JPH11342286A - ドラム式洗濯機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ダイレクト駆動のドラム式洗濯機において高
い脱水性能を達成する。 【解決手段】 外槽２及びドラム６の背面側端面をそれ
ぞれ内側に窪ませて、その凹部に扁平構造のアウタロー
タ形モータ１０を取り付けて、主軸７を直接回転駆動す
る。また、ドラム６は前面側から背面側に向かって内径
が大きくなるように傾斜を設ける。これにより、ドラム
６の側周面の面積が広がり、脱水時に洗濯物から吐出さ
れた水は背面側に流れて外槽２側に飛散する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、水平軸を中心に回
転自在に配設したドラム内に洗濯物を収容して洗濯、或
いは洗濯及び乾燥を行なうドラム式洗濯機（ここでは、
乾燥の機能を併せ持つものも「洗濯機」と呼ぶこととす
る）に関する。

【０００２】

【従来の技術】ドラム式洗濯機は、水平軸を中心に回転
される篭状のドラムを外槽内に配設し、外槽に水を溜め
た状態でドラムを回転させることによりドラム内に収容
した洗濯物の洗いやすすぎを行なうようになっている。
ドラムの主軸を回転駆動する方法としては、外槽の下面
にモータを取り付け、該モータ軸に固着したプーリとド
ラムの主軸に取り付けたプーリとをＶベルト等を用いて
連結する、いわゆるベルトドライブによるものが一般的
である。しかしながらこの構造では、モータの重量によ
り外槽後部の重心が下がって、ドラムの回転軸回りの外
槽の重量バランスが不均一になり、ドラム回転時の外槽
の振動が大きくなる傾向にある。

【０００３】これに対し、本願出願人は特願平９−２４
２７１号にて、外槽の背面に取り付けたモータのモータ
軸とドラムの主軸とを直結する、いわゆるダイレクトド
ライブ方式によるドラム式洗濯機を提案している。この
洗濯機では、外槽は回転軸の回りに略均等な重量分布を
有することになるので、バランス用の重錘を用いずに外
槽の重心位置をドラムの回転中心に近付けることがで
き、その結果、ドラム回転時の外槽の振動を抑制すると
ともに軽量化が図れるという利点がある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ダイレ
クトドライブ方式ではモータを外槽背面に設置するの
で、従来構造のドラムや外槽にそのまま取り付けようと
すると、洗濯機の奥行寸法が大きくなってしまう。逆
に、洗濯機の奥行寸法をベルトドライブ方式と同一に保
とうとすると、ドラムの奥行寸法を小さくせざるをえな
い。すると、ドラムの周面積が減少し、通水孔の開口面
積が減って脱水効率が低下するという問題がある。これ
に対し、通水孔の数を増す又は１個当たりの通水孔の開
口を広げる等の対策も考えられるが、脱水時に洗濯物の
布が通水孔にくい込んで、洗濯物が取り出しにくくなっ
たり布傷みが生じたりする等の問題がある。

【０００５】本発明はこのような点に鑑みて成されたも
ので、その主たる目的は、ダイレクトドライブ方式のド
ラム式洗濯機において、高い脱水性能を得ることができ
るドラム構造を有するドラム式洗濯機を提供することに
ある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に成された本発明に係る第１のドラム式洗濯機は、ドラ
ムの回転軸とモータ軸とを直結したダイレクトドライブ
方式のドラム式洗濯機において、ドラムを内装する外槽
の背面中央に凹部を形成し該凹部内にモータを取り付け
るとともに、該凹部の形状に対応してドラム背面側端面
の中央を内側に窪ませ、外周側を背面側に延伸させた変
形略円筒形状としたことを特徴としている。

【０００７】また、本発明に係る第２のドラム式洗濯機
は、第１のドラム式洗濯機において、前記ドラムは前面
側よりも背面側において通水孔の数又は通水孔１個当た
りの開口面積を大きくしたことを特徴としている。

【０００８】また、本発明に係る第３のドラム式洗濯機
は、第２のドラム式洗濯機において、前記ドラムは前面
側から背面側に向かって内径を徐々に大きくしたことを
特徴としている。

【０００９】また、本発明に係る第４のドラム式洗濯機
は、第１のドラム式洗濯機において、前記モータはアウ
タロータ形直流ブラシレスモータであることを特徴とし
ている。

【００１０】また、本発明に係る第５のドラム式洗濯機
は、第４のドラム式洗濯機において、前記モータのアウ
タロータの外周側に所定角度間隔毎に突出する羽根を、
外槽の凹部内周壁面と所定間隙を保って設けたことを特
徴としている。

【００１１】また、本発明に係る第６のドラム式洗濯機
は、第５のドラム式洗濯機において、前記アウタロータ
の背面側に通気開口を設けたことを特徴としている。

【００１２】

【発明の実施の形態及び発明の効果】上記第１のドラム
式洗濯機では、ドラムと外槽とはそれぞれ略円筒形状で
あって、背面側端面でモータの取付部位に対応して内側
に窪んだ形状になっている。つまり、ドラムは回転軸の
周囲では奥行が短いものの、外周側では奥行が長くなっ
ている。このため、側周面積は広くなっており、通水孔
の開口面積を大きく確保することができるので、内部か
らの水の飛散が容易であって脱水効率が高い。

【００１３】また、この構成では、ドラム背面内周側は
内側に膨出しているので、洗いやすすぎ時に洗濯物はド
ラム前面側に集まり易い。したがって、洗いやすすぎに
引き続く脱水時には、多くの洗濯物がドラム前面側の側
周壁内面に張り付く。第２のドラム式洗濯機では、ドラ
ム前面側で通水孔の数又は通水孔１個当たりの開口面積
が小さくなっているので、このように張り付いた洗濯物
の布が通水孔にくい込みにくく、張り付きが弱いので容
易に取り出すことができる。また、洗濯物の布傷みも軽
減できる。一方、脱水時に洗濯物から吐き出された水は
背面側の多くの通水孔を介して外槽側へ飛散させること
ができるので、脱水性能も十分に確保できる。

【００１４】更に第３のドラム式洗濯機では、脱水時に
洗濯物から吐き出された水は遠心力によってドラム背面
側に流れるので、より確実に水の飛散が保証され、高い
脱水性能を得ることができる。

【００１５】また、第４のドラム式洗濯機では、モータ
として、内周側にステータ、外周側にロータを配置した
アウタロータ形直流ブラシレスモータを用いるので、モ
ータを扁平形状としてドラムの内容積を相対的に大きく
することができる。また、ロータの外径をより大きくと
ることができるので大きな回転トルクを得ることができ
る。更に、同軸で且つ軸から離れた円周上を重量物が回
転することになるので、慣性モーメントの作用により外
槽の振動を一層抑制することができる。

【００１６】また、アウタロータ形モータでは発熱源で
あるステータが内周側に位置しているので放熱が困難で
あるが、第５のドラム式洗濯機では、ロータが回転する
と羽根の作用により後方の空気が吸引され、この空気流
によりステータが冷却される。更に、第６のドラム式洗
濯機では、羽根により後方外側から吸引された空気がス
テータ近傍を通って通気開口から後方内側に出る経路、
又はその逆の経路で空気が流れる。したがって、ステー
タの冷却がよりスムーズに行え、ステータの過熱を防止
することができる。

【００１７】

【実施例】以下、本発明に係るドラム式洗濯機の一実施
例を図面を参照して説明する。図１は本実施例によるド
ラム式洗濯機の全体構成を示す概略側面断面図、図２は
このドラム式洗濯機のモータ部分の詳細構造を示す側面
断面図、図３はこのモータ部分を背面側から見た平面図
である。なお、図２は回転軸から上側の１／２のみ、図
３は回転方向に１／４のみを記載している。

【００１８】図１に示すように、このドラム式洗濯機で
は、外箱１の内部に、前面が開口した略円筒形状の外槽
２が防振バネ３及びダンパ４により吊支され、外箱１前
面には外槽２の前面開口を開閉するドア５が設けられて
いる。外槽２内には同様に前面が開口したドラム６が配
設されており、ドラム６の背面側端面には太径の主軸７
が一体回転するように取り付けられている。一方、外槽
２の背面側端面には中央が円筒状に形成されている軸受
８が固定され、その円筒内部に設けられたベアリング９
を介して主軸７を回転自在に支持している。外槽２の背
面側端面中央と軸受８とは略円筒形状に内側（図１では
左側）に窪んで凹部を形成しており、その凹部に、アウ
タロータ形の扁平構造を有する直流ブラシレスモータ１
０が取り付けられている。また、ドラム６の背面側端面
も外槽２の形状に対応して内側に窪んでいる。

【００１９】図２に示すように、このモータ１０はアウ
タロータ部１１とステータ部１５とから成る。アウタロ
ータ部１１は、周縁端が軸方向に沿って前方に折り曲げ
られた略円盤形状を有する樹脂製のロータハウジング１
２と、ロータハウジング１２の折曲部の内周面に取り付
けられた永久磁石１３とから構成される。この永久磁石
１３は、ロータハウジング１２の折曲部内周面に沿って
Ｎ極とＳ極とが交互に複数配列された構造となってお
り、インサート成形等の種々の方法により取り付けるこ
とができる。ロータハウジング１２は、ネジ１４により
主軸７の先端端面に螺着されており、両者は一体に回転
する。また、図３に示すように、ロータハウジング１２
の折曲部外周側には、所定角度間隔で外側に突出する羽
根状のリブ１２１が放射状に形成されており、ロータハ
ウジング１２の背面部には適宜の位置に通風開口１２２
が穿孔されている。リブ１２１は、回転軸に対して斜め
に且つ僅かに湾曲した形状に形成されている。

【００２０】一方、ステータ部１５は、樹脂材等から成
り外周側に放射状に突出して複数の中空のコイル支持部
が形成されたステータハウジング１６と、ステータハウ
ジング１６のコイル支持部内に嵌挿されたコア１７と、
コイル支持部の外側に巻回されたコイル１８とから構成
される。ステータハウジング１６はネジ１９により軸受
８に固定されており、後述のようにアウタロータ部１１
が回転する際にも、コア１７の最外周端とそれに対面す
る永久磁石１３との間に所定のギャップが保たれること
が保証されている。

【００２１】上記構成において、ステータ部１５のコイ
ル１８に図示しない制御回路から駆動電流が供給される
と、コイル１８から上記ギャップを隔てて対向する永久
磁石１３に磁路が形成され、これによりアウタロータ部
１１は回転する。そして主軸７を介して、アウタロータ
部１１と同一の回転速度でドラム６は回転駆動される。

【００２２】脱水行程時にはドラム６の回転速度は数百
〜１０００ｒｐｍ程度になるのに対し、洗いやすすぎ時
にはドラム６の回転速度は高々数十ｒｐｍ程度である。
本実施例のドラム式洗濯機では、このような低い回転速
度においてもコイル１８で発生した熱が効率よく発散さ
れる。すなわち、アウタロータ部１１が所定方向に回転
すると、図２に矢印Ａで示すようにリブ１２１により背
面側から空気が吸い込まれ、永久磁石１３とコア１７と
の間隙や隣接するコア１７（厳密にはステータハウジン
グ１６のコイル支持部）の間を通り、通風開口１２２を
介して背面側に抜ける。このような空気流によりコイル
１８から熱が奪われるので、比較的低い回転速度でも効
果的に放熱が行える。また、アウタロータ部１１が逆方
向に回転されると、空気流は図２中の矢印Ａとは反対方
向に流れるが、このときにも同様にコイル１８で発生し
た熱は効果的に放散される。

【００２３】また、本実施例のドラム式洗濯機では、ド
ラム６は、図４に示すように前面側から背面側に向かっ
て内径が徐々に大きくなる形状を有している（但し、図
４は理解を容易にするため傾斜を大きくしているが、実
際には僅かの傾斜でよい）。更に、このドラム６は、前
面側では通水孔６１の数が少なく（密度が低く）、背面
側では通水孔６１の数が多く（密度が高く）なってい
る。このようなドラム６の構造によって次のような作用
を生じる。

【００２４】上述の如くドラム６は背面側端面で内周側
に窪んでいるため、洗い及びすすぎ時にドラム６内で攪
拌される洗濯物はドラム６の前面側に集まり易い。この
ような状態から脱水運転に移行すると、洗濯物の多くが
図４に示すようにドラム６前面側の内周壁面に張り付い
た状態でドラム６とともに回転する。洗濯物には大きな
遠心力が作用するため、該洗濯物の布は通水孔６１にく
い込む。このため、もし通水孔６１の数が多いと脱水終
了後に洗濯物を取り出しにくいのみならず、洗濯物の布
傷みの原因にもなる。しかし、本実施例のドラム式洗濯
機では、洗濯物が多く張り付くドラム６前面側には通水
孔６１が少ないので、洗濯物の張り付きが弱く、脱水終
了後に容易に洗濯物を取り出すことができる。

【００２５】また、脱水運転中に洗濯物から吐き出され
た水のうち、洗濯物近傍の通水孔６１から外槽２側へ飛
散しきれなかった分の水は、遠心力によって図４中の矢
印Ｂに示すようにドラム６背面側へと流れる。ドラム６
背面側には通水孔６１が多く開口しているので、流れて
きた水はこの通水孔６１から図４中で矢印Ｃに示すよう
に外槽２側へ飛散される。すなわち、ドラム６前面側に
通水孔６１が少なくとも脱水性能が損なわれることがな
く、広い側周面を利用して効率的に脱水を行うことがで
きる。

【００２６】なお、上記実施例は一例であって、本発明
の趣旨の範囲で適宜変更や修正を行なえることは明白で
ある。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の一実施例によるドラム式洗濯機の全
体構成を示す概略側面断面図。

【図２】 本実施例のドラム式洗濯機のモータ部分の詳
細構造を示す側面断面図。

【図３】 本実施例のドラム式洗濯機のモータ部分を背
面側から見た平面図。

【図４】 本実施例のドラム式洗濯機のドラムの模式
図。

【符号の説明】

２…外槽 ６…ドラム ６１…通水孔 ７…主軸 ８…軸受 ９…ベアリング １０…モータ １１…アウタロータ部 １２…ロータハウジング １２１…リブ １２２…通風開口 １３…永久磁石 １５…ステータ部 １６…ステータハウジング １７…コア １８…コイル

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新村 光則 大阪府守口市京阪本通２丁目５番５号 三 洋電機株式会社内 (72)発明者 周防 聖行 大阪府守口市京阪本通２丁目５番５号 三 洋電機株式会社内 (72)発明者 原田 哲夫 大阪府守口市京阪本通２丁目５番５号 三 洋電機株式会社内

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ドラムの回転軸とモータ軸とを直結した
   ダイレクトドライブ方式のドラム式洗濯機において、ド
   ラムを内装する外槽の背面中央に凹部を形成し該凹部内
   にモータを取り付けるとともに、該凹部の形状に対応し
   てドラム背面側端面の中央を内側に窪ませ、外周側を背
   面側に延伸させた変形略円筒形状としたことを特徴とす
   るドラム式洗濯機。
2. 【請求項２】 前記ドラムは、前面側よりも背面側にお
   いて通水孔の数又は通水孔１個当たりの開口面積を大き
   くしたことを特徴とする請求項１記載のドラム式洗濯
   機。
3. 【請求項３】 前記ドラムは前面側から背面側に向かっ
   て内径を徐々に大きくしたことを特徴とする請求項２記
   載のドラム式洗濯機。
4. 【請求項４】 前記モータはアウタロータ形直流ブラシ
   レスモータであることを特徴とする請求項１記載のドラ
   ム式洗濯機。
5. 【請求項５】 前記モータのアウタロータの外周側に所
   定角度間隔毎に突出する羽根を、外槽の凹部内周壁面と
   所定間隙を保って設けたことを特徴とする請求項４記載
   のドラム式洗濯機。
6. 【請求項６】 前記アウタロータの背面側に通気開口を
   設けたことを特徴とする請求項５記載のドラム式洗濯
   機。