JPH1135370A - Ito焼結体の製造方法 - Google Patents

Ito焼結体の製造方法

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JPH1135370A
JPH1135370A JP9193761A JP19376197A JPH1135370A JP H1135370 A JPH1135370 A JP H1135370A JP 9193761 A JP9193761 A JP 9193761A JP 19376197 A JP19376197 A JP 19376197A JP H1135370 A JPH1135370 A JP H1135370A
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sintered body
indium
ito
tin
gas
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JP9193761A
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Mutsuhisa Nagahama
睦久 永浜
Moriyoshi Kanamaru
守賀 金丸
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Kobe Steel Ltd
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Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 還元による金属や低級酸化物を含まず、且つ
高密度であるとともに、ターゲットとして用いた場合に
黒色化やノジュールを発生することのない長寿命なター
ゲットとして使用し得るITO焼結体の製造方法を提供
する。 【解決手段】 主として酸化インジウム粉末と酸化錫粉
末からなる混合粉末を、成形後あるいは予備焼結後、更
に熱間等方圧加熱処理を行ってITO焼結体を製造する
方法において、前記熱間等方圧加熱処理に際し、被処理
体を収納する容器の内面の一部又は全部に、インジウ
ム、錫、酸化インジウム、酸化錫、インジウム−錫合
金、酸化インジウム−酸化錫複合酸化物からなる群から
選ばれる1種以上をコーティングすることによって、前
記被処理体の還元を抑制する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ITO焼結体の製
造方法に関し、詳細にはLC(液晶)、EL(エレクト
ロルミネセンス)等の薄型ディスプレー用表示デバイス
駆動電極、太陽電池の透明電極、更には窓ガラスへの熱
線遮蔽コーティング、高速交通機関のウインドシールド
の防曇・防氷、各種機材の帯電防止処理及び、静電遮蔽
コーティング等に対して用いられるITO透明導電膜を
スパッタリング法、真空蒸着法などのPVD法で作製す
る際に用いるITO透明導電膜用ターゲット材料の製造
方法に関するものである。なお、ITO(Indium Tin O
xideの略)という物質は、酸化インジウムと酸化錫を出
発原料にして酸化インジウム中に錫が又は酸化錫中にイ
ンジウムが固溶したり、複合酸化物から構成されている
材料である。
【0002】
【従来の技術】ITO透明導電膜の作製方法にはスパッ
タリング法、真空蒸着法、CVD法、スプレー熱分解法
などがあるが、特に良質なITO透明導電膜(以下IT
O膜と言うこともある)が要求される分野ではスパッタ
リング法が用いられている。その場合、スパッタガスと
してアルゴン−酸素混合ガスが用いられているが、酸素
ガスは低抵抗で高透過率なITO膜になるような量に設
定される。またターゲットとしては、IT(In−Sn合
金)ターゲットを用いる方法とITO焼結体ターゲット
を用いる2つの方法があるが、最近は膜性能、膜の均一
性及び成膜操作の簡便性に有利なITO焼結体ターゲッ
トを用いる方法が主流となっている。
【0003】ITO焼結体ターゲットに望まれる特性と
しては高密度化がある。低密度なITO焼結体ターゲッ
トをスパッタリング法に使用した場合、放電電圧が上昇
し、ターゲット表面温度も上昇してくる。このために表
面が還元され、低級酸化物となり、黒色化やノジュール
(ターゲット表面上のスパッタにより削り残された低酸
素濃度黒色突起物)の発生が起こってターゲットの使用
効率低下や膜特性の劣化(高抵抗、低透過率)が生じ
る。このため現在は、相対密度90%以上の高密度なIT
O焼結体ターゲットが望まれている。
【0004】そしてこのような高密度なITO焼結体タ
ーゲットを作製する方法として、酸素加圧雰囲気高温焼
結法やホットプレス法がある。
【0005】酸素加圧雰囲気高温焼結法は、特公平 7−
100852号公報に説明されているように、 1気圧(絶対
圧)以上に加圧された純酸素ガス雰囲気等の加圧酸素雰
囲気中で1600〜1700℃の非常に高い温度で焼結を行う方
法であって(同公報第3頁段落番号[0018]、[0019]参
照)、この方法により、密度6.20〜7.23g /cm3 を達成
している。しかし高温焼結のため、酸化インジウムや酸
化錫の還元や蒸発が激しくなり(O2、In2O、SnO 、In、
Snの解離ガス圧は温度に対して指数的に増加する)、初
期の組成と異なったITO焼結体になってしまう。その
上、ITO組織の粒径とポア径も焼結温度に対して指数
関数的に増加するため、表面の凹凸が激しくなり、スパ
ッタリングターゲットの安定放電等に悪影響を及ぼす。
【0006】ホットプレス法は成形体を高圧不活性ガス
下で焼結する方法であるが、高密度(相対密度95%以
上)なITO焼結体を得ることができる一方、開空孔
(オープンポア)を有する成形体を焼結するために、焼
結体内部まで還元され、金属や低級酸化物を含むITO
焼結体しか得ることができない。これによって、この焼
結体より作製したITOターゲットでは安定した放電特
性を得ることが難しくなる上、抵抗率の高いITO膜し
か得ることができない。これはITOを構成しているIn
2O3 、特にSnO2が非常に還元されやすいためである。
【0007】そこで特開平 5−155651号公報には、IT
Oの還元を抑え、且つ高密度な焼結体を得るために、I
TOよりも高い酸素解離圧を示す金属などで内面を覆っ
たカプセルにITO予備焼結体を封入し、そのカプセル
を熱間等方圧加熱処理する方法が提案されている。しか
し、カプセルは熱間等方圧加熱処理で圧縮変形されるた
め、カプセルの内面を覆ったCu、NiなどがITO焼結体
に不純物として入る可能性がある上に、熱間等方圧加熱
処理後に圧縮変形したカプセルを機械加工にて除去しな
ければならず、その際にもITO焼結体に不純物が入る
可能性がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述の酸素加圧雰囲気
高温焼結法やホットプレス法により製造されたITO焼
結体より作製された高密度ITOターゲットは、相対密
度90〜96%程度であってもポア径が大きいため、表面の
凹凸が激しかったり、又は金属や低級酸化物をターゲッ
ト内部まで含むため、使用に伴いターゲット表面に黒色
突起物(ノジュール)が発生しやすく、従ってこのよう
なターゲットをスパッタリング成膜に用いても高透過・
低抵抗なITO膜を得ることが難しい。またターゲット
自体の酸素量を補うために、酸素量の多いアルゴン+酸
素ガスを用いてスパッタリングを行うが、多量の負に帯
電した酸素イオンが陽極にある基板をスパッタしてしま
うため、ダメージを受けたITO膜ができてしまう。
【0009】一方、特開平 5−155651号公報に提案の方
法では、比較的高密度で且つITOの還元の少ないIT
O焼結体が得られるものの、必ずしも充分とは言えず、
未だ改良の余地がある上に、カプセルの内面を覆ったC
u、NiなどがITO焼結体に不純物として入る可能性が
あり、また熱間等方圧加熱処理後に圧縮変形したカプセ
ルを機械加工にて除去しなければならず、その際にもI
TO焼結体に不純物が入る可能性がある。と言った問題
を有する。
【0010】そこで、本発明の目的は、従来技術が有し
ている前述の欠点を解消しようとするものである。すな
わち、還元による金属や低級酸化物を含まず、且つ高密
度であると共に、ターゲットとして用いた場合に黒色化
やノジュールを発生することのない長寿命なターゲット
として使用し得るITO焼結体の製造方法を提供するも
のである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明に係るITO焼結体の製造方法は、主とし
て酸化インジウム粉末と酸化錫粉末からなる混合粉末
を、成形後あるいは予備焼結後、更に熱間等方圧加熱処
理を行ってITO焼結体を製造する方法において、請求
項1の発明では、前記熱間等方圧加熱処理に際し、被処
理体を収納する容器の内面の一部又は全部に、インジウ
ム、錫、酸化インジウム、酸化錫、インジウム−錫合
金、酸化インジウム−酸化錫複合酸化物からなる群から
選ばれる1種以上をコーティングすることによって、ま
た請求項2の発明では、前記熱間等方圧加熱処理に際
し、被処理体を収納する容器内に被処理体と共に、イン
ジウム、錫、酸化インジウム、酸化錫、インジウム−錫
合金、酸化インジウム−酸化錫複合酸化物からなる群か
ら選ばれる1種以上の粉末又は成形体又は焼成体を収納
することによって、また請求項3の発明では、前記熱間
等方圧加熱処理に際し、処理雰囲気中にO2ガス、In2Oガ
ス、 SnOガス、Inガス、Snガスが存在する様にすると共
に、前記ガス群から選ばれる1種以上が下記の条件を満
たすことによって、それぞれ被処理体の還元を抑制して
ITO焼結体を製造するものである。 10-1Pa≦O2≦104Pa 10-3Pa≦In2O≦102Pa 10-1Pa≦ SnO≦104Pa 10-4Pa≦In≦102Pa 10-6Pa≦Sn≦ 1 Pa
【0012】上記本発明では、熱間等方圧加熱処理時に
インジウム、錫、酸化インジウム、酸化錫、の金属、粉
体、成形体、焼結体を容器内に直に、あるいは容器内面
にコーティングしてITO被処理体を囲むように一緒に
入れるが、そうすることによって被処理体の還元が抑制
される理由について述べる。
【0013】ITOを構成しているIn2O3 とSnO2は、高
温において解離ガスが発生するが、その解離ガスの内 9
5vol%以上がIn2Oガス、 SnOガス、Inガス、Snガス、O2
ガスで占められる。よって以下の反応が律速になってい
ると考えられる。ここで(s)は固相、 (g)は気相を意味
する。 In2O3(s) →In2O(g) +O2(g) ----(1) SnO2 (s) → SnO(g) + 1/2O2(g) ----(2) In2O3(s) → 2In(g) +2/3O2(g) ----(3) SnO2 (s) → Sn(g) +O2(g) ----(4) 上記(1) 〜(4) のような反応が起こるために、加圧酸素
雰囲気下で焼結を行って反応を左に進めようとする手法
も多く用いられているが、O2ガス圧力をいくら上げよう
がIn2O(g) 、SnO(g)、In(g) 、Sn(g) が発生しない限
り、右への反応が進み、分解が進み続ける。この現象が
ITOの緻密化焼結や低級酸化物生成阻止に悪影響を及
ぼす。
【0014】上記反応を抑制するには、ITO被処理体
周辺をO2(g) だけではなくIn2O(g)、SnO(g)、In(g) 、S
n(g) 雰囲気にする必要がある。ここで処理容器内全体
がこの雰囲気になる必要がなく、少なくともITO被処
理体周辺に分解反応を起こさない程度のガス分圧があれ
ばよい。言うなれば、局所的に平衡蒸気圧制御すること
である。
【0015】不活性雰囲気でIn2O(g) 、SnO(g)、O2(g)
がどの程度の気圧になるかを近似したデータを図1に示
す。温度全域に渡ってSnO(g)の蒸気圧が一番高く、次に
全圧の約 1/3 がO2(g) である。次いでIn2O(g) 、In
(g) 、Sn(g) が続くが、温度が高くなるにつれて急激に
蒸気圧が高くなる。熱間等方圧加熱処理では何百〜何千
気圧という雰囲気で処理を行うが、通常の処理ではSnO
やO2:10-1〜104Pa 、In 2O:10-3〜102Pa 、In:10-4
102Pa 、Sn:10-6〜 1Paが存在すればITOの還元を抑
えることができる。このようなことから、本発明では被
処理体周辺にIn、Sn、O で構成される金属、酸化物を配
するか、あるいは強制的に不活性ガスと一緒に低圧のIn
2O(g) 、SnO(g)、O2(g) ガス等を流すことにより、熱間
等方圧加熱処理においてITO被処理体周辺を平衡蒸気
圧雰囲気にすることで還元を抑えるようにしたものであ
って、これにより、従来の高い酸素解離圧を示す金属で
内面を覆ったカプセルを使用して熱間等方圧加熱処理を
行うというような複雑な手法を用いることなく、還元を
抑制した高密度なITO焼結体を得ることができる。ま
た被処理体周辺にIn、Sn、O で構成される金属、酸化物
を配することで、外周にあるヒーターによっていつでも
先に加熱され、常時被処理体よりも高い蒸気圧ガス(Sn
O 、O2、In2O、In、Sn等)を放出して被処理体を覆い囲
んでくれるため、効率的に還元を抑制してくれる。
【0016】一方コスト面においても、ホットプレスで
はITOターゲットを作製する場合、1チャージ1、2
枚しか得ることができないが、熱間等方圧加熱処理を用
いると一度に数十枚作製することも可能であり、非常に
有用である。
【0017】また、本発明に係るITO焼結体の製造方
法では、熱間等方圧加熱処理は温度1200℃以上、圧力50
MPa 以上で行うことが好ましく、このような条件とする
ことで、相対密度95%以上、平均ポア径が10μm 以下の
ITOターゲットに好適なITO焼結体を製造すること
ができる。また、このようなITO焼結体を確実に製造
するためには、熱間等方圧加熱処理前の成形体や予備焼
結体内の開空孔(オープンポア)が、予備焼結において
閉鎖系空孔(クローズドポア)となるように処理されて
いることが好ましい。
【0018】また、本発明に係るITO焼結体の製造方
法においては、全焼結体重量に対してSnO2量を 3〜15質
量%とすることが好ましく、その量が 3質量%未満ある
いは15質量%を越えると、ITO透明導電膜とした場合
に膜の比抵抗が高くなることがあるからである。それ故
特に好ましい範囲は 4〜10質量%である。また、本発明
により製造されるITO焼結体には、本発明の目的、効
果を損なわない範囲において他の成分が含まれていても
差し支えないが、その量は可及的に少量に止めることが
望ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】図2は、本発明に係るITO焼結
体の製造方法に用いられる熱間等方圧加熱処理装置の概
要図であって、炉殻1の内側にはヒーター2が配設さ
れ、更にその内側に耐熱性遮蔽容器(坩堝)3が配設さ
れている。そして、本発明の製造方法では、主として酸
化インジウム粉末と酸化錫粉末からなる混合粉末を予め
圧密に成形した粉末成形体4を坩堝3内に収納するとと
もに、その成形体の周囲にインジウム、錫、酸化インジ
ウム、酸化錫、インジウム−錫合金、酸化インジウム−
酸化錫複合酸化物からなる群から選ばれる1種以上の、
In2Oガス、 SnOガス、O2ガス等を発生させる物質5を配
した後、炉殻1内を高温、高圧のアルゴン雰囲気とし熱
間等方圧加熱処理する。この熱間等方圧加熱処理によ
り、坩堝3内の成形体は高温、高圧を受け、高密度なI
TO焼結体に成形される。
【0020】
【実施例】
〔実施例1〕In2O3−10質量%SnO2に 2質量%バインダ
ーを配合して振動ミルで 2時間混合した。このスラリー
を造粒した後、 3トン/cm2 の圧力で冷間静水圧成形し
た。この成形品を 400℃で脱脂を行い、酸素雰囲気中14
00℃で 5時間予備焼結した。次にこの予備焼結体の周辺
に酸化インジウム−酸化錫粉体を充填し、坩堝に封入し
た。そしてアルゴン不活性ガス雰囲気中で1350℃×100M
Paで熱間等方圧加熱処理をした。得られたITO焼結体
は、アルキメデス法による密度測定で相対密度は99.0%
であった。また焼結体表面をX線回折法により測定し
た。その測定結果を図3に示す。図から分かるように、
低級酸化物相や金属相に起因する回折ピークは無かっ
た。
【0021】〔実施例2〕In2O3−10質量%SnO2に 1質
量%バインダーを配合して振動ミルで 2時間混合した。
このスラリーを造粒した後、 3.5トン/cm2 の圧力で冷
間静水圧成形した。この成形品を 400℃で脱脂を行い、
酸素雰囲気中1400℃で 5時間予備焼結した。次に、内壁
に酸化インジウム−酸化錫コーティングした坩堝にこの
予備焼結体を充填し、坩堝に封入した。そしてアルゴン
不活性ガス雰囲気中で1350℃×150MPaで熱間等方圧加熱
処理をした。得られたITO焼結体は、アルキメデス法
による密度測定で相対密度は99.5%であった。また焼結
体表面をX線回折法により測定した。その測定結果を図
3に示す。図から分かるように、低級酸化物相や金属相
に起因する回折ピークは無かった。
【0022】上記実施例1、2で相対密度が99.0%、9
9.5%と高いものが得られた理由は、予備焼結によって
予備焼結体内の空洞部が連続空孔(オープンポア)から
閉鎖系空孔(クローズドポア)になるとともに、この後
の熱間等方圧加熱処理による焼結によってその閉鎖系空
孔が更に縮小、消滅したためである。また、焼結体表面
に低級酸化物相や金属相が無かった理由は、ITO予備
焼結体の周辺に酸化インジウム−酸化錫粉体を配したこ
とにより、昇温時に酸化インジウム−酸化錫粉体からO2
ガスだけでなく特にIn2Oガスや SnOガスなどが放出さ
れ、これらのガスがITO予備焼結体を覆い囲み、これ
によりITO予備焼結体自体からの還元による分解ガス
の放出が抑制されたためである。
【0023】〔比較例1〕In2O3−10質量%SnO2に 1質
量%バインダーを配合して振動ミルで 2時間混合した。
このスラリーを造粒した後、 3トン/cm2 の圧力で冷間
静水圧成形した。この成形品を 400℃で脱脂を行い、酸
素雰囲気中1400℃で 5時間予備焼結した。次に、坩堝内
にこの予備焼結体だけを封入して熱間等方圧加熱処理を
行った。処理条件は、アルゴン不活性ガス雰囲気中で13
50℃×150MPaである。得られたITO焼結体は、アルキ
メデス法による密度測定で相対密度は99.0%であった。
また焼結体表面をX線回折法により測定した。その測定
結果を図3に示す。図から分かるように、この比較例で
は低級酸化物相や金属相に起因する回折ピークが確認さ
れた。本比較例ではITO予備焼結体の周辺に酸化イン
ジウム−酸化錫粉体などを配さなかったために、アルゴ
ン不活性ガス雰囲気に曝され、低級酸化物、更には激し
い還元により金属相(InやSn)までが析出した。
【0024】〔比較例2〕In2O3−10質量%SnO2に 1質
量%バインダーを配合して振動ミルで 2時間混合した。
このスラリーを造粒した後、 4トン/cm2 の圧力で冷間
静水圧成形した。この成形品を 400℃で脱脂を行い、酸
素雰囲気中1550℃で 5時間本焼結した。得られたITO
焼結体は、アルキメデス法による密度測定で相対密度は
95.0%であった。
【0025】〔実施例3〕上記実施例1、2と比較例
1、2で作製されたITO焼結体を、直径 4インチのス
パッタリングターゲットに加工して成膜実験を行った。
実験はDCマグネトロンスパッタ装置を使用した。雰囲
気を1.0mTorrアルゴンとし、基板温度 200℃で成膜を行
った。得られたITO膜の抵抗率、可視光透過率を表1
に示す。また前記ターゲットを用い30時間寿命試験を行
った。その時の異常放電回数の経時変化を図4に示す。
【0026】
【表1】
【0027】本実施例1、2で作製したITO焼結体で
は、表1から分かるように、抵抗率の低い且つ可視光透
過率の高いITO膜が得られるとともに、図4から分か
るように異常放電回数も殆ど無く安定した放電状態であ
った。これに対して、比較例1で作製したITO焼結体
では、ITO膜の特性において抵抗率がやや高く、また
可視光透過率はやや低くいものになるとともに、異常放
電回数が多く不安定な放電状態であった。これは、IT
O焼結体の表面に低級酸化物相や金属相(InやSn)が析
出(組織的斑)したためである。また、比較例2で作製
したITO焼結体では、ITO膜の特性において抵抗率
が高く、また可視光透過率は非常に低くいものになると
ともに、異常放電回数が多く不安定な放電状態であっ
た。これは、ITO焼結体において高温焼結により粒成
長や空孔(ポア)の粗大化が促進されたためと、そのた
めに更にスパッタリングにおいて更にターゲット表面の
凹凸(表面形状斑)が激しくなったためである。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るIT
O焼結体の製造方法によれば、相対密度が95%以上と高
密度であって且つ還元による金属や低級酸化物を含まな
いITO焼結体を得ることができるとともに、更にこの
ITO焼結体をスパッタリングターゲットに加工して使
用すれば、成膜時の異常放電を減らすことができ、安定
した成膜操業が可能となる。また得られたITO膜は、
良質な透明導電膜として形成することができる。
【0029】また更にITOターゲット作製の生産性を
考えた場合、従来のホットプレス法では 2〜 3枚/チャ
ージであるのに対して、本発明法では数十枚/チャージ
を作製することが可能である。また常圧焼結法で高密度
なITO焼結体を得るためには高温で焼結しなければな
らず、このため In2O3やSnO2の還元や蒸発が激しく初期
の組成と変わってしまうが、本発明法では熱間等方圧加
熱処理において比較的低温で処理できるためこのような
問題も無い。
【図面の簡単な説明】
【図1】ITO各解離成分の気圧を示す図である。
【図2】本発明に係るITO焼結体の製造方法に用いら
れる熱間等方圧加熱処理装置の概要図である。
【図3】X線回折ピーク図である。
【図4】寿命試験における異常放電回数経時変化の図で
ある。
【符号の説明】
1:炉殻 2:ヒーター
3:遮蔽容器(坩堝) 4:粉末成形体 5:In2Oガス、 SnOガス、O2
ガスを発生させる物質

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主として酸化インジウム粉末と酸化錫粉
    末からなる混合粉末を、成形後あるいは予備焼結後、更
    に熱間等方圧加熱処理を行ってITO焼結体を製造する
    方法において、前記熱間等方圧加熱処理に際し、被処理
    体を収納する容器の内面の一部又は全部に、インジウ
    ム、錫、酸化インジウム、酸化錫、インジウム−錫合
    金、酸化インジウム−酸化錫複合酸化物からなる群から
    選ばれる1種以上をコーティングすることによって、前
    記被処理体の還元を抑制することを特徴とするITO焼
    結体の製造方法。
  2. 【請求項2】 主として酸化インジウム粉末と酸化錫粉
    末からなる混合粉末を、成形後あるいは予備焼結後、更
    に熱間等方圧加熱処理を行ってITO焼結体を製造する
    方法において、前記熱間等方圧加熱処理に際し、被処理
    体を収納する容器内に被処理体と共に、インジウム、
    錫、酸化インジウム、酸化錫、インジウム−錫合金、酸
    化インジウム−酸化錫複合酸化物からなる群から選ばれ
    る1種以上の粉末又は成形体又は焼成体を収納すること
    によって、前記被処理体の還元を抑制することを特徴と
    するITO焼結体の製造方法。
  3. 【請求項3】 主として酸化インジウム粉末と酸化錫粉
    末からなる混合粉末を、成形後あるいは予備焼結後、更
    に熱間等方圧加熱処理を行ってITO焼結体を製造する
    方法において、前記熱間等方圧加熱処理に際し、処理雰
    囲気中にO2ガス、In2Oガス、 SnOガス、Inガス、Snガス
    が存在する様にすると共に、前記ガス群から選ばれる1
    種以上が下記の条件を満たすことによって、被処理体の
    還元を抑制することを特徴とするITO焼結体の製造方
    法。 10-1Pa≦O2≦104Pa 10-3Pa≦In2O≦102Pa 10-1Pa≦ SnO≦104Pa 10-4Pa≦In≦102Pa 10-6Pa≦Sn≦ 1 Pa
  4. 【請求項4】 上記熱間等方圧加熱処理を、温度1200℃
    以上、圧力50MPa 以上で行う請求項1〜3のいずれか1
    項記載のITO焼結体の製造方法。
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JP (1) JPH1135370A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003008658A1 (en) * 2001-07-18 2003-01-30 Nikko Materials Company, Limited Ito sintered body sputtering target for forming high-resistance film and its manufacturing method

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WO2003008658A1 (en) * 2001-07-18 2003-01-30 Nikko Materials Company, Limited Ito sintered body sputtering target for forming high-resistance film and its manufacturing method

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