JP3754388B2 - ドラム式洗濯機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水平軸を中心に回転自在に配設したドラム内に洗濯物を収容して洗濯、或いは洗濯及び乾燥を行なうドラム式洗濯機(ここでは、乾燥の機能を併せ持つものも「洗濯機」と呼ぶこととする)に関する。
【0002】
【従来の技術】
ドラム式洗濯機は、水平軸を中心に回転される篭状のドラムを外槽内に配設し、外槽に水を溜めた状態でドラムを回転させることによりドラム内に収容した洗濯物の洗いやすすぎを行なうようになっている。ドラムの主軸を回転駆動する方法としては、外槽の下面にモータを取り付け、該モータ軸に固着したプーリとドラムの主軸に取り付けたプーリとをVベルト等を用いて連結する、いわゆるベルトドライブによるものが一般的である。しかしながらこの構造では、モータの重量により外槽後部の重心が下がって、ドラムの回転軸回りの外槽の重量バランスが不均一になり、ドラム回転時の外槽の振動が大きくなる傾向にある。
【0003】
これに対し、本願出願人は、外槽の背面に取り付けたモータのモータ軸とドラムの主軸とを直結する、いわゆるダイレクトドライブ方式によるドラム式洗濯機を提案している。この洗濯機では、外槽は回転軸の回りに略均等な重量分布を有することになるので、バランス用の重錘を用いずに外槽の重心位置をドラムの回転中心に近付けることができ、その結果、ドラム回転時の外槽の振動を抑制するとともに軽量化が図れるという利点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ダイレクトドライブ方式ではモータを外槽背面に設置するので、従来構造のドラムや外槽にそのまま取り付けようとすると、洗濯機の奥行寸法が大きくなってしまう。
【0005】
本発明はこのような点に鑑みて成されたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために成された本発明は、外箱の内部に、前面が開口した外槽がダンパにより支持され、外槽内には前面が開口したドラムが配設されているとともに、ドラムの背面側端面に取り付けられた主軸にモータを直結したダイレクトドライブ方式のドラム式洗濯機において、前記外槽の背面側端面に固定された軸受に固定され、コイルが巻回されたステータ部と、周縁端が軸方向に沿って前方に折り曲げられた略円盤形状を有するロータハウジング、及び該ロータハウジングの周縁端の内周面に、前記ステータ部のコイルから所定のギャップを隔てて取り付けられた永久磁石を含むアウタロータ部と、から成り、ステータ部のコイルに駆動電流が供給されるとアウタロータ部が回転するモータを備え、前記外槽の背面側端面中央に内側に窪んで凹部を形成し、該凹部内に前記モータを取り付けたことを特徴としている。
【0007】
また、外箱の内部に、前面が開口した外槽がダンパにより支持され、外槽内には前面が開口したドラムが配設されているとともに、ドラムの背面側端面に取り付けられた主軸にモータを直結したダイレクトドライブ方式のドラム式洗濯機において、前記外槽の背面側端面に固定された軸受に固定され、コイルが巻回されたステータ部と、該ステータ部のコイルの外周側にコイルから所定のギャップを隔てて配置した永久磁石を有し、前記ドラムの主軸にステータ部の後方から取り付けられたアウタロータ部と、から成り、ステータ部のコイルに駆動電流が供給されるとアウタロータ部が回転するモータを備え、前記外槽の背面側端面中央に内側に窪んで凹部を形成し、該凹部内に前記モータを取り付けたことを特徴としている。
【0008】
【発明の実施の形態及び発明の効果】
ドラムと外槽とはそれぞれ略円筒形状であって、外槽の背面側端面でモータの取付部位に対応して内側に窪んだ形状になっている。
【0009】
モータとして、内周側にステータ、外周側にロータを配置したアウタロータ形のモータを用いるので、モータを扁平形状としてドラムの内容積を相対的に大きくすることができる。また、ロータの外径をより大きくとることができるので大きな回転トルクを得ることができる。更に、同軸で且つ軸から離れた円周上を重量物が回転することになるので、慣性モーメントの作用により外槽の振動を一層抑制することができる。
【0011】
【実施例】
以下、本発明に係るドラム式洗濯機の一実施例を図面を参照して説明する。図1は本実施例によるドラム式洗濯機の全体構成を示す概略側面断面図、図2はこのドラム式洗濯機のモータ部分の詳細構造を示す側面断面図、図3はこのモータ部分を背面側から見た平面図である。なお、図2は回転軸から上側の1/2のみ、図3は回転方向に1/4のみを記載している。
【0012】
図1に示すように、このドラム式洗濯機では、外箱1の内部に、前面が開口した略円筒形状の外槽2が防振バネ3及びダンパ4により吊支され、外箱1前面には外槽2の前面開口を開閉するドア5が設けられている。外槽2内には同様に前面が開口したドラム6が配設されており、ドラム6の背面側端面には太径の主軸7が一体回転するように取り付けられている。一方、外槽2の背面側端面には中央が円筒状に形成されている軸受8が固定され、その円筒内部に設けられたベアリング9を介して主軸7を回転自在に支持している。外槽2の背面側端面中央と軸受8とは略円筒形状に内側(図1では左側)に窪んで凹部を形成しており、その凹部に、アウタロータ形の扁平構造を有する直流ブラシレスモータ10が取り付けられている。また、ドラム6の背面側端面も外槽2の形状に対応して内側に窪んでいる。
【0013】
図2に示すように、このモータ10はアウタロータ部11とステータ部15とから成る。アウタロータ部11は、周縁端が軸方向に沿って前方に折り曲げられた略円盤形状を有する樹脂製のロータハウジング12と、ロータハウジング12の折曲部の内周面に取り付けられた永久磁石13とから構成される。この永久磁石13は、ロータハウジング12の折曲部内周面に沿ってN極とS極とが交互に複数配列された構造となっており、インサート成形等の種々の方法により取り付けることができる。ロータハウジング12は、ネジ14により主軸7の先端端面に螺着されており、両者は一体に回転する。また、図3に示すように、ロータハウジング12の折曲部外周側には、所定角度間隔で外側に突出する羽根状のリブ121が放射状に形成されており、ロータハウジング12の背面部には適宜の位置に通風開口122が穿孔されている。リブ121は、回転軸に対して斜めに且つ僅かに湾曲した形状に形成されている。
【0014】
一方、ステータ部15は、樹脂材等から成り外周側に放射状に突出して複数の中空のコイル支持部が形成されたステータハウジング16と、ステータハウジング16のコイル支持部内に嵌挿されたコア17と、コイル支持部の外側に巻回されたコイル18とから構成される。ステータハウジング16はネジ19により軸受8に固定されており、後述のようにアウタロータ部11が回転する際にも、コア17の最外周端とそれに対面する永久磁石13との間に所定のギャップが保たれることが保証されている。
【0015】
上記構成において、ステータ部15のコイル18に図示しない制御回路から駆動電流が供給されると、コイル18から上記ギャップを隔てて対向する永久磁石13に磁路が形成され、これによりアウタロータ部11は回転する。そして主軸7を介して、アウタロータ部11と同一の回転速度でドラム6は回転駆動される。
【0016】
脱水行程時にはドラム6の回転速度は数百〜1000rpm程度になるのに対し、洗いやすすぎ時にはドラム6の回転速度は高々数十rpm程度である。本実施例のドラム式洗濯機では、このような低い回転速度においてもコイル18で発生した熱が効率よく発散される。すなわち、アウタロータ部11が所定方向に回転すると、図2に矢印Aで示すようにリブ121により背面側から空気が吸い込まれ、永久磁石13とコア17との間隙や隣接するコア17(厳密にはステータハウジング16のコイル支持部)の間を通り、通風開口122を介して背面側に抜ける。このような空気流によりコイル18から熱が奪われるので、比較的低い回転速度でも効果的に放熱が行える。また、アウタロータ部11が逆方向に回転されると、空気流は図2中の矢印Aとは反対方向に流れるが、このときにも同様にコイル18で発生した熱は効果的に放散される。
【0017】
また、本実施例のドラム式洗濯機では、ドラム6は、図4に示すように前面側から背面側に向かって内径が徐々に大きくなる形状を有している(但し、図4は理解を容易にするため傾斜を大きくしているが、実際には僅かの傾斜でよい)。更に、このドラム6は、前面側では通水孔61の数が少なく(密度が低く)、背面側では通水孔61の数が多く(密度が高く)なっている。このようなドラム6の構造によって次のような作用を生じる。
【0018】
上述の如くドラム6は背面側端面で内周側に窪んでいるため、洗い及びすすぎ時にドラム6内で攪拌される洗濯物はドラム6の前面側に集まり易い。このような状態から脱水運転に移行すると、洗濯物の多くが図4に示すようにドラム6前面側の内周壁面に張り付いた状態でドラム6とともに回転する。洗濯物には大きな遠心力が作用するため、該洗濯物の布は通水孔61にくい込む。このため、もし通水孔61の数が多いと脱水終了後に洗濯物を取り出しにくいのみならず、洗濯物の布傷みの原因にもなる。しかし、本実施例のドラム式洗濯機では、洗濯物が多く張り付くドラム6前面側には通水孔61が少ないので、洗濯物の張り付きが弱く、脱水終了後に容易に洗濯物を取り出すことができる。
【0019】
また、脱水運転中に洗濯物から吐き出された水のうち、洗濯物近傍の通水孔61から外槽2側へ飛散しきれなかった分の水は、遠心力によって図4中の矢印Bに示すようにドラム6背面側へと流れる。ドラム6背面側には通水孔61が多く開口しているので、流れてきた水はこの通水孔61から図4中で矢印Cに示すように外槽2側へ飛散される。すなわち、ドラム6前面側に通水孔61が少なくとも脱水性能が損なわれることがなく、広い側周面を利用して効率的に脱水を行うことができる。
【0020】
なお、上記実施例は一例であって、本発明の趣旨の範囲で適宜変更や修正を行なえることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例によるドラム式洗濯機の全体構成を示す概略側面断面図。
【図2】 本実施例のドラム式洗濯機のモータ部分の詳細構造を示す側面断面図。
【図3】 本実施例のドラム式洗濯機のモータ部分を背面側から見た平面図。
【図4】 本実施例のドラム式洗濯機のドラムの模式図。
【符号の説明】
2…外槽
6…ドラム
61…通水孔
7…主軸
8…軸受
9…ベアリング
10…モータ
11…アウタロータ部
12…ロータハウジング 121…リブ
122…通風開口 13…永久磁石
15…ステータ部
16…ステータハウジング 17…コア
18…コイル
Claims (2)
- 外箱の内部に、前面が開口した外槽がダンパにより支持され、外槽内には前面が開口したドラムが配設されているとともに、ドラムの背面側端面に取り付けられた主軸にモータを直結したダイレクトドライブ方式のドラム式洗濯機において、前記外槽の背面側端面に固定された軸受に固定され、コイルが巻回されたステータ部と、周縁端が軸方向に沿って前方に折り曲げられた略円盤形状を有するロータハウジング、及び該ロータハウジングの周縁端の内周面に、前記ステータ部のコイルから所定のギャップを隔てて取り付けられた永久磁石を含むアウタロータ部と、から成り、ステータ部のコイルに駆動電流が供給されるとアウタロータ部が回転するモータを備え、前記外槽の背面側端面中央に内側に窪んで凹部を形成し、該凹部内に前記モータを取り付けたことを特徴とするドラム式洗濯機。
- 外箱の内部に、前面が開口した外槽がダンパにより支持され、外槽内には前面が開口したドラムが配設されているとともに、ドラムの背面側端面に取り付けられた主軸にモータを直結したダイレクトドライブ方式のドラム式洗濯機において、前記外槽の背面側端面に固定された軸受に固定され、コイルが巻回されたステータ部と、該ステータ部のコイルの外周側にコイルから所定のギャップを隔てて配置した永久磁石を有し、前記ドラムの主軸にステータ部の後方から取り付けられたアウタロータ部と、から成り、ステータ部のコイルに駆動電流が供給されるとアウタロータ部が回転するモータを備え、前記外槽の背面側端面中央に内側に窪んで凹部を形成し、該凹部内に前記モータを取り付けたことを特徴とするドラム式洗濯機。
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