JPH11350131A - マグネトロンスパッタ方法及び装置 - Google Patents

マグネトロンスパッタ方法及び装置

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JPH11350131A
JPH11350131A JP16182098A JP16182098A JPH11350131A JP H11350131 A JPH11350131 A JP H11350131A JP 16182098 A JP16182098 A JP 16182098A JP 16182098 A JP16182098 A JP 16182098A JP H11350131 A JPH11350131 A JP H11350131A
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博 早田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 膜や基板に損傷を与えずに成膜速度を向上す
ることができ、しかも膜厚分布が良好なマグネトロンス
パッタ方法及び装置を提供する。 【解決手段】 ターゲット2上の基板5と対向するすべ
ての位置をマグネトロン放電を発生させている2つの磁
気トンネル91、92で覆い、磁気トンネル91、92
を形成している磁場のターゲット2に平行な成分を、タ
ーゲット2上の基板5と対向するすべての位置において
陰極シース8で加速された電子を捕捉するのに十分な大
きさとし、かつ磁気トンネル91、92が基板5と接し
ないように構成し、電子の基板や膜への流入を防止し
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ディスク、電子
部品等の薄膜形成に用いられるマグネトロンスパッタ方
法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年では、光ディスクや電子部品などの
基板に薄膜を堆積させる技術としてマグネトロンスパッ
タ技術を利用したマグネトロンスパッタ装置が用いられ
ている。このマグネトロンスパッタ技術は、高速かつ膜
や基板の損傷の少ない成膜が可能で、現在のスパッタ技
術を用いた成膜装置での主流になっている。
【0003】以下、従来のマグネトロンスパッタ装置に
ついて説明する。図8は、平板ターゲットを用いたマグ
ネトロンスパッタ装置の本発明に関わる部分の断面図で
あり、中心軸20に対して回転対称である。
【0004】1は真空チャンバで、排気機構とガス導入
機構(図示せず)を備えており、電位的にはアースに落
とされている。2は平板状のターゲットである。5は基
板で、ターゲット2の表面と対向するように配置されて
いる。3はターゲット2の裏面に配置された磁気回路、
4は磁気回路3により形成される磁場の磁力線である。
磁力線4の一部は、磁力線4aのごとくターゲット2の
表面から出てターゲット2の表面に帰る。このような磁
力線4はターゲット2表面上にトンネル形状を形作る。
【0005】電子は、磁場から受けるローレンツ力によ
って捕捉され、トンネル形状を形作る磁力線とその近傍
の磁力線に巻き付くが、磁力線4がターゲット2の表面
の陰極シース8と交わったところでシース電界に反射さ
れるので、長時間ターゲット2の表面近傍に閉じ込めら
れる。このような機構で電子を閉じ込める磁場を磁気ト
ンネルと呼ぶ。磁気回路3の構成は、磁力線4がターゲ
ット2の表面上で磁気トンネルを形成するように工夫さ
れている。
【0006】次に、動作を説明する。スパッタガス導入
後、ターゲット2へグロー放電用の高圧電源(図示せ
ず)により電力を供給すると、プラズマ7が発生し、タ
ーゲット2表面に陰極シース8が形成される。このプラ
ズマ7中のイオンが、陰極シース8で加速され、ターゲ
ット表面にぶつかると、ターゲット2の原子がスパッタ
され、基板5の向かいあった表面に付着し、薄膜が形成
される。
【0007】次に、マグネトロンスパッタ技術の特徴に
ついて説明する。イオンがターゲット2の表面にぶつか
った際、スパッタ粒子とともに電子も放出される。この
電子は2次電子と呼ばれ、陰極シース8で加速され非常
に高いエネルギーを持つ。マグネトロンスパッタ技術
は、ターゲット2上に形成した磁気トンネルによって2
次電子を捕捉し閉じ込める。このことによって、スパッ
タガスの電離を促進し、高密度プラズマを発生させ、高
速成膜を実現する。また、マグネトロンスパッタ技術
は、ターゲット2上に形成した磁気トンネルによって2
次電子を捕捉して閉じ込めることにより、高いエネルギ
ーを持つ電子の基板5への流入を防ぎ、膜や基板の損傷
が少ない成膜を実現する。ここで、磁気トンネルが基板
5に接してしまうと、膜や基板に損傷を与えるが、通常
は基板5を磁気トンネルから遠ざける等によって磁気ト
ンネルが基板5に接しないようにしている。
【0008】さらに、マグネトロンスパッタ技術は、高
密度のプラズマ7が発生するため、単位電力あたりの放
電電圧を低くすることができる。これによって、2次電
子のエネルギーを低くすることができ、電子の捕捉をよ
り完全にできる。
【0009】さらに、マグネトロンスパッタ技術は、図
8の如く磁気トンネルを覆い基板5以外のアース部分を
通る磁力線群4bによって磁気トンネルから漏れ出た高
エネルギー電子を捕捉し、アースに吸収せしめることに
より、電子の基板5への流入を防ぎ、膜や基板の損傷が
より少ない成膜を実現しているものもある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、陰極シース
8はターゲット2に垂直に電場を形成するため、ここで
加速された電子はターゲット2に垂直な速度成分VT
増大する。電子が電場から受けるローレンツ力Fは、電
子の電荷をe、速度ベクトルをV、磁場の磁束密度ベク
トルをBとして、F=eV×B(×はベクトルの外積)
であるから、電子を捕捉する力は磁場のVT に垂直な成
分、すなわち磁場の任意の位置(A点)における磁束密
度ベクトル9のターゲット2に平行な成分10に比例す
る。このように磁束密度ベクトル9のターゲットに平行
な成分10が、陰極シース8で加速された電子を捕捉す
るのに重要な役割を果たす。
【0011】しかしながら、上記従来の構成では、磁場
のターゲットに平行な成分10は、図8に示すように、
磁気トンネルの中心付近12では、電子の捕捉に十分な
大きさを持つが、磁気トンネルの端の方13では、磁極
に近くなるため、ターゲット2に垂直な成分11が大き
くなり、平行な成分10はほぼ0となる。
【0012】投入電力が小さいうちは、プラズマ7は磁
気トンネルの中心付近にのみ存在するので、電子は良く
捕捉されるが、成膜速度をさらに向上させるため投入す
る電力を上げていくとプラズマ7が磁気トンネルの端ま
で広がり、電子を捕捉することができず、膜や基板に損
傷を与えてしまう。そのため、投入電力をあげて成膜速
度を上げることができず、または投入電力を上げて成膜
速度を上げた場合は、損傷の累積を避けるため短時間し
か放電できず、薄い膜しか形成できないという問題があ
った。
【0013】本発明は、上記従来の問題点に鑑み、膜や
基板に損傷を与えずに成膜速度を向上することができ、
また良好な膜厚分布を得ることができるマグネトロンス
パッタ方法及び装置を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明のマグネトロンス
パッタ方法は、ターゲット上に磁場を発生させる磁気回
路を用い、ターゲットからスパッタさせた原子をターゲ
ットと対向する基板上に付着させ、基板上に薄膜を形成
するマグネトロンスパッタ方法であって、ターゲット上
の基板と対向するすべての位置をマグネトロン放電を発
生させている磁気トンネルで覆い、磁気トンネルを形成
している磁場のターゲットに平行な成分を、ターゲット
上の基板と対向するすべての位置において陰極シースで
加速された電子を捕捉するのに十分な大きさとし、かつ
磁気トンネルが基板と接しないようにするものである。
【0015】この方法によると、ターゲットが磁気トン
ネルに覆われているので、陰極シースでターゲットに垂
直に加速された電子が磁場のターゲットに平行な成分に
比例する力で捕捉され、ターゲット上の基板と対向する
すべての位置において磁気トンネルに閉じ込められる。
しかも、2次電子を磁気トンネル内に閉じ込めるためプ
ラズマ密度が向上し、放電電圧が低減する。よって、陰
極シースで加速される電子のエネルギーも低減し、電子
は捕捉され易くなる。それ故、陰極シースで加速された
電子が膜や基板に流入し損傷を与えることはない。ま
た、磁気トンネルは基板に接していないので、磁気トン
ネル内の高エネルギー電子が膜や基板に損傷を与えるこ
とはない。
【0016】上記マグネトロン放電を発生させている磁
気トンネルを形成している磁場のターゲットに平行な成
分Bは、ターゲット上の基板と対向するすべての位置に
おいて、放電電圧Vと磁気トンネルの厚さtに対して、
【0017】
【数1】
【0018】を満たすようにするのが望ましい。すなわ
ち、放電電圧V(volt)の陰極シースで加速された
電子がB(Gauss)の磁場に巻き付くときの回転半
径r(mm)は、
【0019】
【数2】
【0020】であるから、上式で決定されるBが2次電
子を磁気トンネル内に閉じ込める条件となる。こうして
2次電子を確実に磁気トンネル内に閉じ込めることがで
き、その結果プラズマ密度が向上し、放電電圧が低減す
るので、陰極シースで加速された電子のエネルギーは低
減し、電子の捕捉がより完全となる。
【0021】また、ターゲット上の基板と対向するすべ
ての位置を、マグネトロン放電を発生する磁気トンネル
で覆うとともに磁気トンネルをアース部分を通り基板を
通らない磁力線群で覆い、磁力線群を形成している磁場
のターゲットに平行な成分を、ターゲット上の基板と対
向するすべての位置において陰極シースで加速された電
子を捕捉するのに十分な大きさとしてもよい。
【0022】この方法によると、ターゲットが磁気トン
ネルと磁力線群に覆われているので、陰極シースでター
ゲットに垂直に加速された電子が磁場のターゲットに平
行な成分に比例する力で捕捉され、ターゲット上の基板
と対向するすべての位置において磁力線群に閉じ込めら
れる。しかも、磁力線はアース部分を通るので、高エネ
ルギー電子が基板以外のアース部分に吸収される。それ
故、陰極シースで加速された電子が膜や基板に流入し損
傷を与えることはない。また、磁力線群は基板を通らな
いので、磁力線群内の高エネルギー電子が膜や基板に損
傷を与えることはない。
【0023】上記磁気トンネルを覆っている磁力線群を
形成している磁場のターゲットに平行な成分Bは、ター
ゲット上の基板と対向するすべての位置において、放電
電圧Vと磁力線群の厚さtに対して、
【0024】
【数1】
【0025】を満たすようにするのが望ましい。これが
上述のように2次電子を磁力線群内に閉じ込める条件で
あり、これによって2次電子を確実に磁気トンネル内に
閉じ込めることができ、その結果高エネルギー電子を確
実に基板以外のアース部分に吸収せしめることができ
る。
【0026】また、磁気トンネルがターゲット上に少な
くとも2箇所以上あるようにすると、基板全体に対して
良好な膜厚分布を形成するのに必要なプラズマ密度分布
を実現することができる。
【0027】また、本発明のマグネトロンスパッタ装置
は、ターゲット上に磁場を発生させる磁気回路を有し、
ターゲットからスパッタさせた原子をターゲットと対向
する基板上に付着させ、基板上に薄膜を形成するマグネ
トロンスパッタ装置において、ターゲット上の基板と対
向するすべての位置が、マグネトロン放電を発生する磁
気トンネルに覆われ、磁気トンネルを形成している磁場
のターゲットに平行な成分が、ターゲット上の基板と対
向するすべての位置において陰極シースで加速された電
子を捕捉するのに十分な大きさを持ち、しかも磁気トン
ネルが基板が接しないように磁気回路またはターゲット
の形状を構成したものである。
【0028】この構成によると、ターゲット上の基板と
対向するすべての位置で磁場による2次電子の捕捉が可
能となるので、陰極シースで加速された電子が膜や基板
に流入し損傷を与えることがない。
【0029】上記磁気トンネルを形成している磁場のタ
ーゲットに平行な成分Bが、ターゲット上の基板と対向
するすべての位置において、放電電圧Vと磁気トンネル
の厚さtに対して、
【0030】
【数1】
【0031】を満たすようにすることにより、2次電子
を確実に磁気トンネル内に閉じ込めることができ、その
結果プラズマ密度が向上し、放電電圧が低減するので、
陰極シースで加速された電子のエネルギーが低減し、電
子の捕捉がより完全となる。
【0032】また、ターゲットの内周と外周に電子を反
射させるための壁を設けると、壁の高さに対応して磁気
トンネルの厚さtを増すことができるので、印加電圧を
上げて放電電圧Vが増加しても、上式のBを満たすこと
ができ、膜や基板に損傷を与えることなく、さらに大電
力を投入できる。
【0033】また、好適にはターゲットの表面に磁気ト
ンネルを発生する磁気回路が、ターゲットのスパッタさ
れる表面の反対側に一部または全部が配置された主磁気
回路とターゲットのスパッタされる表面と同じ側に配置
された主磁気回路とは独立の補助磁気回路からなり、主
磁気回路の磁極がターゲットの表面を見込んだときター
ゲットより外にあり、補助磁気回路がターゲット上に発
生させる磁場の向きが、主磁気回路がターゲット上に発
生させる磁場の向きとほぼ一致するように構成される。
【0034】この構成によると、磁気トンネルを形成す
る際、磁場のターゲットに平行な成分が小さくなる位置
である磁極がターゲットの外にあるので、ターゲット上
での平行成分を大きくすることができる。さらに、主磁
気回路による磁場のターゲットに平行な成分が小さくな
るところ、例えば主磁気回路の磁極と磁極の間などの磁
場のターゲットに平行な成分を、補助磁気回路の磁場に
よって大きくすることができ、これによって膜や基板に
損傷を与えることなく、さらに大電力を投入できる。
【0035】また、ターゲット上の基板と対向するすべ
ての位置が、マグネトロン放電を発生する磁気トンネル
に覆われ、しかも磁気トンネルがアースを通り基板を通
らない磁力線群にて覆われ、磁力線群を形成している磁
場のターゲットに平行な成分が、ターゲット上の基板と
対向するすべての位置において陰極シースで加速された
電子を捕捉するのに十分な大きさを持つように磁気回路
またはターゲットの形状を構成してもよい。
【0036】この構成によると、ターゲット上の基板と
対向するすべての位置で磁場による2次電子を捕捉し、
アースに吸収せしめることができるので、陰極シースで
加速された電子が膜や基板に流入し損傷を与えることが
ない。
【0037】上記磁気トンネルを覆っている磁力線群を
形成している磁場のターゲットに平行な成分Bが、ター
ゲット上の基板と対向するすべての位置において、放電
電圧Vと磁気トンネルの厚さtに対して、
【0038】
【数1】
【0039】を満たすようにすると、2次電子を確実に
磁力線群内に閉じ込め、アースに吸収せしめることがで
きる。
【0040】また、磁気トンネルをターゲット上に少な
くとも2箇所以上形成すると、基板全体に対して良好な
膜厚分布を形成するのに必要なプラズマ密度分布を実現
することができる。
【0041】さらに、磁気トンネル内に主磁気回路とは
逆の磁場を形成する第3の磁気回路を設けると、割れ易
いターゲットを使用する場合にターゲットに流れる電流
を低減でき、ターゲットの割れを防止できる。
【0042】
【発明の実施の形態】以下、本発明のマグネトロンスパ
ッタ方法及び装置の第1の実施形態について、図1〜図
6を参照して説明する。
【0043】図1において図示の部分では中心線20に
対して回転対称である。1は真空チャンバで、アルミニ
ウムなどの非磁性の物質で構成されており、電位的には
アースに落とされている。また、他の構成要素として排
気機構やスパッタガス導入機構などを備えているが、図
示は省略している。
【0044】2は平板状のターゲットで、純度99.9
9%のAlにて構成され、内径20mm、外径160m
m、厚さ6mmのリング状をした部分と、高さ5mm、
幅3mmの内周壁31と、高さ5mm、幅7mmの外周
壁32を設けた構成で、これらの壁31、32にも負の
電位が印加されて電子を反射する壁として機能する。
【0045】このターゲット2は内径20mm、外径1
94mm、厚さ8mmの銅のプレート33にボンディン
グされている。プレート33は冷却ジャケット34に固
定されており、冷却ジャケット34に水を流すことでタ
ーゲット2を冷却するように構成されている。水の導入
排出手段は図では省略している。
【0046】また、水冷ジャケット34にはターゲット
2にグロー放電用の電力を印加するための端子が設けら
れているが図では省略しており、グロー放電用の電力を
印加するための電源も図では省略している。
【0047】5は基板で、光ディスクの基板のように内
径40mm、外径120mmの成膜範囲を持つリング状
である。この基板5は中心軸がターゲット2の中心軸2
0と一致するとともに、表面がターゲット2と対向する
ように、ターゲット表面から距離20mmで設置されて
いる。
【0048】40は主磁気回路で、銅のパイプを90回
巻いた電磁石用のコイル41と、S10C相当の鉄でで
きたヨーク42にて構成されており、その磁極43、4
4がターゲット2の表面を見込んだときターゲット2の
外にあるように構成されている。また、ヨーク42はア
ースと導線で接続されてアース電位とされている。コイ
ル41を形成する銅のパイプには冷却用の水を流してい
るが、水の導入排出手段は図では省略している。また、
コイル41には110Aの直流電流を流している。ただ
し、その導入端子及び電源は図では省略している。
【0049】ヨーク42は電力の印加される部分から絶
縁リング21、22で絶縁されている。ヨーク42は真
空チャンバー1内では、アースシールドの役目も担って
おり、電力の印加される部分との間で放電が起こらない
距離(具体例では2mm)に保たれている。
【0050】なお、本実施形態では主磁気回路40を電
磁石で構成したが、永久磁石を用いても同様の効果が得
られる。
【0051】補助磁気回路50は、残留磁束密度13k
ガウス、保持力12kエルステッド、内径100mm、
外径120mm、厚さ10mmの永久磁石51と、その
内側の内径40mm、外径100mm、厚さ10mmの
S10C相当のヨーク52とからなり、ターゲット2の
表面より30mmの位置に配設されている。永久磁石5
1は径方向に磁化されており、内側の極性が主磁気回路
40の内磁極の極性と同じになるようにしている。
【0052】補助磁気回路60は、残留磁束密度13k
ガウス、保持力12kエルステッド、内径210mm、
外径230mm、厚さ6mmの永久磁石61と、その内
側の内径150mm、外径210mm、厚さ6mmのS
10C相当のヨーク62とからなり、ターゲット表面よ
り25mmの位置に配設されている。永久磁石61は径
方向に磁化されており、内側の極性が主磁気回路40の
内磁極の極性と同じになるようにしている。
【0053】以上のように構成されたマグネトロンスパ
ッタ装置の動作を説明する。ガス導入機構からスパッタ
ガスArを真空チャンバ1内に導入すると同時に排気機
構で排気する。このとき、真空チャンバ1内の圧力を
2.5mTorrに保つ。この状態でグロー放電用の電
力を投入すると、磁力線4にて閉じ込められたスパッタ
用の高密度プラズマ7が発生する。このプラズマ7中の
イオンが、陰極シース8で加速され、ターゲット2の表
面にぶつかると、ターゲット2の原子がスパッタされ、
基板5の向かいあった表面に付着し、薄膜が形成され
る。
【0054】図2は、図1におけるターゲット2上の磁
力線を、コンピュータシミュレーションによって描いた
ものである。磁力線は中心軸20を通る平面上で描いて
ある。ただし、磁力線は中心軸20に対して対称に形成
されるので片側のみを図示している。図2よりターゲッ
ト2の内周壁31と外周壁32によって磁気トンネルの
厚さが増していることがわかる。特に、ターゲット2の
内周付近、外周付近では2mm程度であったものが約5
mmとなっている。
【0055】図3にターゲット2上3mmの位置の磁束
密度の平行成分の実測値を示す。主磁気回路40の磁極
43、44がターゲット2の表面を見込んだときターゲ
ット2の外にあるように構成しているため、ターゲット
2の端においても十分な大きさになっていることが分か
る。また、ターゲット2の中心から40mm付近は磁極
43、44から遠いため磁束密度の平行成分は弱くなる
が、補助磁気回路50の磁場を重ね合わせることによっ
て十分な大きさになっていることがわかる。
【0056】本実施形態では、10kWの直流電力を印
加したとき放電電圧は600voltであり、それ以上
の電力を印加してもほぼ同じ放電電圧となる。図2から
分かるように磁気トンネルの厚さはおよそ5mmである
ので、下式
【0057】
【数1】
【0058】から計算される磁場の平行成分は340G
aussとなり、図3よりターゲット2上のすべての位
置で十分な大きさとなっていることが分かる。
【0059】本実施形態での成膜速度は10kWの直流
電力印加で600オングストローム/秒であり、100
0オングストロームの薄膜を形成したときの基板温度上
昇は25℃であった。従来方式での温度上昇は60℃で
あるので、膜や基板の損傷が大幅に低減できた。
【0060】図4にターゲット2上3mmの位置の磁束
密度の垂直成分の実測値を示す。垂直成分が0である点
が3点存在し、2つの磁気トンネル91、92の存在を
示している。図5にターゲット2上5mmの位置で測っ
た電子密度分布、すなわちプラズマ密度分布を示す。上
記の2つの磁気トンネル91、92に対応して2つのピ
ークを持つことがわかる。この2つのピークの位置は基
板5とターゲット2の距離に関して好適に調整されてい
るので、図6に示すように3%以内の良好な膜厚分布を
得ることができた。
【0061】なお、焼結体ターゲットなどの割れ易いタ
ーゲットを使用するときは、磁気トンネルの磁束密度を
大きくすると、ターゲット2に電流が流れ過ぎてターゲ
ット2が割れるため、次の第2の実施形態の方が有効で
ある。
【0062】次に、本発明の第2の実施形態について図
7を参照して説明する。なお、図1と同一の構成要素に
ついては同一の参照番号を付して説明を省略する。
【0063】図7において、71、72は磁気回路であ
って、これらの磁気回路71、72がターゲット2上に
形成する磁場の向きが磁気回路40、50、60がター
ゲット上に形成する磁場の向きと逆になるように、主磁
気回路40とは逆向きに磁化されている。
【0064】動作は図1の実施形態と同様である。磁気
回路71、72は、磁気トンネル91、92の磁束密度
を小さくするため、磁気トンネル91、92内のプラズ
マ密度を低減し、ターゲット2に流れる電流を低減す
る。そのため、GeSbTeの焼結体など割れ易いター
ゲット2を使用できる。しかも、磁気トンネル91、9
2を覆う磁力線群4bは磁気回路71、72から離れて
いて殆ど弱められておらず、その磁場のターゲット2に
平行な成分は、陰極シース8で加速された電子を捕捉す
るのに十分な大きさを持つ。磁力線群4bはアースであ
る磁極44を通るので、捕捉された電子はアースに吸収
され、膜や基板に流入して損傷を与えることはない。
【0065】なお、通常のターゲット2に対しては、プ
ラズマ密度が高く、放電電圧が低い第1の実施形態の方
が有効であることは言うまでもない。
【0066】
【発明の効果】本発明のマグネトロンスパッタ方法及び
装置によれば、以上のようにターゲット上の基板と対向
するすべての位置で磁場による電子の捕捉が可能とな
り、また放電電圧を低減でき、陰極シースで加速された
電子のエネルギーを低減し、捕捉をより完全にできる。
さらに、上記特長を持ちながら、良好な膜厚分布を形成
するのに必要なプラズマ密度分布を実現できる。かくし
て、膜や基板に損傷がなく、成膜速度が速く、膜厚分布
が良好な成膜ができるという大きな効果が発揮される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のマグネトロンスパッタ装置の第1の実
施形態の概略構成を示す縦断面図である。
【図2】同実施形態における磁力線の様子を示す説明図
である。
【図3】同実施形態における磁場の平行成分の分布図で
ある。
【図4】同実施形態における磁場の垂直成分の分布図で
ある。
【図5】同実施形態におけるプラズマ密度分布図であ
る。
【図6】同実施形態における膜厚分布図である。
【図7】本発明のマグネトロンスパッタ装置の第2の実
施形態の概略構成を示す縦断面図である。
【図8】従来例のマグネトロンスパッタ装置の縦断面図
である。
【符号の説明】
1 真空チャンバ 2 ターゲット 4 磁力線 4b 磁気トンネルを覆う磁力線群 7 プラズマ 8 陰極シース 31 内周壁 32 外周壁 40 主磁気回路 50 補助磁気回路 60 補助磁気回路 71 磁気回路 72 磁気回路 91 磁気トンネル 92 磁気トンネル

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ターゲット上に磁場を発生させる磁気回
    路を用い、ターゲットからスパッタさせた原子をターゲ
    ットと対向する基板上に付着させ、基板上に薄膜を形成
    するマグネトロンスパッタ方法であって、ターゲット上
    の基板と対向するすべての位置をマグネトロン放電を発
    生させている磁気トンネルで覆い、磁気トンネルを形成
    している磁場のターゲットに平行な成分を、ターゲット
    上の基板と対向するすべての位置において陰極シースで
    加速された電子を捕捉するのに十分な大きさとし、かつ
    磁気トンネルが基板と接しないようにすることを特徴と
    するマグネトロンスパッタ方法。
  2. 【請求項2】 マグネトロン放電を発生させている磁気
    トンネルを形成している磁場のターゲットに平行な成分
    Bを、ターゲット上の基板と対向するすべての位置にお
    いて、放電電圧Vと磁気トンネルの厚さtに対して、下
    式を満たすようにすることを特徴とする請求項1記載の
    マグネトロンスパッタ方法。 【数1】
  3. 【請求項3】 ターゲット上に磁場を発生させる磁気回
    路を用い、ターゲットからスパッタさせた原子をターゲ
    ットと対向する基板上に付着させ、基板上に薄膜を形成
    するマグネトロンスパッタ方法であって、ターゲット上
    の基板と対向するすべての位置を、マグネトロン放電を
    発生する磁気トンネルで覆うとともに磁気トンネルをア
    ース部分を通り基板を通らない磁力線群で覆い、磁力線
    群を形成している磁場のターゲットに平行な成分を、タ
    ーゲット上の基板と対向するすべての位置において陰極
    シースで加速された電子を捕捉するのに十分な大きさと
    することを特徴とするマグネトロンスパッタ方法。
  4. 【請求項4】 磁気トンネルを覆っている磁力線群を形
    成している磁場のターゲットに平行な成分Bを、ターゲ
    ット上の基板と対向するすべての位置において、放電電
    圧Vと磁力線群の厚さtに対して、下式を満たすように
    することを特徴とする請求項3記載のマグネトロンスパ
    ッタ方法。 【数1】
  5. 【請求項5】 磁気トンネルがターゲット上に少なくと
    も2箇所以上あることを特徴とする請求項1〜4の何れ
    かに記載のマグネトロンスパッタ方法。
  6. 【請求項6】 ターゲット上に磁場を発生させる磁気回
    路を有し、ターゲットからスパッタさせた原子をターゲ
    ットと対向する基板上に付着させ、基板上に薄膜を形成
    するマグネトロンスパッタ装置において、ターゲット上
    の基板と対向するすべての位置が、マグネトロン放電を
    発生する磁気トンネルに覆われ、磁気トンネルを形成し
    ている磁場のターゲットに平行な成分が、ターゲット上
    の基板と対向するすべての位置において陰極シースで加
    速された電子を捕捉するのに十分な大きさを持ち、しか
    も磁気トンネルが基板が接しないように磁気回路または
    ターゲットの形状を構成したことを特徴とするマグネト
    ロンスパッタ装置。
  7. 【請求項7】 磁気トンネルを形成している磁場のター
    ゲットに平行な成分Bが、ターゲット上の基板と対向す
    るすべての位置において、放電電圧Vと磁気トンネルの
    厚さtに対して、下式を満たすようにしたことを特徴と
    する請求項6記載のマグネトロンスパッタ装置。 【数1】
  8. 【請求項8】 ターゲットの内周と外周に電子を反射さ
    せるための壁を設けたことを特徴とする請求項7記載の
    マグネトロンスパッタ装置。
  9. 【請求項9】 ターゲットの表面に磁気トンネルを発生
    する磁気回路が、ターゲットのスパッタされる表面の反
    対側に一部または全部が配置された主磁気回路とターゲ
    ットのスパッタされる表面と同じ側に配置された主磁気
    回路とは独立の補助磁気回路からなり、主磁気回路の磁
    極がターゲットの表面を見込んだときターゲットより外
    にあり、補助磁気回路がターゲット上に発生させる磁場
    の向きが、主磁気回路がターゲット上に発生させる磁場
    の向きとほぼ一致するように構成したことを特徴とする
    請求項6〜8の何れかに記載のマグネトロンスパッタ装
    置。
  10. 【請求項10】 ターゲット上に磁場を発生させる磁気
    回路を有し、ターゲットからスパッタさせた原子をター
    ゲットと対向する基板上に付着させ、基板上に薄膜を形
    成するマグネトロンスパッタ装置において、ターゲット
    上の基板と対向するすべての位置が、マグネトロン放電
    を発生する磁気トンネルに覆われ、しかも磁気トンネル
    がアースを通り基板を通らない磁力線群にて覆われ、磁
    力線群を形成している磁場のターゲットに平行な成分
    が、ターゲット上の基板と対向するすべての位置におい
    て陰極シースで加速された電子を捕捉するのに十分な大
    きさを持つように磁気回路またはターゲットの形状を構
    成したことを特徴とするマグネトロンスパッタ装置。
  11. 【請求項11】 磁気トンネルを覆っている磁力線群を
    形成している磁場のターゲットに平行な成分Bが、ター
    ゲット上の基板と対向するすべての位置において、放電
    電圧Vと磁気トンネルの厚さtに対して、下式を満たす
    ようにしたことを特徴とする請求項10記載のマグネト
    ロンスパッタ装置。 【数1】
  12. 【請求項12】 磁気トンネルをターゲット上に少なく
    とも2箇所以上形成したことを特徴とする請求項6〜1
    1の何れかに記載のマグネトロンスパッタ装置。
  13. 【請求項13】 磁気トンネル内に主磁気回路とは逆の
    磁場を形成する第3の磁気回路を設けたことを特徴とす
    る請求項6〜12の何れかに記載のマグネトロンスパッ
    タ装置。
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