JPH11337475A - 光計測装置 - Google Patents

光計測装置

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JPH11337475A
JPH11337475A JP10320229A JP32022998A JPH11337475A JP H11337475 A JPH11337475 A JP H11337475A JP 10320229 A JP10320229 A JP 10320229A JP 32022998 A JP32022998 A JP 32022998A JP H11337475 A JPH11337475 A JP H11337475A
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キンプイ チャン
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、干渉を利用して、被検体、特に光散
乱体に光ビームを照射し、その被検体を経由(透過ある
いは反射)した光を利用してその被検体の光計測を行な
う光計測装置に関し、検出に有効な光の光量を増やし、
スペックルノイズを低減する。 【解決手段】関心点からの出射光の観察面に複数に分割
された受光素子を配置し、各受光素子により得られた信
号からその関心点の信号を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被検体、特に光散
乱体に光ビームを照射し、その被検体を経由(透過ある
いは反射)した光を利用して、その被検体の光計測を行
なう光計測装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば人体やその他の生体組織のような
光に対して顕著な散乱を生じる光散乱体を光計測する場
合の最大の難点は、サンプルから四方八方に出射する透
過光あるいは反射光のうち追跡が可能な光路に沿った信
号光をどのようにして抽出するかということにある。こ
れを可能にする方法の1つとして、極めて短いレーザパ
ルス(ピコ秒;10-12sec)をサンプルに入射し
て、その出射光の時間プロファイルを超高速ストリック
カメラを用いて測定し、最短距離を通過した光成分、す
なわち見かけ上の透過直進光成分を検出する時間分解法
が知られている(例えばS.Anderson−Eng
eles,R.Berg,S.Svanberg,O.
Jarlman,Optics Letters, v
ol.15,1179(1990)参照)。
【0003】一方、空間的分解法の1つとして、散乱光
の方向性の消失に着目し、アンテナ特性として知られて
いる優れた方向選択性を持つ光ヘテロダイン検出法を用
いて、方向性を保った見かけ上の透過直進光成分を検出
する方法が提案されている(例えば、M.Toida,
M.Kondo,T.Ichimura,H.Inab
a,“Electronic Letters”,Vo
l.26,700(1990)参照)。
【0004】図35は、光へテロダイン検出法の原理図
である。
【0005】レーザ光源11から出射したコヒーレント
レーザ光ビーム11aはコリメータレンズ12により所
定のビーム径の平行光ビームに調整され、ビームスプリ
ッタ13により、信号光11bと参照光11cとに二分
される。ビームスプリッタ13により参照光11cと分
かれた信号光11bは、例えば散乱体からなる被検体1
00に入射し、その被検体100を透過した信号光がビ
ームスプリッタ14を経由して光センサ15に入射す
る。
【0006】一方、ビームスプリッタ13で信号光11
bから分かれた参照光11cは、ミラー16で反射され
た後、例えばAOM(音響光学素子)等の周波数シフタ
17で周波数シフトを受け、さらにミラー18で反射し
ビームスプリッタ14で信号光と重畳されて光センサ1
5に入射する。光センサ15上では、周波数シフタ17
の作用により周波数の異なる信号光と参照光とからなる
干渉光が生成され、光センサ15からは、それら信号光
と参照光との周波数差に相当する周波数のへテロダイン
信号15aが出力される。
【0007】この光ヘテロダイン検出法に基づく光計測
は、本質的に、散乱を受けずに直進する直進光成分のほ
か、散乱を受ながらも前進して入射光の時間コヒーレン
スの一部を保持したまま散乱体から出射する近軸前方散
乱光成分も検出されるという特徴をもつこと、およびこ
の近軸前方散乱光成分は、直進光成分の減衰率と比べ比
較的小さな減衰率を有することが指摘されている(K.
P.Chan,M.Yamada,H.Inaba,
“Applied Physics”B,Vol.6
3,249(1996)参照)。
【0008】さらに、光ヘテロダイン法を用いて、被検
体を透過する光の伝搬時間差を測定することにより、被
検体の光屈折率分布を計測する方法も提案されている
(例えばK.P.Chan,M.Ymada,H.In
aba,OSA Trendsin Optics a
nd Photonics, Vol,2,250(1
996)参照)。
【0009】以下に、被検体を透過する光の伝搬時間差
を測定して被検体の光屈折率分布を計測する方法につい
て説明する。
【0010】厚さL、光屈折率nの被検体を直進して透
過する光成分の、被検体内を伝播する時間tは、 t=nL/C ……(1) で表わされる。ここで、Cは光の真空中での速度であ
る。
【0011】上記(1)式から、光屈折率nの異なる
(n1とn2)同じ厚さの2つの被検体を通過する直進光
の伝播時間差は、 Δt=(n1−n2)(L/C) ……(2) と表わされる。例えば生体の筋肉と脂肪の場合、水の光
屈折率n1,油の光屈折率n2,被検体の厚さLを、それ
ぞれ n1=1.4 n2=1.5 L =5mm としたとき、同じ厚さL=5mmの水と油の被検体を通
過する直進光の伝播時間差Δtは、 Δt=1.7×10-12sec すなわち、1.7ピコ秒である。
【0012】従来の連続発振レーザを用いた光ヘテロダ
イン方式の場合、レーザ光の時間コヒーレンスτc(距
離に換算するとLc=τc/C)が長いため、信号光と参
照光の光路長の相違ΔLがLc以内であれば、ΔLがか
なり大きくても、信号光と参照光とが干渉した干渉光が
得られる。
【0013】しかし、光源として、低コヒーレント光を
出射する光源(例えばSuperLumineient
Diode;SLD、発光ダイオード;LED等)を
用いた場合、Lcは非常に短く、近似的に、Lc λ2
Δλ(λはその低コヒーレント光の中心波長、Δλはそ
の低コヒーレント光のスペクトル幅)で表わすことがで
き、市販されている近赤外域SLDの場合Lc 50μ
m、LEDの場合Lc 10μm程度である。したがっ
て、このような低コヒーレント光を用いた場合、信号光
と参照光との光路長の違いが、この極めて短いコヒーレ
ント長以内にあるときのみ、光ヘテロダイン信号が得ら
れる。
【0014】図36は、光ヘテロダイン法を用いた被検
体の光屈折率分布の計測原理図である。
【0015】低コヒーレント光を発するSLD1から射
出された低コヒーレント光ビーム1aは、ビームスプリ
ッタ2で信号光1bと参照光1cとに二分される。ビー
ムスプリッタ2から出射した信号光1bは、全反射プリ
ズム31及びミラー3で反射し被検体100を透過し、
その透過光がビーム合成器4に入射する。一方、ビーム
スプリッタ2から出射した参照光1cは、音響光学的周
波数シフタ(AOM)5により周波数シフトを受け、参
照光折り返し用全反射プリズム6で反射され、さらにミ
ラー7で反射された後、ビーム合成器4に入射する。参
照光の光路上に配置された全反射プリズム6は、図示の
矢印X−X’方向に移動自在に構成されており、この移
動により参照光の光路長が変化する。ビーム合成器4で
は、被検体100を透過した信号光と、AOM5により
周波数シフトを受けた参照光とが合成され、その合成さ
れたビームが受光器8に入射して受光される。この受光
器8により得られた受光信号は信号処理部9に入され
る。信号処理部9では、全反射プリズム6がX−X’方
向に移動する間の、受光器8で受光される干渉光が最大
強度となる点を検出し、これにより、被検体100の光
屈折率が求められる。
【0016】すなわち、信号光の光路上に計測用の被検
体を配置したときと配置しないときの参照光の光路長差
をΔL’とし、参照用の被検体の光屈折率n1 と計測用
の被検体の光屈折率n2との差をΔn、参照用被検体と
計測用被検体の光伝播時間差をΔtとしたとき、参照光
の光路長ΔL’は、 ΔL’=Δt・C=Δn・L ……(3) と表わされる。したがって Δn=ΔL’/L ……(4) となり、直接Δtを測定する代わりに、ΔL’を測定す
ることにより、Δnを計測することができる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】図37は、図35に示
す従来の光へテロダイン検出法の1つの問題点の説明図
である。
【0018】従来の光へテロダイン検出法に基づく光計
測は、実用上、被検体100の出射面100aにおける
光散乱によってその測定性能が大きく左右されるという
問題がある。
【0019】散乱体である被検体100を透過した直進
光成分および近軸前方散乱光成分は、被検体100の内
部構造に関する情報をもちながらも、被検体100の出
射面100aが光学的に平坦ではない場合、すなわち波
長オーダーの凹凸が存在する場合、その出射面100a
で散乱を受けることが光散乱理論から説明できる(例え
ば、A.Ishimaru著、“Wave Propa
gation andScattering in R
andom Media,AcademicPress
出版(1978)参照)。すなわち、出射光は散乱理論
に従い、例えば図37のように散乱して拡がっていく。
図35に示す従来の光へテロダイン法では、光へテロダ
インの狭い視野(θ=λ/D,λ:波長、D:光検出器
の大きさ)の制限を受けるため、被検体100から出射
する信号光のうち、その狭い視野、すなわちθ=λ/D
で規定される極めて狭い角度以内で直進する極く一部の
信号光しが受光することができず、有効な信号光の光量
低下をもたらす結果となる。従来の光へテロダイン法で
は、このような散乱によって空間的に乱された光信号を
有効に受信することができないことは、以前から指摘さ
れている(K.P.Chan,D.K.Killing
er,“Optics Letters”Vol.1
7,1237(1992)参照)。
【0020】また、上記の表面散乱は、有効な信号光の
光量低下のほか、スペックルノイズを発生させ、そのス
ペックルノイズの発生が光へテロダイン測定により得ら
れるへテロダイン信号に強いゆらぎをもたらすという問
題もある。光へテロダイン検出法は信号光と参照光との
干渉に基づく検出法であって、信号光にコヒーレンス性
すなわち参照光との可干渉性が要求されるが、散乱光は
様々な光路長をもち位相が不定(ランダム)となり、光
センサ上の干渉光の強度も不定となる。これはレーザス
ペックル現象としてよく知られている(例えば、J.
C.Dainty編“Laser Speckle a
nd Related Phenomena”Spri
nger−Verlag社出版(New York,1
975)参照)。
【0021】図38および図39は、光へテロダイン検
出法を採用したときのスペックルノイズによるへテロダ
イン信号のゆらぎの実測例を示した図である。
【0022】図38および図39は、厚みがともに5m
mの、じゃがいも(図38)および赤身豚肉(図39)
に、直径1mmのレーザ光(波長1.06μm)を入射
し、それぞれの試料を透過した光を光センサを用いて検
出したときのヘテロダイン信号強度の時間経過を示して
いる。図38,図39の横軸はいずれも時間軸である
が、図38は秒の単位であり、図39は分の単位であ
る。
【0023】これらの結果からわかるように、スペック
ルの時間的な変遷、すなわち、ヘテロダイン信号強度が
変化する時間は試料の種類によって極めて大きく異なっ
ている。スペックルの影響による光ヘテロダイン信号の
強度分布は統計的にレーリ分布に従うことが知られてお
り、スペックル平均、すなわち信号強度の時間平均を行
ないさえすれば、スペックルの影響を有効に解消するこ
とができることが知られている。しかし、図39の例に
示されるような、スペックルが統計的にランダムな次の
状況に変化するのに約2分も要する試料の場合、独立し
たスペックルの多数回の平均を行なうには、極めて長時
間を要する結果となる。
【0024】ここでは、図35に示す光ヘテロダイン法
をとりあげて上記の光量低下およびスペックルノイズの
問題を説明したが、図36に示す、光ヘテロダイン法を
被検体の光屈折率分布に適用した場合にも当然にこれら
が問題となり、さらには、これらは、光ヘテロダイン法
を採用して被検体からの反射光を検出する場合にも問題
となる。さらには、上記では光へテロダイン検出法を典
型例として説明したが、上記の光量低下およびスペック
ルノイズの問題は光ヘテロダイン法に限らず光の干渉を
利用した測定法に広く共通する問題である。
【0025】本発明は、検出に有効な光の光量低下やス
ペックルによる信号の揺らぎを解消し、高精度な計測を
行なうことのできる光計測装置を提供することを目的と
する。
【0026】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の光計測装置は、 (1)光ビームを出射する光源 (2)上記光源から出射された光ビームを、被検体が配
置される被検体配置位置を経由する信号光と、その被検
体配置位置を経由する光路とは異なる光路を経由する参
照光とに二分するとともに、被検体配置位置を経由した
後の信号光と、の異なる光路を経由した参照光とを互い
に重畳することにより信号光と参照光とが干渉した干渉
光を生成する干渉光学系 (3)上記干渉光学系で得られた干渉光を受光すること
により受光信号を得る光センサを備え、上記(2)の干
渉光学系が、被検体配置位置に配置された被検体の表面
もしくは内部の、信号光の通過経路上の関心点の信号光
を光センサ上に伝達するとともにその光センサ上に参照
光を重畳するものであって、上記(3)の光センサが、
空間的に配列されそれぞれが独立に受光信号を得る複数
の受光素子を有するものであり、 (4)さらに、上記光センサで得られた複数の受光信号
を統合して上記関心点に対応する信号を生成する信号処
理部を備えたことを備えたことを特徴とする。
【0027】上記本発明の光計測装置は、関心点、すな
わち、ここでの光計測上、分解能の点で一点と見なすこ
とのできる、今注目している点から出射した光を光セン
サ上に伝達し、その光センサとして、空間的に配列され
それぞれが独立に受光信号を得る複数の受光素子を備
え、それら複数の受光素子で受光することに特徴を有す
る。
【0028】図37を参照して説明したように、被検体
100から出射した信号光はその出射面100aで散乱
する。したがって例えばその被検体100からの信号光
の出射ポイントを本発明にいう関心点として、その関心
点から出射した信号光を受光する観察面に複数の受光素
子を有する光センサを配置し、その面上で例えば平面波
としての参照光と重ね合わせ干渉させる。この場合、出
射ポイントでの信号光はその散乱方向に応じてそれぞれ
異なる位相を持っているため、光センサを構成する複数
の受光素子上では、それぞれ異なる位相を持った干渉光
が得られ、各受光素子で得られた信号もそれぞれ異なる
位相をもった信号となる。ただし、それらの受光信号
は、それぞれ異なる位相を持った信号であっても、いず
れの信号も‘1つの’関心点に関する信号である。そこ
でそれら複数の受光素子で得られた複数の受光信号を統
合してその1つの関心点の信号を生成する。この場合、
かなり広い方向に散乱した信号光を受光することになる
ため信号強度が大幅に高まり、かつ、スペックルノイズ
の原因となる信号のゆらぎも‘空間的’に平均化されて
極めてS/Nの良い信号を得ることができる。すなわ
ち、本発明によれば、従来は‘時間的に’平均すること
でスペックルノイズの低減化を図っていたのに対し、ス
ペックルノイズを‘空間的に’平均化することができ、
極めて高速、かつS/Nの良い光計測が可能となる。
【0029】ここで、仮に、上記の配列された複数の受
光素子に代えて広い面積の受光素子で受光することを考
えると、上述したように各方向へ散乱した信号光は様々
に異なる位相を持っており、したがってそれら様々に異
なる位相を持った信号光を単一の受光素子に入射すると
それら位相の異なる信号光がもつ有効な信号成分が互い
に打ち消し合い、有効な信号が得られない結果となる。
【0030】また、従来、例えば光へテロダイン検出法
等において、配列された複数の受光素子を用いて複数の
へテロダイン信号を得ることも知られているが、従来法
は、それら複数の受光素子からなる受光面に二次元的に
広がった関心領域の像を形成し、その関心領域内の各点
の情報を各受光素子で得ようというものであり、換言す
れば、一点ずつ走査しながら順次に情報を得る代わり
に、二次元的に広がる多数点の情報を同時に得ようとい
うものであって、本発明のように、‘一点’から拡がっ
た情報を、分割された複数の受光素子で得るというもの
ではなく、本発明とはその本質が異なる。
【0031】ここで、上記本発明の光計測装置におい
て、上記干渉光学系が、信号光の周波数と参照光の周波
数を相対的にシフトさせる周波数シフタを備えたもので
あってもよく、あるいは、上記光源が、周波数が時間的
に変調されたコヒーレント光を出射する光源であっても
よい。
【0032】これらのいずれの構成であっても、信号光
と参照光の周波数を相対的に異ならせることができる。
【0033】また、上記本発明の光計測装置において、
上記干渉光学系が、被検体配置位置に配置された被検体
と、その被検体配置位置における信号光とのうちの少な
くとも一方を一次元的もしくは二次元的に相対的に移動
させることにより被検体を信号光で走査する走査機構を
含むものであることが好ましい。
【0034】この走査機構を備えることにより、被検体
の、一次元的な、あるいは二次元的な情報の分布、例え
ば屈折率情報の分布を得ることができる。
【0035】また、上記干渉光学系が、被検体配置位置
に配置された被検体と、その被検体配置位置における信
号光とのうちの少なくとも一方を相対的に回動させる回
動機構を含むものであることも好ましい形態である。
【0036】本発明を、例えば光CT(Compute
d Tomography)等に適用するには、このよ
うな回動機構が必要となる。
【0037】さらに、本発明の光計測装置において、上
記干渉光学系が、上記関心点を所定の結像面に結像する
結像光学系と、その結像面上に配置されたアパーチャ
と、そのアパーチャに濾過された光を光センサに伝達す
る光学系とを備えることが好ましい。
【0038】このような構成を備えると、そのアパーチ
ャの開口の寸法に応じて、信号光のビーム径、すなわ
ち、‘関心点’の空間的な広がりを自由に制御すること
ができ、また、無用な散乱光成分を減少させることがで
き、光計測の空間分解能の向上に役立つ。
【0039】さらに、上記本発明の光計測装置におい
て、上記信号処理部は、光センサを構成する複数の受光
素子で得られた複数の受信信号それぞれを整流して互い
に加算するものであってもよい。
【0040】例えば被検体の各関心点毎のある計測値の
分布からなる画像、例えば屈折率の計測値の分布からな
る画像を得る場合などには、この信号処理法を採用する
ことができる。
【0041】あるいは、上記本発明の光計測装置におい
て、上記信号処理部は、光センサを構成する複数の受光
素子で得られた複数の受信信号の位相を相互に合わせて
互いに加算するものであってもよい。
【0042】この信号処理法は、受光信号の位相から情
報を得る用途、例えばレーザドプラ速度計等に好適であ
る。
【0043】上記本発明の光計測装置において、上記光
源は、長いコヒーレント長をもつ光ビームを出射する光
源、例えば連続発振レーザ光源等であってもよいが、所
定の低コヒーレント光ビームを出射する光源を採用して
もよい。
【0044】低コヒーレント光ビームを出射する光源を
採用すると、被検体の屈折率あるいは屈折率分布を測定
することができる。
【0045】また、この低コヒーレント光ビームを出射
する光源を備えた光計測装置において、光源として、コ
ヒーレント長1mm以下の低コヒーレント光を射出する
光源を用いることが測定の精度上好ましい。
【0046】さらに、低コヒーレント光ビームを出射す
る光源を備えた光計測装置において、信号光もしくは参
照光の光路長を変更自在に調節する光路長変更手段を備
えることが好ましく、この場合に、この光路長変更手段
により信号光もしくは参照光の光路長を変化させなが
ら、信号光と参照光とが干渉した干渉光が最大強度とな
る光路長調整量を求めることにより、被検体の屈折率情
報を得ることが好ましい。
【0047】さらに、本発明の光計測装置において、上
記信号処理部は、光センサを構成する複数の受光素子で
得られた複数の受信信号それぞれについて所望の周波数
帯域の信号成分を抽出するバンドパスフィルタを備え、
それらのバンドパスフィルタを通過した、複数の受信信
号の所望の周波数帯域の複数の信号成分を統合して上記
関心点に対応する信号を生成するものであることも1つ
の好ましい形態である。
【0048】このようなバンドパスフィルタを備える
と、詳細は後述するが、被検体内に流れが存在する場合
にその流れの変化(脈動等)を測定することができる。
【0049】ここで、上記バンドパスフィルタが、通過
帯域の中心周波数の調整が自在なものであることが好ま
しい。あるいは、上記干渉光学系が、信号光の周波数と
参照光の周波数を、相対的に、シフト量調整自在にシフ
トさせる周波数シフタを備えたものであることが好まし
い。
【0050】濾過帯域の中心周波数の調整が自在なバン
ドパスフィルタを備えてヘテロダイン検出信号を濾過す
る周波数を調整するか、あるいはシフト量調整自在な周
波数シフタを備えてビート周波数を調整することによ
り、流れの変化を良好に検出することができる。
【0051】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
説明する。
【0052】図1は、本発明の光計測装置の第1実施形
態の構成図、図2は、図1に示す第1実施形態の部分拡
大図である。
【0053】レーザ光源11から出射したコヒーレント
なレーザ光ビーム11aは、コリメータレンズ12によ
り所定のビーム径を有する平行光ビームに調整され、ビ
ームスプリッタ13により、信号光11bと参照光11
cとに二分される。ビームスプリッタ13により参照光
11cと分かれた信号光11bは、x方向およびy方向
に移動自在な走査台21上に配置された、散乱体からな
る被検体100に入射する。その被検体100の内部に
入射した信号光の一部は直進し、他の一部は被検体(散
乱体)100内部で散乱を受けながらもある程度コヒー
レンス性を保ちながら前進して光軸近傍から出射し、さ
らに他の一部は被検体(散乱体)100内で大きくかつ
複雑に散乱する。
【0054】図1には、被検体100の出射面100a
の光軸上の点100b(本実施形態では、この点が本発
明にいう関心点である)から出射した信号光の光路が示
されている。
【0055】被検体100の出射面100aから出射し
た光は、その関心点100bに焦点を持つ焦点距離f1
のレンズ22を経由し、さらに焦点距離f2のレンズ2
3を経由し、アパーチャ24が配置された結像面に、被
検体100の出射面100aの像が形成される。
【0056】そのアパーチャ24の中央の開口24aを
通った信号光は、さらに、そのアパーチャ24の開口2
4aに焦点を持つ焦点距離f3のレンズ25を経由し、
さらにビームスプリッタ26を経由して光センサ30の
受光面30aに入射する。
【0057】一方、ビームスプリッタ13で信号光11
bから分かれた参照光11cは、ミラー16で反射され
周波数シフタ17で周波数シフトを受けた後、ビームエ
キスパンダ27により、レンズ25を透過した後の信号
光の広がりと同程度にそのビーム径が広げられ、ミラー
28で反射し、ビームスプリッタ26により信号光と重
畳されて光センサ30の受光面30aに達する。この周
波数シフタ17はAOMであってもよく、あるいは位相
変調器を用いて、信号光に対する参照光の位相を周期的
に変調するものであってもよい。
【0058】ここで、光センサ30は、その受光面30
a上に、図2に示すように、それぞれが独立に受光信号
を得る複数の受光素子31が配列されたものであり、こ
れら複数の受光素子31それぞれは、被検体100の関
心点から様々な方向に散乱した信号光のうち、ある一つ
の方向に散乱した信号光の受光を分担している。例えば
図2に示す、関心点100bから図2に斜線を付して示
す光路を辿る信号光は、光センサ30を構成する複数の
受光素子31のうち、受光素子31aで受光される。こ
のようにして、光センサ30では、被検体100の関心
点から様々な方向に散乱した信号光が、参照光と重畳さ
れた上で、それぞれ独立に受光される。
【0059】光センサ30の複数の受光素子31で得ら
れた複数の受光信号は、図1に示す信号処理回路40に
入力されて関心点100bに関する1つの信号に統合さ
れ、コンピュータ50に入力される。コンピュータ50
では、必要に応じて、データの蓄積、さらなる信号処
理、あるいは画像表示処理等が行なわれる。
【0060】信号処理回路40における信号処理内容に
ついては後述する。
【0061】以上の計測を、被検体100が配置された
走査台21をx方向、及び/又は、y方向に移動させな
がら、すなわち被検体100を信号光100bに対し相
対的に移動させながら繰り返すことにより、被検体10
0の一次元的ないし二次元的に並ぶ複数の関心点の情報
を得ることができる。
【0062】図1,図2に示す実施形態は、以下の2点
に着目して構成されたものである。
【0063】(1)光散乱体の光計測への光へテロダイ
ン測定法の原理は、被検体内部で多重散乱を受けた光や
被検体の出射面で散乱を受けた光は時間と空間の両面の
コヒーレンス性を失うため、光干渉信号に寄与しなくな
ることを利用したものであって、当初に提案された光へ
テロダイン検出法を用いた光画像計測法(例えば、M.
Toida,M.Kondo,T.Ichimura,
H.Inaba,“Electronic Lette
rs”,Vol.26,700(1990)参照)の場
合、この考えに基づき入射光の方向と同一方向に出射し
た信号光のみ受光している。これに対し、本実施形態
は、被検体100の出射面100aで散乱を受けた信号
光からも可干渉な成分を抽出し、それら様々な方向に散
乱した信号光の可干渉な成分を統合しようとするもので
あり、従来の光へテロダイン法とはその発想を異にして
いる。尚、本実施形態においても、従来の光へテロダイ
ン検出法と同様、直進光成分のほかに、コヒーレンス性
を保持した近軸前方散乱光も受信される。
【0064】(2)被検体100を透過した信号光のう
ち、光干渉に寄与できるコヒーレンス性を保持している
光成分は、出射面100aで光散乱を受けても、その散
乱によって失われるものは、主に空間的なコヒーレンス
性であって、時間的なコヒーレンス性ではない。したが
ってそのような空間コヒーレンス損を受けた光信号を有
効にへテロダイン検出するためには、空間的に分かれた
複数の受光素子それぞれで受光してやれば、空間コヒー
レンス損を補償することができる。
【0065】図1,図2に示す実施形態は、上記の考え
方に立って構成されたものであり、後で説明するよう
に、信号強度の点、およびS/Nの点で従来の光へテロ
ダイン検出法と比べ格段の改善が確認された。
【0066】図2に示す、被検体100から出射した信
号光を光センサ30に導く光学系について詳述する。
【0067】仮に被検体100の出射面100aが光学
的に平坦である場合、被検体100を透過した直進光成
分は、その出射面100aで散乱を受けずに、点線で示
されている光線のように出射する。この出射光線は三枚
のレンズ22,23,25によって、光センサ30の中
央部に入射し、光波は焦点(光センサ30の受光面30
aに焦点が結ばれている)において平面波となるので、
平面波を持った参照光11cと効率よく光干渉をおこ
し、光へテロダイン信号として検出される。
【0068】被検体100の出射面100aにおいて、
光散乱が生ずる場合、信号光は空間的に拡がって放射し
ていく。本実施形態では、この空間的に拡がった信号光
をなるべく広く受信できるように、レンズ22を用いて
いる。被検体100の出射面100aとレンズ22との
間の距離はほぼレンズ22の焦点距離f1に等しいこと
から、信号光はレンズf1を通過した後は平行ビームと
なる。このような平行した信号光ビームは二枚のレンズ
23,25によって、平行ビーム状態で光センサ30に
入射され、参照光と光干渉を起こし、光へテロダイン信
号として検出される。
【0069】ここで、本実施形態では、レンズ23とレ
ンズ25との間にアパーチャ24が配置されている。こ
のアパーチャ24の開口24aの径を小さく絞ることに
よって、従来の共焦点光学顕微鏡(例えば、T.Wil
son編“ConfoalMicroscopy”,A
cademic Press出版(London,19
90)参照)の原理に類似して、被検体に入射するレー
ザビーム径に依らない高い空間分解能を得ることができ
る。ただし、本実施形態の場合、従来の直接検波による
共焦点光学顕微鏡と比較し、光検出に光へテロダイン検
出法を採用し、さらに単一の受光素子ではなく、配列さ
れた複数の受光素子を有する光センサを用いている点は
従来にない新たな発想である。
【0070】光センサ上に到達する無用な散乱光の量を
減らすことを目的として、アパーチャ24の開口24a
の径を必ずしも小さく絞ることなく、アパーチャ径を自
由に調整することにしてもよい。この点も、アパーチャ
24を配置したことの有利な点である。無用な散乱光の
光量が大きいと、単に光干渉に寄与しない成分が増える
だけでなく、光へテロダイン検出のshot(ショー
ト)ノイズを増やすことにもなり、無用な散乱光をでき
るだけ光センサ30に入射させないようにすることが好
ましく、アパーチャ34はこの目的にも適っている。
【0071】レンズ23,25の焦点距離f2,f3を適
切に選ぶことによって、信号光ビームのビーム径を光セ
ンサ30のサイズに合わせて拡大あるいは縮小すること
ができる。幾何光学に従えば、レンズ22を通過した後
の信号光ビームのビーム径をd1とすると、光センサ3
0上に入射される信号光ビームのビーム径d2は、 d2=M×d1 ……(1) となる。ただし、Mは光学的倍率であり、M=f3/f2
であらわされる。
【0072】一方、光へテロダイン検出法は、本質的に
は光干渉であるため、極めて狭い受信角θをもつ。光検
出器の直径をD、また光波長をλとすれば、θλ/D
であることがよく知られている。このことから、図2に
示す光センサ30を構成する各受光素子31は、それぞ
れが狭い視野をもって、被検体100から出射する信号
光を受光する。これら複数の受光素子31それぞれが持
つ狭い受信角が合わさって、被検体100から出射する
信号光の最大受信角2βが決定される。幾何光学に従え
ば、光センサ30の大きさを2Bとすると、 tanβ = (B/f1)×(f2/f3) = (B/f1)×(1/M) ……(2) となる。
【0073】上記実施形態は、従来の光へテロダイン法
では狭い受信角以内の一方向から来る信号光しか検出で
きない光計測法であるのに対して、配列された複数の受
光素子それぞれがもつ狭い受信角を合わせることによ
り、原理的に、広い出射角をもって被検体から出射する
信号光のへテロダイン検出を可能にしたことに大きな特
徴をもつ。
【0074】図3は、図1に示す信号処理回路40の内
部構成を模式的に示すブロック図、図4は、その信号処
理法の説明図である。
【0075】信号処理方式には大別して、インコヒーレ
ント積算法(IncoherentSummatio
n)とコヒーレント積算法(Coherent Sum
mation)とが考えられるが、ここでは、それらの
うち、インコヒーレント積算法について説明する。
【0076】光センサ30を構成する複数の受光素子3
1それぞれで得られたへテロダイン信号は、それぞれ、 A1sin(Δωt+φ1) A2sin(Δωt+φ2) A3sin(Δωt+φ3) : のようにあらわすことができる。ここでΔω=2πΔf
は信号光と参照光との角周波数差、A1,A2,A3,…
…は各へテロダイン信号の振幅、φ1,φ2,φ3,……
は各へテロダイン信号の位相であり、それらの振幅
1,A2,A3,……および位相φ1,φ2,φ3,……
は、図4(A)に示すように、一般的には相互に異なっ
ている。
【0077】図1に示す信号処理回路40には、図3に
示すように、検波整流器41と積算回路42が備えられ
ており、光センサ30の複数の受光素子31で得られた
複数のへテロダイン信号A1sin(Δωt+φ1),A
2sin(Δωt+φ2),A 3sin(Δωt+φ3),
……は検波整流器41に入力され、図4(B)に示すよ
うに、各へテロダイン信号が検波され、かつ整流され、
各へテロダイン信号の振幅A1,A2,A3,……に対応
した信号レベルの直流信号に変換される。
【0078】これらの直流信号は積算回路42に入力さ
れて積算され、それらの直流信号A 1,A2,A3,……
を合わせた信号レベルの直流信号A=A1+A2+A3
……が得られる。直流信号Aは、図1,図2に示す関心
点100bに対応する情報をあらわしている。
【0079】このような信号処理を、図1に示す走査台
21を、例えばx方向とy方向との双方に移動させなが
ら順次実行することにより、被検体100の二次元的な
画像データを得ることができる。
【0080】次に、図1〜図4を参照して説明した実施
形態に対応する光学系および信号処理系を構成して実証
した実証結果について説明する。
【0081】(実証その1)図5は、本実験で採用し
た、模似被検体の構成図である。
【0082】ここでは散乱体としてイントラリピッド液
を収容した容器101を被検体として用いた。このイン
トラリピッド液の光透過方向の厚さは4cmである。さ
らに容器101の出射面101aには、光を散乱させる
ためのすりガラス103を置き、被検体の出射面での光
散乱を模似した。さらに容器101内に幅1mmの光遮
光体(バー)を3本もつチャート102を挿入した。こ
の図5に示す模似被検体の直進光成分の散乱による減衰
は−70dBであり、すなわち、入射光に対し透過直進
光は10-7に減少する。
【0083】図6は、図1〜図4を参照して説明した実
施形態に対応する光学系および信号処理系における、図
5に示す模擬被検体の計測結果(実施例)を示した図、
図7は、従来の光へテロダイン法(図36参照)によ
る、図5に示す模擬被検体の計測結果(比較例)を示し
た図である。また、図6,図7のいずれにおいても、
(A)には、模擬被検体を二次元的に移動させながら計
測を行なうことにより得られた二次元画像、(B)に
は、(A)に‘ラインA’で示す一本ライン上の信号レ
ベルの変化、(C)には、(A)に‘ラインB’で示す
一本のライン上の信号レベルの変化が示されている。
(B),(C)において、横軸は各ラインA,B上の被
検体内の位置、縦軸は信号レベルの相対値のdB表示で
ある。使用したレーザ光源は、波長1064nmのN
d:YAGレーザである。また、本実施例(図6)の場
合、光センサとして、受光素子が8行8列、合計8×8
=64個並んだ受光素子アレイを用いた。
【0084】図6と図7とを比較すると一見して明らか
なように、本実施例(図6)の方が従来の光へテロダイ
ン検出法(図7)と比べスペックルノイズが大幅に減少
し格段にS/Nが向上している。
【0085】(実証その2)図8は、スペックルノイズ
による信号のゆらぎの測定結果を示す図である。
【0086】図8中のグラフbは、図38にも示した、
厚さ5mmのじゃがいもについて従来の光へテロダイン
検出法を用いて計測したときのへテロダイン信号強度の
時間変化を示し、グラフaは、同一の被検体についての
実施例(8×8=64個の受光素子で得られたもの)を
示している。
【0087】これらグラフaとグラフbとを比べると、
信号強度は、受光素子の数(64個)にほぼ比例し、約
60倍に大きくなっている。これは、被検体から角度を
もって拡がって出射した信号光が持つ干渉成分がうまく
検出できていることを意味している。
【0088】被検体の出射面における光散乱によって拡
がって出射する信号光は、前述したように、散乱による
空間コヒーレンス損失を受けている。このような空間コ
ヒーレンス損の著しい散乱光は、単一の受光素子からな
る光検出器では有効には検出できないため(例えば、
K.P.Chan、 D.K.Killinger,”
Optics Letters”, vol.17,
1237(1992)参照)、本方式は、高効率の光ヘ
テロダイン検出方式であるともいえる。
【0089】図8からわかる本実施例のもう1つの特徴
は、図6と図7との比較からもあきらかであるが、スペ
ックノイズが大幅に解消されたことである。これをさら
に裏づける統計データを次に示す。
【0090】図9は、従来の光ヘテロダイン検出法(比
較例)(A)、および図1〜図4に示す実施形態に対応
する検出法(実施例)(8×8=64個の受光素子で受
光)(B)による、上記のじゃがいものサンプルの透過
光強度のデータを一万回サンプリングしたときのヒスト
グラムである。光ヘテロダイン信号を時間間隔20ms
ecでサンプリングし、それを1個のデータとした。こ
のようにして測定した1万回のデータの標準分散は、従
来法(A)の場合σ=1.04であって、スペックルノ
イズによる、ランダムな信号ゆらぎを特徴づけるσ=
1.0のレーリ分布にほぼ等しい。これに対して図9
(B)に示す実施例の場合は、σ=0.14となり、信
号強度分布はガウス分布となった。スペックル平均によ
る信号ゆらぎの平滑化はσ=(1/√N)である。ここ
で、Nは独立したスペックル平均の回数である。図9
(B)で示したσ=0.14は、受光素子の数64をN
としたときのσ=(1/√(64))=0.125に極
めて近く、本発明は、従来時間的に行っていたスペック
ル平均を、空間的に行うことを可能にしたと言える。
【0091】図10は、本発明の光計測装置の第2実施
形態の模式図である。前述した実施形態と共通の要素に
は、これまでに参照した図に付した符号と同一の符号を
付して示し、相違点について説明する。
【0092】この図10に示す第2実施形態の、図1に
示す第1実施形態との相違点は、図1に示す第1実施形
態における走査台21に代えて、x方向,y方向に移動
することができるとともに、R方向に回転することので
きる被検体載置台211を備えている点と、図1に示す
信号処理回路40が図3に示すように検波整流器41と
積算回路42とを備えたものであることに代わり、検波
整流器41のみを備え、検波、整流した信号を積算せず
にコンピュータ50に入力している点である。
【0093】本実施形態では、x方向,y方向への移動
とR方向への回転を行なう被検体載置台211を備えた
ことから、様々な角度で測定した2次元透過画像を基に
して、CT(computed tomograph
y)のアルゴリズムを用い、立体的な三次元光CT画像
を取得することができる。本発明は、スペックル平均の
能力をもつほかに、サンプルの表面形状が凹凸状であっ
ても広い角度で散乱して出射する信号光をヘテロダイン
受信することができるので、高精度の光CT像を取得す
ることが可能である。
【0094】また、図1に示す信号処理回路40に代わ
り検波整流器41を備えたことに関しては、信号処理の
一部を、コンピュータ50に分担させてもよいことを意
味している。図10では、検波、整流は、コンピュータ
50の外部で行なわれ、図3の積算回路42に相当する
演算はコンピュータ50の内部で行なわれている。ま
た、コンピュータ50内部ではCTのアルゴリズムに基
づいたCT画像構築のための演算も行なわれる。
【0095】図11は、本発明の光計測装置の第3実施
形態の光学系の部分構成図である。この第3実施形態
は、本発明を、散乱体からの反射光の計測に適用した例
である。
【0096】水平方向に偏波面をもつレーザビーム11
1a(P偏光)は入射光ビームとして偏光ビームスプリ
ッタ131を通過し、1/4波長板132を通って円偏
波となり、レンズ221によって集光され、被検体10
0の表面ないし被検体100の表面下の所定の深さ位置
に入射する。その反射光111bは、例えば入射ビーム
の角度より大きく拡がって反射されるが、その大部分は
レンズ221に入射し、ほぼ平行ビームとされる。この
ようにしてレンズ221を再び通過した信号光はλ/4
波長板132を再び通過することによってS方向(垂直
方向)偏波となり、偏光ビームスプリッタ131によっ
て反射される。ビームスプリッタ131によって反射さ
れた信号光は、さらにミラー133で反射された後、図
1に示す実施形態と同様に、2枚のレンズ23,24に
よって複数の受光素子31が配列された光センサ30に
伝送され、またビームスプリッタ26によって参照光1
11cと重畳され、光ヘテロダイン検出される。
【0097】尚、ここでは光源に時間コヒーレンスの長
いレーザ光を用いるが、時間コヒーレンスの短いレーザ
光や白色光源を用いてもよく、その場合、信号光と参照
光の光路差を制御することによって、反射光を利用した
断層像を取得することができる。
【0098】図12は、本発明の光計測装置の第4実施
形態の模式図である。ここでは、本発明をレーザドプラ
流速計に適用した例を示す。
【0099】レーザ光のドプラシフトを利用した速度計
は一般にレーザドプラ速度計と呼ばれるが、レーザドプ
ラ速度計のうち、流体の速度を測定するように構成され
たものをレーザドプラ流速計と称する。このレーザドプ
ラ流速計では、流体自身あるいは流体内を流れる散乱体
からの反射光のドプラシフト量が計測され、そのドプラ
シフト量に基づいて流速が求められるが、流体との境界
における光散乱や流体内での光散乱などによってレーザ
光の空間コヒーレンス損が生じる。したがってここにも
本発明を適用することで高精度化できる要因がある。
【0100】レーザ光源11から出射したレーザ光ビー
ム11aはコリメータ12でコリメートされミラー14
1で反射され、ビームスプリッタ13で信号光11bと
参照光11cとに二分される。参照光11cは図1に示
す実施形態の場合と同一の光路を経て光センサ30に入
射する。
【0101】信号光11bはビームスプリッタ13で参
照光11cと分かれた後ビームエキスパンダ142でビ
ーム径が広げられ、対物レンズ143で被検体(流体)
100の内部に集光される。被検体(流体)100自
身、あるいは被検体(流体)内の散乱体で反射した信号
光は、レンズ22に入射し、その後は図1に示す実施形
態と同様にして、光センサ30に入射する。
【0102】光センサ30を構成する複数の受光素子3
1それぞれで得られたへテロダイン信号は、信号処理回
路400に入力される。この信号処理回路400では、
コヒーレント積算法(Coherent Summat
ion)による演算が行なわれる。
【0103】図13は、図12に示す信号処理回路40
0の内部構成を模式的に示すブロック図、図14はその
信号処理法の説明図である。
【0104】光センサ30を構成する複数の受光素子3
1それぞれで得られたへテロダイン信号は、図3,図4
を参照したインコヒーレント積算法の説明でも述べたよ
うに、それぞれ、 A1sin(Δωt+φ1) A2sin(Δωt+φ2) A3sin(Δωt+φ3) : のようにあらわすことができる。ここでΔω=2πΔf
は信号光と参照光との角周波数差、A1,A2,A3,…
…は各へテロダイン信号の振幅、φ1,φ2,φ3,……
は各へテロダイン信号の位相であり、それらの振幅
1,A2,A3,……および位相φ1,φ2,φ3,……は
図14(A)に示すように一般的には相互に異なってい
る。
【0105】図12に示す信号処理回路400には、図
13に示すように、位相整合回路411と積算回路41
2が備えられており、光センサ30の複数の受光素子3
1で得られた複数のへテロダイン信号A1sin(Δω
t+φ1),A2sin(Δωt+φ2),A3sin(Δ
ωt+φ3),……は位相整合回路411に入力され、
図14(B)に示すように、全てのへテロダイン信号
が、例えば光センサ30を構成する複数の受光素子31
のうち光軸上にある中央の受光素子で得られたへテロダ
イン信号の位相φに揃えられ、A1sin(Δωt+
φ),A2sin(Δωt+φ),A3sin(Δωt+
φ),……となる。
【0106】積算回路412では、これら位相の揃った
へテロダイン信号が積算され、図14(C)に示す信号
S=ΣAn・sin(Δωt+φ)が得られる。
【0107】このようにして、図12に示す信号処理回
路400で得られた信号は、流速演算回路410に入力
され、流速に換算される。
【0108】図12に示す信号処理回路400、すなわ
ち、図13に示す位相整合回路411および積算回路4
12によれば、位相の時間的な変化情報あるいは空間的
に異なる関心点どうしの間の位相情報は失なわれないた
め、例えば図12に示すレーザドプラ流速計のための前
処理として好適である。
【0109】図12に示すように、レーザドプラ流速計
に本発明を適用すると、ドプラシフト量をより高精度に
計測することができ、流速をより高精度に求めることが
できる。
【0110】図15は、本発明の光計測装置の第5実施
形態の構成図である。
【0111】この図15に示す実施形態は、低い時間コ
ヒーレンスを持つ光源であるSLD(スーパールミネッ
セントダイオード)51が採用されている。
【0112】SLD51から出射された光ビーム51a
はコリメータ12によりコリメートされ、ビームスプリ
ッタ13により信号光51bと参照光51cとに二分さ
れる。
【0113】ビームスプリッタ13で参照光51cと分
かれた信号光51bは、ミラー52で反射され、走査台
21上の被検体100を透過し、透過光はコリメータレ
ンズ22によって平行ビームとなり、レンズ23,25
およびビームスプリッタ26を経由して光センサ30に
入射する。レンズ23とレンズ25との間にはアパーチ
ャ34が配置されており、このアパーチャ34は、不必
要な散乱光を除去する役割りをはたしている。
【0114】一方、ビームスプリッタ13で信号光51
bと分かれた参照光51cは、周波数シフタ17で周波
数シフトを受け全反射プリズム53で全反射し、ミラー
54で反射し、ビームエキスパンダ27でビーム径が広
げられビームスプリッタ26を経由して信号光と重畳さ
れて光センサ30に入射する。
【0115】光センサを構成する複数の受光素子31で
得られた複数のへテロダイン信号は、信号処理回路40
に入射されて前述したインコヒーレント積算処理が施さ
れ、コンピュータ50に入力される。
【0116】ここで、全反射プリズム53は、図示の矢
印z方向に移動し参照光51cの光路長を変更する。S
LD51から出射された光ビーム51aは低い時間コヒ
ーレント長をもつ光であるため、信号光と参照光の光路
長がほとんど等しい場合のみ光干渉が生じ、このことか
ら、前述した式(4)に基づいて被検体100の光屈折
率が求められる。
【0117】被検体内の光屈折率が不均一な場合、信号
光の光路に沿った座標をxとしたとき、Δnはxの関数
Δn(x)であり、したがって ΔL’=∫Δn(x)dx ……(5) すなわち、ΔL’は、Δn(x)の光路xに沿った積分
値となり、そのΔL’から求められる光屈折率差Δn
は、x方向の平均値 Δn=ΔL/L=∫Δn(x)dx/L ……(6) となる。
【0118】図15に示す例における信号処理回路50
には、図3,図4を参照して説明したインコヒーレント
積算法(Incoherent Summation)
を採用することができる。このインコヒーレント積算法
を採用した信号処理を、図15に示す走査台21を、例
えばx方向とy方向との双方に移動させながら順次実行
することにより、被検体100の二次元的な屈折率分布
を得ることができる。
【0119】尚、ここでは、光源にSLD51を用いる
として説明したが、SLDに代わり、例えば波長スペク
トル幅の広い発光ダイオードを用いてもよい。あるいは
フェムト秒オーダー(1フェムト秒=10-15秒)の超
短パルスレーザ光を発するフェムト秒レーザを用いても
よい。波長スペクトル幅はパルス幅に反比例するため、
このような超短パルスレーザ光は広い波長スペクトルを
持ち、したがって低い時間コヒーレンスを持つことにな
る。
【0120】また、上記実施形態では、参照光の光路に
配置された全反射プリズム53がz方向に移動し、これ
により参照光の光路長が調整されるが、これに代わり、
あるいはこれとともに、信号光の光路に移動自在な全反
射プリズム等を配置し、信号光の光路長を調整するよう
に構成してもよい。
【0121】図16は、本発明の光計測装置の第6実施
形態の構成図である。
【0122】この図16に示す実施形態では周波数変調
幅の広いレーザ光源61が採用されており、そのレーザ
光源61から出射されるレーザ光61aの周波数を変調
する周波数変調駆動部62が備えられている。一方、図
1に示す周波数シフタ17は備えられていない。
【0123】本発明は、この実施形態に示すように、光
源に周波数変調レーザを用いる、いわゆるFM(fre
quency modulation)光へテロダイン
検出法にも適用することができる。FM光へテロダイン
検出法自体については、例えば、佐鳥 耕自、陳 建
培、稲場 文男、“1997年 秋季 第58回応用物
理学会学術講演会講演予稿集”論文番号3p−L−1,
ページ954に述べられている。
【0124】この周波数変調レーザを実現するための1
つの簡単な例として、半導体レーザを採用しその半導体
レーザの動作電流を高速に掃引するという方式を挙げる
ことができる。例えば、波長1.064μmの半導体レ
ーザ(出力50mW)の注入電流を変化させ約300G
Hz/msecの変調レートが得られている(特願平9
−266504号参照)。
【0125】このFM光へテロダイン検出法は、レーザ
の光周波数を周期的に変調することにより信号光と参照
光との光路長差に対応した周波数の干渉信号を得ること
に特徴がある。
【0126】図16に示す実施形態では、光センサ30
を構成する複数の受光素子31で得られた複数の信号
は、先ずバンドパスフィルタ431に入力される。この
バンドパスフィルタ431は、その中心周波数が信号光
と参照光との光路差に相当する周波数に設定されてお
り、このバンドパスフィルタ431を通過した信号は信
号光と参照光との光路差に対応した周波数の信号とな
る。信号処理回路432は、この図16に示す実施形態
の用途に応じ、インコヒーレント積算法(図3,図4参
照)、あるいはコヒーレント積算法(図13,図14)
のいずれを採用してもよい。また、バンドパスフィルタ
431の中心周波数を自由に変化させることができるよ
うに構成することにより、高い距離分解能をもつ光計測
を実現することもできる。
【0127】図17は、本発明は光計測装置の第7実施
形態の構成図である。
【0128】この図17に示す第7実施形態において
は、信号光11bを被検体100に導く光ファイバ80
1と、被検体100から出射した光を光センサ30の受
光面30aに導くもう1本の光ファイバ802が用いら
れている。
【0129】レーザ光源11から出射したレーザ光ビー
ム11aは、コリメータレンズ12により所定のビーム
径を有する平行光ビームに調整され、ビームスプリッタ
13により、信号光11bと参照光11cとに二分され
る。ビームスプリッタ13により参照光11cと分かれ
た信号光11bは、集光レンズ701により集光されて
光ファイバ801に入射され、その光ファイバ801内
を伝送され、その光ファイバ801の他端から出射す
る。この光ファイバ801から出射した信号光は、コリ
メータレンズ702により平行光ビームに調整されて、
固定台212上に配置された被検体100に入射する。
【0130】被検体100の出射面100aの関心点1
00bから出射した信号光は、コリメータレンズ703
および集光レンズ704を経由して、再び光ファイバ8
02に入射され、その光ファイバ802内を伝送され
る。
【0131】光ファイバ802から出射した信号光は、
レンズ705によって、光センサ30の受光面30aの
面積と等しいか、もしくはそれより広いビーム径の平行
光ビームに調整され、ビームスプリッタ26を経由して
光センサ30の受光面30aに達する。
【0132】ビームスプリッタ13により信号光11b
と分かれた参照光11cについては、前述した、図1に
示す第1実施形態の場合と同様であり、説明は省略す
る。
【0133】また、光センサ30で受光した後の信号処
理装置40およびコンピュータ50における信号処理内
容についても、例えば図1に示す第1実施形態の場合と
同様であり、重複説明は省略する。
【0134】この図17に示す実施形態では、被検体1
00の関心点100bから出射し、様々な方向に散乱し
ながら広がった信号光をレンズ703,704で一旦集
光している。本発明は、1つの関心点情報を得るため
に、その関心点から出射した、波面が乱れた信号光を空
間的に分割して受光し波面の乱れを調整して加算するこ
とに意味がある。したがってその目的からすれば、光フ
ァイバ802から出射した信号光も’波面が乱れてい
る’という点では、光ファイバ802に入射する前の信
号光と同様であるため、この図17に示すように、光フ
ァイバ802から出射した後の信号光を二次元的に配列
された複数の受光素子で受光する構成も、本発明の目的
に適った構成である。
【0135】この図17に示す第7実施形態の場合、光
ファイバ801,802が採用されているため、信号光
11bを被検体100に導くこと、および、被検体10
0から出射した光を光センサ30に導くことに関し、大
きな柔軟性ないし融通性を有している。図17におい
て、光ファイバ801の信号光出射端とレンズ702
は、被検体100を二次元的に走査する二方向(x−y
方向)に移動自在な走査台811上に固定されており、
一方、レンズ703,704、および光ファイバ802
の信号光入射端は、被検体100を二次元的に操作する
x−y方向の他、さらに、被検体100に接離する方向
(z方向)にも移動自在な走査台822に固定されてい
る。これら2つの走査台811,822は、走査制御部
900の制御により、x−yの二方向に同一の速度で同
時に移動し、図1に示す第1実施形態における被検体1
00の移動に代わり、これら2つの走査台811,82
2の移動により、信号光による、被検体100の走査が
行われる。
【0136】この図17に示す実施形態のように光ファ
イバを用いた場合であっても、信号光を移動させる代わ
りに、図1に示す実施形態と同様にして被検体100の
方を移動させることにより走査を行なってもよいが、こ
の図17に示すように信号光の方を移動させると、動か
さない方がよい被検体について測定を行なう場合や、被
検体を移動させる場合にその被検体の支持台が被検体の
高速移動を十分に支え切れることができないような場合
に有利である。
【0137】また、走査台822は、x−y方向のみで
はなくz方向にも移動することができるため、被検体1
00の出射面100a上のみでなく、その出射面100
aよりも被検体100の内部に入り込んだ位置に関心点
を設定し、その被検体内部の関心点からの信号光を集光
して光ファイバ802で伝送することができる。このよ
うに、本発明にいう「関心点」は被検体内部に設定され
てもよい。被検体内部に関心点を設定すると、本発明の
光計測装置を例えば光CT(ComputedTomo
graphy)等に適用した場合に有用である。
【0138】次に、本発明を、光散乱体である被検体内
に何らかの流れが存在し、その流れの時間的な変化を測
定する場合に適用した例について説明する。被検体内に
流れが存在する場合の典型例としては、人体あるいはそ
の一部分(例えば指など)を被検体とし、その内部に血
流が存在する場合などがある。ここでは先ず、本発明を
被測定体内の流れの変化の測定に適用することができる
ということに関する理論上の説明を行ない、その後、本
発明をそのような測定に適用したときの実施形態、およ
びその実験結果等について説明する。
【0139】流れの計測法として、レーザドップラ速度
計がよく知られている(例えば、藤村貞夫編著「光計測
の基礎」第3章、森北出版、1993年)。図18にそ
の原理を示す。入射光の波数ベクトルをki(|ki|=
(2π/λ,λ:光の波長)、出射光の波数ベクトルを
s運動している物体の速度ベクトルをVとしたとき、
散乱光の光周波数にドップラシフトfDが観測される。
【0140】 fD=(1/2π)(ks−ki)・v ……(7) このドップラシフトfDから流れの速度が測定される。
【0141】ただし、以上の方法を強い散乱媒質、例え
ば生体組織に適用するためには特別な工夫が必要であ
る。それは、図19に示すように、散乱媒質中を伝搬す
る光はランダムに拡がっていく散乱光が支配的であるこ
とが原因である。
【0142】その工夫の1つとして、散乱媒質、例えば
生体に用いられているドップラシフトを利用した従来の
血流速度計では、注射針の中に挿入された光ファイバを
血管内に挿入し、レーザ光を血液へ直接に照射するもの
であるという方法が採られている。散乱粒子として働く
赤血球などからの散乱光は再び光ファイバに入射して導
びかれ、光ヘテロダイン法で検出される(例えば、藤村
貞夫編著「光計測の基礎」第3章、森北出版、1993
年)。この方法は、注射針や光ファイバを人体内に挿入
する方法であり、無侵襲な方法ではない。
【0143】一方、光コヒーレンストモグラフィ(OC
T)と呼ばれる装置を用いて、生体組織からの反射光を
光ヘテロダイン法で検出し、ビート周波数の分析からド
ップラシフトを測定する方法も報告されている(J.
A.Izatt,M.D.Kulkarniら、Op
t.Lett.vol.22,1439(199
7))。
【0144】OCTは原理的には低コヒーレンス干渉法
に基づいたものであり、高い距離分解能をもつ一方、一
次散乱(single scattering)の検出
法であるため、強い前方散乱性質を有する生体組織に対
しては、測定の最大深さは表面より約1mmと見られ
る。
【0145】次に、無侵襲な光ヘテロダイン法を用いて
散乱媒質中の液流を計測する場合について説明する。
【0146】図18に示すように、一次散乱に基づくレ
ーザドップラ計測では直進光はドップラシフトを受けな
い。一方、散乱媒質を透過してくる光のうち、光ヘテロ
ダイン検出法では直進光成分のほかに、近軸前方散乱光
成分も検出されることを考えると、図20に示すよう
に、散乱媒質中に液流が存在する場合、近軸前方散乱成
分の周波数は液流での散乱によってドップラシフトを受
けたものであることが考えられる。
【0147】光ヘテロダイン検出法で検出される光信号
の周波数分布(スペクトル)を図21に示す。
【0148】散乱媒質を透過してきた光は多重散乱光で
あるため、液流に入射する近軸前方散乱光は角度分布を
もってその液流に入射するとともに、ヘテロダイン検出
が可能な、液流での散乱光も、ある角度分布を成して出
射する。このため、ドップラシフトは式(17)に示す
ような単一の値でなく、図21(b)に見られるような
スペクトルの拡がりをもつものと考えられる。しかも図
20からわかるように一方向のみの散乱ではないため、
液流への入射方向と液流からの出射方向とによって高周
波数側へのシフトと低周波数側へのシフトとの双方が存
在する。このことは図18に示すレーザドップラ測定と
は根本的に異なっている。
【0149】次に、ある測定帯域幅をもったヘテロダイ
ン信号の処理系を考える。この測定帯域幅は、例えば図
22に示すような、中心周波数f0,半値幅Bのバンド
パスフィルタ(Band−Pass Filter:B
PF)特性とする。まず、中心周波数をドップラシフト
なしのときのヘテロダイン周波数f0と一致させておく
場合を考える。半値幅Bがドップラシフトに比べて狭け
れば、BPFで濾過されたヘテロダイン信号の強度は、
ドップラシフトが大きくなるにつれて減少する。この信
号強度の変化から液流の流速変化を測定することは原理
上可能である。
【0150】しかし、従来の光ヘテロダイン測定では、
このような流速変化の測定は困難な面がある。その理由
は前述したスペックルノイズである。
【0151】図23に、図35に示した従来の光ヘテロ
ダイン測定装置で測定した、人間の人差し指の第2関節
上の1点における透過光信号の時間変化を示す。また、
図24に、図23の信号をフーリエ変換した結果を示
す。この測定において、ヘテロダインの中心周波数(ビ
ート周波数)をBPFの中心周波数と一致するように4
0kHzに設定し、またBPFのバンド幅を3kHzと
した。使用したレーザは波長1064nmのNd:YA
Gレーザである。BPFからの出力を10msecごと
にサンプリングし、それを図23に示した。
【0152】図23に見られるようにスペックルノイズ
は約10dBの信号のゆらぎとして観測されている。こ
のような顕著なゆらぎでは、上記のBPFからの出力変
化に基づく流速変化測定は不可能であるといってよい。
【0153】以上を踏まえ、本発明の次の実施形態につ
いて説明する。
【0154】図25は、本発明の光計測装置の第8の実
施形態の構成図である。図1に示す第1実施形態との相
違点について説明する。
【0155】この図25に示す第8実施形態では、図1
に示す第1実施形態における参照光11cの光路に備え
られていた周波数シフタ17に代わり、信号光11bの
光路上に位相変調器35が配置されており、さらに、そ
の位相変調器35の位相変調周波数を制御する変調周波
数制御部36が備えられている。ここでは、レーザ11
として連続発振レーザが採用されており、被検体100
として、例えば人体の指などが配置される。
【0156】また、この図25には明示的には示されて
いないが、図1に示す第1実施形態と比べ、信号処理回
路40’が異なる。次に、この信号処理回路40’につ
いて説明する。
【0157】図26は、図25に示す第8実施形態の信
号処理回路の内部構成を模式的に示すブロック図であ
る。
【0158】この図26に示す信号処理回路には、図3
に示す信号処理回路と比べ、検波整流器41の前段にバ
ンドパスフィルタ(BPF)43が備えられている。こ
のバンドパスフィルタ43は、光センサ30の受光面3
0a上に配置された複数の受光素子31(図2参照)の
それぞれで得られた各受信信号について所定の狭周波数
帯域の信号成分を抽出するものである。このバンドパス
フィルタ43から出力された各信号成分A1sin(2
πf0t+φ1),A2sin(2πf0t+φ2),A3
in(2πf0t+φ3),……は、図3を参照して説明
した場合と同様にして、検波整流器41に入力されて各
信号成分が検波され、かつ整流されて、各信号成分の振
幅A1,A2,A3,……に対応した信号レベルの直流信
号に変換され、さらに積算回路42に入力されて、それ
らの直流信号A1,A2,A3,……を合わせたレベルの
直流信号A=A1+A2+A3+……が求められる。
【0159】図27は、図25,図26に示す第8実施
形態の装置を採用して測定をした結果である。前出の図
23の場合と同じ被検者であって、同じ測定箇所(人差
し指第2関節)を被検体とし、ヘテロダイン周波数を4
0kHzに設定し、8×8=64個のInGaAs受光
素子アレイを使用し、受光素子アレイの64チャンネル
の出力を、中心周波数が40kHz,バント幅3kHz
の64チャンネルのBPF43(図30参照)で濾過し
た。レーザ光源11としては、波長1064nmのN
d:YAGレーザ、信号のサンプリング周期は10ms
ecである。
【0160】ここには、周期約0.85秒、振幅約1d
B(10%)の脈動が見られる。これは血管中の血液の
流速変化(脈動)が本実施形態の装置によって検出され
ていることを示している。図27の時間変化をフーリエ
変換して周波数分析を行なうと、図28に示すように、
脈動は1.17Hzのピークとして検出される。これは
被検者の測定当時の心拍数(70回/秒)と一致してい
る。
【0161】図29は、図25,図26に示した第8実
施形態による指の血流変化を示す波形(a)と心電波形
(b)とを比較して示す図である。
【0162】この図に示すように両者の変化周期は完全
に一致しており、本実施形態による測定法により血流速
度が正しく検出されていることがわかる。
【0163】以上の結果は、本発明により流速変化を正
しく検出することができることを実証しているが、以下
では、流速速度に関する測定方法について説明する。
【0164】図30,図31は、図25,図26に示す
第8実施形態を使用した、ドップラシフトの測定法の説
明図である。
【0165】図30に示すように、例えばドップラシフ
トによる周波数拡がりのない信号が、狭いバンド幅をも
つBPFによって濾過されるとする。ここで、図29に
示す位相変調器の変調周波数を変化させることによって
ヘテロダインの中心周波数f 0(ビート周波数)を変化
させる。そうすると、BPFからの出力は信号のスペク
トルとBPFの(周波数)透過独特のコンボリューショ
ン(たたみ積分)に等しい。BPFのバンド幅が狭けれ
ば(理想的にはデルタ関数的なもの。ただし現実的には
バンド幅は信号のスペクトル拡がりより狭ければ十分で
ある)、BPFからの出力は信号のスペクトルにほぼ等
しくなる。
【0166】図31にはドップラシフトを受けた信号の
スペクトルが、図30を参照して説明した方法と同じ方
法で検出されていく様子が示されている。このように、
ヘテロダインの中心周波数f0(ビート周波数)を変化
させることにより、ドップラシフトの情報が得られる。
【0167】図32,図33はヘテロダイン測定の中心
周波数(ビート周波数)を変化させることにより、流速
情報が得られることを証明するために行った実験の結果
である。
【0168】ここでも波長1064nmのNd:YAG
レーザと8×8個の受光素子が並んだInGaAs検出
器アレイを用いて、人間の人差指の第2関節の透過光を
測定した。
【0169】図32は、ビート周波数f0をBPFの中
心周波数fcに等しくなるように設定した例、即ちf0
c=40kHz(バンド幅B=3kHz)とした例で
ある。脈動が測定されていることがわかる。
【0170】図33は、f0=36kHz、fc=40k
Hz(B=3kHz)としたときの例である。ここで
は、ビート周波数f0をBPFの通過帯域から外れた周
波数に設定したため、BPFからの信号出力は図32の
場合と比べて極端に低下しているが、図32の場合と同
様、脈動が観測されている。ただし、図32では、脈動
がBPFからの出力が減少していく現象として測定され
ているのに対して、図33では、逆にBPFからの出力
が増大していく現象として測定されている。これは、流
速変化によって透過光が受けたドップラシフトにより、
その透過光の一部が、設定されたビート周波数f0(f0
=36kHz)からfc(fc=40kHz)に変化した
ことを意味している。
【0171】このような結果から、図30,図31を参
照して説明した方法は、周波数シフト量の測定に有効と
考えられる。
【0172】尚、ここでは、BPFの周波数fcを固定
しておきビート周波数f0の方を調整したが、それらは
相対的なものであり、ビート周波数f0の方を固定して
おきBPFの中心周波数fcの方を調整してもよい。
【0173】図34は、本発明の光計測装置の第9実施
形態の特徴部分の構成図である。ここでは、入射光の光
軸と角度を成して透過してくる散乱光が測定される。光
センサ30および信号処理系は、図25,図26に示す
第8実施形態の場合と同じである。
【0174】この図34は、従来のレーザドップラ速度
計に見られる、入射光の光軸と角度を成して出射してく
る光を測定する構成を備えたものであるが、本発明によ
ってスペックルノイズが瞬時に平均化されるので、従来
レーザドップラ速度計が採用されていた用途はもちろん
のこと、生体組織などの散乱媒質内の流速を測定する場
合にも適用できる。
【0175】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、干渉を
用いた計測に広く適用することができ、信号強度やスペ
ックルノイズの大幅な改善が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光計測装置の第1実施形態の構成図で
ある。
【図2】図1に示す第1実施形態の部分拡大図である。
【図3】図1に示す信号処理回路の内部構成を模式的に
示すブロック図である。
【図4】図1に示す信号処理回路の信号処理法の説明図
である。
【図5】模似被検体の構成図である。
【図6】図5に示す模擬被検体の計測結果(実施例)を
示した図である。
【図7】従来の光へテロダイン法(図18参照)によ
る、図5に示す模擬被検体の計測結果(比較例)を示し
た図である。
【図8】スペックルノイズによる信号のゆらぎの測定結
果を示す図である。
【図9】比較例(A)、および実施例(B)による、じ
ゃがいものサンプルの透過光強度のデータを一万回サン
プリングしたときのヒストグラムである。
【図10】本発明の光計測装置の第2実施形態の構成図
である。
【図11】本発明の光計測装置の第3実施形態の光学系
の部分構成図である。
【図12】本発明の光計測装置の第4実施形態の構成図
である。
【図13】図12に示す信号処理回路の内部構成を模式
的に示すブロック図である。
【図14】図12に示す信号処理回路の信号処理法の説
明図である。
【図15】本発明の光計測装置の第5実施形態の構成図
である。
【図16】本発明の光計測装置の第6実施形態の構成図
である。
【図17】本発明の光計測装置の第7実施形態の構成図
である。
【図18】レーザドプラ速度計の原理説明図である。
【図19】散乱媒質中を伝搬する光を模式的に示した図
である。
【図20】散乱媒質中に液流が存在する場合の、光が液
流で散乱される様子を模式的に示した図である。
【図21】光ヘテロダイン検出法で検出される光信号の
周波数分布を示す図である。
【図22】光ヘテロダイン検出法で検出される光信号の
周波数分布とバンドパスフィルタの通過帯域を重ねて示
した図である。
【図23】従来の光ヘテロダイン測定装置で測定したと
きの人間の人差指の第2関節上の一点における透過光信
号の時間変化を示す図である。
【図24】図23の信号をフーリエ変換した結果を示す
図である。
【図25】本発明の光計測装置の第8実施形態の構成図
である。
【図26】図25に示す第8実施形態の信号処理回路の
内部構成を模式的に示すブロック図である。
【図27】図25,図26に本発明の第8実施形態とし
て示す光ヘテロダイン測定装置で測定したときの人間の
人差指の第2関節上の一点における透過光信号の時間変
化を示す図である。
【図28】図27の信号をフーリエ変換した結果を示す
図である。
【図29】図25,図26に本発明の第8実施形態とし
て示す光ヘテロダイン測定装置で測定したときの指の血
流変化を示す波形(a)と心電波形(b)とを比較して
示す図である。
【図30】図25,図26に示す本発明の第8実施形態
を使用した、ドップラシフトの測定法の説明図である。
【図31】図25,図26に示す本発明の第8実施形態
を使用した、ドップラシフトの測定法の説明図である。
【図32】ヘテロダイン測定のビート周波数を変化させ
ることにより流速変化測定を行なうことができることの
実証のために行なった実験結果を示す図である。
【図33】ヘテロダイン測定のビート周波数を変化させ
ることにより流速変化測定を行なうことができることの
実証のために行なった実験結果を示す図である。
【図34】本発明の光計測装置の第9実施形態の特徴部
分の構成図である。
【図35】光へテロダイン検出法の原理図である。
【図36】光へテロダイン検出法を用いた被検体の光屈
折率分布の計測原理図である。
【図37】光へテロダイン検出法の1つの問題点の説明
図である。
【図38】光へテロダイン検出法を採用したときのスペ
ックルノイズによるへテロダイン信号のゆらぎの実測例
を示した図である。
【図39】光へテロダイン検出法を採用したときのスペ
ックルノイズによるへテロダイン信号のゆらぎの実測例
を示した図である。
【符号の説明】
11 レーザ光源 11a レーザ光ビーム 11b 信号光 11c 参照光 12 コリメータレンズ 13 ビームスプリッタ 15 光センサ 15a ヘテロダイン信号 16 ミラー 17 周波数シフタ 21 走査台 22,23,25 レンズ 24 アパーチャ 24a 開口 26 ビームスプリッタ 27 ビームエキスパンダ 28 ミラー 30 光センサ 30a 受光面 31 受光素子 35 位相変調器 36 変調周波数制御部 40,40’ 信号処理回路 41 検波整流器 42 積算回路 43 バンドパスフィルタ 50 コンピュータ 51 SLD(スーパールミネッセントダイオード) 52 ミラー 53 全反射プリズム 54 ミラー 61 レーザ光源 61a レーザ光ビーム 62 周波数変調駆動部 100 被検体 100a 出射面 101 容器 101a 出射面 100b 関心点 102 チャート 103 すりガラス 111a レーザビーム 111b 反射光 111c 参照光 131 偏光ビームスプリッタ 132 1/4波長板 141 ミラー 142 ビームエキスパンダ 143 対向レンズ 211 被検体載置台 212 固定台 221 レンズ 400 信号処理回路 410 流速演算回路 411 位相整合回路 412 積算回路 431 バンドパスフィルタ 801,802 光ファイバ 811,822 走査台 900 走査制御部

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光ビームを出射する光源、 前記光源から出射された光ビームを、被検体が配置され
    る被検体配置位置を経由する信号光と、該被検体配置位
    置を経由する光路とは異なる光路を経由する参照光とに
    二分するとともに、該被検体配置位置を経由した後の信
    号光と、該異なる光路を経由した参照光とを互いに重畳
    することにより該信号光と該参照光とが干渉した干渉光
    を生成する干渉光学系、および前記干渉光学系で得られ
    た干渉光を受光することにより受光信号を得る光センサ
    を備え、 前記干渉光学系が、前記被検体配置位置に配置された被
    検体の表面もしくは内部の、前記信号光の通過経路上の
    関心点の信号光を前記光センサ上に伝達するとともに該
    光センサ上に前記参照光を重畳するものであって、 前記光センサが、空間的に配列されそれぞれが独立に受
    光信号を得る複数の受光素子を有するものであり、 さらに、前記光センサで得られた複数の受光信号を統合
    して前記関心点に対応する信号を生成する信号処理部を
    備えたことを特徴とする光計測装置。
  2. 【請求項2】 前記干渉光学系が、前記信号光の周波数
    と前記参照光の周波数を相対的にシフトさせる周波数シ
    フタを備えたことを特徴とする請求項1記載の光計測装
    置。
  3. 【請求項3】 前記光源が、周波数が時間的に変調され
    たコヒーレント光を出射する光源であることを特徴とす
    る請求項1記載の光計測装置。
  4. 【請求項4】 前記干渉光学系が、前記被検体配置位置
    に配置された被検体と該被検体配置位置における信号光
    とのうちの少なくとも一方を一次元的もしくは二次元的
    に相対的に移動させることにより該被検体を該信号光で
    走査する走査機構を含むものであることを特徴とする請
    求項1記載の光計測装置。
  5. 【請求項5】 前記干渉光学系が、前記被検体配置位置
    に配置された被検体と該被検体配置位置における信号光
    とのうちの少なくとも一方を相対的に回動させる回動機
    構を含むものであることを特徴とする請求項1記載の光
    計測装置。
  6. 【請求項6】 前記干渉光学系が、前記関心点を所定の
    結像面に結像する結像光学系と、該結像面上に配置され
    たアパーチャと、該アパーチャに濾過された光を前記光
    センサ上に伝達する光学系とを備えたことを特徴とする
    請求項1記載の光計測装置。
  7. 【請求項7】 前記信号処理部が、前記光センサを構成
    する複数の受光素子で得られた複数の受信信号それぞれ
    を整流して互いに加算するものであることを特徴とする
    請求項1記載の光計測装置。
  8. 【請求項8】 前記信号処理部が、前記光センサを構成
    する複数の受光素子で得られた複数の受信信号の位相を
    相互に合わせて互いに加算するものであることを特徴と
    する請求項1記載の光計測装置。
  9. 【請求項9】 前記光源が、所定の低コヒーレント光ビ
    ームを出射する光源であることを特徴とする請求項1記
    載の光計測装置。
  10. 【請求項10】 前記光源が、コヒーレント長1mm以
    下の低コヒーレント光ビームを出射する光源であること
    を特徴とする請求項9記載の光計測装置。
  11. 【請求項11】 前記信号光もしくは前記参照光の光路
    長を変更自在に調節する光路長調整手段を備えたことを
    特徴とする請求項9記載の光計測装置。
  12. 【請求項12】 前記光路長調整手段により信号光もし
    くは参照光の光路長を変化させながら、前記信号光と前
    記参照光とが干渉した干渉光が最大強度となる光路長調
    整量を求めることにより、被検体の屈折率情報を得る演
    算部を備えたことを特徴とする請求項11記載の光計測
    装置。
  13. 【請求項13】 前記信号処理部が、前記光センサを構
    成する複数の受光素子で得られた複数の受信信号それぞ
    れについて所望の周波数帯域の信号成分を抽出するバン
    ドパスフィルタを備え、該バンドパスフィルタを通過し
    た、前記複数の受信信号の所望の周波数帯域の複数の信
    号成分を統合して前記関心点に対応する信号を生成する
    ものであることを特徴とする請求項1記載の光計測装
    置。
  14. 【請求項14】 前記バンドパスフィルタが、通過帯域
    の中心周波数の調整が自在なものであることを特徴とす
    る請求項13記載の光計測装置。
  15. 【請求項15】 前記干渉光学系が、前記信号光の周波
    数と前記参照光の周波数を、相対的に、シフト量調整自
    在にシフトさせる周波数シフタを備えたものであること
    を特徴とする請求項13記載の光計測装置。
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