JPH11345745A - 電子デバイスおよびその製造方法 - Google Patents

電子デバイスおよびその製造方法

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JPH11345745A
JPH11345745A JP10321518A JP32151898A JPH11345745A JP H11345745 A JPH11345745 A JP H11345745A JP 10321518 A JP10321518 A JP 10321518A JP 32151898 A JP32151898 A JP 32151898A JP H11345745 A JPH11345745 A JP H11345745A
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layer
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oxide
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Katsuhiko Igarashi
克彦 五十嵐
Atsushi Masuda
淳 増田
Tomoko Uchida
知子 内田
Shigeki Sato
佐藤  茂樹
Yasumichi Tokuoka
保導 徳岡
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な工程で均一な酸化物層が得られ、この
酸化物層により与えられる抵抗値の制御が容易で高精度
が得られ、しかも酸化物層と他の金属含有層との接着強
度が良好で、リード線の接着強度に優れ、さらに、安定
した温度特性を有する電子デバイスの製造方法、および
電子デバイスを実現する。 【解決手段】 少なくとも金属を含有する第1の金属層
と、金属粒子を焼成して形成された第2の金属層とを有
し、この2つの金属層間に酸化物中間層を有する電子デ
バイスであって、前記第2の金属層に含有される金属粒
子の酸化還元平衡曲線が、第1の金属層に含有される金
属の酸化還元平衡曲線より上位に位置し、前記酸化物中
間層は第1の金属層に含有されている金属の酸化物を含
有する電子デバイスとした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄膜構造の抵抗
体、磁性体、絶縁体、半導体要素を有する電子デバイス
に関し、より詳しくは2つの金属層間に酸化物中間層を
有する電子デバイスおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】金属層間に薄く均一な酸化膜を形成する
方法としては、例えば、従来より公知のスパッタ等のい
わゆる真空薄膜形成技術を用いるのが一般的である。し
かしながら、この方法でミリ単位以下の極小電子部品
の、ある限定した場所だけに酸化膜を形成する場合には
特別なマスキングが必要となり、量産性に劣ると共に、
コスト的にも高くなってしまう。
【0003】また、酸化物をビヒクル中に分散させたペ
ーストを、スクリーン印刷法、転写法、ディップ法等を
用いて形成する、いわゆる厚膜形成技術もあるが、この
場合、サブミクロンオーダーの膜厚で均一に形成するに
は限界がある。また、金属層を形成して、酸化物層を形
成し、さらに金属層を形成することとなり、工程的にも
複雑なものとなってしまう。また、酸化物の組成によっ
ては、焼成での雰囲気が限定される場合があり、所望の
酸化物層を得られない場合もあった。
【0004】なお、酸化物層は一般に負の温度特性を有
するが、温度条件の変化する環境で使用する装置でも安
定した温度特性を有するものや、正の温度特性を必要と
するデバイス等も望まれている。
【0005】ところで、抵抗体チップは、通常、アルミ
ナ等の絶縁体上に抵抗体(膜)を形成して得られる。そ
の形成方法は、抵抗体をペースト化し、スクリーン印刷
等で形成し、アルミナ基板に焼き付けることにより得ら
れる。抵抗体としては、主に酸化ルテニウム系が主流で
あり、一部、酸化スズ、窒化タンタル等が用いられてい
る。これら抵抗体は、いずれも抵抗の高い導電粒子とガ
ラスとバインダーを混合し、ペースト化し、アルミナ基
板上の所定の位置に所定の形状に印刷等して形成し、6
00℃以上の高温で焼成して基板に焼き付ける方法が採
用されてきた。
【0006】しかしながら、焼き付ける温度により抵抗
値が変化しやすく、特に雰囲気制御を必要とする焼き付
けのような場合には抵抗値のバラツキが大きくなる。ま
た、ガラス成分を多く含んでいるために、他の部品を形
成するための焼き付けが再度行われた場合、ガラスがそ
の影響により基板内へと拡散し、抵抗値が大きく変動し
てしまう。
【0007】また、上記のようにガラスを多量に含有し
ていることから、抵抗体チップの端子電極部をメッキす
る際には、焼き付けによって形成された抵抗体の上に樹
脂等のメッキに対する保護膜をコーティングする必要が
あった。それは、メッキによってガラス等が浸食され、
抵抗値が大きく変動してしまうためである。
【0008】また、最近の電子機器の電源の多くには、
スイッチング電源やDC−DCコンバータが用いられて
いるが、これらの電源に使用されるコンデンサとして電
源バイパス用のコンデンサがある。この電源バイパス用
コンデンサは、その電源容量やスイッチング周波数、併
用される平滑コイル等の回路パラメータに応じて、低容
量の積層セラミックコンデンサと、高容量のアルミある
いはタンタルといった電解コンデンサが用いられてき
た。ところで、電解コンデンサは、容易に大容量が得ら
れ、電源のバイパス用(平滑用)コンデンサとしては優
れた面を有するが、大型で、低温特性に劣り、短絡事故
の恐れがある。しかも、内部インピーダンスが比較的高
いため、等価直列抵抗(ESR)による損失が定常的に
発生し、それに伴う発熱を生じ、しかも周波数特性が悪
く、平滑性が悪化するといった問題を有している。ま
た、近年、技術革新により、積層セラミックコンデンサ
の誘電体や内部電極の薄層化、積層化技術の進展に伴
い、積層セラミックコンデンサの静電容量が、電解コン
デンサの静電容量に近づきつつある。このため、電解コ
ンデンサを積層セラミックコンデンサに置き換えようと
する試みも種々なされている。
【0009】電源のバイパス用のコンデンサにおいては
平滑作用を示すファクターとしてリップルノイズが重要
である。リップルノイズをどの程度に抑えるかは、コン
デンサの等価直列抵抗(ESR)により決まる。ここ
で、リップル電圧をΔVr 、チョ−クコイルに流れる電
流をΔi、等価直列抵抗をESRとすると、ΔVr =Δ
i×ESRと表され、ESRを低下させることによりリ
ップル電圧が抑制されることがわかる。従って、電源の
バイパス回路においては、ESRの低いコンデンサを使
用することが好ましく、ESRの低い積層セラミックコ
ンデンサを電源回路に用いる試みもなされている。
【0010】ところが、DC−DCコンバータやスイッ
チング電源等の2次側回路では、平滑回路のESRが帰
還ループの位相特性に大きな影響を与え、特にESRが
極端に低くなると問題を生じることがある。すなわち、
平滑用コンデンサとしてESRの低い積層セラミックコ
ンデンサを使用した場合、2次側平滑回路が等価的にL
とC成分のみで構成されてしまい、回路内に存在する位
相成分が±90°および0°のみとなり、位相の余裕が
なくなり容易に発振してしまう。同様な現象は3端子レ
ギュレータを用いた電源回路においても負荷変動時の発
振現象として現れる。
【0011】このため、積層セラミックコンデンサの等
価直列抵抗(ESR)を高めた電子部品が提案されてい
る。例えば、特許第2578264号には、積層セラミ
ックコンデンサの外部電極の表面に金属酸化膜を形成
し、これを抵抗として機能させることによりESRを高
めていて、その酸化膜厚で抵抗値を制御しようとしてい
る。しかし、その製造方法は、端子電極の酸化の制御が
難しく、酸化の程度が少しでも大きいと、電極内部も酸
化されてしまい、コンデンサとしての機能を果たすこと
ができなくなってしまう。また、端子電極のみを酸化す
ることができても、端子電極が酸化されているために不
都合が生じる。すなわち、メッキを行う際に、無電解メ
ッキでメッキ被膜を形成しているが、この方法では、メ
ッキの際にセラミック素体をメッキされないように樹脂
等で被覆する必要がある。このため、工程が複雑になる
ばかりでなく、酸化物とメッキ膜(Ni膜)間の接着性
が著しく低下し、その間で剥離が生じてしまい、電子部
品としての必要十分な機械的強度が得られないという欠
点がある。すなわち、ニッケルメッキにリ−ド線を設け
た場合、このリード線が容易に剥離してしまう。
【0012】また、例えば、特開昭59−225509
号公報に記載されているように、積層セラミックコンデ
ンサに、さらに酸化ルテニウム等の抵抗体ペーストを積
層し、これを同時焼成して抵抗体としたものも知られて
いる。しかし、このものは、そのまま端子電極を設けた
場合、等価回路がC/Rまたは(LC)/Rの並列回路
となり、直列回路を得ることができない。また、直列回
路を得るためには端子電極の形状が複雑となり、製造工
程も複雑なものとなってしまう。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】この発明の目的は、簡
単な工程で均一な酸化物層が得られ、この酸化物層によ
り与えられる抵抗値の制御が容易で高精度が得られ、し
かも酸化物層と他の金属含有層との接着強度の良好な電
子デバイスの製造方法、および電子デバイスを実現する
ことである。
【0014】また、メッキ液に抵抗体がさらされること
がなく、メッキによる抵抗値の変動もなく、他の部品と
の組み合わせにより容易に抵抗機能を備えた電子デバイ
スとなる電子デバイスおよびその製造方法を提供するこ
とである。
【0015】また、温度特性がゼロ、ないし正である電
子デバイスを提供することである。
【0016】また、特別な焼成条件を必要とせず、製造
工程も簡単で、生産コストも安く、CRまたは(L/
C)R直列回路が簡単に得られ、抵抗値の制御も容易で
あり、リード線の接着強度も強固な端子電極を有する電
子デバイスおよびその製造方法を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的は、以下の
(1)〜(30)の構成により達成される。 (1) 少なくとも金属を含有する第1の金属層と、金
属粒子を焼成して形成された第2の金属層とを有し、こ
の2つの金属層間に酸化物中間層を有する電子デバイス
であって、前記第2の金属層に含有される金属粒子の酸
化還元平衡曲線が、第1の金属層に含有される金属の酸
化還元平衡曲線より上位に位置し、前記酸化物中間層は
第1の金属層に含有されている金属の酸化物を含有する
電子デバイス。 (2) 前記第1の金属層と第2の金属層とが、前記酸
化物中間層を介して電気的に導通し、前記酸化物中間層
は抵抗体として機能する上記(1)の電子デバイス。 (3) 誘電体層と内部電極とが交互に積層され、この
積層体の端部に形成された端子電極と、前記内部電極と
がキャパシタとなるように電気的に接続され、前記端子
電極の少なくとも一方は内部電極側から前記第1の金属
層、酸化物中間層および第2の金属層を順次有する上記
(1)または(2)の電子デバイス。 (4) CR複合電子デバイスである上記(1)〜
(3)のいずれかの電子デバイス。 (5) 前記内部電極層がNiを含有する上記(1)〜
(4)のいずれかの電子デバイス。 (6) 前記端子電極の外側にメッキ層を有する上記
(1)〜(5)のいずれかの電子デバイス。
【0018】(7) 酸化性雰囲気中で焼成することに
より酸化物となる第1の金属を含有する第1の金属層
と、酸化性雰囲気中で焼成しても酸化されない金属を含
有する第2の金属粒子を焼成して形成した第2の金属層
とを有し、この2つの金属層間に酸化物中間層を有する
電子デバイスであって、前記酸化物中間層は第1の金属
層に含有されている第1の金属の酸化物を含有し、かつ
前記酸化物中間層中には第2の金属層に含有されている
第2の金属粒子が分散している電子デバイス。 (8) 前記酸化物中間層に分散している第2の金属粒
子は、金属粒子の状態および/または金属粒子同士の一
部が融合した状態で存在している上記(7)の電子デバ
イス。 (9) 前記酸化物中間層は、分散している第2の金属
粒子同士の一部が融合した状態の導通パスが形成されて
いる上記(7)または(8)の電子デバイス。 (10) 前記酸化物中間層に分散している第2の金属
粒子の含有量は、形成された酸化物中間層の断面を観察
して確認される第2の金属粒子の酸化物の占める面積
と、酸化物中間層全体の面積との比を、分散粒子の総面
積/酸化物中間層の総面積×100、と表したとき、2
0〜99%である上記(7)〜(9)のいずれかの電子
デバイス。 (11) 前記第2の金属層に含有されている第2の金
属粒子は、平均粒子径が0.01〜10μm である上記
(7)〜(10)のいずれかの電子デバイス。 (12) 前記第1の金属層に含有されている第1の金
属粒子は、平均粒子径が0.1〜5μm であって、前記
第2の金属層に含有されている第2の金属粒子は、平均
粒子径が0.05〜5μm である上記(7)〜(11)
のいずれかの電子デバイス。 (13) 前記第2の金属層に含有される第2の金属粒
子が、Ag,Pt,Rh,Ru,Ir,AuおよびPd
の1種または2種以上の金属元素を含有し、第1の金属
層は前記第2の金属成分以外の金属、またはこの金属と
前記第2の金属成分との合金を含有する上記(7)〜
(12)のいずれかの電子デバイス。 (14) 前記第2の金属層は全金属量に対し、0〜2
0重量%のガラスフリットを含有する上記(7)〜(1
3)のいずれかの電子デバイス。 (15) 前記ガラスフリットの軟化点は、350℃以
上、500℃以下である上記(7)〜(14)のいずれ
かの電子デバイス。 (16) 前記ガラスフリットの軟化点は、300℃以
上、350℃未満、または500℃超〜1000℃以下
である上記(7)〜(15)のいずれかの電子デバイ
ス。 (17) 前記第1の金属層はFe,Co,Cuおよび
Niの1種または2種以上を含有する上記(7)〜(1
6)のいずれかの電子デバイス。 (18) 前記第1の金属層と前記第2の金属層とが前
記酸化物中間層を介して電気的に導通し、前記酸化物中
間層は抵抗体として機能する上記(7)〜(17)のい
ずれかの電子デバイス。 (19) 前記第1の金属層から第2の金属層にかけて
形成された抵抗体部分の温度係数がゼロまたは正である
上記(18)の電子デバイス。 (20) 誘電体層と内部電極とが交互に積層されてお
り、この積層体の端部に形成された端子電極と、前記内
部電極とがキャパシタとなるように電気的に接続され、
前記端子電極の少なくとも一方は内部電極側から前記第
1の金属層、酸化物中間層および第2の金属層を順次有
する上記(7)〜(19)のいずれかの電子デバイス。 (21) CR複合電子デバイスである上記(7)〜
(20)のいずれかの電子デバイス。 (22) 前記内部電極層がNiを含有する上記(7)
〜(21)のいずれかの電子デバイス。 (23) 前記端子電極の外側にメッキ層を有する上記
(7)〜(22)のいずれかの電子デバイス。
【0019】(24) 少なくともビヒクル中に金属粒
子が分散されている第1の金属層用ペーストと第2の金
属層用ペーストであって、第2の金属層用ペーストに含
有される金属の酸化還元平衡曲線は、第1の金属層用ペ
ーストに含有される金属の酸化還元平衡曲線より上位に
位置しているものを用い、この第1の金属層用ペースト
を基材上に塗布して乾燥し、第1の金属層用ペーストに
含有されている金属が酸化されない中性ないし還元性雰
囲気中で焼成して第1の金属層前駆体とし、第1の金属
層前駆体上に第2の金属層用ペーストを塗布して乾燥
し、前記第1の金属層前駆体に含有されている金属が酸
化される酸素分圧であって、かつ第2の金属層用ペース
トに含有されている金属が酸化されない酸素分圧条件で
焼成して第1の金属層前駆体の第2の金属層用ペースト
との界面に酸化物中間層を形成するとともに、第1の金
属層と第2の金属層を得る電子デバイスの製造方法。 (25) 前記第1の金属層用ペーストを塗布し、乾燥
し、焼成してこれを下地金属層とし、さらにこの上にメ
ッキ法にて金属薄膜を形成してこれを第1の金属層と
し、次いでこの上に第2の金属層用ペーストを塗布する
上記(24)の電子デバイスの製造方法。
【0020】(26) 少なくともビヒクル中に酸化性
雰囲気中で焼成することにより酸化物となる第1の金属
粒子が分散されている第1の金属層用ペーストと、少な
くともビヒクル中に酸化性雰囲気中で焼成しても酸化さ
れない第2の金属粒子が分散されている第2の金属層用
ペーストとを用い、前記第1の金属層用ペーストを基材
上に塗布して乾燥し、この第1の金属層用ペーストに含
有されている金属が酸化されない中性ないし還元性雰囲
気中で焼成して第1の金属層前駆体とし、第1の金属層
前駆体上に第2の金属層用ペーストを塗布して乾燥し、
酸化性雰囲気中で焼成して第1の金属層前駆体の第2の
金属層用ペーストとの界面を酸化させて酸化物中間層を
形成し、かつこの酸化物中間層中に第2の金属層に含有
されている第2の金属粒子を分散させた状態とし、第1
の金属層、酸化物中間層および第2の金属層を得る電子
デバイスの製造方法。 (27) 前記第1の金属層用ペーストを塗布し、乾燥
し、焼成してこれを下地金属層とし、さらにこの上にメ
ッキ法にて金属薄膜を形成してこれを第1の金属層と
し、次いでこの上に第2の金属層用ペーストを塗布する
上記(26)の電子デバイスの製造方法。 (28) 前記第2の金属層用ペーストに含有される第
2の金属粒子の平均粒子径を0.01〜20μm の範囲
で変化させ、前記酸化物中間層の抵抗値を調節する上記
(26)または(27)の電子デバイスの製造方法。 (29) 前記第2の金属層用ペーストは、全金属量に
対し、0〜20重量%のガラスフリットを含有し、かつ
このガラスフリットの軟化点を調節することにより前記
酸化物中間層の抵抗値を調節する上記(26)〜(2
8)のいずれかの電子デバイスの製造方法。 (30) 前記第1の金属層に含有されている第1の金
属粒子の平均粒子径を0.1〜5μm とし、前記第2の
金属層に含有されている第2の金属粒子の平均粒子径を
0.05〜5μm として、第2の金属層から第1の金属
層にかけて、第2の金属層に含有されている第2の金属
粒子を分散させ、この第2の金属粒子によるパスを形成
させる上記(26)〜(29)のいずれかの電子デバイ
スの製造方法。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の電子デバイスは、少なく
とも金属を含有する第1の金属層と、金属粒子を焼成し
て形成された第2の金属層とを有し、この2つの金属層
間に酸化物中間層を有する電子デバイスであって、前記
第2の金属層に含有される金属粒子の酸化還元平衡曲線
が、第1の金属層に含有される金属の酸化還元平衡曲線
より上位に位置し、前記酸化物中間層は第1の金属層に
含有されている金属粒子または金属の酸化物を含有する
ものである。
【0022】第2の金属層に含有される金属の酸化還元
平衡曲線が、第1の金属層に含有される金属の酸化還元
平衡曲線より上位に位置する2つの異なった金属層を、
第1の金属層に含有される金属成分のみが酸化される酸
素分圧条件で焼成することにより、第1の金属層と第2
の金属層との界面のみが酸化され、均一な酸化膜を得る
ことができる。
【0023】第1の金属層は金属粒子または金属を含有
し、第2の金属層は金属粒子を含有し、第1の金属層は
焼成またはメッキ法により、第2の金属層は焼成するこ
とにより形成される。含有される金属成分としては第2
の金属層に含有される金属成分の酸化還元平衡曲線が、
第1の金属層に含有される金属成分の酸化還元平衡曲線
より上位に位置するものであれば、それぞれ特に限定さ
れるものではなく、電子デバイスに必要とされる機能
や、用途などにより適宜選択すればよい。この酸化還元
平衡曲線は、例えばEllingham によって導入されRichar
dsonとJeffs によって発展されたものが知られている。
【0024】このような酸化還元平衡曲線において、2
つの金属の酸化還元平衡曲線が重なることなく、第2の
金属層に含有される金属の酸化還元平衡曲線が、第1の
金属層に含有される金属の酸化還元平衡曲線より上位に
位置することが必要である。これは、例えば、300〜
1400℃の温度範囲において、一方の曲線が他方の曲
線の上位に位置する関係が前記Ellingham 曲線より明確
なものであればよい。この場合、特に制限されるもので
はないが、より具体的な数値で表すとすれば、第2の金
属層に含有される金属と、第1の金属層に含有される金
属が酸化されるときの酸素分圧比の最低値が、好ましく
は10ー10 以上、より好ましくは10ー5以上であること
が好ましい。
【0025】第1の金属層に含有される金属粒子または
金属と、第2の金属層に含有される金属粒子との組み合
わせとしては、抵抗体を得る場合には、Cu−Ag等
を、磁性体を得る場合には、Fe−Pd等を、誘電体を
得る場合には、Ti−Pd等を、半導体を得る場合に
は、Zn−Ag,Cu−Ag,Ni−Ag,Mn−Pd
等の組み合わせを好ましく挙げることができる。なお、
これらは特定の機能に着目して分類されているが、例え
ば通常の電子部品のように、半導体を抵抗体として機能
させる等、種々の応用が可能である。
【0026】金属粒子の粒径としては、その種類によっ
ても異なるが、好ましくは0.01〜10μm 、より好
ましくは0.05〜5μm 程度である。第1の電極層に
おける金属成分の含有率は、金属換算で好ましくは10
〜95wt%、より好ましくは20〜90wt%程度が好ま
しく、第2の電極層における金属成分の含有率は、金属
換算で好ましくは85〜100wt%、より好ましくは9
0〜100wt%程度が好ましい。
【0027】第1および第2の金属層の形成方法として
は、特に限定されるものではないが、通常のディッピン
グ法、スクリーン印刷法、転写法、乾式メッキ法等が好
ましく、特にディッピング法、スクリーン印刷法が好ま
しい。形成される第1の金属層の厚さは、特に限定され
るものではないが、通常5〜100μm 、特に10〜8
0μm 程度が好ましい。第2の金属層の厚さは、通常5
〜100μm 、特に10〜80μm 程度が好ましい。
【0028】第1の金属層および第2の金属層をスクリ
ーン印刷法、ディッピング法等により設けるには、前記
金属粒子と有機ビヒクルとを混練し、ペーストとしたも
のを用いればよい。金属層用ペーストには、通常、前記
金属粒子の他に無機結合剤としてのガラスフリット、有
機バインダーおよび溶剤が含有される。
【0029】第1の金属層、第2の金属層にはガラスフ
リットを含有していてもよい。特に第1の金属層に用い
た場合には、下地となる基材との接着性を高めることが
できる。ガラスフリットは、中性ないし還元性雰囲気中
で焼成されることから、このような雰囲気中でもガラス
としての特性を失わないものが好ましい。
【0030】このような条件を満たすものであれば、そ
の組成は特に限定されるものではないが、例えば、ケイ
酸ガラス(SiO2 :20〜80wt%、Na2O:80
〜20wt%)、ホウケイ酸ガラス(B2O3 :5〜50w
t%、SiO2 :5〜70wt%、PbO:1〜10wt
%、K2O:1〜15wt%)、アルミナケイ酸ガラス
(Al2O3 :1〜30wt%、SiO2 :10〜60wt
%、Na2O:5〜15wt%、CaO:1〜20wt%、
B2O3 :5〜30wt%)から選択されるガラスフリッ
トの、1種または2種以上を用いればよい。これに必要
に応じて、CaO:0.01〜50wt%,SrO:0.
01〜70wt%,BaO:0.01〜50wt%,Mg
O:0.01〜5wt%,ZnO:0.01〜70wt%,
PbO:0.01〜5wt%,Na2 O:0.01〜10
wt%,K2 O:0.01〜10wt%,MnO2 :0.0
1〜20wt%等の添加物を所定の組成比となるように混
合して用いればよい。またこれらは総計で50wt%以下
添加してもよい。ガラスの含有量は特に限定されるもの
ではないが、通常、第1の金属層で、金属成分に対して
0.5〜20wt%、好ましくは1〜10wt%程度であ
る。第2の金属層で、金属成分に対して0〜15wt%、
好ましくは0〜10wt%程度である。
【0031】有機バインダーとしては、特に限定される
ものではなく、セラミックス材のバインダーとして一般
的に使用されているものの中から、適宜選択して使用す
ればよい。このような有機バインダーとしては、エチル
セルロース、アクリル樹脂、ブチラール樹脂等が挙げら
れ、溶剤としてはターピネオール、ブチルカルビトー
ル、ケロシン等が挙げられる。ペースト中の有機バイン
ダーおよび溶剤の含有量は、特に制限されるものではな
く、通常使用されている量、例えば有機バインダー1〜
5wt%、溶剤10〜50wt%程度とすればよい。
【0032】さらに、金属層用ペースト中には、必要に
応じて各種分散剤、可塑剤、誘電体、絶縁体等の添加物
が含有されていてもよい。これらの総含有量は、1wt%
以下であることが好ましい。
【0033】酸化物中間層中に存在する酸化物は、前述
のように第1の金属層中に含有される金属粒子または金
属の酸化物であるが、全ての金属粒子または金属が酸化
されている必要はなく、その一部が酸化されている状態
であってもよい。この場合、酸化物は酸化物中間層中の
全金属量に対し、酸素換算で好ましくは10at%以上、
より好ましくは25at%以上含有されていることが好ま
しい。形成される酸化物中間層の厚さは、特に限定され
るものではなく、所望の電子デバイスの性能により適宜
調整すればよいが、通常0.01〜30μm 、特に0.
05〜20μm程度が好ましい。酸化物中間層の膜厚
は、焼成時間や焼成温度等の焼成条件により調製するこ
とができる。従って、酸化物中間層により得られる抵抗
成分、半導体成分、磁性体成分、誘電体成分の特性も調
製することができる。また、作製する電子デバイスがC
R複合電子デバイスである場合、前記酸化物中間層が抵
抗成分として機能し、所望のESRが得られる。ESR
の値は特に限定されるものではないが、好ましくは1〜
2000 mΩである。なお、第1の金属層が酸化されて
形成されるため、この酸化物中間層中にもガラス等が存
在することとなる。
【0034】酸化物中間層を抵抗体として機能させる場
合、得られる抵抗値は、好ましくは1〜2000 mΩ、
特に10〜1000 mΩ程度が好ましい。酸化物の存在
は通常EPMA等により、その組成はX線回折により調
べることができる。
【0035】また、本発明の電子デバイスは、酸化性雰
囲気中で焼成することにより酸化物となる金属を含有す
る第1の金属層と、酸化性雰囲気中で焼成しても酸化さ
れない金属粒子を焼成して形成した第2の金属層とを有
し、この2つの金属層間に酸化物中間層を有する。この
前記酸化物中間層は第1の金属層に含有されている金属
の酸化物を含有し、さらに第2の金属層に含有されてい
る金属が分散した状態とすることが好ましい。
【0036】第1の金属層は、酸化性雰囲気中で焼成す
ることにより酸化物となる第1の金属を含有する。酸化
性雰囲気中で焼成することにより酸化物となる第1の金
属を含有することにより、第2の金属層形成中に第1の
金属層と第2の金属層との界面付近を酸化して酸化物中
間層を形成することができる。このような金属として
は、酸化性雰囲気中で酸化物と成り得るものであれば特
に限定されるものではないが、好ましくは、Mn,F
e,Co,Ni,Cu,Si等の1種または2種以上を
用いたもの、より好ましくはNi,CuおよびNi−C
u合金等である。酸化性雰囲気とは、中性より酸化性の
高い雰囲気をいい、好ましくは酸素分圧にして10-3
圧以上、より好ましくは10-2気圧以上である。
【0037】なお、前出のとおり、第1の金属層に含有
される第1の金属に対して、第2の金属層に含有される
第2の金属の酸化還元平衡曲線(例えばEllingham によ
って導入されRichardsonとJeffs によって発展されたも
のをいう。)が上位にある関係であって、第1の金属層
が酸化され、第2の金属層が酸化されない酸素分圧で処
理してもよい。ただし、使用する金属によっては酸素分
圧や温度管理を厳密にコントロールする必要が生じ、製
造工程が煩雑となる場合がある。このため、中性ないし
還元性雰囲気と、酸化性雰囲気とで処理可能な金属とし
て、第1の金属層と第2の金属層に含有される金属を選
択した方が製造が容易となる。
【0038】第1の金属層における第1の金属が粒子状
態で存在する場合、その金属粒子の平均粒径としては、
その種類によっても異なるが、好ましくは0.01〜1
00μm、特に0.01〜30μm 、さらには0.01
〜10μm 、より好ましくは0.05〜5μm 、特に
0.1〜5μm 、さらには0.2〜3μm 程度である。
第1の電極層における金属成分の含有率は、金属換算で
好ましくは10〜95wt%、より好ましくは20〜90
wt%程度である。
【0039】第1の金属層の形成方法としては、特に限
定されるものではないが、通常のディッピング法、スク
リーン印刷法、転写法、乾式メッキ法等が好ましく、特
にディッピング法、スクリーン印刷法が好ましい。形成
される第1の金属層の厚さは、特に限定されるものでは
ないが、通常5〜100μm 、特に10〜80μm 程度
が好ましい。
【0040】第1の金属層をスクリーン印刷法、ディッ
ピング法等により設けるには、前記金属粒子と有機ビヒ
クルとを混練し、ペーストとしたものを用いればよい。
金属層用ペーストには、通常、前記金属粒子の他に無機
結合剤としてのガラスフリット、有機バインダーおよび
溶剤が含有される。
【0041】第1の金属層および第2の金属層には、ガ
ラスフリットを含有していてもよい。特に第1の金属層
に用いた場合には、下地となる基材との接着性を高める
ことができる。ガラスフリットは、中性ないし還元性雰
囲気中で焼成されることから、このような雰囲気中でも
ガラスとしての特性を失わないものが好ましい。
【0042】このような条件を満たすものであれば、そ
の組成は特に限定されるものではないが、例えば、ケイ
酸ガラス(SiO2 :20〜80wt%、Na2O:80
〜20wt%)、ホウケイ酸ガラス(B2O3 :5〜50w
t%、SiO2 :5〜70wt%、PbO:1〜10wt
%、K2O:1〜15wt%)、アルミナケイ酸ガラス
(Al2O3 :1〜30wt%、SiO2 :10〜60wt
%、Na2O:5〜15wt%、CaO:1〜20wt%、
B2O3 :5〜30wt%)から選択されるガラスフリッ
トの、1種または2種以上を用いればよい。これに必要
に応じて、CaO:0.01〜50wt%,SrO:0.
01〜70wt%,BaO:0.01〜50wt%,Mg
O:0.01〜5wt%,ZnO:0.01〜70wt%,
PbO:0.01〜5wt%,Na2 O:0.01〜10
wt%,K2 O:0.01〜10wt%,MnO2 :0.0
1〜20wt%等の添加物の一種以上を所定の組成比とな
るように混合して用いればよい。金属成分に対するガラ
スの含有量は特に限定されるものではないが、通常、第
1の金属層で、金属成分に対して0.5〜20wt%、好
ましくは1〜10wt%程度である。なお、ガラス中にお
ける上記添加物の総含有量は、ガラス成分を100とし
たとき50wt%以下であることが好ましい。
【0043】有機バインダーとしては、特に限定される
ものではなく、セラミックス材のバインダーとして一般
的に使用されているものの中から、適宜選択して使用す
ればよい。このような有機バインダーとしては、エチル
セルロース、アクリル樹脂、ブチラール樹脂等が挙げら
れ、溶剤としてはα−ターピネオール、ブチルカルビト
ール、ケロシン等が挙げられる。ペースト中の有機バイ
ンダーおよび溶剤の含有量は、特に制限されるものでは
なく、通常使用されている量、例えば有機バインダー1
〜5wt%、溶剤10〜50wt%程度とすればよい。
【0044】さらに、金属層用ペースト中には、必要に
応じて各種分散剤、可塑剤、絶縁体等の添加物が含有さ
れていてもよい。これらの総含有量は、1wt%以下であ
ることが好ましい。
【0045】第2の金属層は、酸化性雰囲気中で焼成し
て酸化されない第2の金属粒子を含有する。この酸化さ
れない第2の金属粒子を含有する第2の金属層を酸化性
雰囲気中で焼成することにより、第1の金属層の第2の
金属層との界面付近を酸化して酸化物中間層を形成する
ことができる。このような金属粒子としては、酸化性雰
囲気中で焼成することにより酸化されない金属であれば
特に限定されるものではないが、好ましくはAg,P
t,Rh,Ru,Ir,AuおよびPdの1種または2
種以上であり、特にAgが好ましい。
【0046】第2の金属層における第2の金属粒子の粒
径としては、その種類によっても異なるが、好ましくは
平均粒径が0.01〜20μm 、より好ましくは0.0
1〜10μm 、特に0.05〜10μm 、さらには0.
1〜10μm 、または0.05〜5μm 程度である。
0.01μm 未満では金属粒子同士が凝集しやすく、ペ
ーストを塗布して乾燥した場合、クラックが生じやすく
なる。20μm を超える粒子径では、第1の金属層の酸
化の程度に変化が生じなくなり、第2の電極層の焼結性
が低くなって、焼成後にメッキ工程を経る際にメッキ液
が侵入して酸化膜を侵すことがある。
【0047】第2の金属粒子の粒径を、前記範囲で調整
することにより、酸化物中間層の抵抗値を調整すること
ができる。この場合、平均粒径が0.01〜3.0μm
の金属粒子を用いた場合、酸化膜中への金属粒子の分散
の程度が多くなり、酸化物中間層の抵抗値が低くなる。
従って、このような粒径は主として低抵抗用として用い
られる。平均粒径が3.0μm より大きくなると、金属
粒子の酸化物中間層への拡散が抑制され、比較的高い抵
抗値を得ることができる。なお、酸化物中間層の抵抗値
は、上記粒径の他に後述のガラス組成、量等によっても
制御することができる。
【0048】また、第2の金属粒子の平均粒径を0.0
5〜5μm 、特に0.05〜3μmの範囲とした場合、
酸化物中間層に金属粒子を分散させ、パスを形成させる
ことができる。すなわち、酸化物中間層に分散している
金属粒子の状態は、第1の金属層に形成される酸化層
が、未融合の第2の金属粒子中へ拡散ないし分散した状
態でもある。これら分散した金属粒子の一部、または全
ての金属粒子同士は融合・結合し、集合した状態とな
り、通常、細い糸状ないし繊維状となって第2の金属層
から第1の金属層への導通パスを形成させることができ
る。通常、金属粒子は小さいほど酸化物中間層に分散し
やすく、パスの形成は金属粒子の分散の程度により異な
り、分散量が多いほどパスの形成ができ易い。この導通
パスは、導体断面積が小さいため、所定の抵抗値を有す
るが、酸化物中間層よりは抵抗が小さく第2の金属層か
ら第1の金属層へ導通する電流の殆どはこの導通パスを
流れることとなる。
【0049】また、酸化物金属を抵抗体とした場合、通
常、負の温度特性を有するが、上記のような導通パスに
より与えられる抵抗は金属導体の導体断面積が小さいも
のであることに由来するため、このような負の温度特性
を有することなく、殆どゼロないし正の温度特性を有す
ることとなる。このように、抵抗を与える媒体を酸化物
中間層の酸化物とするか、あるいは酸化物中間層に形成
された導通パスとするかにより、電子デバイスの特性、
特に温度特性をコントロールすることができる。導通パ
スは第2の金属層と第1の金属層とを電気的に接続する
が、この他必ずしも完全に接続されず、部分的に導通路
を形成していてもよい。あるいは第2の金属粒子が離散
的に存在していてもよい。
【0050】上記のような導通パスで得られる抵抗値
は、通常、1mΩ〜3Ω、特に1mΩ〜2Ω程度以下であ
る。
【0051】酸化物中間層における第2の金属粒子の含
有量は、形成された酸化物中間層の断面を観察したとき
に確認される第2の金属粒子の酸化物の占める面積と
(個々の粒子や融合した状態での粒子の総面積)、酸化
物中間層全体の面積との比、つまり、面積比(%)=
(拡散粒子の総面積)/(酸化物中間層の総面積)×1
00、と表したとき、好ましくは20〜99%、より好
ましくは20〜95%、特に50〜95%程度が好まし
い。面積比は、例えば酸化物中間層を画像解析装置で画
像解析し、酸化物中間層の総面積と、分散粒子の占める
総面積とを算出することで求めることができる。
【0052】第2の電極層における金属成分の含有率
は、金属換算で好ましくは80〜100wt%、より好ま
しくは90〜100wt%程度である。
【0053】第2の金属層の形成方法としては、特に限
定されるものではなく、通常のディッピング法、スクリ
ーン印刷法、転写法等が好ましく、特にディッピング
法、スクリーン印刷法が好ましい。形成される第2の金
属層の厚さは、特に限定されるものではないが、通常5
〜100μm 、特に10〜80μm 程度が好ましい。
【0054】第2の金属層をスクリーン印刷法、ディッ
ピング法等により設けるには、前記金属粒子と有機ビヒ
クルとを混練し、ペーストとしたものを用いればよい。
金属層用ペーストには、通常、前記金属粒子の他に無機
結合剤としてのガラスフリット、有機バインダーおよび
溶剤が含有される。
【0055】第2の金属層においては、ガラスフリット
により酸化物中間層の抵抗値制御を行うことができる。
ガラスフリットは、酸化性雰囲気中で焼成されることか
ら、通常は特に組成を限定する必要はないが、抵抗制御
を行う場合、低抵抗とするにはガラスの軟化点を350
℃以上、500℃以下とすることが好ましく、高抵抗と
するには軟化点を300℃以上、350℃未満、または
500℃超、1000℃以下とすることが好ましい。例
えば、ホウケイ酸ガラス、鉛ホウケイ酸ガラス等を用
い、また、これらにBaO,CaO,SrO,ZnO,
MnO,MnO2,Tl2O3 ,Bi2O3 ,Al2O3 を
添加することにより、このような軟化点を有するガラス
フリットとして調整することができる。
【0056】これら軟化点の温度範囲を限定した理由は
次の通りである。低抵抗値を得る場合、第1の金属層前
駆体の酸化と同時に、第2の金属層内の金属粒子を酸化
層内に分散させる必要がある。このため、第1の金属層
前駆体の酸化と、第2の金属層の焼成挙動を一致させな
ければならず、上記範囲となる。また、高抵抗値を得る
場合、ガラスの軟化点を300℃以上、350℃未満と
することで、第1の金属層の酸化反応が急速に生じる前
に、第2の金属層の焼結を速く行わせることができ、そ
の結果、第2の金属層内の金属粒子の拡散を抑制でき
る。また、軟化点を500℃超、1000℃以下とする
ことで、第2の金属層の焼成反応が遅延し、上記同様第
2の金属層内の金属粒子の分散を抑制できる。なお、金
属層に用いる金属の種類によっては上記範囲が若干変動
する場合があるので、使用する金属毎に適切な温度に調
整することが好ましい。
【0057】第2の金属層のガラスの含有量は特に限定
されるものではないが、通常、金属成分に対して0〜2
0wt%、好ましくは0〜10wt%程度である。なお、第
2の金属層の焼成を促進したり、遅延させたりする方法
は上記のようなガラスフリットの条件に限定されるもの
ではなく、他の方法、例えば市販のレジネートを用いた
り、金属粒子に焼結遅延処理を施す等してもよい。ま
た、用いる金属粒子の粒径や金属の組成により上記好適
範囲は多少変動する。このため、これらの条件により適
宜適当な値に調整すればよい。
【0058】酸化物中間層中に存在する酸化物は、前述
のように第1の金属層中に含有される第1の金属粒子ま
たは金属の酸化物であるが、全ての金属粒子または金属
が酸化されている必要はなく、その一部が酸化されてい
る状態であってもよい。この場合、酸化物は酸化物中間
層中の全金属量に対し、酸素換算で好ましくは10at%
以上、より好ましくは25at%以上含有されていること
が好ましい。形成される酸化物中間層の厚さは、特に限
定されるものではなく、所望の電子デバイスの性能によ
り適宜調整すればよいが、通常0.01〜30μm 、特
に0.05〜20μm 程度が好ましい。酸化物中間層の
膜厚は、焼成時間や焼成温度等の焼成条件により調製す
ることができる。従って、酸化物中間層により得られる
抵抗成分、半導体成分、磁性体成分、絶縁体成分の特性
も調製することができる。酸化物の存在は通常EPMA
により、その組成はX線回折等により調べることができ
る。
【0059】第1の金属層、酸化物中間層、第2の金属
層は、通常順次層状に形成される。ただし、上記のよう
に酸化物中間層の一部の金属が酸化された状態であって
もよく、また、第2の金属層中の金属が、通常焼結体な
いしその途中の粒子として分散している。分散している
金属の結晶粒径としては、特に限定されるものではない
が、0.1〜5μm 程度である。また、分散している金
属が、酸化物中間層において層状になっている場合もあ
るし、前述のように分散した金属粒子が結合した細い糸
状のパスとなっている場合もある。この場合、糸状のパ
スは必ずしも直線的ではなく、折れ曲がった複雑な形状
となっている場合が多い。従って、第1の金属層から酸
化物中間層、および/または酸化物中間層から第2の金
属層への遷移状態が傾斜状になっていてもよい。
【0060】本発明の電子デバイスは、基材側から第1
の電極層、酸化物中間層、第2の電極層を順次有する
が、その外側、つまり第2の電極層上にメッキ層を設け
てもよい。メッキ層は、ニッケル、スズ、ハンダ等が挙
げられ、好ましくはニッケルメッキ層と、スズあるいは
スズ−鉛合金ハンダ層とから構成される。メッキ層は、
第2の電極層側にニッケルメッキ層が、その外側の構成
材料としては、低抵抗率でハンダ濡れ性が良好なものが
好ましく、スズあるいはスズ−鉛合金ハンダ等が好まし
く、特に好ましくはスズ−鉛合金ハンダを設けたものが
好ましい。メッキ層は、リード線等を取り付けたり、実
装したりする際のハンダ濡れ性を改善すると共に、配線
板、リード線等との接続を確実に行い、しかも、第2の
金属層全体を覆うように形成されるため、抵抗値を安定
させたり、美観を向上させたり、電極層を保護したりす
る。
【0061】メッキ層を形成する方法としては、特に限
定されるものではなく、スパッタ法や蒸着法を用いた乾
式メッキも可能であるが、従来公知の電解メッキ法、無
電解メッキ法を用いた湿式メッキにより容易に設けるこ
とができ好ましい。湿式法を用いる場合、ニッケルメッ
キ層は端子電極上に形成するため、電解メッキ法を用い
ることが好ましい。また、スズあるいはスズ−鉛合金ハ
ンダ層は、被膜が形成されるニッケル層が金属であるた
めどちらの方法を用いてもよいが電解メッキ法が好まし
い。メッキ層の膜厚としては、好ましくはそれぞれ0.
1〜20μm 、特に1〜20μm 程度である。
【0062】基材としては特に限定されるものではな
く、単に電子デバイスの担体、あるいは基板となるよう
なもの、例えば、ガラス、アルミナ、シリコン等の無機
材質や各種樹脂材料などを用いることができる。また、
抵抗チップ体、CR複合部品、LR複合部品、LCR複
合部品、等のチップ体ないし複合部品などに応用する場
合、絶縁体と導体の積層チップ体、積層コンデンサ、積
層インダクタ等を基材とし、その端子部等に形成しても
よい。
【0063】次に、本発明の電子デバイスの製造方法に
ついて説明する。
【0064】第1および第2の金属層用ペーストは、上
記の各種金属粒子と、上記した有機ビヒクルとを混練し
て調製する。
【0065】上記のような基材に、第1の金属層用ペー
ストを印刷、転写、またはディップして乾燥し、焼成す
る。乾燥条件としては、特に限定されるものではない
が、通常、50〜200℃、特に60〜200℃、5〜
10分、あるいは10〜60分程度である。焼成は、第
1の金属層が酸化されない条件で行う必要があり、中性
ないし還元性雰囲気中で焼成を行う。雰囲気ガスとして
は、特に限定されるものではないが、窒素ガス、窒素−
水素混合ガスが好ましく、混合ガス中における窒素濃度
としては50〜99%、より好ましくは80〜98%が
好ましい。焼成温度は、好ましくは300〜1500
℃、より好ましくは600〜1000℃が好ましい。焼
成時間は、前記温度範囲で0〜1時間程度保持すること
が好ましい。
【0066】得られた第1の金属層前駆体上に、さらに
第2の金属層用ペーストを印刷、転写、またはディップ
して乾燥する。このとき、電子デバイスの機能や回路に
応じたパターンに印刷してもよい。乾燥条件としては、
特に限定されるものではないが、通常、50〜200
℃、5〜10分程度である。
【0067】次いで、焼成を行う。焼成条件は、第1の
金属層前駆体に含有されている金属粒子が酸化される酸
素分圧であって、かつ第2の金属層用ペーストに含有さ
れている金属粒子が酸化されない酸素分圧で焼成すれよ
い。従って、金属粒子の種類等により、酸素分圧を適宜
調整してもよい。焼成温度は、好ましくは400〜90
0℃、より好ましくは500〜800℃が好ましく、抵
抗値を制御する際には上記温度範囲とすればよい。焼成
時間は、前記温度範囲で0〜1時間程度保持することが
好ましい。この際、第1の金属層前駆体の第2の金属層
用ペーストとの界面付近が酸化されると共に、好ましく
は第2の金属層中の金属が酸化物中間層内に分散して酸
化物中間層が形成され、第1の金属層と第2の金属層と
が形成される。
【0068】なお、第1の金属層はメッキ層としてもよ
い。この場合に、前記第1の金属層用のペーストを塗布
して下地金属層とし、この上にメッキ層を設けて第1の
金属層としてもよい。下地金属層を設けることにより、
メッキ層が形成しやすくなる。メッキ層の形成方法とし
ては、電解メッキ、無電解メッキ等の湿式メッキや、ス
パッタ法、蒸着法等の乾式メッキ等が挙げられ、いずれ
のものを用いてもよい。
【0069】次に、本発明の電子デバイスの応用例とし
て、抵抗体チップおよび積層セラミックコンデンサに応
用した場合について説明する。この抵抗体チップおよび
積層セラミックコンデンサは、チタン酸バリウムを絶縁
体または誘電体とし、ニッケルを内部導体として埋設し
たものを導通チップとした。従って、抵抗体チップの両
端面は電気的に接続された状態となり、積層セラミック
コンデンサの両端面は、通常、交互に内部導体が接続さ
れた状態となる。
【0070】絶縁体層を構成する絶縁体材料としては、
特に限定されるものではなく、種々の絶縁体材料を用い
てよいが、例えば、酸化チタン系、チタン酸系複合酸化
物、あるいはこれらの混合物などが好ましい、酸化チタ
ン系としては、必要に応じNiO,CuO,Mn3O4,
Al2O3,MgO,SiO2等を総計0.001〜30w
t%程度含むTiO2等が、チタン酸系複合酸化物として
は、チタン酸バリウムBaTiO3等が挙げられる。B
a/Tiの原子比は、0.95〜1.20程度がよく、
チタン酸系複合酸化物(BaTiO3)には、MgO,
CaO,Mn3O4,Y2O3,V2O5,ZnO,ZrO
2,Nb2O5,Cr2O3,Fe2O3,P2O5,SrO,
Na2O,K2O等が総計0.001〜30wt%程度含有
されていてもよい。また、焼成温度、線膨張率の調整等
のため、(BaCa)SiO3 ガラス等が含有されてい
てもよい。絶縁体層の厚さは特に限定されないが、通常
10〜1000μm 程度である。
【0071】誘電体層を構成する誘電体材料としては、
特に限定されるものではなく、種々の誘電体材料を用い
てよいが、例えば、上記酸化チタン系、チタン酸系複合
酸化物、あるいはこれらの混合物などが好ましい、酸化
チタン系としては、上記と同様である。また、焼成温
度、線膨張率の調整等のため、(BaCa)SiO3 ガ
ラス等のガラス等が含有されていてもよい。誘電体層一
層当たりの厚みは、特に限定されるものではないが、通
常、5〜20μm 程度である。また、その積層数も特に
限定されるものではないが、通常、2〜300程度であ
る。
【0072】内部導体に含有される導電材は特に限定さ
れないが、絶縁体層構成材料に耐還元性を有するものを
使用することで、安価な卑金属等を用いることができ好
ましい。導電材として用いる金属としては、Niまたは
Ni合金が好ましい。Ni合金としては、Mn、Cr、
Co、Al等から選択される1種以上の元素とNiとの
合金が好ましく、合金中のNi含有量は95wt%以上で
あることが好ましい。
【0073】なお、NiまたはNi合金中には、P等の
各種微量成分が0.1wt%程度以下含まれていてもよ
い。
【0074】内部導体の厚さは用途等に応じて適宜決定
すればよいが、通常、0.5〜5μm 程度であることが
好ましい。
【0075】次に、抵抗体チップおよび積層セラミック
コンデンサの製造方法について説明する。
【0076】本発明の抵抗体チップおよび積層セラミッ
クコンデンサは、ペーストを用いた通常の印刷法やシー
ト法によりグリーンチップを作製し、これを焼成する。
次いで、第1の金属層用ペーストをディップ法等により
塗布形成し、中性ないし還元性雰囲気中で焼成して両端
面に第1の金属層前駆体を形成する。これにより両端面
間で電気的に導通されているチップ体が得られる。得ら
れたチップ体の両端面に第2の金属層用ペーストを塗布
形成し、酸化性雰囲気中で焼成することにより、第1の
金属層前駆体の第2の金属層ペーストとの界面付近に、
第1の金属層前駆体に含有されている金属が酸化され酸
化物中間層が形成されると共に、この酸化層が第2の金
属層に含有されている未融合の金属中へ拡散し、結果と
して酸化層内に第2の金属層に含まれる金属が分散した
状態となる。そして、この分散量を制御することで、酸
化物中間層の抵抗値を制御することができる。以下にそ
の詳細を説明する。
【0077】絶縁体層用ペーストまたは誘電体層用ペー
ストは、絶縁体原料または誘電体原料と有機ビヒクルと
を混練して製造される。
【0078】絶縁体原料、または誘電体原料には、絶縁
体層または誘電体層の組成に応じた粉末を用いる。絶縁
体原料、または誘電体原料の製造方法は特に限定され
ず、例えばチタン酸系複合酸化物としてチタン酸バリウ
ムを用いる場合、水熱合成法等により合成したBaTi
O3 に、副成分原料を混合する方法を用いることができ
る。また、BaCO3 とTiO2 と副成分原料との混合
物を仮焼して固相反応させる乾式合成法を用いてもよ
く、水熱合成法を用いてもよい。また、共沈法、ゾル・
ゲル法、アルカリ加水分解法、沈殿混合法などにより得
た沈殿物と副成分原料との混合物を仮焼して合成しても
よい。なお、副成分原料には、酸化物や、焼成により酸
化物となる各種化合物、例えば、炭酸塩、シュウ酸塩、
硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物等の少なくとも1種
を用いることができる。
【0079】絶縁体原料、または誘電体原料の平均粒子
径は、目的とする絶縁体層または誘電体層の平均結晶粒
径に応じて決定すればよいが、通常、平均粒子径0.3
〜1.0μm 程度の粉末を用いる。
【0080】有機ビヒクルは、バインダを有機溶剤中に
溶解したものである。有機ビヒクルに用いるバインダは
特に限定されず、エチルセルロース等の通常の各種バイ
ンダから適宜選択すればよい。また、用いる有機溶剤も
特に限定されず、印刷法やシート法など、利用する方法
に応じて、ターピネオール、ブチルカルビトール、アセ
トン、トルエン等の各種有機溶剤から適宜選択すればよ
い。
【0081】内部導体用ペーストは、上記の各種導電性
金属や合金、あるいは焼成後に上記した導電材となる各
種酸化物、有機金属化合物、レジネート等と、上記した
有機ビヒクルとを混練して調製する。
【0082】上記した各ペースト中の有機ビヒクルの含
有量に特に制限はなく、通常の含有量、例えば、バイン
ダは1〜5wt%程度、溶剤は10〜50wt%程度とすれ
ばよい。また、各ペースト中には、必要に応じて各種分
散剤、可塑剤、絶縁体等から選択される添加物が含有さ
れていてもよい。これらの総含有量は、10wt%以下と
することが好ましい。
【0083】シート法を用いる場合、抵抗体チップであ
れば、絶縁体層用ペーストを用いてグリーンシートを形
成し、このグリーンシートを所定の厚みになるように積
層し、この上に内部導体用ペーストを印刷し、さらにグ
リーンシートを所定の厚みになるように積層する。ま
た、積層セラミックコンデンサであれば、誘電体層用ペ
ーストを用いてグリーンシートを形成し、このグリーン
シートを数枚積層し、その上に内部電極用ペースト印刷
し、さらにグリーンシートを積層し、このように内部電
極が印刷されたシートとグリーンシートとを交互に積層
して、最後にグリーンシートを所定枚数積層する。そし
て、これらを熱圧着した後、所定形状に切断して、グリ
ーンチップとする。なお、抵抗体チップにおいて内部導
体の導通をより完全にするために、絶縁体シートと、内
部導体が形成されたシートとを交互に積層してもかまわ
ない。
【0084】焼成前に行なう脱バインダ処理の条件は、
通常のものであってよいが、内部導体の導電材にNiや
Ni合金等の卑金属を用いる場合、特に下記の条件で行
うことが好ましい。
【0085】昇温速度:5〜300℃/時間、特に10
〜100℃/時間 保持温度:200〜400℃、特に250〜300℃ 温度保持時間:0.5〜24時間、特に5〜20時間 雰囲気:空気中
【0086】グリーンチップ焼成時の雰囲気は、内部導
体用ペースト中の導電材の種類に応じて適宜決定すれば
よいが、導電材としてNiやNi合金等の卑金属を用い
る場合、焼成雰囲気はN2 を主成分とし、H2 1〜10
%、および10〜35℃における水蒸気圧によって得ら
れるH2Oガスを混合したものが好ましい。そして、酸
素分圧は、10-8〜10-12 気圧とすることが好まし
い。酸素分圧が前記範囲未満であると、内部導体の導電
材が異常焼結を起こし、途切れてしまうことがある。ま
た、酸素分圧が前記範囲を超えると、内部導体が酸化す
る傾向にある。
【0087】焼成時の保持温度は、1100〜1400
℃、特に1200〜1300℃とすることが好ましい。
保持温度が前記範囲未満であると緻密化が不十分であ
り、前記範囲を超えると、内部電極が途切れやすくな
る。また、焼成時の温度保持時間は、0.5〜8時間、
特に1〜3時間が好ましい。
【0088】還元性雰囲気中で焼成した場合、チップ抵
抗体またはコンデンサチップにはアニールを施すことが
好ましい。アニールは、絶縁体層を再酸化するための処
理であり、これによりIR加速寿命を著しく長くするこ
とができる。
【0089】アニール雰囲気中の酸素分圧は、10-6
圧以上、特に10-6〜10-8気圧とすることが好まし
い。酸素分圧が前記範囲未満であると絶縁体層または誘
電体層の再酸化が困難であり、前記範囲を超えると内部
導体が酸化する傾向にある。
【0090】アニールの際の保持温度は、1100℃以
下、特に500〜1000℃とすることが好ましい。保
持温度が前記範囲未満であると絶縁体層または誘電体層
の酸化が不十分となって寿命が短くなる傾向にあり、前
記範囲を超えると内部導体が酸化し、電流容量、キャパ
シタ容量が低下するだけでなく、絶縁体素地、誘電体素
地と反応してしまい、寿命も短くなる傾向にある。
【0091】なお、アニール工程は昇温および降温だけ
から構成してもよい。この場合、温度保持時間は零であ
り、保持温度は最高温度と同義である。また、温度保持
時間は、0〜20時間、特に2〜10時間が好ましい。
雰囲気用ガスには、加湿したH2 ガス等を用いることが
好ましい。
【0092】なお、上記した脱バインダ処理、焼成およ
びアニールの各工程において、N2、H2 や混合ガス等
を加湿するには、例えばウェッター等を使用すればよ
い。この場合、水温は5〜75℃程度が好ましい。
【0093】脱バインダ処理工程、焼成工程およびアニ
ール工程は、連続して行なっても、独立に行なってもよ
い。
【0094】これらを連続して行なう場合、脱バインダ
処理後、冷却せずに雰囲気を変更し、続いて焼成の保持
温度まで昇温して焼成を行ない、次いで冷却し、アニー
ル工程での保持温度に達したときに雰囲気を変更してア
ニールを行なうことが好ましい。
【0095】また、これらを独立して行なう場合は、脱
バインダ処理工程は、所定の保持温度まで昇温し、所定
時間保持した後、室温にまで降温する。その際の脱バイ
ンダ雰囲気は、連続して行う場合と同様なものとする。
さらにアニール工程は、所定の保持温度にまで昇温し、
所定時間保持した後、室温にまで降温する。その際のア
ニール雰囲気は、連続して行う場合と同様なものとす
る。また、脱バインダ工程と、焼成工程とを連続して行
い、アニール工程だけを独立して行うようにしてもよ
く、脱バインダ工程だけを独立して行い、焼成工程とア
ニール工程を連続して行うようにしてもよい。
【0096】次に、金属層、酸化物中間層の形成方法に
ついて説明する。
【0097】その後上記の酸化性雰囲気中で焼成するこ
とにより酸化される金属粒子と、必要によりガラスフリ
ットとをビヒクル中に分散させて第1の金属層用ペース
トを得る。
【0098】また、上記の酸化性雰囲気中で焼成しても
酸化しない金属粒子と、必要によりガラスフリットとを
ビヒクル中に分散させて第2の金属層用ペーストを得
る。
【0099】上記のようにして得られたチップ体に、第
1の金属層用ペーストをディッピング法にて塗布し、乾
燥する。乾燥の条件は、特に限定されるものではない
が、通常、50〜200℃で0〜1時間程度とする。
【0100】上記のようにして塗布された、第1の金属
層用ペーストをチップ体へ焼き付ける(焼成する)。焼
成条件としては、N2 の中性ないしN2 +H2 の混合ガ
スによる還元性雰囲気中において、600〜1000℃
前後で0〜1時間程度焼成することが好ましい。
【0101】上記のようにして、第1の電極層前駆体を
形成した後、第2の金属層用ペーストを塗布形成する。
このときの条件は、上記第1の電極層用ペーストの場合
と同様である。
【0102】上記のようにして、第2の金属層用ペース
トを塗布形成した後、酸化性雰囲気、例えば大気中に
て、400〜900℃前後で、0〜1時間程度焼成す
る。この焼成過程中に、第1の金属層前駆体の表層のみ
が酸化され、第1の金属層と第2の金属層との間に、第
1の金属層に含まれている金属の酸化物を有する均一な
酸化物中間層が形成される。また、その際、好ましくは
第2の金属層に含まれている金属粒子がこの中に分散さ
れる。
【0103】さらに、金属層等が形成されたチップ体
を、それぞれニッケルメッキ浴、スズあるいはスズ−鉛
合金ハンダメッキ浴中に浸漬する等して、ニッケル層/
スズまたはスズ・鉛合金層のメッキ層を形成してもよ
い。メッキ層を形成することにより、耐ハンダ食われ
性、およびハンダ付き性が向上する。ニッケル層/スズ
またはスズ・鉛合金層の厚みは特に規制されるものでは
ないが、それぞれ通常、1〜20μm 程度である。
【0104】このようにして製造される、本発明を応用
したCR複合電子部品の構成例を図1に示す。図1にお
いて、CR複合電子部品は、誘電体層2と、内部電極層
3と、第1の金属層4と、酸化物中間層5と、第2の金
属層6とを有する。さらに、これら第1および第2の金
属層4,6と酸化物中間層5とにより構成される端子電
極は、その外側にメッキ層を有することが好ましい。ま
た、酸化物中間層5は、最小膜厚および金属酸化物等に
より規制される導電率に応じた抵抗値となる。
【0105】ここで、図1は酸化物中間層5をCR複合
電子部品の両方の端子に形成した場合を示すが、どちら
か一方のみに形成してもよく、その場合、等価直列抵抗
に寄与する端子電極はいずれか一方のみとなる。但し、
通常の工程では酸化物中間層は両方の端子に形成され
る。
【0106】このようにして製造される、本発明を応用
したチップ抵抗体の構成例を図2に示す。図2におい
て、チップ抵抗体は、絶縁体層12と、内部導体13
と、第1の金属層14と、酸化物中間層15と、第2の
金属層16とを有する。さらに、これら第1および第2
の金属層と酸化物中間層により構成される端子電極は、
その外側にメッキ層17を有することが好ましい。
【0107】
【実施例】次に実施例を示し、本発明をより具体的に説
明する。 <実施例1> [第1の金属層用ペースト]Cu(平均粒径:0.3μ
m )粉末に対して、ストロンチウム系ガラス(平均粒径
0.5μm )を、7wt%用意し、これらをビヒクル中に
分散して第1の金属層用ペーストを得た。
【0108】[第2の金属層用ペースト]Ag(平均粒
径:3.0μm )粉末に対して、鉛系ガラス(平均粒
径:1.0μm )を、1wt%用意し、これらをビヒクル
中に分散して第1の金属層用ペーストを得た。
【0109】[基材]市販の99.6%アルミナ基板を
用いた。
【0110】[電子デバイスの作製]上記第1の金属層
用ペーストを、上記基材上に所定のパターンにスクリー
ン印刷法にて印刷、乾燥を行い、N2 +H2 (H2 :3
%)の混合雰囲気中、770℃、10分間焼成を行い第
1の電極層前駆体を形成した。このときの第1の金属層
用ペーストの厚みは20μm であった。焼結した第1の
金属層前駆体上に第2の金属層用ペーストを、第1の金
属層前駆体が完全に被覆されるように印刷、乾燥を行
い、空気中、650℃、10分間焼成を行った。前記第
1の金属層前駆体に含有されているCuの酸化物を有す
る酸化物中間層と、第1の金属層および第2の金属層と
を有する電子デバイスを得た。
【0111】得られた電子デバイスの断面写真を図3に
示す。図から明らかなように、基板21上に、第1の金
属層であるCu金属層22、酸化物中間層であるCu酸
化物層23、第2の金属層であるAg金属層24が順次
形成されている。EPMAにより、Cu酸化物層23中
には酸素の存在が確認され、X線回折により、Cu2O
であることが確認された。
【0112】<実施例2> [第1の金属層用ペースト]Ni(平均粒径:0.2μ
m )粉末に対して、ストロンチウム系ガラス(平均粒径
0.5μm )を、7wt%用意し、これらをビヒクル中に
分散して第1の金属層用ペーストを得た。
【0113】[第2の金属層用ペースト]Ag(平均粒
径:3.0μm )粉末に対して、鉛系ガラス(平均粒
径:1.0μm )を、1wt%用意し、これらをビヒクル
中に分散して第1の金属層用ペーストを得た。
【0114】[基材]市販の99.6%アルミナ基板を
用いた。
【0115】[電子デバイスの作製]上記第1の金属層
用ペーストを、上記基材上に所定のパターンにスクリー
ン印刷法にて印刷、乾燥を行い、N2 +H2 (H2 :3
%)の混合雰囲気中、900℃、10分間焼成を行い第
1の電極層前駆体を形成した。このときの第1の金属層
用ペーストの厚みは20μm であった。焼結した第1の
金属層前駆体上に第2の金属層用ペーストを、第1の金
属層前駆体が完全に被覆されるように印刷、乾燥を行
い、空気中、750℃、10分間焼成を行った。前記第
1の金属層前駆体に含有されているNiの酸化物を有す
る酸化物中間層と、第1の金属層および第2の金属層と
を有する電子デバイスを得た。
【0116】第1の金属層であるNi金属層と第2の金
属層であるAg金属層の中間に膜厚3μm の酸化物中間
層であるNi酸化物層を形成することができた。EPM
Aにより、Ni酸化物層中には酸素の存在が確認され、
X線回折により、NiOであることが確認された。
【0117】<実施例3> [第1の金属層用ペースト]Mn(平均粒径:1.0μ
m )粉末に対して、ストロンチウム系ガラス(平均粒径
0.5μm )を、7wt%用意し、これらをビヒクル中に
分散して第1の金属層用ペーストを得た。
【0118】[第2の金属層用ペースト]Pd(平均粒
径:0.5μm )粉末に対して、鉛系ガラス(平均粒
径:1.0μm )を、1wt%用意し、これらをビヒクル
中に分散して第1の金属層用ペーストを得た。
【0119】[基材]市販の99.6%アルミナ基板を
用いた。
【0120】[電子デバイスの作製]上記第1の金属層
用ペーストを、上記基材上に所定のパターンにスクリー
ン印刷法にて印刷、乾燥を行い、N2 +H2 (H2 :3
%)の混合雰囲気中、900℃、10分間焼成を行い第
1の電極層前駆体を形成した。このときの第1の金属層
用ペーストの厚みは20μm であった。焼結した第1の
金属層前駆体上に第2の金属層用ペーストを、第1の金
属層前駆体が完全に被覆されるように印刷、乾燥を行
い、空気中、800℃、1分間焼成を行った。前記第1
の金属層前駆体に含有されているMnの酸化物を有する
酸化物中間層と、第1の金属層および第2の金属層とを
有する電子デバイスを得た。
【0121】第1の金属層であるMn金属層と第2の金
属層であるPd金属層の中間に膜厚10μm の酸化物中
間層であるMn酸化物層を形成することができた。EP
MAにより、Mn酸化物層中には酸素の存在が確認さ
れ、X線回折により、MnOであることが確認された。
【0122】<実施例4> [下地金属層用ペースト]Cu(平均粒径:0.3μm
)粉末に対して、ストロンチウム系ガラス(平均粒径
0.5μm )を、7wt%用意し、これらをビヒクル中に
分散して第1の金属層用ペーストを得た。
【0123】[第2の金属層用ペースト]Ag(平均粒
径:3.0μm )粉末に対して、鉛系ガラス(平均粒
径:1.0μm )を、1wt%用意し、これらをビヒクル
中に分散して第1の金属層用ペーストを得た。
【0124】[基材]市販の99.6%アルミナ基板を
用いた。
【0125】[電子デバイスの作製]上記下地金属層用
ペーストを、上記基材上に所定のパターンにスクリーン
印刷法にて印刷、乾燥を行い、N2 +H2 (H2 :3
%)の混合雰囲気中、770℃、10分間焼成を行い下
地金属層を形成した。このときの下地金属層用ペースト
の厚みは20μm であった。焼結した下地金属層上に、
公知の電解メッキ法によって第1の金属層としてメッキ
層であるNi膜を5μm 成膜した。さらに、第2の金属
層用ペーストを、第1の金属層が完全に被覆されるよう
に印刷、乾燥を行い、空気中、700℃、10分間焼成
を行った。前記第1の金属層に含有されているNiの酸
化物を有する酸化物中間層と、下地金属層、第1の金属
層および第2の金属層とを有する電子デバイスを得た。
【0126】下地金属層であるCu金属層上に、第1の
金属層であるNi金属層と第2の金属層であるAg金属
層の中間に膜厚10μm の酸化物中間層であるNi酸化
物層を形成することができた。EPMAにより、Ni酸
化物層中には酸素の存在が確認され、X線回折により、
NiOであることが確認された。
【0127】<実施例5>次に、本発明の電子デバイス
の応用例として、抵抗体チップを作製した。
【0128】[絶縁体層]絶縁体層の主原料としてBa
CO3(平均粒径:2.0μm )およびTiO2(平均粒
径:2.0μm )を用意した。Ba/Tiの原子比は
1.00である。また、これに加えて、BaTiO3 に
対し添加物としてMnCO3 を0.2wt%、MgCO3
を0.2wt%、Y2O3 を2.1wt%、(BaCa)S
iO3 を2.2wt%を用意した。各原料粉末を水中ボー
ルミルで混合し、乾燥した。得られた混合粉を1250
℃で2時間仮焼した。この仮焼粉を水中ボールミルで粉
砕し、乾燥した。得られた仮焼粉に、有機バインダーと
してアクリル樹脂と、有機溶剤として塩化メチレンとア
セトンを加えてさらに混合し、絶縁体スラリーとした。
得られた絶縁体スラリーを、ドクターブレード法を用い
て絶縁体グリーンシートとした。
【0129】[内部導体]内部導体材料として、卑金属
のNi粉末(平均粒径:0.8μm )を用意し、これに
有機バインダーとしてエチルセルロースと、有機溶剤と
してターピネオールを加え、3本ロールを用いて混練
し、内部導体用ペーストとした。
【0130】[第1の金属層用ペースト]第1の金属層
用ペースト原料として、Cu粉末(平均粒径:0.5μ
m )と、このCu粉末に対してストロンチウム系ガラス
を7wt%添加したものを用意した。これに有機バインダ
ーとしてアクリル樹脂と、有機溶剤としてターピネオー
ルを加え、3本ロールを用いて混練し、第1の金属層用
ペーストとした。
【0131】[第2の金属層用ペースト]第2の金属層
用ペースト原料として、Ag粉末(平均粒径:0.5μ
m )を用意した。これに有機バインダーとしてアクリル
樹脂と、有機溶剤としてターピネオールを加え、3本ロ
ールを用いて混練し、第2の金属層用ペーストとした。
【0132】[抵抗体チップの作製]所定の厚みを得る
ためにグリーンシートを数枚積層し、その上にスクリー
ン印刷法により内部電極用ペースト印刷し、さらにグリ
ーンシートを所定枚数積層した。次いで、これら積層体
を熱圧着し、チップ形状が、焼成後に縦×横×厚みが
3.2×1.6×1.0mmとなるように切断し、グリー
ンチップを得た。
【0133】得られたグリーンチップを、空気中に80
℃で30分間放置して乾燥した。次いで、N2 +H2
(H2 3%)還元雰囲気中、1300℃にて3時間保持
して焼成し、さらに、加湿したH2 酸素分圧10-7気圧
の雰囲気にて1000℃に2時間保持し、チップ体を得
た。
【0134】得られたチップ体の両端部に、上記の第1
の金属層用ペーストを塗布し、乾燥し、N2 +H2 (H
2 :4%)雰囲気中、770℃で10分間保持して焼成
し、Cu含有層である第1の金属層前駆体を形成した。
【0135】次いで、第1の金属層前駆体が形成された
チップ体の両端部に、上記のAgを含有する第2の金属
層用ペーストを、ディッピング法により塗布し、乾燥
し、空気中、620℃で10分間保持して焼成し、第2
の金属層を形成すると同時に第1の金属層前駆体表面を
酸化させて、比較的高抵抗である酸化銅を含有する酸化
物中間層を形成した。この際、第2の金属層に含有され
ている銀粒子が酸化物中間層内に分散して層状になるた
め、実効の抵抗膜厚は減少し、抵抗値は酸化銅のみで形
成された酸化物中間層より低い値となる。
【0136】得られたチップ抵抗体の端部を切断して観
察した、その断面写真を図4に示す。図に示された端部
は、チップ体31と、銅を含有する第1の金属層32
と、酸化銅を含有する酸化物中間層33と、銀を含有す
る第2の金属層34とが順次層状に形成されている様子
がわかる。そして、酸化物中間層33中には第2の金属
層中金属(Ag)35が拡散している。このとき、第1
の金属層の膜厚は約50μm 、酸化物中間層の膜厚は約
10μm 、第2の金属層の膜厚は約20μm であった。
EPMAにより酸化物中間層を解析したところ酸素の存
在が確認された。また、酸化物中間層をX線回折により
解析したところ、Cu2O,Cu3O4,CuOが確認さ
れた。なお、酸化物中間層中のAgの拡散の程度(表中
Ag拡散層の比率と記載する)は、SEMにより断面を
観察し、酸化物中間層33の平均の厚みと、酸化物中間
層中のAg層35の平均の厚みの比とした。
【0137】次いで、得られた各添加物組成のサンプル
に、ニッケルメッキ層、スズ−鉛合金メッキ層を電解法
を用いて順次形成した。得られたサンプルの両端子にリ
ード線をハンダ付けし、このリード線のついたチップ体
を加重試験器にセットして上下方向に引っ張り、端子が
破壊された瞬間の引張強度を測定した。また、得られた
サンプルの抵抗を測定した。結果を表1に示す。
【0138】<実施例6>実施例5において、第2の金
属層のAg粉末の平均粒径を3.0μm とした以外は実
施例5と同様にしてサンプルを作製し評価した。結果を
表1に示す。
【0139】<実施例7>実施例5において、第2の金
属層のAg粉末の平均粒径を5.0μm とした以外は実
施例5と同様にしてサンプルを作製し評価した。結果を
表1に示す。
【0140】<実施例8>実施例5において、第2の金
属層のAg粉末の平均粒径を9.0μm とした以外は実
施例5と同様にしてサンプルを作製し評価した。結果を
表1に示す。
【0141】<比較例1>実施例5において、第2の金
属層のAg粉末の平均粒径を12.0μm とした以外は
実施例5と同様にしてサンプルを作製し評価した。結果
を表1に示す。
【0142】<実施例9>実施例5において、第2の金
属層用ペーストに、PbO−B2O3 −Tl2O3系ガラ
スフリット(軟化点:303℃)を1wt%添加した以外
は実施例5と同様にしてサンプルを作製し評価した。結
果を表1に示す。
【0143】<実施例10>実施例5において、第2の
金属層用ペーストに、PbO−B2O3 −SiO2系ガラ
スフリット(軟化点:470℃)を1wt%添加した以外
は実施例5と同様にしてサンプルを作製し評価した。結
果を表1に示す。
【0144】<実施例11>実施例5において、第2の
金属層用ペーストに、ZnO−B2O3 −SiO2系ガラ
スフリット(軟化点:610℃)を1wt%添加した以外
は実施例5と同様にしてサンプルを作製し評価した。結
果を表1に示す。
【0145】
【表1】
【0146】表1から明らかなように本発明のサンプル
は、比較的小さい抵抗も容易に得られ、端子における引
張強度も十分な値であることがわかる。なお、Ag拡散
層の比率と抵抗値との相関関係は表1からもある程度確
認できるが、Agの拡散率を上記方法により完全に把握
することは困難であり、表中酸化層中のAgの比率とし
て記載されている数値は、Agの存在量の傾向を与える
程度のものにすぎない。
【0147】<実施例12>実施例5〜11において、
第1の金属層に含有されるCuと、第2の金属層に含有
されるAgとに代えて、それぞれNiとPdを用いた以
外は実施例5〜11と同様にして各サンプルを作製し、
評価したところ、金属の違いにより抵抗の値等には差が
生じたものの、ほぼ同様な結果が得られた。
【0148】<実施例13>次に、本発明の電子デバイ
スの他の応用例として、積層型チップコンデンサの端部
に抵抗を形成したCR複合電子部品を作製した。
【0149】[誘電体層]誘電体層の主原料としてBa
CO3(平均粒径:2.0μm )およびTiO2(平均粒
径:2.0μm )を用意した。Ba/Tiの原子比は
1.00である。また、これに加えて、BaTiO3 に
対し添加物としてMnCO3 を0.2wt%、MgCO3
を0.2wt%、Y2O3 を2.1wt%、(BaCa)S
iO3 を2.2wt%を用意した。各原料粉末を水中ボー
ルミルで混合し、乾燥した。得られた混合粉を1250
℃で2時間仮焼した。この仮焼分を水中ボールミルで粉
砕し、乾燥した。得られた仮焼粉に、有機バインダーと
してアクリル樹脂と、有機溶剤として塩化メチレンとア
セトンを加えてさらに混合し、誘電体スラリーとした。
得られた誘電体スラリーを、ドクターブレード法を用い
て誘電体グリーンシートとした。
【0150】[内部導体]内部導体材料として、卑金属
のNi粉末(平均粒径:0.8μm )を用意し、これに
有機バインダーとしてエチルセルロースと、有機溶剤と
してターピネオールを加え、3本ロールを用いて混練
し、内部導体用ペーストとした。
【0151】[第1の金属層用ペースト]第1の金属層
用ペースト原料として、Cu粉末(平均粒径:0.5μ
m )と、このCu粉末に対してストロンチウム系ガラス
を7wt%添加したものを用意した。これに有機バインダ
ーとしてアクリル樹脂と、有機溶剤としてターピネオー
ルを加え、3本ロールを用いて混練し、第1の金属層用
ペーストとした。
【0152】[第2の金属層用ペースト]第2の金属層
用ペースト原料として、Ag粉末(平均粒径:0.5μ
m )と、このAg粉末に対してホウケイ酸鉛ガラス1wt
%用意し、これに有機バインダーとしてアクリル樹脂
と、有機溶剤としてターピネオールを加え、3本ロール
を用いて混練し、第2の金属層用ペーストとした。
【0153】[コンデンサチップの作製]所定の厚みを
得るためにグリーンシートを数枚積層し、その上にスク
リーン印刷法により内部電極用ペースト印刷し、さらに
グリーンシートを積層し、このように内部電極が印刷さ
れたシートとグリーンシートとを交互に積層して、最後
にグリーンシートを所定枚数積層した。次いで、これら
積層体を熱圧着し、チップ形状が、焼成後に縦×横×厚
みが3.2×1.6×1.0mmとなるように切断し、グ
リーンチップを得た。
【0154】得られたグリーンチップを、空気中に80
℃で30分間放置して乾燥した。次いで、N2 +H2
(H2 3%)還元雰囲気中、1300℃にて3時間保持
して焼成し、さらに、加湿したH2 酸素分圧10-7気圧
の雰囲気にて1000℃に2時間保持し、チップ体を得
た。
【0155】得られたチップ体の両端部に、上記の第1
の金属層用ペーストを塗布し、乾燥し、N2 +H2 (H
2 :4%)雰囲気中、770℃で10分間保持して焼成
し、Cu含有層である第1の金属層前駆体を形成した。
【0156】次いで、第1の金属層前駆体が形成された
チップ体の両端部に、上記のAgを含有する第2の金属
層用ペーストを、ディッピング法により塗布し、乾燥
し、空気中で、それぞれ昇温速度:1800℃/h(サ
ンプル1)、2400℃/h(サンプル2)、および3
000℃/h(サンプル3)とし、650℃で10分
間、保持して焼成し、第2の金属層を形成すると同時に
第1の金属層前駆体表面を酸化させて、比較的高抵抗で
ある酸化銅を含有する酸化物中間層を形成した。この
際、第2の金属層に含有されている銀粒子が酸化物中間
層内に分散してパスを形成し、実効の抵抗値は酸化物中
間層に拡散したAg粒子で形成されたパスに依存するこ
ととなり低い値となる。
【0157】得られたサンプル1〜3のコンデンサチッ
プの端部を切断して観察した、その断面写真をそれぞれ
図5〜7に、また、図7の拡大写真を図8に、図5の端
面の酸化銅をフッ酸でエッチングした図を図9に、図9
の拡大写真を図10に示す。図5〜7に示された端部
は、チップ体41と、銅を含有する第1の金属層42
と、酸化銅を含有する酸化物中間層43と、銀を含有す
る第2の金属層44とが順次層状に形成されている様子
がわかる。そして、酸化物中間層43中には第2の金属
層中の金属(Ag)が分散し、またこの分散した金属粒
子が糸状に結合して第1の金属層42から第2の金属層
44にかけてパスが形成されている様子が分かる(特に
図8)。このとき、第1の金属層の膜厚は約20μm 、
酸化物中間層の膜厚は約12μm 、第2の金属層の膜厚
は約30μm であった。EPMAにより酸化物中間層を
解析したところ酸素の存在が確認された。また、酸化物
中間層をX線回折により解析したところ、Cu2O,C
u3O4,CuOが確認された。
【0158】次いで、昇温速度:2400℃/h、保持
温度680℃としたサンプルと、第1の金属層と酸化物
中間層と第2の金属層とを形成しない比較サンプルに、
ニッケルメッキ層、スズ−鉛合金メッキ層を電解法を用
いて順次形成した。得られたサンプルの両端子にリード
線をハンダ付けし、このリード線のついたチップ体を加
重試験器にセットして上下方向に引っ張り、端子が破壊
された瞬間の引張強度を測定した。また、得られたサン
プルのESRを測定した。結果を以下に示す。
【0159】
【0160】さらに、得られたCR複合電子部品をDC
−DCコンバータの電源バイパスコンデンサーとして用
い、スイッチング周波数を1kHz〜10MHzに変化させ
て動作させたところ、発振等の電圧変動現象を生じるこ
となく正常に動作した。
【0161】以上の実施例では積層セラミックコンデン
サへの応用例について説明したが、本発明はこのような
積層セラミックコンデンサに限定されるものではなく、
インダクタ、半導体その他の複合電子部品等広範囲な応
用が可能である。
【0162】<実施例14>実施例5で作成した基材上
に上記実施例13の第1の金属層と酸化物中間層と第2
の金属層とを形成し、これを形成しないサンプルとで温
度特性を測定した。結果を図11〜13に示す。ここで
図11は発明サンプルと比較サンプルの温度による抵抗
値の変化、図12は発明サンプルの抵抗:周波数特性の
温度による変化、図13は比較サンプルの抵抗:周波数
特性の温度による変化を示したグラフである。
【0163】図11〜13から明らかなように、本発明
のサンプルは殆ど温度による影響を受けず安定している
ことがわかる。
【0164】上記実施例により得られたAg分散率の異
なる各サンプルについて、その断面を画像解析装置(旭
化成製:IP1000)により解析し、Cu酸化物を有
する酸化物中間層の総面積と、この酸化物中間層中に確
認されるAg粒子の占める総面積を求め、両者の面積比
を算出した(Ag/Cu2O+Ag)。また、各サンプ
ルの抵抗値を測定した。結果を図14に示す。
【0165】図14から明らかなように、Ag粒子の面
積比(分散率)が大きいサンプルは、抵抗が低く、逆に
Ag粒子の面積比(分散率)の小さいサンプルは抵抗が
高くなり、しかも両者はほぼ直線的な比例関係にあるこ
とがわかる。
【0166】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、簡単な工
程で均一な酸化物層が得られ、この酸化物層により与え
られる抵抗値の制御が容易で高精度が得られ、しかも酸
化物層と他の金属含有層との接着強度が良好で、リード
線の接着強度に優れた電子デバイスの製造方法、および
電子デバイスを実現できる。
【0167】また、安定した温度特性を有する電子デバ
イスの製造方法、および電子デバイスを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のCR複合電子部品の基本構成を示す断
面概略図である。
【図2】本発明の応用例である、チップ抵抗体の基本構
成を示す断面概略図である。
【図3】本発明の電子部品の断面を撮影した図面代用写
真である。
【図4】本発明の応用例である、チップ抵抗体の断面を
示す図面代用写真である。
【図5】本発明の応用例である、チップコンデンサ体の
断面を示す図面代用写真である。
【図6】本発明の応用例である、チップコンデンサ体の
断面を示す図面代用写真である。
【図7】本発明の応用例である、チップコンデンサ体の
断面を示す図面代用写真である。
【図8】本発明の応用例である、チップコンデンサ体の
断面を示す図面代用写真である。
【図9】本発明の応用例である、チップコンデンサ体の
断面を示す図面代用写真である。
【図10】本発明の応用例である、チップコンデンサ体
の断面を示す図面代用写真である。
【図11】本発明の応用例である抵抗体のサンプルと比
較サンプルの温度による抵抗値の変化を示したグラフで
ある。
【図12】本発明サンプルの抵抗:周波数特性の温度に
よる変化を示したグラフである。
【図13】比較サンプルの抵抗:周波数特性の温度によ
る変化を示したグラフである。
【図14】酸化物中間層の総面積と、この酸化物中間槽
中に確認されるAg粒子の占める総面積の比(Ag拡散
率)と、抵抗との関係を示したグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 茂樹 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 (72)発明者 徳岡 保導 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内

Claims (30)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも金属を含有する第1の金属層
    と、金属粒子を焼成して形成された第2の金属層とを有
    し、この2つの金属層間に酸化物中間層を有する電子デ
    バイスであって、 前記第2の金属層に含有される金属粒子の酸化還元平衡
    曲線が、第1の金属層に含有される金属の酸化還元平衡
    曲線より上位に位置し、 前記酸化物中間層は第1の金属層に含有されている金属
    の酸化物を含有する電子デバイス。
  2. 【請求項2】 前記第1の金属層と第2の金属層とが、
    前記酸化物中間層を介して電気的に導通し、 前記酸化物中間層は抵抗体として機能する請求項1の電
    子デバイス。
  3. 【請求項3】 誘電体層と内部電極とが交互に積層さ
    れ、 この積層体の端部に形成された端子電極と、前記内部電
    極とがキャパシタとなるように電気的に接続され、 前記端子電極の少なくとも一方は内部電極側から前記第
    1の金属層、酸化物中間層および第2の金属層を順次有
    する請求項1または2の電子デバイス。
  4. 【請求項4】 CR複合電子デバイスである請求項1〜
    3のいずれかの電子デバイス。
  5. 【請求項5】 前記内部電極層がNiを含有する請求項
    1〜4のいずれかの電子デバイス。
  6. 【請求項6】 前記端子電極の外側にメッキ層を有する
    請求項1〜5のいずれかの電子デバイス。
  7. 【請求項7】 酸化性雰囲気中で焼成することにより酸
    化物となる第1の金属を含有する第1の金属層と、酸化
    性雰囲気中で焼成しても酸化されない金属を含有する第
    2の金属粒子を焼成して形成した第2の金属層とを有
    し、この2つの金属層間に酸化物中間層を有する電子デ
    バイスであって、 前記酸化物中間層は第1の金属層に含有されている第1
    の金属の酸化物を含有し、かつ前記酸化物中間層中には
    第2の金属層に含有されている第2の金属粒子が分散し
    ている電子デバイス。
  8. 【請求項8】 前記酸化物中間層に分散している第2の
    金属粒子は、金属粒子の状態および/または金属粒子同
    士の一部が融合した状態で存在している請求項7の電子
    デバイス。
  9. 【請求項9】 前記酸化物中間層は、分散している第2
    の金属粒子同士の一部が融合した状態の導通パスが形成
    されている請求項7または8の電子デバイス。
  10. 【請求項10】 前記酸化物中間層に分散している第2
    の金属粒子の含有量は、 形成された酸化物中間層の断面を観察して確認される第
    2の金属粒子の酸化物の占める面積と、酸化物中間層全
    体の面積との比を、分散粒子の総面積/酸化物中間層の
    総面積×100、と表したとき、 20〜99%である請求項7〜9のいずれかの電子デバ
    イス。
  11. 【請求項11】 前記第2の金属層に含有されている第
    2の金属粒子は、平均粒子径が0.01〜10μm であ
    る請求項7〜10のいずれかの電子デバイス。
  12. 【請求項12】 前記第1の金属層に含有されている第
    1の金属粒子は、平均粒子径が0.1〜5μm であっ
    て、前記第2の金属層に含有されている第2の金属粒子
    は、平均粒子径が0.05〜5μm である請求項7〜1
    1のいずれかの電子デバイス。
  13. 【請求項13】 前記第2の金属層に含有される第2の
    金属粒子が、Ag,Pt,Rh,Ru,Ir,Auおよ
    びPdの1種または2種以上の金属元素を含有し、 第1の金属層は前記第2の金属成分以外の金属、または
    この金属と前記第2の金属成分との合金を含有する請求
    項7〜12のいずれかの電子デバイス。
  14. 【請求項14】 前記第2の金属層は全金属量に対し、
    0〜20重量%のガラスフリットを含有する請求項7〜
    13のいずれかの電子デバイス。
  15. 【請求項15】 前記ガラスフリットの軟化点は、35
    0℃以上、500℃以下である請求項7〜14のいずれ
    かの電子デバイス。
  16. 【請求項16】 前記ガラスフリットの軟化点は、30
    0℃以上、350℃未満、または500℃超〜1000
    ℃以下である請求項7〜15のいずれかの電子デバイ
    ス。
  17. 【請求項17】 前記第1の金属層はFe,Co,Cu
    およびNiの1種または2種以上を含有する請求項7〜
    16のいずれかの電子デバイス。
  18. 【請求項18】 前記第1の金属層と前記第2の金属層
    とが前記酸化物中間層を介して電気的に導通し、 前記酸化物中間層は抵抗体として機能する請求項7〜1
    7のいずれかの電子デバイス。
  19. 【請求項19】 前記第1の金属層から第2の金属層に
    かけて形成された抵抗体部分の温度係数がゼロまたは正
    である請求項18の電子デバイス。
  20. 【請求項20】 誘電体層と内部電極とが交互に積層さ
    れており、 この積層体の端部に形成された端子電極と、前記内部電
    極とがキャパシタとなるように電気的に接続され、 前記端子電極の少なくとも一方は内部電極側から前記第
    1の金属層、酸化物中間層および第2の金属層を順次有
    する請求項7〜19のいずれかの電子デバイス。
  21. 【請求項21】 CR複合電子デバイスである請求項7
    〜20のいずれかの電子デバイス。
  22. 【請求項22】 前記内部電極層がNiを含有する請求
    項7〜21のいずれかの電子デバイス。
  23. 【請求項23】 前記端子電極の外側にメッキ層を有す
    る請求項7〜22のいずれかの電子デバイス。
  24. 【請求項24】 少なくともビヒクル中に金属粒子が分
    散されている第1の金属層用ペーストと第2の金属層用
    ペーストであって、 第2の金属層用ペーストに含有される金属の酸化還元平
    衡曲線は、第1の金属層用ペーストに含有される金属の
    酸化還元平衡曲線より上位に位置しているものを用い、 この第1の金属層用ペーストを基材上に塗布して乾燥
    し、 第1の金属層用ペーストに含有されている金属が酸化さ
    れない中性ないし還元性雰囲気中で焼成して第1の金属
    層前駆体とし、 第1の金属層前駆体上に第2の金属層用ペーストを塗布
    して乾燥し、 前記第1の金属層前駆体に含有されている金属が酸化さ
    れる酸素分圧であって、かつ第2の金属層用ペーストに
    含有されている金属が酸化されない酸素分圧条件で焼成
    して第1の金属層前駆体の第2の金属層用ペーストとの
    界面に酸化物中間層を形成するとともに、 第1の金属層と第2の金属層を得る電子デバイスの製造
    方法。
  25. 【請求項25】 前記第1の金属層用ペーストを塗布
    し、乾燥し、焼成してこれを下地金属層とし、 さらにこの上にメッキ法にて金属薄膜を形成してこれを
    第1の金属層とし、 次いでこの上に第2の金属層用ペーストを塗布する請求
    項24の電子デバイスの製造方法。
  26. 【請求項26】 少なくともビヒクル中に酸化性雰囲気
    中で焼成することにより酸化物となる第1の金属粒子が
    分散されている第1の金属層用ペーストと、少なくとも
    ビヒクル中に酸化性雰囲気中で焼成しても酸化されない
    第2の金属粒子が分散されている第2の金属層用ペース
    トとを用い、 前記第1の金属層用ペーストを基材上に塗布して乾燥
    し、 この第1の金属層用ペーストに含有されている金属が酸
    化されない中性ないし還元性雰囲気中で焼成して第1の
    金属層前駆体とし、 第1の金属層前駆体上に第2の金属層用ペーストを塗布
    して乾燥し、 酸化性雰囲気中で焼成して第1の金属層前駆体の第2の
    金属層用ペーストとの界面を酸化させて酸化物中間層を
    形成し、かつこの酸化物中間層中に第2の金属層に含有
    されている第2の金属粒子を分散させた状態とし、第1
    の金属層、酸化物中間層および第2の金属層を得る電子
    デバイスの製造方法。
  27. 【請求項27】 前記第1の金属層用ペーストを塗布
    し、乾燥し、焼成してこれを下地金属層とし、 さらにこの上にメッキ法にて金属薄膜を形成してこれを
    第1の金属層とし、 次いでこの上に第2の金属層用ペーストを塗布する請求
    項26の電子デバイスの製造方法。
  28. 【請求項28】 前記第2の金属層用ペーストに含有さ
    れる第2の金属粒子の平均粒子径を0.01〜20μm
    の範囲で変化させ、 前記酸化物中間層の抵抗値を調節する請求項26または
    27の電子デバイスの製造方法。
  29. 【請求項29】 前記第2の金属層用ペーストは、全金
    属量に対し、0〜20重量%のガラスフリットを含有
    し、 かつこのガラスフリットの軟化点を調節することにより
    前記酸化物中間層の抵抗値を調節する請求項26〜28
    のいずれかの電子デバイスの製造方法。
  30. 【請求項30】 前記第1の金属層に含有されている第
    1の金属粒子の平均粒子径を0.1〜5μm とし、前記
    第2の金属層に含有されている第2の金属粒子の平均粒
    子径を0.05〜5μm として、第2の金属層から第1
    の金属層にかけて、第2の金属層に含有されている第2
    の金属粒子を分散させ、この第2の金属粒子によるパス
    を形成させる請求項26〜29のいずれかの電子デバイ
    スの製造方法。
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