JPH1141785A - 過電流継電装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】第２高調波の含有率に関係なく、過電流継電装
置が誤不動作せず正常に事故検出を行う過電流継電装置
を提供すること。 【解決手段】系統の入力電流値が動作値以上であること
を検出する動作検出手段と、入力電流の基本波検出手段
と、入力電流の第２高調波検出手段と、開閉器入り指令
検出信号を一定時間内継続させる開閉器状態検出手段
と、この開閉器入り指令検出信号が送出されている時だ
け基本波に対する第２高調波の比が一定値以上であるこ
とを検出する第２高調波出力抑止検出手段と、事故検出
信号と第２高調波出力抑止検出手段からの検出信号とか
ら系統事故か否かを判定する事故検出手段とを備え、系
統の開閉器の入り指令信号を有りの場合のみ，一定時間
だけ基本波に対する第２高調波の含有率の高低に拘らず
過電流事故検出の出力信号を抑止するので、高速度で且
つ正常な事故検出が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は電力系統の過電流事
故を検出する過電流継電装置に係わり、特に電力系統の
変圧器回路等への突入電流による誤動作を防止する過電
流継電装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、電力系統に設置された変圧器回路
等への突入電流による誤動作の危険性がある過電流事故
検出には、図３に示すような過電流継電装置が用いられ
ている。

【０００３】この過電流継電装置３は、入力電流の基本
波成分の値を求める基本波検出手段４と、入力電流の第
２高調波成分の値を求める第２高調波検出手段５と、前
記基本波検出手段４と第２高調波検出手段５のそれぞれ
から得られた値から基本波に対する第２高調波の比を求
め、その比が一定値以上であることを検出する第２高調
波含有率検出手段６と、入力電流の値が動作値以上であ
るか否かを判定する動作検出手段７と、第２高調波含有
率検出手段６により基本波に対する第２高調波の比が所
定値以上の時，第２高調波成分による出力抑止を検出す
る第２高調波出力抑止検出手段８と、入力電流の値が動
作値以上でかつ第２高調波の出力抑止がない時に事故を
検出する事故検出手段９とから構成されている。

【０００４】このような構成の過電流継電装置３は、系
統の電流を入力し基本波検出手段４から入力電流の基本
波成分の値を、第２高調波検出手段５から入力電流の第
２高調波成分の値を求め、その基本波成分と第２高調波
成分から第２高調波含有率検出手段６により基本波に対
する第２高調波の比が一定値以上でないと検出された
時、第２高調波出力抑止検出手段８により第２高調波成
分による出力抑止信号が検出されず、動作検出手段７で
入力電流が動作値以上であると検出されれば事故検出手
段９で事故と判定し継電装置３の動作信号を出力する。

【０００５】また逆に、第２高調波含有率検出手段６に
より基本波に対する第２高調波の比が一定値以上である
と検出された時、第２高調波出力抑止検出手段８により
第２高調波成分による出力抑止信号が検出され、動作検
出手段７で入力電流が動作値以上であると検出されても
事故検出手段９では事故検出信号の出力を抑止する。

【０００６】つまり、入力電流に含まれる第２高調波成
分が基本波に対して一定値以上である時は、変圧器突入
電流であると判定するもので、入力電流の大きさに関係
なく事故検出の出力を抑止するものである。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
過電流継電装置は、次の如き問題がある。すなわち、 （１）事故発生により入力電流が瞬時に急変するので、
事故後電流が一定していても事故発生直後の半サイクル
は、必ず第２高調波成分が抽出され瞬間の第２高調波抑
止作用により事故検出が遅れてしまう。 （２）事故電流が激しく急変して一定しない状態では、
その変化分電流に第２高調波成分が含まれるので、事故
検出の出力抑止を継続する危険性がある。

【０００８】本発明（請求項１及び請求項２対応）は、
上記課題を解決するもので、その目的は事故の高速検出
を可能とし、事故電流に激しいばらつきがある時でも、
第２高調波の含有率に関係なく、過電流継電装置が誤不
動作せず正常に事故検出を行う過電流継電装置を提供す
ることにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の請求項１は、電力系統の過電流事故を検出
する過電流継電装置において、前記系統の入力電流の値
が動作値以上であることを検出する動作検出手段と、前
記入力電流の基本波成分の値を求める基本波検出手段
と、前記入力電流の第２高調波成分の値を求める第２高
調波検出手段と、前記系統に配置された開閉器の入り指
令信号を検出し，この検出信号を一定時間内継続させる
開閉器状態検出手段と、前記開閉器状態検出手段からの
検出信号が送出されている時だけ，前記基本波検出手段
および前記第２高調波検出手段で得られたそれぞれの値
を読み込んで基本波に対する第２高調波の比が一定値以
上であることを検出する第２高調波出力抑止検出手段
と、前記動作検出手段からの事故検出信号と前記第２高
調波出力抑止検出手段からの検出信号とから系統事故か
否かを判定する事故検出手段とを備え、前記系統の開閉
器の入り指令信号を有りの場合のみ，一定時間だけ基本
波に対する第２高調波の含有率の高低に拘らず過電流事
故検出の出力信号を抑止することを特徴とする。

【００１０】本発明の請求項２は、電力系統の過電流事
故を検出する過電流継電装置において、前記系統の入力
電流の値が動作値以上であることを検出する動作検出手
段と、前記入力電流の基本波成分の値を求める基本波検
出手段と、前記入力電流の第２高調波成分の値を求める
第２高調波検出手段と、前記系統の電圧を入力して停電
中か否かを検出する系統停電検出手段と、前記系統に配
置された開閉器の閉信号を入力し，その開閉器の状態を
検出する開閉器状態検出手段と、前記開閉器状態検出手
段と系統停電検出手段の情報から前記開閉器が閉状態で
系統に電圧が印加されたことを検出する系統電圧印加検
出手段とを備え、前記系統に電圧が印加されたことが検
出された時から一定時間だけ基本波に対する第２高調波
の含有率が一定値以上であれば過電流事故検出の出力信
号を抑止することを特徴とする。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図を
参照して説明する。図１は、本発明の一実施例（請求項
１対応）である過電流継電装置の構成図である。

【００１２】同図において、１は過電流継電装置であ
り、この過電流継電装置１は、系統の入力電流の基本波
成分の値を求める基本波検出手段４と、入力電流の第２
高調波成分の値を求める第２高調波検出手段５と、前記
基本波検出手段４と第２高調波検出手段５のそれぞれに
より求められた値から基本波に対する第２高調波の比を
求め、その比が一定値以上であることを検出する第２高
調波含有率検出手段６と、開閉器の入操作指令を検出す
る開閉器入指令検出手段１０と、前記開閉器入指令検出
手段１０と前記第２高調波含有率検出手段６の双方から
検出信号が出力された時事故検出抑止信号を出力する第
２高調波出力抑止検出手段８と、入力電流が動作値以上
であるかを検出する動作検出手段７と、前記動作検出手
段７から検出信号が出力されていて、且つ前記第２高調
波出力抑止検出手段８から事故検出抑止信号の出力がな
い場合にのみ過電流継電装置１の事故検出信号を出力す
る事故検出手段９とから構成されている。

【００１３】そして、事故検出手段９は、開閉器によっ
て系統に変圧器が連携された一定時間（突入電流が流れ
る時間）だけに限り、第２高調波による出力抑止機能が
作用するものであり、また、開閉器入指令検出手段１０
は、検出された開閉器の入操作指令を一定の時間幅を持
つパルス信号に変換して出力するものである。さらに第
２高調波出力抑止検出手段８は、第２高調波含有率によ
る事故検出の抑止を行うか否かの判定を行うもので、前
記開閉器入指令検出手段１０と前記第２高調波含有率検
出手段６の双方から検出信号が出力された時、事故検出
抑止信号を出力するものである。

【００１４】次に、本実施例の作用を説明すると、系統
の開閉器に入指令を与えた時、第２高調波による出力抑
止機能を働かせ、一定時間が経過した後に、第２高調波
による出力抑止機能を除外する。つまり、開閉器によっ
て系統に変圧器が連携された一定時間（突入電流が流れ
る時間）だけ第２高調波による出力抑止機能を働かせる
ものである。そして系統が安定して定常運用している状
態では、第２高調波による出力抑止機能を除外して事故
時の電流状況に応じ、出力が抑止されるような危険性を
排除するものである。

【００１５】図２は、本発明の他の実施例（請求項２対
応）を示す過電流継電装置の構成図である。本実施例の
過電流継電装置２が図１の実施例の過電流継電装置１と
異なる構成は、開閉器入指令検出手段１０の代りに系統
電圧検出手段１１と、運用過渡状態検出手段１２とを設
けた構成のみであり、その他の構成は同一であるので、
同一構成部分には同一符号を付して説明する。

【００１６】次に、本実施例の作用について説明する。
系統の電流は過電流継電装置２に入力され、基本波検出
手段４により入力電流の基本波成分の値を、第２高調波
検出手段５により入力電流の第２高調波成分の値を求め
る。また、動作検出手段７により前記入力電流が動作値
以上であるかを検出する。また、第２高調波含有率検出
手段６で、前記基本波検出手段４と第２高調波検出手段
５のそれぞれにより求められた値から、基本波に対する
第２高調波の比を求め、その比が一定値以上であること
を検出する。

【００１７】一方、系統の電圧も同様に過電流継電装置
２に入力され、系統電圧検出手段１１により系統に電圧
が印加されているか否かを検出する。運用過渡状態検出
手段１２は、開閉器の閉信号と前記系統電圧検出手段１
１の電圧印加検出信号との双方の信号から系統に電圧が
印加された運用過渡の状態であることを検出するもの
で、前記開閉器の閉信号が入力されてから一定時間が経
過するか、或いは前記系統電圧検出手段１１で電圧印加
が検出されて一定時間が経過した場合以外（停止中か或
いは、系統に電圧印加されて一定時間が経過するまで）
を運用過渡状態と判定するものである。

【００１８】また、第２高調波出力抑止検出手段８で
は、第２高調波含有率による事故検出の抑止を行うか否
かの判定を行うもので、前記系統運用過渡状態検出手段
１２と前記第２高調波含有率検出手段６の双方からの検
出信号が出力された時、事故検出抑止信号を出力する。
さらに、事故検出手段９では、前記動作検出手段７から
検出信号が出力されていて、且つ前記第２高調波出力抑
止検出手段８から事故検出抑止信号の出力がない場合に
のみ過電流継電装置２の事故検出信号を出力するように
構成するものである。つまり、図１で述べた作用に加
え、より上位の電源系統で発生する瞬時停電、或いは上
位の電源の開／閉操作によって変圧器に励磁突入電流が
流れる場合にも、突入電流による誤った事故検出出力を
抑止するように作用するものである。

【００１９】上述したように、本実施例では、系統の開
閉器が開放していて、且つ入力電圧（系統電圧）なしの
場合は、第２高調波による出力抑止機能を働かせてお
き、系統の開閉器が閉合して一定時間が経過した後、或
いは、入力電圧（系統電圧）が検出されて一定時間が経
過した後に第２高調波による出力抑止機能を除外してい
る。すなわち、上記した図１の実施例で述べた作用に加
え、系統の開閉器が閉合のままでも、より上位の電源系
統で発生する瞬時停電、或いは上位の電源の開／閉操作
によって変圧器に励磁突入電流が流れる場合には突入電
流が流れている一定時間だけ第２高調波による出力抑止
機能が働くので、突入電流による誤った事故検出出力を
抑止することができる。

【００２０】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の請求項１
によれば、入力電流が急激なばらつきを伴うことにより
突入電流のようにみえても、定常運用中の事故に対して
は、第２高調波による出力抑止機能が働かないように構
成されているので、高速度で且つ正常な事故検出が可能
となり、電力供給の安定確保に寄与する。

【００２１】また、本発明の請求項２によれば、上記請
求項１の効果に加え、電力会社や遠隔地など、より上位
系統で発生する瞬時停電、或いは上位系統の電源の開／
閉操作によって電力系統がどのように運用されても変圧
器に励磁突入電流が流れる場合には、必ず第２高調波に
よる出力抑止機能が一定時間働くので、突入電流による
誤った事故検出を防ぐことが可能で信頼性の高い保護継
電装置を提供することができ、電力供給の安定確保に寄
与する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の過電流継電装置の構成図。

【図２】本発明の他の実施例の過電流継電装置の構成
図。

【図３】従来の過電流継電装置の構成図。

【符号の説明】

１，２，３…過電流継電装置、４…基本波検出手段、５
…第２高調波検出手段、６…第２高調波含有率検出手
段、７…動作検出手段、８…第２高調波出力抑止検出手
段、９…事故検出手段、１０…開閉器入指令検出手段、
１１…系統電圧検出手段、１２…運用過渡状態検出手
段。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 電力系統の過電流事故を検出する過電流
   継電装置において、前記系統の入力電流の値が動作値以
   上であることを検出する動作検出手段と、前記入力電流
   の基本波成分の値を求める基本波検出手段と、前記入力
   電流の第２高調波成分の値を求める第２高調波検出手段
   と、前記系統に配置された開閉器の入り指令信号を検出
   し，この検出信号を一定時間内継続させる開閉器状態検
   出手段と、前記開閉器状態検出手段からの検出信号が送
   出されている時だけ，前記基本波検出手段および前記第
   ２高調波検出手段で得られたそれぞれの値を読み込んで
   基本波に対する第２高調波の比が一定値以上であること
   を検出する第２高調波出力抑止検出手段と、前記動作検
   出手段からの事故検出信号と前記第２高調波出力抑止検
   出手段からの検出信号とから系統事故か否かを判定する
   事故検出手段とを備え、前記系統の開閉器の入り指令信
   号を有りの場合のみ，一定時間だけ基本波に対する第２
   高調波の含有率の高低に拘らず過電流事故検出の出力信
   号を抑止することを特徴とする過電流継電装置。
2. 【請求項２】 電力系統の過電流事故を検出する過電流
   継電装置において、前記系統の入力電流の値が動作値以
   上であることを検出する動作検出手段と、前記入力電流
   の基本波成分の値を求める基本波検出手段と、前記入力
   電流の第２高調波成分の値を求める第２高調波検出手段
   と、前記系統の電圧を入力して停電中か否かを検出する
   系統停電検出手段と、前記系統に配置された開閉器の閉
   信号を入力し，その開閉器の状態を検出する開閉器状態
   検出手段と、前記開閉器状態検出手段と系統停電検出手
   段の情報から前記開閉器が閉状態で系統に電圧が印加さ
   れたことを検出する系統電圧印加検出手段とを備え、前
   記系統に電圧が印加されたことが検出された時から一定
   時間だけ基本波に対する第２高調波の含有率が一定値以
   上であれば過電流事故検出の出力信号を抑止することを
   特徴とする過電流継電装置。