JPH11348048A - 基板成形用金型 - Google Patents

基板成形用金型

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JPH11348048A
JPH11348048A JP15795598A JP15795598A JPH11348048A JP H11348048 A JPH11348048 A JP H11348048A JP 15795598 A JP15795598 A JP 15795598A JP 15795598 A JP15795598 A JP 15795598A JP H11348048 A JPH11348048 A JP H11348048A
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JP
Japan
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area
stamper
substrate
css
region
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JP15795598A
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English (en)
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Osami Morita
修身 森田
Takehisa Ishida
武久 石田
Nobuo Suematsu
伸雄 末松
Yoshinari Kawashima
良成 川島
Akira Koshimura
章 越村
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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  • Manufacturing Of Magnetic Record Carriers (AREA)
  • Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)
  • Magnetic Record Carriers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヘッドスライダとの摩耗を極力減らすことが
できて繰り返し耐久性を向上することができるような記
録媒体の樹脂製基板を成形し得る基板成形用金型を提供
する。 【解決手段】 スタンパ1は、樹脂材料よりなる基板上
に少なくとも記録層が形成されてなり、回転時に記録再
生素子を備えた浮上状態のヘッドスライダにより情報信
号の記録及び/又は再生が行われる情報記録領域と停止
時にヘッドスライダが接触する接触領域とを媒体表面に
有する記録媒体における、上記基板を成形するのに用い
られるものである。このスタンパ1は、成形面に、記録
媒体の情報記録領域に対応する情報記録領域形成域2
と、記録媒体の接触領域に対応する接触領域形成域3と
を有する。そして、この接触領域形成域3には、凹部3
aが規則的に配列された所定の凹凸パターンが形成され
るとともに、これら凹部3aの占める面積が接触領域形
成域3全体の面積の0.8%〜5.75%となされてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回転駆動されてい
ないときにヘッドスライダが接触する所定領域を媒体表
面に有する記録媒体の樹脂製基板を成形する際に用いら
れる基板成形用金型に関するものである。特に、基板成
形用金型の上記所定領域に対応する領域の形状改良に関
する。
【0002】
【従来の技術】磁気ディスクの分野では、高記録密度化
が年々スピードを増して進められており、特に、近年で
は、年当たりに60%増の割合で高記録密度化が図られ
ている。この磁気ディスクにおける高記録密度化は、例
えば、磁気抵抗効果型磁気ヘッド等の採用や磁性材料の
改良によって実現されている。
【0003】また、磁気ディスク等の磁気記録媒体の高
記録密度化は、磁気ヘッドと磁気記録媒体との距離を小
さくすることによっても実現されている。具体的には、
この磁気ヘッドと磁気記録媒体との距離、いわゆるスペ
ーシングは、例えば、約50nm以下まで小さくなされ
ている。このような小さなスペーシングを達成するため
には、磁気記録媒体の表面がそのスペーシング以下の表
面粗さでなければならず、鏡面が望ましいとされてい
る。
【0004】ところが、近年の磁気記録装置において
は、磁気ディスクが回転駆動されていないときにヘッド
スライダが磁気ディスク面に着地して接触している方式
である、いわゆるコンタクトスタートストップ(以下、
CSSと称する。)方式が採用されているため、磁気記
録媒体の全面が鏡面になされていると、磁気記録媒体と
ヘッドスライダとの接触面積が増大し、スティクション
を起こしてしまうことがある。
【0005】そこで、この磁気記録媒体表面の鏡面化と
CSS方式とを両立させるため、例えば、近年の磁気デ
ィスクでは、ディスク面において、情報信号が記録され
る環状の領域(以下、情報記録領域と称する。)と、こ
の情報記録領域の内周側に形成され磁気ディスクが回転
駆動されていないときにヘッドスライダが着地して接触
する環状の所定領域(以下、CSS領域と称する。)と
が予め別に設けられている。
【0006】すなわち、磁気ディスク面において、情報
記録領域では、その表面が鏡面化されて50nm以下の
スペーシングを実現している。一方、CSS領域では、
スティクションが起こらない程度に表面を粗らすこと
(以下、テクスチャと称する。)により、CSS領域で
のヘッドスライダの離着陸の耐久性(以下、CSS耐久
性と称する。)を改善している。
【0007】従来、上記CSS領域のテクスチャ法とし
ては、例えば、研磨テープでディスク基板表面を研磨す
る研磨法が用いられていた。しかしながら、この方法を
用いると、表面が鏡面となされた情報記録領域の平均高
さ面よりも、研磨法でテクスチャされた上記CSS領域
の平均高さ面の方が、低くなってしまう。
【0008】その結果、CSS領域上を浮上しているヘ
ッドスライダがCSS領域から情報記録領域に移動する
際に、ヘッドスライダが傾いたり、極度な場合には、情
報記録領域の側面に衝突して破損することさえあった。
【0009】これに対して、CSS領域のテクスチャを
凸状のピットにより形成する方法が、R.Ranjan
らによって1991年に提案されている。(“Laser Te
xturing for low-fly-height media",J.Appl.Phys.69
(8),15April 1991)R.Ranjanらによれば、レー
ザ光を用いて、アルミニウム基板上にクレータ状のピッ
トを形成し、このピットの密度を調節することにより、
情報記録領域の平均高さ面とCSS領域の平均高さ面と
の差を調整することができる。これにより、CSS領域
から情報記録領域へのヘッドスライダの移動も何ら支障
なく行うことが可能となる。
【0010】しかし、この技術では、レーザ光を用いて
CSS領域にクレータ状のピットを形成するため、レー
ザ光が透過しない不透明な基板しか用いることができ
ず、レーザ光が透過するような従来から用いられるガラ
ス基板や樹脂製の基板を用いることができないという問
題がある。
【0011】また、上述のようなレーザ光を用いる方法
ではなく、射出成形によりCSS領域に凸状のピットを
形成してCSS領域のテクスチャを行う方法も提案され
ている。この射出成形によりCSS領域に凸状ピットを
形成する方法では、基板上のCSS領域に形成するピッ
トの位置と対応する位置に凹状の窪みを形成したスタン
パを用いる。そして、このスタンパを用いて射出成形に
より成形してなる基板は、スタンパに形成された凹状の
窪みに樹脂が充填されるので、CSS領域に凸状のピッ
トが形成されることになる。
【0012】ここで、このスタンパは、従来の光ディス
ク用の樹脂製基板を射出成形により作製する際に用いら
れるスタンパと同様に、以下に示すような工程にて作製
されるものである。
【0013】先ず、ガラス原盤上に、例えば、ポジ型の
レジストを塗布する。このガラス原盤は、鏡面に仕上げ
られている。よって、塗布されたレジストの表面は、ガ
ラス原盤の表面性を反映して鏡面となされる。次に、こ
のレジストにレーザ光を照射させて、所定パターンのピ
ットを描画する。その後、この描画したレジストに対し
て現像を行う。これにより、レーザ光が照射された領域
のレジストが現像後に流れ落ち、レーザ光が照射されて
いない領域のレジストが残る。
【0014】次に、現像されたガラス原盤及び残存する
レジスト上に、ニッケルの無電解メッキを施す。これに
より、ガラス原盤及び残存するレジスト上にニッケルが
堆積してニッケルからなるメッキ層が形成され、スタン
パの原形が作製される。
【0015】次に、成形時の圧力に耐え得るようにスタ
ンパの厚みを増すために、この無電解メッキしたニッケ
ルからなるメッキ層上に電解メッキを施して電解メッキ
層を形成する。
【0016】最終的に、この無電解メッキ層及び電解メ
ッキ層をガラス原盤及び残存するレジスト層から剥離す
れば、ニッケルからなるスタンパが得られる。
【0017】このようにして、CSS領域に対応する位
置に凹状の窪みが形成されたスタンパが得られる。この
とき、このスタンパに形成される凹状の窪みの深さを調
節することにより、凹状窪みの密度を変化させることが
でき、その結果、このスタンパを用いて成形される基板
のCSS領域における平均高さを自由に調節することが
可能となる。
【0018】なお、上記スタンパ上の凹状窪み同士の間
に形成される凸状のピットは、その表面がガラス原盤の
表面を反映しており、凸状のピットが形成されていない
他のスタンパの領域の表面性と同等である。また、この
スタンパに凹状窪みを形成したからといって、窪みが形
成されていないスタンパの領域には、何ら影響を与えな
い。つまり、スタンパの表面全体を粗すようなことはな
いので、このスタンパを用いて成形される基板の情報記
録領域において、スペイシングを小さくすることを妨げ
ることはない。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の工程により製造されたスタンパでは、CSS領
域に対応する領域が凹部を有し、その表面が鏡面となさ
れている。このため、このスタンパを用いて成形したデ
ィスク基板においては、上記の凹部に対応するCSS領
域の凸部の表面が鏡面となされるため、ヘッドスライダ
とCSS領域との接触面積が大きくなり、ヘッドスライ
ダとCSS領域とのスティクションが発生してしまうと
いった問題があった。
【0020】そこで、CSS領域に形成されるピットの
ヘッドスライダと接触する表面に、更に小さい凹凸をつ
けることにより、ヘッドスライダとCSS領域のピット
との真実接触面積を小さくする方法が考えられる。
【0021】具体的には、その方法としては、従来から
用いられる研磨テープを用いてのテクスチャ法やレーザ
光を用いたテクスチャ法を適用すれば良い。これら方法
によれば、テクスチャを各基板毎に施して、CSS領域
に形成されるピット表面に更に小さい凹凸を形成するこ
とになる。
【0022】しかし、これらの方法では、ピットそのも
のを破壊する可能性もあり、数十μmの大きさのピット
上に更に小さな凹凸を付けるような小さなピット形成に
は向いていない。また、上記方法では、両者とも基板一
枚毎にテクスチャを施すため、装置を新たに購入する等
の負担増にもつながる。
【0023】そこで、本発明者は、上述したような研磨
テープやレーザ光を用いてのテクスチャ法ではなく、特
願平9−46673号にて示したように、スタンパ上の
CSS領域に対応する領域に物理的エッチングを施すこ
とにより微小な凹凸を形成し、このように形成されるス
タンパを用いることにより、成形される基板のCSS領
域に形成される凸部の表面にテクスチャを施す方法を提
案している。この方法によれば、テクスチャを各基板毎
に施す必要がなく、物理的エッチングにより微小な凹凸
が形成されたスタンパを用いて複数の基板にテクスチャ
を施すことができ、結果的にCSS耐久性に優れたディ
スク基板を生産効率良く製造することができる。
【0024】ところで、磁気ディスク等の記録媒体は、
基板上に記録層が形成されてなるが、この基板としてア
ルミニウム等の金属材料の他に、樹脂材料を用いて作製
されるものもある。特に、樹脂製の基板は、アルミニウ
ム等の金属材料を用いた金属製の基板のように製造工程
中に研磨工程を必要としないため、金属製の基板よりも
安価であり、しかも所望の凹凸パターンを射出成形等の
容易な方法により成形可能なことから、実用上非常に注
目されている。
【0025】しかしながら、CSS領域に対応する領域
に物理的エッチングを施してスタンパを作製し、このス
タンパを用いることにより基板を作製する上述の方法、
即ち特願平9−46673号にて示した方法では、樹脂
製の基板を作製する場合、以下に示すような問題が生じ
る。図20に、樹脂製の基板を有する従来の記録媒体1
00に生じる問題を説明する断面図を示す。
【0026】すなわち、このようなスタンパを用いて成
形してなる樹脂製の基板では、基板のCSS領域に形成
される凸部のヤング率が、従来基板材料として多用され
てきたアルミニウム等の金属のヤング率よりも非常に小
さい。そのため、樹脂製の基板を有する記録媒体100
では、CSS領域101に凸部101aを形成すること
により、CSS領域101とヘッドスライダ102との
接触面積を低減させるはずが、実際には、図20に示す
ように、この凸部101aがヘッドスライダ102に加
えられている荷重を支えきれずに弾性変形を起こし、C
SS領域101とヘッドスライダ102との接触面積が
当初設計した接触面積よりも大きくなってしまう場合が
ある。その結果、ヘッドスライダ102とCSS領域1
01との間に大きな摩擦が生じてしまい、繰り返し耐久
性が悪化してしまうという問題がある。
【0027】よって、樹脂製の基板を有する記録媒体に
おいて、記録媒体のCSS領域とヘッドスライダとの摩
擦を極力小さくして、繰り返し耐久性を向上させるに
は、記録媒体のCSS領域に形成される凸部の設計を行
う際に、記録媒体のCSS領域とヘッドスライダとの接
触面積を単に計算して設計するだけではなく、CSS領
域に形成される凸部の弾性変形をも十分考慮する必要が
ある。
【0028】すなわち、樹脂製の基板を成形する基板成
形用金型において、基板に形成する凸部に対応する凹部
を設計する際に、この基板成形用金型を用いて成形され
る基板に形成される凸部の弾性変形をも十分考慮する必
要がある。
【0029】そこで、本発明は、このような実情に鑑み
てなされたものであり、ヘッドスライダとの摩耗を極力
減らすことができて繰り返し耐久性を向上することがで
きるような記録媒体の基板を成形し得る基板成形用金型
を提供することを目的とする。
【0030】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成する
本発明に係る基板成形用金型は、樹脂材料よりなる基板
上に少なくとも記録層が形成されてなる記録媒体の上記
基板を成形するのに用いられるものである。ここで、上
記記録媒体は、回転時に記録再生素子を備えた浮上状態
のヘッドスライダにより情報信号の記録及び/又は再生
が行われる情報記録領域と、停止時にヘッドスライダが
接触する接触領域とを、媒体表面に有するものである。
【0031】そして、本発明に係る基板成形用金型は、
成形面に、上記記録媒体の情報記録領域に対応する領域
と、上記記録媒体の接触領域に対応する領域とを有し、
上記接触領域に対応する領域において、凹部が規則的に
配列された所定の凹凸パターンが形成されるとともに、
これら凹部の占める面積が上記接触領域に対応する領域
全体の面積の0.8%〜5.75%となされていること
を特徴とするものである。
【0032】このように、本発明に係る基板成形用金型
は、ヘッドスライダが接触する記録媒体上の接触領域に
対応する領域に所定の凹凸パターンが形成されており、
この凹凸パターンのうちの凹部の面積が、成形される樹
脂製基板の弾性変形を十分考慮して規定されている。そ
のため、本発明に係る基板成形用金型を用いて成形され
た基板を有する記録媒体は、弾性変形しやすい樹脂製基
板を有するにもかかわらず、ヘッドスライダと上記接触
領域との接触面積が最適化される。よって、本発明に係
る基板成形用金型によれば、ヘッドスライダとの摩擦が
極力抑えられた記録媒体用の基板が得られる。
【0033】しかも、本発明に係る基板成形用金型は、
樹脂材料を用いて基板を成形するため、例えば、従来多
用されていた金属製の基板を製造するの場合とは異な
り、製造工程中に研磨工程を要しないために安価に基板
を成形するすることが可能であり、また射出成形等の容
易な方法により基板上に所望の凹凸パターンを形成する
ことが可能である。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下で
は、本発明を適用した基板成形用金型として、射出成形
装置の金型部内に設置するスタンパを取り挙げるが、本
発明を適用した基板成形用金型は、例えば、射出成形装
置の金型部の成形面に直接所定の凹凸パターンを形成し
たものであっても構わない。
【0035】図1は、本発明を適用したスタンパ1の斜
視図である。図2は、本発明を適用したスタンパ1を用
いて成形された樹脂製ディスク基板を有する磁気ディス
ク10の断面図である。図3は、本発明を適用したスタ
ンパ1を用いて成形された樹脂製ディスク基板を有する
磁気ディスク1の斜視図である。図4は、本発明を適用
したスタンパ1の要部断面を示す斜視図である。図5
は、本発明を適用したスタンパ1の断面図である。
【0036】本発明を適用したスタンパ1は、樹脂製の
ディスク基板を成形する際に射出成形装置内に設置され
て、ディスク基板の少なくとも一主面を形成するために
用いられるものであり、図1に示すように、円盤状を呈
しており、中央部に成形後のディスク基板の中心孔と略
同径な中心孔1aが設けられている。
【0037】そして、例えば、図2に示すように、この
スタンパ1によって射出成形された樹脂製のディスク基
板13上に、スパッタリング等の従来公知の薄膜形成方
法により磁性層14等が形成されることによって、磁気
ディスク10が作製される。ここで、ディスク基板13
の樹脂材料としては、例えば、ポリカーボネート系樹脂
が代表的であるが、従来公知の樹脂材料が何れも使用可
能である。また、磁性層14の材料としては、例えば、
γ−Fe23,Co−γ−Fe23,Co−Pt−Cr
等の従来公知の磁性層材料が挙げられる。
【0038】また、この磁気ディスク10は、図3に示
すように、ディスク面10aにおいて、回転時に記録再
生素子を備えた浮上状態のヘッドスライダにより情報信
号の記録及び/又は再生が行われる情報記録領域11
と、停止時にヘッドスライダが接触するCSS領域12
とを有するものであある。
【0039】よって、このディスク基板13を成形する
スタンパ1は、図1に示すように、その一主面1bにお
いて、磁気ディスク面10aにおける情報記録領域11
に対応する環状の情報記録領域形成域2と、この情報記
録領域形成域2の内周側に位置されてCSS領域12に
対応する環状のCSS領域形成域3とから構成される。
ここで、スタンパ1の表面は、後述するような射出成
形装置内の金型部に設置されてディスク基板の少なくと
も一方の主面を形成する成形面となる。詳しくは、この
スタンパ1は、情報記録領域形成域2がディスク基板1
3の情報記録領域を形成するとともに、CSS領域形成
域3がディスク基板13のCSS領域を形成する。
【0040】そして、本発明のスタンパ1は、図4及び
図5に示すように、このCSS領域形成域3に凹部3a
が規則的に配列された所定の凹凸パターンが形成される
とともに、情報記録領域形成域2に記録トラックに沿っ
た凹凸パターンが形成されている。なお、本発明のスタ
ンパ1は、CSS領域形成域3に所定の凹凸パターンが
形成されているものであれば、情報記録領域形成域2が
平滑面とされていても良い。
【0041】また、このスタンパ1は、例えば、Ni等
の金属材料から構成される。そして、このスタンパ1
は、後述するように、物理的エッチングを施されること
によって、上記所定の凹凸パターンが形成されるもので
ある。図6に、図5中の範囲Xの拡大図を示す。そし
て、このスタンパ1のCSS領域形成域3に形成される
少なくとも凹部3aの底部は、図6に示すように、その
表面3a0が物理的エッチングによって粗くなされ、つ
まりテクスチャされている。
【0042】特に、本発明のスタンパ1は、CSS領域
形成域3に形成される凹凸パターンのうちの凹部3aの
占める面積が、CSS領域形成域3全体の面積に対して
0.8%〜5.75%、好ましくは、1.5%〜4.7
5%となるように設計されている。しかも、本発明のス
タンパ1は、CSS領域形成域3に形成される凹凸パタ
ーンのうちの凹部3a同士の間隔Lが、2.5μm〜1
8μm、好ましくは、3.0μm〜16.5μmとなる
ように設計されている。
【0043】なお、ここで、上記凹部3aとは、図6に
示す凹部の底部表面3a0を示している。そして、上記
凹部3a0の示す面積とは、CSS領域形成域3に形成
される凹部の底部表面3a0全ての面積の総和を意味す
る。また、図6に示したように、スタンパ1は、物理的
エッチングにより所定の凹凸パターンが形成されるた
め、実際には、凹部の底部表面3a0がテクスチャされ
ているが、凹部の面積としては、凹部の底部表面3a0
がほぼ平滑な面であると仮定するものとする。これは、
この凹部の底部表面3a0におけるテクスチャの程度
は、小さいため、上記のように仮定しても問題ないと考
えられるためである。
【0044】したがって、本発明のスタンパ1を用いて
射出成形してなるディスク基板13を有する磁気ディス
ク10は、スタンパ1上の凹部に樹脂材料が充填されて
凸部が成形されることから、図2に示すように、情報記
録領域11において記録トラックに沿った凹凸パターン
が形成されるとともに、CSS領域12において所定の
凹凸パターンが形成されてなる。
【0045】そして、この磁気ディスク10は、CSS
領域12に形成される凹凸パターンのうちの凸部12a
の占める面積が、CSS領域12全体の面積に対して
0.8%〜5.75%、好ましくは、1.5%〜4.7
5%となされる。また、磁気ディスク10は、CSS領
域12において形成される凹凸パターンのうちの凸部1
2a同士の間隔l0が、2.5μm〜18μm、好まし
くは、3.0μm〜16.5μmとなされる。
【0046】以上述べたように、本発明のスタンパ1
は、CSS領域形成域3に形成される凹部3aの面積の
割合や凹部3a同士の間隔Lが規定されている。そのた
め、このスタンパ1を用いて成形されるディスク基板を
有する磁気ディスク10は、CSS領域12に形成され
る凸部12aの面積の割合や凸部12a同士の間隔l0
が同様に規定されることになる。このように、スタンパ
1のCSS領域形成域3に形成される凹部3aの面積の
割合や凹部3a同士の間隔Lが規定される理由は、以下
に示す理由によるものである。
【0047】まず、磁気ディスク10において、CSS
領域12に形成される凸部12aの割合について検討す
る。一般に、CSS耐久性は、ヘッドスライダとCSS
領域12との間に働く摩擦力の大小によって決定され
る。つまり、この摩擦力が大きければ、CSS耐久性は
劣り、摩擦力が小さければ、CSS耐久性は優れること
になる。よって、CSS耐久性を向上させるには、ヘッ
ドスライダとCSS領域12との間に働く摩擦力を小さ
くすれば良い。
【0048】ここで、この摩擦力は何によって決定され
るのかといえば、情報記録装置の場合には、上述したよ
うにヘッドスライダと磁気ディスク面10aのCSS領
域12との真実接触面積により決定される。すなわち、
一般的に、磁気ディスク10のCSS領域12とヘッド
スライダとの間に働くCSS時における摩擦力を低減さ
せるには、磁気ディスク10のCSS領域とヘッドスラ
イダとの真実接触面積を単に減少させれば良いと考えら
れる。
【0049】しかし、樹脂製基板のように軟らかい材料
からなる基板を有する磁気ディスク10では、磁気ディ
スク10のCSS領域12とヘッドスライダとの真実接
触面積を減少させすぎると、その真実接触面積だけでは
ヘッドスライダに加えられている荷重を支えきれなくな
り、荷重を支えていた箇所が弾性変形を起こしてしま
い、結果的に真実接触面積が増加して、摩擦力も増加し
てしまう。
【0050】言い換えれば、このことから、横軸に真実
接触面積をとり、縦軸に摩擦力をとると、樹脂製のディ
スク基板13を有する磁気ディスク10においては、磁
気ディスク10とヘッドスライダとの真実接触面積が大
きいとこれらの間に働く摩擦力が大きくなり、真実接触
面積が極端に小さくても摩擦力は大きくなるという極小
値をもつグラフになると考えられる。
【0051】よって、磁気ディスクとヘッドスライダと
の真実接触面積を考慮する場合、樹脂製のディスク基板
13を有する磁気ディスク10では、他の金属製基板を
有する記録媒体と異なり、樹脂製のディスク基板13、
特に凸部12aの弾性変形を考慮する必要がある。
【0052】したがって、このように、CSS領域12
に凸部12aが形成される磁気ディスク10を作製する
ためには、この磁気ディスク10のディスク基板用スタ
ンパ1を作製する際に、CSS領域形成域3に形成する
凹部3aを、成形後のCSS領域12に形成される凸部
12aの弾性変形を考慮して設計しなければならないと
いえる。
【0053】すなわち、スタンパ1のCSS領域形成域
3に形成する凹部3aを設計するに際して、成形後の磁
気ディスク10とヘッドスライダとの真実接触面積を樹
脂製ディスク基板13の弾性変形を考慮して適正な値に
設計しなければ、単に接触面積を減少させただけでは、
摩擦力の低減には、ひいてはCSS耐久性の向上にはつ
ながらないこととなる。
【0054】つぎに、スタンパ1のCSS領域形成域3
に形成される凹部3a同士の間隔Lについて検討する。
なお、ここで、考慮すべき現象としては、上述の樹脂製
のディスク基板による弾性変形の他に、メニスカス力が
挙げられる。このメニスカス力とは、微小な隙間に液体
が入り込み、その液体が真実接触面積を増大させる力で
ある。この力は、一般に表面張力に依存するものであ
る。図7に、メニスカス力を説明する断面図を示す。
【0055】図7から分かるように、液体15が凸部1
6の側面からせり上がり、被接触物18と接触対象物1
7との実質的な接触面積、つまり真実接触面積が大きく
なっている。詳しくは、このとき、真実接触面積は、凸
部16と接触対象物17との接触面積saと、液体15
が凸部16をせり上がって接触対象物17と接触する面
積sbとの和となる。ここで、このせり上がった領域の
半径(r)は、表面張力と、接触対象物17及び被接触
物18の隙間lとによって決まり、接触面積saの大き
さや形状とは無関係である。このような液体のせり上が
りによる液体15と接触対象物17との接触面積sbを
メニスカス領域という。
【0056】本発明のスタンパ1を用いて成形されるデ
ィスク基板を有する磁気ディスク10では、上記被接触
物18に相当するものがこの磁気ディスク10であり、
上記凸部16に相当するものが磁気ディスク10のCS
S領域12に形成される凸部12aであり、接触対象物
17に相当するものがヘッドスライダであると考えられ
る。
【0057】そして、この磁気ディスク10において表
面上に潤滑剤が塗布される場合に、この潤滑剤がCSS
領域12の凸部側面をせり上がってヘッドスライダと接
触し、この接触領域の周辺にメニスカス領域を形成する
と考えられる。このとき、このメニスカス領域が、結果
的に磁気ディスク10とヘッドスライダとの真実接触面
積を増加させる一つの原因になる。
【0058】ここで、例えば、潤滑剤の塗布されていな
い場合のようにメニスカス領域を考慮しないとき、ヘッ
ドスライダとCSS領域12との接触面積が適正な値に
設定されていると仮定して一定とする。このとき、凸部
同士の間隔が小さくなることは、凸部の密度が大きくな
ることを示しているので、凸部一つの面積が相対的に小
さくなる。逆に、凸部同士の間隔が大きくなることは、
凸部の密度が小さくなることを示しているので、凸部一
つの面積が相対的に大きくなる。
【0059】ところが、メニスカス領域は、上述したよ
うに、凸部の大きさとは関係なく、半径(r)だけせり
上がってくるので、凸部3aの数が少ない方が小さくな
る。
【0060】そこで、図8に、メニスカス領域まで考慮
したヘッドスライダと磁気ディスク10のCSS領域1
2との真実接触面積(sa+sb)と、CSS領域12
に形成される凸部同士の間隔との関係を表した模式図を
示す。
【0061】図8に示されるように、凸部同士の間隔が
所定値よりも小さくなるほど、メニスカス領域を考慮し
たヘッドスライダと磁気ディスク10のCSS領域12
との真実接触面積(sa+sb)が大きくなることがわ
かる。
【0062】よって、CSS領域12の凸部同士の間隔
を所定値以下にすると、メニスカス領域の増加により真
実接触面積が増加してしまうため、このCSS領域12
における凸部同士の間隔を所定値以下にすることは、C
SS耐久性の点から好ましくないといえる。
【0063】一方、CSS領域12における凸部同士の
間隔を大きくするほうについては、図8をみる限り、い
くらでも大きくすることが可能である。しかし、図7に
示すモデルは、ヘッドスライダのディスク面に対向する
面が理想的に平滑の場合を想定したものであり、実際に
は、ヘッドスライダのディスク面に対向する面にはクラ
ウンと呼ばれる曲率が施されている。さらに、磁気ディ
スクにおいても、表面に微小なうねりや微小な面粗さを
有している。
【0064】このため、磁気ディスク10において、C
SS領域12内の凸部同士の間隔を大きくしすぎると、
凸部同士の間に位置する凸部以外の場所がヘッドスライ
ダと接触する可能性も生じてくる。これにより、ヘッド
スライダと磁気ディスク10との接触面積が増大して、
摩擦力の増大につながることもある。特に、磁気ディス
ク10では、ディスク基板が樹脂製であるため、このデ
ィスク基板のヤング率が小さいので、凸部における弾性
変形量が大きくなり、上述したような現象が顕著に表れ
るといえる。
【0065】よって、上述したように、磁気ディスク1
0においてCSS耐久性を向上するためには、CSS領
域12に形成される凸部の面積の割合及び凸部同士の間
隔を、樹脂製基板の弾性変形及びメニスカス力について
十分考慮して設計する必要がある。
【0066】言い換えれば、この磁気ディスク10のデ
ィスク基板13を成形するスタンパ1は、磁気ディスク
10のCSS耐久性を向上させるためには、CSS領域
形成域3に形成される凹部3aの面積の割合及び凹部3
a同士の間隔を、成形後の樹脂製ディスク基板13の弾
性変形及びメニスカス力について十分考慮して設計する
必要がある。
【0067】そこで、この磁気ディスク10のディスク
基板を成形するための本発明のスタンパ1は、CSS領
域形成域3に形成される凹部3aのCSS領域形成域3
全体に占める面積の割合が、成形後の樹脂製ディスク基
板、詳しくは凸部12aの弾性変形を考慮して、0.8
%〜5.75%、好ましくは1.5%〜4.75%とな
るように設計される。しかも、このスタンパ1は、CS
S領域形成域3の凹部3a同士の間隔Lが、成形後の磁
気ディスク10において媒体表面に塗布される潤滑剤等
により生じるメニスカス力を考慮して、2.5μm〜1
8μm、より好ましくは3.0μm〜16.5μmとな
るように設計されるものである。
【0068】以上述べたように、本発明のスタンパ1
は、ヘッドスライダが接触するCSS領域12に対応す
るCSS領域形成域3に所定の凹凸パターンが形成され
ており、この凹凸パターンのうちの凹部3aの面積が、
成形される樹脂製ディスク基板13の弾性変形、詳しく
は凸部13aの弾性変形を十分考慮して規定されてい
る。そのため、本発明のスタンパ1を用いて成形された
ディスク基板13を有する磁気ディスク10は、ヘッド
スライダとCSS領域12との接触面積が最適化され
る。よって、本発明のスタンパ1によれば、ヘッドスラ
イダとの摩擦が極力抑えられたディスク基板13を成形
することができる。
【0069】しかも、本発明のスタンパ1では、CSS
領域形成域3における凹部3a同士の間隔Lを、成形後
の磁気ディスク表面に塗布される潤滑剤等によるメニス
カス力を考慮して規定されているため、このスタンパ1
を用いて成形されるディスク基板13を有する磁気ディ
スク10が媒体表面に潤滑剤等が塗布されているもので
あっても、ヘッドスライダと磁気ディスク10における
CSS領域12との接触面積が最適化される。
【0070】したがって、本発明のスタンパ1によれ
ば、ヘッドスライダとCSS領域12との摩擦が極力抑
えられて、CSS耐久性等の繰り返し耐久性が向上され
たディスク基板13、更にはディスク基板13を有する
磁気ディスク10を提供することができる。
【0071】また、本発明のスタンパ1により成形され
るディスク基板13を有する磁気ディスク10は、ディ
スク基板13が樹脂製であるので、従来多用されていた
金属製基板にはない有利な点、例えば、製造工程中に研
磨工程を要しないために安価に作製可能であるという点
や、射出成形等の容易な方法により所望の凹凸パターン
が形成可能であるという点を備える。
【0072】なお、本発明のスタンパ1により成形され
るディスク基板13を有する記録媒体としては、樹脂製
のディスク基板上に記録層を有するものであり、媒体表
面にCSS領域12が設けられているものであれば何れ
の記録媒体にも適用可能であり、例えば、エンボスピッ
トによって情報信号が予め書き込まれる光ディスクや、
記録膜の相変化を利用して情報信号が書き込まれる相変
化型光ディスクや、記録膜の磁気光学効果を利用して情
報信号が書き込まれる光磁気ディスク等に適用されても
良い。
【0073】具体的には、光磁気ディスクとしては、本
発明のスタンパ1により成形された樹脂製のディスク基
板4上に、キュリー温度を超えた温度上昇によって保磁
力がなくなり外部磁界の方向に磁化反転する光磁気記録
層等が形成されてなる。この光磁気記録層には、例え
ば、Tb−Fe−Co等の非晶質合金薄膜等のカー効果
やファラデー効果等の磁気光学特性を有する垂直磁化膜
等が用いられる。
【0074】また、相変化型光ディスクは、本発明のス
タンパ1により成形された樹脂製のディスク基板4上
に、結晶と非晶質との間で可逆的な相変化をする相変化
材料層等が形成される。この相変化材料層には、単体の
カルコゲンやカルコゲン化合物が用いられる。具体的に
は、この相変化材料層の材料として、Te,Seの各単
体、Ge−Sb−Te,Ge−Te,In−Sb−T
e,In−Se−Te−Ag,In−Se,In−Se
−Tl−Co,In−Sb−Se,Bi2Te3,BiS
e,Sb2Se3,Sb2Te3等のカルコゲン系材料が挙
げられる。
【0075】なお、特に、光磁気ディスクとしては、例
えば、ハードディスク装置の構成に光磁気ディスクの記
録再生方式を組み込んでなる光ディスク装置に用いられ
る光ディスクでも良い。すなわち、本発明のスタンパ1
により成形されるディスク基板13を有する光磁気ディ
スクを、上記のようなハードディスク装置の構成に光磁
気ディスクの記録再生方式を組み込んでなる光ディスク
装置に適用しても良い。
【0076】この光ディスク装置は、光学ヘッドを構成
する対物レンズ等をヘッドスライダに搭載することによ
り、対物レンズと光磁気ディスクとを近接又は接触さ
せ、これにより、開口数NAを上げて高密度記録化を図
るものである。図8は、ハードディスク装置の構成に光
磁気ディスクの記録再生方式を組み込んでなる上記光デ
ィスク装置におけるヘッドスライダ部分を示す断面図で
ある。
【0077】詳しくは、この光ディスク装置では、図9
に示すように、ハードディスク装置と同様な浮上型のヘ
ッドスライダ20を使う。そして、光磁気ディスク21
の記録膜22は、ハードディスクと同様に、ディスク表
面にむき出しの状態とする。但し、この浮上型のヘッド
スライダ20に搭載するのは、磁気記録再生素子ではな
く、その代わりに、レンズやコイルからなる光磁気記録
用の光学モジュールを搭載する。
【0078】すなわち、この光ディスク装置では、ヘッ
ドスライダ20のディスク対向面20aとは反対側の面
20bにプリフォーカスレンズ24が搭載されるととも
に、ヘッドスライダ20のディスク対向面20aに半球
状のSIL(solid imersionlens)と称されるレンズ
(以下、SIレンズという。)22が搭載されている。
プリフォーカスレンズ24は、従来の光磁気ディスク装
置における対物レンズに相当するレンズである。また、
SIレンズ22は、ガラス等の絶対屈折率nが高い材料
からなる。そして、このSIレンズ22を囲むように磁
界変調用コイル23が配置されている。このコイル23
によって、SIレンズ22付近の磁界を反転させ、記録
マークを形成する。
【0079】このような光ディスク装置における記録再
生方式としては、ミニディスク等とほぼ同じ磁界変調方
式の光磁気記録を使う。すなわち、レーザ光の照射によ
ってビームスポット内の記録膜22の温度を一時的に上
げ、冷えるときにコイル23で印加した磁化方向を記録
する。
【0080】つぎに、以上のように構成される本発明の
スタンパ1の製造方法の一例について、以下に詳細を説
明する。
【0081】先ず、ディスク基板4成形用のスタンパを
作製するには、図10に示すように、環状の金型用基板
30上に、マスクとしてレジスト31を均一に塗布す
る。
【0082】次に、図11に示すように、レジスト31
が塗布された金型用基板30をパターンカッティングマ
シーンのターンテーブル上に配置し、CSS領域形成域
3に所定の凹凸パターンを、レーザ発振器からのレーザ
光32により露光して描画する。ここで、パターンカッ
ティングマシーンのレーザ光32は、予めパターンカッ
ティングマシーン用に作成された所望のパターンデータ
をパターンカッティングマシンに送出し、そのデータに
よりレーザ光32をON/OFFして、マスクが露光さ
れる部分と露光されない部分とに分けられ、磁気ディス
ク上に形成される凹凸パターンの原形が描画される。
【0083】特に、このとき、本発明では、CSS領域
形成域3においてレーザ光32が露光される部分、即ち
現像工程後に凹部3aとなる部分の面積が、CSS領域
形成域3全体の面積に対して、0.8%〜5.75%、
好ましくは1.5%〜4.75%となるように、レジス
ト31に対してレーザ光32を露光する。
【0084】さらに、このとき、本発明では、CSS領
域形成域3においてレーザ光32が露光される部分同士
の間隔、即ち現像工程後に形成される凹部3a同士の間
隔Lが2.5μm〜18μm、好ましくは3.0μm〜
16.5μmとなるように、レジスト31に対してレー
ザ光32を露光する。
【0085】そして、図12に示すように、このレジス
ト31を現像する。このとき、レーザ光32が露光され
たレジスト31は除去される。一方、レーザ光32が露
光されなかったレジスト31は、金型用基板30上に残
される。
【0086】次に、図13に示すように、所定パターン
の凹凸を形成した上記レジスト31及びレジスト31で
被覆されていない部分の金型用基板30の表面上に、イ
オンエッチング装置内において、イオンビーム33によ
って、イオンエッチングを施す。なお、図14に、図1
3中の範囲Yの拡大した断面図を示す。このように、イ
オンエッチング等の物理的エッチングを施すことによ
り、図14に示すように、金型用基板30に所定の凹凸
パターンが形成されるとともに、レジスト31及びレジ
スト31が被覆されていない部分の金型用基板30の表
面にテクスチャが施される。
【0087】ここで、イオンエッチング装置は、電圧で
加速されたイオンを工作物に衝突させ、その衝突エネル
ギーによって工作物を加工し、数μm程度の微小な凹凸
の形成が可能である。また、イオンの加速電圧が大きい
ほどその衝突エネルギーも大きくなり、加工速度も速く
なる仕組みである。したがって、このイオンエッチング
におけるイオンの加速電圧によって、表面の粗さを制御
することが可能である。
【0088】そして、図15に示すように、金型用基板
30からマスクとして作用したレジスト31を剥離する
ことにより、最終的に、CSS領域形成域3に所定の凹
凸パターンが形成されるとともに、この凹部3aの底部
表面が粗くなされたレジスト34が作製される。
【0089】ここで、レジスト31が被覆していた金型
用基板30上の表面は、物理的エッチングを直接受けて
いないため、鏡面の状態が保持される。
【0090】なお、このとき、金型用基板30に形成さ
れた凹部30aの底部表面30a0がイオンエッチング
により粗くなされる、即ちテクスチャされるが、図15
では、このテクスチャされた様子の図示を省略してい
る。
【0091】このようにして、CSS領域形成域3にお
ける凹部3aの面積がCSS領域形成域3全体の面積に
対して0.8%〜5.75%、好ましくは1.5%〜
4.75%となされ、且つ凹部3a同士の間隔が2.5
μm〜18μm、好ましくは3.0μm〜16.5μm
となされ、しかも凹部3aの底部表面3a0がテクスチ
ャされた本発明のスタンパ34が得られる。
【0092】そして、図2及び図3に示すような情報記
録領域12上に記録トラックに沿った凹凸パターンを有
するディスク基板用の本発明のスタンパ1を作製するに
は、上記工程に加えて、例えば、従来公知のスタンパ形
成方法と同様な方法によって、金型基板30上の情報記
録領域形成域2に記録トラック方向の凹凸パターンを形
成すれば良い。なお、このとき、上記CSS領域形成域
3において所定パターンの凹凸を形成した方法と同様な
方法によっても良い。
【0093】また、なお、本発明を適用したスタンパの
製造方法としては、上記の図10乃至図15に示す製造
方法の他に、例えば、次のような製造方法が挙げられ
る。
【0094】他のスタンパの製造方法としては、従来ア
ルミニウム基板等に凹凸を形成する方法として用いられ
ていた方法を、本発明のスタンパの製造において利用す
る方法である。すなわち、従来アルミニウム基板等に凹
凸を形成する方法では、レーザ光を直接照射させて基板
表面に凹凸を形成する方法があったが、本発明のスタン
パ1を成形する方法としては、このレーザ光のパワーを
調整することにより、CSS領域形成域3に所望の凹部
3aを形成することができる。
【0095】詳しくは、従来のこの方法によると、基板
表面に高さが一定もしくは任意の範囲でのばらつきを有
する凸部が形成された。しかし、凹部の深さに関しては
管理されていなかった。よって、上記の従来の方法をそ
のまま採用するのでは、CSS領域形成域3に所望の凹
部3aを形成することは困難である。
【0096】ところが、このレーザ光のパワーを調節し
て照射することにより、CSS領域形成域3において、
所望のパターンの凹部3aのみが形成され、凹部3a同
士の間の領域3bがほぼ平滑な面となされた図4に示す
ような本発明のスタンパ1を作製することができる。な
お、この方法では、マスク形成を行わなくても良い。ま
た、このような方法を用いて、情報記録領域2において
も記録トラックに沿った所定の凹凸パターンを形成する
ことができる。
【0097】また、更に、他のスタンパの製造方法とし
ては、図11及び図12に示した所定パターン描画工程
及び現像工程を除いて、マスク形成工程、エッチング工
程及びマスク剥離工程によって製造してもよい。
【0098】ここで、上記エッチング工程では、イオン
ビームエッチング法の他に、メッキ法や化学的エッチン
グ法を用いることが考えられる。しかし、メッキ法で
は、メッキ時に気泡が発生し、その気泡を巻き込んでメ
ッキ膜が堆積することがよくある。この場合、気泡が巻
き込まれた箇所は欠陥となり、その欠陥がスタンパ表面
に出ているときは、凹部となるので、所望しない凹部が
形成され、設計通りのパターンを施すことができなくな
る。一方、気泡の発生しない無電解メッキ法による作製
という方法もあるが、無電解メッキ法は堆積速度が遅
く、大量生産に適さない。さらに、無電解メッキ法で
も、メッキ浴の中に不純物が存在することがあり、この
不純物が上述した気泡と同様な効果をもたらし、スタン
パ表面に凹状欠陥を発生させる原因ともなる。
【0099】また、化学的エッチング法では、微小な凹
凸を形成することはできるが、その凹凸の形状を制御す
ることが極めて困難なため、仕様変更が行われる度に、
条件に適合した材料と、エッチング溶液とを選択しなく
てはならない。また、化学的エッチング法では、エッチ
ングできる材料が限られるため、さらに基板成形用金型
として用いることができる材料も限られてしまう。
【0100】これらに対して、イオンビームエッチング
法では、作製したスタンパを用いて樹脂製のディスク基
板を作製した場合、スタンパ34に形成された微小な凹
凸が鋭角な角を持たないため、射出成形法によって、微
小な凹凸にも充填され、表面形状が確実に成形基板に転
写されることが可能となる。よって、実用上の点から
は、イオンビームエッチング法を用いることが好適とい
える。
【0101】以上のように作製されたスタンパ1は、射
出成形装置内に設置されて、次のように使用され、ディ
スク基板13が成形される。図16に、射出成形装置金
型部50を示す断面図である。
【0102】先ず、射出成形装置50は、ディスク基板
の一方の主面を形成する固定金型51と、この固定金型
51と相対向して配置されてディスク基板の他方の主面
を形成する可動金型52と、ディスク基板の外周側面を
形成する外周金型53とを備える。
【0103】可動金型52は、図示しない駆動機構によ
って固定金型51に対して接離動作する。外周金型53
は、固定金型51及び可動金型52を射出成形装置金型
部50内にそれぞれ固定する固定側外周金型53a及び
可動側外周金型53bを備え、成形物の外周側面を形成
する。ここで、これら固定金型51、可動金型52及び
外周金型53は、型締め状態において協動してディスク
基板を形成するキャビティ54を形成する。
【0104】そして、固定金型51の成形面51a上
に、本発明のスタンパ1が設置されている。なお、可動
金型52の成形面52a上、或いは、固定金型51の成
形面51a及び可動金型52の成形面52aの両面上
に、本発明のスタンパ1が設置されていても勿論構わな
い。
【0105】固定金型51a側には、キャビティ54の
中心に位置して、溶融された合成樹脂材料をキャビティ
54内に射出充填させるノズル55を有するスプルブッ
シュ56が配設されている。可動金型52b側には、キ
ャビティ54の中心に対応する位置に、成形されるディ
スク基板の内周側の情報信号が記録されない領域に対応
した外径寸法を有する筒状を呈した第1のイジェクト部
材57が軸方向に移動自在に配設されている。この第1
のイジェクト部材57は、ディスク基板の離型動作の際
に図示しない駆動手段によってキャビティ54内へと突
き出されて成形されたディスク基板を可動金型52から
離型させる。
【0106】この第1のイジェクト部材57には、その
内周側に成形されるディスク基板の中心穴を穿設するパ
ンチ58が取り付けられている。このパンチ58の内周
側には、第2のイジェクト部材59が軸方向に進退自在
に取り付けられる。第2のイジェクト部材59は、パン
チ58によりディスク基板の中心穴が穿設された後、切
断部分の合成樹脂材料を可動金型52から離型させる。
【0107】以上のように構成された射出成形装置金型
部50では、先ず、図示しない駆動機構が動作すること
により、固定金型51に対して可動金型52が接近動作
して型締め状態とされて周囲が閉塞されたキャビティ5
4が構成される。
【0108】次に、キャビティ54には、型締め状態に
おいて、スプルブッシュ56のノズル55から溶融され
た合成樹脂材料が射出充填される。そして、この射出成
形装置金型部50に設けられた図示しない温度調節機構
により合成樹脂材料が半溶融状態に冷却されて、第1の
イジェクト部材57の中心穴からパンチ58が固定金型
51の方向へと突出動作され、成形されるディスク基板
のセンタ穴を穿設し、この切断部分を第2のイジェクト
部材59が可動金型52から離型させる。
【0109】この後、射出成形装置金型部50におい
て、射出充填された合成樹脂材料が図示しない温度調節
機構により冷却及び硬化される。
【0110】そして、この射出成形装置金型部50で
は、図示しない駆動機構が動作して可動金型52が固定
金型51に対して離間動作されることによって、型開き
動作が行われる。最終的に、キャビティ54内で成形さ
れた状態のディスク基板は、第1のイジェクト部材57
によって可動金型52側から突き出されて、最終的に、
図示しないディスク基板取り出し機構によってディスク
基板13が取り出される。
【0111】以上のように成形されたディスク基板13
を用いて、次のようにして磁気ディスク10が作製され
る。
【0112】すなわち、このディスク基板13上に、γ
−Fe23,Co−γ−Fe23,Co−Pt−Cr等
の従来公知の磁性層材料をスパッタリング等の従来公知
の薄膜形成方法により成膜して磁性層5を形成し、磁気
ディスク10が得られる。
【0113】なお、磁気ディスクとしては、本発明のス
タンパ1を用いて成形されたディスク基板上に、磁性層
5の他に、下地層、保護層、潤滑膜等が形成されてもよ
い。下地層としては、例えば、Cr、Mo等の金属膜、
磁性層としては、Co−Pt、Co−Pd、Co−Cr
−Pt等の金属磁性薄膜、保護膜としては、C、SiO
2等による薄膜を、それぞれスパッタリング法等の従来
公知の薄膜形成方法により形成する。また、潤滑膜とし
ては、従来公知の潤滑剤をスピンコート法等の手法によ
り塗布形成すればよい。
【0114】
【実施例】以下に、本発明を適用した具体的な実施例に
ついて、図面を参照しながら詳細に説明する。ここで
は、以下に示すような測定用スタンパ及びこのスタンパ
を用いて成形した測定用ディスクを作製することによ
り、ディスク基板成形用のスタンパにおいて、そのCS
S領域形成域に形成される凹部の面積や凹部同士の間隔
が異なることにより、成形されるディスク基板に及ぼす
CSS耐久性の影響を評価した。
【0115】実施例1 本実施例では、スタンパのCSS領域形成域に形成され
る凹部の面積について最適値を見出すために、スタンパ
全面をCSS領域形成域とし、半径方向の所定幅毎に凹
部の面積を変化させたスタンパを測定用スタンパとして
用いた。
【0116】詳しくは、本実施例の測定用スタンパ60
は、図17に示すように、スタンパ表面の全面をCSS
領域形成域61とし、しかも、半径方向の所定幅l0
に分割して複数のCSS形成エリア、例えばCSS形成
エリア62,63,64とした。そして、各CSS形成
エリアにおいて、各エリアの全面積S00に占める凹部の
面積S10の割合S10/S00が異なるように作製した。
【0117】詳しくは、上記測定用スタンパ60は、以
下のようにして作製した。先ず、外径120nm、内径
25.0mm、厚さ0.3mmのNi製の金型用基板を
用意した。なお、この寸法は、従来の直径3.5インチ
の磁気ディスク用のディスク基板を作製するスタンパと
同寸法である。
【0118】そして、この金型用基板上に、マスクとし
てレジストを均一に塗布し、その後に、このレジストに
対してレーザ光を露光した。このとき、レーザ光を露光
した部分は後の工程である現像工程にて除去されて凹部
となるので、半径方向の所定幅毎に、即ち金型用基板上
のエリア毎にレーザ光の露光程度を変化させて、各エリ
アに占める凹部の面積の割合が異なるようにした。
【0119】そして、このレジストを現像した。このと
き、レーザ光が露光されたレジストが除去される。その
後、金型用基板を、残存しているレジストをそのまま被
覆させた状態で、イオンビームエッチングによりエッチ
ングした。このようにして、金型用基板上の各エリア毎
に凹部の面積の割合が異なる所定パターンの凹凸が形成
されるとともに、各凹部の底部表面がイオンビームエッ
チングにより粗くされる。
【0120】詳しくは、金型基板上の各CSS形成エリ
ア毎に凹部が占める面積の割合を0.5%〜11%とな
るように変化させた。また、この凹部の深さを25nm
とした。
【0121】そして、金型用基板からマスクとして作用
したレジストを剥離することにより、スタンパ60を得
た。よって、このスタンパ60は、半径方向の所定幅で
あるCSS形成エリア毎に凹部が占める面積の割合が
0.5%〜11%まで変化されて形成されるものであ
る。なお、このスタンパ60は、凹部同士の間隔が各エ
リア全てについて一定値である。
【0122】次に、以上のようにして得たスタンパ60
を射出成形装置金型部に設置し、この射出成形装置のキ
ャビティ内に樹脂材料を注入して、射出成形によりディ
スク基板を成形した。このとき得られたディスク基板
は、半径方向の所定幅毎に、即ち半径方向に分割された
CSSエリア毎に、凸部が占める面積の割合が0.5%
〜11%まで変化されて形成されている。
【0123】次に、このディスク基板上に、下地層とし
てクロムを膜厚30nm、磁性層としてコバルト白金ク
ロムを膜厚20nm、保護膜としてカーボンを膜厚10
nmとなるように順次スパッタリングにより被着させて
積層形成した。その後、このカーボン上に市販の潤滑剤
を2nmの膜厚でディッピング法により塗布した。
【0124】このようにして、半径方向の所定幅毎に分
割された各CSSエリアにおいて、凸部が各CSSエリ
アに占める面積の割合(以下、接触面積比と称する。)
が異なる測定用ディスクを得た。なお、この測定用ディ
スクでは、各CSSエリアに形成される凸部同士の間隔
が、何れのCSSエリアにおいても同一とする。
【0125】<CSS耐久性の評価>以上のようにして
得られた測定用ディスクを用いて、以下に示すような条
件にてCSS耐久性試験を行った。このCSS耐久性試
験では、磁気ディスク装置に設置する浮上型のヘッドス
ライダとして、荷重が3.5gfのナノスライダを用い
た。
【0126】先ず、この磁気ディスク装置内の所定位置
に上記測定用ディスクを配し、測定用ディスクに設けた
所定のCSSエリア上に浮上型のヘッドスライダが配さ
れるようにした。
【0127】そして、スピンアップ時間として始めの3
秒間、回転数が4500rpmに上がるまで測定用ディ
スクを回転させた。このとき、浮上型のヘッドスライダ
は、上記所定のCSSエリアから次第に離陸し、結果的
に浮上した。
【0128】その後、回転数を4500rpmのまま維
持して、約10秒間、測定用ディスクを回転した。この
とき、浮上型のヘッドスライダは、完全に浮上した状態
であった。
【0129】そして、スピンダウン時間として約7秒
間、回転数を次第に減少させて、最終的に測定用ディス
クを停止させた。そして、このまま測定用ディスクを回
転させずに、約10秒間停止させた。このとき、浮上型
のヘッドスライダは、次第に浮上量を低下させ、最終的
に上記所定のCSSエリア上に着陸するようにした。
【0130】そこで、このように所定のCSSエリアに
て浮上型のヘッドスライダが離陸してから浮上を続け着
陸するまでの上記の30秒間の過程、即ちスピンアップ
時間、回転時間、スピンダウン時間及び停止時間におけ
る過程を1サイクルとした。
【0131】ここで、上記の1サイクル内において、先
ず、ヘッドスライダには、所定のCSSエリアにて静止
した状態から浮上しようとする際に、静摩擦力が加わ
る。その後、回転数の増加に伴ってヘッドスライダは浮
上し、完全にヘッドスライダが浮上したときにヘッドス
ライダの受ける摩擦力が0となる。
【0132】そこで、上記サイクルを連続して10回繰
り返し行い、各サイクルにおいて、ヘッドスライダにか
かる摩擦力、即ちヘッドスライダのディスク回転方向に
かかる上記静摩擦力を、歪ゲージ或いは圧電素子で測定
した。そして、この静摩擦力を10サイクル分測定し、
その平均値を求めた。
【0133】次に、同様にして、浮上型のヘッドスライ
ダをその他の各CSSエリア上で離着陸するようにし、
各CSSエリアにおいて上記サイクルを10回繰り返し
行い、各CSSエリアにおけるヘッドスライダにかかる
摩擦力を同様に10サイクル分測定し、その平均値を求
めた。この測定結果を図18に示す。図18では、横軸
に接触面積比をとり、縦軸に摩擦力をとった。
【0134】図18の結果から示されるように、CSS
領域に占める凸部の面積の割合、即ち接触面積比が極端
に小さいと、ヘッドスライダにかかる摩擦力も大きくな
り、一方、接触面積比が大きいと、ヘッドスライダにか
かる摩擦力はやはり大きくなることがわかった。そし
て、接触面積比が約1.5%程度のところで、ヘッドス
ライダにかかる摩擦力が極小値をとることとなる。
【0135】ところで、ヘッドスライダにかかる摩擦
力、詳しくはヘッドスライダのディスク回転方向にかか
る上記静摩擦力の値は、一般的に、摩擦係数が2.0以
下であれば、CSS耐久性は確保されるといえる。本実
施例では、ヘッドスライダの荷重が3.5gfであるこ
とから、摩擦係数が2.0以下であるには、摩擦力が
7.0gf以下であることが必要である。すなわち、本
実施例では、摩擦力が7.0gf以下であると、CSS
耐久性が確保されるといえる。
【0136】このことから、図18の結果により、摩擦
力が7.0gf以下になる接触面積比は、0.8%〜
5.75%の範囲であることが判明した。よって、この
ような測定用ディスクを成形するためのスタンパとして
は、CSS領域形成域において、凹部の占める面積の割
合が0.8%〜5.75%であることが必要であると判
明した。
【0137】さらに、摩擦力の値は、摩擦係数が1.5
以下であれば、より優れたCSS耐久性を確保すること
ができる。本実施例では、ヘッドスライダの荷重が3.
5gfであることから、摩擦係数が1.5以下であるに
は、摩擦力が5.25gf以下であることが必要であ
る。すなわち、本実施例では、摩擦力が5.25gf以
下であると、より優れたCSS耐久性が確保されるとい
える。
【0138】このことから、図18の結果により、摩擦
力が5.25gfになる接触面積比は、1.0%〜4.
75%の範囲であることが判明した。よって、このよう
な測定用ディスクを成形するためのスタンパとしては、
CSS領域形成域において、凹部の占める面積の割合が
1.0%〜4.75%であることが必要であると判明し
た。
【0139】以上の結果から、樹脂製基板の成形用スタ
ンパとしては、CSS領域形成域に凹凸パターンを形成
し、且つこの凹凸パターンのうちの凹部の占める面積を
CSS領域形成域全体の面積に対して0.8%〜5.7
5%、好ましくは1.0%〜4.75%とすることによ
り、ヘッドスライダにかかる摩擦力を低減することがで
きてCSS耐久性を向上することができるディスク基板
を得ることができるとわかった。
【0140】実施例2 次に、本実施例では、スタンパのCSS領域形成域に形
成される凹部同士の間隔について最適値を見出すため
に、スタンパ全面をCSS領域とし、半径方向の所定幅
毎、即ち各CSS形成エリア毎に凹部同士の間隔を変化
させたスタンパを用意し、このスタンパにより成形した
ディスク基板を用いて測定用ディスクとして用いた。
【0141】詳しくは、本実施例のスタンパとしては、
半径方向の所定幅毎に分割して複数のCSS形成エリア
とし、その各CSS形成エリア毎に凹部同士の間隔を
2.5μm〜20μmまで変化させて作製した以外は、
実施例1と同様にして作製した。
【0142】そして、このスタンパを用いて射出成形に
よりディスク基板を成形し、このディスク基板上に、実
施例1と同様にして、下地層、磁性層、保護膜、潤滑剤
膜を順次形成し、測定用ディスクを得た。
【0143】<CSS耐久性の評価>以上のようにして
得られた測定用ディスクを用いて、CSS耐久性の評価
として、実施例1と同様にして、ヘッドスライダにかか
る摩擦力を測定した。この結果を図19に示す。図19
では、横軸に凸部同士の間隔をとり、縦軸にヘッドスラ
イダにかかる摩擦力をとった。
【0144】図19の結果から分かるように、CSS領
域に形成する凸部同士の間隔が3.2μmよりも小さく
なると、ヘッドスライダにかかる摩擦力が急激に大きく
なり、CSS領域に形成する凸部同士の間隔が大きくな
ると、ヘッドスライダにかかる摩擦力も微増ではあるが
大きくなる。特に、凸部同士の間隔が15μm以上にな
ると、ヘッドスライダにかかる摩擦力が急激に大きくな
る。
【0145】ここで、凸部同士の間隔が3.2μmより
も小さくなるとヘッドスライダにかかる摩擦力が急激に
大きくなるのは、図19に示したように、メニスカス領
域の増加が原因であると考えられる。一方、凸部同士の
間隔が15μm以上になるとヘッドスライダにかかる摩
擦力が急激に大きくなるのは、ヘッドスライダのクラウ
ンや測定用ディスクの微小なうねりが原因となって、凸
部以外のディスク面とヘッドスライダとが接触し、接触
面積の増加が生じるためと考えられる。
【0146】ところで、摩擦力の値は、実施例1と同様
に考えられ、摩擦係数が2.0以下であれば、CSS耐
久性は確保されるといえる。本実施例では、ヘッドスラ
イダの荷重が3.5gfであることから、摩擦係数が
2.0以下であるには、摩擦力が7.0gf以下である
ことが必要である。すなわち、本実施例では、摩擦力が
7.0gf以下であると、CSS耐久性が確保されると
いえる。
【0147】このことから、図19の結果により、摩擦
力が7.0gf以下になる凸部同士の間隔は、2.5μ
m〜18μmの範囲であることが判明した。よって、こ
のような測定用ディスクを成形するためのスタンパとし
ては、CSS領域形成域において、凹部同士の間隔が
2.5μm〜18μmであることが必要であると判明し
た。
【0148】さらに、摩擦力の値は、実施例1と同様に
考えられ、摩擦係数が1.5以下であれば、より優れた
CSS耐久性を確保することができる。本実施例では、
ヘッドスライダの荷重が3.5gfであることから、摩
擦係数が1.5以下であるには、摩擦力が5.25gf
以下であることが必要である。すなわち、本実施例で
は、摩擦力が5.25gf以下であると、より優れたC
SS耐久性が確保されるといえる。
【0149】このことから、図19の結果により、摩擦
力が5.25gfになる凸部同士の間隔は、3.0μm
〜16.5μmの範囲であることが判明した。よって、
このような測定用ディスクを成形するためのスタンパと
しては、CSS領域形成域において、凹部同士の間隔が
3.0μm〜16.5μmであることが必要であると判
明した。
【0150】以上の結果から、樹脂製基板の成形用スタ
ンパとしては、CSS領域形成域に凹凸パターンを形成
し、且つこの凹凸パターンのうちの凹部同士の間隔が
2.5μm〜18μm、好ましくは、3.0μm〜1
6.5μmとすることにより、ヘッドスライダにかかる
摩擦力を低減することができてCSS耐久性を向上する
ことができるディスク基板を得ることができるとわかっ
た。
【0151】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明に係
る基板成形用金型によれば、ヘッドスライダが接触する
記録媒体上の所定領域に対応する領域に所定の凹凸パタ
ーンが形成されており、この凹凸パターンのうちの凹部
の面積が、成形される樹脂製基板の弾性変形を十分考慮
して規定されている。そのため、本発明に係る基板成形
用金型を用いて成形された基板を有する記録媒体は、ヘ
ッドスライダと上記所定領域との接触面積が最適化され
る。よって、本発明に係る基板成形用金型によれば、ヘ
ッドスライダとの摩擦が極力抑えられて、CSS耐久性
等の繰り返し耐久性に優れた記録媒体を提供することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したスタンパの斜視図である。
【図2】本発明のスタンパを用いて成形したディスク基
板を有する磁気ディスクの断面図である。
【図3】本発明のスタンパを用いて成形したディスク基
板を有する磁気ディスクの斜視図である。
【図4】本発明を適用したスタンパの要部斜視図であ
る。
【図5】本発明を適用したスタンパの断面図である。
【図6】図5中の範囲Xを拡大して示す断面図である。
【図7】メニスカス力を説明する断面図を示す。
【図8】メニスカス領域まで考慮したヘッドスライダと
磁気ディスクとの接触面積と、磁気ディスクのCSS領
域に形成された凸部同士の間隔との関係を示す模式図で
ある。
【図9】本発明のスタンパを用いて成形したディスク基
板を有する光磁気ディスクの一例とヘッドスライダとを
示す断面図である。
【図10】本発明のスタンパを作製する一工程を示す断
面図である。
【図11】本発明のスタンパを作製する他の工程を示す
断面図である。
【図12】本発明のスタンパを作製する他の工程を示す
断面図である。
【図13】本発明のスタンパを作製する他の工程を示す
断面図である。
【図14】図13中の範囲Yを拡大して示す断面図であ
る。
【図15】本発明のスタンパを作製する他の工程を示す
断面図である。
【図16】射出成形装置金型部を示す断面図である。
【図17】実施例に用いられる測定用スタンパを示す平
面図である。
【図18】実施例1の測定結果を示す図である。
【図19】実施例2の測定結果を示す図である。
【図20】従来の樹脂製基板を有する磁気ディスクとヘ
ッドスライダとを示す断面図である。
【符号の説明】
1 スタンパ、 2 情報記録領域形成域、 3 CS
S領域形成域、 3a凹部、 10 磁気ディスク、
11 情報記録領域、 12 CSS領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川島 良成 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 越村 章 埼玉県久喜市清久町1番10 ソニーマック ス株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂材料よりなる基板上に少なくとも記
    録層が形成されてなり、回転時に記録再生素子を備えた
    浮上状態のヘッドスライダにより情報信号の記録及び/
    又は再生が行われる情報記録領域と停止時にヘッドスラ
    イダが接触する接触領域とを媒体表面に有する記録媒体
    における、上記基板を成形するのに用いられる基板成形
    用金型であって、 成形面に、上記記録媒体の情報記録領域に対応する領域
    と、上記記録媒体の接触領域に対応する領域とを有し、 上記接触領域に対応する領域には、凹部が規則的に配列
    された所定の凹凸パターンが形成されるとともに、これ
    ら凹部の占める面積が上記接触領域に対応する領域全体
    の面積の0.8%〜5.75%となされていることを特
    徴とする基板成形用金型。
  2. 【請求項2】 上記所定の凹凸パターンのうちの凹部の
    占める面積が、上記接触領域に対応する領域全体の面積
    の1.5%〜4.75%であることを特徴とする請求項
    1記載の基板成形用金型。
  3. 【請求項3】 上記所定の凹凸パターンのうちの凹部同
    士の間隔が、2.5μm〜18μmであることを特徴と
    する請求項1記載の基板成形用金型。
  4. 【請求項4】 上記所定の凹凸パターンのうちの凹部同
    士の間隔が、3.0μm〜16.5μmであることを特
    徴とする請求項1記載の基板成形用金型。
JP15795598A 1998-06-05 1998-06-05 基板成形用金型 Withdrawn JPH11348048A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7662264B2 (en) 2005-04-19 2010-02-16 Kabushiki Kaisha Toshiba Method for producing magnetic recording medium

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7662264B2 (en) 2005-04-19 2010-02-16 Kabushiki Kaisha Toshiba Method for producing magnetic recording medium

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