JPH11350057A - ケース用Al−Mn系合金板およびその製造方法 - Google Patents

ケース用Al−Mn系合金板およびその製造方法

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JPH11350057A
JPH11350057A JP10162378A JP16237898A JPH11350057A JP H11350057 A JPH11350057 A JP H11350057A JP 10162378 A JP10162378 A JP 10162378A JP 16237898 A JP16237898 A JP 16237898A JP H11350057 A JPH11350057 A JP H11350057A
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義和 鈴木
Yuji Abe
佑二 阿部
Masakatsu Yoshida
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加熱および内圧が加わる小型ケース、例え
ば、小型電池ケースの素材として、成形特性に優れケー
ス使用時にフクレの生じにくい性質を備えたAl−Mn
系合金板およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 Mn0.8〜2%を含み、Siが0.0
4〜0.2%に、Feが0.04〜0.6%に制御さ
れ、さらにCu0.05〜0.25%、Cr0.02〜
0.1%を含み残部不可避的不純物とAlからなる組成
で、Mn固溶量が0.15%以上で、圧延方向の耐力Y
Sが150≦YS[N/mm2]≦64×(Mn固溶量[wt%])
+170の範囲にあり、圧延方向断面での結晶粒平均面
積が100μm2 以上かつ500μm2 未満であるAl
−Mn系合金板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電池ケース等の成形
用素材となるAl−Mn系合金板およびその製造方法を
提示するもので、特に成形特性に優れるため安定的・効
率的なケース製造が可能で、さらに自動車内放置等で想
定される70〜90℃の加熱および内圧発生時にもケー
スの変形が少ないため、軽量・安全が要求される小型軽
量の角形Liイオン電池のような電子機器用電池のケー
ス素材として好適な素材を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】電池ケース等のケース用プレス成形素材
として、鉄系材料に代りAl合金を用いることはケース
の軽量化のために有利である。例えば、従来、携帯電話
等に搭載される角形の小型Liイオン二次電池の角型ケ
ースは、複数工程の絞り、しごき加工を組み合わせた多
段のプレス加工により成形されるものであり、スチール
板を成形素材とするのが一般的であったが、軽量化の要
求によりアルミニウム合金板を素材とするものが一部で
実用化されている。この角型電池等のケース用材とし
て、耐食性に優れるAl−Mn系の材料が好適である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】小型Liイオン二次電
池の場合、ケースに陰極と陽極及び電解質の電池構成部
分を充填した後に、このケース上部に蓋部分を接合し、
さらに外側を樹脂で覆った状態で使用される。ここで、
ケースと蓋の接合は現状ではレーザー溶接で行われてい
るが、これを機械的に嵌合して接合することも試みられ
ている。この機械的嵌合は多くの場合曲げ変形を伴う加
工によるが、この曲げ部位での肌荒れに起因する微小ク
ラックが生じる場合がある。また、このケースのプレス
成形時に、不均一な変形により耳の発生が大きくなる
と、材料歩留りが低下して好ましくない。
【0004】また、このようなケースが加熱され内圧が
発生した場合に、フクレ変形が生じる場合がある。たと
えば、角形のLiイオン二次電池等が携帯電話等に搭載
された場合、充電、放電の繰り返しによる発熱や、夏場
の外気温の高い条件での自動車内放置状態を考えると、
最高では70〜90℃の温度にさらされると推定され
る。このような過酷の条件下に長時間置かれると、電池
内部で反応が進み気泡等の発生により内圧が高まってケ
ースにフクレ変形を生じる可能性がある。さらに、この
フクレ変形量が過大になった際には、携帯電話等に組み
込まれた電子部品を圧迫したり、電子部品外側のケース
に変形等の不具合を生じ、また、ケースの蓋部分との溶
接部分等に亀裂を生じた場合には、電池の電解物質等の
漏れを生じ、構成する電子部品に不具合を生じる等の問
題が生じ易くなる。このように、フクレが起ることによ
り電子機器の機能が損われ、場合によっては安全上の問
題が生じることも考えられる。
【0005】従って、アルミニウム製の電池用角形ケー
スの材料には、曲げ性等を含めた成形特性が優れること
と、温度上昇による内圧の増加等によるケースのフクレ
変形が少ないことが求められており、これら特性のバラ
ンスの取れた材料の開発が待たれている。
【0006】本発明は、上記の技術課題を解消して、曲
げ性を含む成形特性に優れ、軽量で温度上昇と内圧の増
加等によるケースのフクレが少ないケース成形素材用A
l−Mn系合金板を提供する事を目的とするものであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、角型の小型
ケースを加熱して内圧を与えたときのフクレは特定部位
への応力集中による塑性変形と、温度および内圧保持中
に進行するクリープ変形により生じることを解明し、曲
げ性などの成形特性に優れ、かつケースが耐加熱加圧フ
クレ性を満足するようなAl−Mn系合金材料の金属組
織上の必要条件や、その具体的な製造方法について種々
検討し、本発明に至った。
【0008】すなわち本第一発明は、Mn0.8〜2%
を含み、Siが0.04〜0.2%に、Feが0.04
〜0.6%に制御され、残部不可避的不純物とAlから
なる組成で、Mn固溶量が0.15%以上で、圧延方向
の耐力YSが 150≦YS[N/mm2]≦64×(Mn固溶量[wt%])+1
70 の範囲にあり、圧延方向断面での結晶粒平均面積が10
0μm2 以上かつ500μm2未満であることを特徴と
する成形特性および耐加熱フクレ性に優れたケース用A
l−Mn系合金板である。また本第二発明は、さらにC
u0.05〜0.25%、Cr0.02〜0.1%を含
むAl−Mn系合金板である。また本第三発明はこれら
の組成の合金を480〜620℃で1〜20h保持する
均質化処理ののち、材料温度が410℃を越えないよう
に制御した熱間圧延を行い、その後、圧下率40〜70
%の最終冷間圧延を施し、さらに160〜210℃で1
〜8hの焼鈍を行うものである。また本第四発明は本第
三発明の熱間圧延後に15〜80%の圧下率の冷間圧延
を施したのち、昇温速度5℃/s以上で380〜580
℃に加熱し、0〜200s保持して直ちに冷却速度5℃
/s以上で降温する条件で中間焼鈍を行う工程を加えた
ものである。また本第五、第六発明は上記発明の最終焼
鈍を昇温・冷却速度を5℃/s以上として210〜26
0℃で0〜200sの焼鈍を行うこととしたものであ
る。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細を説明
する。まず本発明の合金組成について説明する。
【0010】本発明のAl−Mn合金は、Mn0.8〜
2%を含み、不純物元素であるSiが0.04〜0.2
%に、Feが0.04〜0.5%に制御され、必要によ
りCu0.05〜0.25%、Cr0.02〜0.1%
を含み、残部他の不可避的不純物とAlからなる組成と
する。
【0011】Mnは、固溶量を0.15%以上に制御す
ることにより、耐加熱フクレ性向上に寄与する添加元素
である。これは、固溶したMnが加熱・内圧負荷時のク
リープ変形の際の転位移動の抵抗として働くためであ
る。Mn添加量0.8%未満ではこの効果が不足し、ま
た機械的強度も低くなるため不適当である。Mn添加量
2%を越えると粗大な晶出物が多くなり成形性が問題と
なるためケース成形用素材として不適当である。
【0012】Siは、含有量が多いほどMnの析出を促
進する作用を持つ。そこで0.2%を越えてSiを含有
すると固溶Mnによるフクレ防止効果が阻害され、耐加
熱フクレ性が低下するため不適当である。また、Siを
0.04%未満に低減することはこれ以上の特性向上に
結びつかないにもかかわらず、高純度地金を必要とし高
コストとなるので不適当である。
【0013】Feは、多く含むと粗大な晶出物を生じ易
く成形性に問題が生じるので、0.04〜0.6%に制
御する必要がある。Feを0.04%未満に低減するこ
とはこれ以上の特性向上に結びつかないにもかかわら
ず、高純度地金を必要とし高コストとなるので不適当で
ある。Feが0.6%を越えて添加されると、成形性に
悪影響を及ぼすため不適当である。
【0014】0.05〜0.25%のCuを添加するこ
とにより、機械的強度および耐加熱フクレ性が向上す
る。また、Crを0.02〜0.1%添加することで結
晶粒の微細化、安定化がはかられ、機械的強度および耐
加熱フクレ性が向上するとともに、諸特性のバラツキが
低減される。
【0015】このほか、アルミニウム合金の鋳造の際に
一般的に添加されるTi系あるいはTi−B系の微細化
剤に起因するTiは0.1%以下、Bは0.03%以下
の範囲で含んでもよい。なお、Al−Mn合金として生
産量の多いアルミ缶胴材には1%程度のMgが添加され
ており、この缶胴材と同一の設備で溶解鋳造した場合等
にMgが不純物として入ることがあるが、この場合には
一般的な不純物元素の許容量0.05%未満であれば差
支えない。
【0016】次にMn固溶量について説明する。固溶M
nは、クリープ変形における転位の移動に対する抵抗と
して働くことにより、耐加熱フクレ性の向上に寄与す
る。これが0.15%未満であるとMnによる耐加熱フ
クレ性が不十分となる。したがってMn固溶量は0.1
5%以上とする。
【0017】また、本発明のAl−Mn合金板の圧延方
向の耐力は、式1の範囲に制御される。 150≦YS[N/mm2]≦64×(Mn固溶量[wt%])+170 (式1) これより低い耐力であると、成形されたケースに内圧が
かかった時に単なる塑性変形でのフクレが生じやすいた
め不適当である。また、この範囲より高い耐力である
と、成形前の材料中の可動転位の量が多く、結果として
成形後の組織中にある可動転位が多くなるのでクリープ
変形が生じやすいため不適当である。式1のように、耐
力の上限をMn固溶量と関係して規定するのは、固溶M
nが耐力増に寄与している部分をキャンセルして可動転
位量をより直接的に制御するように工夫したものであ
る。
【0018】次に本発明の組織限定について説明する。
本発明のAl−Mn合金板の組織は、圧延方向断面での
結晶粒平均面積が100μm2 以上で500μm2 未満
であることを特徴とする。500μm2 以上であると曲
げ部等で肌荒れや微小クラックを生じるため不適当であ
る。また、クリープ変形には素材中の空孔の拡散が関与
し、拡散が速い場合にクリープ変形がより助長される。
結晶粒が特に小さく粒界が多い場合、粒界を通って拡散
が生じることによりクリープ変形が大きくなる。そこ
で、結晶粒の平均面積が100μm 2 より小さいとクリ
ープ変形によるフクレが増大し不適当である。このため
上記の範囲内と限定する。
【0019】次に本発明の製造方法について説明する。
【0020】鋳造方法は通常の半連続鋳造法(DC法)
および板連続鋳造法(CC法)のいずれも用いることが
できる。高いMn固溶量を容易に実現するにはCC法を
用いるのが有利であるが、諸特性の安定性ではDC材が
有利である。
【0021】鋳造後の均質化処理は480〜620℃で
1〜20h保持する条件で行う。この温度の規定より低
温あるいは短時間の加熱であると、均質化処理の効果が
不十分となり、最終的に粗大な結晶粒の材料となりやす
く、成形時の不均一変形により耳が大きくなるので不適
当である。また、これより高温度での均質化処理は、局
部的な溶融が生じる恐れがあるため不適当である。ま
た、この範囲より長時間であると、Mnの析出が過度に
起り、加熱および内圧負荷時のケースふくれが大きくな
るため不適当である。
【0022】均質化処理後、材料を熱間圧延温度まで冷
却して、連続して熱間圧延を行うことが可能である。ま
た、均質化処理後、十分に材料を冷却し、熱間圧延前に
これを320〜410℃で予備加熱してもかまわない。
後者の場合、均質化処理後に面削加工を行うことも可能
である。
【0023】熱間圧延中の材料温度は、410℃を越え
ないように制御する必要がある。この温度より高くなる
と、熱間圧延中に粗大な再結晶粒が形成され、結果的に
これが最終板の結晶粒を粗大化し、曲げ性などの成形特
性を低下させる恐れがあるため不適当である。また、4
10℃を越える熱間圧延温度ではMnの析出が過度に生
じて、成形されたケースの耐加熱フクレ性が低下するの
で不適当である。熱間圧延では少なくとも50%以上の
圧下を加えることが望ましい。また、予備加熱後、熱間
圧延終了までは1h以内である事が望ましい。
【0024】本発明の一つの製造法としては、熱間圧延
の次に圧下率を40〜70%の最終冷間圧延を施す。圧
下率がこれより低いと、機械的強さが不足し、初期の塑
性変形により大きなフクレが起こってしまうため不適当
である。また70%を越えると、耐力などの機械的強度
は高くなるが成形が困難となり、また多くの可動転位を
組識中に含み最終的に成形された後のケースでも可動転
位が多くなるため、クリープ変形が起こりやすくなりフ
クレの発生を招くので不適当である。
【0025】また、本発明の別の方法としては、熱間圧
延後15〜80%の圧下率の冷間圧延を行ない、急速加
熱冷却による中間焼鈍を施し、次に圧下率40〜70%
の冷間圧延を施すものである。中間焼鈍前の冷間圧延の
圧下率は15%より低いと中間焼鈍での再結晶が不安定
となり安定した特性が得られず、80%より大きいと中
間焼鈍時の再結晶粒が過度に細かくなる恐れがある。中
間焼鈍は昇温5℃/s以上で380〜580℃に加熱
し、0〜200s保持して直ちに冷却速度5℃/s以上
で降温する条件で行うが、この様な急速加熱冷却による
焼鈍方法でないとMnの析出が生じ、Mn固溶量が低く
なるので不適当である。この中間焼鈍は、連続焼鈍ライ
ン(CAL)により実施することが望ましい。なお0s
の保持とは、所定温度に到達後に保持すること無しに直
ちに冷却することを意味する。中間焼鈍後の最終冷間圧
延での圧下率を40〜70%とする。これより低いと機
械的強さが不足するし、これに伴い初期の塑性変形によ
り大きなフクレが起こってしまうため不適当である。一
方70%を越えると、耐力などの機械的強度は高くなる
がプレス成形が困難となり、また多くの可動転位を組識
中に含み最終的に成形された後のケースでも可動転位が
多くなるためクリープ変形が起こりやすくなるので不適
当である。
【0026】冷間圧延後に最終焼鈍を行うが、これは成
形特性を確保した上でケースの耐加熱加圧フクレ性を向
上させるために必要な工程である。すなわち、この焼鈍
により圧延加工で導入された可動転位が低減するか、あ
るいは固溶Mnが微細な偏析状態を形成し、これが転位
の移動に対する抵抗として働くことにより、クリープ変
形が抑制されるのである。この最終焼鈍では、昇温・冷
却速度10〜100℃/h、焼鈍温度160〜210
℃、保持時間1〜8hの焼鈍条件、あるいは昇温・冷却
速度を5℃/s以上として210〜260℃で0〜20
0sとする焼鈍条件が好適である。前者はバッチ式の焼
鈍装置により行うのに適した条件で、後者は急速加熱お
よび冷却が可能な連続焼鈍ライン(CAL)により実施
するのに適した条件である。ここで、規定温度より低い
か保持時間が短いと十分なケースの耐加熱加圧フクレ性
向上が達成されず、逆に規定温度より高いか保持時間が
長すぎると機械的強度が低下してしまうので不適当であ
る。なお0sの保持とは、所定温度に到達後に保持する
こと無しに直ちに冷却することを意味する。
【0027】本発明の合金板を用いたケースの成形法
は、特に限定するものではないが、本発明材は絞りおよ
びしごきを組み合せた多段プレス成形に対して好適であ
る。ケースに対する蓋の接合方法として、本発明材を用
いれば機械的な圧着による方法を採用できるが、レーザ
ー溶接や接着法を用いることもできるし、これらを組み
合せて用いる場合に対しても本発明材は好適である。
【0028】
【実施例】表1に示す本発明規定組成の合金をDC法で
鋳造し、表2の条件で0.8mmの圧延板とした。なお
表1に示す合金のうち合金AはAl缶材のリサイクル材
と同一炉での鋳造により本発明の不可避的的不純物レベ
ルのMgが混入したものを想定したものである。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】できた圧延板のMn固溶量を以下の手順の
フェノール抽出分析で測定した。 1)試料を0.5g採取 2)無水フェノール100ml中で170〜180℃×3
0min溶解 3)10min空気中で放冷 4)フェノール凝固防止のため140℃でベンジルアルコ
ール50ml添加 5)冷却 6)一定体積(250ml)となるようベンジルアルコー
ルで希釈 7)ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターとポア
サイズ0.02μmの陽極酸化膜フィルターで濾過 8)濾液を原子吸光分析しMn固溶量を算出 また、材料の耳率はスイフトカップ試験方法に準じて以
下の条件でカップの絞り加工を行い、耳率=(山部分の
平均値−谷部分の平均値)/(谷部分の平均値)として
測定した。 絞りダイス−−内径=34.6mmφ、肩r=8mm 絞りポンチ−−内径=32.0mmφ、肩r=4mm しわ押さえ力−−200kg ブランク径−−56mmφ(絞り比1.75) 潤滑剤−−ジョンソンワックス#700 次に材料を多段プレス成形機により、図1のような厚さ
8mm、幅30mmで角がR2mmの断面を持ち、高さ
50mmの角型ケースとした。次いで、ケース端部を切
断し、送圧管のついた蓋と機械的に接合した。この際、
図1のようにケース開口部の端を0.6mmの蓋材を挟
んだ状態で180゜曲げして、曲げ部分のクラックの発
生を目視観察し、○クラックなし、×クラック発生で評
価した。次いで、Liイオン電池が自動車車内に放置さ
れて高温になり電池内容物の反応により内圧が生じた状
態を模して、このケースを85℃で保持しながら、2k
g/cm2 の内圧をかけ24h保持する加熱内圧フクレ
試験を実施し、フクレが最大となった部位でフクレ量を
測定した。ここでフクレ量とはケース外形における厚さ
の増加量を意味し、試験前のケース厚さと、加熱内圧付
加して所定時間保持した後に除圧し室温に冷却した後の
ケース厚さとの差である。それらの結果を表3に示す。
なお表には固溶Mn量を元に本発明における耐力値の限
定式 150≦YS[N/mm2]≦64×(Mn固溶量[wt
%])+170 の右項の計算値も掲げた。
【0032】
【表3】
【0033】表に示すように比較例ではケース成形段階
で割れが生じたり、曲げ部での肌荒れによる微小クラッ
クが生じたのに対し、本発明実施例のものはすべて問題
なく成形でき、優れた成形性を有していることを示して
いる。また本発明材はいずれも耳率が低く歩留りの良い
プレス成形に適することがわかる。また本発明実施例の
フクレ量は比較例と比べて格段に少なく、耐加熱フクレ
性に優れることが明らかである。これに対して比較例の
NG1はMn量が本発明の規定より少ないものであり、
その結果Mn固溶量が少なくなり、耐力が低くフクレが
大きくなってしまったものである。またNG2はMn量
が本発明の規定より多いものであり、ケース成型時に割
れが発生してしまい耳率の測定ができず、またその後の
加熱内圧フクレ試験は行っていない。NG3はSi量が
高いもので、Mn固溶量が少なくフクレが大きくなって
いるものである。NG4はSi量,Fe量ともに高いも
ので、Mn固溶が少なく、耐力が大きすぎ、フクレが大
きくなっているものである。NG5は合金組成は本願発
明の範囲を満たしているが、均質化処理温度が低温で、
また最終焼鈍が無いものであり、結晶粒が粗大化してお
り曲げ性が低下してクラックが発生しており、このため
加熱内圧フクレ試験は行っていない。NG6は均質化処
理温度が低温で中間焼鈍と冷間圧延を施したものの最終
焼鈍が無いものであり、結晶粒が粗大化しており曲げ性
が低下してクラックが発生しており、このため加熱内圧
フクレ試験は行っていない。NG7は均質化処理温度が
低温のもので結晶粒が粗大化しており曲げ性が低下して
クラックが発生しており、このため加熱内圧フクレ試験
は行っていない。NG8は最終焼鈍なしのもので、耐力
が大きくフクレが大きくなっている。NG9は熱延温度
が本発明の範囲を超えて高温のもので、Mn固溶量が少
なく、耐力が大きく、フクレ量が大きくなってしまって
いる。NG10は最終焼鈍なしのもので、耐力が大き
く、フクレ量が大きくなっている。NG11は最終焼鈍
温度が本発明の規定より低温のもので、耐力が大きく、
フクレ量も大になっている。NG13は冷間圧延率が大
きいもので、耐力が高くフクレ量も大となっている。N
G14は最終焼鈍温度が本発明の範囲より高温のもの
で、耐力が低くフクレ量が大となっている。このように
本発明の範囲から外れたものは成形性や耳率で問題があ
るかあるいはフクレ量が大きくなってしまっている。
【0034】
【発明の効果】以上述べたように、本発明のAl−Mn
系合金は、適切に制御された金属組織を持つことによ
り、曲げ性を含めた成形特性に優れると同時に、これを
素材としたケースでは、固溶Mnによる加熱内圧負荷時
の転位移動抵抗の増加と可動転位の低減によりクリープ
変形が起こりにくくなり、加熱および内圧が作用する場
合のフクレが低減されている。従って本発明に係るAl
−Mn系合金板は軽量・安全が要求される小型軽量の角
形Liイオン電池のような電子機器用電池のケース素材
として好適なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の加熱内圧フクレ試験方法を示す平面図
ならびに断面図である。
【符号の説明】
1‥‥‥ケース 2‥‥‥蓋 3‥‥‥送圧管
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C22F 1/00 682 C22F 1/00 682 683 683 685 685Z 686 686A 691 691B 691C 691A 692 692A 694 694A 694B H01M 2/02 H01M 2/02 A

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Mn0.8〜2%を含み、Siが0.0
    4〜0.2%に、Feが0.04〜0.6%に制御さ
    れ、残部不可避的不純物とAlからなる組成で、Mn固
    溶量が0.15%以上で、圧延方向の耐力YSが 150≦YS[N/mm2]≦64×(Mn固溶量[wt%])+1
    70 の範囲にあり、圧延方向断面での結晶粒平均面積が10
    0μm2 以上かつ500μm2未満であることを特徴と
    する成形特性および耐加熱フクレ性に優れたケース用A
    l−Mn系合金板。
  2. 【請求項2】 Mn0.8〜2%を含み、Siが0.0
    4〜0.2%に、Feが0.04〜0.6%に制御さ
    れ、さらにCu0.05〜0.25%、Cr0.02〜
    0.1%を含み、残部不可避的不純物とAlからなる組
    成で、Mn固溶量が0.15%以上で、圧延方向の耐力
    YSが 150≦YS[N/mm2]≦64×(Mn固溶量[wt%])+1
    70 の範囲にあり、圧延方向断面での結晶粒平均面積が10
    0μm2 以上かつ500μm2未満であることを特徴と
    する成形特性および耐加熱フクレ性に優れたケース成形
    素材用Al−Mn系合金板。
  3. 【請求項3】 480〜620℃で1〜20h保持する
    均質化処理ののち、材料温度が410℃を越えないよう
    に制御した熱間圧延を行い、その後、圧下率40〜70
    %の最終冷間圧延を施し、さらに160〜210℃で1
    〜8hの焼鈍を行うことを特徴とする請求項1および請
    求項2記載の成形特性および耐加熱フクレ性に優れたケ
    ース成形素材用Al−Mn系合金板の製造方法。
  4. 【請求項4】 480〜620℃で1〜20h保持する
    均質化処理ののち、材料温度が410℃を越えないよう
    に制御した熱間圧延を行い、次いで15〜80%の圧下
    率の冷間圧延を施したのち、昇温速度5℃/s以上で3
    80〜580℃に加熱し、0〜200s保持して直ちに
    冷却速度5℃/s以上で降温する条件で中間焼鈍を行
    い、その後、圧下率40〜70%の最終冷間圧延を施
    し、さらに昇温・冷却速度を10〜100℃/hとして
    160〜210℃で1〜8hの焼鈍を行うことを特徴と
    する請求項1および請求項2記載の成形特性および耐加
    熱フクレ性に優れたケース成形素材用Al−Mn系合金
    板の製造方法。
  5. 【請求項5】 480〜620℃で1〜20h保持する
    均質化処理ののち、材料温度が410℃を越えないよう
    に制御した熱間圧延を行い、その後、圧下率40〜70
    %の最終冷間圧延を施し、さらに昇温・冷却速度を5℃
    /s以上として210〜260℃で0〜200sの焼鈍
    を行うことを特徴とする請求項1および請求項2記載の
    成形特性および耐加熱フクレ性に優れたケース成形素材
    用Al−Mn系合金板の製造方法。
  6. 【請求項6】 480〜620℃で1〜20h保持する
    均質化処理ののち、材料温度が410℃を越えないよう
    に制御した熱間圧延を行い、15〜80%の圧下率の冷
    間圧延を施したのち、昇温速度5℃/s以上で380〜
    580℃に加熱し、0〜200s保持して直ちに冷却速
    度5℃/s以上で降温する条件で中間焼鈍を行い、その
    後、圧下率40〜70%の最終冷間圧延を施し、さらに
    昇温・冷却速度を5℃/s以上として210〜260℃
    で0〜200sの焼鈍を行うことを特徴とする請求項1
    および請求項2記載の成形特性および耐加熱フクレ性に
    優れたケース成形素材用Al−Mn系合金板の製造方
    法。
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