JPH1140009A - 回転アーク形ガス遮断器 - Google Patents
回転アーク形ガス遮断器Info
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- JPH1140009A JPH1140009A JP20867297A JP20867297A JPH1140009A JP H1140009 A JPH1140009 A JP H1140009A JP 20867297 A JP20867297 A JP 20867297A JP 20867297 A JP20867297 A JP 20867297A JP H1140009 A JPH1140009 A JP H1140009A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 昇圧室と放圧室のガス空間を連通する連通部
の流体抵抗を低減し、遮断性能に優れたガス遮断器を提
供する。 【解決手段】 消弧性ガスを封入してある封入容器1
と、封入容器1の中に設けた昇圧室22および放圧室1
2と、昇圧室22内に設けた固定側端子3と、固定側端
子3に対して操作機構によって開閉可能に移動し得る可
動接触子32および可動側端子4と、固定側端子3に絶
縁部材を介して設けた中空円筒状のアークランナー電極
6と、一方端を固定側端子3に他方側をアークランナー
電極6に接続してアークランナー電極6の外周に巻回し
たアーク駆動コイル7とを備えた回転アーク形ガス遮断
器において、昇圧室22と放圧室12との連通口62を
アークランナー電極6の中空部によって形成したもので
ある。したがって、ガス空間の連通部の流体抵抗は大き
く低減され、アークの冷却効果が向上する。
の流体抵抗を低減し、遮断性能に優れたガス遮断器を提
供する。 【解決手段】 消弧性ガスを封入してある封入容器1
と、封入容器1の中に設けた昇圧室22および放圧室1
2と、昇圧室22内に設けた固定側端子3と、固定側端
子3に対して操作機構によって開閉可能に移動し得る可
動接触子32および可動側端子4と、固定側端子3に絶
縁部材を介して設けた中空円筒状のアークランナー電極
6と、一方端を固定側端子3に他方側をアークランナー
電極6に接続してアークランナー電極6の外周に巻回し
たアーク駆動コイル7とを備えた回転アーク形ガス遮断
器において、昇圧室22と放圧室12との連通口62を
アークランナー電極6の中空部によって形成したもので
ある。したがって、ガス空間の連通部の流体抵抗は大き
く低減され、アークの冷却効果が向上する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、SF6 ガスなどの
消弧性ガスを用いた回転アーク形ガス遮断器に関する。
消弧性ガスを用いた回転アーク形ガス遮断器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、SF6 ガスなどの消弧性ガスを用
いた回転アーク形ガス遮断器は、例えば図7(a),
(b)に示すように構成されたものが開示されている
(例えば、特公平3−54411号、特開昭51−45
282号公報)。図7において、10は内部にSF6 ガ
ス等の消弧性ガスを封入してある絶縁性を有する封入容
器、20は固定側端子で、先端にバネ210により固定
側端子20の軸中心方向に加圧されている複数の接触子
片からなる固定接触子220を設けてある。固定接触子
220の外周には筒状の絶縁部材30と絶縁部材30の
回りに巻回されたアーク駆動コイル40を設け、アーク
駆動コイル40の端面にはアークランナ電極50を設け
てある。アーク駆動コイル40の両方の端子は固定側端
子20とアークランナ電極50に接続されている。60
は可動側端子で、封入容器10の内側に設けられ、封入
容器10を上下に分割・隔離し、上方の固定接触子22
0側に昇圧室110、下方に放圧室120を形成してい
る。610は中空円筒状の可動接触子で、可動側端子6
0に上下方向に摺動し得るように支持されて、中空部6
11の連通口612を通して昇圧室110と放圧室12
0とを連通してある。
いた回転アーク形ガス遮断器は、例えば図7(a),
(b)に示すように構成されたものが開示されている
(例えば、特公平3−54411号、特開昭51−45
282号公報)。図7において、10は内部にSF6 ガ
ス等の消弧性ガスを封入してある絶縁性を有する封入容
器、20は固定側端子で、先端にバネ210により固定
側端子20の軸中心方向に加圧されている複数の接触子
片からなる固定接触子220を設けてある。固定接触子
220の外周には筒状の絶縁部材30と絶縁部材30の
回りに巻回されたアーク駆動コイル40を設け、アーク
駆動コイル40の端面にはアークランナ電極50を設け
てある。アーク駆動コイル40の両方の端子は固定側端
子20とアークランナ電極50に接続されている。60
は可動側端子で、封入容器10の内側に設けられ、封入
容器10を上下に分割・隔離し、上方の固定接触子22
0側に昇圧室110、下方に放圧室120を形成してい
る。610は中空円筒状の可動接触子で、可動側端子6
0に上下方向に摺動し得るように支持されて、中空部6
11の連通口612を通して昇圧室110と放圧室12
0とを連通してある。
【0003】次に動作を説明する。可動接触子610が
固定接触子220に接触している投入状態から、図示し
ない機構部により可動接触子610を下方に引き下ろす
開極動作を行うと、可動接触子610は固定接触子22
0から開離し、固定接触子220と可動接触子610と
の間にアークが発生する。アークは可動接触子610が
下方に移動するに従って引き伸ばされ、可動接触子61
0がアークランナー電極50を通過する時に、アークは
アークランナー電極50に接触する。アークランナー電
極50と固定接触子20の間に電気的に接続されたアー
ク駆動コイル40に電流が流れて磁束Φが発生し、フレ
ミングの法則に従って、アークと磁束Φとの直交成分に
よって、アークへの駆動力を生じ、この駆動力によって
アークは回転駆動され、昇圧室110内のガスに吹き付
けられて冷却される。可動接触子610とアークランナ
ー電極50との間に生じたアークは、図7(a)に示す
ように、固定接触子220とアークランナー電極50と
の間にアーク駆動コイルを短絡するように発生する分流
アークA1と、アークランナー電極50と可動接触子6
10との間に発生する主アークA2から構成される。
固定接触子220に接触している投入状態から、図示し
ない機構部により可動接触子610を下方に引き下ろす
開極動作を行うと、可動接触子610は固定接触子22
0から開離し、固定接触子220と可動接触子610と
の間にアークが発生する。アークは可動接触子610が
下方に移動するに従って引き伸ばされ、可動接触子61
0がアークランナー電極50を通過する時に、アークは
アークランナー電極50に接触する。アークランナー電
極50と固定接触子20の間に電気的に接続されたアー
ク駆動コイル40に電流が流れて磁束Φが発生し、フレ
ミングの法則に従って、アークと磁束Φとの直交成分に
よって、アークへの駆動力を生じ、この駆動力によって
アークは回転駆動され、昇圧室110内のガスに吹き付
けられて冷却される。可動接触子610とアークランナ
ー電極50との間に生じたアークは、図7(a)に示す
ように、固定接触子220とアークランナー電極50と
の間にアーク駆動コイルを短絡するように発生する分流
アークA1と、アークランナー電極50と可動接触子6
10との間に発生する主アークA2から構成される。
【0004】可動接触子610の開極動作を進めること
により、主アークA2は更に引き伸ばされて、図7
(b)に示すように、消弧寸前には主アークA3の状態
となる。このアークが引き伸ばされる期間に、交流電流
である短絡電流は零の値に向かって減少し、その間に分
流アークA1も減少するとともに、アーク駆動コイル4
0に電流が流れ出す。分流アークA1は主アークA3の
状態の直前で消滅し、アーク駆動コイル40に流れる電
流のみとなる。このアーク駆動コイル40に流れる電流
から生み出される磁界により、主アークA3はアークラ
ンナー電極50に沿って回転を続ける。主アークA2か
ら主アークA3に引き伸ばされる間に、アークの周囲の
ガスが加熱されるので、昇圧室110のガスの圧力は上
昇し、放圧室120との間に圧力差を生じる。この圧力
差によって、ガスは昇圧室110から可動接触子610
の中空部611の連通口612を通じて放圧室120へ
放出され、矢印に示すガス流G1からガス流G2が生
じ、このガス流によって主アークA3は冷却される。し
たがって、主アークA3はアークの回転による消弧ガス
に対する相対吹き付け作用と、ガス流G1、G2の発生
による消弧ガスの吹き付け作用の相乗吹き付け作用によ
り冷却されて遮断される。
により、主アークA2は更に引き伸ばされて、図7
(b)に示すように、消弧寸前には主アークA3の状態
となる。このアークが引き伸ばされる期間に、交流電流
である短絡電流は零の値に向かって減少し、その間に分
流アークA1も減少するとともに、アーク駆動コイル4
0に電流が流れ出す。分流アークA1は主アークA3の
状態の直前で消滅し、アーク駆動コイル40に流れる電
流のみとなる。このアーク駆動コイル40に流れる電流
から生み出される磁界により、主アークA3はアークラ
ンナー電極50に沿って回転を続ける。主アークA2か
ら主アークA3に引き伸ばされる間に、アークの周囲の
ガスが加熱されるので、昇圧室110のガスの圧力は上
昇し、放圧室120との間に圧力差を生じる。この圧力
差によって、ガスは昇圧室110から可動接触子610
の中空部611の連通口612を通じて放圧室120へ
放出され、矢印に示すガス流G1からガス流G2が生
じ、このガス流によって主アークA3は冷却される。し
たがって、主アークA3はアークの回転による消弧ガス
に対する相対吹き付け作用と、ガス流G1、G2の発生
による消弧ガスの吹き付け作用の相乗吹き付け作用によ
り冷却されて遮断される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来技
術では、ガス流速とアーク回転速度の二つの問題があっ
た。まず、ガス流速の問題について説明する。回転アー
クの熱により昇圧室110の圧力は十分上昇するが、昇
圧室110と放圧室120のガス空間を連通する可動接
触子610の中空部611の流体抵抗が大きく、アーク
に対するガス吹き付け速度、すなわちガス流速が消弧に
対して十分な速度に達しないという問題があった。その
原因は、可動接触子610の中空部611の直径が封入
容器10の形状から来る制約で、必要かつ十分に大きく
できないこと。また、可動接触子610の中空部611
の長さが可動接触子610の動作工程から必要かつ十分
に短縮できないことにある。
術では、ガス流速とアーク回転速度の二つの問題があっ
た。まず、ガス流速の問題について説明する。回転アー
クの熱により昇圧室110の圧力は十分上昇するが、昇
圧室110と放圧室120のガス空間を連通する可動接
触子610の中空部611の流体抵抗が大きく、アーク
に対するガス吹き付け速度、すなわちガス流速が消弧に
対して十分な速度に達しないという問題があった。その
原因は、可動接触子610の中空部611の直径が封入
容器10の形状から来る制約で、必要かつ十分に大きく
できないこと。また、可動接触子610の中空部611
の長さが可動接触子610の動作工程から必要かつ十分
に短縮できないことにある。
【0006】次に、遮断性能を決定する重要な要因であ
るアーク回転速度の問題について説明する。アーク回転
速度は、アークの直交する磁束密度と、アーク電流の積
に比例し、封入ガス圧力に反比例する。また、磁束密度
はアーク駆動コイル40に流れる電流値に比例する。と
ころで、従来形ではアーク駆動コイル40の内部の磁束
Φは中心軸に対してほぼ平行となっており、可動接触子
610は中心軸に沿ってアーク駆動コイル40から離れ
るように開極するため、次のような問題があった。図5
に可動接触子610の移動に伴うアークの位置に対する
アークと磁束Φの直交率の関係を示す。これによると、
アークと磁束Φの直交率は主アークA2では70%あっ
たものが、主アークA3では20%まで低下している。
また、分流アークA1と磁束Φは平行しており、磁気的
駆動力はなく、分流アークA1は全く回転しない。分流
アークA1の回転は、アーク駆動コイル40に流れる電
流値、すなわち磁束密度にまで影響する。アーク駆動コ
イル40を短絡するように発生する分流アークA1のア
ーク電圧値により、アーク駆動コイル40に流れる電流
値が決まるためである。また、この分流アークA1が高
速回転すれば、分流アーク電圧値も高くなり、ひいては
アーク駆動コイル電流も増加するが、従来形では分流ア
ークA1が全く回転しないため、磁束密度の向上は期待
できなかった。
るアーク回転速度の問題について説明する。アーク回転
速度は、アークの直交する磁束密度と、アーク電流の積
に比例し、封入ガス圧力に反比例する。また、磁束密度
はアーク駆動コイル40に流れる電流値に比例する。と
ころで、従来形ではアーク駆動コイル40の内部の磁束
Φは中心軸に対してほぼ平行となっており、可動接触子
610は中心軸に沿ってアーク駆動コイル40から離れ
るように開極するため、次のような問題があった。図5
に可動接触子610の移動に伴うアークの位置に対する
アークと磁束Φの直交率の関係を示す。これによると、
アークと磁束Φの直交率は主アークA2では70%あっ
たものが、主アークA3では20%まで低下している。
また、分流アークA1と磁束Φは平行しており、磁気的
駆動力はなく、分流アークA1は全く回転しない。分流
アークA1の回転は、アーク駆動コイル40に流れる電
流値、すなわち磁束密度にまで影響する。アーク駆動コ
イル40を短絡するように発生する分流アークA1のア
ーク電圧値により、アーク駆動コイル40に流れる電流
値が決まるためである。また、この分流アークA1が高
速回転すれば、分流アーク電圧値も高くなり、ひいては
アーク駆動コイル電流も増加するが、従来形では分流ア
ークA1が全く回転しないため、磁束密度の向上は期待
できなかった。
【0007】図6には主アークA2の時の磁気的駆動力
を1.0としたときのアーク駆動力と可動接触子610
の移動に伴うアーク位置との関係を示す。主アークA2
から主アークA3まで可動接触子610が開離すること
により、磁気的駆動力は0.2まで低下している。この
磁気的駆動力の低下は、前記アークと磁束Φの直交率の
低下と、可動接触子610がアーク駆動コイル40から
離れるほどアーク駆動コイル40の外部の磁束密度が低
下するためである。以上のような現象のため、分流アー
クA1や主アークA2,A3のアークの足は回転せず
に、いずれも一か所に滞留するので、アークは十分に冷
却されない。そのうえ、固定接触子220、可動接触子
610の先端に設けてある耐弧メタル、例えば銅タング
ステン合金の銅の局所的な蒸発が激しく起こって、アー
ク空間を多量の金属蒸気で汚染すると共に、耐弧材であ
るタングステンのつなぎ部材である銅を失ったタングス
テンは容易に脱落してしまい、接触子先端に設けてある
耐弧メタルの表面に突起を形成して電界集中を生じる。
その結果、絶縁破壊を生じて遮断不能に至るという問題
があった。本発明は、ガス遮断器を大形化することな
く、昇圧室と放圧室のガス空間を連通する連通部の流体
抵抗を低減し、固定接触子および可動接触子の耐弧メタ
ルの損傷が少なく、遮断性能に優れたガス遮断器を提供
することを目的とする。
を1.0としたときのアーク駆動力と可動接触子610
の移動に伴うアーク位置との関係を示す。主アークA2
から主アークA3まで可動接触子610が開離すること
により、磁気的駆動力は0.2まで低下している。この
磁気的駆動力の低下は、前記アークと磁束Φの直交率の
低下と、可動接触子610がアーク駆動コイル40から
離れるほどアーク駆動コイル40の外部の磁束密度が低
下するためである。以上のような現象のため、分流アー
クA1や主アークA2,A3のアークの足は回転せず
に、いずれも一か所に滞留するので、アークは十分に冷
却されない。そのうえ、固定接触子220、可動接触子
610の先端に設けてある耐弧メタル、例えば銅タング
ステン合金の銅の局所的な蒸発が激しく起こって、アー
ク空間を多量の金属蒸気で汚染すると共に、耐弧材であ
るタングステンのつなぎ部材である銅を失ったタングス
テンは容易に脱落してしまい、接触子先端に設けてある
耐弧メタルの表面に突起を形成して電界集中を生じる。
その結果、絶縁破壊を生じて遮断不能に至るという問題
があった。本発明は、ガス遮断器を大形化することな
く、昇圧室と放圧室のガス空間を連通する連通部の流体
抵抗を低減し、固定接触子および可動接触子の耐弧メタ
ルの損傷が少なく、遮断性能に優れたガス遮断器を提供
することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、消弧性ガスを封入してある封入容器と、
前記封入容器の中に設けた昇圧室および放圧室と、前記
昇圧室内に設けた固定側端子と、前記固定側端子に対し
て操作機構によって開閉可能に移動し得る可動接触子お
よび可動側端子と、前記固定側端子に絶縁部材を介して
設けた中空円筒状のアークランナー電極と、一方端を前
記固定側端子に他方側を前記アークランナー電極に接続
して前記アークランナー電極の外周に巻回したアーク駆
動コイルとを備えた回転アーク形ガス遮断器において、
前記昇圧室と前記放圧室との連通口を前記アークランナ
ー電極の中空部によって形成したものである。また、前
記昇圧室は、前記封入容器内に設けた一方向にのみ開口
する円筒状の絶縁部材からなる昇圧室容器によって形成
し、前記アークランナー電極は前記昇圧室容器の開口部
の内側に突出するように設けたものである。また、前記
固定側端子は、前記昇圧室内の端部に設けた固定側アー
ク接触子と、前記放圧室内の端部に設けた固定側主接触
子とを備え、前記可動側端子は、前記昇圧室内の端部に
設けた可動側アーク接触子と、前記放圧室内の端部に設
けた可動側主接触子とを備え、前記操作機構は、投入状
態にある前記可動側主接触子がまず開極し、次に前記可
動側アーク接触子が遅れて開極するようにしてあるリン
ク機構からなるものである。また、前記固定側端子は、
前記昇圧室の内周に沿って設けられたリング状の固定側
アーク接触子とチューリップ形の固定側主接触子を備
え、前記可動側端子は、前記昇圧室容器内の中心部に、
上下に摺動し得るように設けた可動接触子と、前記可動
接触子の上端に設けた中央部が高く周囲が滑らかな曲面
で下がっているきのこ状の可動側アーク接触子と、前記
可動接触子に固定され前記固定側主接触子に接触しうる
円板状の可動側主接触子を備えたものである。また、前
記アークランナー電極は、前記連通口の前記放圧室側の
直径が小さくなるように中心軸に対して傾斜した側面部
を備え、前記アーク駆動コイルは、前記側面部の外側面
に沿って周回巻きに巻回したものである。また、前記ア
ークランナー電極は、前記昇圧室容器の開口部の内側に
突出する曲面部を設け、前記アーク駆動コイルは、前記
曲面部の外側面に沿って周回巻きに巻回してあるもので
ある。
め、本発明は、消弧性ガスを封入してある封入容器と、
前記封入容器の中に設けた昇圧室および放圧室と、前記
昇圧室内に設けた固定側端子と、前記固定側端子に対し
て操作機構によって開閉可能に移動し得る可動接触子お
よび可動側端子と、前記固定側端子に絶縁部材を介して
設けた中空円筒状のアークランナー電極と、一方端を前
記固定側端子に他方側を前記アークランナー電極に接続
して前記アークランナー電極の外周に巻回したアーク駆
動コイルとを備えた回転アーク形ガス遮断器において、
前記昇圧室と前記放圧室との連通口を前記アークランナ
ー電極の中空部によって形成したものである。また、前
記昇圧室は、前記封入容器内に設けた一方向にのみ開口
する円筒状の絶縁部材からなる昇圧室容器によって形成
し、前記アークランナー電極は前記昇圧室容器の開口部
の内側に突出するように設けたものである。また、前記
固定側端子は、前記昇圧室内の端部に設けた固定側アー
ク接触子と、前記放圧室内の端部に設けた固定側主接触
子とを備え、前記可動側端子は、前記昇圧室内の端部に
設けた可動側アーク接触子と、前記放圧室内の端部に設
けた可動側主接触子とを備え、前記操作機構は、投入状
態にある前記可動側主接触子がまず開極し、次に前記可
動側アーク接触子が遅れて開極するようにしてあるリン
ク機構からなるものである。また、前記固定側端子は、
前記昇圧室の内周に沿って設けられたリング状の固定側
アーク接触子とチューリップ形の固定側主接触子を備
え、前記可動側端子は、前記昇圧室容器内の中心部に、
上下に摺動し得るように設けた可動接触子と、前記可動
接触子の上端に設けた中央部が高く周囲が滑らかな曲面
で下がっているきのこ状の可動側アーク接触子と、前記
可動接触子に固定され前記固定側主接触子に接触しうる
円板状の可動側主接触子を備えたものである。また、前
記アークランナー電極は、前記連通口の前記放圧室側の
直径が小さくなるように中心軸に対して傾斜した側面部
を備え、前記アーク駆動コイルは、前記側面部の外側面
に沿って周回巻きに巻回したものである。また、前記ア
ークランナー電極は、前記昇圧室容器の開口部の内側に
突出する曲面部を設け、前記アーク駆動コイルは、前記
曲面部の外側面に沿って周回巻きに巻回してあるもので
ある。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の第1の実施例を図
に基づいて説明する。図1は本発明の第1の実施例を示
す側断面図である。図において、1はエポキシ樹脂等の
絶縁材料により円筒状に形成された封入容器、11は底
板で封入容器1内に消弧性ガスを封入してある。2は封
入容器1内の上部に設けた一方向にのみ開口する中空状
の絶縁部材からなる昇圧室容器で、上方に開口部21を
設け、内部に昇圧室22を形成してある。したがって、
開口部21の外側は放圧室12として形成される。3は
T字状に形成された固定側端子で、水平に伸びる導体3
1は封入容器1の側壁13および昇圧容器2の側壁23
を気密性を保つように貫通し、昇圧室22内に突出する
端部に固定側アーク接触子32を設けてある。導体31
から下方に伸びる導体33の下端には固定側主接触子3
4を設けてある。4は固定側端子3の下方に封入容器1
の側壁13を気密性を保つように貫通させた可動側端子
で、水平に伸びる導体41に導電性の回動軸42を介し
て回動自在に支持された可動側主接触子43を設けてあ
る。44は導体41の端部から上方に伸び、昇圧室容器
2の底面24を貫通する導体で、昇圧室22内の導体4
4の端部には導電性の回動軸45を介して回動自在に支
持された可動側アーク接触子46を設けてある。
に基づいて説明する。図1は本発明の第1の実施例を示
す側断面図である。図において、1はエポキシ樹脂等の
絶縁材料により円筒状に形成された封入容器、11は底
板で封入容器1内に消弧性ガスを封入してある。2は封
入容器1内の上部に設けた一方向にのみ開口する中空状
の絶縁部材からなる昇圧室容器で、上方に開口部21を
設け、内部に昇圧室22を形成してある。したがって、
開口部21の外側は放圧室12として形成される。3は
T字状に形成された固定側端子で、水平に伸びる導体3
1は封入容器1の側壁13および昇圧容器2の側壁23
を気密性を保つように貫通し、昇圧室22内に突出する
端部に固定側アーク接触子32を設けてある。導体31
から下方に伸びる導体33の下端には固定側主接触子3
4を設けてある。4は固定側端子3の下方に封入容器1
の側壁13を気密性を保つように貫通させた可動側端子
で、水平に伸びる導体41に導電性の回動軸42を介し
て回動自在に支持された可動側主接触子43を設けてあ
る。44は導体41の端部から上方に伸び、昇圧室容器
2の底面24を貫通する導体で、昇圧室22内の導体4
4の端部には導電性の回動軸45を介して回動自在に支
持された可動側アーク接触子46を設けてある。
【0010】5は可動側主接触子43と可動側アーク接
触子46を回動軸42および45を介してそれぞれ回動
させるリンク機構である。51は封入容器1の側壁13
を気密性を保つように貫通した主回動軸、52は主回動
軸51の回りに回動し得る第1のリンク、53は第1の
リンク52に一方端がピン連結された第2のリンク、5
4は一方端が第2のリンク53の他方端にピン連結さ
れ、他方端が回動軸42に結合された第3のリンク、5
5は一方端が第2のリンク53の他方端にピン連結され
た第4のリンク、56は一方端が第4のリンク55の他
方端にピン連結され、他方端が回動軸45に結合された
第5のリンクである。リンク機構5は、主回動軸51を
回動することにより、投入状態にある可動側主接触子4
3がまず開極し、次に可動側アーク接触子46が少し遅
れて開極するようにしてある。6は昇圧室容器2の開口
部21の内側に設けられた中空円筒状のアークランナー
電極で、開口部21に固定された環状部61と、放圧室
12側である上方が狭く昇圧室22内側である下方が広
くなるように円錐状の空間である連通口62を形成する
側面部63とからなっている。したがって、連通口62
を境に昇圧室22の外側に放圧室12が形成され、連通
口62が昇圧室22と放圧室12を連通する唯一の通路
となっている。7はアークランナー電極6の側面部62
の外側面に沿って複数回、周回巻きに巻回されたリング
状のアーク駆動コイルで、一方端はアークランナー電極
6に、他方端は固定側端子3に接続されている。
触子46を回動軸42および45を介してそれぞれ回動
させるリンク機構である。51は封入容器1の側壁13
を気密性を保つように貫通した主回動軸、52は主回動
軸51の回りに回動し得る第1のリンク、53は第1の
リンク52に一方端がピン連結された第2のリンク、5
4は一方端が第2のリンク53の他方端にピン連結さ
れ、他方端が回動軸42に結合された第3のリンク、5
5は一方端が第2のリンク53の他方端にピン連結され
た第4のリンク、56は一方端が第4のリンク55の他
方端にピン連結され、他方端が回動軸45に結合された
第5のリンクである。リンク機構5は、主回動軸51を
回動することにより、投入状態にある可動側主接触子4
3がまず開極し、次に可動側アーク接触子46が少し遅
れて開極するようにしてある。6は昇圧室容器2の開口
部21の内側に設けられた中空円筒状のアークランナー
電極で、開口部21に固定された環状部61と、放圧室
12側である上方が狭く昇圧室22内側である下方が広
くなるように円錐状の空間である連通口62を形成する
側面部63とからなっている。したがって、連通口62
を境に昇圧室22の外側に放圧室12が形成され、連通
口62が昇圧室22と放圧室12を連通する唯一の通路
となっている。7はアークランナー電極6の側面部62
の外側面に沿って複数回、周回巻きに巻回されたリング
状のアーク駆動コイルで、一方端はアークランナー電極
6に、他方端は固定側端子3に接続されている。
【0011】次に動作について説明する。図2(a),
(b)は可動側アーク接触子46の周辺を拡大して示し
た側断面図である。リンク機構5により可動側アーク接
触子46を傾動させて開極すると、図2(a)に示すよ
うに、固定側アーク接触子32と可動側アーク接触子4
6との間にアークが発生する。アークは可動側アーク接
触子46が開極するに従って引き伸ばされ、固定側アー
ク接触子32と可動側アーク接触子46を通して流れる
電流iの通路によって発生する電磁力と、アーク熱によ
るガスの対流で上方に引き伸ばされる。引き伸ばされた
アークが固定側アーク接触子32の上方にアークランナ
ー電極6に接触すると、アーク駆動コイル7がアークラ
ンナー電極と固定側アーク接触子32との間に電気的に
接続されているので、アーク駆動コイル7に電流が流れ
て磁束Φが発生する。アークにはアークと磁束Φとの直
交成分によって、フレミングの法則に従って発生する駆
動力が作用する。アークはこの駆動力によってアークラ
ンナー電極6に沿って回転し、ガスに吹きつけられて冷
却される。
(b)は可動側アーク接触子46の周辺を拡大して示し
た側断面図である。リンク機構5により可動側アーク接
触子46を傾動させて開極すると、図2(a)に示すよ
うに、固定側アーク接触子32と可動側アーク接触子4
6との間にアークが発生する。アークは可動側アーク接
触子46が開極するに従って引き伸ばされ、固定側アー
ク接触子32と可動側アーク接触子46を通して流れる
電流iの通路によって発生する電磁力と、アーク熱によ
るガスの対流で上方に引き伸ばされる。引き伸ばされた
アークが固定側アーク接触子32の上方にアークランナ
ー電極6に接触すると、アーク駆動コイル7がアークラ
ンナー電極と固定側アーク接触子32との間に電気的に
接続されているので、アーク駆動コイル7に電流が流れ
て磁束Φが発生する。アークにはアークと磁束Φとの直
交成分によって、フレミングの法則に従って発生する駆
動力が作用する。アークはこの駆動力によってアークラ
ンナー電極6に沿って回転し、ガスに吹きつけられて冷
却される。
【0012】アークがアークランナー電極6に接触した
状態で、固定側アーク接触子32とアークランナー電極
6との間にアーク駆動コイルを短絡するような分流アー
クA1と、アークランナー電極6と可動側アーク接触子
46との間に発生する主アークA2とが発生する。この
場合の分流アークA1および主アークAと磁束Φとの直
交率は、図5に示すように、従来形と異なり、100%
に近いのでガス中で高速に回転し、強力に冷却される。
可動側アーク接触子46の開極動作と共に、主アークA
2はアークランナー電極6の円錐状の側面部63上を高
速に回転しながら、昇圧室22側から放圧室12側の主
アークA3の位置まで移行する。このアーク移行状態の
間はアークと磁束Φとの直交率は低下しない。アーク移
行に伴って、分流アークA1は直交率をほぼ100%に
保ち、アークが主アークA2からA3に移行するにつれ
て徐々に低下するが、主アークA3の位置に至っても8
0%を下回ることはない。また、分流アークA1が高速
に回転すれば、分流アーク電圧値は上昇し、それに伴
い、アーク駆動コイル7に流れる電流が増加するので、
主アークA2,A3に対する磁束Φの磁束密度が増加す
る。また、アークランナー電極6の側面部63が円錐状
に傾斜して環状部61が内側に突出し、環状部61の下
方の突出した空間にアーク駆動コイル7を周回巻きに巻
回してあるので、アークが主アークA3に移行するに従
って磁界強度が強まり、より一層高速に回転し出す。図
6は、従来形の主アークA2の時の磁気的駆動力を1.
0としたときのアーク駆動力と可動接触子610の移動
に伴うアーク位置との関係を示している。従来形はアー
クが主アークA2から主アークA3に移行するに従っ
て、可動接触子が開離するときに発生する磁気的駆動力
は低下していたが、本発明では磁気的駆動力はアークが
移行するに従って、むしろ増加する。
状態で、固定側アーク接触子32とアークランナー電極
6との間にアーク駆動コイルを短絡するような分流アー
クA1と、アークランナー電極6と可動側アーク接触子
46との間に発生する主アークA2とが発生する。この
場合の分流アークA1および主アークAと磁束Φとの直
交率は、図5に示すように、従来形と異なり、100%
に近いのでガス中で高速に回転し、強力に冷却される。
可動側アーク接触子46の開極動作と共に、主アークA
2はアークランナー電極6の円錐状の側面部63上を高
速に回転しながら、昇圧室22側から放圧室12側の主
アークA3の位置まで移行する。このアーク移行状態の
間はアークと磁束Φとの直交率は低下しない。アーク移
行に伴って、分流アークA1は直交率をほぼ100%に
保ち、アークが主アークA2からA3に移行するにつれ
て徐々に低下するが、主アークA3の位置に至っても8
0%を下回ることはない。また、分流アークA1が高速
に回転すれば、分流アーク電圧値は上昇し、それに伴
い、アーク駆動コイル7に流れる電流が増加するので、
主アークA2,A3に対する磁束Φの磁束密度が増加す
る。また、アークランナー電極6の側面部63が円錐状
に傾斜して環状部61が内側に突出し、環状部61の下
方の突出した空間にアーク駆動コイル7を周回巻きに巻
回してあるので、アークが主アークA3に移行するに従
って磁界強度が強まり、より一層高速に回転し出す。図
6は、従来形の主アークA2の時の磁気的駆動力を1.
0としたときのアーク駆動力と可動接触子610の移動
に伴うアーク位置との関係を示している。従来形はアー
クが主アークA2から主アークA3に移行するに従っ
て、可動接触子が開離するときに発生する磁気的駆動力
は低下していたが、本発明では磁気的駆動力はアークが
移行するに従って、むしろ増加する。
【0013】アークが主アークA2から主アークA3に
引き伸ばされる間に、図2(b)に示すように、周囲の
ガスは熱せられるので、昇圧室22のガス圧力は上昇
し、放圧室12と圧力差が生じる。この圧力差によっ
て、昇圧室22からアークランナー電極6の連通口62
を通じて放圧室12へ、ガス流G1、G2が生じ、この
ガス流によって主アークA3は冷却され、最終的に消滅
する。連通口62は、昇圧室22の内側に設けられたア
ークランナー電極6によって形成されるが、昇圧室22
以外に大きさを制約するものはなく、従来形の可動接触
子710の中空部711よりはるかに大きくすることが
可能である。したがって、連通口62の直径は必要な大
きさまで拡大が可能で、連通口62の長さも非常に小さ
く形成することが可能であるため、ガス空間の連通部の
流体抵抗は大きく低減され、主アークA3に対するガス
吹きつけの流速が上昇し、アークの冷却効果が向上し、
消弧能力が向上する。
引き伸ばされる間に、図2(b)に示すように、周囲の
ガスは熱せられるので、昇圧室22のガス圧力は上昇
し、放圧室12と圧力差が生じる。この圧力差によっ
て、昇圧室22からアークランナー電極6の連通口62
を通じて放圧室12へ、ガス流G1、G2が生じ、この
ガス流によって主アークA3は冷却され、最終的に消滅
する。連通口62は、昇圧室22の内側に設けられたア
ークランナー電極6によって形成されるが、昇圧室22
以外に大きさを制約するものはなく、従来形の可動接触
子710の中空部711よりはるかに大きくすることが
可能である。したがって、連通口62の直径は必要な大
きさまで拡大が可能で、連通口62の長さも非常に小さ
く形成することが可能であるため、ガス空間の連通部の
流体抵抗は大きく低減され、主アークA3に対するガス
吹きつけの流速が上昇し、アークの冷却効果が向上し、
消弧能力が向上する。
【0014】次に本発明の第2の実施例について説明す
る。図3は本発明の第2の実施例を示す側断面図であ
る。第2の実施例は、封入容器1の内側に昇圧室容器2
を設け、固定側端子3を封入容器1および昇圧室容器2
を貫通して昇圧室容器2の内側に先端を突出させ、固定
側端子3の先端にリング状の固定側アーク接触子32を
形成し、かつ固定側アーク接触子32は径方向に弾力性
を備えるようにしてある。昇圧室容器2の外側の固定側
端子3には、下方に伸びる径方向に弾力性を備えたチュ
ーリップ形の固定側主接触子34を設けてある。可動側
端子4は固定側端子3の下方に封入容器1の側壁13を
気密性を保つように貫通させ、昇圧室容器2の中心部
に、上下に摺動し得るように可動接触子4Aを設けてあ
る。可動接触子4Aは昇圧室容器2の底面24を貫通
し、可動接触子4Aの上端には、中央部が高く周囲が滑
らかな曲面で下がっているきのこ状の可動側アーク接触
子46を設け、昇圧室容器2と可動側端子4の間には円
板状の可動側主接触子43を設けてある。可動側接触子
4Aを上昇させることにより、可動側主接触子43が固
定側主接触子34に接触するとともに、可動側アーク接
触子46と固定側アーク接触子32が接触するようにし
てある。アークランナー電極6は昇圧室容器2の開口部
21の内側に突出して設けられた上部円環部64と、上
部円環部64の内側の下方に伸びる円筒部65と、円筒
部65の下面から外側に広がる下部円環部66とからな
っている。アーク駆動コイル7は、円筒部66の外側に
周回巻きで巻回されており、一方端は固定側端子に、他
方端はアークランナー電極6に接続されている。
る。図3は本発明の第2の実施例を示す側断面図であ
る。第2の実施例は、封入容器1の内側に昇圧室容器2
を設け、固定側端子3を封入容器1および昇圧室容器2
を貫通して昇圧室容器2の内側に先端を突出させ、固定
側端子3の先端にリング状の固定側アーク接触子32を
形成し、かつ固定側アーク接触子32は径方向に弾力性
を備えるようにしてある。昇圧室容器2の外側の固定側
端子3には、下方に伸びる径方向に弾力性を備えたチュ
ーリップ形の固定側主接触子34を設けてある。可動側
端子4は固定側端子3の下方に封入容器1の側壁13を
気密性を保つように貫通させ、昇圧室容器2の中心部
に、上下に摺動し得るように可動接触子4Aを設けてあ
る。可動接触子4Aは昇圧室容器2の底面24を貫通
し、可動接触子4Aの上端には、中央部が高く周囲が滑
らかな曲面で下がっているきのこ状の可動側アーク接触
子46を設け、昇圧室容器2と可動側端子4の間には円
板状の可動側主接触子43を設けてある。可動側接触子
4Aを上昇させることにより、可動側主接触子43が固
定側主接触子34に接触するとともに、可動側アーク接
触子46と固定側アーク接触子32が接触するようにし
てある。アークランナー電極6は昇圧室容器2の開口部
21の内側に突出して設けられた上部円環部64と、上
部円環部64の内側の下方に伸びる円筒部65と、円筒
部65の下面から外側に広がる下部円環部66とからな
っている。アーク駆動コイル7は、円筒部66の外側に
周回巻きで巻回されており、一方端は固定側端子に、他
方端はアークランナー電極6に接続されている。
【0015】次に動作を説明する。可動側接触子4Aを
図示しない操作機構により下降させて開極すると、固定
側アーク接触子32とアークランナー電極6との間に分
流アークA1と、アークランナー電極6と可動側アーク
接触子46との間に主アークA2とが発生する。可動側
アーク接触子46の開極動作と共に、主アークA2は可
動側アーク接触子46の曲面に沿って高速に回転しなが
ら、中央部の主アークA3の位置まで移行する。また、
分流アークA1が高速に回転すれば、分流アーク電圧値
は上昇し、それに伴い、アーク駆動コイル7に流れる電
流が増加し、主アークA2,A3に対する磁束Φの磁束
密度が増加する。また、アークランナー電極6の円筒部
65が内側に突出し、円筒部65の外側下方の空間にア
ーク駆動コイル7を周回巻きに巻回してあるので、アー
クが主アークA3に移行するに従って磁界強度が強ま
り、アークは一層高速に回転し、冷却される。また、ア
ークが主アークA2から主アークA3に引き伸ばされる
間に、周囲のガスは熱せられるので、昇圧室22のガス
圧力は上昇し、放圧室12と圧力差が生じる。この圧力
差によって、昇圧室22からアークランナー電極6の連
通口62を通じて放圧室12へ、ガス流G1、G2が生
じ、このガス流によって主アークA3は冷却され、最終
的に消滅する。したがって、昇圧室22から流れるガス
流は可動側アーク接触子46の滑らかな曲面に沿って流
れるのでガス流の流路抵抗は少なくなると共に、可動側
アーク接触子46が下降することによって昇圧室22内
のガスが圧縮され、ガス流の速度が大きくなり、アーク
に対する冷却効果が増加する。
図示しない操作機構により下降させて開極すると、固定
側アーク接触子32とアークランナー電極6との間に分
流アークA1と、アークランナー電極6と可動側アーク
接触子46との間に主アークA2とが発生する。可動側
アーク接触子46の開極動作と共に、主アークA2は可
動側アーク接触子46の曲面に沿って高速に回転しなが
ら、中央部の主アークA3の位置まで移行する。また、
分流アークA1が高速に回転すれば、分流アーク電圧値
は上昇し、それに伴い、アーク駆動コイル7に流れる電
流が増加し、主アークA2,A3に対する磁束Φの磁束
密度が増加する。また、アークランナー電極6の円筒部
65が内側に突出し、円筒部65の外側下方の空間にア
ーク駆動コイル7を周回巻きに巻回してあるので、アー
クが主アークA3に移行するに従って磁界強度が強ま
り、アークは一層高速に回転し、冷却される。また、ア
ークが主アークA2から主アークA3に引き伸ばされる
間に、周囲のガスは熱せられるので、昇圧室22のガス
圧力は上昇し、放圧室12と圧力差が生じる。この圧力
差によって、昇圧室22からアークランナー電極6の連
通口62を通じて放圧室12へ、ガス流G1、G2が生
じ、このガス流によって主アークA3は冷却され、最終
的に消滅する。したがって、昇圧室22から流れるガス
流は可動側アーク接触子46の滑らかな曲面に沿って流
れるのでガス流の流路抵抗は少なくなると共に、可動側
アーク接触子46が下降することによって昇圧室22内
のガスが圧縮され、ガス流の速度が大きくなり、アーク
に対する冷却効果が増加する。
【0015】次に本発明の第3の実施例について説明す
る。図4は第3の実施例を示す要部側断面図である。第
3の実施例では、アークランナー電極6は、昇圧室容器
2の開口部21に円弧状に内側に突出させた曲面部67
からなっている。アーク駆動コイル7は曲面部67の外
周に周回巻きで巻回してある。そのほかの構成は第2の
実施例と同様である。したがって、昇圧室22から流れ
るガス流はアークランナー電極6の曲面部67および可
動側アーク接触子46の滑らかな曲面に沿って流れるの
でガス流の流路抵抗は少なくなるとともに、電界が集中
するような角部分が無いのでアークランナ電極6と可動
アーク接触子46との間の絶縁耐力が大きくなる。な
お、曲面部67を有するアークランナー電極は、上記第
1の実施例についても適用できる。
る。図4は第3の実施例を示す要部側断面図である。第
3の実施例では、アークランナー電極6は、昇圧室容器
2の開口部21に円弧状に内側に突出させた曲面部67
からなっている。アーク駆動コイル7は曲面部67の外
周に周回巻きで巻回してある。そのほかの構成は第2の
実施例と同様である。したがって、昇圧室22から流れ
るガス流はアークランナー電極6の曲面部67および可
動側アーク接触子46の滑らかな曲面に沿って流れるの
でガス流の流路抵抗は少なくなるとともに、電界が集中
するような角部分が無いのでアークランナ電極6と可動
アーク接触子46との間の絶縁耐力が大きくなる。な
お、曲面部67を有するアークランナー電極は、上記第
1の実施例についても適用できる。
【0016】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、次
にような効果がある。 (1)昇圧室からガスが流出する連通口は、昇圧室の開
口部の内側に設けられたアークランナー電極によって形
成されるので、他に連通口の大きさを制約するものはな
く、従来形の可動接触子の中空部よりはるかに大きくす
ることが可能である。したがって、連通口の直径は必要
な大きさまで拡大が可能で、かつ連通口の長さも非常に
小さく形成することが可能であるため、ガス空間の連通
部の流体抵抗は大きく低減され、主アークに対するガス
吹きつけの流速が上昇し、アークの冷却効果が向上し、
消弧能力が向上する。 (2)アークランナー電極を昇圧室の開口部の内側に突
出して設け、アーク駆動コイルをアークランナー電極の
外周に周回巻きによって巻回してあるので、分流アーク
や主アークに対する磁束との直交性が向上すると共に、
主アークがアークランナー電極で形成された連通口へ向
かって移行するに従って、磁束密度が大きくなり、アー
クが高速に回転し、ガス空間での相対吹き付け力が大き
くなって冷却効果が向上する。 (3)主アークが可動側アーク接触子、固定側アーク接
触子およびアークランナー電極と接触する足が一か所に
滞留することなく、固定側アーク接触子側から軸中心側
に移行すると共に、アークの回転速度が大きくなるので
各接触部分の損傷が少なくなり、多量の金属蒸気による
アーク空間の汚染、および固定側、可動側アーク接触子
先端の耐弧メタルの脱落消耗による電界集中がなくな
り、遮断性能が向上する。
にような効果がある。 (1)昇圧室からガスが流出する連通口は、昇圧室の開
口部の内側に設けられたアークランナー電極によって形
成されるので、他に連通口の大きさを制約するものはな
く、従来形の可動接触子の中空部よりはるかに大きくす
ることが可能である。したがって、連通口の直径は必要
な大きさまで拡大が可能で、かつ連通口の長さも非常に
小さく形成することが可能であるため、ガス空間の連通
部の流体抵抗は大きく低減され、主アークに対するガス
吹きつけの流速が上昇し、アークの冷却効果が向上し、
消弧能力が向上する。 (2)アークランナー電極を昇圧室の開口部の内側に突
出して設け、アーク駆動コイルをアークランナー電極の
外周に周回巻きによって巻回してあるので、分流アーク
や主アークに対する磁束との直交性が向上すると共に、
主アークがアークランナー電極で形成された連通口へ向
かって移行するに従って、磁束密度が大きくなり、アー
クが高速に回転し、ガス空間での相対吹き付け力が大き
くなって冷却効果が向上する。 (3)主アークが可動側アーク接触子、固定側アーク接
触子およびアークランナー電極と接触する足が一か所に
滞留することなく、固定側アーク接触子側から軸中心側
に移行すると共に、アークの回転速度が大きくなるので
各接触部分の損傷が少なくなり、多量の金属蒸気による
アーク空間の汚染、および固定側、可動側アーク接触子
先端の耐弧メタルの脱落消耗による電界集中がなくな
り、遮断性能が向上する。
【図1】 本発明の第1の実施例を示す側断面図であ
る。
る。
【図2】 本発明の第1の実施例の要部を示す側断面図
である。
である。
【図3】 本発明の第2の実施例を示す側断面図であ
る。
る。
【図4】 本発明の第3の実施例を示す側断面図であ
る。
る。
【図5】 本発明の第1の実施例の可動側アーク接触子
の移動に伴うアーク位置の変化と磁束の直交率を示す説
明図である。
の移動に伴うアーク位置の変化と磁束の直交率を示す説
明図である。
【図6】 本発明の第1の実施例の可動側アーク接触子
の移動に伴うアーク位置の変化とアーク駆動力比を示す
説明図である。
の移動に伴うアーク位置の変化とアーク駆動力比を示す
説明図である。
【図7】 従来例を示す側断面図である。
1:封入容器、11:底板、12:放圧室、13:側
壁、2:昇圧室容器、21:開口部、22:昇圧室、2
3:側壁、24:底面、3:固定側端子、31、33:
導体、32:固定側アーク接触子、34:固定側主接触
子、4:可動側端子、41、44:導体、42、45:
回動軸、43:可動側主接触子、46:可動側アーク接
触子、5:リンク機構、51:主回動軸、52:第1の
リンク、53:第2のリンク、54:第3のリンク、5
5:第4のリンク、56:第5のリンク、6:アークラ
ンナー電極、61:環状部、62:連通部、63:側面
部、64:上部円環部、65:円筒部、66:下部円環
部、67:曲面部、7:アーク駆動コイル
壁、2:昇圧室容器、21:開口部、22:昇圧室、2
3:側壁、24:底面、3:固定側端子、31、33:
導体、32:固定側アーク接触子、34:固定側主接触
子、4:可動側端子、41、44:導体、42、45:
回動軸、43:可動側主接触子、46:可動側アーク接
触子、5:リンク機構、51:主回動軸、52:第1の
リンク、53:第2のリンク、54:第3のリンク、5
5:第4のリンク、56:第5のリンク、6:アークラ
ンナー電極、61:環状部、62:連通部、63:側面
部、64:上部円環部、65:円筒部、66:下部円環
部、67:曲面部、7:アーク駆動コイル
Claims (6)
- 【請求項1】 消弧性ガスを封入してある封入容器と、
前記封入容器の中に設けた昇圧室および放圧室と、前記
昇圧室内に設けた固定側端子と、前記固定側端子に対し
て操作機構によって開閉可能に移動し得る可動接触子お
よび可動側端子と、前記固定側端子に絶縁部材を介して
設けた中空円筒状のアークランナー電極と、一方端を前
記固定側端子に他方側を前記アークランナー電極に接続
して前記アークランナー電極の外周に巻回したアーク駆
動コイルとを備えた回転アーク形ガス遮断器において、 前記昇圧室と前記放圧室との連通口を前記アークランナ
ー電極の中空部によって形成したことを特徴とする回転
アーク形ガス遮断器。 - 【請求項2】 前記昇圧室は、前記封入容器内に設けた
一方向にのみ開口する円筒状の絶縁部材からなる昇圧室
容器によって形成し、前記アークランナー電極は前記昇
圧室容器の開口部の内側に突出するように設けたことを
特徴とする請求項1記載の回転アーク形ガス遮断器。 - 【請求項3】 前記固定側端子は、前記昇圧室内の端部
に設けた固定側アーク接触子と、前記放圧室内の端部に
設けた固定側主接触子とを備え、前記可動側端子は、前
記昇圧室内の端部に設けた可動側アーク接触子と、前記
放圧室内の端部に設けた可動側主接触子とを備え、前記
操作機構は、投入状態にある前記可動側主接触子がまず
開極し、次に前記可動側アーク接触子が遅れて開極する
ようにしてあるリンク機構からなることを特徴とする請
求項1または2記載の回転アーク形ガス遮断器。 - 【請求項4】 前記固定側端子は、前記昇圧室の内周に
沿って設けられたリング状の固定側アーク接触子とチュ
ーリップ形の固定側主接触子を備え、前記可動側端子
は、前記昇圧室容器内の中心部に、上下に摺動し得るよ
うに設けた可動接触子と、前記可動接触子の上端に設け
た中央部が高く周囲が滑らかな曲面で下がっているきの
こ状の可動側アーク接触子と、前記可動接触子に固定さ
れ前記固定側主接触子に接触しうる円板状の可動側主接
触子を備えたことを特徴とする請求項1記載の回転アー
ク形ガス遮断器。 - 【請求項5】 前記アークランナー電極は、前記連通口
の前記放圧室側の直径が小さくなるように中心軸に対し
て傾斜した側面部を備え、前記アーク駆動コイルは、前
記側面部の外側面に沿って周回巻きに巻回したことを特
徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の回
転アーク形ガス遮断器。 - 【請求項6】 前記アークランナー電極は、前記昇圧室
容器の開口部の内側に突出する曲面部を設け、前記アー
ク駆動コイルは、前記曲面部の外側面に沿って周回巻き
に巻回してあることを特徴とする請求項1から4までの
いずれか1項に記載の回転アーク形ガス遮断器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20867297A JPH1140009A (ja) | 1997-07-16 | 1997-07-16 | 回転アーク形ガス遮断器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20867297A JPH1140009A (ja) | 1997-07-16 | 1997-07-16 | 回転アーク形ガス遮断器 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1140009A true JPH1140009A (ja) | 1999-02-12 |
Family
ID=16560154
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP20867297A Pending JPH1140009A (ja) | 1997-07-16 | 1997-07-16 | 回転アーク形ガス遮断器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1140009A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012244442A (ja) * | 2011-05-20 | 2012-12-10 | Yamaha Corp | スピーカ装置 |
CN111599630A (zh) * | 2015-08-07 | 2020-08-28 | 超级电力研究所有限公司 | 用于高压或极高压电气电路的机械断路器装置 |
-
1997
- 1997-07-16 JP JP20867297A patent/JPH1140009A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012244442A (ja) * | 2011-05-20 | 2012-12-10 | Yamaha Corp | スピーカ装置 |
CN111599630A (zh) * | 2015-08-07 | 2020-08-28 | 超级电力研究所有限公司 | 用于高压或极高压电气电路的机械断路器装置 |
CN111599630B (zh) * | 2015-08-07 | 2022-08-16 | 超级电力研究所有限公司 | 用于高压或极高压电气电路的机械断路器装置 |
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