JPH11350924A

JPH11350924A - 軽合金製タペット

Info

Publication number: JPH11350924A
Application number: JP16647498A
Authority: JP
Inventors: Tatsuo Ito; 達夫伊藤; Katsuhiro Miura; 勝広三浦
Original assignee: Fuji Oozx Inc; Fuji Valve Co Ltd
Current assignee: Fuji Oozx Inc
Priority date: 1998-06-15
Filing date: 1998-06-15
Publication date: 1999-12-21

Abstract

(57)【要約】【課題】タペット本体の外周面における耐摩耗性の要
求される部分にのみ溶射層を施し、溶射材を節約すると
ともに、軽量化を図り、かつ外周面に保油性を持たせ
る。【解決手段】上端部が閉塞された円筒形をなすタペッ
ト本体４の外周面における中央部を除いた上下の端部
に、耐摩耗性材料よりなる溶射層９を、その部分の外径
が前記中央部の外径よりも僅かに大となるように形成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えばアルミニウ
ム合金等の軽金属により形成されたタペットに係り、特
に、外周面に耐摩耗性の溶射層が施されたタペットに関
する。

【０００２】

【従来の技術】内燃機関における直動型の動弁機構に用
いられるタペットの中には、動弁系の慣性質量を低減す
る目的から、アルミニウム合金により形成されたものが
ある。アルミニウム合金製のタペットは、鉄製のものよ
りも機械的強度が小さく、かつ耐摩耗性も劣るため、そ
の外周面に耐摩耗性に優れる鉄系材料の溶射層を形成し
て使用されている。上記溶射層は、従来、タペット本体
の外周面全体に均一な厚さに形成されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】図４に示すように、タ
ペット(１)は、シリンダヘッド(２)に形成されたボア(2
a)内に上下方向に摺動可能として嵌合され、その上面を
カム(３)が押圧することにより、図示しないエンジンバ
ルブを駆動するようになっている。

【０００４】上記カム(３)によりタペット(１)が押圧さ
れる際、タペット(１)には、その軸線より外れた偏荷重
が作用し、ボア(2a)の軸線に対して傾いた状態で上下動
する(図は誇張して示してある)。従って、タペット(１)
の外周面における上下の端部が、ボア(2a)と強く接触
し、その部分が最も摩耗し易い。

【０００５】そのため、タペット(１)の外周面に対する
溶射層は、上下の端部のみに形成すればよいにも拘ら
ず、従来のタペットにおいては、上述したように外周面
全体に形成されているため、溶射材が無駄に消費される
だけでなく、溶射前のブラスト等の表面処理に要する時
間も長く、さらには、タペットの重量が増大する問題も
ある。

【０００６】また、従来のタペットは、溶射層の厚さが
均一であるため、ボアとタペットの外周面との間におけ
る潤滑油の保油性に乏しく、それら互いの摺接面の摩耗
を早める原因となっている。

【０００７】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたも
ので、耐摩耗性が要求される部分にのみ溶射層を施すこ
とにより、溶射材や表面処理に要する時間を節約すると
ともに、軽量化を図り、かつ外周面に保油性を持たせう
るようにした軽合金製タペットを提供することを目的と
している。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明によると、上記課
題は、次のようにして解決される。 (１) 一端部が閉塞された円筒形をなすタペット本体の
外周面における中央部を除いた上下の端部に、耐摩耗性
材料よりなる溶射層を、その部分の外径が前記中央部の
外径よりも僅かに大となるように形成する。

【０００９】(２) 上記(１)項において、タペット本体
の外周面の上下の端縁を、面取りにより小径とし、この
面取り部を除いた上下の端部に溶射層を形成する。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を、図面に
基づいて説明する。図１及び図２は、請求項１記載の発
明の実施例を示すもので、上面が頂壁(4a)により閉塞さ
れた円筒形をなすタペット本体(４)は、アルミニウム合
金(例えばＡl−Ｓi−Ｃu系)により形成されている。

【００１１】タペット本体(４)の上面に形成された円皿
状の凹孔(５)と、頂壁(4a)の下面中央に形成された上向
きの小径の凹孔(６)とには、それぞれ鋼又は焼結金属よ
りなる耐摩耗性のシム(７)とチップ(８)とが嵌合され、
シム(７)の上面にはカムが、チップ(８)の下面には、エ
ンジンバルブの軸端(いずれも図示略)が、それぞれ当接
するようになっている。

【００１２】タペット本体(４)の外周面における中央部
を除いた上下の端部には、タペット本体(４)の全長のほ
ぼ１／３〜１／４の長さに亘って、鉄系の溶射層(９)が
形成されている。この溶射層(９)における仕上加工後の
厚さは、摩耗による耐久性及び重量増加に配慮して、例
えば0.05〜0.5mmの範囲とするのが好ましい。このよう
な溶射層(９)を形成したことにより、タペットの上下の
端部の外径は、中部部の外径よりも僅かに大となる。

【００１３】上記実施例のように、タペット本体(４)に
おける上下の端部のみに溶射層(９)を形成すると、溶射
前の表面処理、すなわちブラスト処理の領域も上下の端
部のみでよく、それに要する時間が短縮されるととも
に、ブラスト材の消費量も削減される。また、溶射材が
節約されるのでコスト低減が図れ、かつ溶射による重量
増加を最小限に抑えうる。さらに、前述したように、タ
ペットにおける最も摩耗し易い上下の端部に溶射層(９)
を施してあるため、耐久性上何ら問題を生じる恐れはな
い。

【００１４】図２に拡大して示すように、上記実施例の
タペットをシリンダヘッド(２)のボア(2a)内に組込んだ
際、タペット本体(４)の中央部外周面とボア(2a)の内周
面との間に、環状をなす若干の隙間(10)が形成され、こ
の隙間(10)が油溜まりとして作用し、潤滑油(11)の保油
性を高めうるので、タペットとボア(2a)との接触面の潤
滑性が良好となり、それらの摩耗はより小さくなる。

【００１５】図３は、請求項２記載の発明の実施例を示
す。この実施例においては、タペット本体(４)における
外周面の上下の端縁を、テーパ状の面取り(12)を施して
小径とし、タペットがボア(2a)内において最大に傾斜し
ても、上下の端縁がボア(2a)の内周面と接触しないよう
にするとともに、上記と同様の溶射層(９)を、面取り(1
2)部を除いた上下の端部に、それとなだらかに連続する
ように形成してある。

【００１６】この実施例においても、上述した実施例と
同様の作用効果を奏しうるとともに、ボア(2a)の内周面
と接触しない面取り(12)部には、溶射層(９)を施してい
ないため、その分溶射材が節約され、かつタペットはよ
り軽量化する。なお、上記面取り(12)は、曲面状であっ
てもよい。

【００１７】本発明は、上記シリンダヘッドに装着され
る直動式のタペットの外、シリンダブロックに装着され
るプッシュロッド式のタペットにも適用しうることは勿
論である。

【００１８】

【発明の効果】請求項１記載の発明によれば、耐摩耗性
の要求される部分にのみ溶射層を形成してあるので、溶
射前の表面処理や溶射の領域が小さくなり、それらに要
する作業時間が短縮されるとともに、ブラスト材や溶射
材の消費量が節約されコスト低減が図れる。また、タペ
ットの重量増加を最小限に抑えうる。さらに、タペット
をシリンダヘッドのボア内に組込んだ際、タペットの中
央部外周面とシリンダヘッドのボアの内周面との間に若
干の隙間が形成されるので、潤滑油の保油性が良好とな
って、互いの接触面の摩耗を抑えることができる。

【００１９】請求項２記載の発明によれば、上下の端縁
の面取り部に溶射層を形成しない分、溶射材が節約され
るとともに、タペットのより一層の軽量化が図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】請求項１記載の発明の実施例を示す中央縦断正
面図である。

【図２】同じく、シリンダヘッドに組込んだ状態におけ
る要部の拡大縦断正面図である。

【図３】請求項２記載の発明の実施例を示す要部の拡大
縦断正面図である。

【図４】タペットの傾動状態を誇張して示す説明図であ
る。

【符号の説明】

(２)シリンダヘッド (2a)ボア (４)タペット本体 (4a)頂壁 (５)(６)凹孔 (７)シム (８)チップ (９)溶射層 (10)隙間 (11)潤滑油 (12)面取り

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】一端部が閉塞された円筒形をなすタペッ
ト本体の外周面における中央部を除いた上下の端部に、
耐摩耗性材料よりなる溶射層を、その部分の外径が前記
中央部の外径よりも僅かに大となるように形成したこと
を特徴とする軽合金製タペット。
【請求項２】タペット本体の外周面の上下の端縁を、
面取りにより小径とし、この面取り部を除いた上下の端
部に溶射層を形成した請求項１記載の軽合金製タペッ
ト。