JPH1143769A - 蒸着装置 - Google Patents

蒸着装置

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JPH1143769A
JPH1143769A JP21247897A JP21247897A JPH1143769A JP H1143769 A JPH1143769 A JP H1143769A JP 21247897 A JP21247897 A JP 21247897A JP 21247897 A JP21247897 A JP 21247897A JP H1143769 A JPH1143769 A JP H1143769A
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Masamitsu Nakagawa
萬先充 中川
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Victor Company of Japan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 蒸着材料の望ましくない領域への付着を防止
するために設けられた防着テープの走行機構において、
防着テープの巻出し、巻取り機構を蒸着室内部に配設す
ることにより蒸着装置が大型化し、排気に長時間を要す
るなど稼働率の低下を招いていた。さらに、空間的な制
約から防着テープを大径とできないため、耐熱性の低い
高分子フィルムが使用できず、製造コストが上昇する。 【解決手段】 マスク7の開口周縁部を覆うように、帯
状の防着材26〜29を走行させる機構を設けるととも
に、蒸着室の外部に帯状の防着材の巻出し室41、5
1、65及び巻取り室42、52、66を配設し、この
防着材が巻出し室内から巻き出され、蒸着室内を通過し
て前記巻取り室内に巻き取られるように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は真空中で蒸着材料を
溶融、蒸発させ、基材に付着させるための蒸着装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】基材表面に、これとは別種の材料を付着
させる手段として、蒸着工程が広く使用されている。基
材としては、ガラス板等板状のものを使用する場合もあ
るが、例えば、包装材料、磁気記録媒体などの分野で
は、高分子フィルムを基材として蒸着が行われている。
高分子フィルムに蒸着を行う場合、基材となるフィルム
は、数千〜数万mの長さのものがロール状に巻かれたも
のであり、このロールを装置内にセットし、1ロールの
蒸着を連続して行うことが一般的である。
【0003】図3及び図4は、従来の蒸着装置の主要部
の構成を示す図であり、図3は後述する冷却ロール3の
端面方向から見た図、また、図4は図3の冷却ロール3
の斜視図である。図3において、蒸着室(図示せず)内
に、基材用巻出しロール、基材用巻取りロール(共に図
示せず)、基材用ガイドロール1、2及び冷却ロール3
が各々配置され、これらのロール間に基材であるフィル
ム4が巻回され、図に矢印で示された方向に走行する。
冷却ロール3の下方には蒸着材料5を収容するルツボ6
が配置されており、ルツボ5を図示しない加熱装置によ
り加熱して、蒸着材料5を溶融、蒸発させることにより
フィルム4へ蒸着材料5を付着させる。そして、ルツボ
6の周囲は、蒸着材料5の装置内での飛散を防ぐため、
防着板(図示せず)で囲まれている。
【0004】ところで、磁気記録媒体などを製造するた
めに、1,000℃を超える高い融点を持つ材料の蒸着
を行う場合、このようなフィルム4、例えば高分子フィ
ルムは耐熱性が十分でないことが多いため、冷却ロール
3の内部には、図示しない冷却装置が設けられ、上記フ
ィルム4への蒸着時に、温度上昇によるこのフィルム4
の変形などを防止している。したがって、蒸着領域にお
いては、フィルム4を冷却ロール3に密着させる必要が
ある。また、一般に、図4に示すように、フィルム4の
幅は冷却ロール3の幅よりも小さいため、冷却ロール3
の外周面両端部は露出した状態となっている。
【0005】このような構成の装置においては、冷却ロ
ール3に蒸発した材料が付着するのを防止するために、
冷却ロール3の外周面両端部を覆うことが必要である。
また、例えば、磁気記録媒体を作製する場合には、電磁
変換特性上の要求から、フィルム4の表面における材料
の付着、成長方向を制御する必要があるため、不適切な
領域に蒸着が行われることを防ぐことが要求される。そ
のため、これらの不適切な領域を覆うために、マスク7
が配設されている。図4に示すように、マスク7は、例
えば、冷却ロール3の外周面に対向する湾曲面7fと、
冷却ロールの両端面を覆う平面7g、7hから構成され
ており、湾曲面7fには、フィルム4への蒸着領域に対
応する開口7eが形成されている。この開口7eの周縁
部は、上述したフィルム4の端部と冷却ロール3の端部
との間を覆う領域7a、7b、並びに、蒸発材料5のフ
ィルム4面への入射、成長角度を規制するための領域7
c、7dとなっている。
【0006】しかし、上記のような冷却ロール3及びマ
スク7を備えた蒸着装置においては蒸着工程中、ルツボ
6から蒸発した蒸着材料5はフィルム4上に付着すると
ともに、このマスク7の開口周縁部7a、7b、7c及
び7dにも付着する。例えば、連続して長尺フィルムへ
蒸着を実施すると、マスク7への付着物の量が非常に多
くなってしまう。とくに、磁気記録媒体の製造装置にお
いては、無効蒸気の付着物が全蒸発材料の85〜90%
を占め、有効蒸気(材料利用効率)は10〜15%程度
と、極めて低いことが一般的である。さらに、付着物の
量が増加すると、極端な場合には、付着物の塊が落下す
ることによるダストの発生、同じく付着物の塊のルツボ
6内への落下による蒸着材料5の飛散などの不具合が発
生するため、連続的に蒸着を行えるフィルムの長さには
限界があった。そこで、従来は、蒸着工程において、マ
スク7への付着物量が増加すると、一旦、装置内の真空
を解除し、常圧に戻し、また、ルツボ6の加熱も中断し
てから真空槽を解放して付着物の除去を行っていた。こ
のような操作を定期的に行う必要があるため、その都
度、真空及び加熱の停止・再開を繰り返さねばならなか
った。これらの作業には多大の手間と時間が掛かり、そ
の結果、装置の稼働率、生産性の著しい低下を招いてい
た。
【0007】このような問題を解消するために、本発明
者は、マスクの開口周縁に沿って帯状の防着材、例え
ば、防着テープを走行させる機構を備えた蒸着装置を提
案した(特願平8−317051号)。この従来技術で
はないが先願に係る蒸着装置を図5及び図6に示す。な
お、図中、図3、4と同一の構成要素には、同一の符号
を付してある。
【0008】マスク7の開口7eの左右両側縁部7a、
7b(図4)には、これらの面に密着しながら帯状の防
着材、例えば、防着テープ10、11が走行する。具体
的には、巻出しロール12、13(ロール13のみ図
示)からガイドロール14、15、16、17を経て、
巻取りロール18、19(ロール19のみ図示)へ巻回
された防着テープ10、11がそれぞれ図中上から下へ
走行する。一方、マスク7の開口7eの上縁7cに沿う
部分には、巻出しロール20及び巻取りロール21の間
を防着テープ22が、図中、左から右へ走行し、同じく
開口7eの下縁7dに沿う部分には、巻出しロール23
及び巻取りロール24の間を防着テープ25が、図中、
左から右へ走行する。そして、これらの4本の防着テー
プ10、11、22及び25によって囲まれた領域(図
6の斜線で示した領域)は、上述したマスク7の開口7
eに略相当する。すなわち、これらの4本の防着テープ
により蒸発材料5のフィルム4面への入射角度、成長角
度が規制されている。
【0009】かかる蒸着装置において、図示しない加熱
装置によりルツボ6内の蒸着材料5が溶融、蒸発してフ
ィルム4上に成膜されるとともに、各防着テープ10、
11、22及び25がそれぞれ所定の速度で走行し、従
来マスク7の開口7e周縁に付着していた蒸着材料が、
これらの防着テープの表面に付着する。マスク7の開口
周縁での防着テープの滞在時間は限られたものとなるた
め、付着物が大きく成長したり、その結果落下したりす
ることが防止される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この帯
状の防着テープを走行させる機構は、蒸着装置内、具体
的には蒸着室内に基材フィルムと共に配設されるもので
あるため、蒸着装置全体が大きくなってしまうという不
都合がある。蒸着装置が大型化すれば、排気に要する時
間も長くなり、生産性は低下する。装置の大型化を避け
るためには、防着テープの走行速度を遅くして防着テー
プの巻径をできるだけ小さくする必要がある。しかし、
防着テープの速度を遅くするためには、従来の高分子フ
ィルムでは耐熱性が不充分であり、耐熱性の高いテー
プ、例えば、金属フィルムなどを用いなければならない
が、これらは非常に高価であるという問題がある。いず
れにしても、このような蒸着装置では、基材フィルムの
処理長は装置の大きさに依存して決定されてしまう。ま
た、上述した金属フィルムを大量に用いると重量が過大
となって、取り扱いが不便であると同時に、危険性も増
加する。さらに、防着テープの走行速度を遅くすること
により、付着物の厚さが過度に増大し剥離しやすくなる
ため、巻取り時に付着物が落下し、歩留りを低下させる
という問題もある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は、装置を大型
化することなく、しかも、安価な高分子フィルムを使用
することのできる防着テープの走行機構について種々検
討を重ねた結果、防着テープの巻出し、および、巻取り
機構を、蒸着室とは別の空間、すなわち、蒸着室の外部
に設置すればよいとの着想を得た。すなわち、本発明に
よれば、蒸着室内に、基材への蒸着領域を限定する開口
を有するマスクを備えた蒸着装置に、マスクの開口周縁
部を覆うように、帯状の防着材を走行させる機構を設け
るとともに、この蒸着室の外部に帯状の防着材の巻出し
室及び巻取り室を配設し、この防着材が巻出し室内から
巻き出され、記蒸着室内を通過して巻取り室内に巻き取
られるようにしたものが提供される。さらに、上記の構
成において、帯状の防着材としては高分子フィルムが適
用でき、また、この高分子フィルムは、巻出し室内でプ
ラズマ処理されることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】図1及び2を参照しながら本発明
の蒸着装置の具体的構成について説明する。図1は蒸着
装置を冷却ロール3の端面方向から見た図であり、図2
は同じ蒸着装置をマスクの開口部の正面方向から見た図
である。なお、これらの各図において、前述した図3〜
6と同一の構成要素には同一の符号を付してある。図に
おいて、蒸着室30内には、基材であるフィルム4の巻
出しロール31及び巻取りロール32、並びに、冷却ロ
ール3が配置されている。冷却ロール3の周面には開口
部が形成されたマスク7が配設され、開口部の下方には
蒸着材料5を入れたルツボ6が配置されている。ルツボ
6の周囲は防着板36、37で囲まれ、飛散した蒸発材
料が蒸着室30内の様々な部材に付着することが防止さ
れている。防着板36は例えば図示のように断面T字状
に構成されており、蒸発材料の上部への飛散が防止され
ている。
【0013】マスク7の開口周縁部には、基材フィルム
4の走行方向に沿って2本の防着テープ26、27が走
行する機構が、また、水平方向にかつ、基材フィルム4
の走行方向に直交する方向に別の2本の防着テープ2
8、29が走行する機構がそれぞれ設けられている。な
お、マスク7には図示しない水冷機構を設け、防着テー
プ26、27をこのマスク7の周面に密着させることに
より、蒸着時の熱の影響を防ぐように構成することが好
ましい。
【0014】防着テープ26の走行機構は、蒸着室30
の外部に中間室39、40を介してそれぞれ配置された
防着テープ巻出し室(以下、単に巻出し室という)4
1、防着テープ巻取り室(以下、単に巻取り室という)
42、巻出し室41内に配設された巻出しロール43、
ガイドロール45、巻取り室42内に配設された巻取り
ロール44、ガイドロール46、さらに、蒸着室30内
に配設されたガイドロール33、34、35から構成さ
れる。そして、この巻出し室41内には、防着テープ2
6表面のプラズマ処理を行うために、防着テープ26を
挟むように一対のプラズマ放電電極47が配設され、こ
のプラズマ放電電極47はプラズマ電源48に接続され
ている。このような構成の防着テープ走行機構におい
て、巻出し室41及び巻取り室42は蒸着室30とは別
個の小さな真空槽中に設けられ、蒸着室30との間にさ
らに小さな中間室39、40を設けることにより差動排
気を行うことができる。以上は、防着テープ26の走行
機構を説明したものであるが、防着テープ27について
も、図示しないが、これと同様の走行機構が配設されて
いる。
【0015】次に、防着テープ28、29の走行機構に
ついて説明する。防着テープ28の走行機構として、蒸
着室30に中間室49、50を介して巻出し室51、巻
取り室52がそれぞれ設けられ、巻出し室には巻出しロ
ール53が、巻取り室52には巻取りロール54がそれ
ぞれ配設され、防着テープ28は巻出しロール53から
巻き出され、ガイドロール55〜60を経て、巻取りロ
ール54に巻き取られる。防着テープ29の走行機構
も、上記と同様に蒸着室30に中間室63、64を介し
て巻出し室65、巻取り室66がそれぞれ設けられ、巻
出し室には巻出しロール67が、巻取り室66には巻取
りロール68がそれぞれ配設され、防着テープ29は巻
出しロール67から巻き出され、ガイドロール69〜7
4を経て、巻取りロール68に巻き取られる。上記の防
着テープ28、29の走行機構においても、各巻出し室
51、65内には、各防着テープ28、29表面のプラ
ズマ処理を行うために、各防着テープ28、29を挟む
ように一対のプラズマ放電電極61、75がそれぞれ配
設され、これらのプラズマ放電電極61、75はプラズ
マ電源62、76にそれぞれ接続されている。
【0016】蒸着時には、各防着テープ26〜29はそ
れぞれ巻出し室41、51、65内から巻出され、蒸着
室30内を走行し、無効蒸気による付着物を付着させた
状態でそれぞれ巻取り室42、52、66内に巻き取ら
れる。このとき、防着テープの巻径は蒸着室30の大き
さに関係なく設定できるので、高分子フィルムの防着テ
ープが十分使用できるような走行速度を選択することが
できる。したがって、安価な高分子フィルムを用いるこ
とにより、製造コストを大幅に低減させることが可能と
なる。さらに、各防着テープ26〜29は、それぞれの
巻出し室であらかじめプラズマ処理されることにより防
着テープに付着した水分が除去され、防着テープの付着
強度が向上するため、蒸着室30内のダストの発生を防
止することができる。
【0017】このように、防着テープの巻き出し、巻き
取りを蒸着室30とは別の小さな真空槽で行うことによ
り、蒸着室の内容積を増大させることなく、防着テープ
の走行機構を構成することが可能となるため、防着テー
プの巻出しロールを大径として、防着テープの走行速度
を増大することができる。したがって、耐熱性の低い高
分子フィルムを使用した場合も、長時間の連続蒸着が可
能となる。さらに、防着テープの巻出し室、巻取り室
は、蒸着室のような高真空にする必要がないため、排気
系の構成も簡単なものとすることができる。また、巻出
し、巻取り室は、プラズマ処理に必要な低真空状態とし
ても、蒸着室はそれとは別個に常に高真空に保つことが
でき、プラズマ処理の際のガスの種類は全く制約を受け
ず自由に選択できるという利点がある。
【0018】<実施例>以下に示す実施例により、本発
明を具体的に説明する。図1、2に示した蒸着装置にお
いて、直径600mm、幅300mmの冷却ロール3、
幅250mmのフィルム4、幅300mmのルツボ6を
用い、フィルム4への成膜幅を250mmとし、ルツボ
6内の蒸着材料5の溶融、蒸発は出力80kw、90°
偏向の電子銃を使用し、防着板36には電子の入射に必
要な窓を設け、ルツボ6付近には偏向用マグネットを設
置した。この装置を用いて以下の実験を行った。
【0019】<実験1>各防着テープの巻出し、巻取り
機構を蒸着室30内に配設した場合と、図1、2に示し
た本発明の蒸着装置のように、巻出し室及び巻取り室を
別途配設した場合との比較を行うために、蒸着室30内
に蒸着の基材フィルム4として、厚さ5μmのPET
(ポリエチレンテレフタレート)フィルム10000m
と、防着テープとして10μm厚さのPETフィルム5
000mを入れた場合と、蒸着室30内には基材として
厚さ5μmのPETフィルム10000mのみを入れ、
防着テープの巻出し室及び巻取り室を、図1、2に示し
たように、別室とした場合とで排気実験を行った。
【0020】その結果、防着テープを蒸着室内に同時に
セットした場合は、蒸着室内が蒸着可能な真空度、例え
ば、5×10-6Torrに達するまでに2時間を要した
が、防着テープを別空間にセットした場合は、30分間
で所望の真空度に達し、上記の約4分の1の時間ですむ
ことが確認された。さらに、分圧計で真空槽内を測定し
たところ、防着テープの巻出し、巻取り機構を蒸着室内
に入れた場合は、別室とした場合に比べて、水分圧が異
常に高くなっており、フィルム基材表面に付着した水が
排気速度低下の原因となっていることが明らかになっ
た。
【0021】<実験2>つづいて、防着テープを蒸着室
と別室にセットし、走行速度50m/minで蒸着室内
を走行させながら分圧計により蒸着室内の測定を行っ
た。分圧計で蒸着室内の水分圧を測定したところ、防着
テープを走行させない場合に比べ、水分圧が高い状態で
あった。フィルム表面に水が付着すると、付着強度の低
下を招き、付着物の剥離の原因となるため、蒸着室内の
防着テープ巻取り側にパーティクルモニターを設置し、
以下の実験を行った。すなわち、蒸着の基材として、厚
さ5μmのPETフィルムを、また、蒸着材料としてコ
バルト(Co)を用い、酸素ガスを導入しながら、フィ
ルムの走行速度100m/min、成膜厚み0.2μm
の条件で連続成膜を行った。この初期の条件通りに材料
が蒸発するようにルツボの上の材料蒸気濃度を原子吸光
式のモニターで監視し、蒸発量を一定に保った。この条
件で固定マスク上に防着テープを走行させたもので、連
続的に成膜を行い、成膜中の現象を観察した。また、防
着テープには、厚さ10μmのPETフィルムを用い、
防着テープの走行速度は50m/minとした。なお、
この実験においては、防着テープの表面処理は行わなか
った。
【0022】観測結果をまとめると、以下のとおりであ
る。パーティクルモニターにより成膜中のダスト量を観
測すると、成膜前にはほとんど見られなかったものが、
成膜開始に伴い大きく増えるという現象が観察された。
そこで、成膜終了後の防着テープ表面を観察したとこ
ろ、エッジ部分での付着物の剥離が一部確認された。こ
の原因を、本発明者は防着テープ表面の水分付着による
付着強度の低下であると判断した。また、蒸着中に水分
が多いと、防着テープだけでなく、基材フィルムへの蒸
着材料の付着強度も低下し、磁気特性も悪化することが
懸念されるため、防着テープ表面の水分を除去するため
に次のような実験を行った。
【0023】<実験3>防着テープを蒸着室とは別の巻
出し室にセットし、この巻出し室内に酸素ガスを導入
し、圧力0.01Torrで、AC電源により出力1k
Wで防着テープ表面をプラズマ処理したことを除いて
は、上記実験2と同様にして成膜を行った。この結果、
成膜中の水分量は、防着テープをセットしない場合と同
等であり、パーティクルモニターにより観測されたダス
ト量も、成膜前の状態と同様で良好であった。これは、
プラズマ処理により、防着テープ表面の水分が除去さ
れ、それにより付着強度が増加したためであると考えら
れる。
【0024】以上の実験からも明らかなように、防着テ
ープの巻出し、巻取り機構を蒸着室と別に設けることに
より、蒸着室を大型化する必要がなく、排気時間を短縮
できるため、装置の稼働率、生産性が向上する。しか
も、防着テープの巻出し、巻取りロールを比較的大径と
して、走行速度を上げることができるので、安価な高分
子フィルムを使用することができ、製造コストの低減が
可能となる。さらに、防着テープをあらかじめプラズマ
処理しておくことにより、防着テープ表面の水分が除去
され、付着強度が増大するので、蒸着工程中のダストの
発生が防止され、製品の品質向上および歩留り向上に有
効であることが確認された。
【0025】なお、本実験ではプラズマ処理用電源とし
て、AC電源を用いたが、これに限定されるものではな
く、DC、RF、マイクロ波などプラズマを発生させる
ものであれば使用可能である。また、プラズマ処理条件
も上記の条件に限定されるものではなく、必要に応じて
適宜設定することができる。
【0026】
【発明の効果】以上詳細に説明したとおり、本発明によ
れば、防着テープの巻出し室、巻取り室を蒸着室とは別
室としたので、蒸着装置自体を大型化することなく、防
着テープとして安価な高分子フィルムを使用して長時間
の連続蒸着が可能となる。さらに、防着テープの表面を
あらかじめプラズマ処理することにより、蒸着時のダス
トの発生が防止されるため、蒸着テープの品質が向上
し、装置の稼働率、生産性、歩留りが向上するという利
点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の蒸着装置を冷却ロールの端面方向から
見た概念的構成図である。
【図2】図1の蒸着装置を冷却ロールの外周面の正面か
ら見た図である。
【図3】従来の蒸着装置を冷却ロールの端面方向から見
た概念的構成図である。
【図4】図3における冷却ロール及びマスクの斜視図で
ある。
【図5】従来の蒸着装置を冷却ロールの端面方向から見
た概念的構成図である。
【図6】図5の蒸着装置を冷却ロールの外周面の正面か
ら見た図である。
【符号の説明】
1、2 ガイドロール 3 冷却ロール 4 基材(高分子フィルム) 5 蒸着材料(Co) 6 ルツボ 7 マスク 7a、7b、7c、7d 開口周縁 7e 開口 26、27、28、29 帯状の防着材(防着テープ) 33、34、35、45、46、55〜60、69〜7
4 ガイドロール 39、40、49、50、63、64 中間室 41、51、65 巻出し室 42、52、66 巻取り室 43、53、67 巻出しロール 44、54、68 巻取りロール 47、61、75 プラズマ放電電極 48、62、76 プラズマ電源

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蒸着室内に、基材への蒸着領域を限定す
    る開口を有するマスクを備えた蒸着装置において、この
    マスクの開口周縁部を覆うように、帯状の防着材を走行
    させる機構を設けるとともに、前記蒸着室の外部に前記
    帯状の防着材の巻出し室及び巻取り室を配設し、この防
    着材が前記巻出し室内から巻き出され、前記蒸着室内を
    通過して前記巻取り室内に巻き取られるように構成した
    ことを特徴とする、蒸着装置。
  2. 【請求項2】 前記帯状の防着材が高分子フィルムであ
    る請求項1の蒸着装置。
  3. 【請求項3】 前記高分子フィルムが、前記巻出し室内
    でプラズマ処理される請求項1記載の蒸着装置。
JP21247897A 1997-07-23 1997-07-23 蒸着装置 Withdrawn JPH1143769A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103361623A (zh) * 2013-07-30 2013-10-23 林正亮 一种卷绕蒸发式真空镀膜机

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CN103361623A (zh) * 2013-07-30 2013-10-23 林正亮 一种卷绕蒸发式真空镀膜机
CN103361623B (zh) * 2013-07-30 2016-07-06 林正亮 一种卷绕蒸发式真空镀膜机

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