JPH114183A - 多チャネルエコー除去方法及び装置 - Google Patents

多チャネルエコー除去方法及び装置

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JPH114183A
JPH114183A JP9320582A JP32058297A JPH114183A JP H114183 A JPH114183 A JP H114183A JP 9320582 A JP9320582 A JP 9320582A JP 32058297 A JP32058297 A JP 32058297A JP H114183 A JPH114183 A JP H114183A
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    • H04MTELEPHONIC COMMUNICATION
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    • H04M9/08Two-way loud-speaking telephone systems with means for conditioning the signal, e.g. for suppressing echoes for one or both directions of traffic
    • H04M9/082Two-way loud-speaking telephone systems with means for conditioning the signal, e.g. for suppressing echoes for one or both directions of traffic using echo cancellers

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  • Signal Processing (AREA)
  • Cable Transmission Systems, Equalization Of Radio And Reduction Of Echo (AREA)
  • Filters That Use Time-Delay Elements (AREA)
  • Circuit For Audible Band Transducer (AREA)
  • Telephone Function (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 適応フィルタの係数値がエコーパスのインパ
ルス応答によって正しい値に収束し、音質も良好な多チ
ャネルエコー除去方法及び装置を提供する。 【解決手段】 前処理回路300によって受信信号2を
処理して得られた前処理信号と受信信号2とを時間多重
した信号を代りに使用する。受信信号2または前処理信
号のいずれかを入力信号として適応フィルタ122、1
24が動作することになり、受信信号2だけを入力信号
として用いた場合の2倍の数の条件式を用いて適応フィ
ルタ係数を求めることができる。このため、適応フィル
タ係数の不定を回避し、正しい値に収束させることがで
きる。さらに、元の受信信号と補助信号の多重化パラメ
ータによって生じる音像移動を、入力信号に対する振幅
補正処理で相殺するため、直接スピーカに供給されて受
聴される受信信号の音質劣化が抑圧され、良好な音質を
保つことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の受信信号と
単数または複数の送信信号を有するシステムにおける、
エコー除去方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】複数の受信信号と単数または複数の送信
信号を有するシステムにおいて、受信信号が空間音響経
路を伝搬することによって生じるエコーを除去する多チ
ャネルエコー除去方法あるいは装置に関しては、電子情
報通信学会技術研究報告Vol.84,No.330,
pp.7−14,CS−84−178(以下「文献1」
という)において、縦続接続型及び線形結合型の2種類
の装置が提案されている。文献1によれば、縦続接続型
はその構成による制約から、線形結合型よりもエコー抑
圧能力が劣る。そこで、従来例の線形結合型多チャネル
エコー除去装置(エコーキャンセラ)について受信信
号、送信信号ともに2チャネルのシステムに適用した場
合について説明する。
【0003】図17は、従来例の線形結合型多チャネル
エコーキャンセラを示す図である。第1の受信信号1が
第1のスピーカ3で再生され、空間音響経路を経て第1
のマイク9に至って生じる第1のエコー5と、第2の受
信信号2が第2のスピーカ4で再生され、空間音響経路
を経て第1のマイク9に至って生じる第2のエコー6
と、第1のマイク9に至った話者11の発する音声であ
る第1の送信信号12が加算されて、第1の混在信号1
4となる。同様に、第1の受信信号1が第1のスピーカ
3で再生され、空間音響経路を経て第2のマイク10に
至って生じる第3のエコー7と、第2の受信信号2が第
2のスピーカ4で再生され、空間音響経路を経て第2の
マイク10に至って生じる第4のエコー8と、第2のマ
イク10に至った話者11の発する音声である第2の送
信信号13が加算されて、第2の混在信号15となる。
【0004】第1の混在信号14に混入したエコーを除
去するために、第1の適応フィルタ121に第1の受信
信号1を入力して第1のエコー5に対応したエコーレプ
リカ125を生成し、第2の適応フィルタ122に第2
の受信信号2を入力して第2のエコー6に対応したエコ
ーレプリカ126を生成する。第1の減算器129で、
第1の混在信号14から第1及び第2のエコー5、6に
対応したエコーレプリカ125、126を差し引く。第
1及び第2の適応フィルタ121、122では、第1の
減算器129の出力が最小になるように制御する。第1
の減算器129の出力が、エコーキャンセラ120の第
1の出力信号16となる。
【0005】第2の混在信号15に混入したエコーを除
去するために、第3の適応フィルタ123に第1の受信
信号1を入力して第3のエコー7に対応したエコーレプ
リカ127を生成し、第4の適応フィルタ124に第2
の受信信号2を入力して第4のエコー8に対応したエコ
ーレプリカ128を生成する。第2の減算器130で、
第2の混在信号15から第3及び第4のエコー7、8に
対応したエコーレプリカ127、128を差し引く。第
3及び第4の適応フィルタ123、124は、第2の減
算器130の出力が最小になるように制御する。第2の
減算器130の出力が、エコーキャンセラ120の第2
の出力信号17となる。
【0006】多チャネルエコー除去の主要な応用分野の
一つである多チャネルテレビ会議システムにおいては、
複数のマイクで話者の音声を収録するため、各マイクで
収録される受信信号は、近似的に、話者と各マイクの距
離に応じた減衰量と時間遅れを持った信号とみなすこと
ができる。従って、異なったチャネルにおける受信信号
の相互相関は非常に高くなる。
【0007】以下、第1の受信信号1を遅延させたもの
に相当する第2の受信信号2、非巡回型フィルタとして
近似できるエコーパス、適応非巡回型フィルタを用いた
線形結合型エコーキャンセラを仮定する。
【0008】時刻nにおける第1及び第2の受信信号
1、2をx1(n)、x2(n)、第1の混在信号14に
混入するエコーをd(n)とする。第1及び第2の受信
信号1、2の間の時間差をnd(自然数)サンプルとす
ると、 x2(n)=x1(n−nd) (1) と表すことができる。簡単のため、第1及び第2のスピ
ーカ3、4から第1及び第2のマイク9、10に至る全
ての空間音響経路のインパルス応答長が等しいと仮定
し、それをNとする。また、スピーカ3からマイク9に
至る空間音響経路のインパルス応答標本値をh1,i、ス
ピーカ4からマイク9に至る空間音響経路のインパルス
応答標本値をh2,iとする。ここに、iは0からN−1
の整数値をとる。混在信号14に混入したエコーd
(n)は、エコー5とエコー6の和として、
【数1】 で与えられる。式(1)を式(2)に代入してx2
(n)を消去すると、
【数2】 となる。適応フィルタ121、122によって生成され
るエコーレプリカd(n)ハットは、適応フィルタ12
1、122のi番目のフィルタ係数をそれぞれw1,i
(n)、w2,i(n)とすると、
【数3】 で与えられる。式(1)を式(4)に代入してx2
(n)を消去すると、
【数4】 となる。残留エコーe(n)は、
【数5】 となる。式(6)より、エコーを完全に消去するための
条件は、
【数6】 である。式(7)より、
【外1】 は一意に定まるが、
【外2】 の解には、無限の組み合わせが存在することがわかる。
特に、
【外3】 の解はndの値に依存しており、話者位置の移動によっ
てndの値が変化すると、解も変化する。これは、エコ
ーパスの変動がない場合でも、エコー消去能力が低下す
ることを意味しており、実環境における使用に障害とな
る。以上、混在信号14に混入するエコーを除去するた
めに用いられる適応フィルタ121、122について検
討したが、適応フィルタ123、124に関しても、同
様の議論が成立する。
【0009】この問題を解決するために、1つの受信信
号を入力とし、混在信号と1対1に対応する適応フィル
タでエコーレプリカを生成することにより、1つの音源
から複数の経路を伝搬して生じたエコーをチャネルあた
り1つの適応フィルタで推定する多チャネルエコー除去
方法が、アイイーイーイー・プロシーディングス・オブ
・インターナショナルカンファレンス・オン・アクース
ティックス・スピーチ・アンド・シグナルプロセシング
(IEEE Proceedings ofInter
national Conference on Ac
oustics,Speech and Signal
Processing)第2巻、1994年、245
〜248ページ(以下「文献2」という)において、提
案されている。
【0010】文献2で提案されている多チャネルエコー
除去方法では、1つのチャネルにおいて生じるエコーを
1つの適応フィルタで除去するため、解が不定となると
いう問題は起こらない。従って、適応フィルタの係数
は、一意に定まる最適値に収束する。しかしながら文献
2では、話者の声を収録するマイクロフォンの配置など
の使用環境によって定められるパラメータがある範囲に
収まらないときにエコー除去性能が劣化することが、評
価結果として述べられている。従って、あらゆる環境で
使用できることを前提とすれば、線形結合型の多チャネ
ルエコーキャンセラを使用せざるを得ない。
【0011】この前提に基づき、線形結合型多チャネル
エコーキャンセラにおいて受信信号を遅延させて遅延信
号を発生し、この遅延信号を受信信号と相互に連続して
切替えて新たな受信信号とすることにより、適応フィル
タの係数を一意に定めることができる方法が、電子情報
通信学会技術研究報告96巻、424号、17〜24ペ
ージ(以下「文献3」という)において、提案されてい
る。文献3で提案されている多チャネルエコー除去方法
では、適応フィルタの係数を算出するために用いる条件
式の数が、遅延した受信信号の導入で増加しており、解
が不定となるという問題は起こらない。従って、適応フ
ィルタの係数は、一意に定まる最適値に収束する。しか
しながら、同時に文献3で提案されている方法では、受
信信号と遅延受信信号を切替える際に折り返し歪みが発
生ることが指摘されており、音質の劣化は避けられな
い。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】以上、図17を用いて
詳細に説明したように、従来の多チャネルエコー除去方
法び装置では、適応フィルタ係数の解が不定であり、エ
コーパスのインパルス応答によって一意に定められる解
に一致することが保証されないという問題があった。ま
た、文献3で提案されている方法では、折り返し歪みに
よる音質劣化が避けられない。
【0013】(発明の目的)本発明の目的は、適応フィ
ルタの係数値がエコーパスのインパルス応答によって一
意に定められる正しい値に収束し、さらに音質も良好な
多チャネルエコー除去方法及び装置を提供することにあ
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の多チャネルエコ
ー除去装置は、一つの受信信号を処理したものを新たな
受信信号として用いる。
【0015】具体的には、受信信号2を前処理してから
適応フィルタ122、124、ディジタルーアナログ変
換器(DAC)19に供給する前処理回路(図1の20
0)を有する。
【0016】また、本発明の多チャネルエコー除去装置
は、一つの受信信号を処理したものを新たな受信信号と
して用いると同時に、他の入力信号に対して振幅補正を
実施する。
【0017】具体的には、受信信号2を前処理してから
適応フィルタ122、124、ディジタルーアナログ変
換器19に供給する前処理回路(図13の200)と、
受信信号1に対して振幅補正を実施してから適応フィル
タ121、123、ディジタルーアナログ変換器18に
供給する振幅補正回路(図13の300)を有する。
【0018】(作用)本発明の多チャネルエコー除去方
法及び装置は、1つの受信信号をフィルタ処理して補助
信号を作成し、元の受信信号と作成された補助信号を時
間多重して得られる新たな受信信号を用いて適応フィル
タを動作させる。1つの信号源から複数の経路を伝搬し
て生じたエコーを複数の適応フィルタで推定するため
に、適応フィルタ係数を求める際の条件式数が増加し、
解が不定となるという問題を解消することができる。従
って、適応フィルタの係数は、一意に定まる最適値に収
束する。
【0019】さらに、本発明の多チャネルエコー除去方
法及び装置は、元の受信信号と補助信号の多重化パラメ
ータを受信信号の性質に基づいて制御すると同時に補助
信号の導入によって生じる音像移動を、入力信号に対す
る振幅補正処理で相殺するため、直接スピーカに供給さ
れて受聴される受信信号の音質劣化が抑圧され、良好な
音質を保つことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】図1から図16を用いて、本発明
の実施の形態を詳細に説明する。説明にあたっては、第
1及び第2の受信信号と、第1及び第2の混在信号を有
する場合、すなわち、2チャネルの場合で、受信信号が
スピーカから空間音響経路を伝搬して、マイクで収録さ
れることによって生じる音響エコーを除去するための音
響エコーキャンセラを仮定する。
【0021】図1に、本発明の多チャネルエコーキャン
セラにおいて受信信号及び送信信号の数がそれぞれ2で
ある場合の実施の形態を示す。図17に示した線形結合
型との違いは、適応フィルタ122、124に供給され
る受信信号2が、前処理回路200によって前処理され
ている点である。第1及び第2の混在信号14、15
は、図17に示した線形結合型と同様にして生成され
る。受信信号2は、前処理回路200で処理され、その
出力である前処理信号は、適応フィルタ122、12
4、ディジタルアナログ変換器(DAC)19に供給さ
れる。
【0022】図2は、前処理回路200の構成例を示す
ブロック図である。入力端子201に供給された受信信
号2は、スイッチ210の一方の入力端子とフィルタ2
13に供給される。フィルタ213は、供給された受信
信号2をフィルタ処理してから、スイッチ210のもう
一方の入力端子に供給する。すなわち、スイッチ210
の2つの入力端子には、受信信号2と受信信号2をフィ
ルタ213でフィルタ処理した信号が供給される。スイ
ッチ210には、分周回路212から制御信号が供給さ
れる。この制御信号は、クロック信号発生回路211か
ら供給されるクロック信号を分周して、作成される。ク
ロック信号としては、受信信号2の標本化周期Tに等し
い周期の矩形パルスが発生される。
【0023】なお、クロック信号発生回路211は説明
の便宜上図2に記載されており、実際には前処理回路2
00内に独立のクロック信号発生回路を有することは稀
である。この場合、システム全体に共通のクロック信号
を前処理回路200外から、分周回路212に供給す
る。分周回路212が、入力信号の周期を1/Mにする
1/M分周回路であると仮定すると、分周回路212は
MT/2周期で”1”と”0”のレベルを交互に出力
し、スイッチ210を制御する。スイッチ210は、分
周回路212から供給される矩形パルスの立ち上がりに
同期して、受信信号2とフィルタ213の出力信号を切
り替え、これを出力端子202へ伝達する。以上の手順
で前処理された信号が、前処理信号として出力端子20
2から出力される。
【0024】図3(a)は、フィルタ213の構成例を
示すブロック図である。ここでは、フィルタ213とし
てLタップFIRフィルタを仮定しているが、IIRフ
ィルタに代表されるその他の構造であっても良い。図3
(a)の入力端子2130には、図1の受信信号2が供
給される。図3(a)の出力端子2134において得ら
れる信号は、図2のスイッチ210へ供給される。入力
端子2130に供給された信号は、遅延素子21311
及び係数乗算器21320に伝達される。遅延素子21
311、21312、…、2131L-1はそれぞれ入力信
号サンプルを1サンプル遅延させて出力する単位遅延素
子であり、縦続に接続されてLタップのタップ付き遅延
線を構成している。係数乗算器21320、21321、
…、2132L-1はそれぞれ係数c0、c1、…、cL-1を
有する。いま、例としてL=2、c0=0、c1=1の場
合を考えると、フィルタ213は遅延素子21311だ
けから構成され、図3(b)に示す回路で表される。さ
らに、M=1、すなわち図1の分周回路212が分周し
ない場合には、図3(b)に示した設定は、従来法の一
つである、文献3に開示された方法に一致する。このよ
うな場合に適応フィルタ係数が一意に定められること
は、文献3に解析的に示されている。
【0025】ここで、M>1の場合を考えてみると、適
応フィルタ係数を求めるための条件式数が、M=1の場
合と比較して変化しないことは明らかである。従って、
この場合も適応フィルタ係数が一意に定められる。フィ
ルタ213がL=2、c0=0、c1=1で表されない一
般的な場合についても、同様に扱うことができる。フィ
ルタ213の出力が入力信号と全く同一になる場合、す
なわち、L=1、c0=1で表される場合を除き、前処
理回路200の出力はスイッチ210の状態により異な
ったものとなる。従って、適応フィルタ係数を求めるた
めの条件式数は、フィルタ213がL=2、c0=0、
c1=1で表される場合と等しくなり、適応フィルタ係
数を一意に定めることができる。
【0026】本発明ではまた、折り返し歪みによる音質
劣化も軽減することができる。音質劣化の軽減について
さらに考察するために、図4(a)に示す前処理回路2
00の等価回路について考える。この等価回路を、図4
(b)に示す。
【0027】図4(b)に示された乗算器1146、1
147、1149、矩形パルス発生回路1148、加算
器1150が、図4(a)のスイッチ210、クロック
信号発生回路211と分周回路212に対応する。図4
(b)において、受信信号2は、フィルタ213及び乗
算器1147に供給される。フィルタ213から出力さ
れた信号は乗算器1146に伝達される。一方、矩形パ
ルス発生回路1148は、周波数f0/Mの矩形パルス
を発生し、乗算器1147及び1149に供給する。こ
こにf0=1/Tは、受信信号2の標本化周波数とす
る。矩形パルス発生回路1148の発生するパルスは、
M/2f0=MT/2の間振幅1を維持し、これに続く
M/2f0の間振幅0を維持する。乗算器1149は、
矩形パルス発生回路1148から供給された信号に−1
を乗算し、乗算器1146に伝達する。従って、乗算器
1146と乗算器1147に供給される矩形パルスは、
位相が180度ずれた関係となる。すなわち、片方の矩
形パルスが振幅1のときに、他方は振幅0となる。乗算
器1146と乗算器1147の出力信号は、共に加算器
1150に供給されて加算されるが、どちらか一方が常
にゼロになるので、等価的にスイッチによる切替え動作
が実現されることになる。すなわち、図4(b)の回路
は、図4(a)の等価回路になっている。ここで、乗算
器1147において受信信号2と矩形パルスを乗算して
得られた信号のパワースペクトルについて考える。
【0028】乗算器1147に供給される矩形パルスは
周波数f0/Mであり、そのパワースペクトルは矩形パ
ルス発生回路1148から供給されるパルス1周期分の
フーリエ級数をf0/Mずつずらせて重ね合わせたもの
となることが知られている。具体的な導出については、
「ディジタル信号処理技術入門」、応用技術出版、19
93、63〜74ページ(以下「文献4」という)に詳
しいのでここでは省略する。すなわち、前記フーリエ級
数とデルタ関数の畳み込みで表されることになる。さら
に文献4によれば、時間領域信号の積で与えられる信号
のフーリエ変換は、それぞれの時間領域信号をフーリエ
変換した信号の畳み込み演算で表すことができる。デル
タ関数との畳み込みは、畳み込む対象をそのデルタ関数
の位置に移動することに等しいので、受信信号2と矩形
パルスの積である乗算器1147の出力信号をフーリエ
変換して得られるパワースペクトルは、前記フーリエ級
数に受信信号2のパワースペクトルを乗算し、f0/M
ずつずらせて重ね合わせたものとなる。M=1ならば、
受信信号2がf0/2で帯域制限されているので、折り
返し歪みを生じない。
【0029】しかし、M>1の場合には、周波軸上での
シフト量に相当するf0/Mに応じて、折り返し歪みが
発生する。文献4に従えば、前記フーリエ級数はsin
c関数(sinx=x)の形をとり、振幅のサイドロー
ブは中心を離れるにつれて急激に減衰する。減衰がどの
程度急激であるかはMの値に依存し、Mが大きいほど急
激に減衰する。すなわち、Mの増加に伴って、前記フー
リエ級数はデルタ関数に近づく。このため、乗算器11
47の出力信号をフーリエ変換して得られるパワースペ
クトルは、前記フーリエ級数の周波数ゼロに対応した成
分に受信信号2のパワースペクトルを乗算したものとし
て表すことができる。従って、折り返し歪みの量はMが
大きいほど少なく、乗算器1147の出力信号の主観品
質は向上することになる。以上説明した原理により、分
周比Mを大きく設定して折り返し歪みを抑圧することが
できる。
【0030】分周比Mを大きく取った場合でも、Mが無
限大である場合を除き、スイッチ210の切替え操作に
より、スイッチ210の出力信号に不連続性が生じる。
この信号不連続性は、主観的には雑音として知覚され
る。この雑音の発生頻度はMの値に反比例し、Mが大き
い場合にはMが小さい場合に比べて知覚されにくいが、
知覚自体は避けられない。本発明では、フィルタ213
の特性を適切に設定することにより、信号不連続性によ
る主観的な雑音を抑圧する。このような目的で、フィル
タ213の係数cj(j=0,1,…,L−1)を時変
(time−Varying)にした例を次に示す。
【0031】図3で、L=2と設定し、c0をc0(k)
で、c1をc1(k)で、置き換える。c0(k)及びc1
(k)を、それぞれ、 rm1(k)=min[rem(k,2M),J] (8) rm2(k)=max[rem(k+M−1,2M),2M−J−1] −(2M−J−1) (9) c1(k) ={rm1(k)−rm2(k)}/J (10) c0(k) =1−c1(k) (11) と定義する。ここに、rem(A,B)はAをBで除し
た余りを、min[C,D]はCとDの最小値を、ma
x[E,F]はEとFの最大値を表す。このとき、c1
(k)は、k=2iM〜2iM+J(i=0,1,…)
で0から1への単調増加直線に、k=(2i+1)M−
J〜(2i+1)M(i=0,1,…)で1から0への
単調減少直線になる。また、c0(k)は、k=2iM
〜2iM+J(i=0,1,…)で1から0への単調減
少直線に、k=(2i+1)M−J〜(2i+1)M
(i=0,1,…)で0から1への単調増加直線にな
る。k=2iMにおいてスイッチ210が受信信号2か
らフィルタ213の出力を選択するように切替えを行
い、k=(2i+1)Mにおいてスイッチ210がフィ
ルタ213の出力から受信信号2を選択するように切替
えを行うように設定することにより、k=(2i+1)
Mの直前Jサンプルに対しては、スイッチ210の出力
が受信信号2から受信信号2の1サンプル遅延信号に連
続して切り替わることになる。また、k=2iMの直後
Jサンプルに対しては、スイッチ210の出力が受信信
号2から受信信号2の1サンプル遅延信号に連続して切
り替わることになる。以上説明したように、スイッチ2
10の切替えに際して、その出力信号振幅に不連続性を
生じないので、信号不連続性による主観的な雑音を抑圧
することができる。なお、k=(2i+1)M〜2(i
+1)M(i=0,1,…)において、c0(k)=
0、c1(k)=1となるが、このとき、スイッチ21
0はフィルタ213の入力信号を選択して出力するの
で、これらの係数値は全体動作に影響を与えない。
【0032】適応フィルタ121、122、123、1
24の係数更新アルゴリズムとしては、アダプティブ・
シグナル・プロセッシング(Adaptive sig
nal processing),1985,Pren
tice−Hall Inc.,USA、99〜113
ページ(以下「文献5」という)及び、アダプティブ・
フィルタ(Adaptive filters),19
85,KulwerAcademic Publish
ers,USA、49〜56ページ(以下「文献6」と
いう)にLMSアルゴリズム及びノーマライズドLMS
(NLMS)アルゴリズムが記載されている。適応フィ
ルタ121、122の制御はLMSアルゴリズムを用い
て行ない、ステップサイズは同じであると仮定する。適
応フィルタ121のi番目係数の第n+1回目の更新後
の値w1,i(n+1)と適応フィルタ122のi番目係
数の第n+1回目の更新後の値w2,i(n+1)は、そ
れぞれに対応した第n回目の更新後の値w1,i(n)と
w2,i(n)を用いて、 w1,i(n+1)=w1,i(n)+e1(n)x1(n−i) (12) w2,i(n+1)=w2,i(n)+e2(n)x1(n−nd−i) (13) で与えられる。適応フィルタ123、124の係数更新
についても同様である。
【0033】図5は、前処理回路200の第2の構成例
を示すブロック図である。図2を用いて説明した第1の
構成例との相違点は、分周回路212に加えて、分析回
路221及び論理積回路220を有することである。図
2に示した第1の構成例ではMサンプル毎にスイッチ2
10の切替えを行うが、図5では、分周回路212の出
力信号と分析回路221の出力信号の論理積を用いて、
スイッチ210の切替えを行う。分析回路221におい
ては、受信信号2を分析し、分析した結果が予め定めら
れた条件を満足するときには”1”を、満足しないとき
には”0”を出力し、論理積回路220に伝達する。論
理積回路220には、すでに説明したように、分周回路
212から”0”または”1”の制御信号が供給されて
いる。論理積回路220は、分析回路221と分周回路
212の出力、すなわち、時間情報がMサンプルの周期
に一致していること、及び入力信号を分析した結果が予
め定められた条件を満足することの両者が同時に成立す
ることを検出し、その出力信号によってスイッチ210
の切替えを制御する。
【0034】分析回路221における受信信号2の分析
方法には、様々な方法が考えられる。一例として、信号
不連続性による主観的な雑音を抑圧することを考える
と、受信信号2において振幅の変化分を検出することが
できる。図6に、分析回路221の第1の実施例を示
す。
【0035】図6に示す分析回路221は、遅延素子2
210、減算器2211、絶対値回路2212、判定回
路2213、記憶回路2214から構成される。分析回
路221の入力信号である受信信号2は、遅延素子22
10及び減算器2211に供給される。遅延素子221
0は、入力信号を1サンプル周期遅延させ、減算器22
11に伝達する。減算器2211は、受信信号2から遅
延素子2210の出力信号を減算し、結果を絶対値回路
2212に供給する。絶対値回路2212では、供給さ
れた信号の絶対値を求め、結果を判定回路2213に伝
達する。
【0036】一方、判定回路2213には、記憶回路2
214からしきい値1も供給されている。判定回路22
13は、絶対値回路2212から供給された信号がしき
い値よりも小さい場合に”1”を、それ以外の場合に”
0”を出力するように構成される。判定回路2213の
出力が、図5の論理積回路220に伝達される。すなわ
ち、受信信号2の振幅変化が小さいときに、スイッチ2
10の切替えが実施される。
【0037】図7に、ポストマスキングに基づく、分析
回路221の第2の実施例を示す。ポストマスキングと
は、ある信号サンプルに続く小振幅信号が人間の耳に知
覚されなくなる現象で、ツビッカー著、山田訳、「心理
音響学」、西村書店、1992年発行、132〜146
ページ(文献7)に詳しく記述されている。図7に示す
分析回路221は、遅延素子群22150,22151,
…,2215N-1、差分評価回路群22160,2216
1,…,2216N-1、制御信号発生回路2217から構
成される。ここに、Nは正整数である。受信信号2は、
遅延素子22150と差分評価回路22160に供給され
る。遅延素子群22150,22151,…,2215N-
1の各遅延素子は、供給された信号をそれぞれ1サンプ
ル周期遅延させる、タップ付き遅延線を構成する。
【0038】差分評価回路22160は、受信信号2と
遅延素子22150から供給された信号の差分を評価
し、その結果を制御信号発生回路2217に伝達する。
差分の評価は、例えば、遅延素子22150から供給さ
れる信号から受信信号2を差し引いて、その結果が予め
定められたしきい値
【外4】 より大きい場合には”1”を、小さい場合には”0”を
出力することで行うことができる。また、遅延素子22
150から供給される信号の絶対値から受信信号2の絶
対値を差し引いて、その結果が予め定められたしきい値
【外5】 より大きい場合には”1”を、小さい場合には”0”を
出力することもできる。同様に、差分評価回路群221
60,22161,…,2216N-1を構成する各差分評
価回路は、対応する遅延素子から供給された信号と受信
信号2の差分を評価し、その結果を制御信号発生回路2
217に伝達する。制御信号発生回路2217は、差分
評価回路群から供給された差分評価結果を用いて、制御
信号を生成する。制御信号の生成は、例えば、差分評価
回路群からの入力信号の一致をとって行うことができ
る。すなわち、一致したときに”1”を、一致しないと
きに”0”を出力する。また、差分評価回路群からの入
力信号の多数決をとり、これを制御信号とすることもで
きる。これは、”1”が入力の多数であるときは”1”
を、多数でないときは”0”を出力することに相当す
る。さらに、個々の入力信号に対応して予め定められた
独立な定数を各入力信号に乗算し、各乗算結果の総和と
予め定められたしきい値とを比較し、該総和が該しきい
値より大きい場合に”1”を、それ以外の場合に”0”
を出力することもできる。前記各乗算結果に対して一致
をとること及び多数決をとることも、すでに述べた制御
信号発生回路2217の動作例としうることは明らかで
ある。以上の処理により、受信信号2の振幅が過去より
減少したときに、スイッチ210の切替えが実施され
る。ポストマスキングに類似の現象として、プリマスキ
ングについても文献7に記載されている。小振幅信号
が、それに続く信号にマスクされて知覚されない現象を
言う。
【0039】プリマスキングを検出するためには、信号
全体を遅延させなければならない。すなわち、図5の構
成において、スイッチ210の入力経路双方に遅延素子
を挿入した構成としなければならない。これに合わせ
て、受信信号1の経路においても、受信信号1が適応フ
ィルタ121、123に供給される前に、対応した遅延
量を有する遅延素子を挿入して遅延時間の調整を行う必
要がある。これらの遅延素子の遅延量は、プリマスキン
グ検出を行う時間長に依存し、例えば2サンプル遅れた
信号によるプリマスキングを検出するためには、最低2
サンプルの遅延時間を有する必要がある。さらに、図7
の差分評価回路群22160,22161,…,2216
N-1における演算は、出力を反転する必要がある。すな
わち、本来”1”が出力されるべきときに”0”を、”
0”が出力されるべきときに”1”を出力する。この反
転により、プリマスキングを検出することができる。以
上の処理により、受信信号2の振幅が増大する直前に、
スイッチ210の切替えが実施される。
【0040】図5の構成例においては、分周回路212
の出力と分析回路221の出力のタイミングが一致しな
い場合には、その後、最低Mサンプル周期の間、スイッ
チ210を切り替えることができない。すなわち、スイ
ッチ210の切替え周期はMサンプルの整数倍になる。
スイッチ210の切替え周期がMサンプルの整数倍にな
らない前処理回路200の構成も可能である。
【0041】図8は、前処理回路200の第3の構成例
を示すブロック図である。図5を用いて説明した第2の
構成例との相違点は、分周回路212と分析回路22
1、及び論理積回路220に代えて、新たな分析回路2
22を有することである。すなわち、図5の構成例で
は、スイッチ210の切替えを分周回路212と分析回
路221の出力の論理積で制御していたが、図8の構成
例では、受信信号2を分析回路222で分析し、得られ
た分析結果と、クロック信号発生回路211から分析回
路222に供給される矩形パルスを用いて、直接、スイ
ッチ210の制御信号を生成する。分析回路222で
は、基本的に分析回路221と同じ分析を行う。受信信
号2における振幅の変化分を検出することもできるし、
プリ/ポストマスキングに基づく分析を行うこともでき
る。分析の結果、受信信号2が予め定められた条件を満
足し、かつ直前の切替え動作から予め定められた標本化
周期(M2T)以上の時間が経過していた場合に、分析
回路222は制御信号”1”を出力する。ここに、M2
はM2>1を満足する正整数である。これ以外の場合に
は、制御信号として”0”を出力する。この制御信号は
スイッチ210に伝達され、スイッチ210の切替えを
制御する。具体的な標本化周期の評価は、矩形パルスを
カウンタで計数し、計数値を記憶素子に蓄えた値である
M2と比較する。比較の結果、両者が等しければM2T経
過したと判定し、”1”を出力すると同時にカウンタを
リセットする。
【0042】図3で、信号不連続性による主観的な雑音
を抑圧する目的で、フィルタ213の係数cj(j=
0,1,…,L−1)を時変にした例をL=2について
説明したが、このときの係数c0(k)とc1(k)を適
切に設定することにより、図2、5、8におけるスイッ
チ210が不用な前処理回路200を構成することも可
能である。
【0043】図9は、前処理回路200の第4の構成例
を示すブロック図である。入力端子201に供給された
受信信号2は、フィルタ230に供給される。フィルタ
230は、供給された受信信号2をフィルタ処理してか
ら、出力端子202に供給する。フィルタ230には、
クロック信号発生回路211及び分周回路212から制
御信号が供給される。クロック信号発生回路211は、
受信信号2の標本化周期Tに等しい周期の矩形パルスを
発生する。分周回路212から供給される制御信号は、
クロック信号発生回路211から供給されるクロック信
号を分周したものである。フィルタ230は、これらの
制御信号に基づいて、時変係数を制御する。
【0044】図3で、L=2と設定した場合、c0
(k)は図10に示すように与え、また、c1(k)は c1(k)=1−c0(k) (14) に従って与える。但し、図10におけるiは任意の整数
である。c0(k)は、2MTの周期でc0(0)と0を
交互にとるが、厳密には0をとる区間の最初と最後JT
だけは、c0(0)から0に、又は0からc0(0)に直
線的に遷移する。c1(k)が式(14)で与えられる
ので、c0(k)とc1(k)は、ほとんどの時間におい
て、どちらかが零のときは他方が非零となる。すなわ
ち、c0(k)とc1(k)は排他的となり、図2のスイ
ッチ210なしにスイッチ210と同等なスッチング動
作を実行することができる。なお、L≠2の場合には、
フィルタ230の各タップが並列接続されていると考え
れば良い。すなわち、c0(k)とc1(k),c2
(k),…,cL-1(k)は排他的となり、どちらかが
零のときは他方が非零となる。c1(k),c2(k),
…,cL-1(k)の各値及びそれぞれに対するJの値
は、異なっても良い。
【0045】図11は、前処理回路200の第5の構成
例を示すブロック図である。入力端子201に供給され
た受信信号2は、フィルタ230に供給される。フィル
タ230は、供給された受信信号2をフィルタ処理して
から、出力端子202に供給する。フィルタ230に
は、クロック信号発生回路211及び論理積回路220
から制御信号が供給される。論理積回路220には、分
析回路221及び分周回路212から信号が供給され
る。クロック信号発生回路211は、受信信号2の標本
化周期Tに等しい周期の矩形パルスを発生する。分周回
路212から論理積回路220に供給される制御信号
は、クロック信号発生回路211から供給されるクロッ
ク信号を分周したものである。分析回路221において
は、受信信号2を分析し、分析した結果が予め定められ
た条件を満足するときには”1”を、満足しないときに
は”0”を出力し、論理積回路220に伝達する。論理
積回路220には、すでに説明したように、分周回路2
12から”0”または”1”の制御信号が供給されてい
る。論理積回路220は、分析回路221と分周回路2
12の出力、すなわち、時間情報がMサンプルの周期に
一致していること、及び入力信号を分析した結果が予め
定められた条件を満足することの両者が同時に成立する
ことを検出し、その出力信号をフィルタ230に供給す
る。フィルタ230は、これらの制御信号に基づいて、
時変係数を制御する。
【0046】図12は、前処理回路200の第6の構成
例を示すブロック図である。図11を用いて説明した第
5の構成例との相違点は、分周回路212と分析回路2
21、及び論理積回路220に代えて、新たな分析回路
222を有することである。すなわち、図11の構成例
では、フィルタ230の時変係数を分周回路212と分
析回路221の出力の論理積で制御していたが、図12
の構成例では、受信信号2を分析回路222で分析し、
得られた分析結果と、クロック信号発生回路211から
分析回路222に供給される矩形パルスを用いて、直
接、フィルタ230の制御信号を生成する。
【0047】これまで、図1、2、5、8を用いた説明
ではすべて、受信信号2に対して前処理回路200を適
用し、前処理信号を生成する場合について説明してき
た。しかし、受信信号1に対して前処理回路200を適
用し、前処理信号を生成する場合についても、まったく
同じように説明できることは明らかである。次に、受信
信号2に対して前処理回路を適用して前処理信号を生成
し、受信信号1に対しては振幅補正回路を適用する場合
について説明する。
【0048】図13に、本発明の多チャネルエコーキャ
ンセラで受信信号及び送信信号が2チャネルである場合
の第2の実施の形態を示す。図1に示した第1の実施の
形態との違いは、適応フィルタ122、124に供給さ
れる受信信号2が、前処理回路300によって前処理さ
れているだけでなく、適応フィルタ121、123に供
給される受信信号1が、振幅補正回路400によって振
幅補正されている点である。前処理回路300は、前処
理回路200と同様に受信信号2を処理することによっ
て、係数を正しい値に収束させる。
【0049】振幅補正回路400は、前処理回路300
の前処理によって生じる音響空間における音像の移動
を、受信信号1の振幅を補正することによって補償す
る。前処理回路300は、振幅補正回路400において
振幅補正が行われるときには同時に、受信信号2の振幅
を補正する。前処理回路300及び振幅補正回路400
は、前処理回路200と同様に、図2、5、8、9、1
1、12に示した構成とすることができる。但し、図
2、5、8に示した構成とするときにはフィルタ213
を、図9、11、12に示した構成とするときにはフィ
ルタ230を、図3とは異なった構成とする。
【0050】図14は、前処理回路300を図2、5、
8に示した構成としたときのフィルタ213の構成例、
及び前処理回路300を図9、11、12に示した構成
としたときのフィルタ230の構成例を示すブロック図
である。ここでは、LタップFIRフィルタを仮定して
いるが、IIRフィルタに代表されるその他の構造であ
っても良い。図3に示す構成例との違いは、c0を除く
すべての係数乗算器c1,c2,…,cL-1に従属に別の
係数乗算器g1,g2,…,gL-1が挿入されていること
である。これは等価的に、図3の係数乗算器c0,c1,
…,cL-1を係数乗算器c0,g1c1,…,gL-1cL-1で
置き換えたことになり、図14に示した回路の動作は図
3に示した回路の動作と全く等しい。従って、図3に示
すフィルタを用いて、係数乗算器21321、2132
2、…、2132L-1の係数値をc1,c2,…,cL-1の
代わりにg1c1,…,gL-1cL-1とする構成が可能であ
ることは明らかである。
【0051】図15は、振幅補正回路400を図2、
5、8に示した構成としたときのフィルタ213の構成
例、及び振幅補正回路400を図9、11、12に示し
た構成としたときのフィルタ230の構成例を示すブロ
ック図である。ここでも、LタップFIRフィルタを仮
定しているが、IIRフィルタに代表されるその他の構
造であっても良い。図14に示す構成例との違いは、遅
延素子21311、21312、…、2131L-1が存在
しないことである。
【0052】図14と図15のフィルタは相補的に動作
する。すなわち、対応した係数乗算器の組である213
7iと2138i(i=1,2,…,L−1)によって、
音像の移動を補正する。
【0053】振幅の補正によって遅延量の変化によって
生じた音像の移動を補正できる原理は、メディカル・リ
サーチ・カウンシル・スペシャル・レポート(Medi
cal Research Council Spec
ial Report)第166号、1932年、1〜
32ページ(以下「文献8」という)、ジャーナル・オ
ブ・アクースティカル・ソサイエティ・オブ・アメリカ
(Journal of Acoustical So
ciety of America)第32巻、196
0年、685〜692ページ(以下「文献9」という)
及びジャーナル・オブ・アクースティカル・ソサイエテ
ィ・オブ・アメリカ(Journalof Acous
ticalSociety of America)第
94巻、1993年、98〜110ページ(以下「文献
10」という)に開示されている。図13の例では、受
信信号2に対して遅延を生じるので、話者11に対して
スピーカ3及び4によって再生される音響信号の音像
は、スピーカ3の方向へ移動する。これを補正して元に
戻すためには、スピーカ4から音響空間に放射される信
号の振幅を増大させ、同時にスピーカ3から音響空間に
放射される信号の振幅を減少させる。
【0054】文献10によれば、受信信号1と受信信号
2の総電力を一定に保ったまま、振幅補正によって音像
を移動させるためには、それぞれの電力P1dBとP2d
Bの間に、 P1+P2=C (15) という関係が成立しなければならない。ここに、Cは正
定数である。従って、振幅補正前に、受信信号1と受信
信号2の電力がそれぞれP1バーdBとP2バーdBであ
るときに、振幅補正後の受信信号1と受信信号2の電力
P1dBとP2dBは、
【数7】 の関係を満足しなければならない。ここに、
【外6】 は、電力補正量である。このため、図14と15に示す
フィルタの対応する振幅補正用係数乗算器giとfiの値
は、式(16)と(17)から、
【数8】 によって決定することができる。但し、
【外7】 は、受信信号をiサンプル遅延させたときに、これを補
償するために必要になる電力補償係数である。
【0055】図16は、図15に示したフィルタの他の
構成例である。図15においては、直列接続された係数
乗算器が複数並列に接続されているが、図16ではこれ
が一つの数乗算器に統合されている。入力信号は入力端
子2130に供給され、時変係数
【外8】 を有する乗算器2139で
【外9】 倍される。得られた出力信号は、出力端子2134を介
して、出力される。
【0056】
【外10】 は、次式で与えられる。
【0057】
【数9】 これまで、図13〜16を用いた説明では、受信信号2
に対して前処理回路300を適用し、受信信号1に対し
て振幅補正回路400を適用する場合について説明して
きた。しかし、これらを入れ換えて、受信信号1に対し
て前処理回路300を適用し、受信信号2に対して振幅
補正回路400を適用する場合についても、まったく同
じように説明できることは明らかである。
【0058】以上の実施の形態では多チャネルテレビ会
議システムを対象としたエコー除去について論じてきた
が、多チャネルエコー除去の別の応用分野である単一チ
ャネル多地点テレビ会議システムにおいてもまったく同
様の議論が成り立つ。単一チャネル多地点テレビ会議シ
ステムにおいては、通常、一つのマイクで収録した話者
の音声に対して、受信側で使用する複数スピーカの間で
希望する位置に話者が定位するような適度な減衰量と時
間遅れを付加する処理を行なう。このような処理を施さ
れた信号が、受信側で使用するスピーカの数だけ発生さ
れる。受信側で使用するスピーカの数が2に等しい場合
は、図17に示した従来例において上記の減衰と遅延の
補正を加えた2種類の信号が、第1の受信信号1及び第
2の受信信号2に相当する。従って、本発明の実施の形
態をそのまま適用することができる。
【0059】ここでは図1に示す、第1及び第2の受信
信号1、2と、第1及び第2の混在信号14、15を有
する場合を例にとって説明したが、本発明は、複数の受
信信号と、単数または複数の送信信号が存在する場合に
適用可能である。また、受信信号がスピーカから空間音
響経路を伝搬して、マイクで収録される音響エコーを除
去する音響エコーを例にとっているが、音響エコー以外
のエコー、例えば回線の漏話などによるエコーに対して
も適用できる。また、適応フィルタ121、122、1
23、124として、LMSアルゴリズムによる非巡回
型適応フィルタを用いた例を示したが、本発明では、任
意の適応フィルタが使用可能である。例えば、NLMS
アルゴリズムによる非巡回型適応フィルタを用いた場合
のフィルタ係数更新は、
【数10】 となる。適応フィルタのアルゴリズムとしては、文献5
に記載されているシーケンシャル・リグレッション・ア
ルゴリズム(Sequential Regressi
on Algorithm:SRA)や文献6に記載さ
れているRLSアルゴリズムなども使用できる。非巡回
型適応フィルタの代わりに、巡回型を用いてもよい。ま
た、サブバンド型適応フィルタや変換領域の適応フィル
タを用いてもよい。
【0060】
【発明の効果】本発明の多チャネルエコー除去方法及び
装置は、1つの受信信号をフィルタ処理して補助信号を
作成し、これを元の受信信号と時間多重して得られる新
たな受信信号を用いて、適応フィルタを動作させる。元
の受信信号と新たに作成された補助信号を多重して得ら
れる信号を入力として適応フィルタを動作させることに
より、1つの信号源から複数の経路を伝搬して生じたエ
コーを複数の適応フィルタで推定するために、適応フィ
ルタ係数を求める際の条件式数が増加し、解が不定とな
るという問題は起こらない。これは、実施の形態の説明
において記述したように、従来の線形結合型多チャネル
エコーキャンセラでは条件式として式(7)の3式しか
利用することができなかったが、本発明によれば、2倍
の6式を利用できるためである。従って、適応フィルタ
の係数は、一意に定まる最適値に収束する。
【0061】さらに、元の受信信号と補助信号の多重化
パラメータを受信信号の性質に基づいて制御すると同時
に補助信号の導入によって生じる音像移動を、入力信号
に対する振幅補正処理で相殺するため、直接スピーカに
供給されて受聴される受信信号の音質劣化が抑圧され、
良好な音質を保つことができる。
【0062】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多チャネルエコー除去装置の第1の実
施の形態を示すブロック図である。
【図2】前処理回路200の第1の構成例を示すブロッ
ク図である。
【図3】フィルタ213の構成例を示すブロック図であ
る。
【図4】前処理回路200の等価回路を示すブロック図
である。
【図5】前処理回路200の第2の構成例を示すブロッ
ク図である。
【図6】分析回路221の第1の実施例を示すブロック
図である。
【図7】分析回路221の第2の実施例を示すブロック
図である。
【図8】前処理回路200の第3の構成例を示すブロッ
ク図である。
【図9】前処理回路200の第4の構成例を示すブロッ
ク図である。
【図10】図3に示すフィルタの係数乗算器の時変係数
c0(k)を表すグラフである。
【図11】前処理回路200の第5の構成例を示すブロ
ック図である。
【図12】前処理回路200の第6の構成例を示すブロ
ック図である。
【図13】本発明の多チャネルエコー除去装置の第2の
実施の形態を示すブロック図である。
【図14】前処理回路300に含まれるフィルタ213
又はフィルタ230の構成例を示すブロック図である。
【図15】振幅補正回路400に含まれるフィルタ21
3又はフィルタ230の第1の構成例を示すブロック図
である。
【図16】振幅補正回路400に含まれるフィルタ21
3又はフィルタ230の第2の構成例を示すブロック図
である。
【図17】線形結合型多チャネルエコー除去装置のブロ
ック図である。
【符号の説明】
1,2 受信信号 3,4 スピーカ 5,6,7,8 エコー 9,10 マイク 11 話者 12,13 送信信号 14,15 混在信号 16,17 エコー除去装置の出力信号 18,19 ディジタル・アナログ変換器 20,21 アナログ・ディジタル変換器 100 本発明の第1の実施の形態による多チャネルエ
コー除去装置 110 本発明の第2の実施の形態による多チャネルエ
コー除去装置 120 線形結合型多チャネルエコー除去装置 121,122,123,124 適応フィルタ 125,126,127,128 エコーレプリカ 129,130,2211 減算器 200,300 前処理回路 201,2130,2135,2136 入力端子 202,2134 出力端子 210 スイッチ 211 クロック信号発生回路 212 分周回路 213,230 フィルタ 220 論理積回路 221,222 分析回路 400 振幅補正回路 1146,1147,1149 乗算器 1148 矩形パルス発生回路 2131,2210,2215 遅延素子 2132,2137,2138,2139 係数乗算器 2133,1150 加算器 2212 絶対値回路 2213 判定回路 2214 記憶回路 2216 差分評価回路 2217 制御信号発生回路

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の受信信号と単数または複数の送信
    信号とを扱うシステムにおいて、前記複数の受信信号が
    空間音響経路を伝搬することによって、あるいは回線で
    漏話すること等によって生じる複数のエコーと前記送信
    信号とが混在する混在信号から、前記複数の受信信号を
    入力とする複数の適応フィルタによって生成された前記
    複数のエコーに対応したレプリカを差し引くことによっ
    てエコーを除去する際に、前記複数の受信信号のうち一
    つを選択して選択受信信号とし、該選択受信信号をフィ
    ルタ処理して処理信号を発生し、前記選択受信信号と前
    記処理信号を時間多重して新たな受信信号とし、該新た
    な受信信号を前記選択受信信号の代りに対応する適応フ
    ィルタに入力して前記複数のレプリカを生成することを
    特徴とする多チャネルエコー除去方法。
  2. 【請求項2】 複数の受信信号と単数または複数の送信
    信号とを扱うシステムにおいて、前記複数の受信信号が
    空間音響経路を伝搬することによって、あるいは回線で
    漏話すること等によって生じる複数のエコーと前記送信
    信号が混在する混在信号から、前記複数の受信信号を入
    力とする複数の適応フィルタによって生成された前記複
    数のエコーに対応したレプリカを差し引くことによって
    エコーを除去する際に、前記複数の受信信号のうち一つ
    を選択して選択受信信号とし、該選択受信信号をフィル
    タ処理して処理信号を発生し、前記選択受信信号と前記
    処理信号を時間多重して新たな受信信号とし、該新たな
    受信信号に振幅補正を施した後に前記選択受信信号の代
    りに対応する適応フィルタに入力して前記複数のレプリ
    カを生成し、前記選択受信信号以外の受信信号に対して
    振幅補正を施して振幅補正信号とし、該振幅補正信号を
    前記選択受信信号以外の受信信号の代りに対応する適応
    フィルタに入力して前記複数のレプリカを生成すること
    を特徴とする多チャネルエコー除去方法。
  3. 【請求項3】 前記時間多重は、前記選択受信信号と前
    記処理信号とを切替えて行うことを特徴とする請求項1
    又は2記載の多チャネルエコー除去方法。
  4. 【請求項4】 前記処理信号は、ゼロと非ゼロの値をと
    る複数の時変フィルタ係数を用いて前記選択受信信号を
    フィルタ処理することによって発生することを特徴とす
    る請求項1、2又は3記載の多チャネルエコー除去方
    法。
  5. 【請求項5】 前記選択受信信号と前記処理信号との時
    間多重の周期は、一定であり、且つ多重化する信号の標
    本化周期より長いことを特徴とする請求項1、2、3又
    は4記載の多チャネルエコー除去方法。
  6. 【請求項6】 前記選択受信信号と前記処理信号との時
    間多重の周期は、多重化する信号の標本化周期より長
    く、さらに多重化する信号を分析した結果により変化す
    ることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の多チ
    ャネルエコー除去方法。
  7. 【請求項7】 複数の受信信号と単数または複数の送信
    信号を有し、前記複数の受信信号が空間音響経路を伝搬
    することによって、あるいは回線で漏話すること等によ
    って生じる複数のエコーと前記送信信号が混在する混在
    信号から、前記複数の受信信号を入力とする複数の適応
    フィルタによって生成された前記複数のエコーに対応し
    たレプリカを差し引くことによってエコーを除去する多
    チャネルエコー除去装置において、前記空間音響経路あ
    るいは回線における漏話の経路と1対1に対応し、対応
    する経路に供給される信号と同一の受信信号を受けて前
    記レプリカを生成する複数の適応フィルタと、前記複数
    の受信信号のうちの一つをフィルタ処理して処理信号を
    発生し、該処理信号とフィルタ処理前の受信信号を時間
    多重した後、新たな受信信号として複数の適応フィルタ
    に供給する前処理回路と、生成された前記レプリカを前
    記混在信号から差し引く複数の減算器を具備し、前記複
    数の減算器の出力を最小とするように前記複数の適応フ
    ィルタを制御することを特徴とする多チャネルエコー除
    去装置。
  8. 【請求項8】 複数の受信信号と単数または複数の送信
    信号を有し、前記複数の受信信号が空間音響経路を伝搬
    することによって、あるいは回線で漏話すること等によ
    って生じる複数のエコーと前記送信信号が混在する混在
    信号から、前記複数の受信信号を入力とする複数の適応
    フィルタによって生成された前記複数のエコーに対応し
    たレプリカを差し引くことによってエコーを除去する多
    チャネルエコー除去装置において、前記空間音響経路あ
    るいは回線における漏話の経路と1対1に対応し、対応
    する経路に供給される信号と同一の受信信号を受けて前
    記レプリカを生成する複数の適応フィルタと、前記複数
    の受信信号のうちの一つをフィルタ処理して処理信号を
    発生し、該処理信号とフィルタ処理前の受信信号を時間
    多重した後、新たな受信信号として複数の適応フィルタ
    に供給する前処理回路と、前処理回路で処理しない受信
    信号に対して振幅補正を施して出力する複数の振幅補正
    回路と、前記生成されたレプリカを前記混在信号から差
    し引く複数の減算器を具備し、前記複数の減算器の出力
    を最小とするように前記複数の適応フィルタを制御する
    ことを特徴とする多チャネルエコー除去装置。
  9. 【請求項9】 前記前処理回路は、前記選択受信信号と
    前記処理信号とを切替えて時間多重するスイッチを有す
    ることを特徴とする請求項7又は8記載の多チャネルエ
    コー除去装置。
  10. 【請求項10】 前記前処理回路は、前記複数の受信信
    号のうちの一つを受け前記処理信号を出力する、ゼロと
    非ゼロの値をとる複数の時変係数で制御される時変係数
    フィルタを有することを特徴する請求項7又は8記載の
    多チャネルエコー除去装置。
  11. 【請求項11】 前記前処理回路は、前記複数の受信信
    号のうちの一つを受け前記処理信号を出力するゼロと非
    ゼロの値をとる複数の時変係数で制御される時変係数フ
    ィルタと、多重化する信号の標本化周期より長い周期の
    分周クロックを基準クロックから出力する分周回路と、
    前記分周クロックによって前記スイッチを切替え、前記
    分周クロックと前記基準クロックによって前記時変係数
    の変化を制御することを特徴とする請求項9記載の多チ
    ャネルエコー除去装置。
  12. 【請求項12】 前記前処理回路は、多重化する信号の
    標本化周期より長い周期の分周クロックを基準クロック
    から出力する分周回路を有し、前記分周クロックと前記
    基準クロックによって前記時変係数の変化を制御するこ
    とを特徴とする請求項10記載の多チャネルエコー除去
    装置。
  13. 【請求項13】 前記前処理回路は、前記複数の受信信
    号のうちの一つを受け前記処理信号を出力するゼロと非
    ゼロの値をとる複数の時変係数で制御される時変係数フ
    ィルタと、多重化する信号の標本化周期より長い周期の
    分周クロックを基準クロックから出力する分周回路と、
    前記選択受信信号を分析する分析回路と、前記分周クロ
    ックと前記分析回路の出力の一致を検出する論理積回路
    とを有し、前記論理積回路の出力で前記スイッチを切替
    え、前記論理積回路の出力と前記基準クロックによって
    前記時変係数の変化を制御することを特徴とする請求項
    9記載の多チャネルエコー除去装置。
  14. 【請求項14】 前記前処理回路は、多重化する信号の
    標本化周期より長い周期の分周クロックを基準クロック
    から出力する分周回路と、前記選択受信信号を分析する
    分析回路と、前記分周クロックと前記分析回路の出力の
    一致を検出する論理積回路とを有し、前記論理積回路の
    出力と前記基準クロックによって前記時変係数の変化を
    制御することを特徴とする請求項10記載の多チャネル
    エコー除去装置。
  15. 【請求項15】 前記前処理回路は、前記複数の受信信
    号のうちの一つを受け前記処理信号を出力するゼロと非
    ゼロの値をとる複数の時変係数で制御される時変係数フ
    ィルタと、前記選択受信信号を分析する分析回路とを有
    し、前記分析回路の出力で前記スイッチを切替え、前記
    分析回路の出力と前記基準クロックによって前記時変係
    数の変化を制御することを特徴とする請求項9記載の多
    チャネルエコー除去装置。
  16. 【請求項16】 前記前処理回路は、前記複数の受信信
    号のうちの一つを受け前記処理信号を出力するゼロと非
    ゼロの値をとる複数の時変係数で制御される時変係数フ
    ィルタと、基準クロックと、前記選択受信信号を分析す
    る分析回路とを有し、前記分析回路の出力と前記基準ク
    ロックによって前記時変係数の変化を制御することを特
    徴とする請求項10記載の多チャネルエコー除去装置。
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