定結果を蒸留水を充填しγ線照射した比
較例1の結果を100とした相対値で表1に示す。
【0031】実施例12、比較例4 実施例1と同様に紡糸したポリスルホン中空糸分離膜
3,500本を束ね、中空糸中空部を閉塞しないように
ウレタン系ポッティング剤で中空糸分離膜の両末端をポ
リスチレン製モジュールケースに固定し、モジュールケ
ース両端部にポリスチレン製モジュールヘッダーを装着
し、図2に示す小型モジュールを作成した。該小型モジ
ュールの胴体部直径は約3cm、長さは約15cmである。
この小型モジュールの血液流入口と透析液流出口をシリ
コンチューブで繋ぎ、血液流出口から蒸留水もしくは分
子量6000、濃度2000ppmのポリエチングリコー
ル水溶液500mlを100ml/minの流速で流し、小型モ
ジュール内に空気が入らないようにキャップをし、30
kGyのγ線を照射した。γ線照射後の小型モジュールの
血液流入口と透析液流出口をシリコンチューブで繋ぎ、
血液流出口から蒸留水1000mlを100ml/minの流速
で流し中空糸およびモジュール内部を洗浄した後、in v
ivo 血小板付着実験を行った。また同様に処理した小型
モジュールを解体し、取り出した中空糸を用いて実施例
1と同様にミニモジュールを作成し、invitro β2-MG
除去性能の測定を行った。さらに解体して取り出した中
空糸を用いてポリエチレングリコールの膜表面結合密度
を測定した。実施例12の測定結果を蒸留水を充填しγ
線照射した比較例4の結果を100とした相対値で表6
に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】実施例1〜11の結果が示すとおり、ポリエ
チレングリコールを膜表面に結合することにより付着血
小板数は減少し、抗血小板付着性が向上することがわか
る。更に実施例12の結果から判るように、ヘッダー内
面の付着血小板数も減少することから血液浄化器の血液
接触面全体での抗血小板付着性化が可能であることも分
かる。また、β2-MG除去能は膜表面にポリエチレング
リコールを不溶化していない分離膜の性能をほぼ維持し
ており、物質透過性能の低下がほとんどないことが分か
る。
【0035】比較例2、3では、親水性高分子として一
般に知られているポリビニルピロリドンを膜表面に不溶
化しても、ポリビニルピロリドンを含むポリスルホン膜
に対しては抗血小板付着性化の効果がないばかりか、か
えって血小板が付着しやすくなっている。このことから
ポリビニルピロリドンを含むポリスルホン膜を抗血小板
付着性化するためには親水性高分子であればどのような
ものでもよいと言うわけではなく、ポリアルキレングリ
コールを膜表面に付着させることが重要であることがわ
かる。
【0036】実施例13 実施例12と同様に処理したγ線照射後の小型モジュー
ルを解体して中空糸を取り出し、その中空糸を50℃、
0.5torr にて10時間乾燥した。乾燥した中空糸20g
を200mlのDMAcに投入し、室温にて2時間撹拌した後、D
MAc不溶解分を濾別した。このDMAc不溶解分を新しいDMA
c200mlに再び投入し、室温にて2時間撹拌した。この操
作を3回繰り返し得られたDMAc不溶解分を蒸留水にて洗
浄し、50℃、0.5torr にて10時間乾燥した。乾燥
した不溶解分をKBr法にてIR測定した。また同時に、こ
の不溶解分に10〜100mgを試験管に取り、無水酢酸
とパラトルエンスルホン酸の混合溶液2mlを添加し、1
20℃で約1時間アセチル化し、冷却後2mlの純水で器
壁を洗い落とした後、20%炭酸ナトリウム溶液で中和
し、トリクロロメタン5mlで抽出し、GCで分析した。
【0037】IR測定の結果、測定チャートには、ポリス
ルホンのベンゼン環に由来する1585cm-1、スルホニル基
に由来する1150cm-1の吸収、ポリビニルピロリドンの第
3アミド基に由来する1690cm-1の吸収が認められた。GC
の結果からは、ポリエチレングリコール由来のピークが
認められた。以上の結果から、ポリビニルピロリドンを
含むポリスルホン膜をポリエチレングリコール水溶液中
でガンマ線照射することにより、ポリスルホン、ポリビ
ニルピロリドン、ポリエチレングリコールの3成分が互
いに架橋することがわかった。
【0038】
【発明の効果】以上述べた如く、本発明による分離膜は
高い抗血小板付着性をもち、尚且つ高い物質透過性能を
もった分離膜であり、血液浄化用に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例1〜11、比較例1〜3に用いた
ミニモジュールの模式図である。
【図2】本発明実施例12、比較例4に用いた小型モジ
ュールの模式図である。
【符号の説明】
1. 血液入口 2. ポッティング部 3. 透析液入口 4. 中空糸分離膜 5. ガラス管モジュールケース 6. 透析液入口 7. 血液出口 8. モジュールヘッダー 9. モジュールケース

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリビニルピロリドンを含むポリスルホン
    系樹脂よりなる膜の表面の少なくとも一部にポリアルキ
    レングリコールが存在することを特徴とする分離膜。
  2. 【請求項2】該ポリアルキレングリコールが不溶化処理
    されていることを特徴とする請求項1記載の分離膜。
  3. 【請求項3】該ポリアルキレングリコールが0.01ng/cm2
    以上、500ng/cm2以下の割合で存在することを特徴とす
    る請求項1または請求項2記載の分離膜。
  4. 【請求項4】該ポリアルキレングリコールが0.05ng/cm2
    以上、300ng/cm2以下の割合で存在することを特徴とす
    る請求項1または請求項2記載の分離膜。
  5. 【請求項5】血液浄化用である請求項1〜4いずれかに
    記載の分離膜。
  6. 【請求項6】請求項5記載の分離膜を内蔵する血液浄化
    器。
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