JPH1135308A - 乱層構造窒化ホウ素(βtBN)の製造方法 - Google Patents
乱層構造窒化ホウ素(βtBN)の製造方法Info
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- JPH1135308A JPH1135308A JP20967197A JP20967197A JPH1135308A JP H1135308 A JPH1135308 A JP H1135308A JP 20967197 A JP20967197 A JP 20967197A JP 20967197 A JP20967197 A JP 20967197A JP H1135308 A JPH1135308 A JP H1135308A
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- boron
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Abstract
(57)【要約】
【課題】潤滑材、離型材、耐食性被服材、焼結体製造原
料、高圧相合成原料、層間化物合成原料等の用途を有す
る乱層構造窒化ほう素の製造法を提供することを目的と
する。 【解決手段】窒化ホウ素合成原料または窒化ホウ素前駆
体を還元性条件下で1700℃以上、2250℃以下に
加熱することを特徴とする、層面間隔0.346nm±
3nm、銅Kα線によるX線回折の乱層構造10回折線
の2θ角が41.9±0.3°である乱層構造窒化ホウ
素(βtBN)の製造方法である。
料、高圧相合成原料、層間化物合成原料等の用途を有す
る乱層構造窒化ほう素の製造法を提供することを目的と
する。 【解決手段】窒化ホウ素合成原料または窒化ホウ素前駆
体を還元性条件下で1700℃以上、2250℃以下に
加熱することを特徴とする、層面間隔0.346nm±
3nm、銅Kα線によるX線回折の乱層構造10回折線
の2θ角が41.9±0.3°である乱層構造窒化ホウ
素(βtBN)の製造方法である。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、潤滑材、離型材、
耐食性被覆材、焼結体製造原料、高圧相合成原料、層間
化物合成原料等の用途を有する乱層構造窒化ほう素の製
造法に関するものである。
耐食性被覆材、焼結体製造原料、高圧相合成原料、層間
化物合成原料等の用途を有する乱層構造窒化ほう素の製
造法に関するものである。
【0002】
【従来技術】窒化ほう素は、ほう素(B)と窒素(N)
からなる化合物であって、低圧相BNと高圧相BNがあ
る。低圧相BNは黒鉛に似た結晶構造を有し、層面間隔
が0.333nmである層状構造であって、二層周期で
積み重なる六方晶(hBN)と、三層周期で積み重なる
菱面体晶(rBN)の二種の結晶相がある。これらの結
晶性BNの構造の模式図を図2に示す。しかし、これら
の結晶における層間の結合力が極めて弱いため、層の積
み重なり方が乱れた、いわゆる、乱層構造BN(tB
N:turbostraticBN)がある。
からなる化合物であって、低圧相BNと高圧相BNがあ
る。低圧相BNは黒鉛に似た結晶構造を有し、層面間隔
が0.333nmである層状構造であって、二層周期で
積み重なる六方晶(hBN)と、三層周期で積み重なる
菱面体晶(rBN)の二種の結晶相がある。これらの結
晶性BNの構造の模式図を図2に示す。しかし、これら
の結晶における層間の結合力が極めて弱いため、層の積
み重なり方が乱れた、いわゆる、乱層構造BN(tB
N:turbostraticBN)がある。
【0003】乱層構造BNには2種類の基本構造が考え
られる。その一つは、結晶性BNの層間隔、即ち0.3
33nmに近い層間隔を持つもので、隣接層関係が結晶
性BNと同様のAA’、AB、AC等であるが、その組
み合わせが無秩序なもの(αtBN)である。通常得ら
れている乱層構造BNはこのαtBN型を基本構造とす
るものである。他は、層は互いに平行であるが、並進・
回転に関して全く無秩序なもので、0.346nmの広
い層面間隔を持つもの(βtBN)である。βtBNは
本発明者が初めてその構造を提案し、合成に成功した新
物質である。層状窒化ほう素(BN)は耐熱、耐食、絶
縁、潤滑性材料として工業に用いられ極めて優れた特性
を示すが、βtBNは層間隔距離が際だって大きい特徴
があることから、上記の通常のBNの用途に加え、層間
化合物合成原料などの新たな用途が期待される。
られる。その一つは、結晶性BNの層間隔、即ち0.3
33nmに近い層間隔を持つもので、隣接層関係が結晶
性BNと同様のAA’、AB、AC等であるが、その組
み合わせが無秩序なもの(αtBN)である。通常得ら
れている乱層構造BNはこのαtBN型を基本構造とす
るものである。他は、層は互いに平行であるが、並進・
回転に関して全く無秩序なもので、0.346nmの広
い層面間隔を持つもの(βtBN)である。βtBNは
本発明者が初めてその構造を提案し、合成に成功した新
物質である。層状窒化ほう素(BN)は耐熱、耐食、絶
縁、潤滑性材料として工業に用いられ極めて優れた特性
を示すが、βtBNは層間隔距離が際だって大きい特徴
があることから、上記の通常のBNの用途に加え、層間
化合物合成原料などの新たな用途が期待される。
【0004】従来、乱層構造BNの製造方法としては、
通常、hBNの製造方法と同様にホウ酸または酸化ホウ
素を含窒素有機化合物で還元窒化する方法で行われてお
り、αtBN構造を基本とする乱層構造物質が得られ
る。他方、βtBNの製造方法として示されているもの
は、本発明者が行ってきた方法が唯一の方法である(科
学技術庁無機材質研究所研究報告第89号“炭窒化ホウ
素に関する研究”3.4熱処理の効果2:βtBNの分
解生成参照)。この方法は、重量比で1:2.2:2.
6のホウ素−尿素−蔗糖混合融液を1500℃に加熱し
て得たBC4N組成の炭窒化ホウ素を1800℃以上の
2250℃以下の高温に加熱して、乱層構造BNと炭素
に分解させた後、炭素を空気中で加熱除去することによ
りβtBNを得る方法である。この方法では、得られる
BNに対して、最終段階においてBNの2倍量の炭素が
関与するため、前駆体の体積が膨大であり、また、前駆
体合成時に発泡があること、大量の原料を消費すること
などのため、大容量の反応器と長い反応時間を必要とす
る問題があった。更に、上記のようなβtBNは炭窒化
ホウ素を熱分解する方法は高品質のβtBNを得るには
適するが、大量の原料と大容量の反応器を要するなどの
実用上の問題があった。
通常、hBNの製造方法と同様にホウ酸または酸化ホウ
素を含窒素有機化合物で還元窒化する方法で行われてお
り、αtBN構造を基本とする乱層構造物質が得られ
る。他方、βtBNの製造方法として示されているもの
は、本発明者が行ってきた方法が唯一の方法である(科
学技術庁無機材質研究所研究報告第89号“炭窒化ホウ
素に関する研究”3.4熱処理の効果2:βtBNの分
解生成参照)。この方法は、重量比で1:2.2:2.
6のホウ素−尿素−蔗糖混合融液を1500℃に加熱し
て得たBC4N組成の炭窒化ホウ素を1800℃以上の
2250℃以下の高温に加熱して、乱層構造BNと炭素
に分解させた後、炭素を空気中で加熱除去することによ
りβtBNを得る方法である。この方法では、得られる
BNに対して、最終段階においてBNの2倍量の炭素が
関与するため、前駆体の体積が膨大であり、また、前駆
体合成時に発泡があること、大量の原料を消費すること
などのため、大容量の反応器と長い反応時間を必要とす
る問題があった。更に、上記のようなβtBNは炭窒化
ホウ素を熱分解する方法は高品質のβtBNを得るには
適するが、大量の原料と大容量の反応器を要するなどの
実用上の問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、上記の従
来技術の問題点を解決して、より効率的なβtBN製造
方法を開発するために探索研究を行った結果、例えばア
ンモニア等の水素を含む原料を用いた気相合成のような
還元性条件での急激な温度勾配での析出合成や、ホウ素
酸化物の還元窒化法において還元剤を過剰に用い、昇温
速度が急速な場合には、αtBNに混じってβtBNが
生成することを見出した。その結果、BNの規則構造化
を促進する酸素の効果を還元性条件によって減ずるこ
と、及び、炭素の作用を利用してBN隣接層関係の不規
則化とその固定をさらに進めることにより、βtBNが
合成できることを見出し、本発明を完成したもので、本
発明の目的は、通常のBN合成装置を用いて、従来法に
比べてはるかに簡便に高収率でβtBNを合成する方法
を提供する。
来技術の問題点を解決して、より効率的なβtBN製造
方法を開発するために探索研究を行った結果、例えばア
ンモニア等の水素を含む原料を用いた気相合成のような
還元性条件での急激な温度勾配での析出合成や、ホウ素
酸化物の還元窒化法において還元剤を過剰に用い、昇温
速度が急速な場合には、αtBNに混じってβtBNが
生成することを見出した。その結果、BNの規則構造化
を促進する酸素の効果を還元性条件によって減ずるこ
と、及び、炭素の作用を利用してBN隣接層関係の不規
則化とその固定をさらに進めることにより、βtBNが
合成できることを見出し、本発明を完成したもので、本
発明の目的は、通常のBN合成装置を用いて、従来法に
比べてはるかに簡便に高収率でβtBNを合成する方法
を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、窒化ホ
ウ素合成原料または窒化ホウ素前駆体を還元性条件下で
1700℃以上、2250℃以下に加熱することを特徴
とする、層面間隔0.346nm±3nm、銅Kα線に
よるX線回折の乱層構造10回折線の2θ角が41.9
±0.3°である乱層構造窒化ホウ素(βtBN)の製
造方法である。
ウ素合成原料または窒化ホウ素前駆体を還元性条件下で
1700℃以上、2250℃以下に加熱することを特徴
とする、層面間隔0.346nm±3nm、銅Kα線に
よるX線回折の乱層構造10回折線の2θ角が41.9
±0.3°である乱層構造窒化ホウ素(βtBN)の製
造方法である。
【0007】即ち、本発明では、還元性条件下で170
0℃以上、2250℃以下に加熱するのであって、更
に、通常のBN合成条件に比べて還元性の条件下で昇温
速度が大きいか、あるいは、原料と析出部位との温度勾
配が大きく堆積速度が大きい条件を選ぶことによって、
BNの隣接層関係が安定な位置に落ち着くことを妨げ、
炭素の存在によってこれをさらに促進することを原理と
する。以下に実施例に沿って具体的に説明する。
0℃以上、2250℃以下に加熱するのであって、更
に、通常のBN合成条件に比べて還元性の条件下で昇温
速度が大きいか、あるいは、原料と析出部位との温度勾
配が大きく堆積速度が大きい条件を選ぶことによって、
BNの隣接層関係が安定な位置に落ち着くことを妨げ、
炭素の存在によってこれをさらに促進することを原理と
する。以下に実施例に沿って具体的に説明する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明において使用する窒化ホウ
素合成原料としては実施例1及び2では、取り扱いやす
いことから、ホウ素源にホウ酸、有機窒化物にメラミン
及び尿素が用いられているが、ホウ酸は含水物、無水
物、及び、ホウ酸塩類、例えばホウ酸アンモニウム等も
使用可能であり、含窒素有機化合物はジシアンジアミド
など他の多くの窒素含有有機化合物が使用可能である。
これらの原料は共用してもよい。また、ホウ素源化合物
と有機窒化化合物との混合比は、通常のBN合成の場合
より、有機物を過剰とする。少ないと効果が無く、多す
ぎても前駆体合成の加熱により分解し系外に去るので最
終処理に影響はないが、無駄であり、当量比より2%以
上200%以下の過剰量が好ましい。実施例では約50
%過剰とした。
素合成原料としては実施例1及び2では、取り扱いやす
いことから、ホウ素源にホウ酸、有機窒化物にメラミン
及び尿素が用いられているが、ホウ酸は含水物、無水
物、及び、ホウ酸塩類、例えばホウ酸アンモニウム等も
使用可能であり、含窒素有機化合物はジシアンジアミド
など他の多くの窒素含有有機化合物が使用可能である。
これらの原料は共用してもよい。また、ホウ素源化合物
と有機窒化化合物との混合比は、通常のBN合成の場合
より、有機物を過剰とする。少ないと効果が無く、多す
ぎても前駆体合成の加熱により分解し系外に去るので最
終処理に影響はないが、無駄であり、当量比より2%以
上200%以下の過剰量が好ましい。実施例では約50
%過剰とした。
【0009】この混合物を加熱すると、実施例1では水
溶液からホウ酸メラミンが析出し、加熱により水、炭酸
ガスを放出して徐々にBN組成に近づく。実施例2では
150℃までに透明な溶融を形成し、さらに加熱すると
実施例1と同様である。加熱雰囲気は、300℃以下で
は大気中でも良いが、高温では非酸化性雰囲気とする。
実施例では1100℃で前駆体を得、高周波炉にて窒素
気流中で1500℃まで昇温後、毎分約30℃で220
0℃まで昇温し10時間保持する。1500℃以上での
昇温速度が遅いと、昇温途中でαtBN、hBN等が生
成して固定化されるので急速昇温する。昇温速度は毎分
10℃以上が好ましく、熱伝達を考慮すれば毎分20以
上がさらに好ましいが、慣性による過昇温等に注意して
炉特性により設定する必要がある。保持時間は長い程良
いので実用上で設定する。加熱温度は1700以下では
βtBNは生成せず、2250℃以上ではhBNの生成
が進み、さらに高温ではBNが分解するので、1700
℃以上2250℃以下が可能であり、好ましくは180
0℃以上、さらに好ましくは1900℃以上2230℃
以下で加熱する。昇温は原料から連続で最終加熱に至っ
てもよいが、反応による体積変化が大きいため、一旦、
前駆体として取り出したほうが最終加熱の炉心容量が小
さくてすむため有利である。
溶液からホウ酸メラミンが析出し、加熱により水、炭酸
ガスを放出して徐々にBN組成に近づく。実施例2では
150℃までに透明な溶融を形成し、さらに加熱すると
実施例1と同様である。加熱雰囲気は、300℃以下で
は大気中でも良いが、高温では非酸化性雰囲気とする。
実施例では1100℃で前駆体を得、高周波炉にて窒素
気流中で1500℃まで昇温後、毎分約30℃で220
0℃まで昇温し10時間保持する。1500℃以上での
昇温速度が遅いと、昇温途中でαtBN、hBN等が生
成して固定化されるので急速昇温する。昇温速度は毎分
10℃以上が好ましく、熱伝達を考慮すれば毎分20以
上がさらに好ましいが、慣性による過昇温等に注意して
炉特性により設定する必要がある。保持時間は長い程良
いので実用上で設定する。加熱温度は1700以下では
βtBNは生成せず、2250℃以上ではhBNの生成
が進み、さらに高温ではBNが分解するので、1700
℃以上2250℃以下が可能であり、好ましくは180
0℃以上、さらに好ましくは1900℃以上2230℃
以下で加熱する。昇温は原料から連続で最終加熱に至っ
てもよいが、反応による体積変化が大きいため、一旦、
前駆体として取り出したほうが最終加熱の炉心容量が小
さくてすむため有利である。
【0010】得た生成物の炭素量は0.1%以下であ
り、過剰に加えた有機物はほとんど分解気化したことが
分かる。銅Kα線によるX線回折図は、2θ=25.8
°及び53°に層間隔3.46nmに相当するピーク
を、また、42°付近に乱層構造物質に特有な高角側に
尾を引く形状の回折線が観測され、βtBNを主成分す
ることが分かった。また、26.75°にも幅広の回折
線が観測されることから、少量のαtBNまたはhBN
の混在が考えられる。これを空気中で800℃3時間保
持することにより、炭素を除去する。
り、過剰に加えた有機物はほとんど分解気化したことが
分かる。銅Kα線によるX線回折図は、2θ=25.8
°及び53°に層間隔3.46nmに相当するピーク
を、また、42°付近に乱層構造物質に特有な高角側に
尾を引く形状の回折線が観測され、βtBNを主成分す
ることが分かった。また、26.75°にも幅広の回折
線が観測されることから、少量のαtBNまたはhBN
の混在が考えられる。これを空気中で800℃3時間保
持することにより、炭素を除去する。
【0011】
実施例1 メラミンとホウ素からのBNの生成では、1:2(モ
ル)が当量比である。これに対し、過剰のメラミンを用
いた。メラミン1モルに対しホウ酸1モルを温水に溶解
後、室温で乾燥し、250℃まで空気中で、その後11
00℃まで窒素気流中で徐々に加熱して水、炭酸ガスお
よび過剰の有機物を離脱させることにより、炭素を1%
以下を含むBN前駆体を得た。これを黒鉛坩堝に入れ、
高周波加熱炉を用いて、窒素気流中で1100℃まで徐
々に昇温した後、毎分約30℃で2200℃まで昇温
し、10時間保持した。得られたBNは、1%以下の炭
素を含み、銅Kα線X線回折により2θ=25.8°及
び53°に層間隔3.46nmに相当するピークを、ま
た、42°付近に乱層構造物質に特有な形状の回折線が
観測され、βtBNを主成分することが分かった。ま
た、26.75°にも幅広の回折線が観測されることか
ら、少量のαtBNまたはhBNの混在が認められる。
これを空気中で800°3時間保持することにより、炭
素を除去した。
ル)が当量比である。これに対し、過剰のメラミンを用
いた。メラミン1モルに対しホウ酸1モルを温水に溶解
後、室温で乾燥し、250℃まで空気中で、その後11
00℃まで窒素気流中で徐々に加熱して水、炭酸ガスお
よび過剰の有機物を離脱させることにより、炭素を1%
以下を含むBN前駆体を得た。これを黒鉛坩堝に入れ、
高周波加熱炉を用いて、窒素気流中で1100℃まで徐
々に昇温した後、毎分約30℃で2200℃まで昇温
し、10時間保持した。得られたBNは、1%以下の炭
素を含み、銅Kα線X線回折により2θ=25.8°及
び53°に層間隔3.46nmに相当するピークを、ま
た、42°付近に乱層構造物質に特有な形状の回折線が
観測され、βtBNを主成分することが分かった。ま
た、26.75°にも幅広の回折線が観測されることか
ら、少量のαtBNまたはhBNの混在が認められる。
これを空気中で800°3時間保持することにより、炭
素を除去した。
【0012】実施例2 ホウ酸と尿素によるBNの合成は通常1:2.2程度の
重量混合比で行われる。これに対し本実施例では過剰の
尿素を用いた。ホウ酸と尿素を重量比で1:3の割合で
混合し200℃に3時間保持して得た反応物を、黒鉛坩
堝に入れ、窒素気流中で1100℃にて2時間保持した
結果、炭素0.7%を含むBN前駆体を得た。これを、
高周波炉にて窒素気流中で1500℃まで昇温後毎分約
30℃で2200℃まで昇温し10時間保持した。生成
物は0.1%以下の炭素を含み、X線回折図は実施例1
と同様でβtBNを主成分とすることが分かった。
重量混合比で行われる。これに対し本実施例では過剰の
尿素を用いた。ホウ酸と尿素を重量比で1:3の割合で
混合し200℃に3時間保持して得た反応物を、黒鉛坩
堝に入れ、窒素気流中で1100℃にて2時間保持した
結果、炭素0.7%を含むBN前駆体を得た。これを、
高周波炉にて窒素気流中で1500℃まで昇温後毎分約
30℃で2200℃まで昇温し10時間保持した。生成
物は0.1%以下の炭素を含み、X線回折図は実施例1
と同様でβtBNを主成分とすることが分かった。
【0013】実施例3 通常のBN合成と同様にホウ素と尿素の重量混合比を
1:2.2とし、10%の蔗糖を加えて、実施例2と同
様な操作で2200℃に加熱し、実施例2とほぼ同様な
βtBNを得た。 実施例4 1850℃に加熱した黒鉛基板上に塩化ホウ素とアンモ
ニアを1:3比率で導入し50torrの減圧下で1時
間保持してBNを得た。得られたBNのX線回折図は、
26及び52.8°付近に左右対称の幅広な回折線を、
42°付近に乱層構造10線に相当する回折線を示すこ
とからβtBNであることが分かった。
1:2.2とし、10%の蔗糖を加えて、実施例2と同
様な操作で2200℃に加熱し、実施例2とほぼ同様な
βtBNを得た。 実施例4 1850℃に加熱した黒鉛基板上に塩化ホウ素とアンモ
ニアを1:3比率で導入し50torrの減圧下で1時
間保持してBNを得た。得られたBNのX線回折図は、
26及び52.8°付近に左右対称の幅広な回折線を、
42°付近に乱層構造10線に相当する回折線を示すこ
とからβtBNであることが分かった。
【0014】
【発明の効果】本発明を用いれば、広い層間隔を持つ新
しい乱層構造BNであるβtBNを、通常のBN合成と
同様に、容易に合成でき、得られたβtBNは層間隔距
離が際立って大きい特徴を有するため通常の層状窒化ホ
ウ素(BN)と同様の用途に加え、層間化合物合成原料
などの新たな用途が期待できる。
しい乱層構造BNであるβtBNを、通常のBN合成と
同様に、容易に合成でき、得られたβtBNは層間隔距
離が際立って大きい特徴を有するため通常の層状窒化ホ
ウ素(BN)と同様の用途に加え、層間化合物合成原料
などの新たな用途が期待できる。
【図1】実施例2、4で得られたβtBNのX線回折図
を、従来法による乱層構造BN(αtBN)、hBN、
rBN等との比較で示した。
を、従来法による乱層構造BN(αtBN)、hBN、
rBN等との比較で示した。
【図2】結晶性BNの層状構造を示す模式図である。
図1において、1はhBN、2はrBN、3はtBN、
4はβtBN、5は実施例2で得られたβtBN及び6
は実施例4で得られたβtBNの夫々のX線回折曲線を
表す。
4はβtBN、5は実施例2で得られたβtBN及び6
は実施例4で得られたβtBNの夫々のX線回折曲線を
表す。
Claims (7)
- 【請求項1】 窒化ホウ素合成原料または窒化ホウ素前
駆体を還元性条件下で1700℃以上、2250℃以下
に加熱することを特徴とする、層面間隔0.346nm
±3nm、銅Kα線によるX線回折の乱層構造10回折
線の2θ角が41.9±0.3°である乱層構造窒化ホ
ウ素(βtBN)の製造方法。 - 【請求項2】 請求項1の窒化ホウ素前駆体として、炭
素を含む窒化ホウ素前駆体を用いることを特徴とする、
請求項1のβtBN製造方法。 - 【請求項3】 請求項2の炭素を含む窒化ホウ素前駆体
は、ホウ酸、酸化ホウ素及びホウ酸塩からなるホウ素源
の少なくとも1種と含窒素有機化合物とを含窒素有機化
合物をBN生成反応当量以上の量を用いて反応させるこ
とによって得られたものである、請求項1のβtBN製
造方法。 - 【請求項4】 請求項2における炭素を含む窒化ホウ素
前駆体は、ホウ酸、酸化ホウ素及びホウ酸塩からなるホ
ウ素源の少なくとも1種と含窒素有機化合物との反応に
よって窒化ホウ素を製造する際に、原料混合物に有機化
合物を添加することにより得られたものである、請求項
1のβtBN製造方法。 - 【請求項5】 請求項2、3、4を用いた請求項1の製
造方法において昇温速度を毎分10℃以上とする請求項
1のβtBN製造方法。 - 【請求項6】 請求項1の合成原料をイ)アンモニアま
たはアンモニウム塩とハロゲン化ホウ素または金属ホウ
水素化物、ロ)ホウ素と窒素を含む非酸化物とする請求
項1記載の製造方法。 - 【請求項7】 請求項1の製造方法において、最終生成
物を酸素の存在下で500〜900℃の温度範囲で加熱
することにより炭素を除去する請求項1記載の製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP09209671A JP3099060B2 (ja) | 1997-07-18 | 1997-07-18 | 乱層構造窒化ホウ素(βtBN)の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP09209671A JP3099060B2 (ja) | 1997-07-18 | 1997-07-18 | 乱層構造窒化ホウ素(βtBN)の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1135308A true JPH1135308A (ja) | 1999-02-09 |
JP3099060B2 JP3099060B2 (ja) | 2000-10-16 |
Family
ID=16576686
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP09209671A Expired - Lifetime JP3099060B2 (ja) | 1997-07-18 | 1997-07-18 | 乱層構造窒化ホウ素(βtBN)の製造方法 |
Country Status (1)
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2003523964A (ja) * | 2000-01-21 | 2003-08-12 | ユー.エス.ボラックス インコーポレイテッド | ノナボレート組成物およびその製法 |
JP2005097022A (ja) * | 2003-09-22 | 2005-04-14 | Japan Science & Technology Agency | Iiib族窒化物の合成方法 |
JP2021102542A (ja) * | 2019-12-25 | 2021-07-15 | デンカ株式会社 | 六方晶窒化ホウ素粉末及びその製造方法、並びに化粧料及びその製造方法 |
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1997
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