JPH11339817A - 空気電極の製造方法及び空気電池の製造方法 - Google Patents

空気電極の製造方法及び空気電池の製造方法

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JPH11339817A
JPH11339817A JP10141605A JP14160598A JPH11339817A JP H11339817 A JPH11339817 A JP H11339817A JP 10141605 A JP10141605 A JP 10141605A JP 14160598 A JP14160598 A JP 14160598A JP H11339817 A JPH11339817 A JP H11339817A
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JP
Japan
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catalyst layer
joint
porous membrane
air
air electrode
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JP10141605A
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Ryosuke Takagi
良介 高木
Kazuhiro Hashimoto
和宏 橋本
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、多孔質膜の接合不良を低減させ、耐
漏液特性の高い空気電極及び空気電池を実現する空気電
極の製造方法及び空気電池の製造方法を提供する。 【解決手段】 この空気電極の製造方法は、中空筒状の
集電体上に酸素を還元する触媒を含有する触媒材料を塗
着して触媒層を形成する触媒層形成工程と、上記触媒層
上に多孔質膜を巻き付けるとともに、上記多孔質膜の上
記触媒層への巻き付け方向の一端部から所定の長さを有
する第1の接合部と上記多孔質膜の他端部から所定の長
さを有する第2の接合部とを残して上記多孔質膜を上記
触媒層に圧着するプレスロール工程と、上記多孔質膜の
上記第1の接合部と上記第2の接合部とを重ね合わせて
接合する接合工程とを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、活物質として空気
中の酸素を用いる空気電極の製造方法及び空気電池の製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】空気電池は、電池内に正極活物質を充填
せず、正極活物質として空気中の酸素を用いる電池であ
る。この空気電池の正極には、空気中の酸素を反応させ
る為の特殊な多孔体電極(以下、空気電極と称する。)
が用いられる。この空気電極の厚みは、一般的なアルカ
リ電池用正極に比べて極めて薄い。このために、負極充
填のための容積が他の電池系に比べて非常に大きい。こ
のことから、空気電池はエネルギー密度が他のアルカリ
電池に比べて約2倍もある、高エネルギー密度電池であ
る。ところで、近年の携帯用電子機器の普及に伴い、携
帯用電源としての電池への要求は高まるばかりである。
特に、より軽く、より強く、且つより長く使える電池、
すなわち、高エネルギー密度の電池の登場が期待されて
いる。つまり、携帯用電源として、空気電池は理想的な
1次電池であり、実際に補聴器やポケットベル用の電源
としてボタン型空気電池の需要が伸びてきている。これ
を受けて、携帯用電源として、より汎用性を高めた筒型
の空気電池の開発が行われている。
【0003】このような筒型の空気電池に用いられる空
気電極は、導電性金属からなる中空筒状の集電体上に、
金属酸化物、活性炭、カーボンブラック、フッ素系樹脂
を含有する触媒層が形成され、さらに、フッ素系樹脂等
からなり酸素ガス透過能を有する撥水性の多孔質膜が触
媒層上に圧着され、3層構造とされている。
【0004】しかし、このままでは多孔質膜のつなぎ目
部分の隙間から電解液がもれてしまい、空気電池の耐漏
液特性が悪くなってしまう。そのため、フッ素系樹脂等
からなる多孔質膜のつなぎ目部にこれより融点の低いポ
リエチレン系樹脂又はポリプロピレン系樹脂をはさみ、
ポリエチレン系樹脂又はポリプロピレン系樹脂の溶融温
度以上であって、多孔質膜を構成するフッ素系樹脂の溶
融温度以下で熱処理することにより多孔質膜のつなぎ目
部分を接合している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、熱処理
工程において、多孔質膜のつなぎ目部分を十分強固に接
合できない不良が多く、生産性の悪化及び製造コストの
上昇など製造上大きな問題となっている。それだけでな
く、つなぎ目部が十分強固に接合されていないために、
耐漏液特性も悪い。
【0006】本発明は、上述したような従来の実情に鑑
みて提案されたものであり、フッ素系樹脂多孔質膜の接
合不良を低減させ、耐漏液特性の高い空気電極及び空気
電池を安定して供給することのできる空気電極の製造方
法及び空気電池の製造方法を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の空気電極の製造
方法は、中空筒状の集電体上に酸素を還元する触媒を含
有する触媒材料を塗着して触媒層を形成する触媒層形成
工程と、上記触媒層形成工程で形成された上記触媒層上
に多孔質膜を巻き付けるとともに、上記多孔質膜の上記
触媒層への巻き付け方向の一端部から所定の長さを有す
る第1の接合部と上記多孔質膜の他端部から所定の長さ
を有する第2の接合部とを残して上記多孔質膜を上記触
媒層に圧着するプレスロール工程と、上記プレスロール
工程で触媒層上に圧着された上記多孔質膜の上記第1の
接合部と上記第2の接合部とを重ね合わせて接合する接
合工程とを有することを特徴とする。
【0008】上述したような本発明の空気電極の製造方
法では、上記プレスロール工程で、多孔質膜を触媒層に
圧着する際に、上記第1の接合部と上記第2の接合部と
は触媒層に圧着しないので、上記第1の接合部及び上記
第2の接合部は、圧力や熱の影響を受けず、それらの表
面性が劣化しない。従って、この空気電極の製造方法で
は、上記接合工程において、上記第1の接合部と上記第
2の接合部とが強固に接合される。
【0009】また、本発明の空気電極の製造方法は、中
空筒状の集電体上に酸素を還元する触媒を含有する触媒
材料を塗着して触媒層を形成する触媒層形成工程と、上
記触媒層形成工程で形成された触媒層上に、樹脂材料が
所定の方向に延伸されてなるフィルム状の多孔質膜を巻
き付けるとともに上記多孔質膜を上記触媒層に圧着する
プレスロール工程と、上記プレスロール工程で上記触媒
層に圧着された多孔質膜の巻き付け方向の両端部を重ね
合わせて接合する接合工程とを有し、上記プレスロール
工程において、上記多孔質膜を上記触媒層上に巻き付け
る方向を当該多孔質膜の延伸方向と略直交させることを
特徴とする。
【0010】上述したような本発明に係る空気電極の製
造方法では、上記プレスロール工程において、上記多孔
質膜を上記触媒層上に巻き付ける方向を当該多孔質膜の
延伸方向と略直交させているので、多孔質膜の一方の端
部と他方の端部との間の摩擦が、巻き付け方向に対して
大きくなる。従って、この空気電極の製造方法では、多
孔質膜の巻き付け方向の両端部の接合が強固になる。
【0011】本発明の空気電池の製造方法は、活物質と
して空気中の酸素を用いる空気電極を有する空気電池の
製造方法であって、中空筒状の集電体上に酸素を還元す
る触媒を含有する触媒材料を塗着して触媒層を形成する
触媒層形成工程と、上記触媒層形成工程で形成された上
記触媒層上に多孔質膜を巻き付けるとともに、上記多孔
質膜の上記触媒層への巻き付け方向の一端部から所定の
長さを有する第1の接合部と上記多孔質膜の他端部から
所定の長さを有する第2の接合部とを残して上記多孔質
膜を上記触媒層に圧着するプレスロール工程と、上記プ
レスロール工程で触媒層上に圧着された上記多孔質膜の
上記第1の接合部と上記第2の接合部とを重ね合わせて
接合する接合工程とを有することを特徴とする。
【0012】上述したような本発明の空気電池の製造方
法では、上記プレスロール工程で、多孔質膜を触媒層に
圧着する際に、上記第1の接合部と上記第2の接合部と
は触媒層に圧着しないので、上記第1の接合部及び上記
第2の接合部は、圧力や熱の影響を受けず、それらの表
面性が劣化しない。従って、この空気電池の製造方法で
は、上記接合工程において、上記第1の接合部と上記第
2の接合部とが強固に接合されて、空気電池の耐漏液特
性が向上する。
【0013】また、本発明の空気電池の製造方法は、活
物質として空気中の酸素を用いる空気電極を有する空気
電池の製造方法であって、中空筒状の集電体上に酸素を
還元する触媒を含有する触媒材料を塗着して触媒層を形
成する触媒層形成工程と、上記触媒層形成工程で形成さ
れた触媒層上に、樹脂材料が所定の方向に延伸されてな
るフィルム状の多孔質膜を巻き付けるとともに上記多孔
質膜を上記触媒層に圧着するプレスロール工程と、上記
プレスロール工程で上記触媒層に圧着された多孔質膜の
巻き付け方向の両端部を重ね合わせて接合する接合工程
とを有し、上記プレスロール工程において、上記多孔質
膜を上記触媒層上に巻き付ける方向を当該多孔質膜の延
伸方向と略直交させることを特徴とする。
【0014】上述したような本発明に係る空気電池の製
造方法では、上記プレスロール工程において、上記多孔
質膜を上記触媒層上に巻き付ける方向を当該多孔質膜の
延伸方向と略直交させているので、多孔質膜の一方の端
部と他方の端部との間の摩擦が、巻き付け方向に対して
大きくなる。従って、この空気電池の製造方法では、多
孔質膜の巻き付け方向の両端部の接合が強固になり、空
気電池の耐漏液特性が向上する。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。
【0016】図1は、本発明を適用して製造される空気
電極の横断面図である。この空気電極1は、中空筒状の
集電体2と、集電体2上に塗着された触媒層3と、触媒
層3上に圧着された多孔質膜4とを有する。
【0017】集電体2には、導電性を有する金属ネッ
ト、エキスパンドメタル、パンチングメタル等が用いら
れる。集電体2の材料としては、例えば、ニッケル、ス
テンレス、或いはステンレスにニッケルめっきを施した
もの等が挙げられる。
【0018】触媒層3は、種々の金属酸化物、活性炭、
カーボンブラック、分散液等が混合されてなる触媒層混
合物が集電体2上に塗着されてなる。ここで、種々の金
属酸化物及び活性炭は、酸素還元能力を有する触媒とし
て添加される。
【0019】多孔質膜4は、酸素ガス透過能を有すると
ともに、撥水性にも優れた多孔性の膜であり、触媒層3
上に巻き付けられて圧着されている。このような多孔質
膜4は、フッ素系樹脂からなる。この多孔質膜4に用い
られるフッ素系樹脂としては、酸素ガス透過能及び高い
撥水性を有し、耐アルカリ性を有するものであれば特に
限定されるものではないが、例えばポリテトラフルオロ
エチレン(以下、PTFEと称する。)等が挙げられ
る。
【0020】また、この多孔質膜4は、その巻き始め端
部と巻き終わり端部とのつなぎ目が、ポリエチレン系樹
脂又はポリプロピレン系樹脂により熱溶着されてなる。
【0021】以下、上述したような空気電極1を用いた
空気電池について説明する。図2は、本発明を適用して
製造される空気電池の一構成例を示す縦断面図である。
【0022】この空気電池5は、図2に示すように、上
述した空気電極1が、側面に空気孔6を有し、正極端子
7aを兼ねる電池缶7内に、不織布からなる空気拡散紙
8を介して収納されている。そして、空気電極1の内側
には、有底筒状のセパレータ9が触媒層3に当接するよ
うに挿入され、さらにセパレータ9の内側にゲル状の負
極合剤10が充填されている。そして、上述した電池缶
7の開口部が、ガスケット11、釘状の負極集電体12
が溶接された負極端子板13により封止され、空気電極
1の開口端に配された金属封止板14が電池缶7の内壁
に強く圧接される。そして、この電池缶7の側面には、
絶縁チューブ15が装着され、さらに、絶縁チューブ1
5の側面には、空気孔6を密閉するためのシール16が
装着される。なお、このシール16は、電池を使用する
前に剥される。
【0023】これにより、正極の集電は、集電体2と正
極端子7aとが、空気電極1の開口端に配された金属封
止板17を介して接続されることで確保されている。ま
た、負極の集電は、負極端子板13に溶接された釘状の
負極集電体12がガスケット11の中央部に形成された
貫通孔に圧入されて負極合剤10に達することで確保さ
れている。
【0024】このように構成される空気電池5は、空気
電極1の多孔質膜4のつなぎ目がポリエチレン系樹脂又
はポリプロピレン系樹脂により熱溶着されてなることか
ら、空気電極1の内側に充填された負極合剤10中の電
解液が空気電極1の外側に漏れることがなく、耐漏液性
に優れた筒形の空気電池5となる。
【0025】以下、このような空気電池5の製造方法に
ついて説明する。
【0026】まず、金属酸化物と、活性炭と、カーボン
ブラックPTFE分散液とを混合してペースト状の触媒
層混合物を調整する。そして、この触媒層混合物をプレ
スローラ間に通して圧延することによりシート状とす
る。
【0027】次に、このシート状とされた触媒層混合物
を中空筒状の集電体2の外側面に沿って巻き付ける。こ
の集電体2としては、例えばニッケルめっきを施した焼
結ステンレスネット等が用いられる。そして、集電体2
に巻き付けられた触媒層混合物を、当該集電体2に圧着
し、乾燥することにより中空筒状の触媒層3を形成す
る。
【0028】次に、この中空筒状とされた触媒層3の外
側面に、酸素ガス透過能及び撥水性を有する多孔質膜4
を巻き付ける。このような多孔質膜4には、例えば、P
TFE膜が用いられる。
【0029】そして、触媒層3上に巻き付けられた多孔
質膜4を、当該触媒層3に圧着する。ここで、本発明で
は、多孔質膜4を上記触媒層3に圧着する際に、多孔質
膜4を触媒層3上に巻き付ける際の巻き始め側の端部か
ら所定の長さを有する第1の接合部と、巻き終わり側の
端部から所定の長さを有する第2の接合部とを残して、
多孔質膜4を触媒層3に圧着する。すなわち、触媒層3
上に巻き付けられて圧着された多孔質膜4のうち、触媒
層3上への巻き付け方向の両端から所定の長さを有する
第1の接合部及び第2の接合部は、触媒層3に圧着され
ていない。
【0030】次に、多孔質膜4の第1の接合部と第2の
接合部とを重ね合わせて接合する。図3は、多孔質膜4
のつなぎ目部分を拡大して模式的に示した図である。こ
のとき、上述したように、多孔質膜4を触媒層3上に巻
き付けて圧着する際に、巻き始め側の端部から所定の長
さl1を有する第1の接合部4a及び巻き終わり側の端
部から所定の長さl2を有する第2の接合部4bは、触
媒層3に圧着されていない。
【0031】ここで、多孔質膜4を触媒層3上に圧着す
る際に、巻き始め側の端部となる第1の接合部4aを触
媒層3に圧着すると、圧力や熱の影響により、この第1
の接合部4aの表面性が劣化してしまう。第1の接合部
4aの表面性が劣化していると、第2の接合部4bとの
接着が満足になされず、第1の接合部4aと第2の接合
部4bとのつなぎ目部分の接合が弱くなってしまう。そ
して、多孔質膜4のつなぎ目部分の接合が弱いと、多孔
質膜4が剥がれてしまい、その部分から電解液等が漏れ
出してしまう恐れがある。
【0032】そこで、多孔質膜4を触媒層3上に巻き付
けて圧着する際に、第1の接合部4a及び第2の接合部
4bを残すことで、第1の接合部4a及び第2の接合部
4bに圧力や熱の影響を与えず、その表面性を劣化させ
ずに良好に保つことができる。そして、第1の接合部4
a及び第2の接合部4bの表面性が良好であると、第1
の接合部4aと第2の接合部4bとの接合が強固にな
る。そして、多孔質膜4のつなぎ目部分が剥がれること
なく、耐漏液性に優れた空気電池5を得ることができ
る。
【0033】ここで、本実施の形態においては、第1の
接合部4aと第2の接合部4bとを接合する際に、第1
の接合部4aと第2の接合部4bとが重なる領域(以
下、接合領域と称する。)の長さLを、触媒層3の外周
に対して1%以上とする。この接合領域の長さLが、触
媒層3の外周に対して1%未満の場合は、多孔質膜4を
安定に接合することができず、本発明の目的を十分に達
成することができない。
【0034】一方、接合部分の長さが大きいほど、多孔
質膜4の接合を強固にして耐漏液性は確保できるもの
の、空気電極1の有効面積が減少して放電特性を低下さ
せるため好ましくない。そのため、この接合部分の長さ
Lは、触媒層3の外周に対して25%程度以下とするこ
とが好ましい。
【0035】また、多孔質膜4の第1の接合部4aと第
2の接合部4bとを重ね合わせて接合する際に、第1の
接合部4aと第2の接合部4bとの間に、固体状又は液
状のポリエチレン系樹脂又はポリプロピレン系樹脂をは
さみ、そして、ポリエチレン系樹脂又はポリプリピレン
系樹脂の融点より高い温度であり、かつ、多孔質膜4を
構成するフッ素系樹脂の融点より低い温度で熱処理を施
し、熱溶着させるとよい。これにより、多孔質膜4のつ
なぎ目が強固に接合される。
【0036】また、多孔質膜4としてフッ素系樹脂から
なる多孔質膜を用いる場合、ポリエチレン系樹脂及びポ
リプリピレン系樹脂の融点はフッ素系樹脂の融点よりも
低く、100℃〜200℃程度であるため、フッ素系樹
脂からなる多孔質膜4のつなぎ目にこれらの樹脂を用い
ることは、ハンドリング性を良好にし、製造工程上有利
である。
【0037】そして、このようにして作製された空気電
極1の上部開口端に、断面コの字状の金属封止板14を
配置し、さらにこの金属封止板14を空気極開口端の円
周に沿って圧縮する方向に絞ることで、金属封止板14
を空気電極1に装着する。次に、空気電極1の下部開口
端に断面コの字状の金属封止板17を配置し、さらに、
この金属封止板17を空気極開口端の円周に沿って圧縮
する方向に絞ることで、金属封止板17を空気電極1に
装着する。このとき、開口端に表れている金属集電体2
は、金属集電体2の円周部で金属封止板14及び金属封
止板17と直接接触するように配置されている。このよ
うにして、筒型の空気電極1が作製される。
【0038】上述した空気電極1の外側に不織布からな
る空気拡散紙8を巻き付け、側面に空気孔6を有し正極
端子7aを兼ねる電池缶7内に、金属封止板17が正極
端子7a側になるように挿入する。そして、空気電極1
の内側に天然パルプ材等の不織布よりなる有底円筒状の
セパレータ9を触媒層3に当接するように挿入し、さら
に、セパレータ9の内側にゲル状の負極合剤10を充填
する。
【0039】次に、この電池缶7の開口部にガスケット
11と釘状の負極集電体12が溶接された負極端子板1
3とを順次組み込み、電池缶7の開口部を冶具を用いて
かしめることにより封口する。このとき、金属封止板1
4は、電池缶7の内壁面に強く圧接される。そして、こ
の電池缶7の側面に絶縁チューブ15を装着し、さら
に、絶縁チューブ15の側面に、空気孔6を密閉するた
めのシール16を装着する。なお、このシール16は、
電池を使用する前に剥される。このようにして、円筒形
の空気電池5が作製される。
【0040】なお、多孔質膜4を触媒層3上に巻き付け
る際に、図4に示すように、多孔質膜4の触媒層3への
巻き付け方向Aを、当該多孔質膜4の延伸方向Bと直交
させてもよい。多孔質膜4の表面性は、方向性を有して
おり、例えば、当該多孔質膜4の延伸方向に依存する。
上記多孔質膜4を上記触媒層3上に巻き付ける方向Aを
当該多孔質膜4の延伸方向Bと略直交させることで、多
孔質膜4の巻き付け方向の一方の端部と他方の端部との
間の摩擦が大きくなり、両端部の接合が強固になり、耐
漏液性に優れた空気電極1及び空気電池5を得ることが
できる。
【0041】
【実施例】上述したような構成を有する空気電極を作製
し、この空気電極を用いて空気電池を作製した。
【0042】〈実施例1〉このマンガン酸化物と、カー
ボンブラックと、活性炭と、さらに固形分60%のポリ
テトラフルオロエチレンの水性分散液とを各々の固形分
比で3:1:3:3になるように混合し、ペースト状の
触媒層混合物を得た。さらに、このペースト状の触媒層
混合物を、約60℃に加熱したプレスローラ間に通して
圧延し、0.6mmのシート状とした。次に、このシー
ト状の触媒層混合物を、ニッケルめっきを施した中空筒
状の焼結ステンレスネットからなる金属集電体に巻き付
けて圧着し、乾燥することにより、厚さが約0.5mm
の中空筒状の触媒層を形成した。
【0043】次に、この触媒層上にPTFEからなる厚
さ0.1mmの多孔質膜を巻き付け、プレスロール工程
を用いて多孔質膜と触媒層とを圧着した。このとき、多
孔質膜の巻き始め側の端部及び巻き終わり側の端部は触
媒層に圧着しなかった。
【0044】多孔質膜の巻き始め端部と巻き終わり端部
のつなぎ目部の接合幅は触媒層の外周に対して約5%
(約2mm)とした。このつなぎ目部分に厚さ50μm
のポリエチレンフィルムを挟み込み250℃で熱処理す
ることにより、多孔質膜の両端部を溶着した。なお、こ
のときの接合領域の長さLは、触媒層の外周に対して2
%(約1mm)以上とされている。
【0045】このようにして、外径が10mm、高さが
45mmの中空筒型の空気電極を作製した。そして、こ
の空気電極の上部開口端に、断面コの字状の金属封止板
を配置し、さらにこの金属封止板を空気極開口端の円周
に沿って圧縮する方向に絞ることで、空気電極を金属封
止板に装着した。次に、空気電極の下部開口端に断面コ
の字状の金属封止板を配置し、さらに、この金属封止板
を空気極開口端の円周に沿って圧縮する方向に絞ること
で、空気電極を金属封止板に装着した。このとき、開口
端に表れている金属集電体は、金属集電体の円周部で金
属封止板及び金属封止板と直接接触するように配置され
ている。
【0046】上述した空気電極の外側に空気拡散紙を巻
き付け、側面に空気孔を有し正極端子を兼ねる電池缶内
に、金属封止板が正極端子側になるように挿入した。そ
して、空気電極の内側に有底円筒状のセパレータを触媒
層に当接するように挿入し、さらに、セパレータの内側
にゲル状の負極合剤を充填した。
【0047】次に、この電池缶の開口部にガスケットと
釘状の負極集電体が溶接された負極端子板とを順次組み
込み、正極缶の開口部を冶具を用いてかしめることによ
り封口した。このとき、金属封止板は、電池缶の内壁面
に強く圧接される。そして、この電池缶の側面に絶縁チ
ューブを装着し、さらに、絶縁チューブの側面に、空気
孔を密閉するためのシールを装着して、直径が15m
m、高さが50mmの筒型の空気電池を作製した。
【0048】〈実施例2〉多孔質膜を触媒層上に巻き付
ける際に、多孔質膜の巻き付け方向を当該多孔質膜の延
伸方向と略直交させたこと、及び、多孔質膜と中空筒状
触媒層とを圧着する際に、多孔質膜巻き始め側の端部を
圧着したこと以外は、実施例1と同様にして空気電極及
び空気電池を作製した。
【0049】〈実施例3〉多孔質膜を触媒層上に巻き付
ける際に、多孔質膜の巻き付け方向を当該多孔質膜の延
伸方向と略直交させたこと以外は、実施例1と同様にし
て空気電極及び空気電池を作製した。なお、このときの
接合領域の長さLは、触媒層の外周に対して2%(約1
mm)とされている。
【0050】〈比較例1〉多孔質膜を触媒層上に巻き付
ける際に、多孔質膜の巻き始め側の端部を触媒層に圧着
したこと以外は、実施例1と同様にして空気電極及び空
気電池を作製した。
【0051】〈比較例2〉多孔質膜を触媒層上に巻き付
ける際に、多孔質膜の巻き始め側の端部及び巻き終わり
側の端部を触媒層に圧着したこと以外は、実施例1と同
様にして空気電極及び空気電池を作製した。なお、この
ときの接合領域の長さLは、触媒層の外周に対して1%
(約0.5mm)以下とされている。
【0052】以上のようにして作製された空気電極及び
空気電池について、空気電極の多孔質膜の接合の良否、
及び空気電池の耐漏液特性を調べた。なお、これらの評
価試験は、サンプル数を1000個として行った。
【0053】空気電極の多孔質膜の接合の良、不良とし
ては、多孔質膜の接合部分をピンセットで挟んで剥そう
とした場合に、容易に接合部分が剥がれてしまった場合
を不良、接合部分が剥がれず、強固に接合されていた場
合を良として評価し、不良とされた電池の数をかぞえ
た。
【0054】空気電池の耐漏液特性としては、電池を空
気孔を塞いだ状態で、60℃で100日間放置し、漏液
が認められた電池の数をかぞえた。
【0055】実施例1〜実施例3及び比較例の空気電極
及び空気電池について行った評価試験の結果を表1に示
す。
【0056】
【表1】
【0057】プレスロール工程で多孔質膜の巻き始め端
部と巻き終わり端部とを圧着しなかった実施例1、多孔
質膜の延伸方向を多孔質膜の巻き付け方向とを直交させ
た実施例2、及びこれらを組み合わせた実施例3の空気
電極では、多孔質膜の接合部分の不良が全くみられず、
また、これらの空気電極を用いた空気電池についても、
長期保存後に漏液は全くみられなかった。
【0058】一方、プレスロール工程で多孔質膜の巻き
始め端部を圧着した比較例1の空気電極では、1000
個中78個の電極に接合不良がみられ、また、この空気
電極を用いた空気電池についても、1000個中180
個の電池に漏液がみられた。また、プレスロール工程で
多孔質膜の巻き始め端部と巻き終わり端部とを圧着した
比較例2の空気電極では、1000個中103個の電極
に接合不良がみられ、また、この空気電極を用いた空気
電池についても、1000個中203個の電池に漏液が
みられた。
【0059】以上の結果より、プレスロール工程で多孔
質膜の巻き始め端部と巻き終わり端部とを圧着しない
か、又は多孔質膜の延伸方向を多孔質膜の巻き付け方向
とを直交させることで、空気電極の多孔質膜の接合不良
を大幅に低減させ、また、空気電池の耐漏液特性を飛躍
的に向上することができることがわかった。
【0060】
【発明の効果】本発明に係る空気電極の製造方法では、
多孔質膜を触媒層に圧着する際に、第1の接合部と第2
の接合部とは触媒層に圧着しないので、第1の接合部及
び第2の接合部に、圧力や熱の影響を与えず、それらの
表面性を良好に保つことができる。従って、この空気電
極の製造方法では、第1の接合部と第2の接合部とを強
固に接合することができる。そして、この空気電極の製
造方法では、第1の接合部と上記第2の接合部との接合
不良の発生率を低減させて、歩留まりを向上することが
できる。
【0061】本発明に係る空気電極の製造方法では、多
孔質膜を上記触媒層上に巻き付ける方向を当該多孔質膜
の延伸方向と略直交させることで、多孔質膜の巻き付け
方向の一方の端部と他方の端部との間の摩擦を大きくす
ることができる。従って、この空気電極の製造方法で
は、多孔質膜の両端部を強固に接合することができる。
そして、この空気電極の製造方法では、多孔質膜の両端
部の接合不良の発生率を低減させて、歩留まりを向上す
ることができる。
【0062】本発明に係る空気電池の製造方法では、多
孔質膜を触媒層に圧着する際に、第1の接合部と第2の
接合部とは触媒層に圧着しないので、第1の接合部及び
第2の接合部に、圧力や熱の影響を与えず、それらの表
面性を良好に保つことができる。従って、この空気電池
の製造方法では、第1の接合部と第2の接合部とを強固
に接合することができる。従って、本発明では、耐漏液
特性に優れた電池を歩留まりよく製造することができ
る。
【0063】本発明に係る空気電池の製造方法では、多
孔質膜を上記触媒層上に巻き付ける方向を当該多孔質膜
の延伸方向と略直交させることで、多孔質膜の巻き付け
方向の一方の端部と他方の端部との間の摩擦を大きくす
ることができる。従って、この空気電池の製造方法で
は、多孔質膜の両端部を強固に接合することができる。
従って、本発明では、耐漏液特性に優れた電池を歩留ま
りよく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用して製造される空気電極の一構成
例を示す横断面図である。
【図2】本発明を適用して製造される空気電池の一構成
例を示す縦断面図である。
【図3】多孔質膜の接合部分を拡大して模式的に示す断
面図である。
【図4】多孔質膜の触媒層上への巻き付け方向と、当該
多孔質膜の延伸方向とを模式的に示した図である。
【符号の説明】
1 空気電極、 2 集電体、 3 触媒層、 4 多
孔質膜、 5 空気電池、 6 空気孔、 7 電池
缶、 8 空気拡散紙、 9 セパレータ、 10 負
極合剤、 11 ガスケット、 12 負極集電体、
13 負極端子板、 14,17 金属封止板、 15
絶縁チューブ、 16 シール

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中空筒状の集電体上に、酸素を還元する
    触媒を含有する触媒材料を塗着して触媒層を形成する触
    媒層形成工程と、 上記触媒層形成工程で形成された上記触媒層上に多孔質
    膜を巻き付けるとともに、上記多孔質膜の上記触媒層へ
    の巻き付け方向の一端部から所定の長さを有する第1の
    接合部と、上記多孔質膜の他端部から所定の長さを有す
    る第2の接合部とを残して、上記多孔質膜を上記触媒層
    に圧着するプレスロール工程と、 上記プレスロール工程で触媒層上に圧着された上記多孔
    質膜の、上記第1の接合部と上記第2の接合部とを重ね
    合わせて接合する接合工程とを有することを特徴とする
    空気電極の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記多孔質膜は、ポリテトラフルオロエ
    チレンからなることを特徴とする請求項1記載の空気電
    極の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記接合工程において、上記第1の接合
    部と上記第2の接合部との間に、ポリエチレン系樹脂又
    はポリプロピレン系樹脂を挟んで熱処理することにより
    上記第1の接合部と上記第2の接合部とを接合すること
    を特徴とする請求項1記載の空気電極の製造方法。
  4. 【請求項4】 中空筒状の集電体上に、酸素を還元する
    触媒を含有する触媒材料を塗着して触媒層を形成する触
    媒層形成工程と、 上記触媒層形成工程で形成された触媒層上に、樹脂材料
    が所定の方向に延伸されてなるフィルム状の多孔質膜を
    巻き付けるとともに、上記多孔質膜を上記触媒層に圧着
    するプレスロール工程と、 上記プレスロール工程で上記触媒層に圧着された多孔質
    膜の巻き付け方向の両端部を重ね合わせて接合する接合
    工程とを有し、 上記プレスロール工程において、上記多孔質膜を上記触
    媒層上に巻き付ける方向を、当該多孔質膜の延伸方向と
    略直交させることを特徴とする空気電極の製造方法。
  5. 【請求項5】 上記多孔質膜が、ポリテトラフルオロエ
    チレンからなることを特徴とする請求項4記載の空気電
    極の製造方法。
  6. 【請求項6】 上記接合工程において、多孔質膜の一方
    の端部と他方の端部との間にポリエチレン系樹脂又はポ
    リプロピレン系樹脂を挟んで熱処理することにより多孔
    質膜の両端部を接合することを特徴とする請求項4記載
    の空気電極の製造方法。
  7. 【請求項7】 活物質として空気中の酸素を用いる空気
    電極を有する空気電池の製造方法において、 中空筒状の集電体上に、酸素を還元する触媒を含有する
    触媒材料を塗着して触媒層を形成する触媒層形成工程
    と、 上記触媒層形成工程で形成された上記触媒層上に多孔質
    膜を巻き付けるとともに、上記多孔質膜の上記触媒層へ
    の巻き付け方向の一端部から所定の長さを有する第1の
    接合部と、上記多孔質膜の他端部から所定の長さを有す
    る第2の接合部とを残して、上記多孔質膜を上記触媒層
    に圧着するプレスロール工程と、 上記プレスロール工程で触媒層上に圧着された上記多孔
    質膜の、上記第1の接合部と上記第2の接合部とを重ね
    合わせて接合する接合工程とを有することを特徴とする
    空気電池の製造方法。
  8. 【請求項8】 上記多孔質膜は、ポリテトラフルオロエ
    チレンからなることを特徴とする請求項7記載の空気電
    池の製造方法。
  9. 【請求項9】 上記接合工程において、上記第1の接合
    部と上記第2の接合部との間に、ポリエチレン系樹脂又
    はポリプロピレン系樹脂を挟んで熱処理することにより
    上記第1の接合部と上記第2の接合部とを接合すること
    を特徴とする請求項7記載の空気電池の製造方法。
  10. 【請求項10】 活物質として空気中の酸素を用いる空
    気電極を有する空気電池の製造方法において、 中空筒状の集電体上に、酸素を還元する触媒を含有する
    触媒材料を塗着して触媒層を形成する触媒層形成工程
    と、 上記触媒層形成工程で形成された触媒層上に、樹脂材料
    が所定の方向に延伸されてなるフィルム状の多孔質膜を
    巻き付けるとともに、上記多孔質膜を上記触媒層に圧着
    するプレスロール工程と、 上記プレスロール工程で上記触媒層に圧着された多孔質
    膜の巻き付け方向の両端部を重ね合わせて接合する接合
    工程とを有し、 上記プレスロール工程において、上記多孔質膜を上記触
    媒層上に巻き付ける方向を、当該多孔質膜の延伸方向と
    略直交させることを特徴とする空気電池の製造方法。
  11. 【請求項11】 上記多孔質膜が、ポリテトラフルオロ
    エチレンからなることを特徴とする請求項10記載の空
    気電池の製造方法。
  12. 【請求項12】 上記接合工程において、多孔質膜の一
    方の端部と他方の端部との間にポリエチレン系樹脂又は
    ポリプロピレン系樹脂を挟んで熱処理することにより多
    孔質膜の両端部を接合することを特徴とする請求項10
    記載の空気電池の製造方法。
JP10141605A 1998-05-22 1998-05-22 空気電極の製造方法及び空気電池の製造方法 Withdrawn JPH11339817A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003511830A (ja) * 1999-10-13 2003-03-25 ザ ジレット カンパニー カソードチューブ
JP2012079704A (ja) * 2005-05-27 2012-04-19 E M W Energy Co Ltd 電池及びその製造方法

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