JPH11350095A - 溶融アルミニウム−亜鉛系合金のめっき方法 - Google Patents

溶融アルミニウム−亜鉛系合金のめっき方法

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JPH11350095A
JPH11350095A JP17393198A JP17393198A JPH11350095A JP H11350095 A JPH11350095 A JP H11350095A JP 17393198 A JP17393198 A JP 17393198A JP 17393198 A JP17393198 A JP 17393198A JP H11350095 A JPH11350095 A JP H11350095A
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flux
molten
dry
chloride
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JP17393198A
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Shigeru Kobayashi
繁 小林
Yasuhiro Okano
泰裕 岡野
Rokuro Kawabata
六郎 川端
Masayuki Morita
正幸 森田
Katsunosuke Kawaguchi
勝之助 川口
Nobuhiko Hayashi
伸彦 林
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Nitto Kogyo Co Ltd
Nihon Parkerizing Co Ltd
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Nitto Kogyo Co Ltd
Nihon Parkerizing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 不めっき、酸化物の付着等のめっき欠陥のな
い均一で平滑なめっき外観と、めっき性能に優れる鉄鋼
材料に対するフラックスを用いる溶融アルミニウム−亜
鉛系合金めっき方法を提供する。 【解決手段】 油脂分及び、酸化膜を除去し、活性化処
理を施した鉄鋼材料表面に、1)(a)マグネシウム、
カルシウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、亜鉛の
各塩化物から選ばれる少なくとも1種と(b)錫塩、ア
ンチモン塩のいずれか1種の塩との混合水溶液からなる
フラックスを塗布し乾燥処理を施して鉄鋼材料表面積当
りの付着量が2g/m2〜40g/m2の皮膜を形成させ
た後、2)(c)アルミニウムを含む弗化物と、(d)
アルカリ金属の弗化物及び塩化物から選ばれる少なくと
も1種と、(e)アルカリ土類金属の塩化物の少なくと
も1種からなる溶融フラックスを溶融浮遊させた溶融ア
ルミニウム−亜鉛系合金めっき浴中に該鉄鋼材料を浸漬
し溶融めっきを施すことを特徴とする溶融アルミニウム
−亜鉛系合金のめっき方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄鋼材料に対する
フラックスを用いる溶融アルミニウム−亜鉛系合金、特
にアルミニウムを30〜70重量%含有する溶融アルミ
ニウム−亜鉛系合金めっきにおいて、不めっき、酸化物
の付着等のめっき欠陥のない均一で平滑なめっき外観
と、めっき性能に優れるめっき皮膜層の形成が不能なフ
ラックス組成とめっき方法に関する。
【0002】
【従来技術】従来より鉄鋼材料からなる鉄塔、橋梁など
の建築構造物、架線金物、あるいはこれらの結合部材で
あるボルト製品等の耐食性向上対策として、溶融亜鉛め
っきが施されている。しかし、海洋や海岸地域の開発に
ともない、これらの腐食性の厳しい環境においては、溶
融亜鉛めっきでは長期間の使用に対して十分な耐食性が
得られないため、種々のメンテナンスが必要とされてい
る。また、近年酸性雨が問題となりつつあり、ますます
前記の用途に供される鉄鋼材料には、亜鉛めっきよりも
優れた耐食性を有する溶融Al−Zn−Si系合金等の
溶融アルミニウム系合金めっきが有効である。特に、長
期防食の観点から、アルミニウムに対して30〜70重
量%の亜鉛と0.5〜3.5重量%のシリコンを主要成
分として含有するAl−Zn−Si系合金、めっき皮膜
を鉄鋼材料に厚く、すなわち高付着量で形成することが
極めて有効であり、そのめっき方法の開発が強く望まれ
ている。
【0003】これらの状況に対応して、前記の溶融アル
ミニウム系合金のめっき方法に関して、めっきを2段階
に分けて行う二段めっき法によらない生産性、設備面の
点で工業的に有利な鉄鋼材料に下地めっき被覆層を設け
ることなく、溶融アルミニウム系合金めっきを直接施す
一段めっき方法が種々検討されてきている。例えば、連
続めっき方式の採用が容易な鋼帯に対しては、還元性ガ
スによる鋼板表面の洗浄、活性化とめっき浴をシールし
て溶融めっきを行う方法、いわゆるゼンヂマー方式、N
OF方式による工業化技術が確立されており、実用化さ
れている。しかし、該めっき方式により実用化されてい
る溶融Al−Zn−Si系合金めっき製品は、そのめっ
き付着量が鋼板片面当たり最大約100g/m2(約2
7μm)程度であり、さらにめっき皮膜層を厚くするた
めに高付着量のめっき層を設けるのは困難な状況にあ
る。
【0004】一方、フラックスを用いて大気中で溶融め
っきを施すことが工業的に有利な建築構造物、架線金物
やボルト製品等に対して、溶融アルミニウム系合金、特
に溶融Al−Zn−Si系合金めっきを一段めっき法に
より施す方法についても、以下のような方法が種々検討
されてきている。例えば、アルミニウムの含有量が1〜
20%を対象とした乾式フラックス法によるめっき方法
が特開昭58−136759号公報、特開平4−202
751号公報等に開示されている。また、アルミニウム
を30〜80%を含有する溶融Al−Zn−Si系合金
めっきに対する乾式フラックス法によるめっき方法とし
て、米国特許3,860,438号公報、特開平3−1
62557号公報が開示されている。これらのうち、米
国特許3,860,438号公報には、硅弗化カリウ
ム、弗化カリウム、弗酸、塩化亜鉛を含有して構成され
る弗化物を主要成分とする乾式フラックスが、また特開
平3−162557号公報には、塩化亜鉛と塩化アンモ
ニウムの配合割合を特定した塩化亜鉛−塩化アンモニウ
ム系乾式フラックスが提案されている。さらに、特開平
4−323356号公報においては、アルミニウムを含
むアルカリ金属の弗化物とアルカリ土類金属の塩化物、
あるいはこれにアルカリ金属の塩化物を含有して構成さ
れる溶融フラックスをめっき浴の浴面上に溶融、浮遊さ
せる溶融フラックス法によるめっき方法が開発されてい
る。
【0005】また、溶融アルミニウムのめっきに関して
は、フラックスを用いた一段めっき法として、従来から
10重量%以下の弗化物(アルカリ弗化物、氷晶石等)
と塩化物(KCl、LiCl、NaCl、CaCl2
ZnCl2等)を主要成分として含有して構成されるフ
ラックスを溶融Alめっき浴の浴面上に溶融、浮遊させ
る溶融フラックス法によるめっき方法等が従来から知ら
れている。
【0006】しかし、従来から種々検討されているこれ
らフラックスを用いる一段めっき法による溶融アルミニ
ウム系合金、特に溶融Al−Zn−Si系合金のめっき
方法に関しては、不めっき等のめっき欠陥のないめっき
皮膜層を形成させるためのめっき方法について検討され
ているものの、めっき皮膜層を高付着量(約30μm以
上)で生成させる方法に関してはほとんど開発、検討さ
れていない状況下にある。
【0007】前記のように、従来の公知技術では、鉄鋼
材料に対して、溶融Al−Zn−Si系合金めっきに関
し、めっき皮膜層を厚く、すなわち高付着量で形成させ
る方法については、十分に検討されていない状況にあ
る。例えば、ガス還元式(ゼンヂマー法、NOF法等)
による連続めっき法が採用される鋼帯を対象としたこれ
ら溶融合金めっき製品のめっき付着量は、種々の文献あ
るいは製品カタログ〔例えば、新日本製鐵株式会社発行
のガルバリウム鋼板(1990年6月発行)、アルシー
ト(1993年10月発行)製品カタログ〕に示される
ように、溶融Al−Zn−Si系合金めっき製品につい
て単位面積当たり約85g/m2(約23μm)程度が
高付着めっき量の限界と考えられる。すなわち、一般的
な溶融めっき、例えば亜鉛めっき等に対して、めっき浴
からの引き揚げ時の溶融めっき浴の持ち揚げ量の増加に
よる高付着めっき量が可能な高速めっき方式において
も、溶融Al−Zn−Si系合金めっきは高付着量のめ
っき皮膜層の形成が困難な状況にある。
【0008】一方、形状、寸法サイズ等からガス還元方
式による連続めっきが困難なため、フラックス法による
溶融めっきが採用されるとともに、長期防錆が必要とさ
れる建築構造物、架線金物やボルト製品等に対しては、
工業的に優れた一段めっき法による高付着量で、酸化物
及びドロスの付着量が少ない均一で平滑なめっき皮膜層
の形成が特に必要とされている。しかしながら、前記の
鋼帯を対象とした連続めっき方式のように高速めっきが
困難なため、めっき浴からの引き揚げ時における溶融め
っき浴の持ち揚げ量の増加がほとんど期待できない問題
点もあり、その高付着量化を目的としためっき方法につ
いては十分に確立されているとは言い難い現況にある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術の
抱える問題点を解決しようとするもので、溶融アルミニ
ウム−亜鉛系合金めっきにおいて、一段めっき法によ
り、高付着量で、酸化物及びドロス付着量が少ない、均
一で、平滑なめっき皮膜層を形成することができる新規
な溶融アルミニウム−亜鉛合金めっき方法を提供するこ
とを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来の抱
える問題点を解決すべき鋭意検討の結果、溶融アルミニ
ウム−亜鉛系合金めっきにおいて、マグネシウム、カル
シウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、亜鉛のいず
れか1種の塩と、錫塩、アンチモン塩のいずれか1種の
塩を含んだ乾式フラックスにより処理した後アルミニウ
ムを含む弗化物を主成分とする溶融フラックスを用いた
溶融めっきを行うことにより、高付着量で酸化物及びド
ロスの付着量が少ない、均一で平滑なめっき皮膜層を形
成できることを見い出し、本発明を完成させた。
【0011】すなわち、本発明は鉄鋼材料に対するフラ
ックスを用いる一段めっき法による溶融アルミニウム−
亜鉛系合金めっきにおいて、油脂分及び、酸化膜を除去
し、活性化処理を施した鉄鋼材料表面に、 1)(a)マグネシウム、カルシウム、リチウム、ナト
リウム、カリウム、亜鉛の各塩化物から選ばれる少なく
とも1種と(b)錫塩、アンチモン塩のいずれか1種の
塩との混合水溶液からなるフラックスを塗布し乾燥処理
を施して鉄鋼材料表面積当りの付着量が2g/m2〜4
0g/m2の皮膜を形成させた後、 2)(c)アルミニウムを含む弗化物と、(d)アルカ
リ金属の弗化物及び塩化物から選ばれる少なくとも1種
と、(e)アルカリ土類金属の塩化物の少なくとも1種
からなる溶融フラックスを溶融浮遊させた溶融アルミニ
ウム−亜鉛系合金めっき浴中に該鉄鋼材料を浸漬し溶融
めっきを施すことを特徴とする溶融アルミニウム−亜鉛
系合金のめっき方法を提供する。
【0012】また、前記1)のフラックス成分(a)及
び(b)が重量%で 7重量%≦[(b)の含有量/{(a)の含有量+
(b)の含有量}×100≦90重量% の範囲を満足するものであることが好ましい。
【0013】さらに前記2)の溶融フラックス成分
(c)、(d)及び(e)が重量%で 25重量%≦[(c)の含有量/{(c)の含有量+
(d)の含有量+(e)の含有量}]×100≦90重
量% の範囲を満足するものであることが好ましい。
【0014】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で
対象とする溶融アルミニウム−亜鉛系合金は、特に限定
されるものではないが、主として、Al−Zn−Si合
金を対象とし、Al30〜70重量%、Zn70〜30
重量%及びSi0.5〜3.5重量%の組成の合金を対
象とする。また、被めっき材である鉄鋼材料の種類は限
定されない。
【0015】本発明の方法においては、被めっき物であ
る素材鉄鋼材料表面を先ず脱脂する。脱脂条件として8
0℃以上、5〜20%苛性ソーダ水溶液あるいは苛性ソ
ーダと同量のオルソ珪酸ソーダを含むものに10〜30
分間浸漬させる。脱脂後、水洗して、十分油脂分を除去
する。さらに続けて酸洗を行う。酸洗の条件は常温で、
5〜15%塩酸に10〜30分間浸漬するか、又は80
℃以上で、硫酸3〜10%水溶液に10〜30分間浸漬
後に水洗し、常温で、5〜15%塩酸に10〜30分間
浸漬する。酸洗後水洗して、酸化膜を除去するための活
性化処理を施す。 または、ショットブラスト、グリッ
トブラスト等の機械的手段で酸化膜を除去した後、その
まま或いは水洗洗浄処理後酸洗処理、さらに水洗を行う
活性化処理を施す。
【0016】活性化処理後、(a)マグネシウム、カル
シウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、亜鉛の各塩
化物から選ばれる少なくとも1種と、(b)錫塩、アン
チモン塩のいずれか1種の塩との混合水溶液からなるフ
ラックス(以下乾式フラックスと言う)を塗布し、乾燥
処理を行う。本発明においては、乾式フラックス中に特
に錫塩又はアンチモン塩のいずれか1種の塩を用いるこ
とに特徴を有する。そのような塩を用いた乾式フラック
ス処理と、その後に行う溶融フラックスを浮遊させた溶
融アルミニウム−亜鉛系合金めっき浴中での浸漬処理に
より高付着量で、ドロスの付着量の少ない、非常に平滑
でめっき欠陥の少ないアルミニウム−亜鉛系合金による
めっきが鉄鋼材料表面に形成される。乾式フラックス処
理条件としては、80℃以上に加熱された前記(a)と
(b)を5〜40重量%含む混合水溶液中に5〜20分
間、活性化処理された鉄鋼材料を浸漬して、乾式フラッ
クスを鉄鋼材料表面に塗布する。浸漬後該水溶液から、
該鉄鋼材料を引き上げ乾燥させる。前記混合溶液の濃度
が5%を下まわるとフラックスの付着量が少なく、容易
に錆が発生し、一方、40%を超えると付着量が必要以
上に付き、経済的でない。乾燥処理の方法及び条件につ
いては、特に規定されるものではなく、例えば、熱風乾
燥、ガスもしくは電気加熱、赤外線加熱法等が用いら
れ、表面温度が60〜250℃、好ましくは80〜20
0℃の温度条件による短時間の加熱乾燥処理が採用され
る。
【0017】乾式フラックスのフラックス成分(a)及
び(b)が、重量で、 7重量%≦[(b)の含有量/{(a)の含有量+
(b)の含有量}]×100≦90重量% の範囲であることが好ましい。乾式フラックスにおい
て、(a)+(b)の合計量に対する(b)錫塩また
は、アンチモン塩の含有量がフラックスの7重量%以上
としたのは7重量%を下まわると錫塩、アンチモン塩の
効果はなく、ドロスの付着が多く、めっき面の突起物が
多くなる。また、90重量%を超えると錫塩または、ア
ンチモン塩の量が多くなり、めっき層が厚くなりすぎ、
ネジ部を有するボルト、ナット等に対して嵌合不良とな
り単純な形状のもの、例えば、板状、アングル状等、嵌
合部のないものにはよいが、複雑、微細な形状のものに
対しては素材鉄の形状を忠実に現さなくなり不都合を生
ずることになる。
【0018】乾式フラックスで(a)マグネシウム、カ
ルシウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、亜鉛の各
塩化物の1種又は2種以上と(b)錫塩又はアンチモン
塩との混合温水溶液中に素材鉄を浸漬乾燥するが、溶融
フラックスが層をなし浮遊するめっき浴槽に、上記乾式
フラックスが固着した被めっき素材鉄を浸漬する場合、
これらの固着した塩と溶融フラックスが作用して、溶融
フラックスの融点を一層低くし、且つ僅かに残存する素
材鉄酸化物等を取り除き、活性化された溶融金属との界
面接触角を小さくして、素材鉄と溶融金属の合金化を容
易にする作用がある。
【0019】乾式フラックス処理において、鉄鋼材料表
面積当りの付着量が2g/m2〜4g/m2の皮膜を形成
させることが好ましい。付着量が2g/m2以上とした
のは、それ以下ではめっき表面が平滑にならず、不めっ
き部が所々に見られる。すなわち、乾式フラックスとし
ての効果はない。また、付着量40g/m2以下とした
のは、40g/m2を超えて付着すると一旦付着したフ
ラックス塩類が作業中に僅かの振動で剥離し、脱落する
分が多く、40g/m2を超えて付着しても無駄になる
分が多く経済的でない。
【0020】乾式フラックス処理された鉄鋼材料を、溶
融フラックスを浮遊させた溶融アルミニウム−亜鉛系合
金めっき浴中に浸漬し溶融めっきを施す。溶融フラック
スは、(c)アルミニウムを含む弗化物と、(d)アル
カリ金属の弗化物及び塩化物から選ばれる少なくとも1
種と、(e)アルカリ土類金属の塩化物の少なくとも1
種とからなる。(c)アルミニウムを含む弗化物として
は、例えば、氷晶石(Na3AlF6)、弗化アルミニウ
ムから選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
【0021】溶融フラックス成分(c)、(d)及び
(e)が重量%で、 25重量%≦[(c)の含有量/{(c)の含有量+
(d)の含有量+(e)の含有量}]×100≦90重
量% であることが好ましい。溶融フラックスにおいて(c)
+(d)+(e)の合計量に対する(c)アルミニウム
を含む弗化物の含有量が25重量%を下回ると、不めっ
き等が多くなり、フラックスとしての効果は認められな
い。また、90重量%を超えるとフラックスの融点が高
くなり(700℃以上)経済的でない。
【0022】前記溶融フラックスを溶融浮遊させた溶融
アルミニウム−亜鉛系合金めっき浴中で乾式フラックス
処理された鉄鋼材料を溶融めっきを施す方法及び条件は
次の通りである。前記した溶融フラックスを溶融浮遊さ
せ、600〜700℃に加熱した溶融アルミニウム−亜
鉛系合金中に前記乾式フラックスに浸漬乾燥した被めっ
き物素材鉄を1〜15分間浸漬後、引き上げ、タレ切り
をして水冷、乾燥、仕上げを行う。尚、上記浸漬時間に
巾があるのは、夫々の温度、濃度、被めっき素材鉄の材
質、寸法、形状等の差異により巾が生ずるものである。
【0023】溶融合金面上を覆う溶融フラックスの層の
厚みは2〜8cmであるこが好ましい。1cm前後であ
ると被めっき物に不めっき部分が所々に存在する。ま
た、8cmを越す厚みにすると、熱伝導性の悪いフラッ
クスは厚みを多くした場合、常に撹拌していないと外気
に接している部分が凝固して固化し、又被めっき物を引
き上げる時、めっき部にフラックスの付着が多く、フラ
ックスの除去等、仕上げ処理に手間を要するからであ
る。なお、本発明の方法が適用される溶融アルミニウム
系合金めっき浴組成としては、600℃以上〜700℃
以下のめっき温度が採用されるアルミニウムを主要成分
として含有する合金めっき浴を対象とするものであり、
例えば、前記したアルミニウム、亜鉛を主要成分とする
(30〜70%)Al−(0.5〜3.5%)Zn−
(0.5〜3.5%)Siめっき浴あるいはこれらに少
量のMg、Cr、Cu、Ti、Mn、Sn、Fe等を添
加した合金めっき浴、さらにこれらめっき浴にめっき装
置、めっき地金、鉄鋼材料から不可避的に混入される不
純物が含有される合金めっき浴等が対象とされる。
【0024】本発明の手順をへる事によって出来る溶融
合金めっきは、 めっき表面は非常に滑からで、酸化物、ドロス等によ
る凹凸を生じ難く、不めっき等の欠陥は従来法に比較し
て生じない。 めっき厚さが大きい。 等の利点を有する。従来法でボルト、ナット等をめっき
すると、耐食性と比例関係にあるめっき厚さは大体20
〜30μmであるのに対して、本発明方法で同じ寸法の
ボルト、ナットを同じ浴組成(例55.2Al、41.
8Zn、0.5Fe、2.5Si)同じ温度(650
℃)同じ浸漬時間(2.5分〜3.5分)でめっきを行
うと45〜65μmのめっき厚さが得られた。
【0025】
【実施例】以下、本発明を実施例により、さらに詳細に
説明する。以下において、各成分の比率は全て重量比で
あり、%は全て重量%である。 実施例1 (1)被めっき材 鋼材 :75×150×3.2mm (2)被めっき材の前処理 脱脂 :苛性ソーダ:オルソ珪酸ソーダ=1:1 8
0〜90℃15%水溶液中に20分間浸漬、水洗 酸洗 :10%HCl、常温で20分間、水洗、乾燥 ショットブラスト:#100、20分間 酸洗 :10%HCl、常温で3分間、水洗、乾燥
【0026】(3)乾式フラックス処理 (イ)乾式フラックスの種類 塩化第一錫:塩化亜鉛:塩化カルシウム=2:3:1 (ロ)乾式フラックス処理条件 前記乾式フラックスの20%水溶液中に前処理した被め
っき材を80℃、5分間浸漬し、引上げた後、120℃
で15分間乾燥
【0027】(4)溶融めっき処理 弗化物系溶融フラックス(弗化アルミニウム、氷晶石、
弗化カリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウムを主成
分とする)が浴上に溶融している600〜650℃の溶
融合金浴(55.2Al、41.3Zn、0.6Fe、
2.9Si)に底面金網にした杓に、前記前処理及び乾
式フラックス処理された被めっきを入れ3分間浸漬、引
上げ後直ちに遠心分離機にかけ(表面に付着している酸
化物及び余分の溶融合金を除去する)水冷乾燥後余分の
フラックスを除去するために仕上げ処理した。
【0028】上記処理により、被めっき材の表面は平坦
でドロスによる突起物は見当たらず、又めっき厚さは4
0〜70μmであった。
【0029】比較例1 乾式フラックスの種類として、塩化カリウム:塩化カル
シウム:塩化マグネシウム:塩化ナトリウム=4:5:
5:1を用いた以外は、実施例1と同一の被めっき材を
用いて、実施例1と同一条件にて前処理、乾式フラック
ス処理及び溶融めっき処理を行った。その結果、被めっ
き材の表面は0.2〜0.4mm程度の粒(ドロスの小
粒)が100〜1000ケ/cm2程度存在し、めっき
厚さは20〜35μmであり、平均厚みは30μm以下
であった。
【0030】実施例2 (1)被めっき材 ボルト(M22×70) 15本 ナット(M22) 15本 ボルトとナットを夫々15本に以下の処理を行った。 (2)被めっき材の前処理 脱脂: 苛性ソーダ:オルソ珪酸ソーダ=1:1、80
〜90℃、15%水溶液に20分間浸漬、水洗 酸洗: 10%HCl、常温で20分間の浸漬、水洗 ショットブラスト: #100、20分間 酸洗: 10%HCl、常温で3分間の浸漬、水洗、乾
【0031】(3)乾式フラックス処理 (イ)乾式フラックスの種類 塩化第一錫:塩化亜鉛:塩化マグネシウム=4:8:1 (ロ)乾式フラックスの処理条件 上記乾式フラックスの20%水溶液中に前処理した被め
っき材を各々15本づつに分け80℃、5分間浸漬し、
引上げた後、120℃で15分間乾燥した。
【0032】(4)溶融めっき処理 弗化物系溶融フラックス(弗化アルミニウム、氷晶石、
弗化カリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウムを主成
分とする)が浴上に溶融している600〜650℃の溶
融合金浴(55.2Al、41.3Zn、0.6Fe、
2.9Si)に底面金網にした杓に前処理及び乾式フラ
ックス処理したボルト、ナットを夫々別々に入れ3分間
浸漬後、引上げ直ちに遠心分離機にかけ表面に付着して
いる酸化物、フラックス及び余分の溶融合金を除去し
た。その後冷水、乾燥し、残存フラックスを除去するた
めに仕上げ処理をした。
【0033】上記処理による結果は次の通りであった。 (ボルト)外観は表面が平滑にしてネジ山部も全く付着
物がなく、突起物もなく、素材鉄の形状をよく示してい
た。 めっき厚は、図1のボルトの頭頂部X(以下X部と言
う)が50〜70μm 図1のボルトの頭側部Y(以下Y部と言う)が50〜7
0μm 図1のボルトのネジ部Z(以下Z部と言う)が60〜1
00μmであり、すべての部位で30μm以上であっ
た。
【0034】(ナット)外観は表面が平滑で酸化物、ド
ロス等の付着による突起物は全く見られず、なめらかで
あった。内面のネジ山部も下地素材鉄の形状そのままを
示し、前記のボルトにこのナットを嵌め合わすと全て抵
抗なく嵌め合わされた。まためっき厚は図2のナット側
部X’(以下X’部と言う)が45〜75μm以上で、
平均30μm以上が得られた。
【0035】比較例2 乾式フラックスの種類として、塩化カリウム:塩化カル
シウム:塩化マグネシウム:塩化ナトリウム=4:5:
5:1の乾式フラックスを用いた以外は、実施例2と同
一の被めっき材のボルト及びナットを同一本数用い実施
例2と同一条件にて前処理、乾式フラックス処理及び溶
融めっき処理を行った。
【0036】処理の結果は次の通りである。 (ボルト)外観は所々に酸化物の付着が見られ、特にネ
ジ山の所々に小粒のドロスによる突起物がみられた。 まためっき厚は図1のX部が10〜20μm 図1のY部が15〜30μm 図1のZ部が30〜70μmであり、X、Y部では平均
して30μm以下であった。
【0037】(ナット)外観は側面部に所々ドロス又は
酸化物等が付着しており平滑ではない。内面ネジ部は山
と山との間に所々酸化物が付着し、ドロスの塊と思われ
る物質がネジの谷部の一部を埋めている。まためっき厚
は図2のX’部が15〜35μmで平均30μmを下ま
わっており、且つ、前記のボルトとナットを嵌め合わし
てもネジ部にある突起物等のため嵌合性が非常に悪く,
15本すべてが嵌合しなかった。
【0038】実施例3 (1)被めっき材 ボルト(M14×30) 15本 ナット(M22) 15本 ボルトとナットを夫々15本に以下の処理を行った。 (2)被めっき材の前処理 脱脂:苛性ソーダ:オルソ珪酸ソーダ=1:1、80〜
90℃の15%水溶液中に20分間浸漬、水洗 酸洗:10%HCl、常温で20分間の浸漬、水洗、乾
燥 ショットブラスト: #70、20分間 酸洗:10%HCl、常温で3分間の浸漬、水洗、乾燥 (3)乾式フラックス処理 (イ)乾式フラックスの種類 硝酸第一錫:塩化カリウム:塩化カルシウム=1:2:
1 (ロ)乾式フラックスの処理条件 上記乾式フラックスの20%水溶液中に前処理した被め
っき材を80℃、5分間浸漬し、引き上げた後、120
℃で15分間乾燥した。
【0039】(4)溶融めっき処理 弗化物系溶融フラックス(弗化アルミニウム、氷晶石、
弗化カリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウムを主成
分とする)が浴上に溶融している600〜650℃の溶
融合金浴(55.2Al、41.3Zn、0.6Fe、
2.9Si)に底面金網にした杓に前処理及び乾式処理
したボルト、ナットを各々別々に入れ2分30秒間浸
漬,引上げ後直ちに遠心分離機にかけ表面に付着してい
る酸化物、フラックス及び余分の溶融合金を除去した。
その後水冷、乾燥し、残存フラックスを除去するため仕
上げ処理した。
【0040】上記の処理の結果は次の通りである。 (ボルト)外観は表面が平滑にしてネジ山部も全く付着
物がなく、突起物も認められない素材鉄の形状をよく示
している。 まためっき厚は図1のX部が50〜70μm 図1のY部が50〜70μm 図1のZ部が55〜100μmと全ての部位で30μm
以上であった。
【0041】(ナット)外観は表面が平滑で酸化物、ド
ロス等の付着による突起物は全く見られず、なめらかで
あった。内面のネジ部も下地素材鉄の形状そのままを示
し、前記のボルトにこのナットを嵌め合わすと全て抵抗
なく嵌め合わされた。まためっき厚は図2のX’部が4
0〜60μmと平均30μm以上であった。
【0042】比較例3 乾式フラックスの種類として塩化カリウム:塩化カルシ
ウム:塩化マグネシウム:塩化ナトリウム=4:5:
5:1を用いた以外は実施例3と同一の被めっき材のボ
ルト及びナットを同一本数用い実施例3と同一条件にて
前処理、乾燥フラックス処理、及び溶融めっき処理を行
った。
【0043】処理の結果は次の通りである。 (ボルト)外観は所々に酸化物の付着が見られ、特にネ
ジ山の所々に小粒(0.08〜0.2mm程度)のドロ
スによる突起物が20本全てにみられた。 まためっき厚は図1のX部が20〜30μm 図1のY部が20〜40μm 図1のZ部が35〜60μm とX、Y部では30μmを下まわるものがあった。
【0044】(ナット)外観は側面部に所々ドロス又は
酸化物等付着しており、また部分的に酸化物を含むめっ
き合金が多く着いており外観形状が素材鉄の形状をその
まま表しておらず、不均一なものが20本中8本あっ
た。内面ネジ部は山と山の間に所々酸化物が付着し、ま
たドロスの塊と思われる物質がネジの谷部の一部を埋め
ていた。従って前記のボルトとナットを嵌め合わしても
ネジ山部にあたる突起物またネジ谷部を埋めている酸化
物、めっき合金等のため非常に嵌合性が悪く20組すべ
てが嵌合しなかった。まためっき厚は図2のX’部が1
5〜35μmと平均30μm以下であった。
【0045】実施例4 (1)被めっき材 ボルト(M24×60) 15本 ナット(M24) 15本 ボルトとナットを夫々15本に以下の処理を行った。 (2)被めっき材の前処理 脱脂:苛性ソーダ:オルソ珪酸ソーダ=1:1、80〜
90℃の15%水溶液中に20分間浸漬、水洗 酸洗:10%HCl、常温で20分間の浸漬、水洗、乾
燥 ショットブラスト: #100、20分間 酸洗:10%HCl、常温で3分間の浸漬、水洗、乾燥 (3)乾式フラックス処理 (イ)乾式フラックスの種類 硝酸第一錫:塩化カリウム:塩化マグネシウム:塩化リ
チウム=10:6:1:1 (ロ)乾式フラックスの処理条件 上記乾式フラックスの20%水溶液中に前処理した被め
っき材を80℃、10分間浸漬し、引き上げた後、12
0℃で15分間乾燥した。
【0046】(4)溶融めっき処理 弗化物系溶融フラックス(弗化アルミニウム、氷晶石、
弗化カリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウムを主成
分とする)が浴上に溶融している600〜650℃の溶
融合金浴(54.0Al、42.7Zn、0.77F
e、2.52Si)に底面金網にした杓に前処理及び乾
式処理したボルト、ナットを各々別々に入れ3分30秒
間浸漬、引上げ後直ちに遠心分離機にかけ表面に付着し
ている酸化物、フラックス及び余分の溶融合金を除去し
た後、水冷乾燥し、仕上げ処理をし、なお取り切れなか
ったフラックスを除去した。
【0047】上記の処理の結果は次の通りである。 (ボルト)外観は表面が平滑にしてネジ山部も全く付着
物がなく、ドロスによる突起物も少なく、素材鉄の形状
をよく示していた。 まためっき厚は図1のX部が45〜70μm 図1のY部が50〜80μm 図1のZ部が60〜100μmと全ての部位で30μm
以上であった。
【0048】(ナット)外観は表面が平滑で酸化物、ド
ロス等の付着による突起物は見られず、なめらかであっ
た。内面のネジ山部も素材鉄の形状そのままを示し、前
記のボルトにこのナットを嵌め合わすと全て抵抗なく嵌
め合わされた。まためっき厚は図2のX’部が40〜8
0μmと40μm以上あった。
【0049】比較例4 乾式フラックスの種類として塩化カリウム:塩化カルシ
ウム:塩化マグネシウム:塩化ナトリウム=4:5:
5:1を用いた以外は実施例4と同一の被めっき材のボ
ルト及びナットを同一本数用い実施例4と同一条件にて
前処理、乾燥フラックス処理、及び溶融めっき処理を行
った。
【0050】処理の結果は次の通りである。 (ボルト)外観は所々にドロスの小粒が付着し、所によ
って、ドロスと酸化物が重なってネジ部の谷間を埋めて
いた。またネジ山の所々にドロス小粒による突起が見ら
れた。 まためっき厚は図1のX部が15〜35μm 図1のY部が15〜50μm 図1のZ部が30〜70μmであり、X、Y部では平均
で30μmを下まわった。
【0051】(ナット)外観は側面部に所々ドロス又は
酸化物等付着しており平滑ではない。内面ネジ部は山と
山との間に酸化物並びに過剰の合金がたまり、ネジ谷間
の一部を埋めていた。従って前記のボルトとナットを嵌
め合わしてもネジ部にある突起物等のため嵌合性が非常
に悪く15本すべてが嵌合しなかった。まためっき厚は
図2のX’部が15〜35μmと平均で30μmを下ま
わった。
【0052】実施例5 (1)被めっき材 ボルト(M20×55) 20本 ナット(M20) 20本 ボルトとナットを夫々20本に以下の処理を行った。 (2)被めっき材の前処理 脱脂:苛性ソーダ:オルソ珪酸ソーダ=1:1、80〜
90℃の15%水溶液中に20分間浸漬、水洗 酸洗:10%HCl、常温で20分間の浸漬、水洗、乾
燥 ショットブラスト: #100、20分間 酸洗:10%HCl、常温で3分間の浸漬、水洗、乾燥 (3)乾式フラックス処理 (イ)乾式フラックスの種類 塩化第一錫:塩化カルシウム:塩化マグネシウム=1:
5:5 (ロ)乾式フラックスの処理条件 上記乾式フラックスの20%水溶液中に前処理した被め
っき材を80℃、5分間浸漬し、引き上げた後、120
℃で15分間乾燥した。
【0053】(4)溶融めっき処理 弗化物系溶融フラックス(弗化アルミニウム、氷晶石、
弗化カリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウムを主成
分とする)が浴上で溶融している600〜650℃の溶
融合金浴(55.2Al、41.3Zn、0.6Fe、
2.9Si)に底面金網にした杓に前処理及び乾式フラ
ックス処理したボルト、ナットを夫々を別々に入れ3分
間浸漬、引上げ後直ちに遠心分離機にかけ表面に付着し
ている酸化物、フラックス及び余分の溶融合金を除去し
た後、水冷乾燥し残存フラックスを除去するため仕上げ
処理した。
【0054】上記の処理の結果は次の通りである。 (ボルト)外観は表面が平滑にしてネジ山部も全く付着
物がなく、ドロスによる突起物も少なく、素材鉄の形状
をよく示している。 まためっき厚は図1のX部が40〜70μm 図1のY部が45〜70μm 図1のZ部が55〜90μmといずれも40μm以上で
あった。
【0055】(ナット)外観は表面が平滑で酸化物、ド
ロス等の付着による突起物は殆ど見られなかった。内面
のネジ山部も素材鉄の形状そのままを示し、前記のボル
トにこのナットを嵌め合わすと全て抵抗なく嵌合した。
まためっき厚は図1のX部が40〜70μmと40μm
以上あった。
【0056】比較例5 乾式フラックスの種類として塩化第一錫:塩化カルシウ
ム:塩化マグネシウム=1:10:10を用いた以外は
実施例5と同一の被めっき材のボルト及びナットを同一
本数用い実施例5と同一条件にて前処理、乾燥フラック
ス処理、及び溶融めっき処理を行った。
【0057】処理の結果は次の通りである。 (ボルト)外観は所々に酸化物が見られ特にネジ山の谷
部が所々にドロス、酸化物に埋められ、またネジ山部の
側面に小粒のドロスのような突起物が見られた。 まためっき厚は図1のX部が15〜30μm 図1のY部が20〜35μm 図1のZ部が30〜70μmとX、Y部では平均で30
μm以下であった。
【0058】(ナット)外観は側面部が部分的にドロス
又は酸化物が付着しており平滑ではない。内面ネジ部は
山と山との間に数カ所酸化物が付着し、ドロスの塊と思
われる物質がネジ谷間の一部を埋めているものがあっ
た。まためっき厚は図1のX部が20〜35μmと平均
で30μm以下であった。前記のボルトとナットを嵌め
合わしても、ネジ山部にある突起物等が障害になり20
本中12本が嵌合しなかった。
【0059】実施例6 (1)被めっき材 ボルト(M16×55) 20本 ナット(M16) 20本 ボルトとナットを夫々20本に以下の処理を行った。 (2)被めっき材の前処理 脱脂:苛性ソーダ:オルソ珪酸ソーダ=1:1、80〜
90℃の15%水溶液中に20分間浸漬、水洗 酸洗:10%HCl、常温で20分間の浸漬、水洗、乾
燥 ショットブラスト: #70、20分間 酸洗:10%HCl、常温で3分間の浸漬、水洗、乾燥 (3)乾式フラックス処理 (イ)乾式フラックスの種類 塩化第一錫:塩化カルシウム:塩化マグネシウム=1
0:1:1 (ロ)乾式フラックスの処理条件 上記乾式フラックスの20%水溶液中に前処理した被め
っき材を80℃で5分間浸漬し、引き上げた後、120
℃で15分間乾燥した。
【0060】(4)溶融めっき処理 弗化物系溶融フラックス(弗化アルミニウム、氷晶石、
弗化カリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウムを主成
分とする)が浴上で溶融している600〜650℃の溶
融合金浴(55.2Al、41.3Zn、0.6Fe、
2.9Si)に底面金網にした杓に前処理及び乾式フラ
ックス処理したボルト、ナットを夫々を別々に入れ2分
30秒間浸漬、引上げ後直ちに遠心分離機にかけ表面に
付着している酸化物、フラックス及び余分の溶融合金を
除去した後、水冷乾燥し残存フラックスを除去するため
仕上げ処理した。
【0061】上記の処理の結果は次の通りである。 (ボルト)外観は表面が平滑にしてネジ山部も全く付着
物がなく、ドロスによる突起物も少なく、素材鉄の形状
をよく示している。 まためっき厚は図1のX部が40〜70μm 図1のY部が45〜70μm 図1のZ部が60〜100μmで適正であった。
【0062】(ナット)外観は表面が平滑で内面のネジ
山部も素材鉄の形状そのままを示し、前記のボルトにこ
のナットを嵌め合わすと全て抵抗なく嵌合した。まため
っき厚は図1のX部が45〜80μmであった。
【0063】比較例6 乾式フラックスの種類として塩化第一錫:塩化カルシウ
ム:塩化マグネシウム=20:1:1を用いた以外は実
施例6と同一の被めっき材のボルト及びナットを同一本
数用い実施例6と同一条件にて前処理、乾燥フラックス
処理、及び溶融めっき処理を行った。
【0064】処理の結果は次の通りである。 (ボルト)外観は表面が平滑でドロス、酸化物等の付着
は見当たらないが全体的に非常に厚くネジ山部が埋まっ
ている。 まためっき厚は図1のX部が150〜200μm 図1のY部が130〜220μm 図1のZ部が160〜200μmと非常に厚過ぎた。
【0065】(ナット)外観は側面部が全体に非常に厚
く、角部が丸みを帯びている。内面ネジ部も谷底部は丸
みを帯びている。まためっき厚は図1のX部が150〜
200μmであった。前記のボルトとナットを嵌め合わ
しても、めっき厚さが厚いため嵌合性は非常に悪く20
組のすべてが嵌め合わなかった。
【0066】実施例7 (1)被めっき材 ボルト(M22×60) 20本 ナット(M22) 20本 ボルトとナットを夫々20本に以下の処理を行った。 (2)被めっき材の前処理 脱脂:苛性ソーダ:オルソ珪酸ソーダ=1:1、80〜
90℃の15%水溶液中に20分間浸漬、水洗 酸洗:10%HCl、常温で20分間の浸漬、水洗、乾
燥 ショットブラスト: #100、20分間 酸洗:10%HCl、常温で3分間の浸漬、水洗、乾燥 (3)乾式フラックス処理 (イ)乾式フラックスの種類 塩化アンチモン:塩化カリウム:塩化カルシウム=4:
2:3 (ロ)乾式フラックスの処理条件 上記乾式フラックスの20%水溶液中に前処理した被め
っき材を80℃で10分間浸漬し、引き上げた後、12
0℃で15分間乾燥した。
【0067】(4)溶融めっき処理 弗化物系溶融フラックス(弗化アルミニウム、氷晶石、
弗化カリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウムを主成
分とする)が浴上で溶融している600〜650℃の溶
融合金浴(54.0Al、42.7Zn、0.77F
e、2.52Si)に底面金網にした杓に前処理及び乾
式フラックス処理したボルト、ナットを夫々を別々に入
れ3分間浸漬、引上げ後直ちに遠心分離機にかけ表面に
付着している酸化物、フラックス及び余分の溶融合金を
除去した後、水冷乾燥し仕上げ処理し、尚取りきれなか
ったフラックスを除去した。
【0068】上記の処理の結果は次の通りである。 (ボルト)外観は表面が平滑にしてネジ山部も全く付着
物がなく、ドロスによる突起物も少なく、素材鉄の形状
をよく示している。 まためっき厚は図1のX部が40〜70μm 図1のY部が45〜75μm 図1のZ部が50〜100μm 全ての部位で40μm以上であった。
【0069】(ナット)外観は表面が平滑で酸化物、ド
ロス等の付着による突起物は見られず滑らかであった。
内面のネジ山部も素材鉄の形状そのままを示し、前記の
ボルトにこのナットを嵌め合わすと全て抵抗なく嵌め合
わされた。まためっき厚は図2のX’部が35〜75μ
mと35μm以上であった。
【0070】比較例7 乾式フラックスの種類として塩化カリウム:塩化カルシ
ウム:塩化マグネシウム:塩化ナトリウム=4:5:
5:1を用いた以外は実施例7と同一の被めっき材のボ
ルト及びナットを同一本数用い実施例7と同一条件にて
前処理、乾燥フラックス処理、及び溶融めっき処理を行
った。
【0071】処理の結果は次の通りである。 (ボルト)外観は所々ドロスの小粒が付着し、所によっ
てドロスと酸化物が重なってネジ部の谷間を埋めてい
た。また、ネジ山の所々にドロスの小粒による突起がみ
られた。 めっき厚は図1のX部が12〜35μm 図1のY部が15〜45μm 図1のZ部が30〜70μmであり、X、Y部では30
μmを下まわるものがあった。
【0072】(ナット)外観は側面部に所々ドロス又は
酸化物等が付着しており平滑でない。内面ネジ部は山と
山の間に酸化物並びに過剰の合金がたまり、ネジ谷部の
一部を埋めている。従って、前記のボルトとナットを嵌
め合わしてもネジ部にある突起物等のため嵌合性が非常
に悪く15本すべて嵌合しなかった。まためっき厚は図
2のX’部が12〜35μmと30μmを下まわるもの
があった。
【0073】実施例8 (1)被めっき材 ボルト(M20×60) 20本 ナット(M20) 20本 ボルトとナットを夫々20本に以下の処理を行った。
(2)被めっき材の前処理 脱脂:苛性ソーダ:オルソ珪酸ソーダ=1:1、80〜
90℃の15%水溶液中に20分間浸漬、水洗 酸洗:10%HCl、常温で20分間の浸漬、水洗、乾
燥 ショットブラスト: #70、20分間 酸洗:10%HCl、常温で3分間の浸漬、水洗、乾燥 (3)乾式フラックス処理 (イ)乾式フラックスの種類 塩化アンチモン:塩化カリウム:塩化カルシウム:塩化
マグネシウム:塩化ナトリウム=4:4:5:5:1 (ロ)乾式フラックスの処理条件 上記乾式フラックスの20%水溶液中に前処理した被め
っき材を80℃で5分間浸漬し、引き上げた後、120
℃で15分間乾燥した。
【0074】(4)溶融めっき処理 弗化物系溶融フラックス(弗化アルミニウム、氷晶石、
弗化カリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウムを主成
分とする)が浴上に3cmの厚さで溶融している600
〜650℃の溶融合金浴(54.0Al、42.7Z
n、0.77Fe、2.52Si)に底面金網にした杓
に前処理及び乾式フラックス処理したボルト、ナットを
夫々を別々に入れ3分間浸漬、引上げ後直ちに遠心分離
機にかけ表面に付着している酸化物、フラックス及び余
分の溶融合金を除去した後、水冷乾燥し仕上げ処理し、
尚取りきれなかったフラックスを除去した。
【0075】上記の処理の結果は次の通りである。 (ボルト)外観は表面が平滑にしてネジ山部も全く付着
物がなく、ドロスによる突起物も殆どなく、素材鉄の形
状をよく示している。 まためっき厚は図1のX部が45〜70μm 図1のY部が55〜80μm 図1のZ部が60〜100μm 全ての部位で45μm以上であった。
【0076】(ナット)外観は表面が平滑で酸化物、ド
ロス等の付着による突起物は見られず滑らかであった。
内面のネジ山部も素材鉄の形状そのままを示し、前記の
ボルトにこのナットを嵌め合わすと全て抵抗なく嵌め合
わされた。まためっき厚は図2のX’部が40〜80μ
mと40μm以上であった。
【0077】比較例8 乾式フラックスの種類として塩化カリウム:塩化カルシ
ウム:塩化マグネシウム:塩化ナトリウム=4:5:
5:1を用いた以外は実施例8と同一の被めっき材のボ
ルト及びナットを同一本数用い実施例8と同一条件にて
前処理、乾燥フラックス処理、及び溶融フラックス処理
を行った。
【0078】処理の結果は次の通りである。 (ボルト)外観は所々ドロスの小粒が付着し、少量であ
るが、酸化物がネジ部の谷間を埋めていた。また、ネジ
山の所々にドロスの小粒による突起がみられた。 めっき厚は図1のX部が15〜35μm 図1のY部が20〜45μm 図1のZ部が30〜70μmであり、X、Y部では30
μmを下まわるものがあった。
【0079】(ナット)外観は側面部に所々ドロス又は
酸化物等が付着しており平滑でない。内面ネジ部は山と
山の間に酸化物並びに過剰の合金がたまり、ネジ谷部の
一部を埋めている。従って、前記のボルトとナットを嵌
め合わしてもネジ部にある突起物等のため嵌合性が非常
に悪く20本すべて嵌合しなかった。まためっき厚は図
2のX’部が15〜35μmと30μmを下まわるもの
があった。
【0080】実施例9 (1)被めっき材 ボルト(M24×60) 15本 ナット(M24) 15本 ボルトとナットを夫々15本に以下の処理を行った。 (2)被めっき材の前処理 脱脂:苛性ソーダ:オルソ珪酸ソーダ=1:1、80〜
90℃の15%水溶液中に20分間浸漬、水洗 酸洗:10%HCl、常温で20分間の浸漬、水洗、乾
燥 ショットブラスト: #100、20分間 酸洗:10%HCl、常温で3分間の浸漬、水洗、乾燥 (3)乾式フラックス処理 (イ)乾式フラックスの種類 弗化第二錫:塩化亜鉛:塩化カリウム=2:4:3 (ロ)乾式フラックスの処理条件 上記乾式フラックスの20%水溶液中に前処理した被め
っき材を80℃で15分間浸漬し、引き上げた後、12
0℃で15分間乾燥した。
【0081】(4)溶融フラックス処理 弗化アルミニウム:氷晶石:弗化カリウム:塩化ナトリ
ウム:塩化カルシウム=20:20:2:5:1の組成
のフラックスが浴上に溶融している640〜680℃の
溶融合金浴(55.2Al、41.3Zn、0.6F
e、2.9Si)に底面金網にした杓に前処理及び乾式
フラックス処理したボルト、ナットを夫々を別々に入れ
4分30秒間浸漬し、引上げ後直ちに遠心分離機にかけ
余分の溶融合金を除去し、水冷後乾燥し、付着している
フラックスを除去するため仕上げ処理した。
【0082】上記の処理の結果は次の通りである。 (ボルト及びナット)外観はボルト、ナットと共に表面
が平滑にして、不めっきが全く見られず尚且つネジ部も
素材鉄の形状をよく表しており嵌合性も良好であった。 まためっき厚はボルトの図1のX部が40〜70μm 図1のY部が45〜70μm 図1のZ部が50〜90μm ナットの図2のX’部が40〜65μmと全て40μm
以上であった。
【0083】比較例9 被めっき材として、実施例9と同一のボルトとナットを
同一本数用いて、前処理及び乾式フラックス処理を実施
例9と全く同一条件(乾式フラックスの種類も実施例9
と同一)にて行った。
【0084】溶融めっき処理を次の条件で行った。弗化
アルミニウム:氷晶石:弗化カリウム:塩化ナトリウ
ム:塩化カルシウム=20:20:1:1:1を用い
た。上記の組成のフラックスは融点が高く、浴温度を6
60℃以上にしないと溶融せず、660〜740℃の溶
融合金浴(55.2Al、41.3Zn、0.6Fe、
2.9Si)に底面金網にした杓に前処理及び乾式フラ
ックス処理したボルトとナットを夫々入れた後、実施例
9と同一条件にて以降の処理を行った。処理の結果、外
観はボルト、ナット共に不めっき部分が多く、酸化物等
付着していた。
【0085】実施例10 (1)被めっき材 ボルト(M20×50) 20本 ナット(M20) 20本 ボルトとナットを夫々20本に以下の処理を行った。 (2)被めっき材の前処理 脱脂:苛性ソーダ:オルソ珪酸ソーダ=1:1、80〜
90℃の15%水溶液中に20分間浸漬、水洗 酸洗:10%HCl、常温で20分間の浸漬、水洗、乾
燥 ショットブラスト: #100、20分間 酸洗:10%HCl、常温で3分間の浸漬、水洗、乾燥 (3)乾式フラックス処理 (イ)乾式フラックスの種類 塩化第一錫:塩化亜鉛:塩化カリウム=2:4:3 (ロ)乾式フラックスの処理条件 上記乾式フラックスの20%水溶液中に前処理した被め
っき材を80℃で15分間浸漬し、引き上げた後、12
0℃で15分間乾燥した。
【0086】(4)溶融めっき処理 弗化アルミニウム:氷晶石:弗化カリウム:塩化ナトリ
ウム:塩化カルシウム=3:3:3:6:3を用いた。
上記の組成のフラックスが浴上に溶融している600〜
650℃の溶融合金浴(55.2Al、41.3Zn、
0.6Fe、2.9Si)に底面金網にした杓に、前処
理及び乾式フラックス処理したボルト、ナットを夫々を
別々に入れ3分間浸漬し、引上げ後直ちに遠心分離機に
かけ余分の溶融合金を除去し、水冷後乾燥し、付着して
いるフラックスを除去するため仕上げ処理した。
【0087】上記の処理の結果は次の通りである。 (ボルト及びナット)外観はボルト、ナットと共に表面
が平滑にして、不めっきが全く見られずネジ部も素材鉄
の形状をよく表しており嵌合性も良好であった。 まためっき厚はボルトの図1のX部が40〜70μm 図1のY部が40〜70μm 図1のZ部が45〜80μm ナットの図2のX’部が35〜65μmであった。
【0088】比較例10 被めっき材として、実施例10と同一のボルトとナット
を同一本数用いて、前処理及び乾式フラックス処理を実
施例10と全く同一条件(乾式フラックスの種類も実施
例10と同一)にて行った。
【0089】溶融めっき処理を次の条件で行った。弗化
アルミニウム:氷晶石:弗化カリウム:塩化ナトリウ
ム:塩化カルシウム=2:2:4:6:3を用いた。上
記の組成のフラックスが浴上に溶融している600〜6
50℃の溶融合金浴(55.2Al、41.3Zn、
0.6Fe、2.9Si)に底面金網にした杓に前処理
及び乾式フラックス処理したボルトとナットを夫々別に
入れた後、実施例10と同一条件にて以降の処理を行っ
た。処理の結果、外観はボルト、ナット共に所々に不め
っき部分があり、酸化物等が付着していた。
【0090】実施例1〜10及び比較例1〜10から次
のことが言える。 (1)実施例1〜4では、本発明の方法である錫塩(塩
化物、硝酸塩)を重量%で7〜90を含む乾式フラック
スを使用した場合、次のことが判明した。 めっき表面は非常に滑らかで、酸化物、ドロスによる
凹凸を生じ難く、不めっき等の欠陥は皆無に近い。 従来法で板材、ボルト、ナット等をめっきすると、め
っき厚さは15〜70μm、中心値は20〜30μmで
あるのに対して、本発明の方法では40〜100μm、
中心値は45〜65μmとめっき厚が大であった。 (2)一方、錫塩、アンチモン塩のいずれも使用しない
従来公知の乾式フラックスを用いた比較例1〜4におい
ては、めっき表面はドロス又は酸化物が付着して平滑で
はなく、また、ボルトとナットの嵌合性が非常に悪かっ
た。 (3)乾式フラックス中の錫塩の含有量が7重量%以上
90重量%以下の実施例5〜6では、実施例1〜4で示
した前記(1)及びの特徴を示した。 (4)一方、錫塩の含有量が7重量%未満である乾式フ
ラックスを用いた場合の比較例5においては、従来公知
の乾式フラックスを使用したときと大差ないめっき仕上
がりを呈し、表面小粒突起が多く見られ、めっき厚さも
厚くなかった。錫塩90重量%を超える量を含有する比
較例6では、外観表面は平滑でドロス、酸化物等の付着
は見あたらないがめっき厚が非常に厚く、嵌合に適さな
い。 (5)実施例7では乾式フラックスとして錫塩のかわり
に塩化アンチモンを使用してめっきを行った結果、錫塩
の場合と何等遜色が認められなかった。 (6)実施例8では、乾式フラックスとして、他の成分
は同じで塩化アンチモンを入れたものと入れなかったも
のについて、めっき条件、方法を等しくして、比較した
所、本発明の方法による乾式フラックスに塩化アンチモ
ンを入れた方が、外観は平滑で酸化物、ドロス等による
突起物もなくボルト、ナットの嵌合性が良好であった。 (7)実施例7〜8に対し、従来公知の乾式フラックス
を用いた比較例7〜8では、比較例1〜4と同様の結果
を示した。 (8)実施例9では、乾式フラックスに弗化第二錫を使
用したが、他の錫塩と同様の効果が認められた。 (9)溶融フラックスとしてアルミニウムの弗化物(氷
晶石を含む)の含有量が弗化物+塩化物全含有量に対
し、25重量%以上90重量%以下の実施例9〜10で
は、実施例1〜4と同様の結果を示した。 (10)一方、溶融フラックスとして、アルミニウムの
弗化物の含有量が25重量%を下回ると浴上のアルミニ
ウム酸化物を除去できず、被めっき物に不めっきが発生
した。また、90重量%を超えるとフラックスの融点が
非常に高くなり(700℃以上)経済的でない。
【0091】
【発明の効果】本発明の溶融アルミニウム−亜鉛系合金
のめっき方法を用いることにより、高付着量で、酸化物
及びドロスの付着量が少い、均一で平滑なめっき皮膜層
を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はボルトの正面図である。
【図2】図2はナットの正面図である。
【符号の説明】
X ボルトの頭頂部 Y ボルトの頭側部 Z ボルトのネジ部 X’ ナットの側部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川端 六郎 大阪府堺市築港新町3丁27番地 日東工業 株式会社内 (72)発明者 森田 正幸 大阪府堺市築港新町3丁27番地 日東工業 株式会社内 (72)発明者 川口 勝之助 大阪府堺市築港新町3丁27番地 日東工業 株式会社内 (72)発明者 林 伸彦 大阪府堺市築港新町3丁27番地 日東工業 株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鉄鋼材料に対するフラックスを用いる一段
    めっき法による溶融アルミニウム−亜鉛系合金めっきに
    おいて、油脂分及び、酸化膜を除去し、活性化処理を施
    した鉄鋼材料表面に、 1)(a)マグネシウム、カルシウム、リチウム、ナト
    リウム、カリウム、亜鉛の各塩化物から選ばれる少なく
    とも1種と(b)錫塩、アンチモン塩のいずれか1種の
    塩との混合水溶液からなるフラックスを塗布し乾燥処理
    を施して鉄鋼材料表面積当りの付着量が2g/m2〜4
    0g/m2の皮膜を形成させた後、 2)(c)アルミニウムを含む弗化物と、(d)アルカ
    リ金属の弗化物及び塩化物から選ばれる少なくとも1種
    と、(e)アルカリ土類金属の塩化物の少なくとも1種
    からなる溶融フラックスを溶融浮遊させた溶融アルミニ
    ウム−亜鉛系合金めっき浴中に該鉄鋼材料を浸漬し溶融
    めっきを施すことを特徴とする溶融アルミニウム−亜鉛
    系合金のめっき方法。
  2. 【請求項2】前記1)のフラックス成分(a)及び
    (b)が重量%で 7重量%≦[(b)の含有量/{(a)の含有量+
    (b)の含有量}]×100≦90重量% の範囲を満足するものである事を特徴とする請求項1記
    載の溶融アルミニウム−亜鉛系合金のめっき方法。
  3. 【請求項3】前記2)の溶融フラックス成分(c)、
    (d)及び(e)が重量%で 25重量%≦[(c)の含有量/{(c)の含有量+
    (d)の含有量+(e)の含有量}]×100≦90重
    量% の範囲を満足するものである事を特徴とする請求項1又
    は請求項2記載の溶融アルミニウム−亜鉛合金のめっき
    方法。
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