JPH11352049A - 応力腐食試験装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 安定した試験条件を維持し、かつ、装置を小
型化してランニングコストを低減できる応力腐食試験装
置の提供を課題とする。 【解決手段】 腐食液槽２と乾燥室１とを有し、腐食液
槽２における腐食液への浸漬と乾燥室１における乾燥と
により、腐食液による試験片７の変化を試験する応力腐
食試験装置において、試験片７が設置され、予め設定さ
れた割合で試験片７に腐食液での浸漬と乾燥室１での乾
燥とを繰り返させる試験片搬送ベルト３を具備して構成
した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、金属材料の応力腐
食試験装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図２及び図３は、従来の応力腐食試験装
置の概略構成を示す図である。図２は、上下移動により
浸漬及び乾燥を繰り返す恒温恒湿型大型試験機を示して
いる。図２において、符号の１１は乾燥室、１２は腐食
液槽、１３は試験台、１４は駆動部、１５は加熱装置、
１６は冷却装置、１７は温度・湿度センサ、１８はコン
トローラを示しており、乾燥室１１及び腐食液槽１２内
に入れられた塩水などの腐食液の温度・湿度は、加熱装
置１５及び冷却装置１６によって、それぞれが所定の値
に維持されている。なお、これら加熱装置１５及び冷却
装置１６は、温度・湿度センサ１７の検出値に基づきコ
ントローラ１８にて作動制御される。

【０００３】以下、上述した構成の応力腐食試験装置を
使用しての試験方法を簡単に説明する。この装置の場
合、試験対象となる金属材料の試験片は試験台１３に固
定設置され、駆動部１４を作動させて試験台１３を上下
方向に往復移動させることによって、腐食液槽１２内の
腐食液への浸漬と、乾燥室１１での乾燥とが周期的に繰
り返される。そして、このような浸漬及び乾燥の繰り返
しを所定時間（回数）続けることにより、応力腐食割れ
試験を実施する。

【０００４】図３は、腐食液をポンプで循環させる腐食
液フロータイプを示したもので、図中の符号２１は腐食
液槽、２２は腐食液循環ポンプ、２３は試験台、２４は
送風ファンを示している。この装置の場合、試験片は試
験台２３の上に設置されており、腐食液循環ポンプ２２
を運転することによって試験台２３まで腐食液を供給し
て試験片を腐食液に浸したり、送風ファン２４を運転し
て試験台２３上の試験片を乾かしたりして、応力腐食割
れ試験を実施するものである。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来の応力腐食試験装置のうち、一方の恒温恒湿型大型試
験機（図２）では、装置内において要求される試験温度
・湿度を制御できるという利点を有している。しかし、
その反面、応力腐食試験装置全体が大がかりなものとな
るので、必要となる腐食液も多量であり、従って試験の
ランニングコストが高いという問題がある。また、上述
した応力腐食試験装置は専用装置となるため、上記の温
度・湿度制御部分、すなわち温度・湿度センサ１７及び
コントローラ１８を他の試験へ流用することはできない
といった問題もある。

【０００６】そして、もう一方の腐食液フロータイプ
（図３）は、試験台２３上の腐食液が飛散したり、ある
いは腐食液の水分が蒸発して濃度が変化したりするの
で、試験条件が不安定になるという問題がある。

【０００７】そこで本発明は、安定した試験条件を維持
し、かつ、装置を小型化してランニングコストの低減を
可能にする応力腐食試験装置の提供を課題としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明による応力腐食試
験装置は、上記課題を解決するためになされたものであ
り、溶液室と乾燥室とを有し、溶液への浸漬と乾燥室で
の乾燥とにより前記溶液による試験片の変化を試験する
応力腐食試験装置において、前記試験片が設置され、予
め設定された割合で前記試験片に前記溶液での浸漬と前
記乾燥室での乾燥とを繰り返させるベルト状部材を具備
して構成したことを特徴としている。

【０００９】このような応力腐食試験装置によれば、ベ
ルト状部材により試験片を搬送し、腐食液槽での浸漬と
乾燥室での乾燥とを順次繰り返して試験を実施すること
ができる。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、本発明による応力腐食試験
装置の実施の形態を図１に示して説明する。図１におい
て、符号の１は乾燥室、２は腐食液槽、３は試験片搬送
ベルト、４はローラ、５はエアノズル、６はファン、７
は試験片を示している。

【００１１】この応力腐食試験装置は、上下に２分割さ
れた空間よりなり、上部の乾燥室１と溶液室として設け
た下部の腐食液槽２との間が仕切壁Ｗによって分割され
ている。仕切壁Ｗの左右両側端部には連通孔８，８が設
けられ、試験片搬送ベルト３が回転する通路となってい
る。この試験片搬送ベルト３はループ状に連結され、乾
燥室１と腐食液槽２とを交互に通って回転する。そし
て、試験片７はこの試験片搬送ベルト３に固定して設置
され、該試験片搬送ベルト３と共に乾燥室１における乾
燥と腐食液槽２内の溶液、すなわち腐食液による浸漬と
を順次繰り返す。

【００１２】乾燥室１における乾燥と腐食液槽２におけ
る浸漬との時間配分は、試験片搬送ベルト３に介在させ
たローラ４の数及び組み合わせで調整する。たとえば、
浸漬時間を長くしたい場合、腐食液槽２内に配置するロ
ーラ４の数を増やして試験片搬送ベルト３が上下動する
回数を多くし、試験片搬送ベルト３が腐食液槽２内を通
る距離を長くしてやる。

【００１３】また、左右の連通孔８，８にはそれぞれエ
アノズル５，５を配設してあり、該エアノズル５よりエ
アを吹き出すことにより乾燥室１と腐食液槽２との間を
遮断している。なお、乾燥室１の左右側壁には、腐食液
で濡れた試験片７を乾燥させるために送風するファン
６，６が取り付けられている。

【００１４】以下、上述した応力腐食試験装置を使用し
た試験手順について説明する。この応力腐食試験装置
は、恒温恒湿試験機の中に設置して試験を行うもので、
試験前の準備として、試験片７が試験片搬送ベルト３上
に固定され、腐食液槽２には試験用の腐食液が入れられ
る。また、必要に応じてローラ４の数や配置を変え、試
験片搬送ベルト３の屈曲を変化させて浸漬と乾燥との時
間配分を調整する。こうして準備が完了すると、恒温恒
湿試験機を作動させて所定の温度及び湿度を維持し、フ
ァン６および試験片搬送ベルト３を作動させる。この結
果、試験片７は試験片搬送ベルト３と共に回転し、乾燥
室１及び腐食液槽２を交互に通過し、所望の時間配分で
乾燥及び浸漬が繰り返される。これを所定時間（回数）
継続することにより、試験片７の応力腐食試験が実施さ
れる。

【００１５】なお、温度及び湿度の制御は、恒温恒湿試
験機側で実施される。なおまた、エアノズル５の設置に
より腐食液が飛ばされるので、乾燥室１及び恒温恒湿試
験機内への腐食成分の飛散が防止される。

【００１６】上述した構成及び試験手順を採用すること
により、温度及び湿度制御部分の分離により応力腐食試
験装置を小型化できる。また、ベルト式の試験片搬送に
よる応力腐食試験機の小型化も可能になる。そして、試
験片搬送ベルト３の屈曲数を変化させることにより、浸
漬及び乾燥時間を容易に調整することができ、試験装置
の簡易化が可能になる。さらに、エアノズル５の設置に
より腐食液の飛散を防止することも可能になっている。

【００１７】

【発明の効果】上述した本発明の応力腐食試験装置によ
れば、恒温恒湿試験機の中に設置して温度及び湿度の制
御を実施すること、及び浸漬及び乾燥の繰り返しをベル
ト搬送式に変えて実施することで、応力腐食試験機を大
幅に小型化でき、それにより、腐食液の必要量も削減で
きる。なお、試験片搬送ベルトの屈曲を変化させること
により、浸漬・乾燥の時間配分を容易に調整することも
できる。

【００１８】また、温度及び湿度の制御に汎用の恒温恒
湿試験機を使用することにより、従来の試験機に付随し
てたの試験への利用ができなかった温度及び湿度制御部
分の汎用化、すなわち恒温恒湿試験機の温度・湿度制御
機能を他の試験にも利用することが可能になる。そし
て、エアノズルによるエアブローを実施しているので、
汎用の恒温恒湿試験機への腐食成分の飛散を防止するこ
とが可能になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明による応力腐食試験装置の実施の形態
を示す概略構成図である。

【図２】 従来の応力腐食試験装置を示す恒温恒湿型大
型試験機の概略構成図である。

【図３】 従来の腐食液フロータイプの応力腐食試験装
置を示す概略構成図である。

【符号の説明】

１ 乾燥室 ２ 腐食液槽（溶液室） ３ 試験片搬送ベルト（ベルト状部材） ４ ローラ ５ エアノズル ６ ファン ７ 試験片

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 溶液室と乾燥室とを有し、溶液への浸漬
   と乾燥室での乾燥とにより前記溶液による試験片の変化
   を試験する応力腐食試験装置において、 前記試験片が設置され、予め設定された割合で前記試験
   片に前記溶液での浸漬と前記乾燥室での乾燥とを繰り返
   させるベルト状部材を具備して構成したことを特徴とす
   る応力腐食試験装置。