JPH11347842A - 放電加工方法及び放電加工装置 - Google Patents
放電加工方法及び放電加工装置Info
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- JPH11347842A JPH11347842A JP17654198A JP17654198A JPH11347842A JP H11347842 A JPH11347842 A JP H11347842A JP 17654198 A JP17654198 A JP 17654198A JP 17654198 A JP17654198 A JP 17654198A JP H11347842 A JPH11347842 A JP H11347842A
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Abstract
粗さの放電加工面を薄膜コーティング現象を生じさせる
ことなく得ることができるようにすること。 【解決手段】 制御回路20によって導通制御されるス
イッチングトランジスタ11〜14が設けられて成り直
流電圧Eが入力されているブリッジ回路10の出力から
両極性パルス電圧V2を得る。ブリッジ回路10から正
極性パルスを取り出すときに挿入される抵抗器15、1
8を負極性パルスを取り出すときに挿入される抵抗器1
6、17よりも高い抵抗値とすると共に、放電加工間隙
Gと並列にインダクタンス素子を挿入し、インダクタン
ス素子と浮遊キャパシタンスとでLC並列共振させ、無
負荷電圧の逆極性への偏りを防止した。
Description
加する加工用電圧の極性を交互に切り換えて被加工物を
放電加工するようにした放電加工方法及び放電加工装置
に関するものである。
開示されているように、交流高周波電圧による加工で
は、1発の放電毎に放電加工間隙に印加される加工用電
圧の極性が交代することにより放電点が分散し良質の加
工面が得られることが知られている。両極性パルスを用
いて放電加工を行う場合も同様である。このように、被
加工物と加工用電極との間に形成される放電加工間隙に
印加する加工用電圧の極性を交互に切り換えて被加工物
を放電加工する場合、加工用電圧の極性切換周波数が高
いほど放電加工面の面粗さが細かくなっていく傾向にあ
る事は周知であるが、特に7MHz以上の高周波領域に
おいては、放電加工間隙のキャパシタンス成分と回路上
の分布インダクタンス成分との間で直列共振状態(以
下、ギャップ共振状態という)となり、このギャップ共
振状態でのみ放電が発生し、その結果0.2μmRma
x程度の面粗度の放電加工面が得られることが確認され
ている。
化した場合には放電加工間隙のインピーダンスが変化
し、ギャップ共振状態を維持できなくなってしまう場合
が生じる。そこで、従来では、極間のインピーダンスの
変化に応じて、交流電源周波数及び極間と交流電源との
間に設けられている整合器を自動調整させることにより
ギャップ共振状態を持続して放電加工を行っている。
共振状態下で安定して放電加工を行わせるには、極間イ
ンピーダンスの変化に応じて交流電源周波数を変化させ
る必要がある。そこで問題となってくるのは、共振周波
数F0は下式(1) F0=1/2・π・(LmCg)1/2 ・・・(1) Lm:配線の分布インダクタンス Cg:放電加工間隙のキャパシタンス で与えられるので、間隙の対向する面積の変化(板厚や
ワイヤ径の変化)によって共振周波数F0が大きく変わ
ってしまうことである。
ら50mmまで変化する被加工物を加工した場合には、
対向する間隙の面積が最大で50倍(キャパシタンスは
比例して50倍)増えるので、Cgも同じく50倍増え
ることとなり、共振周波数F0は約1/7倍変化するこ
とになる。
面粗さとの間には密接な関係があるので、これだけ周波
数が変わってしまうと加工面粗さも一定とならなくなっ
てしまう。これは板厚によって最良面粗さが決定され
て、板厚が厚いほど加工面粗さが悪化してしまうことを
意味している。さらに、機種毎にXY軸ストロークが違
うので極間への送電線の長さに違いが生じ、その影響で
分布インダクタンスLmも機種毎に変わってしまう。そ
のため、機種によっても面粗さに違いが生じてしまう可
能性がある。
ップ共振を生じさせて面粗さの小さい放電加工を行う従
来の方法によると、安定して良質な加工面を得るために
は被加工物の板厚の限定や機種の限定などを必要とし、
加工適用範囲を狭めてしまうという問題点があった。
周期的に反転する両極性出力電圧を被加工物と加工用電
極との間に形成される放電加工間隙に抵抗器を介して印
加し、逆極性加工と正極性加工とを周期的に切り換えつ
つ被加工物を放電加工する際に、逆極性加工時には抵抗
器が小さな抵抗値の抵抗器とされ、正極性加工時には抵
抗器が大きな抵抗値の抵抗器となるように切り換えるよ
うにした放電加工方法を採用することが考えられる。
電加工間隙に供給される電流の値は、逆極性加工時には
大きく、正極性加工時には小さくなり、逆極性加工時に
は正極性加工時よりも大きな放電エネルギで放電加工が
行われる。しかしながら、逆極性加工においては、放電
エネルギの被加工物側への配分が小さいので、大きな加
工電流が放電加工間隙に与えられても面粗度の小さな放
電加工が安定して行われる。また、正極性加工時には加
工電流のレベルが小さくなり、放電加工面の面粗度が大
きくなるのを抑えつつ、且つ逆極性加工の終了時におけ
る放電の切れを確実にすることができる。そして、この
放電加工方法は共振現象を利用しないので、被加工物の
板厚や機種の限定の必要なしに良質な放電加工面を得る
ことができる。
隙側を見た場合、回路上、特に出力線上には浮遊キャパ
シタンスが存在するため、制限抵抗器の値を正極性加工
と逆極性加工とで異なる値にする構成によると、抵抗器
とこの浮遊キャパシタンスとにより構成される回路の充
放電時定数が正極性加工と逆極性加工とで異なってしま
う。
される電圧波形が逆極性側へ偏ってしまうことで真鍮が
被加工物へ薄膜としてコーティングされる現象が起きて
しまう。この真鍮の薄膜コーティング状態は被加工物の
仕上げ品質を低下させることになり、例えば、医療機器
などの部品加工などでは、加工面へ銅が微量でも入ると
使用できない不良品となる場合が生じる。
することなく、放電加工用電圧の極性を正負に切り換え
て安定して良質な面粗さの放電加工面を得ることがで
き、且つ真鍮の薄膜コーティング現象等を生じることが
ない放電加工方法及び放電加工装置を提供することにあ
る。
め、請求項1の発明によれば、被加工物と加工用電極と
によって形成される放電加工間隙に加工用電圧の極性を
正負交互に切り換えつつ印加して前記被加工物を放電加
工する場合、逆極性加工時に供給する加工電流のレベル
よりも正極性加工時に供給する加工電流のレベルを小さ
くすると共に、前記放電加工間隙と並列に回路上の浮遊
キャパシタンスとLC並列共振をさせるためのインダク
タンス素子を挿入するようにした方法が提案される。
を大きなレベルの加工電流で行い、これにより放電加工
間隙に確実に放電を生じさせることができ、安定加工を
確保しつつ面粗度の小さな放電加工面を得ることができ
る。一方、面粗度が大きくなりやすい正極性加工時には
加工電流のレベルが小さく抑えられ、これにより放電加
工面の面粗度を大きくすることなく、被加工物を加工す
ることができ、且つ逆極性加工の終了時における放電の
切れを確実にすることができる。ここで、放電加工間隙
と電源装置との間に接続される出力ケーブル上に浮遊す
る回路上のキャパシタンス成分は、放電加工間隙に並列
接続されるインダクタンス素子とLC並列共振回路を構
成することにより両極性出力電圧の周波数においては浮
遊キャパシタンスの影響を排除することができる。この
結果、浮遊キャパシタンスへの充放電が無くなり、放電
加工間隙の無負荷電圧は抵抗器の抵抗値に無関係に、正
極性、逆極性のいずれであっても加工用電源装置から出
力される両極性出力電圧と同じレベルとなる。
反転する両極性出力電圧を被加工物と加工用電極との間
に形成される放電加工間隙に抵抗器を介して印加し、逆
極性加工と正極性加工とを周期的に切り換えつつ前記被
加工物を放電加工する方法において、前記逆極性加工時
には前記抵抗器が小さな抵抗値の抵抗器とされ、前記正
極性加工時には前記抵抗器が大きな抵抗値の抵抗器とな
るように切り換えると共に、前記放電加工間隙と並列に
回路上の浮遊キャパシタンスとLC並列共振をさせるた
めのインダクタンス素子を挿入するようにした方法が提
案される。
電加工間隙に供給される電流の値は、逆極性加工時には
大きく、正極性加工時には小さくなり、逆極性加工時に
は正極性加工時よりも大きな放電エネルギで放電加工が
行われる。しかしながら、逆極性加工においては、放電
エネルギの被加工物側への配分が小さいので、大きな加
工電流が放電加工間隙に与えられても面粗度の小さな放
電加工が安定して行われる。また、正極性加工時には加
工電流のレベルが小さくなり、放電加工面の面粗度が大
きくなるのを抑えつつ、且つ逆極性加工の終了時におけ
る放電の切れを確実にすることができる。ここで、放電
加工間隙と電源装置との間に接続される出力ケーブル上
に浮遊する回路上のキャパシタンス成分は、放電加工間
隙に並列接続されるインダクタンス素子とLC並列共振
回路を構成することにより両極性出力電圧の周波数にお
いては浮遊キャパシタンスの影響を排除することができ
る。この結果、浮遊キャパシタンスへの充放電が無くな
り、放電加工間隙の無負荷電圧は抵抗器の抵抗値に無関
係に、正極性、逆極性のいずれであっても加工用電源装
置から出力される両極性出力電圧と同じレベルとなる。
反転する両極性パルス電圧を放電加工間隙に供給して被
加工物を放電加工するための放電加工装置において、直
流電圧を出力する直流電源と、各辺に半導体スイッチン
グ素子が設けられて成り前記直流電圧が入力されている
ブリッジ回路と、該ブリッジ回路の出力から前記両極性
パルス電圧を得るため該ブリッジ回路の対向する辺の半
導体スイッチング素子同志を同期させてオン、オフ制御
するための制御回路と、前記両極性パルスを前記放電加
工間隙に印加するための回路上の浮遊キャパシタンスの
影響をなくすため前記放電加工間隙に並列に接続された
インダクタンス素子とを備え、前記ブリッジ回路から正
極性パルスを取り出すために閉じられる前記半導体スイ
ッチング素子と直列に第1の制限抵抗要素を設けると共
に前記ブリッジ回路から負極性パルスを取り出すために
閉じられる前記半導体スイッチング素子と直列に第2の
制限抵抗要素を設け、前記第1の制限抵抗要素の値を前
記第2の制限抵抗要素の値よりも高く設定した構成が提
案される。
られる両極性パルス電圧を放電加工間隙に印加した場
合、正極性によるパルス電圧の印加時の加工電流は逆極
性によるパルス電圧の印加時の加工電流よりもレベルが
低くなり、且つ、無負荷時の浮遊キャパシタンス成分へ
の充放電がなくなり、放電加工間隙の無負荷電圧は抵抗
器の抵抗値に無関係に、正極性、逆極性のいずれであっ
ても加工用電源装置から出力される両極性出力電圧と同
じレベルとなり請求項1又は2の発明による方法での放
電加工が行える。
施の形態の一例につき詳細に説明する。
の形態の一例を示す回路図である。図1に示すワイヤカ
ット放電加工装置1は、加工機本体2の被加工物3とワ
イヤ電極4との間に形成される放電加工間隙Gに加工用
電圧Vを印加するための装置として構成されており、荒
加工用の第1電源部5と仕上加工用の第2電源部6とか
ら成る放電加工用電源装置を備えている。
り、したがって、その構成の詳細を示すのを省略する。
第1電源部5からの荒加工用電圧V1は低インダクタン
スの出力線7及び一対のリレー接点L1、L2を介して
放電加工間隙Gに加工用電圧Vとして印加される。
げ加工のために被加工物3を小さな面粗度で放電加工す
るため、両極性出力電圧を出力することができる構成と
なっている。本実施の形態では、第2電源部6からは両
極性パルス電圧V2が両極性出力電圧として出力され、
両極性パルス電圧V2は一対のリレー接点L3、L4及
び低キャパシタンスの出力線8を介して放電加工間隙G
に加工用電圧Vとして印加される。
加工物3の加工は次のようにして行われる。すなわち、
図示しない切換リレーを作動させることにより、先ずリ
レー接点L1、L2を閉じ、リレー接点L3、L4を開
いた状態で、第1電源部5からの荒加工用電圧V1を放
電加工間隙Gに加工用電圧Vとして印加し、被加工物3
を荒加工する。しかる後、リレー接点L1、L2を開
き、リレー接点L3、L4を閉じた状態で、第2電源部
からの両極性パルス電圧V2を放電加工間隙Gに加工用
電圧Vとして印加し、被加工物3を仕上げ加工する。な
お、放電加工間隙Gには、リレー接点L5とコイル30
との直列回路が並列に接続されており、リレー接点L5
はリレー接点L3、L4と同時にオン、オフし、第2電
源部6による放電加工動作時にのみコイル30が放電加
工間隙Gと並列に接続される構成となっているが、これ
については後で説明する。
る。9は直流電圧Eを出力する直流電源、10はスイッ
チングトランジスタ11〜14及び抵抗器15〜18が
各辺に設けられて図示の如く接続されて成るブリッジ回
路である。ブリッジ回路10では、スイッチングトラン
ジスタ11、12の接続点10Aとスイッチングトラン
ジスタ13、14の接続点10Bとが入力部となってお
り、抵抗器15、17の接続点10Cと抵抗器16、1
8の接続点10Dとが出力部となっている。入力部には
直流電源9からの直流電圧Eが印加され、出力部から両
極性パルス電圧V2が後述の如くして得られる構成であ
る。
0の各辺に設けられているスイッチングトランジスタ1
1〜14をオン、オフ制御するための制御回路であり、
パルス発生器21とインバータ22とから成っている。
パルス発生器21からのパルス信号はそのまま制御パル
ス信号PAとして出力され、インバータ22からは、制
御パルス信号PAをレベル反転させた反転制御パルス信
号PBが出力される構成である(図2の(A)、(B)
参照)。
のスイッチングトランジスタ11、14の各ゲートにオ
ン、オフ制御のためのゲート制御信号として印加され、
反転制御パルス信号PBはブリッジ回路10のスイッチ
ングトランジスタ12、13の各ゲートにオン、オフ制
御のためのゲート制御信号として印加されている。した
がって、スイッチングトランジスタ11はスイッチング
トランジスタ14と同時にオン、オフ動作し、一方、ス
イッチングトランジスタ12はスイッチングトランジス
タ13と同時にオン、オフ動作する。図2の(A)、
(B)から判るように、スイッチングトランジスタ1
1、14のオン動作とスイッチングトランジスタ12、
13のオン動作とが交互に行われ、この結果、ブリッジ
回路10の出力部からは、制御パルス信号PAと同一の
周期で極性が反転する両極性パルス電圧V2が出力され
る。
る両極性パルス電圧V2の極性が正極性の場合、すなわ
ち、被加工物3がワイヤ電極4よりも高電位となるよう
な出力状態の場合に放電加工間隙Gに流れる加工電流の
値をIH、ブリッジ回路10の出力部において得られる
両極性パルス電圧V2の極性が負極性の場合、すなわ
ち、被加工物3がワイヤ電極4よりも低電位となるよう
な出力状態の場合に放電加工間隙Gに流れる加工電流の
値をILとした場合、IL>IHとなるようにするた
め、抵抗器15、18の合計抵抗値は、抵抗器16、1
7の合計抵抗値よりも大きく設定されている。本実施の
形態では、抵抗器15は抵抗器18と同一の値とされ、
抵抗器16は抵抗器17と同一の値とされている。
を参照しながら説明する。制御回路20からの制御パル
ス信号PA及び反転制御パルス信号PB(図2(A)、
(B)参照)によりブリッジ回路10のスイッチングト
ランジスタ11〜14が以下に説明されるようにオン、
オフ制御され、ブリッジ回路10からは両極性パルス電
圧V2が出力される。図2の(C)には、このときの加
工用電圧Vの波形の一例が示されている。
・・・では、スイッチングトランジスタ11、14がオ
フでスイッチングトランジスタ12、13がオンとな
り、直流電源9からの直流電圧Eは低抵抗値の抵抗器1
6、17を介して出力される。したがって、ワイヤ電極
4が正で被加工物3が負となるようにして加工用電圧V
が比較的高く加工電流が大きいレベルの放電エネルギが
放電加工間隙Gに供給され、被加工物3が逆極性で放電
加工される。逆極性での放電加工は、被加工物への放電
エネルギ配分が少ないため、安定した放電を行わせつつ
面粗さの小さい放電加工面を得ることができる。図2に
示した例では、期間T3、T5においてのみ放電加工間
隙Gに放電が生じている。
・では、スイッチングトランジスタ11、14がオンで
スイッチングトランジスタ12、13がオフとなり、直
流電源9からの直流電圧Eは高抵抗値の抵抗器15、1
8を介して出力される。したがって、ワイヤ電極4が負
で被加工物3が正となるようにして加工用電圧Vが比較
的低く加工電流が小さいレベルで放電エネルギが放電加
工間隙Gに供給され、被加工物3が正極性で放電加工さ
れる。正極性での放電加工は被加工物への放電エネルギ
配分が多いが、放電エネルギのレベルが低くなるので、
被加工物3の放電加工面の面粗さは小さくなり、所要の
仕上げ加工が可能となる。なお、期間T1、T3、T
5、T7、・・・から期間T2、T4、T6、T8、・
・・への各移行時には、放電加工間隙Gに印加される加
工用電圧Vの極性が反転するため、特に加工用電圧Vに
よる逆極性加工のための放電を一旦速やかに途切れさせ
ることができ、これにより全体として仕上げ加工が安定
且つ良好に遂行される。
とが制御パルス信号PAによって定まる所定の周期で交
互に安定に行われ、被加工物3を小さな面粗度で仕上げ
ることができる。図2の(D)は放電加工間隙Gに流れ
る放電加工電流Iの波形図である。図2の(D)から、
被加工物3は逆極性加工によって大きい加工電流で安定
に加工されて小さい面粗度放電加工面が得られ、正極性
加工によって被加工物3が低い加工電流で加工され面粗
さを小さくするのに役立っているのが判る。
加工間隙G側を見た場合、主として出力線8のキャパシ
タンス成分による浮遊キャパシタンスが存在する。した
がって、第2電源部6からの両極性パルス電圧V2を放
電加工間隙Gに加工用電圧Vとして印加する場合、放電
加工間隙Gにおいて放電が生じていない無負荷状態の場
合を考えると、両極性パルス電圧V2の出力極性が所定
の周期で交互に変化したとき、両極性パルス電圧V2が
正極性の場合と逆極性の場合とで、この浮遊キャパシタ
ンスに値の異なる抵抗器が交互に直列接続されることと
なる。この結果、無負荷状態における加工用電圧Vの値
が正極性の場合と負極性の場合とで異なるという現象が
生じることとなる。この現象が生じると被加工物3の表
面に真鍮がコーティングされる所謂ブラスコーティング
現象が生じ、被加工物3の加工表面の品質を損なうこと
になる。
による仕上加工のためにリレー接点L3、L4が閉じら
れた場合、リレー接点L5も同時に閉じられ、コイル3
0を放電加工間隙Gに並列に接続し、コイル30と上記
浮遊キャパシタンスとによる並列共振回路を構成し、こ
の並列共振回路の共振周波数が制御パルス信号PAの周
波数と略一致するように構成されている。このためコイ
ル30のインダクタンス値は、浮遊キャパシタンスの値
と制御パルス信号PAの周波数とに基づいて定められて
いる。
コイル30を放電加工間隙Gと並列に接続し、これによ
り第2電源部6の出力から放電加工間隙Gを見た場合の
インピーダンスを略純抵抗とすることにより、両極性パ
ルス電圧V2の極性切り換え時に直流電源9と放電加工
間隙Gとの間に挿入される抵抗器の値が変化しても、無
負荷時には両極性パルス電圧V2の電圧が略そのまま放
電加工間隙Gに加工用電圧Vとして印加されるので、放
電加工間隙3にブラスコーティングを生じさせることが
ない。
装置1の仕上げ加工時の電気的等価回路を示す図であ
る。図3で、40は、直流電源9とブリッジ回路10と
から成る両極性パルス電圧V2の発生のための電源部を
示すものであり、Rは電源部40の内部抵抗値である。
C1は浮遊キャパシタンスの容量値、L1は放電加工間
隙Gへの配線による分布インダクタンスのインダクタン
ス値、L2はコイル30のインダクタンス値である。
両極性パルス電圧V2の周波数を5MHzとすると、C
1の値が約500PFの場合、L2の値は約2μHとす
ればよいことが判る。コイル30をこのような値にすれ
ば、電源部40から放電加工間隙Gを見た場合のインピ
ーダンスはほとんど放電加工間隙Gの抵抗値のみとな
る。したがって、無負荷状態にあっては、V2≒Vとな
る。
電源部6から両極性パルス電圧V2を放電加工間隙Gに
印加したときの加工用電圧Vの無負荷電圧波形の一例が
示されている。一方、図4の(B)には、コイル30を
用いることなしに第2電源部6から両極性パルス電圧V
2を放電加工間隙Gに印加したときの加工用電圧Vの無
負荷電圧波形の一例が示されている。図4の(A)と
(B)との電圧波形を比較すると、コイル30を挿入す
ることにより電圧の偏りが著しく改善されているのが判
る。
置1を用いて加工した被加工物3の放電加工面の面粗さ
状態の一例が示されている。この加工の条件は、 直流電源電圧 45V 周波数 5MHz 抵抗16、17(電極正極) 5Ω+5Ω=10Ω 抵抗15、18(電極負極) 25Ω+25Ω=50Ω である。図5から判るように、被加工物3の板厚が変化
してもその放電加工面の面粗さ状態は殆ど変化しない。
また、ブラスコーティングが発生していないことも確認
された。
Hz以下という比較的低い高周波領域のトランジスタブ
リッジの回路構成による両極性パルス電源において、正
極側制限抵抗値を逆極側制限抵抗値よりも高いものを使
用することによって、正極側の電圧印加時の放電電流を
逆極側のそれよりも低くすることにより加工面粗度を向
上させることができる(この場合には図4で示す無負荷
電圧波形となる)。さらに、回路上の浮遊キャパシタン
スとLC並列共振を発生させるために極間と並列に所定
のインダクタンスを挿入することによって、浮遊キャパ
シタンスと並列のインダクタンスからなるインピーダン
スを無限大にさせる。これにより、浮遊キャパシタンス
の影響が無くなり正極と逆極とで制限抵抗値が異なるこ
とから生じる無負荷電圧の逆極性側への偏りを解消する
ことが可能となった。この回路構成では無負荷電圧波形
は両極性均等な電圧が極間へ印加されるが、放電が発生
した場合の放電電流は正極側と逆極側で制限抵抗値が違
うので逆極側放電電流を抑えて面粗さを向上させること
ができる。
い高周波領域で良質な加工面が得られ、さらにギャップ
共振状態とならなくても安定して加工が可能なため被加
工物の板厚の変化やワイヤ径、さらに放電加工機の機械
的な構造上の分布インダクタンスの影響をあまり受けず
に安定して良質な加工面が得られ、しかも無負荷電圧波
形に偏りが無いので被加工物へ真鍮が付着する現象も発
生しない。
ヤカット放電加工機に適用した場合について説明した
が、本発明は実施の形態の構成に限定されるものではな
く、型彫放電加工機等についても広く適用することがで
き、同様の効果を得ることができる。
と加工用電極とによって形成される放電加工間隙に加工
用電圧を極性を正負交互に切り換えつつ印加して前記被
加工物を放電加工する場合、正極側の電圧印加時の放電
電流を逆極側のそれよりも低くすることにより加工面粗
度を向上させることができる。通常、両極性均等な交流
電源又は両極性パルス電源で加工した場合には、被加工
物に対してエネルギー配分の大きな正極側放電によって
面粗さが決定されていると考えられるが、正極側放電時
の放電電流を抑えることによって加工面粗さを向上する
ことが可能となる。この場合、両極性パルス等の両極性
出力電圧の周波数が比較的低い高周波領域であっても良
質な放電加工面が得られ、さらにギャップ共振状態とな
らなくても安定して加工が可能なため被加工物の板厚の
変化やワイヤ径、さらに放電加工機の機械的な構造上の
分布インダクタンスの影響をあまり受けずに、安定して
良質な加工面が得られる。
インダクタンスにより無負荷時における加工間隙電圧の
逆極性側への偏りを解消できるので、両極性出力電圧を
用い、逆極性加工時の加工エネルギーを正極性加工時の
加工エネルギーよりも大きくする構成を採用しても、加
工面へ真鍮が付着する現象を生じさせることがなく、高
品質の放電加工面を得ることができる。
の形態の一例を示す回路図。
めの各部の信号波形図。
を説明するための放電加工装置の電気的等価回路図。
ときの無負荷電圧波形を示す波形図、(B)は放電加工
間隙にコイルを並列接続しないときの無負荷電圧波形を
示す波形図。
た場合の放電加工面の面粗さの一例を示すためのグラ
フ。
Claims (3)
- 【請求項1】 被加工物と加工用電極とによって形成さ
れる放電加工間隙に加工用電圧の極性を正負交互に切り
換えつつ印加して前記被加工物を放電加工する場合、逆
極性加工時における加工電流のレベルよりも正極性加工
時における加工電流のレベルを小さくすると共に、前記
放電加工間隙と並列に回路上の浮遊キャパシタンスとL
C並列共振をさせるためのインダクタンス素子を挿入す
るようにしたことを特徴とする放電加工方法。 - 【請求項2】 極性が周期的に反転する両極性出力電圧
を被加工物と加工用電極との間に形成される放電加工間
隙に抵抗器を介して印加し、逆極性加工と正極性加工と
を周期的に切り換えつつ前記被加工物を放電加工する方
法において、前記逆極性加工時には前記抵抗器が小さな
抵抗値の抵抗器とされ、前記正極性加工時には前記抵抗
器が大きな抵抗値の抵抗器となるように切り換えると共
に、前記放電加工間隙と並列に回路上の浮遊キャパシタ
ンスとLC並列共振をさせるためのインダクタンス素子
を挿入するようにしたことを特徴とする放電加工方法。 - 【請求項3】 極性が周期的に反転する両極性パルス電
圧を放電加工間隙に供給して被加工物を放電加工するた
めの放電加工装置において、直流電圧を出力する直流電
源と、各辺に半導体スイッチング素子が設けられて成り
前記直流電圧が入力されているブリッジ回路と、該ブリ
ッジ回路の出力から前記両極性パルス電圧を得るため該
ブリッジ回路の対向する辺の半導体スイッチング素子同
志を同期させてオン、オフ制御するための制御回路と、
前記両極性パルスを前記放電加工間隙に印加するための
回路上の浮遊キャパシタンスの影響をなくすため前記放
電加工間隙に並列に接続されたインダクタンス素子とを
備え、前記ブリッジ回路から正極性パルスを取り出すた
めに閉じられる前記半導体スイッチング素子と直列に第
1の制限抵抗要素を設けると共に前記ブリッジ回路から
負極性パルスを取り出すために閉じられる前記半導体ス
イッチング素子と直列に第2の制限抵抗要素を設け、前
記第1の制限抵抗要素の値を前記第2の制限抵抗要素の
値よりも高く設定したことを特徴とする放電加工装置。
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