JP3724977B2 - ガス遮断器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は電力系統の発変電分野や受電分野で使用される大容量のガス遮断器等に係り、特に、その消弧室のアーク接触子の改良技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図8は、例えば三菱電機技報Vol.56・No.9・1982 P.44〜48頁「240/300KV−点切りおよび550KV二点切りタンク形ガス遮断器」に記載された従来のパッファ形ガス遮断器1の構造を示す断面図である。図において、20は固定電極部20Aと可動電極部20Bとを備えた消弧室で、その詳細は後述する。35は可動電極部20Bと連動する絶縁操作棒、36は支持絶縁筒、37は固定電極部20Aに結合された冷却筒、38A、39A、40Aは固定電極部20Aを導出するためのそれぞれ導体、ブッシングおよび端子、38B、39B、40Bは可動電極部20Bを導出するためのそれぞれ導体、ブッシングおよび端子、41は消弧性ガスであるSF6ガス42とともに上述した構成部材を内部に収容した容器である。
43は操作装置、44は制御箱である。
【0003】
次に、消弧室20の構造を図9により説明する。図において、21は固定アーク接触子、22は可動アーク接触子、23は固定主接触子、24aは可動主接触子、24bはパッファシリンダ、25はノズル、26は接触子、27、28はシールド、29はピストン、30は駆動棒、31は取付金具、32は固定側導体、33は可動側導体、34は絶縁筒である。
【0004】
図10は固定アーク接触子21の単体図で、図において、21aは遮断動作時に発生するアークが接触し得る部分であるアーク接触部、21bはアークと接触することがない導電部、21cは両部21a、21bの接合部である。可動アーク接触子22も同様の構成となっている。
【0005】
次に動作、特にガス遮断器1の遮断動作について説明する。ガス遮断器1の遮断時、パッファ形消弧室20の可動アーク接触子22は、それまで接触状態にあった固定アーク接触子21と摺動の後開離して両接触子間にアークA1(図9)が発生する。これに対し、パッファシリンダ24b内で圧縮されたガスが矢印のようにノズル25の内部等に流れてアークA1は消弧される。この間、両アーク接触子21、22は高温のアークA1により極めて高い温度にさらされるため、その先端部には導電性を有する耐弧性材料が使用されている。この例では、固定アーク接触子21は図10に示すようにアークが接触し得るアーク接触部21aには、W(タングステン)を50〜75%(重量%で以下同じ)含有し残りをCu(銅)またはAg(銀)とする焼結合金が使用されている。
【0006】
上述した材質からなる従来の固定アーク接触子21および可動アーク接触子22のアーク接触部は、10回以上の多数回の大電流遮断を行うと、多孔質状に大きく損耗する。そして、電流遮断の有無にかかわらずガス遮断器1の開閉操作を行うと、その損耗した表面が摺動により機械的に摩耗し、アーク接触部表面の荒れによる電界集中が発生して耐電圧性能が低下するとともに、摩耗粉B(図9)が絶縁筒34の内面に付着して絶縁筒34の絶縁耐力が大幅に低下するという問題点があった。
【0007】
また、上述したアーク接触子の損耗量は発熱部の温度に影響するので、損耗量を減らすため固定アーク接触子21の直径d1(図10)を大きくしてやればよいが、固定アーク接触子21の直径が大きくなるとこれに伴って可動アーク接触子22、パッファシリンダ24bの直径が大きくなり、消弧室20が大型化してガス遮断器1全体の外形が大きくなり、コストも高くなるという問題点があった。
【0008】
図11は、例えば特開平5−2950号公報に記載された、従来の他のガス遮断器における消弧室46を示す断面図である。図において、46Aは固定電極部、46Bは可動電極部、47は固定アーク接触子、47aはそのアーク接触部、47bは導電部、47cは両部47a、47bの接合部である。48は可動アーク接触子、49は固定主接触子、50は可動主接触子、51はパッファシリンダ、52はノズル、53はシールド、54は導体部である。
【0009】
この場合の固定アーク接触子47は、アーク接触部47aを耐弧性の優れたWと良導電体のCuとの傾斜合金で構成している。即ち、その先端ではWが100%で、根元へ向かうにつれてCuの含有率が直線的に増大し、接合部47cでCu100%となる。これによって、Cu100%の導電部47bとの接合を同質のCu−Cuで行い得るようにしたものである。
【0010】
しかるに、耐弧性という観点からすると、アーク接触部47a全体としてはWの含有量が少なく、従って、Cuの含有量が多く、多数回の大電流遮断に伴うアークに晒されるとアーク接触子の摺動部は多孔質状に大きく損耗し既述したと同様の問題点を有することになる。
【0011】
図12は例えば特開平10−12074号公報に記載された従来の更に異なるガス遮断器に使用される固定アーク接触子55を示す断面図である。図において、55aはアーク接触部、55bは導電部、55cは両部55a、55bの接合部である。
【0012】
この固定アーク接触子55では、そのアーク接触部55aは、耐弧性を有するW、Re、Nb、Mo、Ta、この複数の成分の少なくとも一種の炭化物およびグラファイトの内の少なくとも一種を主成分とし、Cu、Ag、Al、Auを含む複数の成分の内の少なくとも一種を複合し、30%IACS(International Annealed Copper Standard)以上の導電率を有する材料で構成され、導電部55bは50%IACS以上の導電率を有するCu、Al、Auの内の少なくとも一種を主成分とする材料で構成されている。なお、ここで、%IACSは(Cuの固有抵抗(1.67μΩ・cm)/対象材料の固有抵抗)×100で定義される、Cuを基準とした相対的な導電率である。
【0013】
この場合、耐アーク性と導電性との両立を意図したものであるが、耐弧性に優れた材料を含むとはいえ、30%IACS以上の導電率を有するように構成するため、Cu等の低融点の導電材料の比率を高くせざるを得ず、十分な耐弧性は得られず、多数回の大電流遮断を行うと、アーク接触子の摺動部は多孔質状に損耗して摩耗粉を発生し絶縁信頼性の低下を招くという問題点があった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
従来のガス遮断器、特にそのアーク接触子は、それ自体に一定以上の導電性を要求するものであるため、結果として、耐弧性については十分なレベルの能力を有し得ず、多数回遮断により絶縁信頼性が低下するとともに、機器寸法の増大からコストも高くなる等の問題点があった。
【0015】
この発明は上記のような従来の問題点を解決するためになされたもので、必要な導電性を確保した中で、耐弧性が極めて高く、多数回遮断によっても絶縁信頼性がほとんど低下しない、小形でコストの安いガス遮断器を得ることを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るガス遮断器は、そのアーク接触子先端のアークが接触し得るアーク接触部を、W、Re、Ta、Os、Mo、Nb、Ir、Hf、炭化タンタル、炭化ハフニウム、炭化ニオブ、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タングステン、炭化バナジウム、炭化レニウム、炭化モリブデン、炭化珪素の内の少なくとも一種からなる耐弧材を85%以上含有し、残りをCu、Agの内の少なくとも一種からなる導電材でなる金属材料で構成するとともに、両アーク接触子で形成される回路の電気抵抗値が当該回路のリアクタンス値以下となるよう、上記アーク接触部を構成する金属材料の導電率を所定値以上としたものである。
【0017】
また、この発明に係るガス遮断器は、そのアーク接触子先端のアークが接触し得るアーク接触部を、炭化タンタル、炭化ハフニウム、炭化ニオブ、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タングステン、炭化バナジウム、炭化レニウム、炭化モリブデン、炭化珪素の内の少なくとも二種からなる耐弧材を含有してなる金属材料で構成するとともに、両アーク接触子で形成される回路の電気抵抗値が当該回路のリアクタンス値以下となるよう、上記アーク接触部を構成する金属材料の導電率を所定値以上としたものである。
【0018】
また、この発明に係るガス遮断器は、そのアーク接触部を構成する金属材料の導電率を1%IACS以上としたものである。
【0019】
また、この発明に係るガス遮断器は、その一対のアーク接触子の開離動作時における上記両アーク接触子の摺動速度を6m/s以上としたものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
この発明は、ガス遮断器のアーク接触子に要求される電気的特性を根本から見直した結果創出されたもので、即ち、アーク接触子の特にそのアーク接触部の材料組成として融点の高い耐弧性材料の含有率をどの程度まで高められるかの限界をガス遮断器の遮断動作の原点から追求した結果得られたもので、以下、まず、消弧室を中心とした構成を説明し、しかる後、その遮断動作に関連してアーク接触部に要求される電気的特性について説明することにする。
【0021】
図1はこの発明の実施の形態1におけるガス遮断器の消弧室2を示す断面図である。図において、2Aは固定電極部、2Bは可動電極部である。3および4は互いに接離可能に構成された固定アーク接触子および可動アーク接触子、5および6aは互いに接離可能に構成された固定主接触子および可動主接触子で、固定アーク接触子3と固定主接触子5とは取付金具13および固定側導体14を介して電気的、機械的に一体に結合されている。また、可動アーク接触子4および可動主接触子6a、更にパッファシリンダ6bも一体に形成されている。
【0022】
7はノズル、8は接触子、9、10はシールド、11はピストン、12は駆動棒、15は可動側導体、16は絶縁筒、17は絶縁操作棒で、図示しない操作装置により軸方向(図示左右方向)に駆動される。なお、この消弧室2を含めガス遮断器の容器内には消弧性ガスであるSF6ガスが封入されている。A2は遮断動作時、両アーク接触子3、4間に発生するアークである。
【0023】
図2は固定アーク接触子3の単体図で、図において、3aは遮断動作時に発生するアークが接触し得る部分であるアーク接触部、3bはアークと接触することがない導電部、3cは両部3a、3bの接合部である。なお、可動アーク接触子4も同様の構成となっている。
【0024】
そして、アーク接触部には、融点の高い、例えばW(タングステン:融点3420℃)を多く含有した耐弧材を使用することになるが、図3に示すように、アーク接触子の摺動による摩耗量は、摺動速度に大きく影響される。なお、図3の縦軸の摩耗量は摺動速度8m/s時における値を1.0とする比率(相対値)である。
【0025】
図3から判るように、摺動速度が6m/sを超えると摺動による摩耗量が大幅に増える傾向にあり、大電流遮断を必要とする大容量ガス遮断器では、これら高速域で摩耗量を考える必要がある。
【0026】
図4は、上述した摺動速度8m/sにおける、Wの含有量と摩耗量との関係を示す図である。なお、図4の縦軸の摩耗量も比率(相対値)で、Wの含有量70%における摩耗量を1.0としている。
図4から判るように、Wの含有量が85%以上となると摩耗量が急激に減少する。従って、耐摩耗性の観点からは、高融点の耐弧材を85%以上含有し、残りをCuまたはAgの良導電材とすればよいことが判る。
【0027】
高融点の耐弧材としては、Wの他、Re(レニウム:融点3180℃)、Ta(タンタル:融点3010℃)、Os(オスミウム:融点2700℃)、Mo(モリブデン:融点2620℃)、Nb(ニオブ:融点2470℃)、Ir(イリジウム:融点2440℃)、Hf(ハフニウム:融点2220℃)、炭化タンタル(融点3980℃)、炭化ハフニウム(融点3930℃)、炭化ニオブ(融点3610℃)、炭化ジルコニウム(融点3450℃)、炭化チタン(融点3070℃)、炭化タングステン(融点2750℃)、炭化バナジウム(融点2650℃)、炭化レニウム、炭化モリブデン(融点2960℃)、炭化珪素(融点2700℃)が挙げられる。従って、以上列挙した高融点の耐弧材の内の少なくとも一種を85%以上含有する組成のアーク接触部を採用することにより、多数回大電流遮断時の損耗量を十分低レベルに抑えることができる。
【0028】
ところで、上述した各耐弧材はいずれもその固有抵抗はCuやAgに比較して非常に大きいため、これら耐弧材を85%含有すると、その導電率は約30%IACS程度またはそれ以下となる。
図4に示したように、耐弧材の含有率が85%以上で更に高くなるほど摩耗量は減少するが、導電率も減少する。次に、この耐弧材の含有量の上限、従って、導電率の下限およびその導出根拠について説明する。
【0029】
図5は消弧室2の電気的な等価回路である。同図(a)において、5は固定主接触子、6aは可動主接触子、3は固定アーク接触子、4は可動アーク接触子である。18は両主接触子5、6a間を橋絡するように、両アーク接触子3、4で形成されるアーク接触子回路で、具体的には両アーク接触子3、4および取付金具13、固定側導体14、パッファシリンダ6bの一部をその構成部材として形成されるものである。
【0030】
そして、大電流遮断時は、先ず、それまで閉路状態にあった固定主接触子5と可動主接触子6aとが開離を開始し、その接触部間にアークA3が発生する(同図(a))。次に、このアークA3の電圧によりその電流がアーク接触子回路18に転流し、その時の等価回路を同図(b)に示す。
このアーク電流のアーク接触子回路18への転流のタイミングが遅くアークA3の継続時間が長くなると、主接触子5、6aの接触部の損傷が大きくなり深刻な事態となる。
【0031】
このアーク電流のアーク接触子回路18への転流の難易を決めるのは、アーク接触子回路18のもつインピーダンスで、リアクタンスXと抵抗Rとからなる。ところで、アーク接触子回路18のインダクタンスLは、これら接触子を中心とした立体的形状でその値が決まり、L=0.4〜0.8μH程度である。従って、例えば周波数60Hzでは、X=150〜300μΩ程度のリアクタンスXが常に存在する。
【0032】
これに対し、抵抗Rは両アーク接触子3、4の特に抵抗分の高いアーク接触部の金属材料の合成導電率により大きく左右される。
ここで、耐弧性を犠牲にして抵抗Rを十分小さくしても、上述した通り、アーク接触子回路18にはほぼ一定値のリアクタンスXが存在しており、アーク接触子回路18のインピーダンスは大きく低減せず、アーク電流の転流容易化にほとんど寄与しない。一方、耐弧性を優先して抵抗Rを多少大きくしても、上述した一定値のリアクタンスXとの合成値で決まるアーク接触子回路18のインピーダンスが、急激に増大することはない。即ち、アーク電流のアーク接触子回路18への転流を急激に困難にすることはない。
但し、抵抗Rの値がリアクタンスXの値を越えて増大すると、インピーダンスの値が主として抵抗Rによって決まる方向となり、抵抗Rの増加がそのままアーク電流の転流動作を抑制することになる。
【0033】
以上のことから、アーク接触子回路18の抵抗Rの上限値として、リアクタンスXと同等の値を採用するのが、最も合理的である。既述した通り、アーク接触子回路18の抵抗Rはアーク接触部の抵抗が大部分を占め、インダクタンスLの算出根拠としたと同じ各接触子の立体的形状をもとに解析すると、上記上限値はアーク接触部の合成導電率をほぼ1%IACSとすることに相当することが判明した。
【0034】
即ち、上述した一種以上の高融点の耐弧材を85%以上含有するとともに、その合成導電率が1%IACS以上となる材料組成でアーク接触子のアーク接触部を構成することにより、主接触子の損傷に関係するアーク電流の転流動作に悪影響を及ぼすことなく、開閉遮断動作に伴う摺動による接触部の摩耗量を大幅に低減してガス遮断器としての信頼性を大きく向上させることができる。また、摩耗量が減少する分、アーク接触子の径寸法d2を低減して機器の小形化、低コスト化を図ることもできる。
【0035】
なお、以上では、各耐弧材を一種以上含む金属材料としたが、W、Re、Ta、Os、Mo、Nb、Ir、Hfの内二種以上の合金、例えばW−Re合金とすることにより、耐弧性とともに、高温時の機械的性能の向上を図ることができる。
【0036】
実施の形態2.
図6はこの発明の実施の形態2のガス遮断器における固定アーク接触子19の単体図で、図において、19aはアーク接触部、19bは導電部、19cは両部19a、19bの接合部である。
【0037】
そして、アーク接触部19aは、炭化タンタル、炭化ハフニウム、炭化ニオブ、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タングステン、炭化バナジウム、炭化レニウム、炭化モリブデン、炭化珪素の内の少なくとも二種からなる耐弧材を含有し、その合成導電率が1%IACS以上となる金属材料で構成されている。
【0038】
例えば、炭化タンタルと炭化ハフニウムとの二種を混合すると、その融点は4215℃となり、いずれか一種の場合の融点3980℃、3930℃より更に高くなり、耐弧性が一層向上する。
また、炭化タンタルと炭化ニオブとを混合すると、その融点は4000℃以上となり、これまた、優れたアーク接触部を実現することができる。
更に、炭化タンタルと炭化ニオブとの混合物あるいは炭化珪素等は、その導電率の温度係数が負になり高温時の抵抗が小さくなるので、これらの材料により優れたアーク接触子を構成することができる。
【0039】
また、以上列挙した炭化物の耐弧材を適用すると、アークによる高温のため、炭素あるいはグラファイトが遊離し、これがアーク接触子の摺動面の潤滑剤の役割を果たして、摩耗量を更に低減できるという効果がある。
【0040】
実施の形態3.
この実施の形態3では、耐弧材として、その粒子径が特に小さい微細粒子を採用することにより耐摩耗性を向上させたものを扱う。アーク接触子の外形は、先の実施の形態2の図6と差がないので、同図を流用して説明する。
即ち、ここでは、固定アーク接触子19のアーク接触部19aは、その粒子径が数十nm程度を中心にした1μm以下の微粒子タングステン(W)と銅(Cu)の焼結合金で構成されている。図7は、摺動速度8m/sにおける、Wの含有量と摩耗量との関係を示す図である。なお、図7の縦軸の摩耗量も比率(相対値)で、Wの含有量50%における摩耗量を1.0としている。
【0041】
図7から判るように、Wの含有量が50%以上となると摩耗量は急激に減少する傾向がある。先の実施の形態のものは、その粒子径が通例の10μm程度となっているが、この形態3のように、1μm以下の微粒子で構成された金属組織では、耐弧性能のある組織の目が細かい材料になっているため、摩耗による損耗は表面より少しづつ順次進行し、融点の低い銅が飛散し難いことにより金属組織が多孔質にならないため摩耗量が減少するものと考えられる。このため、多数回大電流遮断後も表面が滑らかであり、両接触子の摺動により発生する摩耗紛の量は大幅に減少する。
焼結合金の製造時導電材料である銅は溶融し、溶融しない微粒子耐弧材料の粒子の間に入り込む形になるので、銅に関する粒子径の制限は少ない。
【0042】
なお、以上では、微粒子耐弧材料として、Wについて説明したが、Re、Ta、Os、Mo、Nb、Ir、Hf、炭化タンタル、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タングステン、炭化バナジウム、炭化レニウム、炭化モリブデン、炭化珪素について同様の効果が得られる。
また、導電材料も、Cuの他Agについても同様の効果が得られる。
また、各種の炭化物を適用すると、アークによる高温のため、炭素あるいはグラファイトが遊離し、これがアーク接触子の摺動面の潤滑剤の役割を果たして、摩耗量を更に低減できるという効果がある。
【0043】
更に、以上の微細粒子の耐弧材料の含有率は50%以上とするもので、導電材料との焼結合金とする範囲で導電材料の含有率を多くすることができ、そのため導電率が上昇し、アーク接触子の電気抵抗値が小さくなり、接触部の温度上昇を抑えることが可能となるとともに、既述した、アーク電流のアーク接触子回路への転流が容易となるので、ガス遮断器への適用面の制限も小さくなる。
【0044】
【発明の効果】
以上のように、この発明に係るガス遮断器は、そのアーク接触子先端のアークが接触し得るアーク接触部を、W、Re、Ta、Os、Mo、Nb、Ir、Hf、炭化タンタル、炭化ハフニウム、炭化ニオブ、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タングステン、炭化バナジウム、炭化レニウム、炭化モリブデン、炭化珪素の内の少なくとも一種からなる耐弧材を85%以上含有し、残りをCu、Agの内の少なくとも一種からなる導電材でなる金属材料で構成するとともに、両アーク接触子で形成される回路の電気抵抗値が当該回路のリアクタンス値以下となるよう、上記アーク接触部を構成する金属材料の導電率を所定値以上としたので、主接触子の損傷に関係するアーク電流の転流動作に悪影響を及ぼすことなく、融点の高い耐弧材の多量含有により接触部の摺動による摩耗量が大幅に低減し、信頼度が高く小形で経済的なガス遮断器を提供できるという効果がある。
【0045】
また、この発明に係るガス遮断器は、そのアーク接触子先端のアークが接触し得るアーク接触部を、炭化タンタル、炭化ハフニウム、炭化ニオブ、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タングステン、炭化バナジウム、炭化レニウム、炭化モリブデン、炭化珪素の内の少なくとも二種からなる耐弧材を含有してなる金属材料で構成するとともに、両アーク接触子で形成される回路の電気抵抗値が当該回路のリアクタンス値以下となるよう、上記アーク接触部を構成する金属材料の導電率を所定値以上としたので、主接触子の損傷に関係するアーク電流の転流動作に悪影響を及ぼすことなく、合成耐弧材の融点が更に高くなり接触部の摺動による摩耗量が大幅に低減し、信頼度が高く小形で経済的なガス遮断器を提供できるという効果がある。
【0046】
また、この発明に係るガス遮断器は、そのアーク接触部を構成する金属材料の導電率を1%IACS以上としたので、主接触子の損傷に関係するアーク電流の転流動作に悪影響を及ぼさないアーク接触部を確実に得ることができる。
【0047】
また、この発明に係るガス遮断器は、その一対のアーク接触子の開離動作時における上記両アーク接触子の摺動速度を6m/s以上としたので、耐弧材の含有率を高めて摺動による摩耗量の低減を可能にするという効果が大容量ガス遮断器において、顕著に発揮される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1におけるガス遮断器の消弧室2を示す断面図である。
【図2】 図1の固定アーク接触子3の単体を示す図である。
【図3】 アーク接触部における、摺動速度と摩耗量との関係を示す図である。
【図4】 アーク接触部の、Wの含有量と摩耗量との関係を示す図である。
【図5】 消弧室2の電気的な等価回路を示す図である。
【図6】 この発明の実施の形態2のガス遮断器における固定アーク接触子19の単体を示す図である。
【図7】 この発明の実施の形態3におけるアーク接触部の、Wの含有量と摩耗量との関係を示す図である。
【図8】 従来からのガス遮断器を示す断面図である。
【図9】 図7の消弧室20を示す断面図である。
【図10】 図8の固定アーク接触子21の単体を示す図である。
【図11】 従来の図8とは異なる消弧室46を示す断面図である。
【図12】 従来の図9とは異なる固定アーク接触子55の単体を示す図である。
【符号の説明】
2 消弧室、3 固定アーク接触子、3a アーク接触部、3b 導電部、
4 可動アーク接触子、5 固定主接触子、6a 可動主接触子、
18 アーク接触子回路、19 固定アーク接触子、19a アーク接触部、
19b 導電部。
Claims (4)
- 互いに接離可能に構成された一対の主接触子、および互いに接離可能に構成され上記一対の主接触子の回路と電気的に並列に接続された一対のアーク接触子を備え、先に開離動作を開始する上記両主接触子間に流れるアーク電流を上記両アーク接触子で形成される回路に転流させその後上記両アーク接触子の開離で当該接触子間に発生するアークを消弧性ガスで消滅させることにより遮断動作を行うガス遮断器において、
上記アーク接触子先端の上記アークが接触し得るアーク接触部を、W、Re、Ta、Os、Mo、Nb、Ir、Hf、炭化タンタル、炭化ハフニウム、炭化ニオブ、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タングステン、炭化バナジウム、炭化レニウム、炭化モリブデン、炭化珪素の内の少なくとも一種からなる耐弧材を85%以上含有し、残りをCu、Agの内の少なくとも一種からなる導電材でなる金属材料で構成するとともに、上記両アーク接触子で形成される回路の電気抵抗値が当該回路のリアクタンス値以下となるよう、上記アーク接触部を構成する金属材料の導電率を所定値以上としたことを特徴とするガス遮断器。 - 互いに接離可能に構成された一対の主接触子、および互いに接離可能に構成され上記一対の主接触子の回路と電気的に並列に接続された一対のアーク接触子を備え、先に開離動作を開始する上記両主接触子間に流れるアーク電流を上記両アーク接触子で形成される回路に転流させその後上記両アーク接触子の開離で当該接触子間に発生するアークを消弧性ガスで消滅させることにより遮断動作を行うガス遮断器において、
上記アーク接触子先端の上記アークが接触し得るアーク接触部を、炭化タンタル、炭化ハフニウム、炭化ニオブ、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タングステン、炭化バナジウム、炭化レニウム、炭化モリブデン、炭化珪素の内の少なくとも二種からなる耐弧材を含有してなる金属材料で構成するとともに、上記両アーク接触子で形成される回路の電気抵抗値が当該回路のリアクタンス値以下となるよう、上記アーク接触部を構成する金属材料の導電率を所定値以上としたことを特徴とするガス遮断器。 - アーク接触部を構成する金属材料の導電率を1%IACS以上としたことを特徴とする請求項1または2記載のガス遮断器。
- 一対のアーク接触子の開離動作時における上記両アーク接触子の摺動速度を6m/s以上としたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のガス遮断器。
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