JPH1143284A - トロリークレーン装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 狭小地等でも資材置き場の確保が容易である
とともに、建築構造物外周に沿った建築資材の搬送距離
を短くすることのできるトロリークレーン装置を提供す
ること。 【解決手段】 建築構造物Ｂの上部外周に沿って外周レ
ール５を設けて外周トロリー部６を移動自在に支持さ
せ、該外周トロリー部６に外周ウインチ７を設けたトロ
リークレーン装置において、建築構造物Ｂにその一部が
床３の上方に位置するように荷受け用レール１２を設け
るとともに、該荷受け用レール１２に荷受け用トロリー
部１８を介して荷受け用ウインチ２０を移動自在に支持
させたもの。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、建築中の建築構造物の
外周に沿って外壁パネル等の建築資材を運搬できるよう
にしたトロリークレーン装置に係り、詳しくは上記建築
構造物の施工済の床上に建築資材を荷受けする荷受け用
クレーン部を設けたトロリークレーン装置に関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】従来、建築中の建築構造物の上部、例え
ば、最上階の外周に沿ってレールを設けてトロリー部を
移動自在に支持させるとともに、外壁パネル等の建築資
材を吊り上げるためのウインチを上記トロリー部に取り
付けたトロリークレーン装置が提案されている（特開平
７−179287号公報参照）。係るトロリークレーン装置
は、例えば、上記ウインチで外壁パネルを吊り上げて、
必要により、建築構造物の外周に沿って搬送しながら取
り付ける際に使用する。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記外壁パ
ネル等の建築資材は建築現場に運搬した後、使用時まで
建築現場で保管する必要があるが、狭小地等では地上に
充分な資材置き場を確保しにくい問題を有していた。そ
こで、建築資材を、一旦上記建築構造物の上層階におけ
る施工済の床まで起重機で吊り上げてこの床上で保管す
ることも考えられるが、狭小地等で起重機を搬入できな
い場合は上層階の床を資材置き場として利用することも
困難なものである。

【０００４】また、地上に資材置き場を確保できる場合
でも、取付時に、外壁パネルを１枚毎、上記トロリーク
レーン装置のウインチで吊り上げ、取付位置まで建築構
造物の外周を上記レールに沿って運搬するものであるか
ら、運搬距離が長くなって施工性が悪くなる問題を有し
ていた。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は前記の課題を解
決して、狭小地等でも資材置き場の確保が容易であると
ともに、建築構造物外周に沿った建築資材の搬送距離を
短くすることのできるトロリークレーン装置を提供する
ことを目的とする。

【０００６】そのため、本発明の請求項１に係るトロリ
ークレーン装置は、建築構造物の上部外周に沿って外周
レールを設けて外周トロリー部を移動自在に支持させ、
該外周トロリー部に外周ウインチを設けたトロリークレ
ーン装置において、上記建築構造物にその一部が床の上
方に位置するように荷受け用レールを設けるとともに、
該荷受け用レールに荷受け用トロリー部を介して荷受け
用ウインチを移動自在に支持させたことを特徴としてい
る。

【０００７】上記の構成では、建築現場まで運搬された
建築資材は、上記荷受け用ウインチで吊り上げ、上記荷
受け用レールに沿って上記床の上方へ移動させた後、上
記床上に降ろして、この床上で保管する。

【０００８】請求項２に係るトロリークレーン装置は、
請求項１の構成において、上記荷受け用レールの端部を
上記建築構造物から屋外へ突出させたことを特徴とする
ものである。この場合、建築資材を吊り上げる際には、
荷受け用ウインチを荷受け用レールの端部に移動させ
て、建築構造物の外方で運搬車両等から建築資材を吊り
上げる。

【０００９】請求項３に係るトロリークレーン装置は、
請求項１または２の構成において、上記荷受け用レール
と略直交する方向に、荷受け用レールから上記外周レー
ルに向けて延びる移送用レールを設け、該移送用レール
に移送用トロリー部を介して移送用ウインチを移動自在
に支持させたことを特徴とするものである。

【００１０】上記構成では、上記外周ウインチで建築資
材を運搬する場合、上記床上に保管している建築資材を
上記移送用ウインチで吊り上げ、移送用レールに沿って
外周レール側へと移動させて外周ウインチへと移載す
る。

【００１１】請求項４に係るトロリークレーン装置は、
請求項３の構成において、上記移送用レールが上記荷受
け用レールと略直交する方向に延びる梁であることを特
徴とするものである。

【００１２】請求項５に係るトロリークレーン装置は、
請求項１または２の構成において、上記荷受け用レール
と略直交する方向に延びる隣接する２つの梁間に上記荷
受け用レールと略平行に移送用レールを設けて該移送用
レールを上記隣接する２つの梁に沿って移動自在とし、
且つ上記移送用レールに移送用トロリー部を介して移送
用ウインチを移動自在に支持させたことを特徴とするも
のである。

【００１３】この場合、外周ウインチで建築資材を運搬
する際には、上記移送用ウインチを移送用レールに沿っ
て移動させることにより、移送用ウインチを建築資材の
真上に移動させ、この状態で建築資材を移送用ウインチ
によって吊り上げる。続いて、移送用レールを上記隣接
する２つの梁に沿って外周レール方向へ移動させること
により、建築資材を外周レール側へと運搬する。

【００１４】請求項６に係るトロリークレーン装置は、
請求項１乃至５のいずれかの構成において、上記施工済
の床が建築資材の取付を行う階またはそれより上の階の
床であることを特徴とするものである。

【００１５】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図１及び図２に示すように、建築
中の３階建の建築構造物Ｂは、各々コラムからなる柱１
及びＨ形鋼からなる梁２を有するとともに、２階及び３
階の底部には複数枚の床パネルが敷設されて床３が構成
されている。なお、図１、図２では、簡単のため、床３
は個々の床パネル毎に区分して示していない。図３にも
示すように、３階の天井部分の外周における梁２上に
は、複数の支柱４が、上フランジ２ａに設けた孔（図示
せず）を利用してボルト・ナット２ｂで取り付けられ、
支柱４は梁２から上方へ立設されている。

【００１６】支柱４の上端部には、支柱４と略直交して
建築構造物Ｂの屋外側へ延びるアーム４ａが一体に設け
られ、アーム４ａの先端部には、建築構造物Ｂの外周に
沿って水平方向へ延びる外周レール５が着脱自在に取り
付けられている。この外周レール５は、上下一対の鋼製
等のパイプ５ａ、５ｂと、これらパイプ５ａ、５ｂを連
結する連結片５ｃとからなり、アーム４ａの先端部に設
けた取付片４ｂに上記連結片５ｃが不図示のボルト・ナ
ット等により固定されている。

【００１７】外周レール５の上方のパイプ５ａ上には、
外周トロリー部６のローラ６ａが回転自在に係止され、
これにより、外周トロリー部６が外周レール５に移動自
在に支持されている。ローラ６ａを回転可能に支持する
支持部材６ｂには、下方のパイプ５ｂの内側に沿って起
立する脱落防止用のピン６ｃが設けられている。また、
支持部材６ｂには、この支持部材６ｂの前後でパイプ５
ｂの下方に係合するバランス維持用の係合片６ｄが設け
られている。

【００１８】支持部材６ｂの下端部に設けられた係止ピ
ン６ｅには、外周ウインチ７がフック７ａで着脱自在に
取り付けられている。外周ウインチ７は不図示の内蔵モ
ータによりロープ８を巻き上げまたは巻き下ろし、ロー
プ８の先端に取り付けたフック９を外壁パネル１０（建
築資材）側のロープ１１に係止して吊り上げた状態で、
外壁パネル１０を建築構造物Ｂの外周に沿って運搬でき
るようになっている。上記外周レール５、外周トロリー
部６及び外周ウインチ７は外周クレーン部Ｃ１を構成す
る。なお、ここでは、外周レール５の長手方向に沿った
外周トロリー部６の移動は手動で行うものであるが、ロ
ーラ６ａに連結されるモータを設けて、外周トロリー部
６を自走式としてもよい。

【００１９】本実施の形態では、３階の床３を外壁パネ
ル１０等の建築資材を保管するための資材置き場Ｓ（ス
トックヤード）としている。そのため、３階の天井部分
で建築構造物Ｂの短辺方向（図１の上下方向）に延びる
複数の梁２に、これらの梁２と直交するように荷受け用
レール１２（Ｈ型鋼）が着脱自在に取り付けられてい
る。荷受け用レール１２は建築構造物Ｂの短辺方向の略
中央部で該建築構造物Ｂの長辺方向に沿って延び、荷受
け用レール１２の一方の端部１２ａは建築構造物Ｂから
屋外へ突出している。図１及び図２から明らかなよう
に、荷受け用レール１２の屋外への突出量は、外周レー
ル５の屋外側への張り出し量よりかなり大きく設定され
ている。

【００２０】次に、梁２に対する荷受け用レール１２の
取付に用いる取付治具１３を図４に示す。この取付治具
１３は、正方形状の鉄板の各辺の中央部を半円状に切り
欠いたものを本体板１４とし、本体板１４の各コーナ部
にボルト挿通用の孔１４ａが設けられている。

【００２１】また、本体板１４の上面の一方の対角線Ｌ
１−Ｌ１上には、２つの平行四辺形状の支持板１５が、
本体板１４の一辺に沿った挟着側面１５ａ（図６参照）
同士が平行をなすように対称位置に固定され、これら支
持板１５上に各々爪板１６が固定されている。爪板１６
は支持板１５の挟着側面１５ａから本体板１４と平行に
本体板１４の中心Ｏ方向へ張り出しており、本体板１４
の他方の対角線Ｌ２−Ｌ２方向へ延びる各爪板１６の挿
入側面１６ａ同士が平行をなしている。

【００２２】図５に示すように、２つの支持板１５の各
挟着側面１５ａ間の距離Ｄ１は、梁２の下フランジ２ｃ
の幅Ｗと略等しいかまたは幅Ｗより若干大きくなるよう
に設定され、且つ２つの爪板１６の各挿入側面１６ａ間
の距離Ｄ２は、下フランジ２ｃの幅Ｗより若干大きく設
定されている。また、支持板１５の厚みは、下フランジ
２ｃの厚みと略等しいか下フランジ２ｃの厚みより若干
大きくなるように設定されている。

【００２３】梁２の下方で荷受け用レール１２を梁２と
略直交するように取り付ける際には、梁２の下フランジ
２ｃの下方に取付治具１３を配置し、まず、図５に２点
鎖線で示すように、下フランジ２ｃを両爪板１６の挿入
側面１６ａで挟み込むようにして本体板１４の上面を下
フランジ２ｃの下面に当接させ、この状態で点線で示す
ように、取付治具１３を反時計方向へ約４５°回動させ
ることにより、各支持板１５の挟着側面１５ａにより下
フランジ２ｃの両側面を挟着するとともに、爪板１６を
下フランジ２ｃの上面に噛み込ませる。なお、実際には
下フランジ２ｃに対して取付治具１３を反時計方向へ回
動させるが、図５では便宜上、下フランジ２ｃが時計方
向へ回動したかのように表示している。

【００２４】また、図６に示すように、今１つの取付治
具１３を上記取付治具１３と上下逆に、且つ上記取付治
具１３とは約９０°向きを変えて使用することにより、
この今１つの取付治具１３の爪板１６をＨ型鋼からなる
荷受け用レール１２の上フランジ１２ｂの下面に噛み込
ませる。そして、これら２つの取付治具１３同士を突き
合わせて孔１４ａ同士を合致させ、これらの孔１４ａを
挿通するボルト１７ａ及び該ボルト１７ａに螺合するナ
ット１７ｂで連結することにより、荷受け用レール１２
を梁２に接続する。

【００２５】上記取付治具１３は元々梁２及び荷受け用
レール１２に対して回動可能であるから、上記の方法
で、荷受け用レール１２を１つの梁２に接続したのみで
は、荷受け用レール１２は梁２に対し回動可能となり、
従って、荷受け用レール１２が取付治具１３から脱落す
る恐れがあるが、荷受け用レール１２を上記の方法で複
数の梁２に接続することにより、荷受け用レール１２は
梁２に対し回動不能となり、確実に固定される。なお、
荷受け用レール１２は複数の分割体に分割されていても
よく、その場合、各分割体が複数の梁２に接続されてい
ればよい。

【００２６】図７に示すように、上記荷受け用レール１
２の下フランジ１２ｃには、荷受け用トロリー部１８が
移動自在に支持されている。この荷受け用トロリー部１
８は上方が開いた断面コ字形の支持部材１８ａを有し、
支持部材１８ａの両端部に各々ピン１８ｂを介して回転
自在に取り付けられたローラ１８ｃは上記下フランジ１
２ｃの上面に係止されている。また、ローラ１８ｃの外
側に設けられた鍔部１８ｄは下フランジ１２ｃの側面に
係合し、荷受け用トロリー部１８の横方向への移動を防
止している。そして、支持部材１８ａの下端部に設けた
係止ピン１８ｅには、フック２０ａにより荷受け用ウイ
ンチ２０が着脱自在に取り付けられ、この荷受け用ウイ
ンチ２０は巻き上げ、巻き下ろし用のロープ２１とロー
プ２１下端のフック２２とを備えている。上記荷受け用
レール１２、荷受け用トロリー部１８及び荷受け用ウイ
ンチ２０は荷受け用クレーン部Ｃ２を構成する。

【００２７】次に、本トロリークレーン装置を用いた外
壁パネル１０の取付手順を説明する。図２に示すよう
に、建築構造物Ｂの一方の短辺側は道路２３に面してお
り、荷受け用レール１２の端部１２ａはこの道路２３に
面した側で屋外へ突出させられている。そして、荷受け
用トロリー部１８は上記端部１２ａに誘導され、ここで
荷受け用ウインチ２０から、道路２３上の運搬車両２４
に向けてロープ２１が吊り下げられる。

【００２８】運搬車両２４上の所定枚数、例えば、３乃
至５枚程度の外壁パネル１０がまとめられてロープ２５
が掛けられ、フック２２がロープ２５に係止されて上記
所定枚数の外壁パネル１０が略水平な姿勢で荷受け用ウ
インチ２０により吊り上げられる。そして、外壁パネル
１０が３階の床３の上方まで吊り上げられた後、荷受け
用トロリー部１８が荷受け用レール１２に沿って屋内側
へ移動させられ、外壁パネル１０が取込間口Ａを介して
屋内へ搬入される。

【００２９】そして、３階の床３上の所望位置で木製等
の支持部材２６を介して外壁パネル１０が降ろされる。
この際、外壁パネル１０の長辺方向が建築構造物Ｂの短
辺方向と略平行になる姿勢とされる。なお、外壁パネル
１０が部分的に取り付けられている場合等で取込間口Ａ
が狭い場合は、外壁パネル１０を水平面内で略９０°回
動させ、建築構造物Ｂの長辺方向と外壁パネル１０の長
辺方向とを合致させた状態で建築構造物Ｂ内に搬入すれ
ばよい。

【００３０】その後、外壁パネル１０を建築構造物Ｂの
外周に取り付けてゆく際には、３階の床３上に保管され
ている外壁パネル１０にロープ２７を掛けて荷受け用ウ
インチ２０により１枚毎台車２８上に降ろし、台車２８
を床３上で建築構造物Ｂの短辺方向（図１の上側または
下側）へ移動させて外壁パネル１０を外周レール５近く
まで搬送した後、図３に示すように、外壁パネル１０の
上端部に取り付けられているロープ１１に外周ウインチ
７のフック９を係止し、図２中のＤ部に示すように、外
壁パネル１０を外周ウインチ７により垂直姿勢で吊り下
ろして、必要により、外周トロリー部６を外周レール５
に沿って移動させながら、外壁パネル１０を建築構造物
Ｂの外周の所定位置に取り付ける。

【００３１】なお、床３上での外壁パネル１０の移動用
に、台車２８の代わりに、図示しないローラーコンベア
を床３上に建築構造物Ｂの短辺方向を向くように配置
し、該ローラーコンベア上で外壁パネル１０を滑らせて
移動させるようにしてもよい。また、荷受け用レール１
２上に複数の荷受け用ウインチ２０を設けておけば、運
搬車両２４からの荷受けと、床３上から台車２８等への
外壁パネル１０の移載を並行して行える。

【００３２】上述のように、荷受け用レール１２の建築
構造物Ｂの屋外側への突出量を充分大きくし、荷受けに
際しては、複数枚、例えば、３乃至５枚程度の外壁パネ
ル１０を荷受け用ウインチ２０により水平姿勢で支持し
ながら一括して吊り上げるようにしたので、荷受け作業
を効率的に行え、道路２３が一般道であっても、荷受け
作業を比較的短時間で終了できるとともに、荷受け用ウ
インチ２０による荷受けと外周ウインチ７による外壁パ
ネル１０の取付を並行して行える利点がある。

【００３３】また、本実施の形態では、最上階である３
階の床３を資材置き場Ｓとすることにより、地上に資材
置き場を確保する必要がなくなり、狭小地等であって
も、容易に資材置き場を確保できる利点がある。更に、
資材置き場Ｓである３階の床３上から外壁パネル１０を
外周ウインチ７で所定の取付位置まで運搬するようにし
たので、外周ウインチ７による外壁パネル１０の上下移
動量を少なくするとともに、予め外壁パネル１０を取付
位置近傍の床３上に降ろして置くことにより、外周レー
ル５に沿った外壁パネル１０の水平移動距離も従来より
短くすることができ、その結果、外壁パネル１０の取付
の施工性を向上させることができる。

【００３４】また、外壁パネル１０の荷受け中に道路２
３の通行を阻害する恐れがある場合、例えば、図２に点
線で示すように、運搬車両２４を建築構造物Ｂの内部へ
進入させ、荷受け用ウインチ２０を屋内に位置させて荷
受けを行うようにしてもよい。この場合、運搬車両２４
の上方で２階及び３階の床３を部分的に未施工の状態と
して荷受け用の開口部を残しておくか、或いは、吹き抜
け等の開口部を利用して荷受けを行うことができる。

【００３５】なお、上記の実施の形態では、建築構造物
Ｂの各階に取り付ける外壁パネル１０を３階の床３上で
保管するようにし、これにより、荷受け用レール１２の
着脱の手間が１回で済む利点があるが、例えば、２階ま
たは１階の外周に取り付ける外壁パネル１０について
は、荷受け用レール１２を２階または１階の天井部分の
梁２に取り付けることにより、２階または１階の床３を
資材置き場Ｓとすることも可能である。

【００３６】また、上記の実施の形態では、建築構造物
Ｂの一方の短辺側が道路２３に面しているため、荷受け
用レール１２を梁２と直交する方向に取り付けたが、例
えば、建築構造物Ｂの長辺側が道路２３に面している場
合、図８に示すように、荷受け用レール１２をいずれか
１本の梁２と並行に取り付けるようにしてもよい。その
場合も、上記の取付治具１３を使用できる。なお、荷受
け用ウインチ２０は、外壁パネル１０以外の各種建築資
材、例えば、床パネル等の荷受け７にも使用できること
は言うまでもなく、外周ウインチ７も外壁パネル１０以
外の建築資材の運搬にも使用できる。

【００３７】以下、本発明の第２の実施の形態を説明す
る。図９及び図１０に示すように、第２の実施の形態で
は、３階の天井部分の梁２が移送用レールとして利用さ
れ、この梁２の下フランジ２ｃに移送用トロリー部３１
が移動自在に支持されるとともに、該移送用トロリー部
３１に移送用ウインチ３２が着脱自在に係止されてい
る。上記移送用レールとしての梁２、移送用トロリー部
３１及び移送用ウインチ３２は移送用クレーン部Ｃ３を
構成する。移送用トロリー部３１は、図７の荷受け用ト
ロリー部１８と同様に構成されているので、ここでは、
対応する部分に同一のサフィックス（ａ、ｂ、ｃ…）を
付与して重複した説明を省略する。

【００３８】床３上に積み重ねて保管されている外壁パ
ネル１０を建築構造物Ｂの外周に取り付ける際には、移
送用ウインチ３２のロープ３３の下端に設けたフック３
４を、床３上の外壁パネル１０に巻き掛けたロープ２７
に係止して、移送用ウインチ３２で外壁パネル１０を１
枚毎吊り上げ、梁２に沿って外周ウインチ７の位置する
外周レール５側へと搬送する。この場合、建築構造物Ｂ
の短辺方向へ延びる各梁２に移送用クレーン部Ｃ３を設
けることが好ましい。なお、梁２自体を移送用レールと
して利用する代わりに、梁２の下側に前記取付治具１３
を用い、図８に示したのと同様に、Ｈ型鋼からなる移送
用レールを梁２と平行に取り付けて用いてもよい。

【００３９】図１１に本発明の第３の実施の形態を示
す。ここでは、３階の天井部分の互いに隣接する２本の
梁２間に、例えば、上下２つのパイプレール３５ａ、３
５ｂからなる移送用レール３５が荷受け用レール１２
（図１０には図示せず）と平行に架け渡され、移送用レ
ール３５の両端部が各々梁２の下フランジ２ｃに断面コ
字型の係止部材３６を介して移動自在に係止されてい
る。すなわち、係止部材３６の上部にはローラ３７が回
転自在に支持され、このローラ３７が下フランジ２ｃの
上面に係合されている。これにより、移送用レール３５
は梁２の長手方向に沿って移動自在とされている。

【００４０】また、移送用レール３５の上側のパイプレ
ール３５ａには、移送用トロリー部３６を介して移送用
ウインチ３７が移送用レール３５の長手方向への移動自
在に支持されている。３階の床３上に保管されている外
壁パネル１０を外周レール５側へ移動させる際には、移
送用ウインチ３７で外壁パネル１０を１枚毎吊り上げ、
移送用レール３５を梁２の長手方向へ移動させる。この
場合、移送用ウインチ３２が移送用レール３５の長手方
向に沿って移動自在であるから、３階の床３上で保管さ
れている外壁パネル１０の真上に移送用ウインチ３２を
移動させて外壁パネル１０をバランスよく吊り上げるこ
とができる。

【００４１】

【発明の効果】以上のように、本発明の請求項１に係る
トロリークレーン装置は、建築構造物の上部外周に沿っ
て外周レールを設けて外周トロリー部を移動自在に支持
させ、該外周トロリー部に外周ウインチを設けたトロリ
ークレーン装置において、上記建築構造物にその一部が
床の上方に位置するように荷受け用レールを設けるとと
もに、該荷受け用レールに荷受け用トロリー部を介して
荷受け用ウインチを移動自在に支持させたものであるか
ら、建築現場まで運搬された建築資材を、上記荷受け用
ウインチで地上または運搬車両から吊り上げ、上記荷受
け用レールに沿って上記施工済の床の上方へ移動させた
後、該床上に降ろして保管することができ、これによ
り、狭小地等においても建築資材の置き場を容易に確保
することができる。また、上記荷受け用レールは、その
一部が床の上方に位置しているから、床上に建築資材を
降ろす作業も安全且つ容易に行えるものである。

【００４２】更に、建築資材を最終的に外周ウインチで
所定の取付位置まで運搬する場合、建築資材を予め上記
建築構造物の床上の取付位置の近傍で保管しておくこと
により、外周ウインチによる建築資材の運搬距離が従来
より少なくなり、これにより、施工性の向上を図ること
ができる。

【００４３】請求項２に係るトロリークレーン装置は、
請求項１の構成において、上記荷受け用レールの端部を
上記建築構造物から屋外へ突出させたものであるから、
建築構造物の外方に位置する運搬車両から上記荷受け用
ウインチを用いて建築資材を容易に吊り上げて荷受けす
ることができる。

【００４４】請求項３に係るトロリークレーン装置は、
請求項１または２の構成において、上記荷受け用レール
と略直交する方向に、荷受け用レールから上記外周レー
ルに向けて延びる移送用レールを設け、該移送用レール
に移送用トロリー部を介して移送用ウインチを移動自在
に支持させたものであるから、上記外周ウインチで建築
資材を運搬する場合、上記床上に保管している建築資材
を上記移送用ウインチで吊り上げ、移送用レールに沿っ
て外周レールへと移動させることにより、建築資材を外
周ウインチへ容易に移載できる利点がある。

【００４５】請求項４に係るトロリークレーン装置は、
請求項３の構成において、上記移送用レールが上記荷受
け用レールと略直交する方向に延びる梁であるから、独
立の移送用レールを設ける必要がなく、部品点数を削減
できる利点がある。

【００４６】請求項５に係るトロリークレーン装置は、
請求項１または２の構成において、上記荷受け用レール
と略直交する方向に延びる隣接する２つの梁間に上記荷
受け用レールと略平行に移送用レールを設けて該移送用
レールを上記隣接する２つの梁に沿って移動自在とし、
且つ上記移送用レールに移送用トロリー部を介して移送
用ウインチを移動自在に支持させたものであるから、上
記移送用ウインチで建築資材を上記床板上から外周レー
ル側へ運搬する場合、上記移送用レールに沿って移送用
ウインチを移動させることにより、移送用ウインチを建
築資材の真上に位置させた状態で建築資材を吊り上げる
ことができるので、移送用ウインチによる建築資材の吊
り上げをバランスよく、円滑に行うことができる。

【００４７】請求項６に係るトロリークレーン装置は、
請求項１乃至５のいずれかの構成において、上記施工済
の床が建築資材の取付を行う階またはそれより上の階の
床であるから、建築資材を予め荷受け用ウインチで上記
床上まで運搬して保管しておくことにより、外周ウイン
チによる建築資材の上下移動量を少なくすることがで
き、これにより、施工性を更に向上させることができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態のトロリークレーン装置を
設けた建築構造物を示す概略平面図。

【図２】上記建築構造物を示す概略斜視図。

【図３】上記トロリークレーン装置の外周クレーン部を
示す斜視図。

【図４】上記トロリークレーン装置の荷受け用レールを
梁に取り付けるための取付金具を示す概略平面図。

【図５】上記取付金具を梁のフランジに係合する様子を
示す概略平面図。

【図６】上記取付金具による荷受け用レールの取付状態
を示す図４中ＶＩ−ＶＩ線に沿う概略断面図。

【図７】上記トロリークレーン装置の荷受け用クレーン
部を示す概略側面図。

【図８】上記実施の形態の変形例における荷受け用クレ
ーン部を示す概略断面図。

【図９】本発明の第２の実施の形態のトロリークレーン
装置を設けた建築構造物を示す概略平面図。

【図１０】第２の実施の形態の移送用クレーン部を示す
概略正面図。

【図１１】本発明の第３の実施の形態における移送用ク
レーン部を示す概略正面図。

【符号の説明】

３ 床 ５ 外周レール ６ 外周トロリー部 ７ 外周ウインチ １０ 外壁パネル（建築資材） １２ 荷受け用レール １８ 荷受け用トロリー部 ２０ 荷受け用ウインチ ３１ 移送用トロリー部 ３２ 移送用ウインチ ３５ 移送用レール Ｂ 建築構造物

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 建築構造物の上部外周に沿って外周レー
   ルを設けて外周トロリー部を移動自在に支持させ、該外
   周トロリー部に外周ウインチを設けたトロリークレーン
   装置において、 上記建築構造物にその一部が床の上方に位置するように
   荷受け用レールを設けるとともに、該荷受け用レールに
   荷受け用トロリー部を介して荷受け用ウインチを移動自
   在に支持させたことを特徴とするトロリークレーン装
   置。
2. 【請求項２】 上記荷受け用レールの端部を上記建築構
   造物から屋外へ突出させたことを特徴とする請求項１記
   載のトロリークレーン装置。
3. 【請求項３】 上記荷受け用レールと略直交する方向
   に、荷受け用レールから上記外周レールに向けて延びる
   移送用レールを設け、該移送用レールに移送用トロリー
   部を介して移送用ウインチを移動自在に支持させたこと
   を特徴とする請求項１または２記載のトロリークレーン
   装置。
4. 【請求項４】 上記移送用レールが上記荷受け用レール
   と略直交する方向に延びる梁であることを特徴とする請
   求項３記載のトロリークレーン装置。
5. 【請求項５】 上記荷受け用レールと略直交する方向に
   延びる隣接する２つの梁間に上記荷受け用レールと略平
   行に移送用レールを設けて該移送用レールを上記隣接す
   る２つの梁に沿って移動自在とし、且つ上記移送用レー
   ルに移送用トロリー部を介して移送用ウインチを移動自
   在に支持させたことを特徴とする請求項１または２記載
   のトロリークレーン装置。
6. 【請求項６】 上記施工済の床が建築資材の取付を行う
   階またはそれより上の階の床であることを特徴とする請
   求項１乃至５のいずれか記載のトロリークレーン装置。