JPH1137679A - 板型ヒートパイプとそれを用いた冷却構造 - Google Patents

板型ヒートパイプとそれを用いた冷却構造

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JPH1137679A
JPH1137679A JP9196259A JP19625997A JPH1137679A JP H1137679 A JPH1137679 A JP H1137679A JP 9196259 A JP9196259 A JP 9196259A JP 19625997 A JP19625997 A JP 19625997A JP H1137679 A JPH1137679 A JP H1137679A
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達彦 植木
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雅章 山本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 トップヒートモードでも充分な冷却性能が実
現しうる板型ヒートパイプとそれを用いた冷却構造を実
現すること。 【解決手段】 板型ヒートパイプ10内には伝熱柱部1
30〜132、金属多孔質体15が備わり、金属多孔質
体15は、伝熱柱部130〜132の内の最大吸熱量を
示すものに接触している。金属多孔質体15、または伝
熱柱部130〜132の内の最大吸熱量を示すものに
は、板型ヒートパイプ10の姿勢がどうあれ、作動流体
の液相部が接している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は板型ヒートパイプと
それを用いた、半導体素子等の被冷却素子の冷却構造に
関する。
【0002】
【従来の技術】パソコン等の各種機器や電力設備等の電
気・電子機器に搭載されている半導体素子等の電子部品
は、その使用によってある程度の発熱が避けがたく、近
年はその冷却が重要な技術課題となりつつある。冷却を
要する電気・電子素子(以下被冷却素子と称する)を冷
却する方法としては、例えば機器にファンを取り付け、
機器筐体内の空気の温度を下げる方法や、被冷却素子に
冷却体を取り付けることで、その被冷却素子を特に冷却
する方法等が代表的に知られている。
【0003】被冷却素子に取り付ける冷却体として、例
えば銅材やアルミニウム材などの伝熱性に優れる材料の
板材や、或いは板型ヒートパイプ等が適用されることが
多い。板型ヒートパイプは、板状のヒートパイプで、そ
の他、平面型ヒートパイプとか平板型ヒートパイプとか
と呼称されることもある。以下は板型ヒートパイプとの
呼称を用いることにする。
【0004】ヒートパイプについて簡単に説明する。ヒ
ートパイプは空洞部を有するコンテナと作動流体とを備
えており、ヒートパイプ内部に封入された作動流体の相
変態と移動により熱の輸送が行われるものである。もち
ろん、ヒートパイプを構成する容器(コンテナ)を熱伝
導することで運ばれる熱もあるが、その量は相対的に少
ない。ヒートパイプは主に作動流体による熱移動作用を
意図した熱移動装置である。
【0005】ヒートパイプの作動について簡単に記すと
次のようになる。即ち、ヒートパイプの吸熱側におい
て、ヒートパイプを構成する容器(コンテナ)の材質中
を熱伝導して伝わってきた熱により、作動流体が蒸発
し、その蒸気がヒートパイプの放熱側に移動する。放熱
側では、作動流体の蒸気は冷却され再び液相状態に戻
る。そして液相に戻った作動流体は再び吸熱側に移動
(還流)する。このような作動流体の相変態や移動によ
り、熱の移動がなされる。ヒートパイプの内部は作動流
体の相変態が生じやすくするために、作動流体以外のガ
ス等の混入をなるべく避けるように密封されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】吸熱側で蒸気になった
作動流体は放熱側で冷却され再び液相状態に戻る。この
ような熱移動を継続させるためには、その液相に戻った
作動流体を再び吸熱側に還流させなければならない。通
常は吸熱側を放熱側より下方に配置することで、液相に
戻った作動流体は重力によって還流させることができ
る。しかし、例えばパソコン等の電気・電子機器の場
合、その機器が使用状況によっては大きく傾いたり、或
いは反転することもあり得る。こうなると重力作用によ
る作動流体の還流が期待できない。
【0007】そこで板型ヒートパイプとして、例えば特
開平7−208884には、毛細管力の強いブロック状
のウィックを板型ヒートパイプの上下両面に接するよう
に、その板型ヒートパイプの内部に配置したものが提案
されている。このような板型ヒートパイプの場合、図4
(ア)に示すような、その板型ヒートパイプ40が概ね
水平でしかも、その下面側に冷却すべき発熱体41が取
り付けられている場合であれば十分な冷却性能が得られ
ることは従来のヒートパイプと同様であるが、その上面
側に冷却すべき発熱体41が取り付けられた場合(図4
(イ))でも、そのウィックの毛細管作用によって、作
動流体の還流がある程度期待できる。
【0008】図4(イ)のように、発熱体41が下部に
位置しない場合のヒートパイプの動作状態はトップヒー
トモードと呼ばれることがある。図4(イ)はその典型
的な場合である。ところで、図4(ア)、図4(イ)の
場合では、板型ヒートパイプ40が概ね水平に配置され
た状態であるが、その他、板型ヒートパイプ40が傾斜
して配置される場合もあり得る。
【0009】図4(ウ)は、そのような場合の典型例と
して、板型ヒートパイプ40が概ね垂直に配置された場
合を示す。この場合、発熱体41が図中点線で示す符号
410の位置に設置されていれば、トップヒートモード
でなく、重力作用による作動流体の還流が期待できる
が、図示するように、発熱体41が板型ヒートパイプ4
0の下部でない位置に設置されている場合には、トップ
ヒートモードとなり得ることとなり、この場合、発熱体
41の発熱量や板型ヒートパイプ40のサイズ、作動流
体の量等によっては、作動流体の還流が追いつかず、ド
ライアウトしてしまうこともある。このような問題は、
板型ヒートパイプ40が必ずしも垂直でなく、ある程度
傾いている場合でも起こり得ることである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は上述のような事
情を鑑みてなされたものである。本発明の板型ヒートパ
イプは、被冷却素子が実装された基板に相対して設けら
れる板型ヒートパイプであって、前記板型ヒートパイプ
の内部には前記被冷却素子に対応する位置に伝熱柱部が
配置され、また単数または複数の前記伝熱柱部の内の少
なくとも吸熱量最大の伝熱柱部に接触するように金属多
孔質体または金属メッシュ成形体が配置されており、当
該板型ヒートパイプの姿勢に係わらず、吸熱量最大の前
記伝熱柱部若しくは前記金属多孔質体の少なくとも一
方、または吸熱量最大の前記伝熱柱部若しくは前記金属
メッシュ成形体の少なくとも一方に作動流体の液相部が
接触しているものである。
【0011】上記した金属多孔質体または金属メッシュ
成形体は、当該板型ヒートパイプの上下内壁の一方に接
するように配置されている場合もある。また金属多孔質
体または金属メッシュ成形体を当該板型ヒートパイプの
上下内壁の中間領域に配置させ、上下内壁のいずれとも
概ね接していないようにする場合もある。
【0012】当該板型ヒートパイプの外形状として、前
記伝熱柱部が配置された位置に凸部を形成すると良い。
また前記金属多孔質体を当該板型ヒートパイプのコンテ
ナと一体に成形しても良い。
【0013】更に本発明者らは、上述した本発明の板型
ヒートパイプを用いて、被冷却素子として半導体素子そ
の他が実装されたプリント基板に相対して前記板型ヒー
トパイプが配置され、前記半導体素子は前記板型ヒート
パイプと接続され、前記板型ヒートパイプにはヒートシ
ンクが接合されている、半導体素子の冷却構造を提案す
る。
【0014】
【発明の実施の形態】図1は本発明の板型ヒートパイプ
10を示す説明図である。図2はこの板型ヒートパイプ
10を用いた半導体素子20、21、22の冷却構造を
示す説明図である。これらの図を参照しながら本発明の
板型ヒートパイプについて説明する。本発明としては必
須ではないが、この板型ヒートパイプ10は相対する半
導体素子20、21、22との距離に従って所定の凸部
が設けられた外形状を有している。こうすることで、複
数の被冷却素子(半導体素子)の高さが各々異なってい
ても、一つの板型ヒートパイプ10で、これらとの良好
な熱的接続をなすことが可能になる。
【0015】本発明の板型ヒートパイプでは、単数或い
は複数の被冷却素子(図2の半導体素子20〜22が相
当する)が実装された基板に相対して設けられる板型ヒ
ートパイプであって、その内部には半導体素子20〜2
2に対応する位置に伝熱柱部130〜132が配置され
ている。そして、少なくとも最も冷却すべき熱量の大き
な半導体素子(ここでは仮に半導体素子21としてお
く)に対応する伝熱柱部131には、金属多孔質体15
が接触するように設けられている。
【0016】図1、2において、金属多孔質体15に替
えて金属メッシュを成形した金属メッシュ成形体を適用
してもよい。金属メッシュ成形体とは、金属製の織布や
不織布等のメッシュを束ねたり、丸めたりして、更に必
要に応じてプレス等を施して成形したものを指す。尚、
図1、2には、金属多孔質体15(或いはそれに替えて
金属メッシュ成形体)の他に、金属メッシュ14も設置
されている。これは通常のウィックとして、当該板型ヒ
ートパイプ10の内面付近に沿わせるように貼りつけた
ものである。本発明においては金属メッシュ14は必須
ではないが、これを設けることで、より高性能な板型ヒ
ートパイプの実現が期待できる。
【0017】尚、金属多孔質体としては、金属粉末を焼
結させたもの、多孔質状に金属を電析(電気化学的に析
出させること)させたもの、精密鋳造によるもの、セル
状多孔質樹脂体に金属をメッキし、しかる後その樹脂を
除去したもの、2相合金の一方の相を酸や電解等で除去
したもの、等、種々の手法により作製したものが適宜適
用できる。尚、この金属多孔質体の空隙率は、作動流体
の種類その他にもよるが、概ね20%以上にすることが
望ましい。
【0018】また金属メッシュ成形体としては、金属織
布や金属不織布等の金属メッシュのシートを用いて、こ
れを筒状に丸めたものや、必要に応じて多重に丸めたも
のの他、複数の金属メッシュのシートを重ねて形成する
と良い。
【0019】金属メッシュ成形体を得るために用いる金
属メッシュのシートとして、金属織布を用いる場合は、
作動流体の種類その他にもよるが、概ね0.03〜0.
3mmの繊維径で、粗さが♯30〜♯200程度のもの
を適用すると良い。複数の金属メッシュのシートを重ね
て用いる場合も、作動流体の種類や当該板型ヒートパイ
プのサイズ等にもよるが、概ね3〜30枚程度を重ねる
ことが適当である。金属メッシュとして金属不織布を用
いる場合は、作動流体の種類その他にもよるが、概ね
0.03〜0.3mmの繊維径で、適当な空隙率になる
ように集合した厚さ0.1〜5mm程度のものを用いる
と良い。これらを複数重ねて用いる場合は、作動流体の
種類や当該板型ヒートパイプのサイズ等にもよるが、概
ね3〜30枚程度を重ねることが適当である。
【0020】金属多孔質体或いは金属メッシュ成形体の
外形形状は、筒状、棒状その他の形状が適宜適用でき
る。図5には棒状の形状に成形した金属多孔質体、金属
メッシュ成形体を模式的に示す概念図である。図5
(ア)は、金属メッシュ(織布)のシートを丸めて、そ
れに更に成形加工を施して適宜形状を整えたものであ
る。図5(イ)は金属繊維を集合させて適当な形状に固
めたもの(金属不織布成形体)である。図5(ウ)は適
当な形状に成形した金属多孔質体を示す。
【0021】さて図1、2に戻ると、本発明の板型ヒー
トパイプ10は、半導体素子20〜22が実装された基
板24に相対して設けられ、その内部には半導体素子2
0〜22に対応する位置に伝熱柱部130〜132が設
けられている。ここでは、半導体素子20〜22の内、
最も発熱量が大きく、最も冷却すべき素子を仮に半導体
素子21としておく。
【0022】この図2では、冷却すべき半導体素子20
〜22が何れも板型ヒートパイプ10の下方に位置し、
従って板型ヒートパイプ10の吸熱部はその放熱部(図
2においてフィン16と接する側)より下方に位置して
いる。従って、この状態はトップヒートモードでなく、
作動流体は重力作用によって還流する。ところが、この
板型ヒートパイプ10が例えば左上がりに傾いている場
合、その内部に収容されている作動流体の液相部分は、
大部分板型ヒートパイプ10の右端付近に集中してしま
う。こうなると、重力作用による作動流体の液相部分の
板型ヒートパイプの右端側から左端側への移動が期待で
きなくなる。
【0023】しかしこのような場合でも、伝熱柱部13
0〜132はそれに対応する半導体素子20〜22の熱
をフィン16側に熱伝導により運ぶ役割をする。一方、
少なくとも伝熱柱部130〜132の内、最大の吸熱量
を示す伝熱柱部131には、金属多孔質体15(または
それに替えて金属メッシュ成形体)が接触するように設
けられている。そして、板型ヒートパイプ10の姿勢
(傾き)に係わらず、作動流体の液相部は、金属多孔質
体15(またはそれに替えて金属メッシュ成形体)或い
は伝熱柱部131に常に接触するようになっている。
【0024】板型ヒートパイプ10は、その姿勢(傾
き)によっては、金属多孔質体15(またはそれに替え
て金属メッシュ成形体)と伝熱柱部131の両方に作動
流体の液相部が接している状態もあり得るし、それらの
片方にしか作動流体の液相部が接していない状態もあり
得る。いずれにしても、板型ヒートパイプ10の姿勢
(傾き)がどうあれ、作動流体の液相部が金属多孔質体
15(またはそれに替えて金属メッシュ成形体を用いた
場合は金属メッシュ成形体)か伝熱柱部131の少なく
とも一方には接するようにしている。
【0025】このため、板型ヒートパイプ10の姿勢に
係わらず、少なくとも最大の吸熱量を示す伝熱柱部13
1の部分には、金属多孔質体15(またはそれに替えて
金属メッシュ成形体)による毛細管作用により、液相に
戻った作動流体の還流が確保できることになる。従って
十分な冷却性能が維持できるのである。
【0026】尚、この図1、2に示す例では、金属多孔
質体15(またはそれに替えて金属メッシュ成形体)
は、最大の吸熱量を示す伝熱柱部131だけでなく、他
の伝熱柱部130、132にも接触するように設置され
ている。
【0027】ところで、金属多孔質体15(またはそれ
に替えて金属メッシュ成形体)は、板型ヒートパイプ1
0の内壁と接するように配置されていても構わないが、
板型ヒートパイプ10の上側の内壁または下側の内壁と
離して配置すると、作動流体の蒸気流路が広く確保でき
るようになり望ましい。上下何れの内壁とも離れた位置
(中間部)に設置すると、上下に蒸気流路が確保でき
る。
【0028】金属多孔質体15は、金属メッシュを重ね
たものや、丸めたものを適宜成形したものを用いてもよ
い。
【0029】図1、2に示す例では、金属多孔質体15
は板型ヒートパイプ10の上側の内壁には接しないよう
に、そして下側の内壁とは接するように配置されてい
る。図1、2では、金属多孔質体15は下側の内壁と離
れているように描かれているが、これは図示の都合であ
る。
【0030】伝熱柱部130〜132は、それぞれ別個
のものを用いても良いが、これらが一体になったものを
用いて良い。
【0031】
【実施例】図1、2、3を参照しながら本発明の実施例
を説明する。図3は本実施例の板型ヒートパイプ10の
外観を示す。図3(イ)は図3(ア)の反対側を図示し
たものである。さて、板型ヒートパイプ10のコンテナ
は、上板11と、凸部120、121が設けられた下板
12とを接合して形成される。接合方法はBAg−8
(銀ろう)を用いたろう付けによった。凸部120、1
21はプレス加工によって形成した。こうして形成され
たコンテナの内部には、後述する金属メッシュ14等が
設置される。そして、板型ヒートパイプ10の内容積の
30%相当の純水を作動流体として真空封入した。
【0032】図1は板型ヒートパイプ10の一部断面図
である。凸部120、121に対応する位置に、無酸素
銅製のムクの伝熱柱部130〜132を配置した。伝熱
柱部130〜132は板型ヒートパイプ10の内壁(上
板11と下板12)に、上記同様のろう付けによって接
合した。
【0033】また板型ヒートパイプ10の内部には、ウ
ィックとして一枚の金属メッシュ14(無酸素銅製)
を、ほぼその内壁に沿うように配置した。更に金属多孔
質体15を伝熱柱部130〜132の何れとも接するよ
うに設置した。この金属多孔質体15は、熱柱部130
〜132の何れとも接するように設置した。またこの金
属多孔質体15は、下板12側とだけ接するように配置
した(図では金属多孔質体15は、下板12とも離れて
いるように描かれているが、これは図示する都合による
ものである)。
【0034】本実施例では、金属多孔質体15として、
セル径約0.3mm、空隙率80%で厚さ2.5mmの
セル状銅多孔質体を適用した(実施例1)。また金属多
孔質体15に替え、純銅製で、線径80μm、♯120
のメッシュを15枚重ねて、折り畳んで厚さ約2.5m
mにした金属メッシュ成形体を適用した例(実施例
2)、金属多孔質体15に替え、純銅製で、線径70μ
m、空隙率60%、厚さ2.5mmの銅不織布を適用し
た例(実施例3)も行った。更に、実施例2の金属メッ
シュのサイズを厚さ5mmとして、それを板型ヒートパ
イプ10の上下の内壁の両方に接するように配置した例
(実施例4)も行った。
【0035】更に比較のために、金属多孔質体15を備
えない例(比較例1)を用意した。また、上記実施例2
においては、金属多孔質体15に替え金属メッシュ成形
体を適用したが、その金属メッシュ成形体が伝熱柱部1
30〜132と接しないようにした例(比較例2)も用
意した。
【0036】さて、上記実施例1〜4、比較例1、2に
おいて、その冷却性能を調べてみた。図3は実施例1〜
4、比較例1、2の板型ヒートパイプの外観であるが、
中央の凸部120には、発熱量100Wの半導体素子1
個を、残りの4箇所の凸部121には発熱量5Wの半導
体素子各々1個を熱伝導グリスを介して装着した。更に
図2に示すように、上板11側には、放熱のためのフィ
ン16を装着した。
【0037】そして、上記5個の半導体素子に通電し、
図3に示すTA、TBの2ポイントの温度差を調べた。
その際、図2の板型ヒートパイプ10の姿勢(設置角度
0°の場合と呼ぶ。この姿勢は図4(ア)に示すような
姿勢に該当する)、設置角度180°の場合(設置角度
0°の場合の反転姿勢、即ち図4(イ)に示すような姿
勢に該当する)、設置角度90°の場合(設置角度0°
の姿勢を90°回転させた姿勢、即ち図4(ウ)に示す
ような姿勢に該当する)の3姿勢の場合につき測定し
た。TA、TBの2ポイントの温度差を消費電力Wで割
った値R(熱抵抗)、 R=(TA−TB)/W を表1に記す。
【0038】
【表1】
【0039】表1の結果を見れば判るように、比較例
1、2は、設置角度90°の場合では、熱抵抗が非常に
大きくなっているが、本発明の実施例1〜4は、設置角
度90°の場合でも、熱抵抗が0.1K/W以下と小さ
く、優れた冷却性能が維持されている。従って、本発明
の板型ヒートパイプはその姿勢に係わらず優れた冷却性
能が実現しうるものであることが判る。
【0040】
【発明の効果】以上のように本発明の板型ヒートパイプ
を用いた冷却構造であれば、例え板型ヒートパイプが垂
直或いは傾いて設置されるようなトップヒートモードに
おいても、十分に優れた冷却性能を実現することができ
るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる板型ヒートパイプの一例を示す
説明図である。
【図2】本発明に係わる板型ヒートパイプを用いた冷却
構造の一例を示す説明図である。
【図3】本発明に係わる板型ヒートパイプの一例を示す
外観図である。
【図4】板型ヒートパイプの姿勢を説明する図である。
【図5】金属メッシュ成形体、金属多孔質体を模式的に
示す概念図である。
【符号の説明】
10 板型ヒートパイプ 11 上板 12 下板 130 伝熱柱部 131 伝熱柱部 132 伝熱柱部 14 金属メッシュ 15 金属多孔質体 16 フィン 20 半導体素子 21 半導体素子 22 半導体素子 23 リード 120 凸部 121 凸部 40 板型ヒートパイプ 41 被冷却素子

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被冷却素子が実装された基板に相対して
    設けられる板型ヒートパイプであって、前記板型ヒート
    パイプの内部には前記被冷却素子に対応する位置に伝熱
    柱部が配置され、また単数または複数の前記伝熱柱部の
    内の少なくとも吸熱量最大の伝熱柱部に接触するように
    金属多孔質体または金属メッシュ成形体が配置されてお
    り、当該板型ヒートパイプの姿勢に係わらず、吸熱量最
    大の前記伝熱柱部若しくは前記金属多孔質体の少なくと
    も一方、または吸熱量最大の前記伝熱柱部若しくは前記
    金属メッシュ成形体の少なくとも一方に作動流体の液相
    部が接触している、板型ヒートパイプ。
  2. 【請求項2】 前記金属多孔質体または前記金属メッシ
    ュ成形体が、当該板型ヒートパイプの上下内壁の一方に
    接するように配置されている、請求項1記載の板型ヒー
    トパイプ。
  3. 【請求項3】 前記金属多孔質体または前記金属メッシ
    ュ成形体が、当該板型ヒートパイプの上下内壁の中間領
    域に配置されている、請求項1記載の板型ヒートパイ
    プ。
  4. 【請求項4】 前記伝熱柱部が配置された位置に当該板
    型ヒートパイプの外形上、凸部が形成されている、請求
    項1〜3の何れかに記載の板型ヒートパイプ。
  5. 【請求項5】 前記金属多孔質体が当該板型ヒートパイ
    プのコンテナと一体に成形されている、請求項1、2、
    4の何れかに記載の板型ヒートパイプ。
  6. 【請求項6】 被冷却素子として半導体素子が実装され
    たプリント基板に相対して請求項1〜5のいずれかに記
    載の板型ヒートパイプが配置され、前記半導体素子は前
    記板型ヒートパイプと接続され、前記板型ヒートパイプ
    にはヒートシンクが接合されている、冷却構造。
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